JP3536365B2 - スクラップ予熱装置 - Google Patents
スクラップ予熱装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、金属溶解炉に投入す
る溶解原料であるスクラップを、該金属溶解炉から排出
される排ガスに接触させて予熱するスクラップ予熱装置
に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来のこの種の予熱装置としては、特開
平４−３０９７８９号公報に開示された原料予熱塔があ
る。この予熱塔は、溶解炉の天蓋上に立設する予熱塔内
に、下から順に第１予熱室と第２予熱室を設け、各予熱
室の下部には開閉自在な原料保持ダンパ−を設け、予熱
塔の最上端部に設けた原料溜め置き室を経て各予熱室に
保持した原料を、溶解炉から予熱塔内を上方に向って流
れる廃ガスによって予熱し、予熱後の廃ガスは予熱塔上
部に取付けた排気ダクトから流出させるものである。そ
して原料保持ダンパの開閉により、原料は上部予熱室の
次に下部予熱室においても予熱されたのち、溶解炉に投
入される。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来の予
熱装置をスクラップの予熱に適用すると、高温の廃ガス
は原料保持ダンパ同士の隙間を通って上向きに流れるた
め、この隙間の直上部、すなわちスクラップ層の下面部
中央部のみが局部的に過熱され、スクラップ層の中央部
以外および上部部分の予熱は不充分で予熱効率が劣ると
ともに、スクラップの酸化が進行し、溶融が生じて原料
保持ダンパに溶着し該ダンパの開閉不能事故やスクラッ
プの落下不能事故（原料保持ダンパ開放時）、さらには
スクラップの溶融によりガス通路が閉塞し廃ガス流通が
不調になるなど、多くの問題点を有するものである。ま
た原料保持ダンパ自体を通気性を有する構造としても、
スクラップ層は下面部側が２回にわたって局部的に過熱
されるので、上記と同様な問題点は解消されない。 【０００４】この発明は上記従来の問題点を解決するも
ので、スクラップが局部的な過熱や大きな温度差なしに
効率よく予熱され、局部過熱によるスクラップの酸化お
よび溶融を防止できるスクラップ予熱装置を提供しよう
とするものである。 【０００５】 【課題を解決するための手段】この発明のスクラップ予
熱装置は、スクラップ装入口を上端部にそなえ溶解炉の
炉蓋のスクラップ投入口に対向するスクラップ排出口を
下端部にそなえた塔体内に、閉鎖時に該塔体内に突出し
てスクラップを保持する通気性を有し開閉自在なゲ−ト
を、上下に間隔をおいて複数段にわたって設置して、前
記塔体内の前記各ゲ−トの上側にそれぞれ予熱室を形成
させ、最下段の予熱室より下側の塔体側壁と最上段の予
熱室の側壁上部とを分流ダクトで接続し、最上段の予熱
室に隣接する下側の予熱室の側壁上部に、排ガス排出用
の排気ダクトを接続したことを特徴とする。 【０００６】 【作用】この発明のスクラップ予熱装置においては、ス
クラップ装入口から塔体内に装入したスクラップは、ゲ
−トの開閉により各予熱室内に装入し、所定の予熱保持
時間ごとに、順次下段側の予熱室へ移送して予熱を複数
回おこなったのち、スクラップ排出口から溶解炉内に投
入する。溶解炉からの排ガスは、塔体下部において分流
して一部が分流ダクト内を経て最上段の予熱室に流入
し、該予熱室内のスクラップ層内を下向流として流れて
該スクラップを予熱後、下側の予熱室の排気ダクトから
流出する。一方残りの排ガスは、他の予熱室内のスクラ
ップ層内を上向流として流れて該スクラップを予熱後、
排気ダクトから流出する。 【０００７】スクラップは通気性を有するゲ−トにより
支持されるので、スクラップ層底部各部に排ガスが分散
流通し、又排ガスは２つのガス流に分流され排ガスの熱
量も分散されるので、スクラップが局部的に過熱されて
溶融したり、酸化したりするのが防止される。またスク
ラップは最上段の予熱室における排ガス下向流による予
