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JP4565241B2 - 発酵梅の製法およびそれにより得られた発酵梅 - Google Patents

発酵梅の製法およびそれにより得られた発酵梅 Download PDF

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Description

本発明は、発酵梅の製法およびそれにより得られた発酵梅に関するものである。
梅の加工食品として、日本では、梅干しが有名である。梅干しは、古くから日本人に食されてきた保存性に優れた食品であるとともに、クエン酸をはじめとする有機酸や多量のミネラルが含まれ、食欲増進効果、疲労回復効果などもあることが報告されている。梅干しは、通常、青梅を食塩で30日ほど漬け込んだ後、これを取り出し、さらに天日に3日ほど干すことにより製造することができる。
また、近年、食品中の塩分の多量摂取が高血圧等を引き起こす要因の一つとして注意されていることから、市販の梅干しの製造に使用する食塩量も抑えられる傾向にあり、各種製法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−120176公報
しかしながら、減塩梅干しは、保存性に優れず、雑菌が繁殖しやすい等の問題があるため、そのような問題のない新規な梅加工食品の製法が求められている。
一方、梅干しは、一般的な漬物と異なり、発酵処理が行われないが、発酵作用に伴い有機酸の増加で保存性が増し、また、微生物の働きによりビタミンが増加する等といったことも期待されることから、発酵処理を伴う新たな梅加工食品の要請もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、塩分を用いずとも保存性が高く、呈味性に優れ、さらに機能性に富んだ、全く新規な発酵梅の製法およびそれにより得られた発酵梅の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、糖質および塩分除去処理した梅酢を主成分とする培地中に青梅を浸漬させ、上記青梅を培地ごと蒸煮する工程と、上記工程後の培地中に下記(a)に示す担子菌を接種する工程と、上記担子菌により青梅を発酵させる工程とを備えている発酵梅の製法を第1の要旨とする。
(a)カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケおよびスジチャダイゴケからなる群から選ばれた少なくとも一種の担子菌。
また、上記第1の要旨の製法により得られる発酵梅を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その過程で、青梅を塩漬けする従来の梅干しの製法とは全く異なる、発酵作用を伴う製法を採用し、梅加工食品を製造することを想起した。そして、有用な生理活性物質を産出する担子菌を用いて上記発酵を行うことを検討し、また、これにより得られる食品(発酵梅)の呈味性評価の優劣等に基づき、製造工程の特定や発酵に用いる担子菌の特定を行い、保存性が高く、呈味性等に優れる発酵梅の製法を研究した。その結果、糖質(グルコース、でんぷん等)および梅酢(塩分除去処理した梅酢)を主成分とする培地中に、青梅を浸漬させ、上記青梅を培地ごと蒸煮したものに、カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケ、スジチャダイゴケといった特定の担子菌を接種し、発酵を行ったところ、所期の目的が達成できることを突き止め、本発明に到達した。
また、上記製法により得られた本発明の発酵梅は、特定の担子菌によって製造されたものであるため、梅干しにはみられない有用生理活性物質を含有したものとなる。すなわち、抗腫瘍性,免疫活性,抗アレルギー性,食物繊維効果を発揮するβ−D−グルカンや、食物繊維効果を発揮するキチン質,ヘテロ多糖〔ペクチン質,ヘミセルロース,活性ヘミセルロース複合体(AHCC,Active hemicellulose complex),ポリウロナイド,リグニン〕等を含有するものとなる。したがって、本発明の発酵梅は、従来にはない全く新規なものとなり、機能性・健康食品ともなりうる。
なお、本発明において、担子菌とは、子実体が「きのこ」といわれているものをいい、微生物分類学上の担子菌類(ハラタケ類,ヒダナシタケ類,腹菌類,キクラゲ類)のほか、子のう菌類の一部をも含む概念で用いている。
