JP4398031B2 - イオン交換膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微多孔性膜を母材とする新規なイオン交換膜に関する。詳しくは、優れた耐有機汚染性を有し、また膜の電気抵抗(以下、膜抵抗という。)が極めて低いイオン交換膜である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、食品、医薬品、農薬などの分野における有機物の合成工程では、塩類などを副生する場合が多い。かかる有機物に含まれる塩類を分離するために、イオン交換膜法電気透析によって被処理液を脱塩する場合、被処理液中の有機汚染物質、特に荷電を有する巨大分子(以下、巨大有機イオンという。)がイオン交換膜に付着して膜の性能を低下させる、所謂、膜の有機汚染という問題が生じる。
【0003】
従来、有機汚染を抑制するイオン交換膜として、膜内への巨大有機イオンの侵入を膜表層部で阻止するようにしたイオン交換膜と、巨大有機イオンが容易に膜透過するようにしたイオン交換膜が提案されている。
【0004】
上記巨大有機イオンの膜内への浸入を防止するようにしたイオン交換膜は、膜表面に中性、両性あるいはイオン交換基とは反対荷電の薄層を形成したものである。このイオン交換膜は、膜構造が緻密なもの程、また、巨大有機イオンの分子量が大きい程、その効果は顕著である。上記イオン交換膜の代表的なものとして、陰イオン交換基を有する樹脂膜の表層部に反対荷電のスルホン酸基を導入し有機陰イオンの膜内への浸入を抑制した陰イオン交換膜(特公昭51−40556号)等がある。
【0005】
他方、巨大有機イオンの膜透過を容易にする方法は、膜構造をルーズにすることによって容易に達成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記巨大有機イオンの膜内への浸入を防止するようにしたイオン交換膜は、ある程度の耐有機汚染性を発揮することができるが、前記樹脂膜の表層部に設ける反対荷電層の形成により膜抵抗が著しく増大するという欠点を有していた。
【0007】
また、巨大有機イオンの膜透過を容易にする方法は、必然的にイオン選択性が低下し、その結果、電気透析等における効率が低下するという問題があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、有機汚染を抑制し、かつ、膜抵抗やイオン選択性などの基礎特性に優れたイオン交換膜を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、微多孔性膜の空隙内にイオン交換樹脂が充填されたイオン交換膜において、その表層部の微細孔内に存在するイオン交換樹脂を除去して、該微細孔において、充填されたイオン交換樹脂が陥没した位置で露出するように構成することにより、膜抵抗やイオン選択性などの基礎特性を低下させることなく、優れた耐有機汚染性を発揮するイオン交換膜が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、微多孔性膜の空隙内にイオン交換樹脂が充填されて成り、該微多孔性膜の少なくとも片面に存在する微細孔において、上記イオン交換樹脂が微多孔性膜表面より陥没した位置で露出したことを特徴とするイオン交換膜である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のイオン交換膜の代表的な態様を概念的に示す断面図である。
【0012】
本発明のイオン交換膜における最大の特徴は、上記図1にも示すように、微多孔性膜1の少なくとも片面に存在する微細孔2において、該微多孔性膜に充填されたイオン交換樹脂3が微多孔性膜表面4より陥没した位置において露出していることにある。
【0013】
尚、上記微多孔性膜表面の微細孔2は膜内部に形成された空隙を介して裏面と連通する。
【0014】
従来、微多孔性膜にイオン交換樹脂を充填したイオン交換膜は、図2に示すように、イオン交換樹脂3が、微多孔性膜1表層の微細孔2を含む空隙内の全域に充填され、更には、微多孔性膜の全表面を覆うまでに存在していた。このように、イオン交換樹脂が微多孔性膜表面に露出している従来のイオン交換膜においては、該イオン交換基と反対荷電を有する巨大有機イオンとの間で静電的引力に起因する強い相互作用が発生し、膜表面に巨大有機イオンが吸着し易くなり、その結果、いわゆる有機汚染が起こって膜抵抗が急激に上昇する。
【0015】
これに対し、本発明のイオン交換膜は、微多孔性膜の空隙内に充填されたイオン交換樹脂が、微多孔性膜表面より陥没した位置において露出する構造を有することにより、耐有機汚染性に対して優れた効果を発揮する。
【0016】
上記効果の発現機構は明らかでないが、該イオン交換樹脂と微多孔性膜表面の間にある、微細孔の空間部が巨大有機イオンの膜内への侵入を抑制する効果を持ち、イオン交換基と巨大有機イオン間の相互作用が弱まり巨大有機イオンが膜表面に吸着しにくくなるものと推定される。
【0017】
また、一般に、微多孔性膜は、表層にのみ緻密な微細孔を有しているものが多く、この場合、上記微多孔性膜の表層部における微細孔の空間部は、通常、内部の空隙より細い空間となっている。そして、これにイオン交換樹脂が充填されている従来のイオン交換樹脂の場合は、巨大有機イオンの侵入による上記空間の部分における膜抵抗の上昇が著しいが、本発明のイオン交換膜は、かかる部分に存在するイオン交換樹脂が少ないか、或いは実質的に存在しないため、上記膜抵抗の急激な上昇も防止できるものとも推定している。
