本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、少なくともふたつの無線装置によって構成されるMIMOシステムに関する。無線装置のうちの一方は、送信装置に相当し、他方は、受信装置に相当する。送信装置は、複数の系列によって構成されるパケット信号を生成する。ここでは、特に、送信装置がトレーニング信号を送信する際の処理を説明する。そのため、前述のレート情報による適応変調処理や、ビームフォーミングは、受信したトレーニング信号をもとに処理がなされるが、これらについては公知の技術を使用すればよく、ここでは説明を省略する。以上の状況下、AGC用既知信号が配置された系列の数と、伝送路推定用既知信号が配置された系列の数が異なることによって、受信装置における伝送路特性の推定精度が悪化する可能性がある。また、トレーニング信号を送信する場合であっても、伝送効率の低下を抑制したい。そのため、本実施例では、以下の処理を実行する。
送信装置は、データが配置される系列にAGC用既知信号を配置する。そのため、データがひとつの系列に配置される場合、AGC用既知信号もひとつの系列に配置される。その結果、受信装置において設定される増幅率がデータの受信強度に対応するので、データの受信特性が向上される。また、送信装置は、トレーニング信号を生成する際に伝送路推定用既知信号を複数の系列に配置するが、その際、複数の系列を複数のグループにまとめる。なお、ひとつのグループは、データが配置される系列の数よりも大きい数の系列を含むように規定される。例えば、データがひとつの系列に配置され、かつ複数の系列の数が「4」である場合、ひとつのグループはふたつの系列によって形成される。そのため、4つの系列からふたつのグループが形成される。
また、送信装置では、ふたつのグループのそれぞれに含まれた伝送路推定用既知信号に対して、タイミングをずらしながら配置を行うことによって、パケット信号を生成する。そのため、ひとつのグループに含まれた伝送路推定用既知信号が配置されるタイミングにおいて、他のグループに含まれた伝送路推定用既知信号は配置されず、かつひとつのグループにおける伝送路推定用既知信号の系列数を小さくできる。これより、所定のタイミングにおいて、伝送路推定用既知信号が配置された系列の数を減少できる。その結果、AGC用既知信号が配置された系列の数が小さくても、伝送路推定用既知信号が配置された系列の数も小さくされるので、受信装置において伝送路推定の精度の悪化が抑制される。
図1は、本発明の実施例に係るマルチキャリア信号のスペクトルを示す。特に、図1は、OFDM変調方式での信号のスペクトルを示す。OFDM変調方式における複数のキャリアのひとつをサブキャリアと一般的に呼ぶが、ここではひとつのサブキャリアを「サブキャリア番号」によって指定するものとする。MIMOシステムには、サブキャリア番号「−28」から「28」までの56サブキャリアが規定されている。なお、サブキャリア番号「0」は、ベースバンド信号における直流成分の影響を低減するため、ヌルに設定されている。一方、MIMOシステムに対応していないシステム(以下、「従来システム」という)には、サブキャリア番号「−26」から「26」までの52サブキャリアが規定されている。なお、従来システムの一例は、IEEE802.11a規格に準拠した無線LANである。また、複数のサブキャリアにて構成されたひとつの信号の単位であって、かつ時間領域のひとつの信号の単位は、「OFDMシンボル」と呼ばれるものとする。
また、それぞれのサブキャリアは、可変に設定された変調方式によって変調されている。変調方式には、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QSPK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMのいずれかが使用される。
また、これらの信号には、誤り訂正方式として、畳み込み符号化が適用されている。畳み込み符号化の符号化率は、1/2、3/4等に設定される。さらに、並列に送信すべきデータの数は、可変に設定される。その結果、変調方式、符号化率、系列の数の値が可変に設定されることによって、データレートも可変に設定される。なお、「データレート」は、これらの任意の組合せによって決定されてもよいし、これらのうちのひとつによって決定されてもよい。従来システムにおいて、変調方式がBPSKであり、符号化率が1/2である場合、データレートは6Mbpsになる。一方、変調方式がBPSKであり、符号化率が3/4である場合、データレートは9Mbpsになる。
図2は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、無線装置10と総称される第1無線装置10a、第2無線装置10bを含む。また、第1無線装置10aは、アンテナ12と総称される第1アンテナ12a、第2アンテナ12b、第3アンテナ12c、第4アンテナ12dを含み、第2無線装置10bは、アンテナ14と総称される第1アンテナ14a、第2アンテナ14b、第3アンテナ14c、第4アンテナ14dを含む。ここで、第1無線装置10aが、送信装置および基地局装置に対応し、第2無線装置10bが、受信装置および端末装置に対応する。
通信システム100の構成として、MIMOシステムの概略を説明する。データは、第1無線装置10aから第2無線装置10bに送信されているものとする。第1無線装置10aは、第1アンテナ12aから第4アンテナ12dのそれぞれから、複数の系列のデータをそれぞれ送信する。その結果、データレートが高速になる。第2無線装置10bは、第1アンテナ14aから第4アンテナ14dによって、複数の系列のデータを受信する。さらに、第2無線装置10bは、アダプティブアレイ信号処理によって、受信したデータを分離して、複数の系列のデータを独立に復調する。
ここで、アンテナ12の本数は「4」であり、アンテナ14の本数も「4」であるので、アンテナ12とアンテナ14の間の伝送路の組合せは「16」になる。第iアンテナ12iから第jアンテナ14jとの間の伝送路特性をhijと示す。図中において、第1アンテナ12aと第1アンテナ14aとの間の伝送路特性がh11、第1アンテナ12aから第2アンテナ14bとの間の伝送路特性がh12、第2アンテナ12bと第1アンテナ14aとの間の伝送路特性がh21、第2アンテナ12bから第2アンテナ14bとの間の伝送路特性がh22、第4アンテナ12dから第4アンテナ14dとの間の伝送路特性がh44と示されている。なお、これら以外の伝送路は、図の明瞭化のために省略する。なお、第1無線装置10aから第2無線装置10bに、トレーニング信号が送信されるものとする。また、第1無線装置10aと第2無線装置10bとが逆になってもよい。
