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JP4323709B2 - 吸入器及び吐出ヘッドの制御方法 - Google Patents

吸入器及び吐出ヘッドの制御方法 Download PDF

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JP4323709B2
JP4323709B2 JP2000365937A JP2000365937A JP4323709B2 JP 4323709 B2 JP4323709 B2 JP 4323709B2 JP 2000365937 A JP2000365937 A JP 2000365937A JP 2000365937 A JP2000365937 A JP 2000365937A JP 4323709 B2 JP4323709 B2 JP 4323709B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸入器及び吐出ヘッドの制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医学及び科学の進歩により、平均寿命が延びて高齢化社会となりつつある。その反面、食生活や生活環境の変化、環境汚染、ウイルスや菌などによる新たな病気や感染症が見つかり、人々の健康に対する不安は増えている。特に、先進国と呼ばれる国々においては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の患者の増加が問題となっている。
【0003】
一方、医療機関の数はこのような患者の増加に対応できるほど増えておらず、通院可能な医療機関がない地域もあるため、政策を含めた今後の対応が懸念されている。
【0004】
このため、高齢者あるいは生活習慣病や慢性疾患の患者に対して、通院せずに医師の診断を受けたり日常的な健康管理が行える、遠隔医療システムや在宅健康管理システムが提案されている。
【0005】
これらのシステムの代表的な構成は、対称となる個人が自宅などに端末を設置し、インターネットなどの通信回線を介して医療機関又はセンターにあるサーバに接続し、端末から問診に対する回答や血圧、体温等の測定値を入力・送信し、サーバに収集されたデータを看護婦や医師がチェックして、異常の有無やメッセージを返送するものである。
【0006】
このような医療システムを運用するためには、各利用者の診療記録(カルテ)を電子的に記録した電子カルテと、電子カルテのデータ及び各種測定値等を蓄積する医療データベースとが必要となるが、この電子カルテ及び医療データベースについては、様々な方面から提案がなされている。
【0007】
特に、電子カルテは、現在問題となっている医療ミスや投薬ミスを防止するのに有効であり、またその内容を患者や家族にも公開することで患者側の「知る権利」を満たすものとして大きな関心が寄せられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような医療用システムにおいて使用する端末の形態としては、表示画面と入力デバイスを備える通常のパーソナルコンピュータの形態をしたものと、例えば、血圧等の特定の値が測定できる専用端末としたものとがある。
【0009】
通常のパーソナルコンピュータのような機器を端末として使用する場合には、機器の設定や操作方法が複雑となり、利用できる対象が限られてしまう。
【0010】
また、専用端末の場合には、利用者が複数の疾病や疾患にかかっており、様々な測定を行う必要がある場合に、複数の専用端末を用いて測定を行うこととなり、煩わしいばかりでなく結果的に利用者の負担が増える。
【0011】
更に、従来提案されている医療用システムでは、例えば、利用者が慢性疾患等を煩っており定期的に薬剤を投与する必要がある場合、その薬剤の投与及び管理は利用者側に委ねられており、システム側でサポートする機能を備えていない。このため、このような利用者にとっては薬剤の投与及び管理に関する負担が軽減されないという問題が生じる。
【0012】
具体的な例を挙げて説明すると、現在増加傾向にある糖尿病の患者のうち、I型と呼ばれるインスリン依存型糖尿病の患者は、膵臓からインスリンが分泌されないため、定期的にインスリンを投与する必要がある。インスリンの投与は現在皮下注射によって行われているため、患者の肉体的・精神的負担は大きい。
【0013】
このような患者の負担を軽減するために、針が細くあまり痛みを感じないペン型の注射器も開発されているが、I型糖尿病の患者は、インスリンを定期的に投与する必要がある以外は健常者と同様に働いている場合が多いので、ペン型であっても人前で注射を打つことには精神的に抵抗があるため、適切な時間に投与を行うのが困難となる。
【0014】
このため、患者自身による投与を容易とするべく、薬剤を注射ではなく液滴として吐出して吸気と共に肺に到達させ、肺から薬剤を投与する方法も提案されている。
【0015】
しかしながら、このような吸入方式は、液滴として吐出した薬剤を患者の肺まで効率良く到達させることが困難であり、実用的なものとなっていない。
【0016】
本発明は以上のような状況を鑑みてなされたものであり、吸入器で薬剤を吐出させる際の吸入効率を向上させることを可能とする、吸入器及び吐出ヘッドの制御方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の吸入器は、剤を出して用者に吸入させる吸入器であって、前記薬剤の液滴を吐出する吐出ヘッドと、前記利用者による空気の吸入量の時間的な変化を含む吸入プロファイルを検出するセンサと、前記センサにより検出された前記吸入プロファイルに応じて、吸入時間内の複数回における吐出パラメータの変化を含む吐出条件を決定し、前記吐出条件に応じて前記吸入時間内に前記吐出ヘッドが前記液滴を前記複数回に分けて吐出するように、前記吐出ヘッドを制御する制御手段を有する。
【0018】
また、上記目的を達成する本発明の吐出ヘッドの制御方法は、剤を出して用者に吸入させる吸入器であり、前記薬剤の液滴を吐出する吐出ヘッドと、前記利用者による空気の吸入量の時間的な変化を含む吸入プロファイルを検出するセンサと、前記センサの検出結果に応じて前記吐出ヘッドを制御する制御手段とを有する吸入器における吐出ヘッドの制御方法であって、前記センサが、前記吸入プロファイルを検出する第1のステップと、前記制御手段が、前記第1のステップで検出された前記吸入プロファイルに応じて、吸入時間内の複数回における吐出パラメータの変化を含む吐出条件を決定し、前記吐出条件に応じて前記吸入時間内に前記吐出ヘッドが前記液滴を前記複数回に分けて吐出するように、前記吐出ヘッドを制御する第2のステップとを備えている
【0019】
