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JP4177945B2 - レーザー光によるガラス接合方法および装置 - Google Patents

レーザー光によるガラス接合方法および装置 Download PDF

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    • C03B23/00Re-forming shaped glass
    • C03B23/20Uniting glass pieces by fusing without substantial reshaping
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  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2枚又はそれ以上のガラス板を接合するガラス接合方法およびその接合装置に関し、特に薄く成形加工された複数の石英ガラス板を、レーザー光で溶着して接合するガラス接合方法およびその接合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザー光を用いて2つの金属部品を接合する溶接技術はよく知られている。図6(a)、(b)および(c)は、それぞれレーザー光を用いた金属部品の溶接方法を概念的に示す断面図である。図10は、レーザー溶接で用いられるレーザー照射装置の構成を示す図である。レーザー溶接では、レーザー光を被加工部品の接合部位に照射し、該照射部位を加熱溶融して接合する。図6(a)は、金属円筒8と金属円筒8より小径の金属円筒9とを溶接する状態を示す。金属円筒8と金属円筒9とを所望の接合位置関係にて密着させて、レーザー光112を溶着ポイントに照射して溶着する。この方法は、図6(b)に示される同径の金属円筒10,11を接合する場合においても同様であり、レーザー光113を接合部位に照射して溶着する。図6(c)は、金属板12,13を接合する状態を示す。この場合においては、両金属板を所定の接合位置関係にて重ね合わせ、レーザー光114を溶着ポイントに照射して溶着する。
【0003】
ガラスの接合方法としては、例えば、ガラスのコップまたは花瓶に把手を接合する場合のように、高温の炉にガラス材料を入れて軟化させ、他のガラスに取り付けて整形した後に冷却するという手法が知られている。
【0004】
またガラス板同士の接合方法としては、図7に示されるように、ガラス板14とガラス板15との間に接着剤16を塗布することにより、両ガラスを接合する方法が用いられている。その他の従来のガラス接合方法としては、例えば特開平2−120259号公報に、ガラス封止に際して用いられるガラス接合方法が提案されている。この従来例においては、着色したガラス透明体より成る光吸収剤を、接合しようとするガラス間に介在させ、レーザー光を当該光吸収剤に照射し、該光吸収剤を溶解させてガラスを接合する方法が採られている。その光吸収剤としては、接合対象のガラスと略同じ組成のガラス透明体に遷移金属イオンをドープすることにより着色したものが用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図6を参照して説明したレーザー光による従来の金属溶接方法をガラスの溶接方法に適用しようとすると、幾つかの課題を解決しなければならない。まず、ガラスはレーザー光による熱吸収効率が低く、また熱伝導率も金属等に比較して格段に小さいので、図8に示されるように、ガラス板17の一方の表面に対してレーザー光115を照射する場合に、該レーザー光115によるガラス板17に形成される溶け込み部17aが小さく、このためにガラス板17を溶着部として他のガラスに接合しようとするとき、接合に必要な十分な溶着部の深さが得られない。
【0006】
また、レーザー光115によるガラス板17の熱吸収量は、レーザー光115が照射されるガラス板17の表面の状態にも依存している。例えば、ガラス板17の表面が鏡面のように研磨されている場合にはレーザー光の吸収量が極めて低く、表面が粗い状態または汚れがある場合にはレーザー光を吸収し易い状態となる。従って、レーザー光115のパワーが同一であってもガラス板17の表面の状態が異なる場合には、例えば、一方は明確に穴が開けられるのに対して、もう一方は単に表面が薄く溶融するだけの不完全な溶融状態となる。このように、レーザー光115によるガラス溶接においては、ガラス板17の表面における溶融度の制御が困難である。
