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JP3687995B2 - 人工血管及びその製造方法 - Google Patents

人工血管及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、血管疾患の治療に際して、生体血管のバイパス術や置換術に使用される人工血管に関するものである。更に詳しくは、生体血管の内弾性板に類似した構造を人工血管の内腔面に形成することによって、血液の凝固と血漿蛋白の付着を抑制し、小口径でも内膜肥厚を起こさず、高い開存性を有する人工血管及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活の向上による糖尿病の増加や高齢化などにより、閉塞性動脈硬化症などの血管疾患が増加してきており、代用血管を用いた血行再建術が盛んに行われている。このような状況の中で様々な人工血管が開発されており、胸部大動脈や腹部大動脈、大腿動脈等の再建に使用できる、内径7〜38mmの大口径人工血管は既に実用化されている。しかしながら、虚血性心疾患の患者の救命の為の冠状動脈の再建や膝下の膝窩動脈や脛骨動脈の再建には、専ら自家内胸動脈や大伏在静脈に頼っており、内径3〜6mmの小口径人工血管の開発が望まれているが、これらの再建に満足して使用できる小口径人工血管は未だ開発されていないのが現状である。
【0003】
人工血管に必要な性能として、優れた抗血栓性を有し、血栓による閉塞を生じないことと、優れた組織適合性を有し、早期に内膜や外膜が形成され安定化することが求められる。小口径人工血管では、特に血栓閉塞を免れるため優れた抗血栓性が不可欠の特性となるが、抗血栓性の高い人工血管ほど吻合部の組織過形成、即ち吻合部内膜肥厚を高度に形成して閉塞する。即ち抗血栓性と組織適合性は相反する特性であり、抗血栓性の高い材料は組織適合性が悪く、また、抗血栓性の高い材料の組織適合性を高めることは難しい(笹嶋唯博、NIKKEI MEDICAL、1992年、2月10日号)。小口径では内腔が細いことと血流量が少ないことから、僅かな血栓や内膜肥厚の形成が閉塞原因となり、優れた抗血栓性と組織適合性の両立は小口径人工血管の開発における重要な課題である。
【0004】
例えば、ダクロン人工血管は組織適合性は良好であるが抗血栓性は不十分であり、小口径人工血管には使用できない。一方、fibril length 30μ以下の ePTFE(延伸テフロン)製人工血管は抗血栓性が比較的良好であるが、吻合部内膜肥厚を形成しやすく、有孔度を高めて組織適合性を付与すれば抗血栓性が低下して、低血流量域では早期に血栓閉塞する。また、最近数種の化学修飾生体由来代用血管が開発されており、あるものは極めて良好な抗血栓性を示すが構造的に組織適合性が不良で、やはり何れも移植後数ケ月で吻合部内膜肥厚を生じて、その多くは閉塞に至るという問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の人工血管このような問題点を解決しようとするものである。ヒト臍帯静脈は発達したエラスチンを主成分とする内弾性板を有するが、これを化学固定したヒト臍帯静脈グラフトは、採取時や化学固定時に内弾性板が損傷、剥離され、この剥離部では血栓形成が顕著で、これに伴った内膜肥厚を発生するのに対して、内弾性板が温存されている部分は高い抗血栓性を示し、吻合部では内膜肥厚を発生しないことから、組織適合性も優れていることが示された(笹嶋唯博ら、人工臓器,20(2),414−419(1991))。これらの研究結果を背景として、エラスチン内膜の人工血管としての生物学的適合性に着目するとともに、生体由来のエラスチンを用いることで、人工血管内腔面に均一に内弾性板に匹敵する膜面を構築できることを見出し、鋭意研究して本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、合成樹脂を管状にして作製した人工血管基材の内腔面に、水溶性エラスチンを架橋剤によって架橋して得られるエラスチン層を有するか、又は架橋剤によって架橋されたゼラチン層もしくはコラーゲン層を設け、更にその上に水溶性エラスチンを架橋剤によって架橋して形成されたエラスチン層を有する人工血管と、その製造方法に関するものである。