このようにすると、吸入器で薬剤を吐出させる際に、薬剤の吐出に関するパラメータを、例えば吸気速度等に応じて変化させることにより、より多くの薬剤を肺まで送り込んで吸入効率を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、ここでは本発明の健康管理システムの実施形態として医療用の健康管理システムを例に挙げて説明する。
【0021】
[全体構成]
図1は、本実施形態の医療用の健康管理システムの全体構成を示すブロック図である。図示されたように、本実施形態は、データベース100、医療機関端末110、製薬会社端末120、販売店端末130、利用者端末200A〜200Nから構成される。ここではデータベース100、医療機関端末110、製薬会社端末120、及び販売店端末130それぞれ1つだけが示されているが、これはあくまで例示であり、それぞれ複数あってよいことはもちろんである。また、利用者端末も200A〜200N(以下、単に200と総称する)の4つだけが示されているが、実際には多数の利用者端末が接続される。
【0022】
図2は、本実施形態で取り扱うデータを示した図である。本実施形態では、登録される個人に関するデータとして、住所、氏名、生年月日、連絡先、職業、勤務先、等を含む基本データと、ID(国民全てに番号が割り当てられている場合にはその番号、そのようなものがない場合には保険証に記載されている番号等)、暗証番号、パスワードなどの英数字及び、指紋、声紋、掌紋、顔、虹彩、網膜血管パターンなどの生体認証データを含む識別データと、番号、種別、使用記録等を含む健康保険のデータと、診察記録、処方箋、投薬データ、入院記録、病歴や家族の病歴等を含む各個人毎に電子化された診療や処方箋のデータ(電子カルテ)と、健康診断等で得られた測定値のデータとを扱う。また、緊急連絡先として指定医療機関のデータ、後述する吸入器の設定データも個人に関するデータとして扱う。
【0023】
また、医療データとして、登録番号、所在地、連絡先、登録医師、設備等を含む医療機関のデータと、登録番号、所在地、連絡先、取り扱い薬品、規模等を含む製薬会社のデータと、登録番号、所在地、連絡先、取り扱い薬品、及び薬剤師名等を含む薬品販売店のデータと、薬品名、効能、注意事項等を含む薬剤データと、吸入器の取り扱いや保守に関するデータを含む吸入器データ(不図示)とを扱う。
【0024】
これらのデータ全てはデータベース100に格納されるが、個人に関するデータは各個人の利用者端末200にも取り外し可能なメモリカードの形態で格納される。
【0025】
データベース100は、例えば、行政区域等のある一定の範囲毎に設けられ、その地域内に住む住民個人に関するデータと医療データとを格納する医療用データベースサーバである。このデータベース100の設置場所としては、その行政区域の専用の施設であっても指定された特定の病院であってもよい。また、各データベースは互いに接続されており、住民が居住地以外の区域で治療を受ける場合や移動した場合などに必要なデータにアクセスできるように構成されている。
【0026】
医療機関端末110は各医療機関に設置され、データベース100と接続されており、利用者端末200のメモリカードを挿入するスロットを備えている。診察の際に、医療機関に勤務する医師や看護婦は、患者の持参した利用者端末200のメモリカードを医療機関端末110に挿入し、診察の参考とするべく診療に訪れた患者個人に関するデータを読み出す。また、診察結果に基づいてデータベース100のデータ及び患者のメモリカード内の電子カルテのデータの更新を行う。
【0027】
このとき記録される処方箋のデータには有効期限も含まれており、その期限内に患者が再度診察を受けることにより、必要に応じて有効期限の再設定が行われる。
【0028】
また、診察の際に医師は、患者個人に関するデータに加え、薬剤データを参照して、患者が複合疾患(内蔵疾患と循環器系疾患を併発した場合など)であるときに、処方内容が競合したときの判断の参考とする。このような場合には、患者に情報を伝え(インフォームド・コンセント)患者が希望する処方を優先するようにしてもよい。
【0029】
更に、患者のDNAの解析結果を患者のメモリカードあるいはデータベース100に記録しておけば、従来の平均的・統計的手法にかわり、遺伝子診断、遺伝子治療と呼ばれる手法を取り入れて処方を決定することもできる。
【0030】
製薬会社端末120は各製薬会社に設置され、データベース100と接続されている。製薬会社に勤務する者は、この端末よりデータベース100にアクセスして、医療機関や薬品販売店にある薬品の在庫データを調べると共に納入した薬品の出庫のデータを更新し、並びにこれらのデータに基づいて生産管理のデータを処理する。
【0031】
販売店端末130は各薬品販売店に設置され、データベース100と接続されており、利用者端末200のメモリカードを挿入するスロットを備えている。販売店に勤務する者は、客が来店したときに持参した利用者端末200のメモリカードを挿入して客の処方箋データを読み取る。また、この端末よりデータベース100にアクセスして、訪れた客の処方箋データを読み出して照合し、両者のデータが一致したことを確認して薬品を販売する。そして、販売した薬品に関して、データベース100及び客のメモリカードの投薬データの更新を行う。
【0032】
この場合、事前に代理人となる人間のIDや生体認証情報をデータベース100に登録しておけば、患者本人以外に家族や介護者などが代理人として薬品を受け取ることもできる。
【0033】
更に、利用者が口座を持っている金融機関あるいはクレジットカードの会社などと電子商取引(EC)に関する契約を取り決めておけば、実際にその場で代金を支払わずに、利用者端末200を介して薬品を購入する際の決済が行われるようにすることもできる。これは医療機関に支払う診察代や薬品代についても同様である。
【0034】
利用者端末200は、利用者が常に携帯して持ち運べるように、小型、軽量であり、それぞれ特定の個人に対応付けられており、上述のように利用者個人に関するデータを格納する取り外し可能なメモリカードを収納する。また、後で詳述するが無線通信機能と利用者の健康管理をサポートする入出力デバイスとを有しており、無線通信によってデータベース100と必要に応じて適宜接続される。
【0035】
[利用者端末]
図3は、利用者端末200の構成を示すブロック図である。本実施形態の利用者端末200は、全体を制御するCPUを含むコントローラ201、利用者の健康管理をサポートする入出力デバイスとしての吸入器202、無線通信をサポートする通信部203、制御プログラムや各種データを格納する内部メモリ204、個人に関するデータを格納するメモリカード205、I/Oインタフェース206、テンキーや緊急通報(エマージェンシー)スイッチ等の各種スイッチを含むキースイッチ207、液晶ディスプレイやマイク、スピーカなどの表示・音声入出力部208、生体認証用のセンサ209、及び電源として2次電池などの充電可能なバッテリー(不図示)とを備えている。
【0036】
