従来から、サイクロン集塵機を備えた電気掃除機が種々提案されている。サイクロン集塵機は、内部に導入された空気を高速旋回させることで、空気中の塵埃を遠心分離してダストカップ内に集塵するものである。排気が、取り除いたゴミの中を通らないため、集塵パワーがゴミの蓄積にかかわらず持続し且つ排気中にゴミの臭いを出しにくいという利点がある。遠心分離されない微細な塵埃は、空気とともにサイクロン集塵機の中央に設けられた排気筒から排出されるときに、排気筒の周面に設けられているメッシュ状のフィルタによって除去される。塵埃が取り除かれた後の空気は、排気筒から外部に排出される。
本出願人は、既に、サイクロン集塵機を掃除機本体に収容するタイプの電気掃除機において、排気筒に被覆されるフィルタを自動清掃し、フィルタから掻き落とされた塵埃の外部への漏洩を抑制し、衛生面を向上させることを提案している(特許文献1)。この提案によれば、サイクロン集塵機のサイクロン本体は、排気筒の表面に被覆されたフィルタと摺動することによってフィルタを清掃する清掃具と、サイクロン集塵機の掃除機本体に対する着脱動作と連動して、清掃具とフィルタとを摺動させる摺動手段とを有している。摺動手段は、清掃具と連結棒を介して連結されるとともに、掃除機本体側に設けられる位置決め部にて支持される支持部と、サイクロン集塵機の掃除機本体からの取り出し方向に、支持部を支点として固定板に固定される筐体を付勢する第2付勢手段とを有して構成されている。
また、塵埃の分離効率が高く、また分離した塵埃が排気筒に付着することを効果的に防止できるサイクロン集塵式電気掃除機が提案されている(特許文献2)。このサイクロン集塵式電気掃除機は、伝動送風機の運転によって発生する気流を流入口からサイクロン集塵装置の分離室に流入させて高速の旋回気流とし、旋回気流を分離室と集積室との境界に配置された遮蔽部材の外側を通って下降させて、集積室に流入させる構造とされている。下降旋回気流は、集積室の底面近くで上昇旋回気流に転じ、遮蔽部材から集積室の底面に向かって延びる分離ブレードに衝突して旋回気流が方向転換するときに気流中の塵埃が分離される。上昇旋回気流が遮蔽部材の縁に設けたループ状の障壁を越えるとき、また遮蔽部材の外周に旋回気流を遮るように所定間隔で形設したリブを越えるとき、それぞれ塵埃が分離される。
特開2004−249010号公報(段落[0073]〜[0075]、図1)
特開2003−88485号公報(段落[0044]〜[0061]、図4)
サイクロン集塵機は、掃除機本体内において、掃除機本体に設けられる流入部と排気部との整合を取るため、或いは振動する掃除機本体との一体性を確保するために、位置決めされた状態で掃除機本体に固定されている。掃除機のデザイン及び掃除機全体の機能や取り扱い性を考慮して、サイクロン集塵機はその一部外面が外部に露出する状態で掃除機本体に収納されており、掃除機本体と一体的な外観が与えられることが多い。サイクロン集塵機の掃除機本体への装着時に、サイクロン集塵機側の流路が掃除機本体の流入部及び排気部に対して整合される。したがって、表面的には、サイクロン集塵機の外観は、掃除機本体の外観に対して、大きな段差を付けないように設計される。
一方、サイクロン集塵機に集塵された塵埃が蓄積してきた場合には、ダストカップ内の塵埃をごみ箱等に捨てる必要がある。サイクロン集塵機を掃除機本体に収容した状態では、ダストカップのみを単独でサイクロン本体から取り外すことができないので、サイクロン集塵機を掃除機本体から取り外し、その状態でサイクロン集塵機からダストカップを取り外す必要がある。フィルタの清掃に際しても、同様の操作が必要である。
上記の構造によれば、掃除機本体に対して固定状態が解除されたサイクロン集塵機を掃除機本体に対して着脱可能になるのであるが、上記の外観設計のために、掃除機本体からサイクロン集塵機を取り出す手掛かりが得難い。そこで、掃除機本体にカップ取り出しボタンを設け、カップ取り出しボタンを操作することで、サイクロン集塵機の頭部を持ち上げることも提案されている。サイクロン集塵機を掃除機本体から取り出すには、サイクロン集塵機の頭部全体を掴んで持ち上げる動作が必要である。また、取り出したサイクロン集塵機をごみ箱まで運搬する際にも、サイクロン集塵機の頭部を掴んだまま移動する必要がある。
