JP3568655B2 - ポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートに関するものであり、更に詳しくは曲げ強度の優れたポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート系樹脂押出発泡体は、耐熱性、耐老化性、耐水性等が高く、電気的及び機械的性質も良いから、自動車や建造物の内装材、包装材、各種容器等への用途展開が期待されている。
特に自動車用内装材としては、80℃以上の耐熱テストに合格することが要求され、しかも軽量化を阻害しないこと、内装材として安全で且つ一定の曲げ強さを必要とされる。
ポリカーボネート樹脂はそれらの要求物性を全てクリアーできる理想的な樹脂であり、その発泡の検討は種々なされている。特に自動車内装材成形用基材としてポリカーボネート樹脂を発泡体にラミネートする事が本出願人により先に提案されているが、フィルムをラミネートしたものより更に強い曲げ強度が要求されるようになってきた。
しかも、ポリカーボネート樹脂はその樹脂特性により優れた厚物の発泡体を得ることは困難であった。
又、厚物を得るために分岐化ポリカーボネート樹脂の使用も試みたが、コストが非常に上がり実際的では無く、得られた厚物シートの曲げ強度も樹脂本来の性能を十分引き出すことが難しく満足のいく値ではなかった。
以上のように、発泡シート自体の曲げ強度を向上させることが望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、十分な厚みを有し、発泡シートの曲げ強度を向上させたポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂押出発泡シートを複数貼り合わせた密度0.05〜0.4g/cm3、厚み0.8〜10mmの積層シートであって、下記式を満足する強度を有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートが提供される。
【数1】
P>k・√D・T2
〔式中、P:最大曲げ強度(kg)
D:発泡積層シートの密度(g/cm3)
T:発泡積層シートの厚み(cm)
k:19.2(kg/(cm・g)1/2)〕
また、本発明によれば、前記ポリカーボネート系樹脂押出発泡シートが、サーキュラーダイスより押し出されマンドレル上を通過した後に切り開かれて得られる発泡シートであって、該シートのマンドレル面側同士を貼り合わせ面とすることを特徴とするポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートが提供される。
【0005】
本発明者らは、まずポリカーボネート系樹脂押出発泡シートの曲げ強度向上の為にはどのファクターが一番効果が上がるか、種々の倍率、厚みのシートの曲げ強度の測定を実施し、そこから次式のような規則性を見いだした。
【数2】
P=k・√D・T2
〔式中、P:最大曲げ強度(kg)
D:発泡体密度(g/cm3)
T:発泡体厚み(cm)
k:定数(kg/(cm・g)1/2)〕
この式によれば、押出発泡シートの曲げ強度は厚みに大きく左右される事がわかった。
そこで、ポリカーボネート系樹脂押出発泡シートの厚みを増やす種々の検討を行った結果、ポリカーボネート系樹脂押出発泡シート同士の積層体が、単体では得られなかった厚みを得るためには一番有効であり、さらに積層することにより同じ厚みの単体と比較すると、曲げ強度が向上していること、すなわち下記関係式を満足することを見いだした。
【数1】
P>k・√D・T2
〔式中、P:最大曲げ強度(kg)
D:発泡積層シートの密度(g/cm3)
T:発泡積層シートの厚み(cm)
k:19.2(kg/(cm・g)1/2)〕
尚、ポリカーボネートにおける定数kの値は以下の方法により求められるものである。
【0006】
各種ポリカーボネート系樹脂を使用して得られた単層の発泡シートの曲げ強さkを測定し、発泡シートの密度と曲げ強さとの関係をグラフにプロットした。それらのプロットより単層の発泡シートの密度と曲げ強さの下記経験式(1)を導き出した。
K≦57.74√D ・・・(1)
また、JISで定められている曲げ強さkの計算式(2)は以下に示す通りである。
