JP4260331B2 - 光学補償シートおよび偏光板 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シート、およびそれを用いた偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子および光学補償シート(位相差板)からなる。透過型液晶表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光素子の順に配置する。
液晶セルは、棒状液晶性分子層、それを封入するための二枚の基板、棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層、および棒状液晶性分子の配向を制御する配向膜層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence )、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest-Host)のような様々な表示モードが提案されている。
【0003】
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフイルムが従来から使用されていた。
延伸複屈折フイルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフイルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
【0004】
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。液晶性分子としては、一般に、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が用いられている。
液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号および国際特許出願WO96/37804号の各明細書に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
棒状液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートでは、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向が、光学補償シートの遅相軸に相当する。棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向は、一般に配向膜のラビング方向に相当する。光学補償シートは実際の生産においてはロール状であって、ラビング処理はロール状光学補償シートの長手方向に実施することが最も容易である。従って、棒状液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートでは、長手方向に遅相軸を有する態様が最も容易に生産できる。
偏光膜の透過軸は、偏光膜を構成するポリマーフイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。偏光素子も実際の生産においてはロール状であって、延伸処理はロール状偏光膜の長手方向に実施することが最も容易である。従って、長手方向に垂直な方向(幅方向)に透過軸を有する偏光素子が最も容易に生産できる。
【0006】
以上の関係から、ロール状光学補償シートとロール状偏光素子とを積層する場合、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とを実質的に垂直になるように配置することが最も生産が容易である。しかし、液晶セルの表示モードによっては、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とを実質的に平行になるように配置することが好ましい場合がある。
本発明の目的は、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とが実質的に平行になるように容易に配置できる光学補償シートを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記(1)〜(7)の光学補償シートおよび下記(8)〜(9)の偏光板により達成された。
(1)透明支持体および棒状液晶性分子から形成された光学異方性層を有するロール状の光学補償シートであって、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と光学補償シートの長手方向とが実質的に直交していることを特徴とする光学補償シート。
(2)棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5゜未満の状態で棒状液晶性分子が配向している(1)に記載の光学補償シート。
(3)透明支持体と光学異方性層との間に配向膜が設けられており、配向膜のラビング方向が光学補償シートの長手方向と実質的に平行である(1)に記載の光学補償シート。
(4)透明支持体と光学異方性層との間に配向膜が設けられており、光照射により配向膜の配向機能が生じた(1)に記載の光学補償シート。
(5)照射する光が直線偏光である(4)に記載の光学補償シート。
(6)棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向が、照射した直線偏光の偏光方向と垂直である(5)に記載の光学補償シート。
(7)棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向が、照射した直線偏光の偏光方向と平行である(5)に記載の光学補償シート。
【0008】
(8)棒状液晶性分子から形成された光学異方性層、透明支持体、偏光膜および透明保護膜を、この順序で有するロール状の偏光板であって、棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5゜未満の状態で棒状液晶性分子が配向しており、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と偏光板の長手方向とが実質的に直交しており、そして偏光膜の透過軸と棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向とが実質的に平行であることを特徴とする偏光板。
(9)透明支持体、棒状液晶性分子から形成された光学異方性層、偏光膜および透明保護膜を、この順序で有するロール状の偏光板であって、棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5゜未満の状態で棒状液晶性分子が配向しており、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と偏光板の長手方向とが実質的に直交しており、そして偏光膜の透過軸と棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向とが実質的に平行であることを特徴とする偏光板。
