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JP3818684B2 - 抗血栓性医療用基材及びその製造方法 - Google Patents

抗血栓性医療用基材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液、体液または生体組織と接触して使用される抗血栓性に優れた医療用基材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液、体液または生体組織との親和性を向上させるために、医療器具の基材表面を改質する各種の方法が提案されている。例えば、特開昭62−87163号には水溶性高分子化合物を基材表面にグラフト重合することにより、抗血栓性を付与する方法が記載されている。この方法は、生体成分の基材表面への吸着を物理化学的に抑制することにより基材表面での血栓形成を抑制させる方法であり、短時間での使用や抗血栓剤の併用時における血栓形成の抑制には効果を発揮するが、時間が経つに連れて血漿蛋白質が表面グラフト層に入り込んだり、基材表面で活性化した血漿成分や血小板による凝固物の影響が生体に生じてくる等の問題を有している。
【0003】
特公昭60−39688号には、疎水性高分子と親水性高分子よりなるミクロ相分離構造を有する血液親和性医療材料が記載されているが、このような材料も抗凝血活性を有していないため、血流速の遅い状態や抗血栓剤を使用しない状態では、安定した抗血栓性を発現することが困難である。
【0004】
また、ヘパリン等の抗凝血活性を有する化合物を基材表面に固定したり徐放させることにより、基材表面に抗血栓性を付与する方法が、各種提案されている。例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩とヘパリンとの複合体を基材表面にコーティングする方法(特公平2−36267号参照)、3級アミンビニル化合物を基材表面にグラフト重合した後ヘパリンをイオン結合させる方法(特公昭55−38964号参照)、基材表面にグリシジルアクリレートもしくはグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後ヘパリンを共有結合させる方法(特公昭59−15326号参照)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの材料は、製造方法が複雑であったり、ヘパリンを除放する材料のため、ヘパリン以外の抗凝血活性を有する化合物に対しては安全性上適用できないといった問題点がある。さらに、ヘパリンのような生体物質は、基材表面に固定させてもその加熱による滅菌処理により抗凝血活性が低下してしまったり、生体中の酵素により分解され長く活性を維持できないという問題点がある。本発明は、上記課題を解決し、優れた抗血栓性を有する医療用基材とその簡便な製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明とは以下の通りである。
【0007】
(1)基材表面が、エポキシ基またはイソシアネート基を分子内に有するモノマーとアルコキシアルキルアクリレートモノマーの共重合体からなる反応性化合物を介して、スルホン酸基およびスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に各々複数個有する化合物からなる非生体由来の抗血栓性物質で被覆されており、前記反応性化合物と前記抗血栓性物質が化学結合していることを特徴とする抗血栓性医療用基材。
【0008】
(2)前記エポキシ基を分子内に有するモノマーがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする(1)に記載の抗血栓性医療用基材。
【0009】
(3)前記アルコキシアルキルアクリレートがメトキシエチルアクリレートであることを特徴とする(1)または(2)に記載の抗血栓性医療用基材。
【0010】
(4)前記抗血栓性物質が、スルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有するモノマーとビニル硫酸、アリル硫酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホプロピルアクリレートよりなる群から選ばれたスルホン酸基を分子内に有するモノマーより構成される共重合体であることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の抗血栓性医療用基材。
【0011】
(5)エポキシ基またはイソシアネート基を分子内に有するモノマーとアルコキシアルキルアクリレートモノマーの共重合体からなる反応性化合物とスルホン酸基およびスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に各々複数個有する化合物からなる非生体由来の抗血栓性物質とを有する溶液を基材表面に塗布した後、該反応性化合物と該抗血栓性物質を反応させ化学結合させることを特徴とする抗血栓性医療用基材の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる反応性化合物は、プロトン供与性基に対して反応可能な反応性官能基を分子内に複数個有する化合物であり、好ましくはエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、酸クロリド基もしくはイミド基等の反応性官能基を分子内に複数個有する化合物である。さらに好ましくは、反応上有害な副生成物が発生しないエポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基の反応性官能基を分子内に複数個有する化合物である。
【0013】
具体的に反応性化合物としては以下の2例が挙げられる。前記反応性化合物の1例としては、エポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基を分子内に有するモノマーと前記反応性官能基を有さない非水溶性のモノマーとの共重合体や、前記非水溶性のモノマーの単独重合体もしくは前記非水溶性のモノマーを主成分とした共重合体に前記反応性官能基を導入した高分子化合物等が挙げられる。共重合体の構造としては、前記反応性官能基が存在する領域と前記反応性官能基が存在しない非水溶性の領域とを有するブロック共重合体もしくはグラフト共重合体が、反応性化合物内の前記反応性官能基と抗血栓性物質内のプロトン供与性基との反応性や反応性化合物の基材表面への密着性が向上するため好ましい。