図3(a)−(c)は、通信システム100におけるパケットフォーマットを示す。図3(a)−(c)は、トレーニング信号でなく、通常のパケット信号のフォーマットを示す。ここで、図3(a)は、系列の数が「4」である場合に対応し、図3(b)は、系列の数が「3」である場合に対応し、図3(c)は、系列の数が「2」である場合に対応する。図3(a)では、4つの系列に含まれたデータが、送信の対象とされるものとし、第1から第4の系列に対応したパケットフォーマットが上段から下段に順に示される。
第1の系列に対応したパケット信号には、プリアンブル信号として「L−STF」、「HT−LTF」等が配置される。「L−STF」、「L−LTF」、「L−SIG」、「HT−SIG」は、従来システムに対応したAGC設定用の既知信号、伝送路推定用の既知信号、制御信号、MIMOシステムに対応した制御信号にそれぞれ相当する。MIMOシステムに対応した制御信号には、例えば、系列の数に関する情報やデータ信号の宛先が含まれている。「HT−STF」、「HT−LTF」は、MIMOシステムに対応したAGC設定用の既知信号、伝送路推定用の既知信号に相当する。一方、「データ1」は、データ信号である。なお、L−LTF、HT−LTFは、AGCの設定だけでなく、タイミングの推定にも使用される。
また、第2の系列に対応したパケット信号には、プリアンブル信号として「L−STF(−50ns)」と「HT−LTF(−400ns)」等が配置される。また、第3の系列に対応したパケット信号には、プリアンブル信号として「L−STF(−100ns)」と「HT−LTF(−200ns)」等が配置される。また、第4の系列に対応したパケット信号には、プリアンブル信号として「L−STF(−150ns)」と「HT−LTF(−600ns)」等が配置される。
ここで、「−400ns」等は、CDD(Cyclic Delay Diversity)におけるタイミングシフト量を示す。CDDとは、所定の区間において、時間領域の波形をシフト量だけ後方にシフトさせ、所定の区間の最後部から押し出された波形を所定の区間の先頭部分に循環的に配置させる処理である。すなわち、「L−STF(−50ns)」には、「L−STF」に対して、−50nsの遅延量にて循環的なタイミングシフトがなされている。なお、L−STFとHT−STFは、800nsの期間の繰り返しによって構成され、その他のHT−LTF等は、3.2μsの期間の繰り返しによって構成されているものとする。ここで「データ1」から「データ4」にもCDDがなされており、タイミングシフト量は、前段に配置されたHT−LTFでのタイミングシフト量と同一の値である。
また、第1の系列において、HT−LTFが、先頭から「HT−LTF」、「−HT−LTF」、「HT−LFT」、「−HT−LTF」の順に配置されている。ここで、これらを順に、すべての系列において「第1成分」、「第2成分」、「第3成分」、「第4成分」と呼ぶ。すべての系列の受信信号に対して、第1成分−第2成分+第3成分−第4成分の演算を行えば、受信装置において、第1の系列に対する所望信号が抽出される。また、すべての系列の受信信号に対して、第1成分+第2成分+第3成分+第4成分の演算を行えば、受信装置において、第2の系列に対する所望信号が抽出される。また、すべての系列の受信信号に対して、第1成分−第2成分−第3成分+第4成分の演算を行えば、受信装置において、第3の系列に対する所望信号が抽出される。また、すべての系列の受信信号に対して、第1成分+第2成分−第3成分−第4成分の演算を行えば、受信装置において、第4の系列に対する所望信号が抽出される。これらは、所定の成分の符号の組合せが系列間において直交関係を有していることに相当する。なお、加減処理は、ベクトル演算にて実行される。
「L−LTF」から「HT−SIG」等までの部分には、従来システムと同様に、「52」サブキャリアが使用される。なお、「52」サブキャリアのうちの「4」サブキャリアがパイロット信号に相当する。一方、「HT−LTF」等以降の部分は、「56」サブキャリアを使用する。
図3(a)において、「HT−LTF」の符号は、以下のように規定されている。第1の系列の先頭から順に、符号は「+」、「−」、「+」、「−」の順に並べられ、第2の系列の先頭から順に、符号は「+」、「+」、「+」、「+」の順に並べられ、第3の系列の先頭から順に、符号は「+」、「−」、「−」、「+」の順に並べられ、第4の系列の先頭から順に、符号は「+」、「+」、「−」、「−」の順に並べられている。しかしながら、符号は、以下のように規定されていてもよい。第1の系列の先頭から順に、符号は「+」、「−」、「+」、「+」の順に並べられ、第2の系列の先頭から順に、符号は「+」、「+」、「−」、「+」の順に並べられ、第3の系列の先頭から順に、符号は「+」、「+」、「+」、「−」の順に並べられ、第4の系列の先頭から順に、符号は「−」、「+」、「+」、「+」の順に並べられる。このような符号であっても、所定の成分の符号の組合せが系列間において直交関係を有していることに相当する。
図3(b)は、図3(a)の第1の系列から第3の系列に相当する。図3(c)は、図3(a)に示したパケットフォーマットのうちの第1系列と第2系列に類似している。ここで、図3(b)の「HT−LTF」の配置が、図3(a)の「HT−LTF」の配置と異なっている。すなわち、HT−LTFには、第1成分と第2成分だけが含まれている。第1の系列において、HT−LTFが、先頭から「HT−LTF」、「HT−LTF」の順に配置され、第2の系列において、HT−LTFが、先頭から「HT−LTF」、「−HT−LTF」の順に配置されている。すべての系列の受信信号に対して、第1成分+第2成分の演算を行えば、受信装置において、第1の系列に対する所望信号が抽出される。また、すべての系列の受信信号に対して、第1成分−第2成分の演算を行えば、受信装置において、第2の系列に対する所望信号が抽出される。これらも、前述のごとく、直交関係といえる。
図4(a)−(b)は、通信システム100において系列の数がひとつである場合のパケットフォーマットを示す。図4(a)−(b)は、図3(a)−(c)に示したパケット信号の系列の数を「1」にした場合に相当する。両者の相違点は、パケット信号に含まれる「HT−LTF」の数である。図4(a)は、図3(a)に示したパケットフォーマットのうちの第1系列に類似している。ここでは、ひとつの「HT−LTF」がパケットフォーマットに含まれる。一方、図4(b)は、図3(c)に示したパケットフォーマットのうちの第1系列に相当する。すなわち、ふたつの「HT−LTF」がパケット信号に含まれる。図4(a)のパケットフォーマットが使用されれば、「HT−LTF」の期間を短縮できるので、伝送効率を向上できる。一方、図4(b)のパケットフォーマットが使用されれば、系列の数が「2」である場合のパケットフォーマットの一部であるので、パケットフォーマットの切替を容易に実行できる。ここでは、図4(b)のパケットフォーマットが使用されるものとする。
