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JP4742375B2 - 衝撃吸収用の鈴形中空金属球および衝撃吸収用構造材 - Google Patents

衝撃吸収用の鈴形中空金属球および衝撃吸収用構造材 Download PDF

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Description

本発明は、衝撃吸収用の鈴形中空金属球および衝撃吸収用構造材に関する。
地球温暖化対策として、自動車の更なる燃費向上を目的に自動車の軽量化が図られている。その一方で、自動車安全基準を満たすために、高剛性化も求められているが、高剛性化には重量増加が伴うのが普通である。この相反する要求を満たすため、軽量かつ高エネルギー吸収特性をもつ超軽量の中空金属球を、ピラーやクラッシュボックスの中に充填してエネルギー吸収材として使用することが検討されている。本発明は、このような用途に適した衝撃吸収用の鈴形中空金属球、その製造方法および衝撃吸収用構造材に関する。
本発明者は、中空金属球の高い衝撃エネルギー吸収能力を活かして、多数の中空金属球を連続的に結合した衝撃吸収用構造材を既に提供している(WO2005−084854)。この衝撃吸収用構造材は、自動車の剛性を維持しながら軽量化を果すのに非常に有効であるが、この衝撃吸収用構造材を得るには、中空金属球自体を得なければならない。
上記した中空金属球の製造法としては、特許文献1および特許文献2の従来技術がある。
特許文献1の従来技術は、ニッケル、鉄、アルミニウムもしくは銅のごとき金属またはそれらの合金から成り、外部と遮断された中空部を有し、継目ないし開孔部を有しない球状またはそれに類似の形状の薄肉中空体であって、溶融状態にある金属または合金を粒状化する工程と、上記粒状化された金属または合金を、それらの溶融点より低い温度で気化し得る液体、化学反応により気体を発生し得る液体ないし固体に対して接触させる工程とからなり、上記接触の際に発生した気体を上記粒状化した金属または合金の溶融体内部にまきこみ外部と遮断された中空部を有する極く肉薄の中空金属球を形成させる方法である。
特許文献2の従来技術は、金属溶湯流を流体中もしくは一部が液体中に置かれた回転体に衝突させ、分散させて、液体中にて金属溶融体を形成させることにより、金属溶融体と液体とを接触させ、その際に発生した気体を金属溶融体中にまきこませて中空部を形成させる方法である。
しかるに、上記特許文献1,2の従来例では、材料費が高価で工程数が多いため製造コストが高く、また、成形時における中空金属球の寸法精度が低い等の問題がある。
ところで、上記従来技術はいずれも継目や開孔部の全くない、表面が完全に密閉された中空金属球を得ようとするものであった。
ところが、本発明者の研究によれば、中空金属球は必ずしも完全密閉される必要のないことが見出された。たとえば、中空金属球に小さな開孔部があったとしても、このような開孔部付き中空金属球(以下、本明細書では、このような形状の中空金属球を鈴形中空金属球という)を多数用いた場合は、完全密閉型の中空金属球を用いた場合と同等、あるいはそれ以上の衝撃吸収能力を有することが分ったのである。その理由は、開孔部があると中空金属球に圧縮抵抗力の方向依存性が発現するものの、多数の中空金属球を密閉空間へ充填した場合は、開孔部の向きや位置はランダムになって、全体としては圧縮抵抗力に方向依存性は無くなると共に、開孔部があるため緻密化までの変形が大きいからである。
特公昭52−15057号 特公昭53−2420号
本発明は上記事情に鑑み、衝撃吸収能力が高く、また衝撃吸収用構造材を軽量に構成することができる鈴形中空金属球を提供することを目的とする。また、本発明は衝撃吸収能力が高く軽量な衝撃吸収用構造材を提供することを目的とする。