【0014】
エポキシ基を分子内に有するモノマーとしては、特に限定されないが、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレート等を例示できる。また、イソシアネート基を分子内に有するモノマーとしては、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、アクリロイルオキシメチルイソシアネート、アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、メタクリロイルエチルイソシアネート等を例示できる。さらに、アルデヒド基を分子内に有するモノマーとしては、シンナムアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン等を例示できる。
【0015】
また、非水溶性のモノマーとしては、特に限定されないが、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニル系モノマー、オレフィン系モノマー、各種の開環重合や重縮合用のモノマー等でエポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基を有さない非水溶性のモノマー等が例示できる。また、本発明において、非水溶性のモノマーとは、25℃の蒸留水に対する溶解度が5wt%以下のモノマーと定義し、かつカルボキシル基やアミノ基等のイオン性解離基を有するモノマーで塩を形成することにより容易に生理的条件下で水溶性となるモノマーは含めない。
【0016】
本発明において、非水溶性のモノマーを主成分とする前記反応性化合物を用いることにより、体液等の水系溶媒中で基材表面が著しく膨潤することが抑制されるため、潤滑性が低くなり、掴みやすく取り扱いやすい医療用基材となる。
【0017】
また、非水溶性のモノマーの具体例としては特に限定されないが、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレート系モノマーが例示でき、前記反応性化合物の柔軟性、接着性、生体適合性を向上させることができる。
【0018】
前記反応性化合物のブロック共重合体もしくはグラフト共重合体を合成する方法は、公知の方法、例えば、リビング重合、マクロモノマーを用いた重合、高分子重合開始剤を用いた重合、重縮合、各種の反応性官能基を有する化合物を用いたエポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の導入法等が例示できるが、特に限定されない。前記反応性官能基を有さない非水溶性のモノマーの単独重合体もしくは前記非水溶性のモノマーを主成分とした共重合体に前記反応性官能基を導入する方法も特に限定されず、酸化等による反応性官能基導入法が例示できる。
【0019】
また、反応性化合物のもう1例としては、エポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基を分子内に複数個有する架橋性化合物が挙げられる。例えば、イソシアネート基を分子内に複数個有する架橋性化合物としては、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジクロロフェニルジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネート等のジイソシアネート系化合物やトリイソシアネート系化合物、またはポリイソシアネート系化合物等を例示できる。更に、これらの化合物のイソシアネート基は、ブロック剤により保護されていても構わない。
【0020】
また、エポキシ基を分子内に複数個有する架橋性化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、クレジルジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルを初め、各種の脂肪族ジグリシジルエーテルや多官能性グリシジルエーテル等を例示できる。また、アルデヒド基を分子内に複数個有する架橋性化合物としては、グルタルアルデヒド等の二官能性アルデヒド化合物または多官能性アルデヒド化合物等を例示できる。
【0021】
本発明で用いる抗血栓性物質は、スルホン酸基以外のプロトン供与性基及びスルホン酸基を分子内に有する化合物であれば良く、抗血栓性物質の1例としては、スルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有するモノマーとビニル硫酸、アリル硫酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホプロピルアクリレートよりなる群から選ばれたスルホン酸基を分子内に有するモノマーから構成される水溶性もしくは水膨潤性の高分子化合物が挙げられる。その主鎖構造は限定されず、例えば、ポリオレフィン類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリビニル系化合物等を主鎖構造とする単独重合体やそれらの共重合体等が挙げられる。また、これらの抗血栓性物質は、ヘパリン、ヘパラン硫酸等の生体由来の抗凝血活性物質とは異なり、様々な有機溶媒に可溶でき、さらに耐滅菌性に優れている。これによって、体液等の水系溶媒下では、抗血栓性物質が基材表面で膨潤して水系溶媒との界面(最外層)を形成し、効果的に抗凝血活性を発現することができる。更に、本発明の抗血栓性物質としては、10μg/ml以下の添加量で、活性化部分トロンボプラスチン時間(以下、APTTと称す)もしくは全血凝固時間(以下、ACTと称す)を2倍以上に延長できる化合物が好ましい。
【0022】
