JP2024113367A - 電界を用いた害虫除去装置とその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】窓ガラスや看板のような広い面積の板状体の表面において、安全かつ効果的に害虫を除去する。【解決手段】異なる電位を有する複数の電極を絶縁性基板の表面に設けて、当該電極を絶縁性保護層で覆い、高電位の電極と低電位の電極を所定の間隔を空けて配置して、それらの電極間の電位差によって電界を生じさせ、該電界の作用によって、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に止まった害虫を剥離するか、又は前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に害虫が止まることを忌避させる、害虫除去装置とする。【選択図】図2
Description
本発明は、電界の作用によって害虫を除去する害虫除去装置及びそれを備えた窓及び看板に関する。
近年飲食店などで広く採用されているドライブスルー方式においては、商品の受け渡しのために店舗の窓を開けることが必要であるが、この時に飛翔昆虫が店舗内に入ってしまう。特に夜間は、店舗内の明かりをめざして飛翔昆虫が飛来してくるので問題であった。また、屋外看板やショーウィンドウなどに害虫が止まった場合には、それを見る者を不快にさせてしまい、宣伝効果が大きく損なわれてしまう。害虫が忌避する薬剤を用いることもできるが、安全衛生上や環境保全上の理由から好ましくない場合があった。また、効力が長続きしない、窓を清掃すると薬剤が落ちて効力を消失するといった問題も生じていた。
これに対処するものとして、特許文献1には、ドライブスルーにおける受け渡し部の構造が記載されている。それによれば、壁に設けられた開閉自在な受け渡し窓の外側にエア噴出機を設置し、窓の開閉を検出してエア噴出機を作動させることによって、窓が開いている間はエアカーテンを形成して、外部から虫が侵入するのを防ぐことが記載されている。しかしながら、窓を開ける前から窓ガラスの屋外側に付着していた虫はエアカーテンの内側に位置しており、エアカーテンの気流や窓ガラスの振動によって飛び立って、室内に入り込むことが避けられない。
害虫対策において電界を利用する方法については、これまでにいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献2では、互いに平行に配置され誘電体で覆われた複数の導体を所定の電位にして、当該導体間に電界が生じるようにし、当該電界によって飛翔可能な生物を捕捉する方法が記載されている。これによって、農業用途において、小昆虫や菌体などの害虫や病原体の通過を防止するスクリーンが提供される。スクリーンの形態なので、空気を通過させながら、病原菌胞子や小害虫などをクーロン力で捕捉する仕組みである。この技術は、「静電場スクリーン」と称されており、非特許文献1でも説明されている。
特許文献3には、正極導線と負極導線で構成される電撃グリッドによって、クーロン力で引き寄せた蚊に電撃を加えることが記載されている。正極導線と負極導線を交互に平行に配置して電界を形成し、蚊よりも小さいピッチの導線を露出させて電撃で蚊を殺すものである。また、特許文献4には、正極と負極を並べることによって電界を形成し、虫を誘導して捕獲する虫誘導装置が記載されている。当該装置の例では、空間に対して立設された棒状の電極端子が配置されている。
非特許文献2では、高さ55mmのアクリルケースに上下から20kV程度の電圧をかけて、電界中の昆虫の行動を観察している。また、非特許文献3では、直径30mmのガラスチューブ3本をY字形状に接続し、そのうちの1本のガラスチューブに対して0.12~3kVの電圧をかけた電極を巻き付け、他の1本のガラスチューブに対して接地した電極を巻き付け、電界を忌避する昆虫の行動を観察している。しかしながらこれらの報告では、一対の電極のみで電界を形成しているので、大面積に対して強い電界を形成することは容易ではないし、安全性にも問題を生じるおそれがある。
松田ら、「静電場スクリーンの開発と実用化」、植物防疫 62, 10 (2008), p545-548
D B Watsonら、「The Movement of Insects in an Electric Field」、10th International Conference on Electromagnetic Compatibility, 1-3 September 1997, Conference Publication No 445
Mesfer S. Al Ghamdi、「The Effect of Static Electric Fields on Drosophila Behaviour」、Thesis submitted for the Degree of Master of Philosophy、University of Southampton、2012
上述のように、電界を利用して害虫を除去する様々な方法が提案されているが、窓ガラスや看板のような広い面積の板状体の表面に止まった害虫を除去する方策、又はそのような板状体の表面に害虫が止まることを忌避させるような方策は、これまで提案されてこなかった。ガラス板などは害虫を通過させないので、そもそもそのようなニーズが少なかったためでもあると考えられるが、窓の開閉時の害虫の侵入や、外観上の問題から害虫を除去したいというニーズはあり、電界を用いてこれに効果的に応える方策がこれまで提案されてこなかった。
本発明は、そのようなニーズに応えるものであり、窓ガラスや看板のような広い面積の板状体の表面において、安全かつ効果的に害虫を除去する方策を提供するものである。
上記課題は、異なる電位を有する複数の電極を絶縁性基板の表面に設けて、当該電極を絶縁性保護層で覆い、
高電位の電極と低電位の電極を所定の間隔を空けて配置して、それらの電極間の電位差によって電界を生じさせ、