よって、式(1)、(2)より下記式(3)が求められ、定数kの値が19.2〔kg/(cm・g)1/2〕となる。
P≦19.2√DT2 ・・・(3)
【0007】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートは、密度0.05〜0.4g/cm3の範囲のものである。該密度が0.05g/cm3未満のものは強度が小さすぎるし、0.4g/cm3を超えると断熱性の低下や、重量増加の上に製造原価も増加してしまう。
【0008】
又、本発明の積層シートの厚みは、0.8〜10mmの範囲のもの好ましくは3〜8mmのものである。該厚みが0.8mm未満のものは強度的に小さすぎるし、10mmを超えるものは積層後の積層シートの厚みが厚くなりすぎ、加熱形成の際にシート表面と内側の温度が不均一となり、そのために成形不良となる。
【0009】
次に、本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートについて詳細に説明する。
本発明の積層シートを構成する各発泡シートは、ポリカーボネート系樹脂押出発泡シートで、密度及び厚みが積層された際に前記範囲内のものとなれば、必ずしも同一のものである必要はなく、また積層構造も2層のみでなく3層以上であってもよい。
【0010】
本発明における発泡シートの積層方法としては以下の方法が挙げられる。
▲1▼ 接着剤による積層方法。
▲2▼ 表面を熱溶融させた後、圧着積層する方法。
更に熱溶融方法としては、熱板に接触、非接触の輻射熱、熱風による方法等がある。
▲3▼ 溶融させたポリカーボネート樹脂を両発泡シートの間に入れ圧着積層する方法。
▲4▼ 押出直後に得られたチューブ状の発泡体を、バルーンの内面が接着可能な状態にあるうちに押圧ロールでバルーンを挟み込み内面を貼り合わせ積層する方法。
【0011】
上記▲1▼、▲2▼及び▲3▼の積層方法において、積層させる各シートがサーキュラーダイスより押し出しマンドレル上を通過させた後切り開いて得られる発泡シートである場合、表面状態の良好で平滑性に優れる積層体を得るためには、積層面は、発泡シートのマンドレル面同士を選択する事が好ましい。マンドレル面とスキン面との積層体はカールの発生がみられ、また、スキン面同士の積層体は表面状態があまり良くない。
また上記▲4▼の積層方法においては、バルーン内面を貼り合わせるために、得られるシートの幅が切り開き方式に比べて同一装置では狭くなる。
【0012】
本発明においては上記どの方法によっても積層体を得ることは可能であるが、特に熱風による方法は熱風排出口とポリカーボネート系樹脂押出発泡シートが直接接触しないので汚れもなく、また、発泡シート貼合せ面近傍の気泡破壊も発生しないため単層の発泡シートの気泡構造が維持されており、製品強度の低下もなく、特に曲げ強さにおいては明らかに優れたものとなり、反り等も無い。又、接着の為の副資材の必要性が無く、広幅の発泡積層シートを得ることが可能であることを考え合わせると、熱風ラミネートの方法が最も好ましい。
【0013】
以下に熱風ラミネート方式を図1に基づいて詳細に説明する。
積層シート1を得るにあたって、図1に示すように送り出し装置4から送り出された発泡シート2と、他の送り出し装置5から送り出された別の発泡シート3との積層面に、ドライヤー6(熱風発生源)から熱風を局部的に吹き付けて両シートを加熱し、圧着ロール7で押圧しながら積層した後に巻取り装置8に巻き取って連続的に積層一体化することができる。もしくは、圧着ロール7で押圧しながら積層した後、断裁機にて平板にすることも可能である。
上記熱風ラミネートにおいて、ラインスピード、圧着ロールの隙間、熱風発生源から圧着ロールまでの距離、熱風温度、熱風の吹き付け方向等の加工条件は、積層一体化される両発泡シート2、3の厚み、密度等によって適宜選択されるが、通常は1〜40m/minのラインスピードで発泡シート2、3を送り出し、該発泡シート2、3が発泡シート2、3を単に重ね合わせたときのその厚みの75〜100%の隙間に設定された圧着ロールに挟まれる直前に、熱風発生源から0.02〜0.25mの距離をもって、300〜800℃の熱風を発泡シート積層面の局所に吹き付ける事によって行われる。