そこで、サイクロン集塵機を掃除機本体に収納した状態では外観をすっきりしたデザインに維持し、且つサイクロン集塵機を掃除機本体から取り出す際、及び取り出した後の運搬の際には、その操作性を一層改善する点で解決すべき課題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、サイクロン集塵機を掃除機本体に収容するタイプのサイクロン式掃除機において、サイクロン集塵機の掃除機本体への収納状態ではすっきりした外観を維持し、サイクロン集塵機の掃除機本体からの取り出す際の操作、及び取り出した後の持ち運びをより簡単に且つ確実に行うことができるサイクロン式掃除機を提供することにある。
上記の課題を解決するため、この発明によるサイクロン式掃除機は、掃除機本体に着脱自在に収納され且つ吸い込んだ空気内の塵埃を遠心分離するサイクロン集塵機を備えるサイクロン式掃除機において、前記サイクロン集塵機は、前記塵埃を溜めるダストカップと、前記ダストカップに係合して前記ダストカップの開口部を閉鎖可能な集塵機本体と、前記集塵機本体と前記ダストカップとの間で形成される収納部と、を備え、前記集塵機本体は、前記集塵機本体からポップアップ可能に前記集塵機本体に取り付けられたハンドル体と、前記収納部を排気側において区画するフィルタと、前記フィルタが周面を形成する態様で張られている排気筒と、を備えており、前記ハンドル体は、前記フィルタの前記収納部側を前記ハンドル体のポップアップに連動して摺動するクリーニングライナを備えており、前記クリーニングライナは、前記排気筒の外側で前記ハンドル体から垂下する複数のシャフトに取り付けられた環状のライナであることから成っている。
このサイクロン式掃除機によれば、ハンドル体がポップアップされない状態では、ハンドル体は集塵機本体に収容された状態となり、外観の向上と集塵機本体周辺での省スペースに貢献する。ハンドル体を集塵機本体からポップアップ可能に設けることによって、ポップアップしたハンドル体を把持可能となり、サイクロン集塵機を取り扱い易くなり、操作性が向上する。例えば、サイクロン集塵機を一体的に持ち上げるようにして掃除機本体から取り出すことができ、把持したままの状態でサイクロン集塵機を持ち運ぶことができる。また、塵埃の処理や洗浄の後にサイクロン集塵機を掃除機本体に戻す場合も同様である。
このサイクロン式掃除機において、ハンドル体を集塵機本体に対してポップアップ方向に付勢する弾性体と、ハンドル体を集塵機本体に対して弾性体による付勢力に抗して収納保持する係合状態とこの係合状態から離脱した解除状態との間で切り替え可能な係合部とを備えることができる。このサイクロン式掃除機によれば、係合部が係合している状態では、ハンドル体は弾性体による付勢力に抗して集塵機本体に対して収納保持され、その付勢力はハンドル体と集塵機本体との間で内力化される。この状態では、ハンドル体は集塵機本体内に収納状態となり、ハンドルが飛び出すことによる掃除機回りで占めるスペースを抑えることができる。また、係合部が係合状態から離脱した解除状態では、ハンドル体の集塵機本体に対するポップアップ方向の拘束が解除されるので、弾性体の付勢力によってハンドル体は集塵機本体から自動的にポップアップする。
上記弾性体と係合部とを備えたサイクロン式掃除機において、ハンドル体は握り部と当該握り部の両端で集塵機本体に対してポップアップ方向に変位案内される軸部とを備えており、係合部は握り部の中間位置に配置され、弾性体は両軸部内にそれぞれ収容されたコイルばねでとすることができる。ハンドル体を両端の軸部によって集塵機本体に対してポップアップ方向に変位案内し、係合部を握り部の中間位置に配置することで、ハンドル体に作用する力を両側でバランスよく分散させることができるので、ハンドル体の安定したポップアップ動作が確保される。また.弾性体を軸部に収容されるコイルばねとすることで、弾性体を省スペースに配置し、ハンドル体に対して安定した力を作用させることができる。