該電界の作用によって、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に止まった害虫を剥離するか、又は前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に害虫が止まることを忌避させる、害虫除去装置を提供することによって解決される。
高電位の電極と低電位の電極を所定の間隔を空けて配置して、それらの電極間の電位差によって電界を生じさせ、
該電界の作用によって、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に止まった害虫を剥離するか、又は前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に害虫が止まることを忌避させる、害虫除去装置を提供することによって解決される。
このとき、前記高電位の電極と前記低電位の電極との電位差(A)と、前記高電位の電極と前記低電位の電極との間隔(B)の比(A/B)で示される平均電位傾度が1~30kV/cmであることが好ましい。前記高電位の電極と前記低電位の電極との間隔(B)が1~50mmであることも好ましい。前記高電位の電極と前記低電位の電極とが交互に切り替わるスイッチング機能を備えることも好ましい。また、前記絶縁性保護層の厚さが5~300μmであることも好ましい。
またこのとき、前記絶縁性基板が透明板であり、前記絶縁性保護層が透明絶縁体層であり、かつ前記電極が透明導電体で形成された電極であることも好適である。前記高電位の電極と前記絶縁性基板の間に高電位の追加電極を設け、前記低電位の電極と前記絶縁性基板の間に低電位の追加電極を設けることもできる。また、前記絶縁性基板の周囲の少なくとも一部に、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面から移動して来た害虫を捕捉する害虫捕捉装置を設けることも好ましい。
本発明の好適な実施態様は、上記害虫除去装置を備え、前記絶縁性基板としてガラス板が枠体に保持されてなる窓である。また、本発明の他の好適な実施態様は、上記害虫除去装置を備え、前記絶縁性基板又は前記絶縁性保護層のいずれかに情報が表示されてなる看板である。そして当該看板において、前記電極が透明導電体で形成され、前記絶縁性基板の背後に照明を備えることが好ましい。
本発明の害虫除去装置によれば、窓ガラスや看板のような広い面積の板状体の表面において、安全かつ効果的に害虫を除去することができる。そして、当該害虫除去装置を備えた窓や看板を提供することができる。
本発明は、電界の作用によって害虫を除去する害虫除去装置に関する。当該害虫除去装置では、異なる電位を有する複数の電極を絶縁性基板の表面に設けて、当該電極を絶縁性保護層で覆い、高電位の電極と低電位の電極を所定の間隔を空けて配置して、それらの電極間の電位差によって電界を生じさせる。これによって、窓ガラスや看板のような広い面積の板状体の表面において、安全かつ効果的に害虫を除去することができる。以下、本発明について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の害虫除去装置1の原理を説明する模式図である。絶縁性基板2の表面に、高電位の電極3aと低電位の電極3bを所定の間隔を空けて交互に配置し、電極3a、3bを絶縁性保護層4で覆っている。電極3aから電極3bに向かう電気力線5を矢印付きの曲線で示す。保護層4の表面6付近では電気力線5の密度が高く強い電界が生じているが、表面6から離れると電界が弱くなる。このとき、電極3a、3bの間の保護層4の表面6に止まった害虫7は、電極3a、3bの電位差によって生じる電界を受ける。それによって、害虫7は表面6上を移動して、電界が弱い端部まで逃げる。また、電界の強い表面6を忌避することによって、害虫7が表面6に入り込んだり止まったりすることも抑制される。これらの現象は、本発明者らが害虫を用いた実験を行なうことによって確認したものであり、その結果は本願実施例に記載した通りである。このような現象が生じる原因については必ずしも明らかではないが、帯電した害虫に対して電界によってクーロン力が働くためであると推定している。
本発明で用いられる絶縁性基板2の材料は特に限定されず、ガラス、樹脂、セラミックスなどの絶縁材料を用いることができる。基板2は、平板であっても湾曲していても構わない。窓として用いる場合には、基板2が透明であることが好ましい。基板2の厚さは特に限定されないが、通常0.5~20mmである。基板2の剛性が要求される場合には、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。基板2の面積も特に限定されないが、面積が広い場合の方が本発明を採用する効果が大きい。本発明においては、基板2の表面に適当な間隔を空けて電極3a、3bを配置することによって、広い面積においても容易に強い電界を生じさせることができるし、面積が広くても消費電力は少ない。基板2の面積は、0.1m2以上であることが好ましく、0.2m2以上であることがより好ましく、0.5m2以上であることがさらに好ましい。
絶縁性基板2の表面に、高電位の電極3aと低電位の電極3bが所定の間隔を空けて配置される。基板2の表面に直接電極3a、3bが接触している必要はなく、接着剤や粘着剤などを介して固定されていても構わない。基板2の全面にわたって本発明の効果を奏させるためには、線状の高電位電極3aと線状の低電位電極3bを交互に略平行に配置するのが好ましいが、そのような配置に限定されない。電極3a、3bの材料としては、導体であればよく、特に限定されない。銅などの金属を用いることが可能であり、その形態は金属線、金属箔、金属薄膜などが挙げられる。透明な基板2を用いる場合には、電極3a、3bの材料として、ITOなどの透明導電体からなる薄膜を用いることが好ましい。
