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JP4087051B2 - 微孔質陽極酸化皮膜を備えたフィン材用アルミニウム材及びフィン材 - Google Patents

微孔質陽極酸化皮膜を備えたフィン材用アルミニウム材及びフィン材 Download PDF

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JP4087051B2
JP4087051B2 JP2000379382A JP2000379382A JP4087051B2 JP 4087051 B2 JP4087051 B2 JP 4087051B2 JP 2000379382 A JP2000379382 A JP 2000379382A JP 2000379382 A JP2000379382 A JP 2000379382A JP 4087051 B2 JP4087051 B2 JP 4087051B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基材に対する優れた密着性を有し、ガス放出性にも優れたアルミニウム材とフィン材に関する。
【0002 】
【従来の技術】
真空機器における真空チャンバーの表面材として、従来からステンレス鋼製のものが広く用いられてきたものの、ステンレス鋼材は比重が大きく重量があること、熱伝導性が悪いこと、真空雰囲気において表面からガス放出性が高いこと等の理由から、アルミニウム材あるいはアルミニウム合金材を適用しようとする試みがなされている。
しかしながら、アルミニウム材はMBE装置等でGaAsなどの半導体膜を形成する場合等、腐食性のエッチングガスに曝されると腐食し易い問題があり、この問題を解決するために硫酸電解液中で陽極酸化皮膜(いわゆるアルマイト皮膜)を形成しておくことが提案されている。ところが、この種、通常の陽極酸化皮膜は多孔質の膜であり、表面に無数の微細な孔を有することから、この微細孔内に存在している成分がガスとなって真空中に放出されるので、陽極酸化皮膜を備えたアルミニウム材で真空チャンバーを製造すると、ガス放出性に問題を生じるおそれがある。
【0003 】
ここで例えば陽極酸化皮膜においては無孔質と多孔質のものが知られている。このうち、多孔質の陽極酸化皮膜にあっては、アルミニウム板の表面部分に形成される無孔質のバリア層の上に多孔質層が成長されてなるもので、陽極酸化皮膜の表面を見た場合に、孔のあいている面積を全面積で除算した値が空孔率として知られ、通常の多孔質の陽極酸化皮膜においては空孔率として60〜70%程度のものが広く用いられている。
また、この種の多孔質陽極酸化皮膜にあっては、多孔質層の孔を塞ぐ目的で熱水蒸気にさらす封孔処理が施されている。このように熱水にさらすことで、多孔質層を部分的に水和して多孔質層を膨潤させることで孔を塞ぐことができるとされている。また、場合によっては熱水にニッケルやコバルトの酢酸塩やクロム酸塩を添加してこれら金属の水和物を孔中に析出させて封孔効果を助長することもなされている。
【0004 】
しかしながら、これらの封孔処理によって処理された多孔質陽極酸化皮膜にあっては封孔部分に水分や他の成分イオンなどが残留した状態となっているので、多孔質陽極酸化皮膜を備えたアルミニウム板材を各種構成部材あるいは真空機器壁面材などとして用いた場合、これら構造部材の表面部分から、あるいは真空機器の壁面から水分や各種水和物の成分ガスが放出される場合があり、用途によっては放出ガスが問題となるおそれが考えられる。
【0005 】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明らは、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム材のガス放出性を改善する目的から、無孔質の陽極酸化皮膜を得る技術について研究開発を進め、その成果を特開平5−25694号、特開平8−283991号、特開平8−283990号、特開平9−184093号などにおいて特許出願している。
これらの特許において提案した技術により得られる無孔質の陽極酸化皮膜を備えたアルミニウム材であるならば、熱伝導性に優れ、表面からのガス放出性が低く、耐食性にも優れたアルミニウム材を提供できるようになった。
しかしながら本発明者らは、この無孔質の陽極酸化皮膜を研究するうちに、無孔質ではなくとも、多少の孔を有する状態の陽極酸化皮膜であれば、耐食性に優れ、ガス放出性が低く、アルミニウムの素地に対する密着性にも優れたアルミニウム材を提供できることを知見し、本願発明に到達した。
【0006 】
次に本発明者らは、この種無孔質の陽極酸化皮膜を備えたアルミニウム材について、その応用研究を進めているが、アルミニウム材の表面に更に他の種類の被覆膜を形成した場合の被覆膜の密着性、更には、フィン材等の成形体に成形加工した場合の成形性などの種々の面について研究した結果、本願発明に到達した。
【0007 】
更に本願発明者らは、アルミニウム材の表面に下地層として陽極酸化皮膜を形成し、その上に光触媒層などの機能性皮膜を形成したアルミニウム材の構造について研究開発を進めているが、その研究成果として本願発明に到達した。
【0008 】
