[go: up one dir, main page]

JP2023039269A - 撥液膜 - Google Patents

撥液膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2023039269A
JP2023039269A JP2021146355A JP2021146355A JP2023039269A JP 2023039269 A JP2023039269 A JP 2023039269A JP 2021146355 A JP2021146355 A JP 2021146355A JP 2021146355 A JP2021146355 A JP 2021146355A JP 2023039269 A JP2023039269 A JP 2023039269A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
repellent film
fine particles
monomer
hydrophilic fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021146355A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7779048B2 (ja
Inventor
達也 増子
Tatsuya Masuko
了嗣 加藤
Akitsugu Katou
廣介 木下
Kosuke Kinoshita
悟 石田
Satoru Ishida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2021146355A priority Critical patent/JP7779048B2/ja
Publication of JP2023039269A publication Critical patent/JP2023039269A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7779048B2 publication Critical patent/JP7779048B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

Figure 2023039269000001
【課題】表面張力の低い液体に対する撥液性を高めることができる撥液膜を提供する。
【解決手段】撥液膜40は、親水性微粒子41と親水性微粒子41を覆う被覆部42とを備える。親水性微粒子41のBET比表面積は、15m/g以上である。被覆部42は、メタクリレート共重合体を含み、当該メタクリレート共重合体は、パーフルオロアルキル基を有するメタクリレートモノマーである第1モノマーと、第1モノマーよりも高い親水性を有するメタクリレートモノマーである第2モノマーとの共重合体である。上記メタクリレート共重合体における第1モノマー由来の構成単位の比率は、80モル%以上99モル%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、撥液膜に関する。
多数の微粒子からなる凹凸を表面に有する撥液膜が知られている。微粒子からなる凹凸は微小であるため、凹凸には液体が入り込みにくい。それゆえ、撥液膜に触れた液体は、撥液膜の表面を滑り落ちる。これにより、撥液性が発揮される。撥液膜は、撥液性を高めるために、フッ素材料を含む被覆部を備え、被覆部が被膜状に微粒子を覆っている(例えば、特許文献1~3参照)。
特許第5114355号公報 特許第5242841号公報 国際公開第2019/026816号
しかしながら、凹凸への液体の浸入のしやすさは、液体の表面張力によって変わり、液体の表面張力が低いほど、凹凸に液体が浸入しやすくなる。例えば、有機溶剤を含む塗料や界面活性剤を含む洗剤等の表面張力は低く、こうした表面張力の低い液体に対する撥液性の向上の観点では、撥液膜における微粒子や被覆部の構成についてなお改善の余地がある。
上記課題を解決するための撥液膜は、親水性微粒子と前記親水性微粒子を覆う被覆部とを有する撥液膜であって、前記親水性微粒子のBET比表面積は、15m/g以上であり、前記被覆部は、メタクリレート共重合体を含み、前記メタクリレート共重合体は、パーフルオロアルキル基を有するメタクリレートモノマーである第1モノマーと、前記第1モノマーよりも高い親水性を有するメタクリレートモノマーである第2モノマーとの共重合体であり、前記メタクリレート共重合体における前記第1モノマー由来の構成単位の比率は、80モル%以上99モル%以下である。
上記構成によれば、被覆部による親水性微粒子の被覆性が高められて親水性微粒子からの被覆部の剥がれが抑えられるとともに、被覆部の撥液性が高められる。したがって、撥液膜の表面において、被覆部の撥液性が十分に発揮されるため、表面張力が低く凹凸に入り込みやすい液体であっても、撥液膜の表面で液体がはじかれやすくなる。それゆえ、表面張力の低い液体に対する撥液膜の撥液性が高められる。特に、水系の液体に対する被覆部の膨潤や溶解が抑えられるため、水を含む液体に対する撥液性が高められる。
上記構成において、前記撥液膜に含まれる前記メタクリレート共重合体の総重量をMp、前記撥液膜に含まれる前記親水性微粒子の総重量をMf、前記親水性微粒子の平均一次粒子径をR(nm)としたとき、重量Mp,重量Mf,粒子径Rが、7<R×(Mp/Mf)<45を満たしてもよい。
上記構成において、前記重量Mp,前記重量Mf,前記粒子径Rが、12<R×(Mp/Mf)<35を満たしてもよい。
上記構成によれば、撥液膜中における微粒子と共重合体との割合が微粒子の粒径も加味して好適となる。すなわち、親水性微粒子に対して共重合体の量が過大もしくは過小となることや、親水性微粒子の比表面積が過度に大きくなることが抑えられる。したがって、親水性微粒子の連なりによる凹凸に沿った被覆部が適切に形成されやすくなるため、撥水性の向上が可能である。
上記構成において、前記親水性微粒子の平均一次粒子径が、20nm以上であってもよい。
上記構成によれば、撥液膜の表面の凹凸が、撥液に適した大きさに形成されやすくなる。したがって、撥液膜の撥液性の向上が可能である。
上記構成において、前記第2モノマーは、フッ素原子を含まないモノマーを含んでもよい。
上記構成において、前記第2モノマーは、ヒドロキシ基、アミド基、エーテル基、1級アミン、2級アミン、および、3級アミンのいずれかを有するモノマーを含んでもよい。
上記構成によれば、メタクリレート共重合体における親水性微粒子との親和性が高められる。その結果、被覆部による親水性微粒子の被覆性が高められ、親水性微粒子からの被覆部の剥がれも抑えられる。したがって、撥液膜の撥液性の向上が可能である。
上記構成において、前記メタクリレート共重合体は、当該共重合体が50質量%の濃度のエタノール水溶液に24時間接触していた場合に、前記エタノール水溶液に膨潤または溶解しなくてもよい。
