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JP4151813B2 - 歯列矯正用部材及びその製造方法 - Google Patents

歯列矯正用部材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は歯列矯正用部材及びその製造方法に関し、特にセラミックス製の歯列矯正用ブラケットに係合されるアーチワイヤの滑りや移動性を改良するために、アーチワイヤスロット内に設けられたライナーを備えた歯列矯正用部材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯列矯正治療においては、ブラケットと言われる小さな器具が患者の歯に固定される。過去において、このブラケットは、金属製が主流であったが、近年審美性改良のため、プラスティック材料、セラミックスなどの材料が開発されてきており、現在ではセラミックスを用いたブラケットが使用されるようになってきている。
【0003】
このブラケットの使用形態は、歯牙にブラケットを接着して固定し、歯列を矯正するべくブラケットに外力を付与するために、金属製アーチワイヤを、ブラケットに設けたアーチワイヤスロットに通し、かつ該アーチワイヤスロットとブラケットとを適宜結紮する。
【0004】
しかしながら、セラミックス製のブラケット、特に多結晶セラミックス製のブラケットの場合、金属製ブラケットに比べて、金属製のアーチワイヤの滑りが悪いという問題があった。
すなわち、多結晶セラミックスは、その多くは、アーチワイヤスロットをダイヤモンドブレードなどにより加工するので、このスロット加工によって、加工面に結晶粒が掘り起こされ、表面が粗くなって、アーチワイヤが滑らなくなる、という問題を抱えている。
【0005】
このようなセラミックス製のブラケットに対する金属製のアーチワイヤの滑りを改良するために、例えば、特開平7−313528号公報に記載されているような技術がある。
同公報に記載された技術は、“セラミックブラケットに設けられた溝に金属製のライナーを設けることによって、アーチワイヤスロットと金属製のアーチワイヤとの摩擦を金属同士の摩擦とすることができ、その滑り性能は金属製のブラケットと同等とすることができる”というものである。
【0006】
また、米国特許明細書第4、988、293号には、“非常に脆弱である単結晶アルミナからなるブラケットに多結晶の外周コート層を設けて、強度を補強する”という技術が開示されている。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
セラミックス製のブラケットは、上述の問題に加えてそれ自体が非常に硬いために、金属製のアーチワイヤがスロットの特に両端で摩擦とかじりを生じやすい。従って、金属製のブラケットに比べてアーチワイヤの滑りが極端に悪くなるという問題があった。
これは、アーチワイヤ上をブラケットが摺動しにくいことと同義であり、結果として歯体移動が進まず、矯正治療期間が長期化する問題があった。
【0008】
このような状況下において提案された上記特開平7−313528号公報に開示された金属製のブラケットの構成は、金属製ライナーを使用しているために、滑り性は良いものの審美的に劣るものであった。更に、セラミックスと金属を接合した構造においては、セラミックスと金属を接合することは技術的に難しく、金属製ライナーを有するブラケットは高価なものとなる問題があった。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、金属製アーチワイヤとセラミックス製のブラケットの滑りをよくすると共に、審美的にも優れた歯科矯正用部材とそれを容易に製造するための方法を提供することにある。
【0010】
【発明を解決するための手段】
本発明に係る歯列矯正用部材は、多結晶セラミックスからなるブラケットにアーチワイヤが係合するように構成された歯列矯正用部材であって、前記アーチワイヤが係合するために、前記ブラケットに形成されたアーチワイヤスロットにガラスライナーが設けられたことを特徴とし(請求項1)、これにより上記目的を達成することができる。
