JP4653275B2 - 繊維強化プラスチックを用いたコークス炉の操業方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室式コークス炉における高炉用コークスの製造方法に関するものであり、特に原料炭をコークス炉の炭化室で乾留後、コークスの押し出し時の押出側圧を低減し、良好な押出性を維持するコークスの製造方法、さらには繊維強化プラスチック廃棄物をコークス炉を用いて効率的にリサイクル処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、製鉄プロセスにおいて製造される高炉用コークスのほとんどは、室式コークス炉を用いて製造されているが、これらの室式コークス炉の多くは、建造後30年程度を経過しており、コークス炉の寿命と言われている35年に迫ろうとしている。
コークス炉の建造には多大な設備投資を必要とするため、既存のコークス炉の寿命を延長することがが、製鉄業において大きな課題となっている。
【0003】
通常のコークス炉の操業においては、コークス炉の炭化室で原料炭を乾留した後にコークスは炉外に排出(押し出)されるが、この際、圧縮されたコークスが炉壁を押し付けることにより押し出し側圧が生じ、これが炉壁に負荷を与えるため炉壁損傷の原因となる。
特に、乾留後のコークス押し出し時にコークスケーキが炭化室内で閉塞して、押出が困難となる押し止まり、あるいは押出が不可能となる押詰りが生じた場合には、コークス炉の炉壁に過剰な負荷が作用するため、炉壁れんがに致命的な損傷を引き起こす原因となる。
炉壁において一旦損傷が発生すると、さらに押し出し時の押出性を悪化させ、それがさらに損傷を進行せる要因となり、炉壁れんがの経年劣化と相まって炉寿命を縮める結果となる。
【0004】
一方、コークス炉の日常操業において、押し止まりや押詰りが発生すると、操業の中断や装入スケジュールの変更等により炉団としてのコークス生産量が低下し、さらに押し出し可能になるまでの置時間増大により消費熱量も増大し、コークス生産コストの増加につながるため、乾留後にコークスを安定的に押出すことは、安定操業においても極めて重要な課題である。
【0005】
従来のコークス押し出し時の押詰りを防止する方法としては、特開平1−247483号公報等に開示されているように、乾留後のコークスの押し出し時に押し出し電流を測定し、その電流値が上昇する場合には、次のコークス押し出し時の置き時間を延ばしたり、押し出し抵抗となる炉壁付着カーボンを除去するなどの操業アクションをとり、押し出し電流が押詰りが起きない所定電流値以下に管理する方法がある。
また、特開平6−271865号公報では、押し出し抵抗に影響を及ぼす水平方向の焼き減り(押し出し時の炉壁とコークスケーキの隙間)と乾留中期以降に起きるコークス2次収縮の収縮率が良い相関性を示すことに着目して、乾留中にコークスケーキ高さの変位を測定することにより2次収縮率を推定し、2次収縮率が少い場合には、コークス押し出し時の置き時間を延長する等の操業アクションをとり、押し詰まりが起きない所定値以上に2次収縮率を制御する方法が開示されている。
【0006】
また、特開平5−339580号公報では、実炉に装入する配合炭について、事前に試験炉を用いて予め垂直方向あるいは水平方向の焼き減りを測定し、水平方向の焼き減り率を所定値以上にするか、あるいは水平方向の焼き減り率と良い相関関係にある乾留後の特定時期における垂直方向の焼き減り率を所定値以上となるように配合炭の配合を管理する方法が開示されている。
また、特開平8−283732号公報では、実炉に装入する配合炭について、事前に試験炉を用いて、石炭配合と2次垂直焼き減り率との関係を求め、更に実炉における2次垂直焼き減り率とコ−クスケ−キ押し出し時の必要押し出し圧力との関係を求めることにより、必要押し出し圧力を管理値以下になるようにコ−クス炉に装入する石炭配合を調整する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記の特開平1−247483号公報等の方法においては、押出性が悪化した場合に、乾留時間や置き時間を延長する等の操業条件を変更するため、コークスの生産性の低下及び熱消費量の増大という問題が生じ、上記の特開平6−271865号公報、特開平5−339580号公報や特開平8−283732号公報等の方法においては、使用する石炭の性状(銘柄)およびその配合を制約するものであり、近年の省エネルギー・低コストでのコークス炉の操業を目指す上で、支障となっていた。
【0008】
一方、近年浴槽、プレジャーボートや自動車部品など、さまざまな用途で繊維強化プラスチックが急速に用いられるようになってきた。これを背景として繊維強化プラスチック廃棄物の処理が問題となってきている。
