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JP4069261B2 - ディスペンサ及び光ファイバコネクタ - Google Patents

ディスペンサ及び光ファイバコネクタ Download PDF

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Description

技術分野
この発明は、光ファイバを接続する際に用いられる低架橋密度ゲルを吐出するためのディスペンサ、及び、光ファイバの端面同士を接続するための光ファイバコネクタに関する。
背景技術
従来より、光ファイバの端面同士の接続には、光ファイバコネクタや固定型接続装置や光合分波器等が一般的に用いられている。
ここで、この光ファイバコネクタにおける光ファイバの端面同士の接続としては、主として機械的な突き当て方式が採用されている。この機械的な突き当て方式では、両方の光ファイバの素線(コア)にフェルールを夫々嵌着し、コネクタ本体の両側面に互いに一直線状に整合する状態で連通するように形成された嵌合孔に、フェルールを夫々両側から差し込み、フェルールに夫々嵌着された両素線の端面を互いに突き当てた状態で固定する事により、端面同士を接続している。
また、光ファイバコネクタにおいては、このような機械式の突き当て方式の他に、例えば特開昭56−110912号公報に示されるように、接続部に光中継用伝導体としてレンズを用いるものや、特開昭56−81807号公報に示されるように、マッチングオイルを用いるものが提案されている。
一方、固定型接続装置や光合分波器における光ファイバの接続には、光中継用伝導体として、マッチングオイルやマッチンググリスやエポキシ樹脂等が用いられている。
このような光ファイバの接続においては、両端面の接続部における光の散乱を極力排除することが基本的に要求されている。
しかしながら、光ファイバの端面同士を機械的に突き当てる方式では、その機械的な構造上、端面間には、必然的に空気層が介在することになる。ここで、この空気層と光ファイバ素線とは屈折率が異なるので、この屈折率の差により光の散乱が発生し、結果として光の損失を招くことになる。
このような空気層をなくし、光の損失を防ぐことを目的として、両端面間に光中継用伝導体を介在させることが提案され、実用に供されている。
しかしながら、光中継用伝導体としてレンズを用いる方式では、構造が複雑化し、装置が大型化せざるを得ないと共に、光ファイバの着脱時の信頼性に問題があり、産業上の利用性が低いものである。
また、光中継用伝導体としてマッチングオイルを用いる従来の方式では、温度の上昇・下降によるオイルの流失、酸化等の問題点を抱えており、また寿命が短い問題点もある。特に、マッチングオイルとしてシリコーンオイルを用いる場合には、そのクリープ流動特性により流出を防ぐことは困難である。このように、マッチングオイルを用いる場合には、頻繁にオイルを交換せざるを得ず、やはり、産業上の利用性が低いものである。
一方、このようなオイルの流出や酸化等の欠点を補うために、光中継用伝導体としてグリースを用いる方式が提案されているが、確かに、グリースは高粘性を持ち、流出の事態は避けられるものの、温度による特性変化、増粘剤と組成物との屈折率との差は避けられず、マッチングオイルを使用する場合と比較して、光透過率が低下する問題点がある。また、両端面の接合部のズレにより生ずる気泡を修復(除去)することが出来ない致命的な問題点があり、同様に、産業上の利用性が低いものである。
更に、光中継用伝導体としてエポキシ樹脂を用いる従来の方式では、加熱による硬化或いは常温硬化により固化し、性能は長期間に渡り保持されることになるが、酸化による着色現象を避けることが出来ない問題点がある。また、作業性の観点では、施工時に硬化剤の混合、気泡の除去、昇温硬化等が必要とされると共に、両端面の接合に不具合が出た場合には、この光ファイバを廃棄して、全工程を最初からやり直さなければならず、歩留まりが悪いという問題点もあり、やはり、産業上の利用性が低いものである。
一方、光中継用伝導体に、光ファイバのコアと同様の屈折率を有したゲル状物質を封入することが本願発明者により発明されたが、このゲル状物質を非常に僅かな量毎に定量吐出させるディスペンサがなく、折角、ゲル状物質を発明できたにも拘わらず、これを光中継用伝導体に具体的に定量吐出させる事が出来ずに、改善が要望されている。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、この発明の主たる目的は、光ファイバのコアの端面同士を接合する為に用いられる低架橋密度ゲルを吐出することの出来るディスペンサを提供することである。
また、この発明の他の目的は、簡単な構成で、光の散乱を効果的に抑制した状態で光ファイバのコアの端面同士を接合させることの出来る光ファイバコネクタを提供することである。
また、この発明の別の目的は、長期間に渡り、使用性能を維持して、光の散乱を抑制することの出来る光ファイバコネクタを提供することである。
発明の開示
このように、上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わるディスペンサは、一方の端面に挿通孔が形成され、他方の端面が開放され、所定の軸線に沿ってストレートに延出する外筒と、一端に前記挿通孔に挿通されるノズルが取付けられ、内部で、低架橋密度ゲルが製造されたまま収納されているシリンジと、このシリンジ内に軸線方向に沿って摺動自在に設けられ、前記低架橋密度ゲルを封止するピストンヘッドと、前記外筒に取付けられ、前記シリンジの開放された他方の端面を介して前記ピストンヘッドに当接してこれを押し込めることにより、このシリンジ内の低架橋密度ゲルを前記ノズルを介して吐出させるための吐出手段とを具備することを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記シリンジは、内部で低架橋