本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、一又は二以上の処理液が容易に且つコンパクトに携帯されることにより、コンタクトレンズの取り扱いの利便性が向上され、しかも、レンズ収容領域に所望の処理液を導き入れたり、複数の処理液を導き入れて混合したりすること等が容易に実現されることにより、目的とする処理がレンズに有利に施される新規な構造のコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、(i)取外し可能な蓋部材で覆蓋されることにより実質的に密閉状態とされた、コンタクトレンズを収容することの出来るレンズ収容領域と、(ii)該コンタクトレンズに対して保存や消毒,殺菌等の処理の何れかを一回だけ施すために必要な処理液の所定量を予め収容せしめた密閉状態の処理液貯留領域とを、互いに独立してそれぞれ少なくとも一つ形成すると共に、該レンズ収容領域と該処理液貯留領域を仕切る隔壁を外部操作によって破断可能に形成して、該隔壁を破断させて該レンズ収容領域と該処理液貯留領域を連通せしめることにより、該処理液貯留領域に収容した該処理液を該レンズ収容領域に導き入れることが出来るようにする一方、提供される態様において、前記レンズ収容領域が前記処理液の入っていない空所とされていると共に、前記処理液貯留領域が複数設けられて該レンズ収容領域の一つに対して該処理液貯留領域の複数がそれぞれの前記隔壁を破断させることによって各別に連通せしめられるようにされており、それらの処理液貯留領域から目的に応じて、任意の一つの処理液を該レンズ収容領域に導き入れたり、任意の複数の処理液を適当な組み合わせで該レンズ収容領域に導き入れて混合させることが出来るようにしたコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにある。
このような本態様に従う構造とされたコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいては、コンタクトレンズの保存や蛋白除去,消毒等の処理に際して必要な処理液を、ケースに一体的に形成された処理液貯留領域に必要量だけ収容せしめて、処理ケースとして携行することが出来るのであり、それ故、大量の処理液が収容された別体の大形のボトルを処理ケースと共に持ち歩く必要がなくなる。
また、本態様においては、例えば、複数の処理液貯留領域に予め充填しておく処理液を種類を相互に異ならせたり、それらの量を相互に異ならせたり、或いは同じ種類の処理液を複数の処理液貯留領域に充填しておくことも出来、使用するコンタクトレンズや目的とする処理の内容などに応じて、処理ケースの適用範囲が十分に広く確保され得る。
さらに、本態様においては、例えばコンタクトレンズの保存と、洗浄と、蛋白除去と、消毒などの、予め設定された複数種類の処理の中から、任意の処理を、何時でも施すことが出来るのであり、一つの処理ケースを携行するだけで、必要な処理を適宜に採択して実施することが可能となるのである。
しかも、処理液貯留領域に収容された処理液は、隔壁を破断させるだけの簡単な操作によって、処理ケースの蓋体の開閉や分注等の面倒な操作を必要とすることなく、極めて容易に且つ速やかに行うことが出来る。特に、処理液をレンズ収容領域に充填してコンタクトレンズを浸漬するに際して、処理液が手指に触れる機会も殆どないことから細菌汚染も可及的に回避され得るのであり、また、処理液の周囲への漏れや飛び散りも有利に防止され得るのである。
また、処理液貯留領域は処理ケースに一体的に形成されていることから、処理液貯留領域に収容された処理液を使用した後、廃棄物に過ぎなくなってしまった使用済みの処理液貯留領域を有する処理ケースは、使用者の心理上からも速やかに廃棄されることとなる。それ故、前記特許文献2に示されているような面倒な再封防止用の機構を特別に採用することもなく、処理ケースの繰り返し使用が防止されて、細菌汚染による問題の解決が効果的に図られ得るのである。
なお、本態様において、レンズ収容領域や処理液貯留領域の形状や大きさ,数は、何等限定されるものでなく、処理液貯留領域に収容される処理液の種類や量も、予定する処理の内容や各領域の形状,容積等に応じて、適宜に決定されることとなる。また、隔壁を破断させて処理液をレンズ収容領域に導き入れるに際して、その前にコンタクトレンズをレンズ収容領域に入れておいても良いし、後からコンタクトレンズをレンズ収容領域に入れて処理液に浸漬せしめるようにしても良い。更にまた、コンタクトレンズを処理液に浸漬せしめる際、或いはコンタクトレンズを処理液に浸漬せしめた際に、レンズ収容領域の開口は、解放されていても良いし、蓋部材で覆蓋されていても良い。また、隔壁は、直接に押圧力や刺通力を加えて破断させるようにしても良いが、好ましくは、隔壁において破断し易い箇所を設けておき、処理液貯留領域の壁部を外部から押圧して収容された処理液の圧力を高めて隔壁に作用せしめることにより、隔壁に対して直接に破壊力を及ぼすことなく、処理液の圧力を介して隔壁を破断されるように構成される。これにより、隔壁にも触れることなく、容器の外部からの操作によって、処理液貯留領域からレンズ収容領域へ処理液を導き入れることが可能となって、ケース内部の細菌汚染等が一層効果的に防止され得ることとなる。
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいて、前記処理液貯留領域を画成する壁部の少なくとも一部が手指の押圧操作で変形可能な可撓性膜で形成されており、前記隔壁を破断せしめて前記レンズ収容領域と該処理液貯留領域を連通せしめた状態下で該処理液貯留領域を手指で押圧することにより該処理液貯留領域に収容された前記処理液を該レンズ収容領域に押し出すことができるようにされていることにある。
このような本態様においては、容器の外部から処理液貯留領域の壁部を押圧操作することにより、処理液貯留領域からレンズ収容領域へ処理液を移行させることが出来るのであり、ケース内部の細菌汚染を回避しつつ、簡単な操作で、処理液をレンズ収容領域に導き入れることが可能となる。
