以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る有機EL発光装置1は、有機EL素子4と、有機EL素子4を覆う封止材5とを備える。有機EL発光装置1の構造の第一例を、図1を参照して説明する。この有機EL発光装置1は、トップエミッションタイプである。有機EL発光装置1は、支持基板2、支持基板2と間隔をあけて対向する透明基板3、支持基板2の透明基板3と対向する面の上にある有機EL素子4、及び支持基板2と透明基板3との間に充填されている封止材5とを備える。また、図1に示す例では、有機EL発光装置1は、支持基板2の透明基板3と対向する面及び有機EL素子4を覆うパッシベーション層6を備える。
支持基板2は、例えば樹脂材料から作製されるが、これに限定されない。透明基板3は透光性を有する材料から作製される。透明基板3は、例えば、ガラス製基板又は透明樹脂製基板である。有機EL素子4は有機発光ダイオードとも呼ばれる。有機EL素子4は、例えば一対の電極と、電極間にある有機発光層とを備える。パッシベーション層6は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましい。
有機EL発光装置1の構造の第二例を、図2を参照して説明する。なお、図1に示す第一例と共通する要素については、図1と同じ符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。図2に示す有機EL発光装置1も、トップエミッションタイプである。有機EL発光装置1は、支持基板2、支持基板2と間隔をあけて対向する透明基板3、支持基板2の透明基板3と対向する面の上にある有機EL素子4、及び有機EL素子4を覆う封止材5を備える。
有機EL素子4は、第一例の場合と同様、例えば一対の電極41、43と、電極41、43間にある有機発光層42とを備える。有機発光層42は、例えば正孔注入層421、正孔輸送層422、発光層423及び電子輸送層424を備え、これらの層は前記の順番に積層している。
有機EL発光装置1は複数の有機EL素子4を備え、かつ複数の有機EL素子4が、支持基板2上でアレイ9(以下素子アレイ9という)を構成している。素子アレイ9は、隔壁7も備える。隔壁7は、支持基板2上にあり、隣合う二つの有機EL素子4の間を仕切っている。隔壁7は、例えば感光性の樹脂材料をフォトグラフィ法で成形することで作製される。素子アレイ9は、隣合う有機EL素子4の電極43及び電子輸送層424同士を電気的に接続する接続配線8も備える。接続配線8は、隔壁7上に設けられている。
有機EL発光装置1は、有機EL素子4を覆うパッシベーション層6も備える。パッシベーション層6は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましい。パッシベーション層6は、第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62とを含む。第一パッシベーション層61は素子アレイ9に直接接触した状態で、素子アレイ9を覆うことで、有機EL素子4を覆っている。第二パッシベーション層62は、第一パッシベーション層61に対して、素子アレイ9とは反対側の位置に配置され、かつ第二パッシベーション層62と第一パッシベーション層61との間には間隔があけられている。第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62との間に、封止材5が充填されている。すなわち、有機EL素子4と、有機EL素子4を覆う封止材5との間に、第一パッシベーション層61が介在している。
さらに、第二パッシベーション層62と透明基板3との間に、第二封止材52が充填されている。第二封止材52は、例えば透明な樹脂材料から作製される。第二封止材52の材質は特に制限されない。第二封止材52の材質は、封止材5と同じであっても、異なっていてもよい。
封止材5を、本実施形態に係る紫外線硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)という)から作製することができる。すなわち、組成物(X)は、有機EL素子4のための封止材5を作製するために用いられる。さらに言い換えれば、組成物(X)は、好ましくは封止材作製用の組成物、有機EL素子封止用の組成物、あるいは有機EL発光装置製造用の組成物である。
[組成物(X)]
以下、組成物(X)について説明する。
特開2016−012559号公報に開示されている場合のように封止材5に単に吸湿剤を分散させるだけでは、封止材5の透明性の低下を招いてしまい、有機EL発光装置1の発光効率が低下してしまう。封止材の粒径を小さくすると封止材5の透明性向上が期待できるが、その場合は封止材5を作製するための組成物の粘度が増大してしまい、組成物を成形することが困難になる。組成物に単に低粘度の成分を含有させて低粘度化するだけでは、その成分が組成物から揮発しやすくなり、そのため保管中に組成物の組成が変化しやすくなってしまう。
