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JP4365510B2 - 機能性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

機能性フィルム及びその製造方法 Download PDF

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JP4365510B2
JP4365510B2 JP2000148038A JP2000148038A JP4365510B2 JP 4365510 B2 JP4365510 B2 JP 4365510B2 JP 2000148038 A JP2000148038 A JP 2000148038A JP 2000148038 A JP2000148038 A JP 2000148038A JP 4365510 B2 JP4365510 B2 JP 4365510B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に機能性微粒子の圧縮層からなる機能性層を有する機能性フィルム及びその製造方法に関する。本発明において、機能性フィルムには機能性フィルム、機能性シートの双方が含まれる。また、支持体が金属であるものも、本発明の機能性フィルムに含まれる。
【0002】
機能性層とは機能を有する層であり、機能とは物理的及び/又は化学的現象を通じて果たす働きのことを意味する。機能性層には、導電層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層、光触媒層等の各種の機能を有する層が含まれる。
【0003】
とりわけ本発明は、透明導電層を有する透明導電フィルム及びその製造方法に関する。透明導電フィルムは、エレクトロルミネッセンスパネル電極、エレクトロクロミック素子電極、液晶電極、透明面発熱体、タッチパネルのような透明電極として用いることができるほか、透明な電磁波遮蔽膜として用いることができる。
【0004】
【従来の技術】
従来より、各種の機能性材料からなる機能性膜は、真空蒸着、レーザアブレーション、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理的気相成長法(PVD)や、熱CVD、光CVD、プラズマCVD等の化学的気相成長法(CVD)によって製造されている。これらは、一般に大掛かりな装置が必要であり、中には大面積の膜の形成には不向きなものもある。
【0005】
また、ゾル−ゲル法を用いた塗布による膜の形成も知られている。ゾル−ゲル法では、大面積の膜の形成にも適するが、多くの場合、塗布後に高温で無機材料を焼結させる必要がある。
【0006】
例えば、透明導電膜について見れば以下の通りである。現在、透明導電膜は主にスパッタリング法によって製造されている。スパタッリング法は種々の方式があるが、例えば、真空中で直流または高周波放電で発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、基板表面に沈着させ膜を形成する方法である。
スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面電気抵抗の低い導電膜を形成できる点で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅いという欠点がある。今後さらに導電膜の大面積化が進められると、さらに装置が大きくなる。このことは、技術的には制御の精度を高めなくてはならないなどの問題が発生し、別の観点では製造コストが大きくなるという問題が発生する。また、成膜速度の遅さを補うためにターゲット数を増やして速度を上げているが、これも装置を大きくする要因となっており問題である。
【0007】
塗布法による透明導電膜の製造も試みられている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー溶液中に分散された導電性塗料を基板上に塗布して、乾燥し、硬化させ、導電膜を形成する。塗布法では、大面積の導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コストで導電膜を製造できるという長所がある。塗布法では、導電性微粒子同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された導電膜は接触が不十分で、得られる導電膜の電気抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点があり、その用途が限られてしまう。
【0008】
従来の塗布法による透明導電膜の製造として、例えば、特開平9−109259号公報には、導電性粉末とバインダー樹脂とからなる塗料を転写用プラスチックフィルム上に塗布、乾燥し、導電層を形成する第1工程、導電層表面を平滑面に加圧(5〜100kg/cm2 )、加熱(70〜180℃)処理する第2工程、この導電層をプラスチックフィルムもしくはシート上に積層し、熱圧着させる第3工程からなる製造方法が開示されている。
この方法では、バインダー樹脂を大量に用いている(無機質導電性粉末の場合には、バインダー100重量部に対して、導電性粉末100〜500重量部、有機質導電性粉末の場合には、バインダー100重量部に対して、導電性粉末0.1〜30重量部)ため、電気抵抗値の低い透明導電膜は得られない。
【0009】
例えば、特開平8−199096号公報には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶媒、カップリング剤、金属の有機酸塩もしくは無機酸塩からなる、バインダーを含まない導電膜形成用塗料をガラス板に塗布し、300℃以上の温度で焼成する方法が開示されている。この方法では、バインダーを用いていないので、導電膜の電気抵抗値は低くなる。しかし、300℃以上の温度での焼成工程を行う必要があるため、樹脂フィルムのような支持体上に導電膜を形成することは困難である。すなわち、樹脂フィルムは高温によって、溶融したり、炭化したり、燃焼してしまう。樹脂フィルムの種類によるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでは130℃の温度が限界であろう。