本発明の発酵梅は、糖質および梅酢を主成分とする培地中に青梅を浸漬させ、上記青梅を培地ごと蒸煮した後、上記培地中に、カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケ、スジチャダイゴケといった特定の担子菌を接種し、発酵させることにより得ることができる。そして、この製法では、塩分を必須で用いなくとも雑菌が繁殖することがなく、保存性に優れた製品(発酵梅)を得ることができる。
そして、このような特殊な製法により得られる本発明の発酵梅は、呈味性に優れ、高血圧等を引き起こすといった問題もなく、さらに、従来の梅加工食品にはない、抗がん性物質(β−D−グルカン)等も含有するため、機能性・健康食品として用いることもできる。
特に、青梅を浸漬させる前の上記培地中に、更に豆乳を含有させると、得られる発酵梅の酸味が抑えられ、マイルドな味とすることができる。
また、上記発酵処理を嫌気条件下で行うと、製造時における雑菌の繁殖をより抑制することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の発酵梅は、先にも述べたように、糖質および梅酢を主成分とする培地中に青梅を浸漬させ、上記青梅を培地ごと蒸煮した後、上記培地中に、カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケ、スジチャダイゴケといった特定の担子菌を接種し、発酵させることにより得ることができる。
ここで、本発明において「青梅」とは生の梅の実のことをいい、未完熟の青みを帯びたもの以外にも、完熟度が増し、黄色く色づいたものや赤みを帯びた柔らかめのものをも含む趣旨である。上記青梅は、通常、水洗したものが用いられる。
上記青梅を漬け込む培地(担子菌を繁殖させ、青梅の発酵を促すための培地。漬け汁。)としては、糖質および梅酢を主成分とするものが用いられる。ここで「主成分」とは、通常は、全体の過半量を占めることを意味し、上記培地の全体が主成分のみからなる場合も含まれる。したがって、上記培地は、糖質および梅酢のみからなるものであっても、さらに、それに加え、他の材料を適宜配合したものであってもよい。上記糖質と梅酢とは、重量比で、糖質/梅酢=1/4〜1/1となるよう調製することが好ましい。
上記培地中の糖質としては、グルコース,ガラクトース,フルクトースといった単糖類に属するもの、ショ糖,マルトース,ラクトースといった二糖類に属するもの、炊飯米,芋類,でんぷん,デキストリン,グリコーゲンといった多糖類に属するものがあげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、発酵梅の呈味性をより良好にする観点から、グルコースや炊飯米が好ましく用いられる。
また、上記培地中の梅酢としては、従来公知の梅干し(市販の梅干し等)を製造する際に、副産物として得られるものが用いられる。このような梅酢は、従来では、通常、廃棄処分されてきたものであって、特に有効な活用方法もなかったことから、本発明により、その有効利用を行うことができる。また、上記梅酢中には、通常、食塩が溶け込んでいることから、本発明における減塩(あるいは無塩)の要請からも、塩分除去処理した梅酢用いられる。なお、上記梅酢の塩分除去方法は、特に限定されるものではなく、例えば、イオン交換樹脂が充填されたカラム中に上記梅酢を通過させることにより行うことができる。
そして、上記培地は、前述のように、糖質および梅酢のみからなるものであっても、さらに、それに加え、他の材料を適宜配合したものであってもよい。上記他の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、豆乳、水、果汁、野菜汁、香辛料等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
特に、青梅を浸漬させる前の上記培地中に、更に豆乳を含有させると、発酵梅の酸味が抑えられ、よりマイルドな味となるため好ましい。なお、上記豆乳は、その原料として、例えば、油脂を含有した丸大豆、脱皮大豆、フレーク大豆等を用い、それらを従来公知の方法により加工することにより得ることができる。また、上記培地中における豆乳の重量割合は、10〜40重量%の範囲内とすることが好ましい。
