[0004]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物のCNS(例えば、脳)への送達のために、哺乳動物の非中枢神経系(CNS)細胞、器官、又は組織に投与するステップを含む、哺乳動物の疾患を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物の眼球細胞、器官、又は組織への送達のために、哺乳動物の非眼球細胞、器官、又は組織に投与するステップを含む、哺乳動物の疾患を治療する方法を提供する。
[0005]哺乳動物には、非CNS細胞、器官、又は組織を感染させるのに有効な方式で、AAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子と、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、治療用タンパク質をコードする核酸を含むベクターとを投与することができる。哺乳動物には、非眼球細胞、器官、又は組織を感染させるのに有効方な式で、AAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子と、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、治療用タンパク質をコードする核酸を含むベクターとを投与することができる。
[0006]特定の実施形態では、非CNS細胞、器官、又は組織、及び非眼球細胞、器官、又は組織として、哺乳動物の内分泌細胞、器官、又は組織が挙げられる。代表的な内分泌細胞、器官、又は組織として、肝臓の細胞、器官、及び組織、並びに膵臓の細胞、器官、及び組織が挙げられる。特定の実施形態では、肝臓の細胞、器官、又は組織は、肝細胞である、又はそれを含む。
[0007]特定の実施形態では、本発明は、防御性ApoEアイソフォームを、非齧歯類哺乳動物の非CNS細胞、器官、又は組織に(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳にではなく)送達又は投与することにより、非齧歯類哺乳動物のCNSに送達する方法を提供する。1つの実施形態では、非CNS細胞が哺乳動物の体循環(脈管構造又は血管)中に防御性ApoEアイソフォームを分泌するように、非齧歯類哺乳動物内の非CNS細胞を感染させるのに有効な方式で、rAAV粒子は、AAVカプシドタンパク質を含み、ベクターは、一対のAAV末端逆位反復配列(ITR)の間に挿入された、防御性ApoEアイソフォームをコードする核酸を含む。循環中の防御性ApoEアイソフォームは、血液脳関門を横断し、CNS(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳、例えば脳実質等)に進入する。
[0008]特定の実施形態では、本発明は、TPP1(トリペプチジルペプチダーゼI)、CLN3(バッテニン(Battenin))、PPT1(パルミトイルタンパク質チオエステラーゼI)、CLN6(神経セロイドリポフスチン症タンパク質6)、又はCLN8を、非齧歯類哺乳動物の非CNS細胞、器官、又は組織に(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳にではなく)送達又は投与することにより、非齧歯類哺乳動物のCNSに送達する方法を提供する。1つの実施形態では、非CNS細胞が哺乳動物の体循環(脈管構造又は血管)中にTPP1、CLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8を分泌するように、非齧歯類哺乳動物内の非CNS細胞を感染させるのに有効な方式で、rAAV粒子は、AAVカプシドタンパク質を含み、ベクターは、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、TPP1、CLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8をコードする核酸を含む。循環中のTPP1、CLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8は、血液脳関門を横断し、CNS(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳、例えば脳実質等)に進入する。
[0009]特定の実施形態では、本発明は、非齧歯類哺乳動物の非眼球細胞、器官、又は組織に送達又は投与することにより、非齧歯類哺乳動物の眼球細胞、組織又は器官に治療用タンパク質を送達する方法を提供する。1つの実施形態では、非眼球細胞、組織又は器官が哺乳動物の体循環(脈管構造又は血管)中に治療用タンパク質を分泌するように、非齧歯類哺乳動物内の非眼球細胞、組織又は器官を感染させるのに有効な方式で、rAAV粒子は、AAVカプシドタンパク質を含み、ベクターは、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、治療用タンパク質をコードする核酸を含む。循環中の治療用タンパク質は血液脳関門を横断し、眼球細胞、組織、又は器官に進入する。
[0010]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物のCNS(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳、例えば脳実質等)への送達のために、哺乳動物の非CNS細胞、器官、又は組織をトランスフェクトする方法を提供する。1つの態様では、方法は、AAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子と、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、防御性ApoEアイソフォームをコードする核酸を含むベクターとを、哺乳動物の内分泌細胞、組織、又は器官に送達又は投与するステップを含み、このステップは、防御性ApoEアイソフォームの発現と、それに続く例えば体循環(脈管構造又は血管)を経由する哺乳動物のCNS(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳、例えば脳実質等)への送達のために、内分泌細胞、組織、又は器官(例えば、肝臓及び/又は膵臓)を感染させるのに有効な方式でなされる。別の態様では、方法は、AAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子と、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、防御性ApoEアイソフォームをコードする核酸を含むベクターとを、哺乳動物の肝臓及び/又は膵臓に送達又は投与するステップを含み、このステップは、防御性ApoEアイソフォームの発現と、それに続く例えば体循環(脈管構造又は血管)を経由する哺乳動物のCNS(例えば、脳脊髄液(CSF)又は脳、例えば脳実質等)への送達のために、内分泌細胞、組織、又は器官(例えば、肝臓及び/又は膵臓)を感染させるのに有効な方式でなされる。
[0011]本明細書で使用する場合、用語「防御性ApoEアイソフォーム」とは、アルツハイマー病の1つ又は複数の症状又は兆候(例えば、物理的、生理学的、生化学的、組織学的、行動学的)を減少させるApoEアイソフォームを意味する。防御性ApoEアイソフォームとは、アルツハイマー病のリスクを少なくとも5%、例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%等又はそれ超低下させることができるApoEアイソフォームも意味する。
[0012]特定の実施形態では、本発明は、リソソーム蓄積症又は障害を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、疾患又は障害は、TPP1(トリペプチジルペプチダーゼI)、CLN3(バッテニン)、PPT1(パルミトイルタンパク質チオエステラーゼI)、CLN6(ニューロンセロイドリポフスチン沈着症タンパク質6)、又はCLN8の発現又は活性における欠乏又は欠陥である。特定の実施形態では、疾患は、神経変性疾患、例えばニューロンセロイドリポフスチン沈着症(NCL)等、例えば幼児NCL、遅発性幼児NCL、若年性NCL(バッテン病)、及び成人NCL等である。本発明に基づき治療されるその他のリソソーム蓄積症は、ムコ多糖症(MPS IV及びMPS VII)等のようにその他の組織/器官に影響を及ぼし、並びに本明細書に記載する方法に基づき、AAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子、及び治療用タンパク質をコードする核酸を含むベクターを用いて治療可能である。
[0013]特定の実施形態では、疾患又は障害は、神経変性疾患、例えばニューロンセロイドリポフスチン沈着症(NCL)等、例えば幼児NCL、遅発性幼児NCL、若年性NCL(バッテン病)、及び成人NCL等である(治療用タンパク質の発現と、それに続く例えば体循環(脈管構造又は血管)を経由する哺乳動物のCNSへの送達のために、肝臓及び/又は膵臓を感染させるのに有効な方式で、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入される)。1つの態様では、方法は、AAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子と、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された、TPP1、CLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8をコードする核酸を含むベクターとを、哺乳動物の肝臓及び/又は膵臓に送達又は投与するステップを含み、このステップは、TPP1、CLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8の発現と、それに続く例えば体循環(脈管構造又は血管)を経由する哺乳動物のCNS(例えば、脳)への送達のために、肝臓及び/又は膵臓を感染させるのに有効な方式でなされる。
[0014]特定の実施形態では、哺乳動物は非齧歯類哺乳動物である。特定の実施形態では、非齧歯類哺乳動物は、霊長類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、又はイヌである。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。特定の実施形態では、霊長類はヒトである。特定の実施形態では、ヒトは、新生児、幼児、子供、ティーンエイジャー、又は若年成人である。
[0015]特定の実施形態では、哺乳動物(例えば、ヒト)は、遺伝子置換又は抑制療法により治療可能なCNSの欠陥又は障害を有する。
[0016]特定の実施形態では、コードされる防御性ApoEアイソフォームは、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のApoEε2に対して少なくとも約70%又はそれ超の同一性(例えば、70~80%又は80~90%)を有する。特定の実施形態では、コードされる防御性ApoEアイソフォームは、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のApoEε2に対して90~100%の同一性を有する。
[0017]特定の実施形態では、コードされるTPP1は、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のTPP1に対して少なくとも約70%又はそれ超の同一性(例えば、70~80%又は80~90%)を有する。特定の実施形態では、コードされるTPP1は、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のTPP1に対して90~100%の同一性を有する。
[0018]特定の実施形態では、コードされるCLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8は、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のCLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8に対して少なくとも約70%又はそれ超の同一性(例えば、70~80%又は80~90%)を有する。特定の実施形態では、コードされるCLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8は、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のCLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8に対して90~100%の同一性を有する。
[0019]特定の実施形態では、コードされるガラクトサミン-6-スルファターゼは、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のガラクトサミン-6-スルファターゼに対して少なくとも約70%又はそれ超の同一性(例えば、70~80%又は80~90%)を有する。特定の実施形態では、コードされるガラクトサミン-6-スルファターゼは、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のガラクトサミン-6-スルファターゼに対して90~100%の同一性を有する。
[0020]特定の実施形態では、コードされるβ-グルクロニダーゼは、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のβ-グルクロニダーゼに対して少なくとも約70%又はそれ超の同一性(例えば、70~80%又は80~90%)を有する。特定の実施形態では、コードされるβ-グルクロニダーゼは、哺乳動物(例えば、霊長類、例えばヒト等)のβ-グルクロニダーゼに対して90~100%の同一性を有する.
[0021]特定の実施形態では、治療用タンパク質をコードするコドン最適化核酸バリアントがベクターで採用される。特定の態様では、そのようなコドン最適化核酸バリアントは、コードされる治療用タンパク質について、その転写及び/又は翻訳の増加を実現する。そのようなコドン最適化核酸バリアントは、治療用タンパク質をコードする非コドン最適化核酸と比較して、特定のコドン最適化核酸バリアントについて、例えば0.5~10倍の発現増加を示し得る。
[0022]特定の実施形態では、治療用タンパク質をコードするシトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)が低減された核酸バリアントがベクターで採用される。そのようなシトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)が低減された核酸バリアントとして、治療用タンパク質をコードする非CpGが低減されたの核酸と比較して、特定のCpGが低減された核酸バリアントについて、例えば0.5~10倍の発現増加を示すバリアントが挙げられる。
[0023]1つの実施形態では、治療用タンパク質をコードする核酸バリアントは、該タンパク質をコードするCpGが低減されていない核酸と比較して、シトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)含有量が低減されている。特別な態様では、核酸バリアントが有するシトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)は、治療用タンパク質をコードするCpGが低減されていない核酸よりも少なくとも10個少ない。追加の特別な態様では、核酸バリアントが有するCpGは、20個以下、15個以下、10個以下、又は5個以下である。より特別な態様では、核酸バリアントが有するCpGは、最大で4個、3個、2個、又は1個である。更なる特別な態様では、治療用タンパク質をコードする核酸バリアントは、シトシン-グアニンジヌクレオチド(CpG)を有さない。
[0024]特定の実施形態では、rAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8のITR及び/又はカプシドに基づく、又はそれらに対して配列同一性を有するITR及び/又はカプシドを含む。特定の実施形態では、rAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8のITR及び/又はカプシドに対して100%未満の配列同一性を有するバリアントを含む。バリアントは、アミノ酸の挿入、付加、置換、及び欠損を含む。特別な態様では、バリアントは、国際公開第2013/158879号(国際出願PCT/US2013/037170号)、国際公開第2015/013313号(国際出願PCT/US2014/047670号)、及び米国特許出願公開第2013/0059732号(LK01、LK02、LK03等について開示する米国特許出願第13/594,773号)に記載されている。
[0025]特定の実施形態では、rAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8に対して少なくとも70~80%、80~90%、又は90~99%同一の1つ若しくは複数のITR及び/又はカプシド(VP1、VP2、及び/又はVP3)を含む。特定の実施形態では、rAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8のITR及び/又はカプシドのいずれかに対して、75%若しくはそれ超の配列同一性(例えば、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%等)を有するITR(複数可)及び/又はカプシド(複数可)(VP1、VP2、及び/又はVP3)を含む。特別な態様では。