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいて、前記処理液貯留領域を画成する壁部が、前記隔壁と、該隔壁に対して所定距離を隔てて対向位置せしめられた底壁と、それら隔壁と底壁の対向領域の周囲を取り囲んで閉塞する筒状の周壁とによって構成されていると共に、該周壁が前記可撓性膜とされており、該底壁を該隔壁に向けて押圧することによって該周壁が圧縮変形して該処理液貯留領域の容積が減少せしめられるようになっていることにある。
このような本態様においては、可撓性膜で形成された処理液貯留領域の周壁が、外部から手指押圧操作で加えられる外力によって潰れるようにして変形することにより、処理液貯留領域の容積が効率的に減少せしめられて、処理液貯留領域に収容された処理液が、レンズ収容領域に対して効率的に導き入れられることとなる。
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至3の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいて、前記処理液貯留領域を複数並設すると共に、かかる複数の処理液貯留領域の前記底壁を硬質のプレート材で一体的に形成することにより、該プレート材を押圧することによって該複数の処理液貯留領域にそれぞれ収容された前記処理液を前記レンズ収容領域に対して同時に導き入れることが出来るようにしたことにある。
このような本態様においては、複数の処理液貯留領域に収容した処理液を、レンズ収容領域に対して一層容易に且つ速やかに押し出して導き入れることが可能となる。特に、本態様は、混合して使用する複数種類の処理液をそれぞれの独立した処理液収容領域に適当量ずつ充填しておいて、それらの処理液を同時にレンズ収容領域に押し出して導き入れることにより、複数の処理液を予め設定された分量ずつ高精度な割合いで混合して使用することが可能となる。
(本発明の態様5)
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至4の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにあって、複数の前記処理液貯留領域の少なくとも二つにおいて、収容された前記処理液が互いに異なっていることにある。
このような本態様においては、例えば、複数の処理液貯留領域に対して保存液や消毒液,中和液,洗浄液等の何れかを各別に充填しておくことにより、レンズケースの使用目的に応じて任意の処理液を選択して使用することが可能となって、処理ケースを一層広い使用目的で利用することが可能となる。具体的には、例えば、取り外したコンタクトレンズに消毒処理を施すに際して、先ず、消毒液をレンズ収容領域に導き入れてコンタクトレンズに所定時間の消毒を施した後、中和液を混入させて中和させることによってコンタクトレンズを保護し、その後、殺菌液と中和液の全てを排出した後に洗浄液をレンズ収容領域に導き入れてコンタクトレンズを洗浄し、最後に、洗浄液を排出した後に保存液をレンズ収容領域に導き入れて、翌朝までコンタクトレンズを保存液に浸漬せしめて保存しておくなどといったことも、単一のレンズケースを用いて可能となる。
(本発明の態様6)
本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至5の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにあって、複数の前記処理液貯留領域の少なくとも二つにおいて、収容された前記処理液が互いに同一であることにある。
このような本態様においては、例えば、複数の日において毎日交換して使用する保存液を、レンズケースと共に一体的に携行することが可能となる。即ち、複数の処理液貯留領域に対してそれぞれ保存液を収容しておいて、日が替わる毎に順次に一つずつ保存液が収容された処理液貯留領域からレンズ収容領域に保存液を導き入れて使用することにより、毎日、新しい保存液を使用することが出来るのであり、全ての処理液貯留領域を使用した後は、レンズケースを廃棄処分することによって簡便な使用性が実現され得るのである。また、例えば一週間に一度の蛋白除去処理が必要なコンタクトレンズの場合には、それぞれ一日分の保存液が収容された7個の処理液貯留領域と、一回分の蛋白除去用処理液が収容された1個処理液貯留領域をレンズケースに設けておくことにより、忘れることなく蛋白除去処理を行わせることが出来るのであり、このように、コンタクトレンズに必要とされる所定間隔の処理の失念を防止する効果もある。
(本発明の態様7)
本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至6の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースであって、前記レンズ収容領域を画成する壁部において、テーブル等の支持面上に載置することが出来る平坦な底面をもった硬質の底壁部を設けると共に、該底壁部を外れた周壁部の外周面上に前記処理液貯留領域を形成したことにある。
このような本態様においては、ケースの底壁部を安定した形状で高強度に形成することが出来ることから、ケースをテーブル等の上に安定して載置して利用することができる。また、ケースをテーブル等の上に載置した状態下で不用意に押し付けても、処理液貯留領域が底壁部を外れて形成されていることから、処理液貯留領域に収容された処理液が予期せずにレンズ収容領域に導き入れられるようなこともない。
(本発明の態様8)
本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至7の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいて、前記蓋部材に対して前記処理液貯留領域を形成したことにある。
このような本態様においては、レンズ収容領域を備えた容器本体と処理液貯留領域を備えた蓋部材が、別途製作されることから、容器本体と蓋部材を、それぞれ要求される特性を満足するように、例えば各別に異なる材料や成形方法を採用して、容易に製造することが可能となる。また、蓋部材は、一般に、容器本体の上部開口部分を覆蓋するようにして装着されることから、容器本体に蓋部材を装着せしめた状態下で蓋部材に形成された処理液貯留領域の壁部を押圧することにより、重力を利用して処理液をレンズ収容領域に容易に導き入れることが出来ると共に、かかる処理液の処理液貯留領域への逆流等の問題も、特別な機構を採用することなく防止され得て、使用も容易となる。