【0007】
図6(c)に示される金属板12,13に代えて、図9に示すようにガラス板32,33としたときには、レーザー光114の溶着ポイントに対する照射により、当該溶着ポイントにおいてガラス板32,33の溶着が可能になったとしても、ガラス板32及びガラス板33には、それぞれ熱応力116および117が内部応力として残留する。この内部応力に起因して、重ね合わせ溶接したガラス板33が図9に示す如くに歪が生じ、精度の高いガラス板接合の実現が困
難になる。
【0008】
なお、レーザー光を用いないガラス接合方法においては、高温の炉を用いて接合する場合には、一方のガラスの形状が軟化していて不定形であるために、成形加工されたガラス板同士を固定する接合方法としては適用不可能である。
【0009】
また、図7を参照して説明した接着剤によるガラス接合方法には、次の欠点がある。
【0010】
(1) 接着剤が硬化するのに時間がかかるので、硬化するまでの間、ガラス板 相互の位置関係を保持する治具などが必要となり、ガラスを大量に接合する 際には、その分の治具が必要となるために設備のコスト高の要因となる。
【0011】
(2) 接着剤の耐熱温度がガラスに比較して低いので、接合されたガラス構造のの耐熱温度を高くすることができない。
【0012】
(3) 接着剤の熱膨張係数がガラスと異なるので、温度条件によっては接合部位で剥離することがある。
【0013】
(4) 接着剤の塗布厚を調整することが困難であるから、複数の被接合ガラスを正確な位置関係で接合することが難しい。
【0014】
更に、特開平2−120259号公報において提案されているガラス接合方法では、ガラス板を歪みなく精度高く接合することが不可能であり、且つ光吸収剤を必要とするという欠点がある。
【0015】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、下記の利点を有するレーザー光によるガラス接合方法および装置を提供することにある。
【0016】
(1) 複数のガラス板を短時間に接合する。
【0017】
(2) 耐熱温度の高いガラス接合構造を得る。
【0018】
(3)ガラス板が剥離し難いガラス接合構造を得る。
【0019】
(4) 複数のガラス板を正確な位置関係で接合できる。
【0020】
(5) 複数のガラス板を歪なく接合できる。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の手段により、前述の課題を解決する。
【0022】
(1)接合対象の複数のガラス板を互いに板面を密着して重ね合わせることにより複数ガラス密着体を形成し、該複数ガラス密着体に対し該板面に垂直な方向からビーム状のレーザー光を照射し、該複数ガラス密着体におけるガラスの一部分を溶融し、溶融した該ガラスを固化させることにより、該接合対象の複数のガラスを接合する方法において、
前記レーザー光は、光軸を共通にして互いに反対方向から前記複数ガラス密着体に照射され、該複数ガラス密着体の表面又はその近傍をそれぞれ焦点とする第1及び第2のレーザー光でなり、
前記第1及び第2のレーザー光を前記複数ガラス密着体に同時に照射することにより、前記複数ガラス密着体に前記光軸方向の穴を開ける穴開け工程と、
前記穴開け工程で開けられた穴の壁をなすガラスの表面に前記第1及び第2のレーザー光を同時に照射し、該表面及びその近傍を溶融する内壁溶融工程と、
前記該第1及び第2のレーザー光の照射を停止して、前記複数ガラス密着体を冷却させ、前記内壁溶融工程で溶融したガラスを固化する溶融ガラス固化工程と
を含むことを特徴とするガラス接合方法。
【0023】
(2)前記第1及び第2のレーザー光のエネルギー特性が互いに等しいことを特徴とする前記(1)に記載のレーザー光によるガラス接合方法。
【0024】
(3)前記内壁溶融工程において前記内壁の表面に照射する第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度は、前記該穴開け工程において形成されつつある穴の側面に照射される前記第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度より低いことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のガラス接合方法。
【0025】