【0018】
また、前記特徴的構造を有する本発明のイオン交換膜は、耐汚染性を発現するために、イオン交換膜表面に反対荷電の層を設ける必要が無く、かかるイオン交換膜に対して、極めて低抵抗のイオン交換膜となる。
【0019】
しかも、上記微細孔の空間部は、塩類などの小さなイオンに対しては移動の阻害層としては働かず、低抵抗である。そのため、該部分にイオン交換樹脂が存在する、従来の微多孔性膜を母材としたイオン交換膜に対しても低い膜抵抗を示す。
【0020】
更に、本発明のイオン交換膜は、巨大有機イオンの侵入を防止することで有機汚染を防いでいるため、前記したイオン交換樹脂部をルーズにする必要も無く、その結果、良好なイオン選択性を示す。
【0021】
以上のように、本発明のイオン交換膜は、従来の手段とは全く異なる構成により、耐汚染性を達成したものであり、膜抵抗が低く、イオン選択性にも優れた、理想的な特性を発揮する。
【0022】
本発明において、微多孔性膜表面4からイオン交換樹脂の露出面までの陥没深度Aは特に制限されない。しかし、効果的な耐有機汚染性と低い膜抵抗をイオン交換膜に付与する上で、かかる陥没深度は、その平均値(以下、単に陥没深度ともいう。)が0.01μm〜10μm、好ましくは0.03μm〜5μmのものが好ましい。即ち、上記陥没深度が0.01μmより浅い場合、有機汚染物質の吸着抑制効果が低下し、十分な耐有機汚染性が得られない。また、陥没深度が10μmより深い場合、耐汚染防止効果が頭打ちとなる。また、イオン交換樹脂充填層が結果的に薄くなりイオン選択性の低下を招く場合がある。
【0023】
本発明のイオン交換膜において、表面に存在する上記微細孔の孔径、その占める面積等は特に制限されるものではない。しかし、耐汚染性等の特性を十分発揮するには、その表面に存在する微細孔の最大孔径が5μm以下、好ましくは1μm以下であることが好ましい。また、該微細孔の平均孔径は、0.005〜4μmが好ましく、特に、0.01〜0.8μmが好ましい。即ち、対象となる有機汚染物質の種類にも依存するが、イオン交換膜表面に存在する微細孔の最大径が5μmより大きい場合、更には、微細孔の平均孔径が4μmを超える場合、有機汚染物質が容易にイオン交換樹脂部に到達し易くなり、耐有機汚染性が低下する傾向がある。一方、該微細孔の平均孔径が0.005μmより小さい場合、膜抵抗が高くなり好ましくない。
【0024】
また、イオン交換膜表面における上記微細孔の面積占有率は、3〜60%、特に、20〜50%であることが好ましい。即ち、該面積占有率が60%を超える場合には、膜の機械的強度が低下する傾向にあり、逆に3%より小さい場合には、膜抵抗の上昇を招くおそれがある。
【0025】
尚、上記微細孔の面積占有率は、孔径0.003μm以上の孔を提唱として測定した値である。
【0026】
更に、上記微細孔の形状は、特に制限されるものではなく、任意の形状を採り得る。通常、該形状は母材である微多孔性膜の製造方法によって決定され、円状、楕円状、正方状、菱形状、その他不定形状の形状を採る。
【0027】
尚、本発明において、円状以外の前記微細孔の径は、相当径として示したものである。
【0028】
また、本発明のイオン交換膜の膜抵抗は、3モル/l濃度の硫酸中、25℃において測定される膜抵抗を膜厚10μm当たりに換算した値で、0.01〜0.4Ω・cm2の範囲にあることが好ましい。
【0029】
上記イオン交換膜の膜抵抗は、母材である微多孔性膜に充填されるイオン交換樹脂の種類によって多少異なるが、主として、後記の微多孔性膜の空隙率、微細孔の孔径、微細孔の占める面積等によって殆ど決定されるため、これらの条件を適宜調節して任意の膜抵抗に調節することができる。
【0030】
また、本発明のイオン交換膜の厚みは、全厚みにおける膜抵抗を低下させると共に必要な機械的強度を付与するという観点から、通常、10〜150μmの厚みを有するものが好ましく、より好ましくは15〜120μmの厚みを有するものが望ましい。
【0031】
更に、本発明のイオン交換膜においては、微細孔を除く微多孔性膜表面にも実質的にイオン交換樹脂が存在しないことが好ましい。即ち、微多孔性膜表面にイオン交換樹脂が存在する場合、該表面のイオン交換樹脂に吸着堆積した巨大有機イオンが陥没部位の周縁部から内部に向かってせり出し、その結果、膜抵抗を上昇させるおそれがある。また、イオン交換膜の取り扱い上、かかる微多孔性膜表面にイオン交換樹脂が存在しない方が好ましい。
【0032】
尚、上記のように、微多孔性膜表面にイオン交換樹脂が存在しない場合、イオン交換膜の厚みは、実質的に微多孔性膜の厚みとなる。
【0033】
本発明における微多孔性膜は、一般に、熱可塑性樹脂よりなり、表裏を連通する微細孔を多数有するものが特に制限なく使用される。
【0034】
上記熱可塑性樹脂としては、実質的にイオン交換基を持たないものが好適であり、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルエーテル)等のフッ素系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂等からなるものが、制限無く使用される。機械的強度、化学的安定性、耐薬品性に優れていることから、ポリオレフィン樹脂を用いるのが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。このうち、本発明では、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリエチレンが好ましい。