【0011】
本発明に係る上記歯列矯正用部材において、
・前記ガラスライナーが着色されていること(請求項2)、
・前記アーチワイヤスロットの両端面が面取り部を有するように構成されたこと(請求項3)、
・前記アーチワイヤスロットの底部の入角のR形状の曲率半径が0.03mm以上に構成されたこと(請求項4)、
を特徴とする。
【0012】
本発明に係る歯列矯正用部材の製造方法は、多結晶セラミックスからなるブラケットを用いて歯列矯正用部材を製造する方法であって、所望のアーチワイヤスロットよりも若干大きい溝を有するブラケットの該溝にガラスを入れた後、前記ガラスを溶かすことにより該ガラスが溝内壁を覆うようにし、該溝内壁を覆った前記ガラスを、該溝内壁に略沿う形状に加工することによりガラスライナーを形成することを特徴とし(請求項5)、これにより上記目的を達成することができる。
【0013】
本発明に係る上記歯列矯正用部材の製造方法において、
・前記ガラスを溶かした後の加工として、熱間プレス加工を用いること(請求項6)、
・前記ガラスを溶かした後の加工として、削り加工を用いること(請求項7)、
・予め前記溝の近遠心両端に該溝よりも大きい凹部を設けておき、前記ガラスを溶かす時に、前記凹部にもガラスが入り込むようにすること(請求項8)、
を特徴とする。
【0014】
(作用)
本発明に係る歯列矯正用部材によれば、多結晶セラミックスからなるブラケットにアーチワイヤが係合するように構成された歯列矯正用部材で、アーチワイヤが係合するために、ブラケットに形成されたアーチワイヤスロットにガラスライナーが設けられたので、金属製アーチワイヤとブラケットの間の滑り性が低下することがなく、また審美的にも優れている。また、ガラスライナーが設けられたことで、ガラスの方がセラミックスよりも応力切欠係数が低いので、アーチワイヤスロットの部分の強度が増し、特に、金属製アーチワイヤ(角形アーチワイヤ)によってブラケットにトルクが付与される場合における破折強度が向上する。(請求項1)
【0015】
本発明に係る上記歯列矯正用部材において、ガラスライナーが着色されている構成によれば、ガラスライナーの識別がしやすくなり、例えば、歯牙別に異なった着色をすることによって誤用を防ぐことができたり、また、着色によって歯面に位置決めしやすくなる。(請求項2)
【0016】
本発明に係る上記歯列矯正用部材において、アーチワイヤスロットの両端面が面取り部を有するように構成れば、アーチワイヤとアーチワイヤスロットの近遠心方向の両端との過度の摩擦やかじり現象を防止することができる。(請求項3)
【0017】
本発明に係る上記歯列矯正用部材において、アーチワイヤスロットの底部の入角(イリスミ)のR形状の曲率半径(R0)を0.05mm以上に構成したことで、アーチワイヤにトルクを付与した際に、その応力がアーチワイヤースロット面を介して、一部分に集中せずに分散することにより、歯列矯正用部材の破折強度が向上する。(請求項4)
【0018】
本発明に係る歯列矯正用部材の製造方法によれば、多結晶セラミックスからなるブラケットを用いて歯列矯正用部材を製造する方法で、アーチワイヤスロットよりも若干大きい溝を有するブラケットの該溝にガラスを入れた後、前記ガラスを溶かすことにより、溶融したガラスが毛管現象で溝内壁を覆うことで、化学的にガラスとセラミックスが結合することができ、また、溝内壁を覆った前記ガラスを、該溝内壁に略沿う形状に加工することでガラスライナーを形成することにより、金属製アーチワイヤとブラケットの間の滑り性が低下せず審美的にも優れている歯列矯正用部材を容易に製造することができる。(請求項5)
【0019】
また、本発明に係る上記歯列矯正用部材の製造方法において、ガラスを溶かした後の加工として、熱間プレス加工を用いる方法によれば、ライナー形成が極めて容易であり、大量生産に適した製法である。(請求項6)
【0020】
また、本発明に係る上記歯列矯正用部材の製造方法において、ガラスを溶かした後の加工として、削り加工を用いる方法によれば、ライナーの形状を、必要に応じて個別に加工できる。(請求項7)