(4)接合対象の複数のガラスを互いの板面を密着して重ね合わせ、該複数のガラスにおける溶着ポイントを該板面に垂直な1つの直線上に揃え、複数ガラス密着体を形成するように、該複数のガラスをガラス保持手段の所定位置にそれぞれ嵌める第1のステップと、
第1及び第2のレーザー光をそれぞれ逆方向に出射する第1及び第2のレーザー照射手段の光軸を前記ガラス保持手段に嵌められた複数ガラス密着体における前記1つの直線上に合わせる第2のステップと、
前記第1及び第2のレーザー光の焦点を前記1つの直線と前記複数ガラス密着体の表面との交点又はその近傍における該1つの直線上の点に合わせて、該第1及び第2のレーザー光を該複数ガラス密着体に同時に照射し、該複数ガラス密着体に該1つの直線を軸とする穴を形成する第3のステップと、
前記第1及び第2のレーザー光の焦点を前記第3のステップにおける前記焦点からそれぞれずらして、該第1及び第2のレーザー光を所定の規定時間にわたって、同時に照射し、前記穴の内壁のガラスを溶融させる第4のステップと、
前記該第1及び第2のレーザー光の照射を停止して、前記複数ガラス密着体を冷却させ、前記第4のステップで溶融させた前記ガラスを固化する第5のステップと
を有することを特徴とするガラス接合方法。
【0026】
(5)接合対象の複数のガラスを互いの板面を密着して重ね合わせ、該複数のガラスにおける溶着ポイントを該板面に垂直な1つの直線上に揃え、複数ガラス密着体を形成するように、該複数のガラスをガラス保持手段の所定位置にそれぞれ嵌める第1のステップと、
第1及び第2のレーザー光をそれぞれ逆方向に出射する第1及び第2のレーザー照射手段の光軸を前記ガラス保持手段に嵌められた複数ガラス密着体における前記1つの直線上に合わせる第2のステップと、
前記第1及び第2のレーザー光の焦点を前記1つの直線と前記複数ガラス密着体の表面との交点又はその近傍における該1つの直線上の点に合わせて、該第1及び第2のレーザー光を該複数ガラス密着体に同時に照射し、該複数ガラス密着体に該1つの直線を軸とする穴を形成する第3のステップと、
前記第1及び第2のレーザー光の出力のパワーを前記第3のステップにおける前記パワーより低減し、該第1及び第2のレーザー光を規定時間にわたって、同時に照射し、前記穴の内壁のガラスを溶融させる第4のステップと、
前記該第1及び第2のレーザー光の照射を停止して、前記複数ガラス密着体を冷却させ、前記第4のステップで溶融させた前記ガラスを固化する第5のステップと
を有することを特徴とするガラス接合方法。
【0027】
(6)複数のガラス板を互いの板面を密着して重ね合わせてなる複数ガラス密着体にレーザー光を照射し、該複数ガラス密着体を接合するガラス接合装置において、
光軸を共通にし、互いに反対向きであって、かつ前記板面に垂直な方向から前記複数ガラス密着体に第1及び第2のレーザー光をそれぞれ照射する第1及び第2のレーザー照射装置と、
前記第1及び第2のレーザー照射装置による前記第1及び第2のレーザー光の焦点並びにレーザー光のパワーを制御する接合制御手段と、
前記複数ガラス密着体を保持する手段と、
前記保持手段を搭載し、該保持手段の平面内位置を設定するX−Yステージとを備え、
前記接合制御手段は、前記X−Yステージを制御し、前記複数ガラス密着体における接合ポイントを前記光軸に合わせ、
また、前記接合制御手段は、前記第1及び第2のレーザー照射装置を制御し、第1及び第2のレーザー光の焦点を前記複数ガラス密着体の表面又はその近傍とし、該第1及び第2のレーザー光を前記複数ガラス密着体に同時に照射させることにより、前記複数ガラス密着体に前記光軸方向の穴を開け、該穴の壁をなすガラスの表面に前記第1及び第2のレーザー光を同時に照射させ、該表面及びその近傍を溶融し、
前記穴の内壁を溶融する際に該内壁の表面に照射する第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度は、前記穴を開ける際に該穴の側面に照射される前記第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度より低い
ことを特徴とするガラス接合装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を挙げ、本発明を一層詳しく説明する。
【0029】
