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JP3570561B2 - 血管内皮損傷部位を認識する担体 - Google Patents

血管内皮損傷部位を認識する担体 Download PDF

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JP3570561B2
JP3570561B2 JP10700694A JP10700694A JP3570561B2 JP 3570561 B2 JP3570561 B2 JP 3570561B2 JP 10700694 A JP10700694 A JP 10700694A JP 10700694 A JP10700694 A JP 10700694A JP 3570561 B2 JP3570561 B2 JP 3570561B2
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英樹 内山
順治 木村
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Terumo Corp
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、血管内皮損傷部位を認識し、当該血管内皮損傷部位を診断または治療するための薬物を封入してなる薬物担体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血管、特に大動脈の内皮に生じる損傷が、血管平滑筋細胞の過剰増殖などを生じて動脈硬化症の発生の原因のひとつであることは広く知られるところである(ロスら、ニューイングランドジャーナルオブメディシン(R.Rossetal,N.Engl.J.Med.),314,488(1986))。このような傷害を生ずる原因としては血栓形成、あるいは過酸化反応による内皮細胞の傷害などがあるが、最近冠動脈の狭窄部位を物理的力により圧迫、あるいは、切削、あるいは焼き切りなどの方法で拡大する療法が実用化されるにともない、このような物理的処置により傷害された部位において組織の肥厚が起こり、いったん拡大された血管腔が再び狭窄するいわゆる再狭窄が問題とされている。
【0003】
特に、狭窄した冠動脈を経皮的に血管内に導入したカテーテルを用いて物理的圧迫力により拡大する方法(PTCA)は、狭心症等の虚血性心疾患の治療法として非常に広範囲に普及しており、処置後30〜50%の患者に生じる再狭窄の予防は当該疾患の治療にとって最も重要な課題となっている。この再狭窄は主として血管平滑筋細胞の過剰増殖によって引き起こされるため、この増殖を抑える作用を持つ薬物による再狭窄の防止が試みられている。しかし現在までのところ、シャーレ上に培養した平滑筋細胞の増殖を抑制する効果を持つ薬物は多数見つけられるが、臨床的に効果のある薬物は皆無である(キャッセルス、サーキュレーション(W.Casscells,Circulation),86(3),724(1992))。
【0004】
このように臨床的に効果が認められない原因のひとつとして、当該薬物を静脈内投与や経口投与によって全身的に投与した場合には、当該薬物の全身への作用を起こすことのない投与量によっては、血管内皮傷害部位において平滑筋細胞の増殖を抑制するに充分な濃度を確保することができないことがあげられる。例えばヘパリンはこのような作用を有する薬物であるが、全身的に投与する場合には、出血傾向などの作用のため、充分量の薬物の投与は困難である。しかしこれを血管局所に投与すればそのような作用無しに血管肥厚を抑制し得ることは岡田らによる実験で確かめられている(岡田知久ら,ディディエス(DDS),7(1),51,(1992))。彼らは、開胸して、当該血管の外部にヘパリン入りのゲルを外から張り付ける方法で血管局所における薬物濃度の充分な上昇とそれによる治療効果を確認している。
【0005】
しかしながらこのような投与方法は、余りに生体にとって侵襲が大きすぎ、特に低侵襲な治療法であることがその実用的価値のひとつとなっているPTCA療法と組み合わせる方法としては到底認められないものである。すなわち当該分野においては、経口、静脈内、あるいは最も侵襲度の高い場合でもカテーテルによる局所投与など侵襲度の低い投与法によっても血管皮傷害部位に特異的にかつ充分な濃度で薬物を集積させることができる薬物担体、すなわち血管内皮傷害部位への特異的集積度が高く、かつ高い薬物包有力を有する薬物担体が望まれているが、そのような薬物担体はこれまで実現されていなかった。
【0006】
近年、リポソーム、エマルジョン、リピッドマイクロスフェア、ナノパーテイクルなどの閉鎖小胞を薬物担体としてドラッグデリバリーシステムに応用しようとする研究が盛んに行われるようになってきた。
【0007】
しかし、これら閉鎖小胞を上記分野における薬物担体として用いる上での最大の問題点として、体内動態の制御が極めて困難であることが上げられる。特に閉鎖小胞は肝臓や脾臓などの細網内皮系(RES)に補足されやすくそのため、RES以外の体内器官へのターゲッティングは非常に難しく、特に、血管内皮が損傷している部位へのターゲッティングはまったく考慮されてこなかった。
【0008】
さらに、閉鎖小胞に物質を封入しようとする際、一般的に用いられている膜材から構成される閉鎖小胞では高濃度の薬物を封入することができずに、結果としてこれら閉鎖小胞のメリットを生かしきれないばかりか、製造コスト増をまねくなどの問題や、血液中では安定性がすこぶる悪く、閉鎖小胞同志が血液中の蛋白質を介して凝集してしまうなどの問題がこれら薬物担体の実用化を困難なものとしてきた。
【0009】
これらの問題点を克服するために、様々な工夫が考案されている。例えば、膜構成成分としてステアリルアミンなどの荷電物質を用いることにより血中滞留性の向上をもたらしめる方法(特開昭63−77824号)、シアル酸、グルクロン酸などの糖およびその誘導体により小胞の表面を修飾する方法(バイオケミカバイオフィジックアクタ(BBA),1126,255(1992)、ディディエス(DDS),7,345(1992))、ポリエチレングリコールのごとき親水性高分子の誘導体を蛋白質吸着抑制剤として用いる方法を開示している(特開平2−149512号、特開平3−218309号)。また、膜構成成分として、グルコサミン誘導体を用いたものなどが、開示されている(特開平4−159216号)。
