JP4363700B2 - 複合紡績糸およびそれを用いてなる布帛 - Google Patents
複合紡績糸およびそれを用いてなる布帛 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、染色性、耐切創性、耐熱性に優れた芯鞘型複合紡績糸および該紡績糸を用いてなるプリーツ性、防しわ性などの形態保持性に優れ、仕立て栄えの良好な布帛に関する。さらに詳しくは、切創、擦過溶融、火傷の危険の高い職場に用いられる防護被服やアウトドアスポーツなどの過酷な環境下で着用に耐える防護被服素材として好適な芯鞘型複合紡績糸および布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、作業効率化、高速化、省力化が進み、労働、交通災害の危険性が高くなり人命尊重の観点からも安全性向上が強く望まれている。一方、スポーツにおいても多岐に渡り参加人数も増え活発になり、スノーボード、フィッシング、登山などのアウトドアスポーツへの参加人口の伸びが著しく、それにともないスポーツ衣料素材も従来以上に耐久性、機能性が要求されるようになり、特に、耐切創性、耐熱性などの機能性に優れ、プリーツ性、防しわ性、形態保持性、カラフルな色彩などの審美性の優れたものが望まれている。また、溶接や製鉄工場などで用いる耐熱作業服や消防防火服等においても高度の耐熱性が要求されている。
【0003】
これに対して、耐切創性に優れ、耐熱性が高く、耐薬品性、糸強度が高い全芳香族ポリアミド繊維が幅広く用いられるている。例えば、パラ系アラミド繊維100%のフィラメント糸や紡績糸を部分的に用いて交織したものが、実公平1−36600号公報や特公昭62−26900号公報、特開平2−292036号公報などで提案されている。
【0004】
これらはいずれも引裂抵抗性、耐切創性は向上するが、パラ系アラミド繊維は本質的に耐熱性繊維であるがため熱セット性が乏しく、縫製された衣服の仕立て栄え、着用中のプリーツの消去としわの発生という形態保持性が劣る欠点がある。また一般に、パラ系アラミド繊維等の高強力繊維は、耐切創性、耐熱性に優れているが、結晶性が高く、分子間結合力が強固で緻密な分子構造を有しているため染色性が悪く、他の汎用繊維に適用される染色技術により染色するのが困難であるので、パラ系アラミド繊維の染色はほとんど実施されていないのが現状であり、次のような改善手段の提案がなされている。
【0005】
特開平3−830号公報では、芯部にパラ系アラミド繊維、鞘部にポリエステル繊維を配置した芯鞘型複合紡績糸やポリエステル短繊維とパラ系アラミド繊維の均一混紡の特開平6−220730号公報、ポリエステル短繊維と芳香族ポリアミド繊維とセルロース系繊維の均一混紡の特開平4−50340号公報が提案されている。しかしながら、これら提案の従来技術では染色が困難であったパラ系アラミド繊維の布帛表面への出現があり、濃色染めやカラフルな色相への染色性に問題があり、従来の染色設備が使用できないなどの問題を有していた。
【0006】
一方、紡糸原液に顔料や染料を添加して着色する原液着色の手段があるが、色数の制限があり、顧客毎の色相の対応は困難である。
【0007】
アラミド繊維とポリエステル繊維やセルロース系繊維との均一混紡は染料の種類の異なるそれぞれの繊維が混紡糸表面に出現するので色相の統一性において問題がある。また、切創抵抗の低いポリエステル繊維やセルロース系繊維が布帛表面にも出現するのでパラ系アラミド繊維100%布帛と比較すると耐切創性、耐熱性が劣るのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の欠点を解決せんとするものであって、炎や高温にさらされる作業である消防服や高熱作業服において、耐熱、切創などの機能を充分に発揮し、仕立て栄え、プリーツ保持性、防しわ性などの形態保持性に優れ、濃色に染まり、カラフルで鮮明な色彩に染色可能な審美性をも兼ね備えたアウトドアスポーツ衣料や防護被服用素材を安定的に供給することが可能な芯鞘型複合紡績糸、および布帛を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の芯鞘型複合紡績糸は、次の構成からなる。すなわち、(1)芯鞘型複合紡績糸であって、少なくとも染色された鞘成分が染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維100重量%で構成され、芯成分がポリエステル短繊維100%、あるいはポリエステル短繊維混紡糸条で構成されてなるとともに、前記染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維100重量%の紡績糸に占める割合が50〜90重量%であり、かつポリエステル短繊維の紡績糸に占める割合が10〜35重量%であることを特徴とする芯鞘型複合紡績糸。
【0010】
(2)鞘成分の染色された全芳香族ポリアミド短繊維がパラ系アラミド短繊維であることを特徴とする前記(1)に記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0011】
(3)鞘成分の全芳香族ポリアミド短繊維が染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維との混紡されたものであることを特徴とする前記(1)に記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0012】