上記弾性体と係合部とを備えるサイクロン式掃除機において、掃除機本体に係脱可能で且つ掃除機本体を覆うカバーを更に備えており、カバーは、掃除機本体への係脱を操作する操作部と、この操作部の操作に連動してサイクロン集塵機の係合部を係合状態と解除状態との間で切り替える連動機構とを有することができる。このサイクロン式掃除機によれば、掃除機本体を覆うカバーを設けることによって、サイクロン式掃除機本体の外観を滑らかな形状にすることができる。カバーは掃除機本体に係脱可能であり、カバーを掃除機本体から係合離脱させる操作部の操作に連動して、ハンドル体を集塵機本体に対して係合させる係合部を係合状態と解除状態との間で切り替えることができる。即ち、カバーを掃除機本体から係合離脱させるという操作部での1アクションで、カバーの開きと、ハンドル体を集塵機本体に対して自動的に係合解除させてハンドル体をポップアップさせるというワンタッチ動作が得られる。ハンドル体のポップアップを弾性体の付勢力を利用する場合には、カバーをその付勢力で持ち上げて、その後のカバーの取扱いを更に便利にすることができる。また、ハンドル体を弾性体に抗して押さえ込んだ収納状態に置くことで、カバー内に、飛び出した状態のハンドル体を収納するスペースを予め確保する必要がなくなり、サイクロン掃除機全体の小型化にも寄与することができる。
このサイクロン式掃除機において、ダストカップは塵埃を溜める収納部を排気側において区画するフィルタを備え、ハンドル体はフィルタの収納部側をハンドル体のポップアップに連動して摺動するクリーニングライナを備えている。サイクロン掃除機を長時間使用すると、塵埃を溜める収納部を排気側において区画するフィルタが、遠心分離で分離し切れない塵埃を捕捉することによって目詰まりを起こし、吸引力及び捕塵能力が低下する。そのため、ハンドル体にフィルタの収納部側を摺動するクリーニングライナを備えることで、ハンドル体がポップアップ運動をすることに連動して、クリーニングライナをフィルタの収納部側の面に沿って摺動させることで、フィルタに捕捉された塵埃を掻き取ることができる。これにより、ハンドル体がポップアップ動作時に、そのポップアップ動作がクリーニング動作に利用されて、フィルタを自動清掃することができ、サイクロン式掃除機の利便性が向上する。フィルタから掻き取られた塵埃は収納部側に落下し外部へ、外部への漏洩はないので、衛生面でも向上する。
このサイクロン掃除機において、集塵機本体は、ダストカップとの間で塵埃を溜める収納部を形成し且つフィルタが周面を形成する態様で張られている排気筒を備えており、クリーニングライナは排気筒の外側でハンドル体から垂下する複数のシャフトに取り付けられた環状のライナである。サイクロン集塵の作用に対応して、排気部は渦流の中心に排気筒として設けられる。フィルタは、排気筒の周面を形成するように張られている。したがって、遠心分離で取り除くことができない微細な塵埃は円筒状のフィルタの外周面上に捕捉され、フィルタを通過した空気が排気筒の内部を通って排気される。排気筒の外側でハンドル体から垂下する複数のシャフトの好ましくは先端に環状のクリーニングライナを取り付けることにより、ハンドル体のポップアップ動作を利用して、ハンドル体と共にシャフトを介して環状のクリーニングライナを上動させることができる。上動するクリーニングライナはフィルタのフィルタ面を摺動して、捕捉された塵埃を掻き取ることができる。
排気筒を備える上記サイクロン掃除機において、排気筒の下部には、ダストカップ内を上側のサイクロン集塵室と下側の集塵集積室とに仕切る遮蔽部材、及び集塵集積室内の位置を占める抑止弁から成る下部アッセンブリを着脱自在に取り付ることができる。下部アッセンブリを構成する遮蔽部材は、下側の集塵集積室に溜められる塵埃が上側のサイクロン集塵室に舞い上がるのを防止し、抑止弁も、例えば、断面十字形の固定羽根の構造を持ち、下側の集塵集積室内での塵埃を舞い上がらせる気流の発生を防止する。下部アッセンブリを排気筒を利用してその下部に取付けることで、ダストカップ内に配置することができる。また、排気筒の下部への取付けを着脱自在とすることで、排気筒及び下部アッセンブリを分解してそれぞれを清掃・洗浄することができ、利便性が向上する。
