JP4303015B2 - 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、(i)樹脂成分は主たる成分が芳香族ポリカーボネート樹脂であり少割合成分がアクリロニトリル−スチレン共重合体であって、(ii)無機充填材として特定粒子径のマイカ(C−1)とタルクおよび/またはワラストナイト(C−2)とを組合わせて含み、(iii)難燃剤として有機リン化合物を含み、さらに(iv)滴下防止剤として含フッ素化合物を含む樹脂組成物であって、(a)高剛性、高強度および高寸法精度を有する成形品を得ることができ、(b)比較的少ない量の難燃剤であるにもかかわらず良好な難燃特性を有し、さらに(c)無機充填材を含有しているにもかかわらず金型の摩耗の少ないという利点を有する樹脂組成物に関する。本発明の樹脂組成物はシャーシやフレームの如き成形部品であって、難燃性および高い寸法精度が要求される各種部品の成形に適している。
【0002】
【従来の技術】
近年、レーザービームプリンター、複写機、およびプロジェクター装置など、光学系ユニットを有する装置のシャーシやフレーム(以下これらを単に“光学ユニットシャーシ”と称する場合がある)に使用されるプラスチック材料に対しては、高剛性、高強度、高寸法精度(低異方性)、および良好な難燃性が要求される。かかるシャーシ用のプラスチック材料に対しては既に多くの提案がなされている。光学ユニットシャーシにおいては低異方性の要求は依然として高いものがある。また上記の各種光学系ユニットを有する装置は長年製造が続けられており、既に多くのノウハウが蓄積されている。かかる状況にある光学系ユニットを有する装置においてはより高性能な新規機種が開発される一方で、いわゆる汎用機種は低コスト化をより重要視して改良がなされている。かかる場合にプラスチック材料はその金型に要するコストや金型の寿命が問題となる場合がある。すなわち金型摩耗のより少ない(以下“低金型摩耗性”と称する)材料が要求される。
【0003】
シャーシやフレームなどの成形部品に適した樹脂組成物としては従来より数多くが提案されている。(i)特定分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂にガラス繊維などを高充填した樹脂組成物は公知である(特許文献1参照)。(ii)特定分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂、非円形断面繊維、および板状無機充填材からなる樹脂組成物、および該樹脂組成物は良好な低反り性を達成することは公知である(特許文献2参照)。また(iii)芳香族ポリカーボネート樹脂、並びに特定粒子径および特定厚みを有するマイカからなる樹脂組成物で形成された光書き込みユニット固定シャーシは公知である(特許文献3参照)。殊に上記(iii)特許文献3に記載された発明は、極めて高い剛性、低異方性に基づく低いそり率およびねじれ率、および良好な難燃性とを達成するものである。すなわち光学ユニットシャーシに必要な好ましい特性を有するものである。しかしながら、この発明の組成物は、高剛性、高強度、低異方性(高寸法精度)、難燃性、および低金型摩耗性の要求を全て満足する成形品が得られるとはいい難い。
【0004】
一方、芳香族ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、および炭素繊維からなる樹脂組成物は低減された金型摩耗性を有することは公知である(特許文献4参照)。しかしながらかかる樹脂組成物は低異方性を十分に考慮しておらず、また低異方性を達成した上で十分な強度を有するための技術的知見を特許文献4では開示していない。
【0005】
ポリカーボネート樹脂、鱗片状無機充填材、および特定の構造を有するリン酸エステル化合物からなるCD−ROM機構部品は公知である(特許文献5参照)。しかしながら該特許文献5も高剛性および高強度であり、かつ良好な難燃性と低金型摩耗性の要求をも満足する樹脂組成物を十分に開示したとはいい難い。
【0006】
芳香族ポリカーボネート樹脂、難燃剤、ガラス繊維とタルク等とを特定割合で組み合わせた無機充填材、およびフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンからなる樹脂組成物は公知である(特許文献6参照)。該組成物は高剛性、高強度、高寸法精度、および良好な難燃性を有することは公知である。しかしながら該組成物は、低コスト化をより重要視する機種に使用する材料としてはさらに改良の余地があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−287185号公報
【特許文献2】
特開平6−207189号公報
【特許文献3】
特開平9−12733号公報
【特許文献4】
特開平1−185360号公報
【特許文献5】
特開平8−115589号公報
【特許文献6】
特開2001−164105号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特に光学ユニットシャーシやフレーム用成形品として好適な、高剛性、高強度、高寸法精度(低異方性)、良好な難燃性、および低金型摩耗性のいずれの特定もバランスよく満足する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂および特定割合のアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)を組合わせて樹脂成分とし、無機充填材として特定粒子径のマイカにタルクあるいはワラストナイトを特定割合組合わせて使用し、難燃剤として有機リン化合物を使用し、かつ含フッ素滴下剤を使用し、さらにこれら各成分を一定割合で配合した樹脂組成物は、本発明の課題を達成しうる成形品が得られることが見出された。すなわち、樹脂組成物は高剛性、高強度および高寸法精度を有する成形品が得られると比較的少ない難燃剤の使用で良好な難燃性が発現されることおよび金型の摩耗が極めて少ないことという利点が得られることが判明した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、
(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)、
(C)無機充填材(C成分)、
(D)有機リン化合物系難燃剤(D成分)および
(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)
よりなり、これら各成分の割合は、下記(i)〜(iii)の条件を満足することを特徴とする難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
(i)A〜D成分の合計100重量%当り、A成分およびB成分の合計は50重量%以上であり、C成分は15〜35重量%であり、D成分は3〜15重量%であり、かつA〜D成分の合計100重量部当りE成分は0.02〜2重量部である、
(ii)A成分およびB成分の合計100重量部当り、A成分は75〜95重量部であり、かつB成分は5〜25重量部である、
(iii)C成分は(C1)平均粒子径30〜300μmのマイカ(C−1成分)および(C2)タルクおよびワラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の充填材(C−2成分)より構成され、A〜D成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜25重量%であり、C−2成分は3〜15重量%でありかつC−1成分およびC−2成分の合計100重量部当りC−1成分は40〜90重量部である。
【0011】
本発明者は、さらに研究を進めたところ、前記樹脂組成物に離型剤として一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル(F成分)を一定割合配合すると、他の種類の離型剤を配合した場合に比べて、金型からの離型性が極めて良好であることが見出された。
【0012】
かくして本発明によれば、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、
(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)、
(C)無機充填材(C成分)、
(D)有機リン化合物系難燃剤(D成分)および
(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)
(F)一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル(F成分)
よりなり、これら各成分の割合は、下記(i)〜(iii)の条件を満足することを特徴とする難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物も提供される。
(i)A〜D成分の合計100重量%当り、A成分およびB成分の合計は50重量%以上であり、C成分は15〜35重量%であり、D成分は3〜15重量%であり、かつA〜D成分の合計100重量部当りE成分は0.02〜2重量部であり、F成分は0.01〜2重量部である。
(ii)A成分およびB成分の合計100重量部当り、A成分は75〜95重量部であり、かつB成分は5〜25重量部である、