(4)鞘成分の染色されたパラ系アラミド短繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)短繊維であることを特徴とする前記(2)または(3)のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0013】
(5)染色されたパラ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が25〜90重量%、メタ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が60重量%以下であることを特徴とする前記(3)に記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0014】
(6)芯成分に染色された全芳香族ポリアミド短繊維を20重量%以内、鞘成分にメタ系アラミド短繊維を25〜50重量%混紡したことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0015】
(7)芯成分がポリエステル短繊維100重量%、またはポリエステル短繊維と、染色された全芳香族ポリアミド短繊維、天然繊維およびセルロース系繊維の少なくとも1種から選ばれた繊維との混紡糸であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0016】
(8)パラ系アラミド短繊維が、5以上の固有粘度IV(ηinh )を持つPPTAと濃硫酸から紡糸用ドープをつくり、該ドープを紡糸口金の細孔を通して一旦空気中に紡出し、直ちに水中に導き凝固させ、高強度、高弾性率のフィラメントを形成する工程と、該フィラメントに捲縮を与えカットしてステープルとなす工程と、該フィラメントを染色する工程を連続することなく別々の工程で実施する方法において、染色前のパラ系アラミド繊維の引張強度が15g/d以上、結晶サイズ(110方向)が30〜55オングストロームであり、染色前の水分含量が常に8%以上に維持して形成されたものであることを特徴とする前記(2)〜(7)のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0017】
(9)染色されたパラ系アラミド短繊維、または染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維の単繊維繊度が0.5〜4.5デニールであり、撚係数Kが2.8〜6.0である前記(2)〜(8)のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
【0018】
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸を布帛重量の30〜100重量%の範囲で用いてなることを特徴とする布帛。
【0019】
(11)アウトドアスポーツ用衣料または防護被服用であることを特徴とする前記(10に記載の布帛。
【0020】
【発明の実施の形態】
このように本発明では、芯鞘型複合紡績糸の芯部にポリエステル短繊維あるいはポリエステル短繊維と全芳香族ポリアミド短繊維、または天然繊維などとの混紡短繊維糸条を配し、鞘部を染色されたパラ系アラミド短繊維100%あるいはメタ系アラミド繊維を25〜50%を上記染色されたパラ系アラミド短繊維と混紡してなる短繊維糸条で覆い、染色性を向上させ、ポリエステル繊維の耐切創性、耐熱性の低さをカバーして、全芳香族ポリアミド繊維を紡績糸表面に出し、全芳香族ポリアミド繊維の機能性を十分に発揮させ、芯部のポリエステル短繊維、ポリエステル短繊維混紡糸条により、仕立て栄え、プリーツ保持性、防しわ性、形態保持性を付与させるものである。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の芯鞘型複合紡績糸は、全芳香族ポリアミド繊維のスポーツ衣料や衣料用途使用の大きな欠点である染色性および仕立て栄え、プリーツ性、防しわ性、形態保持性などの審美性付与について全芳香族ポリアミド繊維の持つ機能特性を損なうことなく実現すべく鋭意検討し、染色可能なパラ系アラミド短繊維は、5以上の固有粘度(ηinh )を持つPPTAと濃硫酸から紡糸用ドープをつくり、該ドープを紡糸口金の細孔を通して一旦空気中に紡出し、直ちに水中に導き凝固させ、高強度、高弾性率のフィラメントを形成する工程と、該フィラメントを染色する工程を連続することなく別々の工程で実施する方法において、染色前のパラ系アラミド短繊維の引張強度が15g/d以上であり、結晶サイズ(110方向)が30〜55オングストロームであり、染色前の水分含量を常に8%以上に維持することによって製造することができる。
【0023】
本発明において、固有粘度IV(ηinh )は次の方法によって測定したものである。
【0024】
固有粘度IV(ηinh )=(ln・ηrel )/c
[式中、cはポリマー溶液の濃度(溶媒100ml中0.5gのポリマー)であり、そしてηrel (相対粘度)は、毛細管粘度計を用いて30℃で測定した時にポリマー溶液が示す流れ時間とその溶媒が示す流れ時間との間の比率である]
で固有粘度(IV)を定義する。本発明における固有粘度(IV)値は、濃硫酸(96%H2 SO4 )を用いて測定した値である。
【0025】
かかる繊維は要求される強度特性から、引張強度が15g/d以上、破断伸度が2〜5%であることが好ましい。
【0026】