そこで、本実施形態は、硬化することで透明性と吸湿性とを兼ね備える硬化物になることができ、しかも保存安定性を損なうことなく低粘度化された組成物(X)を提供する。
組成物(X)は、多官能カチオン重合性化合物(A)、カチオン硬化触媒(B)、平均粒径100nm以下の吸湿剤(C)及び単官能カチオン重合性化合物(D)を含有する。単官能カチオン重合性化合物(D)は、リモネンオキシドを含有する。
多官能カチオン重合性化合物(A)は、シロキサン骨格を有さない多官能カチオン重合性化合物(A1)と、シロキサン骨格を有する多官能カチオン重合性化合物(A2)とのうち、いずれか一方又は両方を含有できる。
組成物(X)に紫外線を照射すると、組成物(X)が光カチオン重合反応によって硬化することで、硬化物を作製できる。組成物(X)は、吸湿剤(C)を含有するため、硬化物は優れた吸湿性を有する。また、吸湿剤(C)の平均粒径が100nm以下であるため、硬化物は高い透明性を有することができる。
また、組成物(X)は、単官能カチオン重合性化合物(D)を含有することで、平均粒径が100nm以下という小さい粒径の吸湿剤(C)を含有するにもかかわらず、低い粘度を有することができる。このため、封止材5を作製する際などに組成物(X)を塗布する場合の塗布性が良好である。このため、キャスティング法、インクジェット法などで組成物(X)を塗布することが可能であり、常温下でインクジェット法で組成物(X)を塗布することも可能である。
さらに、リモネンオキシドは、低い粘度を有するわりには、揮発しにくい性質を有する。そのため、単官能カチオン重合性化合物(D)がリモネンオキシドを含有すると、組成物(X)を保存していても、組成物(X)には単官能カチオン重合性化合物(D)の揮発による組成の変化が生じにくい。このため、単官能カチオン重合性化合物(D)がリモネンオキシドを含有することで、組成物(X)の保存安定性を損わずに組成物(X)を低粘度化することができる。
したがって、組成物(X)は、硬化することで透明性と吸湿性とを兼ね備える硬化物になることができ、しかも保存安定性を損なうことなく低粘度化されることができる。
組成物(X)の25℃における粘度は、1〜20mPa・sの範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)を膜状等に成形することが容易であり、キャスティング法、インクジェット法といった方法で組成物(X)を成形することができる。組成物(X)の50℃における粘度が、1〜20mPa・sの範囲内であることも好ましい。この場合、常温における組成物(X)の粘度がいかなる値であっても、組成物(X)を僅かに加熱すれば低粘度化することが可能であり、このため、組成物(X)をインクジェット法で成形することが容易である。また、吸湿剤(C)の平均粒径が100nm以下であるため、組成物(X)をインクジェット法で成形する場合に吸着剤(D)がノズルに詰まりにくい。このような組成物(X)の低い粘度は、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
組成物(X)の、25℃の乾燥アルゴン雰囲気に6時間曝露された場合の重量減少割合は、1重量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)は特に高い保存安定性を有することができる。このような組成物(X)の低い重量減少割合は、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
また、組成物(X)の硬化物は、有機EL発光装置1における封止材5として相応しい十分に高い屈折率を有することが好ましい。例えば硬化物は1.45以上、1.55未満の範囲内の屈折率を有することが好ましい。この場合、硬化物を有機EL発光装置1における封止材5に適用した場合に、封止材5を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を向上できる。このような硬化物の高い屈折率も、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
組成物(X)の表面張力は、20〜40mN/mの範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)をインクジェット法で成形すると、組成物(X)のインクジェットノズルからの吐出精度が良好である。このような表面張力も、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
