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JP3874285B2 - 高周波部品及び高周波モジュール並びにこれらを用いた通信機 - Google Patents

高周波部品及び高周波モジュール並びにこれらを用いた通信機 Download PDF

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JP3874285B2 JP2003335280A JP2003335280A JP3874285B2 JP 3874285 B2 JP3874285 B2 JP 3874285B2 JP 2003335280 A JP2003335280 A JP 2003335280A JP 2003335280 A JP2003335280 A JP 2003335280A JP 3874285 B2 JP3874285 B2 JP 3874285B2
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Description

本発明は2つ以上の異なる周波数の信号を1つのアンテナを共用して送受信する無線通信システムに関し、スイッチ回路と高周波増幅器回路を複合化したマルチバンド用高周波部品及びこれらを一つの積層体に構成したマルチバンド用高周波モジュール並びにこれらを用いた通信機に関するものである。
携帯無線システムには、例えば主に欧州で盛んなEGSM(Extended Global System for Mobile Communications)方式およびDCS(Digital Cellular System)方式、米国で盛んなPCS(Personal Communication Service)方式、日本で採用されているPDC(Personal Digital Cellular )方式などの時分割マルチプルアクセス(TDMA)を用いた様々なシステムがある。昨今の携帯電話の急激な普及に伴い、特に先進国の主要な大都市部においては各システムに割り当てられた周波数帯域ではシステム利用者を賄いきれず、接続が困難であったり、通話途中で接続が切断するなどの問題が生じている。そこで、利用者が複数のシステムを利用できるようにして、実質的に利用可能な周波数の増加を図り、さらにサービス区域の拡充や各システムの通信インフラを有効活用することが提唱されている。
従来、複数のシステムに対応した小型軽量の高周波回路部品として、例えばEGSMとDCSの2つのシステムに対応した携帯通信機に用いられるデュアルバンド対応の高周波スイッチモジュールが特許文献1に開示されている。また、EGSM、DCS、PCSの3つのシステムに対応した携帯通信機に用いられるトリプルバンド対応の高周波スイッチモジュールが特許文献2で提案されている。
図20にトリプルバンド高周波スイッチモジュールのブロック構成の一例を示す。共用のアンテナANT端子に接続された分波回路Dip(以下、分波器あるいはダイプレクサと言うことがあるが同等のものである。)によりEGSMの周波数帯の信号とDCS/PCSの周波数帯の信号を分波し(逆方向では合成するが、本明細書では分波で説明する。)、第1の高周波スイッチSW1はEGSM送信端子TxとEGSM受信端子Rxとを切り替え、第2の高周波スイッチSW2はDCS/PCS送信端子TxとDCS受信端子Rx及びPCS受信端子Rxとを切り替える。ローパスフィルタLPF1、LPF2は送信経路に挿入されハイパワーアンプで発生する高調波歪発生量を低減する。バンドパスフィルタSAW1、SAW2、SAW3はアンテナANTからの受信信号のうち不要周波数成分を除去し、必要成分だけをローノイズアンプに送る。従って、EGSM送信端子TxとDCS/PCS送信端子Txの前段にはハイパワーアンプHPA1、HPA2が設けられ、EGSM受信端子RxとDCS受信端子Rx及びPCS受信端子Rxの後段にはローノイズアンプLNA1、LNA2、LNA3が設けられている。
携帯通信機の小型軽量化の要求は依然として強く、部品の共有化や機能を集約したモジュール化が進められている。例えば、図20の点線で囲まれた回路部品は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等の誘電体シートを多層に積み重ねた積層体内に伝送線路やコンデンサを電極パターンにより形成し、ダイオード等を積層体上に搭載したマルチバンド用アンテナスイッチモジュールASMとして実現されている(ここではアンテナまでを含めてアンテナスイッチモジュールと言うが高周波スイッチモジュールと言い換えても良い。以下同様。)。また、一点鎖線で囲まれた範囲のモジュール化についてもディスクリートのSAWフィルタを積層体上に搭載した形で実現されている。
一方、携帯通信機の送信側では比較的大電力の信号を出力するために、数W程度のハイパワーアンプ(本発明ではパワーアンプ等と区別をせず高周波増幅器と言うがパワーアンプ、アンプ等と記す場合がある。)が用いられる。携帯電話機等は小型で低消費電力にする必要があるため、DC電力の大部分を消費するハイパワーアンプには、DC−RF電力変換効率(電力付加効率とも言う。)が高く小型であることが求められる。特に携帯電話機等においては、機器が小型であることと、電池の1回充電当たりの通話時間の長さが製品の重要なセールス・ポイントであるために、ハイパワーアンプの小型化と高効率化が必須である。ハイパワーアンプまで含めた回路部品のモジュール化は検討課題であるが、実際LTCC等で積層モジュール化することは実現されていない。
これらアンプとアンテナ或いはアンテナスイッチモジュールに関与する従来技術として、受信専用アンテナとアンプを積層体上に搭載し、両者間に位相調整回路を設けたアンテナ装置が特許文献3にある。しかしながら、このものはアンプから漏れた電磁波を当該受信専用アンテナ(パッチアンンテナ)自身が受信した場合の閉ループの位相ずれを調整するためのものであった。即ち、高周波スイッチ機能を複合化したものではない。
また、複数の誘電体層を積層してなる多層基板に高周波スイッチとアンプを構成する伝送線路やコンデンサを内蔵し、多層基板上にトランジスタ等を搭載してモジュール化することが特許文献4に開示されている。しかし、このものでは構想を示すだけで両者を一体化したときの現実的な問題点や手段は何ら開示されておらず実現困難なものであった。
さらに、ハイパワーアンプとこの出力電力をモニタするカプラを一体化し、両者間の整合をスプリアス周波数において非共役整合に設定した高周波用送信モジュールが特許文献5に開示されている。しかしながら、この高周波用送信モジュールは、ハイパワーアンプとカプラのモジュール化を対象とするものであり、さらに高周波部品間の挿入損失低減と高調波減衰特性の劣化についての具体的な解決手段は提示されていない。
特開平11−225088号公報 特開2000−165288号公報 特開2000−183612号公報 特開平10−126307号公報 特開2002−171137号公報
以上のように、従来、マルチバンド用のアンテナスイッチモジュールと高周波増幅器回路までを一つの積層体内に複合モジュール化して実現した例は見当たらない。従い、携帯通信機の組立てメーカでは、既存の高周波増幅器回路と既存の高周波スイッチモジュールを種々組み合わせ、変換効率や高調波発生量等の送信特性もしくはアンテナ出力特性をモニタした結果、相性の良い組み合わせを選定する設計手法に留まっているのが実情である。
そこで、高周波増幅器HPAとアンテナスイッチモジュールASMの整合を図りながら一つの積層体内に複合モジュール化することが考えられる(図20のASM+HPAの範囲)。しかしながら、複合モジュール化して小型化は図れたとしても、ディスクリートで組み合わせた場合と同様の問題が解決されるわけではない。例えば、高周波増幅器の出力端子とアンテナスイッチモジュールの送信端子はそれぞれ略50Ω整合を狙って設計されるが、各々が厳密に50Ωになっているわけではなく、可能な範囲で50Ω近辺に設定されている場合が一般的である。例えば、高周波増幅器HPA側が45Ωで位相120度の位置にあり、アンテナスイッチモジュールASM側が52Ωで位相80度の位置にあったとしてもお互い50Ω整合していると見なしている。結局、送信帯域におけるスミスチャート中央の50Ω近辺を狙ってはいるが、お互いのリアクタンスまでも含んだインピーダンス関係を考慮していない。結果として必要周波数帯域での損失が大きくなったり、また不要周波数帯域での減衰量が不充分であったりと言った問題が生じる。