絶縁性基板2の表面に設けられた電極3a、3bは、絶縁性保護層4で覆われる。これによって、電極3a、3bに触れて感電する危険性を除くことができる。保護層4としては、樹脂、セラミックス、ガラスなどを用いることができるが、取扱いの簡便さやコストを考慮すれば、樹脂であることが好ましい。保護層4の厚さは特に限定されないが、絶縁破壊される可能性を十分に低下させるためには、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。一方、保護層4の厚さが厚いほど表面6での電界が弱まるので、保護層4の厚さは、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。
絶縁性保護層4は、コーティングによって形成してもよいし、予め成形されたフィルムやシートを用いてもよい。例えば、絶縁性基板2の表面に電極3a、3bを形成してからコーティングを施すことによって絶縁性保護層4で覆ってもよいし、樹脂フィルム上に電極3a、3bを形成してから、接着剤を用いて絶縁性基板2と接着しても構わない。後者の場合には、フィルム上で電極3a、3bのパターンを形成できるので、作業性が良好である。いずれにせよ、絶縁性基板2と絶縁性保護層4の間に電極3a、3bが配置され、電極3a、3bが外部に露出していないことが、安全上重要である。例えば、合わせガラスや複層ガラスのように複数枚のガラスを重ねて、他のガラスと対向して外気に触れない側のガラス面に電極3a、3bのパターンを形成することもできる。この場合には、絶縁性基板2の表面の害虫を除去することもできる。いずれにしても、屋外にさらされて害虫が多く存在する屋外側の表面の害虫を除去できればよい。
好適な実施態様としては、絶縁性基板2が透明板であり、絶縁性保護層4が透明絶縁体層であり、かつ電極3a、3bが透明導電体で形成される。これによって、窓などの透明性が要求される用途に好適に用いることができる。作業性やコストの観点から、絶縁性保護層4を形成する透明絶縁体層は、より好適には透明樹脂層からなる。
本発明の実施態様を、もう少し具体的に説明する。図2は、本発明の害虫除去装置を備えた窓10の例の正面図である。また、図2のA-A’断面を上から観察した概略断面図を図3として、図2のB-B’断面を右から観察した概略断面図を図4として、それぞれ示す。図3の下側、図4の左側が、それぞれ屋外である。以下、この窓10を例として本発明を説明するが、その説明は窓に限定されるものではなく、看板その他の用途においても適用されるものである。
図2の窓10は引き違い窓であり、ドライブスルーでの商品の手渡しが行われることを想定しているものである。サッシ枠11の中に2枚のサッシ12a、12bがはめ込まれていて、主にサッシ12aを開閉して商品が引き渡される。サッシ12aのガラス板13aの概ね全面に等間隔に透明で線状の電極14a、14bが配置されている。図中、白色で示す電極14aと黒色で示す電極14bとが交互に平行に配置されている。電極14aから上方に引き出された配線15aがコントローラ16に接続されている。また、電極14bから下方に引き出された配線15bもコントローラ16に接続されている。コントローラ16と配線15a、15bとは、サッシ12aが閉じたときに電気的に接続される。
図3及び図4の断面図に示されるように、樹脂フィルム17の表面に透明導電膜からなる電極14a、14bが形成され、粘着層18を介してガラス板13aの全面に貼り付けられている。ITOなどの無機酸化物導電体薄膜が形成された透明樹脂フィルムは市販されており、これをエッチングするなどしてパターニングすることによって電極14a、14bを容易に形成することができる。これにより、絶縁性基板が透明板であり、絶縁性保護層が透明絶縁体層であり、かつ電極が透明導電体で形成された電極である、全体として透明な害虫除去装置が提供される。このとき、粘着層18も透明であることが好ましい。また粘着層18の代わりに他の接着剤を用いても構わないし、接着剤なしで貼り付けてもよい。粘着層18が多層構造を有していて、樹脂フィルムの両側に粘着層を有するような構造のものであってもよい。こうして、電極14a、14bが形成されたガラス板13aの全面が、絶縁性保護層17で覆われることになり、感電を防止して安全性が担保される。これにより、屋外側の表面19に止まった害虫を除去しやすく、また表面19に害虫が止まることを忌避させやすくなる。
既に設置されている窓や看板に対して、本発明の害虫除去装置を装着することもできる。この場合には、既設の窓ガラスや看板が絶縁性基板を構成する。この場合の具体的な構成としては、例えば、透明樹脂フィルム17の表面に透明導電膜からなる電極14a、14bが形成され、その上を粘着層18で覆ってなる積層体を既存の窓ガラス等に貼り付けて、必要な電気配線を施せばよい。流通の便宜のためには、当該積層体の粘着層18が剥離紙で覆われた害虫除去用シートとすることが好ましい。それによって、当該害虫除去用シートを施工現場まで運搬し、そこで剥離紙を剥がしてから絶縁性基板に貼り付けることができる。当該シートの一群の電極から引き出された電気配線と、他の一群の電極から引き出された電気配線とが、それぞれ別の電源に接続可能とされる。
電極14aを高電位に、電極14bをそれよりも低電位にして電極14aと電極14bの間に電界を形成することができる。図2の例では、電極14a、14bはいずれも直線状であり、等間隔かつ平行に配置されている。このようにすることによって、ガラス板13a全体において、本発明の効果を奏させることができる。部分的に電界を強くしたい場合などには、電極14a、14bの間隔や向きを調整することもできる。線状の電極である場合、電極14a、14bの本数は特に限定されないが、それぞれ5本以上あることが好ましく、それぞれ10本以上あることがより好ましい。