密度ゲルが製造される際には、前記ノズルに代わり、内部を密閉するキャップが取付けられていることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記ピストンヘッドは、前記シリンジ内で低架橋密度ゲルが製造される際においては、シール用パッキングとして内部を密閉していることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記吐出手段は、前記低架橋密度ゲルを定量吐出させるように構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記吐出手段は、前記外筒に対して軸方向に沿って移動自在に取付けられ、先端部が前記ピストンヘッドに当接可能になされたピストンロッドと、このピストンロッドと前記外筒との間に介設され、前記ピストンロッドの回転に伴い、該ピストンロッドを軸方向に沿って移動させる第1の係合手段と、前記外筒に回転自在に取付けられ、前記ピストンロッドを覆う回転筒と、この回転筒と前記ピストンロッドとの間に介設され、前記回転筒の回転に伴い該ピストンロッドを一体的に回させるが、これの軸方向に沿う移動を許容するように係合する第2の係合手段と、前記回転筒を所定角度毎に回転するように係止する回転係止手段とを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記回転筒は、透明に形成され、内部が透視可能であることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記回転筒の外周面には、前記シリンジ内の低架橋密度ゲルの残量を示す目盛りが付されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記外筒には、中心軸に沿って貫通する状態で形成された中心孔を有する取付けブロックが一体的に取付けられ、前記ピストンロッドは、前記中心孔に摺動自在に挿通され、前記第1の係合手段は、前記ピストンロッドの外周面に形成されたリード溝と、前記中心孔の内周面に形成されたリード溝とを、互いに螺合する状態で備え、両リード溝の螺合を介して、前記ピストンロッドは中心軸回り回転することにより、軸方向に沿って移動することを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記第2の係合手段は、前記ピストンロッドに取付けられ、軸方向に沿って延出する少なくとも1本の突条と、前記回転筒の内周面に形成され、軸方向に沿って延出する少なくとも1本のスプライン溝とを、互いに嵌合する状態で備えることを特徴としている。
また、この発明に係わるディスペンサにおいて、前記回転筒は、前記取付けブロックの外周を覆うように取付けられ、前記回転係止手段は、前記取付けブロックの外周面に、周方向に沿って等間隔に配列された複数の凹みと、前記回転筒に取付けられ、前記複数の凹みの一つに選択的に弾性的に係合する係止リングとを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタは、中心軸線に沿って貫通した状態で中心透孔が形成されたアダプタであって、該透孔に両側から、素線が所定長さ突出された光ファイバを嵌着した嵌着具が、該素線を互いに整合した状態で夫々嵌入されるアダプタと、この中心透孔内に配設された光中継用伝導体であって、該透孔内に嵌着されるスリーブと、このスリーブ内に封入された低架橋密度ゲルとを備えた光中継用伝導体とを具備し、この低架橋密度ゲル中に、前記素線が両側から挿入され、夫々の端面が互いに対向することを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタは、前記アダプタに嵌入された嵌着具を、該アダプタに対して固定するための固定ナットを更に具備することを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタにおいて、前記スリーブは、内部に封入される低架橋密度ゲルに対して安定した合成樹脂製であることを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタにおいて、前記低架橋密度ゲルは、所定の屈折率に調整された軟質シリコーンゲル材料を、架橋密度の低い結合領域で付加反応させることにより生成されたことを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタにおいて、前記所定の屈折率は、接続しようとする光ファイバの素線の屈折率と実質的に同一に設定されている事を特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタにおいて、前記軟質シリコーンゲル材料は、末端にビニル基を持つポリオルガノシロキサンと、原子結合水素を持つポリオルガノシロキサンとを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタにおいて、前記付加反応は、加熱により行われることを特徴としている。
また、この発明に係わる光ファイバコネクタにおいて、前記低架橋密度ゲルは、クリーンルーム内で製造されたことを特徴としている。
発明の概要
光ファイバの端面同士の接続に用いられる物質として、第1に要求されることは、弾性体等のように変形し易いもので、且つ、厚みが極端に薄くできるものでなければなず、また、通常の粘性体や液体のように流動してはならず、また、組成中には、光の進路を阻害するもの、例えば、屈折率の異なるフィラー、ゴミ、気泡等が含まれていてはならないことである。
また、第2に要求されることは、この物質が、温度、湿度、圧力、振動等の外的環境の変動に耐えるものでなければならない。
更に、第3に要求されることは、この物質内に、粉塵、蒸気、水等の侵入を許容しないことである。
