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JP3809941B2 - 電界吸収型光変調器 - Google Patents

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JP3809941B2 JP2001307082A JP2001307082A JP3809941B2 JP 3809941 B2 JP3809941 B2 JP 3809941B2 JP 2001307082 A JP2001307082 A JP 2001307082A JP 2001307082 A JP2001307082 A JP 2001307082A JP 3809941 B2 JP3809941 B2 JP 3809941B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界印加による吸収係数変化により光を制御する電界吸収型光変調器に関するものである。特に、埋込層の容量を低減して高速動作を可能とする電界吸収型光変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信における変調速度の向上と中継間隔の長距離化に伴い、半導体レーザの高速直接変調時に生じる発振波長変動(チャーピング)が伝送上重要な問題となり始めているため、チャーピングの少ない光変調器が注目されている。
更に、基幹伝送系以外でも、光情報処理や光交換などへの応用が模索されて始めており、高速、低消費電力な光変調器に対する関心が高まっている。
光変調器には、LiNbO3などの誘電体を用いたものと半導体を用いたものがあり、それぞれの特性を生かした応用に向けて活発に研究されている。
【0003】
なかでも、バルク半導体や多重量子井戸(MQW)の吸収係数を電界の印加により制御する電界吸収型光変調器(EA変調器という)は、高速性、波長帯域幅、低消費電力、高消光比などの観点から優れたデバイスとして注目されている。
電界吸収型光変調器はp型半導体とn型半導体との間に、両者よりもバンドギャッブが小さく不純物を添加していない半導体からなる光吸収層(i層)をはさんだp−i−n構造をしている。
【0004】
そして、この構造に逆バイアスを印加することによりi層に電界を印加する。
i層にはバルク半導体や多重量子井戸(MQW)が用いられる。
この様な構成の電界吸収型光変調器の動作原理は以下のようなものである。
即ち、半導体の吸収スペクトルはバンドギャップに相当する光の波長を境にそれから短波長側で急激に増大する。
この吸収スペクトルが急激に立ち上がる領域を一般に(基礎)吸収端と呼んでいる。
【0005】
半導体に電界を印加することによって吸収端の位置がシフトすることが知られている。
この現象は、バルク半導体ではフランツーケルディッシュ(Franz-Keldysh)効果、多重量子井戸では量子閉じ込めシュタルク効果(The Quantum-Confined Stark Effect;略してQCSE)と呼ばれている。
電界印加によってi層の半導体の吸収端がシフトする結果、吸収端近傍のある固定した波長での吸収係数は電界印加によって大きく変化することになる。
これが電界吸収型光変調器によって、光を制御する原理である。
【0006】
従来の電界吸収型光変調器の断面構造を図8に示す(K. Wakita, et al, Japanese Journal of Applicd Physics, Vol.37, Part1, No.3B, pp.1432-1435,1998年刊)。
これは、p−i−n構造をメサストライプ状に加工し、その両側をFeをドープした半絶縁InPで埋め込んだ構造である。
FeドープInPはp−n埋込に比べ、p−n接合に起因する容量が低減でき、高速変調が可能である。
【0007】
また、埋込層中の正孔(p型キャリア)による光吸収が無くなるので光損失が低減できる。
更に、メサの両側を半導体で埋め込まれているため、光のフィールドが円形になりファイバとの結合効率が向上する。
実際、埋込のないリッジ型ではファイバとの結合による損失は8dBであるのに対して、FeドープInP埋込の場合には損失が5dBまで低減された。
しかしながら、素子容量を低減するために導入したFeドープInPによる埋込であるが、期待に反して容量がそれほど低下しないことが分かった。
それに加え、消光比が劣化することも分かった。
【0008】
本発明者らの検討の結果、次のような原因が明らかとなった。
(1)FeドープInP埋込の際のFe−Zn相互拡散により、Fe原子とZn原子は格子位置を離れ、格子間を動き始める。