【0010】
しかしこれらの方法のどれによっても、血管内皮傷害部位への特異的集積が高く、高い薬物包有力を有する薬物担体は実現されていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、薬物封入率が高く、体内安定性に優れ、なおかつ、例えばPTCA施行後や動脈硬化病巣などの血管内皮が損傷している部位を認識することのできる薬物担体を供給することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって解決される。
【0013】
(1)1)リン脂質あるいはその誘導体、および/またはリン脂質以外の脂質あるいはその誘導体と、
2)生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物と疎水性化合物との誘導体と、
3)親水性高分子を疎水性化合物と結合させた誘導体と、
4)薬物とを含有し、
前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位および親水性高分子部位の少なくとも一部が前記担体の表面に存在し、該薬物が内部に封入されることを特徴とする薬物担体。
【0014】
(2)前記担体が、血管内皮損傷部位を認識する担体である上記(1)に記載の薬物担体。
【0015】
(3)内部に血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物を封入してなる上記(1)または(2)に記載の薬物担体。
【0016】
(4)前記担体の径が0. 02〜250μm の大きさを有する微小粒子よりなる上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の薬物担体。
【0017】
(5)前記担体が、巨大分子、微集合体、微粒子、微小球、ナノ小球、リポソームおよびエマルジョンのうちの少なくとも一つから構成される上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の薬物担体。
【0018】
(6)前記担体がさらに安定化剤、および/または酸化防止剤、および/またはその他の表面修飾剤を含有する上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の薬物担体。
【0019】
(7)前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物が、少なくとも一つ以上の脂肪族第一,二級アミノ基、アミジノ基、芳香族第一、二級アミノ基を有する化合物、及びさらに前記化合物に1つ以上の水酸基を有する残基と結合させた化合物からなる上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の薬物担体。
【0020】
(8)前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物が、アミノ糖である上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の薬物担体。
【0021】
(9)上記アミノ糖が、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、イノラミン酸、イノラミン酸エステルなどの単糖、およびこれらの遊離型ないし各種グリコシドからなる上記(8)に記載の薬物担体。
【0022】
(10)上記アミノ糖が、キチンなどのオリゴ糖、多糖、およびこれらの遊離型ないし各種グリコシドからなる上記(8)に記載の薬物担体。
【0023】
(11)前記親水性高分子誘導体が、ポリエチレングリコールの、長鎖脂肪族アルコール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、またはグリセリン脂肪酸エステルとの誘導体である上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の薬物担体。
【0024】
(12)前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、電気的に中性あるいはアニオン性である上記(3)乃至(11)のいずれかに記載の薬物担体。
【0025】
(13)前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、抗炎症剤、抗癌剤、酵素剤、抗生物質、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、ケミカルメデイエーターの遊離抑制剤、あるいは血管内皮細胞の増殖または抑制剤である上記(3)乃至(12)のいずれかに記載の薬物担体。
【0026】
(14)前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、グリコサミノグリカン及びその誘導体である上記(3)乃至(12)のいずれかに記載の薬物担体。
【0027】
(15)前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、オリゴおよび/または多糖、およびそれらの誘導体である上記(3)乃至(12)のいずれかに記載の薬物担体。
【0028】
(16)前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等の各種体内診断薬である上記(3)乃至(12)のいずれかに記載の薬物担体。
【0029】
(17)前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、ヘパリン、テオフェリン、サイクリックAMP(cAMP)、カプトプリル、パパベリン、フォルスコリンの中の少なくとも1つである上記(3)乃至(12)のいずれかに記載の薬物担体。
【0030】