組成物(X)の硬化物のガラス転移温度、並びに封止材5のガラス転移温度は、120℃以上であることが好ましい。この場合、有機EL発光装置1の使用による封止材5の経時劣化を抑制できる。このような硬化物の高いガラス転移温度も、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって達成可能である。
以上により、組成物(X)を紫外線硬化させて作製される硬化物は、高い透明性と高い吸湿性とを兼ね備えることができ、この硬化物は、有機EL発光装置1における封止材5として好適である。すなわち、組成物(X)から、高い透明性と高い吸湿性とを兼ね備える封止材5を作製できる。
また、有機EL発光装置1が組成物(X)の硬化物からなる封止材5を備えると、封止材5は高い透明性を有するため、有機EL発光装置1の高い光取り出し効率を実現できる。さらに、封止材5は、高い吸湿性を有することができる。そのため、有機EL発光装置1内に水分が侵入しても、水分が封止材5に吸収されるため、有機EL発光装置1への水分の侵入によるダークスポットなどの不良を抑制できる。
以下、組成物(X)の成分について更に詳しく説明する。
組成物(X)中の多官能カチオン重合性化合物(A)に含まれる成分に特に制限はない。多官能カチオン重合性化合物(A)は、上記の通り、多官能カチオン重合性化合物(A1)と多官能カチオン重合性化合物(A2)のうちいずれか一方又は両方を含有してよい。
多官能カチオン重合性化合物(A1)は、シロキサン骨格を有さず、一分子あたり二以上のカチオン重合性官能基を有する。多官能カチオン重合性化合物(A1)の一分子あたりのカチオン重合性官能基の数は2〜4個であることが好ましく、2〜3個であれば更に好ましい。
カチオン重合性官能基は、例えばエポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。
多官能カチオン重合性化合物(A1)は、例えば多官能脂環式エポキシ化合物(A11)、多官能ヘテロ環式エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、アルキレングリコールジグリシジルエーテル、及びアルキレングリコールモノビニルモノグリシジルエーテルからなる群から選択される化合物のうち、少なくとも一種の化合物を含有する。
多官能脂環式エポキシ化合物(A11)は、例えば下記式(1)に示す化合物と下記式(20)に示す化合物とのうち、いずれか一方又は両方を含有する。
式(1)において、R1〜R18の各々は独立に水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましい。炭化水素基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基といった炭素数1〜20のアルキル基;ビニル基、アリル基といった炭素数2〜20のアルケニル基;又はエチリデン基、プロピリデン基といった炭素数2〜20のアルキリデン基である。炭化水素基は、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい。R1〜R18の各々は独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
式(1)において、Xは単結合又は二価の有機基であり、有機基は、例えば−CO−O−CH2−である。
式(1)に示す化合物の例は、下記式(1a)に示す化合物及び下記式(1b)に示す化合物を含む。
式(20)中、R1〜R12の各々は独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基である。ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。炭素数1〜20の炭化水素基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基といった炭素数1〜20のアルキル基;ビニル基、アリル基といった炭素数2〜20のアルケニル基;又はエチリデン基、プロピリデン基といった炭素数2〜20のアルキリデン基である。炭素数1〜20の炭化水素基は、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい。
R1〜R12の各々は独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
式(20)に示す化合物の例は、下記式(20a)に示すテトラヒドロインデンジエポキシドを含む。
多官能ヘテロ環式エポキシ化合物は、例えば下記式(2)に示すような三官能エポキシ化合物を含有する。
