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JP4694065B2 - 石綿の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石綿の処理方法に関するものであり、さらに詳しくは、被処理物質を廃棄することなく、大量のエネルギーを消費することなく、クリソタイルへ再結晶化の可能性のあるフォルステライトなど水と反応し易い物質を生成することがなく、かつ処理された生成物が安定で再利用可能となる石綿の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物の処理、中でも多量に発生する建設廃材の処分方法が問題となっている。その中には石綿を含む廃材も含まれている。石綿は健康に対する影響が指摘されて以来、使用量は減少しつつあるものの現存する建築物にはなお大量に使用されており、その廃棄処理に関する問題は今後ますます大きくなっていくものと予想される。
【0003】
従来の石綿の処理方法として、石綿スレートなどの石綿セメント製品はそのまま土中に埋設する方法がとられ、吹き付け石綿や含石綿保温材については石綿が飛散しないようセメントで固化したのち埋め立てる方法あるいは1500℃以上の高温で溶融しガラス化した後廃棄される方法が採用されている。しかし地域環境の問題上、埋立地の不足から、これらの方法は今後困難になっていくと予想される。従って、石綿廃棄物を非石綿化して人体に対して無害な物質へと変換させ、処理生成物を有効利用する方法が求められている。
【0004】
これまでにも石綿の処理方法および処理生成物の再利用法はいくつか提案されている。例えば特開平3-60789号公報には、天然アスベストに対して、SiO2よりもCaOの含有量が多い水処理汚泥を塩基度調整剤として混合し、その混合物を成型処理し、その成型混合物を炭素系可燃物質で成型した高温炉床に供給して加熱溶融するアスベストの溶融処理法が開示されている。これは石綿を他の廃棄物と共に溶融処理し廃棄する方法である。
特開平3-4980号公報には、石綿と炭素系固形燃料とを主体とし、必要によりこれらの結合剤および/または酸化剤を添加すると共に、所望によりさらに石綿を低融点化させる塩基性無機固体を添加して混合し、得られた混合物を造粒し、空気を送り込みながらこの混合物を燃焼させて針状石綿を溶融し焼結化することを特徴とする石綿溶融固結化処理方法が開示されている。
また、特開平3-21387号公報には石綿をリン酸で処理するとともに焼成し、更に、これに炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウム等のアルカリ剤を加えて、焼成することを特徴とする廃棄石綿の無害化処理方法が開示されている。この方法によれば、石綿製パッキン等の石綿廃棄物を無害化して肥料等として使用することができる旨開示されている。
焼成法として特開平5-293457号公報には石綿セメント製品を600〜1450℃で15分〜2時間程度加熱処理し、石綿をフォルステライト等に分解させ無害化するととともに、水硬性粉体を得る石綿処理方法が開示されている。
また特開平6-134438号公報には廃アスベスト材にアルミニウム精錬時の副生精錬灰をMgO・2CaO・5SiO2・5/3Al2O3の組成に近似するよう添加し、800℃以上で焼成することを特徴とする廃アスベスト材の処理方法が開示されている。さらにその処理生成物にシャモットを添加して成形物を成形し、乾燥した後、1230℃以上で焼成して窯業製品を製造することができる旨開示されている。