(2)格子間を移動するZn原子は周囲の埋込層と光吸収層(i層)に拡散する。
(3)埋込層に拡散したZnは埋込層をp型化する。そのため、素子容量が増加する。
(4)光吸収層(i層)に拡散したZnは光吸収層をp型化するので、電界が印可される光吸収層の厚さが減少し、消光比が劣化する。
(5)更に、光吸収層がMQWで構成されている場合には、拡散したZnが励起子の寿命を短くするため、QCSE効果が阻害され、消光比が劣化する。
【0009】
上記の各項目について若干説明する。
上記(1)と(2)は一般に知られているFeとZnの相互拡散である(E. W. A. Young and G. M. Fontijn, Applied Physics Letter,Vol.56, No.2, pp.146-147,1990年刊)。
FeとZnの相互拡散を図9に基づいて説明する。
半絶縁InP層9のドーパントであるFeはp型InPクラッド層6のドーパントであるZnと相互拡散を起こす(図中の実線矢印)。
相互拡散が起こるとp型InP層9中にZn拡散が容易になり、p型クラッド層6に接する半導体層中にZnが拡散することになる(図中の点線矢印)。図中のハッチング部分がZnの拡散した領域である。
【0010】
上記(3)について、ステンエッチを行った素子断面の観察から、Zn拡散領域が広いほど素子容量が増加していることが判った。
また、上記(4)と(5)に関しては、光吸収層にZnが拡散しない様な構造にした場合は、FeドープInPで埋め込んでも消光比が劣化しないことを確かめた。
即ち、素子特性を改善するためにFe−Zn相互拡散を防止する必要がある。
電界吸収型光変調器の帯域幅は素子容量Cで制限される。
負荷抵抗をRとすると、3dB帯域幅Δfは次式で表される。
Δf=1/πRC
【0011】
ここで負荷抵抗Rはインピーダンス整合のため50Ωと決まるから、結局、帯域幅を大きくするためには素子容量を低減する必要がある。
素子容量Cは、概ね光吸収層の容量Caと埋込層の容量Cbの和で表される。
光吸収層の容量Caは光吸収層の構造により決まってしまうから、Zn拡散により増加した埋込層の容量Cbを減らすことが、素子の帯域幅を広げることにつながる。
【0012】
近年、InPにルテニウム(元素記号:Ru)をドーピングすることによって半絶縁層を形成できること、そのInP半絶縁層のRuとp型InP中のZnは相互拡散をほとんど起こさないことが報告されている(A.Dadger et al, Applied Physics Letters, Vol.73, No.26 pp.3878-3880,(1998):以下、引用文献1と略称する)。
また、このRuドープInPを半導体レーザの埋込層に適用した例も報告されている(A.van Geelen et. al, Conference Proceedings of the llth lnternational Conference on Indium Phosphide and Related materials TuB1-2(1999):以下、引用文献2と略称する)。
【0013】
前記引用文献2では、高出力レーザを得るためにRuドープInPを半導体レーザの埋込層に用いたことを開示している。
しかしながら、従来のFeドープInPを埋込層とした場合に比べ素子特性が必ずしも改善されていない。
そのことは、同文献のFigure5においてRuドープInPを用いた場合にはFeドープInPの場合に比べ出力が低いこと、また同文献Table 1においてRuドープInPを用いた場合にはFeドープInPの場合に比べ闘値(Ith)が高く、効率(Effth)が低く、700mAの出力(P700mA)が低いことに如実に示されている。
【0014】
即ち、半導体レーザの埋込層としてRuドープInPを用いても、FeドープInPに比べZnとの相互拡散が小さいという性質は、何ら意味のある効果を示さない。
引用文献2によれば、そもそも半導体レーザの埋込層としてRuドープInPを用いた目的は、埋込層の抵抗が下がることを防止し、pクラッド層の抵抗が増加することを防止することである。
つまり、Fe−Zn相互拡散によりpクラッド層から埋込層へZnが拡散することにより、相対的にpクラッド層の抵抗が高くなり埋込層の抵抗が下がるため、素子抵抗が高くなりリーク電流が増える。
その結果、高出力が得られなくなるというものである。
【0015】
半導体レーザは活性層に形成されたp−n接合に順バイアスを印加することにより活性層に電流を注入し、活性層において発光を得るものである。
そのため、pクラッド層の抵抗は出来る限り低く、埋込層の抵抗は出来る限り高くすることにより、活性層に電流を効率よく注入することが必要である。