【0010】
塗布法以外のものとしては、特開平6−13785号公報に、導電性物質(金属又は合金)粉体より構成された骨格構造の空隙の少なくとも一部、好ましくは空隙の全部に樹脂が充填された粉体圧縮層と、その下側の樹脂層とからなる導電性皮膜が開示されている。その製法について、板材に皮膜を形成する場合を例にとり説明する。同号公報によれば、まず、樹脂、粉体物質(金属又は合金)及び被処理部材である板材を皮膜形成媒体(直径数mmのスチールボール)とともに容器内で振動又は攪拌すると、被処理部材表面に樹脂層が形成される。続いて、粉体物質がこの樹脂層の粘着力により樹脂層に捕捉・固定される。更に振動又は攪拌を受けている皮膜形成媒体が、振動又は攪拌を受けている粉体物質に打撃力を与え、粉体圧縮層が作られる。粉体圧縮層の固定効果を得るために、かなりの量の樹脂が必要とされる。また、製法は塗布法に比べ、煩雑である。
【0011】
塗布法以外のものとしては、特開平9−107195号公報に、導電性短繊維をPVCなどのフィルム上にふりかけて堆積させ、これを加圧処理して、導電性繊維−樹脂一体化層を形成する方法が開示されている。導電性短繊維とは、ポリエチレンテレフタレートなどの短繊維にニッケルメッキなどを被着処理したものである。加圧操作は、樹脂マトリックス層が熱可塑性を示す温度条件下で行うことが好ましく、175℃、20kg/cm2 という高温・低圧条件が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景から、支持体上に大面積の機能性膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで機能性膜を製造できるという塗布法の利点を生かしつつ、各種機能を発現し得る機能性膜、例えば電気抵抗値の低い透明導電膜が得られる方法の開発が望まれる。
【0013】
各種機能性膜には、例えば透明導電膜のように光散乱の少ないことが要求される場合も多い。光散乱の少ない膜を得るために、機能性膜に透明物質を含浸することが考えられる。従って、機能性膜には透明物質や各種溶剤に対する耐蝕性が要求される場合も多い。
例えば、光触媒膜のように有機溶剤を分解する利用方法において、機能性膜には溶剤に対する耐蝕性に優れることが要求される。また、機能性膜の使用環境において、機能性膜に何かの溶剤が付着することもあり得る。この観点からも機能性膜は溶剤に対する耐蝕性に優れることが望ましい。
【0014】
そこで、本発明の目的は、塗布法による各種機能を発現し得る機能性層、例えば電気抵抗値の低い透明導電層を有する機能性フィルムを提供すること、及び塗布法による前記機能性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0015】
とりわけ本発明の目的は、透明物質や溶剤に対する耐蝕性にも優れる機能性フィルムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
従来、塗布法において、バインダー樹脂を大量に用いなければ機能性層を成膜できず、あるいは、バインダー樹脂を用いない場合には、機能性物質を高温で焼結させなければ機能性層が得られないと考えられていた。
導電層について見れば、バインダー樹脂を大量に用いなければ導電層を成膜できず、あるいは、バインダー樹脂を用いない場合には、導電性物質を高温で焼結させなければ導電層が得られないと考えられていた。
【0017】
ところが、本発明者は鋭意検討した結果、驚くべきことに、大量のバインダー樹脂を用いることなく、かつ高温で焼成することもなく、圧縮によって機械的強度を有し且つ各種の機能を発現し得る機能性層が得られることを見いだした。本発明者は、導電性物質を用いると、抵抗値の低い透明導電層が得られることを見いだした。さらに、本発明者は、圧縮により得られた機能性層を有する機能性フィルムを熱処理することによって、透明物質や溶剤に対する耐蝕性にも優れる機能性フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0018】
本発明は、支持体上に機能性微粒子の圧縮層を有する機能性フィルムであって、前記機能性微粒子の圧縮層を形成した後に熱処理されたものである機能性フィルムである。
【0019】
前記機能性フィルムにおいて、前記支持体の前記機能性微粒子の圧縮層側の面には、アンカーコート層が形成されていてもよい。前記機能性フィルムにおいて、前記アンカーコート層は樹脂を主成分とすることが好ましい。このように樹脂を主成分とする前記アンカーコート層が前記支持体面に形成されている場合に、本発明の利点が大きい。
【0020】
前記機能性フィルムにおいて、前記機能性微粒子の圧縮層は、機能性微粒子を分散した液を支持体上に塗布、乾燥して形成された機能性微粒子含有層を圧縮することにより得られる。
前記機能性フィルムにおいて、前記機能性微粒子の圧縮層は、44N/mm2 以上の圧縮力で圧縮することにより得られたものであることが好ましい。
【0021】
前記機能性フィルムにおいて、前記機能性微粒子として導電性微粒子を用いると、導電層を有する機能性フィルムが得られる。前記機能性フィルムにおいて、前記機能性微粒子の圧縮層が透明導電膜であることも好ましい。
【0022】
本発明は、前記機能性フィルムの製造方法にも関する。本発明は、支持体上に機能性微粒子を分散した液を塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成し、その後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能性微粒子の圧縮層を形成し、さらに、熱処理を行うことを含む、機能性フィルムの製造方法である。
【0023】
前記方法において、圧縮を44N/mm2 以上の圧縮力で行うことが好ましい。前記方法において、圧縮を常温で行うことが好ましい。
前記方法において、熱処理を、50〜130℃の範囲で行うことが好ましい。
【0024】
