JP4133200B2 - 往復動エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復動エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
往復動エンジンにおいて、シリンダとピストンとの間での摺動摩擦抵抗を低減するため、シリンダの内面とこの内面に対面するピストンの側面との間に、燃焼室からの燃焼ガスを導き蓄えるガス室を形成し、このガス室の燃焼ガスのガス圧により、燃焼行程においてピストンに与えられるスラスト方向に向かう側圧力に抗して、ピストンをシリンダの内面から浮かせて、ピストンの往復動でのシリンダの内面とピストンの側面との間の摺動摩擦抵抗を低減する技術が提案されている。この提案された往復動エンジンの一つの例として、燃料及び空気の混合気が燃焼する燃焼室を規定するピストン上面に隣接して配置された第一のピストンリングとこの第一のピストンリングに隣接して配置された第二のピストンリングとの間の環状空間を、スラスト側の半環状の空間と反スラスト側の半環状の空間とに区画し、ピストンが上死点近傍に位置する際に、スラスト側の半環状の空間を燃焼室に連通させるガス通路をシリンダ側壁に形成してなるものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−26106号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般の往復動エンジンでは、クランクシャフトの回動軸心がシリンダボアの中心線に対して偏心されていないため、上記提案の技術をもってしても、燃焼行程においてピストンのシリンダに対する移動抵抗の低減を十分に満足し得る程度に得ることが困難である。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ピストンのシリンダに対する往復動抵抗の低減を更に効果的に得ることのできる往復動エンジンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の往復動エンジンは、クランクシャフトの回動中心をシリンダボアの中心線に対してスラスト側にオフセットした往復動エンジンであって、ピストンの往復動方向で互いに隣接して配されており、ピストンの側面に形成されている第一及び第二のリング溝に夫々嵌入された第一及び第二のピストンリングと、第一及び第二のピストンリング間の空間を、スラスト側の空間及び反スラスト側の空間に区画する区画手段と、スラスト側の空間を燃焼室に連通させる連通手段とを具備している。
【0007】
本発明の第一の態様の往復動エンジンによれば、オフセットによる効果とスラスト側の空間への燃焼ガスの導入による効果とで、ピストンのシリンダに対する往復動抵抗の低減を更に効果的に得ることができる。
【0008】
本発明の第二の態様の往復動エンジンでは、本発明の第一の態様の往復動エンジンにおいて、連通手段は、シリンダの内面に設けられた一個又は複数の連通路を具備しており、一個又は複数の連通路を介してスラスト側の空間を燃焼室に連通させるようになっている。
【0009】
連通路は上記のように一個でも複数個でもよいが、複数の場合には、複数の連通路を介してスラスト側の空間を燃焼室に連通させることで、燃焼室内の燃焼ガスをスラスト側の空間に、より速やかに且つ十分に導入させることができる。
【0010】
本発明の第三の態様の往復動エンジンでは、本発明の第一又は第二の態様の往復動エンジンにおいて、連通手段は、ピストンが上死点近傍に位置する際に、スラスト側の空間を燃焼室に連通させるようになっている。
【0011】
尚、本発明の第一から第三のいずれかの態様における往復動エンジンは、4サイクルエンジン若しくは2サイクルエンジン又はディーゼルエンジンであってもよく、いずれのエンジンでも本発明による効果を好適に発揮し得る。また本発明において、連通路は、貫通孔又は溝若しくは凹所等のいずれの形態であってもよい。
【0012】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1から図3において、本例の4サイクル往復動エンジン(4サイクルガソリンエンジン)1は、シリンダ2と、シリンダ2内を往復動するピストン3と、小端部でピストンピン4を介してピストン3に回動自在に連結しているコンロッド5と、コンロッド5の大端部20に回動自在に連結しているクランクシャフト21と、ピストン3の往復動方向で互いに隣接して配されており、ピストン3の側周面6に形成されている一対のリング溝に夫々嵌入されたピストンリング9及び10と、ピストンリング9及び10間の環状の空間を、スラスト側の半環状の空間12及び反スラスト側の半環状の空間13に区画する区画手段14と、空間12を燃料及び空気の混合気が燃焼される燃焼室15に連通させる連通手段16とを具備している。
【0014】
シリンダ2は、その内面17によって規定されたシリンダボア(空間)18を有しており、シリンダボア18には、ピストン3が往復動自在となるように配されている。シリンダ2には、吸気弁2a及び排気弁2bが設けられている。
【0015】
ピストン3は、本例では、その側周面6にオイルリング19を備えている。
【0016】
クランクシャフト21は、その回動中心Cがシリンダボア18の中心線Dに対してスラスト側にオフセットされている。回動中心Cは、本例では、図2に示すように、ピストン3が上死点を通過する前であって当該上死点近傍に位置している間に燃焼室15内の混合気に対する点火が行われる際には、ピストンピン4に対するコンロッド5の回動中心Eとコンロッド5のクランクシャフト21に対する回動中心Fとを結ぶ線が中心線Dに対して反スラスト側に傾斜するように、且つ、図3に示すようにピストン3が上死点を通過した後であって当該上死点近傍に位置している間に燃焼室15内のガス圧力が最大に高まった際には、回動中心Eと回動中心Fとを結ぶ線が中心線Dの伸びる方向と同一の方向に伸びるように、中心線Dに対してスラスト側に偏心している。回動中心Cの中心線Dに対するオフセット幅は、好ましくは、11mmから13mmの範囲で、より好ましくは、12mmから12.5mmの範囲であるが、これに限定されない。
