JP3872665B2 - 傾斜複合材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面から内部に指向してセラミックスの組成比が増加するとともに金属の組成比が減少する傾斜複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の加工分野で使用される加工工具、例えば、切削工具の刃具や圧延ロールには、硬度、耐摩耗性、耐熱性、耐酸化性、圧縮強度等に優れていることが要求される。このような観点から、近年では、加工工具を、コバルト(Co)粉末と炭化タングステン(WC)粉末が焼結されてなるWC−Co系超硬合金や、モリブデン(Mo)粉末と炭化チタン(TiC)粉末が焼結されてなるTiC系サーメット等、金属とセラミックスとを含有する複合材料から構成することが試みられている。圧延ロールを例として説明すれば、この種の複合材料を素材とする圧延ロールは上記の各特性をある程度は兼ね備えているので、一回の圧延加工における圧下率を大きくすることができるという利点がある。
【0003】
なお、刃具や圧延ロールの表面の硬度や耐摩耗性をさらに向上させるため、該表面に対し、物理的気相成長(PVD)法や化学的気相成長(CVD)法によってTiNやTiCからなる被膜が形成されることもある。
【0004】
圧延ロールが著しく摩耗した場合には、ワークを所定の厚みの板材に展延することが困難となるため、交換が必要となる。
【0005】
ところで、圧延ロールの寸法は、一般的なものでも直径1cm〜1m、長さ50cm〜1.5m程度であり、大きなものでは直径4m、長さ5mに及ぶこともある。一方、上記したような複合材料は小寸法のものでも高価であり、必然的に、前記のような寸法の複合材製圧延ロールはかなり高価である。このため、交換頻度が多くなると、複合材製圧延ロールの購入費が高騰して圧延加工コストも上昇してしまうという不具合を招く。したがって、複合材製圧延ロールには、通常の圧延ロールに比して耐摩耗性が優れていることが要求される。
【0006】
複合材製圧延ロールの耐摩耗性を向上させるには、セラミックスの組成比を高くすることによって該ロールの硬度を向上させればよい。しかしながら、この場合、該ロールの強度および靱性が低下し、その結果、該ロールに脆性破壊が生じ易くなるという不具合が惹起される。このような理由から、充分な耐摩耗性を有しながらも脆性破壊が生じにくい複合材製圧延ロールは、これまでのところ得られていない。
【0007】
また、PVD法やCVD法により被膜を形成する場合、被膜形成対象の大きさや形状に制約を受けるという不都合があるため、被膜を効率よく形成することができない。このため、複合材製圧延ロールの製造コストを上昇させ、結局、複合材製圧延ロールの価格をさらに高騰させてしまう。しかも、この被膜は、高応力下では容易に剥離してしまう。
【0008】
そこで、本出願人は、特開2000−301216号公報にて、表面から内部に指向してセラミックスの組成比が減少し、かつ金属の組成比が増加する傾斜複合材からなる圧延ロールを提案している。この場合、表面が高硬度であるので耐摩耗性に優れ、かつ内部が高靱性であるので割れや欠けが生じ難い圧延ロールを構成することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−301216号公報にて提案された圧延ロールには、表面が高硬度であるので仕上げ加工が容易ではないという不具合がある。この不具合を解消するためには、表面における金属の組成比を高めればよいと考えられる。周知のように、金属の組成比が高くなると加工性に富むようになるからである。
【0010】
この種の傾斜複合材は、例えば、100体積%の金属粒子、80体積%の金属粒子と20体積%のセラミックス粒子の混合粉末、60体積%の金属粒子と40体積%のセラミックス粒子の混合粉末、40体積%の金属粒子と60体積%のセラミックス粒子の混合粉末、20体積%の金属粒子と80体積%のセラミックス粒子の混合粉末、100体積%のセラミックス粒子、20体積%の金属粒子と80体積%のセラミックス粒子の混合粉末、40体積%の金属粒子と60体積%のセラミックス粒子の混合粉末、60体積%の金属粒子と40体積%のセラミックス粒子の混合粉末、80体積%の金属粒子と20体積%のセラミックス粒子の混合粉末、100体積%の金属粒子をこの順序で積層し、次いでこの積層体を焼結させることにより製造することができる。