【0021】
また、本発明に係る上記歯列矯正用部材の製造方法において、予め溝の近遠心両端に該溝よりも大きい凹部を設けておき、前記ガラスを溶かす時に、この凹部にもガラスが入り込むようにすることにより、近遠心両端の部分に丸みを有するライナーを形成しやすくできる。(請求項8)
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すものである。なお、図1の(a)は歯列矯正用部材1の上面図であり、図1の(b)は側面図である。
【0023】
図1の(a)および(b)に示す歯列矯正用部材は、多結晶セラミックスからなり、歯側底面9と反対側には、アーチワイヤ8を受容する近遠心方向に形成されたアーチワイヤスロット7および歯茎側及び咬合側に張出したタイウイング6が形成されたブラケット3である。このアーチワイヤスロット7には、該スロット7を覆うようにガラスライナー5が設けられている。
【0024】
このように構成されたブラケット3は、周知のごとく、ボンディングベース面である歯側底面9が歯牙10に接着剤にて固定される。そして、アーチワイヤスロット7に金属製のアーチワイヤ8を係合させ、かつリガッチャーワイヤ又はエラストメリックリガッチャーリング20によって、アーチワイヤスロット7とアーチワイヤ8とを結紮する。
【0025】
本実施形態においては、上述のように、セラミックス製のブラケット3のアーチワイヤスロット7にガラスライナー5が施されていることで、アーチワイヤ8とアーチワイヤスロット7の間の滑りが良い。また、ガラスライナー5であることにより、透明性があるので、審美的にも優れている。
【0026】
ガラスライナー5の厚み(t)は、特に限定するものではないが、例えば、およそ50μmとすることが好ましい。
本実施形態において、ブラケット3としての多結晶セラミックスは、好ましくは多結晶アルミナ(Al2O3)やジルコニア(ZrO2)から構成することができる。そして、このブラケット3は、光透過性(光を通すことができる)のものを用いることができる。
また、本実施形態におけるガラスライナー5としては、好ましくはシリカ(SiO2)を多く含んで形成される。
ガラスライナー5のガラスの種類としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、ほうけい酸ガラスなどを用いることができる。ガラスライナー5はアモルファスであるため、金属製のアーチワイヤ8の滑りが良い。
【0027】
また、ガラスライナー5としては、摩擦係数の小さいものが望ましく、例えば結晶化ガラスを用いることが出来る。この結晶化ガラスは、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化リチウム(Li2O3)、酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)などを主成分とし、一度ガラスとして形成されたものを再び加熱して、ガラスの中に結晶を析出させたもので、ガラスというよりも、むしろ石に近い性質を持たせることができ、摩擦係数を小さくすることができる。
【0028】
ガラスライナー5は、識別のために着色することも可能である。例えば、歯牙10別に着色することによって誤用を防ぐことができ、着色によって歯面に位置決めしやすくなり、着色したガラスライナー5が、アーチワイヤースロット7のガイドラインとして働く。
【0029】
本実施形態の変形例としては、図1の(c)に示すようなブラケット3cは、その歯側底面9がトルクインベース構造とすることができる。このトルクインベース構造は、アーチワイヤスロット7が形成された面に対して底面9がある一定の角度(アーチワイヤスロット7の深さ方向の中心線Gに直交する軸に対して傾斜角αをもっている。)を有するものである。すなわち、図1の(c)に示すような矩形断面の角形アーチワイヤ8が、ブラケット3cを歯面側へ押し付けるように付勢している状態で、歯牙に対して所望の方向に傾いた力を加えることができる(角形アーチワイヤ8がアーチワイヤスロット7の底面及び側面に当接してトルクを付与できる)。