本発明者らは、各種薬物担体の体内動態を制御するファクターについて研究を進めていく過程において、まったく驚くべきことに、薬物担体表面に、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物の、前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位の少なくとも一部を存在させると、薬物担体が血管内皮損傷部位へ集積することを見出した。
【0031】
また、さらに驚くべきことには、前記陽電荷を帯びた部位を存在させた薬物担体の表面に、さらに親水性高分子を存在させることによって、前記担体の血管内皮損傷部位への集積性はまったく阻害されず、一方で、担体の血液中での凝集の防止による血液中での安定性の確保ならびにRES補足の回避による血中滞留性の向上が可能になることを見い出し、本発明を完成させた。
【0032】
従って、上記目的に沿う本発明は、表面に生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有し、その内部に血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物を封入してなる血管内皮損傷部位を認識する薬物担体である。また、その表面にさらに親水性高分子が存在する薬物担体である。
【0033】
本発明の担体は粒径が0. 02〜250μm、とりわけ0. 05〜0. 4μmの大きさが好ましい。
【0034】
また、構造としては様々な形態が考えられ、限定する必要はないが、特にその内部に薬物を高濃度封入することのできる潜在的機能を有する、巨大分子、微集合体、微粒子、微小球、ナノ小球、リポソームおよびエマルジョンのうちより少なくとも一つ以上からなることが最も望ましい。
【0035】
本発明において、薬物担体の構成成分として生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物、さらには親水性高分子部位を有する親水性高分子誘導体を有していればよいが、これら以外の構成成分としては、上記の形態を形成できるものであれば特にその配合に限定する必要はないが、その安全性や、生体内において安定性を考慮すると、リン脂質あるいはその誘導体、リン脂質以外の脂質あるいはその誘導体、または安定化剤、酸化防止剤、その他の表面修飾剤の配合が望ましい。
【0036】
リン脂質としては、ホスファチジルコリン(=レシチン)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルジオリビン等の天然あるいは合成のリン脂質、またはこれらを常法にしたがって水素添加したもの等を挙げることができる。
【0037】
安定化剤としては、膜流動性を低下させるコレステロールなどのステロール、あるいはグリセロール、シュクロースなどの糖類が挙げられる。
【0038】
酸化防止剤としては、トコフェロール同族体すなわちビタミンEなどが挙げられる。トコフェロールには、α,β,γ,δの4個の異性体が存在するが本発明においてはいずれも使用できる。
【0039】
その他の表面修飾剤としては、グルクロン酸、シアル酸、デキストランなどの水溶性多糖類の誘導体等が挙げられる。
【0040】
生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物に関しては、薬物担体の構造安定を損なうものでなければ特に限定されるものではないが、少なくとも一つ以上の脂肪族第一,二級アミノ基、アミジノ基、芳香族第一、二級アミノ基を有する化合物、及び前記化合物に1つ以上の水酸基を有する残基と結合させた化合物が挙げられる。
【0041】
具体的には、前記化合物とパルミチン酸、ステアリン酸等の長鎖脂肪族アルコール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、またはグリセリン脂肪酸エステル等の疎水性化合物との誘導体が好ましい。これら誘導体は、疎水性化合物部位を薬物担体(例えばリポソーム)の膜へ安定に挿入することができ、前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を薬物担体の表面に存在させることができる。
【0042】
また、前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物としては、アミノ糖が挙げられ、前記アミノ糖としては、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、イノラミン酸、イノラミン酸エステルなどの単糖、及びキチンなどのオリゴ糖、多糖、またこれらの遊離型ないし各種グリコシドが挙げられる。
【0043】
前記アミノ糖は、疎水性化合物部位を薬物担体(例えばリポソーム)の膜へ安定に挿入することができ、前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を担体の表面に存在させることができる。
【0044】
本発明において、生理的pH範囲とは、生体内、主に血液中、細胞質及びそこに存在するオルガネラの内部等のpH範囲であり、具体的にはpH4〜10で、より好ましくはpH6〜8である。
【0045】
本発明において、表面に存在させる親水性高分子部位としては、薬物担体の構造安定を損なうものでなければ特に限定されるものではない。親水性高分子としては様々なものが考えられる。例えば、ポリエチレングリコール、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、合成ポリアミノ酸、アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カラギーナンなどである。その中でもポリエチレングリコールは血中滞留性を向上させる効果が顕著であり、最も望ましい。
【0046】
また、前記親水性高分子は、長鎖脂肪族アルコール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、またはグリセリン脂肪酸エステル等の疎水性化合物と結合させた誘導体を用いることによって、疎水性化合物部位を薬物担体(例えば、リポソーム)の膜へ安定に挿入することができる。そのことにより、薬物担体表面に親水性高分子を存在させることができる。