前記方法において、前記機能性微粒子の分散液は、少量の樹脂を含んでも良いが、特に樹脂を含まないことが好ましい。前記機能性微粒子の分散液が樹脂を含む場合には、前記樹脂の含有量は、体積で表して、前記機能性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積であることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明において、機能性層には、特に限定されることなく、導電層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層、光触媒層等の各種の機能を有する層が含まれる。従って、本発明において、前記目的とする層を構成すべき機能性微粒子が用いられる。機能性微粒子は、特に限定されることなく、凝集力を有する主として無機の微粒子が用いられる。いずれの機能性フィルムの製造においても、本発明の方法を適用することにより、十分な機械的強度を有する機能性塗膜が得られると共に、バインダー樹脂を大量に用いていた従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊害を解消することができる。その結果、目的とする機能がより向上する。
【0026】
例えば、透明導電層の製造においては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒子が用いられる。ITOがより優れた導電性が得られる点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティングしたものを用いることもできる。これら微粒子の粒子径は、導電層の用途に応じて必要とされる散乱の度合いにより異なり、また、粒子の形状により一概には言えないが、一般に10μm以下であり、1.0μm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0027】
あるいは、有機質の導電性微粒子が用いられてもよい。有機質の導電性微粒子としては、例えば、金属材料を樹脂微粒子表面にコーティングしたもの等が挙げられる。
【0028】
本製造方法の適用によって、優れた導電性が得られる。本発明において、透明とは可視光を透過することを意味する。光の散乱度合いについては、導電層の用途により要求されるレベルが異なる。本発明では、一般に半透明といわれるような散乱のあるものも含まれる。
【0029】
強磁性層の製造においては、γ−Fe2 3 、Fe3 4 、Co−FeOx、Baフェライト等の酸化鉄系磁性粉末や、α−Fe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性金属元素を主成分とする強磁性合金粉末等が用いられる。本製造方法の適用によって、磁性塗膜の飽和磁束密度が向上する。
【0030】
誘電体層や強誘電体層の製造においては、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)、ジルコン酸鉛系、ランタン添加チタン酸ジルコン酸鉛系(PLZT)、ケイ酸マグネシウム系、鉛含有ペロブスカイト化合物等の誘電体ないしは強誘電体の微粒子が用いられる。本製造方法の適用によって、誘電体特性ないしは強誘電体特性の向上が得られる。
【0031】
各種機能を発現する金属酸化物層の製造においては、酸化鉄(Fe2 3 )、酸化ケイ素(SiO2 )、酸化アルミニウム(Al2 3 )、二酸化チタン(TiO2 )、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化タングステン(WO3 )等の金属酸化物の微粒子が用いられる。本製造方法の適用によって、膜における金属酸化物の充填度が上がるため、各機能が向上する。例えば、触媒を担持させたSiO2 、Al2 3 を用いた場合には、実用強度を有する多孔質触媒層が得られる。TiO2 を用いた場合には、光触媒機能の向上が得られる。また、WO3 を用いた場合には、エレクトロクロミック表示素子での発色作用の向上が得られる。
【0032】
また、エレクトロルミネッセンス層の製造においては、硫化亜鉛(ZnS)微粒子が用いられる。本製造方法の適用によって、塗布法による安価なエレクトロルミネッセンス膜の製造を行うことができる。
【0033】
本発明において、目的に応じて、上記各種の機能性微粒子から選ばれる機能性微粒子を分散した液を機能性塗料として用いる。この機能性塗料を支持体(支持体面にアンカーコート層が設けられた場合にはアンカーコート層)上に、塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成する。その後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能性微粒子の圧縮層を形成して、機能性層を得る。
【0034】
導電性微粒子などの機能性微粒子を分散する液体としては、特に限定されることなく、既知の各種液体を使用することができる。例えば、液体として、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらのなかでも、極性を有する液体が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種以上の混合したものでも使用することができる。また、液体の種類により、分散剤を使用することもできる。
【0035】
また、液体として、水も使用可能である。水を用いる場合には、支持体表面が親水性のものである必要がある。樹脂フィルムや樹脂を主成分とするアンカーコート層は通常疎水性であるため水をはじきやすく、均一な膜が得られにくい。このような場合には、水にアルコールを混合するとか、あるいは支持体の表面を親水性にする必要がある。
【0036】
用いる液体の量は、特に制限されず、前記微粒子の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、前記微粒子100重量部に対して、液体100〜100,000 重量部程度である。前記微粒子と液体の種類に応じて適宜選択するとよい。
【0037】
前記微粒子の液体中への分散は、公知の分散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダーミル法により分散する。分散に際しては、微粒子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用いることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等の不純物の混入が起こらないように注意する。
