JP4011236B2 - 水容器を用いた冷暖房構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は家屋等の建築構造物の床面或いは天井面を介して内部空間を冷暖房する構造に係り、特に水或いはこれに類する液体を充填した袋状の容器を用いる冷暖房構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
発明者等は水或いはこれに類する液体を充填した袋状の容器を家屋等の構造物の床面下部等に配置し、床面を介して室内空間を冷暖房する構造を提案している(特願平5−135178号、同5−19983号、同8−271357、同10−42981号等)。この冷暖房構造は次のような基本構成を有している。
【0003】
即ち、図10及び図11において、根太と称される仕切材52により構造物(家屋)の床面の下部に形成された一定の容積を有する空間内に袋状の水容器1がそれぞれ配置されている。これらの水容器1には例えば電気ヒータEH等の熱源が配置されている。暖房時には電気ヒータEH等の熱源からの熱は水容器1に伝達され、水容器1内の水Wはこの熱により循環流動して水容器1全体が均一に加熱され、この熱が床面を介して室内に伝達される。また加熱用の熱源の外に例えば冷水の通過するパイプ等を配置することにより夏期には冷房を行うことも可能である。
【0004】
上記構成の床冷暖房構造では、充填された水Wの循環流動により水容器1全体が均一に加熱或いは冷却されるため、加熱用熱源或いは冷却用熱源の何れも、水容器1に対して小型に形成することができる。また媒体が比熱の大きい水であるため、熱源の温度調整を頻繁に行うことなく室内を安定して冷暖房することが可能となる等、床面下部に電気ヒータや温水パイプ等を直接配置した構成に比較して冷暖房の効率及び経済性の何れについても優れた冷暖房構造を提供することが可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記水容器1を使用する冷暖房構造は上述のように多くの利点を有するが、例えば冬季に比較的長期間家を留守にする等して当該装置を長期間使用しない場合に水容器1内の水Wが凍結する可能性がある。水容器1を構成する材料は各種のフィルムを積層した強固な構造となっているため、水容器としての物理的強度には問題がないものの、充填されている水の凍結による体積の増加に対処する必要がある。
【0006】
発明者等はこの体積増加に対処する手段として図11に示すように、水を充填した時に、当該水容器1を収納した空間部において当該水容器1の上部に撓み部1aが形成されるような大きさに水容器を予め形成しておくようにしている(特願平8−271357の吸収部位3aに対応)。このように撓み部1aが形成されていると、水容器内部の水Wが凍結することによる体積の増加をこの撓み部1aにより形成された空間部が吸収することによって体積の増加にある程度対処することが可能となる。
【0007】
しかしながら、撓み部を大きく設定することは、水容器1の床51に対する接触面積を減少させることになり好ましいことではない。また例え水容器1のサイズをより大きくして撓み部1aにより形成される空間部を大きくしようとしても、水圧により撓み部が接触してしまい、撓み部1aの形成による空間部の大きさには限界がある。更に、撓み部1aの形成は水容器1の容量だけでなく、水容器1に注水する注水量によっても左右されるが、注水は建築現場で床を張る前に建築作業員によって実施されることが大半であり、適正な撓みを持たせるように注水量を微妙に調節することは困難である。もし仮に注水量が多すぎて撓み部1aが殆ど形成されていないと、水Wの氷結によって増加した体積により床面の変形などの問題も生じる可能性がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点に鑑み構成したものであって、水容器が収納される空間部に対して、或いは水容器内に直接に変形材を配置することにより、水の氷結による体積の増加を吸収する空間を確保する手段を設けたことを特徴とする水容器を用いた冷暖房構造である。
【0009】
【発明の実施の形態】
水容器を収納する空間と水容器との間にスポンジ状の部材、バネ材、或いは波板状の部材等変形と原形復帰が可能な部材を配置し、水の氷結による体積の増加をこれら部材の変形によって吸収するように構成する。またこの変形部材は水容器内に配置し、水容器内で変形するよう構成してもよい。
【0010】
水容器内の水が氷結すると氷結による体積増加分だけこの変形部部材は変形し、結局体積の増加分を吸収する空間が確保される。逆に水容器内で氷解が開始されると、体積の減少分だけ変形部材はもとに戻り、例えば水容器全体の体積の減少により水容器と床の裏面とが離間する等の問題が生じることはない。
【0011】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面を参考に具体的に説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す。図中、袋状水容器(以下単に「水容器」とする)1と床部下部支持部2との間にはスポンジ状の可撓性材料が変形材3として配置されている。水容器1内の水Wが凍結して体積が増加した場合にはその分可撓性材料3が変形することにより水容器1の体積増加分が吸収される。またこの変形材3は多孔質に形成されることにより、極めて高い断熱性を発揮することが可能となるため、水容器1内の熱を床部下部支持部2を介して無駄に放熱されるのを防止する断熱材として利用することも可能である。