図5(a)−(d)は、通信システム100におけるトレーニング信号用のパケットフォーマットを示す。図5(a)−(d)は、図3(a)−(c)および図4(b)でのパケット信号に対するトレーニング信号である。なお、以下では説明を明瞭にするために、パケットフォーマットに含まれる「L−STF」から「HT−SIG」を省略するものとする。すなわち、「HT−STF」以降の構成が示されている。図5(a)は、データ信号が配置される系列(以下、「主系列」という)の数が「3」である場合であり、図5(b)は、主系列の数が「2」場合であり、図5(c)−(d)は、主系列の数が「1」である場合である。すなわち、図5(a)では、第1の系列から第3の系列とにデータ信号が配置され、図5(b)では、第1の系列と第2の系列とにデータ信号が配置され、図5(c)−(d)では、第1の系列にデータ信号が配置される。
図5(a)の第1の系列から第3の系列のうち、HT−LTFに関する配置までは、図3(b)での配置と同一である。しかしながら、その後段において、第1の系列から第3の系列には、空白の期間が設けられる。一方、第1の系列から第3の系列での空白の期間において、第4の系列には、HT−LTFが配置される。また、第4の系列に配置されたHT−LTFに続いて、第1の系列から第3の系列には、データが配置される。なお、第4の系列でのHT−LTFの配置は、図4(a)での配置と同一である。
このような配置によって、「HT−STF」が配置された系列の数が、データ信号が配置された系列の数に等しくなるので、受信装置において「HT−STF」によって設定された増幅率に含まれる誤差が小さくなり、データ信号の受信特性の悪化を防止できる。また、第4系列に配置された「HT−LTF」は、ひとつの系列に配置されているだけなので、受信装置において第4系列に配置された「HT−LTF」が、AGCによって歪みが生じるほど増幅される状況を低減できる。そのため、伝送路推定の精度の悪化を防止できる。
図5(b)の第1の系列と第2の系列のうち、HT−LTFに関する配置までは、図3(c)での配置と同一である。しかしながら、その後段において、第1の系列と第2の系列には、空白の期間が設けられる。一方、第1の系列と第2の系列での空白の期間において、第3の系列と第4の系列には、HT−LTFが配置される。また、第3の系列と第4の系列に配置されたHT−LTFに続いて、第1の系列と第2の系列には、データが配置される。なお、第3の系列と第4の系列でのHT−LTFの配置は、図3(c)での配置と同一である。
ここで、タイミングシフト量について、「0ns」、「−400ns」、「−200ns」、「−600ns」の順に優先度が低くなるように、優先度が規定されているものとする。すなわち、「0ns」の優先度が最も高く、「−600ns」の優先度が最も低くなるように規定されている。そのため、第1の系列と第2の系列では、タイミングシフト量として、「0ns」、「−400ns」の値が使用されている。一方、第3の系列と第4の系列でもタイミングシフト量として「0ns」、「−400ns」の値が使用されている。その結果、第1の系列での「HT−LTF」、「HT−LTF」の組合せが第3の系列でも使用され、第2の系列での「HT−LTF(−400ns)」、「−HT−LTF(−400ns)」の組合せが第4の系列でも使用されるので、処理が簡易になる。
図5(c)の第1の系列のうち、HT−LTFに関する配置までは、図4(b)の第1の系列に対する配置と同等である。ここで、ふたつの「HT−LTF」が配置される。しかしながら、その後段において、第1の系列には、空白の期間が設けられる。一方、第1の系列での空白の期間において、第2の系列から第4の系列には、HT−LTFが配置される。また、第2の系列から第4の系列に配置されたHT−LTFに続いて、第1の系列には、データが配置される。ここで、第2の系列から第3の系列に配置されるHT−LTFの配置は、図3(b)での配置に類似する。
図5(d)は、図5(c)と同様に構成されるが、図5(d)における「HT−LTF」の符号の組合せが、図5(c)のものと異なる。ここで、「HT−LTF」の符号の組合せは、系列間において直交関係が成立するように規定されている。また、図5(d)では、複数の系列のそれぞれに対し、「HT−LTF」の符号の組合せが固定されるように規定されている。ここで、図5(d)では、図5(c)と同様に、第2の系列から第4の系列であっても、優先度の高い「0ns」、「−400ns」、「−200ns」が使用される。
図5(a)での第4の系列、すなわちデータが配置されていない系列(以下、「副系列」という)には、ひとつの「HT−LTF」が配置される。また、図5(b)での第3の系列および第4の系列には、ふたつの「HT−LTF」が配置される。さらに、図5(c)−(d)での第2の系列から第4の系列には、4つの「HT−LTF」が配置される。これらを比較すると、図5(c)−(d)での副系列に配置された「HT−LTF」の長さが最も長くなる。すなわち、トレーニング信号を生成すべきパケット信号での主系列の数が小さくなると、副系列の長さが長くなり、伝送効率が低下する。特に、図5(c)−(d)では、副系列の数が「3」であるのにもかかわらず、4つの系列の場合と同様の4つの「HT−LTF」が配置される。本実施例では、このような場合においても、伝送効率の低下を抑制するためのパケットフォーマットを提案する。
図6(a)−(d)は、通信システム100における別のトレーニング信号用のパケットフォーマットを示す。図6(a)−(d)は、図5(a)−(d)にそれぞれ対応する。図6(a)−(d)では、複数の系列のそれぞれにタイミングシフト量が対応づけられながら規定されている。ここで、第1の系列に対してタイミングシフト量「0ns」が規定され、第2の系列に対してタイミングシフト量「−400ns」が規定され、第3の系列に対してタイミングシフト量「−200ns」が規定され、第4の系列に対してタイミングシフト量「−600ns」が規定されている。
そのため、図6(a)では、図5(a)における第4の系列でのタイミングシフト量「0ns」の代わりに、「−600ns」が使用される。また、図6(b)では、図5(b)における第3の系列と第4の系列でのタイミングシフト量「0ns」、「−400ns」の代わりに、「−200ns」、「−600ns」が使用される。一方、図6(c)−(d)では、図5(c)−(d)における第2の系列から第4の系列でのタイミングシフト量「0ns」、「−400ns」、「−200ns」の代わりに、「−400ns」、「−200ns」、「−600ns」が使用される。