この対策として、繊維強化プラスチック廃棄物のリサイクル処理方法の検討が進められているが、リサイクル処理を行ううえで、繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂と強化繊維を分離する前処理工程が不可欠であり、そのためには膨大な手間と処理費用がかかるという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術の問題点に鑑みて、本発明は、コークス炉からコークスを排出する時(押し出し時)にコークス炉壁に作用する負荷を軽減することで、コークス炉壁の損傷を防止し、炉壁の修繕費低減ととも炉寿命を延長し、かつ、コークス押し出し時の押し詰まりによる生産障害のない安定操業を可能にするコークス炉の操業方法を提供すること、さらには、近年増加している繊維強化プラスチック廃棄物をコークス炉を用いて効率的にリサイクル処理する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは下記手段に配合石炭に、長径が50mm以上、300mm以下であり、長径と短径の比が3以上である繊維強化プラスチックを0.1〜5重量%混合してコークス炉に装入し、乾留後押出すことある。
(1)を特徴とするコークス炉の操業方法。
(2)押出機側の装入口より装入する配合石炭に繊維強化プラスチックを0.1〜5重量%混合してコークス炉に装入し、乾留後押出すことを特徴とするコークス炉の操業方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
従来から原料炭をコークス炉に装入し乾留した後に、コークスを炉外に排出する時(コークス押し出し時)における炉壁と炉壁に近いコークスケーキ表面との間隙(水平焼減り)が小さいほど、コークスの押し出し抵抗が大きく、押し詰まりが発生しやすいことが知られている。
また、この水平焼減りは、コークス炉炭化室炉幅方向中心にある石炭が再固化した後(JIS−M−8801で定義される再固化温度に到達した後)から生じ始めることが知られている。
【0012】
一般に、石炭乾留後のコークス炉炭化室中央部においてはスポンジコークスが形成されており、コークスケーキは連結されていない。これは、コークス炉炭化室中心の石炭が再固化した後、コークスケーキが収縮中心に向かって収縮することにより、炉壁近傍とともに炭化室中央部にも隙間ができるものと考えられている(図1)。
【0013】
本発明者は、コークス炉炭化室中心の石炭が再固化した後の炭化室中央部の隙間と炉壁と炉壁近傍のコークスケーキ表面との間隙(水平焼減り)の関係を詳細に検討した結果、上記炭化室中央部の隙間炉壁を減らすことで上記水平焼減りを増加させる方法を見いだした。
この炉壁近傍の隙間幅と炭化室中央部の隙間幅は、コークスケーキの収縮中心がどこになるかによって異なるが、一般の操業ではおおむね炉壁近傍と炭化室中央部に同程度の幅の隙間が形成されることがわかっている。
【0014】
コークスケーキの全収縮量は操業条件により大きくはかわらないため、コークスケーキの収縮中心を炭化室中央部側に移動することができれば、炭化室中央部の隙間が減少し、その結果、炉壁とその近傍のコークスケーキ表面との間隙(水平焼減り)を増大させることができる。
さらに、本発明者は、石炭に繊維強化プラスチックを配合してコークス炉に装入し石炭と共に乾留すると、900〜1200℃の高温条件下で、繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂部分の大部分はガス化し、強化ガラス繊維はコークス中に残渣としてコークス中に残存し、炭化室中央部の隙間が減少することにより、結果的に炉壁とコークスケーキ表面の間隙(水平焼減り)が増大することを見出した。
【0015】
この繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂部分が熱分解により発生するガスは、原料石炭から発生するコークス炉ガス(COG)と同様に回収し、タール、油などの液状成分を分離して、ガス、液ともに有効利用することが可能である。また、この残渣中のガラス由来成分は、コークス中にもともと含まれる灰分の組成と似通っているため、製造したコークスを高炉において使用すれば、コークス中の灰分と同様に高炉においてスラグとして分離可能である。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであるが、以下にを具体的に説明する。
上述の通り、従来のコークス炉操業の原料炭の乾留末期においては、炭化室の炉幅方向中心からそれぞれの炉壁までの範囲にあるそれぞれのコークスケーキはその収縮中心に向かって収縮するため、乾留後には、図1に示すように炭化室の幅方向中央部に隙間ができる。