(本発明の態様9)
本発明の態様9の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至8の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースであって、前記レンズ収容領域を画成する壁部において、非親水性の透過膜で遮断した通気孔を形成し、該レンズ収容領域を前記蓋部材で実質的に密閉状態とした状態下で、前記処理液の漏出を防ぎつつ該通気孔を通じて該レンズ収容領域から外部へのエアの排出を許容することにより、前記処理液貯留領域の容積を減少させて該処理液貯留領域に収容された該処理液を該レンズ収容領域に導き入れることが出来るようにしたことにある。
このような本態様においては、レンズ収容領域を画成する壁部に通気孔が設けられていることにより、処理液を処理液貯留領域からレンズ収容領域に導き入れる際に、レンズ収容領域に存在する空気等の気体が通気孔を通じて外部に排出される。それ故、レンズ収容領域を蓋部材で実質的に密閉状態とした状態下でも、処理液をレンズ収容領域に対して容易に導き入れることが出来るのである。また、本態様では、通気孔が非親水性の透過膜で遮断されていることから、処理液が通気孔から漏出される等の不具合も防止され得る。
なお、本発明では、本態様に従う構造の他、例えば、通気孔が形成されていなくても、蓋体を取り外すこと等でレンズ収容領域からの排気を許容せしめた状態下で、処理液貯留領域からレンズ収容領域に処理液を導き入れるようにすることが出来る。また、通気孔に非親水性の透過膜を配設しなくても、かかる通気孔を剥離可能なシールで封止しておいて、必要な場合にだけ該シールを剥がしてレンズ収容領域から大気中への排気を許容せしめた状態下で、処理液貯留領域からレンズ収容領域へ処理液を導き入れるようにすることも可能である。
(本発明の態様10)
本発明の態様10の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至9の何れかに係るコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいて、前記レンズ収容領域が、右眼レンズ用と左眼レンズ用の二つ設けられていることにある。
このような本態様においては、左右両眼にコンタクトレンズが装用される多くの利用者にとって、一つの処理ケースを携行するだけで、左右のコンタクトレンズに対して必要な処理を同時に施すことが可能となって、利便性の更なる向上が図られ得る。
上述の説明からも明らかなように、本発明に従う構造とされたコンタクトレンズ用の使い捨て処理ケースにおいては、処理ケースに対して処理液が付帯して備えつけられていることから、別途に大きな処理液ボトルを携行する必要がなくなり、コンタクトレンズの使用利便性が一層向上され得る。
また、かかる処理ケースは、処理液貯留領域が一体的に設けられており、そこに収容された処理液を使用することによって廃棄せざるを得なくなることから、使い捨てとして使用されることとなり、繰り返しての使用に起因する雑菌の繁殖等の問題も、有利に回避され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜2には、本発明の第一の実施形態としての使い捨て処理ケース10が示されている。かかる処理ケース10は、レンズ収容領域12を備えた容器本体14や蓋部材としての覆蓋シート16を含んで構成されている。なお、以下の説明中、原則として、上下方向とは、図1,2中の上下方向をいう。
より詳細には、容器本体14は、全体として略有底円筒形状を呈しており、略円筒形状の周壁部18と略円板形状の底壁部20を含んで構成されている。なお、容器本体14の材料としては、何等限定されるものでないが、製作性やコスト性、取扱性等を考慮して、強度や耐薬品性に優れた合成樹脂材等を採用することが望ましく、特にフッ素樹脂やポリアミド、ポリアフリレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、非結晶ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等、或いはそれらの複合体や多層構造体などが好適に採用される。そして、容器本体14の内部空所が、周壁部18と底壁部20からなる壁部で画成されて上方向かって開口するレンズ収容領域12とされている。
このレンズ収容領域12は、コンタクトレンズ22(図5参照)が収容されるに適当な大きさとされている。なお、適用されるコンタクトレンズ22の材質や種類等は、何等限定されるものでなく、例えばHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)を素材とする使い捨てタイプの親水性ソフトコンタクトレンズなどに対して、本実施形態の処理ケース10が有利に適用され得る。
さらに、容器本体14の開口部には、覆蓋シート16が被せられており、この覆蓋シート16によって、容器本体14の開口部が開口可能に密閉されている。ここにおいて、かかる覆蓋シート16による密閉構造は、特に限定されるものでなく、例えば従来から公知のジップロックやインターロックなどによる、繰り返し開閉可能な封止構造が任意に採用され得る。
具体的には、例えば、図3に示されているように、容器本体14における周壁部18の開口周縁部において、内周面上に突出する係止突起24を、周方向の略全周に亘って延びるように突設する一方、覆蓋シート16の内面に対して、外周部分を周方向に延びる内外一対の環状突部23,25を突設する。そして、覆蓋シート16を弾性変形させること等により内外の環状突起23,25に対して、容器本体14の係止突起24を入り込ませて嵌め合わせることにより、覆蓋シート16による容器本体14の密閉構造が実現され得る。
なお、覆蓋シート16は、後述する処理液38に対して耐蝕性を有し、且つかかる処理液38やコンタクトレンズ22等の内容物が容器外部に漏れ出すのを防ぐように非透水性の材料を用いて、単層または多層構造のフィルム状に形成される。その具体的な材料としては、例えば、前記容器本体14の材料として挙げられた各種の合成樹脂材料の他、アルミニウム等の金属材や、それら合成樹脂材と金属材の積層体等が好適に採用される。また、かかる覆蓋シート16は、処理ケース10として提供する初期には、容器本体14の開口端面に対して接着や溶着等によって固着されていても良い。