この発明によるサイクロン掃除機は、上記のようにサイクロン集塵機を掃除機本体に収容するタイプの掃除機であって、ハンドル体がポップアップされない状態では、ハンドル体は集塵機本体に収容された状態となり、掃除機の外観を向上させると共に集塵機本体周辺での省スペースを図ることができる。ハンドル体を集塵機本体からポップアップさせた状態では、ハンドル体を把持可能となり、サイクロン集塵機の取り扱い時の操作性が向上する。即ち、サイクロン集塵機を一体的に持ち上げるようにして掃除機本体から取り出すことができ、ハンドル体を把持したままの状態でサイクロン集塵機を持ち運ぶことができる。また、塵埃の処理や洗浄の後にサイクロン集塵機を掃除機本体に戻す場合も同様である。したがって、サイクロン集塵機の掃除機本体への収納状態ではすっきりした外観を維持し、サイクロン集塵機の掃除機本体からの取り出す際の操作、及び取り出した後の持ち運びをより簡単に且つ確実に行うことができる。
また、掃除機本体に着脱可能で且つ掃除機本体を覆うカバーを更に備えている場合には、掃除機本体への係脱を操作する操作部と、操作部の操作に連動してサイクロン集塵機の係合部を係合状態と解除状態との間で切り替える連動機構とを有することにより、カバーの掃除機本体からの係合離脱操作に連動して、連動機構が、係合部によるハンドル体の集塵機本体に対する係合を解除させる。したがって、1タッチ動作で、カバーの掃除機本体からの係合離脱とハンドル体のポップアップとを実現することができ、サイクロン式掃除機の操作性を一層向上させることができる。更に、サイクロン集塵機にハンドル体のポップアップ動作に連動したフィルタ清掃機構を備えることで、ハンドル体の動作と連動して清掃手段(例えばブラシ)を排気筒の軸方向に移動させることで、ブラシとフィルタとを摺動させ、フィルタに付着した塵埃を掻き取る。これにより、ハンドル体のポップアップ時に、或いはカバーを備えるものではカバーの開動作時にフィルタを自動清掃することができ、サイクロン式掃除機の利便性を一層向上させることができる。
以下、添付した図面に基づいて、この発明によるサイクロン式掃除機の実施例を説明する。図1はこの発明によるサイクロン式掃除機の一実施例を示す外観図、図2は図1に示すサイクロン式掃除機のケースとカバーを取り外した状態で示す内部構造を示す斜視図、図3は図2のうちサイクロン集塵機を示す斜視図である。
図1に示すサイクロン式掃除機1は、掃除機本体2、接続ホース3、吸込ヘッド4を有している。掃除機本体2は、ケース5、車輪6及びケース5に収容されている掃除機本体2の上部主要部分を覆うカバー7を備えている。接続ホース3は、吸込ヘッド4から吸引された空気を掃除機本体2に供給するための供給路を構成している。接続ホース3には、吸込ヘッド4の位置や方向を操作すると共に、掃除機本体2に備わる掃除機の掻く機能を手動で制御するための操作・制御部8が設けられている。吸込ヘッド4は、後述する電動送風機の運転により、空気吸込口(図示しない)を介して塵埃を空気と共に吸引可能である。
図2及び図3に示すように、掃除機本体2は、電動送風機9、サイクロン集塵機10及び後部フィルタ60を有している。電動送風機9は、吸込ヘッド4から、接続ホース3及びサイクロン集塵機10を介して空気を吸引する。サイクロン集塵機10は、掃除機本体2に対して着脱可能に設けられており、後述するように、電動送風機9によって吸引された空気を旋回させ、上記空気に含まれる塵埃を遠心分離する集塵機である。
上記構成において、掃除機本体2に収容された電動送風機9が駆動されると、吸込ヘッド4の空気吸込口より空気が吸引され、接続ホース3を介してサイクロン集塵機10に送られる。サイクロン集塵機10では、空気中に含まれる塵埃が遠心分離され、ダストカップ12に集積される。一方、塵埃の除去された空気は、その後、サイクロン集塵機10の排気筒15及びフィルタ部16を介して、掃除機本体2に設けられた排出口(図示せず)より、機外に排出される。
次に、サイクロン集塵機10の詳細について、図2以下を参照して説明する。図4は、図2、図3に示すサイクロン集塵機の上面図、図5は図4に示すサイクロン集塵機のA−A断面図、図6は図4に示すサイクロン集塵機のB−B断面図、図7は図4に示すサイクロン集塵機のC−C断面図、図8は図4に示すサイクロン集塵機を下方から見た正面図である。
なお、以下での説明の便宜上、電気掃除機において接続ホース3(図2参照)が接続される側を前方と称し、これとは反対側を後方と称する。また、サイクロン集塵機10の掃除機本体2からの取り出し方向を上方と称し、サイクロン集塵機10の掃除機本体2への収容方向を下方と称する。