【0038】
前記微粒子の分散液は、樹脂を含まないことが好ましい。すなわち、樹脂量=0であることが好ましい。導電層においては、樹脂を用いなければ、樹脂によって導電性微粒子同士の接触が阻害されることがない。従って、導電性微粒子相互間の導電性が確保され、得られる導電層の電気抵抗値が低い。導電性を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、その量は、従来技術におけるバインダー樹脂としての使用量に比べると少ない。例えば、分散液中における樹脂の含有量の上限は、分散前の体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積である。従来技術においては、強い圧縮を行わないので、塗膜の機械的強度を得るためにバインダーを多く用いなければならなかった。バインダーとしての役割を果たす程度の量の樹脂を用いると、導電性微粒子同士の接触がバインダーにより阻害され、微粒子間の電子移動が阻害され導電性が低下する。
【0039】
一方、樹脂には導電膜のヘイズを向上させる効果がある。しかしながら、導電性の点からすると、樹脂は、分散前の体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積の範囲内で用いられることが好ましく、20未満の体積の範囲内で用いられることがより好ましい。また、ヘイズの向上効果は少なくなるが、導電性の点からすれば、樹脂を用いないことが最も好ましい。本発明において、機能性微粒子の圧縮層を形成し、熱処理した後、前記圧縮層に透明物質を含浸させる場合には、透明物質の含浸によりヘイズが向上するので、前記機能性微粒子の分散液中に樹脂を含ませる必要性に乏しい。
【0040】
WO3 微粒子やTiO2 微粒子などを用いた機能性層においても、樹脂を用いなければ、樹脂によって各微粒子同士の接触が阻害されることがないため、各機能の向上が図られる。微粒子間の接触が阻害されず各機能を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、その量は、前記各微粒子の体積を100としたとき、例えば約80以下の体積である。
【0041】
Al2 3 微粒子などを用いた触媒層においては、樹脂を用いなければ、樹脂によって触媒機能を有する微粒子の表面が覆われることがない。このため、触媒としての機能の向上が図られる。触媒層においては、膜の内部に空隙が多い方が、触媒としての活性点が多くなるので、この観点からもなるべく樹脂を用いないことが好ましい。
【0042】
このように機能性層には圧縮時において(すなわち、前記微粒子の分散液中において)樹脂を用いないことが好ましく、用いるとしても少量が好ましい。用いる場合の樹脂量は、機能性膜の目的に応じて、ある程度変化し得るので、適宜決定するとよい。
【0043】
前記微粒子の分散液には、導電性や触媒作用などの各機能に要求される性能を満たす範囲内で、各種の添加剤を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の添加剤である。
【0044】
支持体としては、特に限定されることなく、樹脂フィルム、ガラス、セラミックス、金属、布、紙等の各種のものを用いることができる。しかしながら、ガラス、セラミックス等では、後工程の圧縮の際に割れる可能性が高いので、その点を考慮する必要がある。また、支持体の形状は、フィルム状の他、箔状、メッシュ状、織物等が使用可能である。
【0045】
支持体として、圧縮工程の圧縮力を大きくしても割れることがない樹脂フィルムが好適である。樹脂フィルムは、機能性微粒子圧縮層の該フィルムへの密着性が良い点でも好ましく、軽量化を求められている用途にも好適である。本発明では、高温での加圧工程や、焼成工程がないので、樹脂フィルムを支持体として用いることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製、アートンなど)等が挙げられる。
【0046】
PETフィルムのような樹脂フィルムでは、乾燥後の圧縮工程の際に、PETフィルムに接している導電性微粒子などの機能性微粒子の一部分がPETフィルムに埋め込まれるような感じとなり、この微粒子層がPETフィルムに良く密着される。
【0047】
しかしながら、支持体がガラス、金属などの硬いものや、樹脂フィルムであってもその表面にハードコート層が形成されていて表面が硬い(例えば鉛筆硬度4H以上に硬い)ものでは、微粒子が支持体に埋め込まれないため微粒子層と支持体の密着性がとれない。このような場合には、ガラス面、金属面や、硬いフィルム表面上に柔らかい樹脂を主成分とするアンカーコート層を予め形成しておき、それを支持体として用いる。アンカーコート層には、機能性微粒子の圧縮層が密着性良く形成される程度の柔らかさが求められる。従って、アンカーコート層は、例えば鉛筆硬度4Hよりも柔らかいことが好ましく、2Hよりも柔らかいことがより好ましい。アンカーコート層に要求される柔らかさの程度は、用いる支持体表面の硬さ、機能性微粒子の種類や粒径、圧縮圧力等によっても変化する。
【0048】
アンカーコート層には柔らかい樹脂を用いることができ、このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
圧縮後に、前記柔らかい樹脂層を熱や紫外線などで硬化させてもよい。
【0049】
アンカーコート層の樹脂は、微粒子を分散した液に溶解しないものの方がよい。導電膜においては、前記樹脂層が溶解すると毛管現象で、前記樹脂を含む溶液が導電性微粒子の周りにきてしまい、結果として、得られる導電膜の電気抵抗値が上昇する。触媒膜においても、毛管現象で、前記樹脂を含む溶液が触媒機能を有する微粒子の周りにきてしまい、触媒機能が低下する。
【0050】
支持体として硬い金属を用いた場合には、アンカーコート層として柔らかい金属(合金でもよい)を用いることも可能である。アンカーコート層の形成は、常法により行うことができる。
【0051】
前記微粒子の分散液を前記支持体(支持体面にアンカーコート層が設けられた場合にはアンカーコート層)上に塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層を形成する。