熱と、他の予熱室における排ガス上向流による予熱を受
けるので、通気性を有するゲ−トによる支持とあいまっ
て、スクラップはスクラップ層の各部での温度差が少な
いほぼ均熱状態に加熱され、高い予熱効率が得られる。 【０００８】 【実施例】以下図１乃至図３によりこの発明の一実施例
を説明する。図中、１は直流ア−ク炉から成る溶解炉
で、２はギヤ３により傾動可能に支持された炉体、４は
この炉体２に被せられる炉蓋、５はこの炉蓋４を貫通し
て炉体２内に挿入される電極棒で、公知の昇降駆動機構
により昇降駆動される電極支腕６の先端に固設した把持
器７により把持されている。炉蓋４は、図示しない炉蓋
支持梁により懸吊されている。８は炉体２の底部に設け
た炉底電極、９は出鋼口、１０は出滓口である。また１
１は炉蓋４に設けたスクラップ投入口であり、この実施
例では斜め上向きに開口するとともに炉体２の傾動時に
後述の塔体２１のスクラップ排出口３７と干渉しないよ
うに、開口部周壁端面は、炉体２の傾動中心を中心とす
る円弧面で形成されている。 【０００９】一方２０は、スクラップ予熱装置で、２１
はその主体を構成する角筒状の塔体で、この実施例で
は、溶解炉１の炉体２の両側の基礎上に敷設したレ−ル
２２上に横行自在に載置された移動枠組２３に装架固設
されている。移動枠組２３は、レ−ル２２上を転動する
車輪２４をそなえた台車２５上に支柱２６を立設して横
桁２７で連結して成る一対の面フレ−ム２８，２８を、
連結梁２９，３０で連結した立体フレ−ム状を呈し、塔
体２１の側壁各部が、連結梁３０により支持されてい
る。３１は移動枠組２３の頂部に必要に応じて設けるス
タンドで、スクラップ装入用バケット３２を支承するた
めのものである。 【００１０】塔体２１は、下部が斜めに屈曲した上下方
向に延びる角筒状を呈し、耐熱鋼製の殻体に断熱材の外
張りを施して成り、３５は炉体上端部のスクラップ装入
口であり、図示しない駆動機により左右に開閉駆動され
る蓋３６，３６によって開閉される。また３７は塔体２
１の下端部に設けたスクラップ排出口で、溶解炉１から
の排ガス受入口を兼ねるものであり、直立状態の炉体２
上の炉蓋４のスクラップ投入口１１に対向して開口して
いる。スクラップ排出口３７の周壁端面は、スクラップ
投入口１１の周壁端面に沿う円弧面状を呈し、両端面間
には、炉内で発生した排ガス燃焼のための空気の流入用
の隙間を設けてある。 【００１１】４０，４０は塔体２１内に２段にわたって
設けたゲ−トで、対向する塔体側壁に沿って配置した水
平方向に延びる回動軸４１に、耐熱鋼製のフィンガ−４
２を小間隔をおいて多数枚並設固着して成る一対の揺動
自在のフォ−ク４３，４３を主体とする。回動軸４１
は、塔体２１の側壁に突設したブラケット４４に取付け
た軸受４５により回動自在に支持され、また４６は、回
動軸４１に固着したレバ−４７にピストン部を連結され
たエアシリンダから成るフォ−ク駆動装置である。フォ
−ク４３は、図１に実線で示すようにフィンガ−４２が
ほぼ水平となるように塔体２１内に突出した状態で、ス
クラップを保持し、鎖線４８で示すように下方へ傾動さ
せれば、対向するフォ−ク４３の先端間にスクラップ落
下口を形成するようになっている。 【００１２】上記の２段のゲ−ト４０，４０の設置によ
り、塔体２１内には上部予熱室５１ａと下部予熱室５１
ｂが形成されている。５２は分流ダクトで、下部予熱室
５１ｂより下側の塔体側壁５３ｄ（詳しくは該側壁５３
ｄに設けた排ガス出口５４）と、上部予熱室５１ａの側
壁５３ａの上部（詳しくは該側壁５３ａに穿設した排ガ
ス入口５５）とを接続している。また５６は排ガス排出
用の排気ダクトで、下部予熱室５１ｂの側壁５３ｂの上
部（詳しくは該側壁５３ｂに穿設した排ガス出口５７）
に接続され、この排気ダクト５６の他端部は、図示しな
い集じん装置への送風用のブロワの吸気口に接続されて
いる。 【００１３】上記構成の装置において、溶解炉１にスク
ラップＳを装入して（この初回の装入は炉蓋４の開放状
態においておこなってもよいし、スクラップ予熱装置２