図2は、本発明になるレーザー光によるガラス接合装置の構成および配置関係を示す概念図であり、図3は図2のガラス接合装置のブロック図である。図4は、図2のガラス接合装置に適用する本発明のガラス接合方法を示す流れ図である。また、図1は、図2の装置に図4の方法を適用して2枚のガラスを接合する手順を示す図である。図1において、ガラス板6,7は厚さ2mm程度の円盤状の石英ガラスであり、図にはガラス板6,7の縦断面が現れているが、ガラス板6,7の縦断面におけるハッチングは省いてある。図2では、接合されるガラス板6,7のうちのガラス板6だけが描かれており、図面の錯綜を避けるためにガラス板7は省略されている。図1(b)に示すように、接合されるガラス板6,7はガラスホルダ5の座グリ穴に嵌められる。ガラスホルダ5は、ガラス板6,7の被照射軸109を互いに一致させ、かつ両者を密着させ、両者を安定に保持する。ここで被照射軸109は、ガラス板6,7の中心軸と一致している。なお、図1(b)において、ガラス板7の下側にある矩形の無地領域は空間である。
【0030】
図2のガラス接合装置は、接合制御部1と、レーザー照射装置2,3と、X-Yステージ4と、ガラスホルダ5とを備えて構成されている。レーザー照射装置2および3として用いられるレーザー装置は、一般に金属用のレーザー溶接機に使用されている既存のCOレーザー装置である。該レーザー照射装置には、レーザートリマやレーザーマーキング装置に用いられているタイプのレーザー装置を、パワーを調節して転用しても差し支えない。レーザー照射装置2及び3は全く同じ構造及び機能を有し、出力のレーザー光101及び102は互いに等しいエネルギー特性を有する。
【0031】
一般的にCOレーザー装置は、図10に示されるように、ポンピング装置20、完全反射鏡21、部分反射鏡22、レーザー媒質23、ミラー24、集束レンズ25および集束レンズ可動手段26によりなる。完全反射鏡21、部分反射鏡22及びレーザー媒質23はレーザー共振器27を構成している。集束レンズ可動手段26により集束レンズ25を可動とすることにより、レーザー光122の焦点130を所定位置に合わせることができる。従って、このレーザー装置を使用することにより、被接合部品であるガラスの表面に焦点を合わせて該ガラスに穴を開けたり、焦点をずらせて広範囲に亘りガラスを加熱することが可能である。
【0032】
図2においては、レーザー照射装置2及び3は、レーザー光101及び102をそれぞれ出射する。レーザー光101及び102は、光軸を同じくし、互いに反対方向に進行する。レーザー照射装置2及び3は、照射経路が同一線上にあるように、更にガラス板6,7を密着してなるガラス密着体を互いに反対方向から照射するように、相対向して配置されている。レーザー照射装置2,3から出射されるレーザー光101及び102の焦点の位置及びそのパワーは、図3に示されるように、接合制御部1により出力されるレーザー光用制御信号103及び105により制御される。
【0033】
ガラスホルダ5は、X−Yステージ4に固定されて、その表面がレーザー光101及び102に直交するように配置されている。X-Yステージ4は、モーターを動力とするスライダを2軸直交させて構成されており、図3に示されるように、接合制御部1より出力されるX−Yステージ用制御信号107により制御されて、ガラスホルダ5を、図2に示されるようにX,Yの両方向に2次元的に移動させることができる。
【0034】
また接合制御部1は、レーザー照射装置2、3およびX-Yステージ4に対する制御/監視機能を有しており、レーザー光用制御信号103および105により、それぞれ対応するレーザー照射装置2および3に対する電源のオンオフを含む各種制御を行う。更に、接合制御部1は、X−Yステージ4に対してX−Yステージ用制御信号107を送り、X−Yステージ4における2軸直交されたスライダを駆動するモーターを制御して、X−Yステージ4に設定されている接合対象のガラス板6,7の溶着ポイントの位置を、レーザー光101及び102の光軸に合致させる。これらの制御作用の実施に伴ない、レーザー照射装置2、3およびX-Yステージ4から送られてくる動作データ104、106及びX−Yステージ動作信号108は接合制御部1へ帰還される。接合制御部1は、帰還された動作データ104、106及びX−Yステージ動作信号108により、制御信号を更に適切に設定し、レーザー照射装置2,3及びX-Yステージ4を安定に制御する。
【0035】
次に、図4を参照し、図2の接合装置によるガラスの接合方法を詳しく説明する。図4は、その接合方法の手順を示す流れ図である。また、図1(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、接合対象のガラス板6および7を溶着する際の接合手順に対応して、レーザー光101および102の照射状況の推移を示す図である。図1の例では、ガラス板6及び7の被照射軸109上に両ガラスの溶着ポイント110及び111がある。