吸入器202は、所定量の液状の薬剤が収容されたタンク2022B、及びタンクから供給された薬剤を微小液滴として吐出する吐出ヘッド2022Aを有するカートリッジ2022と、カートリッジ2022を駆動制御する制御部2021と、カートリッジあるいはタンクに付与されたコードを読み取ったり利用者の吸入状態(負圧)を検出するためのセンサ2023とを含んでおり、熱を利用したインクジェット方式に基づいて液状の薬剤を微小液滴として吐出してミストあるいはエアロゾルを形成して吸気の際に肺から薬剤を体内に投与する。
【0037】
この投与方式は、注射器による投与に代わるものとして、患者自身による薬剤の投与を容易にすると共に精神的、肉体的負担を軽減するものである。
【0038】
通信部203は、キースイッチ207のテンキー及び表示・音声出力部208によって適切な通信方式に従った通話、及びデータベース100とのデータ通信が無線を介して行えるように構成されている。
【0039】
無線通信の方式については特に記載しないが、現在実用化されている移動体通信(携帯電話、PHS、自動車電話等)で採用されている方式や、衛星を経由した方式、あるいはブルートゥースを用いた方式であってもよい。
【0040】
内部メモリ204は、ROMなどの読み取り専用の媒体であってもよいが、通信部203を介してプログラムの更新や変更が可能なように、書き換え可能な記憶媒体であってもよい。
【0041】
メモリカード205は、半導体記憶媒体、MOやCD−R、CD−RWあるいは小型の磁気ディスク等の少なくとも追記が可能で取り外しのできる記憶媒体である。
【0042】
また、I/Oインタフェース206は、利用者が必要に応じて血圧、脈拍、血糖値、体温、尿蛋白などを測定するとき、あるいは自身の測定データを印刷するために、各種測定センサやプリンタなどの外部入出力機器250を選択的に接続できるように構成されている。
【0043】
本実施形態の利用者端末200は吸入器202を一体とした構成であるが、この吸入器202は、他の薬剤投与器具や上記の測定センサと同様に外部入出力機器250の1つとして別体として取り外し可能に構成されていてもよい。
【0044】
認証センサ209は、利用者端末200を登録された人間だけが利用できるように、指紋、声紋、掌紋、顔、虹彩、網膜血管パターンなどのいずれかによって使用者の生体認証を行うセンサである。
【0045】
更に、図示しないが、GPSあるいは無線電話網の基地局から受信する電波の強度を利用して現在位置を検出すると共に、地図情報を利用して最寄りの医療機関や薬品販売店への経路を示すナビゲーション機能を備えている。
【0046】
[セキュリティ対策]
本実施形態の医療用の健康管理システムは、取り扱うデータがプライバシー及び重要な医療データに関するのでデータを十分に保護すると共に、医療ミスや操作ミスを防止するために、動作の際にフェイルセーフとなるように構成する必要がある。
【0047】
例えば、データベース100に格納されるデータは、追加書き込み(追記)のみ可能とするのがよいが、ある程度古くなったデータは特定の管理者によって別の記憶媒体にバックアップした後に上書きするようにしてもよい。また、利用者端末200のメモリカードは必要な容量を過剰に大きくしないように、所定年数経過したデータには上書きするようにしてもよい。
【0048】
データベース100は、接続される医療機関端末110、製薬会社端末120、販売店端末130、利用者端末200の各端末に対してデータ項目毎にアクセス権を設定する。
【0049】
具体的には、医療機関端末110からは、データベース100の全てのデータにアクセス可能であるが、書き込みが可能なのは、その医療機関に関する一部のデータと、訪れた患者の健康保険の使用記録のデータと、電子カルテのデータと、健康診断等で得られた測定値のデータだけである。販売店端末130は、客の利用者端末のメモリカードを挿入してIDが一致した際には個人の処方箋データ及び投薬データにアクセスできるが、通常は薬剤に関するデータと製薬会社のデータに対してのみアクセス可能とする。製薬会社端末130は、薬剤に関するデータと医療機関及び薬品販売店の在庫状況のデータとに対してのみアクセス可能とする。
【0050】
また、これら各端末を操作する際にはID、暗証番号、パスワードなどの入力が必要なようにする。更に、利用者端末200と同様なセンサによる生体認証を併用してもよい。
【0051】
データベース100と利用者端末200との接続は無線を介して行われるので、特に厳密なセキュリティ対策を講じる必要がある。利用者端末200からアクセスできるデータは、利用する個人に関するデータだけであり、利用者端末から書き込み可能なデータは、薬剤の使用記録(投薬データ)や利用者個人が測定したデータだけである。利用者端末200からデータベース100にアクセスする際にはID、暗証番号、パスワードなどの英数字に加え認証センサ209による生体認証を行う。また、データを通信する際には暗号化技術を用いて漏洩や傍受(盗聴)を防止するのがよい。
【0052】
本実施形態では利用者が処方する薬剤に対してもセキュリティ対策を講じて、誤使用や投薬ミス、誤操作を防止するように構成されている。
【0053】
利用者端末200の吸入器202は、1回の投与毎にカートリッジ2022あるいはタンク2022Bのいずれかを交換する。従って、カートリッジあるいはタンクは個別包装されて開封/未開封が容易に解るようになっている。使用する薬剤や吐出方法に応じてどちらを1回の使用毎に交換するようにしてもよいが、以下では説明を簡略化するためにタンク2022Bを交換するものとする。
【0054】
タンクのみを1回毎に交換する際には、吐出ヘッドは複数回使用することとなるが、吐出性能を保証するために、カートリッジが装着されてから使用された回数が所定回数となったらあるいは所定の期間が経過したら、新たなカートリッジとの交換を促すように表示や音で警告を与えると共に、例えば、熱エネルギーを発生するヒータが断線するように構成して、実際の吸入動作が行えないようにするのが好ましい。そして、新たなカートリッジが装着された際には、IDやパスワードを入力させて利用者を再確認する。
【0055】
薬剤の誤った投与を防止するためには、タンク2022Bに光学的あるいは電気的に読み取り可能なコードを付与し、利用者端末200に装着されたときにメモリカード205内に格納された電子カルテに記載された薬剤データとコードの情報とを照合するようにして、電子カルテのデータと異なる薬剤が納められたタンクが装着された場合、及び患者が指示された投与量を越えて投与を行おうとしたり適切なインターバルを守らない場合には、表示や音で警告を与えると共に、実際の吸入動作が行えないようにするのがよい。
【0056】
カートリッジ2022に同様のコードを付与することも、誤ったカートリッジの装着を防止するのに有効である。また、カートリッジには制御部2021との接続のための電気的端子が設けられているので、この端子を利用して種別を識別するようにしてもよい。
【0057】