【0011】
しかしながら、金属粒子の焼結可能な温度とセラミックス粒子の焼結可能な温度は周知のように大きく異なり、後者の方がより高温である。したがって、金属粒子が焼結可能な温度で上記積層体を焼結した場合には、セラミックス粒子が緻密化しないので低強度の傾斜複合材となる。一方、セラミックス粒子が焼結可能な温度で上記積層体を焼結した場合には、金属が融解してしまうので所望の形状の傾斜複合材を製造することができない。また、上記のように段階的に組成比が異なる積層体の焼結を行うと、緻密化速度や焼結に伴う収縮の度合いが各層において異なるために、焼結体(傾斜複合材)が変形する。さらに、焼結の際に、焼結体にクラックが発生することもある。
【0012】
すなわち、従来技術に係る傾斜複合材の製造方法には、実用に供することが可能な程度の硬度および靱性を兼ね備える傾斜複合材を所望の形状で製造することが著しく困難であるという不具合がある。
【0013】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、表面から内部に指向して金属の組成比が減少するとともにセラミックスの組成比が増加し、このために表面が高靱性でかつ内部が高硬度であり、容易に加工を施すことが可能な傾斜複合材の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、表面から内部に指向してセラミックスの組成比が増加するとともに金属の組成比が減少し、かつ内部に存在するセラミックス粒子が表面に存在するセラミックス粒子に比して大きく粒成長した傾斜複合材の製造方法であって、
W、Cr、Mo、Ti、V、Zr、Hf、ランタノイドの炭化物、窒化物または炭窒化物の群から選択された少なくとも1種のセラミックス粒子と、Fe、Ni、Coまたはこれらの中の2種以上で構成される合金の群から選択された少なくとも1種の金属粒子とが重量比で60:40〜97:3で混合されてなる混合粉末を成形して成形体とする成形工程と、
前記成形体を焼結して多孔質体とする一次焼結工程と、
前記多孔質体の内部に、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Mo、Tiまたはランタノイドを含む粒成長促進剤含有溶液を含浸させる含浸工程と、
前記粒成長促進剤含有溶液が含浸された前記多孔質体を窒素ガス雰囲気中で再焼結して緻密焼結体とする二次焼結工程と、
を有し、
前記一次焼結工程は、前記金属粒子同士が融着してネックが形成され、かつ前記セラミックス粒子同士が融着されない時点で終了され、
前記二次焼結工程では、昇温開始時から窒素ガスを導入することを特徴とする。
【0015】
この場合、二次焼結工程において、多孔質体の表面近傍に存在する金属粒子がセラミックス粒子に比して早期に粒成長を開始する。さらに、多孔質体の表面近傍に存在するセラミックス粒子は、窒素等の窒化ガスにより粒成長が抑制される。窒化ガスは、一般的にセラミックス粒子の粒成長を阻害するからである。その一方で、多孔質体の内部に存在するセラミックス粒子は、窒化ガスが到達し難いので粒成長が抑制されることはない。しかも、粒成長促進剤によって粒成長が促進される。このような理由から、金属粒子が表面に集中するような再配列が起こり、その結果、表面から内部に指向して金属の組成比が減少するとともにセラミックスの組成比が増加する傾斜複合材が得られる。
【0016】
なお、前記窒化ガスとしては、取り扱いの容易さや反応速度を容易に制御することができる等の点から、窒素が用いられる。
【0017】
このようにして得られた傾斜複合材は、金属に由来する靱性と、セラミックスに由来する硬度および強度とを兼ね備える。このため、割れや欠けが生じ難く、しかも、耐摩耗性が向上するとともに変形が生じ難い各種加工用工具を構成することができる。
【0018】
しかも、この傾斜複合材における金属の組成比は、表面で最も高い。換言すれば、加工 を施すことが最も容易な部位は表面である。このため、研削加工等の各種の機械加工を容易に施すことができ、結局、所望の寸法精度を有する製品を得ることができる。