前記抗血栓性物質を構成するスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有するモノマーは特に限定されないが、エポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基と反応して共有結合を形成させることが可能な官能基を分子内に有するモノマーが例示でき、好ましくはアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基等のスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有するモノマーが例示できる。さらに好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アリルアミン、ビニルアミン、エチレンイミン、アミノスチレン等を例示できる。さらに、前記抗血栓性物質の構造は、ブロック共重合体もしくはグラフト共重合体であることが、抗血栓性物質内のスルホン酸基以外のプロトン供与性基と反応性化合物内のエポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基との反応性で優れているため好ましい。
【0023】
また、抗血栓性物質の他の例としては、アミノ基を分子内に有する高分子化合物を部分的にスルホン化した高分子化合物が挙げられる。例えば、アリルアミン、エチレンイミン、リジン、アミノスチレン、アミノプロピルメタクリレート、ビニルアミン等のアミノ基を分子内に有するモノマーにより構成される単独重合体もしくは他のモノマーとの共重合体内のアミノ基を部分的にスルホン化したものが挙げられる。前記抗血栓性物質は、スルホン化により残った未反応のアミノ基が反応性化合物内のエポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基と反応し、共有結合を形成し、スルホン化により導入されたスルホン酸基が抗凝血活性の発現に寄与することとなる。この時、スルホン化率が20〜95%であると、反応性化合物との反応性と抗凝血活性が向上するので好ましい。アミノ基のスルホン化の方法は、公知の方法を適用でき、例えば、濃硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸やそれらとジオキサンやピリジン等との錯体であるスルホン化剤を用いる方法が挙げられる。
【0024】
さらに、抗血栓性物質の他の例としては、スルホン酸基を分子内に有する高分子化合物に水酸基等のスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有する化合物を共有結合させた高分子化合物が例示できる。また、抗血栓性物質内のスルホン酸基以外のプロトン供与性基やスルホン酸基は、ナトリウムイオン等の陽イオンと塩を形成して存在していても構わない。
【0025】
基材表面に反応性化合物と抗血栓性物質を被覆させる場合、反応性化合物と抗血栓性物質とを含有する溶液を基材表面に塗布した後、該反応性化合物と該抗血栓性物質を反応させる方法、もしくは反応性化合物を有する溶液を基材表面に塗布した後、抗血栓性物質を有する溶液を塗布して該反応性化合物と該抗血栓性物質を反応させる方法が例示できる。本発明の反応性化合物及び抗血栓性物質を用いた抗血栓性医療用基材の製造方法は、プロトン供与性基と反応可能なエポキシ基、イソシアネート基もしくはアルデヒド基等の反応性官能基に加えてスルホン酸基をも分子内に有する抗血栓性物質を単独で用いた製造方法と比較して、使用される化合物自身及びその溶液の安定性や取り扱いにおいて優れている。また、抗血栓性物質の基材表面への結合性において、前記反応性化合物が基材表面と抗血栓性物質とのバインダーとなるため良好な耐溶出性、耐剥離性等を得ることができる。
【0026】
さらに、反応性化合物と抗血栓性物質との反応は、加熱処理や触媒の添加により容易に促進することができる。一般的には、40℃以上の加熱処理により反応が促進される。また、添加する触媒としては、エポキシ基に対してはトリアルキルアミン系化合物やピリジン等の3級アミン系化合物やオスニウム塩系化合物、イソシアネート基及びアルデヒド基に対してはプロトン供与性の酸が例示できる。さらに、反応性化合物または抗血栓性物質の溶液に第三成分として界面活性剤等の可溶化剤や有機溶媒に可溶化させるための脂溶化剤等を添加しても良い。
【0027】
また、反応性化合物及び抗血栓性物質の溶液の基材表面への塗布方法は限定されず、浸漬、噴霧、スピンコーティング、刷毛塗等が挙げられる。反応性化合物を被覆させる時に用いる溶媒としては、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン、ベンゼン等の非プロトン供与性の有機溶媒が例示できる。抗血栓性物質を被覆させる時に用いる溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒や前記非プロトン供与性の有機溶媒が例示できる。
【0028】
また、本発明において基材の材質や形状は特に限定されない。材質としては金属、セラミック、有機高分子材料、カーボン、及びそれらの複合材料等が例示でき、複数の基材より成形もしくは組み立てられていてもかまわない。さらに、有機高分子材料としては、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルやそれらの共重合体等が例示できる。また、基材表面に効果的に反応性化合物と抗血栓性物質を反応させるためには、基材全体もしくは基材表層部にプロトン供与性基が導入されているものが好ましい。
【0029】
本発明の抗血栓性医療用基材は、血液、体液または生体組織と接触して使用される医療器具に用いることができ、体内埋入型の人工器官や治療器具、体外循環型の人工臓器類、カテーテル、ガイドワイヤー等を例示できる。具体的には、血管や管腔内へ挿入あるいは置換される人工血管、人工気管、ステントや、人工皮膚、人工心膜等の埋入型医療器具や、人工心臓システム、人工肺システム、人工腎臓システム、人工肝臓システム、免疫調節システム等の人工臓器システムや、留置針、IVHカテーテル、薬液投与用カテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテル及びダイレーターあるいはイントロデューサー等の血管内に挿入ないし留置されるカテーテルや、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤー、スタイレット等や、胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブ、尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテーテル、気管内吸引カテーテルをはじめとする各種の吸引カテーテルや排液カテーテル等の血管以外の生体組織に挿入ないし留置されるカテーテル類が例示できる。
