JP4120165B2 - 防錆性に優れた潤滑処理鋼材とそのための被覆組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス加工される鋼板類 (例えば、熱延酸洗板、冷延鋼板、めっき鋼板、ステンレス鋼板等) ならびに鋼管類 (本明細書では、これら鋼板、鋼管等のプレス加工用鋼素材を総称して鋼材という) を潤滑処理して潤滑処理鋼材を製造するための被覆組成物と、この被覆組成物を用いて製造された、特にスタック時の防錆性に優れた潤滑処理鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板、鋼管等のプレス加工用鋼素材をプレス加工する際に潤滑油を利用することは常套的な手段である。しかし、近年、潤滑油を利用する際の環境問題等により、プレス加工時に潤滑油を塗布するのではなく、鋼材の製造段階あるいは加工時までの適当な段階で、その表面に種々の潤滑剤を含有する有機皮膜を形成した、潤滑処理鋼材が広く利用されるようになってきた。
【0003】
この有機皮膜を形成するための塗料 (被覆組成物) の主成分は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂といった、従来より公知の乾燥もしくは焼付硬化型の塗膜形成成分である。この樹脂成分に、潤滑剤として脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸石鹸、金属石鹸、アルコール、ポリエチレン微粉末、グラファイト、二硫化モリブデン、フッ素樹脂微粉末等の1種または2種以上を配合して鋼材の潤滑処理に使用する (例えば、特開昭60−250099号公報を参照) 。
【0004】
一般に、潤滑処理鋼材用の被覆組成物は、下記の諸特性を有する皮膜を形成することが、実際の使用にあたって重要である:
a)プレス加工時の潤滑性、
b)潤滑処理鋼材の製造時からプレス後に脱脂洗浄により脱膜されるまでの間の防錆性、
c)脱脂洗浄性 (脱膜性) 、および
d)耐ブロッキング性 (重ねても塗膜どうしが粘着しない性質) 。
【0005】
これらの要求を満たすため、特開平1−207397号公報には、カルボン酸を有する有機高分子化合物にポリエチレングリコールとヒドロキシベンゾトリアゾール類、イミダゾール類、アミノ酸類等の水溶性防錆剤を配合した潤滑処理鋼材用潤滑剤が開示されているが、ポリエチレングリコールを含むため、湿潤環境下において結露により皮膜が膨潤し、重ねた(スタック)状態ではブロッキングの問題がある。
【0006】
また、特開平9−296132号公報には、リン酸およびモリブデン酸の亜鉛、カルシウム、もしくはアルミニウム塩を防錆剤として用いた潤滑処理鋼材用潤滑剤が、特公平4−78679 号公報には、スルホンアミドカルボン酸と環状アミンの混合物を防錆剤として用いた潤滑処理鋼材が、特開平10−1690号公報には、アルキレンスルホアミドカルボン酸を防錆剤として用いた潤滑処理鋼板用潤滑剤が、それぞれ開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各種の潤滑処理鋼材用の被覆組成物は、プレス加工時の潤滑性に重点が置かれている。そのため、防錆性に関しては多くの難題を有しており、使用に当たっても、海岸沿いや交通量の多い道路沿いでの保存や、薄板をコイルで海上輸送する等の厳しい腐食性の雰囲気においては、従来より発錆が問題となっていた。この発錆は、保存や輸送といったスタック条件下で特に顕著である。
【0008】
したがって、潤滑処理鋼材用被覆組成物として、加工性、脱脂性、耐ブロッキング性、および防錆性の全ての性能について満足しうるものはいまだに無いというのが現状である。本発明は、加工性、脱脂性、耐ブロッキング性に加えて、従来より問題となっていた、無塗油スタック条件下での防錆性にも優れた潤滑処理鋼材とそのための被覆組成物を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の潤滑処理鋼材で問題となっている、無塗油スタック時の発錆現象について調査検討した結果、この発錆メカニズムは、主として鋼板あるいは鋼管が積み重ねられた環境下で、鋼材間にできる隙間に大気中より水蒸気が結露し、この結露した水分の作用とスタック条件での荷重の作用により、この隙間で皮膜が損傷し、さらに水分の存在による電池作用も寄与して、鋼材の発錆過程が加速される結果、発錆に至ることを突き止めた。