[0026]特定の実施形態では、rAAVベクターは、AAV2カプシド(VP1、VP2、及び/又はVP3)、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8に対して100%の同一性を有する1つ若しくは複数のITR及び/又はカプシド(VP1、VP2、及び/又はVP3)を含む。
[0027]特定の実施形態では、rAAVベクターは、ITR血清型とは異なるAAVカプシド血清型を含むAAV血清型又はAAV偽型を含む。ITRとカプシドの血清型が異なる場合、AAVカプシド血清型がITR血清型とは異なる偽型rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8のITR及び/又はカプシドのいずれかに対して、75%若しくはそれ超の配列同一性(例えば、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%等)を有するITR(複数可)及び/又はカプシド(複数可)(VP1、VP2、及び/又はVP3)から構成され得る。
[0028]特別な態様では、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8のいずれかに対して100%の同一性を有するVP1、VP2、及び/又はVP3カプシド配列、並びに異なる血清型に由来する1つ又は複数のITR、例えば、AAV1カプシドを有するAAV2ITR(AAV2/1)、AAV1カプシドを有するAAV6ITR(AAV6/1)、LK01カプシドを有するAAV2ITR(AAV2/LK03)、AAV4-1カプシドを有するAAV2ITR(AAV2/4-1)、LK01カプシドを有するAAV6ITR(AAV6/LK03)、又はAAV4-1カプシドを有するAAV6ITR(AAV6/4-1)を含む。
[0029]rAAVベクターは、シス又はトランスで作用する追加のコンポーネント又はエレメントを含み得る。特別な実施形態では、rAAVベクター等のベクターは、イントロン、発現制御エレメント、1つ若しくは複数のITR(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、LK01、LK02、LK03、AAV4-1、及び/又はAAV-2i8血清型のいずれか又はその組合せ)、フィラーポリヌクレオチド配列、及び/又はポリAシグナルを更に含む。特別な態様では、イントロンが治療用タンパク質をコードする核酸内にあり若しくはそれに隣接しており、及び/又は発現制御エレメントが治療用タンパク質をコードする核酸と作動可能に連結しており、及び/又はAAV ITR(複数可)が治療用タンパク質をコードする核酸の5’若しくは3’末端に隣接しており、及び/又はフィラーポリヌクレオチド配列が治療用タンパク質をコードする核酸の5’若しくは3’末端に隣接している。
[0030]特別な実施形態では、発現制御エレメントは、構成的若しくは調節可能な制御エレメント、又は組織特異的発現制御エレメント若しくはプロモーターを含む。特別な態様では、発現制御エレメントはエンハンサーを含む。特定の態様では、発現制御エレメント(例えば、プロモーター又はエンハンサー)は、肝臓の細胞、器官、若しくは組織、又は膵臓の細胞、器官、若しくは組織において発現を引き起こす。特別な態様では、発現制御エレメント(例えば、プロモーター又はエンハンサー)は、肝臓内で発現を引き起こすエレメントを含む(例えば、TTRプロモーター又は突然変異体TTRプロモーター)。
[0031]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物内の非CNS細胞、器官、又は組織にトランスフェクトしてCNSにおいて治療結果を生み出すのに使用される、一対のAAV ITRの間に挿入された、防御性ApoEアイソフォームをコードする核酸を含むベクターを含有するrAAV粒子を提供する。1つの態様では、使用は哺乳動物におけるアルツハイマー病の治療を目的とする。
[0032]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物内の非CNS細胞、器官、又は組織にトランスフェクトしてCNSにおいて治療結果を生み出すのに使用される、一対のAAV ITRの間に挿入された、TPP1をコードする核酸を含むベクターを含有するrAAV粒子を提供する。1つの態様では、使用は哺乳動物におけるニューロンセロイドリポフスチン沈着症の治療を目的とする。
[0033]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物内の非CNS細胞、器官、又は組織にトランスフェクトしてCNSにおいて治療結果を生み出すのに使用される、一対のAAV ITRの間に挿入された、CLN3、PPT1、CLN6、又はCLN8をコードする核酸を含むベクターを含有するrAAV粒子を提供する。1つの態様では、使用は哺乳動物におけるバッテン病の治療を目的とする。
[0034]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物内の非眼球細胞、器官、又は組織にトランスフェクトして眼球細胞、組織又は器官において治療結果を生み出すのに使用される、一対のAAV ITRの間に挿入された、ガラクトサミン-6-スルファターゼをコードする核酸を含むベクターを含有するrAAV粒子を提供する。1つの態様では、使用はMPS IVの治療を目的とする。
[0035]特定の実施形態では、本発明は、哺乳動物内の非眼球細胞、器官、又は組織にトランスフェクトして眼球細胞、組織、又は器官において治療結果を生み出すのに使用される、一対のAAV ITRの間に挿入された、β-グルクロニダーゼをコードする核酸を含むベクターを含有するrAAV粒子を提供する。1つの態様では、使用は、MPS VIIの治療を目的とする。
[0036]特定の実施形態では、rAAVベクターは、哺乳動物1キログラム当たり、ベクターゲノム約1×108~1×1010個、1×1010~1×1011個、1×1011~1×1012個、1×1012~1×1013個、又は1×1013~1×1014個(vg/kg)の範囲の用量で提供、投与、送達、又は使用される。特定の態様では、rAAVベクターは、1キログラム当たりベクターゲノム1×1012個(vg/kg)未満の用量で投与又は使用される。特定の態様では、rAAVベクターは、哺乳動物1キログラム当たりベクターゲノム約5×1011個(vg/kg)の用量で投与又は使用される。
[0037]より特別な態様では、提供、投与、送達、又は使用されるrAAVベクターの量は、所望の治療効果を実現するのに、哺乳動物の体重1キログラム当たり、少なくともベクターゲノム(vg)1×1010個(vg/kg)であるか、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1010~1×1011個の間であるか、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1011~1×1012個の間(例えば、約1×1011~2×1011vg/kg、又は約2×1011~3×1011vg/kg、又は約3×1011~4×1011vg/kg、又は約4×1011~5×1011vg/kg、又は約5×1011~6×1011vg/kg、又は約6×1011~7×1011vg/kg、又は約7×1011~8×1011vg/kg、又は約8×1011~9×1011vg/kg、又は約9×1011~1×1012vg/kg)であるか、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1012~1×1013個の間である。追加の特別な量は、所望の治療効果を実現するのに、哺乳動物の体重1キログラム当たり、ベクターゲノム(vg)約5×1010~1×1010個(vg/kg)の範囲であってもよく、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1010~5×1011個の範囲であってもよく、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約5×1011~1×1012個の範囲であってもよく、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1012~5×1013個の範囲であってもよい。
[0038]特定の実施形態では、発明の方法及び/又は使用は、本明細書に記載するように、哺乳動物内で治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対する実質的な免疫応答を誘発又は生成しない。特定の態様では、哺乳動物は、治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対して実質的な体液性免疫応答を生成しない。特定の態様では、治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対する実質的な免疫応答(例えば、体液性)は、少なくとも連続して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日、週、又は月にわたり生成されない。
[0039]治療の文脈における実質的な免疫応答とは、有効性を有意に低下させる応答と考えられる。従って、CNS障害又は疾患の場合、CNS障害又は疾患を治療した際に検出可能な有効性が認められない場合には、実質的な免疫応答となる。従って、実質的な免疫応答とは、治療の文脈におおいて、最低限度である免疫応答、又は有効性の喪失若しくは有意な低下を引き起こさない免疫応答を意味しない。
[0040]特定の実施形態では、哺乳動物は、治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対して検出可能な免疫応答を起こさない。特定の実施形態では、哺乳動物は、治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対して検出可能な体液性免疫応答を起こさない。
[0041]特定の実施形態では、哺乳動物は、治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対して、治療用タンパク質の治療効果を遮断するのに十分な免疫応答(例えば、体液性の)を発現しない。特定の態様では、哺乳動物は、少なくとも連続して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日、週、又は月にわたり、治療効果を遮断するのに十分な、治療用タンパク質及び/又はrAAV粒子に対する免疫応答(例えば、体液性の)を生成しない。
[0042]特定の実施形態では、空のカプシドが、rAAVベクター、方法、及び使用に含まれ得る。所望の場合には、空のAAVカプシドが、rAAVベクター調製物に添加可能である、又は本明細書の方法及び使用に基づき、対象に個別に投与可能である。
[0043]特定の実施形態では、空のAAVカプシドが、rAAVベクターと共に製剤化され、及び/又は哺乳動物に投与される。特別な態様では、空のAAVカプシドが、ベクターの量と等しい又はそれ未満の量(例えば、空のAAVカプシドに対して約1.0~100倍のrAAVベクター、又は空のAAVカプシドに対するrAAVベクターの比が約1:1)で製剤化される。その他の特別な態様では、rAAVベクターは、過剰の空のAAVカプシド(例えば、rAAVベクターに対して1倍を上回る空のAAVカプシド、例えば、rAAVベクターに対して1.0~100倍の空のAAVカプシド)と共に製剤化される。任意選択で、AAV NAb力価が低~陰性の哺乳動物は、より少量の空のカプシド(rAAVベクターに対して1~10倍の空のAAVカプシド、rAAVベクターに対して2~6倍の空のAAVカプシド、又はrAAVベクターに対して約4~5倍の空のAAVカプシド)の投与を受けることができる。
[0044]特定の実施形態では、rAAVベクター、方法、及び使用は、rAAVベクター(すなわち、治療用タンパク質をコードする核酸を含有するベクター)の用量又は量を上回る過剰の空のカプシドを組成物中に含む。rAAVベクターに対する空のカプシドの比は、1に対して、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、又はいくつかのその他の比であり得る。
[0045]いくつかの実施形態では、空のカプシドは、rAAVベクター中に存在するVP1、VP2、及びVP3カプシドタンパク質と同一のタンパク質を含む。その他の実施形態では、空のカプシドは、rAAVベクターに見出されるアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するVP1、VP2、及びVP3タンパク質を含む。任意選択で、空のカプシドのカプシドタンパク質とrAAVベクターのカプシドが配列において同一でない場合には、それらは同一血清型のタンパク質である。
[0046]特定の実施形態では、空のカプシドがrAAVベクター、方法、及び使用に含まれ、その場合、rAAVベクターは特定の用量又は量である。いくつかの実施形態では、rAAVベクターの用量は、哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1010~1×1011個、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1011~1×1012個(例えば、約1×1011~2×1011vg/kg、又は約2×1011~3×1011vg/kg、又は約3×1011~4×1011vg/kg、又は約4×1011~5×1011vg/kg、又は約5×1011~6×1011vg/kg、又は約6×1011~7×1011vg/kg、又は約7×1011~8×1011vg/kg、又は約8×1011~9×1011vg/kg、又は約9×1011~1×1012vg/kg)の間、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1012~1×1013個の間、及び空のカプシドである。
[0047]いくつかの実施形態では、所定の用量又は量のrAAVベクター、又は所定の用量又は量のrAAVベクターを利用する方法又は使用は、任意選択で過剰の空のカプシドを有する。いくつかの実施形態では、rAAVベクターの用量は、哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1010~1×1011個、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1011~1×1012個の間(例えば、約1×1011~2×1011vg/kg、又は約2×1011~3×1011vg/kg、又は約3×1011~4×1011vg/kg、又は約4×1011~5×1011vg/kg、又は約5×1011~6×1011vg/kg、又は約6×1011~7×1011vg/kg、又は約7×1011~8×1011vg/kg、又は約8×1011~9×1011vg/kg、又は約9×1011~1×1012vg/kg)、又は哺乳動物の体重1kg当たり、vg約1×1012~1×1013個の間、及び過剰の空のカプシドである。rAAVベクターの各用量又は量に対する過剰のカプシドは、rAAVベクターに対する空のAAVカプシドとして約1.5~100倍であり得る。所望の場合には、rAAVベクターに対する空のカプシドの比は、1に対して、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10であり得る。
[0048]特定の実施形態では、投与又は送達は、対象の体循環への輸注又は注射による。特定の実施形態では、投与又は送達は、対象の体循環への静脈内又は動脈内への輸注又は注射による。特定の実施形態では、投与又は送達は、対象の肝門脈への輸注又は注射による。特定の実施形態では、投与又は送達は、対象の体循環への輸注又は注射を実現する、或いは対象の体循環への静脈内又は動脈内輸注又は注射を実現する、或いは対象の肝門脈への輸注又は注射を実現するインプラント又はポンプによる。
[0049]本発明は、非中枢神経系(CNS)、又は非眼球細胞、組織、若しくは器官に投与したときに、発現用途で非中枢神経系(CNS)、又は非眼球標的細胞、組織、若しくは器官に感染することができ、その後、哺乳動物のCNS、又は眼球細胞、組織、若しくは器官に対して、異種核酸によりコードされるタンパク質の送達を実現することができるrAAVベクターの開発に少なくとも一部基づく。非中枢神経系(CNS)、又は非眼球細胞、組織、若しくは器官により、コードされたタンパク質が発現すると、コードされたタンパク質が体循環に分泌され、次にコードされたタンパク質が哺乳動物のCNS、及び/又は眼球細胞、組織、若しくは器官に送達される。従って、本発明は、哺乳動物のCNS、及び/又は眼球細胞、組織、若しくは器官に対して直接投与せずに、すなわち、哺乳動物のCNS、又は眼球細胞、組織、若しくは器官以外の細胞、組織又は器官への直接投与により、タンパク質を哺乳動物のCNS、及び/又は眼球細胞、組織、若しくは器官に送達する方法を提供する。そのような標的細胞、組織、及び器官として、内分泌細胞、組織、及び器官が挙げられる。特定の非限定的な例として、肝臓(例えば、肝細胞)が挙げられる。