上記構成によれば、エタノールおよび水を含む液体に対する被覆部の耐性が十分に得られるため、ヘアケアやボディケア用の製品、化粧品、洗剤といった日用品として用いられる液体に対する撥液膜の撥液性が高められやすい。
上記構成において、前記メタクリレート共重合体は、酢酸エチルと1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとを、酢酸エチルに対する1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの重量比が7対3となるように混合した溶媒に、5質量%以上の濃度で溶解または分散可能であってもよい。
上記構成によれば、酢酸エチルと1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとの混合溶媒を、撥液膜の形成のための塗液の溶媒として用いることができる。塗液の溶媒に上記混合溶媒を用いることで、撥液性の高い撥液膜を得ることができる。
上記構成において、前記撥液膜の表面の算術平均高さSaが、0.6μm以上であってもよい。
上記構成によれば、撥液膜の表面に十分な高さの凹凸が形成されているため、撥液性が好適に得られる。
本発明によれば、表面張力の低い液体に対する撥液性を高めることができる。
一実施形態の撥液膜を備える撥液物品について、撥液物品の断面構造の一例を示す図。 一実施形態の撥液膜を備える撥液物品について、撥液物品の断面構造の他の例を示す図。
図面を参照して、撥液膜の一実施形態を説明する。本実施形態の撥液膜は、液体を収容する容器や袋における液体と接する面や、液体の付着の抑制が望まれるシートや成形品の表面に配置される。撥液膜を備える物品が撥液物品である。
[撥液物品の構成]
図1が示すように、撥液物品10は、支持体20と、接着層30と、撥液膜40とを備えている。接着層30は、支持体20と撥液膜40との間に挟まれている。撥液膜40は、親水性微粒子41と被覆部42とを含む。
撥液物品10は、例えば、塗料や洗剤等の液体を収容する容器や袋である収容体、あるいは、こうした収容体における液体と接する面に備えられるシートである。
支持体20の材料は特に限定されず、支持体20の表面に接着層30が密着可能なように、支持体20および接着層30の材料が選択されればよい。支持体20の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリル等の樹脂、ガラス、金属である。支持体20は、シート状であってもよいし、シート状とは異なる形状を有する成形品であってもよい。
接着層30は、支持体20と撥液膜40との間の密着性を高めるための層である。接着層30の材料は、ポリオレフィン系樹脂やポリウレタン系樹脂等の接着性樹脂である。なお、接着層30を用いずとも支持体20と撥液膜40との間の密着性が十分に得られる場合には、撥液物品10は、接着層30を備えていなくてもよい。
親水性微粒子41は、親水性の微粒子である。親水性微粒子41の材料は、例えば、シリカや、酸化チタン等の金属酸化物である。撥液膜40は、少なくとも、ナノオーダーの粒径を有する第1の親水性微粒子41を含む。撥液膜40は、第1の親水性微粒子41に加えて、マイクロオーダーの粒径を有する第2の親水性微粒子41を含んでもよい。
被覆部42は、親水性微粒子41を被覆している。被覆部42は、パーフルオロアルキル基を有するメタクリレート共重合体を含む。
撥液物品10の表面、すなわち撥液膜40の表面は、多数の親水性微粒子41の連なりに沿った微細な凹凸を有する。こうした凹凸には液体が入り込みにくいため、撥液膜40の表面に触れた液体がはじかれやすくなる。撥液膜40が、第1の親水性微粒子41に加えて、第2の親水性微粒子41を含んでいると、撥液膜40の表面の凹凸がより複雑になるため、撥液膜40の表面に触れた液体がよりはじかれやすくなる。
図2が示すように、接着層30は、接着性樹脂中に、大径微粒子31を含んでいてもよい。大径微粒子31の材料は、例えば、シリカ、シリコーン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等である。大径微粒子31の粒径は、第1の親水性微粒子41の粒径よりも大きく、大径微粒子31は、マイクロオーダーの粒径を有する。
接着層30が大径微粒子31を含んでいることにより、接着層30の表面は、大径微粒子31に沿った凹凸を有し、この凹凸を有する接着層30の表面に沿って、撥液膜40の親水性微粒子41が並ぶ。したがって、撥液膜40の表面の凹凸がより複雑になるため、撥液膜40の表面に触れた液体がよりはじかれやすくなる。
[撥液膜の構成]
親水性微粒子41および被覆部42の構成について詳細に説明する。
まず、被覆部42の構成について説明する。被覆部42は、パーフルオロアルキル基を有するメタクリレート共重合体を含む。この共重合体は、パーフルオロアルキル基を有するメタクリレートモノマーである第1モノマーと、第1モノマーよりも高い親水性を有するメタクリレートモノマーである第2モノマーとの共重合体である。この共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
第1モノマーは、直鎖状または分岐鎖を有する炭素数1~6のパーフルオロアルキル基を有する。パーフルオロアルキル基が、炭素数4~6の直鎖状であると、撥液膜40の撥液性が高められるとともに、モノマーや共重合体の入手が容易であるため好ましい。第1モノマーの具体例は、2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレートである。
第2モノマーは、フッ素原子を含まないことが好ましい。第2モノマーは、例えば、ヒドロキシ基、アミド基、エーテル基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、ピロリドン、フッ素原子を含まない炭素数6以上の炭化水素鎖、および、ベンジル基のいずれかを有する。なかでも、撥液膜40の撥液性の向上のためには、第2モノマーは、ヒドロキシ基、アミド基、エーテル基、1級アミン、2級アミン、および、3級アミンのいずれかを有することが好ましい。
第2モノマーの具体例は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレートである。
なお、メタクリレート共重合体は、第1モノマーと、互いに異なる官能基を有する複数の種類の第2モノマーとの共重合体であってもよい。
下記一般式(1)は、メタクリレート共重合体の一般式の一例を示す。一般式(1)に示す共重合体は、繰り返し構造中に、第1モノマーである2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート由来の構成単位と、第2モノマーであるメタクリレートモノマー由来の構成単位とを含む。
Figure 2023039269000002