本発明は、この炭化室の幅方向中央部に生じる隙間の幅を減少することで、両側の炉壁近傍とコークスケーキ側面との隙間(水平焼減り)を増加させるために、装入する原料配合炭に繊維強化プラスチックを0.1〜5重量%配合して原料配合炭とともに乾留する。
【0017】
これにより、配合炭に混合された繊維強化プラスチックは、乾留によりマトリックス樹脂の大部分がガス化し、残存する強化ガラス繊維の残渣は、配合炭がコークス化してコークスケーキを形成する過程でコークスケーキ構造中に取り込まれて一体化し、その結果、炭化室の幅方向中央部では、このガラス繊維残渣が炭化室中央部より両壁側に存在するそれぞれのコークスケーキを連結する役目を果たす。
この結果、炭化室中央部より両壁側にあるそれぞれのコークスケーキの動きがある程度拘束され、それぞれのコークスケーキは、連結部、すなわち炭化室中央部近傍を収縮中心として収縮し、その結果、図2に示されるように炭化室中央部の隙間は減少する。
【0018】
コークスケーキの全収縮量は操業条件によりほぼ一定のため、本発明により炭化室中央部の隙間が減少できた分だけ、コークスケーキ側面と両側炉壁近傍との隙間(水平焼減り)を増加することが可能となり、コークス押し出し時の押出し抵抗を低減することができる。
【0019】
本発明において、装入する原料配合炭に混合する繊維強化プラスチックの配合割合は、繊維強化プラスチックによるコークス強度の低下影響を小さくするために、その上限値を5重量%とする。さらに、コークス品質を維持するためには、繊維強化プラスチックの配合によるコークス強度の低下を防止するために、例えば、コークス強度に相関がある粘結性の高い銘柄炭の配合割合を増加させる等の石炭の配合調整をおこなうことがより好ましい。
【0020】
また、本発明では、繊維強化プラスチックの配合割合の下限値を、焼減り増加効果をもたらすのに必要な最小添加量である0.1重量%とする。
さらに、本発明で、原料配合炭に混合する繊維強化プラスチックの大きさについては、炭化室中央部においてそれより両壁側にあるそれぞれのコークス塊を連結せしめるのに必要な最小の大きさをその下限値とする。また、原料配合炭に混合する繊維強化プラスチックの大きさの上限値は、コークス炉への装入ハンドリング上、支障のない大きさである。
【0021】
また繊維強化プラスチックの形状は、炭化室中央部においてそれより両壁側にあるそれぞれのコークスケーキを連結するという機能から細長い形状をしていることが望ましい。具体的には、繊維強化プラスチックの長径が50mm以上、300mm以下であり、長径と短径の比が3以上であればよい。
【0022】
また、コークス押し出し時において、押出し負荷が最大となるのは、炭化室内のコークスケーキが動き出す時であり、この際、特に押出し機側近傍にあるコークスケーキが圧縮されて炉壁側に大きく変形して両側のコークス炉壁に力が伝達される。
したがって、本発明では、図3に示すように、少なくとも押出し機側に最も近い装入口より装入する配合炭のみに対して繊維強化プラスチックを混合することとが好ましい。これにより、特にコークス押出し抵抗が大きい押出し機側炉蓋近傍コークスの水平焼減りを増加せしめることができ、その結果、コークス押し出し時の押出し抵抗を低減することが可能となる。
【0023】
この場合、押出し機近傍の配合炭のみに対して繊維強化プラスチックを0.5から5重量%混合することにより、通常のコークス炉においては4ないし5箇所の送炭ホッパーより均等にコークス炉へ石炭を装入するので、コークス炉炭化室に装入する全石炭に対するプラスチックの添加率は、0.1から1.00重量%となる。
もちろん、コークス押し出し時の押出し抵抗をより低減させるためには、コークス炉炉長方向の全ての配合炭に繊維強化プラスチックを混合することがより好ましい。
【0024】
また、石炭に繊維強化プラスチックを混合してコークス炉において900〜1200℃の高温条件下で処理すると、繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂部分の大部分は容易にガス化し、強化ガラス繊維はコークス中に残渣として残るため、従来繊維強化プラスチック廃棄物のリサイクル処理において問題となっていたマトリックス樹脂と強化繊維を分離するという煩雑な前処理工程を省略することが可能である。
【0025】
コークス炉は、もともと石炭から発生するコークス炉ガス(COG)を回収し、タール、油などの液状成分を分離して精製するガス精製設備を付帯しているため、繊維強化プラスチック中のマトリックス樹脂由来のガスについても、分離精製して化学原料あるいは熱源として容易に有効利用が可能である。
また、高炉プロセスにおいては、冶金用コークス中の灰分が効率よくスラグとして分離されるので、ガラス繊維残渣中の灰分についても高炉スラグとして回収した後、セメント原料などに有効利用することができる。
【0026】
【実施例】