次に、従来から一般的に多孔質の陽極酸化皮膜にあっては、表面に凹凸部を有するので、陽極酸化皮膜の表面に他の樹脂層や膜を積層した場合、他の樹脂層や膜の底部側部分が陽極酸化皮膜表面の凹凸部分に食い込む形で形成され、アンカー効果を発揮するので、上に積層される樹脂層や皮膜の密着性は優れていると考えられてきた。
ところが、多孔質陽極酸化皮膜の表面部分に存在する孔の径は数100Å程度と極めて小さいものと考えられるので、このような微細な凹凸部分にその上の樹脂層や皮膜自体が食い込んでアンカー効果を発揮するものとは考えられず、逆に多孔質陽極酸化皮膜においては密着性は良好ではないものと本発明者らは考えている。また、先の封孔処理を行ったとしても、多孔質層の孔部には水分やイオンなどが残留しているので、陽極酸化皮膜上に他の樹脂層や皮膜を積層し、積層過程で100℃以上に加熱する乾燥処理や焼付け処理などが施された場合、孔中の水分やイオンが揮発あるいは蒸散する影響から、本発明者らは必ずしも多孔質陽極酸化皮膜上の樹脂層や皮膜の密着性は良好ではないと考えている。
【0009 】
本発明は前記の背景に基づき、成形に耐えることができて剥離し難く、膜の密着性も良好で水分やガス放出の可能性も少なく、成形品とした場合に必要な部分に均一に光触媒層などの機能性皮膜を設けることができ、生産性に優れたアルミニウム材とそれを用いた成形体および熱交換器用などに好適なフィン材の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のフィン材は前記課題を解決するために、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜からなる厚さ10〜1500Åの下地層と、皮膜と、潤滑層とを具備してなり、前記皮膜が厚さ0.05〜10μmの光触媒層であり、この光触媒層がTiO 粉末とバインダーとの混合物を焼成し焼き付けてなり、前記潤滑層が、ポリオキシエチレンエステルからなるノニオン型高分子活性剤を含む厚さ0.02〜1.0μmの潤滑層であることを特徴とする。
金属基材上に形成された空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜は、ガス放出性が低く、金属基材に対する密着性に優れ、耐食性も良好であり、その上に他の皮膜を形成した場合の膜の密着性にも優れている。従ってこのフィン材用アルミニウム材を成形加工を経て得られるフィン材において、皮膜が成形加工中に剥離することがなく、皮膜密着性に優れたフィン材を提供できる。
【0011】
本発明のフィン材用アルミニウム材皮膜厚さ0.05〜10μmの光触媒層としたものである。微孔質陽極酸化皮膜の上に形成された光触媒層は、密着性が良好であり、塑性加工中に剥離し難いとともに、先の範囲の厚さにより、抗菌、抗カビ性能等の洗浄作用が得られ易く、材料の無駄も少ないという特徴を発揮する。
本発明のフィン材用アルミニウム材は、前記光触媒層TiOとバインダーとからなる焼成して焼き付けたものとした。この光触媒層であるならば、無害で化学的に安定であり、紫外線により光励起を起こして確実に抗菌、抗カビ作用を奏し、優れた浄化機能を発揮する。
本発明のフィン材用アルミニウム材は、前記潤滑層を、ポリオキシエチレンエステルからなるノニオン型高分子活性剤を含む厚さ0.02〜1.0μmの潤滑層とした。先の種類の活性剤を含む潤滑層を先の厚さ範囲とすることで、潤滑性に優れ、プレス加工、ドローレス加工などの際の潤滑特性に優れ、金型が損傷し難く、焼き付きなどを起こし難く、作業効率良くフィン材を成形できる作用を奏する
従って、前述のいずれかに記載のアルミニウム材を成形加工して得られるフィン材にあっては、皮膜が成形加工中に剥離することがなく、皮膜密着性に優れたフィン材を提供できる。
【0012 】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明に係るアルミニウム材を光触媒プレコート成形材料に適用した第1実施形態を示すもので、この第1実施形態の光触媒プレコート成形材料Aは、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる板状の金属基材1とこの金属基材1の表面部分に被覆形成された下地層2からなるアルミニウム材Bと、前記下地層2の上に被覆された光触媒層(機能性皮膜)3と、光触媒層3の上に被覆された潤滑層4とを具備して板状に形成されている。
【0013 】
前記金属基材1は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなり、JIS1000系等の純アルミニウム系、JIS2000系等のAl-Cu系、JIS3000系のAl-Mn系、JIS4000系のAl-Si系、JIS5000系等のAl-Mg系、JIS6000系等のAl-Mg-Si系、JIS7000系等のAl-Zn-Mg系のいずれの系のものを用いても良い。
【0014 】
前記のJIS1000系等の純アルミニウム系のもの、JIS2000系のもの、JIS3000系のものは種々の部品などに用いられているので、これらの用途に供する場合に本発明を適用できる。
【0015 】