０の塔体２１内を経ておこなってもよい。）、電極棒５
と炉底電極８間のア−ク放電により炉の溶解操業を開始
すれば、高温の排ガスＧが、スクラップ投入口１１から
塔体２１内へ流入する。スクラップ装入用バケット３２
によりスクラップ装入口３５から塔体２１内にスクラッ
プを装入し、上段側のゲ−ト４０を開閉して、下部予熱
室５１ｂ内にスクラップＳ2 を、上部予熱室５１ａ内に
スクラップＳ1、をそれぞれ装入しておき、前記高温の
排ガスＧによる予熱をおこなう。 【００１４】塔体２１内へ流入した排ガスＧの一部は、
分流ガスＧ1 として分流して分流ダクト５２内を上昇
し、上部予熱室５１ａ内に供給され、スクラップＳ1 中
を下向流として流れてスクラップＳ1 を予熱後、上段側
のゲ−ト４０のフィンガ−４２間を通過して下部予熱室
５１ｂ内に流入し、排気ダクト５６により塔外へ流出す
る。一方排ガスＧの残りの分流ガスＧ2 は下段側のゲ−
ト４０のフィンガ−４２間を通過して下部予熱室５１ｂ
内のスクラップＳ2 中を上向流として流れてスクラップ
Ｓ2 を予熱後、排気ダクト５６により塔外へ流出する。 【００１５】溶解炉１中のスクラップ溶解が進みスクラ
ップ投入が必要となった時点で、下段側のゲ−ト４０を
開いて下部予熱室５１ｂのスクラップＳ2 をスクラップ
投入口１１を経て炉体２内に供給し、該ゲ−ト４０を閉
じ、上段側のゲ−ト４０を開いて予熱ずみのスクラップ
Ｓ1 を下部予熱室５１ｂ内へ装入し、上部予熱室５１ａ
にはスクラップ装入口３５から新たなスクラップＳ1 を
装入し、上記と同様に排ガスＧによる各スクラップの予
熱をおこなう。 【００１６】上記のように、スクラップは通気性を有す
るゲ−ト４０により支持されているので、スクラップ層
底部各部に排ガスが分散流通し、又排ガスは２つのガス
流に分流され排ガスの熱量も分散されるので、スクラッ
プが局部的に過熱されて溶融したり、酸化したりするの
が防止される。またスクラップは上部予熱室５１ａにお
ける排ガス下向流による予熱と、下部予熱室５１ｂにお
ける排ガス上向流による予熱を受ける（但し予熱開始時
の最初の炉への投入分を除く）ので、上述の通気性を有
するゲ−ト４０による支持とあいまって、スクラップは
スクラップ層の各部での温度差が少ないほぼ均熱状態に
加熱され、排ガスは良好な熱交換により降温して排出さ
れ、高い予熱効率が得られるのである。 【００１７】溶解炉１の補修時や炉蓋４の開放時などに
おいては、移動枠組２３を図示しない駆動装置（たとえ
ば車輪２４の回転駆動装置）により炉体２から離間する
矢印Ｐ方向（図１参照）に駆動すればよく、これによっ
て炉の補修作業や炉蓋４の開閉等を支障なくおこなえ
る。 【００１８】上記実施例では塔体２１内にゲ−ト４０を
２段にわたって設け、上部予熱室５１ａと下部予熱室５
１ｂの２つの予熱室を設けたが、図４に示すこの発明の
他の実施例では、ゲ−ト４０を３段にわたって設け、上
部予熱室５１ａと中部予熱室５１ｃと下部予熱室５１ｂ
の３つの予熱室を設けてある。そして分流ダクト５２は
前記実施例と同様に、下部予熱室５１ｂの下側の塔体側
壁５３ｄと上部予熱室５１ａの側壁５３ａとを接続して
いるが、排気ダクト５６は中部予熱室５１ｃの側壁５３
ｃの上部に接続してある。なお図中前記実施例と同一部
分には同一符号を付してある。 【００１９】この実施例においては、排ガスＧの一部は
分流ダクト５２を経て分流ガスＧ1として上部予熱室５
１ａのスクラップＳ1 層内を下向流として流れて予熱
後、下側の排気ダクト５６から塔外へ流出する。一方残
りの分流ガスＧ2 は、下部予熱室５１ｂのスクラップＳ
3 層内および中部予熱室５１ｃのスクラップＳ2 層内
を、上向流として流れて予熱後、排気ダクト５６から塔
外へ流出する。スクラップは３つの予熱室を順次通過
し、１回の排ガス下向流による予熱と２回の排ガス上向
流による予熱とを受けたのち、溶解炉１内に供給される
ものでスクラップ層の下層側の加熱量（昇温量）がやや
多くなる他は、上記実施例と同様な作用効果が得られる