前記微粒子分散液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができる。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの塗布法によって行うことができる。また、噴霧、吹き付けなどにより、支持体上へ分散液を付着させることも可能である。
【0052】
乾燥温度は分散に用いた液体の種類によるが、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不純物が前記微粒子の表面に付着しないように注意する。
【0053】
塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層の厚みは、次工程の圧縮条件や最終導電膜などの各機能性膜の用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。
【0054】
このように、導電性微粒子などの機能性微粒子を液に分散させて塗布し、乾燥すると、均一な膜を作成しやすい。前記微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中にバインダーが存在しなくても微粒子は膜を形成する。バインダーが存在しなくても膜となる理由は必ずしも明確ではないが、乾燥させて液が少なくなってくると毛管力のため、微粒子が互いに集まってくる。さらに微粒子であるということは比表面積が大きく凝集力も強いので、膜となるのではないかと考えている。しかし、この段階での膜の強度は弱い。また、導電層においては抵抗値が高く、抵抗値のばらつきも大きい。
【0055】
次に、形成された導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子などの機能性微粒子の圧縮層を得る。圧縮することにより、膜の強度を向上させる。すなわち、圧縮することで導電性微粒子などの機能性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加する。このため、塗膜強度が上がる。微粒子は元々凝集しやすい性質があるので圧縮することで強固な膜となる。
【0056】
導電層においては、塗膜強度が上がると共に、電気抵抗が低下する。触媒層においては、塗膜強度が上がると共に、樹脂を用いないか又は樹脂量が少ないので多孔質膜となる。そのため、より高い触媒機能が得られる。他の機能性膜においても、微粒子同士がつながった高い強度の膜とすることができる共に、樹脂を用いないか又は樹脂量が少ないので、単位体積における微粒子の充填量が多くなる。そのため、より高いそれぞれの機能が得られる。
【0057】
圧縮は44N/mm2 以上の圧縮力で行うことが好ましい。44N/mm2 未満の低圧であれば、導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、例えば導電性に優れた導電層が得られにくい。135N/mm2 以上の圧縮力がより好ましく、180N/mm2 の圧縮力が更に好ましい。圧縮力が高いほど、塗膜強度が向上し、支持体との密着性が向上する。導電層においては、より導電性に優れた層が得られ、また、導電層の強度が向上し、導電層と支持体との密着性も強固となる。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般には1000N/mm2 までの圧縮力が適当である。また、圧縮を常温(15〜40℃)付近の温度で行うことが好ましい。常温付近の温度における圧縮操作は、本発明の利点の一つである。
【0058】
圧縮は、特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルムを挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に高圧がかけられ、また、ロールトゥーロールで生産できることから生産性が上がり好適である。
【0059】
ロールプレス機のロール温度は常温が好ましい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホットプレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸びてしまうなどの不具合が生じる。加温下で支持体の樹脂フィルムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、塗膜の機械的強度が低下する。導電膜においては、塗膜の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくしたいというような理由がある場合に、雰囲気の相対湿度を下げるために、加温した雰囲気としてもよいが、温度範囲はフィルムが容易に伸びてしまわない範囲内である。一般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲となる。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる温度より少し高めの温度にすればよい。ロールプレス機で連続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上昇しないように温度調節することも好ましい。
支持体が金属製であれば、この金属が溶融しない温度範囲まで、加温した雰囲気にすることも可能である。
【0060】
なお、樹脂フィルムのガラス転移温度は、動的粘弾性を測定して求められ、主分散の力学的損失がピークとなる温度を指す。例えば、PETフィルムについて見ると、そのガラス転移温度はおよそ110℃前後である。
【0061】
ロールプレス機のロールは、強い圧力がかけられることから金属ロールが好適である。また、ロール表面が柔らいと、圧縮時に微粒子がロールに転写することがあるので、ロール表面を硬質膜で処理することが好ましい。
【0062】