【0007】
本発明で用いる人工血管基材は、血液の流路としてマクロファージなどの放出する過酸化物分解酵素や加水分解酵素の存在する生体内に長期間留置するため、生体内で酵素などにより分解されず、かつ毒性がなく、また血圧の変動に充分耐えられる材料であることが必要で、その材質としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂が好ましい。特にポリウレタンは、生体血管に近いコンプライアンスが得られるため好ましい。また、管状に作製した人工血管基材の内腔面に、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン等を強固に固定するためには、内腔面の構造は多孔性、繊維を編んだもの、もしくは繊維が積み重なった構造のものが好ましい。その理由は、このような構造の基材ではゼラチン、コラーゲン、エラスチン等が基材の孔や繊維間に入り込み強いアンカー効果が得られるためである。
【0008】
また、人工血管基材を合成樹脂を繊維状にしたものから作る場合、その繊維径は5〜50μmの範囲とするのが適切である。5μm以下では平織り又はメリヤス編みとしたとき、繊維間隔が狭くなりすぎて、充分にゼラチンやコラーゲン、エラスチン等が入り込めず、強固に固定できないし、生体内へ植込んだ後も細胞が入り込めず巧く治癒することができない。繊維径50μm以上では繊維間隔が広すぎて、ゼラチンやコラーゲン、エラスチン等を固定する足場が少なく、強固にこれらを固定できない。
【0009】
また、本発明で用いることのできるエラスチンは特に限定はしないが、ブタ大動脈由来エラスチン、ウシ頚靱帯由来エラスチン、ウシ肺由来エラスチン、ウシ大動脈由来エラスチン、ヒト肺由来エラスチン、ヒト大動脈由来エラスチンなどのエラスチン、又はこれらを熱蓚酸処理によって水溶性にしたα−エラスチンもしくはβ−エラスチン、アルカリエタノール処理によって水溶性にしたκ−エラスチン、ペプシン、エラスターゼなどの酵素で処理し水可溶性にしたエラスチン蛋白質などが挙げられる。中でも組織適合性と抗血栓性の点でヒト大動脈由来エラスチンが望ましく、その理由の詳細は不明であるが、エラスチンはその由来部位と動物の種類によって若干アミノ酸組成が異なり、ヒト大動脈由来エラスチンの有するアミノ酸組成では特に架橋後の裏面を平滑にできるため、血液の凝固活性を引き起こし難い為と考えられる。
【0010】
また、本発明で用いるゼラチン、およびコラーゲンとしては、動物由来の物が利用できる。エラスチン層を設ける前に予めゼラチンもしくはコラーゲンの層を設ける目的は、主として、前記のように多孔性構造を有する人工血管基材の内表面の孔部を充填して、人工血管内腔面の平滑性を高めるためである。ゼラチン層やコラーゲン層は血液と直接接触し、あるいは作用するものではないが、人工血管内腔面をミクロ的に平滑にすることにより、血液の凝固活性を抑制することが可能になる。
【0011】
本発明で人工血管の基材内面にゼラチン層又はコラーゲン層を形成する工程において、ゼラチン又はコラーゲンを溶解するpH=3〜8の緩衝液は特に限定はしないが、クエン酸/水酸化ナトリウム緩衝液、ギ酸/ギ酸ナトリウム緩衝液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、酢酸/酢酸ナトリウム水溶液、コハク酸/水酸化ナトリウム水溶液、リン酸緩衝溶液、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム緩衝液などが挙げられる。中でもゼラチンに対してはpH=7の緩衝液が望ましく、コラーゲンに対してはpH=3.3の緩衝溶液が好ましい。この理由はゼラチンはpH=7付近で安定して架橋できるし、またコラーゲンはpH=4以上では沈澱が生じやすく安定した水溶液と出来ないためである。
【0012】
また同工程において、ゼラチン及びコラーゲンの濃度は緩衝溶液に対し1〜10wt%の範囲が好ましい。この理由は、濃度が低すぎると充分な厚さのゼラチン層又はコラーゲン層が得られず基材が露出してしまうし、濃度が高すぎると溶液の粘度が上昇し、人工血管基材の孔や網目内に入っていくことができないし、ゼラチンやコラーゲンを架橋して得られる人工血管内腔面をミクロ的に平滑にするのが難しいためである。
【0013】