ものである。 【００２０】この発明は上記各実施例に限定されるもの
ではなく、たとえば分流ダクト５２や排気ダクト５６
は、塔体２１の両側にそれぞれ（各２本）設けてもよ
い。又ゲ−ト４０は、上記の揺動フォ−ク式のものの
他、水平方向に直動し塔体内に挿入引出されする直動フ
ォ−ク式のものなど、他形式のものとしてもよい。また
炉蓋４のスクラップ投入口１１を真上に向け、屈曲部を
有しない直立筒状の塔体をこのスクラップ投入口の上方
に立設して、塔体を溶解炉の直上部に設けてもよく、こ
の場合は装置の設置面積が少なくて済む。 【００２１】また溶解炉は直流ア−ク炉以外のものであ
ってもよく、この溶解炉の形式や構造等によって塔体を
横行させる必要のない場合は、塔体は基礎上に固設させ
てもよい。さらに溶解炉の炉蓋に別個の排ガスダクトを
接続して、排ガスの一部をスクラップ予熱に供すること
なく排出するようにしてもよい。 【００２２】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
スクラップは通気性を有するゲ−トにより支持されるの
で、スクラップ層底部各部に排ガスが分散流通し、又排
ガスは２つのガス流に分流され排ガスの熱量も分散され
るので、スクラップが局部的に過熱されて溶融したり、
酸化したりするのが防止される。またスクラップは最上
段の予熱室における排ガス下向流による予熱と、他の予
熱室における排ガス上向流による予熱を受けるので、通
気性を有するゲ−トによる支持とあいまって、スクラッ
プはスクラップ層の各部での温度差が少ないほぼ均熱状
態に加熱され、高い予熱効率が得られる。
る溶解原料であるスクラップを、該金属溶解炉から排出
される排ガスに接触させて予熱するスクラップ予熱装置
に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来のこの種の予熱装置としては、特開
平４−３０９７８９号公報に開示された原料予熱塔があ
る。この予熱塔は、溶解炉の天蓋上に立設する予熱塔内
に、下から順に第１予熱室と第２予熱室を設け、各予熱
室の下部には開閉自在な原料保持ダンパ−を設け、予熱
塔の最上端部に設けた原料溜め置き室を経て各予熱室に
保持した原料を、溶解炉から予熱塔内を上方に向って流
れる廃ガスによって予熱し、予熱後の廃ガスは予熱塔上
部に取付けた排気ダクトから流出させるものである。そ
して原料保持ダンパの開閉により、原料は上部予熱室の
次に下部予熱室においても予熱されたのち、溶解炉に投
入される。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来の予
熱装置をスクラップの予熱に適用すると、高温の廃ガス
は原料保持ダンパ同士の隙間を通って上向きに流れるた
め、この隙間の直上部、すなわちスクラップ層の下面部
中央部のみが局部的に過熱され、スクラップ層の中央部
以外および上部部分の予熱は不充分で予熱効率が劣ると
ともに、スクラップの酸化が進行し、溶融が生じて原料
保持ダンパに溶着し該ダンパの開閉不能事故やスクラッ
プの落下不能事故（原料保持ダンパ開放時）、さらには
スクラップの溶融によりガス通路が閉塞し廃ガス流通が
不調になるなど、多くの問題点を有するものである。ま
た原料保持ダンパ自体を通気性を有する構造としても、
スクラップ層は下面部側が２回にわたって局部的に過熱
されるので、上記と同様な問題点は解消されない。 【０００４】この発明は上記従来の問題点を解決するも
ので、スクラップが局部的な過熱や大きな温度差なしに
効率よく予熱され、局部過熱によるスクラップの酸化お
よび溶融を防止できるスクラップ予熱装置を提供しよう
とするものである。 【０００５】 【課題を解決するための手段】この発明のスクラップ予
熱装置は、スクラップ装入口を上端部にそなえ溶解炉の
炉蓋のスクラップ投入口に対向するスクラップ排出口を
下端部にそなえた塔体内に、閉鎖時に該塔体内に突出し
てスクラップを保持する通気性を有し開閉自在なゲ−ト
を、上下に間隔をおいて複数段にわたって設置して、前