なお、本明細書において、実質的に平行あるいは実質的に直交とは、厳密な平行あるいは厳密な直交との角度の差が5゜未満であることを意味する。角度の差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましく、2゜未満であることがさらに好ましく、1゜未満であることが最も好ましい。
【0009】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向とロール状光学補償シートの長手方向とを実質的に直交させることで、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とが実質的に平行となる配置状態を容易に実現できることが判明した。
棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向とロール状光学補償シートの長手方向とは、配向膜を改良することによって、実質的に直交させることができる。これにより、長手方向に垂直な方向(幅方向)に遅相軸を有するロール状光学補償シートを、容易に生産することが可能になった。
一方、前述したように、長手方向に垂直な方向(幅方向)に透過軸を有するロール状偏光素子が最も容易に生産できる。従って、本発明に従うロール状光学補償シートとロール状偏光素子とを、ロール状態のまま貼り合わせることで、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とが実質的に平行である偏光板を生産することができる。
以上のように、本発明の光学補償シートを用いることで、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とが実質的に平行になるように容易に配置することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
図1の(a)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体(3a)、光学異方性層(4a)、液晶セルの下基板(5a)、棒状液晶性分子層(6)、液晶セルの上基板(5b)、光学異方性層(4b)、透明支持体(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1b)からなる。
透明支持体および光学異方性層(3a〜4aおよび4b〜3b)が光学補償シートを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層(1a〜4aおよび4b〜1b)が偏光板を構成する。
図1の(b)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体(3a)、光学異方性層(4a)、液晶セルの下基板(5a)、棒状液晶性分子層(6)、液晶セルの上基板(5b)、透明保護膜(1b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1c)からなる。
透明支持体および光学異方性層(3a〜4a)が光学補償シートを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層(1a〜4a)が偏光板を構成する。
【0011】
図1の(c)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明保護膜(1b)、液晶セルの下基板(5a)、棒状液晶性分子層(6)、液晶セルの上基板(5b)、光学異方性層(4b)、透明支持体(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1c)からなる。
透明支持体および光学異方性層(4b〜3b)が光学補償シートを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層(4b〜1c)が偏光板を構成する。
図2は、反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
図2に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、液晶セルの下基板(5a)、反射板(RP)、棒状液晶性分子層(6)、液晶セルの上基板(5b)、光学異方性層(4)、透明支持体(3)、偏光膜(2)、そして透明保護膜(1)からなる。
透明支持体および光学異方性層(4〜3)が光学補償シートを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層(4〜1)が偏光板を構成する。
【0012】
図3は、ロール状偏光素子とロール状光学補償シートとの貼り合わせ工程を示す模式図である。
図3に示すように、ロール状偏光素子は、透明保護膜(1)および偏光膜(2)からなる。ロール状光学補償シートは、透明支持体(3)および光学異方性層(4)からなる。
偏光膜(2)の透過軸(TA)は、ロール状偏光素子の長手方向(LD)と実質的に直交している。光学異方性層(4)の棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向、すなわち遅相軸(SA)は、ロール状光学補償シートの長手方向(LD)と実質的に直交している。そのため、図3に示すように、ロール状偏光素子とロール状光学補償シートとをそのまま貼り合わせるだけで、偏光膜(2)の透過軸(TA)と光学異方性層(4)の遅相軸(SA)とが実質的に平行になるように配置することができる。
なお、図1〜図3において、透明支持体(3)と光学異方性層(4)との順序を逆に配置してもよい。
【0013】
[光学異方性層]
光学異方性層は、棒状液晶性分子から形成する。棒状液晶性分子は、棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5゜未満の状態で配向させることが好ましい。
光学異方性層を設けることにより、光学補償シート全体のレターデーションを調整することが好ましい。光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)は、20乃至200nmであることが好ましく、20乃至100nmであることがさらに好ましく、20乃至70nmであることが最も好ましい。光学補償シート全体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、70乃至500nmであることが好ましく、70至400mであることがより好ましく、70乃至300nmであることがさらに好ましい。光学補償シートの面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、光学補償シートの面内屈折率であり、nzは光学補償シートの厚み方向の屈折率であり、そしてdは光学補償シートの厚さである。
光学異方性層と、光学的一軸性または光学的二軸性を有する透明支持体とを組み合わせることで、光学補償シート全体のレターデーションを調整することもできる。光学的一軸性または光学的二軸性を有する透明支持体については、後述する。
【0014】