また、人工血管の基材の内腔面上に直接又はゼラチン層もしくはコラーゲン層を設けた人工血管内腔面上に水溶性エラスチンをコアセルベーション(凝集)させる工程において用いる緩衝溶液も、pH=4〜7の範囲のものであればよく特に限定はされない。前記のゼラチン又はコラーゲンを溶解するため緩衝液と同じものが使用できるが、中でもpH=5で充分な緩衝能を持つクエン酸/水酸化ナトリウム緩衝液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝液、酢酸/酢酸ナトリウム水溶液、コハク酸/水酸化ナトリウム水溶液などが、水溶性エラスチンをコアセルベーションさせるのに適している。これは水溶性エラスチンの等電点がこの付近に有り、電気的に中和されたエラスチンが疏水−疏水相互作用を生じやすく、コアセルベーションが安定するためであると考えられる。
【0014】
また、水溶性エラスチンを緩衝溶液に溶解する量は、pH=4〜7の緩衝液に対して1〜30wt%の範囲で用いることがでる。この理由はエラスチンの濃度が1wt%より低すぎると水溶性エラスチンがコアセルベーションし難く、30wt%より濃度が高すぎると人工血管の内腔面に形成されるエラスチン層が不均一になってしまう為である。また、温度は70℃より高い温度ではエラスチンの変性が生じやすいし、35℃未満の低温では水溶性エラスチンをコアセルベーションさせることができないため35〜70℃の範囲が好ましい。
【0015】
さらに、人工血管の基材の内腔面上に直接又はゼラチン層もしくはコラーゲン層を設けた内腔面上にエラスチン層を形成するには、水溶性エラスチンの溶液を塗布し架橋剤にて架橋したり、予め架橋剤と混合した水溶性エラスチンを塗布し加熱や光によって架橋することも可能であるが、コアセルベーションさせた後で架橋するほうが、形成されたエラスチン層の抗血栓性と組織適合性が良好であるため好ましい。この理由は明確ではないが、エラスチンは生体内でコアセルベート(凝集体)を形成した状態で存在しており、この時の分子の三次構造がエラスチンの生理活性に重要であるためと考えられる。
【0016】
本発明における各工程において、ゼラチン層、コラーゲン層、あるいはコアセルベーションさせた水溶性エラスチンの層等を架橋させるための架橋剤としては、水溶性の架橋剤であるグルタールアルデヒドやジアルデヒドスターチ、もしくは水溶性のエポキシ化合物等が使用できるが、中でも水溶性エポキシ化合物は、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基と反応でき、また、架橋後は柔らかい蛋白層を与えるため生体血管に近いコンプライアンスを得ることができ、特に好ましい。
【0017】
また、水溶性エラスチンを人工血管内腔面に均一にコアセルベーションさせるためには、作製する人工血管の内径にもよるが、エラスチン水溶液を充填した人工血管を長手方向に水平に保ちながら、内径2〜6mmの人工血管では円周方向に0.1〜10rpmの回転速度で静かに回転させるのが好ましい。この理由は、エラスチンを35℃以上の温度で静置すると、重力方向にエラスチンがコアセルベーションしてコアセルベート(凝集体)を形成する特性を利用するため、回転速度が速すぎると内腔に充填したエラスチン溶液が攪拌されてしまい、巧くコアセルベーションを内腔面上に形成できないし、回転速度が遅すぎるとエラスチンのコアセルベーション速度より人工血管内腔面の移動速度が遅くなるため、人工血管内腔面に均一にエラスチン層を形成することができないためである。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明の効果を説明する。
〔実施例1、及び比較例1〕
▲1▼ 溶液の調製及び人工血管の製作
ポリウレタン樹脂(米国エチコン社製バイオマー)を直径10μmの繊維状に押出し、直径4mmφ×長さ1mのステンレス製マンドレルに巻きとることで、内径4mmφ×長さ1mの網目状人工血管基材を作製した。また、牛頸靱帯由来エラスチン(エラスチン・プロダクト社製)を熱蓚酸処理して水溶性にし、コアセルベーションによって凝集させて精製したα−エラスチン400mgを、20mlのpH=4.0酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液に4℃によって溶解しエラスチン水溶液を作製した。