・・・一般式(1)
一般式(1)において、Xは、第2モノマー由来の構成単位が有する置換基を示し、l,mはそれぞれ独立に1以上の整数を示す。置換基は、上述したように、ヒドロキシ基、アミド基、エーテル基、1級アミン、2級アミン、および、3級アミンのいずれかの官能基を含むことが好ましい。lは、第1モノマー由来の構成単位の数を示し、mは、第2モノマー由来の構成単位の数を示す。
メタクリレート共重合体における第1モノマー由来の構成単位の比率であるRf比率は、80モル%以上99モル%以下である。例えば、上記一般式(1)で示す共重合体において、第1モノマー由来の構成単位の総数がl個であり、第2モノマー由来の構成単位の総数がm個である場合、Rf比率は、l/(l+m)で表される。
Rf比率が99モル%以下であること、言い換えれば、第2モノマー由来の構成単位の比率が1モル%以上であることにより、第2モノマーの親水性の程度に応じて、親水性微粒子41と共重合体との親和性が高くなる。したがって、撥液膜40の製造に際して、被覆部42による親水性微粒子41の被覆性が高くなるとともに、撥液膜40の使用時においては、親水性微粒子41の表面から被覆部42が剥がれにくくなる。
一方、Rf比率が80モル%以上であることにより、被覆部42の撥液性が高められる。特に、共重合体が水系の液体に膨潤あるいは溶解し難くなるため、水を含む液体に対する撥液性が高められる。
以上のことから、撥液膜40の表面において、被覆部42の撥液性が十分に発揮されるため、表面張力が低く凹凸に入り込みやすい液体であっても、撥液膜40の表面で液体がはじかれやすくなる。
撥液膜40の撥液対象とされる液体は特に限定されないが、撥液膜40は、その表面への高粘度かつ低表面張力の液体の付着を好適に抑えることができる。こうした液体の例は、界面活性剤含有水溶液、炭化水素油、シリコーン油、有機溶剤含有液体である。
例えば、一般に、界面活性剤を含む洗剤やシャンプー等の液体の表面張力は、30mN/m程度以下である場合が多い。これに対し、微粒子とフッ素材料を含む被覆部とからなる従来の撥液膜は、30mN/m以下の液体に対する撥液性が不十分であった。本実施形態の撥液膜40では、被覆部42が含むメタクリレート共重合体におけるRf比率を80モル%以上99モル%以下とすることで、表面張力が30mN/m以下の液体に対しても、良好な撥液性を得ることを可能としている。
特に、ヘアケアやボディケア用の製品、化粧品、洗剤といった日用品として用いられる液体は、水を含んでいる場合が多い。本実施形態の撥液膜40であれば、水を含む液体に対する撥液性が高められるため、撥液膜40は、日用品として用いられる液体の収容体の内側面に好適に用いることができる。
なお、撥液膜40の撥液対象とされる液体は、日用品に限らず、塗料、燃料、潤滑油、接着剤、導電ペースト、液体ゴム、コーキング剤、アスファルト等の工業用液体であってもよい。
液体の収容体の内側面に撥液膜40が用いられることにより、収容体から液体を取り出した際に、液体が収容体の内部に残存することが抑えられる。その結果、液体の取り出し効率の低下が抑えられるとともに、液体の付着箇所の洗浄に要する負担の軽減が可能であり、また、液体の残存に起因した細菌繁殖等の衛生状態の悪化も抑えられる。
さらに、高粘度かつ低表面張力の液体に限らず、エタノール水溶液等の医薬や農薬、有毒物を含む液体のように、収容体等の物品の表面への付着の抑制が望まれる液体であれば、撥液膜40の撥液対象とすることができる。
被覆部42が含むメタクリレート共重合体の特性についてさらに説明する。メタクリレート共重合体は、エタノール水溶液に対する耐性を有していることが好ましい。
具体的には、メタクリレート共重合体は、エタノール水溶液に膨潤または溶解しない性質を有していることが好ましい。上記性質とは、メタクリレート共重合体からなる10μmの厚さの膜であるポリマー膜を、50質量%の濃度のエタノール水溶液に24時間浸漬した場合に、浸漬前に対するポリマー膜の厚さの変化が2%以下であることを意味する。
また、メタクリレート共重合体からなる約1μm~3μmの厚さの膜であるポリマー膜を、50質量%の濃度のエタノール水溶液に72時間浸漬した後、自然乾燥した場合に、浸漬前に対するポリマー膜のヘイズの変化が3%未満であることが好ましい。ヘイズはJIS K 7136に準拠して測定される。ヘイズの変化が小さいことは、ポリマー膜表面における凹凸の形成が抑えられていることを示し、すなわち、エタノール水溶液への浸漬によるポリマー膜の膨潤が小さいことを示す。
上述した日用品として用いられる液体には、エタノールが含まれている場合が多い。メタクリレート共重合体がエタノール水溶液に膨潤または溶解し難い性質を有していることで、エタノールおよび水を含む液体に対する撥液膜40の撥液性が高められる。したがって、撥液膜40が、日用品として用いられる液体の収容体の内側面により好適に用いられる。
また、メタクリレート共重合体は、酢酸エチルと1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとを、酢酸エチルに対する1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの重量比が7対3となるように混合した溶媒に、5質量%以上の濃度で溶解または分散可能であることが好ましい。
このように、メタクリレート共重合体が、上記混合溶媒に対する溶解性または分散性を有していれば、撥液膜40の作製の際の塗液の溶媒に、上記混合溶媒を用いることができる。塗液の溶媒に上記混合溶媒を用いることで、撥液性の高い撥液膜40を得ることができる。
メタクリレート共重合体は、第1モノマーと第2モノマーとを、公知の重合方法を用いて重合させることにより得られる。例えば、溶媒として1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルを用い、モノマーの濃度が40質量%、重合開始剤の濃度が0.2質量%となるように、溶媒にモノマーと重合開始剤とを加えた溶液を調製する。そして、アルゴンガス雰囲気下、温度70℃の環境下で、上記溶液を24時間撹拌することにより、メタクリレート共重合体が得られる。
また、市販のポリマーから条件に合うメタクリレート共重合体を選択して用いてもよい。利用可能な製品としては、AGCセイミケミカル社製のエスエフコート(SFE-DP02H,SNF-DP20H,SFE-B002H,SNF-B200A)、ユニマテック社製のNoxbarrier ST-400シリーズ、ハーベス社製のデュラサーフ DH-100シリーズが挙げられる。
続いて、親水性微粒子41の構成について説明する。第1の親水性微粒子41のBET比表面積は、15m/g以上である。第1の親水性微粒子41のBET比表面積は、300m/g以下であることが好ましい。また、第1の親水性微粒子41の平均一次粒子径は、10nm以上100nm以下であることが好ましく、20nm以上100nm以下であることがより好ましい。
BET比表面積および平均一次粒子径が上記範囲内であれば、撥液膜40の表面に微細な凹凸が好適に形成されるため、撥液性が高められる。
第1の親水性微粒子41として利用可能な製品としては、例えば、日本アエロジル社製のAerosilシリーズやAeroxideシリーズ、旭化成ワッカーシリコーン社製のHDKシリーズが挙げられる。