記塔体内の前記各ゲ−トの上側にそれぞれ予熱室を形成
させ、最下段の予熱室より下側の塔体側壁と最上段の予
熱室の側壁上部とを分流ダクトで接続し、最上段の予熱
室に隣接する下側の予熱室の側壁上部に、排ガス排出用
の排気ダクトを接続したことを特徴とする。 【０００６】 【作用】この発明のスクラップ予熱装置においては、ス
クラップ装入口から塔体内に装入したスクラップは、ゲ
−トの開閉により各予熱室内に装入し、所定の予熱保持
時間ごとに、順次下段側の予熱室へ移送して予熱を複数
回おこなったのち、スクラップ排出口から溶解炉内に投
入する。溶解炉からの排ガスは、塔体下部において分流
して一部が分流ダクト内を経て最上段の予熱室に流入
し、該予熱室内のスクラップ層内を下向流として流れて
該スクラップを予熱後、下側の予熱室の排気ダクトから
流出する。一方残りの排ガスは、他の予熱室内のスクラ
ップ層内を上向流として流れて該スクラップを予熱後、
排気ダクトから流出する。 【０００７】スクラップは通気性を有するゲ−トにより
支持されるので、スクラップ層底部各部に排ガスが分散
流通し、又排ガスは２つのガス流に分流され排ガスの熱
量も分散されるので、スクラップが局部的に過熱されて
溶融したり、酸化したりするのが防止される。またスク
ラップは最上段の予熱室における排ガス下向流による予
熱と、他の予熱室における排ガス上向流による予熱を受
けるので、通気性を有するゲ−トによる支持とあいまっ
て、スクラップはスクラップ層の各部での温度差が少な
いほぼ均熱状態に加熱され、高い予熱効率が得られる。 【０００８】 【実施例】以下図１乃至図３によりこの発明の一実施例
を説明する。図中、１は直流ア−ク炉から成る溶解炉
で、２はギヤ３により傾動可能に支持された炉体、４は
この炉体２に被せられる炉蓋、５はこの炉蓋４を貫通し
て炉体２内に挿入される電極棒で、公知の昇降駆動機構
により昇降駆動される電極支腕６の先端に固設した把持
器７により把持されている。炉蓋４は、図示しない炉蓋
支持梁により懸吊されている。８は炉体２の底部に設け
た炉底電極、９は出鋼口、１０は出滓口である。また１
１は炉蓋４に設けたスクラップ投入口であり、この実施
例では斜め上向きに開口するとともに炉体２の傾動時に
後述の塔体２１のスクラップ排出口３７と干渉しないよ
うに、開口部周壁端面は、炉体２の傾動中心を中心とす
る円弧面で形成されている。 【０００９】一方２０は、スクラップ予熱装置で、２１
はその主体を構成する角筒状の塔体で、この実施例で
は、溶解炉１の炉体２の両側の基礎上に敷設したレ−ル
２２上に横行自在に載置された移動枠組２３に装架固設
されている。移動枠組２３は、レ−ル２２上を転動する
車輪２４をそなえた台車２５上に支柱２６を立設して横
桁２７で連結して成る一対の面フレ−ム２８，２８を、
連結梁２９，３０で連結した立体フレ−ム状を呈し、塔
体２１の側壁各部が、連結梁３０により支持されてい
る。３１は移動枠組２３の頂部に必要に応じて設けるス
タンドで、スクラップ装入用バケット３２を支承するた
めのものである。 【００１０】塔体２１は、下部が斜めに屈曲した上下方
向に延びる角筒状を呈し、耐熱鋼製の殻体に断熱材の外
張りを施して成り、３５は炉体上端部のスクラップ装入
口であり、図示しない駆動機により左右に開閉駆動され
る蓋３６，３６によって開閉される。また３７は塔体２
１の下端部に設けたスクラップ排出口で、溶解炉１から
の排ガス受入口を兼ねるものであり、直立状態の炉体２
上の炉蓋４のスクラップ投入口１１に対向して開口して
いる。スクラップ排出口３７の周壁端面は、スクラップ
投入口１１の周壁端面に沿う円弧面状を呈し、両端面間
には、炉内で発生した排ガス燃焼のための空気の流入用
の隙間を設けてある。 【００１１】４０，４０は塔体２１内に２段にわたって
設けたゲ−トで、対向する塔体側壁に沿って配置した水
平方向に延びる回動軸４１に、耐熱鋼製のフィンガ−４
２を小間隔をおいて多数枚並設固着して成る一対の揺動
自在のフォ−ク４３，４３を主体とする。回動軸４１