サイクロン集塵機10は、図2〜図8に示すように、集塵機本体11と、ダストカップ12(集塵容器)とを有している。すなわち、サイクロン集塵機10において、ダストカップ12を除く部分が集塵機本体11を構成している。
ダストカップ12は、吸引された空気の高速旋回によって遠心分離された塵埃を集積するための略円筒形の容器であり、特に、図5及び図6に示すように、上部に形成される開口部には集塵機本体11が着脱可能に連結されている。また、ダストカップ12の側面上方には、吸込ヘッド4から接続ホース3を通して供給される空気を集塵機内に導入するための空気導入口12aが形成されている。ダストカップ12の内部上方は、内部で、空気導入口12aを通じて導入された空気が高速旋回される環状のサイクロン集塵室12bを形成している。
集塵機本体11は、蓋体13と、蓋底板14と、排気筒15と、フィルタ部16と、清掃具17と、連結手段18とを備えている。本発明は、特に、蓋体13はハンドル体30を備えている点に第1の特徴があり、また、カバー7の係脱のための操作部40とハンドル体30の係合との係合解除を連動させた点に第2の特徴があり、更に、集塵機本体11が、フィルタ部16のための清掃具17と連結手段18とを備えた点に第3の特徴がある。以下、これらの特徴を中心にしてその構成について説明する。
蓋体13は、ダストカップ12の上蓋であり、特に図3に示すように、天面19と、側面部20とで構成され、ダストカップ12との接合側が蓋底板14に結合されている。天面19は、カバー7の内面との間に形成されるスペースを可能な限り少なくなるような滑らかな曲面で形成されており、サイクロン式掃除機1の小型化に寄与している。天面19には、サイクロン集塵機10を掴むことができるようなハンドル体30がポップアップ可能に設けられているが、これについては、詳細を後述する。前方の空気導入口12aに流入され、サイクロン集塵機10で塵埃を遠心分離され、排気筒15を上昇した空気は、蓋体13の後方に形成されている空気排出口21から、更に後方に排出される。
集塵機本体11は、ダストカップ12への装着時に、蓋体13が側面部20においてダストカップ12の開口部に嵌合されて、開口部を塞ぐことができる。その嵌合状態では、集塵機本体11はダストカップ12に対して左右前後の方向には不動となり、側面部20に配置されたリング状のパッキン22が、ダストカップ12の開口部を密封可能であり、集塵した塵埃が外部に漏れ出ることを防止している。集塵機本体11のダストカップ12への装着を着脱可能にし、装着状態では嵌合状態を保持するために、ダストカップ12には、保持具23が設けられている(図3〜図5に最もよく示す)。保持具23は、軸24の回りに手の操作で回動可能なレバーであり、図示しないばねによる付勢力で、係止部分23aが側面部20の一部として側方に延びる被係止部分20aを押えることによって、集塵機本体11がダストカップ12から上方向へ離脱すること、及び集塵機本体11とダストカップ12のガタツキを防止している。保持具23に関連して、集塵機本体11のダストカップ12に対する回転を防止する回転止めを設けることができる。集塵した塵埃を捨てる場合やフィルタを洗う場合等には、ばねの付勢力に抗して保持具23を回動させて係止部分23aを被係止部分20aから離すことにより、集塵機本体11とダストカップ12とを分離することができる。
蓋底板14の略中央部には、排気筒15の径に対応した開口部が形成されており、排気筒15は、その開口部が蓋底板14の開口部と一致するように、蓋底板14に固定されている。排気筒15は、サイクロン集塵室12bにて塵埃を遠心分離した後の空気を排出するための複数の排気口が周面に開口された円筒であり、その周面には、上記排気口を覆うようにフィルタ15a(第1のフィルタ)が被覆されている。フィルタ15aは、サイクロン集塵室12bでの遠心分離によってもなお除去されなかった細かな塵埃を除去するものであり、例えばメッシュ状に形成されている。