他方、アンテナスイッチモジュール単体では送信帯域の広帯域化を図っていたとしても、高周波増幅器と接続した後の全体特性を測定すると、送信帯域が広帯域となっていない場合がある。これは、高周波増幅器の後段に接続される負荷、この場合はアンテナスイッチモジュールによって高周波増幅器内部に変化が生じるからである。具体的には、高周波増幅器の出力端子側は最終増幅段の半導体素子とその後段で出力端子までを接続する出力整合回路で構成されているが、この出力整合回路の入力インピーダンスZ4に変化が生じるからである。
本発明はこのような問題に鑑み、送信帯域での広帯域整合を実現すること、必要な基本周波数帯域での挿入損失を最小に抑えること、そしてこれらを同時に実現する高周波部品を提供するものである。また、これらを一つの積層体内に構成し小型軽量化を図った高周波モジュールを提供し、さらにこれらを用いた通信機を提供するものである。
本発明は、高周波増幅器回路と、この高周波増幅器回路で増幅された高周波信号を処理する後段の高周波回路とを接続した高周波部品であって、
前記高周波増幅器回路は、少なくとも半導体素子と、出力整合回路を備え、
前記後段の高周波回路は、少なくとも、送信系と受信系を切り替えるスイッチ回路を備え、
前記出力整合回路によって前記高周波増幅器回路と前記後段の高周波回路との接続におけるインピーダンス整合が取られるとともに、
前記高周波増幅器回路と、前記後段の高周波回路との位相関係において、
前記後段の高周波回路と前記出力整合回路とが接続される接続基準面から前記後段の高周波回路側を見たときの前記高周波信号の基本周波数帯域におけるインピーダンスZ2の位相θ2が、−125度〜90度の領域(ここで、−125度〜90度の領域とはスミスチャート上で0点から時計回りの−125度〜−180度の範囲と、反時計回りの90度〜180度の範囲をまとめて−125度〜90度とする)に位相調整されることにより、前記高周波信号の基本周波数帯域における周波数に対する前記出力整合回路の入力インピーダンスの変化が抑えられ、前記高周波増幅器回路と前記後段の高周波回路との前記高周波信号の基本周波数帯域における整合がとられるように、前記高周波増幅器回路と前記後段の高周波回路が一体化されて複合モジュール化されている高周波部品である。
本発明において、前記接続基準面から前記高周波増幅器回路側を見たときの前記高周波信号の基本周波数帯域におけるインピーダンスZ1の位相θに対して共役整合の関係にある位相をθ1(−θ)としたとき、前記インピーダンスZ2の位相θ2がθ1±90度の領域内にあることが好ましい。
また本発明において、前記後段の高周波回路が、送信系と受信系を切り替えるスイッチ回路を少なくとも1つ有するスイッチモジュール回路であることが好ましく、そのスイッチモジュール回路に、通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を有することが好ましい。また、前記スイッチモジュール回路に、ローパスフィルタを有することも好ましい
また本発明において、後段の高周波回路としては、カプラ回路、アイソレータ回路、フィルタ回路のうちの少なくとも1種で構成することが出来るし、高周波増幅器回路と高周波スイッチ回路との間にカプラ回路、アイソレータ回路、フィルタ回路のうちの少なくとも1種を挿入して構成することも出来る。
また本発明において、前記後段の高周波回路と前記高周波増幅器回路との間に位相調整回路を設けて、位相調整をすることができる。また、この位相調整回路としてはLC回路を用いることが好ましい。また、高周波増幅器回路や後段の高周波回路の伝送線路及び/又はLC回路を用いて位相調整することもできる。
また本発明において、前記高周波増幅器回路が、少なくとも半導体素子と電源供給回路と整合回路とを有し、前記電源供給回路と整合回路を構成する伝送線路及びLC回路の少なくとも一部が、電極パターンと誘電体層との積層体内に電極パターンにより構成され、前記半導体素子またはLC回路の一部を構成するチップ素子が前記積層体上に配置されて高周波増幅器モジュール部を構成し、前記後段の高周波回路が、送信系又は受信系との接続を切り替えるスイッチ回路を有し、前記スイッチ回路がスイッチング素子と伝送線路を主構成とし、前記スイッチ回路の伝送線路の少なくとも一部が、電極パターンと誘電体層との前記積層体内に電極パターンにより構成され、前記スイッチング素子またはLC回路の一部を構成するチップ素子が前記積層体上に配置されてスイッチモジュール部を構成し、この高周波増幅器モジュール部と前記スイッチモジュール部を一体に構成した高周波モジュールによって、上記した本発明の高周波部品を高周波モジュールとして構成することが好ましい。
本発明の高周波モジュールは、前記スイッチ回路の各送信系にローパスフィルタを有し、当該ローパスフィルタはLC回路からなり、このLC回路は電極パターンと誘電体層との積層体内に電極パターンにより構成されていることが望ましい。
本発明は、通信機上記した高周波部品または高周波モジュールに1つの共用アンテナを接続して搭載した通信機となすことができる。
本発明によれば、送信帯域において広帯域整合となし、且つ必要な基本周波数帯域での挿入損失を最小に抑えるようにした損失が無く変換効率の高い特性の優れた高周波部品が得られる。さらに一つの積層体内に機能を一体化した安価で小型軽量のマルチバンド用高周波モジュールが得られる。そしてこれらを用いた高性能な通信機を提供することができる。
先ず、本願発明者は、高周波増幅器回路と後段の高周波回路との位相関係が送信時の整合帯域幅および挿入損失に及ぼす影響について検討した。図5に示すように高周波増幅器PAと出力整合回路MNを備えた高周波増幅器回路後段の高周波回路であるアンテナスイッチモジュールASMを接続し、その前段に移相器PSを挿入したモデルを用いた。図5において、出力整合回路MNの入力インピーダンスZ4について、後段の高周波回路と前記高周波増幅器回路との間の接続基準面から見たASM側のインピーダンスZ2の位相θ2の変化と出力整合回路MNの入力インピーダンスZ4の送信帯域における偏差との関係を調べた。その結果を図1にASM側位相θ2とZ4のインピーダンス偏差の関係を示し、図2にスミスチャート上での位置を示す。なお、図1において、横軸はアンテナスイッチモジュールASM側の入力位相θ2を、左縦軸に出力整合回路の入力端から見た出力整合回路のインピーダンスZ4のMAG(インピーダンスZ4の絶対値、スミスチャート上では半径)偏差を、右縦軸に出力整合回路の入力端から見た出力整合回路のインピーダンスZ4のDEG(インピーダンスZ4の位相角度、スミスチャート上では中央右ショート位置からの角度)偏差を示している。送信帯域における偏差であるので、各々が小さいほど帯域でのインピーダンス変化が少ないことを意味し、すなわち、両者が小さい領域で広帯域整合が図れることを意味する。許容範囲として、MAG偏差は横軸X1で示す0.09以下を許容範囲とした。DEG偏差は0を中心とした横軸X2で示す範囲で±0.6度とした。
次に、アンテナスイッチモジュールASMの前に移相器PSを置き、接続基準面から見た高周波増幅器側のインピーダンスZ1を固定し、アンテナスイッチモジュール側のインピーダンスZ2を変化させ、ASM側の位相変化と挿入損失及び基本周波数と2倍波、3倍波周波数における減衰量について調べた。基本周波数における結果を図3にASM側入力位相と挿入損失の特性線図で示し、図4に位相関係をスミスチャート上に示した。
尚、本発明では便宜上、高周波増幅器側のインピーダンスZ1を固定し、後段のアンテナスイッチモジュール(高周波回路)側のインピーダンスZ2を変化調整した例に基づいて説明するが、逆にアンテナスイッチモジュール(高周波回路)側のインピーダンスZ2を固定し、高周波増幅器側のインピーダンスZ1を変化調整することでも本発明は実施できる。さらに、両側(高周波増幅器HPA、アンテナスイッチモジュールASM)を適宜調整することでも本発明は実施できる。
