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JP3552463B2 - セメント原料焼成方法および焼成装置 - Google Patents

セメント原料焼成方法および焼成装置 Download PDF

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JP3552463B2 JP14205197A JP14205197A JP3552463B2 JP 3552463 B2 JP3552463 B2 JP 3552463B2 JP 14205197 A JP14205197 A JP 14205197A JP 14205197 A JP14205197 A JP 14205197A JP 3552463 B2 JP3552463 B2 JP 3552463B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントキルン排ガスの一部を抽気・処理してセメント原料焼成系内の塩化アルカリ等の揮発性成分量を低減させることによりセメント原料焼成系内におけるコーチングトラブルを防止したセメント原料焼成方法、および、それを可能にする抽気排ガス処理装置を備えたセメント原料焼成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメント原料や燃料からSP(サスペンションプレヒータ方式)キルン、NSP(仮焼炉付サスペンションプレヒータ方式)キルン等セメントキルン焼成系内に持ち込まれた揮発性の不純物は、高温であるキルン内では気化し、気流に乗ってセメント原料予熱装置(以下プレヒータと称す)へ戻される。揮発した不純物は、キルン内より低温であるプレヒータ内では液化または固化し、再度キルン内に持ち込まれることで系内を循環し次第に濃度が濃くなり、ついにはプレヒータ等セメント原料焼成系内壁に付着して所謂コーチングを発生、成長させて経路の閉塞を起こすに至り、運転停止を余儀なくされる原因となっている。
この問題を解決する方法として、従来、セメント原料焼成系内からセメントキルン排ガスの一部を抽気、処理して塩化アルカリを主成分とする揮発性成分の一部を除去し、焼成系内におけるコーチングトラブルを抑制する塩素バイパスまたはアルカリバイパスと呼ばれる方法が知られており、例えば、特公平5−50458号、同平6−76237号、特開昭63−265847号の各公報等に開示されている。
【0003】
この塩素バイパス法の原理は、抽気ガスが流れる経路、すなわち抽気排ガス処理装置内で抽気ガスを冷却し、含まれる揮発性アルカリを液化または固化して捕集・除去し、結果としてセメント原料焼成系内を循環する揮発性成分の量を低減するものであるが、ボール、鎖等の固体冷媒を使用すもの及び水を冷媒とする一部のものを除いて、冷却空気で冷却し、抽気ガスに同伴するセメント原料ダスト上に揮発性成分の大部分を固定させて捕集・除去する方式が採用されている。従って、抽気排ガス処理装置からは、抽気排ガスに同伴したセメント原料および冷却固化析出した塩化アルカリを主成分とする揮発性成分が固形物として排出されるだけでなく、環境基準値を一般的に上回るSOを含む排ガスが排出されることになり、それ等の処理が問題となるが、これについては幾つかの方法が開示されている。
排ガス処理装置から排出される排ガスについては、例えば、特開平2−116649号公報および特公平3−72027号公報にはセメント原料焼成系プレヒータ後流に戻す方法が、また、特公平5−58764号公報にはプレヒータに戻す方法が開示されている。しかし、抽気排ガスの冷却に使用される空気の量が常に加算されるために、これ等の方法の実施に当たっては、セメント原料焼成系の排ガスファンとして容量の大きなものが必要となる。
【0004】
一方、集塵機で捕集される固形物については、例えば、特公平1−35276号公報には単に廃棄することが記載され、また、特開昭62−252351号、特開平2−116649号および特開平4−77337号の各公報には、水洗による除アルカリを行なった後、セメント原料として再利用する方法が記載されている。
廃棄は簡単明快な方法であるが、強アルカリで且つ重金属を含む固形物の廃棄場所は限定されるためその実現は非常に困難であるだけでなく、排ガス処理装置から排出されるダストには抽気排ガスに同伴したセメント原料が含まれており、その廃棄は有効資源の浪費に繋がる。
それに対し、水洗処理は、塩化アルカリが水に易溶性であることから、セメント原料の回収・再利用には確かに良い方法であるが、洗浄水中にはPbやSe等の除去が困難な金属も溶出するため、それ等を排水基準値以下の濃度まで除去するには複雑な多段処理工程が必要である欠点を有する。