【0010】
そこで、本発明者らは、前記メカニズムに対応した防錆力を発揮でき、しかも上述した他の特性、すなわち加工性、脱脂性、脱ブロッキング性の点でも満足できる潤滑処理鋼材用被覆組成物を提供すべくさらに研究した結果、或る種のアクリル系樹脂に特定の撥水剤および防錆剤を添加した組成物が最適であることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明は、下記(A)〜(C)の合計量に基づいて、(A)酸価30〜150、ガラス転移温度5〜90℃のアクリル系樹脂74〜97.7質量%と、(B)撥水剤2〜20質量%と、(C)炭素数6〜 22 の分岐型アルキル鎖を有するアルキルアミドカルボン酸もしくはその塩とアルカノールアミンとの混合物からなる防錆剤0.3〜6質量%、とを含むことを特徴とする潤滑処理鋼材の製造に使用される潤滑処理用被覆組成物、である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑処理鋼材の製造に使用される潤滑処理用被覆組成物(以下、「潤滑処理鋼材用被覆組成物」という)で皮膜形成成分として使用するアクリル系樹脂は、酸価が30〜150、好ましくは40〜120であり、ガラス転移温度が5〜90℃、好ましくは10〜85℃のものである。酸価が30未満では、形成された皮膜のアルカリ性水溶液による脱脂洗浄性(脱膜性)が十分でなく、酸価が150を超えると皮膜の防錆性が低下する。ガラス転移温度は、5℃未満であると、樹脂の粘着性が強くなり耐ブロッキング性が低下し、90℃を超えると樹脂の造膜性が低下して防錆性と共に脱脂性も低下する。
【0013】
本発明で使用するアクリル系樹脂は、一般に使用されている塗料用熱可塑性アクリル系樹脂でよく、任意の重合法で得たものでよい。このようなアクリル系樹脂およびその製造方法は、例えば、北岡協三著「塗料用合成樹脂入門」 (株式会社高分子刊行会発行、1974年発行) に詳しく説明されている。
【0014】
上記アクリル系樹脂は、ビニル系(すなわち、α,β−エチレン性)不飽和カルボン酸およびビニル系不飽和カルボン酸エステル (炭素数1〜25の直鎖もしくは分岐アルコールと不飽和カルボン酸とのエステル) から選ばれた単量体(主として1官能性のもの)を重合して得られる。これらの単量体の具体例としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸 (以下、これらを (メタ) アクリル酸と略記する) 、ソルビン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メチル (メタ) アクリルート、プロピル (メタ) アクリレート、ブチル (メタ) アクリレート、イソブチル (メタ) アクリレート、2−エチル−ヘキシル (メタ) アクリレート、ヘキシル (メタ) アクリレート、ラウリル (メタ) アクリレート、ステアリル (メタ) アクリレート、2−ヒドロキシエチル (メタ) アクリレート、2−ヒドロキシプロピル (メタ) アクリレート、グリシジル (メタ) アクリレート、ジメチルアミノプロピル (メタ) アクリレートなどが挙げられる。
【0015】
重合には一般に少なくとも1種のビニル系不飽和カルボン酸と少なくとも1種のビニル系不飽和カルボン酸エステルからなる2成分以上の単量体混合物を使用し、通常の重合方法、例えば、溶液重合方法あるいは乳化重合方法等により重合を行うことができる。単量体混合物中の上記不飽和カルボン酸成分の割合を調整することにより、30〜150 の範囲内の所望の酸価を有する重合物を得ることができる。同様に、重合体のガラス転移温度(Tg)についても、上記カルボン酸およびカルボン酸エステル成分の種類と使用割合の調整により、ガラス転移温度の値が5〜90℃の範囲の重合物を得ることができる。なお、重合物のアクリル系樹脂は、被覆組成物の安定性を良くするために、アンモニアあるいはアミン等で中和することもできる。
【0016】