(iii)C成分は(C1)平均粒子径30〜300μmのマイカ(C−1成分)および(C2)タルクおよびワラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の充填材(C−2成分)より構成され、A〜D成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜20重量%であり、C−2成分は5〜15重量%でありかつC−1成分およびC−2成分の合計100重量部当りC−1成分は40〜90重量部である。
【0013】
次に本発明の樹脂組成物について、さらに詳細に説明するが、先ず樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0014】
本発明の樹脂組成物においては、樹脂成分は芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)およびアクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)より実質的になる。B成分のアクリロニトリル−スチレン共重合体は、一般的にAS樹脂と称されているものである。
【0015】
A成分である芳香族ポリカーボネート樹脂は、従来種々の成形品のために使用されている、それ自体公知のものであることができる。すなわち、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
【0016】
二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げることができる。その他1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの二価の脂肪族アルコールを共重合することも可能である。上記の各種二価フェノールから得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の中でも、ビスフェノールAの単独重合体を特に好ましく挙げることができる。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0017】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0018】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
【0019】
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート樹脂中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。なお、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0020】
さらに芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよい。脂肪族の二官能性カルボン酸としては、例えば炭素数8〜20、好ましくは10〜12の脂肪族の二官能性カルボン酸が挙げられる。かかる脂肪族の二官能性のカルボン酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸およびイコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。
【0021】
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
【0022】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、上述した各種二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有する分岐ポリカーボネート、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体など各種の芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに下記に示す製造法の異なる芳香族ポリカーボネート、末端停止剤の異なる芳香族ポリカーボネートなど各種についても2種以上を混合したものが使用できる。
【0023】
芳香族ポリカーボネートの重合反応において界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレンまたはクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物または第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0024】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0025】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0026】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0027】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムまたは水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミンまたはトリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物などの触媒を用いることができる。さらにアルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類またはジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0028】
溶融エステル交換法による反応では芳香族ポリカーボネート樹脂のフェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0029】
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後の芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩の如きホスホニウム塩またはテトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートの如きアンモニウム塩などが好ましく挙げられる。
【0030】
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は特に限定されないが、本発明においては15,000〜50,000の範囲が好適である。粘度平均分子量の下限は16,000以上がより好ましく、17,000以上がさらに好ましく、18,000以上が特に好ましい。一方、粘度平均分子量の上限は26,000以下が好ましく、25,000以下がさらに好ましい。上記粘度平均分子量は芳香族ポリカーボネート樹脂がA成分100重量%中50重量%以上、好ましくは70重量%以上含まれる場合に特に好ましい。芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量が15,000未満であると衝撃強度、難燃性などが低下しやすい。一方50,000を超えると流動性は低下するため、本発明においては好ましくない。
【0031】
また、芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
【0032】
粘度平均分子量が50,000を超える芳香族ポリカーボネートとの混合物はエントロピー弾性が高く十分な溶融張力を有する。したがって着色層を形成する場合好ましい特性を有する。また基体層の成分として使用する場合にもジェッティングの防止、ガスアシスト安定性、および発泡の安定性などに代表されるレオロジー挙動に基づく成形不良を生じにくい特徴がある。
【0033】
より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上の芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物であり、さらに好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの測定法において2ピーク以上の分子量分布を観察できるものが好ましく使用できる。
【0034】
また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)において、そのフェノール性水酸基量は30eq/ton以下が好ましく、25eq/ton以下がより好ましく、20eq/ton以下がさらに好ましい。なお、かかる値は十分に末端停止剤を反応せさることで実質的に0eq/tonとすることも可能である。なお、該フェノール性水酸基量は、1H−NMR測定を行い、カーボネート結合を有する2価フェノールユニット、フェノール性水酸基を有する2価フェノールユニット、および末端停止剤のユニットのモル比を算出し、それに基づきポリマー重量当りのフェノール性水酸基量に換算することで求められる。
【0035】
本発明でいうA成分粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4M0.83
c=0.7
【0036】
なお、本発明のA成分は、二価フェノールの異なるもの、末端停止剤を使用したものと使用していないもの、直鎖状のものと分岐状のもの、製法の異なるもの、末端停止剤の異なるもの、ポリカーボネートとポリエステルカーボネート、粘度平均分子量の異なるものなど、2種以上のポリカーボネートを混合することができる。