【0035】
前記イオン交換膜表面に存在する微細孔の孔径、該微細孔の占める面積等は、母材である微多孔性膜の性状によって殆ど決定される。
【0036】
従って、本発明において好適に使用される微多孔性膜としては、前記範囲の微細孔の孔径、微細孔の占める面積等を有するものである。
【0037】
尚、上記微多孔性膜表面における特性は、通気度に主として反映されるが、かかる通気度としては、20〜1500秒/100ml、好ましい範囲で100〜1000秒/100mlとなる。
【0038】
また、微多孔性膜は、前記好適な膜抵抗を達成するために、その空隙率が20〜90%、好適には30〜70%のものが好適に使用される。
【0039】
即ち、上記空隙率が20%未満の場合、膜の空隙内にイオン交換樹脂を十分充填することが容易ではなく、更に、単位容積あたりのイオン交換樹脂量が少なくなり十分なイオン交換能が発揮されず、その結果、膜抵抗が高くなる。一方90%を超えると単位容積あたりのイオン交換樹脂量が多くなり、実用に供した場合、イオン交換樹脂の膨潤収縮によって、寸法安定性を欠き機械的強度も低下するため、好ましくない。
【0040】
上記空隙率は、独立気泡を除いたもので、後記の延伸法による製造方法によって得られる微多孔性膜は殆ど独立気泡は存在しない。
【0041】
これらの微多孔性膜の製造方法は特に限定されず、公知の種々の方法によって製造することができる。例えば、熱可塑性樹脂、好ましくは、結晶性を有する熱可塑性樹脂に対して、延伸後に除去が可能な添加剤を分散せしめ、これを一軸又は二軸に、該熱可塑性樹脂の融点以下に加熱しながら延伸した後、上記添加剤を除去することによる、公知の延伸法による微多孔性膜の製造方法が挙げられる。
【0042】
上記添加剤としては、パラフィン、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられ、延伸後の添加剤の除去方法も、溶剤による抽出、酸による溶解等、公知の方法が特に制限なく実施される。
【0043】
このような延伸法により製造される微多孔性膜は、表層に厚み約0.01〜2μm、一般には、0.3〜1.5μmのスキン層を形成し易く、図1に概念的に示したように、表面に微細な細孔を有しながら、内部に存在する比較的大きな空洞部により適度に大きい空隙率を達成し易い。
【0044】
従って、上記微多孔性膜を本発明の母材として使用することにより、表面の微細孔による耐汚染防止効果に優れるのみでなく、該スキン層の厚みの近傍となるように、充填されたイオン交換樹脂の露出面の陥没深度を調節することによって、上記スキン層における微細孔部分の抵抗を無くし、一層低抵抗のイオン交換膜を実現することが可能である。
【0045】
本発明において、微多孔性膜の空隙内に充填されるイオン交換樹脂は、公知のイオン交換樹脂が特に制限なく使用される。例えば、炭化水素系又はフッ素系の材質より成り、陽イオン交換機能及び/又は陰イオン交換能を有する樹脂である。
【0046】
上記炭化水素系の材質としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が、また、フッ素系の材質としては、パーフロオロカーボン系樹脂等が挙げられる。
【0047】
また、イオン交換能は、イオン交換基の存在により発現するが、かかるイオン交換基としては、水溶液中で負又は正の電荷となり得る官能基なら特に制限されるものではない。
【0048】
具体的には、陽イオン交換基の場合には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が好適に用いられる。
【0049】
また、陰イオン交換基の場合には、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適に用いられる。
【0050】
本発明のイオン交換膜の製造方法は、特に制限されないが、代表的な製造方法を例示すれば、下記の方法が挙げられる。
【0051】
即ち、本発明によれば、微多孔性膜の空隙内に、イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体、および重合開始剤を含有する単量体組成物を含浸せしめた後、該単量体組成物を重合せしめてイオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体を生成し、次いで、該微細孔内の微多孔性膜表面近傍に存在するイオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体を除去することを特徴とするイオン交換膜の製造方法が提供される。
【0052】
上記イオン交換樹脂の充填方法は、特に制限されず公知の技術、例えば、イオン交換基が導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体および重合開始剤からなる単量体組成物を空隙内に含浸させた後、単量体組成物を重合し、必要に応じて陽イオン交換基や陰イオン交換基を導入する方法等が挙げられる。