第1発明の衝撃吸収用の鈴形中空金属球は、加圧によって徐々に潰れていく衝撃吸収用の金属球であって、金属薄板を湾曲させて球状の隔壁に形成して得た中空の球体であり、前記隔壁には開孔部が形成されており、該開孔部が、2ヵ所の小孔と、それらをつなぐスリットとからなることを特徴とする。
第2発明の衝撃吸収用構造材は、中空構造体に請求項1の鈴形中空金属球を充填したことを特徴とする。
第1発明の鈴形中空金属球は、つぎの効果を奏する。
a)開孔部はあるものの基本的形状は球体であって中空であることから軽量になっている。また、形状が球体であることから耐圧縮性が高く、かつ加圧によって徐々に潰れていくので衝撃吸収能力が非常に高い。
b)鈴形中空金属球は2ヵ所の孔とそれらをつなぐスリットからなる開孔部を有するので、加圧による潰れやすさの方向依存性があるが、密閉空間に多数の鈴形中空金属球を充填した場合は開孔部の方向がランダムになるので、全体としては潰れやすさの方向依存性は発現せず、どの方向に対しても同等の衝撃吸収能力を発揮できる。
第2発明によれば、衝撃吸収用構造材の内部には、多数の鈴形中空金属球が充満されているから、外部からの衝撃荷重が加わったとき、内部の鈴形中空金属球が少しづつ順々につぶれていくので衝撃吸収用構造材も時間をかけて変形していき、一気につぶれない。このように良好なエネルギー吸収特性を発揮するので、衝撃吸収用構造材の肉厚を薄くすることができ、軽量であり衝撃吸収能力の高い衝撃吸収用構造材を提供できる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本発明の鈴形中空金属球の実施形態を説明する。図1の(A)図は実施例1の鈴形中空金属球1の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面。図2の(A)図は実施例2の鈴形中空金属球2の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。なお、図3の(A)図は参考例としての鈴形中空金属球3の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。
図1の(A)、(B)に示す実施例1の鈴形中空金属球1は、球状の隔壁1aに開孔部1bが形成されたものである。この開孔部1bは、2ヶ所の小孔hを細いスリットsでつないだ形状のものである。小孔hはほぼ円形である。後述するごとく、初期のブランク形状を適正にすることにより、小孔hを円形に近づけることは可能である。
図2の(A)、(B)に示す実施例2の鈴形中空金属球2は、球状の隔壁2a に開孔部2bが形成されたものである。この開孔部2bは、2ヵ所の小孔hを細いスリットsでつないだ形状であるが、小孔hは円形ではなく細い菱形孔である。
本発明の開孔部は上記実施例1,2に例示したもの以外に、これらに類似する形状であってもよい。
なお、図3の(A)、(B)に示す参考例としての鈴形中空金属球3は、球状の隔壁3aに開孔部3bが形成されたものである。この開孔部3bは2ヵ所の小孔hからなり、2ヵ所の小孔は中心対称の位置にあいた円形のものである
つぎに、本発明の鈴形中空金属球の利用方法を説明する。
図4は、実施例1の鈴形中空金属球を、中空な衝撃吸収用構造材5の内部に充填したものである。本図で示すように、たくさんの鈴形中空金属球1の開孔部1bはランダムな方向に向いている。これら鈴形中空金属球1は、互いに接着材料や拡散接合により接合されていてもよく、接合しないでバラバラで用いてもよい。
衝撃吸収用構造材5は、例えば、円管や、断面が帽子のような形状をしたハット材、角管等、自動車のフレームやバンパー、建築物の梁、柱等に使用される中空な構造用材料であるが、内部に中空な空間を有するものであればよく、特に限定はない。
