JP4005321B2 - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は頭部保護エアバッグ装置に係り、特に車室側部に車体前後方向にカーテン状に膨張展開するエアバッグ袋体を有する頭部保護エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車室側部に車体前後方向にカーテン状に膨張展開するエアバッグ袋体を有する頭部保護エアバッグ装置としては、特開2000−127886公報のように、エアバッグ袋体の前席用膨張室及び後席用膨張室の上部に車体前後方向に沿って軸状に延設されたガス流路内に、車体前後方向に沿って所定の間隔でガス出口穴が形成された布製のインナチューブを配設して、エアバッグ袋体の各膨張室に均等に膨張用ガスを供給しているものがある。このような頭部保護エアバッグ装置においては、エアバッグ袋体内に配設した布製のインナチューブをエアバッグ袋体と同時に折り畳むことができるので、収納スペースを小さくするのに有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような頭部保護エアバッグ装置においては、エアバッグ袋体が膨張展開する時に、ガス圧により折り畳まれているインナチューブを押し広げなければならない。また、インフレータのガス噴出口近傍では膨張用ガスの拡散力が強い。このため、インナチューブにおけるインフレータのガス噴出口近傍の内圧が一時的に極めて高くなり、インナチューブがダメージを受ける場合がある。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍のダメージを低減できる頭部保護エアバッグ装置を得ることが目的である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され前記膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有すると共に縫製によってチューブに形成されるインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、
前記インフレータのガス噴出口に連結され、先端部が前記インナチューブ内に突出し、前記インナチューブの軸線方向に沿って延び、前記インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、前記インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっている小径で短い高剛性のパイプと、
前記パイプの先端から噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向を前記インナチューブの縫製部と反対側に向かせる偏向手段と、
を有することを特徴とする。
【0006】
従って、インフレータが作動すると、インフレータからの膨張用ガスが、縫製によってチューブに形成されたインナチューブのガス出口穴を介してエアバッグ袋体の膨張室に供給され、エアバッグ袋体がカーテン状に展開して、乗員の頭部を保護する。この際、インナチューブ内に配設した小径で短く高剛性で、インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっているパイプにより、インフレータのガス噴出口から噴出す膨張用ガスが整流される。この結果、膨張用ガスにより折り畳まれたインナチューブを押し広げ易くなると共に、パイプの出口ではインフレータのガス噴出口に比べ膨張用ガスの拡散が弱まる。このため、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍の内圧が一時的に極めて高くなるのを防止できるのでインナチューブのダメージを低減できる。また、パイプが短いので、エアバッグ袋体の収納性を大幅に悪化させることも無い。更に、インナチューブの縫製部側には、ミシン目が存在するので破れに対する強度が弱いが、偏向手段により、パイプの先端から噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向をインナチューブの縫製部と反対側に向かせることにより、縫製部方向へのガス噴出量が抑制される。この結果、破れに対する強度が弱い縫製部側のダメージを効果的に低減できる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記偏向手段は、斜めにカットした前記パイプの先端であることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に記載の内容に加えて、パイプの先端を斜めにカットするだけの僅かな変更で破れに対する強度が弱い縫製部側のダメージを効果的に低減できる。
【0011】
請求項3記載の本発明は、エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され前記膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有するインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、
前記インフレータのガス噴出口に連結され、先端部が前記インナチューブ内に突出し、前記インナチューブの軸線方向に沿って延び、前記インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、前記インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっていると共に、搭載位置における前記インフレータの軸線と先端部の軸線とが上下方向にオフセットしており、且つ前記インフレータのガス噴出口近傍の部位に曲げ部を形成した小径で短い高剛性のパイプを有することを特徴とする。