【0019】
次に、上記で得られた人工血管基材を10cmの長さに切断し、内径4.5mmφ×12cmのガラス管で、両端に三方コックを取り付け、更に中央部にギヤーを取り付けてモーターによって回転できるようにした治具の中に挿入し装着した。一方の三方コックからエラスチン水溶液を充填し、60℃に加熱しながらモーターをスタトーさせ、5rpmで12時間回転させてエラスチンを人工血管基材の内面にコアセルベーションさせた。ここで、三方コックを開いて管内の溶液を捨て、続いて20mgの水溶性エポキシ架橋剤(デナコールEX−614B、長瀬産業製)をpH=7.0のリン酸緩衝液20mlに溶解した水溶液を人工血管内に充填し、5rpmの速度で回転させながら60℃にて24時間架橋を行い、内腔面に約100μmの厚みのエラスチン層を有する人工血管を得た。
【0020】
▲2▼ 動物実験
体重11kgのビーグル成犬(雌性)1頭をアトロピンにて前処理し、導入麻酔をフルニトラゼパム0.1mg/kg、ケタミン3mg/kgの静注によって実施した。犬を手術台に固定後、ヘパリン(100U/kg)を静注し、フローセンによる麻酔を維持しながら、腹部を切開して腎動脈下腹部大動脈を5cm切除し、ここに6−0ポリプロピレン糸を用い端々吻合によって内径4mmφ×長さ5cmの本発明のエラスチン層を有する人工血管を植え込んだ。また、比較例として内径4mmφ×長さ5cmのグルタールアルデヒド処理ヒト臍帯静脈人工血管(Dardik Biograft)を、体重11kgの雑種成犬(雌性)の腎動脈下腹部大動脈に植え込んだ。
【0021】
術後、抗凝固剤は一切使用せず6ケ月間イヌを飼育した。6ケ月後、イヌをアトロピンにて前処理し、導入麻酔をフルニトラゼパム0.1mg/kg、ケタミン3mg/kgの静注によって実施し、犬を手術台に固定後、ヘパリン(100IU/kg)を静注し、フローセンによる麻酔を維持しながら、腹部を切開し、腎動脈下腹部大動脈に植え込んだ両人工血管を宿主血管と共に摘出した。直ちに、注射器を用いて2500IU/500mlのヘパリンを溶解した生理食塩水にて人工血管の内外面を静かに洗浄し、血液を洗い流し、人工血管を縦に切り開き肉眼的に観察し、本発明のエラスチン層を有する人工血管と比較例のDardik Biograft との比較を行った。
【0022】
次に、人工血管を縦に2つ割りにし、一方を4%ホルマリンの中性緩衝溶液に浸漬して固定した後、光学顕微鏡用試料とした。残りの試料は、1%グルタールアルデヒドの中性緩衝溶液及び3%グルタールアルデヒドの中性緩衝溶液に浸して固定し、電子顕微鏡用試料とした。光学顕微鏡用試料は中枢側吻合部、中央部、末梢側吻合部の3つに切断し、ホルマリンを洗浄した後、パラフィン包埋し、各部位から切片を切り出しプレパラートとした。次にヘマトキシリン液に5分浸し、水洗後、1%エオジン液に浸し、水洗、脱水、封入して染色を行った。光学顕微鏡による観察は40倍と100倍にて実施し、中枢側吻合部、中央部、末梢側吻合部でそれぞれ新生した内膜の厚みを計測し、本発明のエラスチン層を有する人工血管と比較例のDardik Biograft との内膜肥厚の程度を比較した。
【0023】
また、電子顕微鏡用試料はグルタールアルデヒド固定後、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝溶液にて十分洗浄し、試料を中枢側吻合部、中央部、末梢側吻合の3つに分け、1%オスミウム、1%タンニン酸で導電処理を行った後、t−ブタノール凍結乾燥によって乾燥し、試料台に固定してPt−Pdを蒸着した。電子顕微鏡観察は本発明のエラスチン層を有する人工血管と比較例のDardik Biograft の内腔面の状態を200倍と1000倍にて観察し評価した。
【0024】
尚、光学顕微鏡はニコン社製DIAPHOT−TMD型を使用し、走査型電子顕微鏡は日立製S−2400型を使用した。
▲3▼ 評価結果
実施例及び比較例の各人工血管の評価結果は、表1に示した通りであった。
【0025】
【表1】
Figure 0003687995
【0026】
〔実施例2、及び比較例2〕
▲1▼ 溶液の調製、及びゼラチン層上にエラスチン層を有するシャーレの作製