さらに特開平9-206726号公報にはアスベスト含有物と都市ゴミ焼却灰の混合物を600℃から1700℃の温度範囲で加熱し、クリソタイルをゲーレナイトおよび/またはアケルマナイト、フォルステライト、クリストバライトを含む固溶体へと変化させることによってアスベストの無害化を行なうことを特徴とする廃棄石綿の無害化処理方法が開示されている。この方法によれば、得られた反応焼結体は吸着剤または、タイル、レンガ、セメント充填材等の建築材料として使用することができる旨開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように石綿処理にはいくつかの方法が実施あるいは提案されているが、従来の埋め立てによる方法は地域環境の問題上、埋立地の不足が顕在化しており今後ますます困難になっていくと予想される。また、石綿含有物を溶融して処理する方法は一般的に1500℃程度の高温での処理が必要であり、大量のエネルギーを消費する。従って省エネルギーの観点から適切とは言い難い。一方、再利用を目的とした比較的低温での焼成法による石綿処理方法では、フォルステライト(Mg2SiO4)の混入が示されている。フォルステライト自体は地球上で最も一般的に存在する鉱物のひとつであり、人体に対し無害である。しかしフォルステライト等、自然界で一般に高温で生成する鉱物はその結晶構造から水に対する抵抗力が弱く、水と反応し易いことが知られている。元来石綿の大部分を占めるクリソタイル(Mg3Si2O5(OH)4)は、フォルステライトを主体とするかんらん岩などが地下深部から固体状態で上昇する際に、途中で周りの地下水などの水と反応し、蛇紋岩化した岩体中に脈状に生成すると言われている。さらにMgO―SiO2―H2O系の合成実験の結果から(N. L. Bowen and O. F. Tuttle, Bull. Geol. Soc. Am., Vol.60, 439-460, (1949)、J. J. Hemley, J. W. Montoya, D. R. Shaw, R. W. Luce, Amer. J. Sci., Vol. 277, 358-383, (1977)参照)、クリソタイルは500℃以下で生成することが明らかにされており、フォルステライトと水の反応では400℃以下で生成する。また、クリソタイルの合成は200℃でも可能であるとの報告もある(E. T. Carlson, R. B. Peppler and L. S. Well, J. Res. Natl. Bur. Stand., Vol.51, 179-184, (1953))。従って、フォルステライトを含む石綿処理生成物を、水を使用して製造するセメント系あるいはケイ酸カルシウム系建築材料に再利用する場合、特に硬化促進のためオートクレーブ処理をおこなうとフォルステライトがクリソタイルに再結晶化するおそれがある。
【0006】
したがって本発明の目的は、被処理物質を廃棄することなく、大量のエネルギーを消費することなく、クリソタイルへ再結晶化の可能性のあるフォルステライトなど水と反応し易い物質を生成することがなく、かつ処理された生成物が安定で再利用可能となる石綿の処理方法の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石綿および/または石綿含有物からなる被処理物質を加熱処理することにより、前記被処理物質中の石綿を非石綿物質に変換する処理方法であって、前記被処理物質に、Siを含む物質である非晶質沈降性シリカ、珪石、珪藻土、廃ガラスおよびシリカヒューム;Caを含む物質である生石灰、消石灰、石灰石および廃貝殻焼却灰;Alを含む物質である酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびボーキサイト;並びにSi、CaおよびAlのうち2種類以上含む物質であるゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰、凝灰岩、シラス、コンクリート廃材、生コンスラッジ、フライアッシュ、廃土、廃タイル、粘土およびケイ酸カルシウム製品廃材からなる群から選択される1種以上の物質を、下記条件を満たすように添加し混合し、得られた混合物をボールミル、振動ミルおよびジェットミルからなる群から選択されるミルで微粉砕し、易反応性とした後、400℃〜1200℃でX線回折にて石綿の回折ピークが消失し、Ca−Mgケイ酸塩の回折ピークが認められるまで加熱処理することを特徴とする石綿の処理方法を提供するものである。
添加条件:
前記混合物におけるMgとSiのモル比をMg/Si≦0.5に、かつCaとSiのモル比を0.5≦Ca/Si≦2.0に調整する。ただしこのときモル比においてCa/Si≧1.3であればAl質量%≧((Ca/Si)×0.357−0.464)×100となるようにAlを含む物質を添加する