そして、上記培地中に青梅を浸漬させた後、上記青梅を培地ごと蒸煮する処理が行われる。ここで、蒸煮とは、加圧蒸気により加熱処理(オートクレーブ処理)することをいい、通常、ゲージ圧88〜118kPaに調整した加圧釜にて、110〜125℃で、20〜40分間の加熱処理が行われる。
つぎに、上記蒸煮後の青梅および培地に、特定の担子菌を接種し、発酵させることにより、目的とする発酵梅を得ることができる。発酵条件は、特に限定はないが、通常、温度20〜30℃で20〜80日間発酵させる。上記のように発酵処理を嫌気条件下(培地中に青梅を浸漬させたまま、青梅を浮上させない状態)で行うと、製造時における雑菌の繁殖をより抑制することができるため、好ましい。なお、上記担子菌は、純粋培養したものを液体培養し、菌糸体として生育させたものを用いることが好ましい。また、上記培地中の糖度は、2〜10%となるよう糖質を配合することが、発酵を良好に行う点において好ましい。また、発酵時のpHは、使用する担子菌により最適な条件となるよう適宜調整するのが好ましい(通常、pH=4.0〜6.0)。そして、この発酵段階が経過した後、適宜、発酵させた発酵梅を冷蔵し熟成させて、本発明の発酵梅を製造することができる。
なお、本発明の発酵梅は、その製造工程において青梅を裏ごし(青梅を蒸煮処理した後であれば、担子菌を接種する前であっても後であっても良い)し、ペースト状の発酵梅としてもよい。また、本発明の発酵梅は、培地(漬け汁)に漬けたままであっても、培地から取り出したものであっても、更に乾燥処理したものであってもよい。また、本発明の発酵梅には、稀に、その表面に、担子菌による子実体(いわゆる「きのこ」)を形成することがあるが、食用上何ら問題がないことから、この子実体が形成された発酵梅も、本発明に含まれるものとする。
上記蒸煮後の青梅および培地に接種する特定の担子菌としては、各地の森林等で採取される、カワラタケ(Coriolus versicolor ,コリオルス ヴャジカラア)、スエヒロタケ(Schizophyllum commune ,シゾフィラム コムネ)、マンネンタケ(Ganoderma lucidum ,ガノデルマ ルシダム)、カイガラタケ(Lenzites betulina ,レンジテス ベチュリナ)、スジチャダイゴケ(Cyathus striatus,キャトス ストリアトス)といった担子菌が用いられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。すなわち、上記特定の担子菌は、本発明の発酵梅の製法に用いた場合、他の担子菌を用いたときに比べ、格段に呈味性が優れるようになるからである。なお、上記特定の担子菌は、適宜スクリーニング等を行い、より優れた呈味性の発酵梅を製造することができる菌のみを選定し、用いることが好ましい。また、上記特定の担子菌のなかでも、スエヒロタケおよびマンネンタケを用いた場合、得られた発酵梅は、血栓を溶かす作用がある線溶酵素の活性が高い。また、カワラタケおよびマンネンタケを用い得られた発酵梅は、血栓を作りにくくする抗トロンビン活性物質の活性が高いことから、心筋梗塞や脳血栓等の血栓症の予防において、より優れた効能を発揮することができる。さらに、上記特定の担子菌のなかでも、カワラタケ、カイガラタケおよびマンネンタケを用い、それにより得られた発酵梅は、抗酸化活性が高く、特にマンネンタケを用い得られたものは、アルギニン、フェニルアラニン、リジン、ロイシンといったアミノ酸の増加もみられる。
そして、上記特定の担子菌を用い得られた発酵梅では、上記各活性が経時的に低下することなく維持される。しかも、上記製法により得られた本発明の発酵梅は、担子菌の種類によって得ることのできる上記各活性に加え、梅干しにはみられない有用生理活性物質を含有したものとなる。すなわち、本発明の発酵梅は、担子菌由来の生理活性物質であるβ−D−グルカン等を含有しているため、がん予防効果、広範囲にわたる疫病予防効果、アレルギー予防効果(アトピーに有効)、食物繊維効果等も得られる。また、エルゴステロール(プロビタミンD2 )を含有したものとなったり、抗菌活性(保存性を高める)を発揮するものともなり得る。さらに、血糖降下作用(ガノデラン,ペプチドグルカン等による)、血圧降下作用(糖タンパク質等による)、コレステロール低下作用(エリタデニン等による)といった、生活習慣病の予防につながる作用効果も期待できる。したがって、本発明の発酵梅は、従来にはない全く新規なものとなり、機能性・健康食品ともなりうる。
