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JP3973115B2 - 巻回構造の電極体を有する電池 - Google Patents

巻回構造の電極体を有する電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−水素吸蔵合金電池やニッケル−カドミウム電池などのアルカリ二次電池に代表される巻回構造の電極体を有する電池に関し、さらに詳しくは、その電極体の巻回構造を改良することにより、容量増加、信頼性向上、生産性向上、コスト低減などを達成した電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニッケル−水素吸蔵合金電池やニッケル−カドミウム電池などに使用されている巻回構造の電極体は、図8に示すように、1枚の正極1と1枚の負極2とをセパレータ3を介して渦巻状に巻回していた。すなわち、正極1、負極2とも、一定の厚みに形成して、図8に示すような巻回構造の電極体4を作製していた。
【0003】
また、ニッケル−水素吸蔵合金電池やニッケル−カドミウム電池などに代表されるアルカリ二次電池では、電池特性を正常に保つための重要な事項として、〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を1.0以上、好ましくは1.2以上に保つことが必要であるが、これは、電池内の全量の比ではなく、巻回した電極体の負極と正極との対向部で常にこの関係が保たれていることが必要である。
【0004】
そのため、従来の巻回構造の電極体では、負極の両面に正極が対向している部分(つまり、負極の2周目)の〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を基準に電池の設計を行っており、その結果、負極の最内周部と最外周部は必要以上の電気容量となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の巻回構造の電極体では、負極の最内周部と最外周部は、片面しか正極と対向していないにもかかわらず、基板の両面に活物質層が形成されているために、片面の活物質層が有効に利用されず、その結果、電池の内容積が充分に活用されないという問題があった。
【0006】
また、小形の電池では、通常、巻回構造の電極体の最外周部を負極にし、その負極の最外周部を電池缶の内壁に接触させることによって電気的な導通をとっている。そのため、活物質層の凹凸で電池缶の内壁をキズ(傷)付ける場合があり、そのキズのため、アルカリ電池では電解液の漏液が生じるという致命的な欠陥を招くことがあった。
【0007】
また、従来の負極は、その両面からの反応を行うために、ニッケル製のパンチングメタルなどにニッケル粉末を含むペーストを塗布して焼結したニッケル焼結板を基板に用いたり、ウレタンフォームや不織布にニッケルメッキを施したものを焼成して作製した発泡メタルや繊維状メタルなどの多孔質基板を用いていた。そのため、電極体そのものやその基板の製造設備のコストアップが生じ、また安定して均一なものを生産するためには非常な労力を必要としていた。
【0008】
本発明は、これらの問題を解決するものであって、電池内容積の有効利用による容量増加や、負極の生産性の向上、コストの低減をはかり、さらには、電池缶の内壁のキズ付きを防止して信頼性を高めることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、負極の基体となる金属基板として薄い金属板などを用い、その金属基板の片面のみに活物質層を形成し、その負極を正極の両面にセパレータを介して活物質層が対向し、負極のほぼ2周目以後は、ほぼ最外周部を除いて負極の金属基板面同士が直接接触するように配置して巻回することにより、巻回構造の電極体とし、負極活物質層と正極活物質層との対向部で〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を1. 2以上1. 63以下となるようにしたのである。このようにすることによって、負極はほぼ最内周部とほぼ最外周部を除き、2枚が互いに金属基板面で接触した構造となる。
【0010】