このようにして、導電性微粒子などの機能性微粒子の圧縮層が形成される。導電性微粒子などの機能性微粒子圧縮層の膜厚は、用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。また、10μm程度の厚い圧縮層を得るために、微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の操作を繰り返し行っても良い。さらに、本発明において、支持体の両面に導電層などの各機能性層を形成することも勿論可能である。
【0063】
本発明においては、得られた前記機能性微粒子の圧縮層が形成されたフィルムを熱処理する。熱処理によって、透明物質や各種溶剤に対する耐蝕性が向上する。
【0064】
支持体上に樹脂アンカーコート層が形成され、前記アンカーコート層上に圧縮層が形成され、前記圧縮層に有機溶剤や有機溶剤を含む樹脂溶液が含浸されると、前記圧縮層に細かいひびが入ることがある。ひびが入る機構はよく分からないが以下のように考えている。機能性微粒子を圧縮すると、支持体に応力が生じる。支持体の表面に樹脂アンカーコート層が形成されている場合には、アンカーコート層に内部応力が残る。有機溶剤や有機溶剤を含む樹脂溶液が含浸されると、樹脂アンカーコート層は、含浸量によって程度の差はあるが、含浸量が少なくても膨潤されるであろう。このとき、樹脂アンカーコート層内に内部応力が残っていると、部分的に内部応力が不均一になり、局部的に応力の集中するところができて、ひびが入るのではないかと考えている。
【0065】
本発明においては、アンカーコート層に残った内部応力を熱処理によって緩和する。圧縮層形成後に熱処理を行った機能性フィルムでは、有機溶剤や有機溶剤を含む樹脂溶液が含浸されても、ひびの発生が起こらない。すなわち、熱処理によって、アンカーコート層に残った内部応力が緩和され、機能性フィルムの透明物質や各種溶剤に対する耐蝕性が向上する。
【0066】
熱処理の条件は、支持体やアンカーコート層の材質等により、適宜選定すればよい。熱処理温度は、内部応力の緩和のために50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。熱処理温度の上限値は、例えば支持体に樹脂フィルムを用いたものでは通常130℃である。例えば支持体に金属箔を用いてアンカーコート層にシリコーン樹脂を用いたものでは、200℃を超えるような高温も可能である。熱処理時間も、支持体、アンカーコート層の材質、熱処理温度等により適宜選択すればよい。通常は1分〜100時間、好ましくは10分〜50時間、更に好ましくは30分〜25時間の範囲で行うとよい。また、熱処理時の雰囲気は、空気中、窒素ガス中、アルゴン等の不活性ガス中のいずれであってもよい。
【0067】
このようにして得られる透明導電層などの各機能性層は、優れた導電性や触媒作用などの各機能性を示し、バインダー樹脂を用いないか又はバインダーとしては機能しない程の少量の樹脂を用いて作成したにもかかわらず、実用上十分な膜強度を有し、支持体との密着性にも優れる。さらに、機能性層を有する機能性フィルムは熱処理によって、透明物質や各種溶剤に対する耐蝕性にも優れる。
【0068】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例において、図1に示すように、支持体上(1) に機能性微粒子の圧縮層(2) が形成された機能性フィルムを作成した。
【0069】
実施例1〜3は、導電性フィルム用途として、ITO微粒子を用いた例である。
[実施例1]
実施例1では、図2に示すように、支持体(1) として、樹脂フィルム基材(1a)上にハードコート層(1b)が形成され、ハードコート層(1b)上にアンカーコート層(1c)が形成されたものを用いた。支持体上(1) に機能性微粒子の圧縮層(2) を形成し、機能性フィルムを作成した。
【0070】
(支持体の形成)
50μm厚のPETフィルム上に、シリコーンハードコート液KP−854(信越化学工業(株)製)を塗布、乾燥し、90℃、2時間で硬化させ、2μm厚のシリコーンハードコート層を形成した。
シリコーンワニスTSR−145(GE東芝シリコーン製)100重量部にシラン系硬化剤CR−15(GE東芝シリコーン製)1.5重量部を加え、さらにエタノール120重量部とトルエン80重量部を加え、アンカーコート層塗布液とした。この塗布液を、前記PETフィルムのハードコート面に塗布、乾燥し、90℃、2時間で硬化させ、1.5μm厚のアンカーコート層を形成した。
【0071】
(機能性層の形成)
一次粒径が5〜30nmのITO微粒子SUFP−HX(住友金属鉱山(株)製)100重量部にエタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液を前記アンカーコート層上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥した。得られたフィルムを、以降において、圧縮前ITOフィルムと称する。ITO含有層の厚みは1.7μmであった。
【0072】
まず、圧縮圧力の確認のための予備実験を行った。
一対の直径140mmの金属ロール(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたもの)を備えるロールプレス機を用いて、ロールを回転させず且つ前記ロールの加熱を行わないで、室温(23℃)にて前記圧縮前ITOフィルムを挟み圧縮した。この時、フィルム幅方向の単位長さ当たりの圧力は660N/mmであった。次に、圧力を解放し、圧縮された部分のフィルム長手方向の長さを調べたら1.9mmであった。この結果から、単位面積当たりに347N/mm2 の圧力で圧縮したことになる。
【0073】
次に、予備実験に使用したものと同様の前記圧縮前ITOフィルムを金属ロール間に挟み前記条件で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。このようにして、圧縮されたITOフィルム(A) を得た。ITO圧縮層の厚みは1.0μmであった。
【0074】
(熱処理)
ITO圧縮層が形成されたフィルム(A) を100℃の雰囲気に2時間おいた。
【0075】
(電気抵抗)
熱処理後の導電性フィルムの電気抵抗を測定したところ、1kΩであった。電気抵抗は、得られたフィルムを50mm×50mmの大きさに切断し、対角の位置にある角の2点にテスターをあてて測定した。
【0076】
(透明物質の含浸)