[0050]アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス科(parvoviridae)ファミリーの小型の非病原性ウイルスである。AAVは、複製においてヘルパーウイルス依存性であることから、このファミリーの他のメンバーとは区別される。ヘルパーウイルスが存在しない場合には、AAVは、遺伝子座特異的な様式で第19番染色体の長腕(q)に一体化し得る。AAVの約5kbゲノムは、極性がプラス又はマイナスである一本鎖DNAの1つのセグメントから構成される。ゲノムの末端部は、ヘアピン構造に畳み込まれ、またウイルスDNA複製の起点として機能し得る短い末端逆位反復配列である。物理的には、パルボウイルスビリオンは、無エンベロープであり、またその正二十面体カプシドは、直径約20~30nmである。
[0051]当業者が理解するように、AAVビリオンは、VP1タンパク質と呼ばれる3つの関連タンパク質、及びVP2と呼ばれる2つのより短いタンパク質、及び実質的にVP1のアミノ末端切断型であるVP3から構成される。当業者にとって公知のカプシド及びその他の因子に応じて、3つのカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3はそれぞれ、およそ1:1:10の比でカプシド内に一般的に存在するが、但しこの比、特にVP3の比は顕著に変化する可能性があり、いかなる観点においても限定的と考えるべきではない。
[0052]AAVゲノムの末端部は、ウイルスDNA複製の起点として機能するT字形のヘアピン構造に畳み込まれる可能性のある短い末端逆位反復配列(ITR)を有する。ITR領域内において、ITRの機能にとって中心的な2つのエレメント、GAGCリピートモチーフ及び末端解離部位(trs)が記載されている。リピートモチーフは、ITRが直線状又はヘアピンのコンホメーションを採るとき、Repと結合することが明らかにされている。この結合は、部位及びストランドに特異的な様式で生ずるtrsにおける切断のためにRep68/78を配置するように働く。複製におけるそれらの役割に付加して、これら2つのエレメントは、ウイルスの組込みにおいて中心的と思われる。第19番染色体組込み遺伝子座に含まれるものとして、隣接したtrsを含むRep結合部位が挙げられる。このようなエレメントは、遺伝子座特異的な組込みに対して機能的であることが明らかにされている。
[0053]AAVは、細胞を貫通し、核酸/遺伝物質が細胞中で安定的に維持され得るように核酸/遺伝物質を導入することができるので、遺伝子療法ベクターとして有用である。更に、このようなウイルスは、核酸/遺伝物質を特異的部位、例えば第19番染色体上の特異的な部位等に導入することができる。AAVは、ヒトにおける病原性の疾患とは無関係なので、AAVベクターは、実質的なAAV病因又は疾患を引き起こすことなく異種ポリヌクレオチド配列(例えば、治療用タンパク質及び薬剤)をヒト患者に送達することができる。
[0054]従って、rAAVベクターは、血清型及びバリアントを含め、ex vivo、in vitro、及びin vivoで細胞内に核酸配列を送達するための手段を提供するが、同核酸配列はタンパク質をコードすることができ、コードされたタンパク質は細胞によって発現するようになる。例えば、組換えAAVベクターは、所望のタンパク質又はペプチド(例えば、防御性apoEアイソフォーム)をコードする異種の核酸を含み得る。対象(例えば、哺乳動物)へのベクターの送達又は投与は、従ってコードされたタンパク質を対象に提供する。
[0055]本明細書で使用する場合、AAVベクターの修飾語、並びに配列物の修飾語、例えば組換え核酸及びポリペプチド等としての用語「組換え」とは、組成物(例えば、AAV又は配列)が自然において一般的に生じない方法で操作された(すなわち、工学的に作出された)ことを意味する。組換えAAVベクターの具体的な例として、野生型ウイルス(例えば、AAV)中に通常は存在しない(「異種」)核酸ゲノムがウイルスゲノム内に挿入される場合が挙げられる。「組換え」AAVベクターは、ウイルスゲノムの全部又は一部が、AAVゲノム核酸に関して非天然の配列、例えば異種核酸配列等と置き換わっているので、AAVゲノムから区別される。用語「組換え」は、必ずしもAAVベクター、並びに核酸及びポリペプチド等の配列と関連して本明細書で使用されるわけではないが、AAV、及び核酸及びポリペプチドを含む配列の組換え形態は、何らかのそのような省略があっても、それによらず明確に含まれる。
[0056]一般的に、AAVの場合、一方又は両方のAAVゲノム末端逆位反復(ITR)配列が、AAVベクター内に保持される。非天然の配列(例えば、防御性apoEアイソフォーム)の組込みにより、従ってAAVベクターは「組換え」AAV(rAAV)ベクターとして定義される。
[0057]組換えAAVベクターはパッケージングされ得る-とは本明細書では、後続するex vivo、in vitro、又はin vivoでの細胞の感染(形質導入)を行うための「粒子」を意味する。組換えAAVベクター配列が、AAV粒子中にカプシド化又はパッケージングされる場合、本明細書では、該粒子もまた「rAAV」と呼び得る。そのような粒子は、ベクターゲノムをカプシド化又はパッケージングするタンパク質、AAVの場合、カプシドタンパク質を含む。
[0058]「AAVウイルス粒子」又は「AAV粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質(一般的に、AAVのすべてのカプシドタンパク質)、及びベクターゲノムと呼ばれるカプシド化核酸から構成されるウイルス粒子を意味する。粒子が異種核酸を含む場合には、それは「rAAV」と一般的に呼ばれる。
[0059]AAVベクター「ゲノム」とは、最終的にパッケージング又はカプシド化されてAAV粒子を形成する組換えプラスミド配列の部分を意味する。組換えプラスミドが、組換えAAVベクターを構築又は製造するのに使用される場合には、AAVベクターゲノムは、組換えプラスミドのベクターゲノム配列に対応しない「プラスミド」の部分を含まない。組換えプラスミドのこの非ベクターゲノム部分は「プラスミド骨格」と呼ばれ、増殖及び組換えAAV製造に必要とされるプロセスであるプラスミドのクローニング及び増幅にとって重要であるが、それそのものはrAAV粒子中にパッケージング又はカプシド化されない。
[0060]特別な実施形態では、rAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、及びAAV-2i8、並びにそのバリアント(例えば、カプシドバリアント、例えばアミノ酸の挿入、付加、及び置換等)に由来するカプシドを含む。rAAVベクターの血清型及びバリアントは、カプシドバリアント(例えば、LK03、4-1等)を含む。
[0061]rAAVの血清型及びrAAVバリアント(例えば、カプシドバリアント、例えばLK03、4-1等)は、その他のAAV血清型と異なる場合もあれば、また異ならない場合もある(例えば、VP1、VP2、及び/又はVP3配列とは異なる)。本明細書で使用する場合、用語「血清型」は、その他のAAV血清型と血清学的に異なるカプシドを有するAAVを指すのに使用される特質である。血清学的相違性は、抗体と1つのあるAAVの間の交差反応性が別のAAVと比較して欠いていることから決定される。そのような交差反応性の相違は、カプシドタンパク質配列/抗原決定基における相違に通常起因する(例えば、AAV血清型のVP1、VP2、及び/又はVP3配列の相違に起因する)。カプシドバリアントを含むAAVバリアントが参照AAV又はその他のAAVの血清型とは血清学的に異ならない可能性があるとしても、AAVバリアントは、参照AAV又はその他のAAVの血清型と比較して、少なくとも1つのヌクレオチド又はアミノ酸残基において異なる。
[0062]従来の定義によれば、血清型とは、特徴づけが行われた既存の血清型すべてに対して特異的な血清と対比して、目的とするウイルスを中和活性について試験したが、目的とするウイルスを中和する抗体がまだ見出されていないことを意味する。より多くの天然ウイルス単離物が発見され及び/又はカプシド突然変異体が生成されるに従い、現在存在する血清型のいずれとも血清学的に相違する場合もあれば、また相違しない場合もある。従って、新しいウイルス(例えば、AAV)が血清学的相違を有さない場合には、この新しいウイルス(例えば、AAV)は、サブグループ、又は対応する血清型のバリアントである。多くの場合、中和活性に関する血清学的試験が、カプシド配列が変化した突然変異体ウイルスについて、それが血清型の従来の定義に基づき、別の血清型のウイルスか確認するためになおも実施されている。従って、便宜上、及び繰り返しを避けるために、用語「血清型」とは、血清学的に異なるウイルス(例えば、AAV)、並びに所定の血清型においてそのサブグループ又はバリアントに含まれ得る血清学的に異ならないウイルス(例えば、AAV)の両方を幅広く意味する。
[0063]組換えAAVベクター(例えば、rAAV)、並びに方法及びその使用には、任意のウイルス株又は血清型が含まれる。非限定的な例として、組換えAAVベクターゲノムは、任意のAAVゲノム、例えば、AAV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-rh74、-rh10、又はAAV-2i8等に基づく可能性がある。そのようなベクターは、同一の系統若しくは血清型(又はサブグループ若しくはバリアント)に基づく可能性がある、又は相互に異なる可能性がある。非限定的な例として、1つの血清型ゲノムに基づく組換えAAVベクターゲノムは、ベクターをパッケージングするカプシドタンパク質のうちの1つ又は複数と同一であり得る。更に、組換えAAVベクターゲノムは、ベクターをパッケージングするカプシドタンパク質のうちの1つ又は複数とは異なるAAV(例えば、AAV2)血清型ゲノムに基づく可能性があり、その場合、3つのカプシドタンパク質のうちの少なくとも1つは、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、若しくはAAV-2i8、又はバリアント(例えば、カプシドバリアント、例えば、LK03、4-1等)であり得る。
[0064]AAVベクターは、従って特定の血清型に特徴的な遺伝子/タンパク質配列と同一の遺伝子/タンパク質配列を含む。本明細書で使用する場合、「AAV1と関連するAAVベクター」とは、AAV1を含む1つ又は複数のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列に対して実質的な配列同一性を有する1つ又は複数のAAVタンパク質(例えば、VP1、VP2、及び/又はVP3配列)を意味する。同様に、「AAV8と関連するAAVベクター」とは、AAV8を含む1つ又は複数のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列に対して実質的な配列同一性を有する1つ又は複数のAAVタンパク質(例えば、VP1、VP2、及び/又はVP3配列)を意味する。「AAV-Rh74と関連するAAVベクター」とは、AAV-Rh74を含む1つ又は複数のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列に対して実質的な配列同一性を有する1つ又は複数のAAVタンパク質(例えば、VP1、VP2、及び/又はVP3配列)を意味する(例えば、VP1、VP2、VP3を参照)。別の血清型と関連するそのようなAAVベクター、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、又はAAV-2i8は、従ってAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、及びAAV-2i8に由来する1つ又は複数の異なる配列を有する可能性があるが、しかしAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、又はAAV-2i8のうちの1つ又は複数の遺伝子及び/又はタンパク質に対して実質的な配列同一性を示す可能性、及び/又はそれらのうちの1つ又は複数の機能的な特徴(例えば、細胞/組織の屈動性等)を有する可能性がある。代表的で非限定的なAAV-Rh74及び関連するAAVバリアントとして、実施例6のカプシドバリアント4-1が挙げられる。
[0065]様々な代表的な実施形態では、参照血清型と関連するAAVベクターは、1つ又は複数のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、又はAAV-2i8に対して少なくとも70%又はそれ超(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等)同一である配列を含む、又はそれから構成されるポリヌクレオチド、ポリペプチド、又はその部分配列を有する。従って、本発明の方法及び使用は、参照AAV血清型、例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、又はAAV-2i8等、例えば、AAV-Rh74遺伝子又はタンパク質配列(例えば、実施例6に記載するVP1、VP2、及び/又はVP3配列)に対して100%又は100%未満の配列同一性を示すAAV配列(ポリペプチド及びヌクレオチド)及びその部分配列を含むが、公知のAAV遺伝子又はタンパク質、例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、又はAAV-2i8等の遺伝子又はタンパク質等とは異なり、同一ではない可能性がある。
[0066]1つの実施形態では、AAVポリペプチド又はその部分配列は、参照AAV配列又はその部分配列、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、Rh10、Rh74、又はAAV-2i8等(例えば、実施例6に記載するVP1、VP2、及び/又はVP3配列)のいずれかに対して少なくとも70%又はそれ超、例えば、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等同一である、すなわち最大100%同一である配列を含む、又はそれから構成される。特別な態様では、AAVバリアントは、カプシドバリアント4-1又は実施例6に記載するLK03 VP1、VP2、及び/又はVP3を含む。1つ又は複数の機能的なAAV ITR配列に隣接する1つ又は複数の異種核酸配列(導入遺伝子)を含めるために、組換えAAVベクター、バリアント、ハイブリッド、及びキメラの配列が、当業者にとって公知である組換え技術を使用して構築可能である。そのようなrAAVベクターは、例えば、rep及び/又はcap遺伝子の全部又は一部が欠損している野生型AAV遺伝子のうちの1つ又は複数を有し得るが、組換えベクターの救済、複製、及びそのAAVベクター粒子中へのパッケージングにとって必要であれば、少なくとも1つの機能的な隣接するITR配列を保持し得る。AAVベクターゲノムは、従って複製及びパッケージングのためにシスで必要とされる配列を含む(例えば、機能的なITR配列)。
[0067]「AAV ITR」又は「AAV ITRs」とは、DNA複製の起点として、及びウイルスに対するパッケージングシグナルとしてシスで共に機能する、AAVゲノムの各末端に見出される当該技術分野において認められている領域を意味する。AAV ITRは、AAV repコード領域と共に、2つの隣接するITRの間に挿入されたヌクレオチド配列からの効率的な切り出し及び救済、並びにその哺乳動物細胞ゲノムへの組込みを実現する。
[0068]AAV ITRのヌクレオチド配列は公知である。「AAV ITR」は、示される野生型ヌクレオチド配列を有する必要はなく、例えば、ヌクレオチドの挿入、欠損、又は置換により変化してもよい。更に、AAV ITRは、いくつかのAAV血清型のいずれかに由来し得る。更に、AAVベクター内の異種核酸配列に隣接する5’及び3’ITRは、それらが意図した通りに機能する限り、すなわち、宿主細胞ゲノム又はベクターに由来の目的とする配列の切り出し及び救済を可能にし、並びにレシピエント細胞ゲノムへの異種配列の組込みを可能にする限り、同一である必要、又は同一のAAV血清型若しくは単離物に由来する必要は必ずしもない。
[0069]用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書では交換可能に使用され、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む核酸、オリゴヌクレオチドのすべての形態を指す。ポリヌクレオチドには、ゲノムDNA、cDNA及びアンチセンスDNA、及びスプライシングされた又はスプライシングされていないmRNA、rRNA、tRNA、及び阻害性のDNA又はRNA(RNAi、例えば、小さい又は短いヘアピン(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、小さい又は短い妨害性の(si)RNA、トランス-スプライシングRNA、又はアンチセンスRNA)が含まれる。核酸には、天然、合成、及び意図的に改変された又は変更されポリヌクレオチド(例えば、CpGジヌクレオチドが低減されている)が含まれる。核酸は、単鎖、二本鎖、又は三本鎖、直線状、又は環状であり得る。核酸について考察する際には、特定の核酸の配列又は構造は、5’から3’の方向で配列を提示する規則に基づき本明細書に記載され得る。