【0030】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
(1)反応性化合物の合成
アジピン酸二塩化物72.3g中に50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50℃で3時間撹拌反応させ、発生した塩化水素を減圧除去して得られたオリゴエステル22.5gにメチルエチルケトン4.5gを加えたものを、水酸化ナトリウム5g,31%過酸化水素水6.93g,界面活性剤ジオクチルホスフェート[和光純薬(株)製]0.44g,蒸留水120gよりなる水溶液中に滴下し、0℃で20分間撹拌反応させた。得られた生成物は、水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、減圧乾燥させて複数個のパーオキサイド基を分子内に有するポリ過酸化物(以下、PPOと称す)を得た。続いて、このPPO 0.5gを高分子重合開始剤として用い、ベンゼン30gを溶媒として、エポキシ基を分子内に有するモノマーとしてグリシジルメタクリレート(以下、GMAと称す)9.5gを、70℃、2時間、減圧下で撹拌しながら重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別して減圧乾燥し、複数個のパーオキサイド基を分子内に有するポリPPO−GMAを得た。
【0032】
次に、このポリPPO−GMA2gを高分子重合開始剤として用い、非水溶性のモノマーとしてメトキシエチルアクリレート(以下、MEAと称す)12gをジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称す)100gを溶媒として、70℃、18時間撹拌しながら重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別して減圧乾燥し、反応性官能基としてエポキシ基を分子内に複数個有するポリGMA領域と非水溶性のポリMEA領域とを有するブロックコポリマー(以下、反応性化合物1と称す)を得た。反応性化合物1の分子量は24万(GPC測定による)、GMAとMEAの組成比(モル比)はGMA:MEA=1:5.2(1H−NMR測定による)であった。
【0033】
(2)抗血栓性物質の合成
アクリル酸ナトリウム2gと2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸ナトリウム(以下、AMPSと称す)10gを水中で、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(以下、V501と称す)[和光純薬(株)製]を重合開始剤として用い、70℃、16時間撹拌しながら共重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別して減圧乾燥し、スルホン酸基以外のプロトン供与性基及びスルホン酸基とを分子内に有するランダムコポリマー(以下、抗血栓性物質1と称す)を得た(組成比 AMPS:アクリル酸ナトリウム=8:1)。抗血栓性物質1の抗凝血活性は、ACDで抗凝固させた人新鮮血漿に抗血栓性物質1を10μg/mlとなるように添加し、常法に従ってAPTTを測定した。APTTは、5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0034】
(3)抗血栓性医療用基材表面の作製
ポリウレタン(ペレセン2363)で被覆された造影用カテーテルを、反応性化合物1の1wt%テトラヒドロフラン(以下、THFと称す)溶液中に、10秒間浸漬して風乾した後、さらに抗血栓性物質1の0.5wt%水溶液(pH7.0に調製)に20秒間浸漬して塗布処理を行った。続いて、60℃で40時間、反応性化合物1と抗血栓性物質1を反応させた後、1Mの塩化ナトリウムを含む0.02Nの水酸化ナトリウム水溶液と蒸留水で十分洗浄し、乾燥させた。得られた造影用カテーテルの表面をESCAを用いて観察したところ、AMPS由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質1の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質1が結合している外表面の面積が約0.5cm2となるように造影用カテーテルを切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。ここで、抗トロンビン活性は、試料の表面積が1cm2の時、トロンビン活性に起因する合成基質分解物の発色を、抗血栓性物質を被覆していない基材表面に対して吸収度で0.1以上抑えた時に、抗トロンビン活性が発現したと定義する。また、造影用カテーテルを人新鮮血液に5分間浸漬しても表面に血栓は付着しなかった。
【0035】
(比較例1)
実施例1で用いた反応性化合物1のTHF溶液を単独で用いて、ポリウレタン(ペレセン2363)で被覆された造影用カテーテルに実施例1と同じ条件で塗布し、十分洗浄し、乾燥させた。得られた造影用カテーテルの表面について、実施例1と同様に抗トロンビン活性を測定したが、抗トロンビン活性を発現しなかった。
【0036】
(比較例2)
実施例1で用いた抗血栓性物質1の水溶液を単独で用いて、ポリウレタン(ペレセン2363)で被覆された造影用カテーテルに実施例1と同じ条件で塗布し、十分洗浄し、乾燥させた。得られた造影用カテーテルの表面について、実施例1と同様に抗トロンビン活性を測定したが、抗トロンビン活性を発現しなかった。また、得られた造影用カテーテルの表面をESCAを用いて観察したところ、AMPS由来の硫黄が検出されなかったことより、洗浄過程で抗血栓性物質1が溶出したことが確認された。
【0037】
(実施例2〜4)