【0014】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートを構成する単層の発泡シートの一般的製造方法(押出発泡)を以下に記述する。
▲1▼ 押し出し機内に樹脂と気泡調整剤等の添加剤とを仕込み、該機内で加熱・溶融・混練する。
▲2▼ 混練物に所望量の発泡剤を圧入して混練物に発泡剤を練り込む。
▲3▼ 発泡剤が練り込まれている混練物を、所定温度で押出機先端のサーキュラダイから低圧部に押し出し、これを円柱形状の樹脂冷却装置(マンドレル)の円柱側面上に引取って管状発泡体を形成させてから、押出方向に切り開いてシート状発泡体とする。
上記の方法で発泡シートを製造する場合、ポリスチレン発泡シート等の一般的樹脂発泡シート作製時は、樹脂押出速度より多少高速で管状発泡体が引取られるから、管状発泡体に引取り方向の張力がかかって該発泡体内の押出方向断面の気泡が偏平に形成される。そして、該シートを成形するために成形機内で加熱軟化させると、シート内気泡が偏平状から球状にになろうとしてシートが収縮し、ピンと張った状態となる。その結果、加熱ムラが無く形の良い成形品が得られる、曲げ強度や機械的強度も向上すると考えられる。
【0015】
一方、ポリカーボネート系樹脂押出発泡シートでは、ダイス出口から押し出される樹脂の伸びが極めて小さいから、該樹脂がダイスから押し出される速度より早い速度でマンドレルに引取るのが困難である。そこで、実際には管状発泡体を多少だぶつかせながらマンドレルに引取っており、気泡が形成されるダイス出口付近では管状発泡体がだぶついているから、形成される気泡が厚み方向に多少縦長の球状になる。このように気泡が形成されているために、該発泡シートを成形機内で加熱軟化させて成形加工する場合には、軟化温度で気泡が真球状になろうとするために発泡シートが伸びてしまう。しかし、成形機内ではシート端部が押さえられているから伸びたシートの逃げ場が無く、成形機内でシートが波打ってあばれて加熱ムラが発生し、その様なシートを成形することによりナキや破れ等の不具合が生じて成型品の品質が低下してしまう。なお、前記したナキは発泡シート表面に形成されるスキン層に亀裂が入っている状態を意味している。
【0016】
以上のほか、従来のポリカーボネート系樹脂押出発泡シートの製造では、シート幅500mmを超える発泡シート製造が困難なことも欠点の一つである。これは、管状発泡体の伸びが小さいために、サーキュラダイ直径より250%程度以上直径が大きいマンドレルでは、押し出された管状発泡体を円滑に引き取るのが難しいために起こる問題である。そして、シート幅が狭いと建築資材用としては作業効率が悪いし大型の成形品製造も困難になる。また、一般に包装用容器等の連続加熱成形機は、作業効率面から最低でも500mmを超える幅のシートを使うように設計されているから、500mm幅以下のシートでは使用可能な成形機の種類が限定される。
これらを解決するために、例えば強引に直径の大きいマンドレルで管状発泡体を引き取る方法を採用しても、この方法ではシートが破れてしまったりシート厚が薄くなったり表面状態が悪くなる等の問題が起こり、高品質の発泡シートを得ることができない。そこで、サーキュラダイの直径を大きくして幅広のシートを得ることも試みられたが、この場合サーキュラダイ直径が大きいから押し出し機先端のダイス圧力を保持するのが難しく、そのためにダイス内部で発泡現象が起こって得られる発泡シートの表面状態や機械的物性等の品質が低下する。
【0017】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートの気泡の平均径及び形状が下記条件式を満足しているものは、加熱して成形加工する際の寸法安定性が優れ、特に好ましい。
1<X/Z≦3
1<Y/Z≦5
(X+Y+Z)/3≧0.1mm
〔但し、Xはシート幅方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Yはシート押出方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Zはシート断面の厚み方向の平均気泡径(mm)を表している。〕
【0018】