JIS4000系のものは、建築パネルなどに用いられるので、これらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。JIS5000系のものは、内外装板、装飾部品、銘板等に広く使用されるので、これらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。JIS6000系のものは、建築、装飾品などに使用されるので、これらの用途に供する場合に本発明の構造を適用することができる。JIS7000系のものはフィン材などに使用されるので、これらの用途に供する場合に本発明を適用することができる。
【0016 】
なお、前記の光触媒プレコート材料Aは、これらの用途の中でも、防カビ性が要求される熱交換器用のフィン材、抗菌、抗カビ性が要求される台所用アルミ製品である食品用の容器、レンジフード、換気扇カバー、レンジフェンス、レンジカバー、レンジ下敷き、あるいは防汚性が要求される各種パネル、BSアンテナ等に特に有効に供することができる。
従って、前記金属基材1に以下に説明する下地層2を備えた状態で以上例示した各種用途に対し、本発明のアルミニウム材Bを適用することができる。
【0017 】
前記下地層2は前記金属基材1を陽極酸化処理することで形成される。この陽極酸化処理(いわゆるアルマイト処理)は、基材を構成するアルミニウムあるいはアルミニウム合金を電解液に浸漬して陽極処理を行なう陽極酸化処理によって陽極酸化皮膜を形成するものである。このような陽極酸化処理により、空孔率5〜30%(5%を越えて、30%以下)の微孔質陽極酸化皮膜(微孔質アルマイト皮膜)を形成することができる。ここで空孔率とは、陽極酸化皮膜表面の測定領域において孔の形成されている部分の面積を全測定面積で除算した値、即ち、空孔率=(孔のあいている面積)/(全測定面積)の関係式で示されるものである。微孔質陽極酸化皮膜としての空孔率は前述の5〜30%の範囲であるが、5〜10%程度の範囲がより好ましい。
なお、陽極酸化処理により空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜を製造する方法については後に説明する。
【0018 】
前記の下地層2は金属基材1と光触媒層3との密着性の低下を防止するためのもので、基材1と光触媒層3との間にこれらの層に対して密着性の悪い酸化層などが存在するとこの酸化層を起点として光触媒層3が塑性加工中に剥離するなどの問題を起こす。この点において前述の微孔質陽極酸化皮膜皮膜の下地層2であるならば、基材1に対して良好な密着性を有することは勿論、光触媒層3に対しても良好な密着性を発揮する。ここで光触媒層3の下地として用いる皮膜が仮に有機膜であると、光触媒層3が発揮させる有機物分解作用によって下地層を損傷させるので、下地層2は前述の無機質層であって、金属基材1に対して密着性の良好なもの、更には、光触媒層3と密着性の良好なものを用いることが重要である。
【0019 】
前記光触媒層(機能性皮膜)3は、TiO2(チタニア)、ZnO、SnO2、SrTiO3、WO3、Fe23の中から選択される光触媒性半導体材料に、シリカ(SiO2が主体)、ジルコニア(ZrO2が主体)、過酸化チタンなどのバインダーを適宜混合してなるものであって、これらの混合物を下地層2の上に塗布し、乾燥、加熱して焼き付けるなどの手段により得ることができる。これらの混合物を塗布するには、ロールコート、グラビアコートなどの常法を適用することができる。
【0020 】
そして、光触媒層3の厚さは0.05〜10μmの範囲とされることが好ましい。
光触媒層3の厚さが0.05μmを下回るようであると、光触媒層3として十分な厚さを確保することができず、抗菌、抗カビ性能等の浄化作用を得られにくくする。また、光触媒層3の厚さを10μmを超えた厚さとすると抗菌、抗カビ性能は有するが材料の無駄が多く、製造コストの面で不利である。
これらのなかでもTiO2は無害で化学的に安定であり、紫外線により光励起を起こして確実に抗菌、抗カビ作用を奏し、優れた浄化機能(作用)を奏する。
【0021 】
前記潤滑層4は、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンラウリルエーテル系、ポリビニルメチルエーテル系などのノニオン型高分子活性剤を含む層である必要がある。
ここで用いるノニオン型高分子活性剤とは、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン12−ヒドロキシステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンロジンエステル、ポリオキシエチレングリセリンアルキル脂肪酸モノまたはジエステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンアルキル脂肪酸モノまたはジエステル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールアルキル脂肪酸モノまたはジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシアルキレンエーテルの群の中から選ばれるものが好ましい。更に、これらの中でもエチレンオキサイドの付加によりKarabinos法による曇数が15.0以上のものが好ましく、特に、融解点が約50〜60℃で、Karabinos法による曇数が約16〜18のポリエチレンオキサイド鎖を有するノニオン型高分子活性剤が好ましい。
【0022 】