本発明の潤滑処理鋼材用被覆組成物の撥水剤としては、共存するアクリル系樹脂の造膜性や脱膜性、防錆剤の防錆作用を阻害しないものを使用する。本発明で使用する撥水剤として好ましいのは、カルボン酸エステル、金属石鹸、ポリエチレン微粉末、およびフッ素樹脂微粉末から選んだ1種もしくは2種以上である。これらの撥水剤はいずれも潤滑剤としても有効であることが知られているが、本発明で使用する撥水剤は必ずしも潤滑性を示すものでなくてもよい。
【0017】
撥水剤として有用なカルボン酸エステルは、脂肪族もしくは芳香族のモノカルボン酸またはジもしくはトリカルボン酸等の多価カルボン酸のアルキルエステルである。かかるカルボン酸エステルの具体例としては、ステアリン酸ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリオクチル、エチレングリコールジステアレート、グリセリントリカプリレート、トリメチロールプロパントリステアレート等が挙げられる。
【0018】
金属石鹸としては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。フッ素樹脂の代表例はポリテトラフルオロエチレン樹脂およびポリフッ化ビニリデン樹脂である。ポリエチレン微粉末およびフッ素樹脂微粉末の平均粒径は特に制限されないが、好ましい平均粒径は 0.1〜10μm程度である。
【0019】
本発明の潤滑処理鋼材用被覆組成物には、防錆剤として、アルキルアミドカルボン酸もしくはその塩と窒素を含む塩基性化合物との混合物を配合する。特公平4−78679 号に記載されたスルホンアミドカルボン酸では、本発明で達成される高度の防錆能を得ることができない。アルキルアミドカルボン酸もしくはその塩:窒素を含有する塩基性化合物との混合比は、モル比で2:1〜1:5の範囲内が好ましい。
【0020】
防錆剤の1成分として用いるアルキルアミドカルボン酸は、炭素数6〜22の脂肪酸をアミノカルボン酸および/もしくはラクタムと反応させることにより得られるアミド化合物である。
【0021】
炭素数6〜22の脂肪酸としては、ヘキサン酸、4−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸、 2,2−ジメチルブタン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、オレイン酸、エルカ酸、 2,4−ヘキサジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、 3,5,5−トリメチルヘキサン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸のアルキル鎖は直鎖型であっても分岐型でも良いが、より好ましくは分岐型のアルキル鎖である。アミノカルボン酸としては、アミノ酢酸、N−メチルアミノ酢酸、2−アミノプロピオン酸、3−アミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸等が挙げられる。ラクタムとしては、アゼチジノン、ピロリドン、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
【0022】
防錆剤のアルキルアミドカルボン酸成分は、水溶性を増大させるため、適当な塩基と反応させてカルボン酸塩の形態にして使用してもよい。カルボン酸塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩等でよい。
【0023】
防錆剤のもう一方の成分である、窒素を含む塩基性化合物としては、通常のアミン類を使用することができるが、加工性、耐ブロッキング性、脱脂性、防錆性等の性能を考慮すると、アルカノールアミンが好適である。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。
【0024】
防錆剤のアルキルアミドカルボン酸とアルカノールアミンは、別々に加えてもよいが、これらの混合物である市販品を加えても良い。このような市販品の例としては、ホスタコアIS/1 [クラリアント・ジャパン (株)]等が挙げられる。
【0025】
前述したアクリル系樹脂、撥水剤、および防錆剤を含有する本発明の潤滑処理鋼材用被覆組成物は、これら3成分の合計重量に基づいて、
(A) アクリル系樹脂74〜97.7質量%、
(B) 撥水剤2〜20質量%、
(C) 防錆剤 0.3〜6質量%、
の割合で上記3成分を含有する。
【0026】