また、本発明では高周波スイッチ回路、高周波スイッチモジュールに対しアンテナを接続した場合にアンテナスイッチ回路、アンテナスイッチモジュールと呼んでおり、これらに実質的な相違はない。このことは特許請求の範囲についても言えることである。
以上の検討の結果、位相変化と挿入損失や高調波減衰量には密接な関係があることを知見した。これをまとめると、
(1)インピーダンスZ4の変化量(偏差)を抑えることにより送信帯域の広帯域整合化が図られる。即ち、MAG偏差とDEG偏差が共に小さい位相範囲に調整することにより広帯域を実現できる。これは図1よりDEG偏差がX2の範囲内にあって、且つMAG偏差がX1以下の範囲が相当する。その範囲の端点を△で示した。このように−125度〜−180度と90度〜180度の範囲であることが分かる。よって、接続基準面から見たアンテナスイッチモジュール(後段の高周波回路)側のインピーダンスZ2の位相θ2を図2のスミスチャート上で表す−125度〜90度の領域に位相調整すれば送信帯域の広帯域整合化が実現できる。
(2)基準面から見たアンテナスイッチモジュール側の位相θ2が、高周波増幅器側の位相θの符号を反転させた位相θ1(−θ)のとき挿入損失及び減衰量は最小となる。即ち、インピーダンスZ1の共役インピーダンスに相当する位相θ1で挿入損失が最小となる。基本周波数帯域を示した図3において山である-130度付近が最小挿入損失であり、共役整合位置であることを示している。また、そこから180度ずれた位置に谷があり、高挿入損失であることを示している。図3が正弦波的な波形をしていることから、この波形の中央より上を許容すると、基本周波数ではインピーダンスZ2の位相θ2をθ1±90度の範囲に位相調整すれば低挿入損失が実現できる。
(3)基準面から見たアンテナスイッチモジュール側の位相θ2が、θ1の逆位相θ0(θ1±180度)で挿入損失及び減衰量は最大となる。よって、不要周波数帯域についてはインピーダンスZ2の位相θ2をθ1の逆位相θ0を含む非共役整合の領域に位相調整すれば2倍、3倍波高調波を効果的に減衰することができる。
尚、共役インピーダンスとは、あるインピーダンスに対して複素共役の関係にあるインピーダンスである。等しい抵抗成分と大きさが等しく符号が反対のリアクタンス分をもつインピーダンスの関係をいい、θのインピーダンス(R+jX)とθ1のインピーダンス(R−jX)は複素共役である。このような関係を共役整合と言いインピーダンス整合が実現する。ここで(R+jX)と(R−jX)による共役整合が理想的で最適であるが、(R’−jX)というリアクタンス部分のみを考慮し調整するだけでも効果があることを本検討により知見した。また、インピーダンス(R+jX)全てを合わせるのは難しいが、少なくとも位相を考慮すれば十分な効果があり、且つ現実的な調整手段であることが分かった。
以上のことより、第1の発明は、インピーダンスZ2の位相θ2を−125度〜90度の領域に位相調整することにより、送信帯域での広帯域整合を図るものである。
第2の発明は、インピーダンスZ2の位相θ2を共役インピーダンスθ1±90度の領域に位相調整することにより、基本周波数帯域において低挿入損失を図るものである。
第3の発明は、インピーダンスZ2の位相θ2をθ1±90度の共役整合領域内で、且つ−125度〜90度の範囲と重なる領域に位相調整することにより、送信帯域での広帯域整合を図ると共に、基本周波数帯域において低挿入損失を実現するものである。
また、不要な2倍波、3倍波のn次高調波周波数帯域においては高調波減衰量を最大にするために、この周波数帯域においてはインピーダンスZ2の位相θ2を非共役整合に相当する範囲に位相調整するものである。θ2の調整範囲は最大減衰量に対し5dB劣化を許容する場合θ0±120度の領域とし、好ましくは3dB劣化を許容するθ0±90度であり、更に好ましくはθ0±45度である。尚、ここでの位相θ2はn次高調波周波数帯域を対象とするもので、上記した第1、第2の発明の基本周波数帯域におけるθ2とは別である。このように高調波回路では周波数fによって、インピーダンスZが変化するため、同じインピーダンスZ2であっても、見るべき周波数が異なれば、それだけ異なったθ2が存在する。例えば、第1の発明では広帯域整合を狙うためのθ2であり、第2の発明では基本波での低挿入損失を狙うθ2である。そしてn倍波の減衰量を最大に狙うθ2があるという具合である。
以下、本発明の高周波部品と高周波モジュールの一実施例を、アンテナスイッチモジュールと高周波増幅器を用いて携帯電話システムを例に説明する。
先ず、一般に携帯電話システムでは、周囲の携帯電話機との混信を避けるため、基地局から携帯電話へ向けて、発信出力が交信に必要な最小限度のパワーとなるように制御信号(パワーコントロール信号)が送られている。この制御信号に基づいて動作するAPC(Automatic Power Control)回路によって、送信側出力段の高周波増幅器では、その送信出力が通話に必要な出力となるようにゲート電圧が制御される。これは実際に高周波増幅器から出力されている電力をモニタして得られた検知信号と、基地局からのパワーコントロール信号とを比較し制御される。このように、携帯電話の通信システムでは周囲環境に適応するよう出力を可変させて通話をおこなうことにより、他の携帯電話との間で混信を生じ難くくし、通話品質を安定維持できるように構築されている。また、欧州のデジタル携帯電話のシステムにおいて高周波増幅器の出力検出回路は大きく分けて2つの方式がある。一つは高周波増幅器の出力端子にカプラ回路を取り付け、出力電力を検出する方式と、もう一つの方式は高周波増幅器部に1〜10Ω程度の抵抗を付け、電圧降下から消費電力を求め、高周波電力に換算する方式の2つである。一般的に前者は積層体への回路形成で実現され、後者には色々な種類の派生手段がある。例えば搭載部品や半導体チップへの回路集積で実現される等である。以下の実施例は、後者の方式で出力電力をモニタする機能が予め備えられた半導体チップを用いている場合である。
さて、実施例の図6はEGSM、DCS、PCSトリプルバンド用アンテナスイッチモジュールの等価回路図を示す。図7に高周波増幅器の等価回路図を示し、図8に位相調整回路を説明する回路を示す。図9は位相調整を説明する図、図10はローパスフィルタの例であり、図11はハイパスフィルタの例である。図12は位相調整後の周波数と電力付加効率の関係を示し、図13は位相調整の状況を示すスミスチャート図である。図14は複合積層モジュールの誘電体シートの一部展開図である。
図6においてダイプレクサDipは、伝送線路L1〜L4および容量C1〜C4により構成される。伝送線路L2と容量C1は直列共振回路を形成し、DCS帯域(送信周波数:1710〜1785MHz、受信周波数:1805〜1880MHz)およびPCS帯域(送信周波数:1850〜1910MHz、受信周波数:1930〜1990MHz)に共振周波数を持つように設計する。本例では1.8GHzに減衰極をあわせた。また、伝送線路L4と容量C3は直列共振回路を形成し、EGSM帯域(送信周波数:880〜915MHz、受信周波数:925〜960MHz)に共振周波数を持つように設計する。本例では0.9GHzに減衰極をあわせた。この回路により、EGSM系の信号とDCS/PCS系の信号とを分波合成することが可能となる。伝送線路L1、L3はDCS/PCS系の信号の周波数にとって高インピーダンスになるようにある程度の長さに設定するのが好ましい。これによりDCS/PCS系の信号がEGSM系の経路へ伝送しにくくなる。逆に容量C2、C4はEGSM系の信号の周波数にとって高インピーダンスになるように比較的小さい容量値に設定されるのが好ましい。これによりEGSM系の信号がDCS/PCS系の経路へ伝送しにくくなる。