【0019】
ワークに各種の機械加工を施すに際して充分な硬度、強度および靱性を有する加工工具とするためには、セラミックス粒子をW、Cr、Mo、Ti、V、Zr、Hf、ランタノイドの炭化物、窒化物または炭窒化物の群から選択された少なくとも1種とし、かつ金属粒子をFe、Ni、Coまたはこれらの中の2種以上で構成される合金の群から選択された少なくとも1種とする。さらに、金属粒子にCr、Mn、V、Tiの少なくとも1種を添加するようにしてもよい。この場合、セラミックス粒子と金属粒子との組成比は重量比で60:40〜97:3に設定される。金属が3重量部未満であると、靱性が乏しくなるので割れや欠けが生じ易くなるからである。また、40重量部を超えると、硬度や強度が低下するので耐摩耗性が乏しくなるとともにワークの加工時に変形が生じ易くなるからである。
【0020】
また、粒成長促進剤含有溶液に含有される粒成長促進剤としてはFe、Ni、Co、Mn、Cr、Mo、Tiまたはランタノイドを好適な例として挙げることができる。
【0021】
傾斜複合材の好適な例としては、圧延ロールを挙げることができる。圧延ロールを製造する場合、前記成形工程で、圧延ロールに対応する形状の成形体を作製するようにすればよい。この場合、寸法精度に優れた圧延ロールとするために、得られた緻密焼結体の表面を研削加工して圧延ロールとする仕上げ加工工程を行うことが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る傾斜複合材の製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、傾斜複合材として圧延ロールを例示して説明する。
【0023】
本実施の形態に係る圧延ロールの概略全体斜視図を図1に示すとともに、縦断面図を図2に示す。この圧延ロール10は、冷間圧延用工具であり、ロール部12と、該ロール部12の両端に設けられた小径な支持軸14a、14bとを有する。
【0024】
該圧延ロール10は、セラミックスと金属とを含む複合材で構成されている。そして、内部と表面とを比較すると、金属の組成比は表面の方が大きい。すなわち、圧延ロール10は、金属の組成比が比較的大きな金属リッチ部20が表面に設けられる一方で、金属リッチ部20に比して金属の組成比が小さくかつセラミックスの組成比が大きなセラミックスリッチ部22が内部に設けられ、さらに、金属リッチ部20とセラミックスリッチ部22との間に傾斜部24が設けられた形態となっている。なお、傾斜部24においては、金属リッチ部20側からセラミックスリッチ部22側に指向して金属の割合が漸減している。
【0025】
すなわち、圧延ロール10では、金属の組成比は、表面である内周壁部および外周壁部で最も高く、内部に指向して減少している。また、その逆に、セラミックスの組成比は表面である内周壁部および外周壁部で最も低く、内部に指向して増加している。
【0026】
圧延ロール10の構成材料であるセラミックスとしては、W、Cr、Mo、Ti、V、Zr、Hf、ランタノイドの炭化物、窒化物または炭窒化物の群から選択された少なくとも1種が好ましく、また、金属としては、Fe、Ni、Coまたはこれらの中の2種以上で構成される合金の群から選択された少なくとも1種が好ましい。金属には、これらに加え、Cr、Mn、V、Tiの少なくとも1種がさらに含有されていてもよい。上記したセラミックスおよび金属を構成材料とすることにより、実用上必要な強度、硬度および靱性を有する圧延ロール10を得ることができる。
【0027】
上記したセラミックスおよび金属を圧延ロール10の構成材料とする場合、セラミックスと金属との組成比は、60:40〜97:3(重量比、以下同じ)に設定される。金属が3重量部未満であると、靱性が乏しくなるので割れや欠けが生じ易くなる。また、40重量部を超えると、セラミックス量が少なくなるので硬度や強度が低下し、その結果、耐摩耗性が乏しくなるとともにワークに対して圧延加工を施す際に変形が生じ易くなる。
【0028】
なお、圧延ロール10として充分な耐摩耗性と靱性とを均衡させるためには、セラミックスと金属との組成比を85:15〜95:5とすることが好ましい。
【0029】