【0030】
また、他の変形例としては、図1の(d)に示すトルクインフェース構造のように、アーチワイヤスロット7が歯側底面9に対してある一定の角度(アーチワイヤスロット7の深さ方向の中心線Gに直交する軸が底面9に対して傾斜角βをもっている。)を有するものである。この場合においても、角形アーチワイヤ8が、ブラケット3dを歯面側へ押し付けるように付勢している状態で、歯牙に対して所望の方向に傾いた力を加えることができる。
【0031】
次に、図2を参照して、本発明の歯列矯正用部材の製造方法を説明する。
なお、本明細書においては、ガラスライナーが形成された状態を、“アーチワイヤスロット7”と称し、ガラスライナーを形成する前の状態を、“溝11”と称する。
先ず、所望のアーチワイヤスロット7よりも若干大きめな溝11を有するブラケット3を用意する。
そのスロット11に、例えば700℃で予備成形したガラス棒13を入れる。ここで言う予備成形とは、別の金型を用いて断面矩形状のガラス棒を700℃加熱雰囲気中で予め作っておくことである。(図2の(a)参照)
【0032】
次に、ガラス棒13が溝11に入ったブラケット3を、1100℃還元雰囲気の中を通す。これにより、図2の(b)に示すように、ガラス棒13が溶けたガラス覆層13aが溝11の溝内壁を覆う。
その後、所望形状のプレスヘッド30を用いて、ガラス覆層13aを適宜押圧(矢印X方向の押圧)することにより、図2の(c)に示すように、所定の形状のガラスライナー5を連続的に形成することができる。
【0033】
また、他の加工方法としては、ガラス覆層13aが溝11の溝内壁を覆った後に、スロット内壁を覆ったガラス覆層13aを、より細かなダイヤモンドブレード(図示せず)などで整形加工することもできる。この加工方法の場合、所望の形状で精度の良いアーチワイヤスロット7を有するガラスライナー5を形成することができる。
さらに、アーチワイヤスロットの底部の入角(イリスミ)は、そのR形状の曲率半径(R0)が0.03mm以上に加工されている。したがって、アーチワイヤにトルクを付与した時に、その応力を適宜分散させることができ、上記R形状の無いブラケットに比べて破折強度が向上する。このR形状の曲率半径(R0)が0.03mm以下であると、応力の分散機能がさほど見られない。
【0034】
また、他の加工方法としては、例えば、図3の(a)に示すように、ブラケット3の溝11の両端に、予め溝11よりもひとまわり大きい凹部15を設ける。このような凹部15を設けることによって、図3の(b)に示すように、ガラスが溶けてスロット11の内壁を覆う際に、ガラスがこの凹部15に入り込み両端の面取り部17(丸みを有する面)を作ることができる。なお、図3の(c)の断面図(図3の(b)におけるA−A断面)にも示すように、両端の丸み形状は、スロット11の端縁全体にわたる構成である。
【0035】
この面取り部17は、上述の熱間プレス加工によって正確に形成することができ、切削等によって精度のよいものとすることができる。また、この面取り部17をラッピング等によって丸めても良い。なお、この面取り部17のR寸法は、例えば、0.05mm〜0.5mm程度とすることができる。
【0036】
また、本発明に係るブラケット3は、結晶粒径が10〜100μmの多結晶セラミックスからなるものであり、セラミック表面(溝11の表面)の結晶粒界にはガラス質(アモルファス部分)があるので、ガラスライナー5と多結晶セラミック表面との良好な接着を実現させるものである。したがって、ガラスライナーが設けられたことで、アーチワイヤスロットの部分の強度が増して破折強度が向上した。
【0037】
以下、実施例により、本発明の効果を明らかにすることができる。
(実施例1)
ブラケットの摩擦力についてテストした。
ガラスライナーを設けたブラケット(サンプル1、2および3)と、ガラスライナーのないブラケット(サンプル4、5および6)との摩擦力を比較した。
【0038】