実施例1と同様にして、ポリPPO−GMAを高分子重合開始剤として用い、非水溶性のモノマーとしてメトキシブチルアクリレート(以下、MBAと称す)、ブチルメタクリレート(以下、BMAと称す)、スチレン(以下、Stと称す)を用いて反応性化合物(以下、各々反応性化合物2〜4と称す)を得た(各々の組成比 GMA:MBA=1:8.0,GMA:BMA=1:7.5,GMA:St=1:7.0)。また、抗血栓性物質として、蒸留水中でペルオキソ2硫酸カリウムを重合開始剤として用い、ビニル硫酸ナトリウムとメタクリル酸ナトリウムから構成されるランダムコポリマー(以下、抗血栓性物質2と称す)を得た(組成比ビニル硫酸ナトリウム:メタクリル酸ナトリウム=6.2:1)。実施例1と同様にAPTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0038】
次に、変性ポリオレフィン(エチレン−メタクリル酸共重合体)で被覆したガイドワイヤーの表面を実施例1と同様にして、各々反応性化合物2〜4の1wt%THF溶液中に10秒間浸漬して風乾した後、さらに抗血栓性物質2の0.5wt%水溶液に20秒間浸漬して塗布処理を行った。続いて、60℃で40時間、反応性化合物2〜4と抗血栓性物質2を各々反応させた後、実施例1と同様に十分洗浄し、乾燥させた。得られたガイドワイヤーの表面をESCAを用いて観察したところ、ビニル硫酸ナトリウム由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質2の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質2が結合している外表面の面積が約0.2cm2となるように各々ガイドワイヤーを切断し、アンチトロンビンIIIの存在下で合成基質S−2222を用いて抗ファクターXa活性の測定を行ったところ、何れの試料も溶液状態と同様に抗ファクターXa活性を発現した。ここで、抗ファクターXa活性は、試料の表面積が1cm2の時、ファクターXa活性に起因する合成基質分解物の発色を、抗血栓性物質を被覆していない基材表面に対して吸収度で0.1以上抑えた時に、抗ファクターXa活性が発現したと定義する。
【0039】
(実施例5)反応性化合物としてアクリロイルオキシエチルイソシアネートとMEAから構成される反応性化合物5(組成比 アクリロイルオキシエチルイソシアネート:MEA=1:6.9)を、アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として用い、70℃、16時間、ベンゼンを溶媒として共重合させることにより合成した。また、抗血栓性物質として、スルホン化率72%の硫酸化ポリアリルアミン(以下、抗血栓性物質3と称す)を合成した。抗血栓性物質3は、ポリアリルアミンを溶解したメタノール溶液に、クロルスルホン酸を滴下することにより合成した。実施例1と同様に、APTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0040】
次に、軟質ポリ塩化ビニル製の人工心肺用血液回路の内面に、反応性化合物5の0.5wt%アセトン/THF(体積比3:1)溶液を流した後、抗血栓性物質3の0.5wt%イソプロピルアルコール(以下、IPAと称す)溶液を流した。続いて、50℃で16時間、反応性化合物5と抗血栓性物質3を反応させた後、実施例1と同様に十分洗浄し、乾燥させた。得られた血液回路の内表面をESCAを用いて観察したところ、硫酸化ポリアリルアミン由来の硫黄を検出した。また、血液回路の表面に結合した抗血栓性物質3の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質3が結合している内表面の面積が約0.2cm2となるように血液回路を切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。
【0041】
(実施例6)
反応性化合物1と抗血栓性物質3を各々0.5wt%溶解したIPA/THF(体積比3:1)溶液を調製し、この溶液にポリウレタン製IVHカテーテルの内外表面を20秒間浸漬して塗布処理を行った。続いて、60℃で40時間、反応性化合物1と抗血栓性物質3を反応させた後、実施例1と同様に十分洗浄し、乾燥させた。得られたIVHカテーテルの表面をESCAを用いて観察したところ、硫酸化ポリアリルアミン由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質3の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質3が結合している表面の面積が約0.5cm2となるようにIVHカテーテルを切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。
【0042】
(実施例7)
反応性化合物1と抗血栓性物質3を各々0.5wt%溶解したIPA/THF(体積比3:1)溶液を調製し、この溶液にポリスルホン中空糸製人工腎臓用モジュールの中空糸の表面を20秒間浸漬して塗布処理を行った。続いて、60℃で40時間、反応性化合物1と抗血栓性物質3を反応させた後、実施例1と同様に十分洗浄し、乾燥させた。得られたポリスルホン中空糸の表面をESCAを用いて観察したところ、硫酸化ポリアリルアミン由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質3の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質3が結合している表面の面積が約0.5cm2となるようにポリスルホン中空糸を切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。
【0043】
(実施例8)抗血栓性物質として、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホプロピルアクリレート、アリル硫酸をスルホン酸基を分子内に有するモノマーとして用い、さらにカルボキシル基を分子内に有する重合開始剤としてV501を用い、DMSO中、80℃、9時間で重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別して減圧乾燥し、スルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子末端に有し、かつスルホン酸基を分子内に有するホモポリマー(以下、各々抗血栓性物質4〜7と称す)を得た。
【0044】