本発明の発泡積層シートの気泡の平均径及び形状が前記範囲のものは、加熱下に成形加工する際の寸法安定性が良いからシートが破れたり波打ったりせず、高品質成形品を歩溜り良く製造できる発泡積層シートである。また、幅500mmを超える優れた発泡積層シートである。そして、Xをシート幅方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)、Yをシート押出方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Zをシート断面の厚み方向の平均気泡径(mm)とした場合、1<X/Z≦3、好ましくは1.5<X/Z≦3で、1<Y/Z≦5、好ましくは1.5<Y/Z≦5の形状を持つ気泡発泡シートである。気泡の大きさは(X+Y+Z)/3≧0.1mmから分かるように平均径0.1mm以上、好ましくは0.2〜0.5mmに形成されている発泡積層シートである。この押出発泡積層シートを図2に示すが、図2の(a)は該発泡積層シートの斜視図、(b)は(a)のAで示される部分の拡大断面図、(c)は(a)のBで示される部分の拡大断面図である。また、図2のx、y、zはそれぞれシート幅方向、シート押出方向及びシート厚み方向を表し、X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2は個々の気泡のそれぞれの方向における径を表している。
前記気泡形状の調整は、発泡積層シートを構成する発泡シート形成時に押出ラインスピード、押出ダイスクリアー等を調節し、あらかじめ調整する方法と、発泡シートを熱風等の加熱手段による積層する際に延伸して調節する積層時に調整する方法が挙げられる。
【0019】
この発泡積層シートは前記形状の気泡で形成されているために、170℃で30秒間加熱した際の寸法変化が樹脂押出方向で0〜−30%、特に好ましくは−3〜−30%の範囲にあり、加熱成形時には多少縮むから、ポリスチレン発泡シート等の成形時と同様に加熱ムラがなく形の良い成形品を得ることができる。また、上記加熱条件における幅方向の寸法変化は、−1〜−10%、特に−3〜−7%の範囲であることが加熱ムラ防止の点で好ましい。なお、加熱寸法変化の測定は以下のようにして求める。150×150mmの試験片を作製し、その中央部分に流れ方向(MD)と幅方向(TD)に沿って長さ100mmの直線を十字に引く。この試験片を、170±2℃のオーブン内で30秒間熱処理してから前記直線の長さを測定し、下式によって加熱寸法変化を求める。
加熱寸法変化=〔(加熱後の長さmm−100mm)/100mm〕×100
この試験を3回行って平均値をMD方向及びTD方向の加熱寸法変化とする。
【0020】
このような本発明の発泡積層シートを構成する好ましいポリカーボネート系樹脂押出発泡シートは、種々の方法で製造することができる。例えば、原料のポリカーボネート系樹脂に粘度平均分子量が25000以上で、250℃における溶融張力が2.3g以上のものを使うことで達成可能である。このようなポリカーボネート系樹脂としては、三菱ガス化学社製ユーピロンS−1000〔粘度平均分子量26000、溶融張力2.4g(250℃)〕、ユーピロンE−1000〔粘度平均分子量32000、溶融張力6.4g(250℃)〕、ユーピロンE−2000〔粘度平均分子量29000、溶融張力2.6g(250℃)〕等が例示される。このほか、上記以外のポリカーボネート系樹脂と特定の発泡剤とを組み合わせる事によって達成可能な場合もある。
以上に加えて、押出機から出る樹脂温度の制御、或いは管状発泡体の引き取り方法改善等で本発明の好ましい発泡シートが得られる。すなわち、以下の通りである。
【0021】
一般に押出機のダイス先端から低圧域に押し出された管状発泡体は、内部から空気によって膨らませられながらバルーン(管状発泡体の径がダイス径からマンドレル径まで拡大される部分)を形成した後に、マンドレルの円柱側面上に引き取られる。そして、ポリスチレン系樹脂発泡体やポリエチレン系樹脂発泡体の製造時には、前記の空気として常温のコンプレッサーの空気を使えば良いが、本発明の該発泡シートの基材樹脂はポリカーボネート系樹脂であり、ガラス転移点が150℃と高温なために、常温のコンプレッサーの空気ではすぐに管状発泡体が固化して引き取り操作がむずかしくなる。しかし、該空気の温度を51〜200℃の範囲内で調整すれば引取り操作を容易にすることができる。更に、バルーン外部から内部と同様に常温空気を吹きつけることにより表面状態が良好となり、加熱空気を吹きつけることにより引取り操作が容易となる。また、引取り操作の際に引取り速度が遅いと、発泡シートを構成する気泡の押出方向への配向が不十分となるから、引きり速度は下記式によって求められる速度より大きくすることが好ましく、この方法によって好ましいポリカーボネート系樹脂押出発泡シートが得られる。