【0037】
本発明の樹脂組成物において、A成分と共に樹脂成分であるB成分は、アクリロニトリル−スチレン共重合体であり、通常AS樹脂と呼ばれている樹脂である。このB成分の共重合体(AS樹脂)における各成分(単量体)の割合は、樹脂全体を100重量%とした場合、アクリロニトリルが5〜50重量%、好ましくは15〜35重量%であり、スチレンが95〜50重量%、好ましくは85〜65重量%である。B成分の共重合体は、アクリロニトリルおよびスチレン以外に他の共重合可能なビニル化合物が少割合共重合されていてもよい。他のビニル化合物の共重合割合は、B成分中15重量%以下、好ましくは10重量%以下が望ましい。B成分の重合反応に使用する重合開始剤または連鎖移動剤などは、必要に応じて従来公知のものを使用することができる。
【0038】
かかるB成分(AS樹脂)は塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、好ましくは塊状重合または懸濁重合によるものである。また共重合の方法も一段での共重合、または多段での共重合のいずれであってもよい。またかかるB成分(AS樹脂)の重量平均分子量は、GPC測定による標準ポリスチレン換算において40,000〜200,000が好ましい。かかる下限は50,000がより好ましく、70,000がさらに好ましい。また上限は160,000がより好ましく、150,000がさらに好ましい。
【0039】
本発明の樹脂組成物においては、無機充填材(C成分)が、2つのタイプの充填材を組合わせて使用することに特徴を有している。無機充填材(C成分)における1つのタイプは特定の平均粒子径を有するマイカ(C−1成分)であり、他のタイプは、タルクおよびワラストナイトからなる群から選択される少なくとも一種(C−2成分)である。
【0040】
無機充填材におけるマイカ(C−1成分)の平均粒子径は走査型電子顕微鏡により観察し、無差別に抽出した合計1,000個の数平均にて算出される数平均粒子径である。その数平均粒子径は30〜300μmであり、好ましくは30〜280μm、より好ましくは35〜260μmである。数平均粒子径が30μm未満となると衝撃強度が低下し、また芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性も低下する場合がある。また300μmを超えると衝撃強度は向上するが外観が悪化しやすい。外観の悪化は紙が通る部材などにおける滑り性を低下させるため、好ましくない場合がある。
【0041】
かかるマイカの平均粒子径は、本発明の範囲にあっても、外観と、衝撃強度や剛性のいずれを重視するかによってそのより好ましい範囲は異なる。外観をより重視する場合にはマイカの数平均粒子径は、好ましく30〜100μmの範囲であり、より好ましくは35〜80μmの範囲である。本発明の樹脂組成物は、成形時間の短縮によってより低コスト化を実現するため、極めて低い金型温度の条件下で成形される場合がある。したがって外観の悪化による滑り性の低下を抑制するためには、より小粒径のマイカを使用することが適切となる。一方、外観が重要視されない場合には、剛性や衝撃強度の点から、好ましくは100〜300μm、より好ましくは100〜260μmの範囲のマイカが使用される。
【0042】
マイカ(C−1成分)の厚みとしては、電子顕微鏡観察により実測した厚みが0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmのものを使用できる。アスペクト比としては5〜200、好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカ(C−1成分)はマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。
【0043】
また、マイカの粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法と、マイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。本発明のマイカはいずれの粉砕法において製造されたものも使用できるが、乾式粉砕法の方が低コストで一般的である。一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であるがコストがかかる。マイカは、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよく、さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
【0044】
無機充填材として前記マイカ(C−1成分)と組合わせて使用されるC−2成分は、タルクおよび/またはワラストナイトである。このC−2成分として使用するタルクとは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常SiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。本発明において、上記の特定粒子径のマイカ(C−1成分)にタルク(C−2成分)を併用することにより、良好な難燃性を有する難燃性樹脂組成物が得られる。かように同じ板状無機充填材である特定粒子径のマイカとタルクを併用し、良好な難燃性樹脂組成物を達成し得ることは従来知られていなかった。
【0045】
タルクの平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。該平均粒子径はJIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。タルクの粒子径は2〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、10〜20μmが特に好ましい。0.5〜30μmの範囲では良好な難燃性が達成される。
【0046】
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
【0047】
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
【0048】
また、もう一つのC−2成分であるワラストナイトは、実質的に化学式CaSiO3で表され、通常SiO2が約50重量%以上、CaOが約47重量%、その他Fe2O3、Al2O3等を含んでいる。ワラストナイトは、ワラストナイト原石を粉砕、分級した白色針状粉末で、モース硬度は約4.5である。使用するワラストナイトの平均繊維径は0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。該平均繊維径は走査型電子顕微鏡により観察し、無差別に抽出した合計1,000個の数平均にて算出されるものである。
【0049】
上記C−2成分の中でも、低金型摩耗性により優れるためタルクがより好ましい。すなわち、無機充填材(C成分)は、マイカ(C−1成分)とタルク(C−2成分)の組合せが好適であり、このC−1成分とC−2成分の割合は、後で説明する。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、難燃剤として有機リン化合物系難燃剤(D成分)を含有している。有機リン化合物系難燃剤(D成分)の使用により、比較的少ない配合割合によって、成形品の良好な難燃性が達成されるばかりでなく、剛性(曲げ弾性率)を向上させることができ、またハロゲン系難燃剤に比較して低比重化が可能である。その上可塑化効果に基づく樹脂組成物の低い溶融粘度が金型面の摩耗を低減する効果も有している。
【0051】
本発明のD成分の有機リン化合物系難燃剤としては、特に下記一般式(1)で表される1種または2種以上のリン酸エステルを挙げることができる。
【0052】
【化1】
【0053】
(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから誘導される2価の基が挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0〜5の平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−クミルフェノールから誘導される1価の基である。)
さらに好ましいものとしては、上記式中のXが、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、およびジヒドロキシジフェニルから誘導される2価の基が挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは1〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合はその平均値であり、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくはより好適には置換していないフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導される1価の基である。
【0054】