高電位の電極14aと低電位の電極14bの間隔(B)が1~50mmであることが好ましい。間隔(B)が小さいほど、小さい電位差で強い電界を生じさせることができるが、間隔(B)が害虫の寸法よりも小さくなって害虫全体に与える電界の効果が低下する場合がある。また、当該間隔が小さいと、配線が困難になるとともに、断線やショートのリスクも高まる。したがって、当該間隔は2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましく、4mm以上であることが特に好ましい。一方、当該間隔が50mmを超えると、電界を強くするために大きな電位差が必要となってしまい、より高電圧の電源が必要になりコスト負担や安全性の面で問題を生じる場合がある。したがって、当該間隔は40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましく、20mm以下であることが特に好ましい。ここで、当該間隔は、電極14aと電極14bに挟まれた絶縁部分の幅のことをいう。
本発明の害虫除去装置において、高電位の電極14aと低電位の電極14bとの電位差(A)と、高電位の電極14aと低電位の電極14bとの間隔(B)の比(A/B)で示される平均電位傾度が1~30kV/cmであることが好ましい。平均電位傾度が大きいほど、屋外側の表面19に止まった害虫を除去しやすく、また表面19に害虫が止まることを忌避させやすくなる。平均電位傾度は、除去すべき害虫によって相違するが、2kV/cm以上であることがより好ましく、3kV/cm以上であることがさらに好ましく、5.5kV/cm以上であることが特に好ましい。一方、平均電位傾度が大きくなると、電源コストや安全性の面で不利になる場合がある。したがって平均電位傾度が20kV/cm以下であることがより好ましく、10kV/cm以下であることがさらに好ましく、8kV/cm以下であることが特に好ましい。ここで、平均電位傾度がスイッチングなどにより変動する場合には、一連のシークエンスのうちで最も高い平均電位傾度を示すときに上記範囲であればよい。
電源(図示せず)は、高電位の電極14aと低電位の電極14bの間に電位差を生じさせることができるものであればよく、特に限定されない。正又は負の電源を1つだけ用いてもよいし、2つ以上用いてもよい。高電位の電極14aと低電位の電極14bを固定してもよいし、切り替えてもよい。電源から印加される電圧は、正、負いずれも0.5~15kVであることが好ましい。0.5kV未満の場合には、表面に止まった害虫を除去するのに不十分な場合がある。当該電圧は、より好適には1kV以上であり、さらに好適には1.5kV以上であり、特に好適には2kV以上である。一方、当該電圧が15kVを超えると、電源コストや安全性の面で不利になる場合がある。したがって電圧が10kV以下であることがより好ましく、5kV以下であることがさらに好ましく、4kV以下であることが特に好ましい。
高電位の電極14aと低電位の電極14bとが交互に切り替わるスイッチング機能を備えることによって、電界の変化によって害虫を除去しやすくなる。電極を一方の電位に固定しないことによって、空気中の帯電微粒子が付着するのを抑制することもできる。電極への電圧印加シークエンスは特に限定されないが、正の電圧を「+」とし、負の電圧を「-」とし、接地した電圧を「0」とした場合、以下のようなシークエンス(S1、S2、S3)が例示される。括弧内の左側と右側は、それぞれ同じ電位を有する一群の電極に供給する電圧である。S1は低電圧の電源を2つ用いて電位差を得るものであり、S2及びS3は高電圧の電源を1つだけ用いて電位差を得るものである。電圧印加シークエンスは、これらに限定されるものではない。また、電圧の切り替えの際に、電極を接地する時間を設け、電極に残存する電荷を一旦放出させることが好ましい。この場合、下記のシークエンスにおいて、切り替えごとに短時間の(0,0)を挟むことになる。
S1:(+,-)、(-,+)、(+,-)、(-,+)・・・
S2:(+,0)、(0,+)、(+,0)、(0,+)・・・
S3:(-,0)、(0,-)、(-,0)、(-,+)・・・
S1:(+,-)、(-,+)、(+,-)、(-,+)・・・
S2:(+,0)、(0,+)、(+,0)、(0,+)・・・
S3:(-,0)、(0,-)、(-,0)、(-,+)・・・
スイッチング機能を備える場合には、電圧パルスを印加することが好ましい。その際のパルス幅は特に限定されないが、通常0.05~100秒である。パルス幅が短すぎると、害虫が電界の切り替わりを感じることができずスイッチングの効果が奏されないおそれがある。パルス幅は好適には0.2秒以上であり、好適には0.4秒以上である。一方、パルス幅が長すぎると、害虫が切り替わりを感じる機会が減って害虫除去効果が低下するおそれがある。パルス幅は、好適には10秒以下であり、より好適には5秒以下であり、さらに好適には2秒以下である。なお、パルス形状は矩形であってもよいし、それ以外の形状であっても構わない。例えば、正の電圧のパルスであるならば、負の電圧又はゼロ電圧(接地)から正の電圧に切り替わったところから、再び負の電圧又はゼロ電圧(接地)に戻るまでの時間をパルス幅とする。したがって、仮に正弦波であれば周期の1/2がパルス幅ということになる。
電圧を印加して本発明の害虫除去装置を動作させるタイミングは特に限定されない。常時動作させる連続運転を行ってもよいが、消費電力や装置寿命などを考慮すれば停止する時間を設けることが好ましい場合が多い。所定時間ごとに動作させる間欠運転、指定時間に運転させるタイマー運転、センサーなどの外部信号によって動作させるトリガー運転などが採用可能であり、これらを組み合わせて採用することも好ましい。間欠運転の場合には、害虫が移動するのに十分な時間動作させた後で、所定時間動作を停止させる方法などが例示される。タイマー運転の場合には、昼夜、営業時間などを考慮して動作時間が設定される。トリガー運転の場合には、人や車が近づいてきた時に動作を開始させる方法などが例示される。例えば、ドライブスルーの商品受け渡し用の窓であれば、車の接近を検知して動作を開始させ、窓を開けたときに動作を停止させるような方法を採用できる。いずれにしても、害虫除去装置が設けられる窓や看板の役割、除去対象とする害虫、周辺環境、気候、時刻などを考慮して運転プログラムが設定される。