【0012】
従って、インフレータが作動すると、インフレータからの膨張用ガスが、インナチューブのガス出口穴を介してエアバッグ袋体の膨張室に供給され、エアバッグ袋体がカーテン状に展開して、乗員の頭部を保護する。この際、インナチューブ内に配設した小径で短く高剛性で、インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっているパイプにより、インフレータのガス噴出口から噴出す膨張用ガスが整流される。この結果、膨張用ガスにより折り畳まれたインナチューブを押し広げ易くなると共に、パイプの出口ではインフレータのガス噴出口に比べ膨張用ガスの拡散が弱まる。このため、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍の内圧が一時的に極めて高くなるのを防止できるのでインナチューブのダメージを低減できる。また、パイプが短いので、エアバッグ袋体の収納性を大幅に悪化させることも無い。更に、搭載位置におけるインフレータの軸線とパイプ軸線とが上下方向にオフセットしており、一直線上にない場合は、パイプを途中で曲げると圧力の損失が大きくなり、エアバッグ袋体の膨張展開時間やエアバッグ袋体内圧の確保に不利になる。このため、パイプにおけるインフレータのガス噴出口近傍の部位に曲げ部を形成することで、パイプを曲げることによる圧力の損失を低減することができる。
【0015】
請求項4記載の本発明は、エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され前記膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有するインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、
前記インフレータから前記エアバッグ袋体のガス通路内に軸線方向に突出する小径で短い耐高圧可撓性チューブを設けると共に、該耐高圧可撓性チューブで前記インナチューブを外装し縮径したことを特徴とする。
【0016】
従って、インフレータが作動すると、インフレータからの膨張用ガスが、インナチューブのガス出口穴を介してエアバッグ袋体の膨張室に供給され、エアバッグ袋体がカーテン状に展開して、乗員の頭部を保護する。この際、インフレータからインナチューブ内に軸線方向に突出する小径で短い耐高圧可撓性チューブにより、インフレータのガス噴出口から噴出す膨張用ガスが整流される。この結果、膨張用ガスにより折り畳まれたインナチューブを押し広げ易くなると共に、耐高圧可撓性チューブの出口ではインフレータのガス噴出口に比べ膨張用ガスの拡散が弱まる。このため、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍の内圧が一時的に極めて高くなるのを防止できるのでインナチューブのダメージを低減できる。また、耐高圧可撓性チューブを用いたので平たく折り畳むことができるので、エアバッグ袋体の収納性の悪化を更に抑制することができる。更に、耐高圧可撓性チューブでインナチューブを外装し縮径したので、内側に位置するインナチューブによって、耐高圧可撓性チューブが膨張用ガスに直接晒されなくなる。この結果、耐高圧可撓性チューブの耐高温特性を下げることができるため、コストを低減できる。
【0017】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4の何れかに1項に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記小径で短いパイプまたは耐高圧可撓性チューブは、インフレータの噴出部外径より小さく、前記インナチューブにおける最もインフレータに近い側のガス出口穴を越えないことを特徴とする。
【0018】
従って、請求項1〜4の何れか1項に記載の内容に加えて、インナチューブにおける最もインフレータに近い側のガス出口穴にも膨張用ガスを確実に吹き込むことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明における頭部保護エアバッグ装置の第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0020】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0021】
図3に示される如く、本実施形態の頭部保護エアバッグ装置10は、側突又はロールオーバ状態を検出するためのセンサ12と、作動することによりガスを噴出するインフレータ14と、エアバッグ袋体16と、を主要構成要素として構成されている。センサ12は、例えば、センタピラー(Bピラー)18の下端部付近に配設されている。
【0022】
インフレータ14はクォータピラー(Cピラー)20に配設されており、インフレータ14は前述したセンサ12と接続されている。従って、センサ12が側突又はロールオーバ状態を検出すると、インフレータ14が作動するようになっている。
【0023】
エアバッグ袋体16は、インフレータ14から流入するガスによって、図3に二点鎖線で示す様に車室側面に沿って展開し、前席乗員19の頭部19A及び後席乗員の頭部を保護するようになっている。なお、エアバッグ袋体16は蛇腹状に折り畳まれて長尺状にされた上でフロントピラー(Aピラー)ガーニッシュ、ルーフヘッドライニング、Cピラーガーニッシュに跨がって収容されており、前端部16Aは、Aピラー22の傾斜部22Aの下部近傍に配置されている。また、エアバッグ袋体16における中間部16BはAピラー22、ルーフサイドレール28に沿って配置されている。
