JP4680361B2 - 分離・回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体に由来する細胞等の特定成分を、選択性良く分離することができる分離材を用い、体液等の溶液中から、特定成分を効率良く選択的に分離し、回収することができる分離・回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療用材料の研究において、ホスホリルコリン基含有重合体は、生体膜に由来するリン脂質類似構造に起因して、血液適合性、補体活性、生体物質非吸着性等の特性を有していることが明らかにされ、こうした機能を利用した生体関連材料の開発が盛んに行われている。例えば、特開昭54−36025号公報には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと略す)の製造方法と、得られる重合体が優れた生体適合性を有することが、特開平3−39309号公報には、MPCとメタクリル酸エステルとの共重合体が血小板の粘着・凝集や血漿蛋白質の付着が起こりにくく、医療用材料として有用であることが、特開平9−183819号公報には、ホスホリルコリン類似基を側鎖に有する共重合体を用いた医療用材料が、特表平6−502200号公報(WO92/07885)及び特表平7−502053号公報(WO93/01221)には、ホスホリルコリン類似基を有する重合体を樹脂表面にコーティングして、優れた生体適合性が得られることが、それぞれ開示されている。
これらホスホリルコリン類似基を含む共重合体を利用した従来の材料は、いずれも血球細胞や血漿蛋白質等が材料表面に非特異的に吸着することを防止又は抑制するというホスホリルコリン類似基を含む共重合体の作用に基づくものであり、生体に由来する成分と材料表面との相互作用を極力抑える方向で研究が進められている。
ところで、ホスホリルコリン類似基を含む重合体を、生体由来等の特定成分を分離する材料に応用する研究についてはこれまで報告されていない。加えて、ホスホリルコリン類似基を含む重合体を応用することにより、生体由来等の特定成分を選択的に分離しうる作用が得られることも知られていない。
生体由来の成分は、用途によっては生理的な活性を保持したまま高純度で得ることが必要であり、そのような目的を達成しうる簡便な分離方法の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定成分を選択的に分離し、さらにその成分を回収することができる分離・回収方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のホスホリルコリン類似基を少なくとも表面に、特定範囲で有する材料において、該特定のホスホリルコリン類似基の割合等を制御することによって、生体に由来する細胞等の特定成分を選択的に分離する作用を示すことを見出し、更には分離した特定成分を容易に回収しうることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明によれば、式(1)で表される基を少なくとも表面に有する分離材を、特定成分を含む溶液に接触させ、溶液中に含まれる1種類又は複数の特定成分を選択的に分離・回収する方法であって、
前記分離材が、その表面をX線光電子分光分析によって測定したスペクトルにおける、式(1)で表される基に由来するリン元素の量Pと、炭素元素の量Cとの比(P/C)が0.002〜0.3となる量の式(1)で表される基を有し、
前記特定成分が、血球細胞、株細胞及び初代培養細胞からなる群より選択される1種又は2種以上の生体に由来する細胞、免疫グロブリン、又はダイオキシンもしくはその誘導体であることを特徴とする分離・回収方法が提供される。
【化3】
(式中、R 1 、R 2 及びR 3 は同一もしくは異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。nは1〜4の整数である。)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる分離材は、上記式(1)で表される基を少なくとも表面に有する分離材であって、その表面をX線光電子分光分析によって測定したスペクトルにおける、式(1)で表される基に由来するリン元素の量Pと、表面全体における炭素元素の量Cとの比(P/C)が0.002〜0.3となる量の式(1)で表される基を有する分離材である。分離材の選択的分離能を向上させるために、上記P/Cの範囲は0.01〜0.2が好ましい。
ここで、分離材の表面をX線光電子分光分析によって測定する方法としては、後述する実施例に基づいて測定することができる。
【0007】
式(1)中のR1、R2及びR3は、同一もしくは異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
【0008】
式(1)で表される基としては、例えば、式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体に由来する基、式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体に由来する基等が挙げられる。
【化4】
式(2)中、R1、R2及びR3は、式(1)と同じであり、R4は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R5は水素原子又はメチル基を示す。nは1〜4の整数である。