なお、本発明においては、最内周部または最外周部とせず、ほぼ最内周部またはほぼ最外周部としているが、これは電極体を巻回する方法や巻回機によって多少のずれが生じるためであり、理論上は真正に最内周部または最外周部であることの方が好ましいが、多少ずれが生じて、ほぼ最内周部またはほぼ最外周部になっていても、実質上さしつかえないからである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、負極活物質層の正極活物質層と対向する部分に関して、〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を1. 2〜1. 63とする。これは、活物質層の組成などを一定にしておくと、その厚さで制御することができる。なお、本発明において、活物質層とは、活物質のみで構成する場合のみならず、活物質以外にバインダーなどを含有している場合をもいい、むしろ後者の方が多い。
【0012】
負極および電極体の巻回構造を上記のようにすることにより、電極体のほぼ最外周部は負極の金属基板面が露出することになる。そして、その金属基板を電池缶の内壁に接触させることにより、例えば水素吸蔵合金のような硬い粉体で電池缶の内壁をキズ付けたり、発泡メタルのようなメッキ方法で形成した硬い基板で電池缶の内壁をキズ付けることが防止されるようになる。
【0013】
そして、何にもまして重要なことは、上記の構造とすることによって、負極のほぼ最内周部とほぼ最外周部の過剰分の無駄がなくなり、さらに、基板として薄い金属基板、例えば、厚さ10μm〜50μmの金属板や、厚さ40μm〜70μmのパンチングメタル板などを用いることによって、約30%程度の容量増加が達成できるようになった。
【0014】
巻回構造の電極体を有する電池の電池特性に必要な〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を、本発明では、電池内の総量ではなく、各対向部分で所定の値以上とすることによって、反応に寄与しない過剰分をなくしたことが、上記のような容量増加につながっている。
【0015】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度を示す%は重量%である。
【0016】
実施例1
MmNi5 を主体とする水素吸蔵合金粉末100重量部に対して、ポリビニリデンフルオライドを濃度12%でN−メチル−ピロリドンに溶解したバインダー溶液28重量部を加えて混合し、充分に攪拌して均一なペーストを調製し、このペーストを金属基板としての厚さ20μmのニッケル板にスキージ法で総厚が500μmになるように塗布した。これをホットプレート上で乾燥した後、ロールプレスで圧縮し、総厚200μmの負極シートを作製した。そして、この総厚200μmの負極シートを35mm×38mmのサイズに切断し、これを負極シートAとした。なお、上記のMmはミッシュメタルである。
【0017】
上記とは別に、塗布厚みを調整した以外は上記と同様の方法で、総厚145μmの負極シートを作製した。そして、この総厚145μmの負極シートを35mm×55.5mmのサイズに切断し、これを負極シートBとした。
【0018】
正極には、活物質としての水酸化ニッケルを含有するペーストを発泡ニッケルに充填し、通常の方法で作製し、所定のサイズに切断した厚さ660μmでサイズが35mm×46mmのニッケル電極を用いた。そして、その正極の末端部における基板としての発泡ニッケルの圧縮部分にニッケルリボンの一方の端部をスポット溶接して正極の集電部(タブ)とした。
【0019】
セパレータには、親水処理した厚さ0.15mmでサイズが102mm×38mmのポリプロピレン不織布を用い、このセパレータを前記負極と正極との間に介在させ、正極と負極をセパレータを介して渦巻状に巻回して図1に示す巻回構造の電極体を作製した。
【0020】
