JP3988625B2 - インクジェット用記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやビーディング(インクの吸収不良による液溜り状の濃度ムラ)の発生も少なく、特には記録部の色域再現範囲の広く、色の経時での変化も少ない印刷校正用途としても好適であるインクジェット用記録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ出力用に各種方式のプリンターが普及している。なかでもインクジェットプリンターは、静粛性、コスト、簡便性、画像品質が優れ、特にフルカラー画像を高品位で再現でき、他方式にはない優れた性能を有し、さらなる普及が期待できる。特に近年では、インク滴の制御と濃淡インクの開発、および記録媒体の性能向上に伴い、銀塩写真並の画像を得られるまでに技術が進歩している。
【0003】
このような技術の発展に伴い、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷校正用としても、インクジェットプリンターを用いることが多くなってきている。インクジェットプリンターによる印刷校正によって、リモートプルーフシステムが実現可能となり、従って迅速な校正が可能となる。
【0004】
上記インクジェット記録方式においては、インクとしては染料が溶解された水性インクを使用し、記録媒体としては支持体上にインク受容層の形成された記録媒体を用いるのが一般的である。
【0005】
ここで、記録媒体の一般的な技術例を挙げるなら、多孔質シリカをポリビニルアルコールに分散させカチオン成分を添加したものをインク受容層として設けた記録媒体によって、物理的な作用によりインクをシリカ細孔に吸収させ、かつカチオン成分を添加することによりにより染料を化学的に定着させる方法、もしくはアルミナゾルを用いて、物理的にインクを吸収させながらアルミナにより染料を化学的に定着させる方法、もしくは、カチオン性樹脂を用いて、膨潤によりインクを物理的に吸収させながらカチオン部により染料を化学的に定着させる特許文献1、2に記載の様な方法等がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−096911号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−309157号公報
【0008】
しかしながら、これまでの一般的な記録媒体においては、銀塩写真をターゲットとして、画質、光沢感、乾燥性、耐水性の向上を目的として開発されたものが多い。その為、これらの特性については満足の出来るものが多いが、色域再現範囲はオフセット印刷やグラビア印刷の色域再現範囲を満たすことができず、印刷校正用途としては実用的ではなかった。
【0009】
例えば、膨潤によりインクを吸収させるようなインクジェット用記録媒体の場合、透明な樹脂を用いることにより染料が持つ本来の色相に近いものが得られ、色域再現範囲は広くなるが、膨潤しながらインクを吸収させるためにインク吸収速度は遅く、近年の高速のインクジェットプリンターでは高画質を得ることは出来なかった。
【0010】
また、多孔質層からなるインク受容層を設け物理的な作用によりインクを細孔に吸収させるようなインクジェット用記録媒体の場合、インクの吸収性には優れるものの、染料はインク受容層の内部にて発色するために、染料が持つ本来の色相が得られず、色再現範囲は狭くなる。そこでインク受容層表面に微粒子にて細孔を形成しインク受容層表面に染料を維持するインクジェット用記録媒体も多く考えられているが、インク吸収性、画像品位には優れているものの、色域再現範囲はオフセット印刷やグラビア印刷の印刷における色域再現範囲を満たさず、校正用途としては不十分であった。
【0011】
また、物理的な作用によりインクを細孔に吸収させるようなインクジェット用記録媒体の場合更に、染料の発色とその安定化を図るために、インク受容層中にカチオン成分を含有させることにより、染料を化学的に定着させる方法が用いられる。また、耐光性や耐ガス等を含めた染料の経時変化を防ぐ目的でインク受容層中に酸化防止剤や紫外線吸収剤、pH調整剤等の添加剤を含有させることが行なわれる。しかしながら、これら添加剤をインク受容層を形成するための塗液に混合する際、溶媒、pH、イオン性、相溶性等から塗液の凝集、ゲル化、増粘、分離、沈降等の問題が発生しやすく、インク受容層の塗液にあった添加剤を選定するのが非常に困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、従来の技術では、銀塩写真に類似した風合いや印画物を得るには好適であるが、色域再現範囲に関してはオフセット印刷やグラビア印刷の持つ風合いや色域再現範囲に対して不足していた。
