JP3250351U - 血管モデル - Google Patents

Abstract

【課題】穿刺口からの模擬血液の漏れ難く、複数回の採血及び留置が可能な血管モデルを提供する。
【解決手段】血管モデル１は、可撓性材料からなるチューブ２と、チュー２ブの外面に巻き付けられた少なくとも２層の可撓性材料からなるシート３と、からなる。チューブ２とシート３は同一材料で形成され、チューブ２の外面にシート３の巻始端３ａが一体に接合されている。チューブ２及びシート３は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴムのいずれかの高分子ポリマーからなる。
【選択図】図２

Description

本考案は、採血・留置実習に使用される血管モデルに関する。

ヒト医療における国家資格を有する看護師や臨床検査技師は、資格の範囲で採血や留置が可能である。動物医療では、近年の愛玩動物看護師の国家資格化に伴い、獣医師の指導の下、愛玩動物看護師による採血や留置が可能となった。獣医看護大学や動物専門学校、あるいは動物病院等では、同看護師による動物に対する採血・留置の実習が行われている。実習では、動物愛護の観点から、実際の動物に対して穿刺手技を行えないため、動物代替モデルとして、模擬血管が使用されている。

従来より、採血・留置実習に使用される血管モデルが種々提案されている。例えば、特許文献１には、動物の組織及び表皮層に模したゲル状物よりなる部材中の表面近くに模擬血管を封入し、当該ゲル状物よりなる部材を動物モデルに装着できるようにした動物血管モデルが記載されている。この特許文献１の動物血管モデルは、ゲル状物に模擬血管が封入されているので、針の刺入口を封ずることができ、模擬血液が漏れることがなく、繰り返し使用することができるとされているが、模擬血管が１層であるため、穿刺口からゲル状物に模擬血液が染み込み、模擬血管が見えにくくなることから、複数回の穿刺や留置ができないという問題があった。

特許文献２には、チューブの周囲に、巻回する位置を長手方向に所定のピッチでずらしながら数回巻回して固定した模擬血管モデルが記載されている。この特許文献２の模擬血管モデルは、テープが重なる部分と重ならない部分があるため、シリンジの針を刺す場所によっては、チューブ内の模擬血液が穿刺口から漏れるという問題があった。

特開平１１－１６７３４２号公報 特許第７２８５６０５号明細書

本考案は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、穿刺口からの模擬血液の漏れ難く、複数回の採血及び留置が可能な血管モデルを提供することを課題とする。

前記課題を解決するための手段は以下の通りである。

（１）第１の手段は血管モデルである。
血管モデルは、
可撓性材料からなるチューブと、
前記チューブの外面に巻き付けられた少なくとも２層の可撓性材料からなるシートと、からなる。
（２）前記チューブと前記シートが同一材料で形成され、前記チューブの外面に前記シートの巻始端が一体に接合されている。
（３）前記チューブ及び前記シートは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴムのいずれかの高分子ポリマーからなる。

（４）第２の手段は血管モデルの製造方法である。
血管モデルの製造方法は、
チューブと、前記チューブの外面に前記チューブの軸方向に一端が一体に接合されたシートとからなるシート付チューブを準備するシート付チューブ準備工程と、
前記シート付チューブの前記チューブの回りに前記シートを巻き付けるシート巻付工程と、
前記シート付チューブの前記シートの巻終端を前記シートに接合する接合工程と、からなる。
（５）前記シート付チューブ準備工程は、前記チューブと前記シートを一体に成形する成形工程を有する。

（６）第３の手段は足血管モデルである。
足血管モデルは、
前記血管モデルと、
動物の骨肉を模擬した基材と、からなり、
前記血管モデルが前記基材の外面に添わせて配置されている。
（７）前記基材は、複数の円柱状又は円管状の細長部材を外周面が接触するように重ねて配置され、
隣接する前記細長部材の間に形成される複数の溝のうち、１つの溝に前記血管モデルの一端が配置され、他の溝に前記血管モデルの他端が配置されている。
（８）前記血管モデルと前記基材の外側にハイドロゲルが包埋されている。