ここで、図1に示す電極体について説明すると、正極1の両面には負極2がセパレータ3を介在して対向しているが、ほぼ最外周部を除きほぼ2周目以後は負極2同士が直接接触している。その詳細は図2に示すように、負極2は基板としての金属基板(本実施例ではニッケル板が用いられている)2aに活物質層2bを形成したものからなり、その負極2の金属基板2a同士が接触している。なお、セパレータ3は巻回構造の電極体の作製にあたって、そのほぼ中央部を巻回の中心部としており、それが図1のほぼ中央部に図示されている。そして、20は正極1の集電部(タブ)であり、正極1の最外周部に設けられている。この集電部20は、後にも再度説明するが、正極1の基板である発泡ニッケルの空隙をつぶして水酸化ニッケルを含有するペーストが空隙に入り込まないようにして金属体のみにし、そこに正極リード体となるニッケルリボンの一端を溶接して構成されるものである。なお、この集電部20の構成に関しては図5および図7においても同様である。
【0021】
そして、負極2の内周部には、まず前記の負極シートAを使用し、途中から前記の負極シートBが加わり(負極シートBが負極シートAの内周側に加わる)、正極1が2周目になったところでは、正極1の両面にセパレータ3を介して対向する負極2はその金属基板2a同士が直接接触し、負極2のほぼ最外周部は前記の負極シートBのみで構成されている。
【0022】
また、詳細な図示はしていないが、負極2のほぼ最外周部の外面側には金属基板が露出していて、その金属基板が電池缶5の内壁に接触し、それによって、電池缶5は負極端子として作用する。つまり、負極2における金属基板は負極の集電体を兼ねている。なお、図1では、電池缶5は内周面のみ細線で示している。また、この図1は模式的に図示したものであり、この図1では、電極体4と電池缶5との間に大きな空隙があるように図示されているが、これは、実際には厚みの薄い部材(正極1は660μm、負極2は200μmと145μm、セパレータ3は0.15mm)を一定の厚みを持たせて図示しているからであり、現実には図示のような大きな空隙はできない。これらは図5、図7、図8などにおいても同様である。
【0023】
電解液には30%水酸化カリウム水溶液を用い、上記巻回構造の電極体を電池缶に挿入し、上記電解液を0.85ml注入し、それら以外は常法に従って単4形でニッケル−水素吸蔵合金系のアルカリ二次電池を作製した。この電池の構造を図3に模式的に示す。
【0024】
ここで、図3に示す電池について説明すると、1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は巻回構造の電極体、5は電池缶、6は環状ガスケット、7は電池蓋、8は端子板、9は封口板、10は金属バネ、11は弁体、12は正極リード体、13は絶縁体、14は絶縁体である。
【0025】
正極1は前記のペースト式ニッケル電極からなるものであり、負極2には前記のように作製した2枚の負極シートA、Bが前記した態様で使用されているが、この図3ではその詳細について示しておらず、単一のものとして示している。そして、この負極2の活物質は水素吸蔵合金からなるものである。セパレータ3は前記のように親水処理されたポリプロピレン不織布からなるものであり、上記正極1と負極2はこのセパレータ3を介して前記特定の態様になるように重ね合わせられ、渦巻状に巻回し巻回構造の電極体4として電池缶5内に挿入され、その上部には絶縁体14が配置されている。
【0026】
環状ガスケット6はナイロン66で作製され、電池蓋7は端子板8と封口板9とで構成され、電池缶5の開口部はこの電池蓋7と上記環状ガスケット6とで封口されている。
【0027】
つまり、電池缶5内に巻回構造の電極体4や絶縁体14などを挿入した後、電池缶5の開口端近傍部分に底部が内周側に突出した環状の溝5aを形成し、その溝5aの内周側突出部で環状ガスケット6の下部を支えさせて環状ガスケット6と電池蓋7とを電池缶5の開口部に配置し、電池缶5の溝5aから先の部分を内方に締め付けて電池缶5の開口部を電池蓋7と環状ガスケット6とで封口している。
【0028】
上記端子板8にはガス排出孔8aが設けられ、封口板9にはガス検知孔9aが設けられ、端子板8と封口板9との間には金属バネ10と弁体11とが配置されている。そして、封口板9の外周部を折り曲げて端子板8の外周部を挟み込んで端子板8と封口板9とを固定している。
【0029】
この電池は、通常の状況下では金属バネ10の押圧力により弁体11がガス検知孔9aを閉鎖しているので、電池内部は密閉状態に保たれているが、電池内部にガスが発生して電池内部の圧力が異常に上昇した場合には、金属バネ10が収縮して弁体11とガス検知孔9aとの間に隙間が生じ、電池内部のガスはガス検知孔9aおよびガス排出孔8aを通過して電池外部に放出され、電池破裂が防止できるように構成されている。