また、1度使用したタンク内に再度薬剤を注入(リフィル)して再使用すると薬液の純度低下や細菌による汚染の可能性がある。このため、タンクの外壁を金属などの材料として注入が不可能な構成としたり、薬剤を使用した後には上記コードを読み取れなくするように、上書きあるいは書き換えるのも有効である。タンクや薬剤自体に処方毎に異なる色をつけて、利用者が容易に識別できるようにしたり、異なる薬剤を使用する場合には、吸入器部分全体を交換するようにして薬剤の混入を防止することも考えられる。
【0058】
更に、処方箋に基づいた適切なインターバルで薬剤の投与が行われるように、表示や音、振動などで利用者に薬剤投与のタイミングを通知するようにするのが好ましい。
【0059】
吸入器を実際に動作させる際にもIDやパスワードを入力させて利用者を再確認すると共に、動作中に誤った操作が行われたり機器の故障が検出された際には、表示や音で警告を与えて、直ちに動作を停止させて安全側に作用するようにするのが望ましい。
【0060】
本実施形態の利用者端末はバッテリー駆動であるので、吸入動作中にバッテリーが切れるのを予防するために、バッテリーの残りの電力をチェックして1回の吸入動作が行えない残量であったら吸入動作を行えないようにしたり、あと数回でバッテリーが切れることを事前に通知する必要がある。また、バッテリー残量が少なくなった時などに、例えば、吐出時間を長くするなど、通常の吐出よりも電力消費の少ない省電力モードに切り換えたりできるようにするのもよい。
【0061】
更に、衛生上の観点から吐出ヘッドの吐出面(ノズル)を保護すると共に吐出性能を維持するために、ノズル面をキャッピングして表面に残った薬剤の乾燥、固着、並びに不要な薬剤が漏れるのを防止する。このキャップは吸入器のキャップと一体的に構成するのがよい。
【0062】
[緊急通報]
本実施形態の利用者端末200は、患者の状態が急変したり異常事態が生じたときに、利用者端末200のキースイッチ207に設けられた緊急通報(エマージェンシー)スイッチを所定時間以上連続して押し続けると緊急通報モードに入る。
【0063】
図9は緊急通報モードの内容の例を示す図である。図示されたように本実施形態の利用者端末は、緊急通報モードに入るとメニュー画面が表示される。利用者がメニュー画面が表示されてから所定時間以上何も操作しないと、事態が深刻であると判断して、非常通報を行う。この非常通報では、自動的に救急車に直ちに出動を要請すると共に予め設定された家族などの連絡先にも自動的に通知するように設定されている。
【0064】
緊急通知のメニュー画面の項目としては、指定医師への連絡、追加の医療内容の通知、応急処置内容の指示、ナビゲーション、及び緊急通話などが用意されている。
【0065】
緊急通話とは利用者本人が通話可能な状態であるときに、救急施設に連絡して症状を伝えたり、医師や家族に連絡するためのものである。
【0066】
また、ナビゲーションとは、データベース100に格納された医療データに基づいて上述のように最寄りの、あるいは患者の使用している薬剤の供給できる医療機関や薬品販売店への経路を示す機能である。
【0067】
[カートリッジ及びタンク]
本実施形態のカートリッジは、熱を利用したインクジェット方式に基づいて液状の薬剤を微小液滴として吐出する。これはプリンタなどの記録装置で実用化されている、いわゆるバブルジェット方式と呼ばれる方式と基本的に同じであるが、医療用として使用するために、吐出ヘッドやタンクについても記録装置とは異なる特徴をいくつか有している。
【0068】
例えば、吐出ヘッドの構成材料としては、金メッキされたもの、セラミック、ガラスなどを用いる。また、吐出する薬剤の種類や投与の方法(肺まで到達させる必要があるか否か等)に応じて、吐出口(ノズル)の配列や形状を異なったものとする。
【0069】
タンクに収納される薬剤についても、目視により残量が確認できるように着色したり、加熱により薬剤の性質が変化しないように予め焦げやすい糖類や多糖類を混入しておりたりすることが考えられる。更に、収容される薬剤の容量についても、1回の投与に必要な量に、吐出が途中で失敗した場合や吸入の前あるいは後に行う回復処理に必要な量を加えて、吐出が正しく行われた際にはある程度の量が残るようにするのが好ましい。
【0070】
なお、本実施形態のタンクは二重構造となっており、金属などからなる外部の壁と収納された薬剤の容量に応じて形状が変化する柔軟な部材からなる内部の壁とが一体的に成形されている。通常のインクジェット方式で用いられるインクタンクとは異なり、内部に多孔質の吸収体はなく、大気連通口も設けられていない。
【0071】
また、タンクは例えば所定の本数単位で包装されて供給されるが、このとき、スポイトや滅菌ガーゼなどの吐出ヘッドやキャップのメンテナンスを行うための器具や治具を同梱しておくのがよい。
【0072】
上記のように、本実施形態では1回の投与毎にタンク2022Bを交換し、カートリッジ2022も所定回数あるいは一定の期間毎に交換するが、交換されたカートリッジやタンクは、以下のようにして有効にリサイクルされる。
【0073】
カートリッジ及びタンクは、製薬会社で製造され、医師の記載した電子カルテの処方箋に従って、医療機関の薬局又は市井の薬品販売店で患者に供給される。上記のように患者がカートリッジ又はタンクを入手する際には、医療機関端末110又は販売店端末130にメモリカードを挿入し、メモリカードに格納された処方箋データとデータベース100内の処方箋データとが照合される。また、投薬データには過去に使用した薬剤のデータも記録されているので、患者が同じカートリッジ又はタンクを既に使用しているかどうかが容易に解る。
【0074】
従って、既に同じカートリッジ又はタンクを使用している場合には、使用済みのカートリッジ又はタンクを持参して、新しいものと交換するようにする。この場合、カートリッジやタンクを回収したか否かも薬剤使用記録として投薬データに記録するようにすれば、回収をより確実にすることができる。
【0075】
カートリッジやタンクは医療機関又は販売店を経由して製薬会社に回収され、外観や機能を検査し、まだ使用できるものは洗浄の後、殺菌消毒され、再度薬剤が充填され、コードの情報が書き換えられて再使用される。
【0076】
[吸入動作]
次に、本実施形態の利用者端末200を用いて実際の吸入動作を行う際の処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0077】
最初に、使用する薬剤投与に関する調整が済んでいるかどうか判断される(ステップS301)。調整動作は、薬剤の1回の投与量、投与インターバルなどのデータを登録する初期設定(ステップS302)、利用者個々の空気吸入の量やプロファイルを測定し吐出条件を決定するテスト吸入(ステップS303)、及びテスト吸入の結果、正しく調整が終了したかどうかの判断(ステップS304)からなる。
【0078】
この調整動作は、薬剤の投与が必要であると診断された際に、例えば医師などの専門家の指導の下で行われ、測定された空気吸入の量やプロファイル、決定された吐出条件は、吸入器設定データとしてデータベース100及び利用者端末200のメモリカード205の両方に記憶される。
