JP4172731B2 - 地中探査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中探査方法に係わり、更に詳しくは、反射音から地中の異物を探査するデータ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、トンネル工事等でシールド工法が広く用いられている。しかしシールド工法は、比較的地表に近いところで施工する場合も多いため、建築物の支柱やライフラインの配管などの埋設物を予め探査して回避する必要がある。そのため、シールド掘進機等の前方に位置する地中の異物を探知する手段が強く要望されている。
埋設物等の異物を探査する手段として、従来から弾性波探査法が知られている。この方法は、石油探査等により実用化されてきたものであり、インパルス音波を地中に放射し、地中に存在する異物からの反射波を受信する。そして、この反射信号に特殊な信号処理を施して、地中を映像化し異物の存在を明らかにするものである。
【0003】
しかし、比較的浅い地中を探査する場合、この方法ではSN比の悪さから良好な地下映像を得ることが困難である。そこで、SN比を改善する手段として、受信波の極性情報を利用する「特殊な極性相関法」が提案されている(例えば、音響学会講演論文集P1093−1094,1976.9,柿島慶之他)。以下、この特殊な極性相関法 (Special Polarity Correlation Processing method)をSPCP法又は単に従来の方法と呼ぶ。
【0004】
図5は、従来の方法(SPCP法)に適用する機器配置図であり、図6はこの方法によるデータ処理のフロー図である。図5に示すように、送受波器の配置は、送波器1を中心に左右対称に等間隔で受波器2(R1 〜R4 )を配列する。音源(送波器1)から地中に向けインパルス音波を放射し、その反射波を各受波器2により受信する。
【0005】
図6において、各受波器R1 〜R4 による受信信号は、アンプ(Amp)により増幅され、A/D変換された後、コンピュータに取り込まれる。取り込まれた受信信号は、初めに信号加算される。つまり、同一地点で例えば3回測定した受信信号を各受波器ごとに全て加算することにより、平均効果で受信信号のSN比を高め、これを各受波器の受信信号とする。
次に、探査位置を想定し、それに対応した遅延時間を遅延操作により各受信信号に与え、位相合成を行う。信号加算、遅延操作を行われた各受信信号は、振幅の項と極性の項に分けられる。振幅の項は、4つの信号の振幅を全て加算し絶対値をとる。極性の項は、4つの信号が全て同符号の場合のみを正とし、1つでも異符号が有れば負、1つでも零の信号があれば零と判定する極性弁別を行う。この弁別結果と振幅の項とを乗算し、正の出力のみを抽出し、これを最終出力とする。なお、5つ以上の受波器を用いる場合も同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の方法(SPCP法)は、比較的浅い地中の地下映像を得ることができるが、ロバルト性に乏しく、受波器の1つでも故障すると結果が全く出ないという欠点があった。すなわち、受波器の1つが故障し出力信号が零になると、他の受波器が正常であっても上述の極性弁別により零と判定されるため、地中探査が全くできなくなる問題点があった。
またこの方法では、受波器のセンサ開口より浅い深度では直接波の影響(直接波の重畳)が大きく、SN比の悪い地中映像となる問題点があった。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、複数の受波器の一部が故障しても地中探査が可能であり、かつ浅い深度でも直接波の影響を低減してSN比を改善することができる地中探査方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、地中に向けインパルス音波を放射し、4つ以上の受波器で同一箇所からの反射波を同時受信し、受信した4つ以上の反射信号を3つずつ組み合わせ、それぞれの振幅乗算と極性乗算を行い、振幅乗算と極性乗算の乗算結果の積をその組み合わせの出力とし、各組み合わせによる出力を加算し、その絶対値から地中の異物を探査する、ことを特徴とする地中探査方法が提案される。
【0009】