前記染色されたパラ系アラミド短繊維を用いることで多種の色相に鮮やかに染色可能となるのである。パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維の特徴である、耐切創性、耐熱性の機能特性を十分に発揮させるには、種々検討した結果、紡績糸、布帛の表面に染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維を配置するのが効果が高く最適であることを見出したのである。また防護衣服の仕立て栄え、プリーツ保持性、防しわ性などの形態保持性を得るにはポリエステル繊維の優れた熱セット性を利用するのが効果が高く最適であり、いかにパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維と混紡組み合わせるか種々検討した結果、紡績糸の中心部にポリエステル短繊維を配置して、外周部を染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維で覆うことで、ポリエステル繊維の耐切創性、耐熱性の低さを防護し、かつポリエステル繊維の持つ熱セット性を十分発揮できることを見出したのである。
【0027】
本発明の芯鞘型複合紡績糸は、芯、鞘成分いずれも短繊維で構成されてなり、芯成分が紡績糸に占める割合が30〜50重量%の範囲であり、該芯成分をポリエステル短繊維100%、あるいはポリエステル短繊維混紡糸条で構成されてなり、かつ紡績糸に占めるポリエステル短繊維の割合が10〜35重量%の範囲で構成されるものである、ポリエステル短繊維の紡績糸に占める割合が10重量%未満では防護衣服への満足する熱セット性、形態保持性を付与することができにくくなる。また、ポリエステル短繊維が35重量%を越えるとポリエステル繊維の弱点である耐熱性、耐切創性の低下が現われ、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維の優れた機能特性を損ない好ましくない、芯成分の短繊維束が紡績糸に占める割合が40〜50重量%、ポリエステル繊維の紡績糸に占める割合が15〜30重量%の範囲がより好ましい。
【0028】
一方、鞘成分は染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維100重量%で構成されている。100重量%より少なくなると染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維の優れた機能特性を十分に発揮させる事ができず好ましくない、また、鞘成分の紡績糸に占める割合は50〜70重量%の範囲が好ましい、50重量%未満では芯成分のポリエステル短繊維を鞘成分の染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維で十分に覆うことが困難となり、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維の優れた機能特性を十分に発揮させることができず好ましくない。また、70重量%を越えると芯成部のポリエステル繊維の混紡率が低く十分な熱セット性が得られず好ましくないばかりか、複合加工性が悪化して好ましくない。好ましくは鞘成分の紡績糸に占める割合が50〜60重量%の範囲である。
【0029】
本発明におけるパラ系アラミド繊維は、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維やコポリパラフェニレン−3,4,オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維があげられる。また、メタ系アラミド繊維は、例えばポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維があげられる。
【0030】
本発明の染色されたパラ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合は25〜90重量%の範囲であり、染色されたパラ系アラミド短繊維にメタ系アラミド短繊維を混紡した場合には、メタ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が60重量%以下で混紡することが好ましく、各々要求されるスポーツ衣料や防護被服特性により選定するのが良い。
【0031】
次に、上記、芯鞘型複合紡績糸の鞘成分を構成する短繊維束Aについて説明する。本発明の短繊維束Aは、染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維とを、通常の短繊維紡績工程である打綿、梳綿、練条、粗紡、精紡の各工程を通すことにより作成されるスライバーや粗糸としたものなどである。また、繊維長を長くして(76〜160mm)一般のソ毛紡績を通したスライバーや粗糸でもよい。染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維と短繊維の単繊維繊度は0.5〜4.5デニールが好ましく、複合加工性の面から0.8〜2.5デニールがより望ましい、繊維長については特に限定しないが、紡績方法に合わせ最適な繊維長を選ぶのが良い。
【0032】