図6(d)は、図6(c)と同様に構成されるが、図6(d)における「HT−LTF」の符号の組合せが、図6(c)のものと異なる。「HT−LTF」の符号の組合せには予め優先度が設けられている。すなわち、図3(a)の第1の系列における符号の組合せの優先度が最も高く、第4の系列における符号の組合せの優先度が最も低くなるような規定がなされている。また、データ信号が配置される系列に対して、優先度の高い符号の組合せから順に符号の組合せを使用し、データ信号が配置されない系列に対しても、優先度の高い符号の組合せから順に符号の組合せを使用する。このように、符号の組合せを同じにしておけば、受信装置が+−の演算を行って各成分を取り出す場合に、データが配置されない系列の「HT−LTF」の部分に対する伝送路特性の計算と、データが配置される系列の「HT−LTF」の部分に対する伝送路特性の計算に対して、共通の回路を使用できる。
図7(a)−(d)は、通信システム100におけるさらに別のトレーニング信号用のパケットフォーマットを示す。前述のごとく、トレーニング信号を生成すべきパケット信号での主系列の数が小さくなると、副系列の長さが長くなり、伝送効率が低下する。図7(a)−(b)は、このような課題を解決するためのパケットフォーマットである。なお、図7(a)は、図5(c)−(d)に対応したパケットフォーマットであり、図7(b)は、図6(c)−(d)に対応したパケットフォーマットであり、図7(c)−(d)は、図7(a)−(b)の比較対象となるパケットフォーマットである。図7(a)において、パケット信号を形成する複数の系列、すなわち「4」つの系列が複数のグループにまとめられる。なお、ひとつのグループは、データが配置される系列の数よりも大きな数の系列を含むように規定される。ここで、ひとつのグループは、ふたつの系列を含むように規定される。すなわち、第1の系列と第2の系列とから第1のグループが形成され、第3の系列と第4の系列とから第2のグループが形成される。すなわち、「4」つの系列からふたつのグループが形成される。
第1のグループのうちの第1の系列には、「HT−STF」と「データ」が含まれる。また、第1のグループでの「HT−LTF」と第2のグループでの「HT−LTF」とは、異なったタイミングに配置される。そのため、第1のグループでの「HT−LTF」が配置されたタイミングには、第2のグループでの「HT−LTF」が配置されず、その逆も成立する。そのため、第1のグループでの「HT−LTF」の信号強度と第2のグループでの「HT−LTF」の信号強度とが近い値に設定される。その結果、受信装置において、両者の受信強度も近くなる。また、両方のグループでの「HT−LTF」が配置された系列の数は「2」であり、「HT−STF」が配置されて系列の数は「1」であるので、「HT−LTF」と「HT−STF」との受信強度が近くなる。そのため、「HT−STF」によって導出された増幅率は、ふたつのグループのHT−LTFに適した増幅率に近くなる。これより、受信装置において、「HT−LTF」による伝送路推定の精度が向上する。
また、第2のグループでの「HT−LTF」の配置は、図3(c)と同様に規定される。すなわち、系列の数がふたつであるときの配置がなされるので、第2のグループでの「HT−LTF」の数が「2」になる。そのため、伝送効率の低下が抑制される。図7(b)では、図7(a)と同様に「HT−LTF」が配置される。両者の相違点は、CDDにおけるタイミングシフト量の値であるが、これは既に説明したので、説明を省略する。
図7(a)−(b)のパケットフォーマットによる効果を図7(c)−(d)と比較しながら説明する。前述のごとく、図7(a)−(b)のパケットフォーマットは、図5(c)−(d)や図6(c)−(d)のパケットフォーマットよりも、ひとつの系列当たりの「HT−LTF」の数を少なくできる。一方、図7(a)−(b)のパケットフォーマットと同一の数の「HT−LTF」を有したパケットフォーマットは、図7(c)−(d)のように示される。図7(c)では、「HT−STF」と「データ1」が第1の系列に配置される。一方、「HT−LTF」は、図3(a)と同様に、第1の系列から第4の系列に配置される。すなわち、4つの系列を前提とした「HT−LTF」が配置される。しかしながら、このようなパケットフォーマットによれば、「HT−STF」はひとつの系列に配置されているが、「HT−LTF」は4つの系列に配置されているので、「HT−LTF」の部分の受信電力が「HT−STF」の部分の受信電力よりも大きくなりやすい。そのため、受信装置においてひとつのHT−STFをもとに設定された増幅率にて増幅すると、「HT−LTF」の部分が歪みやすくなる。その結果、データ1を受信する際に誤りが発生し、受信品質の悪化が生じる。
図7(d)は、図7(c)と類似しているが、「HT−STF」が第1の系列から第4の系列に配置されている。そのため、「HT−STF」の部分の受信電力と「HT−LTF」の部分の受信電力とが、近い値になる。その結果、設定された増幅率にて増幅しても、「HT−LTF」の部分が歪みにくくなる。しかしながら、「データ1」はひとつの系列に配置されているので、その部分の受信電力は、「HT−STF」の部分の受信電力と異なりやすくなる。その結果、設定された増幅率は、「データ1」の部分の受信にとって適切な値ではなくなるので、データ1を受信する際に誤りが発生し、受信品質の悪化が生じる。
以上をまとめると、図7(c)−(d)のようなパケットフォーマットによれば、図7(a)−(b)のパケットフォーマットと同様に、ひとつの系列当たりの「HT−LTF」の数が少なくなる。しかしながら、図7(c)−(d)の場合での伝送路推定の品質、受信品質は、図7(a)−(b)の場合よりも悪化する。一方、図5(c)−(d)、図6(c)−(d)の場合での伝送路推定の品質、受信品質は、図7(a)−(b)の場合と同等になるが、前述のごとく、ひとつの系列当たりの「HT−LTF」の数が多くなる。そのため、図7(a)−(b)のパケットフォーマットは、伝送効率を改善しつつ、伝送路推定の品質、受信品質の悪化を抑制するためのフォーマットであるといえる。