・ 摩擦力テストの方法は、図4に示すように、ブラケット3を固定部材41に接着固定し、このブラケット3のアーチワイヤスロット内に、ステンレス製の角形アーチワイヤ8(0.018インチ×0.025インチ)を挿入し且つエラストメリックリガッチャーリング43を使用して結紮した状態とする。この状態において、チャック42により角形アーチワイヤ8をくわえ込んで引き抜くように操作して、この時の引き抜き力の変化を測定した。
【0039】
<テスト条件>
・ブラケットは、下顎前歯用ブラケット(AN)を使用した。
●引張り速度は、8mm/min。
●温度は37℃。
●湿潤状態。
このテスト結果を図5および図6の測定グラフに示す。
図5および図6から判るように、ガラスライナーを設けないブラケット(サンプル4〜6)は引き抜き抵抗(摩擦力)が175〜225gの範囲と大きく、また、抵抗(摩擦)変動線の上下振動(揺れ)も大きかったのに対して、ガラスライナーを設けた本発明に係るブラケット(サンプル1〜3)においては、引き抜き抵抗(摩擦力)が50〜100g程度と小さく、また、抵抗(摩擦)変動線の上下振動(揺れ)も少なかった。
【0040】
(実施例2)
ブラケットの破折強度(トルク破壊強度)についてテストした。
ガラスライナーのないブラケット(サンプル7および8)と、0.65mmの厚さのガラスライナーを設けたブラケット(サンプル9および10)に対して、角形アーチワイヤによって回転トルクを付与するテストをした。
【0041】
・角形アーチワイヤは、フルサイズのコバルトクロム合金線で0.018インチ(実際の角寸法は0.018インチ×0.025インチ)と0.022インチ(実際の角寸法は0.0215インチ×0.028インチ)の二種類ものを使用した。
・トルク試験機は、ブラケットを固定し、このブラケットのアーチワイヤスロット内に角形アーチワイヤを、両端を固定した状態で挿入し且つ結紮(エラストメリックリガッチャーリングを使用)した上で、該角形アーチワイヤの軸周りに回転トルクを加え、ブラケットのスロット下(スロット下側部分からボンディングベース側)が破壊(亀裂発生)したときのトルクを測定する。
【0042】
なお、比較サンプル7および実施サンプル9は、アーチワイヤスロット幅が0.018インチの下顎前歯用ブラケット(AN)を使用し、比較サンプル8および実施サンプル10は、アーチワイヤスロット幅が0.022インチの上顎犬歯用ブラケット(UCS)を使用した。
このテスト結果を表1に示す。表1から判るように、ガラスライナーを設けた本発明に係るブラケットは、ガラスライナーを設けないものに比べて約1.3〜1.5倍程度の強度を有していた。
【0043】
【表1】
Figure 0004151813
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る歯列矯正用部材によれば、セラミックス製のブラケットに設けられるアーチワイヤスロットにガラスライナーを施しているので、金属製アーチワイヤとブラケットの間の滑りが良いだけでなく、審美的にも優れている歯列矯正用部材とすることができる。さらに、ガラスライナーを設けたことにより、セラミックス製のブラケットの破折強度が向上するという効果を奏することができる。(請求項1)
また、ガラスライナーが着色されている構成によれば、ガラスライナーの識別がしやすくなり、例えば、歯牙別に異なった着色をすることによって誤用を防ぐことができたり、また、着色によって歯面に位置決めしやすく出来るなど、取り扱い性に優れた歯列矯正用部材を提供することができる。(請求項2)
【0045】
また、本発明に係る歯列矯正用部材において、アーチワイヤスロットの両端面が面取り部を有するように構成によれば、アーチワイヤとアーチワイヤスロットの近遠心方向の両端との過度の摩擦やかじり現象を防止することができるので、歯体移動が円滑に進み、矯正治療期間の短縮化を図ることのできる歯列矯正用部材を提供することができる。(請求項3)
【0046】
本発明に係る歯列矯正用部材によれば、アーチワイヤスロットの底部の入角のR形状の曲率半径(R0)が0.03mm以上に構成された場合には、アーチワイヤにトルクを付与した時の応力分散可能で破折強度が向上した歯列矯正用部材を提供することができる。(請求項4)