本発明におけるパラ系アラミド繊維とは、テレフタル酸とパラフェニレンジアミンを重縮合して得られる重合体であるが、少量のジカルボン酸およびジアミンを共重合したものも使用できる。本発明のパラ系アラミド繊維は、5以上の固有粘度(ηinh )を持つPPTAと濃硫酸から光学異方性ドープをつくり、該ドープを紡糸口金の細孔を通して一旦空気中に紡出し、直ちに水中に導き凝固させ、ネルソンローラに導いて水酸化ナトリウム水溶液で中和処理し、水洗工程をへてホットロールによってわずかに乾燥し、フィラメントとしてチューブに巻き取る工程を途切れることなく通過させて得られる。巻き取ったパラ系アラミド繊維は、染色工程までの間に乾燥しないようポリエチレンフィルムなどによって包装される。この段階で繊維の引張り弾性率は400g/Dを越えており、高弾性率糸としての性能を備えているが、弾性率をさらに向上させるために、乾燥後350〜400℃で5〜10秒熱処理すると結晶化度は50%を越えるのが普通である。
【0033】
本発明に用いるPPTAの固有粘度IV(ηinh )は5以上が望ましい。固有粘度IV(ηinh )が5未満では、高強度、高弾性率の繊維物性が得られにくい。
【0034】
本発明のパラ系アラミド繊維は、結晶サイズ(110方向)が、30〜55オングストロームであり、かつ水分量が常に8%以上であることが必要である。結晶サイズが30オングストローム未満では繊維の緻密化が不十分で高強度、高弾性率の繊維物性が得られないし、55オングストロームを越えると染色が困難となる。
【0035】
ここで、水分量が常に8%以上とは、8%以下に乾燥した履歴を持たないということである。水分率が8%以下に乾燥すると構造が緻密となり、染色が困難となる。再び水分を付与しても染色性は回復しない。好ましくは、パラ系アラミド繊維の水分率は15〜48%が望ましい。このような水分率にするには、紡糸したパラ系アラミド繊維を、100〜150℃で5〜20秒間低温乾燥することが望ましい。乾燥温度が100℃未満では水分の除去が難しく、チューブに巻き取った後の扱いに問題を生じる。150℃を越えると結晶化が進み、染色が困難になる。水分率が50%を越えると糸道ガイドの抵抗が増しフイラメントの巻き取りが困難となる
本発明においては、このような物性を有するパラ系アラミド繊維を染色処理する染色の方法は、特殊な設備や特殊な方法を必要とせず、既存の合成繊維の染色設備を用いることができる。適量の染料と助剤および酸を加えてPHを調整し、60℃で染色を開始し、60分間で130℃に昇温し30分間染色することによって達せられる。染料はカチオン染料、分散染料等を用いることができるが、緻密な構造にも浸透しやすいカチオン染料が望ましい。
【0036】
染色したパラ系アラミド繊維フィラメントを、クリンパーにかけて、捲縮(6クリンプ/インチ)を与え、紡績に適した長さ、たとえば通常スクエアカットにより、1.5インチ〜6インチにカットして着色したパラ系アラミド繊維ステープルを得ることができる。
【0037】
またステープル化は、平均繊維長±2インチのバリアブルカットによっても行なわれ、長繊維を把持した一対以上のローラ間の速度差によってカットする牽切方式によりステープル化する方法によってもよい。染色加工はステープル化前のフィラメントまたはサブトウあるいは、ステープル化の後でもよい。
【0038】
つぎに上記染色可能なパラ系アラミド短繊維をダークブルーに染色した染色方法の一例について述べる。
【0039】
owfは乾燥した繊維重量に対する染料の重量%を示す。g/lは調合した染浴1リットルに対する助剤の重量割合を示す。
【0040】
染料:
Astrazon Golden Yellow GL (CI Yellow 28)
(Dyster社製) 0.1%owf
Kayacryl Red GL(CI Red 29)
(日本化薬社製) 2.0%owf
Aizen Cathilon Blue Tblh
(保土谷化学社製) 8.0%owf
助剤:
“ネオデスポンAC”(モーリン化学社製) 2g/1
酢酸 1g/1
硝酸ソーダ 20g/1
“テリールキャリヤA111”(明成化学社製)20g/1
[染料名のCIはカラーインデックスの意味で色の番号を表す]
浴比1:15、60℃で染色を開始し、60分間で130℃に昇温し、30分間染色した。染色後、非イオン活性剤と還元剤からなる浴で、80℃20分間還元洗浄し、脱水乾燥後、紡績油剤を付与した。JIS L 0842による染色堅牢度は3級でパラ系アラミド繊維としては極めて高いレベルであった。
【0041】
芯成分を構成する短繊維束Bはポリエステル短繊維100重量%あるいはポリエステル短繊維と他の繊維との混紡品である。また、この芯成分を構成する短繊維束Bに染色されたパラ系アラミド短繊維、メタ系アラミド短繊維が短繊維束Bに占める割合において、20重量%以内混紡してもよく、これによりパラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維の持つ機能特性を高めても良い、20重量%を越えるとパラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維の持つ機能特性は向上するがポリエステル繊維の混紡率が低くなり防護被服への満足する形態保持性が付与しにくくなるので好ましくない。好ましくは15重量%以内である。
【0042】
また、混紡繊維としては、難燃処理された木綿繊維や、セルロース系繊維でもよく、これらの混紡糸でもよい。
【0043】
本発明の芯鞘型複合紡績糸の撚方向はS、Zいずれでも良く、撚係数K(撚数=K・番手1/2 )は一般の紡績糸よりやや高めにするのが芯部をパラ系アラミド短繊維、メタ系アラミド短繊維で覆う点で好ましく、K=2.8〜6.0の範囲が望ましい、K=2.8より低くすると芯、鞘の複合加工性が悪化し好ましくない、K=6.0より高くすると強撚になりすぎ二重撚の発生が強く加工性が悪化し好ましくない、K=3.0〜4.5の範囲がより好ましい。