また、第2の親水性微粒子41の平均粒子径は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。撥液膜40が第1の親水性微粒子41および第2の親水性微粒子41を含む場合、撥液膜40に含まれる第2の親水性微粒子41の総重量に対する第1の親水性微粒子41の総重量の比は、0.05以上0.5以下であることが好ましい。
第2の親水性微粒子41の平均粒子径、および、第1の親水性微粒子41に対する第2の親水性微粒子41の総重量が上記範囲内であれば、撥液膜40の表面に第1の親水性微粒子41と第2の親水性微粒子41とからなる凹凸が好適に形成される。そのため、撥液性が高められる。
第2の親水性微粒子41として利用可能な製品としては、例えば、富士シリシア社製のサイリシアシリーズ、東ソー社製のニップシールシリーズ、AGCエスアイテック社製のサンラブリー等が挙げられる。
撥液膜40に含まれるメタクリレート共重合体の総重量をMp、撥液膜40に含まれる第1の親水性微粒子41の総重量をMf、第1の親水性微粒子41の平均一次粒子径をR(nm)としたとき、重量Mp,重量Mf,粒子径Rは、下記数式(1)を満たすことが好ましい。
7<R×(Mp/Mf)<45 ・・・数式(1)
上記R×(Mp/Mf)の値が上記範囲内であることにより、撥液膜40中における微粒子と共重合体との割合が微粒子の粒径も加味して好適となる。例えば、上記R×(Mp/Mf)の値が45よりも小さいことにより、メタクリレート共重合体の量が、第1の親水性微粒子41の量に対して多くなりすぎないため、親水性微粒子41の連なりによる凹凸が被覆部42によって均されることが抑えられる。
また、上記R×(Mp/Mf)の値が7より大きいことにより、メタクリレート共重合体の量が、第1の親水性微粒子41の量に対して少なくなりすぎないため、第1の親水性微粒子41が被覆部42によって十分に被覆されやすくなり、親水性微粒子41の連なりによる凹凸に沿った被覆部42が形成されやすくなる。さらに、第1の親水性微粒子41の粒子径Rが過度に小さくなることが抑えられるため、第1の親水性微粒子41の比表面積が過度に大きくなることが抑えられ、その結果、親水性微粒子41の被覆に要する共重合体の量の増大が抑えられる。
こうした効果を高めるためには、重量Mp,重量Mf,粒子径Rは、下記数式(2)を満たすことが好ましい。
12<R×(Mp/Mf)<35 ・・・数式(2)
なお、接着層30が大径微粒子31を含む場合、大径微粒子31の平均一次粒子径は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
大径微粒子31として利用可能な製品としては、例えば、AGCエスアイテック社製のサンスフェア、信越シリコーン社製のシリコーンパウダーKMPシリーズ、アイカ工業社製のガンツパール、根上工業社製のアートパール等が挙げられる。
また、接着層30が含む接着性樹脂として利用可能な製品としては、日本製紙社製のアウローレン、住友精化社製のザイクセンやセポルジョン、三井化学社製のユニストール、ユニチカ製のアローベース等が挙げられる。
撥液膜40の表面粗さについて、撥液膜40の表面の算術平均高さSaは、0.6μm以上であることが好ましい。算術平均高さSaは、ISO 25178に準拠して測定される。例えば、レーザー顕微鏡を用い、撥液膜40の表面における1辺が1000μmの大きさの正方形領域に対して、算術平均高さSaの測定が行われる。
撥液膜40の表面の算術平均高さSaが0.6μm以上であれば、撥液膜40の表面に凹凸が十分に形成されているため、撥液性が好適に得られる。
[撥液膜の製造方法]
撥液膜40および撥液物品10の製造方法を説明する。まず、支持体20の表面に、接着層30の材料を溶解または分散させた塗液を塗布し、形成された膜を乾燥することにより、接着層30を形成する。塗液の塗布方法には、例えば、バーコート法、スプレー法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
次に、接着層30の表面に、撥液膜40の材料を溶解または分散させた塗液を塗布し、形成された膜を乾燥することにより、撥液膜40を形成する。塗液の塗布方法には、例えば、バーコート法、スプレー法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
撥液膜40の形成のための塗液は、例えば、親水性微粒子41を分散させた分散液と、メタクリレート共重合体を溶解させた溶解液とを混合することにより得られる。分散液の分散媒は、親水性微粒子41を分散可能であれば特に限定されず、溶解液の溶媒はメタクリレート共重合体を溶解可能であれば特に限定されない。
ただし、撥液膜40の撥液性を高める観点では、こうした分散媒および溶媒を含む塗液の媒質の極性が低い方が、親水性微粒子41がメタクリレート共重合体で被覆されやすいため好ましい。具体的には、親水性微粒子41の分散液における分散媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトンのいずれかであることが好ましく、メタクリレート共重合体の溶解液の溶媒は、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンであることが好ましい。また、塗液の極性を低く抑えるために、塗液に含まれる溶媒の重量が分散媒の重量よりも多くなるように塗液を調製することが好ましい。
こうした製造方法によれば、微粒子と共重合体との結合工程のような煩雑な工程や高いコストを要する工程を経ずとも、高い撥液性を有する撥液膜40が得られる。
[実施例]
上述した撥液膜および撥液物品を、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
(材料)
実施例および比較例で用いた材料と、接着層および撥液膜の形成のための塗液の調製方法は下記である。
<支持体>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)
<接着層形成用塗液>
下記に示す2種類の接着層の形成用の塗液を作製した。
接着層A1:接着性樹脂としてポリオレフィン樹脂(ユニチカ社製アローベース SB5230N(固形分50%))を用い、10.0gの水と50.0gのイソプロパノールとの混合溶媒に6.7gの接着性樹脂を溶解させて、接着層形成用塗液を作製した。塗液中における固形分の割合は3.3質量%である。
接着層A2:接着性樹脂としてポリオレフィン樹脂(ユニチカ社製アローベース SB5230N、固形分50%)、大径微粒子としてアクリル樹脂からなる粒子(根上工業社製アートパール SE-010T、平均一次粒子径10μm)を用い、40.5gの水と50.0gのイソプロパノールとの混合溶媒に、6.7gの接着性樹脂と2.9gの大径微粒子とを混合して、接着層形成用塗液を作製した。塗液中における固形分の割合は20.0質量%である。
<撥液膜形成用塗液>
酢酸エチルに、親水性微粒子を8質量%の濃度で混合し、マグネチックスターラーを用いて撹拌することにより、微粒子分散液を作製した。
1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンに、メタクリレート共重合体を2質量%の濃度で溶解させ、ポリマー溶液を作製した。