【0013】
一般にオフセット印刷やグラビア印刷では、専用の印刷用紙の上に画像情報に基づいてインキをのせ、乾燥や硬化させることにより画像情報を記録する。その際、印刷インクの一部は用紙内部に浸透するが、その大部分は用紙の表面に留まるのが普通であり、従って、発色成分である顔料の大部分も表面に留まることになり、顔料が持つ本来の色相が十分発現される。
【0014】
一方、インクジェットによる印刷においては、インクジェットのインクは、基本的にインク受容層と呼ばれる塗布層の内部に浸透し、従って発色成分である染料もインク受容層の内部に浸透し定着され発色する。そのため、インク受容層の膜の透明性、屈折率等の他、さらにはインク中の染料以外の成分、すなわち残溶媒や残添加剤にも発色が影響され、染料本来が持つ色相が十分発現されない場合が多い。
【0015】
そのため、オフセット印刷やグラビア印刷の色校正等にインクジェットプリンターを用いる場合、従来のインクジェット用記録媒体では、画質や文字の滲み等が優れていても、色再現範囲がオフセット印刷やグラビア印刷の色再現によりも狭く、実用上十分ではなかった。
【0016】
またこれら色再現範囲の改善と更に印画後の色の変化の改善をするためのカチオン化剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等をインク受容層を形成するための塗液に添加することは難しく、印画後の色の安定化を図ることが難しかった。
【0017】
本発明は、このような従来の技術が持つ問題点に鑑みてなされたものであって、すなわち、インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやビーディングの発生もなく、特には記録部の色域再現範囲の広い、印刷校正用途としても好適であり、記録部の色の経時変化の少ないインクジェット用記録媒体の製造方法に関するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1に示す発明は、紙からなる支持体上の片面に多孔質のインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、
支持体のインク受容層とは反対側の面からpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を塗布し、かつ、前記添加剤がインク受容層表面まで浸透し、
前記添加剤が溶媒に溶解するもの、あるいは、常温あるいは100℃以下で流動性を有するものであることで得られるインクジェット用記録媒体の製造方法である。
【0019】
支持体に紙を使うことで印刷用紙に近い風合いの記録媒体が得られ、更に片面に多孔質のインク受容層を設けることでインクの吸収効果を大きくさせ、インクの吸収容量や吸収速度を増し、高速、高精細のプリンタに対応した滲みやビーディングの少ないインクジェット記録媒体が得られる。更に支持体の裏面よりpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を塗布することで色再現範囲が広く、印画後の色の経時変化の少ないインクジェット記録媒体が得られる。
【0020】
多孔質のインク受容層を支持体上に設ける方法としては微粒子の分散液にバインダーとなる樹脂の溶解液または分散液を混合した塗液を支持体上に塗布し乾燥する方法が一般的であり、また別の支持体等に塗布したものを転写する方法も知られている。またインク受容層にインクの発色を良好なものとし、定着させるカチオン化剤を添加することも知られている。
【0021】
しかしながらインク受容層にカチオン化剤を添加するにあたり、微粒子の分散体を有するインク受容層塗液にカチオン化剤を添加するとインク受容層塗液は凝集やゲル化が起こったりして塗工が困難になったり、塗工が可能でも塗面の不良や塗液経時での増粘、沈降等が発生したりすることが多い。
【0022】
したがって、インク受容層塗液添加して安定なカチオン化剤を選定することだけでも難しく、更に染料の発色、定着性に有効なカチオン化剤を選定することは非常に困難であった。
【0023】
また、同様にpH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤おいてもこのようなインク受容層塗液に添加すると凝集やゲル化、増粘、沈降といった不良が発生しやすく、インク中の染料に作用する効果はあってもインク受容層塗液に添加することは困難なものが多かった。
【0024】
そこで支持体上にインク受容層塗液を塗布、乾燥しインク受容層を形成後に、インク受容層上にこれらカチオン化剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含む溶解液を塗布する方法があるが、これでは多孔質なインク受容層表面の孔をふさいでしまうことがあり、インク吸収性が低下してしまう。特にインク受容層の表面が微粒子と水溶性の樹脂でできている場合は顕著である。