また、D成分の有機リン化合物は、そのTGAによる、窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温した時の5%重量減少温度が280℃以上であるものが好ましい。該重量減少温度はさらに、320℃以上がより好ましく、330℃以上がさらに好ましく、340℃以上が特に好ましい。該重量減少温度の上限としては380℃以下が一般に入手可能で適切であり、370℃以下がより適切である。上記の如く重量減少温度が比較的高温の有機リン化合物は、樹脂組成物の溶融粘度の低下効果と共に、良好な耐熱性(良好な荷重たわみ温度など)を樹脂組成物に付与できる点で好ましい。
【0055】
上記の点などを考慮すると、上記式のリン酸エステルの中でも、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマー、4,4−ジヒドロキシジフェニルビス(ジキシレニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好適である(ここで主体とするとは、重合度の異なる他の成分を少量含んでよいことを示す)。
【0056】
本発明の樹脂組成物は、含フッ素滴下防止剤(E成分)を含有している。この含フッ素滴下防止剤(E成分)の含有により、成形品の物性を損なうことなく、良好な難燃性を達成することができる。
【0057】
E成分としての含フッ素滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。中でも好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
【0058】
フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、さらに良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
【0059】
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン6J、ダイキン工業(株)のポリフロンMPA FA500およびF−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1およびD−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン30Jなどを代表として挙げることができる。
【0060】
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、さらに該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などを挙げることができる。
【0061】
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。なお、上記E成分の割合は正味の含フッ素滴下防止剤の量を示し、混合形態のPTFEの場合には、正味のPTFE量を示す。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、さらに一価または多価アルコールと高級脂肪酸とのエステル(F成分)を任意成分として含有することが好ましい。F成分の使用により本発明の前記した効果を維持しつつ、さらに優れた離型性をも有する樹脂組成物が提供される。その結果より良好な寸法安定性を有する成形品が提供される。殊に本発明においてより好適なD成分を含有する場合に、かかるF成分の好ましい効果が特に発揮される。より好適なD成分については前記のとおりである。
【0063】
F成分のエステルを構成する高級脂肪酸は、好ましくは炭素数20以上(より好ましくは炭素数20〜32、さらに好ましくは炭素数26〜32)の脂肪酸を60重量%以上含有する。かかる高級脂肪酸として、モンタン酸を主成分とする高級脂肪酸が好ましく例示される。かかる高級脂肪酸は通常モンタンロウを酸化することにより製造される。
【0064】
F成分を構成する一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。
【0065】
F成分を構成する多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン(例えばデカグリセリンなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、およびプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリメチロールプロパンが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。
【0066】
モンタン酸を主成分とする高級脂肪酸と一価または多価アルコール(好ましくは多価アルコール)とのエステルは、密度:0.94〜1.10g/cm3、酸価:1〜200、鹸化価:50〜200の範囲であることが好適であり、より好適には、密度:0.98〜1.06g/cm3、酸価:5〜30、鹸化価:100〜180の範囲である。
【0067】
次に本発明の樹脂組成物を構成するA〜E成分および任意成分としてのF成分の割合について説明する。
【0068】
本発明の樹脂組成物において、樹脂成分である芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)およびアクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分;AS樹脂)の合計量は、A成分、B成分、C成分およびD成分の合計100重量%当り50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上である。A成分とB成分の合計量の上限は、C成分およびD成分の割合により主として左右されるが、80重量%、好ましくは76重量%が適当である。
【0069】
A成分およびB成分の両者の割合は、A成分およびB成分の合計100重量部当り、A成分75〜95重量部でありかつB成分は5〜25重量部であり、好ましくはA成分78〜92重量部でありかつB成分8〜22重量部である。
【0070】
無機充填材(C成分)の割合は、C−1成分およびC−2成分の合計として、A〜D成分の合計100重量%当り、15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%である。またA〜D成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜25重量%、好ましくは10〜20重量%、特に好ましくは12〜20重量%であり、C−2成分は3〜15重量%、好ましくは5〜15重量%、特に好ましくは5〜12重量%である。C−1成分とC−2成分との両者の割合は、C−1成分とC−2成分の合計100重量部当り、C−1成分が40〜90重量部でありかつC−2成分が60〜10重量部であり、好ましくはC−1成分が50〜80重量部でありかつC−2成分が50〜20重量部である。
【0071】
難燃剤としての有機リン化合物(D成分)は、A〜D成分の合計100重量%当り、3〜15重量%、好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは3〜6重量%である。
【0072】
含フッ素滴下防止剤(E成分)は、A〜D成分100重量部当り、0.02〜2重量部、好ましくは0.05〜2重量部、より好ましくは0.1〜1重量部、更に好ましくは0.15〜0.8重量部である。また離型剤としての高級脂肪酸エステル(F成分)は、A〜D成分の合計100重量部当り、2重量部以下、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1.5重量部であり、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0073】
本発明の樹脂組成物は、前記したA〜F成分の組合せおよびその組成割合であることによって、その組成物からの成形品は、優れた物理的特性を有しかつ難燃性に優れている。すなわち、成形品の衝撃強度(J/m)は30以上であり、好適には35以上を示し、その上限は好適には55にも達する。また成形品の収縮異方性(成形品の流れ方向と直角方向における成形収縮率(%)の差の絶対値)が小さく0.15以下、好適には0.10以下の値を有する。
【0074】
本発明の樹脂組成物からの成形品は、難燃剤(D成分)の含有割合が比較的に少ないにもかかわらず、UL94規格による1.6mm厚の試験片の難燃テストにおいてV−1レベルを達成することができる。
【0075】
また本発明の成形品は、B成分、無機充填材のC−1成分およびC−2成分、並びにD成分の組合せによって、高剛性かつ低比重の樹脂組成物を提供する。かかる比重はより具体的には、真密度で示して1.3〜1.45(g/cm3)、好適条件下では1.32〜1.40(g/cm3)である。
【0076】
本発明のA成分〜E成分からなる樹脂組成物、およびA成分〜F成分からなる樹脂組成物からの成形品は、低粘度潤滑油に対して良好な耐性を有する。シャーシ成形品に組み付けられる各種機構部品が滑らかに作動するよう、シャーシ成形品は予め潤滑油を塗布される場合があり、または使用中に塗布される可能性を有する。したがって、かかる良好な耐性は、シャーシ成形品に必要とされる好ましい特性である。
【0077】
低粘度潤滑油は、炭化水素油、シリコーン油、フッ素油などが例示される。本発明のA成分〜E成分からなる樹脂組成物、およびA成分〜F成分からなる樹脂組成物からの成形品は、これらの中でも広範に使用される炭化水素油に対して良好な耐性を有し、中でも使用頻度の高いパラフィン油を主成分とする潤滑油に対して良好な耐性を有する。
【0078】