[0070]本明細書に記載するrAAVベクターは、プロモーターと機能的に連結した外因性(異種)核酸を含む。「異種」核酸とは、ベクターの媒介により核酸を細胞、組織、又は器官に移送/送達することを目的として、AAVベクターに挿入された核酸を意味する。異種核酸は、AAV核酸とは異なる、すなわち、AAV核酸に関して非天然である。例えば、特定の実施形態では、異種核酸は、防御性ApoEアイソフォームをコードする。
[0071]用語「異種」は、本明細書では必ずしも核酸と関連して使用されるわけではないが、修飾語「異種」が存在しない核酸の引用であっても、そのような省略にもかかわらず、それには異種核酸が含まれるように意図されている。細胞内に移送され/送達されたら、rAAVベクターに含まれる異種核酸は発現可能である(例えば、適宜転写及び翻訳される)。
[0072]用語「導入遺伝子」は、本明細書では、細胞若しくは生物中に導入されるように意図された、又は細胞若しくは生物中に既に導入されている異種核酸を好都合に引用するために使用される。導入遺伝子として、任意の核酸、例えばポリペプチド又はタンパク質(例えば、防御性apoEアイソフォーム)をコードする遺伝子等が挙げられる。
[0073]導入遺伝子を有する細胞では、導入遺伝子は、rAAVベクターの「感染」、又は細胞の「形質導入」により導入/移送されている。用語「感染させる」及び「形質導入する」とは、例えばAAVベクターにより、細胞又は宿主生物中に、核酸等の分子を導入することを指す。「感染した」又は「形質導入された」細胞(例えば、哺乳動物内の、例えば、細胞、又は組織若しくは器官の細胞等)とは、核酸(例えば、導入遺伝子)を細胞中に組み込んだ後の細胞内の遺伝的変化を意味する。従って、「感染した」又は「形質導入された」細胞とは、例えば、外因性の分子が導入された細胞又はその複製産物である。細胞(複数可)は増殖可能であり、また導入された核酸は転写可能、及びタンパク質は発現可能である。遺伝子療法の使用及び方法では、形質導入される細胞は対象中にあり得る。
[0074]形質導入され得る細胞として、非CNS細胞、組織、又は器官が挙げられる。CNS細胞、組織、又は器官として、脳脊髄液(CSF)、脳、頭蓋内空間、及び脊髄が挙げられる。従って、非CNS細胞、組織、又は器官を指す場合、脳脊髄液(CSF)、脳、頭蓋内空間、及び脊髄は除外される。
[0075]形質導入され得る細胞には、非眼球細胞、組織、又は器官も含まれる。眼球細胞、組織、及び器官として、眼及び眼の部分が挙げられる。従って、非眼球細胞、組織、又は器官を指す場合、眼及び眼の部分は除外される。
[0076]非CNS及び非眼球細胞の非限定的な例として、肝臓(例えば、肝細胞、類洞内皮細胞)、及び膵臓(例えば、β小島細胞)が挙げられる。その他の例として、骨格筋細胞(例えば、線維芽細胞)が挙げられる。
[0077]「核酸配列」によりコードされる「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」には、天然タンパク質のような完全長天然配列、並びに部分配列、改変された形態、又はバリアントであっても天然の完全長タンパク質の機能性をある程度保持する限り、機能的な部分配列、改変された形態、又は配列バリアントが含まれる。本発明の方法及び使用では、核酸配列によりコードされるそのようなポリペプチド、タンパク質、及びペプチドは、処置される哺乳動物において欠陥性である内因性タンパク質、又はその発現が不十分である、若しくは不足している内因性タンパク質と同一であり得るが、しかしそうである必要はない。
[0078]「治療用の分子」は、1つの実施形態では、細胞又は対象内のタンパク質の不存在又は欠陥に起因する症状を緩和する又は低下させる可能性があるペプチド又はタンパク質である。或いは、導入遺伝子によりコードされる「治療用」ペプチド又はタンパク質は、例えば、遺伝的欠陥を矯正する、遺伝子(の発現又は機能)の不足を矯正するような利益を対象にもたらすペプチド又はタンパク質である。
[0079]本発明に基づき有用な治療用タンパク質をコードする異種核酸の非限定的な例として、CNSの疾患又は障害を含む、但しこれらに限定されない疾患又は障害の処置で使用され得る異種核酸が挙げられる。具体的な非限定的な例として、防御性ApoEアイソフォーム、例えば、ヒトApoEε2と少なくとも70%同一の配列;TPP1、例えば、ヒトTPP1と少なくとも70%同一の配列;CLN3、例えば、ヒトCLN3と少なくとも70%同一の配列;PPT1、例えば、ヒトPPT1と少なくとも70%同一の配列;CLN6、例えば、ヒトCLN6と少なくとも70%同一の配列;及びCLN8、例えば、ヒトCLN8と少なくとも70%同一の配列が挙げられる。更に具体的な非限定的な例として、ガラクトサミン-6-スルファターゼ、例えば、ヒトガラクトサミン-6-スルファターゼと少なくとも70%同一の配列、及びβ-グルクロニダーゼ、例えば、ヒトβ-グルクロニダーゼと少なくとも70%同一の配列が挙げられる。
[0080]CNSの疾患又は障害の非限定的な例として、アルツハイマー病、リソソーム蓄積症、ニューロンセロイドリポフスチン沈着症(NCL)、例えば幼児NCL、遅発性幼児NCL、若年性NCL(バッテン病)、成人NCL等、又はムコ多糖症(例えば、MPS IV、又はMPS VII)が挙げられる。
[0081]本明細書に記載するrAAVベクターは、発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー)、イントロン、ITR(複数可)、ポリ-アデニン(ポリアデニル化とも呼ばれる)配列等の追加のエレメントを任意選択で更に含む。一般的に、発現制御エレメントは、作動可能に連結した核酸の発現に影響を及ぼす配列(複数可)である。本明細書に記載する発現制御エレメントを含む制御エレメント、例えばベクター内に存在するプロモーター及びエンハンサー等は、適切な異種核酸転写、及び該当する場合には翻訳を促進するために含まれている(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロンに対するスプライシングシグナル、mRNAのインフレーム翻訳を可能にする遺伝子の正確なリーディングフレームの維持、及び終止コドン等)。そのようなエレメントは、一般的にシスで作用し、「シス作用性」エレメントと呼ばれるが、但しトランスで作用する場合もある。
[0082]発現のコントロールは、転写、翻訳、スプライシング、メッセージ安定性等のレベルで影響を受ける可能性がある。一般的に、転写を調節する発現制御エレメントは、転写される核酸の5’末端近傍(すなわち、「上流」)に並置される。発現制御エレメントは、転写される配列の3’末端(すなわち、「下流」)、又は転写物内(例えば、イントロン内)に位置する可能性もある。発現制御エレメントは、転写される配列に隣接して、又はそれからある距離(例えば、ポリヌクレオチドから1~10、10~25、25~50、50~100、100~500個、又はそれ超のヌクレオチド)、かなりの距離さえも置いて位置する可能性がある。それにもかかわらず、特定のベクター、例えばAAVベクター等の長さ制限に起因して、そのような発現制御エレメントは、転写される核酸からヌクレオチド1~1000個以内に一般的に存在する。
[0083]機能的には、エレメント(例えば、プロモーター)が、ポリヌクレオチドの転写、及び必要な場合には転写物の翻訳を調節するように、作動可能に連結した異種核酸の発現がエレメントにより少なくとも部分的に制御可能である。発現制御エレメントの具体例として、転写される配列の5’に通常位置するプロモーターが挙げられる。発現制御エレメントの別の例として、転写される配列の5’、3’、又は転写される配列内に位置し得るエンハンサーが挙げられる。
[0084]「プロモーター」は、本明細書で使用する場合、組換え産物をコードするポリヌクレオチド配列に隣接して位置する核酸(例えば、DNA)配列を意味し得る。プロモーターは、隣接する配列、例えば、異種核酸と作動的に連結しているのが一般的である。プロモーターは、プロモーターが存在しないときの発現量と比較して、異種ポリヌクレオチドからの発現量を一般的に増加させる。
[0085]「エンハンサー」とは、本明細書で使用する場合、異種ポリヌクレオチドに隣接して位置する配列を意味し得る。エンハンサーエレメントは、プロモーターエレメントの上流に一般的に位置するが、但し機能も有し、またDNA配列(例えば、異種核酸)の下流又はその中に位置する場合もある。従って、エンハンサーエレメントは、100塩基対、200塩基対、又は300若しくはそれ超の塩基対、異種核酸の上流又は下流に位置する場合がある。エンハンサーエレメントは、プロモーターエレメントによりもたらされる発現増加よりも更に異種核酸の発現を増加させるのが一般的である。
[0086]発現制御エレメント(例えば、プロモーター)として、特定の組織又は細胞型において活性なエレメントが挙げられ、本明細書では、「組織特異的発現制御エレメント/プロモーター」と呼ばれる。組織特異的発現制御エレメントは、特定の細胞又は組織(例えば、肝臓、膵臓、筋肉等)において一般的に活性である。発現制御エレメントは、特定の細胞、組織、又は器官型に固有の転写活性化因子タンパク質、又はその他の転写制御因子により認識されるので、発現制御エレメントは、このような細胞、組織、又は器官において一般的に活性である。
[0087]プロモーターは、任意の所望のプロモーターであり得、公知の検討事項、例えばプロモーターと機能的に連結した核酸の発現レベル、及びベクターが使用される細胞型等により選択され得る。プロモーターは、外因性又は内因性のプロモーターであり得る。
[0088]骨格筋において活性なプロモーターの例として、骨格筋型αアクチン、ミオシン軽鎖2A、ジストロフィン、筋クレアチンキナーゼをコードする遺伝子に由来のプロモーター、並びに天然のプロモーターよりも高い活性を有する合成筋型プロモーターが挙げられる(例えば、Liら、Nat. Biotech. 17:241-245 (1999)を参照)。肝臓に対して組織特異的であるプロモーターの例として、ヒトα1-抗トリプシン(hAAT)プロモーター;アルブミン、Miyatakeら、J. Virol., 71:5124-32 (1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandigら、Gene Ther. 3:1002-9 (1996);αフェトプロテイン(AFP)、Arbuthnotら、Hum. Gene. Ther., 7:1503-14(1996)]、骨(オステオカルシン、Steinら、Mol.Biol. Rep., 24:185-96 (1997);骨シアロタンパク質、Chenら、J. Bone Miner. Res. 11 :654-64 (1996))、リンパ球(CD2,Hansalら、J. Immunol., 161:1063-8 (1998);免疫グロブリン重鎖;T細胞受容体a鎖)、及びTTRプロモーターが挙げられる。肝臓において活性なエンハンサーの例として、アポリポタンパク質E(apoE)HCR-1及びHCR-2が挙げられる(Allanら、J. Biol. Chem., 272:29113-19 (1997))。
[0089]発現制御エレメントには、多くの異なる細胞型においてポリヌクレオチドの発現を駆動する能力を有する遍在性又は混在性プロモーター/エンハンサーも含まれる。そのようなエレメントとして、ウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター/エンハンサー配列、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/エンハンサー配列、及び様々な哺乳動物細胞型において活性なその他のウイルスプロモーター/エンハンサー、又は天然には存在しない合成エレメント(例えば、Boshartら、Cell, 41:521-530 (1985)を参照)、SV40プロモーター、ウシパピローマウイルスプロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、及びホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター等が挙げられるが、但しこれらに限定されない。追加のプロモーターとして、誘導性メタロチオネインプロモーター、AAVプロモーター、例えばAAVp5プロモーター、アクチン遺伝子に由来するプロモーター、免疫グロブリン遺伝子、アデノウイルスプロモーター、例えばアデノウイルスの主要後期プロモーター等、誘導性ヒートショックプロモーター、呼吸系発疹ウイルス等が挙げられる。
[0090]発現制御エレメントもまた、調節可能な方式で発現を引き起こすことができ、すなわち、シグナル又は刺激が、作動可能に連結した異種ポリヌクレオチドの発現を増加又は減少させる。シグナル又は刺激に応答して作動可能に連結したポリヌクレオチドの発現を増加させる調節性のエレメントは、「誘導性エレメント」とも呼ばれる(すなわち、シグナルにより誘発される)。特別な例として、ホルモン(例えば、ステロイド)誘導性プロモーターが挙げられるが、但しこれに限定されない。シグナル又は刺激に応答して、作動可能に連結したポリヌクレオチドの発現を減少させる調節性のエレメントは「抑制性エレメント」と呼ばれる(すなわち、シグナルが除去される又は存在しないときに、発現が増加するように、シグナルは発現を減少させる)。一般的に、そのようなエレメントによりもたらされる増加量又は減少量は、存在するシグナル又は刺激の量に比例する;シグナル又は刺激の量が多いほど、発現の増加又は減少も大きくなる。具体的な非限定的な例として、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオネイン(MT)プロモーター;ステロイドホルモン誘導性マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター;T7ポリメラーゼプロモーター系(国際公開第98/10088号);テトラサイクリン抑制性の系(Gossenら、Proc. Natl. Acad. Sci.USA,89:5547-5551 (1992));テトラサイクリン誘導性の系(Gossenら、Science. 268:1766-1769 (1995); Harveyら、Curr.Opin.Chem. Biol. 2:512-518 (1998)も参照);RU486誘導性の系(Wangら、Nat. Biotech. 15:239-243 (1997)、及びWangら、Gene Ther. 4:432-441 (1997)];及びラパマイシン誘導性の系(Magariら、J. Clin. Invest. 100:2865-2872 (1997); Riveraら、Nat. Medicine. 2:1028-1032 (1996))が挙げられる。この文脈において有用であり得るその他の調節性の制御エレメントとして、特定の生理学的な状態、例えば、温度、急性期、発達により制御されるエレメントが挙げられる。
[0091]本明細書で使用する場合、用語「作動可能な連結」又は「作動可能に連結した」とは、コンポーネントがその意図した方式で機能することを可能にするというように記載されるコンポーネントの物理的又は機能的な並列配置を意味する。核酸と作動可能に結合している発現制御エレメントの例では、制御エレメントが核酸の発現を調節するという関係にある。より具体的には、例えば、作動可能に連結した2つのDNA配列とは、2つのDNAが、DNA配列のうちの少なくとも一方が、他方の配列に生理学的な効果を発揮することができる関係で配置している(シス又はトランス)ことを意味する。
[0092]rAAVベクター及びプラスミドに関係する追加のエレメントとして、例えばパッケージングを改善し、また汚染性の核酸の存在を低下させて、例えば、プラスミド骨格のパッケージングを低下させるための、例えばフィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列が挙げられる。AAVベクターは、約4kb~約5.2kb、又はそれよりわずかに多いのが一般的である定義されたサイズ範囲を有するDNAの挿入物を一般的に許容する。従って、短めの配列の場合、ウイルス粒子中へのAAVベクターのパッケージングが許容される通常のサイズ近傍又は丁度に、ウイルスゲノム配列を長さ調整するために、スタッファー又はフィラーが挿入断片内に組み込まれる。様々な実施形態では、フィラー/スタッファー核酸配列は、核酸の非翻訳(非タンパク質コーディング)セグメントである。AAVベクターの特別な実施形態では、異種ポリヌクレオチド配列は、4.7kb未満の長さを有し、またフィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列は、異種ポリヌクレオチド配列と組み合わせた(例えば、ベクターに挿入した)とき、全長が約3.0~5.5kbの間、又は約4.0~5.0Kbの間、又は約4.3~4.8Kbの間の長さを有する。
[0093]AAV「空のカプシド」は、本明細書で使用する場合、AAVベクターゲノムを含む「ゲノム含有カプシド」とは対照的に、ベクターゲノムを含まない(従って、用語「空の」)。空のカプシドは、天然(ゲノム含有AAVベクター)ウイルスと反応する1つ又は複数の抗体と反応するという点においてウイルス様粒子である。
[0094]理論により束縛されるつもりはないが、空のAAVカプシドは、AAVベクターに対する抗体と結合又は反応し、これによりAAVベクターの不活性化を低下させるデコイとして機能すると考えられている。そのようなデコイは、AAVベクターを標的とする抗体を吸収するように働き、これにより細胞へのAAVベクター導入遺伝子の形質導入(導入遺伝子の導入)を増加させる又は改善し、次に転写物及び/又はコードされるタンパク質の細胞発現を増加させる。