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに説明する。
本発明の処理方法は、石綿および/または石綿含有物からなる被処理物質を、特定の範囲の化学組成になるように調整し、特定条件でもって加熱処理し、石綿を非石綿物質、例えばCaO−MgO−SiO系化合物、CaO−MgO−Al−SiO系化合物等に非石綿化することを特徴としている。
前記の特定の範囲の化学組成は、被処理物質に、Siを含む物質である非晶質沈降性シリカ、珪石、珪藻土、廃ガラスおよびシリカヒューム;Caを含む物質である生石灰、消石灰、石灰石および廃貝殻焼却灰;Alを含む物質である酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびボーキサイト;並びにSi、CaおよびAlのうち2種類以上含む物質であるゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰、凝灰岩、シラス、コンクリート廃材、生コンスラッジ、フライアッシュ、廃土、廃タイル、粘土およびケイ酸カルシウム製品廃材からなる群から選択される1種以上の物質を下記添加条件でもって添加することにより調整される。
すなわち、前記添加条件は、被処理物質と、Siを含む物質、Caを含む物質、Alを含む物質、Si、CaおよびAlのうち2種類以上含む物質との混合物におけるMgとSiのモル比(Mg/Siモル比)をMg/Si≦0.5に、かつCaとSiのモル比(Ca/Siモル比)を0.5≦Ca/Si≦2.0に調整するというものである。ただしこのときモル比においてCa/Si≧1.3であればAl質量%≧((Ca/Si)×0.357−0.464)×100となるように前記Alを含む物質を添加する必要がある。
【0009】
本発明の処理方法における石綿および/または石綿含有物からなる被処理物質としては、例えば吹き付け石綿、含石綿保温材、石綿スレート、含石綿パルプセメント板、石綿パイプ等の石綿セメント製品、ジョイントシート石綿布、石綿ロープ、摩擦材などの石綿製品あるいはビニールアスベストタイルのような石綿―有機物複合体の廃棄物等が挙げられる。なお、これらの被処理物質の化学組成は石綿ロープなどの石綿製品ならばCa分はほとんど含まれず、Mg/Siモル比が0.5超であるため加熱処理すると石綿はフォルステライトへと変化する。吹き付け石綿のような石綿セメント製品も石綿含有量が多いため通常Mg/Siモル比が0.5超であり、加熱処理すると石綿はフォルステライトへと変化する。また、石綿スレートなどの石綿セメント製品は通常Mg/Siモル比が0.5超であるか、あるいはCa/Siモル比が2.0超である。
【0010】
本発明の処理方法で使用されるSiを含む物質は、例えば非晶質沈降性シリカ、珪石、珪藻土、廃ガラス、シリカヒューム等が挙げられる。
また、Caを含む物質は、生石灰、消石灰、石灰石、廃貝殻焼却灰等が挙げられる。
また、Alを含む物質は、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ボーキサイト等が挙げられる。
さらに、ゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰、凝灰岩、シラス、コンクリート廃材、生コンスラッジ、フライアッシュ、廃土、廃タイル、粘土、ケイ酸カルシウム製品廃材等、Si、CaおよびAlのうち2種類以上を含む物質も同様に使用できる
【0011】
加熱処理における加熱温度は前述のように400℃〜1200℃であるが、好ましくは600℃〜1200℃、より好ましくは600℃〜1000℃である。加熱温度が400℃より低い場合、石綿は長時間の処理でも完全には脱水分解することなく残存してしまう。また1200℃より高い場合は、高温処理となるばかりでなく、部分的に溶融するため非晶質物質が生成するおそれがある。さらにこれを再利用するためには再粉砕の必要が生じるため、省エネルギーの観点から好ましくない。なお、加熱処理は、X線回折にて石綿の回折ピークが消失し、Ca−Mgケイ酸塩の回折ピークが認められるようになるまで行なう必要がある。すなわち処理時間が高ければ処理時間は短くて済むし、処理温度が低ければ処理時間を長くしなければならない。例えば加熱処理温度900℃または1000℃、加熱処理時間が1時間の場合、石綿のX線回折ピークは消失しCa−Mgケイ酸塩の回折ピークが出現するが、加熱処理温度が600℃の場合、加熱処理時間が1時間であると、石綿の回折ピークは認められなくなるもののCa−Mgケイ酸塩の回折ピークが認められないため、さらに加熱処理を継続する必要がある。なお、加熱処理前には、混合物をボールミル、振動ミル、ジェットミル等で微粉砕し、易反応性とする。