図8は、通信システム100において最終的に送信されるパケット信号のパケットフォーマットを示す。図8は、図7(a)−(b)のパケット信号を変形させた場合に相当する。図7(a)−(b)の第1の系列と第2の系列に配置された「HT−STF」と「HT−LTF」に、後述の直交行列による演算がなされる。その結果、「HT−STF1」から「HT−STF4」が生成される。「HT−LTF」についても同様である。さらに、第1の系列から第4の系列のそれぞれに対して、タイミングシフト量「0ns」、「−50ns」、「−100ns」、「−150ns」によるCDDが実行される。なお、2度目のCDDでのタイミングシフト量の絶対値は、HT−STFおよびHT−LTFに対して1度目になされたCDDでのタイミングシフト量の絶対値よりも小さくなるように設定される。第3の系列と第4の系列に配置された「HT−LTF」と、第1の系列の「データ1」等に対しても同様の処理が実行される。
図9は、第1無線装置10aの構成を示す。第1無線装置10aは、無線部20と総称される第1無線部20a、第2無線部20b、第4無線部20d、ベースバンド処理部22、変復調部24、IF部26、制御部30を含む。また信号として、時間領域信号200と総称される第1時間領域信号200a、第2時間領域信号200b、第4時間領域信号200d、周波数領域信号202と総称される第1周波数領域信号202a、第2周波数領域信号202b、第4周波数領域信号202dを含む。なお、第2無線装置10bは、第1無線装置10aと同様に構成される。そのため、以下の説明において、受信動作に関する説明は、第2無線装置10bでの処理に対応し、送信動作に関する説明は、第1無線装置10aでの処理に対応する。
無線部20は、受信動作として、アンテナ12によって受信した無線周波数の信号を周波数変換し、ベースバンドの信号を導出する。無線部20は、ベースバンドの信号を時間領域信号200としてベースバンド処理部22に出力する。一般的に、ベースバンドの信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線によって伝送されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、AGCやA/D変換部も含まれる。AGCは、「L−STF」、「HT−STF」において増幅率を設定する。
無線部20は、送信動作として、ベースバンド処理部22からのベースバンドの信号を周波数変換し、無線周波数の信号を導出する。ここで、ベースバンド処理部22からのベースバンドの信号も時間領域信号200として示す。無線部20は、無線周波数の信号をアンテナ12に出力する。すなわち、無線部20は、無線周波数のパケット信号をアンテナ12から送信する。また、PA(Power Amplifier)、D/A変換部も含まれる。時間領域信号200は、時間領域に変換されたマルチキャリア信号であり、デジタル信号であるものとする。
ベースバンド処理部22は、受信動作として、複数の時間領域信号200をそれぞれ周波数領域に変換し、周波数領域の信号に対してアダプティブアレイ信号処理を実行する。ベースバンド処理部22は、アダプティブアレイ信号処理の結果を周波数領域信号202として出力する。ひとつの周波数領域信号202が、送信された複数の系列のそれぞれに相当する。また、ベースバンド処理部22は、送信動作として、変復調部24から、周波数領域の信号としての周波数領域信号202を入力し、周波数領域の信号を時間領域に変換し、複数のアンテナ12のそれぞれに対応づけながら時間領域信号200として出力する。
送信処理において使用すべきアンテナ12の数は、制御部30によって指定されるものとする。ここで、周波数領域の信号である周波数領域信号202は、図1のごとく、複数のサブキャリアの成分を含むものとする。図を明瞭にするために、周波数領域の信号は、サブキャリア番号の順番に並べられて、シリアル信号を形成しているものとする。
図10は、周波数領域の信号の構成を示す。ここで、図1に示したサブキャリア番号「−28」から「28」のひとつの組合せを「OFDMシンボル」というものとする。「i」番目のOFDMシンボルは、サブキャリア番号「1」から「28」、サブキャリア番号「−28」から「−1」の順番にサブキャリア成分を並べているものとする。また、「i」番目のOFDMシンボルの前に、「i−1」番目のOFDMシンボルが配置され、「i」番目のOFDMシンボルの後ろに、「i+1」番目のOFDMシンボルが配置されているものとする。なお、図3(a)等の「L−SIG」等の部分では、ひとつの「OFDMシンボル」に対して、サブキャリア番号「−26」から「26」の組合せが使用される。
図9に戻る。また、ベースバンド処理部22は、図3(a)−(c)、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)のパケットフォーマットに対応したパケット信号を生成するために、CDDを実行する。さらに、ベースバンド処理部22は、図8のパケットフォーマットに示したパケット信号への変形を実行するために、ステアリング行列の乗算を実行する。これらの処理の詳細は、後述する。
変復調部24は、受信処理として、ベースバンド処理部22からの周波数領域信号202に対して、復調とデインタリーブを実行する。なお、復調は、サブキャリア単位でなされる。変復調部24は、復調した信号をIF部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、インタリーブと変調を実行する。変復調部24は、変調した信号を周波数領域信号202としてベースバンド処理部22に出力する。送信処理の際に、変調方式は、制御部30によって指定されるものとする。
IF部26は、受信処理として、複数の変復調部24からの信号を合成し、ひとつのデータストリームを形成する。さらに、ひとつのデータストリームを復号する。IF部26は、復号したデータストリームを出力する。また、IF部26は、送信処理として、ひとつのデータストリームを入力し、符号化した後に、これを分離する。さらに、IF部26は、分離したデータを複数の変復調部24に出力する。送信処理の際に、符号化率は、制御部30によって指定されるものとする。ここで、符号化の一例は、たたみ込み符号化であり、復号の一例は、ビタビ復号であるとする。
制御部30は、第1無線装置10aのタイミング等を制御する。制御部30は、IF部26、変復調部24、ベースバンド処理部22と協同しながら、図3(a)−(c)、図4(a)−(b)、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)、図8のようなパケットフォーマットのパケット信号を生成し、生成したパケット信号を送信するための制御を実行する。ここでは、図7(a)−(b)に示されたパケットフォーマットを生成するための処理を中心に説明するが、それ以外のパケットフォーマットについても、同様の処理が実行される。