【0025】
そこで本発明では添加剤を含む溶解液を紙からなる支持体の裏面より塗布することで添加剤は紙基材を浸透し、更に多孔質のインク受容層内に浸透してインク受容層内の空隙に添加剤を含有させることができ、更に乾燥後はインク受容層内に空隙が保たれることとなる。
【0026】
インク受容層の表面層を少なくとも乾式シリカと水溶性樹脂からなる層或いは無水アルミナと乾式シリカと水溶性樹脂からなる層にすることは、比較的比表面積大きく微細で透明な乾式シリカを用いることで染料の発色性を良好とし、更に同じく微細で透明で染料の定着性の良好な無水アルミナを併用することで染料の発色ばかりでなく色の安定性も向上することができる。
【0027】
また、これら微粒子の結着剤としては少量で強靭な水溶性樹脂を用いることで強固で多孔質なインク受容層を得ることができる。更に少なくともこれらの材料からなるインク受容層は発色性が良好となり広い色域再現範囲が達成されるばかりでなく、インク受容層表面が平滑化され印刷校正用紙に近い適度な表面光沢を有するインクジェット用記録媒体を得ることができる。
【0028】
またインク受容層の表面層と支持体の間に少なくとも湿式シリカとシラノール変性されたポリビニルアルコール類からなる中間層を設けることで、シラノール基によって弱架橋された多孔質層が適度な吸収能力となり中間層へインク中の染料以外の溶媒や添加剤等が吸収され、インク受容層の表面層中の染料分子が単独で存在しやすくなり広い色域再現範囲が達成されると考えられる。
【0029】
同時に裏面よりpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を塗布する際にシラノール基によって弱架橋された多孔質層は支持体の裏面より浸透した溶解液によって溶解、膨潤により浸透を阻止することなく、インク受容層表面層にまで添加剤を含む溶解液を浸透させインク受容層表面付近にまで添加剤を有するインク受容層を形成することが容易となる。
【0030】
また支持体に非コーテッド紙を用いることも同様に裏面から塗布された添加剤を含む溶解液をインク受容層表面層にまで浸透させインク受容層付近に添加剤を有するインク受容層を形成することが容易となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のインクジェット用記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
本発明によるインクジェット用記録媒体の製造方法は、オフセット印刷やグラビア印刷の印刷校正用途としても十分実用的な広い色域再現範囲を有し、色の経時変化も少ないインクジェット用記録媒体の製造方法である。
【0033】
本発明で述べるインク受容層とは、インクジェットプリンターから吐出されるインクを十分に吸収することのできる多孔質の層であり、また、支持体とは、少なくとも片面にインク受容層を形成させることのできるパルプ等を主成分とする紙からなる基材である。また、インク受容層は1層、或いは表面層と中間層を含むの2層以上から構成される。表面層は主にインクジェットプリンターから吐出されるインクを受け止めインク中の染料を定着させることのできる層であり、中間層は主にインク中の溶媒、添加剤等を吸収することのできる層である。
【0034】
本発明で述べる多孔質のインク受像層とは好ましくは少なくとも微細な粒子からなる充填剤と結着剤となるバインダー樹脂からなり多くの空隙を有する層である。充填剤とは、一般的に使用される充填剤であり、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等があげられる。中でも本発明で述べる乾式シリカとは、気相法シリカともよばれ、一般的には四塩化ケイ素を水素と酸素と共に燃焼させ作製されるシリカであり、特徴としては、粒子が非常に微細であることがあげられる。
【0035】
特に本発明で用いる乾式シリカはインク受容層の表面光沢とインク発色性を良好とするため、表面層の表面平滑性と透明性がより得られる0.5μm以下の平均粒子径を使用することが好ましい。ここでいう乾式シリカの平均粒子径とは2次粒子径のことであり、一般に乾式シリカはより細かい1次粒子では存在できずその凝集体である2次粒子でで存在するため実際は2次粒子径は0.1μm〜0.5μmの範囲のもが使用できる。
【0036】
また無水アルミナも乾式シリカ同様微細であり表面平滑性と透明性が良好で更に表面がカチオン性のため染料の発色と安定化向上するため表面層の充填剤として使用できる。
【0037】
