しかしながら、特許文献1に記載の例において、例えば、ドアが保持位置の近傍位置(保持したい範囲)に移動されたときにチェックボールに対する付勢力を大きくし、ドアが保持位置の近傍位置以外の位置(保持しない範囲)に移動されたときにチェックボールに対する付勢力を小さくするには、圧縮コイルスプリングのバネ定数を一定とした場合、圧縮コイルスプリングのストロークを大きくする必要がある。
特に、チェックアームの両側ではなく片側にチェックボール及び圧縮コイルスプリングを配置してチェックアームの片側にチェックボールを付勢するように構成した場合には、チェックアームの両側にチェックボール及び圧縮コイルスプリングを配置してチェックアームの両側にチェックボールを付勢するように構成した場合に比して、圧縮コイルスプリングのストロークが二倍となる。そして、このように、圧縮コイルスプリングのストロークが拡大すると、これに伴い、ドアチェック機構が大型化する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ドアチェック機構の小型化を図ることが可能なスライドドア構造を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載のスライドドア構造は、一端側が車体に回動自在に取り付けられたリンクアームと、前記リンクアームの他端側が回動自在に取り付けられ、前記リンクアームの回動に伴ってスライドされるスライドドアと、前記リンクアームの前記車体側の回動軸と同心状に配置されたチェックアームと、前記リンクアームの回動に伴って前記チェックアームに対して相対移動可能な移動部と、ストロークに応じて弾性係数が変化するように構成された弾性手段を有し、前記弾性手段によって前記チェックアーム又は前記移動部を互いが接近する側へ付勢して前記移動部と前記チェックアームとを押圧当接させる多段階付勢手段と、を有して構成されたドアチェック機構と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に記載のスライドドア構造において、スライドドアは、リンクアームの回動を伴ってスライドされる。また、このとき、リンクアームの回動に伴ってドアチェック機構が作動し、これによって、スライドドアの操作荷重が変化する。すなわち、本発明に係るドアチェック機構では、リンクアームが回動すると、これに伴って、リンクアームの車体側の回動軸と同心状に配置されたチェックアームに対して移動部が相対移動される。また、このとき、チェックアーム又は移動部は、ストロークに応じて弾性係数が変化するように構成された弾性手段を有する多段階付勢手段によって互いが接近する側へ付勢され、これにより、移動部とチェックアームとが押圧当接される。そして、移動部とチェックアームとが押圧当接されることにより生ずる抵抗がスライドドアに操作荷重として作用する。また、このときに多段階付勢手段の付勢力が増減することで移動部とチェックアームとが押圧当接されることにより生ずる抵抗も増減し、この抵抗の増減によりスライドドアの操作荷重が変化する。
このように、請求項1に記載のスライドドア構造では、チェックアーム又は移動部を互いが接近する側へ付勢して移動部とチェックアームとを押圧当接させるための多段階付勢手段が、ストロークに応じて弾性係数が変化するように構成された弾性手段を有して構成されている。従って、多段階付勢手段に備えられた弾性手段の弾性係数が一定に構成された場合に比して、短いストロークでチェックアーム又は移動部を付勢する付勢力を増減させることができる。これにより、スライドドアの操作荷重を変化させるためのドアチェック機構の小型化を図ることが可能となる。
請求項2に記載のスライドドア構造は、請求項1に記載のスライドドア構造において、前記多段階付勢手段は、第一の弾性手段と、前記第一の弾性手段よりも弾性係数の高い第二の弾性手段と、を備えると共に、第一のストロークと、前記第一のストロークのときよりも前記第二の弾性手段を変形させて高い付勢力を発揮する第二のストロークと、を取り得るように構成され、前記チェックアームには、前記多段階付勢手段が前記第二のストロークを取り得るように、前記多段階付勢手段のストロークを変更するストローク変更手段が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載のスライドドア構造では、スライドドアが所定のスライド位置にスライドされると、チェックアームに設けられたストローク変更手段が、多段階付勢手段が第一のストロークを取り得るように多段階付勢手段のストロークを変更する。そして、このようにして多段階付勢手段が第一のストロークとされると、多段階付勢手段が後述する第二のストロークのときよりも低い付勢力を発揮する。これにより、スライドドアの操作荷重を小さくすることができスライドドアの良好な操作感を得ることが可能となる。