特に本実施形態では、容器本体14の開口端面における周上の一部に連結保持領域26が設定されており、この連結保持領域26においては、覆蓋シート16が容器本体14に対して容易に剥離され得ないように強固に固着されている。なお、本実施形態では、かかる連結保持領域26では、覆蓋シート16において環状突起23,25も形成されていない。
一方、覆蓋シート16には、連結保持領域26に対して径方向で対向位置する部分に位置して、外周側に突出する把持部27が形成されている。そして、覆蓋シート16は、この把持部27を手指で摘んで上方に引き上げることにより、覆蓋シート16を容器本体14から剥離させて容器本体14を容易に開口させることが出来るようになっている。そして、覆蓋シート16を連結保持領域26の両端縁部に至るまで引き剥がすことによって、容器本体14が実質的に開口せしめられるようになっていると共に、連結保持領域26は容易に引き剥がすことが出来ないことから、開口状態においても、覆蓋シート16は、かかる連結保持領域26で容器本体14に連結維持されるようになっている。従って、開封後に、再び覆蓋シート16を容器本体14の開口部に重ね合わせて、その環状突起23,25に係止突起24を嵌合させることにより容器本体14の開口部を覆蓋シート16で再封止する作業を容易に行うことが出来るようになっている。
また、容器本体14の底壁部20には、可撓性膜としての貯留膜30が固着されている。かかる貯留膜30は、全体として上方に開口する円形の略袋形状乃至は浅底カップ形状を呈しており、特定的に容易に圧縮変形し得る可撓性を有している。なお、この貯留膜30には、特に軟質で変形容易且つ破断強度に優れた材料が用いられることとなり、例えば、前記容器本体14の材料として挙げられた各種の合成樹脂材や、各種の天然或いは人工のゴム材、或いはそれら合成樹脂材とゴム材の複合材等から、後述する処理液38に対する耐蝕性などを考慮して適宜に選択採用される。
そして、貯留膜30の開口部分が、容器本体14の底壁部20の外面に対して溶着や接着等によって流体密に固着されている。これにより、貯留膜30の開口が容器本体20の底壁部20で覆蓋されており、以て、貯留膜30と容器本体20の間に、処理液貯留領域32が形成されている。特に本実施形態では、全体として円形カップ状の貯留膜30が、その開口する外周縁部と、半径方向一方向に延びる部位において、それぞれ底壁部20に対して固着されている。これにより、一対の半円状の貯留膜30a,30bによって壁部の一部が構成されて、相互に独立した二つの処理液貯留領域32a,32bが形成されている。
さらに、処理液貯留領域32の壁部の一部を構成する容器本体14の底壁部20には、板厚方向に貫通する一対の連通口34,34が設けられている。そして、これらの連通口34,34は、各一方の処理液貯留領域32a,32bを、容器本体14のレンズ収容領域12に連通せしめるようになっている。
また、各連通口34における処理液貯留領域32a,32b側への開口部には、隔壁としての隔膜36が、底壁部20の外面に被着されて配設されている。かかる隔膜36は、不透水性とされており、連通口34を通じての処理液の通過を防止するようになっている。また、隔膜36は、薄肉の膜状とされていると共に、圧力が膜表面に及ぼされることによって容易に破断され得るように、適当な材料が選択されたり、傷等が予め付与されたり、適当な応力集中部位が形成されて、破断予定部が形成されている。なお、かかる隔膜36の材料としては、後述する処理液38に対する耐蝕性などを考慮して、例えば容器本体14の材料として挙げられた合成樹脂材や金属薄膜等が適宜に採用され得る。
そして、このようにして外部空間に対して密封され、レンズ収容領域12からも遮断された処理液貯留領域32a,32bには、それぞれ、所定の処理液38a,38bが収容されている。これらの処理液38a,38bとしては、何等限定されるものでなく、コンタクトレンズ22に対して施すべき処理に応じて、各種のものが採用され得る。具体的に例示すると、MPS(Multi Purpose Solution)やタンパク質洗浄液、タンパク質洗浄補助剤、過酸化水素水、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ポリビニルピロリドン(所謂、ポビドン)、ポビドンヨード、洗浄保存液、洗眼液、すすぎ液、タンパク質分解酵素液、保存液等の他、コンタクトレンズ22やレンズ収容領域12、眼等を殺菌、消毒、洗浄等せしめる各種の溶液が採用される。
因みに、上述のMPSは、コンタクトレンズ22やレンズ収容領域12に対する洗浄効果やすすぎ効果、殺菌効果、保存効果等を一括して発揮し得る処理液として用いられる。タンパク質洗浄液は、次亜塩素酸ナトリウムを含んで構成され、コンタクトレンズ22等に付着したタンパク質を洗浄除去する処理液として用いられる。タンパク質洗浄補助剤は、臭化カリウムを含んで構成されており、次亜塩素酸塩を次亜臭素酸塩に置換する。このタンパク質洗浄補助剤がタンパク質洗浄液等に添加されることにより、タンパク質の洗浄効果が次亜塩素酸塩を単独で用いるよりも向上されると共に、安全性が向上されることとなる。また、過酸化水素水は、コンタクトレンズ22等に対して殺菌効果や保存効果を発揮し得る処理液として用いられる。なお、過酸化水素水を処理液38として用いる場合には、被装用者の安全を確保するためにPt等の触媒を用いて過酸化水素水を中和したり、適当なすすぎ液を用いてレンズに付着した過酸化水素水をすすいだりした後に、コンタクトレンズ22を装用させるようにされ、そのために必要なすすぎ液が処理液として採用される。また、EDTAは、過酸化水素水やポビドンヨード等に添加されることにより中和処理を施すための処理液として採用される。更に、EDTAは、涙液中に含まれるカルシウム等をキレート化することにより、コンタクトレンズ22等にカルシウムが固着されることを防ぐ能力を備えていることから、保存液等に添加することにより、その成分の安定性を図るための処理液として採用される。また、ポリビニルピロリドンは、液体の粘度を向上させる、所謂、増粘剤、粘稠化剤としての処理液として採用される。ポビドンヨードは、ヨウ素がポリビニルピロリドンで包摂された液体であり、殺菌剤等の処理液として用いられる。洗浄保存液は、レンズの洗浄効果および保存効果を発揮し得る処理液として採用される。洗眼液は、コンタクトレンズ22を外した後やコンタクトレンズ被装用者が眼の不快感を訴えた場合等に、眼の洗浄に使用するための処理液として採用される。すすぎ液は、コンタクトレンズ22に付着した埃や細菌等をすすいだり、或いは過酸化水素水等の殺菌剤による殺菌処理を施した後にコンタクトレンズ22に付着された殺菌剤をすすいだりするための処理液として採用される。タンパク質分解酵素液は、例えば、コンタクトレンズ22を浸漬した保存液に滴下することにより、レンズ表面に吸着乃至は固着されたタンパク質や変性タンパク質を分解し、コンタクトレンズ22を清浄化せしめる処理液として採用される。保存液は、例えば無菌水溶液や等浸透圧食塩水等を含んで構成されており、コンタクトレンズ22の乾燥を防ぎ、且つコンタクトレンズ22をすぐに使用できる状態に維持せしめる処理液として採用される。