は、塔体２１の側壁に突設したブラケット４４に取付け
た軸受４５により回動自在に支持され、また４６は、回
動軸４１に固着したレバ−４７にピストン部を連結され
たエアシリンダから成るフォ−ク駆動装置である。フォ
−ク４３は、図１に実線で示すようにフィンガ−４２が
ほぼ水平となるように塔体２１内に突出した状態で、ス
クラップを保持し、鎖線４８で示すように下方へ傾動さ
せれば、対向するフォ−ク４３の先端間にスクラップ落
下口を形成するようになっている。 【００１２】上記の２段のゲ−ト４０，４０の設置によ
り、塔体２１内には上部予熱室５１ａと下部予熱室５１
ｂが形成されている。５２は分流ダクトで、下部予熱室
５１ｂより下側の塔体側壁５３ｄ（詳しくは該側壁５３
ｄに設けた排ガス出口５４）と、上部予熱室５１ａの側
壁５３ａの上部（詳しくは該側壁５３ａに穿設した排ガ
ス入口５５）とを接続している。また５６は排ガス排出
用の排気ダクトで、下部予熱室５１ｂの側壁５３ｂの上
部（詳しくは該側壁５３ｂに穿設した排ガス出口５７）
に接続され、この排気ダクト５６の他端部は、図示しな
い集じん装置への送風用のブロワの吸気口に接続されて
いる。 【００１３】上記構成の装置において、溶解炉１にスク
ラップＳを装入して（この初回の装入は炉蓋４の開放状
態においておこなってもよいし、スクラップ予熱装置２
０の塔体２１内を経ておこなってもよい。）、電極棒５
と炉底電極８間のア−ク放電により炉の溶解操業を開始
すれば、高温の排ガスＧが、スクラップ投入口１１から
塔体２１内へ流入する。スクラップ装入用バケット３２
によりスクラップ装入口３５から塔体２１内にスクラッ
プを装入し、上段側のゲ−ト４０を開閉して、下部予熱
室５１ｂ内にスクラップＳ2 を、上部予熱室５１ａ内に
スクラップＳ1、をそれぞれ装入しておき、前記高温の
排ガスＧによる予熱をおこなう。 【００１４】塔体２１内へ流入した排ガスＧの一部は、
分流ガスＧ1 として分流して分流ダクト５２内を上昇
し、上部予熱室５１ａ内に供給され、スクラップＳ1 中
を下向流として流れてスクラップＳ1 を予熱後、上段側
のゲ−ト４０のフィンガ−４２間を通過して下部予熱室
５１ｂ内に流入し、排気ダクト５６により塔外へ流出す
る。一方排ガスＧの残りの分流ガスＧ2 は下段側のゲ−
ト４０のフィンガ−４２間を通過して下部予熱室５１ｂ
内のスクラップＳ2 中を上向流として流れてスクラップ
Ｓ2 を予熱後、排気ダクト５６により塔外へ流出する。 【００１５】溶解炉１中のスクラップ溶解が進みスクラ
ップ投入が必要となった時点で、下段側のゲ−ト４０を
開いて下部予熱室５１ｂのスクラップＳ2 をスクラップ
投入口１１を経て炉体２内に供給し、該ゲ−ト４０を閉
じ、上段側のゲ−ト４０を開いて予熱ずみのスクラップ
Ｓ1 を下部予熱室５１ｂ内へ装入し、上部予熱室５１ａ
にはスクラップ装入口３５から新たなスクラップＳ1 を
装入し、上記と同様に排ガスＧによる各スクラップの予
熱をおこなう。 【００１６】上記のように、スクラップは通気性を有す
るゲ−ト４０により支持されているので、スクラップ層
底部各部に排ガスが分散流通し、又排ガスは２つのガス
流に分流され排ガスの熱量も分散されるので、スクラッ
プが局部的に過熱されて溶融したり、酸化したりするの
が防止される。またスクラップは上部予熱室５１ａにお
ける排ガス下向流による予熱と、下部予熱室５１ｂにお
ける排ガス上向流による予熱を受ける（但し予熱開始時
の最初の炉への投入分を除く）ので、上述の通気性を有
するゲ−ト４０による支持とあいまって、スクラップは
スクラップ層の各部での温度差が少ないほぼ均熱状態に
加熱され、排ガスは良好な熱交換により降温して排出さ
れ、高い予熱効率が得られるのである。 【００１７】溶解炉１の補修時や炉蓋４の開放時などに
おいては、移動枠組２３を図示しない駆動装置（たとえ
ば車輪２４の回転駆動装置）により炉体２から離間する
矢印Ｐ方向（図１参照）に駆動すればよく、これによっ
て炉の補修作業や炉蓋４の開閉等を支障なくおこなえ
