JP3703621B2 - 易水分散性カーボンブラック及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散性能に優れ、水中へ容易かつ安定に分散させることができ、例えば黒色系水性インキ用顔料などとして好適に用いることのできる易水分散性カーボンブラック及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることが極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボキシル基やヒドロキシル基などの親水性の水素含有官能基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性顔料インキなどに使用する場合にはカーボンブラックの表面性状を改質して水分散性能の向上を図る必要がある。
【0003】
水性顔料インキは筆記具をはじめ、特に近年ではインクジェットプリンター用の記録液などとして注目されており、例えば特開平3−97770号公報には、水性媒体、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及び一次粒子径が20〜40nm、DBP吸油量が40〜120ml/100g 、pHが7.0以上であるカーボンブラックを含有することを特徴とするインキジェット用記録液が提案されている。これは、分散剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルを用いることにより記録液の保存安定性の向上を図るもので、対象となるカーボンブラックには市販品が用いられ、カーボンブラックの変性については何ら意図されていない。
【0004】
また、カーボンブラックを酸化処理して表面に親水性の官能基を形成することによりカーボンブラックの水中への分散性を改良することは古くから知られている。例えば特開昭48−18186号公報にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離捕集するにあたり有機溶剤で洗浄することを特徴とする酸化カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボンブラックの製造方法が開示されている。
【0005】
更に、特開平8−3498号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されており、また、特開平8−319444号公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示されている。
【0006】
上記の特開平8−3498号公報及び特開平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有させることにより、水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状態を維持するためには、カーボンブラック粒子表面と水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きな機能を果たし、単にカーボンブラック単位重量当たりの官能基量では分散性の良否を的確に判断することは困難である。そこで、本発明者らは分散性能の良否を的確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目した。
【0008】
そして、カーボンブラックの表面に存在する官能基のうち親水性の水素含有官能基としてカルボキシル基とヒドロキシル基に注目し、その総和量を特定値以上に設定制御すれば水中における分散性能の向上を図ることができることを見出した。
【0009】
更に、本発明者らは水中におけるカーボンブラックの分散状態について詳細に研究を進めた結果、上記親水性の水素含有官能基量の他に、水中におけるカーボンブラック粒子の凝集形態が水中への易分散性や分散安定性などの分散性能の向上を図る上で重要な機能を果たすことを見出した。
【0010】
本発明はこれらの知見に基づいて完成したもので、その目的は、例えば水性黒色インキなどの顔料として有用される水中への分散性能に優れた易水分散性カーボンブラック及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による易水分散性カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックであって、
(1)カーボンブラックのアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.1〜1.5、
(2)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が40〜140(nm)、
(3)アグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値が250(nm)以下、
であり、かつ表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が単位表面積当たり3μeq/m2以上の特性を備えることを構成上の特徴とする。
但し、Dstは遠心沈降法によるアグリゲートストークス相当径分布における最大頻度のストークス相当径、Dupa50%はカーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し散乱光の周波数変調度合から作成したアグロメレート粒径の累積度数分布曲線における50%累積度数の値を、Dupa99%は同分布曲線における99%累積度数の値を示す。
【0012】