この圧延ロール10における金属の組成比は、表面で最も高い。このため、該表面に対して容易に加工を施すことができる。したがって、圧延ロール10の寸法精度を所望のものとすることができる。
【0030】
この圧延ロール10は、その過程がフローチャートとして図3に示される製造方法により製造することができる。図3に示されるように、この製造方法は、圧延ロール形状の成形体を得る成形工程S1と、前記成形体を焼結して多孔質体とする一次焼結工程S2と、前記多孔質体の内部に粒成長促進剤含有溶液を含浸する含浸工程S3と、前記多孔質体を再焼結して緻密焼結体とする二次焼結工程S4と、前記緻密焼結体に対して研削加工を施す仕上げ加工工程S5とを有する。
【0031】
まず、成形工程S1において、セラミックス粒子と金属粒子の混合粉末を調製する。
【0032】
上記した理由から、セラミックス粒子としては、W、Cr、Mo、Ti、V、Zr、Hf、ランタノイドの炭化物、窒化物または炭窒化物の群から選択された少なくとも1種が好ましく、また、金属粒子としては、Fe、Ni、Coまたはこれらの中の2種以上で構成される合金の群から選択された少なくとも1種が好ましい。さらに、Cr、Mn、V、Tiの少なくとも1種を添加するようにしてもよい。そして、混合粉末におけるセラミックス粒子と金属粒子との組成比は、最終的に得られる圧延ロール10におけるセラミックスと金属との組成比が60:40〜97:3となるように調整する。
【0033】
そして、この混合粉末に成形加重を加えて成形体を作製する。この際、成形荷重は、後述する一次焼結工程S2において多孔質体が得られるようにするため、金属粒子が塑性変形を起こさない程度に設定される。具体的には、成形荷重を100〜300MPa程度とすることが好ましい。この場合、金属粒子が塑性変形を起こすことを回避することができるので、成形体の開気孔が閉塞されることはない。
【0034】
この場合、圧延ロール10を製造するのであるから、成形体としては、圧延ロール10の形状に対応する形状のものを作製する。
【0035】
次いで、一次焼結工程S2において、開気孔が残留するように前記成形体を焼結して多孔質体とする。この時点で緻密焼結体とすると、含浸工程S3において粒成長促進剤含有溶液を内部に含浸させることが困難となるからである。
【0036】
したがって、一次焼結工程S2における焼結温度や時間は、金属粒子同士の融着が起こり、該金属粒子同士にネックが形成された状態で終了されるように設定される。すなわち、一次焼結工程S2では、セラミックス粒子同士は融着されない。このため、成形体が多孔質体になる過程においては、体積はほとんど変化しない。
【0037】
次いで、含浸工程S3において、粒成長促進剤を含有する粒成長促進剤含有溶液を前記多孔質体の内部に含浸させる。具体的には、粒成長促進剤含有溶液中に前記多孔質体を浸漬する。この浸漬により、粒成長促進剤含有溶液が多孔質体の開気孔を介してその内部へと浸透する。
【0038】
なお、粒成長促進剤は、二次焼結工程S4においてセラミックス粒子の粒成長を促進する物質であれば特に限定されるものではないが、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Mo、Tiまたはランタノイド等を好適な例として挙げることができる。粒成長促進剤含有溶液としては、上記した金属を含有する金属塩を溶媒に溶解したものや有機金属溶液を使用すればよい。
【0039】
この場合、粒成長促進剤は、溶媒中に分散または溶解されることにより単一分子またはイオンにまで解離される。したがって、含浸工程S3においては、単一分子またはイオンにまで解離された粒成長促進剤が多孔質体の内部に均一に分散される。このため、二次焼結工程S4におけるセラミックス粒子の粒成長は、多孔質体の表面から内部に亘り促進される。
【0040】
含浸工程S3を行った後には、自然放置により粒成長促進剤含有溶液を乾燥する。または、多孔質体を加熱して粒成長促進剤含有溶液を乾燥するようにしてもよい。
【0041】
次いで、二次焼結工程S4において、多孔質体を窒素等の窒化ガス雰囲気中で再焼結して緻密焼結体とする。なお、雰囲気とする窒化ガスは、二次焼結工程S4の昇温開始時から導入する。これにより、緻密焼結体(傾斜複合材)が得られる。