微粒子分散液とポリマー溶解液とを混合し、マグネチックスターラーを用いて撹拌することにより、撥液膜形成用塗液を作製した。この際、塗液中において、固形分の割合が3質量%となり、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンと酢酸エチルとの重量比が7対3となるように、希釈溶媒として、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンまたは酢酸エチルを必要に応じて加えた。
用いた親水性微粒子は下記の5種類である。
新水性微粒子F1:シリカ粒子(日本アエロジル社製Aerosil50、平均一次粒子径30nm、BET比表面積50m/g)
親水性微粒子F2:シリカ粒子(日本アエロジル社製Aerosil130、平均一次粒子径16nm、BET比表面積130m/g)
親水性微粒子F3:シリカ粒子(日本アエロジル社製Aerosil200、平均一次粒子径12nm、BET比表面積200m/g)
親水性微粒子F4:酸化チタン粒子(日本アエロジル社製AeroxideP25、平均一次粒子径20nm、BET比表面積40m/g)
親水性微粒子F5:シリカ粒子(富士シリシア社製サイリシア450、平均一次粒子径8μm)
用いたメタクリレート共重合体は表1に示す14種類である。これらの共重合体は、いずれも、ランダム共重合体である。表1には、H-NMR測定から算出した各共重合体におけるモノマーの構成比と、溶剤に対する耐性および溶解性の試験結果を示す。
Figure 2023039269000003
表1での略称は下記モノマーに対応する。
RfMA:2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
DEAEMA:2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート
DEGDMA:ジエチレングリコールジメタクリレート
LaMA:ラウリルメタクリレート
H-NMR測定は、ヘキサフルオロベンゼンと重クロロホルムとを、ヘキサフルオロベンゼンに対する重クロロホルムの重量比が6:4となるように混合した溶媒を用いて実施した。モノマーの構成比率の測定に用いた化学シフト値を下記に示す。
RfMA:4.47ppm(2H)または2.69ppm(2H)
HEMA:4.27ppm(2H)または3.97ppm(2H)
DEAEMA:4.09ppm(2H)または2.78ppm(2H)
DEGDMA:3.76ppm(4H)
溶剤に対する耐性および溶解性の試験方法は下記である。
・溶剤耐性
各共重合体について、上記ポリマー溶液を、ガラス板上に塗布して乾燥させ、約1μm~3μmの厚さの塗膜を形成した。上記塗膜を、50質量%の濃度のエタノール水溶液に72時間浸漬した後、自然乾燥した。
エタノール水溶液への浸漬の前後での塗膜におけるヘイズの変化を測定した。ヘイズの測定には、村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM-150を用いた。ヘイズの変化が3%未満である場合を溶剤耐性が十分であるとして評価を「〇」とし、ヘイズの変化が3%以上である場合を溶剤耐性が不十分であるとして評価を「×」とした。
・溶解性
各共重合体について、7gの酢酸エチルと3gの1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとを混合した溶液に0.5gの共重合体を投入して、20℃の環境においた。共重合体の全量が溶液に溶解した場合を溶解性が良好であるとして評価を「〇」とし、共重合体の少なくとも一部が溶解しなかった場合を溶解性が不良であるとして評価を「×」とした。
(製造方法)
支持体の表面に、ワイヤーバーを用いて、もしくは、スプレー法により接着層形成用塗液を塗布した後、形成された膜を100℃の温風下で90秒間乾燥することにより、接着層を形成した。接着層形成用塗液の塗布量は約1g/mである。
続いて、接着層の表面に、ワイヤーバーを用いて撥液膜形成用塗液を塗布し、形成された膜を100℃の温風下で90秒間乾燥することにより、撥液膜を形成した。撥液膜形成用塗液の塗布量は約1g/mである。
(実施例・比較例の構成)
上述の材料および製造方法を用い、接着層と親水性微粒子とメタクリレート共重合体との組み合わせ、および、親水性微粒子とメタクリレート共重合体との比率を変更することによって、実施例1~29および比較例1~6を得た。表2に、各実施例および各比較例について、共重合体、親水性微粒子、接着層の種類と、R×(Mp/Mf)の値、および、算術平均高さSaを示す。
Figure 2023039269000004
なお、撥液膜が第1の親水性微粒子と第2の親水性微粒子とを含む実施例14において、撥液膜が含む第2の親水性微粒子の総重量に対する第1の親水性微粒子の総重量の比は、0.15である。
また、実施例6,13,21,26は、接着層形成用塗液の塗布にスプレー法を用い、これら以外の実施例および比較例については、接着層形成用塗液の塗布にワイヤーバーを用いた。
撥液膜の算術平均高さSaは、オリンパス社製の共焦点レーザー顕微鏡OLS-4100を用いて測定した。使用したレンズの倍率は50倍である。なお、測定前に撥液膜に対して100秒間の白金スパッタを施してもよい。
(撥液性評価)
各実施例および各比較例について、7種類の液体に対する撥液性を評価した。液体の種類および評価方法は下記である。
<液体>
液体L1:エタノール水溶液(濃度:40質量%、表面張力:29.9mN/m)
液体L2:エタノール水溶液(濃度:60質量%、表面張力:27.0mN/m)
液体L3:エタノール水溶液(濃度:80質量%、表面張力:24.8mN/m)
液体L4:ヘキサデカン(表面張力:27.6mN/m)
液体L5:デカン(表面張力:23.9mN/m)
液体L6:シャンプー(花王社製 メリット シャンプー)
液体L7:メチルフェニルシリコーンオイル(信越シリコーン社製 KF-54、表面張力:25.2mN/m)
<評価方法>
各実施例および各比較例について、水平面に配置した支持体上の撥液膜の表面に、0.5mLの液体を滴下した後、支持体を水平面に対して45°傾斜させて、撥液膜の表面を目視により観察した。液滴が撥液膜の表面を滑り落ちて、撥液膜の表面に液体の付着が確認できない場合を「〇」とし、撥液膜の表面に液体の微量な付着が観察されるが、液体の膜状の広がりは観察されない場合を「△」とし、液体の滴下箇所に、膜状に広がる液体の付着が観察される場合を「×」とした。
<評価結果>
表3に、各実施例および各比較例について、各液体に対する撥液性の評価結果を示す。
Figure 2023039269000005
先の表1が示すように、共重合体P1,P5,P9,P11,P12,P14のRf比率は、80モル%よりも小さい、または、99モル%よりも大きい。表3が示すように、これらの共重合体を用いた比較例1~6では、表面張力が30mN/m以下である液体L1~L7のいずれに対しても、撥液性が不十分である。
一方、Rf比率が80モル%以上99モル%以下である共重合体P2,P3,P4,P6,P7,P8,P10,P13を用いた実施例1~29では、少なくとも液体L1に対して、良好な撥液性が得られている。