【0005】
塩素バイパス法では、抽気排ガスにはセメント原料が同伴するが、多量のセメント原料の同伴は、原料ロス、熱エネルギーロスの増大に繋がるだけでなく、抽気排ガス処理装置内における閉塞の原因となり、延いては処理装置の安定運転に支障を来すことになる。従って、抽気ガスに同伴するセメント原料量は、出来るだけ少なくすることが望まれる。
【0006】
キルン排ガス流中においてセメント原料は一様に分布しているのではなく、抽気排ガス量が同じであっても、抽気排ガスに同伴するセメント原料量は抽気口設定位置によって変わることが考えられ、従って、適当な位置に抽気口を設定すれば、抽気排ガスに含まれるセメント原料濃度の低減が可能となることが予想される。
従来技術では、抽気口は、特公平7−96464号公報の仮焼炉後流側に設けたものを除いて、予熱装置の前流側すなわちセメント原料予熱装置とキルンとを連結する曲がり部ダクト(以下インレットフッドと称す)、またはそこから概ね上方に延びているキルン排ガス煙道(以下ライジングダクトと称す)に設定されている。これは、排ガスの温度を考慮すると当然の選択であるが、インレットフッドまたはライジングダクト部内における効果的な抽気口設定位置について言及しているものは少ない。
その内の一つである、特開平2−116649号公報には、インレットフッド中心部を流れるキルン排ガス中において塩素濃度(すなわち、塩化アルカリ濃度)が高いとして、少ない抽気量で効率的に除塩素を行なうために抽気管先端をインレットフッドのほヾ中心部に設定することが記載されている。また、特公昭56−40097号公報では、ダストの同伴量を減らしバイパス経路内での閉塞を防止するため、インレットフッド曲がり部の内側すなわちキルン側を流れる排ガス流中のダスト濃度が低いとして、内側側面に抽気口を設定する方法が記載されている。
前者では、抽気装置の構造が複雑になるだけでなく、キルン排ガスのセメント原料濃度の高い部分からの抽気となり、抽気排ガス処理工程で閉塞その他の問題が生じる虞がある。また、後者においては、抽気ガス量に同伴するセメント原料量を低減するにはある程度の効果があるが、抽気ガス量が増えると、抽気口から離れた、セメント原料濃度が高い部分のキルン排ガスが抽気ガスに混入するため、多量のセメント原料が同伴することにより生起する問題の根本的な解決にはならない。
【0007】
また、塩素バイパス法では、高温のキルン排ガスの一部を抽気することによる熱エネルギーのロスが不可避であるが、本来の目的である予熱装置内でのコーチング生成抑制を達成する範囲内で抽気率は低くする方が良いはずである。更に、抽気ガスに同伴するセメント原料濃度は抽気場所だけでなく、抽気率にも依存することが予想され、適当な抽気率を設定することにより、抽気ガスに同伴するセメント原料の低減も可能になることが考えられる。
しかし、抽気率の影響を検討したものはなく、従来のアルカリバイパス技術では、一般に、1容量%以上の高い抽気率が採用されている。
例えば、特開平2−116649号公報には、抽気率をキルン排ガスの1〜2容量%とする技術が開示されており、特開昭63−265847号公報には、2〜5容量%とする技術が開示されている。特開平3−72027号公報では抽気率は更に大きく、10〜20容量%のものが開示されている。
しかし、こういう高い抽気率では、抽気ガスに同伴するセメント原料濃度も高くなり、それに起因する種々のトラブル発生の可能性が高くなる。
尚、ここでいう抽気率は、セメント原料焼成系を単位時間に流れるキルン排ガス容量(標準状態換算)に対する、単位時間に抽気される抽気ガス容量(標準状態換算)の割合として定義される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セメントクリンカ焼成装置系内におけるコーチングトラブルが抑制されるだけでなく、セメント原料焼成装置本体排気ファン容量を増大すること無しに、集塵機を通過した後の排ガス処理および/または抽気排ガス処理経路内の集塵機で捕集されたダストの処理が不要となるセメント原料焼成方法の提供、および、それを可能にする抽気排ガス処理装置を具備したセメント原料焼成装置の提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、抽気排ガス処理経路の集塵機を通過した後の排ガスをセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気として利用する方法、および/または、集塵機で捕集されたダストを直接クリンカに添加する方法が上記課題を解決する方法となること、および、それを可能にする構造を具備したセメント原料焼成装置が上記課題を解決する装置となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続されたセメント原料焼成装置において、該抽気排ガス処理装置の集塵機で揮発性成分を含むダストを除去した後のガスをセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気として利用することを特徴とするセメント原料焼成方法および装置に関する。