しかしながら、相互拡散の起こらないRuドープInPを用いても特性の改善が見られないことは先に述べた通りである。
即ち、半導体レーザの場合、pクラッド層周辺の半導体層へのZn拡散による素子特性への影響は少ないことを意味している。
言い換えれば、FeドープInP半絶縁層を用いた埋込構造レーザにおいて十分良好な特性を実現できているといえる。
一方、電界吸収型光変調器の場合は、Zn拡散により変調特性が大きく劣化してしまうことは上に述べた通りである。
この点については実施例において更に具体的に説明する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、埋込層へのZn拡散をなくすことにより埋込層の容量を低減して高速動作を可能とする電界吸収型光変調器を提供することにある。
埋込層へのZn拡散により素子容量が増加することは、本発明者らが初めて明らかにしたことであり、これまで公開された技術文献には記載されていない。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の電界吸収型光変調器は、第1導電型基板上に配された、少なくとも第1導電型クラッド層と、多重量子井戸からなる光吸収層と、第2導電型クラッド層とからなる積層構造がメサストライプ状に加工されており、該積層構造の両側を半絶縁半導体層で埋め込んだ構造を有する電界吸収型光変調器において、前記半絶縁半導体層のドーパントがルテニウムであることを特徴とする。また、本発明の電界吸収型光変調器は、前記第1導電型基板上に、前記光吸収層と光結合した活性層を持つ半導体レーザを集積したことを特徴とする。
【0018】
即ち、本発明の光半導体素子は電界吸収型光変調器とRuドープInP埋込層を組み合わせた点に主たる特徴がある。
FeドープInP埋込層に代えてRuドープInP埋込層を用いた点が従来と異なる。
従来、RuドープInPを埋込層にもつ半導体レーザは報告されていたが、RuドープInPを埋込層にもつ電界吸収型光変調器はこれまでなかった。
本発明は、半導体レーザの埋込層に用いられているRuドープInPを、電界吸収型光変調器の埋込層として単に用いただけではない。
電界吸収型光変調器とRuドープInP埋込層を組み合わせたことにより、著しい作用効果が現れる点に進歩性を有する。
【0019】
〔作用と効果〕
本発明の光半導体変調器においては、メサの両側をRuを添加した半導体層で埋め込んでいるため、埋込層へのZn拡散が起こらない。
そのために次のような著しい効果を奏する。
第1に、素子容量が従来の約半分に低減する。
第2に、光吸収層として多重量子井戸(MQW)を用いた場合には、埋め込んだ後もQCSE効果が持続する。
これらの効果は、本発明のごとく電界吸収型光変調器とRuドープInPによる埋込を組み合わせたから得られた効果に他ならない。
これは、本発明者らの検討により初めて明らかにされたことであって、従来技術から容易に類推されたものではない。
【0020】
半絶縁性ドーパントのRuが、Znとの相互拡散が小さいことは引用文献1で示されていた。
しかし、その性質を素子に応用することはなかった。
また、引用文献2には、半導体レーザの埋込層としてRuドープInPを用いたことが記載されているが、Znとの相互拡散が小さいという効果は何も現れていなかった。
つまり、半導体レーザの場合はpクラッド層周辺の半導体層へのZn拡散による素子特性への影響は少ない。
そのため、その後RuドープInPを埋込層に用いる検討はなされていない。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕
本発明の第1の実施例に係る電界吸収型光変調器の構造を図1に示す。
本実施例は、MQWを光吸収層にした電界吸収型光変調器の断面斜視図である。
即ち、面方位(100)のn型InP基板1上に、層厚0.2μmのSeドープn型InPクラッド層2、層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドープInGaAsPガイド層3、層厚0.15μmの吸収端波長1.50μmのノンドープInGaAlAs/InAlAs歪MQW(多重量子井戸)光吸収層4、層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドープInGaAsPガイド層5、層厚1.5μmのZnドープp型InPクラッド層6、層厚0.3μmのZnドープInGaAsコンタクト層7の順に積層されている。
ここで、光吸収層4以外の化合物半導体層は特に断らない限り、InP基板1に格子整合する組成である。