【0047】
本発明において具体的に用いることができる親水性高分子誘導体としては、ポリエチレングリコール−フォスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。
【0048】
本発明において、薬物担体に封入する薬剤としては、内皮傷害部位の診断および/または治療の目的に応じて薬学的に許容し得る薬理的活性物質、生理的活性物質または診断用物質を用いることができる。
【0049】
封入する薬剤の性質として、基本的にはどの物質においても問題ないが、担体の表面が陽電荷を持つ特徴から、電気的に中性あるいはアニオン性である物質の方が高封入率が期待できる。
【0050】
封入する薬剤の種類としては、薬物担体の形成を損ねないかぎり特に限定されるものではなく、血管内皮損傷部位における様々の反応を抑制し、正常な血管組織へ誘導する薬物であれば何等の制限なく使用できる。具体的には、抗炎症剤、抗癌剤、酵素剤、抗生物質、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、ケミカルメデイエーターの遊離抑制剤、あるいは血管内皮細胞の増殖促進または抑制剤等として使用可能なものが挙げられる。
【0051】
特に、ヘパリンなどの硫酸化グリコサミノグリカン、オリゴおよび多糖およびそれらの誘導体は血管内皮損傷部位において血管肥厚の原因である平滑筋細胞の増殖・遊走を阻害する物質として有効である。その他にも、テオフェリン、サイクリックAMP(cAMP)、カプトプリル、パパベリン、フォルスコリンなどが挙げられる。
【0052】
しかし基本的には本発明の担体の構成を有すれば、血管内皮損傷部位に集積する性質を持つものであるから、その部位の疾患の特徴に応じて、それに最適な薬物を選択することにおいて何等の制限はない。特に傷害部位では、血小板の活性化が起こり易く、また各種白血球の集積が認められ様々のケミカルメデイエーターを放出して炎症反応を引き起こしている。またこれら組織では、脂質の過酸化や、脂質取り込みの亢進が起こることもよく知られており、これら反応が複合的に進行して動脈硬化性の病変を引き起こすものと考えられる。これらの現象の病変形成への寄与は症例毎に各々異なると予想されることから、これらの症状へ対応した薬物は全て本発明の対象とすることができることは言うまでもない。
【0053】
また、薬物治療に先立って、障害部位を特定することは重要であり、この目的と使用し得る各種体内診断薬(X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等)は、本発明の担体に封入することにより血管障害部の特異的診断を可能にするものであり、前記診断薬も本発明の対象とすることができることは言うまでもない。
【0054】
本発明の薬物担体は常法によって容易に得ることができるが、その一例を以下に示す。フラスコ内に生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物及びリン脂質等の他の担体構成成分を、クロロホルム等の有機溶媒により混合し、有機溶媒を留去後真空乾燥することによりフラスコ内壁に薄膜を形成させる。次に、当該フラスコ内に薬物を加え、激しく撹拌することにより、リポソーム分散液を得る。得られたリポソーム分散液を遠心分離し、上清をデカンテーションし封入されなかった薬物を除去することにより、薬物担体を分散液として得ることができる。また、上記の各構成成分を混合し、高圧吐出型乳化機により高圧吐出させることにより得ることもできる。
【0055】
本発明の薬物担体は、静注などによって投与可能であるが、特に好ましい方法はカテーテルを血管内に挿入して、その先端を血管内皮損傷部位付近に導き、当該カテーテルを通して投与する方法が好ましい。
【0056】
本発明の薬物担体は、血中及び血管内皮損傷部位での滞留性に優れており、1回の投与後、6時間以上は血中に滞留し、3日以上は血管内皮損傷部位に安定に滞留している。
【0057】
また、本発明の薬物担体はPTCA術後などにより血管損傷が発生してから、特に1時間以内に投与することが効果的である。なぜならば、血管損傷が発生してから約1時間してから投与すると一時的に本発明の薬物担体の血管損傷部位への集積が減少するためである。これは、血小板等の血管損傷部位への付着の影響が考えられる。したがって、本発明の薬物担体は血管損傷が発生してから1時間以内に投与することが好ましい。
【0058】
しかしながら、ある程度時間が経過すると本発明の薬物担体の血管損傷部へ集積性は再び向上する。したがって、血管損傷発生後1時間以降の投与が無効になる訳ではなく、その後の投与も有効である。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【0060】
参考例1)式I にその構造を示す6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド(6−o−palmitoyl−methyl−D−galactosaminide)を膜構成成分として含有するリポソームを下記の通りに調製した。
【0061】
下記の3種類の膜構成成分を、それぞれクロロホルム溶液として容量50mlのナス型フラスコに加え混合した。
【0062】
・フォスファチジルコリン(濃度100mM):840μl・コレステロール(濃度100mM):240μl・6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド(10mM):1200μl
【0063】
【化1】
Figure 0003570561
【0064】
さらに、クロロホルム10mlを加えた。クロロホルムを留去した後、一晩真空乾燥することによりフラスコ内壁に脂質薄膜を形成した。次いで、100μgのヘパリンを溶解させた300mMソルビトール/10mMTris−HCl緩衝液4mlをフラスコ内に加え、激しく浸盪撹拌することにより、リポソーム(MLV)分散液を得た。
【0065】