IF部26において、複数の系列のうちの少なくともひとつに配置すべきデータが入力される。ここでは、図7(a)−(b)のごとく、ひとつの系列に配置すべきデータが入力される。制御部30は、ベースバンド処理部22に対して、入力したデータが配置された系列、すなわち第1の系列に配置される「HT−STF」と、「HT−STF」の後段において複数の系列に配置される「HT−LTF」と、第1の系列に配置されるデータとから、パケット信号を生成するように指示する。なお、制御部30は、図3(a)−(c)のごとく、HT−STFの前段に、「L−STF」、「L−LTF」、「L−SIG」、「HT−SIG」が配置されるように、ベースバンド処理部22に指示を出力する。
制御部30は、「HT−LTF」を複数の系列に配置する際に、データが配置された系列の数よりも大きい数の系列をひとつのグループとしながら、複数の系列を複数のグループにまとめる。図7(a)−(b)においては、ふたつの系列をひとつのグループとしているので、4つの系列をふたつのグループにまとめている。また、制御部30は、複数のグループのそれぞれを単位にして、「HT−LTF」が配置されるべきタイミングを互いにずらしている。すなわち、第1のグループの「HT−LTF」と第2のグループの「HT−LTF」とは、異なったタイミングに配置される。
ここで、図7(a)−(b)に記載のごとく、ひとつの系列に対してふたつの「HT−LTF」が配置されている。すなわち、「HT−LTF」の全体は、時間領域において「HT−LTF」が繰り返されることによって形成されている。また、「HT−LTF」の符号の組合せは、グループ内の系列間での直交関係が成立するように規定されている。その結果、前述のごとく、第1のグループ内において、第1成分と第2成分とを加算すれば、第1の系列に対するHT−LTFが抽出される。また、第1のグループ内において、第1成分から第2成分を減算すれば、第2の系列に対するHT−LTFが抽出される。
なお、ひとつの系列に配置される「HT−LTF」の数は、直交関係を成立させるために必要な数によって定められる。そのため、直交関係を成立させるべき系列の数が「2」であれば、ひとつの系列当たりの「HT−LTF」の数は「2」になる。一方、直交関係を成立させるべき系列の数が「3」あるいは「4」であれば、ひとつの系列当たりの「HT−LTF」の数は「4」になる。そのため、図5(b)−(c)等のように副系列の数が「3」である場合、これらの間において直交関係が必要とされるので、「4」つの「HT−LTF」が配置されてしまう。本実施例における図7(a)−(b)では、ひとつのグループに含まれる系列の数を小さくすることによって、直交関係が必要とされる系列の数を小さくする。その結果、ひとつの系列当たりの「HT−LTF」の数が小さくなる。
一方、制御部30は、ベースバンド処理部22に対して、「HT−STF」、「HT−LTF」、「データ」とをひとつの系列に配置することによって、図4(b)のように別のパケット信号を生成させている。なお、別のパケット信号においても、ふたつの「HT−LTF」が含まれている。例えば、データが配置される系列の数が「1」である場合、制御部30は、トレーニング信号を生成するときに図7(a)−(b)のパケットフォーマットを選択し、トレーニング信号を生成しないときに図4(b)のパケットフォーマットを選択する。これらの間において、第1の系列の構成は類似しているので、パケットフォーマットの切替が容易に実現される。
制御部30は、ベースバンド処理部22に対して、HT−LTF等にCDDを実行させる。なお、CDDは、ひとつの系列に配置されたHT−LTFを基準として、他の系列に配置されたHT−LTFに、HT−LTF内での循環的なタイミングシフトを実行させることに相当する。制御部30は、タイミングシフト量に予め優先度を設けている。ここでは、前述のごとく、タイミングシフト量「0ns」の優先度を最も高く設定し、それに続いて「−400ns」、「−200ns」、「−600ns」の順に低くなっていくような優先度を設定する。
さらに、制御部30は、ベースバンド処理部22に、第1のグループに対して、優先度の高いタイミングシフト量から順にタイミングシフト量を使用させる。例えば、図7(a)の場合、第1の系列に対して「0ns」を使用させ、第2の系列に対して「−400ns」を使用させる。また、制御部30は、第2のグループに対しても、優先度の高いタイミングシフト量から順にタイミングシフト量を使用させる。例えば、図7(a)の場合、第3の系列に対して「0ns」を使用させ、第4の系列に対して「−400ns」を使用させる。以上の処理によって、図7(a)に示したパケットフォーマットのパケット信号が生成される。
一方、これとは別に、複数の系列に対してそれぞれ異なった値のタイミングシフト量が設定されていてもよい。例えば、第1の系列のタイミングシフト量として、「0ns」が設定され、第2の系列のタイミングシフト量として、「−400ns」が設定され、第3の系列のタイミングシフト量として、「−200ns」が設定され、第4の系列のタイミングシフト量として、「−600ns」が設定される。以上の処理によって、図7(b)−(d)に示したパケットフォーマットのパケット信号が生成される。
以上の処理によって、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)のようなパケットフォーマットのパケット信号が生成された後、制御部30は、ベースバンド処理部22に、これらのようなパケット信号を変形させる。また制御部30は、変形したパケット信号を無線部20に送信させる。すなわち、制御部30は、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)に示したパケットフォーマットを図8に示したパケットフォーマットに変形させる。ベースバンド処理部22は、系列の数を複数の系列の数まで拡張した後に、拡張された系列に対して、CDDを実行する。
一方、受信装置は、送信装置からのパケット信号を受信する。受信装置は、受信したパケット信号に含まれたHT−LTFから、送信装置との間の伝送路特性を推定する。伝送路特性は、例えば、受信したパケット信号に含まれたHT−LTFと、受信装置に予め記憶されたHT−LTFとの相関を計算することによって導出される。また、伝送路特性は、図2のごとく、経路あるいは系列を単位にして導出される。そのため、伝送路特性は、一般的に行列として示される。さらに、受信装置は、導出した伝送路特性からレート情報を生成して、当該レート情報を送信装置に通知する。送信装置の制御部30は、受けつけたレート情報をもとに、変復調部24に対して変調方式を設定させる。また、制御部30は、受けつけたレート情報をもとに、ベースバンド処理部22に対して系列の数を設定させ、IF部26に対して符号化率を設定させる。