【0053】
上記単量体組成物は、分子量が低いため微多孔性膜の空隙に充填しやすく、また、その硬化物であるイオン交換樹脂は、空隙に隙間なく高い密度で充填することができるため好適である。
【0054】
この製造方法において、イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体又はイオン交換基を有する単量体としては、従来公知であるイオン交換樹脂の製造において用いられている炭化水素系単量体が特に限定されずに使用される。具体的には、陽イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−ハロゲン化スチレン類等が挙げられる。また、陽イオン交換基を有する単量体としては、α−ハロゲン化ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体、ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体、それらの塩類およびエステル類等が用いられる。
【0055】
一方、陰イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。また、陰イオン交換基を有する単量体としては、ビニルベンジルトリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体、それらの塩類およびエステル類等が用いられる。
【0056】
また、架橋性単量体としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン類、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン類、ジビニルナフタリン、ジアリルアミン、ジビニルピリジン類等のジビニル化合物が用いられる。
【0057】
本発明では、上記したイオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体又はイオン交換基を有する単量体や架橋性単量体の他に、必要に応じてこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を添加しても良い。こうした他の単量体としては、例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチルスチレン、アクロレイン、メチルビニルケトン、ビニルビフェニル等が用いられる。
【0058】
次に、本発明における重合開始剤としては、従来公知のものが特に制限なく使用される。こうした重合開始剤の具体例としては、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物が用いられる。
【0059】
本発明において、単量体組成物を構成する各成分の配合割合は、一般には、イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体又はイオン交換基を有する単量体100重量部に対して、架橋性単量体を0.1〜50重量部、好適には1〜40重量部、これらの単量体と共重合可能な他の単量体を0〜100重量部使用するのが好適である。また、重合開始剤は、イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体又はイオン交換基を有する単量体100重量部対して、0.1〜20重量部、好適には0.5〜10重量部配合させるのが好ましい。
【0060】
上記単量体組成物を微多孔性膜の空隙部に充填する方法は特に制限されないが、一般には微多孔性膜を単量体組成物に浸漬する方法や単量体組成物を微多孔性膜に塗布、スプレーする方法が採用される。この時、粘度等の性状により、単量体組成物を微多孔性膜の空隙内に充分充填することが困難な場合には、単量体組成物に微多孔性膜を減圧下で接触させ、充填する方法を採ることもできる。
【0061】
単量体組成物を上記したように微多孔性膜に充填させたのち重合する方法は、一般に、ポリエステル等のフィルムに挟んで加圧下で常温から昇温する方法が好ましい。こうした重合条件は、関与する重合開始剤の種類、単量体組成物の組成等によって左右されるものであり、公知の条件より適宜選択して決定すればよい。
【0062】
以上のように重合されて得られる膜状物は、必要に応じてこれを、公知の例えば、陽イオン交換膜であれば、スルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理、陰イオン交換膜であれば、アミノ化、アルキル化等の処理により所望のイオン交換基を導入して、イオン交換膜とすることができる。
【0063】
次いで、微細孔内の微多孔性膜表面近傍に存在するイオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体を除去し、必要に応じて、イオン交換膜を導入することにより、本発明のイオン交換膜が得られる。
【0064】
即ち、上記のイオン交換樹脂の除去は、イオン交換樹脂に対して行っても良く、或いは、イオン交換基を導入前のイオン交換樹脂前駆体に対して行っても良い。
【0065】