実際の窓や看板に本発明の害虫除去装置を用いる場合には、高電位の電極及び低電位の電極の近傍に導電体が存在することがある。例えば、網入りガラス中の網や、看板を支える金属製の枠組みなどである。このような場合、当該導電体に対して電気力線が繋がり、結果として屋外側の表面の電界強度が小さくなってしまうことがある。このような場合に追加電極を設けることが好ましい。すなわち、高電位の電極と絶縁性基板の間に高電位の追加電極を設け、低電位の電極と絶縁性基板の間に低電位の追加電極を設けることが好ましい。
このように追加電極を備えた害虫除去装置の原理を説明する模式図を図5に示す。絶縁性基板2の一方の表面に金属板9が貼り付けられた構造において、金属板9の反対側に高電位の電極3aと低電位の電極3bを配置する構成である。高電位の電極3aと絶縁性基板2の間に高電位の追加電極3cが設けられ、低電位の電極3bと絶縁性基板2の間に低電位の追加電極3dが設けられている。追加電極3cからの電気力線の多くは金属板9に向かうものの、同じ電位を有する追加電極3cが介在することによって、電極3aからの電気力線は金属板9に向かうことなく、屋外側の表面6の電界強度が保たれる。追加電極3c、3dの位置は、電極3a、3bとそれぞれちょうど重なる位置であることが好ましいが、本発明の効果が奏される範囲内で少しずれていても構わない。図5の例では、全ての電極3a、3b、3c、3dが絶縁性保護層4で覆われていて、接着層8を介して絶縁性基板2と接着されている。
本発明の害虫除去装置において、絶縁性基板の周囲の少なくとも一部に、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面から移動して来た害虫を捕捉する害虫捕捉装置を設けることが好ましい。以下、当該害虫捕捉装置について、図2~4を参照しながら説明する。図2で示される窓においてはガラス板13aのほぼ全面にわたって高電位の電極3aと低電位の電極3bが配置されているので、屋外側の表面19の全範囲において電界が付与される。そのため、表面19に止まった害虫は、サッシ12aに移動しようとする。このような害虫を捕捉するのが害虫捕捉装置である。
害虫捕捉装置は、樹脂フィルム17の表面19の周囲の少なくとも一部に設けられる。好適には全周に設けられるが、落下する害虫を併せて捕捉するために下辺にだけ設けてもよい。樹脂フィルム17の表面19の端部に設けてもよいし、サッシ12aの表面に設けてもよい。断面形状が概略コの字型の長尺品を開口部が窓の中央を向く方向に設置して、当該開口部から害虫が入り込んで突き当りの壁に配置された粘着シートで捕捉される構成が好適である。粘着シートとそれに補足された害虫が、正面及び裏面から見えにくくなるように、開口部脇の壁の高さを調整する。金属やプラスチックで形成した害虫捕捉装置を予め表面19の周囲に接着しておいて、粘着シートだけを取り換えてもよいし、紙又はプラスチック製で粘着シートが内蔵された害虫捕捉装置を取り換えて用いてもよい。
本発明の害虫除去装置の好適な実施態様が、図2~4に示すような窓である。具体的には、本発明の害虫除去装置を備え、絶縁性基板としてガラス板が枠体に保持されてなる窓である。窓は、図2のような引き違い窓であってもよいし、開き窓であっても構わない。また、窓が開かないいわゆるはめ殺しの窓であっても構わない。ドライブスルーの商品受け渡しの窓や、採光又は換気用の窓、商店のショーウィンドウなど、害虫の付着が問題となる窓であれば本発明を適用可能である。
また、害虫除去装置を備え、絶縁性基板又は絶縁性保護層のいずれかに情報が表示されてなる看板も好適な実施態様である。特に、電極が透明導電体で形成され、絶縁性基板の背後に照明を備えた看板がより好適な実施態様である。さらに、建築物の壁や衝立など、害虫の付着を防ぎたい板状体であれば、本発明を適用可能である。
本発明によって除去される害虫は、特に限定されない。昆虫以外にも、クモやムカデなどの虫に対して適用することもできる。好適には昆虫の除去であり、中でも飛翔昆虫を除去するのに適している。飛翔昆虫は、窓などの垂直面に容易に飛来するし、飛翔時に羽同士の摩擦によって帯電しやすく、本発明の効果が奏されやすいからである。また、飛翔昆虫の多くは光に対する指向性があって、夜間の窓や看板への付着が問題になりやすいからである。飛翔昆虫としては、蚊、ハエ、蛾、甲虫、羽蟻、カメムシなどが例示される。
実施例1(パルス幅の影響)
本実施例で用いた実験装置20の概略断面図を図6に示す。また、カメラの観察方向(図6中の矢印)から見た実験装置の概略図を図7に示す。ガラス製容器21に蓋22をし、当該蓋22に四角形の開口を設けて、当該開口を厚さ25μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラーT60」)23で覆った。厚さ3mmのPETシート24の上に幅3mm、長さ60mm、厚さ50μmの銅箔からなる電極25a、25bを10mmの間隔を空けて6本平行に貼り付けた。電極25a、25bは、長手方向が垂直になるような向きに並べた。
本実施例で用いた実験装置20の概略断面図を図6に示す。また、カメラの観察方向(図6中の矢印)から見た実験装置の概略図を図7に示す。ガラス製容器21に蓋22をし、当該蓋22に四角形の開口を設けて、当該開口を厚さ25μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラーT60」)23で覆った。厚さ3mmのPETシート24の上に幅3mm、長さ60mm、厚さ50μmの銅箔からなる電極25a、25bを10mmの間隔を空けて6本平行に貼り付けた。電極25a、25bは、長手方向が垂直になるような向きに並べた。