【0079】
次に実際の吸入動作を行うべく、カートリッジ及び/又はタンクを吸入器202に装着する(ステップS305)。そして動作が行えるようにID番号、暗証番号あるいはパスワードのいずれかと指紋などの生体認証手段との組合わせから、利用者の認証を行う(ステップS306)。
【0080】
実際の吸引動作を行う前に、吸引治具などの器材を用いて吸引・回復処理を行う(ステップS307)。その後、利用者は吸入器の吐出口側端を咥え、吸入動作を実行する(ステップS308)。薬剤の吐出は利用者の吸入を負圧センサなどで検出することによって開始され、吐出が行われている間には利用者端末は信号音等を発生するようにするのがよい。吸入を数回繰り返して所定量の薬剤が吐出されたら(ステップS309)、吸入が終了する。このときも吸入が終了したことを信号音や表示などで通知するのがよい。
【0081】
[吐出の駆動制御]
本実施形態は、熱を利用したインクジェット方式に基づいて液状の薬剤を微小液滴として吐出する。この方式は駆動波形をパルス状とすることにより、吐出される液滴の数をパルスの数によって制御することが可能であるため、吐出量を正確に管理する用途に適している。
【0082】
しかしながら本実施形態では、医療用として使用するために記録装置とは異なる吐出制御を行っている。すなわち、記録装置は紙などの記録媒体に上方からインクを吐出して記録を行うが、本実施形態の吸入器ではミストあるいはエアロゾル状となるように薬剤を吐出して利用者の吸入空気と共に薬剤を肺まで到達させる必要がある。
【0083】
このため、通常の記録装置よりも液滴のサイズをはるかに小さくし、かつこのような小さなサイズの液滴を適量だけ確実に吐出させるように制御する必要がある。その反面、液滴のサイズが小さくなると、吐出された液滴の運動エネルギーが小さいため、吐出方向については記録装置のようにほぼ1方向とする必要はなく、様々な方向に吐出した液滴が飛翔したり液滴同士が衝突したりしてもよい。
【0084】
従って、本実施形態では、空気吸入のプロファイル(パターン)に応じて駆動パラメータを変化させる。例えば、空気吸入の際、単位時間当たりの吸入量は開始時点が多く、終了直前には少なくなる。従って、吸入時間(1秒から2秒)内に複数回の吐出を行う場合、最初の吐出と最後の吐出とでは吐出速度や駆動周波数などを変化させる。また、吐出方式を変えたり、液滴の大きさや主滴/副滴の割合を変えることも考えられる。これらの駆動パラメータを変化させるタイミングは、使用する薬剤に関連付けられてメモリカードに記憶されるようにするのが好ましい。
【0085】
更に、空気吸入のプロファイルは、年齢や性別、体格などにより個人差があるため、処方が同じであっても利用者個人に合わせて微調整(チューニング)する必要がある。これは上記で図4のフローチャートのS302〜S304に関して説明した部分で行われる。
【0086】
また、吐出が正確に行われたことを確認するために、吐出された液滴を例えば、光学的検出手段などによってモニタするのが好ましい。この場合、正しく吐出が行われていない場合には警報を発生するようにするのがよい。検出方法としては、反射光、屈折光、透過光、あるいは散乱光を検出したり、薬剤に混入した着色料や蛍光剤を検出する方法、またはレーザを用いたものなどが考えられる。
【0087】
[薬剤の流れ]
ここで図5を参照して本実施形態における薬剤(カートリッジ及びタンク)の流れについて説明する。
【0088】
製薬会社で製造された薬剤は、医療機関及び販売店にそれぞれ納入される。そして、利用者(患者)が医師の診察結果により薬剤を投与する必要が生じたら、例えば初診の際には、診察を受けた医療機関の薬局で所定日数分の薬剤を受け取る。
【0089】
また、2回目以降で診察が伴う場合には上記と同様に医療機関の薬局で薬剤を受け取る。このとき、前回受け取って使用済みの薬剤と交換すると共に、電子カルテの投薬データに新たに渡した薬剤のデータを書き込む。
【0090】
診察が必要ない場合には、薬品販売店に出向いて薬剤を受け取ることもできる。この場合にも前回受け取って使用済みの薬剤と交換すると共に、販売店端末で電子カルテの投薬データに新たに渡した薬剤のデータを書き込む。
【0091】
患者から受け取った使用済みの薬剤は、医療機関及び薬品販売店から製薬会社に回収され、上述のようにリサイクルされる。
【0092】
[データの流れ]
図6は本実施形態におけるデータの流れの概容を示す図である。
【0093】
図示されたように、本実施形態の健康管理システムは、データを集中的に管理するデータベース100を中心として構成されているが、各端末でも必要な情報を分散的に管理する。
【0094】
医療機関端末110は、薬剤データをデータベース100から読み取る。また、診察の際には患者の利用者端末200のメモリカードから患者の個人データを読み取ってデータベース100から読み取ったデータと照合し、健康保険のデータや電子カルテのデータをデータベース100及び患者のメモリカードに書き込む。
【0095】
製薬会社端末120は、データベース100から医療機関や販売店の薬剤の在庫データを読み取り、納入した薬剤のデータを出庫データとしてデータベース100に書き込む。また、新たな薬剤が開発されたときや新たな効能が発見されたときなどに、薬剤データをデータベース100に書き込む。
【0096】
販売店端末130は、患者が訪れたときに患者の利用者端末200のメモリカードから処方箋データ及び投薬データを読み取り、データベース100から読み取った処方箋データと照合する。そして、患者が購入した薬剤に関する投薬データをメモリカード及びデータベース100に書き込む。
【0097】
患者の利用者端末200のメモリカードには、患者自身あるいは医療機関以外で検査器を用いて測定された測定データが書き込まれる。この測定データは、無線通信又は医療機関端末110を介して適宜データベース100に書き込まれる。また、患者からの要請により、自身の電子カルテのデータや最寄りの医療機関や薬品販売店に関するナビゲーションデータをデータベースから読み取る。
【0098】
[具体例]
以下、本実施形態の医療用の健康管理システムを用いていくつかの患者の健康管理を行う具体的な例を示す。
【0099】
なお、以下の具体例では、いずれの患者も役所などの公共機関や定期健診を受けた医療機関で発行され、基本データ、識別データ、健康保険データ、測定データがメモリカードに格納された利用者端末200を既に所有しているものと想定する。
【0100】
(1)インスリン治療患者
図7及び図8のフローチャートは、診察時及び薬剤支給時に行われる処理の例をそれぞれ示している。以下、これらのフローチャートを参照してインスリン治療の必要な患者の例を説明する。
【0101】