【数3】
【0022】
上記のような、本発明の発泡積層シートを構成するポリカーボネート系樹脂押出発泡シートを製造する場合の原料樹脂や発泡剤は特に限定されないが、使用可能な原料や発泡剤等の範囲について記述すると以下の通りである。
発泡シート原料として使用されるポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又はビスフェノールから形成されるポリエステルである。そして、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネートは、結晶性が高く高融点の上に、耐熱性、耐候性及び耐酸性に優れているから好適である。このようなポリカーボネート系樹脂としては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導されるポリカーボネート系樹脂が例示される。
【0023】
発泡シート製造の際に使われる発泡剤は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれも使用可能であるが、押出発泡法の場合は分解型発泡剤を使うと発泡倍率の高い発泡体が得られにくいから、無機発泡剤や揮発性発泡剤を使用するのが好ましい。
無機発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素等が好ましく用いられる。
揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の低級脂環式炭化水素、;ベンゼン、トルエン、キシレン等の低級芳香族炭化水素;メタノール、エタノール等の脂肪族低級一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン等の低沸点ハロゲン化炭化水素;等が例示される。
【0024】
以上に詳記した発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用可能であり、例えば無機発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併用も可能である。
発泡剤使用量は発泡剤の種類や所望する発泡倍率によっても異なり、発泡倍率によって該発泡シートの密度が定まるから、主に所望する発泡シートの密度で発泡剤の使用量が定まると云える。そして、本発明の発泡積層シートは、前記したように密度0.05〜0.4g/cm3であるから、この範囲もしくは多少密度が小さめとなるように発泡剤を使えばよい。そのために必要な発泡剤量は樹脂100重量部当たり揮発性発泡剤では0.4〜12重量部(ブタンを使用した場合)、無機発泡剤では0.2〜15重量部(二酸化炭素を使用した場合)程度である。
【0025】
本発明の発泡積層シートを構成する発泡シートは、ポリカーボネート系樹脂を円滑に発泡させるために、樹脂と発泡剤との溶融混練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加することができる。この場合の気泡調整剤としては、タルクやシリカ等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの混合物等が好ましい。その添加量は、樹脂100重量部当たり0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが良い。
また、発泡シートには、難燃剤、熱安定剤、耐候性向上剤、着色剤等のように、通常の発泡シートに添加される公知の添加剤を添加することができる。