【0009】
式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体としては、例えば、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリシクロヘキシルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリフェニルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート等が挙げられる。
中でも2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、さらにMPCが入手性等の点でより好ましい。
【0010】
式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体は、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54−63025号公報、特開昭58−154591号公報等に示される公知の方法に準じて製造できる。
具体的には、環状リン化合物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを、脱ハロゲン化水素剤のもとで反応させ、次いで、トリメチルアミンを反応させることにより、開環させて目的物を得る方法等が挙げられる。
【0011】
式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体としては、(A)式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体10〜100mol%、(B)疎水性単量体0〜90mol%及び(C)親水性単量体0〜70mol%からなる単量体組成物を重合してなる重合体が好ましく、特に、(A)成分20〜80mol%、(B)成分20〜60mol%及び(C)成分0〜20mol%からなる単量体組成物を重合してなる重合体が望ましい。(A)成分が10mol%未満の場合は、分離材としての性能を発現させることが困難であるので好ましくない。(B)成分を20〜60mol%の範囲で適宜配合することにより、分離材としての性能を安定して発現させることが容易となる。また、(C)成分を20mol%以下配合することにより、得られる重合体の水溶液等に対する親和性を向上させることができる。
【0012】
(B)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の疎水性ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等が挙げられる。これらは単独若しくは混合物として使用できる。
【0013】
(C)成分としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ塩基、トリアルキルホスホニウム塩基及びポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる親水性基を有する単量体等が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸;スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等のイオン性基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独若しくは混合物として使用できる。
【0014】
前記ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体は、前記(A)成分だけからなる単量体組成物、前記(A)成分及び(B)成分からなる単量体組成物、前記(A)成分及び(C)成分からなる単量体組成物、あるいは前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる単量体組成物を重合したものであればよく、通常のラジカル(共)重合により製造することができる。
この重合体の分子量は、重量平均分子量で、5000〜5000000の範囲が好ましく、選択的分離性能を向上させる上で、また各種溶媒に対する重合体の耐溶出性を向上させる上で、100000〜2000000の範囲が特に好ましい。
【0015】
本発明に用いる分離材の調製は、上記(P/C)比が特定範囲となるような方法であれば特に限定されない。例えば、上記式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体等の式(1)で表される基を有する単量体、若しくは上記式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体を用いて、基材の少なくとも表面に化学的に修飾させるか、若しくは基材の表面にコートして乾燥固定させる方法等により得ることができる。
【0016】