患者Aは定期健診で血糖値が高いことを指摘され、近くの医療機関で診察を受けるべく出向いた。自身の利用者端末からメモリカードを取り出して医師に渡した。医師は患者のメモリカードを医療機関端末に挿入し(ステップS701)、医師の診察を受けた(ステップS702)。診察の結果I型糖尿病と診断され、インスリンの定期的な投与が必須となった。処方する薬剤は、中間型と速効型の混合製剤と決定され、朝食前と夕食前30分以内に各20単位摂取するように義務付けられた。医師と相談の上、標準摂取時刻を設定して電子カルテが作成された(ステップS703)。
【0102】
この電子カルテのデータは、患者の利用者端末200のメモリカードとデータベース100とに書き込まれた。このとき、認証データとして新たに顔写真及び指紋のデータも書き込まれた。患者Aはインスリン摂取の方法として肺吸入を選択し(ステップS704)、利用者端末200の吸入器を初めて使用することとなった。
【0103】
医師の指導の下、図4のステップS302からS304に関して説明したようにして、患者Aの吸入器設定データがメモリカード及びデータベースに登録された(ステップS705)。
【0104】
以上の処理が終了したら、処方箋のデータを作成・更新し(ステップS706)、患者のメモリカードを医療機関端末から取り出して返却し(ステップS707)診察時の処理を終了する。
【0105】
患者Aは薬剤を受け取るべく、利用者端末200をもって当該医療機関の薬局に行った。自身のメモリカードを薬局内の担当者に渡した、担当者は、薬局内の医療機関端末に患者のメモリカードを挿入し(ステップS801)、IDと指紋とで本人であることを確認し(ステップS802)、メモリカード内の処方箋とデータベース内の処方箋を照合して確認した(ステップS803)。S802及びS803のいずれかの照合が正しく行われなかったら、処理を中断して患者に通知する。
【0106】
S802及びS803の照合が正しく行われたので、担当者は1ヶ月分のインスリンを患者Aに渡した(ステップS804)。このインスリンはカートリッジ一体型であり、受け取った薬箱には吸引治具も納められている。この薬剤の支給は初回であることを確認し(ステップS805)、投薬データとして受け取ったインスリンの量、日付、使用期限、期間等の情報がメモリカードとデータベースの両方に書き込まれ(ステップS807)、メモリカードが取り出されて患者に返却された(ステップS808)。
【0107】
自宅に帰った後、標準設定時刻を告げる警告音が鳴り、患者Aは受け取った薬箱から個包装されたカートリッジ1つを取り出して、注意深く開封して薬の漏れ等がないことを確認して吸入器部分に装着した。利用者端末は、カートリッジが装着されるとメモリカードの電子カルテに記載された処方箋データと装着されたカートリッジの情報とを照合して、カートリッジの種類や装着時刻がディスプレイに表示された。
【0108】
そして、図4のステップS306からS309に関して説明したようにして、IDや指紋で利用者の認証を行い、治具を用いて吸引・回復動作を行った後、インスリンの吸入を行い、吸入による自己摂取を終了した。このとき吸入動作を実行した日時はメモリカードに記憶される。
【0109】
以上のような吸入動作を定期的に繰り返して数日過ぎた頃、出先で体の異常を感じ、利用者端末のナビゲーション機能を利用して最寄りの薬品販売店に出向いて、血糖値を測定し測定結果をメモリカードに記憶した。測定した値は通常より多少高めであったので、メモリカードに記憶されたデータをデータベースに転送して、利用者端末の緊急通報機能を用いて担当の医師に連絡して通話により指示を仰いだ。
【0110】
別のある日、手持ちのインスリンが少なくなったので、行きつけの薬品店で購入しようとしたが、在庫が切れていた。そこでナビゲーション機能を用いてインスリンの在庫がある最寄りの薬品店を検索して出向いた。上記と同様に図8のS801からS804に記載された処理に従って、新しいカートリッジを受け取った。この場合はこの薬剤の支給が初回ではないのでステップS805からステップS806へ進み、使用済みのカートリッジを返却した。販売店端末でメモリカード及びデータベースの投薬データと、薬剤の在庫データとが更新されて患者にメモリカードが返却された。
【0111】
(2)勃起不全症患者
次に、勃起不全症患者の例を上記と同様に図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。
【0112】
患者Bは診察を受けるべく医療機関に出向いた。自身の利用者端末からメモリカードを取り出して医師に渡した。医師は患者のメモリカードを医療機関端末に挿入し(ステップS701)、診察を行った(ステップS702)。診察の結果、勃起不全症と診断され、医師との相談に基づき、肺吸入により性腺刺激ホルモンを3ヶ月の間投与することとなった。薬剤の支給は1週間単位と設定され、摂取は一定のインターバルを守り、患者自身が必要に応じて決定することとなった。以上の情報は、メモリカード及びデータベースの電子カルテに書き込まれた(ステップS703)。
【0113】
医師の指導の下、図4のステップS302からS304に関して説明したようにして、患者Bの吸入器設定データがメモリカード及びデータベースに登録された(ステップS705)。また同時に、認証データとして新たに顔写真及び指紋のデータも書き込まれた。
【0114】
以上の処理が終了したら、処方箋のデータを作成・更新し(ステップS706)、患者のメモリカードを医療機関端末から取り出して返却し(ステップS707)診察時の処理を終了する。
【0115】
患者Bは利用者端末200をもって当該医療機関の薬局に行き、自身のメモリカードを薬局内の担当者に渡した、担当者はメモリカードを薬局に設置されている医療機関端末に挿入し(ステップS801)、IDと顔写真とで本人であることを確認し(ステップS802)、メモリカード内の処方箋とデータベース内の処方箋を照合して確認し(ステップS803)、1週間分の薬剤を患者Bに渡した(ステップS804)。この薬剤はタンク交換型であり、受け取った薬箱には吸引治具も納められている。この薬剤の支給は初回であることを確認し(ステップS805)、投薬データとして受け取った量、日付、使用期限、期間等の情報がメモリカードとデータベースの両方に書き込まれ(ステップS807)、メモリカードが取り出されて患者に返却された(ステップS808)。
【0116】
患者Bは必要に応じて薬箱からタンクを取りだしてカートリッジに装着し、効力発揮希望時間に合わせて、上記(1)と同様に吸入による自己摂取を行った。
【0117】
1週間後、受け取った薬剤が無くなったので患者Bは薬品販売店に出向いた。上記と同様に図8のS801からS804に記載された処理に従って、新しいタンクを受け取った。この場合はこの薬剤の支給が初回ではないのでステップS805からステップS806へ進み、使用済みのタンクを返却した。販売店端末でメモリカード及びデータベースの投薬データと、薬剤の在庫データとが更新されて患者にメモリカードが返却された。
【0118】
(3)禁煙希望者