この分散液を遠心分離(120,000g、70分間)した。上清をデカンテーションし、未封入のヘパリンを除去することにより、リポソームのペレットを得た。このペレットを300mMソルビトール/10mMTris−HClに分散することにより、ヘパリンを封入した標記のリポソーム分散液を得た。
【0066】
(参考例)本実施例に使用する6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイドは以下の通りに作製した。
【0067】
公知の手法に従ってD−ガラクトサミナイドからN−ベンジルオキシカルボニル−メチル−D−ガラクトサミナイドを得て、ピリジン(50ml)中に当該N−ベンジルオキシカルボニル−メチル−D−ガラクトサミナイド(9. 3g)とパルミトイルクロリド(8ml)を加え、窒素ガス雰囲気下、室温で24時間撹拌する。反応終了後、反応混合物を10%氷冷塩酸中に注入し、酢酸エチルで抽出する。その後、抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥した後、溶媒を除去して粗生成物を得て、さらに酢酸エチル溶液から再結晶してN−ベンジルオキシカルボニル−6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド(7. 65g)を得た。
【0068】
このN−ベンジルオキシカルボニル−6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド(1. 35g)をメタノール(50ml)に溶解し、触媒量の5%Pd−Cを加え、常温、常圧下で24時間接触還元を行い、反応終了後これを濾過して溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的化合物の6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド(874mg)を得た。このものの下記に示すデータは式I の構造を支持する。
【0069】
m.p.:122〜124℃元素分析:実測値C=64. 24%,H=10. 84%,N=3. 04%計算値C=64. 00%,H=10. 51%,N=3.25%(C2343Nとしての計算値)
【0070】
IR(KBr):3353cm−1,2917cm−1,2854cm−1,1728cm−1,1462cm−1MS(FAB):435(M+1)
【0071】
H−NMR(DMSO− d)δ(ppm):5. 15(n,1H),5. 00(n,1H),4. 51(d,J=3.4Hz,1H),4. 30(d,J=10. 6Hz,1H),4. 04(dd,J=6. 6Hz,J=6. 8Hz,1H),3. 53(m,1H),3. 26(s,3H),3. 10(m,2H),2. 40(m,1H),2. 29(t,J=7. 2Hz,2H),1. 51(m,2H),1. 24(b,24H),0. 86(t,J=6. 0Hz,3H)。
【0072】
(実施例)6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイドおよび式IIにその構造を示すポリエチレングリコール−フォスファチジルエタノールアミン重合体(PEG−PE)を膜構成成分として含有するリポソームの調製を下記の通りに調製した。
【0073】
下記4種類の膜構成成分を、それぞれクロロホルム溶液として容積50mlのナス型フラスコに加え混合した。
【0074】
・フォスファチジルコリン(濃度100mM):840μl・コレステロール(濃度100mM):240μl・6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド(10mM):1200μl・PEG−PE(濃度0. 4W/V%):1000μl。
【0075】
【化2】
Figure 0003570561
【0076】
以下、上記参考例1と同様に操作し、ヘパリンを保持した標記のリポソーム分散液を得た。
【0077】
(実施例)式III にその構造を示すグルカミンパルミトイルエステルを膜構成成分として含有するリポソームの調製を下記の通りに調製した。
【0078】
下記4種類の膜構成成分を、それぞれクロロホルム溶液として容積50mlのナス型フラスコに加え混合した。
【0079】
・フォスファチジルコリン(濃度100mM):840μl・コレステロール(濃度100mM):240μl・グルカミンパルミトイルエステル(濃度10mM):1200μl・PEG−PE(濃度0. 4W/V%):1000μl。
【0080】
【化3】
Figure 0003570561
【0081】
以下、上記参考例1と同様に操作し、ヘパリンを保持した標記のリポソーム分散液を得た。
【0082】
(試験例1:ヘパリンの封入率の測定)参考例1及び実施例1において使用したヘパリンのリポソーム中への封入率を次の様にして求めた。まず、遠心分離した後の上清中におけるヘパリン量をカルバゾール法で定量することにより、リポソーム中に封入されなかったヘパリン量を求めた。これをリポソーム調製にあたって最初に添加したヘパリンの総量と比較することにより、リポソーム中へのヘパリンの封入率を求めた。
【0083】
比較のために、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド及びPEG−PEを用いることなく上記実施例と同様の方法で調製したリポソーム分散液を調製した。そして、上記と同様の方法でヘパリンの封入率を求めた。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0003570561
【0085】
以上の結果から明らかなとおり、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物、あるいは生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物及び親水性高分子誘導体を含むリポソームはこれを含まない中性リポソームに比べて、ヘパリンの高い封入率を示した。
【0086】
また、表には記さないが本発明の他の生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を含んだリポソームも同様な優れた結果を示した。