【0022】
この積層されたものは、幅2μmで高さ3μm程度のメサストライプに加工され、更に、メサストライプの両側を、Ruを添加したInP層9で埋め込まれている。
メサの直上以外の表面にSiO2保護膜10が配され、メサ上にはp型電極11が、基板裏面にはn型電極12が形成されている。
メサストライプの両側がFeドープInP層ではなくRuドープInP層9で埋め込まれている点が、従来例と異なる。
ここで、埋込層はRuドープInPに限られるわけではなく、RuをドープしたInGaAlAs、InAlAs、InGaAsPなどの基板に格子整合する組成を持つ化合物半導体混晶でも同様の効果を奏する。
【0023】
次に具体的な効果について説明する。
本発明の効果を確認するために、埋込構造を変えたものと本発明の構造を比較する。
一つはメサストライプをポリイミドだけで埋め込んだもの(比較例1)、二つ目はメサストライプをFeドープInP層だけで埋め込んだもの(比較例2)である。
最初に、電界吸収型光変調器の素子容量を比較した。
その結果を図2に示す。
【0024】
本発明と2つの比較例におけるメサストライプの幅と高さ及び素子長が同じもの同士を比較した。
印加電圧が0Vの場合、比較例1の素子容量は0.5pFであり、比較例2の場合は1.0pFであった。
比較例2において素子容量が増加した原因は、メサストライプを構成するp型InPクラッド及びp型InGaAsコンタクト層がFeドープInP層と接触しているため、ZnとFeの相互拡散によりZnがFeドープInP層に拡散したためである。
つまり、Znが拡散することによってFeドープInP層がp型に変化し、素子容量が増加した。
【0025】
しかし、比較例1の場合にはZn拡散が起こらないので素子容量は低いままである。
一方、本発明の電界吸収型光変調器の素子容量は0.6pFである。
この値は、比較例1とほぼ同じであり、比較例2の約半分である。
光吸収層の容量はどの場合も同じであるから、素子容量が低下した原因は埋込層の容量が低下したためと考えられる。
印加電圧を増加しても、本発明の素子容量は比較例2に比べ低いことは、図2から明らかである。
従って、本発明の場合は、埋込層へのZnの拡散は起こっていないことが分かる。
つまり、メサストライプの両側をRuドープInP層で埋め込んだため、埋込層へのZnの拡散が防止されたからである。
実際、本発明の素子断面をステンエッチし、走査型電子顕微鏡で観察したところ、埋込層へのZn拡散が起こっていないことが確かめられた。
【0026】
更に、3dB帯域幅を比較した。この結果を図3に示す。
FeドープInPで埋め込んだ比較例2の場合は8GHzであったが、RuドープInPで埋め込んだ本発明の場合は18GHzに向上していた。
これは、素子容量が低減した結果である。
本発明と比較例の電界吸収型光変調器のフォトカレントスペクトルを図4に示す。素子に印加した電圧をパラメータに取った。
入射光はTMモードである。
図4(a),(b),(c)はそれぞれ、比較例1、比較例2及び本発明の場合である。
【0027】
図4(c)の比較例1の場合には、明瞭な励起子吸収が見られる。
そして、印加電圧の増加に伴い吸収端が長波長側にシフトしている。
これは、ほぼ理想的な量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)である。
図4(b)の比較例2の場合には、明瞭な励起子吸収が見られず、印加電圧の増加に伴う吸収端のシフトも見られない。
ただ、長波長側の吸収が相対的に増加しているだけである。これは、埋込層がFeドープInP層であるために、Fe−Zn相互拡散の影響によりZnが光吸収層へ拡散したために、素子特性が劣化したことを示している。
【0028】
つまり、p型InPクラッド層に拡散したFeがZnを格子間位置に叩き出し、その格子間位置のZnが光吸収層に拡散して素子特性を劣化させたものである。
図4(c)に示す本発明の場合には、励起子吸収は明瞭でないものの、印加電圧の増加に伴う吸収端のシフトが明瞭に示されている。
この様に、比較例2の場合と異なり素子劣化が生じなかった原因は、メサストライプの両側をFeドープInP層ではなくRuドープInP層で埋め込んだために、Znとの相互拡散が起こらず、光吸収層のへのZn拡散が防止されたからである。
【0029】
次に、本発明による電界吸収型光変調器における印加電圧と透過光強度との関係を図5に示す。
入射光がTEモードとTMモードの場合の両方を示した。入射光の波長は1.55μmである。
印加電圧がゼロの場合には、透過光強度はTEモードとTMモードに対して各々6.6dBと7.3dBである。
