JP3969971B2 - インクジェット用インク、画像記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクセット、固着緩和方法、画像記録装置及び間欠吐出性の改善方法 - Google Patents
インクジェット用インク、画像記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、インクセット、固着緩和方法、画像記録装置及び間欠吐出性の改善方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクタンク、記録ユニット、インクセット、固着緩和方法、画像記録装置、記録ヘッド及び間欠吐出性の改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷インキの黒色着色剤として印字物の濃度が高く、堅牢性等に優れたカーボンブラックを用いた筆記具(万年筆、サインペン、水性ボールペン等)用インク及びインクジェット用インクが、実に様々な組成で報告されている。中でも近年はオフィスで一般に使用されているコピー用紙、レポート用紙、ノート、便箋、ボンド紙及び連続伝票用紙等の普通紙に対しても良好な記録を行なうことが出来る様に、カーボンブラック自体の組成や物性、それを含むインクの組成及び物性等について詳細な研究開発が為されている。
【0003】
例えば、特開平3-210373号公報には、酸性カーボンブラックと、カーボンブラックの分散剤としてのアルカリ可溶性の重合体とを含んでいる水性インクジェット用インクが記載されている。又、特開平3-134073号公報には、中性又は塩基性のカーボンブラックとそれの分散剤である水溶性樹脂とを含んでいる、保存安定性、バブルジェット記録装置における吐出性に優れた分散体が得られ易いインクジェット用インクが記載されている。
【0004】
また特開平8-3498号公報は、カーボンブラックを分散剤と共に含むインクがインクジェット用インクとしては吐出が不安定となったり、十分な印字濃度が得られない等の技術課題を提示し、それを解決し得るインクとして、分散剤を用いることなしに溶剤に分散可能な自己分散型のカーボンブラックを用いたインクを開示している。国際公開番号96/18695(特表平10-510862号公報)やUSP 5746818号公報(特開平10-95941号公報)も自己分散型のカーボンブラックを含むインクジェット用インクを開示し、それによって高品質な画像が得られることを記載している。
【0005】
更に本発明者らは、ヨーロッパ特許公開EP943666号において、前記自己分散型のカーボンブラックをインクジェット用インクとして用いる際に、画像濃度の紙種依存の改善、黒カラー間の境界にじみを低減する等を目的として前記自己分散型カーボンブラックに加えて塩を添加する技術手段を開示した。
【0006】
ところで、インクジェット用インクの素性を図る要素として、インクの間欠吐出性やインクの固着性がある。インクの間欠吐出性とは、具体的には例えばインクジェット記録ヘッドの所定のノズルからインクを吐出させた後、そのノズルからのインクの吐出がある程度長い時間(例えば12時間程度)停止された後に再びそのノズルからインクを再吐出させたときに、インクの再吐出が安定して行なわれず、印字が乱れてしまうことがある。この様に、所定のノズルからインクを吐出させ、該ノズルからの吐出が所定の時間停止された後にそのノズルからインクを再吐出させる動作を「インクの間欠吐出」と称し、インクの再吐出が安定しないことを「間欠吐出性が悪い」と呼ぶ。
【0007】
またインクの固着性とは、インクの吐出が長期間(例えば数日間以上)停止された後に、再びそのノズルからインクを再吐出させるとき、ノズル内で粘度上昇もしくは固形化してしまったインクを排除するための回復動作が必要な場合があり、ノズル内のインクの粘度上昇もしくは固形化によって再吐出が安定しない状態を「インクの固着」と称し、安定な再吐出を得るために回復動作を多く必要とすることを「固着性が悪い」と呼ぶ。
【0008】
そしてインクジェット用インクに対しては、近年のインクジェット記録画像の超高画質化に伴って要求される特性も極めて高度化しつつある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記した自己分散型カーボンブラックを色材として含む顔料インク、特に黒色顔料インクに関しては、高いODやシャープなエッジを与え、且つ間欠吐出性、固着性等のインクジェット吐出特性を達成するための技術的知見が十分に蓄積されているとは言えず、インクジェット記録用インクとしての挙動に明確でない部分がある。
【0010】
例えば前記した本発明者らによる自己分散型カーボンブラックと塩とを含むインクは、当初の目的であるところの、画像濃度の紙種依存性の低減、黒カラー画像の境界領域のにじみの低減には極めて有効であるものの、本発明者らによる、より優れたインクジェット記録技術の確立を目指した更なる検討の結果、用いる記録ヘッドの構造によって、インクの間欠吐出性や固着性に大きな変動が見受けられることがあった。
【0011】
今後のインクジェットプリンタの幅広い製品展開やインクジェット記録技術の応用分野の拡大に伴って記録ヘッドの構造も多様化していくことが予想されるところ、自己分散型カーボンブラックを含むインクの優れた特性を生かしつつ、記録ヘッドの多様化に対しても良好且つ安定なインクジェット特性を示すインクについての技術開発が必要であるとの認識を持つに至った。
【0012】
そこで、本発明の目的は、色材として顔料、特には自己分散型のカーボンブラックを含み、且つインクジェット記録特性に優れたインクを提供することにある。
【0013】
また本発明は、高品位なインクジェット記録画像を安定して形成することのできる画像記録方法を提供することにある。
【0014】
また本発明は、高品質な印刷物を安定して得ることのできる画像記録装置及びそれに用いられるインクカートリッジ、記録ユニットを提供することを目的とする。
【0015】
また本発明は、インクジェット記録ヘッドの固着性を緩和する方法を提供することを目的とする。
【0016】
また本発明は、固着し難い記録ヘッドを提供することを目的とする。
【0017】
また本発明は、記録ヘッドの構成によっても特性の変化し難いインクジェット用インクを提供することを目的とする。
【0018】
また本発明は、高品位な画像の形成に好適に用いることのできるインクタンクを提供することを目的とする。
【0019】
また本発明は、インクジェット記録ヘッドから所定の時間間隔で複数回インクを吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における間欠吐出性を改善する方法を提供することにあり、特に、記録ヘッドとしてインク吐出圧力発生素子に対向する方向に液体を吐出させる、いわゆるサイドシュータタイプの記録ヘッドを用いたときの間欠吐出性を改善する方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成することのできるインクジェット用インクは、カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であることを特徴とする。
【0021】
また上記の目的を達成することのできる記録ユニットは、インクを収容しているインク収容部と該インクをインク滴として吐出させるための記録ヘッド部とを具備している記録ユニットにおいて、該インクが例えばカーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0022】
また上記の目的を達成することのできるインクカートリッジは、インクを収容しているタンク収容部を具備しているインクカートリッジにおいて、上記インクが例えばカーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0023】
また上記の目的を達成することができる画像記録装置は、インクを収容しているインク収容部と該インクを熱エネルギーの作用によりインク滴として吐出させるための記録ヘッド部とを有する記録ユニットを具備しているインクジェット記録装置において、該インクが例えばカーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0024】
また上記の目的を達成することのできる画像記録方法は、
インクにエネルギーを与えて、インクを記録ヘッドから吐出させ、記録媒体に付着させる工程を有する画像記録方法、
ないしはインクを収容しているインク収容部と該インクを熱エネルギーの作用によりインク滴として吐出させるための記録ヘッド部とを有する記録ユニットを具備しているインクジェット記録装置を用いて記録媒体に画像を形成する工程を有することを特徴とする画像記録方法
において、該インクが例えばカーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0025】
また本発明にかかる記録ヘッドの固着緩和方法は、インクにエネルギーを与えて、インクを記録ヘッドから吐出させる際に、例えばカーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
【0026】
更に上記目的を達成することのできるインクセットは、シアン用、マゼンタ用、イエロー用、レッド用、グリーン用及びブルー用の各色材から選ばれる少なくとも1つの色材を含むインクと例えばカーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクであることを特徴とする。
【0031】
また本発明にかかる固着緩和方法の他の実施態様は、インク吐出圧力発生素子に対向する位置にインク吐出口を供えているインクジェット記録ヘッドを用いてインクを吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における該記録ヘッドの固着を緩和する方法であって、該インクとして、カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
【0032】
また本発明にかかる固着緩和方法の他の実施態様は、インク流路中に、液体の流路抵抗が大きく変化する部位を有するインクジェット記録ヘッドを用いてインクを吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における該記録ヘッドの固着を緩和する方法であって、該インクとして、カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
【0033】
また本発明にかかる間欠吐出性の改善方法の一実施態様は、インクにエネルギーを与えて、インクを記録ヘッドからインクジェット法で吐出させる工程を所定の時間間隔で繰り返す工程を有するインクジェット記録法における間欠吐出性を改善する方法であって、該インクとして、カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
【0034】
また本発明にかかる間欠吐出性の改善方法の他の実施態様は、インク吐出圧力発生素子に対向する方向にインクを吐出させる記録ヘッドを用いてインクを、所定の間隔で複数回吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における間欠吐出性の改善方法であって、該インクとして、
カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
【0035】
また、本発明にかかる間欠吐出性の改善方法の他の実施態様は、インク流路中に、液体の流路抵抗が大きく変化する部位を有する記録ヘッドを用いてインクを、所定の時間間隔で複数回吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における間欠吐出性の改善方法であって、該インクとして、カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であるインクジェット用インクを用いることを特徴とする。
【0036】
(作用)
本発明者らは上記した課題に対し、様々な実験を行なった結果、インクジェット特性に関して、インクに添加する塩の種類と記録ヘッドの構造との間に相関があることを見出した。例えば図24に示した記録ヘッドにおいて、251は吐出エネルギー発生素子、252は吐出口、253は供給口、254は基板、255は吐出口プレートを示す。
【0037】