これに対して、スライドドアが上記スライド位置とは異なる所定のスライド位置にスライドされると、チェックアームに設けられたストローク変更手段が、多段階付勢手段が第二のストロークを取り得るように多段階付勢手段のストロークを変更する。そして、このようにして多段階付勢手段が第二のストロークとされると、多段階付勢手段が、第一のストロークのときよりも第一の弾性手段に比して弾性係数の高い第二の弾性手段を変形させて高い付勢力を発揮する。これにより、スライドドアが所定のスライド位置にスライドされたときのスライドドアの操作荷重を大きくすることができ、また、スライドドアを所定のドア保持位置に保持することが可能となる。
このように、請求項2に記載のスライドドア構造では、多段階付勢手段に、第一の弾性手段と、この第一の弾性手段よりも弾性係数の高い第二の弾性手段との少なくとも二種類の弾性手段を用い、この多段階付勢手段のストロークをチェックアームのストローク変更手段によって変更するという簡単な構造で、多段階付勢手段の付勢力を変更(増減)させることが可能である。
請求項3に記載のスライドドア構造は、請求項2に記載のスライドドア構造において、前記ストローク変更手段は、前記スライドドアが予め定められたドア保持位置の近傍位置にスライドされたときに前記多段階付勢手段を前記第二のストロークとすることを特徴とする。
請求項3に記載のスライドドア構造では、スライドドアが予め定められたドア保持位置の近傍位置にスライドされると、チェックアームに設けられたストローク変更手段が、多段階付勢手段が第二のストロークを取り得るように多段階付勢手段のストロークを変更する。これにより、スライドドアが予め定められたドア保持位置の近傍位置にスライドされたときのスライドドアの操作荷重を大きくすることができ、また、スライドドアを予め定められたドア保持位置に保持することが可能となる。
請求項4に記載のスライドドア構造は、請求項2又は請求項3に記載のスライドドア構造において、前記多段階付勢手段は、前記第一の弾性手段による付勢と前記第二の弾性手段による付勢とをストロークに応じて切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
請求項4に記載のスライドドア構造では、多段階付勢手段のストロークが変化すると、このストロークに応じて切替手段が第一の弾性手段による付勢と第二の弾性手段による付勢とに切り替える。従って、多段階付勢手段の付勢力が段階的に増減され、これに伴い、スライドドアの操作荷重も段階的に変化される。
請求項5に記載のスライドドア構造は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスライドドア構造において、前記チェックアームは、前記車体側に配置され、前記多段階付勢手段及び移動部は、前記リンクアームに一体的に配置されていることを特徴とする。
請求項5に記載のスライドドア構造では、チェックアームが車体側に配置されている。従って、チェックアームをリンクアームと共に回動させる必要が無く、また、チェックアームを車体側に固定状態で配置することができる。これにより、チェックアームを高い保持剛性で保持することが可能となる。
また、請求項5に記載のスライドドア構造では、多段階付勢手段及び移動部がリンクアームに一体的に配置されている。従って、リンクアームの回動と共に多段階付勢手段及び移動部を移動させることができる。さらに、リンクアームの回動に伴い、車体側に高い保持剛性で保持されたチェックアームに対して移動部を多段階付勢手段により押圧当接させることが可能である。また、チェックアームを車体側に高い保持剛性で保持することにより、チェックアームの両側から移動部をチェックアームに押圧当接させる必要が無く、チェックアームの片側から移動部をチェックアームに押圧当接させることができる。これにより、多段階付勢手段もチェックアームの片側に設けるだけで足り、多段階付勢手段のストロークの増加を防止できると共に、その構成も簡素化できる。
以上詳述したように、本発明によれば、ドアチェック機構の小型化を図ることが可能となる。
はじめに、図1乃至図6を参照しながら、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10の構成について説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10の全体構成を示す平面図が示されており、図2には、図1の要部拡大図、図3には、図1の3−3線断面図がそれぞれ示されている。また、図4には、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10に備えられたドアチェック機構24の分解斜視図、図5,図6には、本発明の一実施形態に係るドアチェック機構24の動作説明図がそれぞれ示されている。なお、これらの図において示される矢印Fr、矢印Out、矢印Upは、それぞれ車両前後方向前側、車両幅方向外側、車両上下方向上側を示している。