印加電界の増加に伴い2つのモードに対する透過光強度は同じように減少し、モードによる透過光強度の差は1dB以内である。
本実施例に係る電界吸収型光変調器の製造方法について、図6を参照して説明する。
【0030】
先ず、図6(a )に示すように、面方位(100)のn型InP基板1上に、層厚02μmのSeドープn型InPクラッド層2、層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドープInGaAsPガイド層3、層厚0.15μmの吸収端波長1.50μmのノンドーブInGaAlAs/InAlAs歪MQW(多重量子井戸)活性層4、層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドーブInGaAsPガイド層5、層厚1.5μmのZnドープp型InPクラッド層6、層厚0.3μmのZnドープInGaAsコンタクト層7の順に積層した。
ここで、活性層以外の化合物半導体は特に断らない限り、InP基板に格子整合する組成である。
次に図6(b)に示すように、SiO28をマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)により、幅2μmで高さ3μm程度のメサストライプを形成した。
【0031】
引き続き、図6(c)に示すように、メサストライプを形成した基板上に、MOVPE法により、Ruを添加したInP層9を成長させた。
Ruを添加したInP層9の成長ではRuの原料としてビスジメチルペンタディェニルルテニウムbis(η5-2,4-dimethylpentadienyl )ruthenium (II)を用いた。
成長温度は580℃から640℃の間であり、典型的には600℃である。層厚は成長時間で制御した。
Feを添加したInP層の成長には、Feの原料として公知のフェロセン(Cp2Fe)を用いて行った。
成長温度はRuドープInPの成長温度と同じ温度である。
【0032】
この後、図1に示すように、SiO2マスクを除去し、メサの直上以外の表面にSiO2保護膜10を形成した後、p型電極11を形成し、更に基板側にn型電極12を形成した。
以上示したように、光半導体変調器の埋込み構造にRuドープ半絶縁層を用いることにより、p型クラッド層からのZn拡散を抑制し、良好な変調特性を実現することができる。
【0033】
〔実施例2〕
本発明の第2の実施例に係る集積化光源を図7に示す。
本実施例は、電界吸収型光変調器と分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)をモノリシック集積した集積化光源(EA−DFB)である。
即ち、この集積化光源は、電界吸収型光変調器部と分布帰還型半導体レーザ部及び両者の間の溝部からなる。
素子は共通の基板である面方位(100)のn型InP基板1上に形成されている。
【0034】
電界吸収型光変調器部の構成は、前記のn型InP基板1上に、層厚0.2μmのSeドープn型InPクラッド層2、層厚40nmの発光波長1.2μmのノンドーブInGaAsPガイド層103、層厚0.15μmの吸収端波長1.50μmのノンドープInGaAsP/InGaAsP歪MQW(多重量子井戸)光吸収層104、層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドープInGaAsPガイド層105、層厚15μmのZnドープp型InPクラッド層106、層厚0.3μmのZnドープInGaAsコンタクト層107の順に積層されている。
ここで、光吸収層104以外の化合物半導体層は特に断らない限り、InP基板1に格子整合する組成である。
それらが幅2μmで高さ1μm程度のメサストライプに形成され、その両側面をRuを添加したInP層9で埋め込まれている。
メサの直上以外の表面にSiO2保護膜10を形成した後、p型電極111を形成し、更に基板側に共通のn型電極12を形成した。
【0035】
分布帰還型半導体レーザ部の構成は、前記のn型InP基板1上に、層厚0.2μmのSeドープn型InPクラッド層2、層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドープInGaAsPガイド層203、層厚0.15μmの発光波長1.55μmのノンドープInGaAsP/InGaAsP歪MQW(多重量子井戸)活性層204、上面に回折格子が形成されている層厚40nmの発光波長1.3μmのノンドープInGaAsPガイド層205、層厚15μmのZnドープp型InPクラッド層6、層厚0.3μmのZnドープInGaAsコンタクト層7の順に積層されている。