光学異方性層に用いる棒状液晶性分子は、配向している状態で固定されていることが好ましい。ポリマーバインダーを用いて配向状態を固定することもできるが、重合反応により固定することが好ましい。
液晶セルの表示モードによっては、棒状液晶性分子がコレステリック配向していてもよい。棒状液晶性分子がコレステリック配向する場合、選択反射域は可視領域外であることが好ましい。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994年)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001乃至0.7であることが好ましい。
棒状液晶性分子は、重合性基を有することが好ましい。重合性基(Q)の例を以下に示す。
【0015】
【化1】
【0016】
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。
棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。
以下に、棒状液晶性分子の例を示す。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
光学異方性層は、棒状液晶性分子あるいは下記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン化合物、カイラル剤)を含む液晶組成物(塗布液)を、配向膜の上に塗布することで形成する。
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
液晶組成物の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0031】
棒状液晶性分子の重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。
棒状液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmであることが好ましく、0.2乃至15μmであることがさらに好ましく、0.3乃至10μmであることが最も好ましい。
【0032】
[透明支持体]
光学補償シートの透明支持体として、ガラス板またはポリマーフイルム、好ましくはポリマーフイルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。
透明支持体として、一般には、光学等方性のポリマーフイルムが用いられている。光学等方性とは、具体的には、面内レターデーション(Re)が10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがさらに好ましい。また、光学等方性透明支持体では、厚み方向のレターデーション(Rth)も、10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがさらに好ましい。透明支持体の面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であり、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明支持体の厚さである。
【0033】
液晶表示モードの種類によっては、透明支持体として光学異方性のポリマーフイルムが用いられる場合もある。すなわち、光学異方性層の光学異方性に透明支持体の光学異方性も加えて、液晶セルの光学異方性に対応する(光学的に補償する)場合もある。そのような場合、透明支持体は、光学的一軸性または光学的二軸性を有することが好ましい。光学的一軸性支持体の場合、光学的に正(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも大)であっても負(光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも小)であってもよい。光学的二軸性支持体の場合、前記式の屈折率nx、nyおよびnzは、全て異なる値(nx≠ny≠nz)になる。
光学異方性透明支持体の面内レターデーション(Re)は、0乃至300nmであることが好ましく、0乃至200nmであることがさらに好ましく、0乃至100nmであることが最も好ましい。光学異方性透明支持体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、10乃至1000nmであることが好ましく、50乃至400nmであることがより好ましく、100乃至300nmであることがさらに好ましい。
【0034】
透明支持体を形成する材料は、光学等方性支持体とするか、光学異方性支持体とするかに応じて決定する。光学等方性支持体の場合は、一般にガラスまたはセルロースエステルが用いられる。光学異方性支持体の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用いられる。ただし、欧州特許0911656A2号明細書に記載されている(1)レターデーション上昇剤(複屈折率上昇剤)の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、あるいは(3)冷却溶解法によるフイルムの製造により、光学異方性の(レターデーションが高い)セルロースエステルフイルムを製造することもできる。
ポリマーフイルムからなる透明支持体は、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
【0035】
光学異方性透明支持体を得るためには、ポリマーフイルムに延伸処理を実施することが好ましい。
光学的一軸性支持体を製造する場合は、通常の一軸延伸処理または二軸延伸処理を実施すればよい。
光学的二軸性支持体を製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフイルムをある方向に一定倍率(例えば3乃至100%、好ましくは5乃至30%)延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率(例えば6乃至200%、好ましくは10乃至90%)延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。
延伸方向(アンバランス二軸延伸では延伸倍率の高い方向)と延伸後のフイルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になることが好ましい。延伸方向と遅相軸との角度は、10゜未満であることが好ましく、5゜未満であることがさらに好ましく、3゜未満であることが最も好ましい。
なお、光学的一軸性または光学的二軸性を有する透明支持体を用いる場合、光学異方性層の棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向が、透明支持体の面内の遅相軸と、実質的に平行または直交しているように配置することが好ましい。
【0036】
透明支持体の厚さは、10乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体とその上に設けられる層(密着層、配向膜あるいは光学異方性層)との密着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。