【0042】
二次焼結工程S4では、雰囲気である窒化ガスによって、多孔質体の表面近傍に存在するセラミックス粒子の粒成長が阻害される。その一方で、窒化ガスは多孔質体の内部には到達し難い。このため、内部に存在するセラミックス粒子の粒成長が窒化ガスによって阻害される度合いは、表面に比して小さい。しかも、内部に存在するセラミックス粒子の粒成長は、前記粒成長促進剤によって促進される。
【0043】
結局、二次焼結工程S4においては、多孔質体の表面ではセラミックス粒子の粒成長が抑制され、内部では促進される。その結果、金属粒子が表面近傍に集中するような再配列が起こる。すなわち、表面では金属の組成比が高く、内部ではセラミックスの組成比が高い傾斜複合材が得られる。
【0044】
このように、昇温開始時から窒化ガス雰囲気を導入して二次焼結工程S4を行うことにより、粒成長促進剤含有溶液が含浸された多孔質体の内部に存在するセラミックス粒子の粒成長の度合いを表面近傍に比して大きくすることができる。これに伴って金属粒子が再配列することにより、表面から内部に指向して金属の組成比が減少するとともにセラミックスの組成比が増加する傾斜複合材を得ることができる。
【0045】
最後に、仕上げ加工S5において、前記傾斜複合材の表面を研削加工することにより、セラミックスと金属との組成比が60:40〜97:3、好ましくは85:15〜95:5でありかつ製品としての寸法精度を有する圧延ロール10が得られるに至る。なお、研削加工における研削幅は、一般的には0.5〜数mm程度とすれば充分である。
【0046】
この仕上げ加工では、傾斜複合材の表面における金属の組成比が比較的高いので、該表面に対し研削加工を容易に施すことができる。すなわち、研削加工が施された後の圧延ロール10においては、高硬度でかつ高強度なセラミックスリッチ部24の厚みが著しく大きくなる。その一方で、該圧延ロール10の表面には金属リッチ部20が残存している。したがって、靱性、硬度、強度を兼ね備える圧延ロール10を得ることができる。
【0047】
なお、本実施の形態においては、成形工程S1と一次焼結工程S2とを個別に行っているが、熱間等圧成形(HIP)等のように、両工程S1、S2を同時に行うようにしてもよい。
【0048】
また、上記した実施の形態では、傾斜複合材として圧延ロール10を例示して説明したが、特にこれに限定されるものではなく、その他の加工工具や構造材等であってもよいことはいうまでもない。
【0049】
【実施例】
平均粒径1μmの炭化タングステン(WC)粒子を90重量部、平均粒径1μmのコバルト(Co)粒子10重量部を、ヘキサンを用いて湿式混合して混合粉末とした。次いで、この混合粉末を、静水圧加圧成形法にて100MPaの加圧力で成形しながら、窒素を30リットル/分で流通して900℃で30分間保持することにより直径15mm、長さ25mmの円柱状の多孔質体とした。なお、成形は、前記金型のクリアランスを介してキャビティからヘキサンを排出しながら行った。
【0050】
次いで、この多孔質体を濃度10%のNiイオン溶液に3分間浸漬することにより、多孔質体の内部にNiイオンを分散させた。さらに、多孔質体を90℃で1時間保持することにより乾燥した。
【0051】
次いで、前記多孔質体を、窒素雰囲気中において図4に示すパターンで再焼結することにより緻密焼結体(傾斜複合材)を得た。得られた傾斜複合材を切断して電子顕微鏡により観察したところ、表面に存在するセラミックス粒子は丸みを帯びた微細なものであり、一方、内部に存在するセラミックス粒子は大きく粒成長していることが認められた。
【0052】
また、機器分析を行ったところ、表面から内部に指向して金属の組成比が減少しているとともに、セラミックスの組成比が増加していることが認められた。さらに、表面近傍のWCが窒化され、タングステンの炭窒化物が生成していることが確認された。表面のセラミックス粒子が丸みを帯びているのは、このためであると考えられる。
【0053】
この傾斜複合材の断面につき、表面から内部に亘ってビッカース硬度およびAスケールのロックウェル硬度を測定した。結果を図5に示す。この図5から、得られた傾斜複合材においては、表面から内部に指向して硬度が上昇していることが明らかである。
【0054】