また、その製造方法は、窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックを乾式状態下で摩砕処理してDupa50%/Dstを1.1〜1.5、Dupa50%を40〜140(nm)、Dupa99%を250(nm)以下、の値にアグロメレートを解砕したのち、酸化処理してカーボンブラック粒子表面に生成する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量を単位表面積当たり3μeq/m2以上の値に酸化改質することを構成上の特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において対象とするカーボンブラックの特性として、窒素吸着比表面積(N2SA)を50m2/g以上、DBP吸油量を80ml/100g 以下に限定するのは、優れた分散性能を付与するための前提要件となるものである。すなわち、カーボンブラックを水中に分散する場合、その比表面積が小さいと水分子と接触する界面の面積も小さくなるので分散性が低下し、また、DBP吸油量が大きい、すなわちストラクチャー水準が高いと水中に分散した状態におけるカーボンブラックの凝集単位も大きくなり、長期に亘る分散時において沈降し易くなり分散安定性が低下する。
【0014】
すなわち、例えば水性インキ用の黒色顔料としてインキジェット用顔料に用いる場合、濾過性(インキの吐出安定性)と紙定着濃度(紙印字濃度)をバランスよく付与するために窒素吸着比表面積(N2SA)は50m2/g以上、DBP給油量は80ml/100g 以下に設定される。更にインキの保存安定性や濾過性(インキの吐出安定性)を向上させるためには窒素吸着比表面積(N2SA)を80m2/g以上、DBP給油量を70ml/100g 以下に設定することが好ましい。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はASTM D3037-88 Method B 、DBP吸油量はJIS K6221-82 A法により測定される値である。
【0015】
カーボンブラックを水中に分散させる場合、水中への分散が容易で、その分散状態を安定に維持するためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集形態で水中に分散し、かつ再凝集して大きな凝集形態を形成し難いことが必要である。すなわち、カーボンブラックの凝集形態は、数個から数十個のカーボンブラックの基本微粒子が不規則で複雑な鎖状に融着結合して凝集体(アグリゲート)を形成し、更にこれらのアグリゲートが相互に絡み合ったり、付着して再凝集した集合体(アグロメレート)から構成されている。
【0016】
したがって、水中に分散したカーボンブラックの凝集形態としては、カーボンブラックの最小凝集単位であるアグリゲートの状態で水中に分散し、アグリゲートが再凝集した集合体であるアグロメレートがより少ない分散状態が、分散性能を向上させるために有効であり、アグロメレートが存在しない分散状態が理想的なものとなる。しかしながら、複雑な三次元形態を示すアグリゲートは絡み合って再凝集し易く、アグロメレートの存在しない分散状態を得ることは不可能に近い。
【0017】
そこで、本発明においては水分散液中におけるアグロメレートの存在比率を表す指標として、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstを策定し、その値を1.1〜1.5の範囲に設定するものである。なお、Dst(nm)は遠心沈降法によるアグリゲートストークス相当径分布における最大頻度のストークス相当径、Dupa50%(nm)はカーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し、散乱光の周波数変調度合から作成したアグロメレート粒径の累積度数分布曲線における50%累積度数の値であり、アグロメレート粒径の平均的な大きさを示すものである。
【0018】
水中に分散しているカーボンブラックの凝集形態を示す指標であるDupa50%/Dstの値は、大きい程分散しているカーボンブラックの凝集形態はアグロメレートの比率が高く、この値が小さい程アグロメレートの比率が低く、アグリゲートの割合が多いことを示している。そして、Dupa50%/Dstの値が1に近いほどアグリゲートの状態でミクロ分散している度合いが大きく、アグロメレートが全て解きほぐされた理想的な分散状態下では、Dupa50%はDstに一致してDupa50%/Dst=1となる。しかしながら、上述したようにアグリゲートは再凝集し易いためにアグロメレートの存在しない分散状態を形成することは不可能に近く、本発明においてはカーボンブラックを摩砕処理することにより、このDupa50%/Dstの値を1.1〜1.5の範囲に設定するものである。Dupa50%/Dstが1.5を越える凝集形態ではアグリゲートが集合して再凝集したアグロメレートの比率が高く、安定な分散状態を維持し難くなる。
【0019】
また、アグリゲートが集合して再凝集したアグロメレートの粒径はアグリゲートの集合個数と関連し、アグロメレートの粒径が大きい程凝集体をミクロな状態に分散させることが困難となり、更に安定な分散状態を得ることが難しくなる。本発明はこのアグロメレートの粒径を表す指標として、平均的な大きさを示す指標である平均粒径Dupa50%を、また粒径分布における最大粒径を示す指標である最大粒径Dupa99%を各定義し、平均粒径Dupa50%の値を40〜140nmの範囲に、最大粒径Dupa99%の値を250nm以下に各設定するものである。なお、これらの値はカーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し、散乱光の周波数変調度合からアグロメレート粒径の累積度数分布曲線を作成し、該分布曲線から50%累積度数の値をDupa50%、99%累積度数の値をDupa99%として測定した値が用いられる。
【0020】
すなわち、平均粒径Dupa50%の値が40nmを下回る凝集形態はアグロメレートの粒径が小さく、相対的にアグリゲートの集合個数も少ないので安定な分散状態を保持することができる。しかしながら、通常の手段ではこのような凝集形態にアグロメレートを解きほぐすことが困難であり、またインキジェット用などの顔料に用いた場合には紙定着濃度(紙印字濃度)が低下して好ましくない。そこで平均粒径Dupa50%の下限値を40nmに設定したもので、一方、アグロメレートの平均粒径が大きく、Dupa50%の値が140nmを越える場合には安定な分散状態を維持することが難しくなる。