【0024】
図2に示される如く、エアバッグ袋体16は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって製造されており、上縁後端部16Cには、インフレータ14からの膨張用ガスをエアバッグ袋体16の内部に導く接続口29が形成されている。また、エアバッグ袋体16における前後両端部に形成した三角板状部16D、16Eの各先端上部、及びエアバッグ袋体16における中間部16Bの上縁部には取付孔30Aが形成された複数の取付部30が突出形成されている。
【0025】
インフレータ14のガス噴出口14Aには、接続口29の内側部に配設されたインナチューブ32の後端部32Aが連結されている。このインナチューブ32は、エアバッグ袋体16内の上縁部に形成されたガス通路16F内に長手方向、即ち、車体前後方向に沿って設けられており、インフレータ14と反対側となる前側先端部32Bが閉塞されている。なお、インナチューブ32は、ポリアミド糸やポリエステル糸を使用した布等で構成されている。
【0026】
インナチューブ32には、長手方向、即ち、車体前後方向に沿って所定の間隔でガス出口穴34が形成されており、各ガス出口穴34の下方には、前側三角板状部16D、縦棒状結合部16G、中央の矩形板状部16H、縦棒状結合部16G及び後側三角板状部16Eによって区画された複数の膨張室50、52、54、56、58、60、62、64が形成されており、前後方向中央部において隣接する膨張室56と膨張室58は、それぞれの下端部が連通部66によって連結されている。
【0027】
図1に示される如く、インフレータ14におけるガス噴出口14A側端部近傍の外周部にはインナチューブ32の軸線方向(車体前後方向)に沿って延び、インナチューブ32に比べ小径で短い高剛性(例えば金属製)のパイプ70における一方の端部(後端部)70Aが固定されている。なお、パイプ70は、インフレータ14の噴出部の外径より小さく、インナチューブ32における最もインフレータ14に近い側のガス出口穴34を越えない構成となっている。
【0028】
また、パイプ70における後端部70Aにはカシメにより周方向に沿って係合凸部72、74が形成されており、これらの係合凸部72、74がインフレータ14の外周部に形成された鍔部76と凹部78にそれぞれ係合している。これらの係合凸部72、74は、インフレータ14に対する位置決めの他に、エアバッグ袋体膨張時におけるパイプ70の前方(インフレータ70から離れる方向)への抜け止めとなっている。また、係合凸部72の前方側に隣接する大径部75は、エアバッグ袋体膨張時におけるインナチューブ32及びエアバッグ袋体16の前方(インフレータ70から離れる方向)への抜け止めとなっている。更に、係合凸部72はインナチューブ32及びエアバッグ袋体16をクランプする際に、対応するパイプ70における後端部70Aが局部的に変形するのを防止する役目もある。
【0029】
また、インフレータ14におけるガス噴出口14Aに隣接する部位14Bとパイプ70の内周部との間には、シール部材80が挟持されている。なお、パイプ70は、インフレータ14のガス噴出口14Aの外周部となる部位70Bに比べその先端部70Cが細くなっている。
【0030】
また、パイプ70の後端部70Aの外周部には、インナチューブ32の後側先端部32Aがクランプ82によってクランプされており、クランプ82によって、エアバッグ袋体16の上縁後端部近傍も同時にクランプされている。
【0031】
なお、インナチューブ32の内径R1が50mm、パイプ70の内径R2が10mmの場合に、パイプ70の先端部70Cの長さL1を10mm〜150mmとして試験した結果、インナチューブ32の外径よりクランプ径R3が小さい場合、インナチューブ32が確実に広がるには、パイプ70の先端出口70Dからインナチューブ32のクランプ位置までの長さL2を80mm以上とする必要がある。また、パイプ70の長さは、インナチューブ32の内径R1、パイプ70の内径R2及びクランプ径R3の関係によって変動し、インナチューブ32の内径R1が小さいほど長く、インナチューブ32の内径R1が大きいほど短くする必要がある。更に、パイプ70の先端70Dが、インナチューブ32における最もインフレータ14に近い側のガス出口穴34を越えると、このガス出口穴34の下方にあるエアバッグ袋体16における最もインフレータ側の膨張室64の展開が遅れる(なお、膨張室64の下部を隣接する前方の膨張室62に連通させた場合には膨張室64の展開が遅れるのを防止できる)。このため、パイプ70の先端70Dは、インナチューブ32における最もインフレータ14に近い側のガス出口穴34を越えない位置とすることが好ましい。
【0032】
具体的には、インナチューブ32の内径R1が30mm以上の場合には、パイプ70の内径R2をR1の1/3以下、例えば8〜15mmとすると共に、パイプ70の先端部70Cの長さL1を50mm以上とし、パイプ70の先端出口70Dからインナチューブ32のクランプ位置までの長さL2を80mm以上とする。
【0033】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0034】
本実施形態では、インフレータ14が作動すると、インフレータ14からの膨張用ガスが、図2に矢印Wで示されるように、インナチューブ32内を通り、各ガス出口穴34を介してエアバッグ袋体16の各膨張室50、52、54、56、58、60、62、64に供給される。この結果、エアバッグ袋体16が図3に二点鎖線で示すようにカーテン状に展開して、乗員19の頭部19Aを保護する。