上記のように、衝撃吸収用構造材5の内部は、多数の鈴形中空金属球1が充満されているから、外部からの衝撃荷重が加わったとき、内部の鈴形中空金属球1が衝撃吸収負荷を受けるので、衝撃吸収用構造材5の変形はある荷重が加わるまで発生し難い。そして、衝撃荷重が大きくなると、内部の鈴形中空金属球1が少しづつ順々につぶれていくので衝撃吸収用構造材5も時間をかけて変形していき、一気につぶれることはない。このように衝撃吸収用構造材5は良好なエネルギー吸収特性を発揮するので、衝撃吸収能力を高くすることができる。したがって、衝撃吸収用構造材5の肉厚を薄くすることができ、自動車等の軽量化と衝撃吸収能力を共に向上させることができる。この効果は、鈴形中空金属球3を充填した場合も同様である。
つぎに、実施例1,2に係る鈴形中空金属球の製造方法を説明する。
上記製造方法で用いるブランクbを図5に基づき説明する。
加工前のブランクbは、概ね楕円形の金属板である。この楕円形のブランク形状は、球の展開図から有効と考えられたものである。
ブランクbとしての金属の材質は、加工に耐える延性や衝撃加圧時の変形特性から選択すればよく、たとえば、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板などが好ましく用いられる。ブランクbの厚さも上記と同様の観点から選択され、材料や与えるべき変形特性によって変るが、たとえば0.05〜0.3mmのものが好ましい。
ブランクbの楕円形状は、基本的には長軸寸法hと短軸寸法wで決まるが、これも加工方法や用いるダイやパンチとの相性によりしわ等の発生しない寸法に選択すればよい。さらに、湾曲部の曲率半径R,R,Rも加工方法や加工設備との相性により、しわ等が発生しないように選択すればよい。また、開孔部の小孔hの形状は、曲率半径Rを選択することによりコントロールできる。たとえば、曲率半径Rを大きくして形状を直線に近づければ、小孔hは円形に近づく。反対に曲率半径Rを小さくして膨らませると、小孔hは小さな異形孔となる。
つぎに、プレス加工法を説明する。
本発明の鈴形中空金属球に係る製法は、基本的には深絞り工程と口閉め工程と仕上げ工程とからなる。以下に三つの製法を説明するが、上記工程を含む限り以下の三つの製法に限定されるものではない。
第1の製法
図6は第1の製法を示し、直径5mmの鈴形中空金属球をつくる製造工程を示している。工程は3段階に分けられ、深絞り工程I、口閉め工程II、仕上げ工程IIIとからなる。
前記深絞り工程Iは、ダイ11とパンチ12としわ押え13からなる深絞り装置10を用いている。ダイ11は内径5mmの孔15を有し、孔15の上端部はアール15rが付けられている。パンチ12は直径4.8mmで先端は半球状になっている。しわ押え13は内径6mmの孔16があいたフランジ状部材である。ダイ11は固定され、パンチ12としわ押え13は油圧等で駆動される。ダイ11の孔の上にブランクb中央部をのせ、しわ押え13でブランクbをダイ11上に固定する。ついでパンチ12で、ブランクbがしわ押え13から抜けるまで加圧する。
前記口閉め工程IIは、ダイ21とパンチ24からなる口閉め装置20を用いる。ダイ21は上面に略半球状の凹所22が形成されている。パンチ24はピン25とピンの外側に突出した口閉めガイド26を備えている。口閉めガイド26は傘状の部材である。
前記深絞り工程Iでは、平板のブランクbが短軸方向の両縁部を曲げると共に、長軸方向の両端部を立ち上げたチューリップ状のチューリップ状成形体bに形成されている。このチューリップ状成形体bを口閉め装置20のダイ21上に置き、パンチ24のピン25を成形体bの両端部の間に挿入し、さらに加圧していく。この加圧によって、口閉めガイド26が成形体bの両端部を互いに接近させ、さらなる加工により、成形体bの全縁が互いに接近して壺形状の壺形成形体bに形成する。この口閉め工程で材料の座屈を避けるために、口閉め工程IIを2段階に分けて行うなどの工夫も、場合によって必要とされる。
仕上げ工程IIIは、下ダイ31と上ダイ34からなる仕上げ装置30を用いる。下ダイ31は上面に半球状の凹所32を形成している。上ダイ34は下面に半球状の凹所35を形成している。凹所32と凹所35は上下ダイ31,34が密着した状態で真球状となるように形成されている。