上記イオン交換樹脂を除去する方法としては、何ら制限はされないが、例えば、コロナ放電処理やプラズマエッチング処理等が挙げられる。プラズマエッチング処理の場合、例えば、酸素又は、酸素/アルゴン混合の雰囲気下でプラズマ処理することにより所望の深さまでイオン交換樹脂をエッチング除去することが可能である。また、過酸化水素、オゾン、濃硝酸、濃硫酸、重クロム酸カリウム、塩素、ヨウ素、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を膜表面に接触させることによっても、膜表面のイオン交換樹脂が除去できる。特に酸化剤を用いる方法は簡便であり、好適に用いられる。
【0066】
本発明のイオン交換膜を簡便に得るために好適な方法として、前記単量体組成物に、更に、溶媒や平均分子量500〜10000の重合体のいずれか一方、又は両方を添加して得られた組成物を微多孔性膜の空隙内に充填した後、該組成物を硬化させ、次いで、必要に応じてイオン交換基を導入する方法がある。
【0067】
この製造方法によれば、微細孔内の表面近傍のイオン交換樹脂は、特殊な除去手段を採用しなくとも、イオン交換基導入工程において容易に除去される。また、イオン交換基導入工程が必要ない場合には、溶剤と接触せしめることによって、微細孔内の微多孔性膜表面近傍のイオン交換樹脂を簡単に除去することができる。
【0068】
本製造方法において、溶媒は、単量体組成物の重合反応の進行に伴い、いわゆるミクロ相分離を引き起こすため、最表面部に当たる、微細孔内の微多孔性膜表面近傍のイオン交換樹脂は極めてポーラスな多孔体となる。そして、かかるポーラス構造に起因する機械的強度の低さ故に、イオン交換基導入工程や簡単な溶剤処理によって脱落し易く、該部分を容易に除去することができる。
【0069】
一方、平均分子量500〜10000の重合体は、単量体組成物の微多孔膜への充填工程において、分子が大きいため単量体の重合の過程において表面に押し出され、最表面部に当たる、微細孔内の微多孔性膜表面近傍に偏在する。そして、これらの重合体はイオン交換基導入工程などで使用される溶剤によって抽出除去することができ、その結果、やはり微細孔内における膜表面近傍のイオン交換樹脂の除去が容易となる。
【0070】
これらの作用は、溶媒および平均分子量500〜10000の重合体を併用することでより効果的となる。すなわち、溶媒のみを用いて微細孔内の表面近傍のイオン交換樹脂を完全に除去するには、多量の溶媒を添加することが必要となり、その結果、膜内部に残存するイオン交換樹脂が更にポーラスになり、イオン選択性に低下を来たす。また、平均分子量500〜10000の重合体のみを用いた場合には、該重合体の抽出除去が不完全になり易く、その結果、有機汚染の防止効果を充分に発現できなくなる。
【0071】
従って、溶媒および平均分子量500〜10000の重合体を併用した場合には、膜表面近傍に偏在する重合体が、溶媒が抜けてポーラスになったイオン交換樹脂から簡単に抽出されるため、有機汚染防止効果が十分に発現され、更に、溶媒添加量を低減できるため、膜内部に残存するイオン交換樹脂が過度にポーラスとならず、イオン選択性の低下も防ぐことができる。
【0072】
本製造方法において、前記単量体組成物に添加される溶媒としては、単量体組成物を重合させる際に、重合反応に関与しない溶媒であれば何ら制限されること無く使用可能である。具体的には、メタノール、エタノール、i−ブタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、i−オクタン等の脂肪族炭化水素類、オクタン酸等の脂肪酸類、ジメチルオクチルアミン等のアミン類、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メチレンクロライド、クロロホルム、エチレンブロマイド等のハロゲン化炭化水素類、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジブチルアジペート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート等の芳香族酸や脂肪族酸のアルコールエステル類やアルキルリン酸エステル等が挙げられる。これらは、単量体組成物との溶解性や重合温度等を勘案して適宜選択されるが、i−ブタノール、2−エトキシエタノール、ジベンジルエーテル、ジオクチルフタレート、アセチルトリブチルシトレート等が特に好適である。また、これらを数種類を併用することも可能である。
【0073】
次いで、前記単量体組成物に添加される重合体としては、具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0074】
これらも、また、単量体組成物との溶解性等を勘案して、適宜選択されるが、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコールが特に好適である。 これら重合体の平均分子量は500〜10000、好ましくは500〜6000である。即ち、平均分子量が500以下の場合、膜表面近傍に偏在しにくくなり、有機汚染防止効果やイオン選択性が不十分となる。また、平均分子量が10000以上の場合には、抽出除去が困難になり、有機汚染防止効果が不十分となり好ましくない。