本考案の血管モデルによれば、可撓性材料からなるチューブと、前記チューブの外面に巻き付けられた少なくとも２層の可撓性材料からなるシートと、からなり、シートとチューブを含めた全体で少なくとも３層で構成されているため、穿刺口が３つの層で３段階でそれぞれ塞がれる結果、穿刺口からの模擬血液の漏れ難く、複数回の採血及び留置が可能になる。

本考案の血管モデルの製造方法によれば、チューブにシートの一端が一体に接合されたシート付チューブのシートをチューブの回りに巻き付けるので、シートの巻き付け作業、及びシートの接合作業が容易であり、血管モデルを高精度に製造することができる。

本考案の足血管モデルによれば、血管モデルが動物の骨肉を模擬した基材の外面に添わせて配置されているので、穿刺時に基材に対して血管モデルが動き、実際の動物の血管に穿刺手技を行うのと同様の手技訓練を行うことができる。

本考案の実施形態に係る血管モデルの斜視図。 図１の血管モデルの拡大端面図。 図１の血管モデルの長手方向拡大断面図。 本考案の実施形態に係る血管モデルの製造方法の工程のフロー図。 シート付チューブの製造金型を示す断面図。 本考案の実施形態に係る血管モデルの製造で成形されたシート付チューブの拡大端面図（ａ）及び平面図（ｂ）。 シート付チューブのシートの巻き付け状況を示す斜視図。 本考案の実施形態に係る足血管モデルの正面図（ａ）及びＡ－Ａ線断面図。 本考案の他の実施形態に係る足血管モデルの正面図（ａ）及びＢ－Ｂ線断面図。 本考案の実施形態に係る足血管モデルを使用して模擬血管への穿刺手技を訓練するための穿刺実習システムの平面図。

以下、本考案の実施形態を添付図面に従って説明する。

図１は、本考案の実施形態に係る犬、猫等の動物用の血管モデル１を示す。血管モデル１は、ヒト（人）用にも適用できる。血管モデル１は、チューブ２と、シート３とを有し、図２に示すように、チューブ２が１層、シート３が２層の３層構造を有している。

チューブ２は、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等の可撓性材料で形成され、細長い円管状を有している。チューブ２の寸法は、犬、猫等の動物の静脈血管の太さに近似した径と、穿刺実習の際に取り扱いが容易な長さを有するのが好ましく、実施例では、初学者向けの実習を想定した外径５．９ｍｍ、内径４．１ｍｍ、厚さ０．９ｍｍ、長さ１１０ｍｍであるが、これに限るものではない。

シート３は、チューブ２と同様に、天然ゴム等の可撓性材料で形成され、展開時には矩形形状を有している。シート３は、チューブ２の外面に巻き付けられて、２層を形成している。シート３は、チューブ２の長さと同じ長さの軸方向寸法（幅）と、チューブ２の外面に２重に巻き付けられるだけの径方向寸法（長さ）と、チューブ２の厚さより薄い厚さを有する（シート３の厚さはこれに限るものではない）。実施例では、幅１１０ｍｍ、長さ３４．４ｍｍ、厚さ０．４ｍｍであるが、これに限るものではない。チューブ２への巻始端３ａとなるシート３の径方向の一端は、チューブ２の外面に接線方向に一体に接合されている。チューブ２への巻終端３ｂとなるシート３の径方向の他端は、長さ３ｍｍ、厚さ０．３ｍｍの糊代部４を有し、この糊代部４が１層目のシート２の外面に接着剤で接着されている。

血管モデル１の材料は、可撓性材料であれば、天然ゴムに限らず、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム、等の高分子ポリマーを使用することができる。

血管モデル１の硬度は、実際の動物の血管の硬度に近い硬度が好ましい。実施例では、チューブ２及びシート３の硬度は、ＪＩＳＫ６２５３準拠のタイプＡデュロメータで３５Ａであるが、これに限るものではない。