【0017】
ピストンリング(トップリング又はガスリング)9は、ピストン3の頭部端面23に隣接して配されている。ピストンリング9は、好ましくは、その合口部が区画部材40よりも空間12側に位置するように配される。ピストンリング9は、その外周面で内面17に弾性力をもって当接している。
【0018】
ピストンリング(セカンドリング又はガスリング)10は、頭部端面23との間でピストンリング9を挟んで側周面6に配されている。ピストンリング10は、好ましくは、その合口部が区画部材40よりも空間13側に位置するように配される。ピストンリング10は、その外周面で内面17に弾性力をもって当接している。
【0019】
区画手段14は、ピストンリング9及び10間に設けられていると共に、ピストンピン4の軸方向で互いに対向して配されている一対の区画部材40を具備している。
【0020】
連通手段16は、シリンダ2のスラスト側における内面17に設けられた連通路70を具備しており、連通路70は、ピストン3が上死点近傍に位置した際に、空間12を燃焼室15に連通させるように配されている。連通路70は、本例では、シリンダ2の内面17に形成された凹面71で規定されている。
【0021】
連通手段16によれば、ピストン3が上死点近傍に位置した際に、連通路70により空間12を燃焼室15に連通させるようになっているため、燃焼室15内の燃焼ガスを導入させることができ、従って、燃焼行程においてピストン3に与えられるスラスト方向に向かう側圧力Aに抗する反スラスト方向に向かう抗側圧力Bを、ピストン3に与えることができ、而して、当該ピストン3をガスフロートさせることができる。
【0022】
以下、本例の往復動エンジン1の動作について説明すると、圧縮行程の終了後に開始される燃料及び空気の混合気の燃焼行程において、図2に示すようにピストン3が当該ピストン3の上死点通過前であって上死点近傍に位置している間に燃焼室15内の混合気に点火し、連通路70によりスラスト側の空間12を燃焼室15に連通させてスラスト側の空間12に燃焼ガスを導入し、図3に示すようにピストン3が当該ピストン3の上死点通過後であって上死点近傍に位置している間に燃焼ガスのガス圧が最大に高まり、高まったガス圧の圧力をピストン3が受けることで下死点に向かって加速する。
【0023】
本例の往復動エンジン1によれば、クランクシャフト21の回動中心Cがシリンダボア18の中心線Dに対してスラスト側にオフセットされており、これにより本例においては、ピストン3が当該ピストン3の上死点通過後であって上死点近傍に位置している間に燃焼ガスのガス圧が最大に高まった際には、回動中心E及びFを結ぶ線が中心線Dの伸びる方向と略同一の方向に伸びるので、燃焼室15内のガス圧に基づいてピストン3に与えられるスラスト方向の側圧力Aを大幅に減少させると共に、側圧力Aに抗して、空間12に十分に導入した燃焼ガスのガス圧によりピストン3に反スラスト側に向かう抗側圧力Bを与えて、当該ピストン3を好適にガスフロートさせることができる結果、本例の往復動エンジン1は、上述のようにして、燃焼行程時に、側圧力Aに基づいて生じるピストンリング9及び10とシリンダ2の内面17との間のスラスト側における摺動摩擦抵抗を大幅に低減することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、シリンダに対するピストンの往復動抵抗の低減を更に効果的に得ることのできる往復動エンジンを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例の正面説明図である。
【図2】図1に示す例の動作説明図である。
【図3】図1に示す例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 往復動エンジン
2 シリンダ
3 ピストン
4 ピストンピン
5 コンロッド
6 側周面
9、10 ピストンリング
12、13 空間
14 区画手段
15 燃焼室
16 連通手段
18 シリンダボア
20 大端部
21 クランクシャフト
Claims (3)
- クランクシャフトの回動中心をシリンダボアの中心線に対してスラスト側にオフセットした往復動エンジンであって、ピストンの往復動方向で互いに隣接して配されており、ピストンの側面に形成されている第一及び第二のリング溝に夫々嵌入された第一及び第二のピストンリングと、第一及び第二のピストンリング間の空間を燃焼室に連通させる連通手段とを具備しており、クランクシャフトの回動中心は、ピストンが上死点を通過する前であって当該上死点近傍に位置している間に燃焼室内の混合気に対する点火が行われる際には、ピストンピンに対するコンロッドの回動中心とコンロッドのクランクシャフトに対する回動中心とを結ぶ線がシリンダボアの中心線に対して反スラスト側に傾斜するように、且つ、ピストンが上死点を通過した後であって当該上死点近傍に位置している間に燃焼室内のガス圧力が最大に高まった際には、ピストンピンに対する回動中心とコンロッドのクランクシャフトに対する回動中心とを結ぶ線がシリンダボアの中心線の伸びる方向と同一の方向に伸びるように、当該中心線に対してスラスト側に偏心している往復動エンジン。
- 連通手段は、シリンダの内面に設けられた一個又は複数の連通路を具備しており、一個又は複数の連通路を介してスラスト側の空間を燃焼室に連通させるようになっている請求項1に記載の往復動エンジン。
- 連通手段は、ピストンが上死点近傍に位置する際に、スラスト側の空間を燃焼室に連通させるようになっている請求項1又は2に記載の往復動エンジン。
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