【0035】
この際、インナチューブ32内に配設した高剛性のパイプ70により、インフレータ14におけるガス噴出口14Aから噴出した膨張用ガス(図1の矢印W1)が整流される。この結果、膨張用ガスにより折り畳まれたインナチューブ32を押し広げ易くなると共に、パイプ70の出口70Dでは、インフレータ14のガス噴出口14Aに比べ膨張用ガス(図1の矢印W2)の拡散が弱まる。このため、インナチューブ32におけるパイプ70の出口70D近傍の内圧が一時的に極めて高くなるのを防止できるのでインナチューブ32のダメージを低減できる。
【0036】
また、高剛性としたパイプ70の長さ、特に、インフレータ14におけるガス噴出口14Aからの突出長L1がインナチューブ32に比べで短いので、エアバッグ袋体16の収納性を大幅に悪化させることも無い。
【0037】
次に、本発明の頭部保護エアバッグ装置の第2実施形態を図4及び図5に従って説明する。
【0038】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図5に示される如く、本実施形態では、インナチューブ32の縫製部84が、頭部保護エアバッグ装置10を車体に配設した状態でパイプ70に対して上方に形成されている。また、図4に示される如く、パイプ70の先端出口70Dには、偏向手段としてのカット部86が形成されている。
【0040】
このカット部86は、パイプ70を先端上部70Eから先端下部70Fへ向かって斜めにカットしており、パイプ70の先端出口70Dから噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向(図4の矢印W3)をインナチューブ32の縫製部84と反対側、即ち、斜め下方に向かせるようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加えて、以下の作用効果がある。即ち、インナチューブ32の縫製部84側は、ミシン目が存在するので破れに対する強度が弱い。このため、パイプ70の先端出口70Dに形成したカット部86により、パイプ70の先端出口70Dから噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向(図4の矢印W3)をインナチューブ32の縫製部84と反対側、即ち、斜め下方に向かせる。この結果、縫製部84方向(図4の矢印W4方向)へのガス噴出量が、下方(図4の矢印W5方向)へのガス噴出量に比べ抑制される。このため、破れに対する強度が弱い縫製部84側のダメージを効果的に低減できる。
【0043】
また、本実施形態では、パイプ70の先端出口70Dを斜めにカットするだけの僅かな変更で済む。
【0044】
なお、本実施形態では、パイプ70の先端出口70Dに、偏向手段としてのカット部86を形成したが、偏向手段はカット部86に限定されず、パイプ70の先端出口70Dから噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向をインナチューブ32の縫製部84と反対側に向かせることができれば、偏向板等の他の構成としても良い。
【0045】
次に、本発明の頭部保護エアバッグ装置の第3実施形態を図6に従って説明する。
【0046】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図6に示される如く、本実施形態では、車体への搭載位置におけるインフレータ14の軸線S1と、パイプ70における先端部70Cの軸線S2とが上下方向にオフセットしており、このオフセットを補足するためパイプ70に曲げ部87が形成されている。また、パイプ70の曲げ部87はインフレータ14のガス噴出口14Aの近傍に形成されている。
【0048】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0049】
搭載位置におけるインフレータ14の軸線S1とパイプ70における先端部70Cの軸線S2とが上下方向にオフセットしており、一直線上にない場合には、パイプ70を折り曲げる必要がある。そこで、例えば、図7に示された比較例のように、パイプ70における先端部70Cの前後方向中間部に曲げ部88を設定することが考えられるが、この場合には、膨張用ガスを噴出する際に、曲げ部88での圧力の損失が大きくなり、エアバッグ袋体16の膨張展開時間やエアバッグ袋体16の内圧の確保に不利になる。
【0050】
これに対して、本実施形態では、図6に示される如く、インフレータ14のガス噴出口14Aの近傍にパイプ70の曲げ部87を形成している。この結果、膨張用ガスを噴出する場合に、曲げ部87での圧力の損失が、図7の比較例に比べて小さくなり、パイプ70を曲げることによる圧力の損失を低減することができる。このため、エアバッグ袋体16の膨張展開時間やエアバッグ袋体16の内圧の確保に有利となる。なお、曲げ部87はインフレータ14のガス噴出口14Aから20mm以内(L3≦20mm)であれば、オフセット無しのパイプの場合と圧力損失の程度が殆ど変わらないため、好ましい。
【0051】
次に、本発明の頭部保護エアバッグ装置の第4実施形態を図8に従って説明する。
【0052】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図8に示される如く、本実施形態では、第1実施形態におけるインナチューブ32に比べ小径で短い高剛性(例えば金属製)のパイプ70に代えて、インフレータ14からインナチューブ32内に軸線方向に突出する小径で短い耐高圧可撓性チューブとしての耐高圧ゴムチューブ90が配設されている。なお、耐高圧ゴムチューブ90は、インフレータ14の噴出部の外径より小さく、インナチューブ32における最もインフレータ14に近い側のガス出口穴34を越えない構成となっている。
