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JP3576304B2 - カメラの動力伝達切り換え機構 - Google Patents

カメラの動力伝達切り換え機構 Download PDF

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JP3576304B2
JP3576304B2 JP3678096A JP3678096A JP3576304B2 JP 3576304 B2 JP3576304 B2 JP 3576304B2 JP 3678096 A JP3678096 A JP 3678096A JP 3678096 A JP3678096 A JP 3678096A JP 3576304 B2 JP3576304 B2 JP 3576304B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラの動力伝達切り換え機構、詳しくは、カメラにおける複数の出力ギヤ列に対して可逆回転モータの駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真撮影を簡便化にするためにフィルム給送、即ち、フィルムの巻上げ、巻戻しと撮影レンズの焦点合わせ、即ち、オートフォーカス(以下AFと記載)を自動化したカメラが普及している。また、これに加えて、更に、焦点距離を可変としたズームレンズを組み込んだものも普及している。このズームレンズの焦点を変えるにはモータの駆動力を利用したものが一般的である。
【0003】
従来、このようなズームレンズ組み込みカメラはフィルム給送用のモータとは別にズーム用にもう1つのモータを用いていた。しかし、ズーム専用のモータを内蔵するとこのモータを配するスペースを確保しなければならず、カメラが大型化し、同時にコストも上昇してしまう問題があった。このため、フィルム給送用のモータをズーム用のモータとして兼用するカメラも考案されている。
【0004】
特開平1−93725号公報に開示された可変焦点装置付きカメラのクラッチ装置では、遊星ギヤの公転域内にクラッチギヤを進退自在に設け、このクラッチギヤにより3つの動力伝達経路を切り換えられるようにし、1つを巻上げ用、他の1つを巻戻し用、また他の1つをレンズユニット作動用としている。
【0005】
他に特開平2−24612号公報に開示のAFズーム機構は、2焦点カメラのAFズーム機構のモータの正転・逆転を制御し、AF駆動用の第1のギヤを遊星ギヤの切欠部に落ち込ませるか否かを設定し、モータの正転・逆転出力を第1のギヤ、あるいは、ズーム駆動用の第2のギヤに伝達し、AFまたはズームを行う機構である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特開平1−93725号公報に開示されたクラッチ装置では、3系統のそれぞれの切り換えはできるが回転方向は1方向にしか回転できない。一般的にズームレンズをモータによって駆動する場合は短焦点側から長焦点と長焦点側から短焦点の2方向の駆動が必要である。したがって、この機構の場合、ズーム用として用いるには不適切なものである。更に、AFを行うための系統も不足する。
【0007】
また、特開平2−24612号公報に開示のAFズーム機構では、モータの正逆両方の回転を用いることができる。しかし、この場合、系統は2系統であり、フィルム給送は、この切り換え機構では行えない。また、この方法では切り換え時に切欠部に落ち込ませるか否かをモータの回転を遊星ギヤに付けたエンコーダーを用いて制御しなければならず、複雑かつ部品点数の多い機構となっている。
【0008】
上述のように、従来は1つのモータを切り換えてフィルム給送とズーム駆動を兼用する場合、必要な回転が得られないものや、回転方向が得られても、系統が不足して、兼用はしているが全てを1つのモータで行うには不完全であった。さらに、切り換え機構も複雑で、かつ、部品点数も多い機構となっていた。
【0009】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、単一の正逆回転モータで、複数の系統のギヤ列の駆動を切り換え可能な機構を簡単で、かつ、構成部品点数の少ないカメラの動力伝達切り換え機構を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のカメラの動力伝達切り換え機構は、複数の出力ギア列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギアと、上記モータに連結され、上記遊星ギアを公転させるよう一体的に公転するキャリアと、上記遊星ギアの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの公転を公転中間位置で係止および解除可能とする中間係止部材と、上記中間係止部材により上記キャリアの公転を係止される公転域途中で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される出力ギヤと、上記キャリアに形成され、上記公転中間位置で上記中間係止部材が係合する係合部と、上記キャリアに形成され、上記係止部位置において上記キャリアが一方向に回転しようとするときに上記中間係止部材当接する第1当接部と、上記キャリアに形成され、上記係止部位置において上記キャリアが他方向に回転しようとするときに上記キャリアの回転軸方向に、若しくは上記キャリアの放射方向に上記第1当接部と異なる突出量で上記中間係止部材が当接する第2当接部とを有する。
上記カメラの動力伝達切り換え機構においては、上記モータの正逆回転の切り換えにより遊星ギアが公転して出力ギヤに噛み合い、該出力ギヤにモータの駆動力が伝達される。
【0011】
本発明の請求項2記載のカメラの動力伝達切り換え機構は、複数の出力ギア列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギアと、上記モータに連結され、上記遊星ギアを公転させるよう一体的に公転するキャリアと、上記遊星ギアの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの公転を係止および解除可能とする中間係止部材と、上記中間係止部材により上記キャリアの公転を係止される中間係止位置で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される出力ギヤと、上記キャリアに一体に形成され、上記中間係止部材と当接して上記キャリアの公転を係止する2つ以上の突出部とを有し、上記キャリアの回転軸方向に、若しくは上記キャリアの放射方向に、上記中間係止部材が当て付く上記2つ以上の上記突出部の突出量に差を設けてある。