図から明らかなように、インクは供給口の部分で大きく屈曲し吐出エネルギー発生素子方向へと移動する。この時のインクの屈曲の度合いを示す値が供給口部の基板のなす角度θである。θが90度以下であるとインクは実質的に90度以上屈曲することとなる。そしてこのような記録ヘッドにおいてインクの間欠吐出性や固着性等がインク中に含まれる塩の違いによって大きく異なる場合を見出したのである。
【0038】
その一方で、インク流路中にインクの流動を乱す部分が少ない構造の記録ヘッドにおいては塩の違いによる間欠吐出性や固着性に目立った差異は認められなかった。そして記録ヘッドの構造によらず優れた結果を与える塩がいずれもカリウムを含む塩であり、ナトリウム塩やアンモニウム塩を含むインクは図24に示した記録ヘッドにおいては間欠吐出性および固着性においてカリウム塩を含むインクに劣っていた。
【0039】
カリウム塩を含むインクが、図24に示したような記録ヘッドにおいても間欠吐出性や固着性に優れていることの理由は明らかでない。しかし、上記した知見からインク中の塩が記録ヘッド内におけるインクの流動性に大きな影響を与えているものと推測した。
【0040】
具体的には上記顔料インクの間欠吐出性、固着性の差異が、塩として添加したカチオンイオンのインク中での挙動、特に記録ヘッド中における挙動が用いる記録ヘッドにより大きく異なることに起因しているものと推察した。そしてこの原因としては、塩として添加したカチオンイオンの挙動及びインク自身の挙動の2点が考えられる。
【0041】
まず塩としてカリウム塩を用いたインクの挙動について本発明者らの考察を図27および図28と共に述べる。図27(1)は、自己分散型カーボンブラックを含むインク中における該カーボンブラックの状態を示す概略模式図である。同図において、2701は自己分散型カーボンブラック、2705はカーボンブラックの親水性基のカウンターイオンを示し、2703は水分子を示す。そして自己分散型カーボンブラック2701は周囲に存在する水分子との親和性を保つことによって安定な分散状態を維持している。
【0042】
ここでインク中に塩としてカリウム塩を添加した場合を図27(2)に、ナトリウム塩を添加した場合を図27(3)に示す。そしてカリウムイオンは図28(2)に示した様に負の水和性を示すのに対し、ナトリウムイオンやリチウムイオンなどは図28(1)に示した様に正の水和性を示すイオンである。
【0043】
そしてナトリウムイオンがインク中に所定の濃度で存在している場合、図27(3)に示すように自己分散型カーボンブラックの周囲に存在する水分子2703がナトリウムイオン側に局在化するようになる。一方カリウムイオンはカリウムイオンが存在しない場合と比較しても自己分散型カーボンブラックと水分子との関係にさほどの変化は認められない。
【0044】
この状態はもちろん各々のインクのある一瞬の状態を模式的に描写したものであり、常にこの状態にあることを示している訳ではなく、確率的に見てこのような状態にある場合が多いものと推測している。従ってナトリウム塩を含むインクのカーボンブラックの分散安定性が直ちに低下するというものではない。
【0045】
しかし図24に示したようにインクの主たる流動方向が90°変わるような屈曲部を有する記録ヘッドは、インクの流動状態に乱流、もしくはかく乱を生じさせるものと考えられ、このような流動状態は、インクの見かけ上の粘度を高める可能性がある。そしてこのようなインクの流動状態に乱れを生じさせるような記録ヘッドにおいては、後述する、図27(2)及び(3)に示したようなカーボンブラックと水分子との状態の違いに起因する自己分散型カーボンブラックの分散安定性の差が、間欠吐出性や固着性の差として顕在化してきたものと考えている。
【0046】
そして本発明者らはこのような技術的知見ならびに考察に基づき本発明を為すに至ったものである。
【0047】
本発明者らはこのような技術的背景に鑑み顔料、特に自己分散型カーボンブラックを用いたインクについて上記2点について単独の影響、複合の影響等詳細な検討を重ねた結果、画像濃度の紙種依存を低減し、黒カラー間の境界にじみを低減することを目的として塩を添加したカーボンブラックに対してさえ、例えば質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であることで、用いる記録ヘッドの構造に大きく依存せず良好なインクの間欠吐出性、固着性をもち、且つインクジェット用インクとしての使いこなしも従来より容易となり、また更にそのインクにより画像品質も満足し得るものであることを見出し本発明を為すに至った。
【0048】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0049】
本発明にかかるインクの一実施態様は、カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であることを特徴とするインクである。以下、このインクの構成材料について夫々説明する。
【0050】
(カリウムイオン)
本態様にかかるインク中のカリウムイオン濃度は、カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有することが好ましい。またカーボンブラックに対して質量比で50%未満とすることでインク自身の保存安定性等も極めて高いレベルで維持することが可能である。
【0051】
即ちカリウムイオン濃度をこの範囲とした場合、間欠吐出性、固着性の顕著な改善を図ったインクジェット用インクとして成立するのである。上記間欠吐出性、固着性の改善は、インクのpH値を適正な範囲に調整して、自己分散型カーボンブラックの分散安定性を向上させる効果よりむしろ、インク中のカリウムイオン濃度を上記範囲に調整することによる効果の方が大きいと本発明者らは考えている。
【0052】
上記効果は、インク中のカリウム濃度が上記範囲になるように、水酸化カリウムや安息香酸カリウム等を添加した時のインクのpH値と、アンモニアやトリエタノールアミン等のアミン類を添加したインクのpH値を等しく調整し、それぞれのインクの間欠吐出性、固着性を比較した時、カリウム濃度を上記範囲に調整したインクの方が同じpH値のインクに比べて、間欠吐出性、固着性の改善が顕著であることから説明される。また同じアルカリ金属類に属するリチウム、ナトリウムを添加したインクと比較しても、カリウムを添加したインクの間欠吐出性、固着性の向上には優位性がみられる。
【0053】
勿論、pH値がアルカリ側では本発明のインクの安定性は更に向上する。この点と本発明を組み合わせれば更に、発明の効果を発揮しやすくなるものである。本発明に用いるインクの好適なpH範囲としては以下の通りである。本発明にかかるアニオン性の自己分散型カーボンブラックは酸性水溶液中では分散安定性に欠ける傾向があり、また記録用ヘッドとのインク接液性を考慮すると7以上10以下が好ましい。
【0054】
本発明のインクが上記特性を発揮する詳細な理由は不明であるが、インク中に所定量存在するカリウムイオンと、カーボンブラックの表面に結合した親水性基の相互作用により、自己分散型カーボンブラックの分散安定性、再分散性の低下が改善されるためであると考えられる。即ち、本発明は例えば分散剤を可溶化するための水酸化カリウム等の添加、つまり分散液をアルカリ性にするための添加とは根本的に思想が異なるものである。
【0055】
また、本発明に用いるインクは中性域よりもアルカリ側のほうがインク単体としての安定性は高い。しかし本発明の本質はインク単体としての安定性のみを追求するものではなく、むしろ吐出口近傍での安定性を向上することに主眼をおくものである。この点でも分散液をアルカリ性にするための水酸化カリウム等の添加とは根本的に思想が異なるものである。
【0056】
更に、カリウムイオンが存在することにより効果を発揮するメカニズムについて以下に図27を用いて更に詳述する。図27はカリウムイオンの存在が本発明の効果をもたらすメカニズムを説明するための模式図である。図中2703は水分子、2709はナトリウムイオン、2707はカリウムイオン、2701は自己分散型カーボンブラック、2705はカーボンブラックの親水性基のカウンターイオンをそれぞれ示す。
【0057】
図27(1)に示すように通常自己分散型カーボンブラック2701はカウンターイオン2705を有し親水性基とカウンターイオンの周囲に多数の水分子2703が存在し安定な状態で分散している。次にインク中に多量の1価カチオンイオンが存在しカーボンのカウンター以外にカチオンイオンが存在する場合のイメージは図27(2)及び(3)に示すような状態にあると推察される。
【0058】
即ち、カリウムイオン2707が多量に自己分散型カーボンブラックのカウンター以外のカチオンイオンとして周囲に存在している場合は図27(1)に示す状態とさほど差異はなく分散安定性の悪化等はない。一方、ナトリウムイオンが自己分散型カーボンブラックの周囲にカウンター以外のカチオンとして存在する場合は図27(3)に示すように水分子2703が自己分散型カーボンブラック2701よりもむしろナトリウムイオン2709の周囲に存在しやすくなる。結果として自己分散型カーボンブラックの分散安定性が悪化することとなると推察している。
【0059】
このとき、カウンターイオンの種類により図27に示すような差異は生じにくいと考えられ、カウンターイオンは特に、カリウムイオンに限定するものではなく、ナトリウムイオン等であっても構わない。当然、インク中ではイオンは運動しており、常に同一のイオンがカーボンのカウンターイオンとして存在するものではなく、常にインク中のイオン同士で交換が起こっており、図27に示す概念図はある瞬間をとらえたものである。
【0060】
しかし、インク中に多量のカリウムイオンが存在すると図27(2)の状態にある確率が高く、多量のナトリウムイオンが存在すると図27(3)の状態にある確率が高いととらえている。これら両者の差異は、イオンの水和性の違いに起因すると考えている。カリウムイオンに比較して、リチウムイオン、ナトリウムイオン等は非常に水和し易い。
【0061】
本発明者らはこの点に関して図28に示すように、ナトリウムイオンやリチウムイオンはいわゆる正の水和性を示すのに対しカリウムイオンは負の水和性を示すことに起因するものと考えている。つまりナトリウムイオンやリチウムイオンがインク中に存在している場合、本来自己分散型カーボンブラックの周囲に存在して自己分散型カーボンブラックの分散安定性を維持している水分子が、これらイオンの水和性の強さが原因で自己分散型カーボンブラックの周囲から離れ、カチオンイオンの周囲に存在してしまうためと思われる。
【0062】
一方、カリウムイオンは自身のもつ水和性が自己分散型カーボンブラックよりも弱く、自己分散型カーボンブラックの周囲に存在している水分子を自身の周囲へと存在させることは殆どないと考えている。尚、図28はナトリウムイオン等とカリウムイオンの水和性が異なる点を説明するための概念図である。
【0063】
勿論、インク中のすべての自己分散型カーボンブラックが図27(2)のような状態であることが理想的ではあるが、本発明者らが更に鋭意検討した結果、本発明の効果を発揮するためには、必ずしもすべての自己分散型カーボンブラックが図27(2)のような状態である必要はなく部分的には図27(3)のような状態であっても構わない。つまり、図27(2)と図27(3)のような状態の混合系であっても本発明の効果が発揮されることが判明した。即ち、本発明者らはカーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有していれば本発明の効果を発揮するという結論に至ったのである。
【0064】
以上、本発明者らが推察しているメカニズムについて詳述したが、本発明の技術思想は、自己分散型カーボンブラックの周囲に存在する1価のカチオンイオンの水和性が弱いことが重要であり、自己分散型カーボンブラックの水和性よりも弱いことが重要な意味をなす。従って、カリウムイオン以外にもカリウムイオン同様の特性(水に対する非親和性)を有するものであれば、本発明の技術思想範囲内であると考えている。
【0065】
また上記現象は、インク供給に伴うインクの流動状態に乱れを与える部位を有する記録ヘッド、例えばインク流路中に流路抵抗が大きく変化する部位を有する記録ヘッドを用いた場合、その効果はより顕著なものとなる。その理由の詳細は定かではないが、本発明者らは以下のように推察している。
【0066】
図27を用いて説明したような現象は、密閉形態のインク(言い換えると、時間と重力以外なんら外的要因を受けない状態)では極めて起こりづらい。しかし、前述の如く同様のインクであっても用いる記録ヘッドによってその固着性等は大きく異なる。