【0036】
まずステップS11においては、図1(a)のガラス板7とガラス板6を、図1(b)の断面図に示されるように、ガラスホルダ5の上面から、ガラスホルダ5における座グリ穴に順に嵌める。図1(c)は、図1(b)の被照射軸109近傍を拡大して示す図である。ガラス板7は下側の座グリ穴に嵌められ、ガラス板6は上側の座グリ穴に嵌められる。ガラスホルダ5は、座グリ穴の内周面がガラス板6とガラス板7の外周に密着し、ガラス板6とガラス板7とが密着するように形成してある。そこで、ガラスホルダ5に嵌められたガラス板6とガラス板7とは、共通の被照射軸109に一致させ、従って溶着ポイント110および111を被照射軸109に合わせ、互いに密着して重ね合わされる。ガラスホルダ5に嵌められたガラス板6とガラス板7とは、前述の複数ガラス密着体に相当する。
【0037】
次に、ステップS12において、X-Yステージ4により、ガラスホルダ5に対して2次元の移動制御を行い、図1(b)または図1(c)に示される溶着ポイント110及び111をレーザー照射装置2および3の各レーザー光101及び102の光軸に一致させる。ここで、ガラス板6,7の被照射軸109がレーザー光101及び102の光軸である。
【0038】
次いでステップS13においては、図1(d)に示されるように、レーザー光101および102の焦点を調整して、該焦点をガラス板6および7の溶着ポイント110及び111に合わせ、相対向するレーザー光101,102を同時に照射し、ガラス板6及び7に穴30を開ける。このとき、レーザー光101および102が、相対向して同時に照射されるので、穴30はガラス板6,7の境界部分に関し対称な形となる。レーザー光101,102のパワーが8watt、ガラス板6、7の厚みが0.5mmであるとき、レーザー光101,102は5秒で穴30を完成させることができる。このとき、穴30の入口開口における径は0.4mmであった。なお、レーザー照射装置2,3のレーザー光出射端からガラス板6,7へ至るまでの距離は205mmであった。
【0039】
ステップS14においては、図1(e)に示されるように、レーザー照射装置2および3の相対向するレーザー光101および102の焦点を、ステップS13において開けられた穴30を覆うように、各溶着ポイント110及び111よりずらせ、規定時間の間、ガラス板6及び7に対して両レーザー光により同時に照射を行い、該穴30の内壁を溶融し、溶融部40を形成する。このステップS14においてレーザー光101,102の焦点を溶着ポイント110及び111からずらすのは、穴30の内壁をなすガラスを溶融し、且つ、これらのガラスに蒸発しない程度のエネルギーを与えるためである。レーザー照射装置2,3のパワーがステップS13で8wattであるときには、ステップS14では焦点を溶着ポイント110及び111からずらすのであるが、焦点をずらしたときには、溶着ポイント110,111におけるパワーは、6〜7wattとする。このとき、穴30の内壁は、10〜15秒のレーザー光照射で溶着に好ましい程度に溶融する。したがって、ステップS14におけるレーザー光101,102により穴30の壁面に与えられるエネルギーは、ステップS13におけるレーザー光101,102により穴30の壁面に与えられるエネルギーより小さい。
【0040】
次いで、ステップS15において、前記規定時間の経過後に両レーザー光の照射を停止し、穴30の壁面における溶融部40を冷却し、固化することにより、ガラス板6とガラス板7とを接合する。溶融部40の厚みは0.1mm程度であり、極く薄い。しかし、この程度の厚みでもって接合されたガラス板6とガラス板7は、ガラス板6,7に加わる力が小さいときは、十分に接合の目的を果たす。
【0041】
上述の方法でガラス板6,7を接合するとき、相対向する2つのレーザー光の焦点位置を調整して、ガラス板6,7に対する照射を制御することにより、ガラス板6及び7に加えられる熱エネルギーはガラス板6,7の接合面に関し対称であり、該接合面と被照射軸109との交点に関しても対称であるから、ガラス板6,7に生じる内部応力は該交点に関し相互に釣り合っている。したがって、上述の方法で接合されたガラス板6,7には、ガラス板6,7の冷却後に歪を生じさせる内部応力は残留しない。また、上記の溶着を、他の溶着ポイントに対してそれぞれ繰り返して行うことにより、接合されたガラス構造における固着力は更に増大する。