また、第4に要求されることは、この物質を用いての接続作業が、簡単に、且つ、短時間の内に実行されなければならないことである。具体的には、エポキシ樹脂を介しての接続作業において要求される真空脱泡や硬化のための昇温等を行わないで済むことが要求される。
本願発明者は、上述した要求事項を満足する物質を開発する中で、各種弾性体、粘性体の構造を検討し、この検討の中で、溶媒に不溶の三次元網目構造を持つ高分子及びその膨潤体であるゲル構造体に着目し、合成ゲル材の中から、透明な軟質シリコーンゲル材料を基材として選定し、この基材を低架橋密度でゲル化させ、流動性を残したままで、ゲル弾性体の特徴である形状保持性を持たせた低架橋密度ゲルを形成させることのできる配合技術を確立するに至った。
そして、鋭意努力を重ね、上述した要求事項を全て満足する低架橋密度ゲルを形成する配合技術を完成して、これが光ファイバの端面間の接続に用いられる物質として最適であることを見いだしたものである。即ち、このように形成した低架橋密度ゲルを、光ファイバの端面同士の接続部位に単に介在させることにより、一方の光ファイバから他方の光ファイバに中継される際の接続部位における光の散乱は、効果的に抑制され、中継効率が極めて向上することになった。
この発明においては、この低架橋密度ゲルは、以下のようにして製造される。
所定の屈折率を有する透明な軟質シリコーンゲル材料を主剤として用い、架橋密度の低い結合領域での付加反応により、粘着性を有し、且つ、最小限の流動が可能な低架橋密度ゲルを得ることができる。このように架橋密度の低い結合領域での付加反応の結果、活性水素の全量が反応に寄与することになるため、遊離水素の存在がなくなる利点がある。
ここで、上述した付加反応においては、主剤の組成体である所の、末端にビニル基を持つポリオルガノシロキサンと、原子結合水素を持つポリオルガノシロキサンとは、白金触媒により架橋が行われることになる。
尚、架橋密度の範囲は、原子結合水素を持つポリオルガノシロキサンの配合量によって規定され、その最終的架橋密度をほぼ正確に制御することが出来た。また、低架橋密度ゲルの架橋結合領域は、原子結合水素含有のポリオルガノシロキサンの理論的当量の30%から10%までの範囲である。
上述した架橋結合領域を越えて製造された場合には、ゲルは、原子結合水素を持つポリオルガノシロキサンの比率が高くなるほどに弾性体に近似した性状を呈し、この結果、流動性を失い、破断点を持つ特性を有することになり、好ましくない。一方、架橋結合領域を下回って製造された場合には、ゲルは、架橋しない主剤の自由度が増大することとなり、この結果、流動体としての挙動が顕著となり、シリコーン特有のクリープ流動が発生することとなり、好ましくない。
尚、低架橋密度ゲルの屈折率は、主剤となる透明シリコーンオリゴマの屈折率を予め調整しておくことにより、各種光ファイバのコアの屈折率に実質的に等しい値に調整することが出来る。これにより、接続しようとする光ファイバのコアと低架橋密度ゲルとの間の屈折率の差異による、光の反射及び散乱により生じる光の損失を極小に抑えることが出来ることになる。
上述したように、光ファイバのコア同士の接続においては、接続部位に空気層があると、光の損失を招き好ましくない。また、コアの端面間の距離は極力短いことが好ましい。この発明の低架橋密度ゲルは、圧接により容易に流動変形し、コアの端面間にある空気層を確実に排除することが出来るので、空気層の存在による光の損失を極小に抑えることが出来ることになる。
このような低架橋密度ゲルの物性及び外的環境の変動による影響は、以下のようにまとめられる。
(1)温度 使用温度範囲は−40℃から120℃までと広範囲である;
(2)湿度 組成対への吸湿率は、0%である;
(3)水 組成対への吸水率は、0.1%以下である;
(4)粉塵 表面への粉塵の付着はあるが、組織体への浸透はない;
(5)圧力 加圧された部位が、自由に変形する;
(6)振動 ザイラタンシーを起こさない;
(7)酸化 酸化しない。殆どの化学薬品に対して安定している;
(8)流失 流失しない;
(9)性能 ほぼ半永久的に、性能が保持される。
このように、低架橋密度ゲルは、自身の持つ熱分解温度を超える以外の外的環境に影響されることはなく、光中継用伝導体としての最適な条件を備えており、充分な有用性を有するものである。
ここで、低架橋密度ゲルの使用先が光ファイバのコアの直径が10〜50μmであるような極端に狭い領域であるため、その表面に微細な粉塵等の付着があってはならない。また、この製造工程において、粉塵などの異物の混入が許容される環境をも許容されない。この為、低架橋密度ゲルが光中継用伝導体として用いられるためには、この低架橋密度ゲルを製造するために用いる容器は、製造用と同時に実際に使用される状態を考慮した容器(シリンジ)であることが望ましい。換言すれば、一度、容器に充填された調合材料は、反応工程から実使用に至る間は、密閉状態に保持されることが肝要である。
上述した容器(シリンジ)に要求される条件を考慮すると、この容器は、少なくとも内周面がストレートに成され、両端が開放された筒体を備え、これの一方の開放端部は、材料注入口または低架橋密度ゲルの吐出口となるため、製造時の密閉用キャップまたは使用時のノズルが選択的に取り付けられる兼用取付部を有し、容器内には、低架橋密度ゲルの原材料が充填された際に受け部となるシール用パッキングが、軸方向に沿って移動自在に収納されている。
ここで、容器及びシール用パッキングの材質は、シリコーンの付加反応を阻害しない材料であれば、何でも良い。
このような低架橋密度ゲルを光ファイバの端面間に封入するためには、この低架橋密度ゲルを定量吐出するためのディスペンサが必要となる。このディスペンサでは、吐出するための低架橋密度ゲルを収納しておくための容器(シリンジ)が必須となるが、この容器(シリンジ)に、別途製造した低架橋密度ゲルを移し替えることは、気泡の発生の観点から好ましくない。そこで、本願発明者は、低架橋密度ゲルを製造する際の反応容器としての機能と、製造された低架橋密度ゲルを吐出のために収容しておく収納容器としての機能とを果たす容器(シリンジ)を新たに開発し、これをディスペンサに備えることにより、上述した条件を満足した状態で、低架橋密度ゲルを定量塗布させることが出来た。
