JP4742375B2 - 衝撃吸収用の鈴形中空金属球および衝撃吸収用構造材 - Google Patents
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Description
地球温暖化対策として、自動車の更なる燃費向上を目的に自動車の軽量化が図られている。その一方で、自動車安全基準を満たすために、高剛性化も求められているが、高剛性化には重量増加が伴うのが普通である。この相反する要求を満たすため、軽量かつ高エネルギー吸収特性をもつ超軽量の中空金属球を、ピラーやクラッシュボックスの中に充填してエネルギー吸収材として使用することが検討されている。本発明は、このような用途に適した衝撃吸収用の鈴形中空金属球、その製造方法および衝撃吸収用構造材に関する。
特許文献1の従来技術は、ニッケル、鉄、アルミニウムもしくは銅のごとき金属またはそれらの合金から成り、外部と遮断された中空部を有し、継目ないし開孔部を有しない球状またはそれに類似の形状の薄肉中空体であって、溶融状態にある金属または合金を粒状化する工程と、上記粒状化された金属または合金を、それらの溶融点より低い温度で気化し得る液体、化学反応により気体を発生し得る液体ないし固体に対して接触させる工程とからなり、上記接触の際に発生した気体を上記粒状化した金属または合金の溶融体内部にまきこみ外部と遮断された中空部を有する極く肉薄の中空金属球を形成させる方法である。
ところが、本発明者の研究によれば、中空金属球は必ずしも完全密閉される必要のないことが見出された。たとえば、中空金属球に小さな開孔部があったとしても、このような開孔部付き中空金属球(以下、本明細書では、このような形状の中空金属球を鈴形中空金属球という)を多数用いた場合は、完全密閉型の中空金属球を用いた場合と同等、あるいはそれ以上の衝撃吸収能力を有することが分ったのである。その理由は、開孔部があると中空金属球に圧縮抵抗力の方向依存性が発現するものの、多数の中空金属球を密閉空間へ充填した場合は、開孔部の向きや位置はランダムになって、全体としては圧縮抵抗力に方向依存性は無くなると共に、開孔部があるため緻密化までの変形が大きいからである。
第2発明の衝撃吸収用構造材は、中空構造体に請求項1の鈴形中空金属球を充填したことを特徴とする。
a)開孔部はあるものの基本的形状は球体であって中空であることから軽量になっている。また、形状が球体であることから耐圧縮性が高く、かつ加圧によって徐々に潰れていくので衝撃吸収能力が非常に高い。
b)鈴形中空金属球は2ヵ所の孔とそれらをつなぐスリットからなる開孔部を有するので、加圧による潰れやすさの方向依存性があるが、密閉空間に多数の鈴形中空金属球を充填した場合は開孔部の方向がランダムになるので、全体としては潰れやすさの方向依存性は発現せず、どの方向に対しても同等の衝撃吸収能力を発揮できる。
第2発明によれば、衝撃吸収用構造材の内部には、多数の鈴形中空金属球が充満されているから、外部からの衝撃荷重が加わったとき、内部の鈴形中空金属球が少しづつ順々につぶれていくので衝撃吸収用構造材も時間をかけて変形していき、一気につぶれない。このように良好なエネルギー吸収特性を発揮するので、衝撃吸収用構造材の肉厚を薄くすることができ、軽量であり衝撃吸収能力の高い衝撃吸収用構造材を提供できる。
まず、本発明の鈴形中空金属球の実施形態を説明する。図1の(A)図は実施例1の鈴形中空金属球1の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面。図2の(A)図は実施例2の鈴形中空金属球2の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。なお、図3の(A)図は参考例としての鈴形中空金属球3の外観図、(B)図は(A)図のB−B断面である。
図2の(A)、(B)に示す実施例2の鈴形中空金属球2は、球状の隔壁2a に開孔部2bが形成されたものである。この開孔部2bは、2ヵ所の小孔hを細いスリットsでつないだ形状であるが、小孔hは円形ではなく細い菱形孔である。
本発明の開孔部は上記実施例1,2に例示したもの以外に、これらに類似する形状であってもよい。
なお、図3の(A)、(B)に示す参考例としての鈴形中空金属球3は、球状の隔壁3aに開孔部3bが形成されたものである。この開孔部3bは2ヵ所の小孔hからなり、2ヵ所の小孔は中心対称の位置にあいた円形のものである。