【0044】
次に、本発明の芯鞘型複合紡績糸の製造方法について説明する。
本発明における複合紡績糸の製造方法は、鞘成分の短繊維束Aがスライバーや粗糸の場合、一対のテーパーローラーからなるフロントトップローラーおよびフロントボトムローラーを有するリング精紡機により、ガイドを介してフロントローラーの送り出し量の高い側へ通したエプロンドラフト後の短繊維束Aと、送り出し量の低い側へ通したエプロンドラフト後の短繊維束Bとを同時に精紡し、短繊維束Bを中心に短繊維束Aを実撚付与時に順時巻回させることにより、芯成部の短繊維束Bをこより状に包み込む状態で糸形成させるようにすればよい。
【0045】
図1は、本発明の芯鞘型複合紡績糸を製造する精紡機において、ドラフト加撚する概要を示すものである。
【0046】
精紡機にセットされた短繊維束Aと短繊維束Bとは、それぞれトランペット1a,1bを経てバックローラー2に供給され、エプロンドラフト3を経たのち一対のテーパーフロントローラー4a,4bに把持される。
【0047】
この一対のテーパーフロントローラー4a,4bでは、それぞれ送り出し量の高い側(径の大きい側)へはトランペット1aを介して短繊維束Aを供給し、送り出し量の低い側(径の小さい側)へはトランペット1bを介して短繊維束Bを供給する。次いでテーパーフロントローラー4a,4bに把持されながら出てきた両短繊維束A,Bを間隔3〜10mmの範囲にとって合体させ、短繊維束Bを芯に短繊維束Aを被覆させながら芯鞘型複合紡績糸5に形成し、これにリング6、トラベラ7で実撚を付与しながら糸管8に巻き取る。
【0048】
また、本発明においては、芯部を構成する短繊維束Bとして、あらかじめ紡績糸の状態に形成したものであってもよい。この場合、芯成分を構成する連続糸条の紡績糸としてはポリエステル短繊維紡績糸100%、またはポリエステル短繊維混紡紡績糸であってもよい。
【0049】
上記の紡績糸を芯とした芯鞘型複合紡績糸の製造方法としては、特に限定するものではないが、鞘成分の短繊維束がスライバーや粗糸の場合、例えば一対のテーパーローラーからなるフロントトップローラーおよびフロントボトムローラーを有するリング精紡機により、トランペットを介してバックローラー、エプロンローラーを経て、フロントローラーの送り出し量の高い側へ通し、芯成分の紡績糸をフロントローラーの送り出し量の低い側へガイドを介して通した後、短繊維束と同時にフロントローラーより紡出し、連続紡績糸を中心に短繊維束が実撚付与時に順時巻回され、芯成部の紡績糸をこより状に包み込む状態で糸形成させることにより得ることができる。
【0050】
本発明の芯鞘型複合紡績糸は、該紡績糸中に占める鞘成分の全芳香族ポリアミド短繊維の比率が50〜70重量%であり、本発明の染色されたパラ系アラミド短繊維が25〜90重量%含まれ、全芳香族ポリアミド短繊維束Aと短繊維束Bのポリエステル短繊維およびポリエステル短繊維混紡糸条の構成比率を適宣設定することによって本発明の芯鞘型複合紡績糸を得ることができる。
【0051】
芯、鞘両繊維束の合体時の間隔は両成分の送り出し量の差、すなわち短繊維束Aの巻回状態を変えるものであり、重なり状態や紡績糸の物性をみて決めるのがよい。
【0052】
次に、本発明の芯鞘型複合紡績糸を単糸あるいは双糸として、織、編物加工してもよく、該糸100%使いでも良いが、フィラメント、加工糸、弾性繊維などとの交編、交織さらには、耐熱、耐切創が要求される特定の部分に本発明紡績糸を用い、常法により織、編物などの製品を得ることができるが、織、編物製品などの全体重量の30〜100%の範囲で用いてなるものである。上記本発明の紡績糸が織、編物製品全体の重量の30%未満ではたとえ特定の部分に本発明糸を用いても十分な耐熱性、耐切創性、染色性が得られにくくなり、好ましくない。好ましくは50〜100%の範囲である。
【0053】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。実施例中の物性は次ぎの測定によった。
<結晶サイズ>
広角X線解析法によった。
【0054】
<固有粘度>
固有粘度IV=(ηinh )は、98.5重量%の濃硫酸に濃度(C)=0.5g/dlでポリマーを溶かした溶液を30℃で定法により測定する。
【0055】
(ηinh )=(ln・ηrel)/C
(lnは自然対数)
<繊維の強伸度特性>
糸条の引張り強度、引張り弾性率(初期引張り抵抗度)は、JIS L 1013によった。
<水分率>
水分率の測定は、JIS L 1013によった。
【0056】
付着水分率(%)=(W−W1)×100/W1
ここに、W :試料採集時の質量
W1:試料の乾燥時質量
<切創抵抗力>
枠体の中央部に約3mmの間隔で2枚の試料シートを把持し、この試料シートのスリット部に角度60度で2辺に刃のあるセラミック製の刃を垂直に立てて当て、この刃先に500mm/分の速度で荷重をかけていったときの該試料シートが切創される最大荷重を測定する。
<プリーツ性>
織、編物のタテ方向に長さ25cmの試料を切り取り、長さ方向5cm間隔で印をつけ(4箇所)中央部の15cmを折り込み、5cmの長さで試料が3重になるように折り、通常のプレス機でプレス表面温度140℃、プレス圧力0.5kg/cm2 で10秒間プレスしたのちバキューム処理を10分間行い試料を冷却する。ブリーツ性(プリーツのつき方)は肉眼で級判定した。