【0030】
正極リード体12はニッケルリボンからなり、その一方の端部は正極2の最外周部における基板の金属板状態にされた部分にスポット溶接されて図1の20で示すような集電部(タブ)を構成し、その他方の端部は封口板9の下端にスポット溶接され、端子板8は上記封口板9との接触により正極端子として作用する。
【0031】
そして、前記したように、負極2の最外周部の外面側は金属基板が露出していて、その金属基板が電池缶5の内壁に接触し、それによって、電池缶5は負極端子として作用する。なお、この図3も、模式的に示したものであり、正極1、負極2、セパレータ3などの詳細を示しておらず、また図1とは若干位置を異ならせ、正極リード体12も切断面に配置しているかのようにして図示しているし、負極2の断面も図1や図2とは異なった態様で示している。
【0032】
この実施例1の電池は正極規制で正極の充填理論電気容量は600mAhであり、この電池を20℃、0.1A放電で放電させたときの放電特性を図9に示す。なお、負極の充填理論電気容量は977mAhであり、この電池における〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比は1.63である。
【0033】
実施例2
負極として図4に示すように活物質層を形成していない部分を作製したものを用いた。この図4に示す負極について詳しく説明すると、図4の(a)は負極の活物質層を形成した側の側面図であり、図4の(b)は上記(a)のX−X線における切断面図である。なお、図4の(a)においては、活物質層2bを形成した部分をわかりやすくするため、活物質層2bには十字状に斜線を入れている。
【0034】
負極の基体となる金属基板2aとしては厚さ20μmのニッケル板が用いられ、その一方の面に活物質層2bが厚さ180μmに形成され、負極2の総厚は200μmである。ただし、負極2の一部には活物質層の形成されていない部分があり、具体的には、負極2の全長は100mmであるが、その一方の端部から38mmのところまでは、活物質層2bが形成されているものの、そこから6.5mm幅にわたって活物質層が形成されず、残りの55.5mm幅については、また活物質層2bが形成されている。そして、この負極2の横幅は35mmである。なお、この図4も、模式的に示したものであり、負極2の長さに対して金属基板2aの厚みや活物質層2bの厚みを大きく図示したり、また負極2の活物質層の形成されていない部分の位置やその幅などを必ずしも寸法通りには図示していない。
【0035】
この負極2の活物質層を形成していない部分を中心にし、上記負極2と正極1とをセパレータ3を介在させて、渦巻状に巻回して図5に示す巻回構造の電極体を作製した。ただし、負極2はその活物質層2bがセパレータ3を介して正極1と対向し、その金属基板2a同士が接触するように配置した。この図5に示す巻回構造の電極体においても、正極1の両面には負極2がセパレータ3を介して対向しているが、ほぼ最外周部を除きほぼ2周目以後は負極2同士が直接接触している。その詳細は図2に基づいて説明した場合と同様であり、負極2の金属基板2a同士が接触している。そして、負極2のほぼ最内周部とほぼ最外周部は他の部分の半分の厚さであり、また、詳細な図示はしていないが、負極2のほぼ最外周部の外面側には金属基板が露出していて、その金属基板が電池缶5の内壁に接触している。
【0036】
上記正極1は前記実施例1と同様のペースト式ニッケル電極からなり、この正極1は厚さ660μmで、そのサイズは35mm×46mmである。そして、セパレータ3は前記実施例1と同様の厚さ0.15mmのポリプロピレン不織布からなり、サイズは102mm×38mmである。
【0037】
そして、上記正極1、負極2およびセパレータ3を用いて作製した巻回構造の電極体を用い、以後実施例1と同様にして、単4形でニッケル−水素吸蔵合金系のアルカリ二次電池を作製した。
【0038】
この電池は正極規制で正極の充填理論電気容量は600mAhであり、この電池を20℃で0.1A放電で放電させたときの放電特性を図9に示す。なお、負極の充填理論電気容量は977mAhであり、この電池における〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比は1.63である。