上記カメラの動力伝達切り換え機構においては、上記モータの正逆回転の切り換えにより遊星ギアが公転して出力ギヤに噛み合い、該出力ギヤにモータの駆動力が伝達される。
【0012】
本発明の請求項3記載のカメラの動力伝達切り換え機構は、複数の出力ギア列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギアと、上記モータに連結され、上記遊星ギア公転させるよう一体的に公転するキャリアと、上記遊星ギアの上記公転域の両端規制するよう上記キャリアを係止する両端係止部材と、上記遊星ギアの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの回転を係止保持する中間係止部材と、上記両端係止部材により上記キャリアの公転係止された公転域両端位置で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される2つの第1および第3の出力ギヤと、上記中間係止部材により上記キャリアの公転係止される中間係止位置で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される第2の出力ギヤと、上記キャリアに一体に形成され、上記中間係止部材が当接して上記キャリアの公転を係止する2つ以上の突出部とを有し、上記キャリアの回転軸方向に、若しくは上記キャリアの放射方向に、上記中間係止部材が当て付く上記2つ以上の上記突出部の突出量に差を設けてある。
上記カメラの動力伝達切り換え機構においては、上記モータの正逆回転の切り換えにより遊星ギアが公転して出力ギヤに噛み合い、該出力ギヤにモータの駆動力が伝達される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態を示すカメラの動力伝達切り換え機構の分解斜視図である。
上記動力伝達切り換え機構は、主に切り換えキャリア1と、上記キャリアに取り付けられる遊星ギヤ2と、上記キャリア1を遊星ギヤ2の公転中間位置で係止、または、係止解除する中間係止部材である係止レバー14と、遊星ギヤ2と噛合し、各駆動系に連結される第1の出力ギヤ11,第2の出力ギヤ12,第3の出力ギヤ13と、上記キャリア1の公転回動域の両端を規制する両端係止部材である固定軸18a,18bと、駆動源である正逆回転可能なモータ7と、上記係止レバー14を駆動するための駆動制御用電磁石15とで構成されている。
【0014】
以下、本機構の詳細について説明する。
まず、上記切り換えキャリア1に回転自在に支持された遊星ギヤ2には出力キャリア3に一体で設けられた太陽ギヤ3aが噛み合わされている。上記太陽ギヤ3aには、駆動のための回転トルクが必要であり、駆動源であるモータ7の出力軸の回転は、モータ7の出力軸と同軸に設けた減速キャリア5と出力キャリア3で減速され、出力キャリア3と一体となっている上記太陽ギヤ3aは、その減速された速度で回転駆動される。
【0015】
上記減速キャリア5には、キャリアギヤ6a〜6cが円周上3等分して配置されていて、モータ7の出力軸に圧入されたピニオン8と噛み合うと同時に図示しない固定内歯車に噛み合っている。この機構は、一般に広く用いられる遊星減速機構で、ピニオン8が回転するとその回転力がキャリアギヤ6a〜6cに伝達され、内歯車が固定であるために減速キャリア5が減速されて回転する。
【0016】
上記減速キャリア5には、モータ7の回転軸と同軸に減速太陽ギヤ5aが一体的に設けてある。この減速太陽ギヤ5aは出力キャリア3に設けられたキャリアギヤ4a〜4cと噛み合っていて、先に説明したピニオン8と減速キャリア5に設けたキャリア6a〜6cと全く同様の関係をなしている。このようにしてモータ7の出力回転が2段階減速されて太陽ギヤ3aが駆動され、その回転は遊星ギヤ2に伝達される。
【0017】
上記遊星ギヤ2は、切り換えキャリア1の軸に図示しない板バネをはさみ込んで取り付けてある。この板バネにより遊星ギヤ2にある程度の回転抵抗が与えられている。遊星ギヤ2には上記の回転抵抗があるため、太陽ギヤ3aの回転トルクを受けるとモータ回転軸と同軸の軸9に支持された切り換えキャリア1と一体になって公転することになる。
【0018】
遊星ギヤ2の公転先には出力ギヤ11,12,13が配置されていて、次に述べる被駆動部の動力源となる。図2は、上記出力ギヤ11,12,13により駆動される被駆動部を示した配置図である。
図2に示すように出力ギヤ11は、被駆動部であるフィルム巻き上げ機構に連結されており、図示しないギヤ列を介して巻き上げスプール20をフィルム巻き取り方向へ駆動する。
【0019】
出力ギヤ12は、ズーミングの被駆動部に連結されていて、ギヤ列を介してズーム枠21を駆動する。この駆動は正転、逆転の両方を行い、撮影レンズ19の焦点距離をを短焦点距離から長焦点距離へ、または、長焦点距離から短焦点距離へ変倍させる。
出力ギヤ13は、アイドルギヤ28を介して選択クラッチ22へ連結されている。この選択クラッチ22は切り換えキャリア1部と同方式の遊星切り換え機構になっており、出力ギヤ13の回転方向によりAF(オートフォーカス)ギヤ23、または、巻き戻しギヤ24に選択的に噛み合い、回転力を伝達する。
【0020】
上記AFギヤ23にはギヤ列を介してAF枠25が連結されている。AF枠25は、その回転によりレンズ枠26を光軸方向に進退させ焦点調節を行うもので、一方向の回転により至近から無限遠まで焦点位置を連続的に変化させる。
もう一方の巻き戻しギヤ24には図示しない巻き戻しギヤ列が連結されていて、一方向の回転によりフィルムパトローネ27のスプール27aを駆動し、フィルム27bをフィルムパトローネ27内に巻き戻す。
【0021】
次に、遊星ギヤ2が選択噛合する出力ギヤ11,12,13の切り換え伝達機構について説明する。
遊星ギヤ2は、モータ7の回転トルクを受けると公転をするが出力ギヤ11,12,13に回転トルクを伝達するが、そのためにそれらのギヤと噛み合う位置に止まって回転する必要がある。そこで、回動する切り換えキャリア1を各ギヤ対向位置で係止させ、遊星ギヤ2をそれぞれ位置に止めて出力ギヤ11,12,13のいずれかに噛み合わせ、太陽ギヤ3aの回転を伝達することになる。
【0022】