以下、実施例を詳細に考察する。表2,3が示すように、実施例1,4,15,16,19,27,28,29は、共重合体の種類のみが異なる。このなかでは、実施例29の撥液性が他と比較して低い、すなわち撥液可能な液体の種類が少ない。実施例29では、共重合体の生成に用いられる第2モノマーが長鎖の炭化水素鎖を有することに対し、他の実施例では、第2モノマーはヒドロキシ基やアミノ基を有している。したがって、撥液性の向上のためには、第2モノマーが、ヒドロキシ基やアミノ基のように親水性の高い基を有していることが好ましいことが示唆される。
表1から、メタクリレート共重合体の構成単位において、第1モノマーの比率が99モル%を超えると溶媒への共重合体の溶解性が低くなる一方で、第1モノマーの比率が80モル%よりも小さく、かつ、親水性の高い基を有する第2モノマーの比率が高くなると、エタノール水溶液への共重合体の耐性が低くなることがわかる。第2モノマーが長鎖の炭化水素鎖を有する共重合体P13,P14では、第2モノマーの比率が高くなってもエタノール水溶液への耐性は得られているが、親水性微粒子の被覆性が低くなるために、実施例29のように撥液性の向上に限界があると考えられる。
したがって、Rf比率が80モル%以上99モル%以下であって、かつ、第2モノマーが、ヒドロキシ基やアミノ基のように親水性の高い基を有していると、共重合体における溶媒への溶解性、エタノール水溶液への耐性、親水性微粒子の被覆性、これらがいずれも良好になり、撥液性の高い撥液膜の形成が可能であると考えられる。
また、実施例2,3,4,7,8は、親水性微粒子とメタクリレート共重合体との比率のみが異なっており、すなわち、R×(Mp/Mf)の値が異なっている。このなかでは、上記R×(Mp/Mf)の値が7より小さい、もしくは、45より大きい実施例2,8の撥液性が他と比較して低い。したがって、撥液性の向上のためには、7<R×(Mp/Mf)<45が満たされていることが好ましいことが示唆される。実施例17,18,19,22,23からも同様のことが言える。
実施例2~8のなかでは、接着層が大径微粒子を含んでいる実施例5や、スプレー法により接着層を形成した実施例6では、撥液膜の表面粗さが大きくなり、高い撥液性が得られている。すなわち、特に表面張力の低い液体L5,L7に対しても良好な撥液性が得られている。実施例20,21からも同様のことが言える。なお、液体L3の表面張力も液体L5,L7と同様に低いが、各実施例の共重合体においてはエタノール水溶液に対する耐性が高められているため、液体L3に対しては多くの実施例で高い撥液性が得られていると考えられる。また、実施例9,24では、親水性微粒子として酸化チタン粒子を用いているため、シリカ粒子を用いた場合と比較して、親水性微粒子が塗液中で大きな凝集体を形成しやすい。これによっても、表面粗さの大きい撥液膜を得ることができる。
実施例10~14では、20nm未満の平均一次粒子径を有する親水性微粒子が用いられており、すなわち、実施例2~9と比較して撥液膜が含む親水性微粒子の大きさが小さい。したがって、実施例10のように、R×(Mp/Mf)の値や表面粗さが小さくなりやすく、こうした場合には撥液性が低くなりやすい。一方で、実施例11~14のように、親水性微粒子とメタクリレート共重合体との比率の調整、接着層への大径微粒子の添加、接着層の塗布方法の変更、第2の親水性微粒子の添加、これらによって、撥液性を向上させることが可能であることがわかる。実施例25,26からも同様のことが言える。
以上、実施形態および実施例で説明したように、撥液膜40によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)被覆部42が含むメタクリレート共重合体において、パーフルオロアルキル基を有する第1モノマー由来の構成単位の比率が、80モル%以上99モル%以下である。これにより、被覆部42による親水性微粒子41の被覆性が高められて親水性微粒子41からの被覆部42の剥がれが抑えられるとともに、被覆部42の撥液性が高められる。したがって、撥液膜40の表面において、被覆部42の撥液性が十分に発揮されるため、表面張力が低く凹凸に入り込みやすい液体であっても、撥液膜40の表面で液体がはじかれやすくなる。それゆえ、表面張力の低い液体に対する撥液膜40の撥液性が高められる。特に、水系の液体に対する被覆部42の膨潤や溶解が抑えられるため、水を含む液体に対する撥液性が高められる。
(2)メタクリレート共重合体の重量Mp、第1の親水性微粒子41の重量Mf、第1の親水性微粒子41の平均一次粒子径をR(nm)が、7<R×(Mp/Mf)<45を満たす。これにより、撥液膜40中における微粒子と共重合体との割合が微粒子の粒径も加味して好適となる。すなわち、第1の親水性微粒子41に対して共重合体の量が過大もしくは過小となることや、第1の親水性微粒子41の比表面積が過度に大きくなることが抑えられる。したがって、親水性微粒子41の連なりによる凹凸に沿った被覆部42が適切に形成されやすくなるため、撥水性の向上が可能である。また、12<R×(Mp/Mf)<35が満たされることにより、上記効果が高められる。
(3)第1の親水性微粒子41の平均一次粒子径が、20nm以上であることにより、撥液膜40の表面の凹凸が、撥液に適した大きさに形成されやすくなる。したがって、撥液膜40の撥液性の向上が可能である。
(4)第2モノマーの少なくとも1つが、フッ素原子を含まないモノマーであることにより、メタクリレート共重合体における親水性微粒子41との親和性が高められる。その結果、被覆部42による親水性微粒子41の被覆性が高められ、親水性微粒子41からの被覆部42の剥がれも抑えられる。したがって、撥液膜40の撥液性の向上が可能である。特に、第2モノマーの少なくとも1つが、ヒドロキシ基、アミド基、エーテル基、1級アミン、2級アミン、および、3級アミンのいずれかを有するモノマーであれば、上記効果が高められる。
(5)撥液膜40の表面の算術平均高さSaが0.6μm以上であれば、撥液膜40の表面に十分な高さの凹凸が形成されているため、撥液性が好適に得られる。
(6)メタクリレート共重合体が、当該共重合体が50質量%の濃度のエタノール水溶液に24時間接触していた場合に、上記エタノール水溶液に膨潤または溶解しない性質を有する。これにより、エタノールおよび水を含む液体に対する被覆部42の耐性が十分に得られるため、日用品として用いられる液体に対する撥液膜40の撥液性が高められやすい。
(7)メタクリレート共重合体が、酢酸エチルと1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとを、酢酸エチルに対する1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの重量比が7対3となるように混合した溶媒に、5質量%以上の濃度で溶解または分散可能である。これにより、酢酸エチルと1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとの混合溶媒を、撥液膜40の形成のための塗液の溶媒として用いることができる。塗液の溶媒に上記混合溶媒を用いることで、撥液性の高い撥液膜40を得ることができる。
10…撥液物品
20…支持体
30…接着層
31…大径微粒子
40…撥液膜
41…親水性微粒子
42…被覆部