【0047】
本発明に係る歯列矯正用部材の製造方法によれば、ガラスの溶融と加工という容易な方法で、機能的にも審美的にも優れた歯列矯正用部材を製造することができる。(請求項5)
また、ガラスを溶かした後の加工として、熱間プレス加工を用いる方法によれば、ライナー形成が極めて容易であり、大量生産に適した歯列矯正用部材の製法を提供することができる。(請求項6)
【0048】
また、ガラスを溶かした後の加工として、削り加工を用いる方法によれば、ライナーの形状を、必要に応じて個別に加工でき、個々の矯正治療に対応できる歯列矯正用部材の製法を提供することができる。(請求項7)
【0049】
さらにまた、本発明に係る歯列矯正用部材の製造方法において、予め溝の近遠心両端に該溝よりも大きい凹部を設けておき、ガラスを溶かす時に、この凹部にもガラスが入り込むようにすることにより、近遠心両端の部分に丸みを有するライナーを形成しやすくでき、さらに滑り性の良好な歯列矯正用部材の製造方法を提供できる。(請求項8)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯列矯正用部材の実施形態の説明図である。(a)は該歯列矯正用部材の上面図、(b)は側面図を示し、(c)はトルクインベース構造、(d)はトルクインフェース構造を有する歯列矯正部材を示す横面図である。
【図2】本発明に係る歯列矯正用部材の製造方法の説明図である。
【図3】本発明に係る歯列矯正用部材の他の実施形態の説明図である。
【図4】本発明の実施例における摩擦抵抗の測定方法を示す概略図である。
【図5】実施例におけるサンプル1〜3の摩擦抵抗を示すグラフである。
【図6】実施例におけるサンプル4〜6の摩擦抵抗を示すグラフである。
【符号の説明】
3 ブラケット(歯列矯正用部材)
5 ガラスライナー
7 アーチワイヤスロット
9 歯側底面
11 溝
13 ガラス棒
15 凹部
17 面取り部

Claims (8)

  1. 多結晶セラミックスからなるブラケットにアーチワイヤが係合するように構成された歯列矯正用部材であって、前記アーチワイヤが係合するために、前記ブラケットに形成されたアーチワイヤスロットにガラスライナーが設けられたことを特徴とする歯列矯正用部材。
  2. 前記ガラスライナーが着色されていることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正用部材。
  3. 前記アーチワイヤスロットの両端面が面取り部を有するように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の歯列矯正用部材。
  4. 前記アーチワイヤスロットの底部の入角のR形状の曲率半径が0.03mm以上に構成されたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の歯列矯正用部材。
  5. 多結晶セラミックスからなるブラケットを用いて歯列矯正用部材を製造する方法であって、所望のアーチワイヤスロットよりも若干大きい溝を有するブラケットの該溝にガラスを入れた後、前記ガラスを溶かすことにより該ガラスが溝内壁を覆うようにし、該溝内壁を覆った前記ガラスを、該溝内壁に略沿う形状に加工することによりガラスライナーを形成することを特徴とする歯列矯正用部材の製造方法。
  6. 前記ガラスを溶かした後の加工として、熱間プレス加工を用いることを特徴とする請求項5の歯列矯正用部材の製造方法。
  7. 前記ガラスを溶かした後の加工として、削り加工を用いることを特徴とする請求項5の歯列矯正用部材の製造方法。
  8. 予め前記溝の近遠心両端に該溝よりも大きい凹部を設けておき、前記ガラスを溶かす時に、前記凹部にもガラスが入り込むようにすることを特徴とする請求項5から7の何れかに記載の歯列矯正用部材の製造方法。
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