【0021】
また、アグロメレートの分布における最大粒径であるDupa99%の値が250nmを越える大きな凝集体が存在すると、分散性能および濾過性能を劣化させる原因となり、分散状態の安定維持が困難となる。すなわち、大きなアグロメレートは水中へ均一に分散させることが難しく、更に分散水中において沈降し易い上に他のアグロメレートと絡み合ってより大きな凝集体を形成し易いためである。
【0022】
上記の特性Dst及びDupa は、下記の測定方法によって得られた値が用いられる。
(1)アグリゲートのストークスモード径Dst(nm):
JIS K6221(1982) 5「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度100mg/lの分散液を作成し、これを超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobel 社製)を6000rpm の回転数に設定し、スピン液(2重量%グリセリン水溶液、25℃)を15ml加えた後、1mlのバッファー液(20容量%エタノール水溶液、25℃)を注入する。次いで、温度25℃のカーボンブラック分散液0.5mlを注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸:カーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時間、縦軸:カーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応するストークス相当径を算出する。
【0023】
【数1】
【0024】
数1において、ηはスピン液の粘度(0.935 cp)、Nはディスク回転スピード(6000 rpm)、r1 はカーボンブラック分散液注入点の半径(4.56 cm) 、r2 は吸光度測定点までの半径(4.82 cm) 、ρCBはカーボンブラックの密度(g/cm3) 、ρ1 はスピン液の密度(1.00178 g/cm3) である。
【0025】
このようにして得られたストークス相当径と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストークス相当径を、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とする。
【0026】
(2)アグロメレートの平均粒径Dupa50%、最大粒径Dupa99%(nm):
カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5g/l の分散液を調製し、ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA mode19340)を用いて分散液にレーザー光を照射して、散乱光の周波数変調の度合いから分散液中のアグロメレートの粒径を測定する。分散液中のカーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大きさにより散乱光の周波数が変調する。したがって、凝集体の大きさによるブラウン運動の激しさが異なることから、水中に分散している状態における凝集体の大きさ、すなわちアグロメレートの粒径を測定することができる。このようにして測定したアグロメレート粒径からその累積度数分布曲線を作成し、50%累積度数の値をアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とする。
【0027】
本発明の易水分散性カーボンブラックは上記特定したアグリゲートが再凝集したアグロメレートの凝集形態に加えて、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が単位表面積当たり3μeq/m2以上の値に酸化処理されたものである。カーボンブラックは酸化処理を受けると表面に各種の官能基、例えばカルボキシル基(−COOH)、ヒドロキシル基(−OH)、ヒドロニウム基(−H)、キノン基(>C=O)などの官能基が生成する。
【0028】
これらの官能基のうち水分子との親和性が高く、水中において安定な分散状態を形成維持するためには、活性水素を含むカルボキシル基(−COOH)及びヒドロキシル基(−OH)の存在量が大きく機能する。すなわち、ヒドロニウム基(−H)は不安定であり、キノン基(>C=O)は水分子との親和性が小さいのでむしろ水中への分散性を阻害する要因となる。
【0029】
また、カーボンブラックが水中に分散する過程においては、カーボンブラックと水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が重要な機能を果たし、カーボンブラック単位重量当たりの官能基量では分散性の良否を的確に評価することはできない。そこで本発明の易水分散性カーボンブラックでは、カーボンブラック単位表面積当たりに存在する水素含有官能基量を指標とするものである。すなわち、水中への分散性に大きく機能するカルボキシル基とヒドロキシル基のカーボンブラック粒子表面に存在する総和量を3μeq/m2以上に設定するものである。この値が3μeq/m2を下回る場合には親水性の官能基が少ないために分散性能の向上を図ることが困難である。
【0030】
なお、これらの官能基は下記の方法により測定した値が用いられる。
▲1▼カルボキシル基量:
0.976N炭酸水素ナトリウム50ml中にカーボンブラック2〜5g を添加して6時間振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾別し、濾液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基を測定する。この測定値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA ;m2/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたカルボキシル基量(μeq/m2)とする。