透明支持体に紫外線吸収剤を添加してもよい。
透明支持体の上に、密着層(下塗り層)を設けてもよい。密着層については、特開平7−333433号公報に記載がある。密着層の厚さは、0.1乃至2μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであることがさらに好ましい。
【0037】
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
ポリマーのラビング処理により形成する配向膜または光照射により配向機能が生じる配向膜を用いることが特に好ましい。
ポリマーのラビング処理により形成する配向膜としては、ラビング方向に垂直な方向に棒状液晶性分子の長軸方向を配向させる機能を有する配向膜を用いることが好ましい。そのような機能を有する配向膜を用いると、光学補償シートの長手方向と実質的に平行にラビング処理を実施する(最も実施が容易な方向にラビング処理を実施する)ことで、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向(遅相軸)と光学補償シートの長手方向とを実質的に直交させることができる。上記の機能を有する配向膜については、特開平11−212097号公報に記載がある。
ポリマーとしては、ポリイミドが好ましい。ポリイミドは、ジアミンとテトラカルボン酸との縮合反応により得られる。ジアミンとして、4,4−(9−フルオレニリデン)ジアニリンを用いることが特に好ましい。
ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
【0038】
光照射により配向機能が生じる配向膜は、フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを用いて形成する。光としては、直線偏光を照射することが好ましい。光照射により配向機能が生じる配向膜は、光の照射方向または直線偏光の偏光方向によって、棒状液晶性分子の配向方向を制御することができる。光照射により配向機能が生じる配向膜を用いて配向方向を制御することで、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向(遅相軸)と光学補償シートの長手方向とを実質的に直交させることができる。
フォトクロミック化合物は、光の作用で化学構造に変化が生じ、それにより光に対する挙動(例えば色調)も変化する化合物である。一般に、それらの変化は可逆的である。
液晶セルについて従来提案されたフォトクロミック化合物には、アゾベンゼン化合物(K. Ichimura et al., Langmuir, vol. 4, page 1214 (1988);K. Aoki et al., Langmuir, vol. 8, page 1007 (1992);Y. Suzuki et al., Langmuir, vol. 8, page 2601 (1992);K. Ichimura et al., Appl. Phys. Lett., vol. 63, No. 4, page 449 (1993);N. Ishizuki, Langmuir, vol. 9, page 3298 (1993) ;N. Ishizuki, Langmuir, vol. 9, page 857 (1993))、ヒドラゾノ−β−ケトエステル化合物(S. Yamamura et al., Liquid Crystals, vol. 13, No. 2, page 189 (1993))、スチルベン化合物(市村國宏他、高分子論文集、第47巻、10号、771頁(1990))およびスピロピラン化合物(K. Ichimura et al., Chemistry Letters, page 1063 (1992) ;K. Ichimura et al., Thin Solid Films, vol. 235, page 101 (1993) )が含まれる。
【0039】
C=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構造を含むフォトクロミック化合物が、特に好ましい。二重結合構造を有するフォトクロミック化合物は、下記(1)および(2)の必須要素と、下記(3)〜(5)の任意要素からなる。
(1)C=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構造
(2)上記(1)の結合の両側に(直結しなくてもよく)存在する環状構造
(3)任意の(1)と(2)との間の連結基
(4)任意の(1)の炭素原子の置換基
(5)任意の(2)の環状構造の置換基
上記(1)の二重結合構造は、シス型よりもトランス型が好ましい。二重結合構造は、分子内に二つ以上存在していてもよい。複数の二重結合構造は、共役の関係にあることが好ましい。
上記(2)の環状構造の例には、ベンゼン環、ナフタレン環および含窒素複素環(例、ピリジニウム環、ベンゾピリジニウム環)が含まれる。含窒素複素環の場合、環を構成する(窒素原子ではなく)炭素原子が(1)の二重結合構造の炭素原子または窒素原子と結合することが好ましい。ベンゼン環が特に好ましい。
【0040】
上記(3)の連結基の例には、−NH−および−CO−が含まれる。ただし、(3)の連結基がなく、(1)と(2)とが直結していることが好ましい。
上記(4)の置換基の例には、アリール基(例、フェニル)およびシアノが含まれる。ただし、(4)の置換基がなく、二重結合構造に含まれる炭素原子が、(2)との結合以外は無置換(−CH=CH−または−CH=N−)であることが好ましい。
上記(5)の置換基の例には、アルコキシ基(例、メトキシ、ヘキシルオキシ)、シアノ、アルキル基(例、ブチル、ヘキシル)およびアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ)を挙げることができる。(2)の環状構造がベンゼン環の場合、パラ位に置換基が結合することが好ましい。なお、後述するように、フォトクロミック化合物をポリマーに化学的結合させて使用する場合は、ポリマーに化学的結合させるための官能基を、(5)の置換基としてフォトクロミック化合物に導入する。
【0041】
配向膜の形成において、フォトクロミック化合物は、何らかの手段を用いて支持体表面に対して固定して使用する必要がある。フォトクロミック化合物の固定手段としては、(a)ポリマーとフォトクロミック化合物の混合物塗布による固定、(b)フォトクロミック化合物のポリマーへの化学的結合、(c)フォトクロミック化合物の支持体表面への吸着および(d)フォトクロミック化合物の支持体表面への化学的結合がある。
液晶セルでは、(c)または(d)の手段を用いて、液晶セルの基板である石英ガラス表面に、フォトクロミック化合物を吸着または結合させる手段が普通に用いられていた。しかし、光学補償シートでは、液晶表示装置の軽量化のため、ガラス板よりもプラスチックフイルムを支持体として用いることが好ましい。そのため、光学補償シートでは、(a)または(b)の手段を用いることが好ましい。フォトクロミック化合物を安定に固定するため、(b)の手段を用いることが特に好ましい。