アクリル樹脂溶液(103B、大成化工(株)製、固形分濃度50重量%)100重量部に、トルエン100重量部を加えて含浸液を得た。上記熱処理されたフィルムのITO圧縮層面に含浸液を塗布し、60℃の温風で乾燥した。透明物質の含浸によって、ITO圧縮層にひびは入らなかった。透明物質の含浸によって、透明性に優れた導電性フィルムが得られた。
【0077】
[参考例1]
実施例1と同じITO圧縮層が形成されたフィルム(A) の熱処理を行わなかった。実施例1と同様にして、上記熱処理されていないフィルム(A) のITO圧縮層面に、アクリル樹脂含浸液を塗布し、60℃の温風で乾燥した。透明物質の含浸によって、アンカーコート層又はITO圧縮層にくもの巣状の無数のひびが入った。
【0078】
[実施例2]
(支持体)
実施例1と同様に、ハードコート層(1b)及びアンカーコート層(1c)が形成された支持体(1) を用いた。
【0079】
(機能性層の形成)
前記アンカーコート層上に、実施例1と同様にしてITO微粒子の分散液を塗布し、乾燥し、ITO含有層の厚み3.4μmの圧縮前ITOフィルムを得た。圧縮前ITOフィルムを、実施例1と同様にして単位面積当たりに347N/mm2 の圧力で圧縮し、ITO圧縮層の厚み2.0μmの圧縮されたITOフィルム(B) を得た。
【0080】
(熱処理)
ITO圧縮層が形成されたフィルム(B) を110℃の雰囲気に1時間おいた。熱処理後の導電性フィルムの電気抵抗を測定したところ、0.5kΩであった。
【0081】
(透明物質の含浸)
実施例1と同様にして、上記熱処理されたフィルムのITO圧縮層面にアクリル樹脂含浸液を塗布し、60℃の温風で乾燥した。透明物質の含浸によって、ITO圧縮層にひびは入らなかった。透明物質の含浸によって、透明性に優れた導電性フィルムが得られた。
【0082】
[参考例2]
実施例2と同じITO圧縮層が形成されたフィルム(B) の熱処理を行わなかった。実施例2と同様にして、上記熱処理されていないフィルム(B) のITO圧縮層面に、アクリル樹脂含浸液を塗布し、60℃の温風で乾燥した。透明物質の含浸によって、アンカーコート層又はITO圧縮層にくもの巣状の無数のひびが入った。
【0083】
[実施例3]
実施例3では、図1に示すように、支持体(1) として、ハードコート層もアンカーコート層も形成されていない200μm厚のポリカーボネートフィルムを用いた。支持体上(1) に機能性微粒子の圧縮層(2) を形成し、機能性フィルムを作成した。
【0084】
(機能性層の形成)
前記ポリカーボネートフィルム上に直接、実施例1と同様にしてITO微粒子の分散液を塗布し、乾燥し、圧縮した。ITO圧縮層の厚み1.0μmの圧縮されたITOフィルム(C) を得た。但し、圧縮の圧力は183N/mm2 とした。(実施例1と同様の予備実験にて、フィルム幅方向の単位長さ当たりの圧力:660N/mmで、圧縮された部分のフィルム長手方向の長さ:1.9mmであった。)
【0085】
(熱処理)
ITO圧縮層が形成されたフィルム(C) を80℃の雰囲気に30分間おいた。熱処理後の導電性フィルムの電気抵抗を測定したところ、2kΩであった。
【0086】
(透明物質の含浸)
含浸物質としてシリコーン樹脂を用いた。シリコーンワニス(TSR−145、東芝シリコーン(株)製、固形分濃度60重量%)100重量部に、エタノール50重量部を加えて含浸液を得た。この含浸液を上記熱処理されたフィルム(C) のITO圧縮層面に塗布し、60℃の温風で乾燥した。透明物質の含浸によって、TSR−145にはトルエンが含まれているにもかかわらず、ITO圧縮層にひびは入らなかった。透明物質の含浸によって、透明性に優れた導電性フィルムが得られた。
【0087】
[参考例3]
実施例3と同じITO圧縮層が形成されたフィルム(C) の熱処理を行わなかった。電気抵抗を測定したところ、2kΩであった。実施例3と同様にして、上記熱処理されていないフィルム(C) のITO圧縮層面に、シリコーン樹脂含浸液を塗布し、60℃の温風で乾燥した。透明物質の含浸によって、ITO圧縮層に微小のひびが一部に見られた。
【0088】
実施例1〜3の導電性フィルムはいずれも、電気抵抗値が低く、塗膜強度も強く、導電層と支持体との密着性にも優れていた。実施例1〜3の導電性フィルムはいずれも、透明物質の含浸によって透明性にも優れており、且つ導電層にひびが発生することもなく、耐溶剤性にも優れていた。
参考例3では、支持体としてハードコートの形成されていないポリカーボネートフィルムを用いた。ポリカーボネートはトルエンに腐食されやすく、熱処理を行わないと、圧縮による応力により導電層にひびが発生した。
【0089】
実施例4、5は、光触媒膜用途として、TiO2 微粒子を用いた例である。
[実施例4]
実施例4は、光触媒膜用途として、TiO2 微粒子を用いた例である。
実施例4では、図3に示すように、支持体(1) として、金属箔基材(1a)上にアンカーコート層(1c)が形成されたものを用いた。支持体上(1) に機能性微粒子の圧縮層(2) を形成し、機能性フィルムを作成した。
【0090】
(支持体の形成)
23μm厚のアルミニウム箔(1080H18)上に、シリコーンワニスTSR−145(東芝シリコーン製)100重量部にシラン系硬化剤CR−15(東芝シリコーン製)1重量部を加え、さらにエタノール120重量部とトルエン80重量部を加え、アンカーコート層塗布液とした。この塗布液を、前記アルミニウム箔上に塗布、乾燥し、90℃で硬化させ、1μm厚のアンカーコート層を形成した。
【0091】
(機能性層の形成)
一次粒径が30〜70nmのTiO2 微粒子100重量部にエタノール900重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液を前記支持体のアンカーコート面に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥した。得られたフィルムを、以降において、圧縮前TiO2 フィルムと称する。TiO2 含有層の厚みは0.7μmであった。
【0092】