【0054】
また、この耐高圧ゴムチューブ90における一方の端部(後端部)90Aは、インフレータ14におけるガス噴出口14A側端部近傍の外周部に固定されており、耐高圧ゴムチューブ90の後端部90Aの外周部には、インナチューブ32の後側先端部32Aがクランプ82によってクランプされており、クランプ82によって、エアバッグ袋体16の上縁後端部近傍も同時にクランプされている。なお、耐高圧ゴムチューブ90は、繊維補強されたゴムないし熱可塑性プラスッチクのホースを押出し成形後、所定長に裁断し、一端を拡径して製造されるものである。
【0055】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0056】
本実施形態では、インフレータ14が作動すると、インフレータ14からの膨張用ガスが、図2に矢印Wで示されるように、インナチューブ32内を通り、各ガス出口穴34を介してエアバッグ袋体16の各膨張室50、52、54、56、58、60、62、64に供給される。この結果、エアバッグ袋体16が図3に二点鎖線で示すようにカーテン状に展開して、乗員19の頭部19Aを保護する。
【0057】
この際、インナチューブ32内に配設した耐高圧ゴムチューブ90により、インフレータ14におけるガス噴出口14Aから噴出した膨張用ガス(図8の矢印W1)が整流される。この結果、膨張用ガスにより折り畳まれたインナチューブ32を押し広げ易くなると共に、耐高圧ゴムチューブ90の出口90Bでは、インフレータ14のガス噴出口14Aに比べ膨張用ガス(図8の矢印W2)の拡散が弱まる。このため、インナチューブ32における耐高圧ゴムチューブ90の出口90B近傍の内圧が一時的に極めて高くなるのを防止できるのでインナチューブ32のダメージを低減できる。
【0058】
また、耐高圧ゴムチューブ90を用いたので、耐高圧ゴムチューブ90自体を平たく折り畳むことができるので、エアバッグ袋体16の収納性の悪化を更に抑制することができる。
【0059】
次に、本発明の頭部保護エアバッグ装置の第5実施形態を図9に従って説明する。
【0060】
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
図9に示される如く、本実施形態では、第1実施形態におけるインナチューブ32に比べ小径で短い高剛性(例えば金属製)のパイプ70に代えて、インフレータ14からインナチューブ32内に軸線方向に突出する小径で短い耐高圧ゴムチューブ90が配設されている。なお、耐高圧ゴムチューブ90は、インフレータ14の噴出部の外径より小さく、インナチューブ32における最もインフレータ14に近い側のガス出口穴34を越えない構成となっている。
【0062】
また、この耐高圧ゴムチューブ90における一方の端部(後端部)90Aは、インフレータ14におけるガス噴出口14A側端部近傍の外周部に固定されており、耐高圧ゴムチューブ90の後端部90Aの内周部には、インナチューブ32の後側先端部32Aがクランプ82によってクランプされている。また、耐高圧ゴムチューブ90の後端部90Aの外周部には、エアバッグ袋体16の上縁後端部近傍が、クランプ82によって同時にクランプされている。
【0063】
従って、本実施形態では、高圧ゴムチューブ90の先端部90Cによって、インナチューブ32におけるインフレータ14近傍の部位32Cを外装し、この部位32Cを縮径している。なお、耐高圧ゴムチューブ90は、繊維補強されたゴムないし熱可塑性プラスッチクのホースを押出し成形後、所定長に裁断し、一端を拡径して製造されるものである。
【0064】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0065】
本実施形態では、インフレータ14が作動すると、インフレータ14からの膨張用ガスが、図2に矢印Wで示されるように、インナチューブ32内を通り、各ガス出口穴34を介してエアバッグ袋体16の各膨張室50、52、54、56、58、60、62、64に供給される。この結果、エアバッグ袋体16が図3に二点鎖線で示すようにカーテン状に展開して、乗員19の頭部19Aを保護する。
【0066】
この際、高圧ゴムチューブ90の先端部90Cによって、インナチューブ32におけるインフレータ14近傍の部位32Cを外装し、この部位32Cを縮径しているため、インフレータ14におけるガス噴出口14Aから噴出した膨張用ガス(図9の矢印W1)が整流される。この結果、膨張用ガスにより折り畳まれたインナチューブ32を押し広げ易くなると共に、耐高圧ゴムチューブ90の出口90Bでは、インフレータ14のガス噴出口14Aに比べ膨張用ガス(図9の矢印W2)の拡散が弱まる。このため、インナチューブ32における耐高圧ゴムチューブ90の出口90B近傍の内圧が一時的に極めて高くなるのを防止できるのでインナチューブ32のダメージを低減できる。
【0067】
また、耐高圧ゴムチューブ90を用いたので、耐高圧ゴムチューブ90自体を平たく折り畳むことができるので、エアバッグ袋体16の収納性の悪化を更に抑制することができる。
【0068】
更に、耐高圧ゴムチューブ90でインナチューブ32を外装し縮径したので、内側に位置するインナチューブ32によって、耐高圧ゴムチューブ90がインフレータ14からの膨張用ガスに直接晒されなくなる。この結果、耐高圧ゴムチューブ90の耐高温特性を下げることができるため、コストを低減できる。