また、平均粒径3μmのWC粒子が93重量%、平均粒径0.8μmのCo粒子が7重量%となるように秤量し、ヘキサンを用いて両粒子を湿式混合して混合粉末とした。そして、ヘキサンが9重量%となるまで乾燥した後、金型内静水加圧法にて100MPaの加圧力でこの混合粉末を直径80mm×長さ320mmの円柱体形状に成形した。なお、成形は、前記金型のクリアランスを介してキャビティからヘキサンを排出しながら行った。
【0055】
次いで、この円柱状成形体を窒素雰囲気下において900℃で30分間保持することにより、多孔質体とした。
【0056】
さらに、該多孔質体を濃度10%の硝酸ニッケル水溶液に浸漬することによって多孔質体の内部にNiイオンを分散させた後、130℃で2時間保持することにより乾燥させた。
【0057】
そして、この多孔質体を窒素雰囲気下において1400℃で2時間保持することにより、WC粒子を粒成長させた。すなわち、WCとCoの焼結体からなる複合材製円柱体を得た。これを実施例1とする。なお、窒素は、昇温を開始した時点から導入した。
【0058】
また、WC粒子を90重量%、Co粒子を3重量%、平均粒径0.4μmのNi粒子を5重量%、平均粒径5μmのCr粒子を2重量%として混合粉末を得たことを除いては実施例1に準拠して、WC、Co、NiおよびCrの焼結体からなる複合材製円柱体を作製した。これを実施例2とする。
【0059】
これら実施例1、2の複合材製円柱体につき、表面からの距離とビッカース硬度との関係を調べた。結果を図6に示す。図6から、実施例1、2の複合材製円柱体においては、表面から内部に指向して硬度が上昇していることが明らかである。この理由は、表面から内部に指向してセラミックスの組成比が増加しているためである。
【0060】
さらに、比較のため、WC粒子、Co粒子、Ni粒子、Cr粒子の割合を図7に示すように変化させて混合粉末とした。そして、実施例1、2に準拠して同一寸法の円柱状成形体とした後、該円柱状成形体を窒素雰囲気下において1400℃で2時間保持することによって複合材製円柱体とした。これらをそれぞれ比較例1〜4とする。なお、図7には、実施例1、2における混合粉末の組成も併せて示した。また、実施例1および比較例3、4の組成は、複合材製圧延ロールの原材料として採用されている超硬合金の組成に相当するものである。
【0061】
以上の各複合材製円柱体の側周壁部に対し、表面から深さ0.2mmまでを全周に亘って切削除去した。この切削除去後に露呈した表面につき、温度とAスケールのロックウェル硬度との関係を調べた。高硬度であるほど耐摩耗性に優れた材料であることを表す。結果を図8に示す。この図8から、実施例1、2の複合材製円柱体は、全温度領域に亘って比較例1〜4の複合材製円柱体よりも著しく高い硬度を示すこと、すなわち、耐摩耗性が優れていることが明らかである。
【0062】
また、実施例1および比較例1の各複合材製円柱体につき、大越式摩耗試験機にて、低炭素鋼を相手材とする摩耗試験を行った。すべり距離と摩耗量との関係をグラフにして図9に示す。図9から、金属の割合が同一であるにも関わらず、実施例1の複合材製円柱体の方が著しく優れた耐摩耗性を有することが分かる。
【0063】
さらに、実施例1、2および比較例1、2の各複合材製円柱体につき、抗折強度を測定した。実施例1、比較例1については、ヤング率も測定した。結果を図7に併せて示す。この測定結果から、粒成長促進剤含有溶液を含浸させた後に窒化ガス雰囲気下で焼結させることにより金属およびセラミックスの組成比を傾斜的に変化させることができ、その結果、一般的な複合材に比して強度およびヤング率を向上させることができるということがいえる。
【0064】