【0042】
上述の方法では、上述のように複数のガラス板を歪なく接合できるばかりではなく、接着剤で接着するのではないから、接着剤を乾燥させる工程を要せず、 複数のガラス板を短時間に接合できる。また、接着剤を用いないから、 耐熱温度が高く、ガラス板が剥離し難いガラス接合構造が得られる。また、ガラスホルダ5でガラス板6,7の位置合わせをするから、 複数のガラス板を正確な位置関係で接合できる。
【0043】
また、穴開け工程では、レーザー光101,102による溶け込み部の深さを考慮することなく、ガラスを蒸発させ、穴30を形成すれば足り、穴の深さの制御も不要である。したがって、穴開け工程ではガラス表面の状態により穴30の形成時間に差があったとしても、接合の品質に影響はない。また、内壁溶融工程では、レーザー光101,102は穴30の表面に作用し、該表面のガラスを溶融させるのであるが、穴30は穴開あけ工程で形成したばかりであり、その表面には汚れはなく、その光吸収率は一定であるから、安定した時間で適切な深さまでガラスを溶融させることができる。従って、本実施の形態による方法及び装置によるガラスの接合は、制御性よく行うことができる。
【0044】
図5は、図2に示したガラス接合装置に適用するガラス接合方法の別の例を示す流れ図である。図5の方法は、図4におけるステップ14をステップ24に変更した方法であり、ステップ11乃至13及びステップ15は図4におけるステップと同じである。
【0045】
図4に示されるステップS14においては、レーザー照射装置2および3の相対向するレーザー光101および102の焦点を、溶着ポイント110および111の位置よりずらして、規定時間の間、ガラス板6および7に対する両レーザー光の同時照射を行うものとしているが、このように各レーザー光の焦点をずらして照射する目的は、前述したように、被接合ガラスが溶融し、且つ蒸発しない程度の抑制されたエネルギーを与えるためである。従って、代替手段としてはレーザー光の焦点をずらすことなく、レーザー光自体の照射パワーを所定レベルに低減することによっても同様の対応処置を採ることができる。即ち、図5のガラス接合手順においては、当該代替手段として、ステップS24において、レーザー光101及び102の照射パワーを低減する手法が適用されている。従って、図5の方法では、接合制御部1より出力されるレーザー光用制御信号103および105により制御されて、レーザー照射装置2および3のレーザー光101および102の照射パワーが、所定レベルに抑制される。図5の方法でも、図4の方法と同様に、ステップS24におけるレーザー光101,102により穴30の壁面に与えられるエネルギーは、ステップS13おけるレーザー光101,102により穴30の壁面に与えられるエネルギーより小さい。
【0046】
以上に挙げた本発明の実施の形態では、接合するガラス板は2枚であった。しかし、本発明による装置及び方法によれば、3枚又はそれ以上の枚数のガラスを密着して重ね、穴開け工程および内壁溶融工程を同様に行うことにより、接合でき、2枚を接合するときと同様な効果を得ることができる。図1の如く2枚のガラス板を接合するときには穴30は貫通穴となるが、3枚のガラス板を接合するときには、ステップS13で開ける穴は貫通穴である必要はない。3枚のガラス板を上下に重ねて接合するとき、上側と下側から穴を開け、それぞれの穴の底が中間のガラス板にまで至っておれば、ガラス板の各接合面が穴に臨むことになり、各穴に溶融部を形成することにより、3枚のガラス板を一体に接合できる。
【0047】
なお、以上に実施の形態を挙げ、本発明を具体的に説明したが、本発明がこの実施の形態に限定されるものでないことは勿論である。以上の実施の形態では、ガラス板6,7の厚さがともに0.5mmであった。しかし、本発明の方法によれば、両ガラス板の厚みが相違しても、両ガラス板を歪みなく接合できる。例えば、ガラス板6が16mmφ、0.5mm厚、ガラス7板がφ2mm、2mm厚であるとき、ガラス板6,7を接合した接合ガラス構造においてガラス板6,7が歪むことなく、その接合ガラス構造を加速度計の可動電極の部材とし、その加速度計を機器に搭載したとき、ガラス板6,7が剥がれたりすることはない。
【0048】