また、上述した低架橋密度ゲルを光ファイバコネクタに封入することにより、光ファイバ同士を簡単に接続することが出来、且つ、接続時の光の散乱を極小に抑制することが出来た。
【図面の簡単な説明】
図1は、低架橋密度ゲルを製造する際に、反応容器として機能する状態におけるシリンジの構成を示す縦断面図であり、
図2は、製造された低架橋密度ゲルを収納しておく際に、収納容器として機能する状態におけるシリンジの構成を示す縦断面図であり、
図3は、シリンジ内に調合剤を注入する際の中途状態を示す縦断面図であり、
図4は、低架橋密度ゲルを定量吐出するための、この発明に係わるディスペンサの一実施例の構成を示す縦断面図であり、
図5は、ディスペンサの構成を、図4に示す状態からピストンロッドを送ってシリンジ内の低架橋密度ゲルを全て吐出し終えた状態で示す縦断面図であり、
図6は、回転筒を取り出して示す斜視図であり、
図7は、低架橋密度ゲルが封入された光中継用伝導体を備えた、この発明に係わる光ファイバコネクタの一実施例の構成を示す縦断面図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に、この発明に係わる低架橋密度ゲル吐出用のディスペンサ及びこの低架橋密度ゲルが封入された光ファイバコネクタの一実施例の構成を説明するが、その前に、低架橋密度ゲル及びこれの製造方法の手順を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
{製造方法の説明}
先ず、低架橋密度ゲルの製造方法の一実施例の態様を説明する。
光ファイバの接続に用いられる光中継用伝導体に用いられる低架橋密度ゲルは、基材とする透明な軟質シリコーンゲル材料、具体的には、屈折率を1.43〜1.50の範囲内にあるように調整された透明なシリコーンオリゴマと、この主剤に架橋剤として添加される原子結合水素含有ポリオルガノシロキサンとを、架橋剤の添加割合を30%当量とする架橋密度の低い結合領域で、白金触媒を用いて架橋反応させて、調合剤を作成する。
このように作成した調合剤を、図1に示すシリンジ10内に充填し、恒温槽内で、最高温度100℃、反応時間として最短で1時間、最長で6時間の範囲で付加反応させ、低密度の三次元架橋物でありながら、粘着性を有し、最小限の流動が可能な低架橋密度ゲルを、シリンジ10内で得る。
このような製造方法は、クリーンルーム内において実施され、原材料の保管、調合、シリンジ10内への充填、反応工程は、全て、クリーンルーム内で行うことが好ましい。
{低架橋密度ゲルの説明}
以上のようにして製造される低架橋密度ゲルは、以下の物性を有している。
(i)組成 シリコーン混合物
(ii)屈折率 1.46(1.43〜1.50の範囲内で調整可能)
(iii)使用温度範囲 −40℃〜120℃の範囲で安定
(iv)吸湿・吸水性 25℃以上100℃までは0.1%以内
(v)粉塵 表面に付着するが、組織体への移動は認められない
(vi)耐圧・耐震性 加圧により変形するが、チクソトロピーはない
(vii)粘度 100,000C/P以上
(viii)酸化性 酸化しない
(ix)耐薬品性 殆どの溶剤に対して溶解しない
(x)流動性 流動性を持たないが、外力により自由に変形する
(xi)性能保持期間 常温保存で20年以上
このような物性を有する低架橋密度ゲルは、光中継用伝導体に用いられる状態において、以下に示す効果を奏するものである。
先ず、光透過性においては、この低架橋密度ゲルを光ファイバの接続部位に、光中継用伝導体として用いることにより、光の接続損失を減少させ、透過率を向上させることが出来た。実施例においては、機械式の突き当て方式の場合と比較して、接続損失を約十分の一に減少させることが出来、また、透過率を30%近く向上させることが出来た。
詳細には、低架橋密度ゲルの光透過性を検証する実験例での比較実験結果は、次の通りである。
Figure 0004069261
性状においては、低架橋密度ゲルは、弾性体と液体の中間体をなす凝結体で、極めて密度の低い架橋構造でありながら、粘着性を持ち、圧力により自由に変形を生じ、加圧体に密着し、圧力を解放されると原形状に復帰する。加熱によって軟化・流動化することはない。また、化学的には、触手として遊離水素を持たないため、光ファイバのコアやクラッドの組成体と結合することなく、光の進路を阻害する要素は極めて少ない。
この結果、光ファイバの接続部に光中継用伝導体として封入された低架橋密度ゲルは、接合圧で光ファイバのコアの端面の凸凹を埋め、光の反射や散乱を微少なものとし、且つ、流出することもなく、長期間に亘り安定している。
このような効果を確認する実験例では、低架橋密度ゲルを少量だけ一対のガラス板に挟み込み、120℃の恒温槽に垂直に立て、1000時間保存した。この後、両ガラス板の変位状態を測定したが、位置ずれの発生や流動化は認められなかった。
次に、低架橋密度ゲルをほぼ5mgだけ、FC型光ファイバコネクタに封入して、光ファイバの着脱動作を50回に亘り繰り返し実施し、各回毎に、光透過率を測定したところ、20回までは原透過率を維持し、20回を越えてからは、軽微なばらつきが認められたが、実用性を阻害する範囲ではなかった。
尚、このFC型光ファイバコネクタへ低架橋密度ゲルを封入するためのディスペンサの構成及び封入状態は、後に図面を用いて詳細に説明する。
更に、上述したFC型光ファイバコネクタのアウタソケットを取り外し、光ファイバがフェルールとスリーブのみからなる構成体により連結された状態で、これを水中に投下し、低架橋密度ゲルを水中に暴露したままで光透過率を測定したところ、この数値は時間の経過に拘わらず変動することなく安定したものであった。
また、低架橋密度ゲルが暴露した部位に煮沸した湯を注いだところ、約10%の光透過率の低下が観測されたが、室温に戻るにつれて、光透過率は徐々に原数値に復帰した。尚、同様な湯を注ぐ動作を光ファイバケーブルに行ったところ、光透過率は、上述したと同様な変化を呈した。