また、同様にビニルアミンおよびアリルアミンをスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有するモノマーとして用い、さらにカルボキシル基を分子内に有する重合開始剤としてV501を用い、DMSO中、80℃、18時間で重合させた。得られたポリビニルアミンおよびポリアリルアミンを実施例5と同様にスルホン化し、硫酸化ポリビニルアミンおよび硫酸化ポリアリルアミン(以下、抗血栓性物質8および9と称す)を得た。
【0045】
これらの抗血栓性物質4〜9と実施例1で用いた反応性化合物1を実施例1と同様の方法で造影用カテーテルの表面に被覆した。得られた被覆表面の抗ファクターXa活性をテストチームヘパリンS[第一化学薬品(株)製]を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003818684
【0047】
(実施例9)アクリル酸4gとアリル硫酸20gをジメチルホルムアミド(以下、DMFと称す)100ml中で、過硫酸カリウムを重合開始剤として用い、70℃、48時間撹拌しながら共重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別した後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液中に再び溶解させて中和し、さらに透析、脱塩、凍結乾燥を行い、スルホン酸基以外のプロトン供与性基とスルホン酸基とを分子内に有する抗血栓性物質10を得た(組成比 アクリル酸:アリル硫酸=1:6)。抗血栓性物質10の抗凝血活性は、実施例1と同様にAPTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0048】
次に、ポリウレタン(ペレセン2363)で被覆された造影用カテーテルを、反応性化合物として4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの1wt%メチルエチルケトン(以下、MEKと称す)溶液中に1分間浸漬し、60℃、30分間乾燥後、抗血栓性物質10の1wt%IPA/水(体積比1/1)溶液中に10秒間浸漬し、60℃、14時間反応させた。得られた造影用カテーテルの表面をESCAを用いて観察したところ、アリル硫酸ナトリウム由来の硫黄を検出した。基材表面に結合した抗血栓性物質10の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質10が結合している外表面の面積が約1cm2となるように造影用カテーテルを切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。また、造影用カテーテルを人新鮮血液に5分間浸漬しても表面に血栓は付着しなかった。
【0049】
(比較例3)
抗血栓性物質10を被覆していない造影用カテーテルを実施例9と同様にして評価したところ、抗トロンビン活性は確認できなかった。また、この造影用カテーテルを人新鮮血液に5分間浸漬した時点で表面に血栓が付着していた。
【0050】
(実施例10)
アクリル酸4gとビニル硫酸20gをDMF100ml中で、過硫酸カリウムを重合開始剤として用い、70℃、48時間撹拌しながら共重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別して減圧乾燥することにより抗血栓性物質11を得た(組成比 アクリル酸:ビニル硫酸=1:5)。抗血栓性物質11の抗凝血活性は,実施例1と同様にAPTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0051】
次に、変性ポリオレフィン(エチレン−メタクリル酸共重合体)で被覆されたガイドワイヤーを、反応性化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートの1wt%THF溶液中に20秒間浸漬して風乾した後、さらに抗血栓性物質11の1wt%DMF溶液中に20秒間浸漬して被覆処理を行った。続いて、60℃で40時間反応させた後、実施例1と同様に十分洗浄し、乾燥させた。得られたガイドワイヤーの表面をESCAを用いて観察したところ、ビニル硫酸ナトリウム由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質11の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質11が結合している外表面の面積が約0.2cm2となるようにガイドワイヤーを切断し、アンチトロンビンIIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗ファクターXa活性を測定したところ、溶液状態と同様に抗ファクターXa活性を発現した。また、ガイドワイヤーを人新鮮血液に5分間浸漬しても表面に血栓は付着しなかった。
【0052】
(実施例11)
蒸留水中でペルオキソ2硫酸カリウムを重合開始剤として用い、ビニル硫酸ナトリウムとメタクリル酸ナトリウムから構成される抗血栓性物質12を得た(組成比 ビニル硫酸ナトリウム:メタクリル酸ナトリウム=6.2:1)。抗血栓性物質12の抗凝血活性は、実施例1と同様にAPTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0053】
次に、軟質ポリ塩化ビニル製の1/4インチの人工心肺用血液回路の内面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量28wt%)を0.2wt%、エチレングリコールジグリシジルエーテルを1wt%、ピリジンを0.02wt%溶解したIPA/水(体積比1/1)溶液を流した後、抗血栓性物質12の1wt%水溶液を流した。続いて、60℃で40時間反応させた後、実施例1と同様に十分洗浄し、乾燥させた。得られた血液回路の表面をESCAを用いて観察したところ、ビニル硫酸ナトリウム由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質12の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質12が結合している外表面の面積が約0.5cm2となるように血液回路を切断し、アンチトロンビンIIIの存在下で合成基質S−2238を用いて抗ファクターXa活性を測定したところ、溶液状態と同様に抗ファクターXa活性を発現した。さらに、この血液回路を用いて外径60cmのサンプルループを作製し、回路内に人新鮮血液を入れ20分間、8rpmで回転させた後も、表面に血栓は付着していなかった。