次に、禁煙希望者の例を上記と同様に図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。
【0119】
患者Cは禁煙をめざし、医療機関に出向いて治療を受けることとした。自身の利用者端末からメモリカードを取り出して医師に渡した。医師は患者のメモリカードを医療機関端末に挿入し(ステップS701)、問診を行った(ステップS702)。問診及び相談に基づき、肺吸入により段階的にニコチン摂取量を減少させることとなった。薬剤の支給は1週間単位と設定され、1日の最大摂取量は一定の濃度減少勾配に従って決定することとなった。以上の情報は、メモリカード及びデータベースの電子カルテに書き込まれた(ステップS703)。
【0120】
医師の指導の下、図4のステップS302からS304に関して説明したようにして、患者Cの吸入器設定データがメモリカード及びデータベースに登録された(ステップS705)。また同時に、認証データとして新たに顔写真及び指紋のデータも書き込まれた。
【0121】
この場合、吸入器は一定間隔以下のインターバルで吸入を行うと、1回当たりのニコチン吐出量が減少し、1日の最大摂取量を越えないようにコントロールされる。更に、前日の摂取量が最大摂取量未満であってもその残りの量を翌日には持ち越せないように制御されている。
【0122】
以上の処理が終了したら、処方箋のデータを作成・更新し(ステップS706)、患者のメモリカードを医療機関端末から取り出して返却し(ステップS707)診察時の処理を終了する。
【0123】
患者Cは利用者端末200をもって当該医療機関の薬局に行き、自身のメモリカードを薬局内の担当者に渡した、担当者はメモリカードを薬局に設置されている医療機関端末に挿入し(ステップS801)、IDと顔写真とで本人であることを確認し(ステップS802)、メモリカード内の処方箋とデータベース内の処方箋を照合して確認し(ステップS803)、1週間分の薬剤を患者Cに渡した(ステップS804)。この薬剤はタンク交換型であり、受け取った薬箱には吸引治具も納められている。この薬剤の支給は初回であることを確認し(ステップS805)、投薬データとして受け取った量、日付、使用期限、期間等の情報がメモリカードとデータベースの両方に書き込まれ(ステップS807)、メモリカードが取り出されて患者に返却された(ステップS808)。
【0124】
患者Cは喫煙の代わりに1日に数回、薬箱からタンクを取りだしてカートリッジに装着し、上記(1)と同様に吸入による自己摂取を行った。
【0125】
1週間後、受け取った薬剤が無くなったので患者Cは別の医療機関に出向いた。医師は患者Cのメモリカードを医療機関端末に挿入し、患者Cの電子カルテを読み出して設定された濃度減少勾配に従って、1日の最大摂取量や1回の吸入回数等が設定され、新たな処方箋が書き込まれた。また、吸入器も新たな処方に応じて再度調整された。
【0126】
そして、上記と同様に医療機関の薬局で、図8のS801からS804に記載された処理に従って、新しいタンクを受け取った。この場合はこの薬剤の支給が初回ではないのでステップS805からステップS806へ進み、使用済みのタンクを返却した。薬局の医療機関端末でメモリカード及びデータベースの投薬データと、薬剤の在庫データとが更新されて患者にメモリカードが返却された。
【0127】
(4)入院患者
次に、入院患者の例を図10のフローチャートを参照して説明する。
【0128】
患者Dは勤務先の定期健康診断で胃癌が発見され、除去手術を受けるべく医療機関へ出向いた。医療機関では患者のメモリカードを医療機関端末に挿入し(ステップS1101)、過去の健康診断の結果及び胃部X線撮影画像を読み出して診断し、手術を行った(ステップS1102)。
【0129】
手術結果に基づいて術後の治療方法を含む電子カルテが作成され(ステップS1103)、入院するベッドに備えられたベッドサイド端末に患者Dのメモリカードが移され(ステップS1104)、医師や看護婦などの担当者が登録された(ステップS1105)。
【0130】
このベッドサイド端末は、医療機関端末110の変形であり、その構成は利用者端末200から吸入器202を取り除いたものとほぼ同様である。ただし、ディスプレイなどの表示画面は、視認しやすいように大きくなっている。この表示画面上には患者の名前と病気名や症状が常に表示されている。
【0131】
医師や看護婦によって行われる毎日の治療では、表示画面に表示された名前と症状とを確認して患者を識別し(ステップS1106)、医師や看護婦のIDを入力して患者の電子カルテを読み出し(ステップS1107)、回診や必要な検査又は測定を行い(ステップS1108)、その結果に基づいて処方データを更新する(ステップS1109)。
【0132】
一定期間経過後、症状が回復し退院許可がおりた(ステップS1110)。退院の際には患者にメモリカードが返却された(ステップS1111)。
【0133】
[実施形態の効果]
以上説明したように本実施形態によれば、以下のような効果がある。
【0134】
(1)様々な個人データ及び医療データを電子化してデータベースに格納することにより、情報の共有化による効率的な医療行為が期待できる。
【0135】
(2)各端末にアクセス権を設定すると共に個人識別を行うことにより、プライバシーに係わる個人のデータを保護することができる。
【0136】
(3)利用者端末に緊急通報モードが設けられているので、緊急時に適切かつ迅速な対応が可能となる。
【0137】
(4)従来注射により投与していた薬剤を利用者端末の吸入器を用いて投与することにより、患者自身での薬剤の投与が容易となり、患者の精神的、肉体的負担が軽減される。
【0138】
(5)吸入器での薬剤の吐出駆動の際に、駆動パラメータを吸気速度等に応じて変化させることにより、より多くの薬剤を肺まで送り込んで吸入効率を向上させることができる。
【0139】
(6)吸入器での薬剤投与の際に、個々の患者の吸気量やプロファイルに従った適切な吐出制御を行い効率良く薬剤を投与することができる。
【0140】
(7)患者自身で薬剤投与を行う際に、誤まった薬剤を装着したり吸入器の誤操作を防止することができる。
【0141】
(8)利用者端末のコントローラにより、薬剤の投与量や投与インターバルを処方箋データに従って正確に管理することができる。
【0142】
(9)薬剤の支給及び投与が記録されるので、各患者が使用した薬剤や在庫の管理が正確に行える。更に、使用済みのカートリッジやタンクの回収も正確に行える。
【0143】
(10)利用者端末のメモリカードにも処方箋データが記憶されているので、このデータを読み取ることにより、地域を問わず処方箋に従った薬剤の受け取りが可能となる。
【0144】
(11)利用者端末のナビゲーション機能により、最寄りのあるいは適切な医療機関や薬品販売店へのアクセスが容易となる。
【0145】
[他の実施形態]
以上の実施形態においては、医療用の健康管理システムを例に挙げて説明したが、本発明はこれ以外の様々なアプリケーションに適用できる。