上述の実施の形態では、レーザー照射装置2及び3は全く同じ構造および機能を有し、出力のレーザー光101及び102は互いに等しいエネルギー特性を有するとしたが、レーザー光101及び102のエネルギー特性は必ずしも同じではなくても本発明は実施できる。少なくともガラスの接合面に至る深さの穴をレーザー光でガラス板に形成する本発明の方法では、ガラス板の縁にレーザー光を照射する従来のガラス接合方法に比べて、ガラスに曲げ応力を生じ難い。従って、互いに対向して照射するレーザー光のエネルギー特性が相違したとしても、ガラス板を熱応力で曲げてしまうおそれは比較的少ないのである。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、複数のガラス板を短時間に接合でき、耐熱温度が高く、ガラス板が剥離し難いガラス接合構造を生成でき、 複数のガラス板を正確な位置関係で歪なく接合できるガラスの接合方法及び装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラスホルダ5に嵌められたガラスに対する溶着手順を示す溶着ポイント近傍の部分断面図である。
【図2】本発明になるレーザー光によるガラス接合装置を概念的に示す図である。
【図3】図2の実施の形態の装置における構成を示すブロック図である。
【図4】本発明になるガラス接合方法の一例であって、図2の装置に適用する方法における処理の手順を示す流れ図である。
【図5】本発明になるガラス接合方法の別の例であって、図2の装置に適用する方法における処理の手順を示す流れ図である。
【図6】レーザー光による金属の接合方法を例示する概念図である。
【図7】接着剤によるガラス接合構造を示す断面図である。
【図8】レーザー光をガラス板に照射したときに該ガラスの表面部に形成される溶け込み部の例を示す断面図である。
【図9】レーザー光により従来の方法で2枚のガラス板を接合するときにガラスに歪が生じる様子を概念的に示す断面図である。
【図10】COレーザー装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 接合制御部
2,3 レーザー照射装置
4 X-Yステージ
5 ガラスホルダ
6,7,14,15,17,32,33 ガラス板
8,9,10,11 金属円筒
12,13 金属板
16 接着剤
17a 溶け込み部
20 ポンピング装置
21 完全反射鏡
22 部分反射鏡
23 レーザー媒質
24 ミラー
25 集束レンズ
26 集束レンズ可動手段
27 レーザー共振器
30 穴
40 溶融部
130 焦点
101,102,112,113,114,115,122 レーザー光
103,105 レーザー光用制御信号
104,106 動作データ
107 X−Yステージ用制御信号
108 X−Yステージ動作信号
109 被照射軸
110,111 溶着ポイント
116,117 熱応力
118 溶接ポイント
120 電気エネルギー

Claims (6)

  1. 接合対象の複数のガラス板を互いに板面を密着して重ね合わせることにより複数ガラス密着体を形成し、該複数ガラス密着体に対し該板面に垂直な方向からビーム状のレーザー光を照射し、該複数ガラス密着体におけるガラスの一部分を溶融し、溶融した該ガラスを固化させることにより、該接合対象の複数のガラスを接合する方法において、
    前記レーザー光は、光軸を共通にして互いに反対方向から前記複数ガラス密着体に照射され、該複数ガラス密着体の表面又はその近傍をそれぞれ焦点とする第1及び第2のレーザー光でなり、
    前記第1及び第2のレーザー光を前記複数ガラス密着体に同時に照射することにより、前記複数ガラス密着体に前記光軸方向の穴を開ける穴開け工程と、
    前記穴開け工程で開けられた穴の壁をなすガラスの表面に前記第1及び第2のレーザー光を同時に照射し、該表面及びその近傍を溶融する内壁溶融工程と、
    前記該第1及び第2のレーザー光の照射を停止して、前記複数ガラス密着体を冷却させ、前記内壁溶融工程で溶融したガラスを固化する溶融ガラス固化工程と
    を含むことを特徴とするガラス接合方法。
  2. 前記第1及び第2のレーザー光のエネルギー特性が互いに等しいことを特徴とする請求項1に記載のレーザー光によるガラス接合方法。
  3. 前記内壁溶融工程において前記内壁の表面に照射する第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度は、前記該穴開け工程において形成されつつある穴の側面に照射される前記第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度より低いことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス接合方法。