【0039】
実施例3
負極として図6に示す構造のものを作製した。この図6に示す負極2は図4に示した負極2において活物質層2bのない部分を設けていないものに相当する。そこで、この図6に示す負極2について詳しく説明すると、図6の(a)は負極2の活物質層2bを形成した側の側面図であり、図6の(b)は上記(a)のW−W線における切断面図である。なお、図6の(a)においては、活物質層2bを形成した部分をわかりやすくするため、活物質層2bには十字状に斜線を入れている。
【0040】
負極2の基体となる金属基板2aとしては厚さ20μmのニッケル板が用いられ、その一方の面に活物質層2bが厚さ180μmに形成され、負極2の総厚は200μmである。そして、この負極2の全長は100mmで、横幅は35mmである。なお、この図6も模式的に示したものであり、負極2の長さに対して金属基板2aの厚みや活物質層2bの厚みを大きく図示している。
【0041】
上記負極2と正極1とセパレータ3を介在させて、渦巻状に巻回して図7に示す巻回構造の電極体を作製した。ただし、図面上は明確にされていないが、実施例2の巻回構造の電極体に比べて、巻回芯の径を負極ペーストの塗布厚みに見合う厚みである0.2mmだけ小さくし、かつ負極2はその活物質層2bがセパレータ3を介して正極1と対向し、その金属基板2a同士が接触するように配置した。この図7に示す巻回構造の電極体においても、正極1の両面には負極2がセパレータ3を介して対向しているが、ほぼ最外周部を除きほぼ2周目以後は負極2同士が直接接触している。その詳細は図2に基づいて説明した場合と同様であり、負極2の金属基板2a同士が接触している。そして、負極2のほぼ最内周部とほぼ最外周部は他の部分の半分の厚さであり、また、詳細な図示はしていないが、負極2のほぼ最外周部の外面側には金属基板が露出していて、その金属基板が電池缶5の内壁に接触している。
【0042】
上記正極1は前記実施例1と同様のペースト式ニッケル電極からなり、この正極1は厚さ660μmで、そのサイズは35mm×46mmである。そして、セパレータ3は前記実施例1と同様の厚さ0.15mmのポリプロピレン不織布からなり、サイズは102mm×38mmである。
【0043】
そして、上記正極1、負極2およびセパレータ3を用いて作製した巻回構造の電極体を用い、以後実施例1と同様にして、単4形でニッケル−水素吸蔵合金系のアルカリ二次電池を作製した。
【0044】
この電池は正極規制で正極の充填理論電気容量は600mAhであり、この電池を20℃で0.1A放電で放電させたときの放電特性を図9に示す。なお、負極の充填理論電気容量は1041mAhであり、この電池における正極と負極の対向部の〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比は1.63である。また、図9において、同一の曲線に実施例2と実施例3の文字を付しているのは、実施例3の放電特性が実施例2の放電特性とほとんど差がなく、両者の差を図9中に明確に図示することができないため、両者の放電特性を1本の曲線で代表的に示したことによるものである。
【0045】
比較例1
MmNi5 を主体とする水素吸蔵合金粉末100重量部に対して、ポリビニルアルコールを濃度2.6%で水に溶解したバインダー溶液23重量部を加えて混合し、充分に攪拌して均一なペーストを調製し、このペーストを厚さ600μmの発泡ニッケル板に充填し、乾燥後、ロールプレスで圧縮して、負極シートを作製した。ただし、この負極シートは、後述の正極との対向部の〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を1.3にするために、厚さは250μmとし、サイズは35mm×67mmにした。
【0046】
正極は、実施例1と同様のペースト式ニッケル電極からなるが、負極との対向部の〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を1.3にするために、厚みを430μmとし、サイズは35mm×51mmにした。
【0047】