本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10は、例えば、乗用自動車等の車両のリア側面に設けられている。このスライドドア構造10には、リアドアとしてのスライドドア12が設けられており、このスライドドア12は、以下に説明する構造により車両前後方向にスライドされる。
つまり、スライドドア12には、図1に示されるように、車両前後方向に沿って形成されたドアヒンジ14が配置されており、このドアヒンジ14の車両前後方向両端側の部分には、一対のリンクアーム16の一端側がヒンジピン18によってそれぞれ回動自在に連結されている。一方、車体のリア側面に設けられた図示しないドア開口の縁部(ロッカ部)には、車両前後方向に沿って形成されたヒンジブラケット20が設けられており、このヒンジブラケット20の車両前後方向両端側の部分には、一対のリンクアーム16の他端側がヒンジピン22によってそれぞれ回動自在に連結されている。そして、スライドドア12は、このリンクアーム16の回動によって図示しないドア開口を閉じる全閉位置と該ドア開口を開く全開位置との間で車両前後方向にスライドされる。
また、本実施形態に係るスライドドア構造10では、上述の如くスライドされるスライドドア12を所定のスライド位置(後述するように、一例として、ドア全開位置)で保持すべく、ドアチェック機構24が設けられている。つまり、このドアチェック機構24の構造を詳述すると、図2乃至図4に示されるように、一対のリンクアーム16のうち車両前方側に配置されたリンクアーム16の車体側の端部には、収容凹部26が設けられており、この収容凹部26には、チェックケース28が収容されている。チェックケース28は、有底の筒状体により構成されており、その内部にスプリング受プレート30及びコイルスプリング32を収容している。
スプリング受プレート30は、概略円盤状に構成され、チェックケース28内でその軸方向(X方向)に移動自在とされている。また、コイルスプリング32は、チェックケース28の底部28Aとスプリング受プレート30のプレート本体30Aとの間に配置され、その一端がチェックケース28の底部28Aに当接され、その他端がスプリング受プレート30のプレート本体30Aに当接されている。そして、このコイルスプリング32は、チェックケース28の底部28Aに対してスプリング受プレート30のプレート本体30Aを軸方向(X方向)車体側に付勢する。
なお、本実施形態では、このコイルスプリング32(第二の弾性手段に相当)は、後述するコイルスプリング38(第一の弾性手段に相当)よりも弾性係数(バネ定数)が高く設定されている(このコイルスプリング32,38の動作については後述する作用と合わせて説明する)。
チェックケース28の先端部(車体側の端部)には、径方向に突出する係止凸部28Bが形成されている。そして、この係止凸部28Bに係止凹部34Aが係止されることで、チェックケース28の先端部にボールホルダガイド34が一体に固定されている。このボールホルダガイド34のスプリング受プレート30側の端部34Bは、後述するように、コイルスプリング32によって軸方向(X方向)車体側に付勢されたスプリング受プレート30の移動を規制するストッパとして機能するように構成されている。また、このボールホルダガイド34は、軸方向(X方向)に沿って貫通形成されたガイド孔34Cを有して構成されており、このガイド孔34Cにボールホルダ36を進退動自在に挿入して支持している。
ボールホルダ36には、スプリング受プレート30側にスプリング収容部36Aが凹設されており、このスプリング収容部36Aには、コイルスプリング38が収容されている。コイルスプリング38は、上述のコイルスプリング32と互いの軸方向が一致するように配置されており、その一端側がスプリング受プレート30のプレート本体30Aに当接され、その他端がボールホルダ36に形成されたスプリング収容部36Aの底部に当接されている。そして、このコイルスプリング38は、スプリング受プレート30のプレート本体30Aに対してボールホルダ36に形成されたスプリング収容部36Aの底部を軸方向(X方向)車体側に付勢する。
なお、ボールホルダ36のスプリング受プレート30側の端部36Bは、後述するように、ボールホルダ36全体がコイルスプリング38の付勢力に抗して軸方向(X方向)ドア側に移動されたときにスプリング受プレート30を軸方向(X方向)ドア側に押圧する押圧部として機能するように構成されている。