前記基材の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の合成樹脂;磁性粉、シリカ、アルミナ、ガラス等の無機物が挙げられる。基材の形態は、特に限定されず、例えば、粉体、粒子、ビーズ、フレーク形状物、シート、フィルム、プレート、ゲル、繊維状物、織布、布織布等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いる分離材を調製するにあたり、前記(P/C)の制御は、後述する分離対象物質である特定成分によって、使用するホスホリルコリン類似基含有単量体、該単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体の種類や、基材の種類及び形状等を適宜選択して行うことができる。
分離対象物質が、赤血球、白血球、血小板の血球細胞の場合は、例えば、前記ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物として、MPCと、ブチルメタクリレート(BMA)、ステアリルメタクリレート(SMA)等の炭素数4〜18のアルキル(メタ)アクリレート、カチオン性基含有単量体とを用い、MPC/(疎水性基含有単量体+カチオン性基含有単量体)のモル比が10/90〜100/0、特に20/80〜90/10となる単量体組成物を用いて重合体を調製し、該重合体を所定の(P/C)比となるように基材に固定することが好ましい。
【0018】
分離対象物質が、リンパ球の分離の場合は、例えば、前記ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物として、MPCと、BMA等のアルキル(メタ)アクリレートとを用い、MPC/疎水性基含有単量体のモル比が10/90〜100/0、特に50/50〜90/10となる単量体組成物を用いて重合体を調製し、該重合体を所定の(P/C)比となるように基材に固定することが好ましい。
【0019】
分離対象物質が、IgG等の免疫グロブリンの場合は、例えば、前記ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物として、MPCと、BMA等のアルキル(メタ)アクリレートとを用い、MPC/疎水性基含有単量体のモル比が10/90〜100/0、特に30/70〜90/10となる単量体組成物を用いて重合体を調製し、該重合体を所定の(P/C)比となるように基材に固定することが好ましい。
【0020】
分離対象物質が、株細胞及び初代培養細胞の場合は、例えば、前記ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物として、MPCと、BMA等のアルキル(メタ)アクリレートとを用い、MPC/疎水性基含有単量体のモル比が10/90〜100/0、特に40/60〜85/15となる単量体組成物を用いて重合体を調製し、該重合体を所定の(P/C)比となるように基材に固定することが好ましい。
【0021】
分離対象物質が、ダイオキシン、その誘導体であるジベンゾフランの場合は、例えば、前記ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物として、MPCと、BMA等のアルキル(メタ)アクリレートとを用い、MPC/疎水性基含有単量体のモル比が10/90〜100/0、特に15/85〜90/10となる単量体組成物を用いて重合体を調製し、該重合体を所定の(P/C)比となるように基材に固定することが好ましい。
【0022】
本発明の分離・回収方法は、上記分離材を、特定成分を含む溶液に接触させ、溶液中に含まれる1種類又は複数の特定成分を選択的に分離・回収する。特定成分を含む溶液と接触させる条件は、分離材表面に選択的に特定成分を付着させることができる条件を、分離対象物質である特定成分の種類等に応じて適宜選択することができる。更に特定成分を付着させた分離材は、洗浄又は溶剤で処理する方法等により、付着している特定成分を分離材表面から剥がして回収することができる。
【0023】
特定成分を含む溶液としては、体液等が挙げられる。ここで、体液とは、動物体内の脈管又は組織・細胞の間を満たす全ての液体、及び体内から体外へ放出又は分泌される液体のことを指し、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、涙液、尿、脊髄液等が挙げられる。
体液以外の溶液としては、例えば、水溶液、有機溶媒を1種類あるいは複数種類含んだ溶液、水溶液と1種類あるいは複数種類の有機溶媒を混合した混合溶液等が挙げられる。具体的には、水、生理的食塩水、リン酸緩衝溶液、生理的リン酸緩衝溶液、培地、アルコール、アセトン、クロロホルム、エーテル、トルエン、アセトニトリル又はこれらの2種以上の混合溶液等が挙げられる。なお、前記溶液には、体液を希釈したものも含まれる。
【0024】
本発明において、分離対象とする特定成分は、血球細胞、株細胞及び初代培養細胞からなる群より選択される1種又は2種以上の生体に由来する細胞、免疫グロブリン、又はダイオキシンもしくはその誘導体である。
【0025】
前記血球細胞としては、赤血球、白血球、血小板又はこれらの混合物等が挙げられ、白血球としては、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球が挙げられる。リンパ球としては、T細胞、B細胞等が挙げられる。血小板としては、血小板の活性化度合い(凝集反応の進行度合い)は特に限定されず、未活性化及び活性化した血小板等が挙げられる。これらの血球細胞の中で特に好ましくは、種々の疾患に際してその数が増減する白血球等が挙げられる。