本発明の方法によれば、4つ以上(例えば6個)の受波器で同時受信した反射信号を3つずつ組み合わせて処理することで、ロバルト性が向上し、受信できない受波器があったとしても結果がでない事態を回避できる。すなわち、例えば6個の受波器の1つが故障により出力が零となっても、6つの信号を3つずつ組み合わせる組み合わせは20通り( 6C3 =20)あり、そのうち故障した受信器の信号が影響を及ぼす組み合わせは10通り( 5C3 =10)であるので、出力信号は若干低下するだげで正しい出力信号を得ることができる。
また、従来の方法(極性相関)では極性と振幅を加算処理していたが、本発明の方法では、振幅を乗算処理にするので、正規の反射波に対して微弱な雑音信号を低減することができ、SN比を向上することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記極性乗算で、極性が全て正の時は正、全て負の時は負、1つでも異符号や零の時は零とする。この方法により、極性が異符号となる雑音信号の影響をなくし、SN比を更に向上することができる。
なお、本発明の方法を適用した実験によりイメージ像の少ない地下映像が得られることが確認されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用する地中探査装置の模式図であり、図2は、本発明の地中探査方法に適用する信号処理方法のブロック図である。なお、本発明の信号処理方法を以下、相関合成法 (Amplitude Correclation Synthesia Processing Method)、又はACSP法と呼ぶ。
【0012】
図1に示すように、送受波器の配置は、送波器1を中心に左右対称に等間隔で受波器2を配列する。音源(送波器1)から地中に向けインパルス音波を放射し、その反射波を各受波器2(R1 〜R6 )により受信する。本発明では、4つ以上(この例では6個)の受波器2を用いて地中異物からの反射波を受信する。
図1において、各受波器2による受信信号は、アンプ3(Amp)により増幅され、A/D変換器4でA/D変換された後、コンピュータ5に取り込まれる。
【0013】
以下、本発明の方法(ACSP法)を図2との関連で説明する。
S1において、取り込まれた受信信号を初めに信号加算する。すなわち、同じ場所で複数回(例えば5回)測定した受信信号を各受波器2ごとに複数回(5回)加算し、1つの受信出力とする。これにより、平均化される。
次にS2において、このうち、3個の受信出力を取り出し、各受波器2での受信信号の最大値でそれぞれ振幅の大きさを規格化する。すなわち、各受信信号の振幅の大きさを統一するために拡散減衰の補正処理(数1)と受信信号の規格化処理(数2)を行う。
【0014】
【数1】
ここで、右辺は補正前のi番目の受波器の受信信号、左辺は補正後の同じ受信信号である。
【数2】
ここで、左辺Si (t) は規格化処理後のi番目の受波器の受信信号である。
【0015】
次にS3において、埋設物(異物)の位置を想定し遅延時間処理を行う。すなわち、各受波器2の位置に対応する反射波の到達時間を算出し、この時の振幅の値を次式(数3)で計算する。
【数3】
ここで、apiは任意の探査設定位置におけるi番目の受波器の受信振幅であり、rpoは探査設定位置と音源間の距離、rpiは探査設定位置とi番目の受波器間の距離、cは地中の縦波の音速である。
【0016】
次に、6個の受波器で同時受信した反射信号を3個ずつ組み合わせて振幅乗算(S4)を行うと同時に極性弁別(S5)も行い、更に極性の乗算(S6)を行う。極性の乗算は,極性が全て正の時は正、全て負の時は負、1つでも異符号や零の時は零とし、この極性の乗算結果と振幅の乗算結果との積(S7)をとり1つの組み合わせ出力とする。
次に、受信出力の組み合わせは20通りであるが両端(受波器のR1 ,R2 ,R3 とR4 ,R5 ,R6 )の2通りの組み合わせを除き、計18通りの組み合わせによる出力を加算し(S8)、その絶対値をとり最終出力とする(S9)。想定位置を探査エリアで走査することで地下映像が得られる。
【0017】
上述の信号処理方法を数式で表現すると以下(数4)のようになる。
【数4】
ここで、CM()は条件付き乗算、api, apj, apkは任意の探査設定位置における各受波器の受信振幅である。
【0018】