しかし無水アルミナは染料の安定化向上するが乾式シリカに比べ比表面積小さく、インクの吸収性性能が劣るため、乾式シリカとの併用が望ましい。また、ゲル法または沈殿法で作製された湿式シリカは、吸油量が高くインク吸収性に優れるために好ましくインク受容層に用いられる。
【0038】
湿式シリカを用いたインク受容層は単一ではインク吸収性が良すぎるためインクの染料が内部にまで浸透し逆に染料の発色が悪くなってしまうためインク受容層の表面層と支持体の間の中間層として用いることが好ましい。更に平均粒子径が2〜5μmの湿式シリカを用いることでインク受容層の平滑性とインク吸収性に優れた中間層を得ることが出来る。この場合、平均粒子径が2μmより小さいと中間層にインクを吸収するために十分な空隙を作ることができず、5μmより大きいとインク受容層の平滑性が悪くマット調になるばかりでなく印画されたインクのドットが乱れ画質が低下してしまう。
【0039】
本発明の多孔質のインク受像層に用いられる結着剤となるバインダー樹脂としては任意のものが用いられるが、一般的にはポリビニルアルコール類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂を溶媒に溶解させて用いるか、或いは自己乳化もしくは乳化剤によりエマルジョン化させて用いる。その際、充填剤を凝集させることのないような結着剤の選定が重要である。
【0040】
更に乾式シリカや無水アルミナをのような微細な充填剤を用いる場合、エマルジョンより水溶性樹脂を用いるほうが少量で強固に結着できるため多孔質なインク受像層を設けるには好ましく用いられる。
【0041】
更にポリビニルアルコール類を用いる場合、高画質で広い色域再現範囲を持つインクジェット用記録媒体を安価に製造できるだけではなく、乾式シリカや無水アルミナの分散安定性が良く、塗工安定性に優れたインク受容層の塗工液を得ることが出来る。また、中間層にシラノール変性されたポリビニルアルコール類を使用すればシラノール基によって弱架橋された多孔質層が適度な吸収能力となり中間層へインク中の染料以外の溶媒や添加剤等が吸収され、インク受容層の表面層中の染料分子が単独で存在しやすくなり広い色域再現範囲が達成されると考えられる。本発明でいうシラノール変性されたポリビニルアルコール類とは、シラノール基を有するポリビニルアルコール類であり、ケン化度、重合度は特に規定しないが、膜の強度を上げる為には1000以上の重合度のものを用いると良い。
【0042】
本発明で使用するカチオン化剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤としは公知の添加剤が用いられる。特に限定するものではないが、支持体および多孔質のインク受容層中に浸透させるものであるため分散体よりは溶媒に溶解するもの溶解系あるいは常温であるいは100℃以下で流動性を有するものが好ましく用いられる。
【0043】
また、本発明で使用できる紙からなる支持体についてはパルプを主成分とする紙であればよく、LBKP、LBSP、LDP、NBKP、NBSP、NDPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどのパルプを主成分とする上質紙や中質紙などの普通紙やこれにコート層を設けたアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙等が使用できる。なかでもは紙の表面がコート処理されていない非コーティッド紙である、一般の上質紙、中質紙などの普通紙を用いることで、この紙の支持体のインク受容層とは反対側の面からpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を塗布した場合に支持体内に溶解液が浸透し、更にインク受容層側にも浸透しやすくなる。
【0044】
その中でより添加剤の溶解液を支持体からインク受容層へより効果的にまた、インクジェットインク中の溶媒や添加剤をインク受容層から支持体へ効果的に浸透させるために透気度が300秒以下/100CC好ましく用いられる。インク受容層上にインクが印画された場合、透気度が300秒より大きいとインク受容層内の空隙中の気体は支持体である紙側に移動しにくく、またインクとも置換しにくくなり、インクが深さ方向に素早く浸透できなくなる。
【0045】
この為、画像の滲みやビーディングが発生しやすくなるばかりでなく、染料定着層中のインクから不揮発性の溶媒や添加剤が分離されずに染料定着層に残り色域を狭くすることとなる。また支持体の裏面から塗布された添加剤の溶解液もまた、透気度が300秒より大きいと同様に支持体裏面側からインク受容層の表面層側に移動しにくくなり、pH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤はインク受容層内部あるいは支持体中に留まることとなり、インク受容層上にインクが印画されても染料と接したり、光やガスに接すことが出来ずその効果を発揮することができなくなる。