また、本発明は、キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続されたセメント原料焼成装置において、該抽気排ガス処理装置の集塵機で捕集した、揮発性成分を含むダストを直接クリンカに添加することを特徴とするセメント原料焼成方法および装置に関する。
以下に本発明を説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
抽気排ガス処理装置内の集塵機を通過した後の抽気排ガス(以下抽気排ガス処理装置集塵機排ガスと称す)は、成分的に大気とほとんど差異がなく、また、その温度は100〜300℃であり、セメント原料焼成系の燃料燃焼用空気またはクリンカクーラー冷却用空気として十分使用可能な特性を有している。抽気排ガス装置集塵機排ガスをこの様に利用すると、抽気排ガス装置集塵機排ガス中に数十〜数百ppmの濃度で含まれるSOは、クリンカおよび/またはセメント原料に吸着され、気体として系外へ排出されるのを防止することができる。また、この方法は、焼成装置運転中は常時添加されているセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気またはクリンカクーラー冷却用空気の一部を抽気排ガス装置集塵機排ガスで代替することであり、セメント原料焼成装置本体の排気ファンの容量増しは必要でない。すなわち、この方法では、セメント原料焼成装置プレヒータ中仮焼炉後流側またはプレヒータ後流側に返す方法とは異なり、焼成系排ガス用ファンの容量を増すことなしに、気体として環境基準値を上回る SO量がセメント焼成系外に排出されるのを防ぐことが出来る。
抽気排ガス装置集塵機排ガスをセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気としての使用は、抽気排ガス装置集塵機排ガスラインを、クリンカクーラー用空気取り入れ口、メインバーナー用空気取入口、及びNSPでは仮焼炉バーナー用空気取り入れ口も含めた、少なくとも一つに接続することにより達成することができる。尚、抽気排ガス装置集塵機排ガスラインをクリンカクーラー冷却用空気取り入れ口に接続した場合には、クーラーを出た後の空気は燃料燃焼部に到達し、その一部は燃料燃焼に使用されることになる。
実装置において、焼成系排ガス用ファンの容量を増すことなしに集塵機通過後の排ガスを、クリンカクーラーの冷却空気またはセメント原料焼成系のバーナー用空気として利用することを、集塵機通過後の排ガスラインをクリンカクーラー用空気取り入れ口、および、セメント原料焼成系のバーナー用空気取り入れ口のどちらか一方に接続した場合について検討したが、何れの場合においても何等問題は生じず、この方法の有効性が確かめられた。
勿論、集塵機通過後排ガスラインを、クリンカクーラーの冷却空気取り入れ口またはセメント原料焼成系のバーナー用空気取り入れ口の何れか一つに接続し、集塵機通過後排ガスの全量を、夫々の目的に専用利用する以外に、集塵機通過後の排ガスラインをクリンカクーラーと、セメント原料焼成系のバーナー用空気取り入れ口のどちらか一方に接続し、両ラインで排ガスを適当な割合で分配し、双方の目的に同時に使用しても何等差し支えがない。
【0011】
塩化アルカリ等の揮発性成分の大半はセメント原料に同伴してセメントクリンカ焼成装置系内に持ち込まれるが、通常のセメント原料を使用している限り、その全量がクリンカに混入してもセメントの品質に問題が生じることはない。すなわち、抽気排ガス処理装置の集塵機で捕集されるダストを処理することなくセメントクリンカに添加してもセメントクリンカの品質に問題は生じないことが考えられる。
実際に、集塵機で捕集される塩化アルカリを含むダストをダスト輸送機を経由して直接クリンカに添加するラインを設け、集塵機での捕集ダストを未処理のままセメントクリンカに添加することを検討したが、生成するセメントクリンカの品質には後述するように、何等問題がないことが確認された。