【0067】
この点を鑑みて本発明者らは、記録ヘッド中の何かが引き金となってインクの分散安定性を大きく劣化させているものと考え、鋭意検討した結果、記録ヘッド中の構成材料ではなく、その構造自身に起因することが明らかとなった。即ちインク流路中に流路抵抗が大きく変化することこそが引き金となっているとの結論を得るに至った。
【0068】
(自己分散型カーボンブラック)
自己分散型カーボンブラックは、少なくとも一つの親水性基がカーボンブラック表面に直接、若しくは他の原子団を介して結合しているカーボンブラックである。この親水性基をカーボンブラック表面に導入した結果、従来のインクのように、カーボンブラックを分散させるための分散剤が不要となる。自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましい。
【0069】
アニオン性に帯電したカーボンブラックとしては、カーボンブラックの表面に例えば以下に示した様な親水性基を結合させたものが挙げられる。
-COOM、-SO3M、-PO3HM、-PO3M2
上記式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、これらの中で特に-COOMや-SO3Mをカーボンブラック表面に結合してアニオン性に帯電せしめたカーボンブラックはインク中の分散性が良好なため本実施態様に特に好適に用い得るものである。
【0070】
ところで上記親水性基中Mとして表したもののうち、アルカリ金属の具体例としては例えばLi、Na、K、Rb及びCs等が挙げられ、また有機アンモニウムの具体例としては例えばメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0071】
そしてMをアンモニウム或いは有機アンモニウムとした自己分散型カーボンブラックを含むインクは、記録画像の耐水性をより向上させることができ、この点において好適に用いることのできるものである。これは当該インクが記録媒体上に付与されると、アンモニウムが分解し、アンモニアが蒸発する影響によるものと考えられる。
【0072】
ここでMをアンモニウムとした自己分散型カーボンブラックは、例えばMがアルカリ金属である自己分散型カーボンブラックをイオン交換法を用いてMをアンモニウムに置換する方法や酸を加えてH型とした後に水酸化アンモニウムを添加してMをアンモニウムにする方法等が挙げられる。
【0073】
アニオン性に帯電している自己分散型カーボンブラックの製造方法としては、例えばカーボンブラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられ、この方法によってカーボンブラック表面に-COONa基を化学結合させることが
できる。
【0074】
ところで上記した様な種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。或いは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させても良い。
【0075】
ここで他の原子団の具体例としては例えば炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基及びナフチレン基の置換基としては例えば炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また他の原子団と親水性基の組み合わせの具体例としては、例えば-C2H4-COOM、-Ph-SO3M、-Ph-COOM等(但し、Phはフェニレン基を表し、Mは上記と同様に定義される)が挙げられる。
【0076】
更に、本発明者らが鋭意検討した結果、上記したようなアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックの中でも、親水性基密度が1.8μmol/m2以上のカーボンブラックをカリウムと共に用いることによって、特に優れた間欠吐出性、固着性を示すことが分かった。この理由としてカリウムイオンが親水性基との相互作用により、自己分散型カーボンブラックの分散安定性、再分散性を改善していると考えられ、上記範囲の親水性基密度のカーボンブラックを用いると、より敏感にこの効果が現れるということが考えられる。
【0077】
又、本発明において、インク中に含有させる自己分散型カーボンブラックは、1種類に限定されるものではなく、2種以上を混合して使用して色調を調製してもよい。又、本発明の顔料インク中の自己分散型カーボンブラックの添加量としては、インク全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは1質量%以上10質量%以下の範囲とする。更に、自己分散型カーボンブラックに加えて染料を使用してインクの色調を調製してもよい。
【0078】
(親水性基密度)
自己分散型カーボンブラックの親水性基密度の測定方法としては、例えば、カーボン分散液を精製し、カウンターイオンを全てナトリウムイオンとし、このナトリウムイオンをプローブ式ナトリウム電極で測定し、分散液全体に含まれるナトリウムイオン量を求める。このナトリウムイオン量と分散液中のカーボンブラック濃度から固形分当たりのppm換算するという方法がある。尚、カルボキシル基等の親水性基をカウンターイオンであるナトリウムイオンと同モル数だけ存在すると仮定して換算する。
【0079】
次に記録ヘッドについて説明する。本発明の効果がより顕著に発揮されるヘッドつまり、本発明者らが開示した塩を添加する自己分散型カーボンブラックインクを用いた場合、使いこなしづらい記録ヘッドについて説明するならば、上記ヘッドとしてはインク流路中に流路抵抗が大きく変化する部位を有する記録ヘッドが挙げられる。具体例として示すと例えば以下のようなヘッドが代表例として挙げられる。
【0080】
1)ヘッドチップ内に流路方向が実質的に90度以上屈曲する部位を有する
2)ヘッドチップ内に表面エネルギーが周囲と大きく異なる部位を有する
3)ヘッドチップ内の流路幅が20μm以下の部分を有する
以上の部位は、何らかの原因で部分的に分散が不安定になったインクの分散性を更に悪化させると考えられる。以下図面を用いて更に詳述する。
【0081】
まず1)の場合について説明する。図24、図25、は本発明の効果がより顕著に発揮される構成のヘッドの断面概略図である。図中251は吐出エネルギー発生素子、252は吐出口、253は供給口、254は基板、255は吐出口プレートを示す。
【0082】
図から明らかなように、インクは供給口の部分で大きく屈曲し吐出エネルギー発生素子方向へと移動する。この時のインクの屈曲の度合いを示す値が供給口部の基板のなす角度θである。θが90度以下であるとインクは実質的に90度以上屈曲することとなる。
【0083】
この場合、例えばチップ内でインク同士が自己拡散で混合均一化しづらくなると考えられる。即ちある種のよどみのような部分を形成しやすい部位があるため分散が不安定となったインクが分散が安定なままのインクと接触混合することで分散安定化することを妨げるのである。またインクの流動状態にかく乱が生じ、あるいは乱流状態となり、インクのみかけの粘度が上昇し、このときに前記した様に分散不安定化した自己分散型カーボンブラックの影響が顕在化するものと考えられる。
【0084】
次に2)について説明する。図26は表面エネルギーが周囲と大きく異なる部位を有するヘッドの概略図を示す。この概略図では表面エネルギーが周囲と大きく異なる部位を突起物として図示してある。図中261は被覆樹脂層、262は吐出エネルギー発生素子、263は突起物を示す。この場合は表面エネルギーの差異からインクが突起物近傍にトラップされ移動しづらくなる点が考えられる。またインクの流動状態にかく乱が生じ、あるいは乱流状態となり、インクのみかけの粘度が上昇し、このときに前記した様に分散不安定化した自己分散型カーボンブラックの影響が顕在化するものと考えられる。
【0085】
次に3)について、2)と同様、図26を用いて説明する。図中Aで示す部分がインク流路中周辺よりも狭くなっている。具体的には、20μm以下の部分が存在する。このようなヘッドにおいては、1)の場合同様チップ内でインク同士が自己拡散で混合均一化しづらくなるのである。即ちある種のよどみのような部分を形成しやすい部位があるため分散が不安定となったインクが分散が安定なままのインクと接触混合することで分散安定化することを妨げるのである。またインクの流動状態にかく乱が生じ、あるいは乱流状態となり、インクのみかけの粘度が上昇し、このときに前記した様に分散不安定化した自己分散型カーボンブラックの影響が顕在化するものと考えられる。
【0086】
勿論、上記1)、2)、3)が複合すると更に本発明の効果が顕著になることは言うまでもない。例えば屈曲部位近傍の流路幅が20μm以下である等が挙げられる。更に、本発明の効果が顕著に発揮される例として、1ドット当たりの吐出量が40ng以下の記録ヘッドに用いる例が挙げられる。何故ならば、吐出量が小さい記録ヘッドの場合は流路抵抗が大きく変化する部位を有する記録ヘッドの例中の3)に該当し易いためと考えられるからである。勿論、本発明は上記吐出量のみに限定されるものではない。
【0087】
次にインク中のカリウム含有量の調整方法について説明する。調整方法としては、塩の形態で添加する方法が挙げられる。
【0088】
具体的には、例えば、水酸化カリウム、安息香酸カリウム、フタル酸カリウム、酢酸カリウム、コハク酸カリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸カリウム、硝酸カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム等が挙げられる。上記のごときカリウム塩は、単独でもあるいは混合物としても使用することができる。
【0089】
また上記の塩の形態でカリウムイオンを添加すると勿論添加量に依存するが、自己分散型カーボンブラックの表面官能基のカウンターイオンの一部若しくは全部がカリウムイオンに置換される。
【0090】
(1価のカチオンイオン)
本態様にかかるインク中の1価のカチオンイオンの総量は、水性顔料インク全量に対して、0.05mol/L以上1mol/L以下、特には0.1mol/L以上0.5mol/Lの範囲が好ましい。即ち1価のカチオンイオン総量をこの範囲内とした場合、高画像濃度および高品位な画像が得られ、インクとしての特性、例えば保存安定性等にも問題が生じることはない。
【0091】
上記のような高画像濃度および高品位な画像が得られる理由として、インク中の1価のカチオンイオンの総量が上記の所定量含まれることにより、ノズルから吐出されたインクが紙面に付着後、速やかに固液分離が起こるためであると考えられる。この現象はインク中の1価のカチオンイオンの総量が重要である。
【0092】
即ちある一定量以下、具体的には0.05mol/L未満の場合は必要な速度での固液分離が発生しない場合があり、また逆に1mol/Lを超えるとインク自身の安定性の面で好ましくない場合がある。
【0093】
この固液分離を起こす要因としては毛管現象、水分蒸発等が考えられるが、本発明者らは本発明のインクの固液分離を引き起こす最大の要因は吐出後の水分蒸発であると考えている。勿論着弾後の紙上の毛管現象も固液分離を引き起こす要因の一つではあるが、本発明者らは以下の事実に基づき、吐出後の水分蒸発を本発明のインクの固液分離を引き起こす最大の要因と考えている。
【0094】
本発明のインクは清浄なガラス面上でも、インク中の1価のカチオンイオンの総量が上記の所定量以下のインクと比較して固液分離が早く起こる。即ち、前記事実は本発明のインクは毛管現象が起こらない場合でも固液分離が起こることを如実に示すものである。従って、本発明者らは、本発明のインクの固液分離を起こす最大の要因は吐出後の水分蒸発であると考えるに至ったのである。
【0095】
ここで1価のカチオンイオンの総量とは、インク中に含まれるすべての1価のカチオンイオンの量を指す。即ち、例えば自己分散型カーボンブラックの表面官能基のカウンターイオン、pH調整剤として添加したカチオンイオン、塩の形態で添加したカチオンイオン等のインク中にカチオンイオンとして存在し、且つカチオンイオンとして検出することのできるすべてのカチオンイオンの量を意味する。ここでインク中のカチオンイオンの定量方法としては、例えばイオンクロマトグラフとプラズマ発光分光分析との併用が挙げられる。
【0096】