このように、コンタクトレンズ22には、その種類や目的に応じて各種の処理液が必要とされるが、本実施形態における二つの処理液貯留領域32,32には、それらの処理液の中から、適当に選択されたものが収容されることとなる。そこにおいて、処理液貯留領域32,32に収容される処理液は、具体的に限定されるものでなく、上述の各種の液体や、或いはそれらを適宜に混合した液体等が適宜に採用され得ることが理解されるべきである。
また、二つの処理液貯留領域32に収容される処理液38の組み合わせも、特に限定されるものでない。具体的には、例えば、一方の処理液貯留領域32aにMPSを収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにタンパク質分解酵素液を収容しても良い。また、一方の処理液貯留領域32aにタンパク質洗浄液を収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにタンパク質洗浄補助剤を収容しても良い。更に、一方の処理液貯留領域32aに過酸化水素水を収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにEDTAを収容しても良い。更にまた、一方の処理液貯留領域32aに低温度過酸化水素水を収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにEDTA・NaFe(またはFeイオン水溶液)を収容しても良い。また、一方の処理液貯留領域32aにポビドンを収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにEDTA等の還元剤を収容しても良い。更に、一方の処理液貯留領域32aに洗浄保存液を収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにすすぎ液を収容しても良い。これら洗浄保存液とすすぎ液を用いる場合には、水道水のない場所でもコンタクトレンズ22等をすすぐことが可能となる。更にまた、一方の処理液貯留領域32aに洗眼液を収容すると共に、他方の処理液貯留領域32bにMPSを収容しても良い。これら洗眼液とMPSを用いる場合においては、洗眼液を処理液貯留領域32aからレンズ収容領域12に導き入れて洗眼を行うことにより、容器本体14が洗眼カップとして利用されると共に、洗眼後、洗眼液を廃棄すると共に、MPSを処理液貯留領域32bからレンズ収容領域12に導き入れて、レンズをMPSに浸漬して殺菌保存することが出来る。また、両方の処理液貯留領域32a,32bに同一種類の液体を収容することも勿論可能である。
因みに、本実施形態では、一方の処理液貯留領域32aに過酸化水素水を含む処理液38aが収容されていると共に、他方の処理液貯留領域32bにEDTAを含む処理液38bが収容されている。
このような構造とされた使い捨て処理ケース10においては、例えば、任意の貯留膜30a,30bに外部操作としての手指による押圧操作を施して処理液貯留領域32a,32bを加圧し、処理液38a,38bの圧力を介して隔膜36に外力を及ぼすことによって隔膜36を破断させることが出来る。これにより、加圧された処理液貯留領域32a,32bの処理液38a,38bは、隔膜36の破断部位を通じて、連通口34,34を通じて、レンズ収容領域12に導き入れられることとなる。
なお、貯留膜30a,30bを押圧変形させて処理液38a,38bをレンズ収容領域12に向けて排出した後においては、レンズ収容領域12から処理液貯留領域32への処理液38a,38bの逆流が防止されるようになっている。具体的には、例えば破断された隔膜36を、逆止弁の機能が発揮される形状乃至は構造をもって形成したり、容器本体14やレンズ収容領域12に収容された処理液38a,38bの重量によって貯留膜30a,30bが押し潰された状態に保持されるように構成したり、或いは貯留膜30a,30bが押し潰された後に復元しないように貯留膜30a,30bの材料を選択すること等によって、レンズ収容領域12から処理液貯留領域32への処理液38a,38bの逆流防止が実現され得る。
次に、本実施形態の使い捨て処理ケース10を用いてコンタクトレンズ22に特定の処理を施す一具体例について説明するが、かかる処理ケース10の使用態様は、かかる具体例に限定されるものでない。
先ず、図1〜2に示される如き使い捨て処理ケース10を準備する。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態の処理ケース10は、使用前にレンズ収容領域12が空状態とされていることに加えて、覆蓋シート16が容器本体14の周壁部18に密着して固着されていることにより、レンズ収容領域12が完全に密閉された状態となっている。
かかる処理ケース10の使用に際しては、先ず、図4に示されているように、覆蓋シート16の把持部27を摘んで覆蓋シート16の僅かな一部だけを容器本体14から剥離させることで、レンズ収容領域12からの排気を許容せしめた状態とする。その後、過酸化水素水を含む処理液38aを収容した処理液貯留領域32aの壁部の一部を構成する貯留膜30aに対して、手指等の押圧操作を施す。これにより、処理液貯留領域32a内の圧力を増大させて隔膜36を破断させ、処理液38aを連通口34を通じてレンズ収容領域12に導き入れる。