また、このコイルスプリング38によって付勢されるボールホルダ36の車体側には、半球状のボール収容部36Cが凹設されており、このボール収容部36Cには、移動部としてのボール40が転動自在に収容されている。また、このボール40と対向する車体側の部分には、リンクアーム16の車体側の回動軸Aと同心状にチェックアーム42が配置されている。このチェックアーム42には、ボール40が転動可能なチェック溝部44がその長手方向に沿って形成されている。
このチェック溝部44は、図2に示されるように、リンクアーム16の車体側の回動軸Aを中心に円弧状に形成された一般溝部44Aと、この一般溝部44Aと連続して形成されると共に、その回動軸Aとの長さL1が一般溝部44Aの半径Rよりも短く、且つ、回動軸A側(ドア側)に突出して形成されたストローク変更手段としてのチェック溝山部44Bと、このチェック溝山部44Bと連続して形成されると共に、その回動軸Aとの長さL2が一般溝部44Aの半径Rよりも短くてチェック溝山部44Bの回動軸Aとの長さL1よりも長く、且つ、回動軸Aと反対側(車体側)へ凹むように形成されたチェック溝保持部44Cと、を有して構成されている。
そして、本実施形態のドアチェック機構24では、スライドドア12のスライド位置(つまりリンクアーム16の回動角度)に対し、チェックアーム42のチェック溝部44に形成された一般溝部44A、チェック溝山部44B、チェック溝保持部44Cの各配置関係は、次の通りに設定されている。
つまり、スライドドア12が全閉位置から全開位置よりも手前のスライド位置にスライドするまでは、図5(a),図6(a)に示される如く、このときのリンクアーム16の回動に伴い、ボール40がチェックアーム42の一般溝部44Aを転動する。また、スライドドア12が全開位置よりも手前のスライド位置に到達したときには、図5(b),図6(b)に示される如く、このときのリンクアーム16の回動角度によりボール40がチェックアーム42のチェック溝山部44Bの頂部に位置される。また、スライドドア12が全開位置に到達したときには、図5(c),図6(c)に示される如く、このときのリンクアーム16の回動角度によりボール40がチェックアーム42のチェック溝保持部44C(谷部)に位置される。
次に、上記構成からなるスライドドア構造10の動作について説明する。
本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10において、スライドドア12は、図1に示されるように、リンクアーム16のR方向への回動を伴って車両前後方向へスライドされる。また、このとき、リンクアーム16の回動に伴ってドアチェック機構24が作動し、これによって、スライドドア12の操作荷重が次の如く変化(増減)する。
すなわち、本実施形態に係るドアチェック機構24では、スライドドア12が全閉位置から全開位置よりも手前のスライド位置にスライドするまでは、図5(a),図6(a)に示される如く、このときのリンクアーム16の回動に伴い、ボール40がチェックアーム42の一般溝部44Aを転動する。
そして、このようにして、ボール40がチェックアーム42の一般溝部44Aを転動するときには、コイルスプリング32が、チェックケース28の底部28Aに対してスプリング受プレート30のプレート本体30Aを軸方向(X方向)車体側に付勢する。これにより、スプリング受プレート30のプレート本体30Aが、ボールホルダガイド34のスプリング受プレート30側の端部34Bに押圧当接された状態とされる。
また、このときには、コイルスプリング38が、所定のストロークに圧縮されてスプリング受プレート30のプレート本体30Aに対してボールホルダ36に形成されたスプリング収容部36Aの底部を軸方向(X方向)車体側へ付勢する(第一のストローク状態)。これにより、コイルスプリング38の付勢力(コイルスプリング32よりも弱い付勢力)がボールホルダ36を介してボール40に伝達されて、ボール40がチェックアーム42に押圧当接される。
そして、このボール40がチェックアーム42に押圧当接されることにより生ずる抵抗がスライドドア12に操作荷重として作用する。このとき、ボール40にはコイルスプリング32の付勢力は作用せず、コイルスプリング38の付勢力のみが作用するので、スライドドア12の操作荷重は小となり、スライドドア12の操作感は良好となる。
この状態から、リンクアーム16の回動に伴ってボール40がチェックアーム42のチェック溝山部44Bの頂部に近づくように移動されると、ボール40がチェック溝山部44Bの斜面を上ることにより、ボールホルダ36に対し軸方向(X方向)ドア側へ力が作用する。これにより、ボールホルダ36がコイルスプリング38の付勢力に抗してスプリング受プレート30側へ移動され、ボールホルダ36のスプリング受プレート30側の端部36Bがスプリング受プレート30のプレート本体30Aに当接された状態となる。