そして、1価のカチオンイオンの例としては、例えばアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン及び有機アンモニウムイオン等が挙げられる。より具体的にはアルカリ金属イオンとしては、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。有機アンモニウムイオンとしては例えばモノ乃至テトラメチルアンモニウムイオン、モノ乃至テトラエチルアンモニウムイオン、モノ乃至テトラメタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0097】
またインク中のカチオンイオン総量を調整するには、例えば上記したようなカチオンを塩の形態で添加する方法が挙げられる。そして塩の形態でカチオンイオンを添加する場合のカチオンイオン及びそのカウンターになるアニオンイオンの組み合わせの例として下記のものが包含される:
カチオンイオンとしてアンモニウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン等から選ばれる1つ、特にはアンモニウムイオン、
アニオンイオンとしてハロゲンイオン(塩素イオン等)、酢酸イオン、安息香酸イオン等から選ばれる1つ。
【0098】
これらの塩は、自己分散型カーボンブラックとの相性が優れている為か、画像濃度、画像品位において特に優れたインクを与えるものである。
【0099】
(水性媒体)
そして上記各実施態様に係るインクに上記したような特性を担持させられる好ましい水性媒体は、水単独または水と水溶性有機溶剤との混合溶媒からなるものであるが、水溶性有機溶媒としては、インクの乾燥防止効果を有するものが特に好ましく、又、水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが望ましい。
【0100】
(水溶性有機溶剤)
本発明で使用する水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及びアセチレンアルコール等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でもあるいは混合物としても使用することができる。
【0101】
本発明の水性顔料インク中に含有される上記したような水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全質量に対して、好ましくは3質量%以上50質量%以下の範囲である。又、インクに含有される水の含有量は、インク全質量に対して、好ましくは50質量%以上95質量%以下の範囲である。
【0102】
また、インクの表面張力の調整が必要とされる場合には、下記化学式で示されるアセチレンアルコール等の界面活性剤や浸透性溶剤等を適宜所定量添加することが有効である。
【0103】
【化1】
【0104】
又、本発明の水性顔料インキは、上記の成分のほかに必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加することができ、さらに、市販の水溶性染料などを添加することもできる。
【0105】
以上のように本発明のインクは、インクジェット記録で用いられる際に特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発砲により液滴を吐出する記録方法があり、それらの記録方法に本発明のインクは特に好適である。
【0106】
(インクジェット記録装置、インクジェット記録方法)
インクジェット記録装置として、第一に熱エネルギーを利用した装置の主要部であるヘッド構成例を図1及び図2に示す。
【0107】
図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA-B線での切断面図である。ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム-銅合金等で形成される電極17-1、17-2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性の良い材料で形成される基板20より成り立っている。
【0108】
上記ヘッドの電極17-1及び17-2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その発生する圧力でメニスカス23が突出し、インクがヘッドのノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録材25に向かって飛翔する。
【0109】
図3には図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。このマルチヘッドはマルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じ様な発熱ヘッド28を接着して作られている。
【0110】
図4に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0111】
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行なう構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃等の除去が行なわれる。
【0112】
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行なうためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に系合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は被記録材を挿入するための紙給部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。
【0113】
これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録の進行に伴って排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
【0114】
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行なう場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
【0115】
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行なわれる。
【0116】
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
【0117】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上述の様にヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。
【0118】
又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
【0119】
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。その記録装置の主要部である記録ヘッドの構成例を図7に示す。
【0120】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧伝素子83と、オリフィスプレート81、振動板等を指示固定するための基板84とから構成されている。
【0121】
図7において、インク流路80の壁は、感光性樹脂等で形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケル等の金属を電鋳やプレス加工による穴あけ等により吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタン等の金属フィルム及び高弾性樹脂フィルム等で形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZT等の誘電体材料で形成される。
【0122】
以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、ひずみ応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレートの吐出口85より吐出して記録を行なうように動作する。
【0123】
この様な記録ヘッドは図4に示したものと同様な記録装置に組み込んで使用される。記録装置の細部の動作は先述と同様に行なうもので差しつかえない。
【0124】
図8(a)〜図8(f)に、本発明の効果を顕著に発揮する記録ヘッドの製造方法の一例を工程順に配列した断面図で示す。勿論、本発明はこの製造方法に基づき製造された記録ヘッドに限定されるものではない。
【0125】
まず、例えば図8(a)に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等からなる基板1を用意する。
【0126】
このような基板1は、液流路構成部材の一部として機能し、また、後述のインク流路およびインク吐出口を形成する材料層の支持体として機能し得るものであれば、その形状、材質等に特に限定されることなく使用できる。上記基板1上には、電気熱変換素子あるいは圧電素子等のインク吐出エネルギー発生素子2が所望の個数配置される。このような、インク吐出エネルギー発生素子2によってインク小滴を吐出させるための吐出エネルギーがインク液に与えられ、記録が行なわれる。
【0127】
ちなみに、例えば、上記インク吐出エネルギー発生素子2として電気熱変換素子が用いられる場合には、この素子が近傍の記録液を加熱することにより、記録液に状態変化を生起させ吐出エネルギーを発生する。また、例えば、圧電素子が用いられる場合には、この素子の機械的振動によって、吐出エネルギーを発生する。
【0128】
なお、これらの素子2には、これら素子を動作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続されている。また、一般にはこれら吐出エネルギー発生素子の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能層が設けられるが、もちろん本発明においてもこのような機能層を設けることは一向に差しつかえない。
【0129】
図8(a)において、インク供給のための開口部3を基板1上に予め設けておき、基板1の後方よりインクを供給する形態を例示した。開口部3の形成においては、基板1に穴を形成できる手段であれば、いずれの方法も使用できる。例えば、ドリル等機械的手段で形成しても構わないし、レーザ等の光エネルギーを使用しても構わない。また、基板1にレジストパターン等を形成して化学的にエッチングしても構わない。
【0130】
もちろん、インク供給のための開口部3を基板1に形成せず、樹脂パターンに形成し、基板1に対してインク吐出口8と同じ面に設けてもよい。
【0131】
次いで、図8(a)に示すように、基板1上に上記インク吐出エネルギー発生素子2を覆うように溶解可能な樹脂でインク流路パターン4を形成する。最も一般的な手段としては感光性材料で形成する手段が挙げられるが、スクリーン印刷法等の手段でも形成は可能である。感光性材料を使用する場合においては、インク流路パターンが溶解可能であるため、ポジ型レジストか、あるいは溶解性変化型のネガ型レジストの使用が可能である。
【0132】
レジスト層の形成の方法としては、基板上にインク供給口を設けた基板を使用する場合には、該感光性材料を適当な溶剤に溶解し、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルム上に塗布、乾燥してドライフィルムを作成し、ラミネートによって形成することが好ましい。上述のドライフィルムとしては、ポリメチルイソプロピルケトン、ポリビニルケトン等のビニルケトン系光崩壊性高分子化合物を好適に用いることができる。これは、これら化合物が光照射前において高分子化合物としての特性(被膜性)を維持しており、開口部3上にも容易にラミネート可能であるためである。
【0133】
また、開口部3に後工程で除去可能な充填物を配置し通常のスピンコート法、ロールコート法等で被膜を形成しても構わない。
【0134】