このように、低架橋密度ゲルを持って光ファイバの接続部位に封入される光中継用伝導体は、温度、湿度、圧力、振動、及び粉塵、水、蒸気等に充分耐え得るものであり、従来の光コネクタ及び固定型接続装置並びに光合分波器などの構造簡易化に貢献することが出きるものであり、産業上の利用性は極めて高いものである。
{シリンジ10の説明}
ここで、上述したシリンジ10は、以下の2つの用途をもって用いられるものである。即ち、
(A)第1の用途としては、図1に示すように、調合剤の充填、これの反応工程までの反応容器として用いられることである。
(B)第2の用途としては、このシリンジ10の吐出側端部に図2に示すようにノズル20を取り付け、製造した低架橋密度ゲルを接続部位に定量供給(塗布)するためのディスペンサへ組み込まれる収納容器として用いられることである。
このような2つの用途を持って用いられるシリンジ10の一実施例の構成を、図1乃至図3を参照して、詳細に説明する。
先ず、第1の目的を持って用いられる場合の構成を、図1を参照して説明する。このシリンジ10は、筒状のシリンジ本体12を備え、このシリンジ本体12は、ストレートな内周面を有して両端が開口された状態に形成されている。このシリンジ本体12は、この実施例においては、均一な薄肉厚を有しており、従って、ストレートな外周面を有している。特に、シリンジ10の図中右側の端面は、全面的に開放されている。
このシリンジ本体12の図中左方の開口は、上述した調合剤14が注入される注入用開口及び低架橋密度ゲルが吐出される吐出用開口として共通に規定され、この注入・吐出開口が規定される端部の外周面には、雄ネジ12Aが螺刻されている。また、この注入・吐出開口の外周には、キャップ16が着脱自在に取り付けられている。このため、このキャップ16の内周面には、雄ネジ12Aに螺合可能な雌ネジ16Aが螺刻されている。ここで、雄ネジ12A及び雌ネジ16Aが互いに螺合した状態で、シリンジ本体12とキャップ16との間は液密状態が保持されている。
一方、このシリンジ本体12内には、上述した調合剤14を内部に充填する際の受け部となるシール用パッキング18が、軸方向に沿って移動自在に収納されている。
このような構成のシリンジ10においては、調合剤14の注入に際しては、図3に示すように、キャップ16は取り外され、シール用パッキング18を図中左方に偏倚した状態で収納させておく。この状態で、調合剤14を注入・吐出口から徐々にシリンダ本体12内に注入する。この注入動作に伴い、シール用パンキング18は、調合剤14に押されて徐々に図中右方に移動させられることになる。この調合剤14が所定量だけ注入された時点で、キャップ16を取り付け、図1に再び示す様に、内部に調合剤14が充填されたシリンジ10が完成する。
このように内部に調合剤14が充填されたシリンジ10は、その後、そのままの形で図示しない恒温槽内に入れられ、ここで所定の加熱条件で加熱される。この加熱により、シリンジ10内の調合剤14は付加反応をおこし、低架橋密度ゲル22となる。
一方、このように製造された低架橋密度ゲル22を光ファイバの接合部位に封入する場合には、クリーンルーム内で、キャップ16を取り外し、替わりに、ノズル20を取り付け、図2に示す構成とする。
ここで、このようなシリンジ10内に、別途の反応容器内で付加反応させた低架橋密度ゲル22を、例えば注射器状のもので吸い上げて、注入することにより収納することも考えられる。しかしながら、一旦、シリンジ10外で製造した低架橋密度ゲル22を、シリンジ10内に注入しようとすると、注入時に気泡が低架橋密度ゲル22内に混入する事態が発生する虞があり、また、このような空気の泡の混入を未然に防いだ状態で低架橋密度ゲル22をシリンジ10内に注入することは、極めて困難である。
仮に、低架橋密度ゲル22内に注入に際して気泡が混入した場合には、この気泡を除去する手だてはなく、不良品として廃棄せざるを得ないことになる。一方、調合剤14の状態では、性状は液状であり、内部に気泡が混入された場合には、このシリンジ10を立てておけば、気泡は自然と浮かび上がることとなり、調合剤14から問題なく気泡は除去されることになる。
このような観点から、シリンジ10に反応容器としての機能と、収納容器としての機能を共に果たさせることに、重大な意味がある。換言すれば、後述するディスペンサ30に装着する収納容器としてのシリンジ10内で、調合剤14を付加反応させて低架橋密度ゲル22を製造することにより、特有な効果が奏せられることになる。
{ディスペンサ30の説明}
次に、シリンジ10内に収納された低架橋密度ゲル22を定量吐出させるための、この発明に係わるディスペンサ30の一実施例の構成を、図4及び図5を参照して詳細に説明する。
このディスペンサ30は、図4に示すように、内部に上述したシリンジ10が収容される中空円筒状の外筒32を備えている。この外筒32は、図中左端が閉塞され、右端が全面的に開放されて形成されている。この外筒32の左方の端面の中心部には、上述したシリンジ10に取付けられたノズル20が挿通される挿通孔34が厚さ方向に貫通した状態で形成されている。また、この外筒32の内周面の図中左方には、外筒32内に収容されたシリンジ10の左方の端面が当接して、シリンジ10の外筒32内の位置を規定するための段部36が形成されている。
また、外筒32の図中右方の端部の内周面には、雌ネジ32Aが螺刻されている。一方、この外筒32の図中右方の端部内には、後述するピストンロッド38が軸方向に沿って進退自在に支持された取付けブロック40が取付けられている。この取付けブロック40の外周面は、図中左方部分と右方部分とに分割されており、左方部分が右方部分よりも径大に形成されている。この左方部分の外周面には、上述した雌ネジ32Aに螺合する雄ネジ40Aが螺刻されており、雌ネジ32Aと雄ネジ40Aとが互いに螺合することにより、取付けブロック40は外筒32に固定的に取付けられることになる。