【0054】
(比較例4)
抗血栓性物質12を被覆していない血液回路を実施例11と同様にして評価したところ、抗トロンビン活性は確認できなかった。また、回路内に人新鮮血液を入れ20分間、8rpmで回転させた後、表面に血栓が付着していた。
【0055】
(実施例12)ポリウレタン(ペレセン2363)製の1/4インチの血液回路を、反応性化合物として4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートの1wt%MEK溶液中に1分間浸漬し、60℃、30分間乾燥後、抗血栓性物質としてスルホン化率68%の硫酸化ポリアリルアミン(以下、抗血栓性物質13と称す)の1wt%IPA/水(体積比1/1)溶液中に20秒間浸漬し、60℃、14時間反応させた後、1Mの塩化ナトリウムを含む0.02Nの水酸化ナトリウム水溶液と蒸留水で十分洗浄し、乾燥させた。抗血栓性物質13の抗凝血活性は、実施例1と同様にAPTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0056】
次に、得られた血液回路の表面をESCAを用いて観察したところ、硫酸化ポリアリルアミン由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質13の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質13が結合している内表面の面積が約0.2cm2となるように血液回路を切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2228を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。
【0057】
(実施例13)実施例12と同様にして、抗血栓性物質として硫酸化ポリアリルアミンの代わりにスルホン化率56%の硫酸化ポリエチレンイミン(以下、抗血栓性物質14と称す)を用いて血液回路に被覆した。この抗血栓性物質14の抗凝血活性は、実施例1と同様にAPTTを測定したところ、APTTが5倍以上(150秒以上)に延長され、抗凝血活性を発現することを確認した。
【0058】
次に、得られた血液回路の表面をESCAを用いて観察したところ、硫酸化ポリエチレンイミン由来の硫黄を検出した。また、基材表面に結合した抗血栓性物質14の抗凝血活性を確認するため、抗血栓性物質14が結合している内表面の面積が約0.2cm2となるように血液回路を切断し、ヘパリンコファクターIIの存在下で合成基質S−2228を用いて抗トロンビン活性の測定を行ったところ、溶液状態と同様に抗トロンビン活性を発現した。また、この血液回路を用いて外径60cmのサンプルループを作製し、回路内に人新鮮血液を入れ20分間、8rpmで回転させた後も、表面に血栓は付着していなかった。
【0059】
(比較例5)
抗血栓性物質14を被覆していない血液回路を実施例13と同様にして評価したところ、抗トロンビン活性は確認できなかった。また、回路内に人新鮮血液を入れ20分間、8rpmで回転させた後、表面に血栓が付着していた。
【0060】
(実施例14)抗血栓性物質として、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホプロピルアクリレートをスルホン酸基を分子内に有するモノマーとして用い、さらにカルボキシル基を分子内に有する重合開始剤としてV501を用い、DMSO中、80℃、8時間で重合させた。得られた生成物をイソプロピルエーテル中に滴下して沈殿させ、濾別して減圧乾燥し、スルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子末端に有し、かつスルホン酸基を分子内に有するホモポリマー(以下、各々抗血栓性物質15〜18と称す)を得た。
【0061】
次に、これらの抗血栓性物質15〜18と実施例10で用いられたヘキサメチレンジイソシアネートを実施例10と同様の方法でガイドワイヤーの表面に被覆した。得られた被覆表面の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0003818684
【0063】
(実施例15)
実施例1で用いられた抗血栓性物質1をPBSに溶解し、80℃、60分間保持前後の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。次に、実施例1で作製した反応性化合物1と抗血栓性物質1の被覆表面の80℃、60分間保持前後の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。その結果を表3及び4に示す。
【0064】
【表3】
Figure 0003818684
【0065】
【表4】
Figure 0003818684
【0066】
(比較例6)
実施例15で用いられた抗血栓性物質1の代わりヘパリンを用いた時の80℃、60分間保持前後の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。その結果を表3及び4に示す。
【0067】
(実施例16)
実施例10で用いられた抗血栓性物質11をPBSに溶解し、80℃、60分間保持前後の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。次に、実施例10で作製したヘキサメチレンジイソシアネートと抗血栓性物質11の被覆表面の80℃、60分間保持前後の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。その結果を表5及び6に示す。
【0068】
【表5】
Figure 0003818684
【0069】
【表6】
Figure 0003818684
【0070】
(比較例7)
実施例16で用いられた抗血栓性物質11の代わりにヘパリンを用いた時の80℃、60分間保持前後の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定した。その結果を表5及び6に示す。
【0071】
(実施例17)