前述の融解点が約50〜60℃で、Karabinos法による曇数が約16〜18のポリエチレンオキサイド鎖を有するノニオン型高分子活性剤が含有された潤滑層4を最外層に有する構造であるならば、プレス加工、特に、ドローレス加工に際して潤滑特性に優れ、金型が損傷し難く、作業効率良くフィン材などの成形品を加工することができる。
なお、これらの条件を満たすノニオン型潤滑層4を実用的に製造する方法の一例として、特開平7−041696号公報に開示の製造方法を適用することができる。
【0023 】
前記ノニオン型高分子活性剤を水などの溶媒に所定量溶解させ、この塗料溶液をロールコート、グラビアコートなどの適宜な塗布手段で光触媒層3の上に塗布し乾燥させることで図1に断面構造を示す潤滑層4を備えた光触媒プレコート材料Aを得ることができる。
この乾燥後の潤滑層4は厚さが0.02μm以上、好ましくは0.02μm〜1.0μmの範囲であることが好ましい。潤滑層4の厚さが0.02μmよりも薄い場合は、塑性加工した場合の潤滑性が低下し、加工不良、金型の焼付きなどを起こし易くなる。潤滑層4の厚さが1.0μmよりも厚い場合は潤滑性には問題ないものの、潤滑剤が無駄になり易く、製造コストの面で不利となる。
【0024 】
以上の構成の光触媒プレコート材料Aをプレス加工、絞り加工、しごき加工等の塑性加工により必要な形状に加工して種々の目的に使用することができる。この塑性加工の際に、光触媒プレコート材料Aの表面に設けた潤滑層4の作用により、塑性加工する場合の金型やダイスなどとの摩擦を少なくするので、成形不良や金型への焼き付を生じることがない。
そして、所望の形状への成形後、必要に応じて潤滑層4を洗浄等の手段で除去することで加工品を得ることができる。この潤滑層4は成形品の状態で残留していても良いし、特に洗浄等の手段で除去しても差し支えない。
【0025 】
以上のように製造された光触媒プレコート成形材料Aからなる成形品は、光触媒層3を表面部分の全面に均一に有しているので、光触媒層3に紫外線等のエネルギー光が照射されると、空気に触れている光触媒層4の表面部分に電子が励起されてO2+あるいはOH-が生成され、これらによって有機物を分解する作用を得ることができ、光触媒によって成形品表面の抗菌、抗カビ、浄化作用などの浄化機能(作用)を得ることができる。
【0026 】
ここで成形品が熱交換器用のフィン材であるならば、フィン材にカビを生じないようにできるので、抗菌性と防カビ性を発揮するフィン材を有する熱交換器を提供することができる。なお、熱交換器用のフィン材であれば、フィン材の表面に水滴が付着する状態で使用されるので、成形後の表面部分に潤滑層4が残留していても、潤滑層4は水滴によって徐々に除去されるので、潤滑層4を特に除去しなくとも良い。
また、本実施形態の構造を成形品として利用する場合、フィン材以外に、レンジフード、容器など種々の成形品用途として広く供することができる。その外、先に基材1の構成材料として説明した種々の用途に本実施形態の光触媒プレコート成形材料Aを広く適用できるのは勿論である。その場合、いずれの用途に供しても抗菌、防カビ性能等の優れた浄化機能(作用)を得ることができる。
【0027 】
図2は本発明に係る光触媒プレコート成形材料を用いて得られたフィン材を備えたエアコン用の熱交換器の一例を示すもので、この例の熱交換器Bは、フィン部材が多数積層された構成のフィン材(光触媒プレコート成形体)14に蛇行状態のチューブ13を配して構成されている。
この構造の熱交換器Bはフィン材14が先に説明した光触媒プレコート成形材料Aを塑性加工してなるものから構成されている。
【0028 】
このように熱交換器Bのフィン材14・・・を光触媒プレコート材料Aから構成すると、光触媒プレコート材料Aの全表面に光触媒層3を均一に設けているので熱交換器Bのフィン材14・・・の全面で均一な抗菌、抗カビ作用などの浄化機能(作用)を得ることができる。即ち、成形前のアルミニウム板またはアルミニウム合金板の全面に光触媒層3を予め全面塗布しておけばフィン材14・・・の全面で浄化機能(作用)を確実に得ることができる。
【0029 】
ところで本実施形態においては、機能性皮膜に光触媒層3を適用した実施形態を例示したが、機能性皮膜としては光触媒層の外に、種々のものを適用することができる。
例えば、更に耐食性を必要な用途であるならば、機能性皮膜の一例として光触媒層に代えて耐食性皮膜(機能性皮膜)を形成しても良く、発色などが必要な場合は光触媒層に代えて発色層(機能性皮膜)を形成しても良く、耐摩耗性などが必要な用途では光触媒層に代えて耐摩耗性に優れた皮膜(機能性皮膜)を形成しても良く、導電性が必要な場合は導電膜(機能性皮膜)を形成しても良く、種々の用途に応じて必要な機能性皮膜を形成することで本発明のアルミニウム材Bを各種用途に適用できる。
【0030 】
次に、下地層2として用いる空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜を製造する方法について以下に説明する。
微孔質陽極酸化皮膜を製造するには、皮膜が多孔質化する前の段階で電解を停止することで多孔質皮膜が成長する前の段階の無孔質に近い状態の皮膜を得ることにより行う方法が好ましい。
ここで用いる電解液として、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸の1種又は2種以上の溶液を用いることができる。