前記株細胞及び初代培養細胞としては、由来の動物、由来の臓器及び形態は特に限定されず、繊維芽細胞、表皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、神経細胞等が挙げられる。特に好ましくは、ティシュ・エンジニアリング(tissue engineering)等で利用可能な、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、肝細胞等が挙げられる。
【0027】
前記免疫グロブリン(抗体)は、以下の(1)〜(7)が例示できる。
(1)C反応性蛋白質(CRP)、リューマチ因子(RF)、トランスフェリン等の血漿蛋白質又はこれら血漿蛋白質に対する抗体、
(2)卵胞ホルモン、黄体ホルモン、男性ホルモン、インシュリン、グルカゴン、性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン等、更に好ましくは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)、チロキシン結合蛋白質(TBG)、サイログロブリン、インスリン、エストリオール(E3)、絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヒト胎盤性ラクトーゲン(HPL)等のホルモンに対する抗体、
(3)癌胎児性抗原(CEA)、β2−マイクログロブリン、α−フェトプロテイン(AFP)等の腫瘍関連物質に対する抗体、
(4)HBS抗体、HBe抗体等のウィルス肝炎の抗体、
(5)ムンプス、ヘルペス、麻疹、風疹、サイトメガロ等のウィルス、抗エイズ抗体等の各種生体成分に対する抗体、
(6)フェノバルビタール、アセトアミノフェン、サリチル酸、シクロスポリン等の各種薬剤に対する抗体、
(7)酵素に対する抗体。
ただし、前記抗体はFabフラグメント、F(ab)'2フラグメント、又は還元型抗体であってもよい。前記(1)〜(7)のうち、特に好ましくは、種々の疾患に際してその量が増減し、診断あるいは治療にも利用することが可能である抗体が挙げられる。
【0028】
【発明の効果】
本発明に用いる分離材は、少なくとも表面に、特定のホスホリルコリン類似構造を有する基を、リン元素と炭素元素との割合を特定とする範囲で含まれるので、広範囲に及ぶ特定成分を選択的に分離することができ、本発明の方法では、この分離材を用いるので、特定成分を選択的に分離・回収することが可能である。すなわち、目的とする特定成分を選択的に効率よく、他の成分から分離することで、目的成分以外の成分の混入を極力抑えることができ、さらに分離した成分を回収することで、回収した成分を別の用途に応用することが可能となる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の分離材表面のX線光電子分光分析による測定は、以下の方法に基づいて行った。
<分離材表面のX線光電子分光分析の測定方法>
X線光電子分光分析機(商品名「ESCA−3300」、島津製作所社製)を用いて、分離材表面に対して、X線の照射角が90°のときの、各元素のスペクトルを測定し、リン元素及び炭素元素の各ピーク面積を求め、以下の式によりリン元素の量P/炭素元素の量C(P/C)を算出した。
P/C=Ap/Ac
ただし、Ap:リン元素のピーク面積、Ac:炭素元素のピーク面積とする。
【0030】
合成例1
MPC 35.7g及びn−ブチルメタクリレート(以下、BMAと略記する)4.3g(単量体組成モル比:MPC/BMA=80/20)をエタノール160gに溶解して4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後、60℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル0.82gを加えて8時間重合反応させた。得られた重合液を3リットルのジエチルエーテル中に攪拌しながら滴下し、析出した沈澱を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末29.6gを得た。得られた粉末をGPCにより評価したところ、重量平均分子量は153000であった。この粉末を共重合体(A)とする。
【0031】
合成例2〜4
単量体の種類、組成比及び溶媒種を表1に示すとおりに代えた以外は、合成例1と同様の操作により粉末を得、分子量を測定した。結果を表1に示す。なお、合成例2で調製した粉末を共重合体(B)、合成例3で調製した粉末を共重合体(C)、合成例4で調製した粉末を共重合体(D)とする。また、表1中のSMAはステアリルメタクリレート、QAは2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例1:白血球の分離
<分離材の調製>
合成例1により合成した共重合体(A)0.5gを、エタノール100mLに溶解し、共重合体溶液を調製した。次いで、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)製のシートをφ13mmの大きさの円形に切り抜いた円形シートを、上記共重合体溶液中に静かに浸漬させてから引き上げ、そのまま室温で1時間乾燥させた。さらに、乾燥器内で60℃まで昇温し、そのままの温度で減圧下16時間乾燥させることにより、ディスク形状の分離材を調製した。
得られた分離材表面のX線光電子分光分析の測定を行い、P/Cの値を求めた。結果を表2に示す。
【0034】
<選択的分離操作>
ウサギから採取した新鮮血10mLにハンクス緩衝液10mLを加えて1/2に希釈することで、血球成分を選択的に分離するために用いる希釈血を調製した。