【0036】
ここで、活性層204以外の化合物半導体層は特に断らない限り、InP基板1に格子整合する組成である。
それらが幅2μmで高さ3μm程度のメサストライプに形成され、その両側面をRuを添加したInP層9で埋め込まれている。
メサの直上以外の表面にSiO2保護膜10を形成した後、p型電極211を形成し、更に基板側に共通のn型電極12を形成した。
溝部においては、光吸収層104と活性層204はバットジョイントで結合している。
また、電気的な絶縁を行うために、InGaAsコンタクト層7は除去されている。
【0037】
メサストライプ構造、埋め込み層のRuを添加したInP層9は、電界吸収型光変調器部、分布帰還型半導体レーザ部及び溝部に共通のものである。
この素子の断面構造を観察したところ、p型InPクラッド層106のドーパントであるZnの拡散は観測されることなく、また、作製したレーザ及び変調器それぞれについても良好な特性を確認することができた。
つまり、Feドープ半絶縁層を埋込み層に用いた場合と異なり、良好な半導体レーザ・光半導体変調器集積化光源としての特性を観測することができた。
以上示したように、電界吸収型光変調器の埋込み構造にRuドープ半絶縁層を用いることにより、p型クラッド層からのZn拡散を抑制し、良好な変調特性を実現することができる。
【0038】
このように説明したように本発明は、埋め込み型電界吸収光変調器において、埋め込み層のドーパントをルテニウムとしていることに特徴があり、これにより素子容量を低減することができる。
尚、上述した実施例では、p形不純物としてZnを取り上げているが、これと同じ導電形を持つ他の添加物を用いても本発明は同様な効果を実現できる。
【0039】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて詳細に説明したように、本発明の電界吸収型光変調器においては、メサの両側をRuを添加した半導体層で埋め込んでいるため、埋込層へのZn拡散が起こらない。そのために次のような著しい効果を奏する。第1に、素子容量が低減する。第2に、光吸収層として多重量子井戸(MQW)を用いた場合には、埋め込んだ後もQCSE効果が持続する。従って、埋込層へのZn拡散をなくすことにより埋込層の容量を低減して高速動作を可能とする電界吸収型光変調器を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構造図である。
【図2】素子容量を比較して示すグラフである。
【図3】3dB帯域幅を比較して示すグラフである。
【図4】フォトカレントスペクトルを示すグラフである。
【図5】印加電圧と透過光強度の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施例の製造工程を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例の構造図である。
【図8】従来例の説明図である。
【図9】Fe−Zn相互拡散の説明図である。
【符号の説明】
1 n型InP基板
2 Seドープn型InPクラッド層
3 ノンドープInGaAsPガイド層
4 ノンドーブInGaAlAs/InAlAs歪MQW(多重量子井戸)光吸収層
5 ノンドーブInGaAsPガイド層
6 Znドープp型InPクラッド層
7 ZnドープInGaAsコンタクト層
9 Ruを添加したInP層
10 SiO2保護膜
11 p型電極
12 n型電極
103 ノンドープInGaAsPガイド層
104 ノンドープInGaAsP/InGaAsP歪MQW(多重量子井戸)光吸収層
105 ノンドープInGaAsPガイド層
111 p型電極
203 ノンドープInGaAsPガイド層
204 ノンドープInGaAsP/InGaAsP歪MQW(多重量子井戸)活性層
205 ノンドープInGaAsPガイド層
211 p型電極

Claims (2)

  1. 第1導電型基板上に配された、少なくとも第1導電型クラッド層と、多重量子井戸からなる光吸収層と、第2導電型クラッド層とからなる積層構造がメサストライプ状に加工されており、
    該積層構造の両側を半絶縁半導体層で埋め込んだ構造を有する電界吸収型光変調器において、
    前記半絶縁半導体層のドーパントがルテニウムであることを特徴とする電界吸収型光変調器。
  2. 前記第1導電型基板上に、前記光吸収層と光結合した活性層を持つ半導体レーザを集積したことを特徴とする請求項1記載の電界吸収型光変調器。
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