第1のスイッチ回路SW1は、容量C5、C6、伝送線路L5、L6、PINダイオードD1、D2、および抵抗R1により構成される。伝送線路L5、L6はEGSMの送信周波数帯においてλ/4共振器となるように伝送線路の長さを設定する。ただし、伝送線路L5はEGSMの送信周波数においてグランドレベルがオープン(高インピーダンス状態)に見える程度のチョークコイルでも代用可能である。この場合インダクタンス値は10〜100nH程度が望ましい。抵抗R1はコントロール電源VC1がHigh状態での第1、第2のダイオードD1、D2に流れる電流を決定する。本例では100Ω〜200Ωを使用した。容量C5、C6はコントロール電源のDCカットのために必要である。コントロール電源VC1がHighの時にはPINダイオードD2には接続ワイヤなどの寄生インダクタンスが存在するため、これを打ち消すように容量C6と直列共振させる。容量C6の容量値は適宜設定する。
以上によりコントロール電源VC1がHighの時には、第1、第2のダイオードD1、D2は共にONとなり、第2のダイオードD2と伝送線路L6の接続点がグランドレベルとなり、λ/4共振器である伝送線路L6の反対側のインピーダンスが無限大となる。したがって、コントロール電源VC1がHighの時にはダイプレクサDip〜EGSM Rx間の経路では信号は通過できず、ダイプレクサDip〜EGSM Tx間の経路では信号が通過しやすくなる。一方、コントロール電源VC1がLowの時には第1のダイオードD1もOFFとなりダイプレクサDip〜EGSM Tx間の経路では信号は通過できず、また第2のダイオードD2もOFFであるので、ダイプレクサDip〜EGSM Rx間の経路では信号が通過しやすくなる。以上の構成により、EGSM信号の送受信の切り替えが可能となる。
第2のスイッチ回路SW2は、容量C7〜C10、伝送線路L7〜L10、PINダイオードD3〜D6、および抵抗R2、R3により構成される。伝送線路L7〜L10はDCS/PCSの信号の周波数においてλ/4共振器となるように伝送線路の長さを設定する。ただし、伝送線路L7、L9はそれぞれDCSの送信周波数において、PCSの送信周波数においてグランドレベルがオープン(高インピーダンス状態)に見える程度のチョークコイルでも代用可能である。この場合インダクタンス値は5〜60nH程度が望ましい。抵抗R2はコントロール電源VC2がHigh状態での第3、第4のダイオードD3、D4に流れる電流を決定する。本例では100Ω〜200Ωを使用した。抵抗R3はコントロール電源VC3がHigh状態での第5、第6のダイオードD5、D6に流れる電流を決定する。本実施例では100Ω〜2kΩを使用した。容量C7、C8、C10はコントロール電源のDCカットのために必要である。またコントロール電源VC2がHighの時にはPINダイオードD4には接続ワイヤなどの寄生インダクタンスが存在するため、容量C7と直列共振するように容量C7の容量値を設定する。
以上によりコントロール電源VC2がHighの時には、第3、第4のダイオードD3、D4は共にONとなり、第4のダイオードD4と伝送線路L8の接続点がグランドレベルとなり、λ/4共振器である伝送線路L8の反対側のインピーダンスが無限大となる。したがって、コントロール電源VC2がHighの時にはダイプレクサDip〜PCS RxおよびダイプレクサDip〜DCS Rx間の経路では信号は通過できず、ダイプレクサDip〜DCS/PCS Tx間の経路では信号が通過しやすくなる。一方、コントロール端子VC2がLowの時には第3のダイオードD3もOFFとなりダイプレクサDip〜DCS/PCS Tx間の経路では信号は通過できず、また第4のダイオードD4もOFFであるのでダイプレクサDip〜PCS RxおよびダイプレクサDip〜DCS Rx間の経路では信号が通過しやすくなる。
また、コントロール端子VC3がHighの時には、PINダイオードD6には接続ワイヤなどの寄生インダクタンスが存在するため、容量C10と直列共振するように容量C10の容量値を設定する。これによりコントロール端子VC3がHighの時には、第5、第6のダイオードD5、D6は共にONとなり、第6のダイオードD6と伝送線路L10の接続点がグランドレベルとなり、λ/4共振器である伝送線路L10の反対側のインピーダンスが無限大となる。したがって、コントロール端子VC3がHighの時にはDCS Rx間の経路には信号は通過できず、また第6のダイオードD6もOFFであるのでPCS Rx間の経路では信号が通過しやすくなる。逆にコントロール端子VC3がLowの時には第5のダイオードD5もOFFとなり、PCS Rx間の経路には信号は通過できず、DCS Rx間の経路では信号が通過しやすくなる。以上の構成により、コントロール端子VC2がHighの時にはDCS/PCS Txへ、コントロール端子VC2、VC3がそれぞれLow、Highの時にはPCS Rxへ、コントロール端子VC2およびコントロール端子VC3がLowの時にはDCS Rxへの切り替えが可能となる。
第1のローパスフィルタLPF1は、伝送線路L11および容量C11〜C13より構成されるπ型のローパスフィルタである。ここでL11とC11は並列共振回路を構成し、その共振周波数はEGSMの送信周波数の2倍もしくは3倍の周波数に設定する。本実施例では3倍の2.7GHzに設定した。以上の構成によりパワーアンプから入力されるEGSM側の送信信号に含まれる高調波歪みを除去できる。従って、このローパスフィルタLPF1を送信経路に設けることは特性上好ましいが、必ずしも必須のものではない。また、第1のローパスフィルタLPF1は第1の高周波スイッチSW1の第1のダイオードD1と伝送線路L5の間に配置しているが、これはダイプレクサDipと第1の高周波スイッチSW1との間に配置しても良いし、前記伝送線路L5とEGSM Txとの間に配置しても良い。前記第1のローパスフィルタLPF1のグランドに接続する容量を伝送線路L5と並列に配置すれば、並列共振回路を構成することとなり、伝送線路L5の線路長をλ/4よりも短く構成でき、またチョークコイルのインダクタンス値を小さくすることが出来る。
第2のローパスフィルタLPF2は、伝送線路L12および容量C14〜C16より構成されるπ型のローパスフィルタである。ここで伝送線路L12と容量C14は並列共振回路を構成し、その共振周波数はDCS/PCS送信周波数の2倍もしくは3倍の周波数に設定する。本実施例では2倍の3.6GHzに設定した。以上の構成によりパワーアンプから入力されるDCS/PCS側の送信信号に含まれる高調波歪みを除去できる。従って、このローパスフィルタLPF1を送信経路に設けることは特性上好ましいが、必ずしも必須のものではない。また、第2のローパスフィルタLPF2も第1のローパスフィルタLPF1と同様に、ダイプレクサDipと第2の高周波スイッチSW2との間に配置しても良いし、前記伝送線路L7とDCS送信端子DCS Txとの間に配置しても良い。第1、第2のローパスフィルタLPF1、LPF2は、ダイオードD1と伝送線路L5との間、及びダイオードD3と伝送線路L7との間に構成されて、スイッチ回路の中に設けられている。これは回路設計上好ましいが必須ではない。ローパスフィルタは送信信号が通過するダイプレクサ〜送信端子との間の送信経路のどこかの位置に設けてあれば良い。
以上の高周波部品(アンテナスイッチモジュール)の制御ロジックをまとめると表1のようになる。
Figure 0003874285
また、実施態様によっては、EGSM系をさらにGSM850(送信周波数:824〜849MHz、受信周波数:869〜894MHz)とEGSMに分けて、クワッドバンド対応とすることもできる。この場合、送信系は共通端子を用いることができ、受信系は前記トリプルバンド対応アンテナスイッチのEGSM受信端子部にGSM850とEGSMを切り替えるスイッチを接続することにより構成できる。また、前記スイッチの代わりにGSM850、EGSM帯のλ/4共振器である伝送線路を用いて、両者間の周波数を分けることでも実現できる。