2%ゼラチンのリン酸緩衝溶液(pH=7)を、35mmφの細胞培養用シャーレ(住友ベークライト(株)製 MS−1035)に2ml添加して均一に広げた後、4℃にて2時間静置し、ゼラチンをゲル化させた。その後、2%グルタールアルデヒドのリン酸緩衝液(pH=7)3mlを添加し、4℃で24時間静置し、架橋を行った。
【0027】
次に、牛頸靱帯由来エラスチン(エラスチン・プロダクト社製)を熱蓚酸処理して水溶性にし、コアセルベーションによって凝集させて精製したα−エラスチン40mgを、2mlのpH=4.0酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液に4℃で溶解した溶液を調製し、上記のゼラチン層を固定したシャーレ内に添加し、50℃にて12時間静置し、エラスチンをゼラチン層の上にコアセルベーションさせた。ここでシャーレ内の溶液を捨て、20mgの水溶性エポキシ架橋剤(デナコールEX−521、長瀬産業製)をpH=7.0のリン酸緩衝液20mlに溶解した水溶液3mlをシャーレ内に添加し、密栓をして、60℃にて24時間架橋を行い、ゼラチン層上にエラスチン層を有する内径3.5mmφのシャーレ作製した。
【0028】
▲2▼ 細胞培養
ゼラチン層上にエラスチン層を有する内径3.5mmφのシャーレ、及び比較試料として未処理の内径3.5mmφの細胞培養用シャーレにそれぞれ1×104個/ml濃度のヒト子宮頚癌由来Hela 細胞を2mlづつ播種し、コウシ血清10%(大日本製薬製)を含む基本培地MEM(大日本製薬製)で4日間37℃にて培養した。培地を2日毎に新しいものに交換し、培養4日目にセルスクレーパーで細胞を全て剥がし、細胞の浮遊溶液とした。
【0029】
次に、この細胞浮遊溶液100μlに0.3%トリパンブルーのリン酸緩衝溶液100μlを加えて染色し、血球計算板上で倒立顕微鏡により対物レンズ10倍にて観察し、細胞浮遊液1ml当たりの細胞数及び生死細胞数を計算した。
培養4日目の細胞数から、トリパンブルーにより染色された細胞を死細胞数として生存率を計算し、播種細胞数と培養4日目の細胞数から細胞の増殖率を求め、比較試料の細胞培養用シャーレでの増殖率を1として、ゼラチン層上にエラスチン層を有するシャーレ上での細胞の増殖率比を計算した。尚、倒立顕微鏡はニコン社製DIAPHOT−TMD型を使用した。
【0030】
▲3▼ 評価結果
培養4日目のゼラチン層上にエラスチン層を有するシャーレ、及び比較試料の細胞培養用シャーレ上でのHela 細胞の生存率、増殖率比を表2に示した。
培養4日目で、ゼラチン層上にエラスチン層を有するシャーレ上でのHela 細胞の生存率は、比較試料のシャーレと同等であったが、細胞の増殖率比は比較試料を1としたとき、ゼラチン層上にエラスチン層を有するシャーレでは0.6となり、増殖の活発な癌細胞の増殖が抑えられていた。
【0031】
【表2】
Figure 0003687995
【0032】
このように、本発明による人工血管の表面は細胞の過激な増殖を抑えることができ、人工血管内腔面での組織や細胞の過剰成長による内膜肥厚を抑えることができる、小口径人工血管に適した材料であることが判明した。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、人工血管基材の内腔面に水溶性エラスチンをコアセルベーション(凝集)させ、架橋剤によって架橋した人工血管は、優れた抗血栓性と組織適合性を併せ持ち、吻合部付近での組織や細胞の過剰成長や未着床を抑え、吻合部内膜肥厚を全く生ずることがないため、従来にない内径4mm以下といった小口径でも長期間にわたる開存が可能な人工血管であることが明白となった。
本発明は、虚血性心疾患の患者の救命の為の、冠状動脈の再建や膝窩動脈や脛骨動脈の再建に用いることができる小口径でも、長期間開存する有用な材料を提供するものである。

Claims (11)

  1. 合成樹脂を管状にして作製した人工血管基材の内腔面に、水溶性エラスチンをコアセルベーション(凝集)させ架橋剤によって架橋して得られるエラスチン層を有するか、又は架橋剤によって架橋されたゼラチン層もしくはコラーゲン層を設け、更にその上に水溶性エラスチンをコアセルベーションさせ架橋剤によって架橋して形成されたエラスチン層を有することを特徴とする人工血管。