そして、リンクアーム16の回動に伴ってボール40がチェックアーム42のチェック溝山部44Bの頂部にさらに近づくように移動されると、ボール40がチェック溝山部44Bの斜面をさらに上ることにより、ボールホルダ36が、軸方向(X方向)ドア側へさらに移動してコイルスプリング32の付勢力に抗してスプリング受プレート30を軸方向(X方向)ドア側へ移動させる。
そして、スライドドア12が全開位置よりも手前のスライド位置に到達し、図5(b),図6(b)に示される如く、ボール40がチェックアーム42のチェック溝山部44Bの頂部に位置されたときには、スプリング受プレート30によってコイルスプリング32が一連の動作の中で最も圧縮された状態とされる(第二のストローク状態)。これにより、コイルスプリング32の付勢力(ボール40が一般溝部44Aを転動するときよりも強い付勢力)がスプリング受プレート30及びボールホルダ36を介してボール40に伝達されて、ボール40がチェックアーム42に押圧当接される。
そして、このボール40がチェックアーム42に押圧当接されることにより生ずる抵抗がスライドドア12に操作荷重として作用する。このとき、ボール40にはコイルスプリング38の付勢力は作用せず、コイルスプリング32の付勢力のみが作用し、スライドドア12の操作荷重は最大となる。
さらに、この状態から、スライドドア12が全開位置に到達し、図5(c),図6(c)に示される如く、このときのリンクアーム16の回動に伴ってボール40がチェックアーム42のチェック溝保持部44C(谷部)に位置されたときには、コイルスプリング32の付勢力(ボール40が一般溝部44Aを転動するときよりも強く、チェック溝山部44Bの頂部に位置されるときよりも弱い付勢力)がスプリング受プレート30及びボールホルダ36を介してボール40に伝達されて、ボール40がチェックアーム42に押圧当接される。また、このとき、ボール40がチェックアーム42に押圧当接された状態でチェック溝保持部44C(谷部)に保持される。そして、ボール40がチェックアーム42に押圧当接された状態でチェック溝保持部44C(谷部)に保持されることにより、スライドドア12が全開位置に保持される。
次に、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10の作用及び効果について説明する。
以上詳述したように、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、ボール40をチェックアーム42側へ付勢してボール40とチェックアーム42とを押圧当接させるために、弾性係数(バネ定数)の異なる二種類のコイルスプリング32,38を設けている(すなわち、ストロークに応じて弾性係数が変化する)。従って、コイルスプリングの弾性係数(バネ定数)が一定に構成された場合に比して、短いストロークでボール40を付勢する付勢力を増減させることができる。これにより、スライドドア12の操作荷重を変化させるためのドアチェック機構24の小型化を図ることが可能となる。
つまり、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、図7に示されるように、弾性係数(バネ定数)の異なる二種類のコイルスプリング32,38によりボール40に作用する付勢力を段階的に変更可能である。ここで、例えば、図8に示される如くバネ定数が一定の一種類のコイルスプリング50(本例のコイルスプリング32と同一のバネ定数を有する)のみによってボール40に付勢力を作用させた場合には、付勢力を段階的に変更することができず、図7中の破線で表示される如く長いストロークが必要となる。また、この場合には、長いストロークが必要となるため、図1の想像線L(二点鎖線)に示される如く、チェックアームをより径方向外側に拡大し車体内側に配置する必要がある(つまりドアチェック機構が大型化する)。
これに対して、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、弾性係数(バネ定数)の異なる二種類のコイルスプリング32,38によってボール40に付勢力を作用させているので、付勢力を段階的に変更でき、上述のバネ定数が一定の一種類のコイルスプリング50のみによってボール40に付勢力を作用させた構成に比して、図7に示される如く、ストロークΔSの分だけストロークを短くすることができる。
また、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、弾性係数(バネ定数)の異なる二種類のコイルスプリング32,38を用い、このコイルスプリング32,38のストロークを変更するためのチェック溝山部44Bをチェックアーム42に設けるという簡単な構造で、ボール40に作用する付勢力を変更(増減)させることが可能である。
また、ボール40がチェックアーム42の一般溝部44Aに位置する状態で(この状態となるようにリンクアーム16を回動させた状態で)コイルスプリング32の組み付けを行えば、弾性係数(バネ定数)の高いコイルスプリング32を撓ませて組み付ける必要が無く、その組み付けも容易に行うことが可能である。