すなわち、原料に同伴し焼成装置に導入される塩化アルカリの一部をキルンを通過させずにバイパスさせる構造とすることにより、予熱装置でのコーチングトラブルを抑制できるだけでなく、水洗等の捕集ダストの処理が不要となる利点がもたらされるのである。
尚、集塵機で捕集される塩化アルカリを含むダストのクリンカへの添加位置は、揮発性成分が再度気化することのない温度の場所であれば何処でも良いが、クリンカクーラーから取り出されたクリンカに直接添加するのが最も簡便な方法である。
【0012】
排ガス処理装置の集塵機捕集ダストまたは集塵機通過後排ガスは、夫々上記した方法を採用することにより夫々の問題を個別に解決できるが、排ガス処理装置の集塵機通過後の排ガスをクリンカクーラの冷却空気および/またはセメント原料焼成系のバーナー用空気として利用するためセメント原料焼成系に戻すラインと、集塵機捕集ダストをクリンカに添加するラインとを併設することにより、抽気排ガス処理装置から排出される、SOを含む気体および固形物についての問題を、特別な処理を要することなく同時に解決することが可能となる。
【0013】
排ガス処理装置の集塵機捕集ダストおよび/または集塵機通過後排ガスの処理問題は、今まで述べてきた方法で解決できるが、抽気排ガスに同伴するセメント原料濃度が抽気排ガス処理装置内のコーチング成長速度に影響を及ぼし、この濃度が高いとコーチング成長が速いことが予想されるため、その濃度は低いに越したことはない。
本発明者らは先ず、小規模のセメントキルン排ガス処理用テスト装置を使用し、抽気排ガスに同伴するセメント原料濃度に影響を与える要因の検討を行った。これにより、抽気位置によってセメント原料同伴量は大きく異なるが、揮発性成分の除去量すなわち焼成系からの揮発性成分除去効果はほとんど変わらないことを知った。このことは、キルンからプレヒータに戻る揮発性成分は、その大半がガス状で存在し、固体又は液体としてセメント原料に付着した状態で存在するものは少ないことを示している。
更に、抽気ガスに同伴するセメント原料濃度が抽気率の低下と共に低下することから、抽気ガスに同伴するセメント原料量の低下率は抽気率の低下率より大となり、結果として、抽気率が下がると捕集ダスト中に含まれる揮発性化合物濃度が高くなることを見出した。
小規模テスト装置で得られたこれ等の結果を総合すると、セメント原料焼成系からの揮発性成分の除去は、セメント原料同伴量がなるべく少なくなるように抽気する方が好ましいこと、そのためには、キルン排ガス中に含まれるセメント原料濃度の低い部分から抽気すること、および、抽気率は、セメント原料焼成系内からの揮発性成分の目的除去量を達成できる範囲内では、出来るだけ小さくする方が良いということが示唆された。
【0014】
小規模のテスト装置に代え、実装置と同規模の実験装置で行なった結果は、小規模テスト装置で得られた前記予測が間違っていないことを示していた。
また、計算機シミュレーションの結果は、キルン窯尻部におけるテーパーの存在とインレットフッド1Aの急な曲がりによって、排ガス流れが比較的弱く、キルンからプレヒーターへ流れる気流に乗って戻るセメント原料濃度の比較的低い部分が発生することを示している。この部分に抽気口を設ければ、セメント原料濃度の低いガスの抽気が可能となることが示唆された。
しかし、抽気率が高いと、抽気口近傍のセメント原料濃度の比較的低い部分だけに留まらず、ライジングダクト内の排ガス流が強くセメント原料濃度の高い部分の排ガスも抽気する。この場合には、抽気率を1容量%未満に抑えることにより、抽気口近傍の排ガス流が弱く、セメント原料濃度の低い部分からだけの抽気が可能になることも見出した。
すなわち、インレットフッドまたはライジングダクト内のキルン排ガス流れが弱い位置を選択して、キルン排ガスの1容量%未満を抽出することが出来る抽気管を設置し、抽気率を1容量%未満とすると抽気排ガスにはセメント原料がほとんど同伴しないこと、抽気率1容量%未満でもセメント原料焼成装置内を循環する揮発性化合物量を目的とする値まで低減することが可能であることを確認した。
【0015】
更に、この様に抽気を行なうと、抽気ガス中にセメント原料をほとんど含まないことから、従来の装置では必要であったサイクロン等の、セメント原料と揮発性物質を分離する装置や、セメント原料の排出という複雑な操作が不要となり、装置の簡略化が図れるだけでなく、抽気排ガス処理経路内でのコーチング成長も抑制され、排ガス処理装置の長期安定運転が可能なことも確かめられた。
【0016】
【実施例】
以下本発明の一実施例を示す図面を参照して、本発明のセメントキルン抽気排ガスの処理方法および処理装置の詳細を説明する。尚、図1〜図3において、同一部分においては同一符号が付されている。また、揮発性成分はそのほとんどが塩化アルカリとして存在しているので、揮発性成分濃度について言及する場合には、揮発性成分濃度に代えて塩素濃度で表わすことにする。