このようにインク流路をパターニングした溶解可能な樹脂材料層4上に、図8(b)に示すように、さらに被覆樹脂層5を通常のスピンコート法、ロールコート法等で形成する。ここで、被覆樹脂層5を形成する工程において、溶解可能な樹脂パターンを変形せしめない等の特性が必要となる。すなわち、被覆樹脂層5を溶剤に溶解し、これをスピンコート、ロールコート等で溶解可能な樹脂パターン4上に形成する場合、溶解可能な樹脂パターン4を溶解しないように溶剤を選択する必要がある。
【0135】
ここで、被覆樹脂層5について説明する。被覆樹脂層5としては、後述のインク吐出口をフォトリソグラフィで容易にかつ精度よく形成できることから、感光性のものが好ましい。このような感光性被覆樹脂層5は、構造材料としての高い機械的強度、基板1との密着性、耐インク性と、同時にインク吐出口の微細なパターンをパターニングするための解像性が要求される。ここで、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物が構造材料として優れた強度、密着性、対インク性を有し、かつ前記エポキシ樹脂が常温で固体状であれば、優れたパターニング特性を有することが見いだされている。
【0136】
まず、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物は、通常の酸無水物もしくはアミンによる硬化物に比較して高い架橋密度(高Tg)を有するため、構造材として優れた特性を示す。また、常温で固体状のエポキシ樹脂を用いることで、光照射によりカチオン重合開始剤より発生した重合開始種のエポキシ樹脂中への拡散が抑えられ、優れたパターニング精度、形状を得ることができる。
【0137】
溶解可能な樹脂層上に被覆樹脂層を形成する工程は、常温で固体状の被覆樹脂を溶剤に溶解し、スピンコート法で形成することが望ましい。
【0138】
薄膜コーティング技術であるスピンコート法を用いることで、被覆樹脂層5は均一にかつ精度良く形成することができ、従来方法では困難であったインク吐出エネルギー発生素子2とオリフィス間の距離(OH距離)を短くすることができ、小液滴吐出を容易に達成することができる。
【0139】
また、被覆樹脂として上述のいわゆるネガ型の感光性材料を用いた場合、通常は基板面からの反射、およびスカム(現像残渣)が発生する。しかしながら、本発明の場合、溶解可能な樹脂で形成されたインク流路上に吐出口パターンを形成するため、基板からの反射の影響は無視でき、さらに現像時に発生するスカムは、後述のインク流路を形成する溶解可能な樹脂を洗い出す工程でリフトオフされるため、悪影響を及ぼさない。
【0140】
本発明に用いる固体状のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとの反応物のうち分子量がおよそ900以上のもの、含ブロモスフェノールAとエピクロヒドリンとの反応物、フェノールノボラックあるいはo-クレゾールノボラックとエピクロヒドリンとの反応物、特開昭60-161973号公報、特開昭63-221121号公報、特開昭64-9216号公報、特開平2-140219号公報に記載のオキシシクロヘキサン骨格を有する多感応エポキシ樹脂等があげられるが、もちろん本発明はこれら化合物に限定されるわけではない。
【0141】
上記エポキシ樹脂を硬化させるための光カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩[J.POLYMER SCI:Symposium No.56, 383-395 (1976)参照]や旭電化工業株式会社より上市されているSP-150、SP-170等が挙げられる。
【0142】
また、上述の光カチオン重合開始剤は、還元剤を併用し加熱することによって、カチオン重合を促進(単独の光カチオン重合に比較して架橋密度が向上する。)させることができる。ただし、光カチオン重合開始剤と還元剤を併用する場合、常温では反応せず一定温度以上(好ましくは60℃以上)で反応するいわゆるレドックス型の開始剤系になるように、還元剤を選択する必要がある。
【0143】
このような還元剤としては、銅化合物、特に反応性とエポキシ樹脂への溶解性を考慮して銅トリフラート(トリフルオロメタンスルフォン酸銅(II))が最適である。また、アスコルビン酸等の還元剤も有用である。また、ノズル数の増加(高速印刷性)、非中性インクの使用(着色剤の耐水性の改良)等、より高い架橋密度(高Tg)が必要な場合は、上述の還元剤を後述のように前記被覆樹脂層の現像工程後に溶液の形で用いて被覆樹脂層を浸漬および加熱する後工程によって、架橋密度を上げることができる。
【0144】
さらに上記組成物に対して必要に応じて添加剤など適宜添加することが可能である。例えば、エポキシ樹脂の弾性率を下げる目的で可撓性付与剤を添加したり、あるいは基板との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加することなどがあげられる。
【0145】
次いで、上記化合物からなる感光性被覆樹脂層5に対して、図8(c)に示すように、マスク6を介してパターン露光を行なう。感光性被覆樹脂層5は、ネガ型であり、インク吐出口を形成する部分をマスクで遮蔽する。(むろん、電気的な接続を行なう部分も遮蔽する。図示せず)。
【0146】
パターン露光は、使用する光カチオン重合開始剤の感光領域に合わせて紫外線、Deep-UV光、電子線、X線などから適宜選択することができる。
【0147】
ここで、これまでの工程は、すべて従来のフォトリソグラフィ技術を用いて位置合わせが可能であり、オリフィスプレートを別途作成し基板と張り合わせる方法に比べて、格段に精度を上げることができる。こうしてパターン露光された感光性被覆樹脂層5は、必要に応じて反応を促進するために、加熱処理を行なってもよい。ここで、前述のごとく、感光性被覆樹脂層は常温で固体状のエポキシ樹脂で構成されているため、パターン露光で生じるカチオン重合開始種の拡散は制約を受け、優れたパターニング精度、形状を実現できる。
【0148】
次いで、パターン露光された感光性被覆樹脂層5は、適当な溶剤を用いて現像され、図8(d)に示すように、インク吐出口8を形成する。ここで、未露光の感光性被覆樹脂層の現像時に同時にインク流路を形成する溶解可能な樹脂パターン4を現像することも可能である。
【0149】
ただし、一般的に、基板1上には複数の同一または異なる形態のヘッドが配置され、切断工程を経てインクジェット液体吐出ヘッドとして使用されるため、切断時のごみ対策として、図8(d)に示すように感光性被覆樹脂層5のみを選択的に現像することにより、インク流路9を形成する樹脂パターン4を残し(液室内に樹脂パターン4が残存するため切断時に発生するゴミが入り込まない)、切断工程後に樹脂パターン4を現像することも可能である(図8(e)参照)。また、この際、感光性被覆樹脂層5を現像する時に発生するスカム(現像残渣)は、溶解可能な樹脂層4と共に溶出されるためノズル内には残渣が残らない。
【0150】
前述したように架橋密度を上げる必要がある場合には、この後、インク流路9およびインク吐出口8が形成された感光性被覆樹脂層5を還元剤を含有する溶液に浸漬および加熱することにより後硬化を行なう。これにより、感光性被覆樹脂層5の架橋密度はさらに高まり、基板に対する密着性および耐インク性は非常に良好となる。
【0151】
もちろん、この銅イオン含有溶液に浸漬加熱する工程は、感光性被覆樹脂層5をパターン露光し、現像してインク吐出口8を形成した直後に行なっても一向にさしつかえなく、その後で溶解可能な樹脂パターン4を溶出しても構わない。また浸漬、加熱工程は、浸漬しつつ加熱しても構わないし、浸漬後に加熱処理を行なっても構わない。
【0152】
このような還元剤としては、還元作用を有する物質であれば有用であるが、特に銅トリフラート、酢酸銅、安息香酸銅など銅イオンを含有する化合物が有効である。前記化合物の中でも、特に銅トリフラートは非常に高い効果を示す。さらに前記以外にアスコルビン酸も有用である。
【0153】
このようにして形成したインク流路およびインク吐出口を形成した基板に対して、インク供給のための部材7およびインク吐出圧力発生素子2を駆動するための電気的接合(図示せず)を行なってインクジェット液体吐出ヘッドが形成される(図8(f)参照)。
【0154】
尚、本製造例では、インク吐出口8の形成をフォトリソグラフィによって行なったが、本発明はこれに限ることなく、マスクを変えることによって、酸素プラズマによるドライエッチングやエキシマレーザによってもインク吐出口8を形成することができる。エキシマレーザやドライエッチングによってインク吐出口8を形成する場合には、基板が樹脂パターンで保護されてレーザやプラズマによって傷つくことがないため、精度と信頼性の高いヘッドを提供することも可能となる。さらに、ドライエッチングやエキシマレーザ等でインク吐出口8を形成する場合は、被覆樹脂層5は感光性のもの以外にも熱硬化性のものも適用可能である。
【0155】
次に本発明に好適に使用できる記録装置および記録ヘッドの他の具体例を説明する。図9は、本発明に係る吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッドおよびこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【0156】
図9においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図9に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する方向Sに略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0157】
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026aおよび1026bに巻きかけられるベルト1016と、ローラユニット1022aおよび1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向および逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0158】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図9の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図9の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。また、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図9の矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図9の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。さらに、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行なうための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0159】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012Cおよび1012Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックごとにそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0160】
図10は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インクなどの液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
【0161】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インクなどの液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図11参照)へと導かれるようになっている。カートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0162】
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下にさらに詳しく説明する。
【0163】