前記口閉め工程IIで形成された壺形成形体bは下ダイ31の上に置かれ、上ダイ34を加圧していくと、壺形成形体bは球形に成形される。このとき、壺形成形体bの形状により、上下金型間への噛み込みやしわなどが発生しやすくなるが、初期のブランク形状を適正にすることにより、これらの欠点を防止することができる。
この仕上げ工程IIIで材料の肉量を精密に管理しておくことにより、寸法や形状が高精度に仕上がった真球に近い鈴形中空金属球が得られる。ただし、壺形成形体bの両端部は完全には接合しないので、開孔部1bが残ることになる。この開孔部1bの形状は、図1あるいは図2に示すように、細長いスリットsの両端に円形あるいは小さな孔hが付いた実施例1,2の鈴形中空金属球である。
第2の製法
図7は第2の製法を示し、直径5mm鈴形中空金属球をつくる製造工程を示している。工程は3段階に分けられ、深絞り工程I、口閉め工程II、仕上げ工程IIIとからなる。
深絞り工程Iは、ダイ42とパンチ43としわ押え44からなる深絞り装置40を用いている。
ダイ42は内径5mmの孔45を有し、孔45の上端部はアール45rが付けられている。パンチ43は直径4.8mmで先端は半球状になっている。しわ押え44は内径5.2mmの孔46があいたフランジ状部材である。ダイ42は固定され、パンチ43としわ押え44は油圧等で駆動される。
ダイ42の孔45の上にブランクb中央部をのせ、しわ押え44でブランクbをダイ42上に固定する。ついでパンチ43で、ブランクbがしわ押え44から抜けるまで加圧する。
口閉め工程IIは、ダイ51とパンチ54からなる口閉め装置50を用いる。ダイ51は上面に略半球状の凹所52が形成されている。パンチ54はピン55とピンの外側に突出した口閉めガイド56を備えている。口閉めガイド56は傘状の部材である。
前記深絞り工程Iでは、平板のブランクbが短軸方向の両縁部を曲げると共に、長軸方向の両端部を立ち上げたチューリップ状のチューリップ状成形体bに形成されている。このチューリップ状成形体bを口閉め装置のダイ51上に置き、パンチ54のピンを成形体bの両端部の間に挿入し、さらに加圧していく。この加圧によって、口閉めガイド56が成形体bの両端部を互いに接近させる。この加工により、成形体b1の全縁が互いに接近して壺形状の壺形成形体bに形成する。
この口閉め工程では材料の座屈を避けるために、口閉め工程IIを2段階に分けて行うなどの工夫も必要とされる。
仕上げ工程IIIは、下ダイ61と上ダイ64からなる仕上げ装置60を用いる。下ダイ61は上面に半球状の凹所62を形成している。上ダイ64は下面に半球状の凹所65を形成している。凹所62と凹所65は上下ダイ61,64が密着した状態で真球状となるように形成されている。
前記口閉め工程IIで形成された壺形成形体bは下ダイ61の上に置かれ、上ダイ64を加圧していくと、壺形成形体bは球形に成形される。壺形成形体bから球形への成形は座屈は生じないので、工程は一度でよい。
この第2の製法によっても、寸法や形状が高精度に仕上がった真球に近い球体であって、隔壁に開孔部が残る実施例1,2の鈴形中空金属球が得られる。
第3の製法
図8は第3の製法を示している。工程は3段階に分けられ、深絞り工程I、口閉め工程II、仕上げ工程IIIとなるが、深絞り工程Iは、前記第1の製法または第2の製法を用いてよい。そして、本製法では口閉め工程と仕上げ工程は、口閉め仕上装置70により同時に行われる。
口閉め仕上装置70は次のように構成されている。
下ダイ71は上面に半球状の凹所72を形成している。上ダイ74は下面に半球状の凹所75を形成している。ブランクホルダ76はチューリップ状成形体bを保持する孔77を有しており、スプリング78で支えられている。前記孔77は垂直な壁面を有することによって、加圧時における成形体b1の噛み込みや座屈を防止することができる。
前記上ダイ74を下向きに押し下げていくと、ブランクホルダ76を押し下げていき、チューリップ状成形体bは上ダイ74と下ダイ71とで挟まれる。そして、凹所72と凹所75は上下ダイ71,74が密着した状態で真球状となるように形成されている。このため、チューリップ状成形体bは球形に成形される。チューリップ状成形体bから球形への成形は座屈を生じないように、工程を2回に分けて行う等の工夫が必要なこともある。