この取付けブロック40の中心部には、軸方向に沿って延出した状態で、中心孔40Bが形成されており、この中心孔40Bの内周面には、リード溝40Cが螺刻されている。一方、この中心孔40Bには、ピストンロッド38が軸方向に沿って移動自在に挿通されており、これの外周面には、リード溝40Cと相補的に嵌合するリード溝38Aが螺刻されている。
このように、ピストンロッド38は、互いに螺合するリード溝38A、40Cを介して取付けブロック40に支持されているので、この取付けブロック40が固定された状態において、ピストンロッド38は軸線回りに回転されることにより、軸方向に沿って移動することになる。即ち、両リード溝38A、40Cにより、ピストンロッド38の回転に伴い、このピストンロッド38を軸方向に沿って移動させる第1の係合手段を構成している。
このピストンロッド38の図中左方の端部は、外筒32内に取付けられたシリンジ10内のシール用パッキング18に右方から当接しており、これの図中左方への移動に伴い、シール用パッキング18を図中左方に押しやり、シリンジ10内に収納された低架橋密度ゲル22を押圧して、これをノズル20の先端に形成された吐出口から吐出させることが出来ることになる。即ち、このように収納容器として機能するシリンジ10をディスペンサ30内に取付けることにより、シール用パッキング18は、ピストンヘッドとして機能することになる。
このピストンロッド38の図中右端には、外周面に複数の軸方向に沿って延出するスプライン溝42Aが形成されたすり割りナット42が、取付けボルト44を介して固定的に取付けられている。一方、このピストンロッド38を図中右方から覆う状態で、回転筒46が取付けられている。この回転筒46の内周面には、スプライン溝42Aに夫々係合する突条46Aが形成され、スプライン溝42A及び突条46Aにより、回転筒46の回転に伴いピストンロッド38を一体的に回させるが、これの軸方向に沿う移動を許容するように係合する第2の係合手段を構成している。
これ第2の係合手段を備えることにより、回転筒46を軸線回りに回転させることにより、ピストンロッド38はこれと一体的に回転し、この結果、軸方向に沿って移動することになる。
また、この回転筒46の図中左方部分は、上述した取付けブロック40の図中右側の径小部の外周面の半径方向外方に対面する位置まで(即ち、径小部の外周面を覆うように)延出している。そして、この回転筒46を所定角度毎の回転位置で係止させるために、取付けブロック40の径小部の外周面には、周方向に沿って、所定角度置きに回転位置規定用の凹み48が多数形成されている。
一方、回転筒46には、この凹み48に選択的に係合する先端部を備えた係止リング50が取付けられている。この係止リング50はばね部材から形成されており、これの先端部は、弾性的に凹み48に係合するように設定されている。これら凹み48と係止リング50とは、回転筒を所定角度毎に回転するように係止する回転係止手段を構成している。尚、この係止リング50は、回転筒46の回転角度量を規定すると共に、回転筒46が取付ブロック40から軸方向に抜け落ちないように係止する所謂スナップリングとしての機能をも果たすように設定されている。
従って、係止リング50の先端部が、ある凹み48に係合している状態は、弾性的に保持されており、これにより、回転筒46の回転位置も、弾性的に係止されることになる。一方、この係止状態から、回転筒46を強制的に回転させると、係止リング50の先端は弾性的に変形して、今まで係合していた凹み48から抜け出て、所定角度だけ回転移動した状態で、隣接する凹み48に再び係合することになる。このように回転筒46が所定角度だけ回転してその位置を弾性的に保持されることにより、シリンジ10内の低架橋密度ゲル22は、回転筒46の回転に応じた量だけ、ノズル20の先端から吐出されることになる。
ここで、これら凹み48を周方向に沿って等間隔で配列しているので、回転筒46をワンノッチ分だけ回転させることにより、常に一定の量の低架橋密度ゲル22が吐出されることになり、ディスペンサ30による低架橋密度ゲル22の定量吐出が可能となる。
尚、上述したピストンロッド38と回転筒46と第1及び第2の係合手段と回転係止手段とにより、シリンジ10の図中右側の開放端面を介してピストンヘッド18に当接してこれを図中左方に押し込めることにより、このシリンジ10内の低架橋密度ゲル22をノズル20を介して吐出させるための吐出手段を構成している。
そして、回転筒46を回転し続け、図5に示すように、ピストンヘッド18がシリンジ10内の左端まで移動することにより、シリンジ10内の低架橋密度ゲル22は吐出され尽くされたこととなる。
尚、この実施例においては、回転筒46は透明材料から形成されており、内部のピストンロッド38の進退位置(即ち、軸方向位置)を目視により確認することが出来るように成されている。この結果、作業者は、ピストンロッド38の進退位置を目視で確認することにより、シリンジ10内の低架橋密度ゲル22の概略的な残り量を認識することが出来ることになる。
ここで、ピストンロッド38に固定されたすり割ナット42の所定位置に目印を付け、図6に示すように、回転筒46に目盛りMをふることにより、低架橋密度ゲル22の残り量を正確に把握することが出来ることになる。
次に、以上のように構成されるディスペンサ30の組立手順について、以下に説明する。
先ず、外筒32内に、上述した製造方法を介して内部に低架橋密度ゲル22が充填され、先端部にノズル20が付け替えられたシリンジ10を挿入し、このノズル20を挿通孔34から外方に突出させる。この後、ピストンロッド38が予め取り付けられた取付ブロック40を、これの雄ネジ40Aと外筒32の雌ネジ32Aとを互いに螺合して、外筒32に固定的に取り付ける。この際、ピストンロッド38の先端が、シリンジ10内のピストンヘッド18に誤って当接して、内部に充填されている低架橋密度ゲル22がノズル20から漏れ出ることがないように、ピストンロッド38は、取付ブロック40に最も入り込んだ位置に引き込まれている。