【0012】
このような本発明の処理方法によれば、石綿は水に対して不安定なフォルステライトやエンスタタイト(MgSiO3)などのMgO−SiO2系化合物、MgO、Ca2SiO4および非晶質物質ではなく、安定なCa―Mgケイ酸塩の非石綿物質へと変換される。なお、安定なCa―Mgケイ酸塩とは、CaO−MgO−SiO2系化合物、CaO−MgO−Al2O3−SiO2系化合物等であり、具体的にはディオプサイド(CaMgSi2O6)、ワラストナイト(CaSiO3)、ゲーレナイト(Ca2Al2SiO7)―オケルマナイト(Ca2MgSi2O7)固溶体、メルウィナイト(Ca3MgSi2O8)が挙げられる。なお、前記のうちどの化合物に変換されるかは、被処理物質のMg/Siモル比およびCa/Siモル比に依存する。
なお、Ca/Siのモル比が1.3以上であると処理生成物中に遊離MgOおよびCa2SiO4など水との易反応性物質が存在する場合がある。そのときはAl2O3質量%≧((Ca/Si)×0.357-0.464)×100となるようにAlを含む物質を添加し処理し、ゲーレナイト―オケルマナイト固溶体とすると安定化が可能である。
【0013】
なお、石綿としてFe2O3成分を含有するアモサイトが含まれている場合、処理生成物中には上記Ca―Mgケイ酸塩の他にディオプサイド―ヘデンバージャイト(CaFeSi2O6)固溶体およびオケルマナイト−Feオケルマナイト(Ca2FeSi2O7)固溶体が生成する。これらも安定化された非石綿物質である。
【0014】
【作用】
本発明の処理方法は、クリソタイル石綿、およびアモサイトやクロシドライト等の角閃石系石綿のいずれの石綿に対しても有効であるが、とくにクリソタイルに有効である。これら石綿は繊維状を呈する含水ケイ酸塩鉱物であり、加熱処理による脱水にともない結晶構造が破壊され他の物質へと変化する。例えば石綿廃棄物中の石綿の大部分を占めるクリソタイルは含水Mgケイ酸塩であり、加熱処理すると400〜600℃で脱水分解をはじめ、さらに高温では非晶質相を経てフォルステライトとエンスタタイトのMgO−SiO系化合物へと分解することがよく知られている。しかし、前述したように石綿廃棄物の加熱処理物中にフォルステライト等のMgO−SiO系化合物が含まれていると、例えばセメント製品の充填材として再利用する場合、特に硬化促進のためオートクレーブ養生したとき、水との反応により、再クリソタイル化する恐れがある。
そこで本発明者らは、鋭意検討を行った結果、石綿および/または石綿含有物からなる被処理物質に、Siを含む物質、Caを含む物質Alを含む物質、およびSi、CaおよびAlのうち2種類以上含む物質から選択される1種以上の物質を、前記条件を満たすように添加し混合し、得られた混合物をボールミル、振動ミルおよびジェットミルからなる群から選択されるミルで微粉砕し、易反応性とした後、400℃〜1200℃でX線回折にて石綿の回折ピークが消失し、Ca−Mgケイ酸塩の回折ピークが認められるまで加熱処理することにより、本発明の目的が達成されることを見出した。
本発明の処理方法により処理された生成物は、石綿および/または石綿含有物からなる被処理物質が非石綿物質に変換されたものであり、MgO−SiO系化合物、MgOおよびCaSiOを含まず、例えば建築材料、具体的には繊維強化セメント板の充填材として利用することができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明する。
(実施例1)