る。 【００１８】上記実施例では塔体２１内にゲ−ト４０を
２段にわたって設け、上部予熱室５１ａと下部予熱室５
１ｂの２つの予熱室を設けたが、図４に示すこの発明の
他の実施例では、ゲ−ト４０を３段にわたって設け、上
部予熱室５１ａと中部予熱室５１ｃと下部予熱室５１ｂ
の３つの予熱室を設けてある。そして分流ダクト５２は
前記実施例と同様に、下部予熱室５１ｂの下側の塔体側
壁５３ｄと上部予熱室５１ａの側壁５３ａとを接続して
いるが、排気ダクト５６は中部予熱室５１ｃの側壁５３
ｃの上部に接続してある。なお図中前記実施例と同一部
分には同一符号を付してある。 【００１９】この実施例においては、排ガスＧの一部は
分流ダクト５２を経て分流ガスＧ1として上部予熱室５
１ａのスクラップＳ1 層内を下向流として流れて予熱
後、下側の排気ダクト５６から塔外へ流出する。一方残
りの分流ガスＧ2 は、下部予熱室５１ｂのスクラップＳ
3 層内および中部予熱室５１ｃのスクラップＳ2 層内
を、上向流として流れて予熱後、排気ダクト５６から塔
外へ流出する。スクラップは３つの予熱室を順次通過
し、１回の排ガス下向流による予熱と２回の排ガス上向
流による予熱とを受けたのち、溶解炉１内に供給される
ものでスクラップ層の下層側の加熱量（昇温量）がやや
多くなる他は、上記実施例と同様な作用効果が得られる
ものである。 【００２０】この発明は上記各実施例に限定されるもの
ではなく、たとえば分流ダクト５２や排気ダクト５６
は、塔体２１の両側にそれぞれ（各２本）設けてもよ
い。又ゲ−ト４０は、上記の揺動フォ−ク式のものの
他、水平方向に直動し塔体内に挿入引出されする直動フ
ォ−ク式のものなど、他形式のものとしてもよい。また
炉蓋４のスクラップ投入口１１を真上に向け、屈曲部を
有しない直立筒状の塔体をこのスクラップ投入口の上方
に立設して、塔体を溶解炉の直上部に設けてもよく、こ
の場合は装置の設置面積が少なくて済む。 【００２１】また溶解炉は直流ア−ク炉以外のものであ
ってもよく、この溶解炉の形式や構造等によって塔体を
横行させる必要のない場合は、塔体は基礎上に固設させ
てもよい。さらに溶解炉の炉蓋に別個の排ガスダクトを
接続して、排ガスの一部をスクラップ予熱に供すること
なく排出するようにしてもよい。 【００２２】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
スクラップは通気性を有するゲ−トにより支持されるの
で、スクラップ層底部各部に排ガスが分散流通し、又排
ガスは２つのガス流に分流され排ガスの熱量も分散され
るので、スクラップが局部的に過熱されて溶融したり、
酸化したりするのが防止される。またスクラップは最上
段の予熱室における排ガス下向流による予熱と、他の予
熱室における排ガス上向流による予熱を受けるので、通
気性を有するゲ−トによる支持とあいまって、スクラッ
プはスクラップ層の各部での温度差が少ないほぼ均熱状
態に加熱され、高い予熱効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の一実施例を示すスクラップ予熱装置
と溶解炉の縦断面図である。 【図２】図１のＡ−Ａ線断面図（但しスクラップを除い
た状態）である。 【図３】図１の塔体部分のＢ−Ｂ線断面図である。 【図４】この発明の他の実施例を示す図３相当図であ
る。 【符号の説明】 １…溶解炉、４…炉蓋、１１…スクラップ投入口、２０
…スクラップ予熱装置、２１…塔体、２３…移動枠組、
３５…スクラップ装入口、３６…蓋、３７…スクラップ
排出口、４０…ゲ−ト、４２…フォ−ク、４６…フォ−
ク駆動装置、５１ａ…上部予熱室、５１ｂ…下部予熱
室、５１ｃ…中部予熱室、５２…分流ダクト、５３ａ…
側壁、５３ｂ…側壁、５３ｃ…側壁、５３ｄ…塔体側
壁、５６…排気ダクト。
と溶解炉の縦断面図である。 【図２】図１のＡ−Ａ線断面図（但しスクラップを除い
た状態）である。 【図３】図１の塔体部分のＢ−Ｂ線断面図である。 【図４】この発明の他の実施例を示す図３相当図であ