【0042】
(a)または(b)の手段に使用するポリマーは、親水性ポリマー(例、ゼラチン、ポリビニルアルコール)であることが好ましい。ポリビニルアルコールが特に好ましく用いられる。
(b)の手段における、フォトクロミック化合物とポリマーとの反応は、ポリマーの種類(特に官能基の種類)に応じて決定する。ポリビニルアルコールのような水酸基を有するポリマーの場合は、酸ハライドと水酸基との反応を利用して、フォトクロミック化合物をポリマーと結合させることができる。具体的には、ハロゲン化アシル基(−COX、Xはハロゲン)を、フォトクロミック化合物に置換基として導入し、ハロゲン化アシル基とポリマーの水酸基との反応(Ph−COX+HO−Pl→Ph−CO−O−Pl+HX、Phはフォトクロミック化合物、Plはポリマーの主鎖)により化学的に結合させる。
【0043】
感光性ポリマーは、光異性化ポリマー、光二量化ポリマーおよび光分解ポリマーに分類できる。光異性化ポリマーとしては、上記のようにフォトクロミック化合物を結合させたポリマーが代表的(実質的には同義)である。光二量化ポリマーの例には、ポリビニルシンナメートが含まれる。光分解ポリマーの例には、ポリイミドが含まれる。光分解型ポリイミドについては、特開平5−34699号、同6−289399号、同8−122792号の各公報および第22回液晶討論会講演予稿集、1672頁A17(1996)に記載がある。
フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜は、適当な溶媒を用いた溶液または分散液の塗布により、透明支持体上に形成することができる。なお、配向膜の構成成分は、液晶としての性質を示さないことが好ましい。
以上のようにフォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜を形成してから、光照射により膜に配向機能を付与する。照射する光は、直線偏光であることが特に好ましい。露光量は、100乃至6000mJ/cm2 であることが好ましく、300乃至5000mJ/cm2 であることがさらに好ましい。短時間で膜に配向機能を付与するためには、加熱しながら光を照射することが好ましい。加熱温度は、40乃至250℃であることが好ましい。
【0044】
配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて、光学異方性層の棒状液晶性分子を配向させてから、光学異方性層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された棒状液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。
【0045】
[偏光膜]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光膜の透過軸は、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。
【0046】
[透明保護膜]
透明保護膜としては、透明なポリマーフイルムが用いられる。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。
透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフイルム、好ましくはトリアセチルセルロースフイルムが用いられる。セルロースエステルフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
透明保護膜の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
【0047】
[液晶表示装置]
本発明は、様々な表示モードの液晶セルに適用できる。前述したように、液晶性分子を用いた光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence )およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セルに対応するものが既に提案されている。
本発明の光学補償シートおよび偏光板は、光学補償シートの遅相軸と偏光膜の透過軸とを実質的に平行になるように配置することが好ましい液晶表示装置、例えば、TNモードやVAモードの液晶表示装置に用いることが好ましい。本発明は、VAモードの液晶表示装置において、特に効果がある。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
【0048】
【実施例】
[実施例1]
(透明支持体の作製)
セルローストリアセテートに下記の複屈折率上昇剤を3.5質量%添加し、厚さ100μmのロール状セルローストリアセテートフイルムを作製した。得られたセルローストリアセテートフイルムを、透明支持体として用いた。
【0049】
【化15】
【0050】
(配向膜の形成)
下記のポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
【0051】
【化16】
【0052】
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0053】
(光学補償シートの作製)
棒状液晶性分子(N26)100質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)1質量部、光重合増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.3質量部を、メチレンクロライド900質量部に溶解して塗布液を調製した。塗布液を、配向膜の上に、#2のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
波長550nmにおける光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)を、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)で測定した。結果は、第1表に示す。
【0054】
(偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状光学補償シートの透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。光学補償シートの遅相軸(棒状液晶性分子の長軸方向)と偏光膜の透過軸とは平行であった。
【0055】
(液晶表示装置の作製)
市販のMVA液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)から、観察者側およびバックライト側の偏光板と光学補償シートとを削除し、代わりに作製した偏光板を二枚貼り付けた。
作製したMVA液晶表示装置について、視野角を視野角測定装置(EZContrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、偏光膜の透過軸方向の視野角および透過軸方向から45゜の方向の視野角は、いずれも80゜を越える値であった。