次に、上記で調製したディスク形状の分離材を、24穴プレートに1枚/ウェルずつセットし、3mLのろ過滅菌した蒸留水を加えて1時間湿潤させた。アスピレータで蒸留水を除去し、3mLのハンクス緩衝液を加えて溶媒置換した後、これを完全に除去した。
次いで、上記で調製した希釈血を、この24穴プレートに700μL/ウェルずつ加えて、25℃で6時間静置した。続いて、24穴プレートから分離材を取り出し、37℃に加温したDulbecco−リン酸緩衝生理食塩水を満たしたシャーレ中に浸してリンスした。この操作を2回繰り返した。その後、シャーレに満たした10%中性緩衝ホルマリン液中で5分間、さらに、2.5%グルタルアルデヒド水溶液中で1時間固定化処理した。取り出した分離材は蒸留水で十分に洗った後、25℃で10時間風乾し、さらに減圧下で16時間乾燥させた。
以上の操作を行った分離材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、単位面積あたりの表面に付着している各血球が占める面積の割合(占有率%)を計算した。結果を表2に示す。
【0035】
比較例1
実施例1で調製したディスク形状を有する分離材の代わりに、何も処理していないφ13mmのPET製円形シートを用いた以外は、実施例1と同様の方法で選択的分離を行い、分離材表面をSEMで観察し、各血球が占める面積の割合(占有率%)を計算した。結果を表2に示す。
【0036】
実施例2:赤血球の分離
実施例1において、共重合体(A)の代わりに合成例2により合成した共重合体(B)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で選択分離を行い、分離材表面をSEMで観察し、各血球が占める面積の割合(占有率%)を計算した。結果を表2に示す。
【0037】
実施例3:白血球の分離
実施例1において、共重合体(A)の代わりに合成例3により合成した共重合体(C)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で選択分離を行い、分離材表面をSEMで観察し、各血球が占める面積の割合(占有率%)を計算した。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2の結果より、実施例1及び実施例3で調製した分離材は、希釈血中に含まれる赤血球、白血球、血小板のうち、白血球だけを選択的に分離材表面の約1割程度の範囲に付着させうることが確認できた。また実施例2で調製した分離材は、希釈血中に含まれる赤血球、白血球、血小板のうち、赤血球だけを選択的に分離材表面の6割以上の範囲に付着させうることが確認できた。これに対して、比較例1では、赤血球、白血球、血小板全ての血球成分の付着が確認され、特に血小板については、基材表面の半分を覆うという結果になった。
【0040】
実施例4:リンパ球の分離及び回収
<分離材の調製>
平均粒径0.2mmのガラスビーズ(iuchi社製)を、アセトン及びエタノールで順に洗浄した後、さらに、蒸留水で十分すすぎ、乾燥器内で60℃まで昇温させ、そのままの温度で16時間減圧乾燥させて前処理ビーズを調製した。
一方、合成例1により合成した共重合体(A)0.5gをエタノール100mLに溶解し、共重合体溶液を調製した。
次いで、上記前処理ビース50gをポリプロピレン製の容器に入れ、上記共重合体溶液20mLを加えた後に密閉した。次に、30分間容器ごと回転させることで内容物を攪拌した後、ロートを使ってビーズを濾別した。取り出したビーズをシャーレ上に広げてから乾燥器に入れ、徐々に50℃まで温度を上げた後、そのままの温度で10時間減圧下で乾燥することにより、ビーズ形状を有する分離材を調製した。
得られた分離材表面のX線光電子分光分析の測定を行い、P/Cの値を求めた。結果を表3に示す。
【0041】
<選択的分離操作>
リンパ球懸濁液を以下の方法により調製した。市販のリンパ球分離試薬であるFicoll−Paque(ファルマシアバイオテク社製)を用い、手順書に従ってヒトから採取した血液からリンパ球を採取した。まず、Ficoll−Paqueを3mLずつシリコン処理した試験管に取り分け、この上にハンクス溶液で1/2に希釈したヒト全血4mLを静かに重層した。次いで、20℃、1550rpmで40分間遠心分離し、最上層部にある血漿を除去した。その後、ピペットでリンパ球層を丁寧に採取し、シリコン処理した試験管に移した。続いて、採取したリンパ球懸濁液の3倍量のハンクス溶液を加えて、ピペッティングにより静かに攪拌した。次いで20℃、700rpmで10分間遠心分離し、上澄みを除去した。さらに、ハンクス溶液を加えて再懸濁させ、20℃、700rpmで10分間遠心分離した。採取したリンパ球を、10%血清を添加したRPMI1640培地(GIBCO社製)で再懸濁することでリンパ球懸濁液を調製し、血球計算盤を用いて培地1.0mL中に含まれるリンパ球の数を測定した。さらに、リンパ球を活性化させる目的で1g/Lのリポ多糖類(以下、LPSと略記する。SIGMA社製)を1/100量加えたリンパ球懸濁液を調製した。すなわち、LPSを加えていないリンパ球懸濁液(以下、LPS−と略記する)とLPSを加えたリンパ球懸濁液(以下、LPS+と略記する)の2種類のリンパ球懸濁液を調製した。