【0069】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、図2に示される如く、インナチューブ32の軸線に沿ってインフレータ14を車体前後方向に沿って配設したが、これに代えて、図10に示される如く、インフレータ14を例えばCピラー(クォータピラー)に車両後方側を下方へ傾斜させて搭載した場合にも、パイプ70を上方へ延設し前方へ折り曲げることで対応可能である。即ち、パイプ70をこのように折り曲げても、図1に示されるL1、L2の寸法関係を満足すれば、膨張ガスの圧力損失を小さく抑えながらインナチューブ32におけるインフレータ14からのガス噴出口近傍のダメージを低減できる。また、パイプ70をこのように折り曲げることでインフレータ14の搭載位置の自由度が大きくなり、車体形状に対応した搭載が可能になる。
【0070】
また、本発明は、図11に示される如く、エアバッグ袋体16の上端縁部における前後方向中央部、即ち、インナチューブ32の前後方向中央部にインフレータ14が連結され、インナチューブ32の後側先端部32Aと前側先端部32Bとの双方が閉塞されている頭部保護エアバッグ装置にも適用可能である。
【0071】
この場合には、例えば、インフレータ14をルーフサイドレール28の中央部等に搭載し、パイプ70を逆T字状(または逆J字状)に形成することで対応可能である。即ち、パイプ70をこのような形状にしても、パイプ70とエアバッグ袋体16の前席用膨張部及び後席用膨張部との各連結部におけるL1、L2の寸法関係が、図1に示されるL1、L2の寸法関係を満足すれば、膨張ガスの圧力損失を小さく抑えながらインナチューブ32におけるインフレータ14からのガス噴出口近傍のダメージを低減できる。また、パイプ70をこのような形状にすることで、エアバッグ袋体16の前席用膨張部及び後席用膨張部との双方に短時間にガスを供給できる。
【0072】
また、本発明は、Aピラー等の他の部位にインフレータ14を配設した頭部保護エアバッグ装置にも適用可能である。
【0073】
また、本発明の頭部保護エアバッグ装置は、3列以上のシートを有する車両にも適用可能である。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明は、エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有すると共に縫製によってチューブに形成されるインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、インフレータのガス噴出口に連結され、先端部がインナチューブ内に突出し、インナチューブの軸線方向に沿って延び、インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっている小径で短い高剛性のパイプと、パイプの先端から噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向をインナチューブの縫製部と反対側に向かせる偏向手段と、を有するため、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍のダメージを低減できるという優れた効果を有する。また、破れに対する強度が弱い縫製部側のダメージを効果的に低減できるという優れた効果を有する。
【0076】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記偏向手段は、斜めにカットしたパイプの先端であるため、僅かな変更で破れに対する強度が弱い縫製部側のダメージを効果的に低減できるという優れた効果を有する。
【0077】
請求項3記載の本発明は、エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、ガス通路内に配設され膨張用ガスを膨張室に供給する可撓性を有するインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、インフレータのガス噴出口に連結され、先端部がインナチューブ内に突出し、インナチューブの軸線方向に沿って延び、インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっていると共に、搭載位置におけるインフレータの軸線と先端部の軸線とが上下方向にオフセットしており、且つインフレータのガス噴出口近傍の部位に曲げ部を形成した小径で短い高剛性のパイプを有するため、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍のダメージを低減できるという優れた効果を有する。また、パイプを曲げることによる圧力の損失を低減することができるという優れた効果を有する。
【0079】
請求項4記載の本発明は、エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、ガス通路内に配設され膨張用ガスを膨張室に供給する可撓性を有するインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、インフレータからエアバッグ袋体のガス通路内に軸線方向に突出する小径で短い耐高圧可撓性チューブを設けると共に、耐高圧可撓性チューブでインナチューブを外装し縮径したため、インナチューブにおけるインフレータからのガス噴出口近傍のダメージを低減できると共にエアバッグ袋体の収納性の悪化を更に抑制することができるという優れた効果を有する。更に、耐高圧可撓性チューブの耐高温特性を下げることができるため、コストを低減できるという優れた効果を有する。