【0087】
(試験例2:体内動態1)ウレタンで麻酔されたSD雄ラットの大腿静脈より、参考例1及び実施例1に準じて調製されたカルボキシフルオレセイン(Carboxyfluorescein)100mMを封入させたリポソーム分散液500μlを静注した。経時的に血液をエッペンドルフチューブに採取した。採取した血液について蛍光強度を測定することにより、体内動態を測定した。
【0088】
また、比較のために、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド及びPEG−PEを用いることなく、上記実施例に準じて調製されたリポソーム分散液について、上記と同様の方法で体内動態を測定した。結果を図1に示す。
【0089】
図1から明らかなとおり、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を膜構成成分として含有せしめたリポソームは、それを含有しないリポソームに比べて、血中滞留性が高いことが確認された。また、さらに親水性高分子(PEG−PE)により表面修飾されているリポソームは、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物のみの場合よりもさらに血中滞留性が高いことが確認された。
【0090】
また、図には記さないが本発明の他の生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を含んだリポソームも同様な優れた結果を示した。
【0091】
(試験例3:臓器分布1)ウレタンで麻酔されたSD雄ラットの大腿静脈から2フレンチのバルーンカテーテルを挿入し、頚動脈部を5回擦過することにより、血管内皮障害モデルを作成した。
【0092】
擦過後直ちに大腿静脈より、参考例1及び実施例1に準じて調製されたカルボキシフルオレセイン(Carboxyfluorescein)100mMを封入させたリポソーム分散液500μlを静注した。3時間後、16時間後、24時間後、3日後に頸動脈を採取した。採取した頸動脈からカルボキシフルオレスセインを抽出し、蛍光強度を測定することにより頸動脈へのリポソームの集積量を測定した。
【0093】
さらに、頚動脈部を擦過しないラット大腿静脈より、参考例1及び実施例1に準じて調製されたカルボキシフルオレスイセン100mMを封入させたリポソーム分散液500μlを静注した後、上記と同様の方法で頚動脈へのリポソームの分布状況を測定した。
【0094】
また、比較のために、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド及びPEG−PEを用いることなく、上記実施例に準じて調製されたリポソーム分散液について、上記と同様の方法で血管内皮障害モデルの頸動脈へのリポソームの集積量を測定した。
【0095】
血管内皮障害モデルにおける3時間後の参考例1,実施例1及び比較対照の結果を図2に、経時的に3日間測定した実施例1の結果を図3に示す。また、図示しないが血管内皮が損傷していない場合の集積量は、比較の血管内皮障害モデルの頸動脈へのリポソームの集積量とほぼ同等であった。
【0096】
以上の結果から明らかなとおり、生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を膜構成成分として含有せしめたリポソーム、あるいは生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物および親水性高分子誘導体を膜構成成分として含有せしめた本発明のリポソームは、それらを含有しないリポソームに比べて血管損傷部位への集積性が高く、さらに内皮が損傷していない血管と比べて血管損傷部位へ集積性が高いことから血管損傷部位へのターゲッティング性に優れている。
【0097】
また、擦過後直ちに投与した場合、3日間は血管損傷部に滞留されることが判った。
【0098】
さらに同様なラットによる試験を実施例に準じて調製されたリポソームについて同様に行った結果、図4に示す通り他の実施例と同様な優れた効果を示した。
【0099】
また、図には記さないが本発明の他の生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を含んだ担体も同様な優れた結果を示した。
【0100】
(試験例4:体内動態2)ラットの代わりに去勢ブタ(30kg)を用いて試験例2と同様な実験を行った。つまり、ケタミンで麻酔されたブタの大腿静脈より、実施例に準じて調製されたカルボキシフルオレセイン(Carboxyfluorescein)100mMを封入させたリポソーム分散液30mlを静注した。経時的に血液を採取した。採取した血液から血漿を得て、その血漿の蛍光強度を測定することにより体内動態を測定した。
【0101】
また、比較のために、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド及びPEG−PEを用いることなく、上記実施例に準じて調製されたリポソーム分散液について、上記と同様の方法で体内動態を測定した。
【0102】
その結果、試験例2と同様な優れた血中滞留性を示し、本発明は大型動物であるブタにも有効であることが示された。また比較対照も試験例2と同様な結果であった。
【0103】
(試験例5:臓器分布2)ケタミンで麻酔された去勢ブタ(30kg)の大腿動脈から7. 5フレンチのバルーンカテーテルを挿入し、頚動脈部を5回擦過することにより、血管内皮障害モデルを作成した。
【0104】
大腿静脈より実施例に準じて調製されたカルボキシフルオレセイン100mMを封入させたリポソーム分散液30mlを静注した。3時間後にブタの頚動脈を採取した。採取した頚動脈からカルボキシフローレスセンを抽出し、蛍光強度を測定することにより頚動脈へのリポソームの分布状況を測定した。
【0105】
さらに、頚動脈部を擦過しないブタについても、大腿静脈より、参考例1及び実施例1に準じて調製されたカルボキシフルオレスセイン100mMを封入させたリポソーム分散液30mlを静注した後、上記と同様の方法で頚動脈へのリポソームの分布状況を測定した。