【0017】
図1は、本発明を利用したセメントキルン排ガス処理装置の一実施例の概略図であり、ライジングダクト1Bのキルン長手方向から見てキルン側の壁面に抽気管2を接続し、集塵機排ガスをクリンカクーラ用として利用する場合の例を示す。 ライジングダクト1Bのキルン側の壁面には、キルン排ガスの1容量%未満を抽気するための抽気管2が接続されており、ライジングダクト1Bから約1100℃の排ガスが、抽気管2を経由して冷却室3に導かれる。この抽気管2は、キルン排ガス量の1容量%未満を抽気出来るように設計されている。
冷却室3に導入された排ガスは、冷却室3内において冷却空気ファン4によって冷却室の接線方向に向かって吹き込まれた空気の旋回流によって350℃以下、好ましくは約280℃以下に冷却される。
尚、冷却室へ吹き込まれた冷却用空気の旋回流の一部は、抽気管2内壁に沿って抽気口方向へ逆流してエアカーテンを形成し抽気管2内壁におけるコーチング発生が抑制出来ることから、抽気ガス流速を、エアカーテンが抽気管先端まで到達可能であり、且つ、経済的な流速である8〜15m/秒の範囲に設定して、抽気管2の内壁におけるコーチング発生を完全に防止するのが望ましい。
【0018】
排ガス中の揮発性成分は、冷却室3で十分に冷却されてヒュームとなり、排気ファンに吸引されて集塵機6で捕集、除去されるが、含まれるセメント原料濃度が低くなるように抽気しているため、集塵機6で捕集されるダストにはセメント原料はほとんど含まれない。集塵機6を出た排ガスは、本例の場合、排ガスダクト9を経てクリンカクーラに導入され、クリンカ冷却用ガスとして利用される。
一方、集塵機6で捕集された塩化アルカリを主成分とするダストは、ダスト輸送機7を経由してクリンカへのダスト添加装置8に送られ、定重量フィーダまたは定容量フィーダを使用して定量的に、クリンカクーラーから送り出されるクリンカに添加される。
ダスト輸送機7としては、圧縮空気を用いる粉体輸送機またはエアスライド粉体輸送機等の空気輸送機が好適に使用され、クリンカへの添加位置までの位置関係により、適宜選択することになる。
【0019】
図2及び図3は、計算機シミュレーションにより求めた、キルン、インレットフッド、ライジングダクト部におけるキルン排ガスの流れ図である。
図2において、インレットフッド、ライジングダクト部に抽気口を設けなかった場合のa−a、b−b、c−cの断面における流線の概略が夫々、(a)、(b)、(c)で示されている。インレットフッドおよびライジングダクトのある部分にキルン排ガス流が弱くなっている澱みが形成されていることが分かる。
この澱みの位置に抽気口を設けることにより、含まれるセメント原料濃度の低いガスを抽気できるが、この様な位置としては図1に示す、インレットフッドまたはライジングダクトの、キルン長手方向から見て、キルン側の壁面の他、側面内で側面を二等分する鉛直線よりキルン寄りの位置を選ぶことができる。
また、図3には、キルン側の壁面に抽気口を設け、1容量%未満[図3(a)]、1容量%以上[図3(b)]の抽気率で抽気した場合の、キルン排ガス流の流線の概略を示す。
図3(a)の流線が示すように、ここから抽気率を1容量%未満に抑えてガスを抽気すると、塩素濃度を低下させずに、抽気口近傍のセメント原料濃度が低い部分(セメント原料を主成分とするダスト濃度10〜50g/Nm)からだけの抽気が可能となり、集塵機6で捕集されるダスト中にはセメント原料はほとんど含まれない。
しかし、図3(b)の流線が示すように、抽気率が1容量%以上になると、抽気口近傍に留まらず、抽気口から遠い、キルン排ガス流の流れが強くセメント原料濃度の高い部分(セメント原料を主成分とするダスト濃度約130g/Nm)からも一部抽気され、集塵機6で捕集されるダスト中に含まれるセメント原料が多くなるのに反し、その中の塩素濃度は低くなる。
【0020】
図4は、図1にその構成を示す、本発明を利用した、クリンカ日産量約5000tのセメント原料焼成装置に、塩素含有量70ppm(クリンカ換算)の新原料を供給しながら、0.9容量%の抽気率で抽気排ガス処理装置を運転したときの、プレヒ−タの最下段サイクロンで捕集される原料(以下C1原料と称す)中に含まれる塩素濃度の経時変化を示す。図4において、縦軸はC1原料中の塩素濃度(ppm)を、横軸は抽気排ガス処理装置運転時間(時間)を示す。