約20質量%のクリソタイルを含む石綿セメント板を鉄製乳鉢にて粗粉砕し、非晶質沈降性シリカをMg/Siモル比が0.23、 Ca/Siモル比が0.51となるよう乾式混合した。このとき、Al2O3の含有量は7.7質量%であった。その混合物をさらに遊星回転ボールミルにて30分間混合および微粉砕した後、1000℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相は水との反応性がないディオプサイドとワラストナイトであり、これらは例えば繊維強化セメント板の骨材として再利用可能である。
【0016】
(実施例2)
実施例1と同様の石綿セメント板を鉄製乳鉢にて粗粉砕し、非晶質沈降性シリカをMg/Siモル比を0.48, Ca/Siモル比を1.09となるよう乾式混合した。その混合物をさらに遊星回転ボールミルにて30分間混合および微粉砕した後、1000℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相は水と反応しないオケルマナイトであり、これらは例えば繊維強化セメント板の骨材として再利用可能である。
【0017】
(実施例3)
石綿含有量が不明な市販の石綿セメント板をジョークラシャーで大割りし、ハンマーミルおよび奈良式自由粉砕機で粗粉砕し、非晶質沈降性シリカをMg/Siモル比を0.1、 Ca/Siモル比を1.06となるよう乾式混合した。このとき、Al2O3の含有量は6.7質量%であった。その混合物をさらに振動ミルにて30分間混合および微粉砕した後、900℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相は水と反応しないオケルマナイトとワラストナイトであった。
次に上記処理粉体に対し、5質量%のパルプを添加し、水を水/粉体重量比が8となるよう加え、混合、撹拌したのち半径80mm×高さ5mmの寸法に12.1MPaのプレス圧で成型した。成型されたグリーンシートを相対湿度100%の湿気箱中(80℃)で20時間養生し、次に60℃で24時間乾燥した。得られた試験体を40×130×5mmの寸法に切断し物性を求めたところ、嵩密度は1.10g/cm3であり、曲げ強度は0.9N/mm2であった。このように本発明の生成物は養生後の強度発現が認められないことから、水硬性を有さず安定な化合物であることが確認された。上記処理粉体の代わりに普通ポルトランドセメントを使用して、同様な方法で作製した試験体の嵩密度は1.77g/cm3であり、曲げ強度は24.6N/mm2であった。また、上記処理粉体を15質量%、普通ポルトランドセメントを85質量%の割合で混合し、同様な方法で作製した試験体の嵩密度は1.61g/cm3であり、曲げ強度は20.8N/mm2であった。また、嵩密度を1.77g/cm3に換算した密度換算曲げ強度(換算式:密度換算曲げ強度=20.8N/mm2×(1.77g/cm32/(1.61g/cm32)は25.1N/mm2であり、普通ポルトランドセメントのみを使用した場合とほぼ同等であった。このことは処理粉体の嵩密度が低く、試験体の嵩密度を低減できることを示している。したがって、本発明の処理方法より得られた生成物は、繊維強化セメント板の嵩密度低減のための充填材として使用できる。
【0018】
(実施例4)
実施例3と同様の石綿セメント板粗粉砕物と非晶質沈降性シリカを乾式混合し、系全体の組成をMg/Siモル比=0.28、 Ca/Siモル比=1.77とした。ただしこのとき、Al2O3含有量が3.9質量%であったので、さらに水酸化アルミニウムを乾式混合し、Al2O3含有量を27.8質量%とした。その混合物をさらに振動ミルにて30分間混合および微粉砕した後、1000℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相は水と反応しないゲーレナイトであった。
【0019】
(実施例5)
アモサイトを含む石綿吹き付け製品と非晶質沈降性シリカを乾式混合し、系全体の組成をMg/Siモル比=0.13、 Ca/Siモル比=0.63とした。このとき、Al2O3の含有量は2.5質量%であった。その混合物をさらに振動ミルにて30分間混合および微粉砕した後、1000℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、アモサイトの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相は水と反応しないワラストナイト、ディオプサイド−ヘデンバージャイト固溶体であった。