ここで、先に遊星ギヤ2にはある程度の回転抵抗を持たせてあると説明したが、この回転抵抗は、切り換えキャリア1が遊星ギヤ2を公転させるのに必要な程度の小さな回転抵抗であるので、その回転抵抗トルクよりもモータ7から減速されて回転する太陽ギヤ3aの回転トルクの方が十分に大きい。したがって、遊星ギヤ2は切り換えキャリア1が遊星ギヤ2の公転位置で係止されていれば、その位置に止まって、太陽ギヤ3aの回転トルクを各出力ギヤ11,12,13に対して伝達することができる。
【0023】
次に、上述した切り換えキャリア1を各切り換え位置に係止する機構について説明する。
図1に示した切り換えキャリア1には回転係止に用いる3つの突出部である第1の突出部1a,第2の突出部1b,第3の突出部1cが外周に沿って設けてある。このうちの突出部1aと1bに作用する中間係止部材としての係止レバー14がモータ回転軸と垂直な軸14dに取付け穴14aを通して回動可能に取り付けられている。
【0024】
係止レバー14には、突出部1aと1bに係合可能な位置に突出した状態で係止部14bが設けてある。また、取付け穴14aを挟んで係止部14bの反対側の位置に係止部14bの突出方向とは逆方向に可動ピン14cが突出して設けられている。
取付け穴14aを中間の支点とする位置関係にしてあるので可動ピン14cにモータ回転軸と平行な方向に力を作用させると、係止レバー14は、図3(A),(B)の作用図に示すように作用力f,f′によって回動し、係止部14bは作用する力の方向と逆方向に上下に変位する。
【0025】
上記係止レバー14の可動ピン14cには電磁石15の可動鉄芯であるプランジャ15aの先端部溝が係合しており、プランジャ15aの吸引動作により係止レバー14を回動させることができる。なお、図1ではわかり易くするためにプランジャ15aが可動ピン14cと係合する部分だけ図示している。
【0026】
図4に電磁石15の構成およびプランジャ15aと係止レバー14と連結状態を示す。電磁石15は、プランジャ15aとボビン15bと戻しバネ16から構成されている。プランジャ15aがボビン15bの穴部に戻しバネ16を挟んで差し込まれていて、戻しバネ16は可動鉄芯15aとボビン15bを引き離す方向の付勢力を与えている。ボビン15bには制御回路17(図8参照)の出力ラインが接続されている。
【0027】
そして、制御回路17から出力電流がボビン15bのコイルに供給されると、ボビン15bの穴部に磁界が発生し、その磁界によってプランジャ15aを矢印のA方向に動かそうとする吸引力が発生する。この力は、戻しバネ16によるプランジャ15aとボビン15bとを引き離す力より大きな力であるので、制御回路17からの出力電流が流れると、プランジャ15aが矢印Aの方向に動く。通電を停止すると戻しバネ16の力で矢印Aと逆の方向に動く。
【0028】
このような動作をする電磁石15のプランジャ15aに図4で示したように係止レバー14の可動ピン14cを挟持して配設してあるので、制御回路17により電磁石15への電流供給を制御し、係止レバー14の係止部14bの動きを制御することができる。
【0029】
上記係止レバー14の係止部14bが切り換えキャリア1の回動を係止する状態について、図5,図6,図7の切り換えキャリア1が各出力ギヤ11,12,13に駆動力を伝達している状態をモータ回転軸方向から見た平面図により説明する。
図5は、出力ギヤ11に遊星ギヤ2が噛み合っており、巻き上げ動作状態を示している。この状態では、モータ7がCW方向に回転しており、その回転は2段減速され、太陽ギヤ3aがCW方向に回転する。遊星ギヤ2は太陽ギヤ3aの回転力を受けて、公転しようとする。つまり、切り換えキャリア1がCW方向に回転する力を受ける。
【0030】
両端係止部材である固定軸18aが切り換えキャリア1の突出部1cと当て付く位置に設けられているので、モータ7がCW方向へ回転し、切り換えキャリア1が遊星ギヤ2を公転させようとする動作を係止する働きをする。したがって、図5に示すように出力ギヤ11と遊星ギヤ2が噛み合った状態を保ち、回転力が巻き上げギヤ列に伝達される。
【0031】
図6は、出力ギヤ12に遊星ギヤ2が噛み合っており、ズーム駆動状態(後述するホームポジション)を示している。この状態では、係止レバー14の係止部14bが切り換えキャリア1の突出部1aと1bに挟まれた部分に位置している。このとき、モータ7をCW方向に回転させると切り換えキャリア1がCW方向へ回動しようとするが係止部14bに突出部1bの第2当接部が当て付き、出力ギヤ12に回転力が伝えられる。また、モータ7をCCW方向に回転させると係止部14bに突出部1aの第1当接部が当て付き、出力ギヤ12に回転力が伝えられる。
【0032】
図7は、出力ギヤ13に遊星ギヤ2が噛み合っており、AFまたは巻き戻し動作状態を示している。この状態では、両端係止部材である固定軸18bは、前述の巻き上げ駆動で説明した固定軸18aと同様の作用をする。すなわち、モータ7をCCW方向に回転させると、切り換えキャリア1の突出部1cが上記固定軸18bに当て付き、出力ギヤ13に回転力が伝えられる。
【0033】
このとき、出力ギヤ13はCCW方向に回転する。出力ギヤ13はアイドル28と噛み合っており、更に、前述の図2に示した選択クラッチ22を構成するギヤ29、選択ギヤ30に連結されている。したがって、出力ギヤ13がCCW方向に回転すると、上記アイドル28を介してギヤ29がCCW方向に回転する。そして、選択ギヤ30がギヤアーム31に支持されており、切り換えキャリア1と同様に遊星クラッチとして作用するので、図2に示したAFギヤ23以下のギヤ列を駆動し、AF動作を行う。
【0034】
一方、図7の状態でモータ7をCW方向に回転させたときは、係止レバー14の係止部14bに切り換えキャリア1の突出部1aが当て付いて、出力ギヤ13に回転力が伝えられる。この場合、出力ギヤ13はCW方向に回転し、上記AF動作のときとは逆にアイドルギヤ28,ギヤ29が回転し、選択ギヤ30が図2に示した巻き戻しギヤ24に噛合し、以下巻き戻しギヤ列を駆動し、巻き戻しが行われる。
上述したように、各出力ギヤ11,12,13は、切り換えキャリア1がそれぞれの位置で係止されることによって、遊星ギヤ2と噛合し、モータ7からの回転力が伝達される。
【0035】
ここで、本実施の形態の動力伝達切り換え機構を内蔵するカメラの制御部の主要構成について、図8のブロック構成図によって説明する。