この後、ボルト44を介してすり割りナット42を、ピストンロッド38の後端に固定的に取り付け、更に、回転筒46を図中右方から填め込み、これの先端部が取り付けブロック40の外周に位置するように挿入する。そして、係止リング50を回転筒46の先端外周面に取り付け、この係止リング50の先端部が凹み48の一つに係合するようにする。このようにして、回転筒46は、取付ブロック40からの抜け落ちが防止されると共に、現在の回転位置に弾性的に保持されることになる。
{光ファイバコネクタの説明}
以上のように構成されたディスペンサ30を用いて、光中継用伝導体として低架橋密度ゲル22が封入された、この発明に係わる光ファイバコネクタの一実施例の構成を、FC型光ファイバコネクタ(以下、単にコネクタと呼ぶ。)60に適用した場合を、図7を参照して説明する。
ここで、光ファイバコネクタは、日本工業規格(JIS)にその構造を規定されており、FC型では、2本の光ファイバ62A、62Bの心線64A、64Bにフェルールを嵌着させることが規定されているが、この実施例では、フェルールを用いることなく、心線64A、64Bをその剥き出し状態のままで光中継用伝導体66中に挿入している。尚、心線は、コアの外周にクラッド層がコーティングされた素線の外周をバッファ層や被覆層で覆った構造として規定されている。
即ち、このコネクタ60は、二つ割り円筒形アダプタ68を備え、このアダプタ68は、両端が開放された中空筒状に形成されている。このアダプタ68の中央透孔内には、丁度軸方向に関して中央に位置した状態で、光中継用伝導体66が嵌入されている。
また、この光中継用伝導体66は、この実施例においては、プラスチック製のスリーブ70と、このスリーブ70内に上述したディスペンサ30を用いて封入された低架橋密度ゲル22とから構成されている。
詳細には、このアダプタ68の中心透孔は、軸方向に関して中央に位置し、上述した光中継用伝導体66が緊密に嵌入される第1の透孔部68Aと、この第1の透孔部68の図中右方に隣接し、第1の透孔部86Aよりも径小に形成された第2の透孔部86Bと、この第1の透孔部86Aの図中左方に隣接し、第1の透孔部86Aよりも径大に形成され、後述するクッションリング72が緊密に嵌入される第3の透孔部86Cと、この第3の透孔部86Cの図中左方に隣接し、アダプタ68の左側端面に開口すると共に、第2の透孔部86Cよりも径大に形成され、後述する第1の嵌着具74が着脱自在に嵌入される第4の透孔部86Dと、上述した第2の透孔部86Bの図中右方に隣接し、アダプタ68の右側端面に開口すると共に、第2の透孔部68Bよりも径大に形成され、後述する第2の嵌着具76が着脱自在に嵌入される第5の透孔部68Eとから構成されている。
上述した第1及び第2の嵌着具74、76は、同一形状に形成されており、共に、端面から心線64A、64Bが剥き出しの状態で突出した光ファイバ62A、62Bの外周面を夫々保持するように構成されている。尚、第1及び第2の嵌着具74、76は、夫々、第4及び第5の透孔部68D、68Eに嵌入された状態で、対応する固定ナット78、80により、アダプタ68への嵌入状態を夫々保持されるように成されている。
以上のように構成されるコネクタ60の組立手順を以下に説明する。
上述した部品の全てが分解された状態で、先ず、低架橋密度ゲル22が封入された光中継用伝導体66を、図中左方からアダプタ68の中心透孔内に挿入し、第1の透孔部68Aに緊密に嵌入する。そして、この光中継用伝導体66を第2の透孔部68Bとの段部に当接させて、その嵌入位置を規定する。そして、同様に、クッションリング72を図中左方から中心透孔内に挿入し、第3の透孔部68Cに緊密に嵌入する。そして、このクッションリング72を光中継用伝導体66に当接させて、この光中継用伝導体66の嵌入状態を保持する。
この後、一方の光ファイバ62Aが嵌着された第1の嵌着具74を、図中左方から第4の透孔部68D内に嵌入し、第1の固定ナット78により、その嵌入状態を保持する。このように、第1の嵌着具74がアダプタ68に嵌入された状態で、図示するように、これに保持された光ファイバ62Aから突出する心線64Bの先端面は、光中継用伝導体66の低架橋密度ゲル22内に進入することになる。
引き続き、他方の光ファイバ62Bが嵌着された第2の嵌着具76を、図中右方から第5の透孔部68E内に嵌入し、第2の固定ナット80により、その嵌入状態を保持する。このように、第2の嵌着具76がアダプタ68に嵌入された状態で、図示するように、これに保持された光ファイバ62Bから突出する心線64Bの先端面は、光中継用伝導体66の低架橋密度ゲル22内に進入することになる。
ここで、光中継用伝導体66においては、両心線64A、64Bの先端面が、低架橋密度ゲル22内に進入することになるが、両心線64A、64Bの突出長さは、第1及び第2の嵌着具74、76が夫々アダプタ68に嵌着された状態で、両端面が丁度、対向する状態となるように、設定されている。このように両心線64A、64Bの突出長さ、即ち、両心線64A、64Bの切断位置は規定されることになるので、従前の機械的な突き当て方式の場合に、両端面を正確に当接させる必要があることと比較して、その切断位置は、かなりいい加減に設定でき、これにより作業性の向上を図ることが出来ることになる。
即ち、このような光中継用伝導体66に低架橋密度ゲル22を封入しているので、両心線64A、64Bの端面が夫々緊密に対向していなくても、両端面間に低架橋密度ゲル22が介在することになり、既に説明したように、この低架橋密度ゲル22の介在により、一方の光ファイバ62Aから他方の光ファイバ62Bへ伝送される光の、このコネクタ60における接合部位での損失は、極小に抑えることが出来る効果が奏せられることになる。