また、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、チェックアーム42が車体側に配置されている。従って、チェックアーム42をリンクアーム16と共に回動させる必要が無く、また、チェックアーム42を車体側に固定状態で配置することができる。これにより、チェックアーム42を高い保持剛性で保持することが可能となる。特に、車体側では、例えばスライドドア12側に比して、剛性確保のためのスペースを得やすいので、チェックアーム42の保持剛性の向上の点で有利である。
また、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、コイルスプリング32,38及びボール40がリンクアーム16に一体的に配置されている。従って、リンクアーム16の回動と共にコイルスプリング32,38及びボール40を移動させることができる。さらに、リンクアーム16の回動に伴い、車体側に高い保持剛性で保持されたチェックアーム42に対してボール40をコイルスプリング32,38により押圧当接させることが可能である。
ここで、例えば、チェックアーム42をリンクアーム16側に設けてリンクアーム16と共に回動するようにし、車体側にコイルスプリング32,38及びボール40を設けた場合には、チェックアーム42の両側からボール40をチェックアーム42に付勢することで、回動するチェックアーム42をバランスよく保持することができるが、この場合、その保持構造が複雑化する虞がある。
これに対し、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10のように、チェックアーム42を車体側に高い保持剛性で保持すれば、チェックアーム42の両側からボール40をチェックアーム42に押圧当接させる必要が無く、チェックアーム42の片側からボール40をチェックアーム42に押圧当接させることができる。これにより、コイルスプリング32,38もチェックアーム42の片側に設けるだけで足り、ボール40を付勢するための付勢機構のストロークの増加を防止できると共に、その構成も簡素化できる(片側付勢を簡単な構成で実現可能)。
また、本発明の一実施形態に係るスライドドア構造10では、ボール40がチェックアーム42の一般溝部44Aを転動するときには、コイルスプリング38の付勢力(コイルスプリング32よりも弱い付勢力)がボール40に常に伝達される。これにより、スライドドア12の開閉時におけるボール40のがたつきを防止できるので、振動等による異音の発生も防止できる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、ボール40をチェックアーム42側へ付勢してボール40とチェックアーム42とを押圧当接させるために、弾性係数(バネ定数)の異なる二種類(二部材)のコイルスプリング32,38を設けていたが、弾性係数(バネ定数)の異なる二種類のスプリング領域を備えた一部材のコイルスプリング(つまり、コイルスプリング32,38を一体化した構成)によりボール40を付勢するように構成されていても良い。
また、上記実施形態では、弾性係数(バネ定数)の異なる二つのコイルスプリング32,38が設けられていたが、弾性係数(バネ定数)の異なるコイルスプリングが三つ以上設けられていても良い。
また、上記実施形態では、二つのコイルスプリング32,38の弾性係数(バネ定数)を異ならせていたが、例えば、次のようにしても良い。すなわち、二つのコイルスプリング32,38の弾性係数を同一とした上で、上述の第一のストローク状態(図5(a),図6(a)の状態)ではコイルスプリング38により付勢力を発揮させ、上述の第二のストローク状態(図5(b),図6(b)の状態)ではコイルスプリング38及びコイルスプリング32により付勢力を発揮させるようにしても良い。このようにしても、コイルスプリング32,38全体のストロークに応じて弾性係数を変化させることができ、ドアチェック機構24の小型化を図ることが可能となる。
また、上記実施形態では、図5(b),図6(b)に示される如く、ボール40がチェックアーム42のチェック溝山部44Bの頂部に位置されたときには、ボールホルダ36のスプリング受プレート30側の端部36Bがスプリング受プレート30のプレート本体30Aに当接された状態となって、コイルスプリング38の付勢力がボール40に作用しないように構成されていたが、このときにボールホルダ36のスプリング受プレート30側の端部36Bがスプリング受プレート30のプレート本体30Aから離間された状態とされて、コイルスプリング32に加えてコイルスプリング38の付勢力がボール40に作用するように構成されていても良い。