【0056】
[実施例2]
(透明支持体の作製)
セルローストリアセテートに実施例1で用いた複屈折率上昇剤を7.8質量%添加し、厚さ100μmのロール状セルローストリアセテートフイルムを作製した。得られたセルローストリアセテートフイルムを、透明支持体として用いた。
【0057】
(配向膜の形成)
実施例1で用いたポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0058】
(光学補償シートの作製)
実施例1で用いた塗布液を、配向膜の上に、#3のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
波長550nmにおける光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)を、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)で測定した。結果は、第1表に示す。
【0059】
(偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状光学補償シートの透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。光学補償シートの遅相軸(棒状液晶性分子の長軸方向)と偏光膜の透過軸とは平行であった。
【0060】
(液晶表示装置の作製)
市販のMVA液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)から、観察者側およびバックライト側の偏光板と光学補償シートとを削除し、観察者側に作製した偏光板を一枚貼り付けた。バックライト側には、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)を一枚貼り付けた。
作製したMVA液晶表示装置について、視野角を視野角測定装置(EZContrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、偏光膜の透過軸方向の視野角および透過軸方向から45゜の方向の視野角は、いずれも80゜を越える値であった。
【0061】
[実施例3]
(透明支持体の作製)
セルローストリアセテートに実施例1で用いた複屈折率上昇剤を7.8質量%添加し、厚さ100μmのロール状セルローストリアセテートフイルムを作製した。得られたセルローストリアセテートフイルムを、透明支持体として用いた。
【0062】
(配向膜の形成)
実施例1で用いたポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施した。
【0063】
(光学補償シートの作製)
実施例1で用いた塗布液を、配向膜の上に、#8のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
波長550nmにおける光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)を、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)で測定した。結果は、第1表に示す。
【0064】
(偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状光学補償シートの光学異方性層を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。光学補償シートの遅相軸(棒状液晶性分子の長軸方向)と偏光膜の透過軸とは平行であった。
【0065】
(液晶表示装置の作製)
市販のMVA液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)から、観察者側およびバックライト側の偏光板と光学補償シートとを削除し、観察者側に作製した偏光板を一枚貼り付けた。バックライト側には、市販の偏光板(HLC2−5618HCS、(株)サンリッツ製)を一枚貼り付けた。
作製したMVA液晶表示装置について、視野角を視野角測定装置(EZContrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、偏光膜の透過軸方向の視野角および透過軸方向から45゜の方向の視野角は、いずれも80゜を越える値であった。
【0066】
[実施例4]
(偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面に実施例1で作製したロール状光学補償シートをケン化処理したシートの光学異方性層を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。光学補償シートの遅相軸(棒状液晶性分子の長軸方向)と偏光膜の透過軸とは平行であった。
【0067】
(液晶表示装置の作製)
市販のMVA液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)から、観察者側およびバックライト側の偏光板と光学補償シートとを削除し、代わりに作製した偏光板を二枚貼り付けた。
作製したMVA液晶表示装置について、視野角を視野角測定装置(EZContrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、偏光膜の透過軸方向の視野角は、いずれも80゜を越える値であった。また、透過軸方向から45゜の方向の視野角は、67゜であった。
【0068】
[実施例5]
(透明支持体の作製)
セルローストリアセテートに実施例1で用いた複屈折率上昇剤を3.5質量%添加し、厚さ100μmのロール状セルローストリアセテートフイルムを作製した。得られたセルローストリアセテートフイルムを、透明支持体として用いた。
【0069】
(配向膜の形成)
ポリビニルシンナメートのメチレンクロライド/クロロベンゼン溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、長手方向(搬送方向)に直線偏光を平行照射した。
【0070】
(光学補償シートの作製)
実施例1で用いた塗布液を、配向膜の上に、#2のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
波長550nmにおける光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)を、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)で測定した。結果は、第1表に示す。
【0071】
(偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状光学補償シートの透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。光学補償シートの遅相軸(棒状液晶性分子の長軸方向)と偏光膜の透過軸とは平行であった。
【0072】
(液晶表示装置の作製)