図11は本発明の基本的な形態を示す液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図12〜図15は図11に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。なお、電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線などは省略している。
【0164】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば図11に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属などからなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、および後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば、特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。吐出口は、レーザー光による形成方法の他、例えば後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)などの露光装置により形成することもできる。
【0165】
図11において934は電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931および共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側に熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に電気熱変換素子の間隔が、例えば300dpiで配列されている。この基板934上にはインク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、さらに吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0166】
ここで、図11においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を例えばスピンコートなどの手法によって基板934上に形成することによりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。本例では、さらに、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0167】
本例では、図9の矢印S方向に走査しながら記録を行なうシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1200dpiで記録を行なう。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では最短時間間隔100μsごとに吐出を行なうことになる。
【0168】
また、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図12に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図15に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm,N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。また、インク流路壁936および隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0169】
吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配されかつ鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。すなわち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図11に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝が形成されている(溝部の位置については図16の1141a参照)。
【0170】
本例においては、吐出口部940は、例えばその厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図13に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。
【0171】
従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μm2となっている。
【0172】
図14は図13に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図であり、Cはインク付着部を表わしている。
【0173】
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図16〜図23を用いて説明する。
【0174】
図16〜図23は、図11〜図15に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図15に示す発泡室1337のX-X断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。
【0175】
図16はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図17は図16の約1μs後、図18は図16の約2μs後、図19は図16の約3μs後、図20は図16の約4μs後、図21は図16の約5μs後、図22は図16の約6μs後、図23は図16の約7μs後の状態をそれぞれ示している。なお、以下の説明において、「落下」または「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
【0176】
まず、図16に示すように、記録信号などに基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、約2μs間に図17および図18に示すように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935a上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0177】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス102の形成も始まる。このメニスカス102も図19に示すようにヒータ931側への方向に後退、すなわち落下してゆく。
【0178】
ここで、本例においては、吐出口部に複数の溝1141を分散させて有していることにより、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカスおよび主液滴(以下、液体またはインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0179】
そして、本例では、このメニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図20に示すように気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。
【0180】
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図21に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図22に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、すなわち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
【0181】
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体部分Ibが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図23に示すようにヒータ1の表面の中央で液体部分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaとヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。
【0182】
主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、記録媒体の被記録面の所定位置に着弾される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。
【0183】
このようにサテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより記録媒体の被記録面が汚れるのを確実に防止することができる。なお図20〜23において、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、またIeは液流路内に残存しているインクを表している。
【0184】
このように、本例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。また、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行なうことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
【0185】
特に、気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。
【0186】
また本発明に好適に使用できる、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば日本特許登録第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。
【0187】
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行なうインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0188】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0189】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0190】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。
【0191】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59-123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59-138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0192】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0193】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0194】
また、本発明の記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なうことも安定した記録を行なうために有効である。
【0195】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0196】
以上説明した本発明の実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、もしくは液体であるもの、あるいは上述のインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行なってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0197】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、またはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54-56847号公報あるいは特開昭60-71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても良い。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0198】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0199】