【0057】
判定基準を下記する。
【0058】
5級:非常にシャープなプリーツ
4級:シャープなプリーツ
5級:プリーツがある
5級:プリーツが少しある
5級:プリーツがほとんどない
<プリーツ保持性>
プリーツ性を評価した試料を用いJIS L 0217−103法にもとずき洗濯後試料のプリーツ性を評価した。結果をプリーツ保持性として級判定した。
<難溶融性(煙草熱溶融性)>
500℃に加熱された金属棒(直径約0.6cm)の先端に試料を5秒間接触させた時の穴開きの程度を5級(穴開きなし)〜1級(完全に穴が開く)の5段階で級判定した。
<L値(染着度)>
L値の測定はJIS Z 8729に従った。測定器は(株)住化分析センター製Macbeth Color 3000を用いた。
【0059】
同一色相の場合は、数値が小さいほど良く染着されていることを示す。
[実施例1、比較例1]
通常の方法で得られたPPTA(ηinh =6.5)を99.9%の濃硫酸に溶かし、ポリマー濃度19.0%、温度80℃の紡糸ドープとし、孔径0.06mmの細孔数1000個を有する口金からわずかの間空気中へ紡出した後、4℃の水中に導いて凝固させ、ネルソンローラに導き、8%の水酸化ナトリウム水溶液で中和処理し、水洗後、ホットローラで110℃15秒間乾燥してプラスチックのチューブに巻き取る工程を途切れることなく通過させて、フィラメント数1000からなる総繊度1500デニール(絶乾換算)のパラ系アラミド繊維フィラメント糸(実施例1)を得た。実施例1のパラ系アラミド繊維をチューブに巻き取ることなく、つづいて設置されたホットローラに導いてさらに350℃、10秒間の熱処理を行った後巻き取って、乾燥したパラ系アラミド繊維フィラメント糸(比較例1)を得た。
【0060】
これらのパラ系アラミド繊維フィラメント糸を押し込みクリンパーにより6山/インチの割合で捲縮をかけ、1500デニール(単繊維繊度1.5デニール)を1.5インチと2インチにカットして38mmと51mmのステープルとした。
【0061】
これらのパラ系アラミド繊維の物性を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
パラ系アラミド繊維ステープルの染色方法の一例について述べる。
本発明のパラ系アラミド短繊維を次の条件でダークブルーに染色した。owfは乾燥した繊維重量に対する染料の重量%を示す。g/lは調合した染浴1リットルに対する助剤の重量割合を示す。
【0064】
染料:
Astrazon Golden Yellow GL (CI Yellow 28)
(Dyster社製) 0.1%owf
Kayacryl Red GL(CI Red 29)
(日本化薬社製) 2.0%owf
Aizen Cathilon Blue Tblh
(保土谷化学社製) 8.0%owf
助剤:
“ネオデスポンAC”(モーリン化学社製) 2g/1
酢酸 1g/1
硝酸ソーダ 20g/1
“テリールキャリヤA111”(明成化学社製)20g/1
[染料名のCIはカラーインデックスの意味で色の番号を表す]
浴比1:15、60℃で染色を開始し、60分間で130℃に昇温し、30分間染色した。染色後、非イオン活性剤と還元剤からなる浴で、80℃20分間還元洗浄し、脱水乾燥後、L値を測定した。同一色の場合は、数値が小さいほど良く染着されていることを示す。上記の場合による染浴を用いた染色方法において、L値が50以下の水準を、染着したと判定した。
【0065】
実施例1のパラ系アラミド繊維は染料をよく吸着したが、比較例1のパラ系アラミド繊維は、ほとんど染着されなかった。
[実施例2〜4、比較例2〜4]
実施例1で得られたパラ系アラミド繊維ステープルに静電気防止、紡績性向上を目的に界面活性剤を侵漬法にて付与した。
【0066】
これらのステープルは、染色工程まではポリ袋にて密閉して保管し水分の乾燥を防止して、前記染色処方により綿染めによってダークブルーに染色した。同ステープルの物性は、繊度1.5d、繊維長51mmの引張強度23g/d、破断伸度3%、熱分解温度500℃であった。
【0067】
これらの染色されたパラ系アラミド短繊維100%を鞘成分の短繊維束Aとして、通常の2インチ紡績方法で、太さ0.6g/mの粗糸を作成した。
【0068】
芯成分として短繊維束Bであるポリエステル短繊維,繊度1.5d、繊維長51mmを通常の2インチ紡績方法で、0.7、0.3、0.2g/mの粗糸を作成した。各々の粗糸を用い、一対のフロントテーパーローラーを有する2インチリング精紡機に仕掛け、鞘成分の短繊維束Aの粗糸をトランペットを通してフロントローラーの送り出し量の高い側へバックローラーから供給し、フロントローラーの送り出し量の低い供給側へ芯成分のポリエステル短繊維束Bをトランペットを通してバックローラー、フロントローラーへと供給した。精紡トータルドラフト33.0〜20.4倍で、芯鞘型複合紡績糸の番手を15S (綿番手)、撚係数はK=3.5(13.6T/in)とした。両フリースの間隔を5mmになるようにトランペットとガイドの間隔およびコレクターで調整した後ドラフトし合体させ通常の方法で糸管に巻き取り、鞘成分の染色されたパラ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が46.2、66.7、75.0%の3種(比較例2、実施例2、実施例3)ポリエステル短繊維が紡績糸に占める割合が53.8、33.3、25.0%であった。
【0069】