る。 【符号の説明】 １…溶解炉、４…炉蓋、１１…スクラップ投入口、２０
…スクラップ予熱装置、２１…塔体、２３…移動枠組、
３５…スクラップ装入口、３６…蓋、３７…スクラップ
排出口、４０…ゲ−ト、４２…フォ−ク、４６…フォ−
ク駆動装置、５１ａ…上部予熱室、５１ｂ…下部予熱
室、５１ｃ…中部予熱室、５２…分流ダクト、５３ａ…
側壁、５３ｂ…側壁、５３ｃ…側壁、５３ｄ…塔体側
壁、５６…排気ダクト。
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
F27D 13/00
F27D 17/00 101
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 スクラップ装入口を上端部にそなえ溶解
炉の炉蓋のスクラップ投入口に対向するスクラップ排出
口を下端部にそなえた塔体内に、閉鎖時に該塔体内に突
出してスクラップを保持する通気性を有し開閉自在なゲ
−トを、上下に間隔をおいて複数段にわたって設置し
て、前記塔体内の前記各ゲ−トの上側にそれぞれ予熱室
を形成させ、最下段の予熱室より下側の塔体側壁と最上
段の予熱室の側壁上部とを分流ダクトで接続し、最上段
の予熱室に隣接する下側の予熱室の側壁上部に、排ガス
排出用の排気ダクトを接続したことを特徴とするスクラ
ップ予熱装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21185294A JP3536365B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | スクラップ予熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21185294A JP3536365B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | スクラップ予熱装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0854191A JPH0854191A (ja) | 1996-02-27 |
| JP3536365B2 true JP3536365B2 (ja) | 2004-06-07 |
Family
ID=16612669
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21185294A Expired - Lifetime JP3536365B2 (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | スクラップ予熱装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3536365B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4006748B2 (ja) * | 1998-07-10 | 2007-11-14 | 大同特殊鋼株式会社 | 炉頂予熱装置の水冷フィンガー |
| KR101713955B1 (ko) * | 2015-12-15 | 2017-03-09 | 한국과학기술원 | 스크랩 예열장치, 예열방법, 그 예열장치를 갖는 전기 아크로 및 그 전기 아크로의 운영 방법 |
| CN117443974A (zh) * | 2023-10-25 | 2024-01-26 | 广东朗盾科技有限公司 | 一种预热进料架 |
-
1994
- 1994-08-12 JP JP21185294A patent/JP3536365B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0854191A (ja) | 1996-02-27 |
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