上記制御部は、主に電源スイッチのオン・オフを操作する電源ボタン32と、ズーミング操作のためのズームアップボタン34a,ズームダウンボタン34bと、ズーム制御用信号発生手段のズームエンコ−ダ35と、被写体距離の測定を行う測距センサ38と、AF制御用信号発生手段のAFエンコ−ダ36と、撮影駒数をカウントする駒数計37と、レリーズ操作用のレリーズボタン33と、前記係止レバー14の位置を制御する電磁石15と、前記太陽ギヤ3aを駆動するモータ7と、上記電磁石15,モータ7の制御および全カメラの制御を司る制御回路17を有している。
【0036】
次に、上記制御部により制御される上記カメラの一連の撮影動作シーケンスを追って切り換え動作について説明する。
図9は、上記一連の撮影動作シーケンスのフローチャートであり、カメラの電源のオン状態をスタートとして処理が開始される。本カメラは電源オンでズーム操作が直ちに行えるように設定されている。撮影者がカメラをかまえて、先ず、構図を決めるためにズーム操作をする。これはカメラ外装体に設けたズームアップ,ダウンボタン34a,34bを押すことにより実行される(ステップS1)。
【0037】
構図が決まり、撮影者がレリーズボタン33を押す。このボタン33は第1,第2レリーズ動作の2段式のスイッチ構造となっており、第1レリーズ操作をすると(ステップS2)、カメラに内蔵された測距センサ38によって被写体までの距離を測距する(ステップS3)。その後、第2レリーズ操作がなされると(ステップS4)、撮影レンズが測距センサ38で測距した距離に合焦する焦点位置にレンズの繰り出しを行う(ステップS5)。
【0038】
続いて、シャッタ開閉が行われ、フィルム27bが露光される(ステップS6)。露光が終わるとフィルムを1駒分巻き上げる(ステップS7)。そこで、まだ、最終駒フィルムの撮影が終了していない場合は、電源オン後のステップS1へ戻り、最終駒のフィルムの撮影が終了している場合には、巻き戻しを行い(ステップS9)、本ルーチンを終了する。
【0039】
次に、上記一連の動作シーケンスにおいて、ステップ毎に本動力伝達切り換え機構がどのように作用するのかを、図8のブロック構成図、および、図10,図11の係止レバー14の係止部14bと切り換えキャリア1の突出部1aおよび1bとの相対位置関係を示す展開図を用いて説明する。
図8に示す制御回路17は、操作部材からの信号とエンコーダからの信号を基にモータ7の回転制御と電磁石15のオン・オフ等を制御する回路であり、その制御に基づいてカメラの各動作が実行される。
【0040】
電源ボタン32を押すと制御回路17によりカメラはスタンバイ状態になり、使用者の指示を待つことになる。
本カメラでは上記スタンバイ状態でズーム操作が直ちに行えるように、前記切り換えキャリア1は、図6のようにズームの出力ギヤ12に遊星ギヤ2が噛み合う位置で係止されている。以下、この噛合状態にある切り換え位置をホームポジョンと表記する。
【0041】
上述の係止動作は、係止レバー14の係止部14bと切り換えキャリア1の突出部1aおよび1bによってなされる。このときの係止部14bが突出部1aおよび1bを係止している部分のみを図10(A)および図10(B)の展開図に示す。
【0042】
このスタンバイ状態で撮影者がズームアップボタン34aを押すと、その信号により制御回路17はモータ7をCCW方向に回転させる。その駆動力により切り換えキャリア1は、遊星ギヤ2をCCW方向へ公転させようとする。ところが図10(A)のように係止レバー14の係止部14bに切り換えキャリア1の突出部1aが当て付いているので、遊星ギヤ2は公転せずにモータ7からの回転力は太陽ギヤ3aを介して出力ギヤ12に伝達される。
【0043】
出力ギヤ12に伝えられた回転力は、ズームギヤ列を介しズーム枠21(図2参照)を駆動し、撮影レンズ19を短焦点側から長焦点側に変倍させる。このとき、ズームギヤ列中に設けたズームエンコーダ35から信号が出力され、この信号により制御回路17は、撮影レンズ19の焦点距離を認識することになる。 したがって、ズームアップボタン34aを押し続けて、長焦点端に達したときには制御回路17はモータ7の駆動を停止させて、駆動機構に過度の力が作用することが防止される。
【0044】
同様にズームダウンボタン34bを押すと、図10(B)の展開図に示すように係止部14bに突出部1bが当て付いた状態が保持され、モータ7のCW方向回転により撮影レンズ19は長焦点側から短焦点側に変倍する。
【0045】
上記図10(A),図10(B)で係止部14bに突出部1a,1bが当て付いている状態で、当て付いていない側の係止部14bの面と突出部1a、または、1bに隙間CC ,CB が設けてあるが、この隙間は、後で説明するAF(オートフォーカス)のためのレンズ繰り出し動作状態に切り換えるときに利用される。
【0046】
なお、上記隙間CC ,CB が存在することによりズームアップとズームダウンでは切り換えキャリア1がその分だけ余分に遊星ギヤ2を公転させることになるが、このとき、出力ギヤ12との噛み合いがズームアップ、ズームダウンの両方共に最小でも1歯、すなわち、噛み合い率≧1になるように公転量、すなわち、上記隙間が設定してあるので何ら支障なくズーム枠21は駆動される。
【0047】
撮影者がズーム操作をして構図を決めると、次に、レリーズボタン33を押す。レリーズボタン33は、前述したように2段式のスイッチ構造となっていて、1段目を押すと、カメラ本体に内蔵した測距センサー38で被写体までの距離を測る。2段目まで押すとシャッタ動作を行うまでの一連の動作を開始する。
【0048】
上記レリーズ動作を順を追って説明すると、まず、前記ホームポジションに係止されている切り換えキャリア1の係止を解く。係止が解かれた切り換えキャリア1を回転させて遊星ギヤ2を公転させ、AF用の出力ギヤ13と係合させる。測距センサー38で測った距離に合焦する焦点位置に撮影レンズをAF駆動する。その後、シャッターを開閉させて露光する。
【0049】
上記レリーズ動作に移るに際して、動力伝達切り換え機構の切り換えを行う必要がある。
まず、係止レバー14が切り換えキャリア1の係止を解く機構について説明する。はじめに図10(A)の係止部14aのB点および図10(B)のC点はプランジャー15の力が作用した時に、係止レバー14が回動運動を行うことから一点鎖線で示した軌跡PB 、または、PC を描くことになる。
【0050】
しかし、上記軌跡PB ,PC からB点は突出部1a、C点は突出部1bと干渉するので、プランジャ15aの力を受けても係止状態を解除することができない。このことは、ズームアップ、または、ズームダウン駆動中に係止が外れてしまうことがないように保持されることになる。
【0051】