【0046】
インク受容層の充填剤と結着剤の混合割合はインク受容層が多孔質となるよう空隙を有し、層として強固に存在するようの割合を、種々の充填剤と結着剤で設定することが必要である。例えば本発明のインク受容層の表面層においては乾式シリカと水溶性樹脂との混合割合はは好ましくは水溶性樹脂10重量部に対して染料定着層の乾式シリカが40〜120重量部である。
【0047】
シリカの割合が多くなると、塗膜の強度が低下し粉落ち等の問題が発生する他、膜面のひび割れが目立ち美観が損なわれるようになる。また結着剤である水溶性樹脂の割合が多くなると吸収性が低下し滲みの発生が多くなり更には色域再現範囲が狭くなる。
【0048】
また、乾式シリカと無水アルミナと水溶性樹脂との混合割合はは好ましくは水溶性樹脂10重量部に対して乾式シリカが35〜115重量部、無水アルミナが5〜60重量部である。乾式シリカと無水アルミナの割合が多くなると、同様に塗膜の強度が低下し粉落ち等の問題が発生する他、膜面のひび割れが目立ち美観が損なわれるようになる。また結着剤である水溶性樹脂の割合が多くなると吸収性が低下し滲みの発生が多くなり更には色域再現範囲が狭くなる。
【0049】
また乾式シリカに対する無水アルミナの割合が多くなると染料の定着性は向上し印画後の色の安定性が増しまた表面の光沢が増すものの色再現範囲が狭くなるため、バランスをみて混合割合いを決定する必要がある。
【0050】
中間層におけるシラノール変性されたポリビニルアルコール類と湿式シリカとの混合割合は好ましくはシラノール変性されたポリビニルアルコール類10重量部に対して湿式シリカが20〜50重量部である。ポリビニルアルコール類の割合が多くなると空隙が形成されずインクの吸収性が悪くなり、結果としてインク受像層の乾燥性が悪くなり、また、充填剤の割合が多くなると塗膜の強度が落ち、結果としてインク受容層の表面強度が低下する。
【0051】
インク受容層の塗布量は通常は10〜50g/m2程度である。表面層を設ける場合の表面層の塗布量は、通常、3g〜20g/m2程度、好ましくは5g〜15g/m2程度である。厚みが薄すぎると染料定着能力が不足し、滲みの発生がみられたり色域再現範囲が狭くなったりし、逆に厚みが厚すぎるとコスト高になりカールやひび割れ、粉落ちがが発生するために好ましくない。また、中間層の塗布量は、通常、5〜40g/m2程度、好ましくは15〜30g/m2程度である。
【0052】
厚みが薄すぎるとインク吸収性が低下し、インク受容層の表面で滲みが発生する、乾燥性が遅くなる、コックリングが発生する等の悪影響を与えるため好ましくない。また、厚みが厚すぎると、コスト高になり、カールやひび割れ、粉落ちが発生したりするために好ましくない。
【0053】
支持体は、インクジェットプリンターへの良好な搬送性の為に、通常、80〜200g/m2程度のものを用いるのが好ましい。
【0054】
本発明においては、インク受容層には必要に応じてインク受容層の強度向上や地色の調整、或いはインク受容層塗液の安定性向上を目的として、架橋剤、蛍光増白剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、分散剤、着色剤等の添加剤を、本発明の目的を防げない範囲で、従来公知のものから任意に選択し含有させても良い。
【0055】
また、インク受容層は支持体の片面に設けるが、裏面よりpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を塗布した後に、カール防止やプリンターへの搬送性向上を目的とし必要に応じてインク受容層の反対面に背面層を設けることができる。
【0056】
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法においては、結着剤であるバインダー樹脂と充填剤および添加剤を、混合機、分散機等を用いて分散、混合、または溶解する従来公知の方法いて作製し、公知の塗工方法、例えばロールコーター法、フレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレスコーター法等により支持体表面に塗布し、その後、熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥を行い、支持体上にインク受容層設ける。
【0057】