[0095]空のカプシドは、決定された品質及び量で製造及び精製可能である。例えば、空のカプシド力価は、280nmの波長における光学濃度にから、分光光度法により測定可能である(Sommerら、Mol. Ther. 2003 Jan;7(1):122-8に基づく)。
[0096]空のAAV又は空のカプシドは、時にAAVベクター調製物中に自然に見出される。そのような天然の混合物は、本発明に基づき使用可能であり、或いは所望の場合には、空のカプシド及び/又はベクターの量を増加又は減少させるように操作可能である。例えば、空のカプシドの量は、対象内へのベクター媒介式の遺伝子導入で使用されるように意図されたAAVベクターと反応する抗体について、その阻害効果を低下させるものと期待される量に任意選択で調整可能である。空のカプシドの使用は、米国特許公開第2014/0336245号に記載されている。
[0097]様々な実施形態では、空のAAVカプシドは、rAAVベクターと共に製剤化され、及び/又は対象に投与される。特別な態様では、空のAAVカプシドは、ベクターと等量又はそれより少ない量で製剤化される(例えば、空のAAVカプシドに対して約1.0~100倍のAAVベクター、又は空のAAVカプシドに対するAAVベクターの比として約1:1)。その他の特別な態様では、AAVベクターは、過剰の空のAAVカプシドと共に製剤化される(例えば、AAVベクターに対して1倍を上回る空のAAVカプシド、例えば、AAVベクターに対して1.0~100倍の空のAAVカプシド)。
[0098]いくつかの実施形態では、空のカプシドは、rAAVベクター中に存在するものと同一のVP1、VP2、及びVP3カプシドタンパク質を含む。その他の実施形態では、空のカプシドは、rAAVベクターに見出されるアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有するVP1、VP2、及びVP3タンパク質を含む。一般的には、但し必ずしもそうではないが、空のカプシドのカプシドタンパク質とrAAVベクターのカプシドが配列において同一でない場合、それらは同一の血清型である。
[0099]適する哺乳動物として、ヒト、ヒト以外の霊長類(類人猿、テナガザル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、マカク)、飼育動物(イヌ及びネコ)、家畜(家禽、例えば、ニワトリ及びアヒル、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等)、及び実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)が挙げられる。ヒトとして、胎児、新生児、幼児、若年、及び成人の対象が挙げられる。動物疾患モデルとして、例えば、当業者にとって公知のマウス及びその他の哺乳動物のモデルが挙げられる。
[0100]治療に適する哺乳動物として、不十分な量を産生するリスクを有する若しくはリスクに晒されている動物、又は機能的遺伝子産物(タンパク質)に欠陥を有する、又は疾患を引き起こすおそれがある異常な、部分的に機能的若しくは非機能的な遺伝子産物(タンパク質)を産生する動物が挙げられる。本発明に基づく治療に適する対象には、疾患を引き起こす異常な、又は欠陥のある(突然変異体)遺伝子産物(タンパク質)を産生するリスクを有する又はリスクに晒されている対象も含まれ、該遺伝子産物は、異常な、又は欠陥のある(突然変異体)遺伝子産物(タンパク質)の量、発現、又は機能を低下させたならば、疾患の治療、又は1つ若しくは複数の症状の抑制、又は疾患の良化を実現するように、疾患を引き起こす。
[00100]従って、哺乳動物は、遺伝子置換療法が効果的な状態を有し得る。本明細書で使用する場合、「遺伝子置換療法」とは、タンパク質をコードする核酸のレシピエントへの投与、及びその後の投与した核酸のin situでの発現を意味する。従って、慣用句「遺伝子置換療法が効果的な状態」には、遺伝的疾患等の状態(すなわち、1つ又は複数の遺伝子欠陥に起因する疾患状態)が含まれる。1つの実施形態によれば、哺乳動物のレシピエントは遺伝的疾患を有し、またrAAVベクターは、疾患を治療するための治療用タンパク質をコードする異種核酸を含む。
[0101]本発明は、細胞、組織、又は器官に対して、一対のAAV末端逆位反復配列の間に挿入された核酸を含むベクターを含有するrAAV粒子を投与し、これにより核酸を細胞、組織、又は器官に送達するステップを含む、核酸を非CNS細胞、組織、又は器官に送達する方法、及び核酸を非眼球細胞、組織又は器官に送達する方法を提供する。rAAV粒子は、任意の所望の時間、細胞と接触したまま存続することができ、一般的には、粒子は投与されると無期限に存続することができる。CNS及び/又は眼球の細胞、組織、又は器官に投与されないことを前提として、局所的若しくは局部的、又は全身的手段を含む、任意の手段により細胞への投与が実現可能である。
[0102]rAAVベクターは、防御性ApoEアイソフォームタンパク質をコードする異種核酸を含み得る。rAAVベクターは、非CNS及び/又は非眼球細胞に感染し、防御性ApoEアイソフォームタンパク質が発現及び分泌される。発現及び分泌された防御性ApoEアイソフォームタンパク質は、循環内に進入し、次にCNSに進入する。
[0103]rAAV発現ベクターは公知の技術を使用して構築可能であり、転写方向で作動的に連結したコンポーネントとして、少なくとも転写開始領域、目的とするDNA、及び転写終了領域を含む制御エレメントを備える。制御エレメントは、哺乳動物細胞内で機能的であるように選択される。得られたコンストラクトは、作動的に連結したコンポーネントを含有し、機能的なAAV ITR配列に隣接する(5’及び3’)。
[0104]rAAVビリオンを製造するには、AAV発現ベクターを、公知の技術を使用して、例えばトランスフェクション等により適する宿主細胞に導入する。いくつかのトランスフェクション技術が当技術分野において一般的に公知である。例えば、Sambrook ら、(1989) Molecular Cloning,alaboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratories、New Yorkを参照。特に適するトランスフェクション法として、リン酸カルシウムでの共沈、培養細胞中への直接マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム媒介式の遺伝子移入、脂質媒介式の形質導入、及び高速微細噴射法を使用する核酸送達が挙げられる。
[0105]「AAV repコード領域」とは、複製タンパク質Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードするAAVゲノムの領域である。このようなRep発現産物は、AAVのDNA複製起点の認識、結合、及びニッキング、DNAヘリカーゼ活性、及びAAV(又はその他の異種)プロモーターからの転写調節を含む多くの機能を有することが明らかにされている。Rep発現産物は、その全体がAAVゲノムの複製に必要とされる。AAV repコード領域の適するホモログとして、AAV2 DNA複製を媒介することがやはり公知であるヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)rep遺伝子が挙げられる。
[0106]AAVヘルパー機能は、AAV発現ベクターのトランスフェション前、又はそれと同時にAAVヘルパーコンストラクトを宿主細胞にトランスフェクトすることにより、宿主細胞に導入可能である。AAVヘルパーコンストラクトは、従って、生産的AAV感染に必要なAAV機能の喪失を補うために、AAV rep及び/又はcap遺伝子について少なくとも一過性の発現を実現するのに使用される。AAVヘルパーコンストラクトは、AAV ITRを欠いており、またそれ自体を複製することも、パッケージングすることもできない。このようなコンストラクトは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルス、又はビリオンの形態であり得る。いくつかのAAVヘルパーコンストラクト、例えば、Rep及びCap発現産物の両方をコードする、一般的に使用されているプラスミドpAAV/Ad、及びpIM29+45等が記載されている。Rep及び/又はCap発現産物をコードするいくつかのその他のベクターも記載されている。
[0107]発明のrAAVベクター、組成物、薬剤、薬物、生物学的製剤(タンパク質)は、医薬組成物、例えば、薬学的に許容される担体又は添加剤に組み込み可能である。そのような医薬組成物は、特に、対象へのin vivoでの投与及び送達に有用である。
[0108]別途定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載する方法及び材料と類似した又は同等の方法及び材料も、本発明の実践又は試験において利用可能であるが、好適な方法及び材料が本明細書に記載されている。
[0109]本明細書で引用されたすべての出願、公開資料、特許、及びその他の参考資料、GenBankの引用、及びATCCの引用は参考としてそのまま援用されている。矛盾する場合、本明細書が、定義を含めコントロールする。
[0110]本明細書に開示するすべての特性は、任意の組合せで組み合わせ可能である。本明細書に開示する各特性は、同一、同等、又は類似した目的を果たす代替特性に置き換わり得る。従って、別途明記されなければ、開示される特性(例えば、改変された核酸、ベクター、プラスミド、組換えAAV(rAAV)ベクター、ベクターゲノム、又はrAAVウイルス粒子)は、同等又は類似した特性の属の例である。
[0111]本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」及び「生理学的に許容される」とは、1つ又は複数の投与経路、in vivoでの送達又は接触に適する、生物学的に許容される処方物、気体、液体、若しくは固体、又はその混合物を意味する。「薬学的に許容される」又は「生理学的に許容される」組成物は、生物学的に又はそれ以外で忌避されない物質であり、例えば、物質は相当程度の忌避されない生物学的効果を引き起こさずに対象に投与され得る。従って、そのような医薬組成物は、例えばrAAVベクター又はrAAV粒子を対象に投与するのに使用され得る。
[0112]そのような組成物として、医薬品投与又はin vivoでの接触又は送達に適合する溶媒(水性又は非水性)、溶液(水性又は非水性)、エマルジョン(例えば、水中油型又は油中水型)、懸濁物質、シロップ、エリキシル剤、分散及び懸濁媒体、コーティング、等張及び吸収促進又は遅延剤が挙げられる。水性及び非水性の溶媒、溶液、及び懸濁物質は、懸濁剤及び増粘剤を含み得る。そのような薬学的に許容される担体として、錠剤(コーティング有り又はコーティング無し)、カプセル(ハード又はソフト)、ミクロビーズ、粉末、顆粒、及び結晶が挙げられる。補助的な活性化合物(例えば、防腐剤、抗菌性、抗ウイルス性、及び抗真菌性の薬剤)もまた組成物に組み込み可能である。
[0113]医薬組成物は、様々な経路による投与に適する担体、賦形剤、又は添加剤を含む。非経口投与に適する組成物は、活性化合物の水性及び非水性の溶液、懸濁物質、又はエマルジョンを含み、その調製物は、一般的に無菌であり、また意図したレシピエントの血液と等張であり得る。非限定的な実例として、水、生理食塩水、デキストロース、フルクトース、エタノール、動物油、植物油、又は合成油が挙げられる。
[0114]本発明の組成物、方法、及び使用に適する医薬組成物及び送達システムは、当技術分野において公知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2003) 20版、Mack Publishing Co., Easton, PA;Remington’s Pharmaceutical Sciences (1990) 18版、Mack Publishing Co., Easton, PA;The Merck Index (1996) 12版、Merck PublishingGroup, Whitehouse, NJ; Pharmaceutical Principlesof Solid Dosage Forms(1993), Technonic Publishing Co., Inc., Lancaster,Pa.; Ansel and Stoklosa, PharmaceuticalCalculations (2001) 11版、Lippincott Williams &Wilkins, Baltimore, MD;及びPoznanskyら、Drug Delivery Systems (1980), R. L.Juliano編、Oxford, N.Y., pp.253-315を参照)。
[0115]「単位用量」又は「単位投与剤形」とは、本明細書で使用する場合、治療される対象に対する一元的投与として適する、物理的に分離した単位を意味する;事前決定量を含有する各単位は、任意選択で医薬担体(添加剤、賦形剤、媒体、又は充填剤)と関連するが、1つ又は複数の用量で投与される場合、所望の効果(例えば、予防的又は治療的効果)を生み出すように計算される。単位投与剤形は、例えば、アンプル及びバイアル内に含めることができ、それは液体組成物、又は凍結乾燥(freeze-dried)又は凍結乾燥(lyophilized)状態の組成物;無菌の液体担体を含み得るが、例えば、in vivoでの投与又は送達前に添加され得る。個々の単位投与剤形は、複数回投与用キット又は容器に含まれ得る。rAAVベクター、rAAV粒子、及びその医薬組成物は、投与を容易にし、用量を均一化させるために単一又は複数の単位投与剤形内に包装され得る。
[0116]様々な検出方法が、疾患の状態又は改善を確認するのに利用可能である。そのような検出方法として免疫検出法が挙げられる。免疫検出方法として、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、免疫放射線アッセイ法、蛍光イムノアッセイ法、化学発光アッセイ法、生物発光アッセイ法、及びウェスタンブロット法が挙げられる。その他の方法も当業者にとって公知である。様々な有用な免疫検出方法が科学文献に記載されてきた。
[0117]一般的に、免疫結合法は、Aβタンパク質を含有すると疑われるサンプルを取得すること、及び場合に応じて、免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、サンプルを、第1抗体、すなわちAβに対して特異的なモノクロナール又はポリクロナールと接触させることを含む。
[0118]免疫結合法は、サンプル中のAβタンパク質の量を検出及び/又は定量する方法、並びに結合プロセス期間中に形成されたあらゆる免疫複合体の検出及び/又は定量化を含む。ここでは、Aβタンパク質を含有すると疑われるサンプルを取得し、サンプルを抗体と接触させ、次に特異的条件下で形成された免疫複合体の量を検出及び定量化することができる。
[0119]免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にする条件、及び十分な期間で生体サンプルを抗体と接触させることとは、一般的に、抗体組成物をサンプルに単に添加すること、及び抗体が存在するいずれかの抗原と免疫複合体を形成する、すなわちそれと結合するだけの期間、混合物をインキュベートすることである。この後、サンプル-抗体組成物、例えば血液、血漿、若しくは血清サンプル等、又は組織切片、ELISAプレート、ドットブロット又はウェスタンブロットが、非特異的に結合したあらゆる抗体種を取り除くように処理され(例えば、洗浄され)、一次免疫複合体内の特異的に結合した分子のみが検出可能となるようにするのが一般的である。
[0120]一般的に、免疫複合体形成の検出法は当技術分野において公知であり、また非常に多くのアプローチを適用することにより実現され得る。このような方法は、標識又はマーカー、例えば放射性、蛍光性、生物学的、及び酵素的なタグ等のうちのいずれかを検出することに基づくのが一般的である。そのような標識の使用に関する米国特許として、米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149、及び同第4,366,241号が挙げられる。もちろん、当技術分野において公知なように、二次結合リガンド、例えば第2抗体、及び/又はビオチン/アビジンリガンド結合構成等の使用を採用することもできる。
[0121]上記のように、タンパク質検出分子(すなわち、結合リガンド、例えば抗体又は抗体断片等)そのものが、検出可能な標識と連結することができ、その場合、次にこの標識を単に検出し、これにより、組成物内の一次免疫複合体の量について決定及び/又は定量化が可能となる。或いは、一次免疫複合体内で結合状態となる第1抗体は、該抗体に対して結合親和力を有する第2の結合リガンドによって検出され得る。この場合、第2の結合リガンドは、検出可能な標識と連結し得る。第2の結合リガンドそのものは多くの場合抗体であり、従って「二次」抗体と呼ばれる場合もある。一次免疫複合体は、二次免疫複合体の形成を可能にする効果的な条件下で、十分な期間、標識化二次結合リガンド又は抗体と接触する。二次免疫複合体は、次に非特異的に結合した標識化二次抗体又はリガンドのすべてを取り除くために洗浄するのが一般的であり、二次免疫複合体内の残りの標識が次に検出される。
[0122]更なる方法は、2ステップアプローチによる一次免疫複合体の検出を含む。第1の結合リガンドに対して結合親和力を有する抗体等の第2の結合リガンドが、上記のような二次免疫複合体の形成に使用される。洗浄後、二次免疫複合体は、第2の抗体に対して結合親和力を有する第3の結合リガンド又は抗体と免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な条件下及び期間で、再度接触する。第3のリガンド又は抗体は、検出可能な標識と連結し、形成された三次免疫複合体の検出を可能にし得る。この系は、所望の場合にはシグナル増幅を提供し得る。