排気筒15の軸方向における一端(上端)は、上述したように蓋底板14の開口部に連結されている。したがって、排気筒15は、蓋底板14を介して蓋体13と一体化される。一方、排気筒15の軸方向の他端(下端)は、サイクロン集塵室12bとその下方の塵埃集積室12cとを区切る遮蔽部材26を介して上記軸方向から見た形状が十字形の抑止弁25に連結されている。遮蔽部材26は、下側の集塵集積室に溜められる塵埃が上側のサイクロン集塵室に舞い上がるのを防止する。抑止弁25は、例えば、断面十字形の固定羽根の構造を持ち、サイクロン集塵室12bにおける空気の高速旋回によって、ダストカップ12内の塵埃が舞い上がるのを抑止するためのものである。抑止弁25と遮蔽部材26とは、この例では一体化された下部アッセンブリ28とされているが、別個に製作したものを結合させてもよい。排気筒15を利用してその下部に下部アッセンブリ28を取付けることで、ダストカップ12内に下部アッセンブリ28を配置することができる。また、下部アッセンブリ28は、排気筒15の下部に対してバヨネット、又はねじ等の固着手段29によって着脱自在に取り付けることで、排気筒15及び下部アッセンブリを分解してそれぞれを清掃・洗浄することができ、利便性が向上する。
以上の構成により、サイクロン集塵機10の空気導入口12aからサイクロン集塵室12bに導入された空気は、サイクロン集塵室12bにて高速旋回され、排気筒15の周面のフィルタ15aおよび排気口を介して排気筒15内に進入する。このとき、サイクロン集塵室12bにて空気から除去されなかった塵埃のほとんどは、フィルタ15aにて除去される。フィルタ15aおよび排気口を通過した空気は、排気筒15の内部を軸方向蓋体13側に進行し、蓋底板14の開口部を介して蓋体13内の通路を経て空気排出口21から後続の後部フィルタ60に供給される。そして、上記空気は後部フィルタ60にてさらに清浄化され(フィルタ15aにて除去されなかった塵埃が除去され)、後部フィルタ60の図示しない排気口からサイクロン集塵機10の外部に排出され、掃除機本体1内の図示しない排気路及び電動送風機9を通じて掃除機本体2の外部に排出される。
集塵機本体11には、蓋体13から天面19の上方にポップアップ動作で飛び出すハンドル体30が設けられている。ハンドル体30は、蓋体13において、中心を通って前後方向に延びる掴み部31とその両端において一体的に下方向に延びる異形の軸部32,33を有している。ハンドル体30は、図3に示すように、集塵機本体11に収容された状態では両端を除いて殆ど蓋体13にハンドル体30の形状に合わせて形成された収容凹部27内に沈んだ状態にある。ハンドル体30は、ポップアップ状態では、図2に示すように(掴み部31は省略されている)、軸部32,33が蓋体13が飛び出した状態となる。ハンドル体30は、軸部32,33が集塵機本体11の蓋底板14から延びるガイド部分34a,34bに摺動案内されることによって、集塵機本体11に対してバランス良く上下方向に案内される。
ハンドル体30を蓋体13からポップアップ方向に付勢するため、軸部32,33内には、蓋体13と一体の蓋底板14との間に弾性体としてのコイルばね35,35が圧縮状態で介装されている。ハンドル体30をコイルばね35,35の付勢力に抗して蓋体13内での収納状態を維持するため、係合部としてのハンドルクランプ36が掴み部31においてその長手方向の中間位置に設けられている。両側に設けられるコイルばね35,35と、中間位置に設けられるハンドルクランプ36とによって、ハンドル体30の安定した動作が確保される。ハンドルクランプ36は、図6に最もよく示すように、掴み部31に対して回動可能に設けられている爪部材37と、蓋底板14のガイド部分34a,34bから延びるブリッジ部分34cに一対に形成されている係合部分38とから成っている。爪部材37は図示しないばねによって反時計方向に回動付勢されており、更に押え板39との係合によって盲動を防止し、常に、係合部分38と係合状態を維持可能とすることが好ましい。押え板39の保持力に抗して爪部材37が係合部分38から係合離脱することで、ハンドルクランプ36がクランプ状態を解除されると、圧縮状態にあるコイルばね35,35の復元力によってハンドル体30がポップアップされる。ハンドル体30のポップアップ量は、後述する清掃具17のストロークによって制限される。