本発明の発泡積層シートは、ポリカーボネート系樹脂からなり、独立気泡率の高い気泡構造が形成されているために、好ましくは酸素透過量が標準状態で24時間当たり6500cm3/m2以下の発泡シートである。そして、このように酸素透過量が少ないために、断熱性が良く圧縮強度の低下も少ない上に永久歪みも小さい発泡積層シートである。
【0026】
酸素透過量の測定は以下のようにして行うことができる。気体が透過しない容器の開口面を該開口面と同寸法の測定用発泡シートで蓋をしてから、エポキシ系接着剤で該発泡シートと該開口面とを接着するとともに発泡シートの切断面を充分にシールする。この容器にはガス置換用の2本の銅パイプが接続されているから、容器内を窒素で充分置換してから一方の銅パイプから窒素を20ml/分の速度で供給し、他方の銅パイプから容器内ガスを排出する。このようにして得られた排出ガス中の酸素分を、MODERN CONTROLS社製OX−TRAN100等の酸素検出器で検出し、24時間当たりの酸素検出量x〔cm3/24hr〕(25℃、1atm)を求める。この値と空気中の酸素モル分率及び容器開口面積に相当する測定用発泡シート面積S〔m2〕から、酸素透過量X〔cm3/m2・24hr〕を下記式により算出する。
X〔(STP)cm3/m2・24hr〕=(100・x)/(21・S)
【0027】
本発明の発泡積層シートを構成する発泡シートは、原料樹脂の溶融粘度と粘度平均分子量との関係や、押し出された管状発泡体の引き取り方法等に留意しているために、サーキュラダイ直径より250%以上、更には300〜350%の直径をもつマンドレルに管状発泡体を引取ることができる。そして、サーキュラダイ直径より250%以上も直径が大きいマンドレルに管状樹脂を引取っても、シート厚が部分的又は全面的に薄くなることがなく、シートの厚みを0.4〜5mm、特に1〜3.0mmの均一厚にすることができる。なお、発泡シート厚が0.4mm未満では該シートで形成される成形品の強度が小さく、厚みが5mmを超えると厚みの均一性及びシート物性が不十分となり、良好な発泡シートを得ることが難しい。
前記のように、本発明の発泡積層シートを構成する発泡シートは均一な厚みのシートとして得られるが、厚みをより均質にするためには▲1▼サーキュラダイの開口部付近における樹脂流路幅を狭める;▲2▼サーキュラダイから押し出された管状発泡体をマンドレルに引取って冷却する際に、マンドレル表面及び外側から管状発泡体の内表面及び外表面に冷却空気を吹き付ける;等の方法を1種又は2種以上行えば良い。
【0028】
本発明の、前記原料のポリカーボネート系樹脂を用い、発泡シートを形成し、該発泡シートを複数枚積層した特定の密度、厚みを有するポリカーボネート系樹脂発泡積層シートは、熱安定性に非常に優れ、例えば、85℃、24時間の耐熱評価でも寸法変化を全く起こさない。
このように本発明の発泡積層シートは、耐熱性の要求される種々の用途に好適に使用できる。
例えば、自動車内装材や、自動車天井材は、夏期の自動車内温度が(特に天井近くでは)異常に高くなり、耐熱性が強く要求され、高温や低温の雰囲気下での長期間使用においても変形が生じないことが要求されているが、このような用途にも本発明の発泡積層シートは好適に使用できる。
また、本発明の発泡積層シートの170℃、60秒間の加熱寸法変化をみても、押出方向、幅方向共に±3%以内にあり、加熱成形時にシートが伸びない為、極端なドローダウンやシートの波打ちを起こさず、その為に加熱ムラがない。このことから、本発明の発泡積層シートは、以下に示す熱成形により、自動車内装材、自動車天井材、容器、その他用途に応じ多種多様に賦形することができる。更に、本発明の発泡積層シートの曲げ強度(kg/cm2)を見ても図3に示すように同じ厚みの単層の発泡シートと比較して明らかに優れていることが認められ、特に、自動車天井材として使用される場合は耐熱性の高さとの相乗効果により垂れ下がりの問題が解決され好適である。
【0029】
本発明の発泡積層シートは以下に示す熱成形により、用途に応じ多種多様に賦形することができる。
1.発泡積層シートをそれが軟化するまで予熱し、モールドに位置決めする工程
2.予熱されたシートをモールド表面に、真空引き及び/又は圧空等により密着させる工程
3.賦型された発泡積層シートを冷却する工程
4.成形品をモールドのキャビテーから取り出す工程