Claims (9)

  1. 親水性微粒子と前記親水性微粒子を覆う被覆部とを有する撥液膜であって、
    前記親水性微粒子のBET比表面積は、15m/g以上であり、
    前記被覆部は、メタクリレート共重合体を含み、
    前記メタクリレート共重合体は、パーフルオロアルキル基を有するメタクリレートモノマーである第1モノマーと、前記第1モノマーよりも高い親水性を有するメタクリレートモノマーである第2モノマーとの共重合体であり、
    前記メタクリレート共重合体における前記第1モノマー由来の構成単位の比率は、80モル%以上99モル%以下である
    撥液膜。
  2. 前記撥液膜に含まれる前記メタクリレート共重合体の総重量をMp、前記撥液膜に含まれる前記親水性微粒子の総重量をMf、前記親水性微粒子の平均一次粒子径をR(nm)としたとき、重量Mp,重量Mf,粒子径Rが、下記数式(1)を満たす
    7<R×(Mp/Mf)<45 ・・・数式(1)
    請求項1に記載の撥液膜。
  3. 前記重量Mp,前記重量Mf,前記粒子径Rが、下記数式(2)を満たす
    12<R×(Mp/Mf)<35 ・・・数式(2)
    請求項2に記載の撥液膜。
  4. 前記親水性微粒子の平均一次粒子径が、20nm以上である
    請求項1~3のいずれか一項に記載の撥液膜。
  5. 前記第2モノマーは、フッ素原子を含まないモノマーを含む
    請求項1~4のいずれか一項に記載の撥液膜。
  6. 前記第2モノマーは、ヒドロキシ基、アミド基、エーテル基、1級アミン、2級アミン、および、3級アミンのいずれかを有するモノマーを含む
    請求項1~5のいずれか一項に記載の撥液膜。
  7. 前記メタクリレート共重合体は、当該共重合体が50質量%の濃度のエタノール水溶液に24時間接触していた場合に、前記エタノール水溶液に膨潤または溶解しない
    請求項1~6のいずれか一項に記載の撥液膜。
  8. 前記メタクリレート共重合体は、酢酸エチルと1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンとを、酢酸エチルに対する1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの重量比が7対3となるように混合した溶媒に、5質量%以上の濃度で溶解または分散可能である
    請求項1~7のいずれか一項に記載の撥液膜。
  9. 前記撥液膜の表面の算術平均高さSaが、0.6μm以上である
    請求項1~8のいずれか一項に記載の撥液膜。
JP2021146355A 2021-09-08 2021-09-08 撥液膜 Active JP7779048B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021146355A JP7779048B2 (ja) 2021-09-08 2021-09-08 撥液膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021146355A JP7779048B2 (ja) 2021-09-08 2021-09-08 撥液膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023039269A true JP2023039269A (ja) 2023-03-20
JP7779048B2 JP7779048B2 (ja) 2025-12-03