この係止状態を解くには、一旦、図10(B)のズームダウン動作状態にする。次に、電磁石15に通電する。しかし、上述したようにこのときには係止は解除できない。そこで、電磁石15の通電を継続したままで、モータ7をCCW方向に駆動する。
このモータ7の回転により切り換えキャリア1がCCW方向に僅かに回動し、図10(C)の状態になる。この回動は前述した隙間CC ,CB が設けられているために可能となっている。
【0052】
すなわち、上記図10(C)の状態では、B点およびC点の軌跡PB ,PC は突出部1a,1bのどちらとも干渉しない。電磁石15はこの時点でも通電されているので、係止レバー14は、電磁石15の可動鉄心15aの力により駆動され、係止が解除される。
なお、電磁石15の応答時間は、10msec程度以内であり、切り換えキャリア1が図10(C)の状態からCCW方向にに回動して、係止レバー14の軌跡PB と突出部1aが干渉するまでには、時間的に十分な余裕があるので、干渉は生じない。
【0053】
次に、係止が解除された状態のまま、切り換えキャリア1がCCW方向に駆動されると、図10(D)のように係止レバー14の係止部14bと切り換えキャリア1の突出部1aが干渉することなく、電磁石15の通電状態のままでCCW方向に回動し、図10(E)の状態になる。この状態での動力伝達切り換え機構は、図7の状態になっている。
そこで、電磁石15の通電を切れば、ホームポジションからAF駆動状態への切り換えキャリア1の切り換え回動が終了する。続いて、AF駆動を行い、シャッターを開閉して露光を行う。露光終了後、巻き上げを行う。
【0054】
露光が終了した時点では。切り換えキャリア1は、図7のAF動作位置にあるので、次に、図5のように遊星ギヤ2と出力ギヤ11が噛み合う巻き上げ動作位置に切り換える。なお、上記AF動作位置にある状態では係止レバー14の係止部14bは図10(E)の状態にある。
【0055】
ここで、電磁石15に通電すると係止が解除され、電磁石15通電のまま、切り換えキャリア1をCW方向に駆動する。そのCW方向の回動により、遊星ギヤ2が図6の出力ギヤ12と係合する位置にくる。更に、CW方向の回動を続けると、遊星ギヤ2は出力ギヤ12を通過して図5の位置に到達する。ここで、電磁石15の通電を切ると、図11(A)に示すように係止レバー14の係止部14bは切り換えキャリア1の突出部1bの上部に乗った状態になる。
【0056】
この状態で切り換えキャリア1の突出部1cが固定軸18aに当て付き、キャリア1のCW方向への回動が止められ、遊星ギヤ2の回転力が出力ギヤ11に伝えられる。すでに説明したように出力ギヤ11は、巻き上げギヤ列を介して巻き上げスプール20につながっているので、フィルム27bが巻き上げスプール20に巻き取られる。
【0057】
巻き上げが行われると、駒数計37から制御回路17に信号が入り1駒分フィルムを巻き上げるようにモータ7を制御する。フィルム27bが巻き上がったら、切り換えキャリア1を図6に示す始めのホームポジションに戻す。最終駒のフィルムの撮影が終了した場合は、駒数計37からフィルム終了の信号が制御回路17に入る。
【0058】
巻き上げが終了した時点での切り換えキャリア1と係止レバー14の関係は図11(A)のようになっている。ここから切り換えキャリア1をCCW方向へ回転させるとやがて係止レバー14の係止部14bのところに切り換えキャリア1の突出部1aが当て付く。図11(B)はその状態を示している。
【0059】
ここで、図11、または、図10に示すように突出部の突出量に相当する突出部1aと突出部1bの軸方向の位置である高さに差があることに注目する必要がある。
図11(A)の状態のとき、係止部14bは電磁石15に設けられたバネ16によって矢印Eの方向に付勢力を受けているので、突出部1bの面に当接している。切り換えキャリア1のCCW方向の回動によりやがて係止部14bと突出部1bの面が当接しない所まで移動する。このとき、突出部1aの面の高さが突出部1bの高さより高くなっていることで、係止部14bが突出部1aに引っかかることになる。
【0060】
上述の状態で遊星ギヤ2は、図6の位置に到達しており、出力ギヤ12と噛み合う。切り換えクラッチ1は上記係止部14bでその回動を係止されるので、モータ7からの出力は遊星ギヤ2から出力ギヤ12へ伝達される。
上記出力ギヤ12はズームギヤ列に連結されており、ズームギヤ列中に設けられているズームエンコーダ35からズームギヤ列の回転に伴う信号が制御回路17に入力される。制御回路17は、この信号により切り換えキャリア1が巻き上げ位置からホームポジションに戻ったことを認知する。
【0061】
そこで、切り換えキャリア1を僅かCW方向へ逆転させると、係止部14bはバネ1bの付勢力によって下方向に押されて、図10(A)の状態に変化する。これで一連のレリーズ動作が終了する。
【0062】
一連のリレーズ動作の中の巻き上げでフィルムが最終駒まで到達した場合は、次に巻き戻しを行う。最終駒に到達しない場合は、次の駒の撮影待ちの状態となる。
上記巻き戻しは、図6のホームポジションからキャリア1の回動位置を図7のAF位置へ先ず切り換える。この切り換えの手順はすでに説明したので省略する。
【0063】
AF位置へ切り換わったら、図7に示す切り換えキャリア1をCW方向に回動すると、係止レバー14の係止部14bと切り換えキャリア1の突出部1aが係合するので、モータ7の回転が巻き戻しギヤ列を介して伝達され、フィルム27bがパトローネ27に巻き戻される。フィルム27aがパトローネ27に全て巻き戻されると駒数計37から制御回路17に信号が入力され制御回路17はモータ7の回転を停止する。
以上のようにカメラの一連の動作が切り換えキャリア1の位置を切り換えながら行われる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態のカメラの動力伝達切り換え装置によると、切り換えキャリア1の突出部1a,1bの高さに差を付けることによって、遊星ギヤ2の公転域両端とその中間の3ケ所の動力伝達位置への駆動を、切り換えキャリア1の回動位置を検出することなく行え、その駆動経路の切り換えを実施することができる。且つ、3つの駆動経路において、単一方向、または、両方向の回転ができるので、1つの可逆回転モータ7でフィルムの巻き上げ、巻き戻し、AF駆動、ズーム駆動が可能となり、カメラの小型化,軽量化に可能になる。
【0065】