実施例1と同様にして、まず、圧縮圧力の確認のための予備実験を行った。実施例1と同じロールプレス機を用いて、ロールを回転させず且つ前記ロールの加熱を行わないで、室温(23℃)にて前記圧縮前TiO2 フィルムを挟み圧縮した。この時、フィルム幅方向の単位長さ当たりの圧力は220N/mmであった。次に、圧力を解放し、圧縮された部分のフィルム長手方向の長さを調べたら0.8mmであった。この結果から、単位面積当たりに275N/mm2 の圧力で圧縮したことになる。
【0093】
次に、予備実験に使用したものと同様の前記圧縮前TiO2 フィルムを金属ロール間に挟み前記条件で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。このようにして、圧縮されたTiO2 フィルム(D) を得た。TiO2 圧縮層の厚みは0.5μmであった。
【0094】
(熱処理)
TiO2 圧縮層が形成されたフィルム(D) を150℃の雰囲気に2時間おいた。
(有機溶剤の含浸)
上記熱処理されたフィルムのTiO2 圧縮層にトルエンを含浸させ、60℃の温風で乾燥した。トルエンの含浸によって、TiO2 圧縮層にひびは入らなかった。
【0095】
[参考例4]
実施例4と同じTiO2 圧縮層が形成されたフィルム(D) の熱処理を行わなかった。実施例4と同様にして、上記熱処理されていないフィルム(D) のTiO2 圧縮層面に、トルエンを含浸させ、60℃の温風で乾燥した。トルエンの含浸によって、アンカーコート層又はTiO2 圧縮層にくもの巣状の無数のひびが入り、圧縮層が支持体から浮き上がった。
【0096】
[実施例5]
(支持体)
実施例4と同様に、アンカーコート層(1c)が形成された支持体(1) を用いた。
【0097】
(機能性層の形成)
前記アンカーコート層上に、実施例3と同様にしてTiO2 微粒子の分散液を塗布し、乾燥し、TiO2 含有層の厚み1.4μmの圧縮前TiO2 フィルムを得た。圧縮前TiO2 フィルムを、実施例3と同様にして単位面積当たりに275N/mm2 の圧力で圧縮し、TiO2 圧縮層の厚み1.0μmの圧縮されたTiO2 フィルム(E) を得た。
【0098】
(熱処理)
TiO2 圧縮層が形成されたフィルム(E) を300℃の雰囲気に1時間おいた。
(有機溶剤の含浸)
実施例4と同様にして、上記熱処理されたフィルムのTiO2 圧縮層にトルエンを含浸させ、60℃の温風で乾燥した。トルエンの含浸によって、TiO2 圧縮層にひびは入らなかった。
【0099】
[参考例5]
実施例5と同じTiO2 圧縮層が形成されたフィルム(E) の熱処理を行わなかった。実施例5と同様にして、上記熱処理されていないフィルム(E) のTiO2 圧縮層面に、トルエンを含浸させ、60℃の温風で乾燥した。トルエンの含浸によって、アンカーコート層又はTiO2 圧縮層にくもの巣状の無数のひびが入り、圧縮層が支持体から浮き上がった。
【0100】
実施例4、5では、TiO2 圧縮層と支持体との密着性に優れ、且つTiO2 圧縮層にひびが発生することもなく、耐溶剤性にも優れていた。
【0101】
上記実施例では、無機微粒子として、ITO微粒子、TiO2 微粒子をそれぞれ用いて、無機機能性フィルムを作製した例を示した。上記実施例と同様にして、種々の性質を有する無機微粒子を用いて、種々の無機機能性フィルムを作製することができる。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体上に機能性微粒子を含む塗料を塗布後、圧縮し、その後熱処理するという簡便な操作で機能性フィルムが得られる。本発明による機能性フィルムは、十分な機械的強度を有し、前記機能性層と前記支持体との密着性に優れ、且つ耐溶剤性にも優れる。本発明によって、従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊害が解消され、その結果、目的とする機能がより向上した機能性フィルムが得られる。
【0103】
本発明によれば、機能性フィルムの大面積化にも対応でき、装置が簡便で生産性が高く、低コストで導電性フィルムを始め各種の機能性フィルムを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【図3】 本発明の機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
(1) :支持体
(1a):支持体基材
(1b):ハードコート層
(1c):アンカーコート層
(2) :機能性層

Claims (9)

  1. 支持体上に機能性微粒子の圧縮層を有する機能性フィルムであって、前記機能性微粒子の圧縮層を形成した後に熱処理されたものである機能性フィルム。
  2. 前記支持体の前記機能性微粒子の圧縮層側の面には、アンカーコート層が形成されている、請求項1に記載の機能性フィルム。
  3. 前記アンカーコート層は樹脂を主成分とする、請求項2に記載の機能性フィルム。
  4. 前記機能性微粒子の圧縮層は、機能性微粒子を分散した液を支持体上に塗布、乾燥して形成された機能性微粒子含有層を圧縮することにより得られたものである、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  5. 前記機能性微粒子の圧縮層は、44N/mm2 以上の圧縮力で圧縮することにより得られたものである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  6. 前記機能性微粒子が導電性微粒子である、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  7. 前記機能性微粒子の圧縮層は透明導電層である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  8. 支持体上に機能性微粒子を分散した液を塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成し、その後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能性微粒子の圧縮層を形成し、さらに、熱処理を行うことを含む、機能性フィルムの製造方法。
  9. 前記熱処理を、50〜130℃の範囲で行う、請求項8記載の機能性フィルムの製造方法。
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