ハンドルクランプ36のクランプ状態を解除する操作は、カバー7を掃除機本体2から取り外す際の操作に連動させることによって得られる。即ち、図1に示すように、カバー7には、開閉用の操作部40が設けられており、操作部40の操作によってハンドルクランプ36の係脱操作を行うために、操作部40からハンドルクランプ36の近傍まで延びる連動機構41が、カバー7の内面に沿って設けられている。操作部40としては、押すことで係止を解除させてカバー7を開くことができる押圧ボタンとすることができる。また、連動機構41としては、カバー7の内面に案内されて延びており、操作部40での操作運動を伝達して爪部材37の回動運動に変換するロッドやリンク等の適宜の構造を採用することができる。したがって、操作部40を操作するときに、連動機構41を介して爪部材37を時計方向に回動させることでハンドルクランプ36の係合離脱が行われるので、操作部40における1タッチの操作でカバー7を掃除機本体2から開くとともにハンドル体30を蓋体13から自動的にポップアップさせることができる。ユーザは、飛び出したハンドル体30を容易に掴むことができるので、サイクロン式掃除機1において、集塵機本体11とダストカップ12とを持ち上げて、取り出し・装着という着脱操作における操作性を向上することができる。
次に、清掃具17および連結手段18について説明する。清掃具17は、排気筒15の周面のフィルタ15aと摺動することによってフィルタ15aを清掃するものであり、フィルタ15aの周面に沿ってフィルタ15aと摺動するブラシからなるクリーニングリング50と、そのブラシを支持する平板環状のリングホルダ51とを備えている。清掃具17は、ハンドル体0を蓋体13内での収容状態では、クリーニングリング50が遮蔽部材26と接触する最下位置に配されている。
連結手段18は、リングホルダ51をハンドル体30に連結する複数本のシャフト52を備えており、ハンドル体30の蓋体13からのポップアップ動作と連動して、清掃具17をフィルタ15aに対して摺動させる。排気筒15の外周面を可及的に滑らかな筒面として塵埃が蓄積する不要な凹凸部の形成を回避するため、シャフト52は、排気筒15の外周に形成された凹溝内に収容されて、ハンドル体30のポップアップ動作に連動して凹溝内を摺動可能とされている。シャフト52は、蓋底板14を貫通しているので、蓋底板14の貫通孔14aにはシャフトシール53が設けられていて、サイクロン集塵室12bと蓋底板14との間を封じている。
上記構成によれば、ハンドル体30は、連結手段18を構成するシャフト52を介してクリーニングリング50と一体的に上下動する。したがって、ハンドル体30がポップアップ動作をする毎に、シャフト52を介してクリーニングリング50が上動して、排気筒15のフィルタ15aのフィルタ面側を摺動する。その結果、フィルタ15aに集塵された細かい塵埃は、クリーニングリング50によって掻き取られ、サイクロン集塵室12b内に落とされる。
次に、上記構成によるサイクロン式掃除機1の動作について説明する。サイクロン集塵機10を掃除機本体2に収容し、サイクロン集塵機10のハンドル体30を押し下げて、ハンドルクランプ36を係合させた状態では、コイルばね35,35は圧縮された状態で保持され、集塵機本体11とダストカップ12とは保持具23によって固定することができる。この状態ではカバー7を掃除機本体2に閉じることができ、操作部40によってカバー7は閉じた状態が維持される。
この状態から、カバー7において操作部40の押圧ボタンを押圧すると、図1に示すように、連動機構41を介してハンドルクランプ36が操作されて、ハンドルクランプ36による係合が解除される。ハンドル体30は、コイルばね35,35の復元力によって蓋体13内に収容されていた初期位置から上方にポップアップする。このとき、開いたカバー7は、ポップアップするハンドル体30によって、更に開かれて、その後のユーザによるゴミ捨ての操作性を向上させることができる。同時に、静止した排気筒15に対して清掃具17が相対的に上方に移動する。これにより、排気筒15に被覆されたフィルタ15aは、清掃具17のクリーニングリング50と相対的に摺動することになり、フィルタ15aに付着した塵埃がクリーニングリング50によって掻き取られる。なお、ハンドル体30のポップアップ移動は、クリーニングリング50が蓋底板14に当接するまで行って、フィルタ15aを全範囲に渡って摺動させることが好ましい。
サイクロン集塵機10のダストカップ12に溜まった塵埃をゴミ箱に捨てる場合には、上記ポップアップしたハンドル体30を掴んで、集塵機本体11とダストカップ12とを一体的にして、掃除機本体2から完全に取り出し、保持具23の係止を解除してダストカップ12を集塵機本体11から外すことで、ダストカップ12内部の塵埃を捨てることができる。