さらに、部品点数も少なくなり、これらを配置するスペースを容易に確保でき、配置や部品設計上の制限が少くなることで、これらの部品を高精度で加工する必要がなくなり、部品コストの低減につながる。更に、切り換えキャリア1の回動位置検出する必要がないので、検出のための電気的センサも不必要で、制御回路17も簡素化できるため、電装関係のコストも安くなる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施の形態のカメラの動力伝達切り換え機構について、図12の本機構の平面図を用いて説明する。
本実施の形態の動力伝達切り換え機構は、先に説明した第1の実施の形態の切り換え機構の出力ギヤ11と出力ギヤ12に遊星ギヤ2が噛み合う位置、すなわち、巻き上げ位置とズーム位置であるホームポジションの間の公転区間に内歯車40を配設していることを特徴とする。
【0067】
上記内歯車40は、切り換えキャリア1がCW方向またはCCW方向に回転していく際に遊星ギヤ2が噛み合い可能な歯車形状を有している。なお、内歯車40以外は前記第1の実施の形態の機構と全く同様の構成、および、作用であるので、内歯車40を加えることによる変更部分について説明を行う。
【0068】
巻き上げ位置からホームポジションに切り換わる際には、前記図11(A)に示したように係止レバー14の係止部14bは、電磁石15に設けたバネ16の力によって矢印E方向に付勢され、切り換えキャリア1の突出部1bの面に当て付いている。
【0069】
したがって、切り換えキャリア1が回転するためには、遊星ギヤ2の回転トルクは、係止部14bと突出部1bの当て付きによる摩擦力より大きくなければならない。しかし、遊星ギヤ2に回転トルクを与えることは、当然、各出力ギヤ11,12,13の駆動の際にモータ7の駆動力をロスさせる要素となるので、少しでもトルクが小さい方が効率的に望ましい。
【0070】
そこで、本実施の形態の機構では、上記内歯車40を設ける。この内歯車40を設けると、遊星ギヤ2の回転トルクが小さくても歯車同士が噛み合って回転するので、係止部14bと突出部1bの摩擦力の大小に関わらずに切り換えキャリア1を確実に回動させることができる。
【0071】
内歯車40は、固定して配置されるため、遊星ギヤ2が出力ギヤ11および12と噛み合うと同時に内歯車40と噛み合うような位置関係にすると、遊星ギヤ2はロックしてしまう。したがって、内歯車40は出力ギヤ11および12と遊星ギヤ2の噛み合いがはずれた直後に噛み合うように配置する。
【0072】
上述のように内歯車40を配設することにより、どちらにも噛み合っていない微少区間については、切り換えキャリア1は回転慣性力によって回動させる。 上述のように本実施の形態のカメラの動力伝達切り換え機構によれば、遊星ギヤ2の回転トルクを小さく抑えることができ、モータ7の駆動力のロスが小さくなり、また、モータの小型化が可能で、消費電力を抑えることも可能となる。
【0073】
次に、本発明の第3の実施の形態のカメラの動力伝達切り換え機構について、図13の本機構の平面図と、図14の切り換えキャリアの突出部展開図と、図15の切り換えキャリアの突出部と係止レバーの係止部の作用状態を示す展開図を用いて説明する。
本実施の形態の動力伝達切り換え機構は、先に説明した第2の実施の形態の機構に対して、更に、切り換えキャリアの突出部1bに対して形状を変更し、切り換えキャリア51に突出部51bを設けたものである。なお、突出部51bの形状を変更した以外は、前記第2の実施の形態の機構と全く同様の構成と作用であるので、以下、変更部分についての説明を行う。
【0074】
図14は、切り換えキャリア51の突出部51bの形状を示す展開図である。上記突出部51bは、区間J,F,H,G,Kを有しており、前記図1の突出部1bに対して区間F,H,Gの形状が異なっている。突出部1aの上面をIとすると、上記区間Hの面の軸方向高さは、上記I面より低く、突出部51bの区間J,Kよりも高い位置にある。そして、突出部の区間F,Gは、区間JとH、または、区間KとHをつないだ斜面区間とする。上記突出部斜面区間F、または、G上に係止部14bが掛かっているときは、遊星ギヤ2は出力ギヤ11,12と内歯車40のどちらとも噛み合わない状態にあるとする。
【0075】
図15は、切り換えキャリア51をCCW方向に回転させて係止レバー14の係止部14bが斜面区間Fにさしかかっている状態を示している。このとき、係止部14bは電磁石15のバネ16の力によって、矢印Eの方向の付勢力を受けている。
当接している部分が斜面であることにより、前記第1、第2の実施の形態の機構での平面部(図11(A)参照)とは異なり摩擦力の他にE方向の力の分力が切り換えキャリア51をCCW方向へ回動させようとする力が発生する。
【0076】
このCCW方向への回動力が発生することで相対的には摩擦力が減ることになる。したがって、その摩擦力の減分だけ第2実施の形態の機構よりも更に遊星ギヤ2の回転トルクを小さくすることができる。
【0077】
突出部51bの斜面区間Gに関しても同様のことがいえる。ただし、斜面区間Fでは切り換えの流れの中で斜面を逆に登る状態であるからCW方向に回転することはないが、斜面区間Gの場合、巻き上げ位置からホームポジションへ切り換える方向はCCW方向となり、係止部14bが斜面を逆に登らなければならなくなる。
【0078】
そこで、本実施の形態の機構の場合、切り換えキャリア51を巻き上げ位置からホームポジションへ切り換える際に、係止部14bが斜面区間G上にあってCCW方向に回転する間だけ、電磁石15に通電して、係止部14bを逃し、平面区間Hに到達した時点で電磁石15の通電を切るように制御回路17の制御動作を変更する。
また、切り換えキャリア51をAF位置から巻き上げ位置へ切り換える際にも、係止部14bが斜面区間Fを通過するCW方向の回転期間だけ、同様に電磁石15に通電して、係止部14bを逃し、平面区間Hに到達した時点で電磁石15の通電を切るように制御回路17の制御動作を変更する。
【0079】
以上のように本実施の形態の機構では、制御回路17と切り換えキャリア51の突出部51bの形状を変更することで、遊星ギヤ2の回転トルクを前記第2の実施の形態のものよりも更に小さくすることができる。このことでモータ7の回転力のロスが小さく抑えられる。
【0080】
次に、本発明の第4の実施の形態のカメラの動力伝達切り換え機構について、図13の本機構の平面図を用いて説明する。
切り換えキャリア1の突出部の高さの差を前記第1,2および3の実施の形態の機構ではキャリア1の回転軸方向に持たせたが、本実施の形態の機構では切り換えキャリア61の突出部61a,61bの放射方向に高さの差をつけたことを特徴とする。