血管モデル１の色調は、何色でも可能であるが、ナチュラル（飴色）や、実際の動物の皮膚を通して視認できる血管の色に近いブルーが好ましい。

本実施形態の血管モデル１は、シート２とチューブ３を含めた全体で少なくとも３層で構成されているため、実際の血管が外膜、中膜、及び内膜の３層構造を模擬することができる。また、図３に示すように、針を抜くときに、穿刺口が３つの層で３段階にそれぞれ塞がれる結果、穿刺口からの模擬血液の漏れ難く、複数回の採血及び留置が可能になり、穿刺耐久性がある。特に、採血や留置の際、針の侵入角度が斜めからの侵入となる。そのため、血管モデルの各層が穿刺により動き（可撓性のため）、また、針を抜去する際に穿刺口が元の位置に戻ることで穿刺口が塞がり、高度に漏れ難い構造となっている。

本実施形態の血管モデル１は、シート３の一端がチューブ２に接合され、他端が下の層のシート３の外面に接着されているため、シート３とチューブ２の間、下層のシート３と上層のシート３の層間で相対的な移動が許容でき、実際の動物の血管のように自在に湾曲させて変形させることができるとともに、折れ曲がりや捩じれ等のキンクを防止することができる。

次に、考案の実施形態に係る血管モデル１の製造方法について説明する。

図４に示すように、血管モデル１の製造工程は、シート付チューブの成型工程（シート付チューブの準備工程）１０１、シートの巻付工程１０２、シート巻終端の接合工程１０３とからなる。

シート付チューブの成型工程１０１では、図５に示す金型を使用して、図６に示すように、チューブ２と、当該チューブ２の外面にチューブ２の軸方向に一端が一体に接合されたシート３とからなるシート付チューブ５を射出成形する。金型６は、図５に示すように、チューブ２の外面の一方の半分とシート３の一方の片面を成形する固定側の第１金型６ａと、チューブ２の外面の他方の半分とシート３の他方の片面を成形する可動側の第２金型６ｂと、チューブ２の内面を成形する棒状のスライド金型６ｃとで構成されている。これらの金型６に囲まれるキャビティ７に溶融した可撓性の高分子ポリマーを射出して、シート付チューブ５を成形する。

シートの巻付工程１０２では、成形工程で得られたシート付チューブ５において、図７に示すように、チューブ２に金属棒８を挿入し、金属棒８を回転させることで、チューブ２の回りにシート３を２層に巻き付ける。チューブ２の外面に一体に成形されたシート３の一端が巻始端３ａ、チューブ２から離れたシート３の他端が巻終端３ｂとなる。金属棒８は、成形工程で使用したスライド金型６ｃを利用してもよい。

シート３の巻終端の接合工程１０３では、シート３の巻終端の糊代部４に接着剤を塗布しておくことで、シート３が巻き終わると、糊代部４が１層下のシート３に接着される。

最後に、シート３の糊代部４の余剰の接着剤を除去し、乾燥させて、チューブ２に挿入した金属棒８を引き抜くことで、血管モデル１が完成する。

前記実施形態の血管モデル１の製造方法では、シート付チューブ５を成形して、チューブ２にシート３を巻き付けて、シート３の巻終端を下の層のシート３に接着するので、シート３の巻き付け作業、及びシート３の接合作業が容易であり、血管モデル１を高精度に、かつ容易に製造することができる。

次に、前記実施形態の血管モデル１を使用した穿刺実習用の足血管モデル１０及び穿刺実習システム１１について説明する。

図８は、前記実施形態の血管モデル１を使用した穿刺実習用の足血管モデル１０を示す。この足血管モデル１０は、基材１２と、前記実施形態の血管モデル１と、ゲル層１３と、外層１４とを有している。

基材１２は、透明又は半透明の樹脂からなり、２本の円管状の細長部材（実施例では極太のストロー）１２ａ、１２ｂを外周面が接触するように長手方向に重ねて接合して、動物の骨肉を模擬したものであり、各細長部材１２ａ、１２ｂは血管モデル１の径よりも大きい径を有している。

血管モデル１は、前記実施形態の製造方法により製造され、両端には、樹脂製の接続管１５が取り付けられている。血管モデル１は、基材１２の外面に添わせて配置され、両端は基材１２に接合されている。具体的には、図９に示すように、隣接する細長部材１２ａ、１２ｂの間に形成される溝のうち、１つの溝に血管モデル１の一端が配置され、他の溝に血管モデル１の他端が配置されている。血管モデル１の中間部は、若干の移動が可能なように、細長部材１２ｂの外面を緩く巻くよう添わせてある。