電極25a、25bの電位を制御するための回路図を図8に示す。第1系統の3本の電極25aは、導線26aを介してリレーa1、a2、a3に接続されていて、a1は1GΩの抵抗を介して正電源27に接続され、a2は1GΩの抵抗を介して負電源28に接続され、a3は470Ωの抵抗を介して接地されている。また、第2系統の3本の電極25bは、導線26bを介してリレーb1、b2、b3に接続されていて、b1は1GΩの抵抗を介して正電源27に接続され、b2は1GΩの抵抗を介して負電源28に接続され、b3は470Ωの抵抗を介して接地されている。1GΩという大きな抵抗を設けることによって、人が電極や配線に触れた際の電流を制限し、感電するのを防ぐことができる。また、万一ショートした場合にも、微弱電流しか流れず安全性が担保される。また470Ωの抵抗は、電極に蓄えられた電荷を速やかに放出させるために小さい抵抗値を採用している。各リレーはそれぞれコントローラ(図示せず)に接続されており、各電極の電位を、+、-、0のいずれかに設定できるようにしている。本実験では、電源として株式会社東和計測製両極性高電圧電源「AKT-015K3PINS」とそのコントローラを用いた。制御部はマイクロコントローラ「Arduino Mega2560」と、Sensata Technologies製リードリレー「DAT70515F」で構成した。リードリレーの駆動回路はマイクロコントローラ「Arduino Mega2560」のデジタルI/Oを用いてGoford Semiconductor製 MOSFET 「G50N03J」の導通状態を制御し、リードリレー駆動用コイルに駆動電圧を印加することでリードリレーのスイッチングを行った。
第1系統の電極25a及び第2系統の電極25bについて、+3.0kVと-3.0kVの電圧パルスを交互に印加し、印加時の両者の電位差が6.0kVになるようにした。また、パルス幅は0.1秒(100msec)又は0.5秒(500msec)であり、パルスと次のパルスの間に、全ての電極25a、25bの電圧を0.04秒(40msec)間接地して、それらの電圧を0Vにする時間を設けた。このときの平均電位傾度は6.0kV/cmであった。ガラス容器内に約50匹のトリニドショウジョウバエ(遺伝子操作によって飛翔機能がなく、歩行のみが可能)を入れ、ガラス製容器21の底越しにビデオカメラで撮影しながら観測した。
ガラス製容器21の中に投入した約50匹のショウジョウバエをPETフィルム23の表面に集め、動きが良好で損傷のないことを確認した。そして、ショウジョウバエが概ね静止してから30秒経過した後に、電圧の印加を開始し、容器21内の様子をビデオカメラで記録し、記録映像から電界発生時のショウジョウバエの行動の観察を目視で行った。図7の破線で囲まれた範囲(両端の電極に挟まれた範囲)内を電極範囲内とし、その領域を評価範囲とした。電圧印加前に評価範囲に付着している個体数は概ね10~20匹であった。電圧を印加した瞬間、評価範囲内に付着しているほぼすべてのショウジョウバエがPETフィルム23の表面に身体を近づけるように脚を広げ、姿勢を保とうとしたように見えた。その次に、小刻みに身体を震わせながら、その場から這うように移動し続け、最終的に電極範囲外へ移動した。電圧印加後の経過時間に対するショウジョウバエの電極範囲内のフィルム面への付着率を評価した。測定は記録動画によって行い、電圧印加後から85秒後まで、5秒毎に領域内の個体数を確認した。試験時の室温は18.1~19.8℃であり、湿度は46~47%RHであった。
パルス幅0.1秒で3回、パルス幅0.5秒で3回の試験を行った。電圧印加後30秒での害虫除去率を示したグラフを図9に示す。図9中、実験番号(Experimental number)1~3がパルス幅0.1秒での結果であり、実験番号4~6がパルス幅0.5秒での結果である。パルス幅0.1秒では77~86%の除去率であり、パルス幅0.5秒では93~100%の除去率であった。比較的再現性の良い結果が得られ、パルス幅0.1秒よりもパルス幅0.5秒の方が除去率が高く、パルス幅0.5秒ではほとんどのショウジョウバエを除去することができた。経過時間を横軸にとり、それぞれのパルス幅での残存率の平均値を縦軸にとったグラフを図10に示す。その結果、電圧印加後から約20秒の間に約80%の害虫がいずれのパルス幅でも除去できていることが分かった。一方、電圧印加後20秒からは、パルス幅0.5秒の場合に短時間で害虫の除去が可能であった。パルス幅をある程度大きくすることでショウジョウバエが帯電する時間を延ばすことができるため、電極の極性の切り替え時に害虫にかかるクーロン力が大きくなるからではないかと推測される。なお、電圧印加中に新たに電極範囲内に移動しようとする個体はほとんど認められなかったことから、ショウジョウバエが電界を忌避していることわかった。
実施例2(印加電圧の影響)
パルス幅0.1秒、印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)とした以外は実施例1と同様にして試験を行った。その結果を、実施例1におけるパルス幅0.1秒、印加電圧±3.0kV(平均電位傾度6.0kV/cm)の結果とともに、図11に示す。その結果、印加電圧が±2.5kVのときよりも、±3.0kVのときの方が短時間でショウジョウバエを除去できることがわかった。
パルス幅0.1秒、印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)とした以外は実施例1と同様にして試験を行った。その結果を、実施例1におけるパルス幅0.1秒、印加電圧±3.0kV(平均電位傾度6.0kV/cm)の結果とともに、図11に示す。その結果、印加電圧が±2.5kVのときよりも、±3.0kVのときの方が短時間でショウジョウバエを除去できることがわかった。
実施例3(電極の向きの影響)
パルス幅0.1秒、印加電圧±3.0kVで、電極の長手方向が水平になるような向きに並べた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を、実施例1における、電極の長手方向が垂直になるような向きに並べた結果とともに、図12に示す。その結果、電極の長手方向が垂直になるような向きに並べた方が、短時間で効果的に除去できることがわかった。元々、電圧が印加されていないときには頭を上向きにして止まる個体が多いことから、電極の長手方向が水平になる場合には、進行方向への移動を妨げるクーロン力が働いたと推察される。