【0081】
また、上記突出部の変更に応じて係止レバー64を支持する回動軸65をモータ7の回転軸と平行に配設し、電磁石15の吸引方向はモータ7と直交方向とする。切り換えキャリア60と係止レバー64と電磁石15の吸引方向以外は、前記第1の実施の形態の機構と同様の構成・作用となるのでその説明は省略する。
【0082】
この動力伝達切り換え機構においては、上述のように切り換えキャリア61の突出部61a,61bの放射方向に高さの差を付けているので、係止レバー64の係止部64bを上記突出部61a,61bに対して係止状態を制御する場合、係止レバー64を回動させて、切り換えキャリア61の放射方向、すなわち、モータ7の軸方向と直交する方向に進退させて係止状態を切り換えることになる。
【0083】
本実施の形態の機構では、切り換えキャリア61のモータ7軸方向の外形寸法を前記第1の実施の形態の機構の切り換えキャリア1より低くできるので、カメラの高さ寸法を低く抑えることが可能になる。
なお、この第4の実施の形態の機構にも前記第1の形態の機構に対する第2および第3の実施の形態の機構に相当するように、内歯車の追加、突出部の形状変更による遊星ギヤ2の回転トルク減少効果を狙った改良が可能であることは明らかである。
【0084】
また、上述の第1から第4の実施の形態の機構においては、出力ギヤ11を巻き上げ駆動用、出力ギヤ12をズーム駆動用、出力ギヤ13をAFと巻き戻し駆動用のギヤ列に接続するものとしたが、この配置は上述のものに限定する必要はなく、適用する被駆動部に合わせて自由に組み合わせても本発明の効果を得ることはできる。
【0085】
また、各実施の形態のなかで出力ギヤ11を一方向の回転として用いているのは、適用するカメラに逆転方向で駆動する負荷がないためであり、逆方向回転を利用してカメラの他の機構の制御、例えば、チャージ動作を行わせる必要があれば、係止部1b等の形状を変更して反対側に配設された出力ギヤ13と同じ駆動系にすれば3ケ所の出力ギヤを全て両方向に回転させることができる。このような構成は、本発明の構成に含まれることは明らかである。
【0086】
(付記)
上述した本発明の実施の形態に基づいて、以下に構成を有するカメラの動力伝達切り換え機構を提案することができる。すなわち、
(1) フィルムの巻き上げ駆動、巻き戻し駆動、ズーム駆動およびフォーカス駆動を1つの可逆回転モータで行うズームカメラの動力伝達切り換え機構において、
モータの正逆回転の切り換えに連動して公転される遊星ギヤと、
上記遊星ギヤを公転させるキャリアと、
上記キャリアが公転域に進退自在であって、該キャリアの公転を係止する係止部材と、
上記キャリアが公転を係止された位置で上記遊星ギヤと噛み合い、回転力を伝達する3つ以上の出力ギヤと、
上記係止部材が当て付いて上記キャリアの公転を係止される位置に該キャリアと一体に形成された2つ以上の突出部と、
を有し、
上記係止部材に当て付く2つ以上の上記突出部の高さに差を設けてあることを特徴とするズームカメラの動力伝達切り換え機構。
【0087】
(2)付記(1)において、さらに、
上記遊星ギヤの公転を正転方向で規制する正転規制部材と、
上記遊星ギヤの公転を逆転方向で規制する逆転規制部材と、
を有し、
上記3つ以上の出力ギヤのうち1つを上記正転規制部材にキャリアが公転を規制された位置で噛み合う位置に設け、出力ギヤのうち他の1つを逆転規制部材にキャリアが公転を規制された位置で噛み合う位置に設け、出力ギヤのうち残りの1つ以上の出力ギヤを正転規制部材と逆転規制部材の間のキャリアの公転域に設けたことを特徴とするズームカメラの動力伝達切り換え機構。
【0088】
(3)付記(2)において、さらに、正転規制部材と逆転規制部材との間の上記キャリアの公転域内に、公転する上記遊星ギヤと噛み合い、且つ、上記遊星ギヤが上記出力ギヤと噛み合う位置では非噛み合いとなるように内歯車を配設したことを特徴とするズームカメラの動力伝達切り換え機構。
【0089】
(4)付記(3)において、さらに、上記キャリアの上記遊星ギヤが上記出力ギヤおよび上記内歯車と噛み合わない位置にある範囲において、上記キャリア突出部が係止部材と当接する部分を斜面形状としたことを特徴とするズームカメラの動力伝達切り換え機構。
【0090】
(5)複数の出力ギヤ列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、
モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギヤと、上記モータに連結され、上記遊星ギヤを公転させるよう一体的に公転するキャリアと、
上記遊星ギヤの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの公転を公転中間位置で係止および解除可能とする中間係止部材と、
上記中間係止部材により上記キャリアの公転を係止される公転域途中で上記遊星ギヤと噛み合い、回転力を伝達される出力ギヤと、
上記キャリアに形成され、上記公転中間位置で上記中間係止部材が係合する係合部と、
上記係合部位置から一方の回転方向に突出して上記キャリアに形成され、上記中間係止部材が当接する第1当接部と、
上記係合部位置から他方の回転方向に上記第1当接部と異なる突出量で上記キャリアに形成され、上記中間係止部材が当接する第2当接部と、
を有することを特徴とするカメラの動力伝達切り換え機構。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1記載のカメラの動力伝達切り換え機構は、遊星ギヤを支持するキャリアの回動を突出量の差をもつ2つの当接部を介して中間係止部材により係止するようにして、単一モータで複数の出力ギヤの1つを選択して駆動切り換えを行うことを可能とし、構成部品点数が少なく、占有スペ−スの少ない、低コストの機構が実現できる。
【0092】
本発明の請求項2記載のカメラの動力伝達切り換え機構は、遊星ギヤを支持するキャリア野回動を突出量の差をもつ2つの突出部を介して中間係止部材により係止するようにして、単一モータで複数の出力ギヤの1つを選択して駆動切り換えを行うことを可能とし、構成部品点数を少なく、占有スペ−スの少ない、低コストの機構が実現できる。
【0093】
本発明の請求項3記載のカメラの動力伝達切り換え機構は、遊星ギヤを支持するキャリアを両端係止部材と中間係止部材により異なる位置に停止させ、単一モータで3つの出力ギヤの1つを選択して駆動切り換えを行うことを可能とし、構成部品点数を少なく、占有スペ−スの少ない、低コストの機構が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すカメラの動力伝達切り換え機構の分解斜視図。