次に、取り出したサイクロン集塵機10を再度、掃除機本体2に収容する場合には、上記操作を逆に行うことにより達成することができる。即ち、ハンドル体30がポップアップした状態のままで集塵機本体11とダストカップ12とを嵌合させ、保持具23で係止させて一体化させる。ハンドル体30を掴んでサイクロン集塵機10を掃除機本体2に収容する。その後、ハンドル体30を蓋体13内に押し込んで、ハンドルクランプ36を再係合させる。最後に、カバー7を掃除機本体2に対して閉じることで、一連の動作を終了する。清掃具17も、排気筒15も対して相対的に下方に移動することになり、排気筒15に被覆されたフィルタ15aが、清掃具17のブラシと相対的に摺動する。したがって、たとえ、サイクロン集塵機10の掃除機本体2からの取り出し時に、掻き取られずにフィルタ15aに塵埃が残っている場合であっても、サイクロン集塵機10の掃除機本体2への収容時に、ハンドル体30を押し込むときにフィルタ15aに残っている塵埃をクリーニングリング50によって掻き落とすことができる。
以上のように、本実施形態では、サイクロン集塵機10において、ハンドル体30のポップアップ動作と連動して、連結手段18を介して、排気筒15に被覆されたフィルタ15aと清掃具17とを摺動させる。これにより、サイクロン集塵機10において、ハンドル体30のポップアップ動作に応答して、フィルタ15aが清掃具17により自動清掃されるので、サイクロン集塵機10を掃除機本体2に収容するタイプの電気掃除機における利便性を向上させることができる。
また、清掃具17によるフィルタ15aの清掃は、サイクロン集塵機10においてハンドル体30のポップアップ動作時に行われ、このときには、サイクロン集塵機10は、集塵機本体11とダストカップ12とが分離されず、一体となったままであるので、この動作時において、清掃具17によってフィルタ15aから掻き落とされた塵埃が、サイクロン集塵機10の外部に漏洩することはない。
しかも、フィルタ15aの清掃を、サイクロン集塵機10においてハンドル体30のポップアップ動作時とすることにより、清掃によってフィルタ15aから掻き取られた塵埃をダストカップ12に集積させる時間をかせぐことができる。これにより、ダストカップ12を集塵機本体11から取り外すときには、上記塵埃のダストカップ12への集積がほとんど済んでいるため、フィルタ15aから掻き落とされた塵埃が、集塵機本体11とダストカップ12との間の隙間から外部に飛び散るということがほとんどなく、衛生面に優れたサイクロン式掃除機1を提供することができる。
また、本実施形態では、掃除機本体2に対して上部を開閉するカバー7を備えており、カバー7の開閉操作と連動する連動機構41を介してハンドル体30のポップアップ動作を行うので、カバー7の開操作に応じて連動機構41を介してハンドル体30をポップアップさせることになり、カバー7を開く時に、排気筒1に設けられているフィルタ15aを確実に清掃することができる。また、ハンドル体30をサイクロン集塵機10に押し込むときにも、清掃具17を排気筒15に対して相対的に上記とは逆方向に移動させる。したがって、上記構成によれば、サイクロン集塵機105の掃除機本体2への収容時においても、フィルタ15aを確実に清掃することができる。
図9には、この発明によるサイクロン式掃除機の別の実施例についてサイクロン集塵機とカバーの部分が、部分断面図として示されている。この例では、ユーザがカバー7それ自体を押すことによって、そのときに生じるカバー自体を利用して、ハンドルクランプ36を解除操作することができる。即ち、カバー7には、ハンドルクランプ36に対応して作用部55が設けられており、作用部55は、カバー7の通常状態では、ハンドルクランプ36の爪部材37に当接する位置を占めている。この例では、カバー7自体と作用部55が、連動機構として機能している。カバー7を、例えば、図9で右側端を操作部として押すなどすることにより変位させると、カバー7の変位によって作用部55がその先端部分56でハンドルクランプ36の爪部材37を押し、爪部材37の回動によってハンドル体30の係合部分38との係合が解除される。