本発明例においては、炉幅420mm、炉高1000mm、炉長1000mmの可動壁型試験コークス炉を用い、強粘結炭70%、非微粘結炭30%からなる配合炭に、表1に示すような大きさに裁断した繊維強化プラスチックを、表1に示す割合で配合した後、0.83dry−t/m3 (石炭乾燥重量ベース)の装入密度で装入し、炉温1250℃、乾留時間18.5時間の条件で乾留した。
また、乾留中において、炉壁とコークスケーキ側面の間隙(水平焼減り)の経時変化を測定した。
【0027】
比較例においては、繊維強化プラスチックを配合しないで乾留し、同様に水平焼減りの経時変化を測定した。また、コークス押出時の押出力を測定した。さらに、乾留後のコークスケーキを窒素雰囲気中で冷却した後に解体し、炭化室中央部の隙間を炉長方向10mmピッチで測定し、平均値を求めた。
また、焼成後のコークスについては、JIS K2151に準じたコークスのドラム強度指数(150回転後+15mm指数)を測定した。
表1に、発明例と比較例の各々の条件における水平焼減り、炭化室中央部隙間の平均値、比較例の押出力を1とした場合の、相対押出力を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
発明例1は、100×10mmの大きさのプラスチックを1%添加した場合であり、プラスチックを添加していない比較例1に対し、炭化室中央部隙間が小さく、水平焼減りが大きく、押出力が小さいことが分かった。また、ドラム強度指数はほとんど変わらないことが分かった。
比較例2は、100×10mmの大きさのプラスチックを0.1%添加した場合である。この場合、プラスチックを添加していない比較例1と比べて、炭化室中央部隙間、水平焼減りはほとんど変わらず、押出力も変わらないことが分かった。
【0030】
比較例3は、100×10mmの大きさのプラスチックを7%添加した場合である。この場合、プラスチックを添加していない比較例1と比べて、ドラム強度が著しく低下していることが分かった。
比較例4は、30×3mmの小さいプラスチックを1%添加した場合である。
この場合、プラスチックを添加していない比較例1と比べて、炭化室中央部隙間、水平焼減りはほとんど変わらず、押出力も変わらないことが分かった。
比較例5は、100×50mmの、長径と短径の比が2であるプラスチックを1%添加した場合である。この場合、プラスチックを添加していない比較例1と比べて、水平焼減りが若干大きくなり、押出力が若干低下するが、発明例ほどの大きな効果は得られていないことが分かった。
【0031】
さらに、発明例2は、全装入炭量の25%に相当する押出機側近傍の配合炭のみに100×10mmの大きさのプラスチックを1%添加した場合である。全体にプラスチックを添加した発明例1に比べると押出し力は若干大きいが、プラスチックを添加していない比較例1に比べると、押出力がかなり低減できていることが分かった。
以上より、本発明の実施により、コークス強度を低下させることなく、水平焼減りを増加せしめ、ひいては押出し抵抗の抑制が可能であることが分かった。
【0032】
【発明の効果】
本発明により、乾留後にコークスをコークス炉から排出する時のコークス炉壁に作用する負荷を著しく低くし、コークスの押し出し抵抗を軽減できるとともに、かつ、押し詰りの操業トラブルを防止できる。これにより、コークス炉の安定した操業が可能になるとともに、押し詰まりによる炉壁損傷を回避して炉壁補修費用の低減および炉寿命の延長が達成できる。さらに、近年増加傾向にある処理が困難な繊維強化プラスチック廃棄物の処理を、容易にかつ効率よくリサイクル処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来操業時の炭化室内におけるコークスケーキ中央部隙間及びコークスケーキ側面と炉壁との隙間(水平焼減り)の関係を示す図。
【図2】本発明の炭化室内におけるコークスケーキ中央部及びコークスケーキ側面と炉壁との隙間(水平焼減り)の関係を示す図。
【図3】本発明において、押出し機側近傍の配合炭中のみ繊維強化プラスチックを混合する装入方法を説明する図。
Claims (2)
- コークス炉の操業方法において原料配合炭に、長径が50mm以上、300mm以下であり、長径と短径の比が3以上である繊維強化プラスチックを0.1〜5重量%混合してコークス炉に装入し乾留後、コークスを押出すことを特徴とする繊維強化プラスチックを用いたコークス炉の操業方法。
- コークス炉の操業方法において、少なくとも押出機近傍の装入口より装入する配合石炭にのみに繊維強化プラスチック混合してコークス炉に装入することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチックを用いたコークス炉の操業方法。
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