その後、同様に混合機、分散機等を用いて分散、混合、または溶解する従来公知の方法を用いて作製したpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を、支持体のインク受容層とは反対側の面からこれも同様に公知の塗工方法、例えばロールコーター法、フレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレスコーター法等により支持体表面に塗布し、その後、熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥を行い、本発明のインクジェット記録媒体を得る。
【0058】
添加剤を含む溶解液を塗工するタイミングとしては支持体上にインク受容層が形成された後であればよく、単独で塗工する工程で行なうでけでなく、インク受容層塗工後のカールや水分量調整のために行なわれる水付け処理時や背面層塗工時に、水付け処理液や、背面層塗液に混合して使用しても構わない。
【0059】
<作用>
以上説明したように、本発明のインクジェット記録媒体の製造方法によれば、インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやビーディングの発生もなく印刷用紙に近い風合いを持ち、特に記録部の色域再現範囲の広い、印刷校正用途として好適で印画後の色の経時変化の少ないインクジェット用記録媒体を得ることができる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0061】
<支持体>
支持体に用いた用紙は以下に示したものを用いた。
【0062】
・支持体A
上質紙:OKプリンス上質 127.9g/m2 (王子製紙社製)
・支持体B
コート紙 OKトップコートN 127.9g/m2 (王子製紙社製)
・支持体C
白色ポリエステルフィルム WR712 100μm(三菱化学ポリエステルフィルム製)
【0063】
<インク受容層>
インク受容層に用いた塗液は以下に示す組成にて調液を行った。
【0064】
・インク受容層A
湿式シリカ X−37B(トクヤマ社製) 10重量部(平均粒径3.7μm)
ポリビニルアルコール PVA−117(クラレ社製) 4重量部
水 86重量部
【0065】
・インク受容層B
炭酸カルシウム μ−POWDER 3N(備北粉化工業社製) 10重量部(平均粒子径3μm)
シアノール変性ポリビニルアルコール R−1130(クラレ社製)4重量部
水 86重量部
【0066】
・インク受容層C
湿式シリカ X−37B(トクヤマ社製) 10重量部(平均粒子径3.7μm)
シアノール変性ポリビニルアルコール R−1130(クラレ社製)4重量部
水 86重量部
【0067】
・インク受容層D
乾式シリカA(平均粒子径 0.2μm) 16重量部
ポリビニルアルコール PVA−617(クラレ社製) 2重量部
水 82重量部
【0068】
・インク受容層E
乾式シリカA(平均粒子径 0.2μm) 12重量部
無水アルミナA 4重量部
ポリビニルアルコール PVA−617(クラレ社製) 2重量部
水 82重量部
【0069】
・インク受容層F
乾式シリカA(平均粒子径0.2μm) 16重量部
アクリルエマルジョン AE−866(JSR社製) 10重量部(固形分20%)
水 76重量部
【0070】
<添加剤>
・添加剤A
ポリアミン系カチオン化剤(固形分70%) 2重量部 水 98重量部
・添加剤B
チオエーテル系酸化防止剤 5重量部
水 95重量部
・添加剤C
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 2重量部
水 98重量部
・添加剤D
pH調整剤 四ホウ酸ナトリウム溶液(pH9.18)
【0071】
<実施例、比較例の作製方法>
支持体上A〜Cにインク受容層A〜Cを乾燥塗布量が20.0g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥させた。その後、インク受容層D〜Fを乾燥塗布量が10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥させた。その後、支持体の裏面より添加剤A〜Dをワイヤーバー#20にて塗布し、100℃で5分間乾燥させ実施例1〜10および比較例1〜2のインクジェット記録媒体を得た。
【0072】
また同様にして支持体Aにインク受容層Cを乾燥塗布量が20.0g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥させ、その後インク受容層Dを乾燥塗布量が10g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布し100℃で3分間乾燥させた。その後、支持体のインク受像層の表面層側より添加剤Aをワイヤーバー#20にて塗布し、100℃で5分間乾燥させ比較例3のインクジェット記録媒体を得た。
【0073】
更に比較例としてインク受容層C及びインク受容層Dの塗液に直接添加剤Aを添加し混合撹拌し、比較例4〜5とした。