次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の概略について説明する。
【0200】
図29は、本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【0201】
図29において、インクジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持するインクタンクとが一体となったものである。このインクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603、604を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されており、駆動モータ602の動力によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印a,b方向に往復移動される。被記録材P'は、図示しない被記録材搬送手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧される。
【0202】
リードスクリュ605の一端の近傍には、フォトカプラ611、612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向切り換え等を行なうためのホームポジション検知手段である。
【0203】
支持部材613は、上述のインクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。また、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。このインク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601の吸引回復が行なわれる。インクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブレード617は、移動部材618により前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニングブレード617及び移動部材618は、本体支持体619に支持されている。クリーニングブレード617は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。
【0204】
液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたって、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0205】
上述の構成を有するインクジェット記録装置600は、図示しない被記録材搬送手段によりプラテンローラ609上を搬送される被記録材P'に対し、インクジェットヘッドカートリッジ601は被記録材P'の全幅にわたって往復移動しながら記録を行なう。
【0206】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚以下の記載で、「部」、「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
【0207】
(顔料分散液の調製)
〔顔料分散液A〕
5.3gの水に5gの濃塩酸をとかした溶液に5℃においてアントラニル酸1.58gを加えた。これに、アイスバスで攪拌することにより常に10℃以下に保たれた状態で、5℃の8.7gの水に1.78gの亜硝酸ナトリウムを加えた溶液を加えた。
【0208】
これに更に、15分攪拌後、表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック7gを混合した状態のまま加えた。その後、さらに15分攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、さらに、この顔料に水を足して顔料濃度10質量%の顔料水溶液を作製した。
【0209】
尚、上記で作製した自己分散型カーボンブラックの親水性基密度を下記のようにして測定したところ、2.6μmol/m2であった。測定方法としては、イオンメーター(DKK製)を用いナトリウムイオン濃度を測定し、その値から親水性基密度を換算した。そしてイオン交換法を用いてナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に-Ph-COONH4基を導入した自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液Aを得た。
【0210】
〔顔料分散液B〕
5.3gの水に5gの濃塩酸をとかした溶液に5℃においてアントラニル酸1.58gを加えた。これに、アイスバスで攪拌することにより常に10℃以下に保たれた状態で、5℃の8.7gの水に1.78gの亜硝酸ナトリウムを加えた溶液を加えた。
【0211】
これに更に、15分攪拌後、表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gのカーボンブラック8gを混合した状態のまま加えた。その後、さらに15分攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、さらに、この顔料に水を足して顔料濃度10質量%の顔料水溶液を作製した。
【0212】
尚、上記で作製した自己分散型カーボンブラックの親水性基密度を上記と同様に測定したところ、1.6μmol/m2であった。そしてイオン交換法を用いてナトリウムイオンをアンモニウムイオンに置換することによって、カーボンブラックの表面に-Ph-COONH4基を導入した自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液Bを得た。
【0213】
<実施例1>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、本発明のインクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水酸化カリウム 0.06部
水 36.74部。
【0214】
<実施例2>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、本発明のインクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
安息香酸カリウム 1.7部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水 35.1部。
【0215】
<参考例1>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、インクを調製した。
上記の顔料分散液B 45部
安息香酸カリウム 1.7部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水 35.1部。
【0216】
<実施例3>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、本発明のインクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
安息香酸アンモニウム 0.7部
安息香酸カリウム 0.9部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水 35.2部。
【0217】
<実施例4>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、本発明のインクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
安息香酸アンモニウム 1.5部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水酸化カリウム 0.06部
水 35.24部。
【0218】
<比較例1>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、インクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
アンモニア水(28%) 0.06部
水 36.74部。
【0219】
<比較例2>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、インクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
安息香酸リチウム 1.4部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水 35.4部。
【0220】
<比較例3>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、インクを調製した。
上記の顔料分散液B 45部
安息香酸リチウム 1.4部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水 35.4部。
【0220】
<比較例4>
以下の成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過し、インクを調製した。
上記の顔料分散液A 45部
安息香酸アンモニウム 1.5部
トリメチロールプロパン 6部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 6部
アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH) 0.2部
水 35.3部。
【0221】
このようにして得た実施例1〜4、参考例1及び比較例1〜4のブラックインクの主な特徴を下記表1にまとめて示した。
【0222】
【表1】
【0223】
上記の実施例1〜4、参考例1及び比較例1〜4のインクを用いて、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF-850(キヤノン製)を何ら改造を施すことなく用いて下記評価を行なった。
【0224】
1)間欠吐出性
上記各インクと上記インクジェット記録装置を用い、A4用紙(210mm×297mm、JISP0138-1961)1枚分の印字を行なった後2時間吐出を行なわず、その後再びA4用紙1枚分の印字を行なうサイクルを50回繰り返した。その時の印字の乱れ具合から上記各インクの間欠吐出性を評価した。
【0225】
2)固着性
上記各インクと上記インクジェット記録装置を用い、初期印字を行なった後72時間吐出を行なわず、その後再び印字を行なった。72時間吐出を行なわなかった後の印字が、初期印字の状態まで回復するのに要する記録装置の回復動作回数から上記各インクの固着性を評価した。
【0226】
上記の評価を行なった結果、実施例1のインクの間欠吐出性、固着性は共に比較例1のインクに比べて明らかに向上した。また実施例2のインクも比較例2のインクに比べて間欠吐出性、固着性が明らかに向上した。実施例3のインクについては、比較例3のインクに比べて間欠吐出性、固着性の向上が見られた。そして実施例3及び実施例4のインクは比較例4のインクに比べて間欠吐出性、固着性が明らかに向上した。
【0227】
【発明の効果】
インクジェット記録を行なう際にブラックインクによる印字において、印字物の印字濃度が高く、該インクが間欠吐出性および固着性に優れた水性顔料インクであり、更に該インクを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの一例を示す横断面図である。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】インクカートリッジの一例を示す縦断面図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