図4は、実施例1の鈴形中空金属球を、中空な衝撃吸収用構造材5の内部に充填したものである。本図で示すように、たくさんの鈴形中空金属球1の開孔部1bはランダムな方向に向いている。これら鈴形中空金属球1は、互いに接着材料や拡散接合により接合されていてもよく、接合しないでバラバラで用いてもよい。
加工前のブランクbは、概ね楕円形の金属板である。この楕円形のブランク形状は、球の展開図から有効と考えられたものである。
ブランクbとしての金属の材質は、加工に耐える延性や衝撃加圧時の変形特性から選択すればよく、たとえば、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板などが好ましく用いられる。ブランクbの厚さも上記と同様の観点から選択され、材料や与えるべき変形特性によって変るが、たとえば0.05〜0.3mmのものが好ましい。
本発明の鈴形中空金属球に係る製法は、基本的には深絞り工程と口閉め工程と仕上げ工程とからなる。以下に三つの製法を説明するが、上記工程を含む限り以下の三つの製法に限定されるものではない。
図6は第1の製法を示し、直径5mmの鈴形中空金属球をつくる製造工程を示している。工程は3段階に分けられ、深絞り工程I、口閉め工程II、仕上げ工程IIIとからなる。
前記深絞り工程Iでは、平板のブランクbが短軸方向の両縁部を曲げると共に、長軸方向の両端部を立ち上げたチューリップ状のチューリップ状成形体b1に形成されている。このチューリップ状成形体b1を口閉め装置20のダイ21上に置き、パンチ24のピン25を成形体b1の両端部の間に挿入し、さらに加圧していく。この加圧によって、口閉めガイド26が成形体b1の両端部を互いに接近させ、さらなる加工により、成形体bの全縁が互いに接近して壺形状の壺形成形体b2に形成する。この口閉め工程で材料の座屈を避けるために、口閉め工程IIを2段階に分けて行うなどの工夫も、場合によって必要とされる。
前記口閉め工程IIで形成された壺形成形体b2は下ダイ31の上に置かれ、上ダイ34を加圧していくと、壺形成形体b2は球形に成形される。このとき、壺形成形体b2の形状により、上下金型間への噛み込みやしわなどが発生しやすくなるが、初期のブランク形状を適正にすることにより、これらの欠点を防止することができる。
図7は第2の製法を示し、直径5mm鈴形中空金属球をつくる製造工程を示している。工程は3段階に分けられ、深絞り工程I、口閉め工程II、仕上げ工程IIIとからなる。
ダイ42は内径5mmの孔45を有し、孔45の上端部はアール45rが付けられている。パンチ43は直径4.8mmで先端は半球状になっている。しわ押え44は内径5.2mmの孔46があいたフランジ状部材である。ダイ42は固定され、パンチ43としわ押え44は油圧等で駆動される。
ダイ42の孔45の上にブランクb中央部をのせ、しわ押え44でブランクbをダイ42上に固定する。ついでパンチ43で、ブランクbがしわ押え44から抜けるまで加圧する。
前記深絞り工程Iでは、平板のブランクbが短軸方向の両縁部を曲げると共に、長軸方向の両端部を立ち上げたチューリップ状のチューリップ状成形体b1に形成されている。このチューリップ状成形体b1を口閉め装置のダイ51上に置き、パンチ54のピンを成形体b1の両端部の間に挿入し、さらに加圧していく。この加圧によって、口閉めガイド56が成形体b1の両端部を互いに接近させる。この加工により、成形体b1の全縁が互いに接近して壺形状の壺形成形体b2に形成する。
この口閉め工程では材料の座屈を避けるために、口閉め工程IIを2段階に分けて行うなどの工夫も必要とされる。
前記口閉め工程IIで形成された壺形成形体b2は下ダイ61の上に置かれ、上ダイ64を加圧していくと、壺形成形体b2は球形に成形される。壺形成形体b2から球形への成形は座屈は生じないので、工程は一度でよい。
この第2の製法によっても、寸法や形状が高精度に仕上がった真球に近い球体であって、隔壁に開孔部が残る実施例1,2の鈴形中空金属球が得られる。
図8は第3の製法を示している。工程は3段階に分けられ、深絞り工程I、口閉め工程II、仕上げ工程IIIとなるが、深絞り工程Iは、前記第1の製法または第2の製法を用いてよい。そして、本製法では口閉め工程と仕上げ工程は、口閉め仕上装置70により同時に行われる。