セパレータは実施例1と同様のポリプロピレン不織布を用い、それを上記負極と正極との間に介在させて渦巻状に巻回して図8に示す巻回構造の電極体を作製し、以後実施例1と同様にして、単4形でニッケル−水素吸蔵合金系のアルカリ二次電池を作製した。なお、この図8における12は、正極リード体の一方の端部に該当し、この部分は正極の基板の露出部分に溶接され、それら全体で正極の集電部を構成している。
【0048】
この電池は正極規制で正極の充填理論電気容量は410mAhであり、この電池を20℃で0.1A放電で放電させたときの放電特性を図9に示す。なお、負極の充填理論電気容量は680mAhである。ただし、正極と対向している負極としては530mAhであり、この電池の〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比は前述のように1.3である。
【0049】
図9は上記実施例1〜3および比較例1の電池の放電特性図であるが、この図9に示されるように、実施例1〜3は、比較例1に比べて、放電容量が大きく、約30%程度の放電容量の増加を達成することができた。
【0050】
上記実施例では、ニッケル−水素吸蔵合金系のアルカリ二次電池について説明したが、本発明は、上記ニッケル−水素吸蔵合金電池以外にも、巻回構造を有する各種電池、例えばニッケル−カドミウム電池、ニッケル−鉄電池、ニッケル−亜鉛電池に代表されるアルカリ電池、リチウム−マンガン電池、リチウムイオン電池などにも適用できるものである。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、容量の増加を達成することができた。また、本発明によれば、簡単な塗布方式で負極を作製すること ができるので、生産性の向上を達成でき、しかも基板として金属基板を使用するだけで高価な発泡メタルや焼結板を使用しないので、コストの低減を達成することができる。さらに、本発明によれば、電池缶の内壁と接触する面が金属基板であるため、水素吸蔵合金などにより電池缶の内壁をキズ付けることがなく、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の電池に使用する巻回構造の電極体を模式的に示す断面図である。
【図2】 図1のY部の拡大図である。
【図3】 実施例1のアルカリ二次電池を模式的に示す断面図である。
【図4】 実施例2の電池に使用する負極を模式的に示すもので、その(a)は負極の活物質層を形成した側の側面図であり、(b)は上記(a)のX−X線における切断面図である。
【図5】 実施例2の電池に使用する巻回構造の電極体を模式的に示す断面図である。
【図6】 実施例3の電池に使用する負極を模式的に示すもので、その(a)は負極の活物質層を形成した側の側面図であり、(b)は上記(a)のW−W線における切断面図である。
【図7】 実施例3の電池に使用する巻回構造の電極体を模式的に示す断面図である。
【図8】 比較例1の電池に使用する巻回構造の電極体を模式的に示す断面図である。
【図9】 実施例1〜3および比較例1の電池の放電特性図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
2a 金属基板
2b 活物質層
2c 活物質層
3 セパレータ
4 巻回構造の電極体
5 電池缶

Claims (4)

  1. 正極と負極を金属基板の片面のみに活物質層を形成してなる負極をセパレータを介して巻回した巻回構造の電極体を電池缶に挿入して作製する電池において、正極の両面に負極がセパレータを介して対向し、負極のほぼ2周目以後は、ほぼ最外周部を除いて負極の金属基板面同士が直接接触する巻回構造の電極体を有し、負極活物質と正極活物質との対向部で〔負極の電気容量〕/〔正極の電気容量〕の比を1 . 2以上1 . 63以下としたことを特徴とする電池。
  2. 電極体の最外周部が負極であって、該負極の金属基板が外側に存在していて、電池缶の内壁と接触していることを特徴とする請求項記載の電池。
  3. 負極の金属基板が、厚さ10μm〜50μmの金属板からなることを特徴とする請求項1、または記載の電池。
  4. 正極の最外周部に集電部を設け、その集電部から正極の集電を取ることを特徴とする請求項1、2または記載の電池。
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