【0106】
比較のために、PEG−PE、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイドを用いることなく上記実施例に準じて調製されたリポソーム分散液について上記と同様の方法で頚動脈へのリポソームの分布状況を測定した。
【0107】
試験例3で行ったラットによる結果とともに 図5に示す通り、優れた血管損傷部位へ集積性を示した。また、比較対照のリポソームは血管損傷部位へ集積性は示さなかった。
【0108】
以上の結果から、本発明はよりヒトに近い血管を持つと言われ、かつ大型動物であるブタにも有効であることが示された。また、図には記さないが本発明の他の生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を含んだリポソームも同様な優れた結果を示した。
【0109】
(試験例6:臓器集積性)ウレタンで麻酔されたSD雄ラットの大腿動脈から2フレンチのバルーンカテーテルを挿入し、頚動脈部を5回擦過することにより、血管内皮障害モデルを6群分作成した。
【0110】
実施例に準じて調製されたカルボキシフルオレセイン100mMを封入させたリポソーム分散液500μlをラット群別に大腿静脈より、擦過直後、0. 1、0. 5、1、3、6、24時間後にそれぞれ静注した。各群ともに投与後3時間後に頚動脈を採取した。採取した頚動脈からカルボキシフルオレスセインを抽出し、蛍光強度を測定することにより各群の頚動脈へのリポソームの分布状況の変化を測定した。結果を図6に示す。
【0111】
その結果、擦過後1時間経過した付近では、一時的なリポソームの集積性の低下が観察されるが、それ以後はコンスタントに集積されることが判った。すなわち、リポソームは血管損傷部が生じてから1時間以内の投与が特に効果的であるが、血管損傷後1時間の経過後においても効果があることが判った。
【0112】
また、本発明の他の生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を含んだリポソームも同様な結果を示した。
【0113】
(試験例7:封入薬物別リポソーム製剤の血管肥厚の抑制効果)実施例のヘパリン入りリポソームと同様にして、サイクリックAMP(cAMP)、カプトプリル、パパベリン、フォルスコリンを封入したリポソーム製剤を作成した。コントロールには薬物未封入のリポソームを用いた。
【0114】
ウレタンで麻酔されたSD雄ラットの大腿動脈から2フレンチのバルーンカテーテルを挿入し、頚動脈部を4回擦過することにより、血管内皮障害モデルを作成した。各薬物入りリポソーム製剤を尾静脈から7日間にわたり投与した後、頚動脈を採取した。採取した頚動脈の断面の中膜と内膜の面積比によって血管肥厚度を求めた。算出方法を図7に示し、結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
Figure 0003570561
【0116】
表2に示す通り、各薬物入りリポソーム製剤は優れた血管肥厚の抑制効果を示した。
【0117】
(試験例8:急性毒性)この試験の目的は、本発明の薬物担体の毒性が、従来のものの毒性と比較してどの程度であるかを知ることである。そのために、薬物未封入の状態で調製された本発明の薬物担体と従来の薬物担体のそれぞれについて、ラットに対する致死毒性試験を行った。
【0118】
(被験液の調製)
1)6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイドを含有する本発明のリポソーム分散液ヘパリンを加えなかった点を除き、参考例1と同様の方法で、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド、PEG−PEを含有するリポソーム分散液を得た。これを限外ろ過膜を用いて濃縮し、さらに必要に応じて注射用滅菌蒸留水で希釈して被験液とした。
【0119】
2)6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド及びPEG−PEを含有する本発明のリポソーム分散液
ヘパリンを加えなかった点を除き、実施例と同様の方法で、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド、PEG−PEを含有するリポソーム分散液を得た。これを限外ろ過膜を用いて濃縮し、さらに必要に応じて注射用滅菌蒸留水で希釈して被験液とした。
【0120】
3)従来のリポソーム分散液
比較のために、6−o−パルミトイル−メチル−D−ガラクトサミナイド、PEG−PEを用いることなく、実施例と同様の方法で中性リポソーム分散液を得た。これを限外ろ過膜を用いて濃縮し、さらに必要に応じて注射用滅菌蒸留水で希釈して被験液とした。
【0121】
(方法)検疫した5週齢のSD雄性ラットを1群3匹に区分し、腹腔内に上記の被験液2.0mlを1回投与した。一方、溶媒対照群として、滅菌蒸留水2.0mlを投与した。
【0122】
被験液投与後、16日間にわたって少なくとも1日1回、注意深く一般状態を観察して毒性徴候、死亡状況を記録した。
【0123】
(結果)表3に示す通りである。
【0124】
【表3】
Figure 0003570561
【0125】
上記の試験結果に示したように、本発明の薬物担体については、観察期間中死亡例はなかった。しかし、従来の薬物担体においては、投与開始後1日目から体重が激減し、15日目までに表中に示した様に大半が死亡した。これはその後の臓器所見から、従来の薬物担体では血液中において血球成分等と会合あるいはリポソーム同士の会合により、血中に凝集塊が生成され、肺などに塞栓を形成してしまうことが原因であることが確認された。この結果から、本発明の薬物担体は、従来公知の薬物担体に比べて、極めて毒性が低く、安全性の高いものであると言える。
【0126】
また、表には記さないが本発明の他の生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物を含んだ担体も同様な優れた結果を示した。