  4. 接合対象の複数のガラスを互いの板面を密着して重ね合わせ、該複数のガラスにおける溶着ポイントを該板面に垂直な1つの直線上に揃え、複数ガラス密着体を形成するように、該複数のガラスをガラス保持手段の所定位置にそれぞれ嵌める第1のステップと、
    第1及び第2のレーザー光をそれぞれ逆方向に出射する第1及び第2のレーザー照射手段の光軸を前記ガラス保持手段に嵌められた複数ガラス密着体における前記1つの直線上に合わせる第2のステップと、
    前記第1及び第2のレーザー光の焦点を前記1つの直線と前記複数ガラス密着体の表面との交点又はその近傍における該1つの直線上の点に合わせて、該第1及び第2のレーザー光を該複数ガラス密着体に同時に照射し、該複数ガラス密着体に該1つの直線を軸とする穴を形成する第3のステップと、
    前記第1及び第2のレーザー光の焦点を前記第3のステップにおける前記焦点からそれぞれずらして、該第1及び第2のレーザー光を所定の規定時間にわたって、同時に照射し、前記穴の内壁のガラスを溶融させる第4のステップと、
    前記該第1及び第2のレーザー光の照射を停止して、前記複数ガラス密着体を冷却させ、前記第4のステップで溶融させた前記ガラスを固化する第5のステップと
    を有することを特徴とするガラス接合方法。
  5. 接合対象の複数のガラスを互いの板面を密着して重ね合わせ、該複数のガラスにおける溶着ポイントを該板面に垂直な1つの直線上に揃え、複数ガラス密着体を形成するように、該複数のガラスをガラス保持手段の所定位置にそれぞれ嵌める第1のステップと、
    第1及び第2のレーザー光をそれぞれ逆方向に出射する第1及び第2のレーザー照射手段の光軸を前記ガラス保持手段に嵌められた複数ガラス密着体における前記1つの直線上に合わせる第2のステップと、
    前記第1及び第2のレーザー光の焦点を前記1つの直線と前記複数ガラス密着体の表面との交点又はその近傍における該1つの直線上の点に合わせて、該第1及び第2のレーザー光を該複数ガラス密着体に同時に照射し、該複数ガラス密着体に該1つの直線を軸とする穴を形成する第3のステップと、
    前記第1及び第2のレーザー光の出力のパワーを前記第3のステップにおける前記パワーより低減し、該第1及び第2のレーザー光を規定時間にわたって、同時に照射し、前記穴の内壁のガラスを溶融させる第4のステップと、
    前記該第1及び第2のレーザー光の照射を停止して、前記複数ガラス密着体を冷却させ、前記第4のステップで溶融させた前記ガラスを固化する第5のステップと
    を有することを特徴とするガラス接合方法。
  6. 複数のガラス板を互いの板面を密着して重ね合わせてなる複数ガラス密着体にレーザー光を照射し、該複数ガラス密着体を接合するガラス接合装置において、
    光軸を共通にし、互いに反対向きであって、かつ前記板面に垂直な方向から前記複数ガラス密着体に第1及び第2のレーザー光をそれぞれ照射する第1及び第2のレーザー照射装置と、
    前記第1及び第2のレーザー照射装置による前記第1及び第2のレーザー光の焦点並びにレーザー光のパワーを制御する接合制御手段と、
    前記複数ガラス密着体を保持する手段と、
    前記保持手段を搭載し、該保持手段の平面内位置を設定するX−Yステージとを備え、
    前記接合制御手段は、前記X−Yステージを制御し、前記複数ガラス密着体における接合ポイントを前記光軸に合わせ、
    また、前記接合制御手段は、前記第1及び第2のレーザー照射装置を制御し、第1及び第2のレーザー光の焦点を前記複数ガラス密着体の表面又はその近傍とし、該第1及び第2のレーザー光を前記複数ガラス密着体に同時に照射させることにより、前記複数ガラス密着体に前記光軸方向の穴を開け、該穴の壁をなすガラスの表面に前記第1及び第2のレーザー光を同時に照射させ、該表面及びその近傍を溶融し、
    前記穴の内壁を溶融する際に該内壁の表面に照射する第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度は、前記穴を開ける際に該穴の側面に照射される前記第1及び第2のレーザー光のエネルギー密度より低い
    ことを特徴とするガラス接合装置。
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