[0123]これまでに詳記したように、イムノアッセイ法は結合アッセイ法である。特定のイムノアッセイ法は、当技術分野において公知の様々な種類の酵素結合免疫吸着測定法(ELISAs)及び/又はラジオイムノアッセイ法(RIA)である。組織切片を使用する免疫組織化学検出法もまた有用である。検出法はそのような技術に限定されず、及び/又はウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、FACS分析法等も利用可能であるものと直ちに認識される。
[0124]代表的なELISAでは、抗体が、タンパク質親和性を示す選択された表面、例えばマイクロタイタープレート内のウェル等に固定化される。次に、APタンパク質を含有すると疑われる試験組成物、例えば臨床サンプル等(例えば、対象から得られる生体サンプル)が、ウェルに添加される。結合及び/又は非特異的に結合した免疫複合体を取り除く洗浄の後、抗体結合抗原が検出され得る。検出は、検出可能な標識と連結した別の(二次)抗体の添加により一般的に達成される。この種のELISAは、単純な「サンドイッチELISA」である。また検出は、第2抗体の添加、その後の第2抗体に対して結合親和力を有する第3抗体であって、検出可能な標識と連結した第3抗体の添加により達成される場合もある。
[0125]別の代表的なELISAでは、抗原を含有すると疑われるサンプルがウェル表面に固定化され、及び/又は次に結合剤と接触する。結合、及び/又は非特異的に結合した免疫複合体を取り除く洗浄の後、結合した抗結合剤が検出される。最初の結合剤が検出可能な標識と連結している場合、免疫複合体は直接検出され得る。やはり、免疫複合体が、第1の結合剤に対して結合親和力を有する第2抗体であって、検出可能な標識と連結した第2抗体を使用して検出され得る。
[0126]抗原が固定化された別のELISAは、検出のための抗体競合の使用と関係する。このELISAでは、抗原に対する標識化抗体がウェルに添加され、結合可能にし、及び/又はその標識により検出される。未知のサンプル中の抗原の量は、次にサンプルを抗原に対する標識化抗体と混合することにより、コーティングされたウェルを用いたインキュベーション期間中に決定される。サンプル中に抗原が存在すると、ウェルとの結合に利用可能な抗原に対する抗体の量が低下するように作用し、従って最終的なシグナルを低下させる。これは、未標識の抗体が、抗原がコーティングされたウェルに結合し、標識化抗体との結合に利用可能な抗原の量をやはり低下させるような、未知のサンプル中の抗原に対する抗体の検出にも適する。
[0127]採用されたフォーマットを問わず、ELISAは、共通する所定の特徴、例えばコーティング、インキュベーション及び結合、非特異的に結合した種を取り除く洗浄、及び結合した免疫複合体の検出及び/又は定量化等を有する。
[0128]ELISAでは、直接的な手順よりはむしろ二次又は三次検出手段を使用することの方が、おそらくはより慣例的である。従って、ウェルへのタンパク質又は抗体の結合、バックグラウンドを低下させる非反応性物質でのコーティング、及び未結合の物質を取り除く洗浄を行った後、固定化表面を、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするのに有効な条件下で試験される生体サンプルと接触させる。免疫複合体の検出では、次に標識された二次結合リガンド又は抗体、及び標識化三次抗体又は第3の結合リガンドと関連する二次結合リガンド又は抗体等が、以下同様に採用される。
[0129]「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にする条件下」とは、結合を可能にする又は促進する条件を意味する。そのような条件は、サンプル、例えばAPタンパク質、τオリゴマー等、及び/又は抗体組成物を、BSA、ウシガンマグロブリン(BGG)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/ツイーン等の溶液で希釈することを含み得る。このような添加された薬剤も、非特異的なバックグラウンドの低下を支援する傾向を有する。
[0130]「適する」条件とは、結合を可能にするのに十分な温度で、又は期間、インキュベーションが行われることも意味する。代表的で非限定的なインキュベーションステップは、約1~2~4時間程度、好ましくは25℃~27℃ほどの温度であり、又は一晩約4℃程度であり得るのが一般的である。
[0131]ELISAのすべてのインキュベーションステップを行った後、接触表面を洗浄して非複合体形成物質を取り除く。洗浄手順の例には、PBS/ツイーン、又はホウ酸塩バッファー等の溶液を用いた洗浄が含まれる。試験サンプルと最初に結合した物質の間で特異的免疫複合体が形成され、後続する洗浄を行った後、微量であっても免疫複合体の量が決定され得る。
[0132]検出手段を提供するために、第2又は第3の抗体が検出を実現する関連標識を有し得る。これは、適切な発色基質と共にインキュベートすると発色を引き起こす酵素であり得る。従って、例えば、第1及び第2の免疫複合体を、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はハイドロジェンペルオキシダーゼ結合抗体と、更なる免疫複合体形成が起こりやすい期間及び条件下で接触させ、又はインキュベーションすることができる(例えば、PBS含有溶液、例えばPBS-ツイーン等の中、室温で2時間インキュベーション)。
[0133]標識抗体とインキュベートし、後続する未結合物質を取り除く洗浄を行った後、例えば、発色基質、例えば尿素、又はブロモクレゾールパープル、又は2,2’-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンズチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)、又は酵素標識としてペルオキシダーゼの場合はH2O2等とインキュベートすることにより、標識の量が定量化される。定量化は、次に例えば可視スペクトル分光光度計を使用して生成した色の程度を測定することにより達成される。
[0134]本明細書で使用する場合、単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈において別途明示されない限り複数形の指示物を含む。従って、例えば、「核酸(a nucleic acid)」という場合、複数のそのような核酸を含み、「ベクター(a vector)」という場合、複数のそのようなベクターを含み、「ウイルス(a virus)」又は「粒子(particle)」という場合、複数のそのようなビリオン/粒子を含む。
[0135]本明細書で使用する場合、すべての数値又は数値範囲には、そのような範囲内の整数、及び範囲内の数値又は整数の端数が、文脈において別途明示されない限り含まれる。従って、説明目的で、80%又はそれ超の同一性という場合、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%等、並びに81.1%、81.2%、81.3%、81.4%、81.5%等、82.1%、82.2%、82.3%、82.4%、82.5%等が以下同様に含まれる。
[0136]より多くの(より大きな)又はより少ない整数には、参照する数字より大きい又は小さい任意の数字がそれぞれ含まれる。従って、例えば、100未満という場合、それには99、98、97等から最終的に1の数までが含まれる;及び10未満には、9、8、7等から最終的に1の数まで含まれる。
[0137]本明細書で使用する場合、すべての数値又は範囲には、数値の端数、及びそのような範囲内の整数、及びそのような範囲内の整数の端数が、文脈において別途明示されない限り含まれる。従って、説明目的で、数値範囲、例えば1~10等という場合、それには、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等が以下同様に含まれる。1~50の範囲という場合、従ってそれには、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20等、50を含むそれまでの数値、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5等が以下同様に含まれる。
[0138]一連の範囲という場合、それには、一連のうちの異なる範囲において、その境界の数値を組み合わせた範囲が含まれる。従って、説明目的で、例えば、1~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~75、75~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、400~500、500~750、750~1,000、1,000~1,500、1,500~2,000、2,000~2,500、2,500~3,000、3,000~3,500、3,500~4,000、4,000~4,500、4,500~5,000、5,500~6,000、6,000~7,000、7,000~8,000、又は8,000~9,000、の一連の範囲には、10~50、50~100、100~1,000、1,000~3,000、2,000~4,000等の範囲が含まれる。
[0139]本発明は、非常に多くの実施形態及び態様を記載するのに肯定的言語を使用して本明細書に一般的に開示されている。また本発明には、特定の主題、例えば物質又は材料、方法ステップ及び条件、プロトコール、又は手順等が全部又は一部除外される実施形態も特に含まれる。例えば、本発明の特定の実施形態又は態様では、材料及び/又は方法ステップが除外されている。従って、本発明は何を含まないかについて本明細書では一般的に表現されないが、本発明において明確に除外されない態様であれば、それにもかかわらず本明細書の開示の対象となる。
[0140]本発明のいくつかの実施形態について記載してきた。それにもかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明が様々な利用及び条件になじむように、当業者は本発明に様々な変更及び改変を加えることができる。従って、下記の実施例では説明することが意図されており、主張する本発明の範囲を限定するものではない。
下記の実施例1は国際公開第2015/077473号に記載される:アミロイド沈着の進行における変化。
[0141]この実施例は、アデノ随伴ウイルス血清4型(AAV4)の脳室内注射を通じて異なるApoEアイソフォームを過剰発現させた後、app/psマウスにおけるアミロイド沈着の進行の変化について試験した。
[0142]ApoEのε4対立遺伝子(ApoEε4)は、アルツハイマー病(AD)における第1の遺伝的リスク因子である一方、ApoEの稀なε2対立遺伝子(ApoEε2)の遺伝質はこのリスクを約半分に低下させる。しかし、ほぼ17年前のこのような強い遺伝的な手がかりの発見にもかかわらず、ApoEがリスクをもたらす機構は不明確なままである。
[0143]異なるApoEアイソフォーム(ApoEε2、ε3、及びε4)が線維性アミロイドプラークの形成及び安定性にどのように影響を及ぼすか解明するために、各ApoEアイソフォームをコードするAAV4ベクターを7月齢のAPP/PSマウスの脳室内に注射した。In vivoでの多重光子画像法を使用して、アミロイド沈着物の集団を、ベースライン時、及びApoEへの曝露後2カ月間にわたり追跡し、従って生存動物におけるアミロイドーシスの進行について動的考察を可能にした。
[0144]アミロイドプラーク沈着の動力学は、各アイソフォームによって変化することが認められ、2カ月後にApoEε3と比較して、ApoEε4が注射されたマウスでは老人斑が38%増加したが、一方ApoEε2で処置されたマウスではアミロイド沈着物数について15%の減少が認められた。死後分析により、このような結果が確認され、また皮質においてプラークをデコレートするヒトApoEタンパク質の存在が明らかとなったが、これは実質全体にわたるタンパク質の大規模な拡散、及びAβペプチドが沈着した部位における該タンパク質の限局性の蓄積を反映する。指摘すべき重要事項として、このApoEε4タンパク質の含有量増加もまたアミロイド沈着物周辺のより重度のシナプス消失と関連したことが挙げられる。
[0145]全体として、本データは、異なるApoEアイソフォームが過剰に生成すると、疾患の進行に影響を及ぼすことが可能なこと、及びAD患者における認知障害と最もよく相関するいくつかのパラメーターのうちの1つであるシナプス消失の範囲について調節可能であることを実証した。
1.AAV4-ApoEの脳室内注射はhuApoEの安定な発現を引き起こし、脳内における組換えヒトApoE(huApoE)タンパク質の持続的な検出を実現した。
[0146]要するに、AAV4ベクターを注射したAPP/PSマウスにおいて、GFP及びhuApoEを免疫検出した。GFPシグナルが、脳室エリア全体(上側パネル)及び脳室内側を覆う細胞、並びにヒトAPOEにおいて認めることができた。
[0147]本アプローチを評価するために、AAV4-Venus(コントロール)、-ApoE2、-ApoE3、及び-ApoE4を野生型マウスの脳室内に注射した。注射から2カ月後、アミロイド沈着物周辺の皮質実質内でヒトApoEタンパク質を検出することができた(3H1抗体に注目;非特異的バックグラウンドのみがAAV4-GFP注射マウスに認められた)。従って、有意なレベルのヒトApoEがELISAにより脳内で検出され、Venus及びApoEに対する免疫組織学的染色により、脳室内側を覆う細胞による異なる導入遺伝子の発現を確認した。
[0148]導入遺伝子のmRNAレベルを評価するために、qRT-PCR実験を実施した。標準曲線から、内因性GAPDHのレベルに基づきhuApoE mRNAの濃度を決定することができた。2又は5カ月間曝露したマウスから得たサンプルが含まれた。ヒトAPOEを特異的に検出するように設計されたELISAアッセイを脳ホモジネートにおいて実施した(国際公開第2015/077473号に示す図1A)。ヒトAPOEに対して特異的なELISAにより定量化され(国際公開第2015/077473号に示す図1B)、及びウェスタンブロットにより確認されるように、低レベルの組換えタンパク質が、AAV4-GFP処置動物との比較において、AAV4-APOE注射マウスにおいて検出することができた。
2.各APOEアイソフォームの過剰発現は、アミロイドーシスの進行に差動的に影響を及ぼす。
[0149]In vivoでの二光子画像法を使用して、生存動物におけるアミロイド沈着物を経時的に追跡した。要するに、APP/PSマウス(7月齢)に、ApoE2、ApoE3、ApoE4、及びVenusをコードするAAV4ベクターを定位的に注射した。1週間後、頭蓋窓を移植し、開頭後、アミロイド沈着物を経時的に画像化した。2カ月後、動物を絶命せしめ、死後分析を実施した。
[0150]AAV4-ApoE2、AAV4-ApoE3、又はAAV4-ApoE4を注射したAPP/PSマウスの二光子画像を調製した。メトキシ-X04(5mg/kg)を腹腔内注射した後、アミロイドプラークを検出することができ、テキサスレッドデキストラン(分子量70,000Da;12.5mg/mlの無菌PBS)を外側尾静脈中に注射して蛍光血管造影図を得た。画像を、注射後1週間(=T0)、1カ月、及び2カ月に取得した。同一視野を経時的に撮影して病変の進行を追跡した。いくつかの新しいアミロイド沈着物が現れたが、そのいくつかは、2カ月の期間においてもはや検出できなかった。
[0151]In vivo画像の完全分析は、アミロイド沈着物の数は、AAV4-ApoE4注射APP/PSマウスにおいて、AAV4-ApoE3及びAAV4-Venus処置動物の両方と比較してそれより有意に急速に増加することを示している。対照的に、AAV4-ApoE2を使用したとき、わずかではあるが有意なプラーク密度の減少が測定される(国際公開第2015/077473号に示す図2)。AAV4-ApoE4を注射したAPP/PSマウスにおいて、プラークがより大きくなる傾向が認められるが(p<0.06)、全体的として、プラークのサイズは一定のままである。In vivoでの画像化の要約されたデータは、各APOEアイソフォームが過剰発現すると、in vivoでのアミロイド沈着の進行に対して差動的に影響を及ぼすことを示す。AAV4-ApoE2を注射すると、アミロイド密度の若干の減少を経時的に引き起こすが、AAV4-ApoE4を注射するとアミロイドーシスを更に悪化させる。
3.アミロイドプラークのサイズは、各ApoEアイソフォームに応じて変化する。
[0152]In vivoでの二光子画像法は、2カ月間にわたり、各アミロイド沈着物のサイズ変化について、その追跡を可能にした。プラークのサイズは、安定なままであるか、経時的に増加又は減少し得る。T1/T0とT2/T1の間のサイズ比の分布は、AAV4-ApoE4を注射したマウスでは、その他の群と比較して、アミロイドプラークがそれよりも大きくなる傾向が認められることを示している(国際公開第2015/077473号に示す図3)。
4.アミロイド負荷の死後評価より、アミロイド沈着に対するApoE2及びApoE4の効果が確認される。