上記ビーズ形状の分離材5.0gをシリコン処理した試験管に入れ、LPS−又はLPS+を5.0mL加えてから、室温で2時間インキュベートした。その後30分間静置した後、上清を静かに除いた。次いで、生理的リン酸緩衝溶液(以下、PBSと略記する)を5.0mL加え、室温で10分間インキュベートした。その後30分間静置した後、上清を静かに除いた。この洗浄操作を3回繰り返した。
洗浄操作後、試験管内の分離材が流出しないように注意しながら、残っているPBSを完全に除去した。その後、素早くPBS5.0mLを加えてから、攪拌子を用いてスターラー上で緩やかに1分間かき混ぜ、ビーズ表面に付着していたリンパ球をPBS中に分散させた。その後、上清からPBSを採取し、血球計算盤を用いてPBS1.0mL中に含まれるリンパ球の数を測定し、添加したリンパ球数(C0)に対する回収したリンパ球数(CR)の割合を、回収率として下記式により算出し、結果を表3に示す。
回収率(%)=(CR/C0)×100
【0042】
比較例2
分離材として、実施例4で調製した前処理ビーズを用いた以外は、実施例4と同様の方法で分離を行い、リンパ球の回収率を求めた。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3の結果より、実施例4で調製した分離材は、リンパ球を活性化させる目的でLPSを加えたLPS+と、加えていないLPS−のいずれの場合においても、約半分のリンパ球を分離した後、さらに回収可能であることが確認できた。一方、比較例2では、LPS−の場合、約1割程度のリンパ球を分離・回収できたが、LPS+の場合では、一切の分離・回収ができなかった。すなわち、実施例4で使用した分離材は、リンパ球の活性化の程度に関わらず、選択的にリンパ球を分離・回収できる機能を有することが判った。
【0045】
実施例5:免疫グロブリンの分離
<分離材の調製>
実施例4における分離材の調製において、共重合体(A)の代わりに、合成例4により合成した共重合体(D)を使用した以外は、実施例4と同様の方法で分離材を調製した。
得られた分離材表面のX線光電子分光分析の測定を行い、P/Cの値を求めた。結果を表4に示す。
【0046】
<選択的分離操作>
上記分離材5.0gをポリプロピレン製試験管に入れ、PBSを用いて1/256に希釈したウシ胎児血清(以下、FCSと略記する、GIBCO社製)5.0mLを加えて、室温で2時間インキュベートした。その後30分間静置した後、上清を静かに除いた。次いで、PBS5.0mLを加え、室温で10分間インキュベートした後、30分間静置し、上清を静かに除いた。この洗浄操作を3回繰り返した。
洗浄操作後、20倍濃度のPBS5.0mLを加え、室温で2時間インキュベートすることで、分離材表面に付着した蛋白をPBS中に溶解させた。30分間静置した後、上清を静かに分取し、これを検体とした。
次に、ポリスチレン製96穴プレート(Nunc社製)に、抗(ウシIgG)ウサギIgG((株)ヤガイ社製)、抗(ウシアルブミン)ウサギIgG((株)ヤガイ社製)又は抗(ウシファイブロネクチン)ウサギIgG(SIGMA社製)を各々100μL/ウェル注入し、室温で2時間インキュベートした。次いで、各抗体溶液を除去した後に、各ウェルを300μLのPBSで4回洗浄した。
1/4に希釈したブロックエース溶液(雪印乳業(株)社製)200μL/ウェルを加えて、室温で2時間インキュベートした。ウェル中にあるブロックエース溶液を除去した後、前記検体100μL/ウェルを加えて室温で2時間インキュベートし、各ウェルを300μLのPBSで4回洗浄した。
西洋ワサビ過酸化酵素(以下、HRPと略記する)を修飾した抗(ウサギIgG)ヤギIgG(SIGMA社製)溶液100μL/ウェルを注入し、室温で2時間インキュベートした。次いで、各抗体溶液を除去した後に、各ウェルを300μLのPBSで4回洗浄した。
各ウェルに、HRP発色溶液(ペルオキシダーゼ用発色キットT、住友ベークライト(株)社製)100μL/ウェルを注入し、室温で2時間インキュベートした後、各ウェルを300μLのPBSで4回洗浄した。次いで、HRP発色溶液(ペルオキシダーゼ用発色キットT、住友ベークライト(株)社製)100μL/ウェルを注入し、室温で10分間インキュベートした。さらに、反応停止液(ペルオキシダーゼ用発色キットT、住友ベークライト(株)社製)100μL/ウェルを注入し、反応を停止した。次いで、プレートリーダー(SPECTRA MAX250、モレキュラーデバイス社製)を用いて450nmの吸光度を測定した。
予め作成しておいた検量線を使って、吸光度から検体中の各蛋白質量を求め、回収したアルブミン量に対する選択的に分離したIgG量の割合(Ui/Ua)、及び回収したファイブロネクチン量に対する選択的に分離したIgG量の割合(Ui/Uf)をそれぞれ求めた。結果を表4に示す。
【0047】
比較例3
分離材として、実施例4で調製した前処理ビーズを用いた以外は、実施例5と同様の方法で選択的分離を行い、その測定値からUi/Ua及びUi/Ufを求めた。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4の結果より、実施例5で調製した分離材は、アルブミンに対するIgGの割合(Ui/Ua)では、比較例3の分離材より70倍以上の分離性能を示し、ファイブロネクチンに対するIgGの割合(Ui/Uf)では、比較例3の30倍以上の分離性能を示すことが判った。すなわち、実施例5の分離材を用いることで、他のアルブミンやファイブロネクチンの数十倍、IgGを選択的分離によって濃縮できることを意味している。以上の結果から、実施例5で使用した分離材は、選択的にIgGを分離・回収できる機能を有していることが確認できた。