【0080】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置において、小径で短いパイプまたは耐高圧可撓性チューブは、インフレータの噴出部外径より小さく、インナチューブにおける最もインフレータに近い側のガス出口穴を越えないため、請求項1〜4の何れか1項に記載の効果に加えて、インナチューブにおける最もインフレータに近い側のガス出口穴にも膨張用ガスを確実に吹き込むことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置における要部を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグ袋体を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置を示す概略側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置における要部を示す側断面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置における要部を示す側断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の比較例に係る頭部保護エアバッグ装置における要部を示す側断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置における要部を示す側断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置における要部を示す側断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグ袋体を示す側面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置におけるエアバッグ袋体を示す側面図である。
【符号の説明】
10 頭部保護エアバッグ装置
14 インフレータ
16 エアバッグ袋体
18 センタピラー(Bピラー)
20 クオータピラー(Cピラー)
32 インナチューブ
70 パイプ
84 インナチューブの縫製部
86 パイプのカット部(偏向手段)
87 パイプの曲げ部
90 耐高圧ゴムチューブ(耐高圧可撓性チューブ)
Claims (5)
- エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され前記膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有すると共に縫製によってチューブに形成されるインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、
前記インフレータのガス噴出口に連結され、先端部が前記インナチューブ内に突出し、前記インナチューブの軸線方向に沿って延び、前記インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、前記インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっている小径で短い高剛性のパイプと、
前記パイプの先端から噴き出す膨張用ガスの噴き出し方向を前記インナチューブの縫製部と反対側に向かせる偏向手段と、
を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - 前記偏向手段は、斜めにカットした前記パイプの先端であることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
- エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され前記膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有するインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、
前記インフレータのガス噴出口に連結され、先端部が前記インナチューブ内に突出し、前記インナチューブの軸線方向に沿って延び、前記インフレータのガス噴出口の外周側となる部位の端部とその先端のみが開口され、前記インフレータのガス噴出口の外周部となる部位に比べその先端部が細くなっていると共に、搭載位置における前記インフレータの軸線と先端部の軸線とが上下方向にオフセットしており、且つ前記インフレータのガス噴出口近傍の部位に曲げ部を形成した小径で短い高剛性のパイプを有することを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - エアバッグ袋体内に膨張用ガスを噴出するインフレータと、乗員の頭部を保護する膨張室と該膨張室の上に連通して形成された車体前後方向に延びるガス通路と、該ガス通路内に配設され前記膨張用ガスを前記膨張室に供給する可撓性を有するインナチューブと、を備えた頭部保護エアバッグ装置において、
前記インフレータから前記エアバッグ袋体のガス通路内に軸線方向に突出する小径で短い耐高圧可撓性チューブを設けると共に、該耐高圧可撓性チューブで前記インナチューブを外装し縮径したことを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。 - 前記小径で短いパイプまたは耐高圧可撓性チューブは、インフレータの噴出部外径より小さく、前記インナチューブにおける最もインフレータに近い側のガス出口穴を越えないことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。
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