【0031】
▲2▼ヒドロキシル基量:
2、2′-Diphenyl-1-picrylhydrazyl(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して濃度5×10-4mol/l の溶液を作成し、該溶液にカーボンブラックを0.1〜0.6g 添加し、60℃の恒温槽中で6時間撹拌する。その後、反応液からカーボンブラックを濾別し、濾液を紫外線吸光光度計によりヒドロキシル基を測定する。このようにして測定した値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA ;m2/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたヒドロキシル基量(μeq/m2)とする。
【0032】
上記の特性を備えた本発明の易水分散性カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックを乾式状態下で摩砕処理したのち、酸化処理することにより製造することができる。
【0033】
摩砕処理はカーボンブラックに適度の力を加えてアグリゲートが絡み合い再凝集したアグロメレートの一部を解きほぐし、その凝集形態を変えるために行うものである。すなわち、摩砕処理により凝集体のアグロメレートの一部は解きほぐされてアグロメレートの粒径が低下し、その結果所定の凝集形態に解砕することができる。具体的には、本発明の易水分散性カーボンブラックの凝集形態であるDupa50%/Dstの値を1.1〜1.5に、Dupa50%の値を40〜140(nm)に、Dupa99%の値を250(nm)以下の値にアグロメレートを解砕するものである。
【0034】
摩砕処理は乾式状態下に行い、例えばボールミル、サンドミル、ジェットミルなどの適宜な粉砕機を用いて粉砕することにより行うことができる。そして摩砕時間やカーボンブラックチャージ量などの摩砕条件を適宜設定変更することにより、所定の凝集形態に解砕される。摩砕処理は大気雰囲気などの乾式状態下に行い、アグロメレートが解砕される過程においてカーボンブラック粒子表面に均一に官能基が生成し、例えばpHは概ね中性領域から2〜4程度に変化する。
【0035】
摩砕処理して所定の凝集形態に解砕したカーボンブラックは、次いで酸化処理される。酸化処理は、カーボンブラック粒子表面にカルボキシル基やヒドロキシル基などの水素含有官能基を生成するために行うものであり、酸化処理方法は特に制限されるものではなく湿式酸化、乾式酸化いずれの方法も適用することができる。
【0036】
酸化処理に用いる酸化剤も特に制限されるものではなく、酸素、オゾンやハロゲン酸、過硫酸などの通常用いられる酸化剤を用いることができ、酸化処理によりカーボンブラック粒子表面にカルボキシル基やヒドロキシル基などの官能基が生成する。この場合、カルボキシル基やヒドロキシル基などの末端水素原子の一部あるいは全てを塩に置換すると水への分散性が向上するので好ましい。したがって、酸化剤としては次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩などの塩類が好ましく用いられ、塩としては、例えばアンモニウム塩やナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩が好ましい。
【0037】
酸化処理は次のようにして行う。例えば湿式酸化処理する場合、酸化剤を適宜な濃度に調整した水溶液中にカーボンブラックを入れて撹拌混合し、反応温度、反応時間、撹拌速度などを適宜に設定して酸化処理を行い、所定の酸化処理を施したのち限外濾過あるいは電気透析などの手段により脱塩処理及び濃縮処理を行う。次いで中和処理した後濾別し、分離したカーボンブラックは水洗洗浄し、乾燥することにより本発明の易水分散性カーボンブラックが製造される。
【0038】
なお、中和処理は脱塩後のカーボンブラック分散液が強酸性の場合はアルカリ溶液あるいはアルカノールにより中和する。アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属、アンモニア、アルカノールアミンとしてはモノ、ジ及びトリエタノールアミン等が、またカーボンブラック分散液が強塩基性の場合には塩酸、硫酸、硝酸等の酸が用いられる。中和処理はpHを5〜8程度に調整することが好ましい。
【0039】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0040】
実施例1
窒素吸着比表面積(N2SA)92m2/g、DBP吸油量72ml/100g のカーボンブラック500g を、ボール(25φ;30 個、30φ;30 個、ロッド 10t×20×50mm;3個)とともにボールミルポット(内容積 7.3リットル)に入れ、大気雰囲気中で48時間転動させて摩砕処理した。次いで、濃度1.5Nの過硫酸アンモニウム水溶液3000ml中に摩砕処理したカーボンブラック150g を入れて、温度60℃、回転数300 rpmで10時間撹拌混合して酸化処理した。次いで、限外濾過膜により脱塩及び濃縮処理し、更に水酸化ナトリウム水溶液(濃度 0.5N)で中和処理したのち、濾過してカーボンブラックを分離し、水洗乾燥を行って易水分散性カーボンブラックを製造した。
【0041】
実施例2〜4、比較例1〜3
窒素吸着比表面積(N2SA)及びDBP吸油量の異なるカーボンブラックを用い、実施例1で用いたボールミルポットにカーボンブラック及びボールの装填量を変えてチャージし、また処理時間を変えて摩砕処理した。このようにして異なる摩砕条件でアグロメレートを解砕し、凝集形態の異なるカーボンブラックを調製した。これらのカーボンブラックを濃度1.5Nの過硫酸アンモニウム水溶液3000ml中に量を変えて添加し、温度、回転数、撹拌時間を変えて酸化処理したのち実施例1と同一の方法により脱塩、濃縮、中和処理し、濾別した後水洗乾燥して異なる条件で摩砕処理及び酸化処理を施したカーボンブラックを製造した。
【0042】