これらの電解液を用いてアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基材1を陽極酸化すると、電解の初期段階において、無孔質のバリア層と称されている陽極酸化皮膜が成長し、この無孔質の陽極酸化皮膜の成長が所定の段階まで進むと、多孔質層が急激に成長して多孔質の陽極酸化皮膜が生成される。ただし、本明細書において多孔質陽極酸化皮膜と称するのは、無孔質の薄いバリア層の上に多孔質層が成長したものを意味する。
【0031 】
ここで、この種の陽極酸化皮膜の成長モデルを図3を基に説明する。
図3の横軸は陽極酸化皮膜の厚さ、縦軸は空孔率を示すが、通常、多孔質陽極酸化皮膜を製造すると、1000〜2000Å程度の膜厚の無孔質膜が生成した後、膜厚がほとんど増加しないまま急激な空孔率の上昇が起こり、空孔率が30%を越えるあたりから膜厚増加と空孔率増加の関係が比例関係に移るようになるような成長曲線を示す。図3に示す成長曲線は陽極酸化皮膜のモデル的な一例であるが、電解液の濃度や種類、印加電圧、印加電流密度を多少異なる条件としたとしても、ある膜厚の無孔質層が生成した後、空孔率が急激に上昇し、その後、空孔率30%を越えるあたりから膜厚増加と空孔率増加の関係が比例関係に移るようになって多孔質陽極酸化皮膜が生成する傾向は同様となる。
【0032 】
図3に示す陽極酸化皮膜の成長モデルから見ると、下地層2として用いる空孔率5〜30%の微孔質の陽極酸化皮膜を得るためには、陽極酸化皮膜の成長過程で空孔率が低い状態において電解処理を停止すれば良いこととなる。なお、図3に示す成長モデルから見ると、電解の初期段階では空孔率5%以下の無孔質層陽極酸化皮膜も存在するので、先に説明した無孔質陽極酸化皮膜の製造条件ではなく、以下に説明する多孔質陽極酸化皮膜を製造する場合の陽極酸化処理の最初期段階において電解を停止することで無孔質陽極酸化皮膜を得るようにして下地層2としても良い。
【0033 】
下地層2として微孔質陽極酸化皮膜を得るには、例えば膜厚10〜1500Åの範囲、例えば空孔率30%以下になるような電解条件で電解処理を停止すれば良い。これらの条件において微孔質陽極酸化皮膜のより好ましい範囲としては、膜厚50〜1000Å、空孔率10%である。
ここで用いる電解液として、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸の1種又は2種以上を選択する場合、一般に、電解電圧(V)×(14〜16)の値を陽極酸化皮膜の膜厚(Å)が越えると、多孔質化を開始することがわかっている。
よって、この電圧以下で膜厚をコントロールするならば、無孔質状態の陽極酸化皮膜、あるいは、微孔質状態の陽極酸化皮膜を形成できる。この関係から、微孔質陽極酸化皮膜を製造する場合に膜厚(Å)は、電解電圧(V)×25よりも小さく設定することが好ましく、電解電圧(V)×18よりも小さく設定することがより好ましい。
【0034 】
微孔質の陽極酸化皮膜の膜厚において10Å未満では耐食性が得られ難く、1500Åを越える膜厚では多孔質化が進行しやすい、好適な範囲としては、10〜1000Åである。空孔率においては5〜30%の範囲内でも5%を越えて20%以下とすることが好ましく、空孔率5〜20%の陽極酸化皮膜では、空孔率20%〜30%の陽極酸化皮膜に対して水分の放出をより良く抑制でき、密着面積の低下を防止でき、皮膜破壊を防止できやすくなるとの利点がある。このような観点から微孔質陽極酸化皮膜の空孔率においては5〜10%(5%を越えて10%以下)が好ましい。
【0035 】
以上のような背景から、前記微孔質の陽極酸化皮膜を製造する場合の電解浴中の電解質濃度は2重量%からその電解質の飽和濃度の範囲で選ばれる。電解浴の浴温は、5〜30℃の範囲で十分である。
このような電解液中においてアルミニウム素材は、連続あるいは断続的であっても陽極となるように電源に接続されて陽極電解される。陰極には、不溶性の導電材料例えばカーボン電極などが用いられる。電解電流は、直流電流などが用いられ、直流電解では直流密度0.5〜1.5A/dm2程度、電解時間数秒〜10分程度で電解が行われる。
【0036 】
微孔質陽極酸化皮膜を製造する場合の印加電圧は、直流電流では、電圧1Vに対して形成される酸化皮膜厚さが約10Åとなる関係があることから、約10〜20V、好ましくは約14〜18Vの範囲とされる。この電解によってアルミニウム素材表面に厚さ10〜1500Å、好ましくは厚さ50〜1000Åの均一な微孔質の陽極酸化皮膜が形成される。
【0037 】
図4は図3に示す空孔率を高くして多孔質とした陽極酸化皮膜の断面構造のモデル図であり、図5は図3に示す空孔率を10%程度として得られる無孔質に近い微孔質の陽極酸化皮膜の断面構造のモデル図である。
図4に示す多孔質陽極酸化皮膜10は無孔質のバリア層10aとその上に成長形成された多孔質層10bとからなり、図5に示す無孔質に近い微孔質の陽極酸化皮膜11は孔が成長しないまま表面に多少の凹凸部が存在している断面構造を示す。なお、微孔質の陽極酸化皮膜11においても5〜30%の孔は存在するので、この割合の孔を有することとなるが、図5では明確な形の孔は記載を略している。
【0038 】