[0153]AAV4注射から2カ月後、死後の立体解析学的評価より、AAV4-ApoE4注射した動物は、皮質内により高密度のアミロイドプラークを有する一方、その他の群の間では相違を検出することはできないことが判明した(国際公開第2015/077473号に示す図4A)。このようなアミロイド沈着物数の増加は、プラークをThioS又はBam10で標識したときに認められる。但し、Bam10とThioSの間の比の変化は検出されなかった。注射から5カ月後、各ApoEアイソフォームの効果は、2カ月と比較してそれより顕著である(国際公開第2015/077473号に示すように図4B)。マウスにAAV4-ApoE4を注射したとき、沈着物の密度の有意な増加を認めたが、一方ApoE2について逆の効果を検出した。やはり、Bam10とThioSの間の比の変化は検出されなかった。
5.各ApoEアイソフォームは、アミロイド沈着物周辺のシナプス密度に対して差動的に影響を及ぼす。
[0154]アレイトモグラフィーを使用して、アミロイド沈着物周辺のプレ及びポストシナプスエレメントの密度を正確に決定した。この新しい画像化法は、組織分子構造を高分解能で画像化する能力をもたらす。アレイトモグラフィーは、試料の超薄切片化(70nm)、免疫染色、及び3D再構成に基づく。アミロイドプラーク及びポストシナプスマーカーPSD95について染色されたアレイトモグラフィーサンプルの代表的な画像。アレイトモグラフィー画像は、ポストシナプスマーカーPSD95の数の減少がアミロイド沈着物周辺に認められるが、しかしこの効果は、プラークから離れたところでは消滅することを示している。プラーク近傍又は遠方におけるプレシナプスマーカー(シナプシン-1)及びポストシナプスマーカーの定量を、AAV4を注射したマウスの各群において決定した(国際公開第2015/077473号に示す図5A~D)。プレ及びポストシナプスエレメントについて広範囲にわたる定量化を行い、シナプシン1及びPSD95の密度の減少は、アミロイドプラークと関連すること、この効果はAPP/PS1マウスの脳内でApoE4が過剰発現したときに劇的に増幅されることを確認した(国際公開第2015/077473号に示す図5C、図5D)。ApoE4の過剰発現は、その他の群との比較においてアミロイド沈着物近傍の脊椎喪失の増加と関連する。逆に、シナプシン斑の密度は、ApoE2で処置した動物の方がプラーク周辺においてより高い。
結論
[0155]AAVウイルス血清4型を脳室内に注射すると、大脳の実質全体を通じて可溶性の組換えタンパク質の持続的且つ慢性的な過剰生成を引き起こした。ApoE2、ApoE3、及びApoE4の過剰発現は、APP/PSマウスにおける病理学の経過に対して差動的に影響を及ぼし、そのため、ApoE4を注射したとき、ApoE3と比較してアミロイド負荷の進行が有意に高まった。反対に、ApoE2は、保護効果と関連し、いくつかのアミロイド沈着物は注射から2カ月後にはもはや検出不可能である。死後の免疫組織学的分析では、ApoE4の有害な作用を確認した。ApoE4が持続的に過剰生成すると、アミロイド沈着物周辺に認められたシナプス消失がApoE3と比較して増悪したが、ApoE2の効果は軽度であった。本試験は、ApoEアイソフォーム、アミロイドーシスの進行、及びシナプス消失の間のin vivoにおける直接的な関連性を実証した。
下記の実施例2は国際公開第2015/077473号に記載されており、CSF送達によるCNS障害の治療奏功を示す:大型哺乳動物における脳脊髄液(CSF)を経由するCNS障害の処置。
[0156]脳障害、例えばアルツハイマー病等に対する遺伝子療法を実現するために、哺乳動物において治療用酵素レベルが長期にわたり定常状態を実現することができるか確認する必要があった。上衣細胞(脳内の脳室内側を覆う細胞)に形質導入し、脳脊髄液(CSF)中に標的酵素を分泌させ得ることが発見された。アデノ随伴ウイルス(AAV4)は、マウスモデルの上衣に高効率で形質導入することができることが確認された(Davidsonら、PNAS, 28:3428-3432, 2000)。マウスでは、疾患脳内に貯えられた基質レベルがAAV4処置後に正常化することが認められた。
[0157]CSF内の酵素レベルが定常状態を実現するために、ベクターのグローバルな送達が有効に実施可能か調査した。最初に、より大きな哺乳動物の脳内の上衣細胞(脳室内側を覆う細胞)に形質導入することができるベクターを見出す必要があった。LINCLのイヌモデル及びLINCLのヒト以外の霊長類モデルにおいて試験を実施した。LINCLのイヌは出生時正常であるが、しかし約7カ月目頃に神経学的兆候、約5~6カ月において試験可能な認知障害、10~11カ月において発作、及び進行性の視覚喪失を発症する。
[0158]アデノ随伴ウイルス(AAV)は、そのサイズが小さく(20nm)、そのほとんどの遺伝物質が、ウイルス遺伝子が存在しないように、及び複製不能であるように除去され(「抜き出され」)得るので、これをベクターとして選択した。アデノ随伴ウイルス4型(AAV4)ベクターが、β-グルクロニダーゼ欠損症により引き起こされたムコ多糖症VII型(MPS VII)のマウスモデルにおいて、グローバルな機能的及び病理学的改善を媒介し得るかこれまでに試験された(Liuら、J. Neuroscience, 25(41):9321-9327, 2005)。β-グルクロニダーゼをコードする組換えAAV4ベクターを、確立された疾患を有するMPS VIIマウスの側脳室中に片側的に注射した。形質導入された上衣は、高レベルの組換え酵素を発現し、分泌酵素は大脳及び小脳構造、並びに脳幹を貫通した。免疫組織化学試験により、組換え酵素と脳微小血管系の密接な関係が明らとなり、β-グルクロニダーゼが血管内側を覆う血管周囲腔を経由して脳実質に到達したことを示唆する。嫌悪連想学習を文脈的恐怖条件付けにより試験した。年齢が一致した異型接合性のコントロールと比較して、罹患マウスは条件性恐怖反応及び文脈的判別の障害を示した。この行動の欠陥は、AAV4β-グルクロニダーゼで処置したMPS VIIマウスでは、遺伝子移入後6週間経過して反転した。データは、上衣細胞は、脳実質周辺及びCSFに酵素を分泌する供給源としての役割を果たし得ることを示す。
[0159]しかし、驚くべきことに、この試験を大型の哺乳動物(すなわち、イヌ及びヒト以外の霊長類)に拡張すると、AAV4ベクターはこの動物の上衣を標的としたとき、有効ではなかった。むしろ、AAV2ベクターを使用する必要があった。要するに、TPP1をコードするrAAV2(AAV2-CLN2)を作成し、脳室内に注射して上衣に形質導入した(Liuら、J. Neuroscience, 25(41):9321-9327, 2005)。TPP1は、LINCLにおいて酵素欠損性である。データは、NHP脳内に上衣形質導入すると、CSFにおいて酵素の有意な増加を引き起こすことを示唆した。結果は、様々な脳領域においてTPP1活性レベルが上昇したことを示唆した(縦軸はコントロールの活性に対する割合(%)を示す)(国際公開第2015/077473号に示す図7)。
[0160]処置した最初のイヌでは、ベクターの送達は最適ではなかったが、しかし脳内でCLN2活性をなおも示した。次のイヌは、定位脳手術によりICV送達を受けた。処置したイヌの認知能力は、T字迷路成績により測定されるように、未処置のイヌよりも有意に改善したことが判明した(国際公開第2015/077473号に示す図8)。更に、LINCLのイヌモデルにおけるAAV2-CLN2のICV送達効果は非常に顕著であった。未処置(-/-)動物では大型の脳室が存在する一方、未処置コントロール及び処置した動物の脳は脳室を示さなかった。LINCLのイヌの脳室にAAV.TPP1を送達した後、検出可能な酵素活性が、小脳及び上部脊髄を含む様々な脳領域において認められた。生存している追加の罹患したイヌ2例では、脳萎縮が有意に減弱され、寿命が延び、認知機能が改善した。最終的に、NHPにおいて、この方法は、野生型よりも2~5倍高いTPP1活性レベルを実現可能であることを示す。
[0161]いくつかのAAVベクターを作成し、ITRとカプシドの最適な組合せを決定する試験を行った。5つの異なる組合せを生成し、AAV2 ITRが最も有効であることを確認した:AAV2/1(すなわち、AAV2 ITR及びAAV1カプシド)、AAV2/2、AAV2/4、AAV2/5、及びAAV2/8。大型哺乳動物(イヌ及びNHP)では、AAV2/2がかなり良好に機能し、AAV2/8、AAV2/5、AAV2/1、及びAAV2/4がそれに続くことを発見した。ウイルスベクターの有効性の順番はマウスで観察された順番とは反対であるため、これは非常に驚きであった。
[0162]従って、本研究により、脳室内側を覆う細胞は、脳全体にわたる分布のためのCSF内組換え酵素供給源となり得ること、並びにAAV2/2は、イヌ及び非ヒト霊長類において、CLN2(TPP1)をコードする遺伝子などの治療剤を投与するための有効な媒体であることが示された。
下記の実施例3は国際公開第2015/077473号に記載されており、AAVベクターによりCNSに送達された異なるApoEアイソフォームの効果を示す:遺伝子移入により送達されたヒトAPOEアイソフォームは、アミロイド沈着、排出、及び神経毒性に影響を及ぼすことによりアルツハイマー病を差動的に調節する。
[0163]アルツハイマー病(AD)は最も頻度の高い加齢性神経変性障害であり、主要な公衆衛生上の懸念となっている。ADの遅発性散発性の形態と関連する感受性遺伝子の中でも、アポリポタンパク質Eε4(APOE遺伝子;ApoEタンパク質)対立遺伝子は、並外れて最も重要な遺伝的リスク因子である。APOEε4が1コピー存在しても、最も一般的なAPOEε3対立遺伝子と比較して、疾患発症リスクを実質的に3倍増加させる一方、2コピーでは12倍増加させる。興味深いことに、APOEε2は逆の効果を有し、防御因子でもあり、この特別な対立遺伝子の遺伝質は、APOE3/3と比較して、ADの年齢調整リスクを約半分に減少させる。認知症の発症の平均年齢もこれらのリスクプロファイルに対応しており、APOE4/4保因者は60代半ばに発症し、APOE2/3保因者は90代前半に発症する(ほぼ30年のずれ)一方、APOE3/3個体は発症年齢がその間、つまり1970代半ばである。
[0164]ApoEがADに影響を与える機構については議論の余地がある。該疾患の稀な常染色体優性形態に関わりを持つすべての公知遺伝子がAβペプチドの産生に関与しているので、患者の海馬及び皮質における老人斑を含有するAβ蓄積は、ADにおいて中心的な役割を果たすと考えられている。興味深いことに、APOE遺伝子型は、AD患者におけるアミロイド沈着の程度、並びに剖検サンプル内で検出された神経毒性可溶性オリゴマーAβの量に強く影響を及ぼすことが明らかにされた。ApoEアイソフォームは、脳血管の完全性に対して差動的に影響を及ぼし、血液脳関門を通過するAβペプチドの流出に影響を及ぼし、従って血管周辺のアミロイド凝集体の蓄積(脳アミロイド血管症又はCAA)を調節することが示唆されている。更に、ApoEはまた、神経変性及び神経可塑性に直接関与している。これらの状況において、ApoE2の効果はそれほど調べられていない。
[0165]ヒトAPOE2、-E3、及び-E4を発現する遺伝子工学的に作出された動物は、アミロイド負荷についてヒトと類似したランク順を有し、これは、異なるApoEアイソフォームがプラークの開始及び/又は成長に影響を及ぼすという仮説と一致している。しかし、既存のアミロイド沈着物及び現存する神経変性に対するApoE媒介性の効果の機構を精査するために、更なる試験が必要とされる。この知識のギャップを克服するために、様々なAPOE対立遺伝子(又はGFPコントロール)を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを側脳室に注射して、主に上衣に形質導入し、次いでこれが、ApoEを脳脊髄液及び間質液内に送達する生体工場として作用するという、遺伝子移入アプローチを使用した。次いで、生体内多光子顕微鏡法を使用して、様々なApoEアイソフォームがプラークの形成、成長、及びApoE2の場合には溶解に与える効果を追跡し、並びにin vivoでの微小透析アプローチを使用して、ISFにおけるApoE及びAβの生化学的変動をモニタリングし、またアレイトモグラフィーを使用してAβ関連神経毒性の変化を評価した。
[0166]ApoEアイソフォームは、ISFにおける可溶性オリゴマーAβのレベル、Aβ線維化及び沈着のペース、一旦形成された後のアミロイド沈着物の安定性、それらの排出、並びにプラーク周辺の神経毒性効果の程度に影響を及ぼす。実際、ApoE4で処置したADマウスは、可溶性Aβの量の増加、より高密度の線維性プラーク、シナプスエレメント消失の増悪、及び各沈着物周辺の神経突起ジストロフィーの数の増加を示すのに対して、ApoE2では相対的防御効果が観察された。これらのデータは、APOE対立遺伝子が、主にAβを通じてADに対するその効果を媒介するという仮説を裏付けており、治療標的としてのApoEが注目される。
結果
AAV4-APOEを脳室内注射すると、脳においてAPOE発現が安定化し、ヒトApoEが持続的に産生される
[0167]アポリポタンパク質Eは自然に分泌されるタンパク質であり、アストロサイト及びミクログリア細胞によって主に産生され、脳実質全体にわたり拡散することができる。本発明者らは、GFP(コントロール)又は各APOE対立遺伝子をコードするAAV血清4型を、7月齢のAPP/PS1マウスの側脳室に注射することによって、この特性の利点を利用した。大脳領域がADの特徴的病変によって冒されていることを考慮すると、この戦略は複数回の実質内注射と比較して大きな利点をもたらした。
[0168]注射から2カ月後、脈絡叢及び脳室の内側を覆う上衣において形質導入細胞が検出され、従ってAAV4ベクターの機能性が確認された。それぞれの種に対して特異的な抗体を使用して、ELISA(国際公開第2015/077473号に示す図9A、9B及び15A)及びウェスタンブロットによって、ヒト及びマウスApoEタンパク質の両方についても検出した。ヒトアポリポタンパク質Eの濃度が、平均で総タンパク質1mg当たり20μgに達したことを観察したが(国際公開第2015/077473号に示す図9A)、これは、内因性マウスapoEの約10%を占める(国際公開第2015/077473号に示す図9B)。この小幅な追加量のヒトApoEが存在しても、内因性マウスapoEタンパク質のレベルを検出可能に変化させなかった(国際公開第2015/077473号に示す図15A)。少ないが統計的に有意な減少が、AAV4注射から2~5カ月後に観察された(国際公開第2015/077473号に示す図15B)。それにもかかわらず、ヒトタンパク質のレベルは、コントロール群と比較して検出可能なままであったが、これは、AAV4が媒介する形質導入により、実質全体にわたり分泌型の組換えタンパク質の持続的産生プラットフォームが提供されたことを示唆している。実際、内因性マウスapoEタンパク質が蓄積することが公知の皮質マントル全体にわたり、APP/PS1マウスのアミロイド沈着物周辺において、ヒトApoEタンパク質が検出可能であった。
[0169]次に、きわめて生物学的に活性なAβ可溶性種も含有する細胞外コンパートメントである間質液(ISF)におけるヒトApoEの存在を評価した。全脳ライセートにおいて検出されたApoEの量は比較的少量であるので、各AAV4-APOEベクターをいくつかのapoE KOマウスに注射し、高感度であるが非種特異的な抗体を使用してヒトタンパク質の存在を追跡した。微小透析技術を使用して、apoE KO注射動物のISFにおけるApoEの存在を確認した。
[0170]全体として、これらのデータから、AAV4の単回脳室内注射が、脳実質全体にわたり、及びISF内において、目的とするタンパク質の持続的な産生を引き起こすのに十分であったこと、並びに上衣/脈絡叢が、治療に役立ち得るタンパク質を脳に送達するための「生物学的ポンプ」として使用することができることが確認される。
ApoEアイソフォームの輸注は、アミロイドペプチド及びプラーク沈着に差動的に影響を及ぼす
[0171]GFP又は様々なApoEアイソフォームを発現するベクターをAPP/PS1マウスに形質導入し、その5カ月後に安楽死させた。アミロイドプラーク負荷の分析により、5カ月後において、AAV4-APOE4を注射した動物の皮質において、APOE2を発現する動物と比較して、アミロイド沈着密度の有意な増加が観察されたことが判明した。AAV4-GFP及びAAV4-APOE3処置マウスにおけるプラーク密度は中間レベルで互いに相違しなかった(国際公開第2015/077473号に示す図16A)。
[0172]ギ酸抽出物から測定したAβ40及びAβ42ペプチドの濃度は、アミロイドプラーク含有量について観察された変化に類似しており、そのようなことから、5カ月後には、APOE4対立遺伝子を発現するマウスにおいてアミロイドペプチドの濃度増加が判明したが(国際公開第2015/077473号に示す図16B)、APOE2では逆の効果が検出された。TBS可溶性画分内のAβ40及びAβ42ペプチドの含有量は、各AAV-APOEの注射によって同様に影響を受けた(国際公開第2015/077473号に示す図16C)。更に、凝集Aβペプチドと可溶性Aβペプチドの間の比は、ApoEに曝露しても変化しないままであり、従って、それぞれ異なるヒトApoEアイソフォームの過剰発現が、線維性及び可溶性のアミロイド種の両方を同時に調節することを示唆している。
[0173]各ApoEアイソフォームを2カ月間だけ過剰発現させると、引き起こされる効果は5カ月試験で観察された効果よりも小さい。それにもかかわらず、AAV4-APOE4注射マウスの皮質領域内では、その他の実験群と比較して、アミロイドプラーク密度の有意な増加が観察された(国際公開第2015/077473号に示す図16A)。これは、ギ酸画分に含まれるAPの量に匹敵し(国際公開第2015/077473号に示す図16C)、この特定のバリアントの優れた効果を実証する。AAV4-APOE2又はAAV4-APOE4のそれぞれを2カ月間発現させた場合、TBS可溶性Aβ40/42種のみがより低くなるか又はより高くなる傾向を示した(データは示さず)。