その後、容器本体14から覆蓋シート16を大きく剥離させて、連結保持領域26だけで固着部位が残された状態として、レンズ収容領域12を十分に開口させる。かかる状態下で、装用していたコンタクトレンズ22を外して、レンズ収容領域12に対し、その開口部から投入して、処理液としての過酸化水素水38aに浸漬せしめる。続いて、図5に示されているように、一度開口せしめた覆蓋シート16を、再び容器本体14の開口部に重ね合わせ、覆蓋シート16の係止溝28に容器本体14の係止突起24を嵌合せしめることによって、レンズ収容領域12を密閉状態とする。
この状態で、所定時間だけ静置することにより、コンタクトレンズ22を過酸化水素水からなる処理液38aで殺菌処理する。その後、EDTAを含む処理液38bを収容した処理液貯留領域32bの壁部の一部を構成する貯留膜30bに対して手指等の押圧操作を加えて隔膜36を破断させ、処理液38bを連通口34を通じてレンズ収容領域12に導き入れる。これにより、図6にも示されているように、レンズ収容領域12に収容された過酸化水素水からなる処理液38aにEDTAを含む処理液38bを混合して過酸化水素水を中和することにより、コンタクトレンズ22への過度の悪影響を回避する措置を施す。そして、その後にレンズ収容領域12からコンタクトレンズ22を取り出すことにより、殺菌処理が施されたコンタクトレンズ22を得ることが出来るのである。
一方、処理ケース10は、二つの隔膜36,36が破断されることをもって使用済みとなり、外観上も機能上も再利用に耐えないことから、処理液38a,38bと共に廃棄されることとなる。
上述の如き構造とされた使い捨て処理ケース10においては、レンズ収容領域12だけでなく、処理液38a,38bを予め収容した処理液貯留領域32a,32bが一体的に設けられていることから、必要な処理液を充填せしめた大形のボトルを処理ケースと別途に携帯する必要がないのであり、特に、2液が必要とされる上述の如き消毒処理に際しても、処理ケース10だけを携行して出張や旅行に行くことができることから、コンタクトレンズの利便性が大幅に向上され得るのである。
しかも、本実施形態の処理ケース10においては、処理液貯留領域32とレンズ収容領域12の隔壁部分に設けられた連通口34を通じて、処理液貯留領域32に収容された処理液38がレンズ収容領域12に対して、処理ケース10内で直接に注入されるようになっており、処理液38を外部に取り出す必要がないことから、処理液38が容易に且つ確実にレンズ収容領域12に導き入れられることとなり、容器外部への零れ出しも防止され得る。
また、本実施形態の処理ケース10は、覆蓋シート16がその開封後においても一部(連結保持領域26)で容器本体14に固着保持されるようになっていることから、開封後の再封止を容易に行うことが出来ると共に、覆蓋シート16の紛失が防止されることとなり、また、処理ケース10を使用後に廃棄する場合などにも一体的に取り扱うことが出来ることから、取扱いが容易となる。
さらに、本実施形態の処理ケース10は、使用者に提供される初期状態で、レンズ収容領域12が処理液38の入っていない空所とされていることから、このレンズ収容領域12に対して別途に準備した保存液を注入してコンタクトレンズの保存ケースとして利用することも可能であり、保存ケースとして使用した後に、消毒処理を施すことも出来る。
また、本実施形態の処理ケース10においては、各処理液貯留領域32a,32bに対して、それぞれ一回の処理に必要とされるだけの量の処理液38a,38bが収容されていることから、各処理液38a,38bを無駄なく必要量だけ効率的に使用して処理を実施することが出来るのであり、また、上述の如く2液を混合する場合でも、2液の混合割合を精度良く容易に設定して処理を実施することが可能となる。
なお、本実施形態の処理ケース10においては、二つの処理貯留領域32a,32bが、互いに独立して形成されていると共に、各別に形成された連通口34,34によってレンズ収容領域12に接続されるようになっていることから、前述の如く、それら各処理液貯留領域32,32に対して、コンタクトレンズ22の目的とする処理に応じて、適当な種類の処理液を収容せしめることが可能であり、使用者の要求等に応じた種々なる処理に対して広範に対応することが出来ることは、言うまでもない。
次に、図7には、本発明の第二の実施形態としての使い捨て処理ケース40が示されている。なお、本実施形態を含む以下の各実施形態の説明中、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る使い捨て処理ケース40においては、容器本体14の底壁部(20)に3つの貯留膜30a,30b,30cが設けられている。これらの貯留膜30a,30b,30cは、それぞれ、上方に開口する略円形カップ形状を有しており、その開口周縁部において容器本体14の底壁部に対して流体密に固着されている。これにより、本実施形態では、貯留膜30と底壁部(20)で画成される処理貯留領域(32)が、互いに独立して3つ設けられており、これらの処理液貯留領域(32)に対して、それぞれ処理液(38)が収容されて、それぞれ、隔膜(36)を備えた連通口34を介してレンズ収容領域(12)と独立して設けられている。
これら各処理液貯留領域(32)に収容される処理液(38)の種類や組み合わせは、前記第一の実施形態と同様に、何等限定されるものでない。具体的には、例えば、一つの処理液貯留領域(32a)にMPSを収容し、別の処理液貯留領域(32b)にタンパク質分解酵素液を収容し、また別の処理液貯留領域(32c)にすすぎ液を収容するようにしても良い。また、一つの処理液貯留領域(32a)にタンパク質洗浄液等の洗浄液を収容し、別の処理液貯留領域(32b)に過酸化水素水等の殺菌液を収容し、また別の処理液貯留領域(32c)にすすぎ液を収容するようにしても良い。或いは、一つの処理液貯留領域(32a)にタンパク質洗浄液を収容し、別の処理液貯留領域(32b)にタンパク質洗浄補助剤を収容し、また別の処理液貯留領域(32c)にすすぎ液を収容するようにしても良い。或いはまた、一つの処理液貯留領域(32a)に過酸化水素水を収容し、別の処理液貯留領域(32b)にEDTAを収容し、また別の処理液貯留領域(32c)にすすぎ液を収容するようにしても良い。また、一つの処理液貯留領域(32a)にポビドンを収容し、別の処理液貯留領域(32b)に還元剤を収容し、また別の処理液貯留領域(32c)にすすぎ液を収容するようにしても良い。また、各処理液貯留領域32に同一種類の液体、例えば保存液を収容することも勿論可能である。