上記溶媒、平均分子量500〜10000の重合体の前記単量体組成物への配合割合は、イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体および重合開始剤の合計100重量部に対し、溶媒は15〜150重量部、好ましくは20〜120重量部である。 即ち、溶媒の配合量が15重量部未満では、有機汚染防止効果が十分でなく、150重量部を超える場合には、イオン選択性が低下する。
【0075】
また、平均分子量500〜10000の重合体は、イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体および重合開始剤の合計100重量部に対し、5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部である。
【0076】
即ち、平均分子量500〜10000の重合体の配合量が5重量部未満では有機汚染防止効果が十分でなく、100重量部を超える場合には、単量体組成物の微多孔性膜への充填が不十分になり、さらにイオン選択性の低下を来たし好ましくない。
【0077】
以上のような、溶媒や平均分子量500〜10000の重合体を添加した単量体組成物は、前記製造方法の説明に記載された方法により微多孔性膜に充填され、次いで硬化される。得られた膜状物には、引き続き、前記したイオン交換基の導入方法によって、必要に応じてイオン交換基が導入される。
【0078】
イオン交換基の導入工程において、微細孔内の膜表面近傍のイオン交換樹脂が除去される場合には、更なる除去工程を必要とすること無く、本発明のイオン交換膜が得られ、膜表面近傍のイオン交換樹脂の除去が充分でない場合には、添加した溶剤や平均分子量500〜10000の重合体の性情に応じた抽出工程を施すことでイオン交換樹脂を除去し、本発明のイオン交換膜を得ることができる。
【0079】
また、この製造方法においても、イオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体の除去は、イオン交換基導入の前であっても、後であってもよい。
【0080】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明のイオン交換膜は、微細孔において、上記イオン交換樹脂が微多孔性膜表面より陥没した位置で露出した構造を有することにより、極めて優れた耐有機汚染性を有しながら、低い膜抵抗や良好なイオン選択性などを有し、基本性能にも優れたイオン交換膜である。
【0081】
従って、耐有機汚染性を必要とする用途は勿論、耐有機汚染性を必要としない用途においても、制限なく使用することができる。
【0082】
特に、食品、医薬品、農薬などの合成工程における電気透析用の隔膜として、或いは、機能性セパレーター等のその他の用途にも有効に使用することができる。
【0083】
【実施例】
以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
なお、実施例、比較例に示すイオン交換膜の特性は、以下の方法により測定した。
【0085】
1)微多孔性膜表面からイオン交換樹脂の露出面までの陥没深度
電子顕微鏡(SEM)によってイオン交換膜表面を観察し、微多孔性膜の表面全面を覆うイオン交換樹脂層がないことを確認した後、イオン交換膜の表面粗さを走査型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製、1Lm21型)で測定した。得られた粗さ分布図において、ピーク部と隣接する最深部の高低差を測り、長さ30μmに渡って測定した高低差の平均値を陥没深度とした。
【0086】
2)イオン交換容量および含水率
イオン交換膜を1mol/L−HClに10時間以上浸漬する。
【0087】
その後、陽イオン交換膜の場合には、1mol/L−NaClで水素イオン型をナトリウムイオン型に置換させ、遊離した水素イオンを電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。一方、陰イオン交換膜の場合には、1mol/L−NaNO3で塩素イオン型を硝酸イオン型に置換させ、遊離した塩素イオンを電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。
【0088】
次に、同じイオン交換膜を1mol/L−HClに4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分に水洗した後膜を取り出しティッシュペーパー等で表面の水分をふき取り湿潤時の重さ(Wg)を測定した。次に、膜を減圧乾燥機に入れ60℃で5時間乾燥させた。膜を取り出し乾燥時の重さ(Dg)を測定した。
【0089】
イオン交換容量と含水率は次式により算出した。
【0090】
イオン交換容量=A×1000/W [mmol/g−乾燥膜]
含水率=100×(W−D)/D [%]
3)膜抵抗の測定
白金黒電極版を有する2室セル中にイオン交換膜を挟み、イオン交換膜の両側に3mol/L−H2SO4溶液を満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により求めた。上記測定に使用する膜は、あらかじめ3mol/L−H2SO4溶液中で平衡にしたものを用いた。
【0091】
4)耐有機汚染性の測定