【図8】インクジェット記録ヘッドの製造方法の一例を工程順に配列した断面図である。
【図9】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図10】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図11】液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図12】液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図である。
【図13】図12に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図14】図13に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図15】図12における主要部の模式図である。
【図16】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図17〜図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図17】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16及び図18〜図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図18】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16、図17及び図19〜図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図19】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16〜図18及び図20〜図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図20】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16〜図19及び図21〜図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図21】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16〜図20及び図22、図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16〜図21及び図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図23】図15中のX−Y斜視断面形状に対応し図16〜図22と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図24】本発明の効果を発揮しやすい構成のヘッドを説明するための概略断面図の第一の例である。
【図25】本発明の効果を発揮しやすい構成のヘッドを説明するための概略断面図の第二の例である。
【図26】本発明の効果を発揮しやすい構成のヘッドを説明するための概略断面図の第三の例である。
【図27】本発明の効果を発揮するメカニズムを説明するための概略模式図である。
【図28】ナトリウムイオン等とカリウムイオンの水和性が異なる点を説明するための概念図である。
【図29】本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 基板
2 インク吐出エネルギー発生素子
3 開口部
4 溶解可能な樹脂層
5 被覆樹脂層
6 マスク
7 インク供給部材
8 インク吐出口
9 インク流路
13ヘッド
14インク溝
15発熱素子基板
16保護層
17-1、17-2電極
18発熱抵抗体層
19蓄熱層
20基板
21インク
22吐出オリフィス(微細孔)
23メニスカス
24インク小滴
25被記録材
26マルチノズル
27ガラス板
28発熱ヘッド
40インク袋
42栓
44インク吸収体
45インクカートリッジ
51給紙部
52紙送りローラー
53排紙ローラー
61ブレード
62キャップ
63インク吸収体
64吐出回復部
65記録ヘッド
66キャリッジ
67ガイド軸
68モーター
69ベルト
70記録ユニット
71ヘッド部
72大気連通口
80インク流路
81オリフィスプレート
82振動板
83圧電素子
84基板
85吐出口
251吐出エネルギー発生素子
252吐出口
253供給口
254基板
255吐出口プレート
261被覆樹脂層
262吐出エネルギー発生素子
263突起物
600インクジェット記録装置
601インクジェットヘッドカートリッジ
602駆動モータ
603、604駆動力伝達ギア
605リードスクリュ
606螺旋溝
607キャリッジ
607aレバー
608ガイド
609プラテンローラ
610紙押え板
611、612フォトカプラ
613支持部材
614キャップ部材
615インク吸引手段
616キャップ内開口部
617クリーニングブレード
618移動部材
619本体支持体
620(吸引開始)レバー
621カム
832:吐出口
832a:起部
832b:伏部
931:電気熱変換素子(ヒータ,インク吐出エネルギー発生素子)
933:インク供給口(開口部)
934:基板
935:オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a:吐出口面
936:インク流路壁
936a :隔壁
940 :吐出口部
1337 :発泡室
1338 :液流路
1141 :溝
1141a:頂部
100 :インクジェット記録ヘッド
101 :気泡
102 :メニスカス
1001 :液体タンク
1006 :移動駆動部
1008 :ケーシング
1010 :記録部
1010a:キャリッジ部材
1012 :カートリッジ
1012Y,M,C,B:インクジェットカートリッジ
1016 :ベルト
1018 :モータ
1020 :駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026 :回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028 :用紙
1030 :搬送装置
2701 :カーボンブラック
2703 :水分子
2705 :カウンターイオン
2707 :カリウムイオン
2709 :ナトリウムイオン
C:濡れインク
FM:メニスカス後退方向
FC:メニスカス後退方向と反対方向
G:重心
I:インク
Ia:主液滴(液体,インク)
Ib,Ic:液体(インク)
Id:溝部に付着したインク(溝内のインク)
Ie:液流路内に残存しているインク
L:液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
N1:発泡室の幅寸法
N2:発泡室の長さ寸法
O:吐出口の中心
P':被記録材
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向
T1:吐出口伏部寸法
w:隔壁の幅寸法
Claims (23)
- カーボンブラックの表面に、少なくとも1つの親水性基が他の原子団を介して結合している自己分散型カーボンブラックを少なくとも含む色材、及び水性媒体を含み、該カーボンブラックに対して質量比で0.6%以上のカリウムイオンを有し、且つ該親水性基の密度が1.8μmol/m2以上であることを特徴とするインクジェット用インク。
- 該親水性基が、下記に列記した中から選択される少なくとも1つである請求項1に記載のインクジェット用インク。
-COOM、-SO3M、-PO3HM、-PO3M2
(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。) - 前記カリウムイオンが前記カーボンブラックの親水性基のカウンターとして存在している請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
- 前記カリウムイオンが、水酸化カリウム由来である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記インクのpHが7以上10以下である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記インク中の1価のカチオンイオンの総量が0.05mol/L以上1mol/L以下である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記1価のカチオンイオンが、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン及び有機アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも1つをカリウムイオンと共に含む請求項6に記載のインクジェット用インク。
- 前記1価のカチオンイオンの含有量が水性顔料インク全量に対して0.1mol/L以上0.5mol/L以下である請求項6または7に記載のインクジェット用インク。
- インクを収容しているインク収容部と該インクにエネルギーを与えて該インクをインク滴として吐出させるための記録ヘッドとを具備している記録ユニットにおいて、該インクが請求項1〜8のいずれかに記載のインクであることを特徴とする記録ユニット。
- 該記録ヘッドが、1ドット当たりの吐出量が40ng以下である記録ヘッドである請求項9に記載の記録ユニット。
- 該記録ヘッドが、インク流路中にインクの流路抵抗が大きく変化する部位を有する記録ヘッドである請求項9または10に記載の記録ユニット。
- 該記録ヘッドが、インクへのエネルギーの付与手段としてインク流路内にヒータが配置され、且つ該ヒータが、該インクの吐出口に正対している請求項9〜11のいずれかに記載の記録ユニット。
- 該記録ヘッドが、該インクが該ヒータに接する部位に至るまでにインクの主たる流動方向が少なくとも90°変化する部位を有する請求項9〜11のいずれかに記載の記録ユニット。
- インクを収容しているインク収容部を具備しているインクカートリッジにおいて、上記インクが請求項1〜8のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項9〜13のいずれかに記載の記録ユニットを具備していることを特徴とする画像記録装置。
- インクにエネルギーを与えて、インクを記録ヘッドから吐出させ、記録媒体に付着させる工程を有する画像記録方法において、該インクが請求項1〜8のいずれかに記載のインクであることを特徴とする画像記録方法。
- 請求項15に記載の画像記録装置を用いて記録媒体に画像を形成する工程を有することを特徴とする画像記録方法。
- インクにエネルギーを与えて、インクを記録ヘッドから吐出させる際に、請求項1〜8のいずれかに記載のインクを用いることを特徴とする記録ヘッドの固着緩和方法。
- シアン用、マゼンタ用、イエロー用、レッド用、グリーン用及びブルー用の各色材から選ばれる少なくとも1つの色材を含むインクと請求項1〜8のいずれかに記載のインクとの組み合わせからなることを特徴とするインクセット。
- インク吐出圧力発生素子に対向する位置にインク吐出口を供えているインクジェット記録ヘッドを用いてインクを吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における該記録ヘッドの固着を緩和する方法であって、該インクとして請求項9に記載のインクを用いることを特徴とする固着緩和方法。
- インク流路中に、液体の流路抵抗が大きく変化する部位を有するインクジェット記録ヘッドを用いてインクを吐出させる工程を含むインクジェット記録方法における該記録ヘッドの固着を緩和する方法であって、該インクとして請求項1〜8のいずれかに記載のインクを用いることを特徴とする固着緩和方法。
- 液体の流路抵抗が大きく変化する部位が、液体の流動方向が、90°以上変化する部位である請求項21記載の固着緩和方法。
- インクにエネルギーを与えて、インクを記録ヘッドからインクジェット法で吐出させる工程を所定の時間間隔で繰り返す工程を有するインクジェット記録法における間欠吐出性を改善する方法であって、該インクとして請求項1〜8のいずれかに記載のインクを用いることを特徴とする間欠吐出性の改善方法。
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