パルス幅0.1秒、印加電圧±3.0kVで、電極の長手方向が水平になるような向きに並べた以外は、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を、実施例1における、電極の長手方向が垂直になるような向きに並べた結果とともに、図12に示す。その結果、電極の長手方向が垂直になるような向きに並べた方が、短時間で効果的に除去できることがわかった。元々、電圧が印加されていないときには頭を上向きにして止まる個体が多いことから、電極の長手方向が水平になる場合には、進行方向への移動を妨げるクーロン力が働いたと推察される。
実施例4(その他の条件の影響)
以下の条件を変えた以外は実施例1と同様にして試験を行った。
・印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)、パルス幅0.1秒
・印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)、パルス幅0.5秒
・印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)、直流
・印加電圧±1.0kV(平均電位傾度2.0kV/cm)、パルス幅3秒
結果をまとめて図13に示す。図13から以下のことがわかった。
印加電圧±2.5kVのときも、実施例1での印加電圧±3.0kVのときと同様に、パルス幅0.5秒の方がパルス幅0.1秒よりも短時間でショウジョウバエを除去できることが分かった。
パルス電流の代わりに直流電圧を印加した場合には、パルス幅0.1秒並みかそれ以下の除去性能であった。また、電圧が切り替わらないためか、電極上に羽が貼り付いて動けなくなる個体が認められた。
印加電圧±1.0kVでも、ショウジョウバエの個体数は減るものの、その効果は限定的であった。
以下の条件を変えた以外は実施例1と同様にして試験を行った。
・印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)、パルス幅0.1秒
・印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)、パルス幅0.5秒
・印加電圧±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)、直流
・印加電圧±1.0kV(平均電位傾度2.0kV/cm)、パルス幅3秒
結果をまとめて図13に示す。図13から以下のことがわかった。
印加電圧±2.5kVのときも、実施例1での印加電圧±3.0kVのときと同様に、パルス幅0.5秒の方がパルス幅0.1秒よりも短時間でショウジョウバエを除去できることが分かった。
パルス電流の代わりに直流電圧を印加した場合には、パルス幅0.1秒並みかそれ以下の除去性能であった。また、電圧が切り替わらないためか、電極上に羽が貼り付いて動けなくなる個体が認められた。
印加電圧±1.0kVでも、ショウジョウバエの個体数は減るものの、その効果は限定的であった。
実施例5(チョウバエでの実験)
実施例1と同様にして、ショウジョウバエをチョウバエに変更して同様に試験を行った。用いたチョウバエは、捕獲、培養したものであり、飛翔可能である。印加電圧が±3.0kV(平均電位傾度6.0kV/cm)又は±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)で、パルス幅が3.0秒の条件で電圧を印加したところ、チョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。しかしながら、印加電圧を±2.0kV(平均電位傾度4.0kV/cm)まで下げると、羽が電界の影響を受ける様子が確認できたものの、移動する個体が少なくなった。
実施例1と同様にして、ショウジョウバエをチョウバエに変更して同様に試験を行った。用いたチョウバエは、捕獲、培養したものであり、飛翔可能である。印加電圧が±3.0kV(平均電位傾度6.0kV/cm)又は±2.5kV(平均電位傾度5.0kV/cm)で、パルス幅が3.0秒の条件で電圧を印加したところ、チョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。しかしながら、印加電圧を±2.0kV(平均電位傾度4.0kV/cm)まで下げると、羽が電界の影響を受ける様子が確認できたものの、移動する個体が少なくなった。
実施例6(電極間隔の影響)
実施例1で用いた試験装置において、線径1mmの銅線からなる電極25a、25bを5mmの間隔を空けて12本平行に貼り付けた以外は、実施例1と同様にして、ショウジョウバエを用いた試験を行った。±1.25kV(平均電位傾度5.0kV/cm)でパルス幅3.0秒の電圧パルスを印加したところ、ショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。また、印加電圧を±0.75kV(平均電位傾度3.0kV/cm)としても、ショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。
実施例1で用いた試験装置において、線径1mmの銅線からなる電極25a、25bを5mmの間隔を空けて12本平行に貼り付けた以外は、実施例1と同様にして、ショウジョウバエを用いた試験を行った。±1.25kV(平均電位傾度5.0kV/cm)でパルス幅3.0秒の電圧パルスを印加したところ、ショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。また、印加電圧を±0.75kV(平均電位傾度3.0kV/cm)としても、ショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。
実施例7(背面の導電体の影響)