【図2】図1の動力伝達切り換え機構を内蔵するカメラの駆動系統を示した配置図。
【図3】図1の動力伝達切り換え機構における係止レバーの作用状態を示す図。
【図4】図1の動力伝達切り換え機構に適用される電磁石の構成を示す図。
【図5】図1の動力伝達切り換え機構において、切り換えキャリアにより第1の出力ギヤに駆動力を伝達している状態を示す平面図。
【図6】図1の動力伝達切り換え機構において、切り換えキャリアにより第2の出力ギヤに駆動力を伝達している状態を示す平面図。
【図7】図1の動力伝達切り換え機構において、切り換えキャリアにより第3の出力ギヤに駆動力を伝達している状態を示す平面図。
【図8】図1の動力伝達切り換え機構を内蔵するカメラの制御部のブロック構成図。
【図9】図1の動力伝達切り換え機構を内蔵するカメラの撮影シーケンスのフローチャート。
【図10】図1の動力伝達切り換え機構の切り換えキャリアにおける突出部と係止レバーの係止部の作用状態を示す展開図であって、(A)から(E)までそれぞれ別の作用状態を示している。
【図11】図1の動力伝達切り換え機構の切り換えキャリアにおける突出部と係止レバーの係止部の作用状態を示す展開図であって、(A),(B)にそれぞれ別の作用状態を示している。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示すカメラの動力伝達切り換え機構の平面図。
【図13】本発明の第3の実施の形態を示すカメラの動力伝達切り換え機構の平面図。
【図14】図13の動力伝達切り換え機構に適用される切り換えキャリアの突出部の展開図。
【図15】図13の動力伝達切り換え機構の切り換えキャリアの突出部と係止レバーの係止部の作用状態を示す展開図であって、(A)と(B)はそれぞれ異なる状態での展開図。
【図16】本発明の第4の実施の形態を示すカメラの動力伝達切り換え機構の平面図。
【符号の説明】
1,51,61……切り換えキャリア(キャリア)
1a,1b……突出部
2 ……遊星ギヤ
7 ……モータ(可逆回転モータ)
11 ……出力ギヤ(第1出力ギヤ)
12 ……出力ギヤ(第2出力ギヤ)
13 ……出力ギヤ(第3出力ギヤ)
14b……係止レバーの係止部(中間係止部材)
18a,18b……固定軸(両端係止部材)

Claims (3)

  1. 複数の出力ギア列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、
    モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギアと、
    上記モータに連結され、上記遊星ギアを公転させるよう一体的に公転するキャリアと、
    上記遊星ギアの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの公転を公転中間位置で係止および解除可能とする中間係止部材と、
    上記中間係止部材により上記キャリアの公転を係止される公転域途中で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される出力ギヤと、
    上記キャリアに形成され、上記公転中間位置で上記中間係止部材が係合する係合部と、
    上記キャリアに形成され、上記係止部位置において上記キャリアが一方向に回転しようとするときに上記中間係止部材当接する第1当接部と、
    上記キャリアに形成され、上記係止部位置において上記キャリアが他方向に回転しようとするときに上記キャリアの回転軸方向に、若しくは上記キャリアの放射方向に上記第1当接部と異なる突出量で上記中間係止部材が当接する第2当接部と、
    を有することを特徴とするカメラの動力伝達切り換え機構。
  2. 複数の出力ギア列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、
    モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギアと、
    上記モータに連結され、上記遊星ギアを公転させるよう一体的に公転するキャリアと、
    上記遊星ギアの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの公転を係止および解除可能とする中間係止部材と、
    上記中間係止部材により上記キャリアの公転を係止される中間係止位置で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される出力ギヤと、
    上記キャリアに一体に形成され、上記中間係止部材と当接して上記キャリアの公転を係止する2つ以上の突出部と、
    を有し、
    上記キャリアの回転軸方向に、若しくは上記キャリアの放射方向に、上記中間係止部材が当て付く上記2つ以上の上記突出部の突出量に差を設けてあることを特徴とするカメラの動力伝達切り換え機構。
  3. 複数の出力ギア列に対して1つの可逆回転モータで駆動切り換えを行うカメラの動力伝達切り換え機構において、
    モータの正逆回転の切り換えに連動して回転すると共に公転する遊星ギアと、
    上記モータに連結され、上記遊星ギア公転させるよう一体的に公転するキャリアと、上記遊星ギアの上記公転域の両端規制するよう上記キャリアを係止する両端係止部材と、上記遊星ギアの公転域途中に進退自在に配設され、上記キャリアの回転を係止保持する中間係止部材と、
    上記両端係止部材により上記キャリアの公転係止された公転域両端位置で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される2つの第1および第3の出力ギヤと、
    上記中間係止部材により上記キャリアの公転係止される中間係止位置で上記遊星ギアと噛み合い、回転力を伝達される第2の出力ギヤと、
    上記キャリアに一体に形成され、上記中間係止部材が当接して上記キャリアの公転を係止する2つ以上の突出部と、
    を有し、
    上記キャリアの回転軸方向に、若しくは上記キャリアの放射方向に、上記中間係止部材が当て付く上記2つ以上の上記突出部の突出量に差を設けてあることを特徴とするカメラの動力伝達切り換え機構。
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