排ガス処理装置運転開始24時間後には、C1原料中の塩素濃度は、セメント原料焼成装置本体のトラブルがほヾ回避可能である濃度(一般に10000ppm未満といわれている)以下にまで低減されており、塩素バイパスとして十分な性能を示している。このことは、プレヒ−タの各部に付着するコ−チングの量が大幅に減少し、セメント原料焼成系のコーチングトラブルの発生が抑えられたことからも確かめられた。
集塵機6で捕集されるダスト量は平均で約50kg/時間と非常に少なく、セメント原料と捕集ダストを分離する装置が不要となり抽気排ガス処理装置の簡略化が図れると同時に、装置の長期安定運転が可能であることも確認された。また、捕集ダスト量が少ないことから、簡易な空気輸送機で、捕集ダストの全量をクリンカへの添加位置まで輸送することが可能であることも確認された。
【0021】
表1には、抽気率を変えた場合の、集塵機6における捕集ダスト量および捕集ダスト中の塩素濃度の変化を示す。測定は、図1に示すセメント原料焼成装置を使用し、C1原料中の塩素濃度がほヾ定常状態になった時点で行なった。
【0022】
【表1】
Figure 0003552463
【0023】
表1の結果は、0.5%の抽気率でもC1原料中の塩素含有量を、プレヒータにおけるコーチングトラブルの回避が可能な10000ppm以下にするだけでなく、抽気排ガスに同伴するセメント原料量の大幅な低減が可能であることを示している。
一方、抽気率を1.3%と大きくすると、C1原料中の塩素濃度は5000ppmまで低減できたが、抽気排ガス処理装置の運転は、セメント原料焼成装置運転条件の僅かな変動で大きな影響を受けた。例えば、集塵機6における捕集ダスト量が激しく変動するため、キルン排ガス処理装置の運転が非常に不安定となり、長期連続運転は困難であった。抽気率1容量%のときも同様であった。
【0024】
セメント中の塩素濃度のJIS規格は200ppm以下であり、クリンカ中の塩素濃度の変動を考慮すれば、セメント原料焼成装置内に導入する新原料中の塩素濃度許容量は、クリンカ換算で150ppm程度が限度となる。
クリンカ換算で70ppmおよび150ppmの塩素を含む新原料を供給した場合のクリンカ中塩素濃度およびC1原料中の塩素濃度を、抽気なしの場合および抽気量1容量%の場合について検討した結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003552463
【0026】
表2の結果は、仕込新原料中の塩素濃度が150ppmのときも、抽気率0.9容量%で抽気すれば、C1原料中の塩素濃度は9800ppmとなるが、これは、プレヒータ内でのコーチングトラブルを十分回避できる濃度であり、1容量%未満の抽気率でも、プレヒータ内でのコーチングトラブルが抑制可能であることを示している。また、クリンカ中の塩素量も200ppm以下に抑えられており、集塵機捕集ダストの全量をクリンカに戻してもセメント品質には問題はない。
すなわち、揮発性成分の一部をバイパスしてクリンカに戻す本発明の方法、装置によれば、プレヒータ内でのコーチングトラブルが抑制出来るだけでなく、ダストを副生物として系外に出さず、且つ、品質的に満足できるセメントの製造が可能となることが分かる。
【0027】
尚、実際の抽気率は固定したものではなく、新原料中塩素濃度、クリンカ中塩素濃度およびC1原料中の塩素濃度、および、プレヒータ内でのコーチング発生状況等に依存して、定常運転時は、0.2〜0.9容量%の範囲において、好適に実施できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の方法によると、セメント原料焼成系内を循環し予熱装置内におけるコ−チングトラブルを招く揮発性成分を効果的に除去して、セメント原料焼成装置の安定運転が可能となるだけでなく、セメント原料焼成装置排ガスファン容量をアップすることなく排ガス処理装置集塵機で揮発性成分を除去した後の抽気排ガス処理を行なうことが出来る。また、排ガス処理装置集塵機で捕集されたダストを直接クリンカに加えることにより、塩化アルカリを主成分とする捕集ダストが副生物として系外に出ないのでその処理が不要な利点も付加することが出来る。
更に、セメントキルンのインレットフッドまたはライジングダクトの特定の位置からキルン排ガス量の1容量%未満を抽気する方法とすることにより、抽気したキルン排ガス中に含まれるセメント原料の含有量を低減させ、抽気排ガスの処理装置が簡素化できるだけでなく、抽気排ガス処理装置内におけるコ−チング発生がほとんど起こらず長期安定運転が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を利用したセメント原料焼成装置の一実施例の構成を示す概略図である。