前記低粘度潤滑油は、40℃において2〜20mm2/sの範囲の動粘度を有するものであり、より好適には2〜10mm2/sの範囲の動粘度を有するものである。低粘度潤滑油の具体例としては、例えば呉工業(株)製CRC5−56などが例示される。
【0079】
本発明の樹脂組成物は、無機充填材(C成分)としてC−1成分およびC−2成分の組合せを使用することに起因して、金型の摩耗性が極めて少なく成形コストを低減できるという利点を有している。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、前記したA〜F成分の割合を維持しかつ目的を損なわない限り他の成分を含有していてもよい。例えばA成分およびB成分以外の他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどに代表される各種熱可塑性ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができる。これらは目的に応じて上記A成分およびB成分と併用して使用することができる。殊にポリアリレート樹脂は制振性が要求される場合に、良好な難燃性と制振性を両立できることから併用して使用することが好ましい場合がある。
【0081】
更に本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、少量のゴム質重合体を含むことができる。かかる割合は、A成分〜D成分の合計100重量部に対して1.5重量部以下とすることが適切であり、より好ましくは1.3重量部以下、更に好ましくは1重量部以下である。
【0082】
ゴム質重合体としてより具体的には、SB(スチレン−ブタジエン)重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)重合体、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)重合体、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム)重合体、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)重合体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)重合体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げることができる。これらの重合体はいずれもゴム成分からなる重合体のコアに上記単量体からなるポリマー鎖が結合したコア−シェルタイプのグラフト共重合体であることが好ましい。
【0083】
尚、本発明のゴム質重合体は、他の成分中に含有される形態であってもよい。かかる形態のゴム質重合体としては、例えばABS樹脂中に含まれるABS共重合体が例示される。
【0084】
本発明でD成分の有機リン化合物以外の難燃剤としては、赤リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、および金属塩系難燃剤などを挙げることができる。しかしながら、本発明においては、難燃剤として実質的にD成分のみを含有するものが好適である。
【0085】
本発明は、本発明の目的を損なわない範囲においてC−1成分およびC−2成分以外の無機充填材を少量含むことも可能である。ここでガラス繊維やガラスフレークなどのガラス系充填材(モース硬度約6.5)や、ホウ酸アルミニウムウイスカー(モース硬度約7)および酸化チタン(ルチル型でモース硬度約7)などの硬度の高い充填材は、その割合がA成分〜D成分の合計100重量部に対して3重量部以下とすることが適切であり、1重量部以下がより好ましい。一方、モース硬度が5以下の充填材であれば、3重量部を超えて配合することも可能であるが、5重量部以下とすることが好ましい。
【0086】
本発明の樹脂組成物には、他に熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤(F成分以外)、帯電防止剤、発泡剤、染顔料(殊にカーボンブラック、酸化チタン等)等を配合することもできる。
【0087】
熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等のリン系の熱安定剤が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル化合物、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等のリン酸エステル化合物、さらにその他のリン系熱安定剤として、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル化合物等を挙げることができる。これらのうち、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイトが好ましい。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、A成分〜D成分の合計100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.002〜0.3重量部がさらに好ましい。
【0088】
酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、A成分〜D成分の合計100重量部に対して0.0001〜0.05重量部が好ましい。
【0089】
紫外線吸収剤としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤、および例えば2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールに代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が例示される。さらにビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等に代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も使用することが可能である。かかる紫外線吸収剤、光安定剤の配合量は、A成分〜D成分の合計100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
【0090】
F成分以外の離型剤としては、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、フッ素オイル、オルガノポリシロキサン、パラフィンワックス、および蜜蝋等が挙げられる。
【0091】
帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合量は、A成分〜D成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。
【0092】
本発明者はさらに研究を進めたところ、前記した樹脂組成物の利点および効果は、樹脂成分がポリフェニレンエーテル樹脂およびポリスチレン樹脂である樹脂組成物においても同様に達成されることが見出された。
【0093】
かくして本発明によれば、
(1)ポリフェニレンエーテル樹脂(P成分)、
(2)ポリスチレン樹脂(S成分)、
(3)無機充填材(C成分)、
(4)有機リン化合物系難燃剤(D成分)および
(5)含フッ素滴下防止剤(E成分)
よりなり、これら各成分の割合は、下記(i)〜(iii)の条件を満足することを特徴とする難燃性芳香族ポリフェニレンエーテル樹脂組成物(以下“PPE樹脂組成物”という)が提供される。
(i)P、S、CおよびD成分の合計100重量%当り、P成分およびS成分の合計は50重量%以上であり、C成分は15〜35重量%であり、D成分は3〜15重量%であり、かつP、S、CおよびD成分の合計100重量部当りE成分は0〜2重量部である、
(ii)P成分およびS成分の合計100重量部当り、P成分は50〜85重量部であり、かつS成分は15〜50重量部である、
(iii)C成分は(C1)平均粒子径30〜300μmのマイカ(C−1成分)および(C2)タルクおよびワラストナイトからなる群から選択される少なくとも1種の充填材(C−2成分)より構成され、P、S、CおよびD成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜25重量%であり、C−2成分は3〜15重量%でありかつC−1成分およびC−2成分の合計100重量部当りC−1成分は40〜90重量部である。
【0094】
このPPE樹脂組成物におけるポリフェニレンエーテル樹脂(P成分)とは、フェニレンエーテル構造を有する核置換フェノールの重合体または共重合体(以下単にPPE重合体と称する場合がある)である。
【0095】
フェニレンエーテル構造を有する核置換フェノールの重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
【0096】
フェニレンエーテル構造を有する核置換フェノールの共重合体の代表例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールおよびo−クレゾールとの共重合体等がある。
【0097】
上記のPPE重合体の製造方法は特に限定されるものではないが例えば米国特許4,788,277号明細書(特願昭62−77570号)に記載されている方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6−キシレノールを酸化カップリング重合して製造することができる。