次に、図7はマルチバンド用高周波複合部品を構成する高周波増幅器側の回路図を示す。高周波増幅器側の整合回路端の出力端子P0を図6のアンテナスイッチモジュールの例えばEGSM Txの送信端子P1に接続し、増幅した送信信号をアンテナスイッチ側に送る役割を果たす。出力端子P0には、直流カットコンデンサCa2を介して、伝送線路ASL1の一端が接続される。伝送線路ASL1には一端を接地されたコンデンサCa3、Ca4が接続されて出力整合回路を構成する。伝送線路ASL1の他端は、半導体素子の一種である電界効果スイッチングトランジスタ(FET)Q1のドレインに接続される。また、FETQ1のソースは接地され、ゲートはバイポーラスイッチング素子(B−Tr)Q2のコレクタに接続される。
他方、伝送線路ASL1の他端と電界効果スイッチングトランジスタFET Q1のドレインDとの接続点は、λ/4ストリップライン等からなるインダクタSL1とコンデンサCa5との直列回路を介して接地され、インダクタSL1とコンデンサCa5との接続点はドレイン電圧端子Vdd1に接続されている。また、電界効果スイッチングトランジスタFET Q1のゲートとバイポーラスイッチング素子Q2のコレクタとの接続点は、コンデンサCa6を介して接地されると共にゲート電圧端子Vgにも接続される。
更に、バイポーラスイッチング素子Q2のエミッタは接地され、ベースは伝送線路SL3の一端に接続される。バイポーラスイッチング素子Q2のコレクタは、ストリップライン等からなるインダクタSL2とコンデンサCa7との直列回路を介して接地され、インダクタSL2とコンデンサCa7との接続点は、コレクタ電圧端子Vcに接続される。また、インダクタSL2とコンデンサCa7との接続点は、バイポーラスイッチング素子Q2のベースと伝送線路SL3の一端との接続点にも接続される。伝送線路SL3の他端は、コンデンサCa8を介して接地されると共に入力端子Pinに接続される。
尚、図6及び図7の等価回路において伝送線路及びインダクタはストリップラインで構成されることが多いものの、マイクロストリップライン、コプレーナガイドライン等で構成されていてもよい。また、増幅器回路側は、半導体素子Q3と電源供給回路を同様に付加して増幅回路を3段、またそれ以上の多段となしハイパワーアンプとして構成することも出来る。尚、トランジスタはQ1をFET、Q2をB-Trとしたが、それぞれ他の種類のトランジスタでも良い。例えば、Si-MOSFET、GaAsFET、Siバイポーラトランジスタ、GaAsHBT(ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)、HEMT(高電子移動度トランジスタ)等があげられる。もちろん、いくつものトランジスタを集積化したMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)を用いても良い。また、本実施例では伝送線路SL3とトランジスタQ2の間を直接繋いでいるが、抵抗を介して接続しても良い。
アンテナスイッチモジュールと高周波増幅器間の位相調整は、位相調整回路として伝送線路またはハイパスフィルタやローパスフィルタ等のLC回路を挿入することで実施できる。例えば、図8は伝送線路での実施例である。増幅器出力側には半導体素子FET(電界効果型トランジスタ)Q1があり、このトランジスタQ1のドレイン端子Dには伝送線路あるいはインダクタSL1を介して電源供給端子Vdd1より電源が供給される。ドレイン端子Dは伝送線路ASL1と直流カットコンデンサCa2を介し出力端子P0に繋がっている。アンテナスイッチ送信側は送信端子P1に直流カットコンデンサCa1と伝送線路ASL2が接続され、その後方には送信系回路の一部である伝送線路L5とLC回路からなるローパスフィルタLPFが繋がっている。出力端子P0と送信端子P1を接続する際にはコンデンサCa1、Ca2の一方を省略できる。そして、ここにLC回路を挿入する及び/又は伝送線路ASL1、ASL2を位相調整回路とするものである。伝送線路ASL2は送信端子P1とローパスフィルタLPFを積層体内で接続するために必要とされるのでこれを同時に利用する。実際の設定にあたっては、先ず、増幅器出力側の伝送線路ASL1の長さあるいは幅を調整しながら適切な位置に適切な容量のコンデンサCa3、Ca4を挿入し、アンテナスイッチの入力インピーダンスの略50Ω整合を図る。次に、必要に応じて伝送線路ASL2の長さあるいは幅を調整する。更に、必要に応じてL5の長さ、幅、LPF送信端子側の並列Cの容量値等も調整しても良い。
また、調整手段については以下のことが明らかになった。図9に示すように、
(a)基本周波数において位相調整回路のアンテナスイッチ側からアンテナスイッチを見たときのアンテナスイッチの入力インピーダンスZ3の位相θ3がスミスチャート上でθ1に対し反時計回り方向にある場合は、狙いの位相領域θ2がθ3よりも最良位相θ1に近づくように、現在の伝送線路の長さよりも長くする方向に調節し、必要に応じてL5の長さ、幅、LPF送信端子側の並列Cの容量値等も調整して、θ3を時計回り方向に移動させてθ1に近づくように調整する。尚、ここで伝送線路の幅を細くしても良いが、定性的にはこのときの位置がスミスチャートの上半円にいるときは時計回りの動きをするが、下半円にいるときは反時計回りに近い動きをする。よって、幅を細くする手段は現在位置と回転方向の考慮が必要となる。
(b)同じく位相θ3がθ1に対し時計回り方向にある場合は、狙いの位相領域θ2がθ3よりも最良位相θ1に近づくように、現在の伝送線路の長さよりも短くする方向に調節し、必要に応じてL5の長さ、幅、LPF送信端子側の並列Cの容量値等も調整して、θ3を反時計回り方向に移動させる。尚、伝送線路ASL1側は太く短くする調整の方が望ましい。但し、伝送線路の幅を太くする場合は、細くする場合とは反対にスミスチャートの上半円にいるときは反時計回りの動きをするが、下半円にいるときは時計回りに近い動きをするので、この場合も現在位置と回転方向の考慮が必要となる。
これらの調整でも間に合わない範囲もしくはモジュール化後に微調整がしたい場合などは、
(c)位相θ3がθ1に対し反時計回り方向にある場合は、狙いの位相領域θ2がθ3よりも最良位相θ1に近づくように、図10(1)〜(4)のLC回路からなるローパスフィルタを挿入する。ここで直流カットコンデンサCa1、Ca2のどちらか一方は省略できるので、ここではCa1を省略し点線で示している。また、(2)、(4)でアンテナスイッチ側のコンデンサCa1を省略すればグランドに落ちる伝送線路L5と並列共振を作ることが出来る。この場合伝送線路L5が短くてすみ、積層時のレイアウト調整に都合が良い。
(d)位相θ3がθ1に対し時計回り方向にある場合は、狙いの位相領域θ2がθ3よりも最良位相θ1に近づくように、図11(1)〜(4)のLC回路からなるハイパスフィルタを挿入する。この場合もどちらか一方の直流カットコンデンサCa1、Ca2は省略できるし、他方のCは実質無くても動作するので、結局、高周波増幅器側のコンデンサCa2あるいはCだけを残しておき、他端が接地されたインダクタLあるいは伝送線路SLの一端をアンテナスイッチ側に接続して構成すれば良い。従って、ハイパスフィルタを挿入する場合の位相調整は回路が簡略されて望ましい。以上の調整手段も本発明の特徴である。
本実施例ではアンテナスイッチモジュール側のEGSM Tx端子P1と高周波増幅器側のEGSM出力端子P0間にハイパスフィルタを挿入して位相調整を行った。これにより、送信帯域(f)におけるアンテナスイッチ側の位相θ2が上述した低挿入損失、広帯域整合領域に調整でき、かつ、2倍高調波(2f)、3倍高調波(3f)のインピーダンス位置を非共役整合位置に調整できた。
これにより送信特性で重要な電力付加効率に関して、広帯域化の効果が顕著に現われた。図12にEGSM送信帯域における電力付加効率を示す。これは周波数に対する電力付加効率の変化をプロットしており、比較のため位相調整前(比較例)と調整後(実施例)を同図中に示した。比較例では効率のピーク値が低く、ロスが非常に大きくなっており、ピーク付近の波形は急峻で狭帯域であった。一方、本実施例を適用した調整後には、効率のピーク値が大幅に向上し、低挿入損失化が図られ、かつ、ピーク付近の波形は緩やかで広帯域となっていることが分かる。