従って、本実施形態に従う構造とされた使い捨て処理40ケースにあっては、処理液貯留領域(32)が相互に独立して三つ設けられていることから、より多様なコンタクトレンズ(22)の処理に対して対応することが可能となる。
次に、図8〜9には、本発明の第三の実施形態としての使い捨て処理ケース50が示されている。かかる処理ケース50においては、容器本体14の周壁部18の外周面に一対の貯留膜30a,30bが固設されている。即ち、有底の略袋状乃至はカップ状を呈する一対の貯留膜30a,30bが、その開口周縁部において容器本体14の周壁部18に対して流体密に固着されることによって、貯留膜30と容器本体14の周壁部18で壁部が構成されて処理液貯留領域32a,32bが形成されている。また、各処理液貯留領域32a,32bの各壁部の一部を構成する周壁部18には、それぞれ、隔膜36で覆蓋された連通口34が貫設されている。
このような構造とされた使い捨て処理ケース50においては、処理液貯留領域32が容器本体14の周壁部18に設けられていることにより、剛性を有する容器本体14の底壁部20を適当な支持面に安定して載置させることが出来るのであり、処理液貯留領域32a,32bから処理液を排出して貯留膜30a,30bが潰れた後でも、処理ケース50をテーブル等の上に安定して載置することが可能となる。
次に、図10〜11には、本発明の第四の実施形態としての使い捨て処理ケース60が示されている。この処理ケース60における容器本体14の底壁部20の外面には、それぞれ有底の略カップ形状を呈する4つの貯留膜30a,30b,30c,30dが、それぞれ開口周縁部において流体密に固着されており、合計4つの処理貯留領域32a,32b,32c,32dが形成されている。また、これら4つの処理貯留領域32a,32b,32c,32dは、各別に、処理ケース60の底壁部20に設けられた、隔膜36を備えた連通口34を通じて、レンズ収容領域12に接続可能とされている。
また、容器本体14の底部側には、周壁部18を下方に延長させたような筒体形状を有する支持筒部62が、底壁部20よりも軸方向下方に向かって突出して一体形成されている。そして、この支持筒部62によって、4つの貯留膜30a,30b,30c,30dが囲まれている。これにより、4つの貯留膜30a,30b,30c,30dが硬質材からなる支持筒部62で保護されて、例えば携行に際しての損傷等が防止され得る。また、支持筒部62の軸方向下端が、何れの貯留膜30a,30b,30c,30dよりも下方にまで突出していることから、容器本体14をテーブル等に載置するに際して、硬質材からなる支持筒部62の下端面で容器本体14を安定して支持せしめることが出来るのであり、何れかの貯留膜30a,30b,30c,30dが押し潰されたあとも、支持筒部62によって、容器本体14を安定してテーブル上等に載置することが可能となる。
さらに、本実施形態では、容器本体14の上側開口部分を覆蓋する蓋部材として、容器本体14と同様な材料からなる硬質の蓋体66が採用されている。この蓋体66は、逆カップ形状とされており、その周壁部62において、容器本体14の周壁部18の開口部分に対して着脱可能にねじ止めされるようになっている。また、蓋体66の上底部64には、中央部分に通気孔70が貫設されている。そして、この通気孔70を覆蓋するようにして透過膜72が、上底部64の上面に重ね合わされて剥離不能に貼着されている。
この透過膜72は、空気の通過は許容するが収容された処理液の通過は阻止する、非親水性(疎水性)を有する多孔質膜であって、より好ましくは有害な粉塵や細菌の透過を阻止し得る孔径や多孔質構造を備えたものが採用される。具体的には、例えばPTFE延伸多孔質膜が挙げられるが、その他、天然,合成を問わず公知の各種の多孔質構造体が採用可能である。
かくの如き蓋体66を備えた使い捨て処理ケース60では、蓋体66を容器本体14から取り外した後、蓋体66を容器本体14に対して強固に固定して確実に再封止することが出来る。しかも、透過膜72で細菌汚染を防止しつつ、通気孔70を通じてのレンズ収容領域12から外部への排気が許容されるようになっていることから、蓋体66で容器本体14を封止した状態のまま、何れかの貯留膜30a,30b,30c,30dを押圧して、処理液貯留領域32a,32b,32c,32dに収容された処理液38a,38b,38c,38dをレンズ収容領域12に導き入れることが出来るのである。即ち、処理液38がレンズ収容領域12に導き入れられると、余剰となったレンズ収容領域12内の空気が通気孔70および透過膜72を通じて外部に排出されるのであり、レンズ収容領域12の細菌汚染が一層有利に防止されると共に、処理液38の外部への零れ出しをより確実に防止することが出来るのである。
次に、図12〜13には、本発明の第五の実施形態としての使い捨て処理ケース80が示されている。
本実施形態の使い捨て処理ケース80は、前記第四の実施形態に係る使い捨てケース60において複数の処理液貯留領域32が容器本体14の底壁部20の外面に設けられていたのに対して、かかる複数の処理液貯留領域32を蓋体66の外面に設けたことに大きな特徴を有している。
また、蓋体66には、外周縁部から上方に向かって筒形状をもって突出する案内筒部82が一体形成されており、これらの案内筒部82によって、処理液貯留領域32a,32bを形成する貯留膜30a,30bが囲まれて保護されている。更に、案内筒部82には、その内径寸法よりも僅かに小さな外径寸法の円盤形状を有する押圧板84が嵌め入れられており、軸直角方向に広がる状態で配設されている。
なお、かかる押圧板84の不規則な変位を抑えるために、例えば案内筒部82の内周面に、押圧板84を軸方向に案内するガイドレールやガイド溝を形成しても良い。また、押圧板84は、貯留膜30a,30bと独立形成されていても良いが、本実施形態では、貯留膜30a,30bの外側端部が押圧板84の内面に対して固着されており、押圧板84の離脱が防止されている。
そして、この押圧板84を案内筒部82内で下方(上底部64側)に向かって押圧することにより、複数の貯留膜30a,30bを同時に押圧することが出来るようになっている。これにより、複数(本実施形態では2つ)の処理液貯留領域32a,32bにおいて圧力が高められて、蓋体66の上底部64に貫設された連通口34を封止する隔壁36を破って、各処理液貯留領域32a,32bに充填された処理液38a,38bが、連通口34,34を通じて、レンズ収容領域12に対して略同時に導き入れられるようになっている。