この第3の製法によっても、寸法や形状が高精度に仕上がった真球に近い球体であって、隔壁に開孔部が残る実施例1,2の鈴形中空金属球が得られる。
なお、参考例の鈴形中空金属球を製造するバルジ加工法は、つぎのとおりである
図9(A)において、80はバルジ加工法の金型であって、二つ割りの上型81と下型82とからなる。各型81、82には半球形のキャビティ83と円筒状の保持部84が形成されている。この金型内へ金属製の筒状部材Pを挿入する。そして、ゴム材85を筒状部材P内に入れ、その両端からパンチ86、87で軸方向に加圧する。こうすると、キャビティ83に面した部分が半径方向外側に膨張し、球形部分ができあがる。
つぎに、同図(C)に示すように、金型から取り出した中空部材は球状部3’と筒状部4’が交互につながっているので筒状部4を切断すると、孔hが二つ中心対称にあいた球体が作られる。
また、同図(B)に示すように、同じ金型80を用い、金属製の筒状部材pの内部に高圧の液体Lgや気体を流入させて加圧し、キャビティに面した部分を球状に膨張させてもよい。この方法で得られた中空部材を同図(C)に示すように切断しても、二つの小孔hが中心対称にあいた鈴形中空金属球3が得られる。
つぎに、本発明の鈴形中空金属球につき、圧縮試験によって機械特性を調査した。
図10および図11に示す実験では、実施例1〜3と比較例1を用意した。
(実施例1)
実施例1は、図1の鈴形中空金属球1であって、成形体密度が0.657g/cmである。用いたブランクbは厚さ0.1mm、長軸hが13.5mm、短軸wが7.5mmの鋼製薄板であり、後記する実施例2の楕円ブランクを基本に、曲率半径Rを大きくして形状を直線に近づけ、同時に長軸を伸ばした形状とした。図10の中央に写真を示す。
(実施例2)
実施例2は、図2の鈴形中空金属球2であって、成形体密度が0.716g/cmである。用いたブランクbは厚さ0.1mm、長軸hが12.5mm、短軸wが7.5mmの鋼製薄板であり、楕円形状である。図10の左側に写真を示す。
(実施例3)
実施例3は、図10の右側に示す中空金属球であって、成形体密度が0.71g/cmである。用いたブランクbは厚さ0.1mm、長軸hが13mm、短軸wが7.5mmの鋼製薄板であり、開孔部の小さな球を実現するため曲率半径Rの小さな形状とした。
(比較例1)
比較例1の球は、金属粉末から焼結法により作成された球であって、開孔部が形成されておらず、球形に密閉された中空金属球である。中空球の比重は0.51g/cmである。
実験(1)
実施例1〜3および比較例1の夫々の中空金属球を円筒状の缶に多数充填し、同一条件で圧縮強度の測定をした。結果を図11に示す。
図11に示すように、実施例1〜3および比較例1は、いずれも、初期に荷重増加を示した後、ほぼ一定の応力で圧縮変形が進んでいることから、圧縮エネルギーの吸収特性が良いことが判る。また、この一定応力での圧縮率の範囲は比較例1に比べ、実施例1〜3の方が長く、さらに良い特性を示している。とくに、円形の小孔hをもつ実施例1は一定応力部分が一番長く、応力の急激な立ちよりが遅くなっており、良好なエネルギー吸収特性を示していることが分る。
この実験(1)では密閉した缶に多数の中空金属球を充填したが、このような構造物としての多数の中空金属球を圧縮した場合は、開孔部のない比較例1は実施例1〜3よりも低い圧縮率で荷重が高くなっていることが分る。換言すれば、開孔部のある実施例1〜3は荷重が漸増しながらつぶれていく余地が大きい。このことは、球体の内部がつぶれていく間の荷重‐圧縮比は同じであっても、開孔部がつぶれていく余地が存する実施例1〜3の方が完全につぶれていくまでの間が長いので衝撃吸収能力が高いことを意味している。以上のことから本発明の鈴形中空金属球は、開孔部の無い中空金属球よりも衝撃吸収能力が高いと云えるのである。