【0127】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の薬物担体は、従来の薬物担体と比較して、中性あるいはアニオン性の物質の封入率が高く、また、血管内皮損傷部位へのターゲッティング性が非常に高い。また、安全性も非常に高い。
【0128】
このような特徴から、薬学的に許容し得る薬理的活性物質、生理的活性物質または診断用物質を封入させた本発明の新規薬物担体は、血管内皮損傷部位における診断及び治療という目的に対して非常に効果的である。例えば、ヘパリン、多糖類およびその硫酸化体、ならびにテオフェリン、サイクリックAMP(cAMP)、カプトプリル、パパベリン、フォルスコリンなどを封入した場合は、血管内皮が損傷した部位における平滑筋細胞の遊走を抑える血管肥厚防止薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラットにおける本発明及び比較のリポソームの血中滞留性を示す。
【図2】ラットにおける本発明及び比較のリポソームの血管内皮損傷部位への集積性を示す。
【図3】ラットにおける本発明のリポソームの血管内皮損傷部位での滞留性の経時的変化を示す。
【図4】ラットにおける本発明の他のリポソームの血管内皮損傷部位での滞留性の経時的変化を示す。
【図5】ブタおよびラットにおける本発明及び比較のリポソームの血管内皮損傷部位への集積性を示す。
【図6】血管損傷から投与までの時間と本発明のリポソームの血管損傷部位への集積性を示す。
【図7】試験例7における血管肥厚度の求め方を示す。

Claims (17)

  1. 1)リン脂質あるいはその誘導体、および/またはリン脂質以外の脂質あるいはその誘導体と、
    2)生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物と疎水性化合物との誘導体と、
    3)親水性高分子を疎水性化合物と結合させた誘導体と、
    4)薬物とを含有し、
    前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位および親水性高分子部位の少なくとも一部が前記担体の表面に存在し、該薬物が内部に封入されることを特徴とする薬物担体。
  2. 前記担体が、血管内皮損傷部位を認識する担体である請求項に記載の薬物担体。
  3. 前記薬物が、血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物である請求項1または2に記載の薬物担体。
  4. 前記担体の径が0. 02〜250μm の大きさを有する微小粒子よりなる請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担体。
  5. 前記担体が、巨大分子、微集合体、微粒子、微小球、ナノ小球、リポソームおよびエマルジョンのうちの少なくとも一つから構成される請求項1〜4のいずれかに記載の薬物担体。
  6. 前記担体がさらに安定化剤、および/または酸化防止剤、および/またはその他の表面修飾剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の薬物担体。
  7. 前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物が、少なくとも一つ以上の脂肪族第一,二級アミノ基、アミジノ基、芳香族第一、二級アミノ基を有する化合物、及びさらに前記化合物に1つ以上の水酸基を有する残基と結合させた化合物からなる請求項1〜6いずれかに記載の薬物担体。
  8. 前記生理的pH範囲で陽電荷を帯びる部位を有する化合物が、アミノ糖である請求項1〜6のいずれかに記載の薬物担体。
  9. 上記アミノ糖が、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、イノラミン酸、イノラミン酸エステルなどの単糖、およびこれらの遊離型ないし各種グリコシドからなる請求項に記載の薬物担体。
  10. 上記アミノ糖が、キチンなどのオリゴ糖、多糖、およびこれらの遊離型ないし各種グリコシドからなる請求項に記載の薬物担体。
  11. 前記親水性高分子誘導体が、ポリエチレングリコールの、長鎖脂肪族アルコール、ステロール、ポリオキシプロピレンアルキル、またはグリセリン脂肪酸エステルとの誘導体である請求項1〜10のいずれかに記載の薬物担体。
  12. 前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、電気的に中性あるいはアニオン性である請求項3〜11のいずれかに記載の薬物担体。
  13. 前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、抗炎症剤、抗癌剤、酵素剤、抗生物質、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、ケミカルメデイエーターの遊離抑制剤、あるいは血管内皮細胞の増殖または抑制剤である請求項3〜12のいずれかに記載の薬物担体。
  14. 前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、グリコサミノグリカン及びその誘導体である請求項3〜12のいずれかに記載の薬物担体。
  15. 前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、オリゴおよび/または多糖、およびそれらの誘導体である請求項3〜12のいずれかに記載の薬物担体。
  16. 前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等の各種体内診断薬である請求項3〜12のいずれかに記載の薬物担体。
  17. 前記血管内皮損傷部位を診断および/または治療するための薬物が、ヘパリン、テオフェリン、サイクリックAMP(cAMP)、カプトプリル、パパベリン、フォルスコリンの中の少なくとも1つである請求項3〜12のいずれかに記載の薬物担体。
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