この発明は、上述した実施例の構成及び手順に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施例においては、光中継用伝導体66は、スリーブ70と、このスリーブ70中に封入された低架橋密度ゲル22とを備えるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、スリーブ70を用いることなく、低架橋密度ゲル22そのものから光中継用伝導体を構成するようにしても良い事は、言うまでもない。
また、上述した実施例においては、コネクタ60に装着される光中継用伝導体66のスリーブ70には、ディスペンサ30を介して低架橋密度ゲル22を封入するように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、他の構成のゲル注入器具を介して封入することが出来ることは、言うまでもない。
産業上の利用性
以上詳述したように、この発明によれば、光ファイバのコアの端面同士を接合する為に用いられる低架橋密度ゲルを吐出することの出来るディスペンサが提供されることになる。また、この発明によれば、簡単な構成で、光の散乱を効果的に抑制した状態で光ファイバのコアの端面同士を接合させることの出来る光ファイバコネクタが提供されることになる。また、この発明によれば、長期間に亘り、使用性能を維持して、光の散乱を安定的に抑制することの出来る光ファイバコネクタが提供されることになる。このようにして、このディスペンサは、光ファイバを接続する際に用いられる低架橋密度ゲルを吐出する際に用いられることに適している。また、この光ファイバコネクタは、光ファイバの端面同士を接続するのに用いるのに適している。

Claims (9)

  1. 一方の端面に挿通孔が形成され、他方の端面が開放され、所定の軸線に沿ってストレートに延出する外筒と、
    一方の端面と他方の端面が解放され、該一方の端面の側の端部に密閉用キャップまたはノズルが選択的に取り付けられる兼用取付部が設けられ、該兼用取付部に前記挿通孔へ挿通されるノズルが取付けられ、内部に軸線方向に沿って摺動自在に設けられた低架橋密度ゲルを封止するピストンヘッドが設けられ、前記外筒に収納されるシリンジと、
    前記外筒に取付けられ、前記シリンジの他方の端面を介して前記ピストンヘッドに当接してこれを押し込めることにより、前記シリンジ内の前記低架橋密度ゲルを前記ノズルを介して吐出させるための吐出手段と、
    を具備し、
    前記シリンジは、前記低架橋密度ゲルの製造の際には前記密閉用キャップを前記兼用取付部に取り付け、前記低架橋密度ゲルの製造後には前記密閉用キャップに代わって前記ノズルを兼用取付部に取り付けることで、前記低架橋密度ゲルが製造されたままの状態で内部に収納されていることを特徴とするディスペンサ。
  2. 前記ピストンヘッドは、前記シリンジ内で低架橋密度ゲルが製造される際においては、シール用パッキングとして内部を密閉していることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
  3. 前記吐出手段は、前記低架橋密度ゲルを定量吐出させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
  4. 前記吐出手段は、
    前記外筒に対して軸方向に沿って移動自在に取付けられ、先端部が前記ピストンヘッドに当接可能になされたピストンロッドと、
    前記ピストンロッドと前記外筒との間に介設され、前記ピストンロッドの回転に伴い、該ピストンロッドを軸方向に沿って移動させる第1の係合手段と、
    前記外筒に回転自在に取付けられ、前記ピストンロッドを覆う回転筒と、
    前記回転筒と前記ピストンロッドとの間に介設され、前記回転筒の回転に伴い該ピストンロッドを一体的に回させると共に、前記回転筒の回転の軸方向に沿う移動を許容するように係合する第2の係合手段と、
    前記回転筒を所定角度毎に回転するように係止する回転係止手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載のディスペンサ。
  5. 前記回転筒は、透明に形成され、内部が透視可能であることを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
  6. 前記回転筒の外周面には、前記シリンジ内の低架橋密度ゲルの残量を示す目盛りが付されていることを特徴とする請求項5に記載のディスペンサ。
  7. 前記外筒には、中心軸に沿って貫通する状態で形成された中心孔を有する取付けブロックが一体的に取付けられ、
    前記ピストンロッドは、前記中心孔に摺動自在に挿通され、
    前記第1の係合手段は、前記ピストンロッドの外周面に形成されたリード溝と、前記中心孔の内周面に形成されたリード溝とを、互いに螺合する状態で備え、
    両リード溝の螺合を介して、前記ピストンロッドは中心軸回り回転することにより、軸方向に沿って移動することを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
  8. 前記第2の係合手段は、前記ピストンロッドに取付けられ、軸方向に沿って延出する少なくとも1本の突条と、前記回転筒の内周面に形成され、軸方向に沿って延出する少なくとも1本のスプライン溝とを、互いに嵌合する状態で備えることを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ。
  9. 前記回転筒は、前記取付けブロックの外周を覆うように取付けられ、
    前記回転係止手段は、前記取付けブロックの外周面に、周方向に沿って等間隔に配列された複数の凹みと、前記回転筒に取付けられ、前記複数の凹みの一つに選択的に弾性的に係合する係止リングとを備えることを特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
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