また、比較例3として芯、鞘成分いずれも比較例1で得た染まりにくいパラ系アラミド短繊維100%使いで芯、鞘比率50%/50%の紡績糸15S 、K=3.5を実施例2と同様にフロントテーパーローラーを有する精紡機を用い複合加工して得た。
【0070】
また、実施例4と比較例4として芯成分の短繊維束Bをポリエステル50%/木綿(米綿コーマ綿)50%の0.4g/mと0.3g/mの粗糸を作成し鞘成分として本発明の染色されたパラ系アラミド短繊維100%の1.4g/mの粗糸を作成し、実施例2と同様にフロントテーパーローラーを有する精紡機を用い複合加工して15S 、K=3.5鞘成分の染色されたパラ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が77.8%と82.4%の芯鞘型複合紡績糸を得た。ポリエステル短繊維の紡績糸に占める割合が11.1%、8.8%(実施例4、比較例4)であった。
【0071】
これら7種の紡績糸を90℃×20分の撚止めセットを行いそれぞれ100%使いで平織物を作成した、織成に際して経糸には糊剤を付与した、織密度は経糸78本/in、緯糸65本/in、織幅98cmを作成後、パラ系アラミド繊維の織物表面への出現状態(被覆状態)、染着度(L値)、耐切創性、耐熱性、プリーツ性を評価した。
【0072】
表2に示すように紡績糸に占めるポリエステル繊維の割合が53.8%の比較例2はプリーツ性、防しわ性などの形態保持性は良好であるが、紡績糸に占める芯成分のポリエステル繊維の混紡割合が高くパラ系アラミド繊維による被覆不足により、パラ系アラミド繊維の機能特性が十分に発揮できず染着度L値も52.8と高く劣り、耐切創性、耐熱性などの機能特性が劣るものであった、染色されたパラ系アラミド繊維が紡績糸に占める割合が82.4%の比較例4、従来のパラ系アラミド繊維100%の比較例3の紡績糸はパラ系アラミド繊維の機能特性、すなわち耐切創性、耐熱性は発揮されるが紡績糸中に占めるポリエステル繊維の割合が5.6%と0%と少なく、プリーツ性などの形態保持性が劣り、L値65.5と高く染色性が劣るものであった。
【0073】
本発明の実施例2〜4は紡績糸に占める染色されたパラ系アラミド繊維の混紡割合が高く、ポリエステル繊維の被覆性が良く、糸、織物表面を染色されたパラ系アラミド繊維が覆いパラ系アラミド繊維の機能特性を発揮し、プリーツ性などの形態保持性をも兼ね備えた良好なものであった。
【0074】
【表2】
【0075】
[実施例5、実施例6]
鞘成分の短繊維束として、本発明の繊度1.5d、繊維長38mmのダークブルーに染色されたパラ系アラミド短繊維と、繊度1.5d、繊維長38mmのダークブルーに着色された原着のメタ系アラミド短繊維[デュポン社製“ノーメックス”(デュポン社登録商標)]を50/50%(実施例5)の比率で混紡したものを通常の綿紡績方法で、太さ0.3g/mの粗糸を作成し、実施例2と同様にポリエステル短繊維100%、0.3g/mの粗糸を芯成分として複合加工し15S 、K=3.5の紡績糸を得た。また、実施例5の染色されたパラ系アラミド短繊維を、繊度5d、繊維長89mm、原着のメタ系アラミド短繊維を繊度1.5d、繊維長76mmに変え、それぞれを50/50%(実施例6)の割合で混紡し実施例2と同様にポリエステル短繊維100%、0.3g/mの粗糸を芯成分として複合加工し15S 、K=3.5の紡績糸を得て実施例2と同様に平織物を作成後布帛評価し結果を表2に表した。
【0076】
染色されたパラ系アラミド繊維の単繊維デニールを5デニールにした実施例6は、染着度L値47.6と低く染色性良好であり耐熱、耐切創などの機能特性、プリーツ性などの形態保持性も良好であるが、経糸開口不良により製織性が低下し、布帛が粗硬で防護被服としてはやや劣るものであった。鞘成分として“ケブラー”と“ノーメックス”の繊度1.5d、繊維長38mmをそれぞれ50/50%の割合で混紡した実施例5は全芳香族ポリアミド繊維の特性である耐切創性、耐熱性などの高機能特性を十分に発揮し、L値48.5と染色性良好であり色彩豊かでカラフルであり、プリーツ性などの形態保持性をも兼ね備え、布帛がソフトでしなやかでスポーツ衣料や防護衣料に適した優れた布帛であった。
[実施例7〜8]
芯、鞘成分繊維および混紡率、複合方法を実施例2と同様にして、撚係数をK=2.5(9.7T/in)にした実施例7、K=6.2(24.0T/in)の実施例8の紡績糸を作成した、撚係数K=2.5の実施例7は芯、鞘の複合加工において芯、鞘の合体性が悪く分離して操業性の低下がみられた。K=6.2の実施例8は精紡工程における複合加工において二重撚の発生が時々生じた。
[実施例9〜10、比較例5]
実施例2の15S 複合紡績糸を織物全体重量の25%(比較例5)、30%(実施例9)、100%(実施例10)になるように経糸、緯糸に均一に用い、平織物を作成した。ベース糸としてダークブルーに染色されたT65%木綿35%、15S 、K=3.4のサイロスパン糸を90℃×20分の撚止めをおこない用いた。織成に際して経糸に糊剤を付与した。織密度は経糸78本/in、緯糸65本/inであり、織幅98cmのものであった。布帛評価結果を表3に示した。
【0077】
本発明糸を25%使用した比較例5はプリーツ性などの形態保持性は良好であったが、耐熱、耐切創などの全芳香族ポリアミド繊維の高機能特性が劣るものであった。実施例9、実施例10は全芳香族ポリアミド繊維の高機能特性を十分に発揮し、L値46.8と染色性良好であり、プリーツ性などの形態保持性をも兼ね備えた優れた布帛であった。
【0078】