陰イオン交換膜では、得られた陰イオン交換膜をコンデショニングした後、銀、塩化銀電極を有する二室セルに該イオン交換膜を挟み、その陽極室には0.05mol/L−NaCl溶液を入れ、陰極室には1000ppmのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと0.05mol/L−NaClの混合溶液を入れた。両室の液を1500rpmの回転速度で攪拌し、0.2A/dm2の電流密度で電気透析を行った。
【0092】
この時、両膜表面の近傍に白金線を固定し、膜間電圧を測定した。通電中に有機汚染が起こると膜間電圧が上昇してくる。通電を開始して30分後の膜間電圧を測定し、有機汚染物質を添加した場合と添加しない場合の電圧差(ΔE)をとって膜の汚染性の尺度とした。
【0093】
陽イオン交換膜では、上記方法において、有機汚染物質をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムから分子量2000のポリエチレンイミンに変え、同様にして耐有機汚染性を測定した。
【0094】
5)酸、アルカリの透過速度
陰イオン交換膜では、陰イオン交換膜で区切られたアクリル樹脂製の二室セルを用い、一室(原液室)に25℃の1mol/L−硫酸と0.5mol/L−硫酸マグネシウムを含む液を入れ、もう一室(透析液室)には25℃のイオン交換水を入れた。
【0095】
次いで、攪拌しにより両室を攪拌し一定時間後に透析液室の液を抜き取り、電位差滴定によって硫酸の透過量を、原子吸光光度計によって硫酸マグネシウムの透過量をそれぞれ測定した。
【0096】
また、陽イオン交換膜では、上記方法において1mol/L−硫酸と0.5mol/L−硫酸マグネシウムを含む液を3mol/L−水酸化ナトリウムと0.5mol/L−水酸化アルミニウムを含む液に変えて同様な操作を行い、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムの透過量を測定した。それぞれの物質の透過速度は次式により求めた。
【0097】
U=A/(T・S・ΔC)
U:酸又はアルカリの透過速度[mol/Hr・m2・(mol/L)]
A:酸又はアルカリの透過量[mol]
T:攪拌時間[Hr]
S:有効膜面積[m2]
ΔC:攪拌前後の両室の酸又はアルカリの対数平均濃度差[mol/L]
実施例1
クロロメチルスチレン90重量部、ジビニルベンゼン10重量部、過酸化ベンゾイル5重量部、スチレンオキサイド3重量部よりなる単量体組成物を調製した。この単量体組成物400gを500mlのガラス容器に入れ、ここに厚み25μmの重量平均分子量10万のポリエチレンよりなり、延伸法によって得られた市販の微多孔性膜(20cm×20cm)を浸漬して、微多孔性膜の空隙に単量体組成物を充填した。
【0098】
用いた微多孔性膜は、表面の微細孔の最大径1μm、平均孔径0.04μm、空隙率45%、微細孔の面積占有率15%、通気度415秒/100mlであった。
【0099】
続いて、多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離材として多孔質膜の両側を被覆した後、0.4MPaの窒素加圧下、80℃で8時間加熱重合した。得られた膜状物を30%トリメチルアミン水溶液10部、水5部、アセトン5部よりなるアミノ化浴中、室温で5時間反応せしめ4級アンモニウム型陰イオン交換膜を得た。
【0100】
次いで、該陰イオン交換膜を1wt%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、室温中、24時間浸漬して膜表面のイオン交換樹脂を除去した。
【0101】
得られたイオン交換膜の膜表面をSEMで観察したところ、微多孔性膜表面特有の微細孔構造が観察され、更に、1wt%過マンガン酸カリウム水溶液にイオン交換膜を浸漬してMnO4 -にイオン交換し、SEM−EDSで膜表面におけるMn元素の定状分析を行った結果、Mnに帰属するピークが観察されなかったことから、膜表面のイオン交換樹脂が除去されていることが確認された。
【0102】
得られた陰イオン交換膜の陥没深度、イオン交換容量、含水率、膜抵抗、耐有機汚染性、硫酸と硫酸マグネシウムの透過速度を測定した。これらの結果を表1に示す。
【0103】
比較例1
次亜塩素酸ナトリウム水溶液による処理を行わない点を除き実施例1と同様にして陰イオン交換膜を得た。このイオン交換膜について、SEM観察を行った結果、膜表面に微多孔性膜特有の微細孔構造は観察されず、更に、MnO4 -型にイオン交換した膜の膜表面にMn元素の存在が確認されたことから、イオン交換樹脂が膜表面に露出していることが確認された。
【0104】
得られた陰イオン交換膜は、実施例1と同様に特性を測定した。結果を表1に示す。
【0105】
実施例2
スチレン90重量部、ジビニルベンゼン10重量部、過酸化ベンゾイル5重量部、アセチルクエン酸トリブチル10重量部よりなる単量体組成物を調製した。この単量体組成物を実施例1と同様にして、厚み30μmの重量平均分子量25万のポリエチレンよりなり、延伸法によって得られた市販の微多孔性膜に充填した。
【0106】
用いた微多孔性膜は、表面の微細孔の最大径1μm、平均孔径0.02μm、空隙率37%、微細孔の面積占有率17%、通気度600秒/100mlであった。
【0107】