【0050】
実施例6:株細胞の分離
<分離材の調製>
合成例1により合成した共重合体(A)0.5gを蒸留水100mLに溶解した共重合体溶液に、低蛍光セルデスク(住友ベークライト社製)を室温で5分間浸漬した。溶液からセルデスクを取り出し、室温で1時間乾燥させた。さらに、乾燥器内で60℃まで昇温し、そのままの温度で4時間減圧乾燥させ、セルデスク形状の分離材を調製した。
得られた分離材表面のX線光電子分光分析の測定を行い、P/Cの値を求めた。結果を表5に示す。
【0051】
<選択的分離操作>
φ9cmのポリスチレンディッシュ中で、10%FCSを含んだダルベッコ改変イーグルメディウム(DMEM、以下、培地と略記する)を用いて、NIH3T3細胞(マウス胎児繊維芽細胞)及びSIRC細胞(ウサギ角膜上皮細胞)をサブコンフルエント程度にまで培養した。これらの細胞を0.1%トリプシン溶液で処理して剥がし、遠心操作した後に培地にそれぞれ懸濁した。各懸濁液の細胞濃度を血球計算盤を用いて測定し、2000個/mLとなるように培地で希釈した。
24穴プレートの各ウェルに、それぞれの細胞懸濁液0.5mLを注入し、その中に上記セルデスク状の分離材を沈めた。次いで、24時間炭酸ガスインキュベータ内で培養した後、分離材表面に接着した細胞の同定を行った。細胞の同定は、細胞内に発現している細胞骨格蛋白質であるビメンチンに対する特異抗体を用いる方法で行った。まず、細胞をメタノールで固定した後、抗ビメンチン抗体(コスモバイオ社製)を添加した。次に、洗浄処理を行い、FITC標識抗(マウスIgG)抗体(SIGMA社製)を用いてビメンチン陽性細胞を検出した。一方、全細胞数の測定はプロピジウムイオダイド(SIGMA社製)を用いた核染色により行った。蛍光顕微鏡下で、FITC観察用及びプロピジウムイオダイド観察用フィルターをそれぞれ用いて、同一画面を写真撮影し、全細胞数中に占めるFITC陽性細胞(ビメンチン陽性細胞:SIRC細胞)の割合から、NIH3T3細胞及びSIRC細胞の接着率(%)を計算した。結果を表5に示す。
【0052】
比較例4
セルデスク形状の分離材の代わりに、何も処理していない低蛍光セルデスクを用いた以外は、実施例6と同様の方法でそれぞれの細胞の接着率を計算した。結果を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
表5の結果より、実施例6で調製した分離材は、表面にNIH3T3細胞を96%選択的に接着していることが判った。これに対して、比較例4では、NIH3T3細胞及びSIRC細胞がほぼ同じ割合で表面に接着していることが判った。以上より、実施例6で使用した分離材は、選択的にNIH3T3細胞を分離できる機能を有していることが確認できた。
【0055】
実施例7:初代培養細胞の分離
<分離材の調製>
24穴プレート(Nunc社製)の各ウェルに、合成例1により合成した共重合体(A)0.5gをエタノール100mLに溶解した共重合体溶液1.0mLずつを分注し、室温で30分間インキュベートした。次いで、ウェル中の溶液を除去した後に、乾燥器内で60℃まで昇温し、そのままの温度で4時間、減圧下で乾燥することにより、培養プレート形状の分離材を調製した。
得られた分離材表面のX線光電子分光分析の測定を行い、P/Cの値を求めた。結果を表6に示す。
【0056】
<選択的分離操作>
生後24時間以内のラット胎児から皮膚の切片を採取し、0.05%のコラゲナーゼを含むDMEMで処理した。得られた溶液をメッシュで濾過した後、遠心操作を行い、回収した細胞を5%のFCSを含むDMEMに再懸濁した。細胞濃度を血球計算盤を用いて測定し、5000個/mLとなるように培地で希釈した。
上記培養プレート形状の分離材のウェル中に、上記で調製した細胞懸濁液0.5mLずつを分注し、16時間炭酸ガスインキュベータ内で培養した。その後、ウェル内を生理緩衝食塩水で洗浄し、位相差顕微鏡を用いて写真撮影を行った。細胞の形態を観察することで、繊維芽細胞及び表皮細胞の識別を行い、分離材表面への各細胞の接着率を計算した。結果を表6に示す。
【0057】
比較例5
培養プレート形状の分離材の代わりに、何も処理していない24穴プレートを用いた以外は、実施例7と同様の方法でそれぞれの細胞の接着率を計算した。結果を表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】
表6の結果より、実施例7で調製した分離材は、生体組織から採取した繊維芽細胞と表皮細胞を含む懸濁液から、繊維芽細胞だけを92%選択的に接着分離できることが判った。これに対して、比較例5では、繊維芽細胞及び表皮細胞がほぼ同じ割合で表面に接着していることが判った。以上より、実施例7で使用した分離材は、選択的に繊維芽細胞を分離できる機能を有していることが確認できた。
【0060】
実施例8:初代培養細胞の回収
<選択的分離操作>
実施例7で調製した分離材を用いて、実施例7と同様に位相差顕微鏡を用いた写真撮影の前までの操作を行った。その後、写真撮影は行わず、分離材の各ウェルを0.1%トリプシン溶液で処理し、細胞を剥離した。次いで、回収した細胞を遠心処理した後、培地にそれぞれ懸濁した。懸濁液の細胞数を、血球計算盤を用いて測定し、2000個/mLとなるように培地で希釈し、細胞懸濁液とした。