Family

ID=85600619

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021146355A Active JP7779048B2 (ja) 2021-09-08 2021-09-08 撥液膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7779048B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995018194A1 (en) * 1993-12-29 1995-07-06 Daikin Industries, Ltd. Fluorinated oil/water emulsion and surface treatment composition
JP2006143866A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Kansai Paint Co Ltd 撥水剤、その撥水剤を用いた撥水性被膜形成方法及びその撥水性被膜形成物
JP2011088850A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Miyoshi Kasei Inc 表面処理粉体及びこれを配合した化粧料
JP2014080465A (ja) * 2012-10-13 2014-05-08 Nippon Aerosil Co Ltd 撥水・撥油性塗膜及びその塗膜を含む物品
JP2019044121A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 日本アエロジル株式会社 撥水撥油性塗膜形成用複合粒子及びその製造方法並びに該複合粒子を用いた撥水撥油性塗膜の形成方法
CN112500525A (zh) * 2020-12-28 2021-03-16 陕西科技大学 拒水拒油性酐基含氟丙烯酸酯树脂、制备方法及应用
JP2021094828A (ja) * 2019-12-19 2021-06-24 凸版印刷株式会社 撥液性構造体及びその製造方法並びに包装材及び剥離シート

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995018194A1 (en) * 1993-12-29 1995-07-06 Daikin Industries, Ltd. Fluorinated oil/water emulsion and surface treatment composition
JP2006143866A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Kansai Paint Co Ltd 撥水剤、その撥水剤を用いた撥水性被膜形成方法及びその撥水性被膜形成物
JP2011088850A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Miyoshi Kasei Inc 表面処理粉体及びこれを配合した化粧料
JP2014080465A (ja) * 2012-10-13 2014-05-08 Nippon Aerosil Co Ltd 撥水・撥油性塗膜及びその塗膜を含む物品
JP2019044121A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 日本アエロジル株式会社 撥水撥油性塗膜形成用複合粒子及びその製造方法並びに該複合粒子を用いた撥水撥油性塗膜の形成方法
JP2021094828A (ja) * 2019-12-19 2021-06-24 凸版印刷株式会社 撥液性構造体及びその製造方法並びに包装材及び剥離シート
CN112500525A (zh) * 2020-12-28 2021-03-16 陕西科技大学 拒水拒油性酐基含氟丙烯酸酯树脂、制备方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP7779048B2 (ja) 2025-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Martinelli et al. Nanostructured films of amphiphilic fluorinated block copolymers for fouling release application
Latthe et al. Development of sol–gel processed semi-transparent and self-cleaning superhydrophobic coatings
Pollack et al. Hyperbranched fluoropolymer-polydimethylsiloxane-poly (ethylene glycol) cross-linked terpolymer networks designed for marine and biomedical applications: heterogeneous nontoxic antibiofouling surfaces
Rabnawaz et al. Fluorine‐free anti‐smudge polyurethane coatings
Bhushan et al. Substrate-independent superliquiphobic coatings for water, oil, and surfactant repellency: an overview
JP6522841B1 (ja) 撥液性フィルムまたはシート、およびそれを用いた包装材
Yu et al. Mussel-inspired modification of honeycomb structured films for superhydrophobic surfaces with tunable water adhesion
US20190126301A1 (en) Spray application systems components comprising a repellent surface comprising a siloxane material & methods
CN107531811A (zh) 扁平椭圆状聚合物粒子及其用途
JPWO2013027849A1 (ja) 異形樹脂粒子およびその製造方法並びにその用途
Huang et al. Robust polymer nanofilms with bioengineering and environmental applications via facile and highly efficient covalent layer-by-layer assembly
EP3455268B1 (en) Interpenetrating polymer networks
Dunderdale et al. Polymer brush surfaces showing superhydrophobicity and air-bubble repellency in a variety of organic liquids
Chang et al. Preparation of super‐hydrophobic film with fluorinated‐copolymer
JP7779048B2 (ja) 撥液膜
JP6109958B2 (ja) 粒子整列を用いたコーティング方法およびこれにより製造された粒子コーティング基板
Jia et al. Reversibly superwettable polyester fabric based on pH-responsive branched polymer nanoparticles
WO2010096024A1 (en) Amphiphilic block copolymer for antifouling coating
EP3741558B1 (en) Packaging material for surfactant-containing product
JP2023092118A (ja) 撥液膜
KR20220116020A (ko) 발액성 구조체 및 그 제조 방법 그리고 포장재 및 박리 시트
Zhu et al. Amphiphilic copolymer grafted “smart surface” enhanced by surface roughness
KR20240056458A (ko) 발액막의 제조 방법, 발액막 및 포장재
Shen et al. Blends of polystyrene and poly (n-butyl methacrylate) mediated by perfluorocarbon end groups
Chen et al. Fabricating polymer canopies onto structured surfaces using liquid scaffolds

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20250619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20250624

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20250825

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20251021

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20251103

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7779048

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150