実施例1で用いた試験装置において、厚さ3mmのPETシート24の外側(電極を配置しない側)の全体に厚さ約1mmの接地銅板を貼り付けて、パルス幅を3秒として実施例1と同等に試験を行った。その結果、ショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることが困難であった。一方、電極25a、25bをPETフィルムで覆い、さらにその上に重ねるようにして6本の電極を配置してからPETフィルム23で覆って、図5に示される模式図のようにしたところ、実施例1と同様にショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。
実施例1で用いた試験装置において、厚さ3mmのPETシート24の外側(電極を配置しない側)の全体に厚さ約1mmの接地銅板を貼り付けて、パルス幅を3秒として実施例1と同等に試験を行った。その結果、ショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることが困難であった。一方、電極25a、25bをPETフィルムで覆い、さらにその上に重ねるようにして6本の電極を配置してからPETフィルム23で覆って、図5に示される模式図のようにしたところ、実施例1と同様にショウジョウバエを電極範囲内から外側へ移動させることができた。
1 害虫除去装置
2 絶縁性基板
3a、3b、14a、14b、25a、25b 電極
4 絶縁性保護層
5 電気力線
6、19 表面
7 害虫
10 窓
11 サッシ枠
12a、12b サッシ
13a ガラス板
15a、15b、26a、26b 配線
16 コントローラ
17 樹脂フィルム
18 粘着層
20 実験装置
21 ガラス製容器
22 蓋
23 PETフィルム
24 PETシート
27 正電源
28 負電源
2 絶縁性基板
3a、3b、14a、14b、25a、25b 電極
4 絶縁性保護層
5 電気力線
6、19 表面
7 害虫
10 窓
11 サッシ枠
12a、12b サッシ
13a ガラス板
15a、15b、26a、26b 配線
16 コントローラ
17 樹脂フィルム
18 粘着層
20 実験装置
21 ガラス製容器
22 蓋
23 PETフィルム
24 PETシート
27 正電源
28 負電源
Claims (11)
- 異なる電位を有する複数の電極を絶縁性基板の表面に設けて、当該電極を絶縁性保護層で覆い、
高電位の電極と低電位の電極を所定の間隔を空けて配置して、それらの電極間の電位差によって電界を生じさせ、
該電界の作用によって、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に止まった害虫を剥離するか、又は前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面に害虫が止まることを忌避させる、害虫除去装置。 - 前記高電位の電極と前記低電位の電極との電位差(A)と、前記高電位の電極と前記低電位の電極との間隔(B)の比(A/B)で示される平均電位傾度が1~30kV/cmである請求項1に記載の害虫除去装置。
- 前記高電位の電極と前記低電位の電極との間隔(B)が1~50mmである請求項1又は2に記載の害虫除去装置。
- 前記高電位の電極と前記低電位の電極とが交互に切り替わるスイッチング機能を備えた請求項1又は2に記載の害虫除去装置。
- 前記絶縁性保護層の厚さが5~300μmである請求項1又は2に記載の害虫除去装置。
- 前記絶縁性基板が透明板であり、前記絶縁性保護層が透明絶縁体層であり、かつ前記電極が透明導電体で形成された電極である、請求項1又は2に記載の害虫除去装置。
- 前記高電位の電極と前記絶縁性基板の間に高電位の追加電極を設け、前記低電位の電極と前記絶縁性基板の間に低電位の追加電極を設けた、請求項1又は2に記載の害虫除去装置。
- 前記絶縁性基板の周囲の少なくとも一部に、前記絶縁性保護層もしくは前記絶縁性基板の表面から移動して来た害虫を捕捉する害虫捕捉装置を設けた、請求項1又は2に記載の害虫除去装置。
- 請求項1又は2に記載の害虫除去装置を備え、前記絶縁性基板としてガラス板が枠体に保持されてなる窓。
- 請求項1又は2に記載の害虫除去装置を備え、前記絶縁性基板又は前記絶縁性保護層のいずれかに情報が表示されてなる看板。
- 前記電極が透明導電体で形成され、前記絶縁性基板の背後に照明を備えた、請求項10に記載の看板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2023018299A JP2024113367A (ja) | 2023-02-09 | 2023-02-09 | 電界を用いた害虫除去装置とその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2023018299A JP2024113367A (ja) | 2023-02-09 | 2023-02-09 | 電界を用いた害虫除去装置とその用途 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2024113367A true JP2024113367A (ja) | 2024-08-22 |
Family
ID=92425366
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2023018299A Pending JP2024113367A (ja) | 2023-02-09 | 2023-02-09 | 電界を用いた害虫除去装置とその用途 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2024113367A (ja) |
-
2023
- 2023-02-09 JP JP2023018299A patent/JP2024113367A/ja active Pending
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20251216 |