本実施例では18nHのインダクタと6pFのコンデンサで構成したハイパスフィルタを挿入した。図13にハイパスフィルタ挿入前後のスミスチャート上での基本波、2倍波、3倍波インピーダンス位置を示す。基本波における共役整合に相当する位相θ1は−130度程度である。ハイパスフィルタ挿入後はθ2を目標とする位相領域内であるθ1−10度程度と非常に有効な位置に調整できている。また、n倍高調波に関しては、2fの方が目標とするθ0により近いθ0−90度の領域に、3fはθ0−120度の領域に調整することができている。本例では調整前、調整後ともHPA部とASM部は全く同じものを用いており、単体での特性は既に最適化してある。しかしながら、各々をそのまま接続すると、図12の調整前レベルの効率しか得られないが、この状態から位相調整回路を挿入することにより、相互の位相関係を最適位相に調整することができ、調整後レベルの低挿入損失、広帯域の特性を得ることができた。以上により、本発明が特性向上に有効な手段であることが確認された。
尚、n次高調波の抑制にも非常に効果的であることは別出願で詳細な説明をしているため、本願では割愛する。
また、DCS/PCS系についても同様の効果が得られることを確認している。
図14は、図6の等価回路で示される高周波(アンテナ)スイッチモジュールと図7の等価回路で示される高周波増幅器を一つの積層体内に収めた高周波モジュールのうち上部の1〜3層、中間の7〜8層及び下層の13〜15層の誘電体グリーンシートを抜き出した展開図である。誘電体グリーンシートは(1)が最上層で以下順に15層で構成され、最後のシート(15)は積層体の裏面を示している。
本実施例で使用した誘電体グリーンシート(以下、グリーンシート或いはシートと言う。)は950℃以下の低温焼成が可能なLTCC材料からなる。例えば、Al換算で10〜60質量%、SiO換算で25〜60質量%、SrO換算で7.5〜50質量%、TiO換算で20質量%以下のAl,Si,Sr,Tiと、Bi換算で0.1〜10質量%、NaO換算で0.1〜5質量%、KO換算で0.1〜5質量%、CuO換算で0.01〜5質量%、MnO換算で0.01〜5質量%のBi、Na、K、Cu、Mnをそれぞれ含有した誘電体組成物が用いられる。
グリーンシートは伝送線路や容量を形成しやすいようにシート厚みは40〜200μmのものを使用した。電極材は銀系のものを用いた。このグリーンシートの各層に伝送線路やコンデンサ容量を電極パターンにより形成し、適宜スルーホールを設けて回路を構成した。このグリーンシートを順次積層圧着し、950℃で焼成することにより高周波部品が複合化された積層体モジュールが得られる。積層体の大きさは横13.75mm×縦8mm×高さ0.75mm程度であり、積層体の上面にはダイオードやトランジスタ及びチップインダクタ、チップコンデンサ、抵抗体等のチップ素子を搭載し、その上に金属ケース(図示せず)を被せて完成品とする。完成後の全高は1.8mm程度である。ただし、金属ケースの代わりに、樹脂封止パッケージとしても良く、この場合の全高は1.5mm程度である。また、他の積層体の大きさとしては横10mm×縦8mm×高さ0.75mmのものも実施した。この場合も完成品としての全高は、金属ケースの場合で1.8mm程度、樹脂封止パッケージの場合で1.5mm程度である。
積層体内の概略構成は、アンテナスイッチ積層モジュール側は、上部層に分波器及びローパスフィルタを構成する伝送線路L1、L2、L3、L4等を、中間層に分波器、スイッチ回路及びローパスフィルタを構成するコンデンサ容量C1、C3、C6、C10等を、下部層にスイッチ回路を構成する伝送線路L5、L6、L7、L8、L9、L10等が主に形成されている。一方高周波増幅器側は、上部層に初段整合回路の主に伝送線路を、中間層に初段、後段整合回路の主にコンデンサ容量を、下部層にサーマルビアや後段整合回路の主に伝送線路、電源供給用ラインが主に形成されている。グランド電極は第2、3、8、13、14、15層にそれぞれG1、G2、G3、G4、G5、G6と設けられている。本例では中間層を省略しているのでグランド電極や伝送線路、コンデンサ容量の全てを表していないが、概略上記のような配置によってそれぞれ電極パターンにより形成されている。積層体への搭載部品あるいは基板外付け部品は、上記したようにダイオードD1〜D6、トランジスタQ1〜Q3、チップコンデンサC5、C8、Ca5〜Ca7、抵抗体R1〜R3などがある。
高周波増幅器とアンテナスイッチモジュールの接続は上層にあり、相互干渉を避けるためにグリーンシート(1)の伝送線路ASL1(高周波増幅器側の線路)とグリーンシート(2)の伝送線路ASL2(アンテナスイッチモジュール側の引廻し線路)とは層を変えて且つ上下に重ならないような位置に形成している。本例では両者の間に位相調整用のハイパスフィルタを介在させているが、これはLC回路をチップインダクタとチップコンデンサで構成し積層体の上面に搭載している。これにより積層体モジュールを作成した後でも調整が出来るので、試作調整に時間がかからず望ましい。また伝送線路ASL1とASL2上下異なる層で且つ投影上で干渉しない位置に設けたので両高周波部品間の干渉をここでも避けることが出来ている。また、表層において、ASL1とシールド電極を挟んでアンテナスイッチ側には、ローパスフィルタよりもアンテナ側の回路パターンが存在するため、ASL1とこのパターンが電磁気的な結合を起こすと、ローパスフィルタを介さず、不要高周波電力がそのままアンテナから出力されることとなる。本実施例のようにこの間をシールド電極で分離することによって、上記のような結合を回避することができ、高周波特性の向上に役立っている。
図14に示すようにこの複合積層モジュールは、高周波増幅器を構成する電極パターンは左側領域に、他方アンテナスイッチモジュールを構成する電極パターンは右側領域に形成し、グリーンシートは積層方向全てに渡って2つの領域に区分して構成している。さらに第1層の左右領域の間に帯状のシールド電極SGを設け、このシールド電極SGから積層方向の全層にわたってスルーホール電極HGを縦列して設けている。スルーホール電極HGは、シールド電極SGから3層目のグランド電極G2、8層目のグランド電極G3、13層目のグランド電極G4そして最下層のグランド電極G6にも繋がっており、両高周波部品間の相互干渉を抑制するとともに、上下方向にある電極パターン間の相互干渉の抑制にも効果がある。寸法配置的に余裕がある場合は、全層のグリーンシートに帯状のシールド電極SGを設けることが望ましい。しかし多くの場合それが出来ないのでグランド電極を兼用して用いてシールド電極SGの作用を引き出すことができる。シールド電極を設けるにしても、グランド電極を兼用するにしても、これらは伝送線路の電極パターンを形成したグリーンシート上に設けるか、あるいは当該シートの上下何れかのシートに設けることが望ましい。
縦列したスルーホール電極HGは、その間隔を考慮する必要がある。出来るだけ間隔が広がらない方が良いが、製造上また相互干渉の抑制効果の傾向からスルーホール電極HGの間隔gは、干渉を防ぎたい最も高い周波数の波長(λ)の1/4以下とする必要がある。実際のところではほぼλ/10〜λ/50程度で遮蔽効果が高まることが分かった。この実施例では間隔gは不等間隔であるが、おおよそDCS帯の3倍波(5.4GHz近傍)のλ/20(略1mm)〜λ/25程度とした。
このように縦列したスルーホール電極HGは間欠的に設けているので層間の密着強度が高まり強度が増すと言う効果も備えている。ここでスルーホールは必ずしも直線上に設ける必要は無く、例えば図14の7層目及びそれ以下の層で見られるように電極パターンの配置等を考慮し適宜ずらして設けてもよい。さらに、縦列したスルーホール電極を並列に、かつ間隙を埋めるようにずらして設けることもできる。この場合、より高いシールド効果が期待できる。余裕があれば3列以上に並列して設けても良いことはもちろんである。
以上の複合積層モジュールは、シールド電極SG及び/又はグランド電極とスルーホール電極HGによるグランド遮蔽効果により両者高周波部品間のノイズ等の相互干渉が無くなり、高周波増幅器の発振等の不安定動作を防止できる。また必要信号(送信信号)と不要信号とのスプリアス発生を抑えることができ、通過特性の悪化を防止できる。さらに、高周波部品を一つの積層体内に集約したので携帯電話内のプリント配線基板上の実装面積は、従来のパワーアンプとアンテナスイッチを別々に基板に実装した場合に比べて25%〜50%の小型化が出来た。よって、携帯電話やPDA等の小型情報端末などの通信機に搭載することで小型軽量化のニーズに答えることが出来る。