得られた細胞懸濁液0.5mLを24穴プレートの各ウェルに分注し、炭酸ガスインキュベータ内で48時間培養した。その後、位相差顕微鏡で細胞の形態を確認し、繊維芽細胞及び表皮細胞の識別を行った。結果を表7に示す。
【0061】
比較例6
分離材として、比較例5と同様の24穴プレートを用いた以外は、実施例8と同様の方法で細胞の識別を行った。結果を表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
実施例8は、実施例7と同じ2種の細胞を含む懸濁液から1種類の初代培養細胞だけを選択的に分離した後、さらにその細胞を回収することを目的としている。ここでは、回収した細胞を培養し、その増殖の様子を観察することで、どちらの細胞が分離・回収できたかを評価している。表7より、分離材を用いて分離・回収したものは、繊維芽細胞のみ増殖していることが確認された。これに対して、比較例6では、繊維芽細胞及び表皮細胞のいずれの細胞も増殖していることが確認された。以上より、実施例8で使用した分離材は、選択的に繊維芽細胞を分離・回収できる機能を有していることが確認できた。
【0064】
実施例9:情報伝達物質の分離
<選択的分離操作>
実施例5で調製したビーズ形状の分離材を使用し、この分離材5.0gをガラス製容器に入れ、ジベンゾフラン飽和水溶液2.5mLとジベンゾ−p−ジオキシン飽和水溶液2.5mLとを加えてから容器を密閉した。60分間容器ごと回転させることで内容物を攪拌した後、ロートを使って溶液を濾別した。回収した溶液は、吸光光度計を用いて、ジベンゾフランは249nm、ジベンゾ−p−ジオキシンは289nmの波長でそれぞれ吸光度を測定した。
予め作成しておいた検量線を使って、吸光度から溶液の濃度(Cn)を求め、分離材を入れないで上記と同様の操作をした各飽和水溶液の濃度(C0)に対する変化の割合を、変化率として以下の式により算出した。結果を表8に示す。
変化率(%)=((C0−Cn)/C0)×100
【0065】
比較例7
分離材として、比較例3と同様な前処理ビーズを用いた以外は、実施例9と同様の方法で選択的分離を行い、その測定値から変化率を計算した。結果を表8に示す。
【0066】
【表8】
【0067】
表8の結果より、実施例9の分離材では、情報伝達物質である、ジベンゾフラン及びジベンゾ−p−ジオキシンを含む水溶液から、ジベンゾフランを選択的に分離できることが判った。すなわち、ジベンゾフランの濃度の変化率は、比較例7の3倍以上の値を示した。一方のジベンゾ−p−ジオキシンは分離材を用いた場合も、比較例7の場合もほぼ同じ変化率であった。すなわち、実施例9で使用した分離材によって、溶液中のジベンゾフランを選択的に分離した結果、溶液中のジベンゾフランの濃度が減少したと考えられる。以上より、実施例9で使用した分離材は、選択的にジベンゾフランを分離できる機能を有していることが判った。
【0068】
以上の実施例及び比較例の結果より次のことがわかる。すなわち、実施例1〜9で調製した分離材は、ホスホリルコリン基に由来するリン元素が含まれており、それぞれ異なったP/C値を有していることを確認した。実施例で使用した分離材は、MPCと他の単量体とを共重合させてできた重合体を、PET、ポリスチレン、ガラス等からなる種々の形状をした基材の上にコートしたものである。実施例1、4、6、7及び8で使用した分離材は、全て同じ共重合体(A)を表面にコートして調製したにも関わらず、P/Cの値は、基材の種類や形状によっていずれも異なる値を示した。すなわち、分離材を調製する際の、ホスホリルコリン基を含む共重合体と、それをコートする基材との組み合わせによって、P/Cの値をある程度制御することが可能であり、分離材のP/C値をある特定の範囲内に制御することで、結果として、所望の特定成分を選択的に分離・回収する機能が発現されたと考えられる。
Claims (5)
- 式(1)で表される基を少なくとも表面に有する分離材を、特定成分を含む溶液に接触させ、溶液中に含まれる1種類又は複数の特定成分を選択的に分離・回収する方法であって、
前記分離材が、その表面をX線光電子分光分析によって測定したスペクトルにおける、式(1)で表される基に由来するリン元素の量Pと、炭素元素の量Cとの比(P/C)が0.002〜0.3となる量の式(1)で表される基を有し、
前記特定成分が、血球細胞、株細胞及び初代培養細胞からなる群より選択される1種又は2種以上の生体に由来する細胞、免疫グロブリン、又はダイオキシンもしくはその誘導体であることを特徴とする分離・回収方法。
(式中、R1、R2及びR3は同一もしくは異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。nは1〜4の整数である。) - ホスホリルコリン類似基含有単量体を含む単量体組成物を重合してなる重合体が、(A)式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体10〜100mol%、(B)疎水性単量体0〜90mol%及び(C)親水性単量体0〜70mol%とからなる単量体組成物を重合してなる重合体であることを特徴とする請求項3に記載の分離・回収方法。
- 血球細胞が、赤血球、白血球及び血小板からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の分離・回収方法。
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