図5に示す構造の微孔質陽極酸化皮膜11であるならば、ガス放出性について見ると、多孔質のものよりも格段に少なく、先に説明した本発明者らの特許出願に係る無孔質の陽極酸化皮膜に近い低いガス放出性を得ることができる。また、表面に積層される光触媒層3などの機能性皮膜に対するアンカー効果を検討すると、無孔質の陽極酸化皮膜と比較して表面に凹凸を有するので無孔質の陽極酸化皮膜よりはアンカー効果を有するので、光触媒層3の密着性にも優れる。勿論、先に説明したようにガス放出性が低いので光触媒層3を塗布して焼付けする場合に水分やイオン分の揮発や蒸散も少ないので焼付け後の剥離や剥がれにも強い効果を奏する。
【0039 】
以上の結果から鑑みて、皮膜のアンカー効果とガス放出性について、無孔質陽極酸化皮膜と微孔質陽極酸化皮膜と多孔質陽極酸化皮膜を比較すると、以下のようになると考えられ、微孔質陽極酸化皮膜が両方の特性を満足し得る優れたものとなる。
Figure 0004087051
【0040 】
【実施例】
JIS規定の純アルミニウム系の1N30、1050、1200およびJIS3003系、3004系のアルミニウム合金からなる厚さ100μm、200μm、300μmのアルミニウム基板(基材)を複数用意した。
これら種々の基板を以下の種々の条件で陽極酸化処理して陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化処理の条件として、微孔質の陽極酸化皮膜を形成する場合には、150g/l硫酸溶液、電流密度1.3A/dm2であり、無孔質の陽極酸化皮膜を形成する場合には、100g/l硼酸溶液、電流密度3.0A/dm2とした。前記の条件により微孔質の陽極酸化皮膜として、厚さ1000Åのものを得ることができ、無孔質の陽極酸化皮膜として、厚さ800Åのものを得ることができた。
【0041 】
これらの膜厚は、試料を樹脂に埋設した後、ミクロトームで切断し、断面をTEM観察して直接膜厚を測定する方法による測定結果である。
なお、得られた無孔質の陽極酸化皮膜の空孔率を測定する方法は、表面を10万倍に拡大可能な電子顕微鏡で観察し、任意の20カ所の孔の面積率を測定し平均するものであり、この方法による測定結果では空孔率2%の無孔質陽極酸化皮膜であり、上述の微孔質陽極酸化皮膜では空孔率10%であった。
次に、これら各種の基板上の陽極酸化皮膜の上に厚さ0.5μmのTiO2層(光触媒層)を形成し、続いてこのTiO2層上に厚さ0.15μmの潤滑層を形成した。光触媒層はTiO2粉末50重量部に対してSiO2が主体のバインダーを50重量部混合し、これをロールコータでアルミニウム基板の表面に塗布し、150℃に加熱し、焼き付けることで形成した。
【0042 】
潤滑層は以下のように製造した。
オートクレーブに以下に示す原料及び触媒を仕込み、窒素ガスを用いてオートクレーブ内の空気を窒素に置換する。その後、オートクレーブの内部温度を120℃に上げ、規定量のエチレンオキサイドをオートクレーブ内に吹き込み、反応温度を120〜160℃に維持しつつ吹き込みを完了させ、続けて同温度で1時間反応を完結させ、ノニオン型高分子潤滑剤を得た。原化合物はロジンを用い、仕込み量270g、モル数を0.1、触媒をKOHとし、仕込み量を0.14、エチレンオキサイド吹き込み量880g、モル数を20モル、収量を900gとした。
【0043 】
得られたノニオン型潤滑剤はポリオキシエチレン(200)エステルである。このポリオキシエチレン(200)エステルを先の光触媒層上に厚さ0.15μmになるように被覆したものを実施例1の試料とした。更に、実施例1の試料と同等の積層構造であるが、潤滑層の厚さのみを0.02μmとしたものを実施例2とした。なお、これらの実施例1、2は下地層として無孔質(空孔率2%)の陽極酸化皮膜を用いた試料であり、実施例1の試料に対して微孔質の陽極酸化皮膜(空孔率10%)を用いて他の各層は同等としたものを実施例3の試料、実施例2の試料に対して微孔質の陽極酸化皮膜を用いて他の各層は同等としたものを実施例4の試料とした。
【0044 】
実施例1の試料に対し、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の基板、下地層、光触媒層は同じものを用い、最上の潤滑層のみを省略したものを比較例1の試料とした。
実施例1の試料に対し、下地層と潤滑層を両方省略した構造(基板+光触媒層)を比較例2とした。
実施例1の試料に対し、基板と下地層と光触媒層は同等として、潤滑層として厚さ0.01μmのものを用いた試料を比較例3とした。
実施例1の試料に対し、下地層を省略し、光触媒層と潤滑層は同等なものとした試料を比較例4とした。
【0045 】
実施例1、2、3、4の試料と比較例1、2、3の試料に対し、摩擦係数をバウデン摩擦試験機で測定する潤滑性測定試験を行なった。その結果を後に記載する表1に示す。後の表1において〇印は動摩擦係数が0.15以下のもの、△印は動摩擦係数が0.16〜0.25のもの、×印は動摩擦係数が0.26以上のものを示している。
【0046 】
更に、これらの試料に対して試料を揮発性プレス油(出光石油製商品名AF−2A)を用いて日高精機社製フィンプレス機を用いて連続プレス加工し、9.52φドローレスと9.52φドローを用い、プレス回数を10000ショットとして熱交換器用のフィン材を成形した場合に、成形品の不良と金型への焼付性について評価した。