【図2】コンピュータシミュレーションによる、キルン、インレットフッド、ライジングダクト内のキルン排ガスの流れを示す図である。抽気なし。
【図3】コンピュータシミュレーションによる、キルン、インレットフッド、ライジングダクト内のキルン排ガスの流れを示す図である。抽気率0.9容量%(a)、抽気率1.3容量%(b)。
【図4】プレヒ−タの最下段サイクロンで捕集される原料(C1原料)中の塩素濃度の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 キルン
1A インレットフッド
1B ライジングダクト
2 抽気管
3 冷却室
4 ファン
5 チャンバー
6 集塵機
7 ダスト輸送機
8 ダスト添加装置
9 排ガスダクト

Claims (8)

  1. キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する、セメント原料焼成装置系外から取り入れた空気による空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続されたセメント原料焼成装置において、該抽気排ガス処理装置の集塵機で揮発性成分を含むダストを除去した後の100〜300℃のガスをセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気として利用することを特徴とするセメント原料焼成方法。
  2. キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続されたセメント原料焼成装置において、該抽気排ガス処理装置の集塵機で捕集した、揮発性成分を含むダストを直接クリンカに添加することを特徴とするセメント原料焼成方法。
  3. キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続されたセメント原料焼成装置において、該抽気排ガス処理装置の集塵機で揮発性成分を含むダストを除去した後のガスをセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気として利用し、且つ、集塵機で捕集した、揮発性成分を含むダストを直接クリンカに添加することを特徴とするセメント原料焼成方法。
  4. 抽気排ガス処理装置の抽気口を、セメント原料焼成装置の原料予熱装置最下部にあってキルンと連結した曲がり部ダクト(以下インレットフッドと称す)、またはそこから概ね上方に延びているキルン排ガス煙道(以下ライジングダクトと称す)の、キルン長手方向側から見て、キルン側の側壁、または、側面内で側面を二等分する鉛直線よりキルン寄りの位置に設定し、該抽気口からキルン排ガスの1容量%未満を抽気することを特徴とする、請求項1から3までの何れかに記載のセメント原料焼成方法。
  5. 原料予熱装置のインレットフッドまたはライジングダクト部に、キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置の抽気口が接続され、該抽気排ガス処理装置の集塵機出口のガスラインが、クリンカクーラ用の空気取り入れ口および/またはセメント原料焼成系のバーナー用空気取り入れ部に接続された構造を有するセメント原料焼成装置。
  6. 原料予熱装置のインレットフッドまたはライジングダクト部に、キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続され、該抽気排ガス処理装置の集塵機で捕集した、揮発性成分を含むダストを直接クリンカに添加するラインが設けられている構造を有するセメント原料焼成装置。
  7. 原料予熱装置のインレットフッドまたはライジングダクト部に、キルン排ガスの一部を抽気するための、集塵機を有する空気冷却方式の抽気排ガス処理装置が接続され、該抽気排ガス処理装置の集塵機出口のガスラインが、クリンカクーラ用の空気取り入れ口および/またはセメント原料焼成系のバーナー用空気取り入れ部に接続され、且つ、該集塵機で捕集した、揮発性成分を含むダストを直接クリンカに添加するラインが設けられている構造を有するセメント原料焼成装置。
  8. 抽気排ガス処理装置が、インレットフッドまたはライジングダクト部の、キルン長手方向側から見てキルン側の面、または、側面内で側面を二等分する鉛直線よりキルン寄りの位置に設定され、キルン排ガスを1容量%未満抽気するための抽気口、抽気管、冷却室、チャンバ、集塵機の順に構成される、請求項5から7までの何れかに記載のセメント原料焼成装置。
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