また、実施例9、実施例10の布帛をスラックスに仕立て、仕立て栄えを目視評価した、ポリエステル繊維の持つ仕立て栄えの良さが現れ、染色性良好で色鮮やかで良好なスラックスであり、着用評価を10名にて実施した結果、耐熱、耐切創はもちろんプリーツ保持性も良好であり好評を得た。
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明の芯鞘型複合紡績糸および布帛は、芯部を構成するポリエステル短繊維あるいはポリエステル短繊維混紡糸条からなる短繊維束を、鞘部を構成する本発明の染色されたパラ系アラミド繊維、または染色されたパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維を含む全芳香族ポリアミド短繊維束で被覆させることにより、全芳香族ポリアミド繊維の持つ耐切創性、耐熱性などの優れた高機能特性を損なうことなく全芳香族ポリアミド繊維の持つ欠点である染色性、プリーツ性、防しわ性、形態保持性を大幅に改善して高機能特性の要求される防護衣服用分野やスポーツ衣料に色彩豊かな好適な布帛を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の芯鞘型複合紡績糸を製造する精紡機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
A、B:短繊維束
1a,1b:トランペット
2:バックローラー
3:エプロンドラフト
4a,4b:テーパーフロントローラー
5:芯鞘型複合紡績糸
6:リング
7:トラベラ
8:糸管
Claims (11)
- 芯鞘型複合紡績糸であって、少なくとも染色された鞘成分が染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維100重量%で構成され、芯成分がポリエステル短繊維100%、あるいはポリエステル短繊維混紡糸条で構成されてなるとともに、前記染色されたパラ系アラミド短繊維、もしくは染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維100重量%の紡績糸に占める割合が50〜90重量%であり、かつポリエステル短繊維の紡績糸に占める割合が10〜35重量%であることを特徴とする芯鞘型複合紡績糸。
- 鞘成分の染色された全芳香族ポリアミド短繊維がパラ系アラミド短繊維であることを特徴とする請求項1に記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 鞘成分の全芳香族ポリアミド短繊維が染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維との混紡されたものであることを特徴とする請求項1に記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 鞘成分の染色されたパラ系アラミド短繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)短繊維であることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 染色されたパラ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が25〜90重量%、メタ系アラミド短繊維が紡績糸に占める割合が60重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 芯成分に染色された全芳香族ポリアミド短繊維を20重量%以内、鞘成分にメタ系アラミド短繊維を25〜50重量%混紡したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 芯成分がポリエステル短繊維100重量%、またはポリエステル短繊維と、染色された全芳香族ポリアミド短繊維、天然繊維およびセルロース系繊維の少なくとも1種から選ばれた繊維との混紡糸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
- パラ系アラミド短繊維が、5以上の固有粘度IV(ηinh )を持つPPTAと濃硫酸から紡糸用ドープをつくり、該ドープを紡糸口金の細孔を通して一旦空気中に紡出し、直ちに水中に導き凝固させ、高強度、高弾性率のフィラメントを形成する工程と、該フィラメントに捲縮を与えカットしてステープルとなす工程と、該フィラメントを染色する工程を連続することなく別々の工程で実施する方法において、染色前のパラ系アラミド繊維の引張強度が15g/d以上、結晶サイズ(110方向)が30〜55オングストロームであり、染色前の水分含量が常に8%以上に維持して形成されたものであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 染色されたパラ系アラミド短繊維、または染色されたパラ系アラミド短繊維とメタ系アラミド短繊維の単繊維繊度が0.5〜4.5デニールであり、撚係数Kが2.8〜6.0である請求項2〜8のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の芯鞘型複合紡績糸を布帛重量の30〜100重量%の範囲で用いてなることを特徴とする布帛。
- アウトドアスポーツ用衣料または防護被服用であることを特徴とする請求項10に記載の布帛。
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