  2. 水溶性エラスチンが、動物由来もしくはヒト由来のエラスチンを熱蓚酸処理して得られるα−エラスチンもしくはβ−エラスチン、エラスチンをアルカリエタノール処理して得られるκ−エラスチン、又はエラスチンをペプシンもしくはエラスターゼによって酵素処理して得られる水溶性エラスチンであることを特徴とする、請求項1記載の人工血管。
  3. 水溶性エラスチンの架橋剤が、グルタールアルデヒド、ジアルデヒドスターチ、もしくは水溶性エポキシ化合物であることを特徴とする、請求項1記載の人工血管。
  4. ゼラチン層もしくはコラーゲン層の架橋剤が、グルタールアルデヒド、ジアルデヒドスターチ、もしくは水溶性エポキシ化合物であることを特徴とする、請求項1記載の人工血管。
  5. 人工血管基材を形成する合成樹脂が、ポリウレタン、ポリエステル、もしくはポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする、請求項1記載の人工血管。
  6. 合成樹脂によって作製した人工血管基材の内腔に、水溶性エラスチンをpH=4〜7の緩衝溶液に対して濃度が1〜30wt%になる割合で加えた水溶性エラスチンの緩衝溶液を、4℃以上35℃未満にて充填し、人工血管基材を長手方向に水平に保ちながら、35℃以上70℃以下にて0.1〜10rpmの速度で人工血管基材の円周方向に回転させて内腔面上にエラスチンをコアセルベーションさせた層を構築した後、内腔の溶液を排出し、次に水溶性架橋剤をpH=4〜7の緩衝溶液に対して濃度が0.1〜10wt%になる割合で溶解した架橋剤溶液を内腔に入れて、水溶性エラスチンのコアセルベート層を架橋させることによって、人工血管の内腔面にエラスチン層を構築することを特徴とする人工血管の製造方法。
  7. 合成樹脂によって作成した人工血管基材を、ゼラチンもしくはコラーゲンをpH=3〜8の緩衝溶液に対して濃度が1〜10wt%になる割合で加えた溶液中に浸すことによって、人工血管基材の繊維間もしくは多孔性人工血管基材の孔中にゼラチンもしくはコラーゲンを含浸させ、更に人工血管基材の内腔面上にもゼラチン層もしくはコラーゲン層を形成させ、架橋剤にてゼラチン層もしくはコラーゲン層を架橋させた後、該人工血管基材の内腔に、水溶性エラスチンをpH=4〜7の緩衝溶液に対して濃度が1〜30wt%になる割合で加えた水溶性エラスチンの緩衝溶液を、4℃以上35℃未満にて充填し、人工血管基材を長手方向に水平に保ちながら、35℃以上70℃以下にて0.1〜10rpmの速度で人工血管基材の円周方向に回転させて、内腔面上にエラスチンをコアセルベーションさせた層を構築し、内腔の溶液を排出し、次に水溶性架橋剤をpH=4〜7の緩衝溶液に対して濃度が0.1〜10wt%になる割合で溶解した架橋剤溶液を内腔に入れて、水溶性エラスチンのコアセルベート層を架橋させることによって、人工血管の内腔面にエラスチン層を構築することを特徴とする人工血管の製造方法。
  8. 人工血管の基材として、合成樹脂を繊維状にし平織りもしくはメリヤス織りにて管状としたもの、合成樹脂を繊維状にしマンドレル上に巻取り積層して不織性の管状としたもの、合成樹脂を押出し成形によって管状としたもの、合成樹脂に粒状塩化ナトリウム等の水溶性物質を加え押出し成形によって管状とした後、これを水中に浸すことによって多孔性構造としたもの、又は、合成樹脂を押出し成形によって管状とした後、延伸することによって多孔性構造としたもののいずれかを用いることを特徴とする、請求項6又は7記載の人工血管の製造方法。
  9. 人工血管の基材を作製する合成樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル、もしくはポリテトラフルオロエチレンを用いることを特徴とする、請求項8記載の人工血管の製造方法。
  10. 水溶性エラスチンを、グルタールアルデヒド、ジアルデヒドスターチ、もしくは水溶性エポキシ化合物によって架橋することを特徴とする、請求項6又は7記載の人工血管の製造方法。
  11. 水溶性エラスチンとして、動物由来もしくはヒト由来のエラスチンを熱蓚酸処理し得られるα−エラスチンもしくはβ−エラスチン、エラスチンをアルカリエタノール処理して得られるκ−エラスチン、又はエラスチンをペプシンもしくはエラスターゼによって処理して得られる水溶性エラスチンを用いることを特徴とする、請求項6又は7記載の人工血管の製造方法。
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