水系にてアゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として用い、懸濁重合を行い、ポリアクリロニトリルを合成した。得られたポリマーを厚さ100μmのフィルム状とした。得られたフィルム状ポリアクリロニトリルに反応性化合物1を実施例1と同様の方法で被覆した。得られたフィルム状ポリアクリロニトリルのエポキシ基の導入量は、滴定から5.00×10-4eq/gであった。次に、得られたエポキシ基導入フィルムに抗血栓性物質1を実施例1と同様の方法で被覆した。得られたフィルム表面の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定したところ、2.9×10-2U/cm2であった。
【0072】
(実施例18)
実施例17と同様にして、フィルム状ポリアクリロニトリルを作製し、得られたフィルム状ポリアクリロニトリルにエチレングリコールジグリシジルエーテルの0.5wt%IPA/THF(体積比1/4)溶液中に20秒間浸漬して被覆した。得られたフィルム状ポリアクリロニトリルのエポキシ基の導入量は、滴定から5.00×10-4eq/gであった。次に、得られたエポキシ基導入フィルムに抗血栓性物質11を実施例10と同様の方法で被覆した。得られたフィルム表面の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定したところ、2.8×10-2U/cm2であった。
【0073】
(比較例8)
実施例17と同様にして、フィルム状ポリアクリロニトリルを作製し、このフィルム状ポリアクリロニトリル1gに硝酸第二セリウムアンモニウム0.5gを重合開始剤として水系にてアクリルアミド7g、GMA0.3mlの存在下、200℃、1時間でグラフト重合した。得られたフィルム状ポリアクリロニトリルをアセトンで洗浄して生成したホモポリマーを除去した。得られたフィルム状ポリアクリロニトリルのエポキシ基の導入量は滴定から5.58×10-4eq/gであった。次に、得られたエポキシ基導入フィルムに抗血栓性物質1を実施例1と同様の方法で被覆した。得られたフィルム表面の抗ファクターXa活性を実施例8と同様に測定したところ、0.8×10-2U/cm2であった。
【0074】
(実施例19)
実施例1で用いられた抗血栓性物質1及び反応性化合物1を用いて、ポリ塩化ビニル製チューブに実施例1と同様の条件で被覆した。このチューブを用いて回路長50cmのサンプルループを作製した。このサンプルループの中に採血後直ちに人全血10mlを充填し、8rpmで回転させ、血液の流動性が無くなるまでの時間を計測したところ、6時間経過後も血液の流動性は維持された。
【0075】
(実施例20)
実施例10で用いられた抗血栓性物質11を用いて、ポリ塩化ビニル製チューブに実施例10と同様の条件で被覆した。このチューブを用いて回路長50cmのサンプルループを作製した。このサンプルループについて、実施例19と同様に血液の流動性維持の評価を行ったところ、6時間経過後も血液の流動性は維持された。
【0076】
(比較例9)
実施例19で用いたポリ塩化ビニル製チューブをトリメチロールプロパンジフェニルメタンジイソシアネートの0.2wt%MEK溶液に10分間浸漬し、60℃、2分間で乾燥させた。続いて、このポリ塩化ビニル製チューブを電子線重合により合成したポリ(ビニルピロリドン−アクリルアミド)コポリマー(分子量20万)の3wt%酢酸エチル溶液に10分間浸漬し、60℃、3時間で反応させた。次に、実施例19と同様に回路長50cmのサンプルループを作製した。このサンプルループについて、実施例19と同様に血液の流動性維持の評価を行ったところ、2時間後に血液の流動性が無くなった。
【0077】

【発明の効果】
本発明の医療用基材は、基材表面にスルホン酸基以外のプロトン供与性基及びスルホン酸基を分子内に有する抗血栓性物質が、プロトン供与性基に対して反応可能な反応性官能基を分子内に複数個有する反応性化合物を介して不溶化された状態で固定されているため、抗血栓性物質及び反応性化合物の脱離や溶出も観察されず、抗凝血活性及び耐滅菌性に優れ、さらに高い安全性と耐久性を有することとなる。また、本発明の医療用基材の製造方法においては、抗血栓性物質及び反応性化合物が種々の有機溶媒に溶解する特徴を利用して基材表面に塗布するのみか、塗布後加熱処理することにより、抗血栓性に優れた基材表面を、簡便かつ安定して提供できる。

Claims (5)

  1. 基材表面が、エポキシ基またはイソシアネート基を分子内に有するモノマーとアルコキシアルキルアクリレートモノマーの共重合体からなる反応性化合物を介して、スルホン酸基およびスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に各々複数個有する化合物からなる非生体由来の抗血栓性物質で被覆されており、前記反応性化合物と前記抗血栓性物質が化学結合していることを特徴とする抗血栓性医療用基材。
  2. 前記エポキシ基を分子内に有するモノマーがグリシジルメタクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の抗血栓性医療用基材。
  3. 前記アルコキシアルキルアクリレートがメトキシエチルアクリレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗血栓性医療用基材。
  4. 前記抗血栓性物質が、スルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に有するモノマーとビニル硫酸、アリル硫酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホプロピルアクリレートよりなる群から選ばれたスルホン酸基を分子内に有するモノマーより構成される共重合体であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の抗血栓性医療用基材。
  5. エポキシ基またはイソシアネート基を分子内に有するモノマーとアルコキシアルキルアクリレートモノマーの共重合体からなる反応性化合物とスルホン酸基およびスルホン酸基以外のプロトン供与性基を分子内に各々複数個有する化合物からなる非生体由来の抗血栓性物質とを有する溶液を基材表面に塗布した後、該反応性化合物と該抗血栓性物質を反応させ化学結合させることを特徴とする抗血栓性医療用基材の製造方法。
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