【0074】
得られたインクジェット記録媒体に対して、キヤノン製インクジェットプリンター(製品名 BJ−F8500、インクカートリッジBCI−8Y,8M,8C,8PM,8PC,8PBK)を用いて、評価画像を形成させ、色域再現範囲のおよび表面光沢度の確認を行い、画質、滲み、コックリングを評価した。
【0075】
また、得られた印画物を室内に1週間放置し色の経時変化を確認した。
【0076】
色域再現範囲と経時での色差の確認には、測色計、グレタグマクベス社製のスペクトロリノを用い、光沢度確認には60°光沢度計を用いインク受容層表面の光沢度を測定した。評価の基準は以下の通りである。
【0077】
(画質)
人物、背景等の写真画像の印画を行い、目視にて評価を行った。
○:ビーディングやインキの溢れがなく、美しい画像が得られる。
△:ビーディングやインキの溢れが若干見られる。
×:ビーディングやインキの溢れが多く、実用上不十分である。
【0078】
(滲み)
文字のパターンを数種印画し、目視にて評価を行った。
○:抜き文字や背景のある文字にも滲みはなく、シャープである。
△:抜き文字や背景のある文字には若干滲みがあるが、文字は認識できる。
×:単独の文字にも滲みが見られ、実用上不十分である。
【0079】
(色域再現範囲)
色域確認用チャートを印画し、色相測定を行い、オフセット印刷あるいはグラビア印刷の持つ色域再現範囲を網羅することができるかの確認を行った。
A:色域は十分に広く、印刷の色域再現範囲を十分に満たす。
B:印刷の色域再現範囲を満たすことが出来る。
C:色域は狭く、印刷の色域再現範囲を満たすことが出来ない。
【0080】
(光沢度)
A:光沢度が10%より大きく印刷用コート紙と同等の光沢感を有する。
B:光沢度が5〜10%で印刷用コート紙に近い光沢感を有する。
C:光沢度が5%未満でマットコート紙と同等の光沢感を有する。
【0081】
(色の経時変化)
色域確認用チャートを印画し、Y,M,C,R,G,B,Kの色相測定を行い印画後30分と1週間放置後の色差ΔEを確認した。
A:ΔE≦2、目視で色の変化が確認できない。
B:2<ΔE<5、目視で並べて比較すれば差が確認できる。
C:ΔE≧5、目視で明らかに差が確認できる。
【0082】
作製した実施例及び比較例の構成と、評価した結果を(表1)に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるインクジェット記録媒体は、インクジェットプリンターによって画像や文字などの情報を記録する場合に、美観が良好で滲みやビーディングの発生もなく、オフセット印刷やグラビア印刷のもつ色域再現範囲を十分に満たすことのでき印刷用紙に近い風合いを有し、更に印画後の色の経時変化の少ない印刷校正用のインクジェット用記録媒体を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット用記録媒体の一実施例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1・・・インクジェット用記録媒体
2・・・インク受容層
3・・・表面層
4・・・中間層
5・・・支持体
Claims (5)
- 紙からなる支持体上の片面に多孔質のインク受容層が設けられているインクジェット用記録媒体において、
支持体のインク受容層とは反対側の面からpH調整剤、カチオン化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種以上の添加剤を含む溶解液を塗布し、かつ、前記添加剤がインク受容層表面まで浸透し、
前記添加剤が溶媒に溶解するもの、あるいは、常温あるいは100℃以下で流動性を有するものである
ことを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。 - 前記インク受容層の表面層が少なくとも乾式シリカと水溶性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
- 前記インク受容層の表面層が少なくとも乾式シリカと無水アルミナと水溶性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
- 前記インク受容層の表面層と支持体の間に少なくとも湿式シリカとシラノール変性されたポリビニルアルコール類からなる中間層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
- 支持体が非コーテッド紙であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
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