なお、蓋体66の上底部64には、貯留膜30で覆われた位置を避けて、透過膜72が遮断状態で組み付けられた通気孔70が形成されている。また、押圧板84にも、貯留膜30で覆われた位置を避けて、通気孔71が貫設されている。これにより、蓋体66で覆蓋された容器本体14のレンズ収容領域12が、これら通気孔70,71を通じて、外部空間との間での空気の給排が許容されるようになっている。
このような構造とされた使い捨て処理ケース80においては、押圧板84を案内筒部82に沿って軸方向下方に向かって押圧することにより、一対の処理液貯留領域32a,32bにそれぞれ収容された処理液38a,38bを、簡単な操作により、レンズ収容領域12に対して同時に導き入れられることが出来る。
また、本実施形態では、レンズ収容領域12を蓋体66で実質的に密閉状態とした状態下で、処理ケース80をテーブル上に載置せしめたまま、上方から押圧板84を押圧するという極めて簡単で且つ安定した操作によって、一対の処理液貯留領域32a,32bにそれぞれ収容された処理液38a,38bをレンズ収容領域12に対して同時に導き入れられることが出来る。これにより、処理ケース80の使用のし易さが大幅に向上され得るのである。
次に、図14〜15には、本発明の第六の実施形態としての使い捨て処理ケース90が示されている。この処理ケース90においては、容器本体14の底壁部20の中央部分に、比較的小さなカップ形状を有する内側貯留膜91が配設されている。そして、この内側貯留膜91の開口部が底壁部20の外面に対して流体密に固着されることによって、処理液38aを収容した処理液貯留領域32aが形成されている。
また、底壁部20における内側貯留膜91の外側には、内側貯留膜91よりも一回り大きなカップ形状を有する外側貯留膜92が、内側貯留膜91を外側から覆うようにして配設されている。そして、この外側貯留膜92の開口周縁部が底壁部20の外面の外周縁部に対して流体密に固着されることによって、処理液38bを収容した処理液貯留領域32bが形成されている。
このような本実施形態の使い捨て処理ケース90においては、中央部分に形成された処理液貯留領域32aの容積に比して、その外周側に形成された処理液貯留領域32bの容積を十分に大きく設定することが可能となる。また、内外貯留膜91,92が、容器本体14の底壁部20の下面上で同一中心軸上に形成されることから、処理ケース90をテーブルの上等に載置した場合の安定性が有利に確保され得る。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、使い捨て処理ケースの使用前には、レンズ収容領域12が空状態とされていたが、これに限定されるものでない。具体的には、例えば、図16に示されているように、レンズ収容領域12に対して処理液としての保存液乃至は流通用液38aに浸漬された状態でコンタクトレンズ22が収容されていても良い。また、例えば、図17にも示されているように、レンズ収容領域12に対して予め所定の処理液38aが収容されていても良い。
また、形成される処理液貯留領域32の数は、何等限定されるものでなく、例えば、図16,17に示されているように、処理液38が予め充填された処理液貯留領域32を、一つだけ形成しても良い。或いは、処理液貯留領域32を5つ以上形成することも可能であり、その形成領域も、容器本体14の底壁部20の外面と、周壁部18の外面と、蓋体66の外面との、複数箇所に形成しても良い。そして、例えば一週間毎に交換するディスポーザルタイプのコンタクトレンズに利用する場合には、7つの処理液貯留領域32を形成し、それらに何れも処理液としての保存液を充填して、毎日一つずつ処理液貯留領域32に充填されて提供された保存液を順番に使用していくようにすることが出来る。
また、図18にも示されているように、2つの処理液貯留領域32a,32bを相互に積層形態で形成すると共に、それら2つの処理液貯留領域32a,32bを積層した隔壁部分に連通口34を形成しても良い。これにより、外側の処理液貯留領域32bを画成する貯留膜30bだけを押圧することにより、両方の処理液貯留領域32a,32bに充填された処理液38a,38bに圧力を及ぼして、連通口34,34を通じて、それら両方の処理液38a,38bをレンズ収容領域12に効率的に且つ容易に導き入れることが出来るのである。
さらに、本発明においては、レンズ収容領域12が複数形成された使い捨て処理ケースに対しても、適用可能であり、その一例として、左右一対のコンタクトレンズ22a,22bの収容領域12a,12bを備えたものに対して本発明を適用したものの一例が、図19に示されている。かかる処理ケースは、全体として長手円筒形状の容器本体14を備えており、この容器本体14の中空内部が軸方向中央において仕切壁で仕切られることによって右レンズ用の収容領域12aと左レンズ用の収容領域12bが、形成されている。また、容器本体14の軸方向両側の開口部を覆蓋するようにして一対の蓋体66a,66bが、例えばねじ止め構造にて着脱可能に装着されて、各収容領域12a,12bが密閉構造とされるようになっている。そして、本実施形態では、図17に示された処理ケースと同様に、各蓋体66a,66bの外面に袋状の貯留膜30a,30bが被着されて、各レンズ収容領域12a,12b用の処理液貯留領域32a,32bが形成されている。
また、本発明に係る使い捨て処理ケースは、近視用、遠視用、老眼用等の区別なく、ディスポーザルタイプと通常タイプの区別もなく、更にソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの区別もなく、各種タイプのコンタクトレンズ用途として、何れも適用され得ること、言うまでもない。
また、本発明に係る使い捨て処理ケースは、レンズ収容領域に12にコンタクトレンズ22を収容しないで、単なるレンズケア商品として提供することも可能であるが、その他、レンズ収容領域12に予めコンタクトレンズ22を収容して、製造者から医療機関に対して、或いは使用者に対して、コンタクトレンズを搬送したり提供するためのコンタクトレンズレンズ容器としても利用することが出来る。