以上の結果から、粒成長促進剤含有溶液を含浸させた後に窒化ガス雰囲気下で焼結させることによって、耐摩耗性に優れ、かつ高強度でヤング率も大きな傾斜複合材を得ることができることが諒解される。そして、該傾斜複合材の耐摩耗性、強度、ヤング率等は、該傾斜複合材を圧延ロールとする際に充分な値である。すなわち、この傾斜複合材を使用することによって、交換頻度が少なくかつ脆性破壊が生じ難い上、ワークに対して効率よく圧延加工を施すことが可能な圧延ロールを得ることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る傾斜複合材の製造方法によれば、粒成長促進剤含有溶液が含浸された多孔質体を窒素等の窒化ガス雰囲気中で再焼結して緻密焼結体(傾斜複合材)とするようにしている。この場合、多孔質体の表面近傍に存在するセラミックス粒子は窒素により粒成長が抑制され、一方、内部に存在するセラミックス粒子は粒成長促進剤により粒成長が促進される。このために金属粒子が表面に集中するような再配列が起こり、その結果、表面から内部に指向して金属の組成比が減少するとともにセラミックスの組成比が増加する傾斜複合材、すなわち、表面が高靱性でかつ内部が高硬度の傾斜複合材を得ることができるという効果が達成される。
【0066】
このようにして得られた傾斜複合材は、靱性、強度および硬度等の諸特性に優れる。このため、例えば、耐摩耗性に優れるとともに割れや欠けが生じ難い圧延ロールを容易に構成することができる。しかも、この傾斜複合材における金属の組成比は表面で最も高いので、研削加工等の機械加工を容易に施すことができ、結局、寸法精度の良好な製品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る圧延ロール(傾斜複合材)の概略全体斜視図である。
【図2】 図1の圧延ロールの縦断面図である。
【図3】 本実施の形態に係る傾斜複合材の製造方法のフローチャートである。
【図4】 二次焼結工程を行う際の温度パターンを示すグラフである。
【図5】 得られた傾斜複合材における硬度の変化を表面から内部に指向して示すグラフである。
【図6】 実施例1、2の複合材製円柱体における表面からの距離とビッカース硬度との関係を示すグラフである。
【図7】 実施例1、2および比較例1〜4の焼結体(複合材製円柱体)における原料粒子の組成比と、抗折強度およびヤング率とを示す図表である。
【図8】 実施例1、2および比較例1〜4の複合材製円柱体における温度とAスケールのロックウェル硬度との関係を示すグラフである。
【図9】 実施例1および比較例1の複合材製円柱体におけるすべり距離と摩耗量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…圧延ロール 12…ロール部
14a、14b…支持軸 20…金属リッチ部
22…セラミックスリッチ部 24…傾斜部
Claims (4)
- 表面から内部に指向してセラミックスの組成比が増加するとともに金属の組成比が減少し、かつ内部に存在するセラミックス粒子が表面に存在するセラミックス粒子に比して大きく粒成長した傾斜複合材の製造方法であって、
W、Cr、Mo、Ti、V、Zr、Hf、ランタノイドの炭化物、窒化物または炭窒化物の群から選択された少なくとも1種のセラミックス粒子と、Fe、Ni、Coまたはこれらの中の2種以上で構成される合金の群から選択された少なくとも1種の金属粒子とが重量比で60:40〜97:3で混合されてなる混合粉末を成形して成形体とする成形工程と、
前記成形体を焼結して多孔質体とする一次焼結工程と、
前記多孔質体の内部に、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Mo、Tiまたはランタノイドを含む粒成長促進剤含有溶液を含浸させる含浸工程と、
前記粒成長促進剤含有溶液が含浸された前記多孔質体を窒素ガス雰囲気中で再焼結して緻密焼結体とする二次焼結工程と、
を有し、
前記一次焼結工程は、前記金属粒子同士が融着してネックが形成され、かつ前記セラミックス粒子同士が融着されない時点で終了され、
前記二次焼結工程では、昇温開始時から窒素ガスを導入することを特徴とする傾斜複合材の製造方法。 - 請求項1記載の製造方法において、前記金属にさらにCr、Mn、V、Tiの少なくとも1種を混合することを特徴とする傾斜複合材の製造方法。
- 請求項1または2記載の製造方法において、前記成形工程で、圧延ロールに対応する形状の成形体を作製することを特徴とする傾斜複合材の製造方法。
- 請求項3記載の製造方法において、得られた緻密焼結体の表面を研削加工して圧延ロールとする仕上げ加工工程を有することを特徴とする傾斜複合材の製造方法。
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