市販のMVA液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)から、観察者側およびバックライト側の偏光板と光学補償シートとを削除し、代わりに作製した偏光板を二枚貼り付けた。
作製したMVA液晶表示装置について、視野角を視野角測定装置(EZContrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、偏光膜の透過軸方向の視野角および透過軸方向から45゜の方向の視野角は、いずれも80゜を越える値であった。
【0073】
[実施例6]
(透明支持体の作製)
セルローストリアセテートに実施例1で用いた複屈折率上昇剤を3.5質量%添加し、厚さ100μmのロール状セルローストリアセテートフイルムを作製した。得られたセルローストリアセテートフイルムを、透明支持体として用いた。
【0074】
(配向膜の形成)
実施例1で用いたポリイミドのN−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ溶液を、#5のバーコーターを用いて、ロール状透明支持体を搬送しながらその上に連続的に塗布した。140℃で3分間加熱して、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。
配向膜を設けたロール状透明支持体を搬送しながら、幅方向(搬送方向に垂直な方向)に直線偏光を平行照射した。
【0075】
(光学補償シートの作製)
実施例1で用いた塗布液を、配向膜の上に、#2のバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を110℃で2分間加熱し、500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、その配向状態を固定した。このようにして光学異方性層を形成し、光学補償シートを作製した。棒状液晶性分子は、長軸方向が光学補償シートの長手方向と直交するように配向していた。
波長550nmにおける光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)を、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)で測定した。結果は、第1表に示す。
【0076】
(偏光板の作製)
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフイルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状光学補償シートの透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板を作製した。光学補償シートの遅相軸(棒状液晶性分子の長軸方向)と偏光膜の透過軸とは平行であった。
【0077】
(液晶表示装置の作製)
市販のMVA液晶表示装置(VL−1530S、富士通(株)製)から、観察者側およびバックライト側の偏光板と光学補償シートとを削除し、代わりに作製した偏光板を二枚貼り付けた。
作製したMVA液晶表示装置について、視野角を視野角測定装置(EZContrast160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、偏光膜の透過軸方向の視野角および透過軸方向から45゜の方向の視野角は、いずれも80゜を越える値であった。
【0078】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図2】反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
【図3】ロール状偏光素子とロール状光学補償シートとの貼り合わせ工程を示す模式図である。
【符号の説明】
BL バックライト
LD 長手方向
RP 反射板
SA 光学異方性層の遅相軸
TA 偏光膜の透過軸
1、1a、1b、1c 透明保護膜
2、2a、2b 偏光膜
3、3a、3b 透明支持体
4、4a、4b 光学異方性層
5a 液晶セルの下基板
5b 液晶セルの上基板
6 棒状液晶性分子層
Claims (10)
- 透明支持体および棒状液晶性分子から形成された光学異方性層を有するロール状の光学補償シートであって、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と光学補償シートの長手方向とが実質的に直交していることを特徴とする光学補償シート。
- 棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5°未満の状態で棒状液晶性分子が配向している請求項1に記載の光学補償シート。
- 透明支持体と光学異方性層との間に配向膜が設けられており、配向膜のラビング方向が光学補償シートの長手方向と実質的に平行である請求項1に記載の光学補償シート。
- 透明支持体と光学異方性層との間に配向膜が設けられており、光照射により配向膜の配向機能が生じた請求項1に記載の光学補償シート。
- 照射する光が直線偏光である請求項4に記載の光学補償シート。
- 棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向が、照射した直線偏光の偏光方向と垂直である請求項5に記載の光学補償シート。
- 棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向が、照射した直線偏光の偏光方向と平行である請求項5に記載の光学補償シート。
- ロール状の透明支持体上にポリイミド配向膜を塗布形成した後、フイルムの幅方向に直線偏光を平行照射し、その上に棒状液晶層を塗布形成したことを特徴とする請求項6に記載の光学補償シート。
- 棒状液晶性分子から形成された光学異方性層、透明支持体、偏光膜および透明保護膜を、この順序で有するロール状の偏光板であって、棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5°未満の状態で棒状液晶性分子が配向しており、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と偏光板の長手方向とが実質的に直交しており、そして偏光膜の透過軸と棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向とが実質的に平行であることを特徴とする偏光板。
- 透明支持体、棒状液晶性分子から形成された光学異方性層、偏光膜および透明保護膜を、この順序で有するロール状の偏光板であって、棒状液晶性分子の長軸方向と透明支持体面との間の平均傾斜角が5°未満の状態で棒状液晶性分子が配向しており、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と偏光板の長手方向とが実質的に直交しており、そして偏光膜の透過軸と棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向とが実質的に平行であることを特徴とする偏光板。
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