また、受信装置は、導出した伝送路特性をもとに、送信時にビームフォーミングを実行してもよい。あるいは、受信装置は、導出した伝送路特性を送信装置に通知し、送信装置は、送信時にビームフォーミングを実行してもよい。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図11は、ベースバンド処理部22の構成を示す。ベースバンド処理部22は、受信用処理部50、送信用処理部52を含む。受信用処理部50は、ベースバンド処理部22における動作のうち、受信動作に対応する部分を実行する。すなわち、受信用処理部50は、時間領域信号200に対してアダプティブアレイ信号処理を実行しており、そのために時間領域信号200のウエイトベクトルの導出を実行する。また、受信用処理部50は、アレイ合成した結果を周波数領域信号202として出力する。なお、受信用処理部50は、周波数領域信号202をもとにレート情報を生成してもよい。レート情報の生成については、前述のごとく公知の技術でよいので、説明を省略する。
送信用処理部52は、ベースバンド処理部22における動作のうち、送信動作に対応する部分を実行する。すなわち、受信用処理部50は、周波数領域信号202を変換することによって、時間領域信号200を生成する。また、送信用処理部52は、複数の系列を複数のアンテナ12にそれぞれ対応づける。さらに、送信用処理部52は、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)に示されたようなCDDを実行し、図8に示されたようなステアリング行列の演算を実行する。なお、送信用処理部52は、最終的に時間領域信号200を出力する。一方、送信用処理部52は、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)に示されたパケット信号を送信する際に、ビームフォーミングを実行してもよい。ビームフォーミングについては、前述のごとく公知の技術でよいので、説明を省略する。
図12は、受信用処理部50の構成を示す。受信用処理部50は、FFT部74、ウエイトベクトル導出部76、合成部80と総称される第1合成部80a、第2合成部80b、第3合成部80c、第4合成部80dを含む。
FFT部74は、時間領域信号200に対してFFTを実行することによって、時間領域信号200を周波数領域の値に変換する。ここで、周波数領域の値は、図10のように構成されているものとする。すなわち、ひとつの時間領域信号200に対する周波数領域の値は、ひとつの信号線にて出力される。
ウエイトベクトル導出部76は、周波数領域の値から、サブキャリア単位にウエイトベクトルを導出する。なお、ウエイトベクトルは、複数の系列のそれぞれに対応するように導出され、ひとつの系列に対するウエイトベクトルは、アンテナ12の数に対応した要素をサブキャリア単位に有する。また、複数の系列のそれぞれに対応したウエイトベクトルの導出には、適応アルゴリズムが使用されてもよく、あるいは伝送路特性が使用されてもよいが、これらの処理には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは、説明を省略する。なお、ウエイトベクトル導出部76は、ウエイトを導出する際に、前述のごとく、第1成分−第2成分+第3成分−第4成分や第1成分+第2成分等の演算を実行する。最終的に、前述のごとく、サブキャリア、アンテナ12、系列のそれぞれを単位にして、ウエイトが導出される。
合成部80は、FFT部74にて変換された周波数領域の値と、ウエイトベクトル導出部76からのウエイトベクトルとによって、合成を実行する。例えば、ひとつの乗算対象として、ウエイトベクトル導出部76からのウエイトベクトルのうち、ひとつのサブキャリアに対応したウエイトであって、かつ第1の系列に対応したウエイトが選択される。選択されたウエイトは、アンテナ12のそれぞれに対応した値を有する。
また、別の乗算対象として、FFT部74にて変換された周波数領域の値のうち、ひとつのサブキャリアに対応した値が選択される。選択された値は、アンテナ12のそれぞれに対応した値を有する。なお、選択されたウエイトと選択された値は、同一のサブキャリアに対応する。アンテナ12のそれぞれに対応づけられながら、選択されたウエイトと選択された値が、それぞれ乗算され、乗算結果が加算されることによって、第1の系列のうちのひとつのサブキャリアに対応した値が導出される。第1合成部80aでは、以上の処理が他のサブキャリアに対しても実行され、第1の系列に対応したデータが導出される。また、第2合成部80bから第4合成部80dでは、同様の処理によって、第2の系列から第4の系列に対応したデータがそれぞれ導出される。導出された第1の系列から第4の系列は、第1周波数領域信号202aから第4周波数領域信号202dとしてそれぞれ出力される。
図13は、送信用処理部52の構成を示す。送信用処理部52は、分散部66、IFFT部68を含む。分散部66は、周波数領域信号202とアンテナ12とを対応づける。分散部66は、図3(a)−(c)、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)のパケットフォーマットに対応したパケット信号を生成するために、CDDを実行する。CDDは、行列Cとして、以下のように実行される。
ここで、δは、シフト量を示し、lは、サブキャリア番号を示している。さらに、行列Cと系列との乗算は、サブキャリアを単位にして実行される。すなわち、分散部66は、L−STF等内での循環的なタイミングシフトを系列単位に実行する。また、タイミングシフト量は、図3(a)−(c)、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)のごとく設定される。
分散部66は、図5(a)−(b)、図6(a)−(b)、図7(a)−(b)のごとく生成されたトレーニング信号に対して、ステアリング行列をそれぞれ乗算することによって、トレーニング信号の系列の数を複数の系列の数まで増加させる。ここで、分散部66は、乗算を実行する前に、入力した信号の次数を複数の系列の数まで拡張する。図7(a)−(b)の場合、第1の系列と第2の系列に配置された「HT−STF」等が入力されるので、入力した信号の数は、「2」であり、ここでは、「Nin」によって代表させる。