[0174]ヒトApoEアイソフォームの存在が、Aβの線維化の程度においてその初期変化を反映し得るか確認するために、注射から2カ月後に、Bam10(すべてのアミロイド沈着物を標識する)及びThio-S(高密度コアのみを染色する)を使用して、APの強力な免疫染色間の比についても測定した。3つのアイソフォーム間で変化は検出されず、これは、このタイムフレームでは、実験群全体を通じて高密度で拡散性のアミロイド沈着物集団の分布に対する差動的効果が存在しなかったことを示唆している(国際公開第2015/077473号に示す図16B)。これらのデータは、ApoEバリアントに対して、より長期間曝露すると、より短期の曝露よりもアミロイド沈着に対して強い効果を有することを示している。
[0175]ApoEは、血液脳関門を横断するAβ輸送において役割を果たしていることが示唆されている。ApoEアイソフォームに曝露すれば、血液脳関門を通過するAPペプチドの流出が調節可能か試験するために、各注射動物の血漿中のAβ40濃度を測定した。AAV4-APOE3及びAAV4-APOE4を脳室内注射した両マウスにおけるヒトAβの血漿含有量が、AAV4-APOE2及びAAV4-GFPの場合と比較してそれより少なかったことが観察された(国際公開第2015/077473号に示す図10D)。これは、E3及びE4バリアントの両方がAPを中枢神経系コンパートメント内に保持するのに役立つことを示唆しており、脳実質においてAp濃度の相対的な増加が観察されたこと、及びApoEに起因してAPの半減期が強化されることを示唆するこれまでのデータと一致している。
[0176]APOE4保因者は神経血管機能障害により罹患しやすく、また血液脳関門の破壊が、アミロイド沈着が存在しない場合であっても、APOE4トランスジェニックマウスにおいてよく見られることが最近明らかにされた。APP/PSを対象にAAV4-APOEを脳室内注射すると、BBBの完全性を損ない得るかを評価するために、プルシアンブルーによる死後染色を実施した。すべての群において、いくつかのヘモジデリン陽性局所領域が脳全体にまばらに広がって存在していたにもかかわらず、動物実験群のいずれの間においても明らかな差異は観察されなかった。
ApoEアイソフォームの発現は、アミロイドーシス進行の動力学を調節する
[0177]5カ月後、ApoE4はアミロイド沈着物の密度増加に関連したのに対して、ApoE2では逆の効果が観察された。これは、アミロイドβの沈着、排出、又はその両方の速度の変化を反映している可能性がある。ApoEバリアントがアミロイドーシスの動的進行にどのように影響を与えるか評価するために、in vivoでの二光子画像法を使用し、アミロイドプラークの形成及び排出の動力学を追跡した。7月齢の時点でマウスにAAV4ベクターを脳室内注射し、1回目のイメージングセッションを実施するために、注射から1週間後に頭蓋窓を移植した(T0)。1カ月(T1)及び2カ月(T2)後、アミロイド沈着物を同一視野内で画像化した。2回目のイメージングセッションの後、死後分析のためにマウスを安楽死させた。
[0178]アミロイド沈着物の大部分は安定のままであったが、2カ月の期間にわたり偶発的な新規プラークを小さな視体積内で検出することができた。また更に、ごく稀ではあるが、実験開始時に画像化されたメトキシ陽性プラークを1又は2カ月後に検出することができなかったが、これは、一部のプラークが排出された可能性を示唆している。経時的に、アミロイド沈着物の体積密度が全体的に増加し、T2における密度はT1の密度よりも平均23%高いことが観察された。2カ月後、ApoE4で処置したAPP/PS1マウスでは、アミロイド進行速度がより速かった一方、ApoE2に曝露した動物では、アミロイド沈着物の密度がGFP(0.66)、ApoE3(0.67)、及びApoE4(0.74)と比べて有意に減少した(国際公開第2015/077473号に示す図11A、11B)。重要なこととして、ApoE2の変化はベースラインからの減少を反映しおり、免疫が介在しないプラークの能動的排出を直接に、しかも初めて示すものである。APOEトランスジェニック動物から得られたデータとは対照的に、これらの結果は、アミロイド沈着が既に始まった後であっても、ApoE量のわずかな増加を誘発すれば、進行中のアミロイド形成プロセスに影響を与えることができることを実証している。
[0179]次に、個々の沈着物の断面積についてT1/T0とT2/T1との比を測定することにより、単一のアミロイドプラークの成長を評価した。T1(T1/T0の比)において群間の差異が検出されたが、T2(T2/T1の比、国際公開第2015/077473号に示す図12)においては検出されず、これは、ヒトApoEバリアントが存在すると、曝露後の最初の1カ月間のプラーク成長に主に影響を与えるが、その後はこのパラメーターに差異がないことを示唆している。特に、ApoE4処置マウスでは、アミロイド沈着物のサイズは、ApoE2及びApoE3の両方の場合と比較してそれよりも有意に大きく成長したが、これは、プラークの数だけでなく、それらのサイズもこの対立遺伝子によって増悪したことを示唆している。従って、ApoE4は、APペプチドのシーディング、並びに既存のプラークのサイズの両方に影響を及ぼす。
アミロイド沈着物周辺のシナプス密度は、ApoE2と比較してApoE3及びApoE4アイソフォームによって増悪する
[0180]シナプス消失は認知機能障害と最も良好に相関するパラメーターである。本発明者らは、ApoE4が存在すると、ヒトAD患者の脳内シナプスオリゴマーAβのレベルがより高くなることと関連すること、及びApoE3と比較して、アミロイドプラーク周辺のシナプス密度の有意な減少を引き起こすことを最近明らかにした(R. M. Koffieら、Apolipoprotein E4 effectsinAlzheimer’s disease are mediated bysynaptotoxicoligomeric amyloid-beta. Brain 135, 2155 (Jul, 2012); T. Hashimotoら、Apolipoprotein E, Especially Apolipoprotein E4, IncreasestheOligomerization of Amyloid beta peptides. J Neurosci 32, 15181 (Oct 24,2012))。更に、最近のin vitroでの証拠より、ApoE4は、Aβ誘発性のシナプス消失に対してそれを防御することができなかったことが実証された(M. Buttiniら、Modulation ofAlzheimer-likesynaptic and cholinergic deficits in transgenic mice by humanapolipoprotein Edepends on isoform, aging, and overexpression of amyloid betapeptides but noton plaque formation. J Neurosci 22, 10539 (Dec 15, 2002); A.Sen, D. L. Alkon,T. J. Nelson, Apolipoprotein E3 (ApoE3) but not ApoE4 protectsagainst synapticloss through increased expression of protein kinase C epsilon.J Biol Chem 287,15947 (may 4, 2012))。従って、各ApoEアイソフォームの連続的で広範囲の分布は、APP/PSマウスの脳内Aβの沈着及び排出の動力学だけではなく、アミロイド沈着物周辺のシナプスの完全性にも差動的に影響を与え得るという仮説を立てた。
[0181]超薄組織切片の免疫蛍光染色に基づく高分解能技術であるアレイトモグラフィーを使用して、プレ及びポストシナプスエレメント(それぞれシナプシン-1及びPSD95)の密度を決定した(K. D. Micheva, S. J. Smith, Array tomography: a new tool forimagingthe molecular architecture and ultrastructure of neural circuits. Neuron55, 25(Jul 5, 2007); R. M. Koffieら、Oligomeric amyloidbetaassociates with postsynaptic densities and correlates with excitatorysynapseloss near senile plaques. Proc Natl Acad Sci USA, 106, 4012 (Mar 10,2009))。アミロイドオリゴマー種は、アミロイド沈着物の近傍において高度に濃縮されていることが明らかにされたので、これまでに確立されたプロトコールを使用して、プラークの遠方(50μm超)又は近傍(50μm未満)において、シナプシン-1及びPSD95の斑点を定量した(R. M. Koffieら、Oligomeric amyloidbetaassociates with postsynaptic densities and correlates with excitatory synapselossnear senile plaques. Proc Nall Acad Sci USA 106, 4012 (Mar 10, 2009))。APOE3又はAPOE4を発現させたとき、プラーク付近においてプレシナプスエレメント消失の増悪を観察したが、これは、AAV4-APOE2又はAAV4-GFPの注射後にはあてはまらなかった(国際公開第2015/077473号に示す図13A)。対照的に、GFP、ApoE2、及びApoE3を注射したマウス間ではポストシナプス斑の密度は不変のままであった一方、ApoE4処置動物は、アミロイド沈着物周辺において有意なPSD95の消失を示し、従って、Aβの神経毒性効果に対するApoE4の有害効果を増強した(国際公開第2015/077473号に示す図13C)。シナプスエレメントの密度をアミロイド沈着物から遠方に位置するエリア(50μm超)において評価したところ、群間で差異を検出することができず、これは、ヒトApoEバリアントそれ自体にシナプス密度に対する効果は認められないが、ApoEアイソフォームはAβ誘発性の神経毒性に対して重要な効果を有することを示唆している。従って、ApoE3及びApoE4で観察された相対的なシナプス消失は、各プラーク周辺(その端部から50μm未満の距離)のAβペプチドの存在に直接関係している。
[0182]追加の神経病理学的パラメーターとして、AAV4を注射したAPP/PS1マウス内のアミロイド沈着物と関連する神経炎性ジストロフィーの数についても評価した。沈着物周辺のスパイン密度の減少に加えて、老人斑は、神経突起の湾曲が増加したニューロピル、及び膨張性ジストロフィーの出現というより一般的な変化を引き起こす。これらの病理学的変化は、プラーク表面から50μm以内の領域に富化した可溶性オリゴマーAβ種に起因する可能性が高い。ApoE4が過剰に発現すると、GFP、ApoE2、及びApoE3と比較して、アミロイド沈着物に関連するSMI312陽性神経炎性ジストロフィーの形成が増悪することが観察された(国際公開第2015/077473号に示す図13C)。この結果より、ApoE4アイソフォームが最も強力な効果を有し、プラーク形成を調節するだけでなく、アミロイド関連の神経毒性にも影響を及ぼすという観察結果が確認される。
ヒトApoEタンパク質は、ADの別のマウスモデルの間質液に含まれるオリゴマーAβ種の量を変化させる
[0183]次に、ISF内に異なるApoEアイソフォームが存在すると、それと同一の細胞外コンパートメントに含まれる可溶性アミロイド種の量を変化させ得るかという問題に取り組んだ。異なるトランスジェニックマウス系統において、本発明者らのこれまでの知見を検証するために、別のADモデルであるTg2576マウスに注射することを選択する。Tg2576マウスは、スウェーデン突然変異を含有する突然変異形態のAPPを過剰発現し、所定の年齢において、APP/PS1マウスよりもはるかに軽度の表現型を示す。16~18月齢の動物コホートに注射したところ、アミロイド沈着物がAAV4-APOE形質導入時に既に存在していた。遺伝子移入から3カ月後、微小透析プローブを海馬に挿入し、サンプルを採取して、ISF内の各APOEバリアントに関連する初期の変化について特徴づけを行った。
[0184]AAV4-APOE4を注射した後、特異的82E1/82E1ELISAアッセイ法を使用して測定したAβオリゴマー種の濃度が、AAV4-APOE2の場合と比較して有意に高かった(42±7%)ことが観察されたが(国際公開第2015/077473号に示す図14)、これは、ApoEの存在が、この細胞外コンパートメントにおけるアミロイド凝集物の性質を調節し得ることを示唆している。更に、ISFにおいてAβ40とAβ42の全体について評価したところ、同じ傾向が観察されたが有意には至らず(国際公開第2015/077473号に示す図17A)、これは、ISF内に異なるApoEアイソフォームが存在する方が、全体的な量よりも、アミロイドペプチドの凝集状態に対して若干大きな影響を及ぼすことを示唆している。
[0185]予想通り、様々なApoEアイソフォームに曝露したTg2576マウスから得た脳の死後生化学的分析により、ApoE4処置動物では、ギ酸画分内のAβ42濃度が有意に増加したことが明らかとなり(国際公開第2015/077473号に示す図17B)、APP/PS1マウスにおける本発明者らの観察結果が第2のトランスジェニックモデルにおいても確認された。
[0186]総合すると、これらの生化学的指標は、Tg2576マウスにおいてApoEが発現すると、APP/PS1マウスで観察された変化と類似した変化が、アミロイド生物学において誘発されることを示唆している。重要なことに、このような神経毒性種がシナプス末端と直接相互作用し得る場合、初期変化が、ISF内のoAβ含有量において観察されている。
実施例4:実施例1~3から導かれる結論
[0187]実施例1~3内の上記試験は国際公開第2015/077473号に記載されており、防御性ApoEアイソフォームをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターをアルツハイマー病動物モデルのCNS中に投与したときのその治療有効性を示している。従って、上記試験は、AAVベクターによりCNSに送達された防御性ApoEアイソフォームはアルツハイマー病の治療法となる、という提案を裏付ける。
実施例5:ApoEを検出するための代表的なアッセイ法
APOE ELISA
[0188]特異的ELISAアッセイ法を、ヒトAPOEタンパク質及び内因性マウスAPOEタンパク質の両方を検出するのに使用した。要するに、ELISAプレートを、1.5μg/mlのヤギ抗APOE抗体(マウスAPOEを検出するため)、又は1.5μg/mlのWUE4抗体(ヒトAPOEを検出するため)を用いて一晩コーティングし、PBS中で希釈した1%脱脂乳を用いて37℃で1.5時間ブロックした。ヒト組換えapoEタンパク質(ヒト特異的アッセイ用、Biovision社)、又は脳抽出物から内作したマウス標準(マウス特異的アッセイ用)を標準として使用し、サンプルをELISAバッファー(PBSに溶解した0.5%BSA及び0.025%ツイーン20)中で希釈し、一晩インキュベートした。洗浄後、ヒトに対して特異的(ヤギ-apoe Millipore;1:10,000)、又はマウスに対して特異的(Abcam ab20874;1:2,000)検出抗体をそれぞれ使用し、その後該当するHRP結合二次抗体と共に1.5時間インキュベーションした。TMB基質を使用してシグナルの顕色を実施した後、H3PO4を使用して溶液を停止した。比色分析結果を450nmで測定した。
Aβの定量化
[0189]Aβ40及びAβ42の濃度を、製造業者の指示に基づき、BNT-77/BA-27(Aβ40用)及びBNT-77/BC-05(Aβ42用)サンドイッチELISA(Wako社)により測定した。捕捉及び検出の両方について同一のN末端(残基1~16)抗体を用いた82E1/82E1サンドイッチELISA(Immuno-Biological Laboratories社)を使用して、Aβオリゴマーを定量した(W. Xiaら、A specificenzyme-linkedimmunosorbent assay for measuring beta-amyloid protein oligomers inhumanplasma and brain tissue of patients with Alzheimer disease. Arch Neurol66, 190(Feb, 2009))。
実施例6:代表的なAAVカプシド配列
AAV-LK03 VP1カプシド(配列番号1):
AAV4-1 VP1カプシドのアミノ酸配列(配列番号2):
AAV4-1 VP2カプシドのアミノ酸配列(配列番号3):
AAV4-1 VP3カプシドのアミノ酸配列(配列番号4):
〔関連出願〕
[0001]本出願は、2016年9月2日出願の米国仮特許出願第62/383,274号の優先権を主張する。掲載されているすべてのテキスト、表、及び配列を含む上記出願の全内容は、参照として本明細書に組み込まれている。