この結果を加工性Aとして表1に示す。
表1の加工性Aにおいて〇印のものは成型不良が5%以下で金型への焼付けが生じないもの、△印のものは成型不良が5〜15%で金型への焼付けが少々生じたもの、×印の試料は成型不良が15%以上で金型への焼付けが多く発生したものである。
【0047 】
次に前述の試料に対してプレス油を用いることなく連続プレス加工し、成形品の不良と金型への焼付性について評価した。
この結果を加工性Bとして表1に示す。表1の加工性Bにおいて〇印のものは成型不良が5%以下で金型への焼付けが生じないもの、△印のものは成型不良が5〜15%で金型への焼付けが少々生じたもの、×印の試料は成型不良が15%以上で金型への焼付けが多く発生したものである。
【0048 】
Figure 0004087051
【0049 】
表1に示す結果から、比較例1〜4の試料は潤滑性と加工性Aと加工性Bのいずれかにおいて問題を有するが、実施例1、2、3、4の試料は潤滑性とプレス加工性Aとプレス加工性Bのいずれにも合格することが判明した。
このことから、実施例1、2、3、4の試料の構造であれば、塑性加工に耐える光触媒層をアルミニウム基板またはアルミニウム合金基板上に有し、塑性加工を行なう品物に対して均一な光触媒層を付与できることが明らかになった。
【0050 】
次に実施例1で用いた下地層を形成した前記複数の基板に対し、石原産業製の光触媒塗料ST−K03(商品名)を塗布量として0.15g/m2(膜厚0.09μm)、0.30g/m2(膜厚0.18μm)、0.60g/m2(膜厚0.36μm)の割合で塗布し、250℃で30秒間焼付け乾燥させて各試料を作成し、それぞれの接触角(°)を初期値として測定した。接触角の測定には、協和界面科学株式会社製の接触角計CA-Dを用いた。
続いてこれらの試料を昭和シェル製の揮発油RF−190(商品名)に2分間浸漬した後に乾燥し、乾燥後に残留油分が存在する状態で接触角を測定した。
【0051 】
次に、乾燥後の基板にブラックライトランプ(BBLランプ)を用いて約1mW/cm2の紫外線を照射し、0.5時間経過後、1時間経過後、3時間経過後、6時間経過後、10時間経過後、24時間経過後、48時間経過後のそれぞれの接触角を測定した。
以上の結果を以下の表2に示す。表2において初期とは揮発油浸漬前の接触角を示し、油汚染後は揮発油に浸漬後の接触角を示す。
【0052 】
Figure 0004087051
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属基材に、空孔率5〜30%、厚さ10Å〜1500Åの微孔質の陽極酸化皮膜の下地層を備えているので、その上に形成される光触媒層などの皮膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金の基材上に良好な密着性でもって設けることができる。また、光触媒層などの皮膜の上に潤滑層を設けることでプレス加工や押出加工などの成形加工に耐える構造とすることができるので、成形加工の前に基材全面に下地層を介して光触媒層などの皮膜を設けておけば、成形加工後の全面に均一に光触媒層などの皮膜を設けたフィン材を得ることができるフィン材を提供することができる。更に、微孔質の陽極酸化皮膜の下地層を有するので、その上に積層される皮膜の密着性も良好で、光触媒層などの皮膜形成時に揮散または蒸散する水分やイオンの影響を無くすることができ、皮膜の剥離や剥がれを防止できる。
金属基材上に形成された空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜は、ガス放出性が低く、金属基材に対する密着性に優れ、耐食性も良好であり、その上に他の皮膜を形成した場合の膜の密着性にも優れている。
従って成形加工を経て得られるフィン材において、皮膜が成形加工中に剥離することがなく、皮膜密着性に優れたフィン材を提供できる。
本発明のフィン材用アルミニウム材は、皮膜を厚さ0.05〜10μmの光触媒層とすることにより、微孔質陽極酸化皮膜の上に形成された光触媒層の密着性を良好とすることができ、塑性加工中に剥離し難いとともに、先の範囲の厚さにすることにより、抗菌、抗カビ性能等の洗浄作用が得られ易く、材料の無駄も少なくできるというフィン材用アルミニウム材を提供できる。
本発明のフィン材用アルミニウム材は、光触媒層をTiOとバインダーとからなる焼成し焼き付けたものとしているので、無害で化学的に安定であり、紫外線により光励起を起こして確実に抗菌、抗カビ作用を奏し、優れた浄化機能を発揮する。
本発明のフィン材用アルミニウム材は、前記潤滑層として、ポリオキシエチレンエステルからなるノニオン型高分子活性剤を含む厚さ0.02〜1.0μmの潤滑層を用いたので、先の種類の活性剤を含む潤滑層を先の厚さ範囲とすることで、潤滑性に優れ、プレス加工、ドローレス加工などの際の潤滑特性に優れ、金型が損傷し難く、焼き付きなどを起こし難く、作業効率良くフィン材を成形できる作用を奏する。
本発明において光触媒層の厚さを0.09〜0.5μmとすることにより、油汚染乾燥後の残留油分が存在する状態であっても、比較的短時間、紫外線を照射することで接触角を大幅に小さくすることができ、油汚染後の光触媒機能を確実に得ることができ、抗菌、抗カビ等の浄化機能を確実に奏し得る。