さらに、本発明の発酵梅は、減塩(あるいは無塩)の要請に応えることができるとともに保存性に非常に優れている。そして、その発酵梅の製造に用いた培地(漬け汁)も、減塩あるいは無塩を達成することができ、本発明の発酵梅と同様、呈味性に優れ、担子菌による上述の作用効果も得られることから、上記培地を飲料や調味料として利用することが期待できる。
つぎに、実施例について説明する。
〔担子菌(菌糸体)の培養〕
まず、ポテトデキストロース寒天培地(ニッスイ社製)11.7gに湯300mlを加え、培地を溶解し、pH5.6に調整した後、300ml容三角フラスコ2個に150mlずつ分注し、各フラスコに寒天末(ナカライテスク社製)0.7gずつ加えた。つぎに、それを、120℃、118kPaで、30分間オートクレーブした後、寒天が固まらないうちにクリーンベンチ内で滅菌シャーレに分注し、培地の調製を行った。その後、担子菌の子実体組織0.15gを採取し、これを、上記培地を用いて組織培養(無菌培養)することにより、担子菌(菌糸体)の培養を行った。詳しくは、まず、上記培地(寒天培地)の入ったシャーレ上に、上記子実体組織を植えつけ、それを培養した後、別途準備したスラント(上記寒天培地を用いたスラント)上に、上記培養によって組織から生育した菌糸体を移植し、引き続き培養を行うことにより、目的とする菌糸体を得た。そして、上記培養を行った担子菌は、カワラタケ、カイガラタケ、サナギタケ、マスタケ、スエヒロタケ、ミミブサタケ、ハタケチャダイゴケ、スジチャダイゴケ、ブクリョウ、マンネンタケ、エノキタケ、エリンギタケ、ヒラタケ、ブナハリタケ、マイタケ、ムラサキシメジ、ヤナギマツタケ、ヤマブシタケ、Napa(サルノコシカケ科の一種。タイ国産。)および8B−3(ブナシメジとマスタケとの融合株。「8B−3」とは、本発明者により付された実験上の番号。)の、全20種である。
〔発酵梅の作製〕
500ml容ビーカーに、炊飯米59g、豆乳53ml、梅酢125ml、水23mlを入れ、これに、4個の青梅(水洗済み)を加え、さらに、pH5.6となるよう調整した。これを複数個作製し、アルミホイルをして、オートクレーブ(蒸煮)した(120℃、98kPa、30min)。その後、クリーンベンチ内で、上記のようにして得られたものに、それぞれ、上記培養の各担子菌(菌糸体)の接種(5mm角で2連ずつの植菌)を行い、人工気象器で培養(25℃で46日間)した。
このようにして得られた発酵梅について、下記の基準に従って旨味、芳香性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜3に併せて示した。
〔旨味〕
得られた各発酵梅の旨味を、パネラーの味覚により評価した。すなわち、市販梅干し(塩のみにより調味した一般的なもの。従来例。)を基準とし、旨味が顕著に向上したものを○、市販梅干しと同程度であったものを△、不快な味であったものを×とした。なお、上記評価は、専門パネラー10名による評価の平均をとったものである。
〔芳香性〕
得られた各発酵梅の臭いを、パネラーの臭覚により評価した。すなわち、発酵による芳香性の向上が顕著に確認できたものを○、特に芳香性の向上が確認できなかったか、あるいは不快な発酵臭が確認されたものを△とした。なお、上記評価は、専門パネラー10名による評価の平均をとったものである。
Figure 0004565241
Figure 0004565241
Figure 0004565241
上記結果から、カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケおよびスジチャダイゴケの菌糸体により発酵したものが、呈味性の点において特に有用であることがわかる。なお、発酵梅の培地(漬け汁)においても、これら特定の担子菌を用いたものが呈味性の点で優れていたため、飲料や調味料としての利用が期待できる。
つぎに、上記特定の担子菌(カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケおよびスジチャダイゴケ)を用いて得られた発酵梅の各特性(線溶活性、抗トロンビン活性、抗酸化活性、β−D−グルカンの有無)を、下記の基準に従って測定・評価を行った。これらの結果を、後記の表4に併せて示した。なお、ブランク(対照例)は、担子菌の接種を行わないこと以外は、実施例と同様にして得られたものである。
〔線溶活性〕