を経ることにより成形される。上記2の工程で示した真空成形、更には圧空成形等の具体的な例示としては、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、チャンバブロー方式によるエアスリップ成形、プラグアシスト成形、ドレープアンドプラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形、エアクッション成形、プラグアシストエアスリップ成形、接触加熱式圧空成形、プレス成形等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1
押出機内でビスフェノールAよりなるポリカーボネート(粘度平均分子量29000)100重量部と発泡剤としてn−ペンタンを1.2重量部を溶融混練した後、溶融混練物を押出機先端に取り付けたサーキュラーダイスの環状リップより押出発泡してチューブ状の発泡体を得、次いでこのチューブを切り開いてシート状として発泡シートを得た。この時得られた発泡シートは、シート厚み1.4mm、密度0.271g/cm3、幅630mmの物であった。
次に得られた発泡シート同士を熱風ラミネートにより溶融接着して積層一体化した。尚、このときの加工条件は以下のとおりである。
〔熱風ラミネートの加工条件〕
・ラインスピード:2〜3m/min
・圧着ロール間隔:積層する発泡シートの合計厚みの85%
・熱風温度 :500℃
【0032】
実施例2
発泡剤量を2.4重量部に変更した以外は、実施例1と同様な方法でシート厚み2.6mm、密度0.194g/cm3、幅1315mmの発泡シートを得た後、実施例1と同様に熱風ラミネートにより溶融接着して積層体を得た。
【0033】
実施例3
N値1.40の分岐化PCを100重量部と発泡剤としてn−ペンタンを2.4重量部使用した以外は実施例1と同様の方法で、シート厚み3.5mm、密度0.16g/cm3、幅630mmの発泡シートを得た後、実施例1と同様に熱風ラミネートにより溶融接着して積層体を得た。
尚、上記N値とは構造粘性指数であり、以下の測定方法により求められる。
乾燥したペレットをJIS K7210に準拠する装置である高架式フローテスターCFT500〔島津製作所(株)製〕を使用して、ノズル長さ(mm)/直径(mm)=20/1、温度300℃の一定の条件にて加える圧力P(20、50、100、200、300kg/cm2の5点)と夫々の溶融樹脂の流量Q(cc/sec)を測定し、それぞれの値を両対数グラフにプロットして得られる回帰直線の勾配をN値とする。
但し、N値は上記5点の測定点の示す(logP、logQ)のプロットを基に最小自乗法によって求める。
【0034】
実施例4
押出機内でビスフェノールAよりなるポリカーボネート(粘度平均分子量29000)100重量部と発泡剤としてn−ペンタン2重量部を溶融混練した後、この溶融混練物を押出機先端に取り付けたサーキュラーダイスの環状リップより押出発泡してチューブ状の発泡体を得た。この時点でチューブ状の発泡体の上部、下部とも密度0.185g/cm3、厚み2.6mmであった。次いで該発泡体(バルーン)の内側が接着可能な状態にあるうちに押圧ロールでバルーンを挟み込み内面を接着することにより発泡積層シートを得た。この発泡積層シートは、厚み4.8mm、密度0.200/cm3、幅500mmの物であった。
【0035】
実施例5
押出機のサイズを小型化し、発泡剤の量を2.7重量部に変更した以外は実施例4と同様な方法で発泡体を得た。
この時、バルーン状態の上部及び下部の密度は0.129g/cm3、厚みは2.2mmであった。
又、実施例4と同様にして得られた積層発泡シートは、厚み4.05mm、密度0.140g/cm3、幅300mmの物であった。
【0036】
比較例1〜6
実施例1と同様の押出発泡法により、発泡剤量、又は樹脂を表1に示すように変更し、またダイスサイズ等を変更し、各種厚み、密度、幅を持つ単体(単層)のポリカーボネート系樹脂押出発泡シートを得た。
【表1】
【0037】
比較例7
実施例1と同様の樹脂を用いて0.7mmのフィルムを作成し、これを二酸化炭素圧が40kg/cm2に保たれている圧力容器内に23℃で60時間放置後、160℃に保たれている油浴で40秒間加熱して発泡させた。この発泡によって厚みは1.8mmとなり、密度は0.095g/cm3であった。次に、得られた発泡シート同士を熱風ラミネートにより実施例1と同様の方法により溶融接着を行った。