【0020】
(比較例1)
含石綿波板廃棄物を組成分析したところ、Mg/Siモル比=0.34、 Ca/Siモル比=1.89であった。このとき、Al2O3の含有量は5.2質量%であった。その混合物をさらに振動ミルにて30分間混合および微粉砕した後、1000℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相としてはメルウィナイトの他、水と反応するMgOおよびβ−Ca2SiO4が生成していた。これらの化合物は、オートクレーブ養生によりクリソタイルとして再結晶化する。
【0021】
(比較例2)
クリソタイルを含む石綿吹き付け製品に非晶質沈降性シリカを乾式混合し、系全体の組成をMg/Siモル比=0.65、 Ca/Siモル比=0.58とした。このとき、Al2O3の含有量は3.5質量%であった。その混合物をさらに振動ミルにて30分間混合および微粉砕した後、1000℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。ただし主構成相としてはオケルマナイトとディオプサイドの他、水と反応するフォルステライトが生成していた。これを繊維補強ケイ酸カルシウム板の添加材として使用し、200℃で24時間オートクレーブ養生した後、X線回折により生成物を同定したところ、クリソタイルの生成が認められた。
【0022】
(比較例3)
実施例3と同様の石綿セメント板粗粉砕物と非晶質沈降性シリカを乾式混合し、系全体の組成をMg/Siモル比=0.34、 Ca/Siモル比=2.12とした。また、水酸化アルミニウムを乾式混合し、Al2O3含有量を27.2質量%とした。その混合物をさらに振動ミルにて30分間混合および微粉砕した後、900℃で1時間加熱処理した。処理生成物の構成相をX線回折により同定したところ、クリソタイルの回折ピークは認められず、非石綿化されていた。主構成相としてはゲーレナイトの他、水と反応するMgOおよびβ−Ca2SiO4が生成していた。これらの化合物は、オートクレーブ養生によりクリソタイルとして再結晶化する。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、被処理物質を廃棄することなく、大量のエネルギーを消費することなく、クリソタイルへ再結晶化の可能性のあるフォルステライトなど水と反応し易い物質を生成することがなく、かつ処理された生成物が安定で再利用可能となる石綿の処理方法が提供される。

Claims (1)

  1. 石綿および/または石綿含有物からなる被処理物質を加熱処理することにより、前記被処理物質中の石綿を非石綿物質に変換する処理方法であって、前記被処理物質に、Siを含む物質である非晶質沈降性シリカ、珪石、珪藻土、廃ガラスおよびシリカヒューム;Caを含む物質である生石灰、消石灰、石灰石および廃貝殻焼却灰;Alを含む物質である酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよびボーキサイト;並びにSi、CaおよびAlのうち2種類以上含む物質であるゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰、凝灰岩、シラス、コンクリート廃材、生コンスラッジ、フライアッシュ、廃土、廃タイル、粘土およびケイ酸カルシウム製品廃材からなる群から選択される1種以上の物質を、下記条件を満たすように添加し混合し、得られた混合物をボールミル、振動ミルおよびジェットミルからなる群から選択されるミルで微粉砕し、易反応性とした後、400℃〜1200℃でX線回折にて石綿の回折ピークが消失し、Ca−Mgケイ酸塩の回折ピークが認められるまで加熱処理することを特徴とする石綿の処理方法。
    添加条件:
    前記混合物におけるMgとSiのモル比をMg/Si≦0.5に、かつCaとSiのモル比を0.5≦Ca/Si≦2.0に調整する。ただしこのときモル比においてCa/Si≧1.3であればAl質量%≧((Ca/Si)×0.357−0.464)×100となるようにAlを含む物質を添加する。
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