実験(2)
つぎに方向依存性の有無を確認する実験を行った。
実施例2の鈴形中空金属球2に対して図12の(A)に示すように3方向で圧縮試験を行った。h方向はスリットsを上下から圧縮する方向。w方向はスリットsへ長手方向に直交する方向で横から圧縮する方向、wはスリットsの長手方向に沿って圧縮する方向である。
上記圧縮試験の結果を図12(B)の荷重―圧縮比曲線に示す。
h方向、w方向およびw方向のいずれも、圧縮率の増加につれて徐々に荷重が増えており、基本的な傾向は三方向で同じである。ただし、圧縮比が0.6〜0.9位の範囲では、h方向の荷重が高く、w方向の荷重が中間で、w方向の圧縮が最も低い荷重となるが、これはスリットsの長さ方向に沿うので変形しやすいからと考えられる。
したがって、圧縮比が0.6〜0.9の範囲では、多少の方向依存性を示すことが分る。
しかし、重要なことは、三方向h、w、wのいずれの圧縮も圧縮比が0〜0.8位までは、荷重にほぼ正比例して漸増していることである。この間は、中空金属球が徐々につぶれていくが、まだ内部に空間が残っていることを示している。そして、圧縮比が0.8を越え1に至る間は急激に荷重が高くなるが、これは隙間がほとんどない状態にまで潰れることによる。換言すれば、鈴形中空金属球内に空間あるいは隙間がある間は、荷重の大きさに比例して徐々に球体が潰れていき、潰れ方に多少の方向依存性があったとしても、最終的にはスリット5の方向に拘わらず衝撃荷重を時間をかけて吸収できることを意味している。よって、本発明の鈴形中空金属球は、良好な衝撃吸収能力を有しているのであり、とくに密閉空間にランダムに鈴形中空金属球を充填して用いる場合は、スリットの方向依存性が発現することなく、高い衝撃吸収能力を発揮することができるのである。
本発明の鈴形中空金属球は、中空な部材、例えば、円管やハット材、角管等、自動車のフレームやバンパー、建築物の梁、柱等に使用する衝撃吸収用構造材に使用可能である。
(A)図は実施例1に係る鈴形中空金属球1の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。 (A)図は実施例2に係る鈴形中空金属球2の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。 (A)図は参考例としての鈴形中空金属球3の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。 本発明の鈴形中空金属球の使用状態説明図である。 本発明における鈴形中空金属球の製法に用いるブランクの平面図である。 鈴形中空金属球のプレス加工法の第1例の説明図である。 鈴形中空金属球のプレス加工法の第2例の説明図である。 鈴形中空金属球のプレス加工法の第3例の説明図である。 鈴形中空金属球のバルジ加工法の説明図である。 実施例1、2、3の中空金属球の写真である。 実施例1、2、3の圧縮試験の結果を示すグラフである。 (A)図は実施例2の鈴形中空金属球の加圧試験の加圧方向を示す説明図、(B)図は圧縮試験の結果を示すグラフである。
1 中空金属球構造体
5 衝撃吸収用構造材
10 深絞り装置
20 口閉め装置
30 仕上げ装置
40 深絞り装置
50 口閉め装置
60 仕上げ装置
70 口閉仕上装置
b ブランク
チューリップ状成形体
壺形成形体

Claims (2)

  1. 加圧によって徐々に潰れていく衝撃吸収用の金属球であって、
    金属薄板を湾曲させて球状の隔壁に形成して得た中空の球体であり、
    前記隔壁には開孔部が形成されており、
    該開孔部が、2ヵ所の小孔と、それらをつなぐスリットとからなる
    ことを特徴とする衝撃吸収用の鈴形中空金属球。
  2. 中空構造体に請求項1の鈴形中空金属球を充填した
    ことを特徴とする衝撃吸収用構造材。
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