【0146】
例えば、上記と同様な利用者端末とスポーツクラブ等に設置した端末とを用いて、美容や健康のために、予め設定したプログラムに従って利用者がダイエットや運動を規則正しく行うように指示を与えるシステムや、薬剤以外の体に必要なビタミンやミネラル等を過不足なく摂取するために、上記の利用者端末の吸入器を使用することも考えられる。
【0147】
このような医療以外のアプリケーションに適用する際には、必要に応じてデータベースや各端末に格納するデータや利用者端末の機能が変更される。
【0148】
更に、医療用の健康管理システムとしても、ぜんそく患者の吸入治療に上記の利用者端末の吸入器を使用したり、現在注射あるいは飲み薬によって体内に投与されている薬剤を上記の利用者端末の吸入器を使用して体内に投与することが考えられる。
【0149】
また、健康管理システムの構成も上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、データベースが医療機関端末に含まれるような形態でもよい。
【0150】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、吸入器で薬剤を吐出させる際に、薬剤の吐出に関するパラメータを、例えば吸気速度等に応じて変化させることにより、より多くの薬剤を肺まで送り込んで吸入効率を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての医療用の健康管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施形態で取り扱うデータを示す図である。
【図3】図1の実施形態における利用者端末の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の利用者端末を用いた吸入動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の実施形態における薬剤の流れを示す図である。
【図6】図1の実施形態におけるデータの流れを示す図である。
【図7】医療機器端末での診察時の処理を示すフローチャートである。
【図8】薬剤支給時の処理を示すフローチャートである。
【図9】緊急通報モードを説明するための図である。
【図10】入院患者に対する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 データベース
110 医療機関端末
120 製薬会社端末
130 販売店端末
200 利用者端末
201 コントローラ
202 吸入器
203 通信部
204 内部メモリ
205 メモリカード
206 I/Oインタフェース
207 キースイッチ
208 表示・音声入出力部
209 認証センサ
250 外部入出力機器
2021 制御部
2022 カートリッジ
2022A 吐出ヘッド
2022B タンク
2023 センサ

Claims (13)

  1. 剤を出して用者に吸入させる吸入器であって、
    前記薬剤の液滴を吐出する吐出ヘッドと、
    前記利用者による空気の吸入量の時間的な変化を含む吸入プロファイルを検出するセンサと、
    前記センサにより検出された前記吸入プロファイルに応じて、吸入時間内における複数回の吐出パラメータの変化を含む吐出条件を決定し、前記吐出条件に応じて前記吸入時間内に前記吐出ヘッドが前記液滴を前記複数回に分けて吐出するように、前記吐出ヘッドを制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする吸入器
  2. 前記吐出パラメータは、前記液滴の吐出速度を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器
  3. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドの駆動周波数を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器
  4. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴の大きさを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器
  5. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴における主滴/副滴の割合を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器
  6. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドの吐出方式を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器
  7. 前記吐出ヘッドは、熱エネルギーを利用して前記液滴を吐出す
    ことを特徴とする請求項1に記載の吸入器
  8. 剤を出して用者に吸入させる吸入器であり、前記薬剤の液滴を吐出する吐出ヘッドと、前記利用者による空気の吸入量の時間的な変化を含む吸入プロファイルを検出するセンサと、前記センサの検出結果に応じて前記吐出ヘッドを制御する制御手段とを有する吸入器における吐出ヘッドの制御方法であって、
    前記センサが、前記吸入プロファイルを検出する第1のステップと、
    前記制御手段が、前記第1のステップで検出された前記吸入プロファイルに応じて、吸入時間内における複数回の吐出パラメータの変化を含む吐出条件を決定し、前記吐出条件に応じて前記吸入時間内に前記吐出ヘッドが前記液滴を前記複数回に分けて吐出するように、前記吐出ヘッドを制御する第2のステップと、
    を備えたことを特徴とする吐出ヘッド制御方法。
  9. 前記吐出パラメータは、前記液滴の吐出速度を含む
    ことを特徴とする請求項に記載の吐出ヘッド制御方法。
  10. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドの駆動周波数を含む
    ことを特徴とする請求項に記載の吐出ヘッド制御方法。
  11. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴の大きさを含む
    ことを特徴とする請求項に記載の吐出ヘッド制御方法。
  12. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドから吐出される前記液滴における主滴/副滴の割合を含む
    ことを特徴とする請求項に記載の吐出ヘッド制御方法。
  13. 前記吐出パラメータは、前記吐出ヘッドの吐出方式を含む
    ことを特徴とする請求項に記載の吐出ヘッド制御方法。
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