【0038】
各実施例及び各比較例により得られた発泡積層シートについて、シート密度、シート厚み、シート幅、最大曲げ強度、及び曲げ強さを測定した結果を表2に示す。 又、170℃×60秒における加熱寸法変化の結果を併せて表2に示す。また85℃における加熱寸法変化は実施例、比較例共に0%であった。
尚、最大曲げ強度、曲げ強さ、加熱寸法変化の測定方法は、以下のとおりである。
(加熱寸法変化)
▲1▼85℃における加熱寸法変化
220×220mmの試験片を作成し、その中央部に流れ方向(MD)と幅方向(TD)の長さ100mmの直線を十字に引く。この試験片を85±2℃のオーブン内で24時間処理してから前記直線の長さを測定し、下式によって加熱寸法変化を求める。
この試験を3回行い(n=3)、その平均値をMD方向及びTD方向の加熱寸法変化とする。
▲2▼170℃における加熱寸法変化
150×150mmの試験片を作成し、その中央部にMD方向とTD方向の長さ100mmの直線を十字に引く。この試験片を170±2℃のオーブン内で60秒間熱処理してから前記直線の長さを測定し、加熱前後の長さの変化からMD方向及びTD方向の加熱寸法変化を85℃における加熱寸法の場合と同様にして求める。
(平均気泡径)
発泡積層シート(比較例1〜6については発泡シート)のMD方向及びTD方向断面の顕微鏡拡大図を得、図2(b)、(c)にならってシート両表面から0.1mm以上内側に存在する100個以上の気泡について気泡径を測定し、その平均値をもってX、Y、Zとする。但し、実施例1〜5及び比較例7において、フィルム状になっている発泡シート貼り合わせ面近傍の破壊もしくは微細化した気泡部分は測定せず、図2(b)、(c)のαの範囲内で気泡径を測定する。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートは、85℃、24時間の耐熱評価においては、寸法変化を全く起さず、また、170℃、60秒間の耐熱評価においても寸法変化がほとんどなく、耐熱性の極めて優れたシートである。
また、曲げ強さにおいても単体(単層)の発泡シートと比較して優れたものであり、かつ、厚み及び幅において十分なものが得られ、積層することにより従来の単層のもの課題を解決し、更に物性の向上も達成されたシートである。
更に、本発明の前記特に好ましい気泡の平均径及び形状を有するポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シートは、発泡気泡が偏平に成形されているために加熱して形成加工する際に特に安定性が良く、そのために形成の際に発泡シートが破れたり波打ったりすることが少なく、該発泡積層シートから歩留り良く高品質の成形品を得ることができる。
このように本発明の発泡積層シートは耐熱性及び曲げ強さが極めて優れているため、自動車の内装材や、自動車の天井材として好適に用いられ、また熱成形によっても各種用途に応じ多種多様に賦形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱風ラミネート法による発泡積層シートにの成形方法の概略図である。
【図2】本発明の発泡積層シートにおける好ましい気泡形状を説明する図である。
【図3】本発明の発泡積層シート及び発泡単体シートの密度と曲げ強さの関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 発泡積層シート
2 発泡シート
3 発泡シート
x シート幅方向
y シート押出方向
z シート厚み方向
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| JP28794895A JP3568655B2 (ja) | 1995-10-09 | 1995-10-09 | ポリカーボネート系樹脂押出発泡積層シート |
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1995
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