【0012】
また図示の構成でも水容器1には撓み部1aが形成されているが、凍結による体積の増加分はあくまでも変形材3の変形により吸収するものであり、撓み部1aは水容器1自体が体積の増加に対応できる大きさに形成されていればよく、従って符号1a´のように撓み部を大きくとっておいてもよい。なお図示の水容器1は変形材との取り合わせ関係が明瞭に判るよう、電気ヒータ等発熱体が設置されていない部分の断面を示している。以下各実施例についても同様である。
【0013】
図2は第2の実施例を示す。
この実施例では変形材4として波板材が水容器1の両側と仕切り材52との間にそれぞれ配置されている。この構成では氷結による水容器1の変形は水容器1の両側方向に行われ、変形材4の波型が変形することにより、水容器1の膨張に対応する空間が確保される。また図示しないがこの変形材4を前記可撓性材料と同様に床部下部支持材2と水容器1との間に配置してもよいし、また可撓性材料である前記変形材3と併用するようにしてもよい。
【0014】
図3は第3の実施例を示す。
図中符号5は変形材であって、例えば図1に示す可撓性材料3のようににスポンジ状の多孔質の材料から形成されている。この変形材5は例えば水容器1の長手方向に位置する筒状に形成されたり、或いは複数個の独立した塊とし形成されている。この変形材5は床部下部支持部2と水容器1との間に配置されているため、袋として構成されている水容器1は変形材5が配置されることにより変形材配置部において変形材の外形に沿うようにして撓み部1bが形成されることになる。
【0015】
水Wの凍結による体積の増加はこの撓み部1bを介して変形材5が縮小変形することにより吸収される。即ち水容器1において撓み部1bが、内部体積の増加を吸収する余裕部となるため、この実施例では前記各実施例のように、別途撓み部1aを形成する必要はなく、水容器1の上面全体を床板51に密着するよう構成することが可能となる。
【0016】
図4は第4の実施例を示す。符号6は変形材であって、この変形材は前記した3つの実施例と相違して水容器1内に配置されている。図5の符号6Aはこの変形材6の構造を示す。変形材6は筒状、或いは複数のボール状に形成されたものが水容器1内に収納されている。変形材6はスポンジ状の多孔質の変形部6aと、この変形部6a全体を覆う防水皮膜6bとから構成されている。
【0017】
氷結による体積の増加はこの変形材が、体積の増加に対応して符号6Bのように収縮変形することにより吸収される。因みに、防水皮膜6aがない場合には変形部そのものに水が侵入してしまっているので体積膨張を吸収する作用は生じない。この実施例では水Wの中に変形部が配置されることにより水容器1内に体積膨張を吸収する空間部が確保されている。このため体積の膨張によって水容器1の表面積は増加せず、従って前記第3の実施例と同様、水容器1に撓み部1aを形成する必要はない。
【0018】
図6は第5の実施例を示す。この実施例では水容器1に対する注水量を低減することにより形成された空間部を体積の膨張を許容する空間として利用するものであって、図4の第4の実施例をより簡素化したものといえる。符号7は水容器1内の水Wの上部に形成された空間部を示す。この実施例においては床51に対する伝熱は水容器1内の空間部7を介して間接的に行われる。即ち水Wから気化した水蒸気が床51と密着する水容器上部において凝結して潜熱を放出する。つまり水蒸気が水Wと水容器上部との間を循環流動することによる潜熱の放出により床51に対して効率的に熱を供給することができる。また水Wの凍結による体積の増加はこの空間部7により吸収される。
【0019】
図7は第6の実施例を示し、水容器1の長手方向両端のうち少なくとも一方の端部に変形材を配置して体積膨張に対する空間部を確保するよう構成している。先ず図7(A)は水容器1の端部の両側縁と仕切材52との間に波板状の変形材8がそれぞれ配置されている。凍結による水容器全体の体積の膨張は、この水容器1の端部に集中し、変形材8はこの膨張に対応して変形し、水容器1全体の体積の膨張を許容する。因みに、水容器1内の水は瞬間的に凍結するものではなく、周囲の温度の低下に対応して、水Wの中に氷結部が形成され、内部の水が完全に氷結するまではシャーベット状の流動状態を確保しているので、水容器全体の体積の膨張はこの内部流体の流動により変形材8が配置されている空間部に集中することになる。
【0020】
同図(B)は変形材(符号9で示す)としてヘアピン状に屈曲させた板ばねを用いている。この変形材9を用いた構成では水容器1の体積の膨張によりヘアピン状の板ばねである変形材9が閉じ合わせる方向に屈曲変形することによって水容器1の膨張を許容する。
【0021】
図8は第7の実施例を示す。この実施例は図7(B)に示す構成の変形であって、変形材としてヘアピン状の板ばね(符号10で示す)が水容器1の端部と床部下部支持部2との間に介在配置されている。水容器1の体積の膨張はこのヘアピン状の板ばね10のうち水容器1の端部を支持している側が床部下部支持部2側に屈曲下降することにより許容される構成となっている。この実施例では水容器1の端部上面全体を床部51に密着させることができる。従って図7のように変形材8、9を配置することにより当該空間部が水容器1と床部51との非接触空間となることがなく、伝熱効率をその分高めることができる。