また、実施例のように高周波増幅器HPAとアンテナスイッチモジュールASMとを積層体内に一体化することによって、夫々の回路間を接続する線路の長さが短縮され、積層体内でも線路損失を低減でき、マッチングずれも発生しない。また、プリント配線基板上に従来両者を接続するために必要だった配線が必要でなくなり、直接高周波モジュールをプリント配線基板上に実装するため線路損失が低減でき、マッチングずれも発生しない。また、高周波増幅器HPAとアンテナスイッチモジュールASMとを一体設計することができるため、相互のインピーダンス整合を最適化した設定が行え、従来のようにHPAとASMの各々に設けられていた整合回路を簡略化できる。このような最適設計により、小型かつ低挿入損失、高出力電力、高出力効率である高周波モジュールが完成した。
特性について言えば、従来はGSM送信時において、効率35%、2倍高調波-25dBm、3倍高調波-25dBm 程度であったが、本実施例によれば効率43%以上、2倍高調波-38dBm以下、3倍高調波-36dBm以下と特性向上が図られた。このとき、DCS/PCS送信時の特性は効率34%以上、2倍高調波-38dBm以下、3倍高調波-36dBm以下を達成できた。これにより、GSM帯域のみならず、DCS/PCS帯域においても本発明の有効性を確認できた。
以上の特性向上により、この高周波モジュールを携帯電話に用いた場合、従来のように別々に部品を実装した場合と比べて、5〜10%程度の高効率化が可能となった。これにより、送信時の消費電力が少なくなり、バッテリーの持ちが良くなり、一充電あたりの通話時間として10〜20%程度の長期通話が可能となった。
また、上記のようにこれまでは携帯端末メーカが所望の特性を得るために複数種の高周波増幅器とアンテナスイッチモジュールを組合せて評価をしたり、また、それらを使いこなすために、プリント基板上に整合回路や高調波フィルタ等を形成するといった様々な工夫を行っていたが、これらを全て省略できる。
図6に示したアンテナスイッチモジュールの等価回路、図7に示した高周波増幅器の等価回路は一例である。例えば、スイッチ回路はpinダイオードを用いた例を示したが、SPDT(Single Pole Dual Throw)、SP3T等のSPnT型のGaAsスイッチを用いてスイッチ回路を構成することも出来る。この場合、単純にpinダイオードスイッチをSPDTのGaAsスイッチに置き換えた場合、pinダイオードスイッチで必要なλ/4ラインが不要となるため、積層体内にその分の余裕ができる。このため、このスペースを削減したり、新たに機能素子を形成するなどして更なる小型化、高集積化に有利である。また、分波器まで含めた全体を置き換えることもできる。この場合、トリプルバンドアンテナスイッチを例にとると、SP5TのGaAsスイッチで置き換えれば全経路のスイッチングが可能となる。その上、上記したようにλ/4ラインが数本不要となり更なる小型化、高集積化に有利である。ただし、送信側のローパスフィルタや特性を満足させるために挿入する各種フィルタ類は積層体および/または搭載部品で構成することになる。また、この場合、アンテナと直接接続することになるため、GaAsスイッチは静電気サージ対策が施されていることが望ましい。スイッチ自体にサージ未対策のものを使用する場合は、アンテナとGaAsスイッチの間にLC回路等からなるフィルタなどのサージ対策回路を挿入する必要がある。また、増幅器回路側は、半導体素子Q3と電源供給回路を同様に付加して増幅回路を3段、またそれ以上の多段となしハイパワーアンプとして構成することも出来る。
以下にGaAsスイッチを用いてトリプルバンドのアンテナスイッチ回路を構成した実施例を図15〜図17を用いて説明する。高周波増幅器HPAとの一体化は図20のブロック図の左ブロックを図15〜図17の何れかのブロック図で置き換えることにより実施できる。図15ではSPDT(SP2T)スイッチSW1とSP3TスイッチSW2を用いている。まず、ダイプレクサDipにより、例えば低周波側のEGSM帯と高周波側のDCS/PCS帯を分波し、スイッチSW1でEGSM帯の送信(PA1に接続)と受信(RX1)を切り替え、スイッチSW2でDCS/PCS帯のDCS/PCS送信(PA2に接続)、DCS受信(RX2)またはPCS受信(RX3)の3経路を切り替えるようにしている。図16はSP2Tスイッチのみを3個使用した場合の例である。この場合も上記と同様に、ダイプレクサDipにより通信システムのうち低周波側であるEGSM帯と高周波側であるDCS/PCS帯を分波し、スイッチSW1でEGSM帯の送信(PA1に接続)と受信(RX1)を切り替え、スイッチSW2でDCS/PCS帯のDCS/PCS送信(PA2に接続)、DCS/PCS受信を切り替え、更に、スイッチSW3でDCS受信(RX2)とPCS受信(RX3)を切り替えている。図17はSP5Tスイッチを使用した場合の例である。この場合、ダイプレクサDipは使用せず、全ての経路をスイッチのみで切り替えるようにする。尚、図15、図16において、GaAsSPDTスイッチの回路ブロックを適宜、PINダイオードを使用したSPDTスイッチに置き換えた構成とすることも可能である。このようにGaAsスイッチを用いてアンテナスイッチモジュールを構成したとしても、上記したPINダイオードを用いた実施例と同様に、高周波増幅器HPAとアンテナスイッチモジュールASMとの間の整合(位相)関係を上述した位相調整回路により、送信帯域において広帯域整合となし、且つ基本周波数帯域での挿入損失を最小に抑えた位相調整をすることによって高周波モジュール全体の特性を向上することができる。更に、上記の出力検出器の検出値に基づいて出力トランジスタのゲート電圧を制御するAPC回路をも含んだ一体化モジュールとして構成することもできる。
本発明の高周波モジュールは、アンテナスイッチモジュールと高周波増幅器の間にカプラ回路やアイソレータ回路を備えても良く、受信系経路にはSAWフィルタを挿入しても良い。上記した実施例では高周波増幅器の半導体チップに出力電力をモニタする機能を複合した場合で説明してきた。一方でカプラ回路により電力を検出する手法を用いた構成もありうる。この場合の実施例を図18及び図19を用いて説明する。図18に示すようにカプラCPLはアンテナスイッチモジュールのローパスフィルタLPFと高周波増幅器PAとの間に挿入して使用される。図19に示す高周波増幅器HPAからの高周波出力の伝送経路CSL1を主線路、出力電力の一部を取り出すための伝送線路CSL2を結合線路と一般に呼ぶ。また、結合線路の一端は出力モニタとして検波器へ送られ、高周波増幅器HPAの出力電力制御に用いられる。一方、他端は抵抗Rにて終端される。一般に50Ωで終端されるが、結合度、アイソレーションの調整をするため、適宜、変更することも可能である。このように構成した場合、高周波増幅器HPAとアンテナスイッチモジュールASMとの間にカプラが挿入されるため、この場合は高周波増幅器とアンテナスイッチモジュールとの相対位相の調整をするのではなく、高周波増幅器HPAとカプラCPLとの相対位相を上述した実施例のように位相調整回路を設け、送信帯域において広帯域整合となし、且つ基本周波数帯域での挿入損失を最小に抑えた調整を行う。この場合、カプラCPLとアンテナスイッチモジュールASMは所望特性が得られるように一体設計することが望ましい。更に望ましい改良手段としては、カプラCPLとアンテナスイッチモジュールASMとの相対位相も上述のように、送信帯域において広帯域整合となし、且つ基本周波数帯域での挿入損失を最小に抑えた整合関係へ調整すると言う本発明を実施することで全体特性は格段に向上する。