【0098】
また、PPE重合体の分子量および分子量分布も種々のものが使用可能であるが、分子量としては、0.5g/dlクロロフォルム溶液、30℃における還元粘度が0.20〜0.70dl/gの範囲が好ましく、0.30〜0.55dl/gの範囲がより好ましい。
【0099】
また、PPE重合体中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特願昭63−12698号公報および特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。また、PPE重合体の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
【0100】
本発明のPPE樹脂組成物において、P成分以外の樹脂成分としてポリスチレン樹脂(S成分)が使用される。ポリスチレン樹脂(S成分)としては、それを構成するモノマー単位としてスチレンが85重量%以上、好ましくは90重量%以上含有されるものが適当であり、通常ポリスチレン樹脂と称されるものが使用される。例えばHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)も好適に使用される。
【0101】
本発明のPPE樹脂組成物では、樹脂成分としてのP成分およびS成分の他に、無機充填材(C成分)、有機リン化合物系難燃剤(D成分)および任意成分として含フッ素滴下防止剤(E成分)が配合される。これらC成分、D成分およびE成分の具体的化合物は、前記した樹脂組成物と同じものが使用されるので、PPE樹脂組成物では説明を省略する。C成分、D成分およびE成分は、前記した化合物が使用され、好ましいものとして記載したものが同様に好ましい化合物である。
【0102】
本発明のPPE樹脂組成物における各成分の割合について以下説明する。
樹脂成分であるポリフェニレンエーテル樹脂(P成分)およびポリスチレン樹脂(S成分)の合計量は、P、S、CおよびD成分の合計100重量%当り、50重量%以上、好ましくは60重量%以上であり、P成分およびS成分の合計量の上限は、C成分およびD成分の割合により変わるが、82重量%、好ましくは75重量%が適当である。P成分およびS成分の両者の割合は、P成分およびS成分の合計100重量部当り、P成分50〜85重量部でありかつS成分15〜50重量部であり、好ましくはP成分55〜75重量部でありかつS成分25〜45重量部である。
【0103】
無機充填材(C成分)の割合は、C−1成分およびC−2成分の合計として、P、S、CおよびD成分の合計100重量%当り、15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%である。またP、S、CおよびD成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜25重量%、好ましくは10〜20重量%、特に好ましくは12〜20重量%であり、C−2成分は3〜15重量%、好ましくは5〜15重量%、特に好ましくは5〜12重量%である。C−1成分とC−2成分との両者の割合は、C−1成分とC−2成分の合計100重量部当り、C−1成分が40〜90重量部でありかつC−2成分が60〜10重量部であり、好ましくはC−1成分が50〜80重量部でありかつC−2成分が50〜20重量部である。
【0104】
難燃剤としての有機リン化合物(D成分)は、P、S、CおよびD成分の合計100重量%当り、3〜15重量%、好ましくは5〜12重量%である。
【0105】
含フッ素滴下防止剤(E成分)は、P、SおよびD成分100重量部当り、2重量部以下、好ましくは0.05〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。また離型剤としての高級脂肪酸エステル(F成分)を使用することができる。その量はP、S、CおよびD成分の合計100重量部当り、2重量部以下、好ましくは0.01〜2重量部、特に好ましくは0.05〜1重量部である。
【0106】
本発明の難燃性樹脂組成物(PPE樹脂組成物も含む)は、上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、さらにその際、C成分はサイドフィーダー等により第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。かくして得られた組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、または回転成形等の既知の方法で容易に成形することができ、特に射出成形により精密機器等の高精度シャーシを成形することが可能である。その際さらに高精度を達成するため、射出圧縮成形、断熱金型による成形等を組合わせることが可能であり、また軽量化および低歪み化のためガスアシスト成形等を組合わせて使用することも可能である。
【0107】
以上本発明によれば、剛性、寸法精度、強度に優れ、かつ低金型摩耗性を有する、難燃性樹脂組成物が提供される。さらにこれにより上記樹脂組成物より形成されたシャーシやフレーム成形品が提供される。本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は光学ユニットなどの精密な機構部品が搭載されるOA関連機器のシャーシやフレームに特に好適である。OA関連機器としては、プリンター(殊にレーザービーム方式のもの)、複写機、ファクシミリ、およびプロジェクター装置などを挙げることができる。他に精密なセンサーを搭載する家庭用ロボットなどのシャーシやフレームに好適なものである。
【0108】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0109】
[実施例1〜11および比較例1〜6]
表1〜表6に記載成分のうち、無機充填材(C−1成分、C−2成分および本発明以外の無機充填材)を除いた成分であるA成分、B成分、D成分、P成分、S成分およびその他の成分をV型ブレンダーにて混合して混合物を作成した。なお、E成分は、その含有率が2.5重量%となるA成分(PC)またはP成分(PPE)との予備混合物を、これらをポリエチレン袋中に入れ手動で撹拌することにより作成した後、他の成分と混合した。スクリュー径30mmのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX−30XSST)を用いて、V型ブレンダーにて混合した混合物を最後部の第1投入口より(ただし実施例4および11のD成分は80℃に加温し定量液体移送装置にて押出機内に所定割合を配合した)、また無機充填材(C−1成分、C−2成分および本発明以外の無機充填材)をシリンダー途中の第2供給口よりサイドフィーダーを用いて、計量器を用いて所定の割合となるように供給し、真空ポンプを使用し3kPaの真空下において、シリンダー温度270℃で溶融押出ししてペレット化した。得られたペレットを100℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、下記評価項目の説明において特に記載がない限りは、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度70℃で評価用の試験片を作成し、下記の評価方法で評価を行った。
(1)難燃性樹脂組成物の機械的特性
(i) 剛性 :ASTM D−790に従って曲げ弾性率を測定した(試験片寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)。
(ii) 耐衝撃性 :ASTM D−256に従ってアイゾットノッチ付きインパクトを測定した(A法:試験片厚み3.2mm)。
(iii) 真密度 :ASTM D−792(23℃)に従って測定した。
(iv) 耐熱性 :ASTM D−648に従って1.82MPa荷重にて荷重たわみ温度を測定した(試験片寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)。
(v) 燃焼性 :UL規格94Vに従い燃焼試験を実施した。
(vi) 成形収縮率:幅50mm×長さ100mm×厚み4mmの角板を同一の条件で射出成形により成形し23℃、相対湿度50%雰囲気にて24時間放置した後、角板寸法を3次元測定機(ミツトヨ(株)製)により測定し、成形収縮率を算出した。なお、上記角板は、幅50mmおよび厚み1.5mmのフィルムゲートを長さ方向の一端に有する金型キャビティを用いて成形されたものである。したがって長さ方向が流れ方向、および幅方向が流れ方向と直角の方向となる。さらに角板の成形条件は次のとおりである。すなわち、射出成形機:住友重機械工業(株)製SG−150U、シリンダー温度:260℃、金型温度:70℃、充填時間:0.7秒、保圧:61.6MPa、保圧時間:15秒、冷却時間:23秒であった。かかる条件によって良好な成形品が得られた。さらに寸法評価用の角板は、15ショットを上記条件により連続成形した後、10ショットを連続して成形し、該成形品の中から5つのサンプルを任意に抽出した。かかるサンプルの平均値を成形収縮率とした。
(vii) 金型摩耗性の評価:図1に示す成形品を2,000ショット成形し、成形前後のピン(材質アルミニウム)の重量を測定し、その重量減少程度を調べた。測定はピンをヘキサンで洗浄した後100℃で3時間熱風乾燥機により乾燥し、デシケータ中で1時間放冷した後電子天秤により重量を測定した。金型に組込む際にはキャビティ表面に露出する部分を除いて潤滑油を塗布し、成形試験後は上記と同様に再度ヘキサン洗浄、乾燥、および放冷した後重量を測定した。評価は以下のように行った。