そのため、入力したデータは、「Nin×1」のベクトルによって示される。また、複数の系列の数は、「4」であり、ここでは、「Nout」によって代表させる。分散部66は、入力したデータの次数をNinからNoutに拡張させる。すなわち、「Nin×1」のベクトルを「Nout×1」のベクトルに拡張させる。その際、Nin+1行目からNout行目までの成分に「0」を挿入する。一方、図7(a)−(b)の第3の系列と第4の系列に配置された「HT−LTF」に対して、Ninまでの成分が「0」であり、Nin+1行目からNout行目までの成分にHT−LTF等が挿入されている。
また、ステアリング行列Sは、次のように示される。
ステアリング行列は、「Nout×Nout」の行列である。また、Wは、直交行列であり、「Nout×Nout」の行列である。直交行列の一例は、ウォルシュ行列である。ここで、lは、サブキャリア番号を示しており、ステアリング行列による乗算は、サブキャリアを単位にして実行される。さらに、Cは、前述のごとく、CDDを示す。ここで、CDDにおけるタイミングシフト量は、複数の系列のそれぞれに対して異なるように規定されている。すなわち、第1の系列に対して「0ns」、第2の系列に対して「−50ns」、第3の系列に対して「−100ns」、第4の系列に対して「−150ns」のようにタイミングシフト量が規定される。IFFT部68は、分散部66からの信号に対してIFFTを実行し、時間領域信号200として出力する。
以上の構成による無線装置10の動作を説明する。ひとつの系列に配置されるべきデータをIF部26が受けつけると、制御部30は、ベースバンド処理部22に対して、データ信号が配置された系列にHT−STFを配置させる。また、制御部30は、ふたつの系列をひとつのグループとして、4つの系列に対してふたつのグループを規定しており、ふたつのグループのそれぞれにHT−LTFを配置させる。その際、ふたつのグループのHT−LTFは、互いに異なったタイミングに配置される。ベースバンド処理部22は、このように生成されたパケット信号に対してステアリング行列を乗算することによって、パケット信号を変形させる。無線部20は、変形したパケット信号を複数のアンテナ12から送信する。
本発明の実施例によれば、複数の系列を複数のグループにまとめ、複数のグループのそれぞれが配置されるべきタイミングを互いにずらすので、ひとつのグループ当たりの系列の数を小さくでき、HT−STFとHT−LTFとの強度の差を小さくできる。また、HT−STFとHT−LTFとの強度の差が小さくなるので、HT−STFに対して導出された増幅率をHT−LTFに適した値に近くできる。また、HT−STFに対して導出された増幅率がHT−LTFに適した値に近くなるので、HT−LTFをもとにした伝送路推定の精度を向上できる。また、伝送路推定の精度が向上するので、レート情報の精度を向上できる。
また、伝送路推定の精度が向上するので、ビームフォーミングの制御の精度を向上できる。また、グループ内の系列数は、全体の系列数よりも小さいので、直交関係の対象となる系列数も小さくなり、ひとつの系列に含まれるHT−LTFの数を小さくできる。ひとつの系列に含まれるHT−LTFの数が小さくなるので、伝送効率を向上できる。また、HT−STFがひとつの系列に配置されていても、所定のタイミングにおいてHT−LTFはふたつの系列に配置されているので、HT−STFとHT−LTFとの強度の差を小さくできる。また、HT−LTFがひとつの系列に配置されるときと、HT−LTFが複数の系列に配置されるときに対して、ひとつの系列の構成が類似しているので、両者の切替を容易に実行できる。
また、トレーニング信号を生成する際に、HT−STFが配置される系列の数と、データが配置される系列の数とを同一の数にするので、HT−STFによって設定された利得がデータに対応し、データの受信特性の悪化を抑制できる。また、タイミングシフト量に優先度を規定し、複数のグループのそれぞれに対して、高い優先度から順に使用することによって、同一のタイミングシフト量を多く使用できる。また、同一のタイミングシフト量を多く使用することによって、処理を簡易にできる。また、複数の系列の数を「2」とし、データが配置される系列の数を「1」とする場合、受信装置は、HT−LTFの受信状況に応じて、複数の系列のいずれかにデータが配置されるべきかを送信装置に指示できる。すなわち、送信ダイバーシチを実行できる。
また、複数の系列に配置されたHT−LTFのそれぞれに対するタイミングシフト量は同一の値であるので、データを配置した系列が変更されても、受信装置において容易に対応できる。また、複数の系列のそれぞれに対して異なったタイミングシフト量を設定するので、均一的に処理を実行できる。また、均一的に処理を実行できるので、処理を簡易にできる。また、次に続くパケット信号において、データが配置される系列の数が増加する場合であっても、増加される系列に対するHT−LTFは、同一のタイミングシフト量にて既に送信されているので、受信装置は、既に導出したタイミング等を使用できる。また、既に導出したタイミング等を使用できるので、受信装置は、データが配置された系列の数の増加に容易に対応できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例において、複数の系列の数が「4」である場合を説明した。しかしながらこれに限らず例えば、複数の系列の数は、「4」より小さくても構わないし、「4」より大きくても構わない。これにあわせて、前者の場合、アンテナ12の数が「4」より少なくても構わないし、アンテナ12の数が「4」より大きくても構わない。これらの場合において、ひとつのグループに含まれる系列の数が「2」より大きくてもよく、あるいはグループの数が「2」より大きくてもよい。本変形例によれば、さまざまな系列の数に本発明を適用できる。
本発明の実施例において、グループを単位にして、HT−LTFは異なったタイミングに配置される。しかしながらこれに限らず例えば、同一のタイミングに配置してもよい。図14は、通信システム100におけるさらに別のトレーニング信号用のパケットフォーマットを示す。第1の系列から第3の系列にデータが配置されている。また、トレーニング信号は、図3(a)と同一である。本変形例によれば、HT−LTFの期間を短くできるので、伝送効率を向上できる。
本発明の実施例において、トレーニング信号における「HT−LTF」の符号関係として、各成分が直交の関係を有している行列を示している。しかしながらこれに限らず例えば、各成分が直交の関係でなくても、加算や減算のような簡単な演算によって、各所望の成分を取り出すことができるような符号関係を有している行列であればよい。本変形によれば、トレーニング信号における「HT−LTF」の符号として、さまざまな符号関係を使用できる。
10 無線装置、 12 アンテナ、 14 アンテナ、 20 無線部、 22 ベースバンド処理部、 24 変復調部、 26 IF部、 30 制御部、 100 通信システム。