続いて、多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離材として多孔質膜の両側を被覆した後、0.4MPaの窒素加圧下、80℃で8時間加熱重合した。得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1(重量比)の混合物中に40℃で45分間浸漬し、スルホン酸型陽イオン交換膜を得た。
【0108】
次いで、該陽イオン交換膜を1wt%のFeCl2水溶液に、室温で24時間浸漬してFe2+型とした後、2wt%H2O2水溶液に室温で30分間浸漬して、膜表面のイオン交換樹脂を除去した。
【0109】
得られたイオン交換膜の膜表面をSEMで観察したところ、微多孔性膜表面特有の微細孔構造が観察され、更に、1wt%FeCl2水溶液に浸漬してFe2+型にイオン交換し、SEM−EDSで膜表面におけるFe元素の定状分析を行った結果、Feに帰属するピークが観察されなかったことから、膜表面のイオン交換樹脂が除去されていることが確認された。
【0110】
得られた陽イオン交換膜の陥没深度、イオン交換容量、含水率、膜抵抗、耐有機汚染性、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムの透過速度を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0111】
比較例2
H2O2水溶液による処理を行わない点を除き実施例2と同様にして陽イオン交換膜を得た。
【0112】
このイオン交換膜について、SEM観察を行った結果、膜表面に微多孔性膜特有の微細孔構造は観察されず、更に、Fe2+型にイオン交換した膜の膜表面にFe元素の存在が確認されたことから、イオン交換樹脂が膜表面に露出していることが確認された。
【0113】
得られた陰イオン交換膜は、実施例2と同様に特性を測定した。結果を表2に示す。
【0114】
実施例3〜7
表3に示す重量平均分子量10万のポリエチレンよりなり、延伸法によって得られた市販の微多孔性膜に、表3に示す単量体組成物を実施例1と同様にして充填した。
【0115】
続いて、多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離材として多孔質膜の両側を被覆した後、0.4MPaの窒素加圧下、45℃で3時間−75℃で5時間加熱重合した。
【0116】
得られた膜状物をヨウ化メチルとn−ヘキサンの1:3(重量比)の混合物中に30℃で24時間浸漬し、ピリジニウム型陰イオン交換膜を得た。
【0117】
これらの陰イオン交換膜の表面をSEM観察したところ、いずれの陰イオン交換膜においても、実施例1と同様に膜表面からイオン交換樹脂が除去されていることが確認された。
【0118】
このピリジニウム型陰イオン交換膜のイオン交換樹脂部の陥没深度、膜厚、イオン交換容量、含水率、膜抵抗、硫酸と硫酸マグネシウムの透過速度、耐有機汚染性を測定した。この結果を表4に示した。
【0119】
比較例3
表3の微多孔性膜Aを用い、4−ビニルピリジン66重量部、スチレン30重量部、ジビニルベンゼン4重量部およびt−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート5重量部よりなる単量体組成物を用いた以外は、実施例3〜7と同様にしてピリジニウム型陰イオン交換膜を得た。
【0120】
この陰イオン交換膜の表面をSEM観察したところ、比較例1と同様に膜表面にイオン交換樹脂が露出していることが確認された。
【0121】
このピリジニウム型陰イオン交換膜は、実施例3〜7と同様にして特性を測定した。結果を表4に示す。
【0122】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のイオン交換樹脂を概念的に示す断面図
【図2】 従来のイオン交換樹脂を概念的に示す断面図
【符号の説明】
1 微多孔性膜
2 微細孔
3 イオン交換樹脂
4 微多孔性膜表面
A 陥没深度
Claims (6)
- 微多孔性膜の空隙内にイオン交換樹脂が充填されて成り、該微多孔性膜の少なくとも片面に存在する微細孔において、上記イオン交換樹脂が微多孔性膜表面より陥没した位置で露出したことを特徴とするイオン交換膜。
- 微多孔性膜が、ポリオレフィンの延伸フィルムよりなる請求項1記載のイオン交換膜。
- 膜表面において、微細孔の最大径が5μm以下であり、且つ、微細孔の占める面積が全面積の3〜60%である請求項1記載のイオン交換膜。
- 微多孔性膜の空隙内に、イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体、および重合開始剤を含有する単量体組成物を含浸せしめた後、該単量体組成物を重合せしめてイオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体を生成し、次いで、該微細孔内の膜表面近傍に存在するイオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体を除去することを特徴とするイオン交換膜
の製造方法。 - イオン交換樹脂又はイオン交換樹脂前駆体の除去手段が、微多孔性膜の表面を酸化剤と接触させる方法である請求項4記載のイオン交換膜の製造方法。
- 酸化剤が、過酸化水素又は次亜塩素酸である請求項5記載のイオン交換膜の製造方法。
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