上述した本発明の地中探査方法(ACSP法)によれば、例えば6個の受波器で同時受信した反射信号を3つずつ組み合わせて処理することで、ロバルト性が向上し、受信できない受波器があったとしても結果がでない事態を回避できる。すなわち、例えば6個の受波器の1つが故障により出力が零となっても、6つの信号を3つずつ組み合わせる組み合わせは20通り( 6C3 =20)あり、そのうち故障した受信器の信号が影響を及ぼす組み合わせは10通り( 5C3 =10)であるので、出力信号は若干低下するだげで正しい出力信号を得ることができる。
また、従来の方法(極性相関)では極性と振幅を加算処理していたが、本発明の方法では、振幅を乗算処理にするので、正規の反射波に対して微弱な雑音信号を低減することができ、SN比を向上することができる。
【0019】
次に本発明の方法の実施例を説明する。
1.試験砂槽の概要
試験砂槽の寸法は、縦3m、横3m、深さ3mで、被探査物としてコンクリート(30cm×30cm×15cm)、鉄板(30cm×30cm×2.3mm)が地表面下1m地点に埋設されている。また、地表面下1m地点に音速測定用の受波器を埋設した。
【0020】
2.測定装置及び測定方法
図1に示した測定装置を使用した。地中探査用インパルス音源は、電磁誘導型送波器を使用し、受波器2には、加速度型受波器(TEAC社製のMODEL707)を6個用いた。また、加速度型受波器の代わりにジオホンを用いてもよい。埋設物の真上に音源を置き、これに対して、左右対称に50cm間隔で直線状に3個ずつ受波器を設置した。充電エネルギーは160J(C=80μF、V=2kV)一定とし、音源より放射される主周波数成分は、約460Hzである。6個の受波器で同時受信し、増幅器を通して得た信号をA/D変換してコンピュータに取り込んだ。
【0021】
3.探査結果
音速の測定を行い、砂槽中での音速を210m/sとした。次に、地表面下1m地点に埋設された鉄板及びコンクリートからの反射信号をSPCP法(従来方法)とACSP法(本発明の方法)で信号処理を施した結果を図3,図4に示す。図3,図4はそれぞれ鉄板とコンクリートを埋設物(異物)とする場合であり、(A)は従来方法、(B)は本発明の方法である。なお、図3,図4では、信号処理により得られた最終出力の大きさにより、大きい順に明るく表示した。すなわち、図中、白い部分に異物があることを示している。
図3及び図4から、鉄板とコンクリートのどちらでも従来方法(SPCP法)ではイメージ像が多いが、本発明の方法(ACSP法)ではエコー信号の乗算の結果があらわれ、イメージ像が制御され、比較的良好な地中映像となっていることがわかる。
【0022】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0023】
【発明の効果】
上述したように、受信出力の組み合わせを変えて振幅の乗算を行い、その結果を加算して映像出力とする本発明の方法(相関合成法又はACSP法)を用いて地中映像を作成すれば、イメージ像の少ない比較的良好な地中映像が作成できることがわかった。
すなわち、この方法を用いた本発明の地中探査方法は、複数の受波器の一部が故障しても地中探査が可能であり、かつ浅い深度でも直接波の影響を低減してSN比を改善することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する地中探査装置の模式図である。
【図2】本発明の地中探査方法に適用する信号処理方法のブロック図である。
【図3】本発明の方法を適用した地中映像の実施例である。
【図4】本発明の方法を適用した地中映像の別の実施例である。
【図5】従来の方法に適用する機器配置図である。
【図6】従来の方法によるデータ処理のフロー図である。
【符号の説明】
1 送波器
2 受波器
3 アンプ
4 A/D変換器
5 コンピュータ
Claims (2)
- 地中に向けインパルス音波を放射し、4つ以上の受波器で同一箇所からの反射波を同時受信し、受信した4つ以上の反射信号を3つずつ組み合わせ、それぞれの振幅乗算と極性乗算を行い、振幅乗算と極性乗算の乗算結果の積をその組み合わせの出力とし、各組み合わせによる出力を加算し、その絶対値から地中の異物を探査する、ことを特徴とする地中探査方法。
- 前記極性乗算で、極性が全て正の時は正、全て負の時は負、1つでも異符号や零の時は零とする、ことを特徴とする請求項1に記載の地中探査方法。
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1998
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