◎:重量減少が0.05mg以下
○:重量減少が0.05mgを超え0.1mg以下
△:重量減少が0.1mgを超え0.2mg以下
×:重量減少が0.2mgを超える
【0110】
(viii) 離型荷重の測定
図3に示すコップ状成形品を突き出しピンを突き出して離型させる際の離型力を測定した。測定に供された金型の概要を図4に示す。かかる離型力の測定は、突き出し用のプレートにロードセル(9800N)を設置しかかるロードセルの先端部が突き出しピンの根元に接して突き出しピンを押し出す構成とすることにより行われた。かかる構成により突き出し時のロードセルにかかる力が測定され、その力の最大値を離型力とした。かかるコップ状成形品を連続して40ショット成形し離型力を安定化させた後、連続20ショットの成形を行って各ショットの離型力を測定し、その平均値を表1〜表5中の離型力とした。コップ状成形品の成形条件は次のとおりである。すなわち、射出成形機:FANUC製 T−series Model 150D、シリンダー温度260℃、金型温度:70℃、充填時間2.5秒、保圧58.8MPa、保圧時間:5秒、冷却時間:25秒であった。かかる条件によって良好な成形品が得られた。
(ix) 低粘度潤滑油耐性の評価
ASTM規格D−638に従って作成した厚さ3.2mmの試験片(引張りダンベルTYPE−I)に0.5%の曲げ歪みを与え低粘度潤滑油(呉工業(株)製CRC5−56:40℃の動粘度4.2mm2/s)を塗布し、80℃にて72時間処理した後、成形品外観のクラックの有無を目視観察し、以下の基準で耐薬品性を判定した。試験片の取り付けの概要を図5に示す。
○:クラックの発生無し、×:クラック発生あり。
【0111】
なお、曲げ歪み(ε=0.005)は3点の内の両端の2点のスパンをL(100mm)、試験片の厚みをh(3.2mm)、および試験片を水平状態から持ち上げた高さをy(mm)としたとき、ε=(6hy)/L2の式より算出される値である。
【0112】
(2)難燃性熱可塑性樹脂組成物の組成成分
なお、表1〜表6に記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(A成分)
PC−1:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂粉末、帝人化成(株)製「パンライトL−1225WP」)
PC−2:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,700の芳香族ポリカーボネート樹脂粉末、帝人化成(株)製「パンライトL−1225WX」)
(P成分)
PPE:ポリフェニレンエーテル樹脂(GEM社製「PPE」)
(B成分)
AS−1:アクリロニトリル−スチレン共重合体(第一毛織(株)製「HF5670」、GPC測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量:95,000、アクリロニトリル含有量:28.5重量%、スチレン含有量:71.5重量%)
AS−2:アクリロニトリル−スチレン共重合体(日本エイアンドエル(株)「BS−218」、GPC測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量:78,000、アクリロニトリル含有量:26重量%、スチレン含有量:74重量%)
(S成分)
HIPS:ポリスチレン樹脂(電気化学工業(株)製「デンカスチロールGP−1」)
(C−1成分)
MICA−1:平均粒子径約250μmのマスコバイト(燕西鉱業製「WHITE MICA POWDER 60mesh」、モース硬度:3)
MICA−2:平均粒子径約60μmのマスコバイト(燕西鉱業製「WHITEMICA POWDER 250mesh」、モース硬度:3)
MICA−3:平均粒子径約40μmマスコバイト((株)クラレ製「クラライトマイカ300D、モース硬度:3)
MICA−4:平均粒子径約40μmマスコバイト(林化成(株)製「MC−250モース硬度:3)
(C−2成分)
TALC−1:タルク(勝光山鉱業所(株)製「ビクトリライト タルクR」、積重率50%粒子径:8.5μm、JIS M8016に従って測定されたハンター白色度:83.8%、pH:9.6、およびモース硬度:1)
TALC−2:タルク(勝光山鉱業所(株)「ビクトリライト SG−A」、積重率50%粒子径:15.2μm、JIS M8016に従って測定されたハンター白色度:90.2%、pH:9.8、およびモース硬度:1)
WSN:ワラストナイト(川鉄鉱業(株)「PH−450」、数平均繊維径:1.6μm、数平均繊維長:6.7μm、モース硬度:4.5])
(本発明以外の無機充填材)
MICA−5:マスコバイト(山口雲母(株)「A−41」平均粒子径約20μm)
GFL:顆粒状ガラスフレーク(日本板硝子(株)製フレカREFG−301、標準篩法によるメジアン平均径140μm、厚み5μ、モース硬度:6.5)
(D成分)
FR−1:レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)(旭電化工業(株)製「アデカスタブFP−500」、TGA5%重量減少温度=351.0℃)FR−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステル(大八化学工業(株)製「CR−741」、TGA5%重量減少温度=335.9℃)
FR−3:トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製「TPP」、TGA5%重量減少温度=239.4℃)
(E成分)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製「ポリフロンMPA FA500」)
(F成分)
WAX−1:モンタン酸エステル(クラリアントジャパン(株)製「WAX−Eパウダー」)
(その他の成分)
WAX−2:酸変性ポリオレフィン系ワックス(三菱化成(株)ダイヤカルナ30M)
CB:カーボンブラックマスター(越谷化成(株)カーボンブラック40%含有ポリスチレン樹脂マスター)
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
上記表から明らかなように、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は高剛性、高強度、高寸法精度、および良好な難燃性を有し、かつ金型を摩耗させにくい特性を有することがわかる。
【0120】
更に前記実施例のうち実施例1および2においては、その表面粗さ測定を行った。これらの乾燥後のペレットから長さ150mm×幅150mm×厚さ2mmの平板状試験片(ゲートは辺の一端より幅40mm×厚み1mmのフィンゲート)を射出成形により作成し、その表面粗さを測定した。平板状試験片の成形条件は、射出成形機:住友重機械工業(株)製SG−150U、シリンダ温度:260℃、金型温度:50℃(チラーユニットにより20℃の冷媒を通してかかる温度を維持)、充填時間:6秒、保圧:75MPa、保圧時間:3秒、および冷却時間:20秒とした。かかる平板状試験片は(株)東京精密製表面粗さ計サーフコム1400Aを使用し、その表面粗さが測定され、その結果、実施例1においてはRa:2.3μmおよびRy:19.1μmであり、一方実施例2においてはRa:1.2μmおよびRy:8.2μmであり、実施例2のより小粒径のマイカにおいて極めて良好であった。ここでRaは算術平均粗さを表し、Ryは最大高さを表す。また測定はJIS B0601に準拠して行った。
【0121】
また上記実施例1〜11の樹脂組成物においてはいずれも光記録媒体ドライブのシャーシ成形品を成形し、良好なシャーシ成形品がえられた。
【0122】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物は、衝撃強度等の機械的特性、難燃性、寸法安定性、を必要とするあらゆる材料に利用可能である。特に光学ユニットシャーシであるレーザービーム式プリンター光学シャーシおよびレーザービーム式プリンターの構造体フレームなど高い寸法精度を要求されるOA機器分野に有効である。また、本発明の難燃性樹脂組成物は、成形機のスクリューおよび金型摩耗なども少なく成形加工における経済効果も高い。よってその奏する工業的効果は格別なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】[1−A]は、実施例において使用した、金型摩耗評価用の板状成形品の形状を示す正面図である。ゲート近傍に配置されたピン部分は円錐状の凹部を形成する。[1−B]は、実施例において使用した、金型摩耗評価用の板状成形品の形状を示す側面図である。[1−C]は、実施例において使用した、金型摩耗評価用の板状成形品の形状を示す底面図である。
【図2】実施例において使用した、金型摩耗評価用のピンの形状を示す正面図である。先端の円錐部分が金型キャビティ表面に露出し溶融樹脂と接触する。
【図3】[3−A]は、実施例において使用した、離型力評価用のコップ状成形品の形状を示す正面図である。[3−B]は、実施例において使用した、離型力評価用のコップ状成形品の形状を示す側面図図である。[3−C]は、離型力評価用のコップ状成形品の形状を示す底面図である。