このようにして得た各カーボンブラックについて、窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸油量、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)、アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)及び最大粒径Dupa99%(nm)、またカルボキシル基(C基)及びヒドロキシル基(H基)を測定した。得られた結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
次に、これらのカーボンブラックの水への分散性能を評価するためにカーボンブラックを水中に分散させて、分散濃度が20重量%に調整した分散液について下記の方法で試験を行って、その分散性能を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0045】
(a)粘度の測定;
サンプルを密閉容器に入れ、70℃の温度に保持して1、2、3及び4週間経過後の粘度を測定して、加温時の分散安定性を比較した。なお、粘度は回転振動式粘度計〔山一電機(株)製、VM-100A-L 〕により測定した。
【0046】
(b)アグロメレートの平均粒径Dupa50%、最大粒径Dupa99%の測定;
70℃の温度に保持して1、2、3及び4週間経過後の分散液中におけるアグロメレート粒径を測定してアグロメレート粒径の累積度数分布曲線を作成し、アグロメレートの平均粒径Dupa50%、最大粒径Dupa99%を測定して、その変化を比較した。
【0047】
(c)濾過性;
分散液を90φの濾紙(NO.2)及び膜孔径 3μm 、0.8 μm 、0.65μm 、0.45μm のフィルターを用いて20Torrの減圧下で濾過試験を行い、通過量を比較した。
【0048】
(d)印字濃度;
分散液をカーボンブラック濃度3重量%に希釈し、コピー紙としてXEROX 4024紙を使用し、これに#6バーコーダにより印字して、マクベス濃度計(コルモーゲン社製 RD-927 )を用いて光学濃度を測定した。
【0049】
【表2】
【0050】
表1及び表2の結果から、カーボンブラックの物性が本発明の特性要件を充足する易水分散性のカーボンブラックを水中に分散させた実施例1〜4の分散液は70℃の温度に4週間保持した際にもアグロメレートの凝集形態の変化及び粘度変化は殆ど認められず、むしろ若干低下傾向にある。これに対して、本発明の特性要件の少なくとも1つを外れる比較例1〜3の分散液では粘度が経時的に増大し、特にアグロメレートの大きい比較例3では酸化処理を施さず親水性の水素含有官能基量が少ないこともあって1週間経過時点でゲル化が生じていた。また、比較例1〜2においても経時的にアグロメレートの再凝集が生じていることが認められ、濾過性の低下も著しことが判る。なお、実施例の分散液は印字濃度は若干低めであるが黒色系水性インキとして問題になる値でなく、保存安定性や濾過性等において極めて優れていることが判明する。
【0051】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、水中に容易に分散することができ、また長期に亘って安定した分散状態を維持できる分散性能の優れた易水分散性カーボンブラックが提供される。したがって、この易水分散性カーボンブラックを水中に分散させた水性顔料は、例えばインキジェットプリンターなどに用いられる記録液として吐出安定性に優れ、紙定着濃度、印字品位、保存安定性などが良好であり、更にカーボンブラックを顔料としているので耐光性も優れており、インキジェットプリンター用の記録液をはじめ、各種筆記具など、広い用途分野で用いる水性顔料インキとして極めて有用である。また、本発明の易水分散性カーボンブラックの製造方法によれば、上記の優れた分散性能を有する易水分散性カーボンブラックを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるストークス相当径と吸光度の関係を示す分布曲線である。
Claims (2)
- 窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックであって、
(1)カーボンブラックのアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.1〜1.5、
(2)アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が40〜140(nm)、
(3)アグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値が250(nm)以下、
であり、かつ表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が単位表面積当たり3μeq/m2以上の特性を備えることを特徴とする易水分散性カーボンブラック。
但し、Dstは遠心沈降法によるアグリゲートストークス相当径分布における最大頻度のストークス相当径、Dupa50%はカーボンブラックの水分散液にレーザー光を照射し散乱光の周波数変調度合から作成したアグロメレート粒径の累積度数分布曲線における50%累積度数の値を、Dupa99%は同分布曲線における99%累積度数の値を示す。 - 窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックを乾式状態下で摩砕処理してDupa50%/Dstを1.1〜1.5、Dupa50%を40〜140(nm)、Dupa99%を250(nm)以下、の値にアグロメレートを解砕したのち、酸化処理してカーボンブラック粒子表面に生成する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量を単位表面積当たり3μeq/m2以上の値に酸化改質することを特徴とする易水分散性カーボンブラックの製造方法。
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-
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