梅を漬けていた液(培地)とスパテラで潰した発酵梅とを混合し、これを試料とした。そして、フラットシャーレにフィブリノゲン溶液4mlとトロンビン溶液2.4mlとを加え、直ちにむらのないよう混合し、凝固するまで放置した。このようにして得られたフィブリン平板上に上記試料30μlを載置し、22時間放置後の溶解面積を測定した。それとともに、溶解状態を目視により評価し、フィブリンをクリアに溶かしているものを「C」、フィブリンの周囲のみを溶かしているものを「W」とした。
〔抗トロンビン活性〕
梅を漬けていた液(培地)とスパテラで潰した発酵梅とを、マイクロチューブに0.5g入れ、10000rpmの遠心力で10分間遠心分離し、上澄を得た。ついで、上記上澄を純水により5倍希釈したもの25μl、12.5NHU/mlに希釈したトロンビン(伊藤ハム社製、牛プラズマ由来)50μl、0.08Mリン酸緩衝液25μlを混合し、これを37℃×5分間プレインキュベーションし、さらに0.33%フィブリノゲン溶液200μlを加え、トロンビン凝固時間(フィブリノゲンからフィブリンに変化し凝固するまでの時間)を、コアグロメーター(ヘンリッチ・アムラング社製)を用いて測定した。なお、300秒を超えるものは「300*」と示した。
〔抗酸化活性〕
梅を漬けていた液(培地)とスパテラで潰した発酵梅とを、マイクロチューブに0.5g入れ、10000rpmの遠心力で10分間遠心分離し、上澄を得た。ついで、上記上澄180μl、キサンチンオキシダーゼ溶液60μl、発光試薬(MPEC)10μl、ヒポキサンチン50μmを混合し、これの発光量をルミネッセンサー(アトー社製)により測定し、その結果をもとに、化学発光法に基づき、酸化阻害率(%)を算出した。
〔β−D−グルカンの有無〕
各発酵梅の懸濁液中にβ−D−グルカンが存在するか否かを確認するために、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてβ−D−グルカンの検出を行った。そして、β−D−グルカンのピークを確認できたものには「有り」、確認できなかったものあるいは若干のピークが確認できたが他の実験〔酵素(β−1,3−グルカナーゼ)処理実験〕によりそのピークがβ−D−グルカンでないことを確認したものには「無し」をつけた。
Figure 0004565241
上記結果から、スエヒロタケおよびマンネンタケを用いた場合、得られた発酵梅は、血栓を溶かす作用がある線溶酵素の活性が高いことがわかる。なお、市販の梅干しでは、溶解面積は大きい値を示したが、周りのみを溶かしているだけで、フィブリンを全体的には溶かしてはいなかった。
また、カワラタケおよびマンネンタケを用い得られた発酵梅は、血栓を作りにくくする抗トロンビン活性物質の活性が高い(トロンビン時間が300秒以上)ことから、心筋梗塞や脳血栓等の血栓症の予防において、より優れた効能を発揮することができる。なお、市販の梅干しにおいても300秒以上の値を示したが、高濃度の食塩が添加されてるので、食塩による影響が考えられる。しかしながら、本発明品は、食塩は全く用いてないことから、その抗トロンビン活性が食塩の影響によるものではないことがわかる。
また、担子菌で発酵していないブランクの梅で55%の酸化阻害率を示し、市販の梅干しで34.3%の酸化阻害率を示したのに対し、カワラタケ、カイガラタケおよびマンネンタケを用いて得られた発酵梅は、80%以上の酸化阻害率を示し、高い抗酸化活性を示した。なお、マンネンタケを用いて得られた発酵梅は、他のものに比べ、アルギニン、フェニルアラニン、リジン、ロイシンといったアミノ酸の増加も確認されている。
そして、本発明の発酵梅は、いずれも、従来の梅干しにはない生理活性物質であるβ−D−グルカンが含まれていることがわかる。

Claims (4)

  1. 糖質および塩分除去処理した梅酢を主成分とする培地中に青梅を浸漬させ、上記青梅を培地ごと蒸煮する工程と、上記工程後の培地中に下記(a)に示す担子菌を接種する工程と、上記担子菌により青梅を発酵させる工程とを備えていることを特徴とする発酵梅の製法。
    (a)カワラタケ、スエヒロタケ、マンネンタケ、カイガラタケおよびスジチャダイゴケからなる群から選ばれた少なくとも一種の担子菌。
  2. 青梅を浸漬させる前の上記培地中に、更に豆乳を含有させる請求項1記載の発酵梅の製法。
  3. 上記発酵処理を嫌気条件下で行う請求項1または2記載の発酵梅の製法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製法により得られることを特徴とする発酵梅。
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