本発明において前記潤滑層の厚さを0.02〜0.15μmとすることにより、プレス加工、ドロー加工、ドローレス加工に耐えてプレス成形品不良を生じることがなく、金型への焼き付きも生じ難いフィン材用アルミニウム材を提供することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属基材に、空孔率5〜30%、厚さ10Å〜1500Åの微孔質の陽極酸化皮膜の下地層を備えているので、その上に形成される光触媒層などの皮膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金の基材上に良好な密着性でもって設けることができる。また、光触媒層などの皮膜の上に潤滑層を設けることでプレス加工や押出加工などの成形加工に耐える構造とすることができるので、成形加工の前に基材全面に下地層を介して光触媒層などの皮膜を設けておけば、成形加工後の全面に均一に光触媒層などの皮膜を設けたフィン材を得ることができるフィン材を提供することができる。更に、微孔質の陽極酸化皮膜の下地層を有するので、その上に積層される皮膜の密着性も良好で、光触媒層などの皮膜形成時に揮散または蒸散する水分やイオンの影響を無くすることができ、皮膜の剥離や剥がれを防止できる。
金属基材上に形成された空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜は、ガス放出性が低く、金属基材に対する密着性に優れ、耐食性も良好であり、その上に他の皮膜を形成した場合の膜の密着性にも優れている。
従って成形加工を経て得られるフィン材において、皮膜が成形加工中に剥離することがなく、皮膜密着性に優れたフィン材を提供できる。
本発明のフィン材用アルミニウム材において皮膜を厚さ0.05〜10μmの光触媒層とすることにより、微孔質陽極酸化皮膜の上に形成された光触媒層の密着性を良好とすることができ、塑性加工中に剥離し難いとともに、先の範囲の厚さにすることにより、抗菌、抗カビ性能等の洗浄作用が得られ易く、材料の無駄も少なくできるというフィン材用アルミニウム材を提供できる。
本発明のフィン材用アルミニウム材において、光触媒層をTiO とバインダーとからなるものとするならば、無害で化学的に安定であり、紫外線により光励起を起こして確実に抗菌、抗カビ作用を奏し、優れた浄化機能を発揮する。
本発明のフィン材用アルミニウム材において、前記潤滑層として、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンラウリルエーテル系、ポリビニルメチルエーテル系などのノニオン型高分子活性剤を含む厚さ0.02〜1.0μmの潤滑層を用いた場合、先の種類の活性剤を含む潤滑層を先の厚さ範囲とすることで、潤滑性に優れ、プレス加工、ドローレス加工などの際の潤滑特性に優れ、金型が損傷し難く、焼き付きなどを起こし難く、作業効率良くフィン材を成形できる作用を奏する。
本発明のフィン材用アルミニウム材において、前記潤滑層がポリオキシエチレンエステルであるならば、先の効果を確実に得ることができる。
【0055 】
以上の構成のアルミニウム材を用いてエアコン用熱交換器などのフィン材を構成するならば、フィン材の全面において機能性皮膜を有する熱交換器用フィン材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る光触媒プレコート成形材料の第1実施形態の構造を示す断面図。
【図2】 図2は本発明に係る光触媒プレコート成形材料から構成されたフィン材を備えた熱交換器の一例を示す正面図。
【図3】 図3は陽極酸化皮膜を形成する場合の膜厚と空孔率の関係を示すモデル図である。
【図4】 図4は多孔質の陽極酸化皮膜の断面構造を示すモデル図である。
【図5】 図5は微孔質の陽極酸化皮膜の断面構造を示すモデル図である。
【符号の説明】
A・・・光触媒プレコート成形材料、1・・・金属基材、2・・・下地層(微孔質陽極酸化皮膜)、3・・・光触媒層(機能性皮膜)、4・・・潤滑層、10・・・多孔質陽極酸化皮膜、10a・・・バリア層、10b・・・多孔質層、11・・・微孔質陽極酸化皮膜、B・・・熱交換器、14・・・フィン材(光触媒プレコート成形体)。

Claims (4)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された空孔率5〜30%の微孔質陽極酸化皮膜からなる厚さ10〜1500Åの下地層と、皮膜と、潤滑層とを具備してなり、
    前記皮膜が厚さ0.05〜10μmの光触媒層であり、この光触媒層がTiO 粉末とバインダーとの混合物を焼成し焼き付けてなり、前記潤滑層が、ポリオキシエチレンエステルからなるノニオン型高分子活性剤を含む厚さ0.02〜1.0μmの潤滑層であることを特徴とするフィン材用アルミニウム材。
  2. 前記光触媒層の厚さが0.09〜0.5μmとされてなることを特徴とする請求項1に記載のフィン材用アルミニウム材。
  3. 前記潤滑層の厚さが0.02〜0.15μmとされてなることを特徴とする請求項1または2に記載のフィン材用アルミニウム材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム材を成形加工してなることを特徴とするフィン材。
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