【図4】[4−A]は、離型力評価において用いた金型構造の概略を示す。金型キャビティ内に樹脂が充填された状態を示す。[4−B]は、上記[4−A]の充填後、冷却されて型開きした状態を示す。この時点では、成形品は可動側金型に密着した状態にある。[4−C]は、上記[4−B]の型開き後、突き出しロッドの前進によって、突き出しピンを押し出し、成形品を離型させる。突き出し時の力を突き出しピンと接するロードセルによって検知する。
【図5】上記実施例の評価項目の1つである成形品の低粘度潤滑油耐性の評価における3点曲げを行うジグの概要を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 金型摩耗評価用の板状成形品
2 ピンにより形成された円錐状の凹部
3 ゲート(幅4mm、厚み1.5mm)
4 金型摩耗評価用の板状成形品の長さ(100mm)
5 ピンのゲート部からの距離(10mm)
6 ピンにより形成された円錐状の凹部の径(ピン径)(10mm)
7 中心線(ピン中心は成形品中心線上)
8 ピンにより形成された円錐状の凹部の深さ(ピン高さ)(3mm)
9 金型摩耗評価用の板状成形品の厚み(5mm)
10 金型摩耗評価用の板状成形品の幅(50mm)
11 ピン直径(10mm)
12 ピンの円錐部分(金型キャビティ面露出部分)の高さ(3mm)
21 コップ状成形品本体
22 へた部の対称軸(26)からの距離(15mm)
23 へた部
24 へた部の高さ(20mm)
25 コップ上面端面(コーナー部R:2.5mm)
26 対称軸
27 内定孔(半径1mm)
28 Zピン突起(中心軸から外周部まで半径7.5mm)
29 コップ内底部(コーナー部R:5mm)
30 へた部厚み(4mm)
31 中心軸(34)から内底孔(27)中心軸までの距離(13mm)
32 中心軸(34)からコップ底面(36)外縁部までの距離(26mm)
33 中心軸(34)からコップ上面端(25)外縁部までの距離(30mm)
34 コップ中心軸
35 スプルー(外半径6mm、先端部半径3mm、長さ39mm)
36 コップ底面部
37 コップ底面部厚み(4mm)
38 コップ外周部厚み(2.5mm、外周部全て同一)
39 コップ外周壁
41 固定側金型
42 成形品
43 突き出しピン(先端Zピン)
44 ロードセル
51 第1の固定棒(直径3.9mmφのステンレス鋼製)
52 試験片の中心部分(試験片の描く弧の頭頂部に位置するように設置。かかる部分に潤滑油を含浸させたガーゼを載せる)
53 歪負荷用の移動棒(直径3.9mmφのステンレス鋼製)
54 歪負荷用のスクリューネジ(台座57の裏面部に貫通。無負荷の試験片に接触させた位置から該スクリューネジを回しこみ、スクリューピッチに基づいて所定量の歪を試験片に負荷する)
55 試験片(ASTM D638 TYPE Iに準拠する形状)
56 第2の固定棒(直径3.9mmφのステンレス鋼製)
57 台座
58 第2の固定棒と歪負荷用の移動棒までの水平距離(50.0mm)
59 第1の固定棒と歪負荷用の移動棒までの水平距離(50.0mm)
Claims (16)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、
(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)、
(C)無機充填材(C成分)、
(D)有機リン化合物系難燃剤(D成分)および
(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)
よりなり、これら各成分の割合は、下記(i)〜(iii)の条件を満足することを特徴とする難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
(i)A〜D成分の合計100重量%当り、A成分およびB成分の合計は50重量%以上であり、C成分は15〜35重量%であり、D成分は3〜15重量%であり、かつA〜D成分の合計100重量部当りE成分は0.02〜2重量部である、
(ii)A成分およびB成分の合計100重量部当り、A成分は75〜95重量部であり、かつB成分は5〜25重量部である、
(iii)C成分は(C1)平均粒子径30〜300μmのマイカ(C−1成分)および(C2)ワラストナイト(C−2成分)より構成され、A〜D成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜25重量%であり、C−2成分は5〜15重量%でありかつC−1成分およびC−2成分の合計100重量部当りC−1成分は40〜90重量部である。 - (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、
(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)、
(C)無機充填材(C成分)、
(D)有機リン化合物系難燃剤(D成分)および
(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)
(F)一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル(F成分)
よりなり、これら各成分の割合は、下記(i)〜(iii)の条件を満足することを特徴とする難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
(i)A〜D成分の合計100重量%当り、A成分およびB成分の合計は50重量%以上であり、C成分は15〜35重量%であり、D成分は3〜15重量%であり、かつA〜D成分の合計100重量部当りE成分は0.02〜2重量部であり、F成分は0.01〜2重量部である。
(ii)A成分およびB成分の合計100重量部当り、A成分は75〜95重量部であり、かつB成分は5〜25重量部である、
(iii)C成分は(C1)平均粒子径30〜300μmのマイカ(C−1成分)および(C2)ワラストナイト(C−2成分)より構成され、A〜D成分の合計100重量%当り、C−1成分は10〜20重量%であり、C−2成分は5〜15重量%でありかつC−1成分およびC−2成分の合計100重量部当りC−1成分は40〜90重量部である。 - 該樹脂組成物からの成形品は、収縮異方性が0.15以下でありかつ衝撃強度が30J/m以上である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該樹脂組成物からの成形品は、UL94規格による1.6mm厚み試験片の難燃テストにおいてV−1レベルを満足する請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該樹脂組成物からの成形品は、低粘度潤滑油に対して耐性を有する請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該樹脂組成物からの成形品は真密度1.3〜1.45(g/cm3)を有する請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該アクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)は、重量平均分子量が40,000〜200,000の範囲である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該アクリロニトリル−スチレン共重合体(B成分)は、アクリロニトリル成分:スチレン成分との割合が重量で5:95〜50:50の範囲である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該無機充填材(C成分)におけるマイカ(C−1成分)は、平均粒子径が30〜280μmの範囲である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該有機リン化合物系難燃剤(D成分)は、有機リン酸エステルである請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 該有機リン化合物系難燃剤(D成分)は、5%重量減少温度が280〜380℃の範囲である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- A〜D成分の合計100重量%当り、A成分およびB成分の合計は60重量%以上であり、C成分は20〜30重量%であり、D成分は3〜10重量%でありかつA〜D成分の合計100重量部当りE成分は0.1〜1重量部である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- A成分およびB成分の合計100重量部当り、A成分は78〜92重量部でありかつB成分は8〜22重量部である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- C成分は、A〜D成分の合計100重量%当り、マイカ(C−1成分)は12〜20重量%であり、C−2成分は5〜12重量%でありかつC−1成分およびC−2成分の合計100重量部当りC−1成分は50〜80重量部である請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 請求項1または2記載の樹脂組成物から形成された成形品。
- 請求項1または2記載の樹脂組成物から形成されたシャーシまたはフレーム成形品。
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