撥水剤の量は、2質量%未満であると、撥水性が不十分になって防錆性・加工性が低下し、20質量%を超えると撥水剤の効果が飽和し、それ以上の撥水性の向上が望めないので経済的に不利となる。好ましい撥水剤の量は5〜15質量%である。
【0027】
防錆剤であるアルキルアミドカルボン酸と窒素を含む塩基性化合物との混合物は、その量が0.3 質量%未満では防錆性が不十分となり、6質量%を超えると鋼材の加工性が低下する。好ましい防錆剤の量は1〜4質量%である。
【0028】
本発明の被覆組成物では、防錆剤としてアルキルアミドカルボン酸と窒素を含む塩基性化合物の混合物を使用するが、他の公知の防錆剤である、ベンゾトリアゾール類、スルホンアミドカルボン酸等を、本発明の効果を減じない範囲で併用することもできる。また、塗料に慣用されている各種添加剤 (例、着色剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤等) を任意に添加することができるが、本発明の被覆組成物の各種特性に実質的な悪影響を生じないように選択する。
【0029】
本発明の被覆組成物を用いて鋼材を潤滑処理するには、この被覆組成物を水あるいは溶剤で希釈して塗装用組成物とし、通常の塗布方法、例えば浸漬、ロールコーター、カーテンフローコーター、スプレー、静電塗装、電着塗装等で鋼材に塗装し、熱風あるいは活性エネルギー線照射により乾燥させて、固体皮膜を形成すればよい。アクリル系樹脂を乳化重合もしくは溶液重合により得た場合には、この液に防錆剤および撥水剤、さらに必要により少量の他の添加剤を添加・混合し、必要により適宜濃度調整することにより、塗装用組成物を調製することができる。
【0030】
本発明の被覆組成物は、乾燥後の付着量が 0.2〜6.0 g/m2、望ましくは 0.5〜3.0 g/m2の範囲内となるように鋼材に塗装することが好ましい。付着量が0.2 g/m2未満であると、潤滑性と防錆性が不足し、6.0 g/m2を超えても、それ以上の潤滑性および防錆性の向上効果はほとんど得られない。塗膜の乾燥温度は50〜150 ℃の温度とすることが好ましい。
【0031】
本発明の被覆組成物により鋼材を潤滑処理すると、アクリル系樹脂中に撥水剤および防錆剤を含有する樹脂質の有機皮膜が形成される。この皮膜は、プレス加工に十分な潤滑性を有する。この潤滑性は主にアクリル系樹脂皮膜それ自体に起因するものであるが、撥水剤も種類によっては潤滑性にいくらか寄与する。
【0032】
本発明の被覆組成物から形成された皮膜は、アルカリ洗浄により容易に除去されるので脱脂洗浄性(脱膜性)が良好で、化成処理前に行われる脱脂洗浄により完全に除去できるので、化成処理への悪影響がない。また、耐ブロッキング性も良好である。さらに、無塗油で長時間スタック保管しても発錆が起こらないという、従来にない優れた防錆性を発揮することができる。従って、潤滑処理鋼材の製造時、保管中、輸送中、プレス時およびプレス後で脱膜前、のいずれにおいても錆の発生が防止される。
【0033】
【実施例】
下記表1に示した単量体組成および特性 (Tg=ガラス転移温度、℃) を有する各種アクリル系樹脂を使用して、表2に示す成分を含有する被覆組成物を、慣用の塗料調製法に従って、固形分25質量%の水系塗装用組成物として調製した。表2に示した被覆組成物の組成 (撥水剤と防錆剤の質量%) は、樹脂と撥水剤と防錆剤の合計量に基づく質量%であり、樹脂の量は残部である。いずれの水系塗装用組成物も、アンモニア水でpHが8.0 となるように調整した。
【0034】
この塗装用組成物を使用し、表面を脱脂により清浄化した0.8 mm厚の冷延鋼板の片面に、乾燥塗膜の付着量が3g/m2になるようにバーコーターで塗装し、110 ℃で10分間熱風乾燥して、塗膜を乾燥させ、潤滑処理鋼板を得た。この潤滑処理鋼板を、下記の試験要領で円筒絞り性 (潤滑性評価) 、脱脂洗浄性、耐ブロッキング性、ならびにスタック時の防錆性について試験した。試験結果も表2に併記する。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
[試験法]
1) 円筒絞り性
ポンチ径33.0 mm φ、押さえ圧1000 kg/cm2 で絞り抜け可能な最大ブランク径を測定し、次式により限界絞り比 (A) を算出した。
【0038】
限界絞り比=最大ブランク径/ポンチ径