通常、カプラCPLを用いた場合は、カプラ回路による損失が0.2〜0.3dB程度発生するのが一般的である。しかしながら、高周波増幅器HPAとカプラ回路CPL及びアンテナスイッチモジュールASMを一つの積層体内に最適化設計することにより、従来の各回路を別々にプリント配線基板上に実装する場合と比較すると、25〜50%の小型化が達成でき、かつ、2〜7%程度の高効率化が達成できる。これにより、送信時の消費電力が少なくなり、バッテリーの持ちが良くなる。例えば一充電あたりの通話時間としては5〜15%程度の長期通話が可能となる。更に、上記カプラの検出値に基づいて出力トランジスタのゲート電圧を制御するAPC回路をも含んだ一体化モジュールとして構成することもできる。
上記した高周波アンテナスイッチモジュールと高周波増幅器を複合化した複合積層モジュールに共用のアンテナを接続し携帯電話などの無線通信機に用いることによって小型軽量化の要求に答えることが出来る。
また、本発明で用いられる送受信系システムとしては、上記した以外にもPDC800帯域(810〜960MHz)、GPS帯域(1575.42MHz)、PHS帯域(1895〜1920MHz)、Bluetooth帯域(2400〜2484MHz)や、米国で普及が見込まれるCDMA2000、中国で普及が見込まれるTD-SCDMA、欧州で普及が見込まれるW-CDMAなどを組み合わせたマルチバンドアンテナスイッチ回路の場合も同様の効果が期待できる。これらの場合の回路を用いてデュアルバンド、3バンド、4バンド、5バンド等のマルチモードマルチバンドの高周波アンテナスイッチ回路が得られる。
本発明の高周波部品あるいは高周波モジュールは、携帯電話やPDA等の情報端末などの通信機に利用できる。
本発明においてアンテナスイッチモジュール側の入力位相と高周波増幅器の入力側から見たインピーダンスの偏差を示す特性線図である。 本発明において図1のインピーダンスの位相調整範囲を示すスミスチャート上での説明図である。 本発明において基本周波数にけるアンテナスイッチモジュール側の入力位相と挿入損失を示す特性線図である。 本発明においてアンテナスイッチモジュールの入力インピーダンスの位相調整範囲を示すスミスチャート上での説明図である。 本発明において位相調整を検討したモデルのブロック図である。 本発明の一実施例を示すトリプルバンド用アンテナスイッチモジュールの等価回路図である。 本発明の一実施例を示す高周波増幅器の等価回路図である。 位相調整の一例を示す高周波増幅器の出力整合回路端子とアンテナスイッチモジュール側の送信端子付近の回路図である。 位相調整の手順を説明する簡略的なスミスチャートの説明図である。 位相調整の具体的手段の一つであるローパスフィルタを示す回路図である。 位相調整の具体的手段の一つであるハイパスフィルタを示す回路図である。 本発明による位相調整の実施例を示し、周波数と電力付加効率の特性を示す特性図である。 実施例の位相調整の状況を示すスミスチャート図である。 本発明の複合積層モジュールの一実施例を示す、誘電体グリーンシートの一部展開図である。 GaAsスイッチを用いてトリプルバンド用アンテナスイッチモジュールを構成した一実施例のブロック図である。 同じくGaAsスイッチを用いた実施例のブロック図である。 更に他のGaAsスイッチを用いた実施例のブロック図である。 アンテナスイッチモジュールと高周波増幅器の間にカプラ回路を挿入して構成した場合の実施例を示すブロック図である。 カプラ回路の一実施例を示す図である。 本発明のマルチバンド用アンテナスイッチモジュールの形態を説明するブロック図である。
符号の説明
ASM:アンテナスイッチモジュール(高周波スイッチモジュール)
HPA:ハイパワーアンプ(高周波増幅器)
Dip:ダイプレクサ(分波器)
SW:スイッチ回路
LPF:ローパスフィルタ回路
SAW:弾性表面波フィルタ
L、SL、ASL:インダクタ、伝送線路
C、Ca:コンデンサ
Q1、Q2:半導体スイッチング素子
SG:シールド電極
HG:スルーホールによるシールド電極

Claims (10)

  1. 高周波増幅器回路と、この高周波増幅器回路で増幅された高周波信号を処理する後段の高周波回路とを接続した高周波部品であって、
    前記高周波増幅器回路は、少なくとも半導体素子と、出力整合回路を備え、
    前記後段の高周波回路は、少なくとも、送信系と受信系を切り替えるスイッチ回路を備え、
    前記出力整合回路によって前記高周波増幅器回路と前記後段の高周波回路との接続におけるインピーダンス整合が取られるとともに、
    前記高周波増幅器回路と、前記後段の高周波回路との位相関係において、
    前記後段の高周波回路と前記出力整合回路とが接続される接続基準面から前記後段の高周波回路側を見たときの前記高周波信号の基本周波数帯域におけるインピーダンスZ2の位相θ2が、−125度〜90度の領域(ここで、−125度〜90度の領域とはスミスチャート上で0点から時計回りの−125度〜−180度の範囲と、反時計回りの90度〜180度の範囲をまとめて−125度〜90度とする)に位相調整されることにより、前記高周波信号の基本周波数帯域における周波数に対する前記出力整合回路の入力インピーダンスの変化が抑えられ、前記高周波増幅器回路と前記後段の高周波回路との前記高周波信号の基本周波数帯域における整合がとられるように、前記高周波増幅器回路と前記後段の高周波回路が一体化されて複合モジュール化されていることを特徴とする高周波部品。
  2. 前記接続基準面から前記高周波増幅器回路側を見たときの前記高周波信号の基本周波数帯域におけるインピーダンスZ1の位相θに対して共役整合の関係にある位相をθ1(−θ)としたとき、前記インピーダンスZ2の位相θ2がθ1±90度の領域内にあることを特徴とする請求項1に記載の高周波部品。
  3. 前記後段の高周波回路が、送信系と受信系を切り替えるスイッチ回路を少なくとも1つ有するスイッチモジュール回路であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波部品。
  4. 前記スイッチモジュール回路に、通過帯域が異なる複数の送受信系に信号を分波する分波回路を有することを特徴とする請求項3に記載の高周波部品。
  5. 前記スイッチモジュール回路に、ローパスフィルタを有することを特徴とする請求項3又は4に記載の高周波部品。
  6. 前記後段の高周波回路にカプラ回路、アイソレータ回路、フィルタ回路のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の高周波部品。
  7. 前記後段の高周波回路と前記高周波増幅器回路との間に位相調整回路を設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の高周波部品。
  8. 前記位相調整回路がLC回路であることを特徴とする請求項7記載の高周波部品。
  9. 前記高周波増幅器回路は、少なくとも半導体素子と電源供給回路と整合回路とを有し、前記電源供給回路と整合回路を構成する伝送線路及びLC回路の少なくとも一部は、電極パターンと誘電体層との積層体内に電極パターンにより構成され、前記半導体素子またはLC回路の一部を構成するチップ素子は前記積層体上に配置された高周波増幅器モジュール部にて構成され、
    前記後段の高周波回路は、送信系又は受信系との接続を切り替えるスイッチ回路を有し、前記スイッチ回路はスイッチング素子と伝送線路を主構成とし、前記スイッチ回路の伝送線路の少なくとも一部は、電極パターンと誘電体層との前記積層体内に電極パターンにより構成され、前記スイッチング素子またはLC回路の一部を構成するチップ素子は前記積層体上に配置されたスイッチモジュール部にて構成され、
    前記高周波増幅器モジュール部と前記スイッチモジュール部が一体に構成されてなる高周波モジュールであって、請求項1〜8の何れかに記載の高周波部品を構成していることを特徴とする高周波モジュール。
  10. 2つ以上の異なる周波数の信号を1つのアンテナを共用して送受信する通信機であって、請求項1〜8の何れかに記載の高周波部品あるいは請求項9に記載の高周波モジュールに1つの共用アンテナを接続して搭載したことを特徴とする通信機。
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