ゲル層１３は、動物の皮下組織ないし筋肉を模擬するもので、ハイドロゲルからなり、血管モデル１と基材１２の外側に包理されている。ゲル層１３に使用する材料としては、ポリビニルアルコール等のハイドロゲルを使用することができる。

外層１４は、ゲル層１３を外側から覆い、安価で穿刺抵抗が低く、ハイドロゲルからの水分蒸発を防ぐために、食品包装用のラップフィルム（ポリ塩化ビニリデン）を使用することが好ましい。外層１４は、ゲル層１３を覆った後、血管モデル１の両端の接続管１５が外側に突出するように、接続管に結束バンド１６等で封止されている。

基材１２への血管モデル１の添わせ方は、図８に示すもの限るものではなく、図９に示すものでもよい。図９では、隣接する細長部材１２ａ、１２ｂの一方の細長部材１２ａの外面に血管モデル１の一端が配置され、他方の細長部材１２ｂの外面に血管モデル１の他端が配置されている。血管モデル１の中間部は、若干の移動が可能なように、隣接する細長部材１２ａの間に形成される溝を跨いで緩く巻くよう添わせてある。

本実施形態の足血管モデル１０は、血管モデル１が動物の骨肉を模擬した基材１２の外面に添わせて配置されているので、穿刺時に基材１２に対して血管モデル１が動き、実際の動物の血管に穿刺手技を行うのと同様の手技訓練を行うことができる。

図１０は、図８に示す実施形態の足血管モデル１０を使用した穿刺実習システム１１を示す。足血管モデル１０の一端の接続管１５は、血液流入チューブ１７及び流入コック１８を介して模擬血液を封入した血液供給シリンジ１９に接続されている。足血管モデル１０の他端の接続管１５は、血液排出チューブ２０及び排出コック２１に接続されている。

穿刺実習システム１１では、模擬血液を封入した血液供給シリンジ１９を流入コック１８に接続し、排出コック２１を開いた状態で、疑似血液を血液流入チューブ１７を介して血管モデル１に導入した後、排出コック２１を閉じる。流入コック１８は開いた状態にしておく。この状態で、実習者は、足血管モデル１０を片手で保持し、或いは支えて、採血シリンジ２２の針を足血管モデル１０の外層１４からゲル層１３に斜めに突き入れ、血管モデル１に穿刺する。

血管モデ１ルの位置は、透明な外層１４及びゲル層１３を通して視認するができる。また、外層１４を押さえることで柔軟なゲル層１３が変形するので、触手により血管モデル１の位置を確認することができる。

採血シリンジ２２のプランジャを引くと、血管モデル１内の模擬血液は採血シリンジ２２に引き込まれて、採血することができる。採血により血管モデル１内の圧力が減少するので、血液供給シリンジ１９内の模擬血液が血液流入チューブ１７を介して導入される。留置針も同様に、血管モデル１に穿刺し、留置することができる。

本考案は前記実施形態に限るものではなく、種々変更や修正を行うことができる。
例えば、足血管モデル１０の基材１２は、円管状に限らず、楕円形や三角形の断面を有するものでもよい。また、足血管モデル１０のゲル層１３を包む外層１４は、円筒状の容器としてもよい。

１…動物用血管モデル
２…チューブ
３…シート
３ａ…巻始端
３ｂ…巻終端
４…糊代部
５…シート付チューブ
６…金型
６ａ…第１金型
６ｂ…第２金型
６ｃ…スライド金型
７…キャビティ
８…金属棒
１０…足血管モデル
１１…穿刺実習システム
１２…基材
１２ａ、１２ｂ…細長部材
１３…ゲル層
１４…外層
１５…接続管
１６…結束バンド
１７…結影木流入チューブ
１８…流入コック
１９…血液供給シリンジ
２０…血液排出チューブ
２１…排出コック
２２…採血シリンジ

Claims (2)

1. 可撓性材料からなるチューブと、
   前記チューブの外面に巻き付けられた少なくとも２層の可撓性材料からなるシートと、からなる血管モデル。
2. 前記チューブと前記シートが同一材料で形成され、前記チューブの外面に前記シートの巻始端が一体に接合されている請求項１に記載の血管モデル。
   
   

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