【0022】
図9は第8の実施例を示す。この実施例も前記図7(B)及び図8に示す実施例の変形例である。同図において、変形材として側面形状がヘアピン状に屈曲された板ばね(符号11で示す)が水容器1の長手方向側縁の少なくとも一部と仕切材52との間に介在配置されている。水容器1の体積の膨張はこの板ばね11のうち水容器1の側縁を支持している側が仕切材52側に屈曲することにより許容される構成となっている。この実施例の構成でも、前記実施例7の場合と同様に水容器1の上面全体を床部51に密着させることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上、各実施例により本発明を説明したように、本発明によれば内部に充填された水或いはこれと同効の流体が氷結することによる袋状水容器全体の体積の増加を、容積が一定の水容器収納空間において変形材の変形により吸収することが可能となるため、万一水容器内の水が凍結しても体積の膨張による床の変形、水容器の一部に対する応力集中による水容器の破損などの問題が生じることがなく、しかも非凍結時においても変形材が原形に復帰することにより水容器を床板等の伝熱対象に密着させるので、温暖地から寒冷地まで、また季節の如何を問わず高い効率でしかも安心して当該冷暖房構造を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す水容器と水容器収納空間との断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施例を示す水容器と水容器収納空間との断面図である。
【図3】 本発明の第3の実施例を示す水容器と水容器収納空間との断面図である。
【図4】 本発明の第4の実施例を示す水容器と水容器収納空間との断面図である。
【図5】 図4に示す実施例における変形材の変形状態を示す変形材断面図である。
【図6】 本発明の第5の実施例を示す水容器と水容器収納空間との断面図である。
【図7】 (A)及び(B)は本発明の第6の実施例を示す水容器と水容器収納空間との平面図である。
【図8】 本発明の第7の実施例を示す水容器と水容器収納空間との縦断面図である。
【図9】 本発明の第8の実施例を示す水容器と水容器収納空間との断面図である。
【図10】 家屋床面に於ける水容器の配置状態を示す床面下部の平面図である。
【図11】 図10のA−A線による断面図である。
【符号の説明】
1 水容器
2 床部下部支持部
3 変形材(多孔質可撓性材料)
4 変形材(波板材)
5 変形材
6 変形材(水中配置用)
7 水容器内空間部
8 変形材(水容器端部側縁配置型波板材)
9 変形材(水容器端部側縁配置型板ばね)
10 変形材(水容器端部下面配置型板ばね)
11 変形材(水容器側縁配置型板ばね)
51 床
52 仕切材
Claims (7)
- 袋状の水容器が床下空間等の容積が一定な空間部に配置され、特定の熱源の熱により内部の水が循環流動することによって水容器全体を介して床等の伝熱対象に対して伝熱するよう構成した冷暖房構造において、水容器と当該水容器配置空間の間には変形と原形復帰が可能な変形材が配置され、当該変形材により水容器と水容器配置空間との間に一定の空間が確保されるよう構成し、当該変形材の変形により水容器内の水の氷結時における水容器体積の増加の吸収、及び氷解後の水容器の体積減少時における前記伝熱対象に対する水容器の密着を確保するよう構成したことを特徴とする水容器を用いた冷暖房構造。
- 袋状の水容器が床下空間等の容積が一定な空間部に配置され、特定の熱源の熱により内部の水が循環流動することによって水容器全体を介して床等の伝熱対象に対して伝熱するよう構成した冷暖房構造において、水を充填した水容器内に変形と原形復帰が可能な変形材が収納され、当該変形材の変形により水容器内の水の氷結時における水容器体積の増加の吸収、及び氷解後の水容器の体積減少時における前記伝熱対象に対する水容器の密着を確保するよう構成したことを特徴とする水容器を用いた冷暖房構造。
- 変形材は水容器と当該水容器が収納されている空間部の底面との間及び/又は水容器と空間部側面との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の水容器を用いた冷暖房構造。
- 変形材は水容器長手方向の両端のうち少なくとも一方の端部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の水容器を用いた冷暖房構造。
- 変形材は水容器端部両側縁と水容器配置空間部の側壁との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の水容器を用いた冷暖房構造。
- 変形材は水容器端部下面部と水容器配置空間部の底面との間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の水容器を用いた冷暖房構造。
- 変形材は多孔質の変形部とこの変形部を覆う防水皮膜とから構成されていることを特徴とする請求項2記載の水容器を用いた冷暖房構造。
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