下ダイ71は上面に半球状の凹所72を形成している。上ダイ74は下面に半球状の凹所75を形成している。ブランクホルダ76はチューリップ状成形体b1を保持する孔77を有しており、スプリング78で支えられている。前記孔77は垂直な壁面を有することによって、加圧時における成形体b1の噛み込みや座屈を防止することができる。
この第3の製法によっても、寸法や形状が高精度に仕上がった真球に近い球体であって、隔壁に開孔部が残る実施例1,2の鈴形中空金属球が得られる。
図9(A)において、80はバルジ加工法の金型であって、二つ割りの上型81と下型82とからなる。各型81、82には半球形のキャビティ83と円筒状の保持部84が形成されている。この金型内へ金属製の筒状部材Pを挿入する。そして、ゴム材85を筒状部材P内に入れ、その両端からパンチ86、87で軸方向に加圧する。こうすると、キャビティ83に面した部分が半径方向外側に膨張し、球形部分ができあがる。
つぎに、同図(C)に示すように、金型から取り出した中空部材は球状部3’と筒状部4’が交互につながっているので筒状部4を切断すると、孔hが二つ中心対称にあいた球体が作られる。
図10および図11に示す実験では、実施例1〜3と比較例1を用意した。
(実施例1)
実施例1は、図1の鈴形中空金属球1であって、成形体密度が0.657g/cm3である。用いたブランクbは厚さ0.1mm、長軸hが13.5mm、短軸wが7.5mmの鋼製薄板であり、後記する実施例2の楕円ブランクを基本に、曲率半径R2を大きくして形状を直線に近づけ、同時に長軸を伸ばした形状とした。図10の中央に写真を示す。
(実施例2)
実施例2は、図2の鈴形中空金属球2であって、成形体密度が0.716g/cm3である。用いたブランクbは厚さ0.1mm、長軸hが12.5mm、短軸wが7.5mmの鋼製薄板であり、楕円形状である。図10の左側に写真を示す。
(実施例3)
実施例3は、図10の右側に示す中空金属球であって、成形体密度が0.71g/cm3である。用いたブランクbは厚さ0.1mm、長軸hが13mm、短軸wが7.5mmの鋼製薄板であり、開孔部の小さな球を実現するため曲率半径R2の小さな形状とした。
(比較例1)
比較例1の球は、金属粉末から焼結法により作成された球であって、開孔部が形成されておらず、球形に密閉された中空金属球である。中空球の比重は0.51g/cm3である。
実施例1〜3および比較例1の夫々の中空金属球を円筒状の缶に多数充填し、同一条件で圧縮強度の測定をした。結果を図11に示す。
つぎに方向依存性の有無を確認する実験を行った。
実施例2の鈴形中空金属球2に対して図12の(A)に示すように3方向で圧縮試験を行った。h方向はスリットsを上下から圧縮する方向。w1方向はスリットsへ長手方向に直交する方向で横から圧縮する方向、w2はスリットsの長手方向に沿って圧縮する方向である。
h方向、w1方向およびw2方向のいずれも、圧縮率の増加につれて徐々に荷重が増えており、基本的な傾向は三方向で同じである。ただし、圧縮比が0.6〜0.9位の範囲では、h方向の荷重が高く、w1方向の荷重が中間で、w2方向の圧縮が最も低い荷重となるが、これはスリットsの長さ方向に沿うので変形しやすいからと考えられる。
したがって、圧縮比が0.6〜0.9の範囲では、多少の方向依存性を示すことが分る。
5 衝撃吸収用構造材
10 深絞り装置
20 口閉め装置
30 仕上げ装置
40 深絞り装置
50 口閉め装置
60 仕上げ装置
70 口閉仕上装置
b ブランク
b1 チューリップ状成形体
b2 壺形成形体
Claims (2)
- 加圧によって徐々に潰れていく衝撃吸収用の金属球であって、
金属薄板を湾曲させて球状の隔壁に形成して得た中空の球体であり、
前記隔壁には開孔部が形成されており、
該開孔部が、2ヵ所の小孔と、それらをつなぐスリットとからなる
ことを特徴とする衝撃吸収用の鈴形中空金属球。 - 中空構造体に請求項1の鈴形中空金属球を充填した
ことを特徴とする衝撃吸収用構造材。
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| JP2008162841A JP4742375B2 (ja) | 2008-06-23 | 2008-06-23 | 衝撃吸収用の鈴形中空金属球および衝撃吸収用構造材 |
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