未潤滑処理鋼板の限界絞り比 (B) を同様に求め、未潤滑処理鋼板に対する潤滑処理した試験鋼板の限界絞り比の比率 (A/B) により、下記基準で円筒絞り性を評価した。
【0039】
×:A/B< 1.0
△:A/B= 1.0〜1.1
○:A/B> 1.1
A/B=潤滑処理鋼板限界絞り比/未処理鋼板限界絞り比。
【0040】
2)脱脂洗浄性
ファインクリーナーFC4326 [日本パーカライジング (株)]の濃度2%水溶液を、温度60〜70℃、スプレー圧1kg/cm2で5秒間スプレーすることにより脱脂洗浄した後に、水ハジキの有無を目視で調べ、下記基準で評価した。
【0041】
×:水ハジキ全面
△:水ハジキ一部有り
○:水ハジキ無し。
【0042】
3)耐ブロッキング性
0.8×70×150 mmサイズの潤滑処理鋼板2枚を、その乾燥塗膜どうしが密着するように塗膜面を内側にして重ね合わせ、67 kg/cm2 の荷重下に温度50℃で1分間エージングした後、500 g/m2の軽荷重下に40℃で16時間エージングし、さらに無荷重下に室温で50日間エージングした。その後、重ねた鋼板を引き離し、引き離し時の塗膜粘着状況により、下記基準で耐ブロッキング性を評価した。
【0043】
×:粘着有り
△:粘着かすかに有り
○:粘着無し。
【0044】
4)防錆性
0.8×70×150 mmサイズの潤滑処理鋼板2枚を、その乾燥塗膜面どうしが密着するよう塗膜面を内側にして重ね合わせ、50 kg/cm2 の荷重を加えて、温度50℃で48時間エージングした。乾燥塗膜面間には純水を1滴介在させた。その後、重ねた鋼板を引き離し、塗膜面の発錆状況により下記基準で防錆性を評価した。
【0045】
×:錆有り
△:錆かすかに有り
○:錆無し。
【0046】
表2の試験結果から分かるように、本発明に係る被覆組成物はいずれも、円筒絞り性、脱脂洗浄性、耐ブロッキング性および防錆性の全てを満たす潤滑処理鋼材を与えることができる。特に、この実施例の防錆性試験は、無塗油で実施し、水分を介在させたスタック条件で高温 (50℃) 保持という厳しい試験条件を採用している。このスタック条件で48時間後においても腐食が発生しておらず、高度の防錆性を有していることが分かる。
【0047】
一方、従来技術に述べた特公平4−78679 号公報では、塗油状態でスタック試験24時間後においても腐食が発生していないことが示されている。本実施例の表2の試験No.10 で使用している防錆剤は、この公報で使用している防錆剤に相当する。しかし、表2の試験No.10 の結果からわかるように、上記公報に開示されている従来の組成物を、無塗油の状態で本発明の試験条件下にて試験すると、錆が発錆しており、本発明の被覆用組成物ではこの従来技術に比べて著しく防錆性が改善されていることは明らかである。
【0048】
また、アクリル系樹脂の特性が本発明の範囲外となるか、或いは撥水剤または防錆剤を添加しない比較例では、いずれも少なくとも1つの特性が劣化した。さらに、市販の防錆油を使用した比較例では、円筒絞り性が低くなる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の被覆組成物を用いて鋼材潤滑処理することにより、従来より問題となっていたスタック時の防錆性が大幅に改善され、かつ加工性 (潤滑性) 、脱脂性、耐ブロッキング性についても良好な性能を持つ潤滑処理鋼材を得ることが可能となる。
Claims (3)
- 下記(A)〜(C)の合計量に基づいて、(A)酸価30〜150、ガラス転移温度5〜90℃のアクリル系樹脂74〜97.7質量%と、(B)撥水剤2〜20質量%と、(C)炭素数6〜 22 の分岐型アルキル鎖を有するアルキルアミドカルボン酸もしくはその塩とアルカノールアミンとの混合物からなる防錆剤0.3〜6質量%、とを含むことを特徴とする潤滑処理鋼材の製造に使用される潤滑処理用被覆組成物。
- 撥水剤がカルボン酸エステル、金属石鹸、ポリエチレン微粉末およびフッ素樹脂微粉末から選ばれた1種もしくは2種以上である請求項1記載の潤滑処理用被覆組成物。
- 潤滑処理が施された潤滑処理鋼材であって、該潤滑処理として請求項1または2に記載の被覆組成物から形成された有機皮膜を有することを特徴とする潤滑処理鋼材。
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