多官能オキセタン化合物は、例えば下記式(3)に示すような二官能オキセタン化合物を含有する。
アルキレングリコールジグリシジルエーテルは、例えば下記式(4)〜(7)に示す化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アルキレングリコールモノビニルモノグリシジルエーテルは、例えば下記式(8)に示す化合物を含有する。
より具体的には、多官能カチオン重合性化合物(A1)は、例えばダイセル製のセロキサイド2021P及びセロキサイド8010、日産化学製のTEPIC−VL、東亞合成製のOXT−221、並びに四日市合成製の1,3−PD−DEP、1,4−BG−DEP、1,6−HD−DEP、NPG−DEP及びブチレングリコールモノビニルモノグリシジルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
多官能カチオン重合性化合物(A1)は、多官能脂環式エポキシ化合物(A11)を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)は特に高いカチオン重合反応性を有することができる。
多官能脂環式エポキシ化合物(A11)は、特に式(1)に示す化合物及び式(20)に示す化合物のうち、いずれか一方又は両方を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)はより高いカチオン重合反応性を有することができる。
多官能脂環式エポキシ化合物(A11)が式(1)に示す化合物を含有する場合、式(1)に示す化合物は、式(1a)に示す化合物を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)は、より高いカチオン重合反応性を有するとともに、特に低い粘度を有することができる。
また、特に式(20)に示す化合物は、低い粘度を有するため、式(20)に示す化合物を含有する場合、組成物(X)は、良好な紫外線硬化性を有することができるとともに、特に低い粘度を有することができる。さらに、式(20)に示す化合物は、低い粘度を有するわりには、揮発しにくい性質を有する。そのため、組成物(X)が式(20)に示す化合物を含有しても、組成物(X)には、式(20)に示す化合物の揮発による組成の変化が生じにくい。このため、組成物(X)は、式(20)に示す化合物を含有することで、保存安定性を損なうことなく低粘度化されうる。
式(20)に示す化合物は、例えばテトラヒドロインデン骨格を有する環状オレフィン化合物を、酸化剤を用いて酸化することで合成できる。
式(20)に示す化合物は、2つのエポキシ環の立体配置に基づく4つの立体異性体を含みうる。式(20)に示す化合物は、4つの立体異性体のいずれを含んでもよい。すなわち、式(20)に示す化合物は、4つの立体異性体からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。式(20)に示す化合物中における、4つの立体異性体のうちのエキソ−エンド体とエンド−エンド体の合計量の割合は、エポキシ化合物(A1)全体に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であれば更に好ましい。この場合、硬化物の耐熱性を向上できる。なお、式(20)に示す化合物中の特定の立体異性体の割合は、ガスクロマトグラフィーで得られるクロマトグラムに現れるピーク面積比に基づいて、求めることができる。
式(20)に示す化合物中のエキソ−エンド体及びエンド−エンド体の量を少なくするためには、式(20)に示す化合物を精密蒸留する方法、シリカゲルなどを充填剤として用いたカラムクロマトグラフィーを適用する方法といった、適宜の方法を適用できる。
組成物(X)が多官能カチオン重合性化合物(A1)を含有する場合、樹脂成分全量に対する多官能カチオン重合性化合物(A1)の割合は、5〜95質量%の範囲内であることが好ましい。なお、樹脂成分とは、組成物(X)中のカチオン重合性を有する化合物のことをいい、多官能カチオン重合性化合物(A)及び単官能カチオン重合性化合物(D)を含む。多官能カチオン重合性化合物(A1)の割合が5質量%以上であれば組成物(X)は光カチオン重合反応時に特に優れた反応性を有することができ、またそれによって、硬化物が高い強度(硬度)を有することができる。また、多官能カチオン重合性化合物(A1)の割合が95質量%以下であれば、組成物(X)中で吸湿剤(C)を特に均一に分散させやすくできる。この多官能カチオン重合性化合物(A1)の割合は、12質量%以上であればより好ましく、15質量%以上であれば更に好ましく、20質量%以上であれば更に好ましく、25質量%以上であれば特に好ましい。またこの多官能カチオン重合性化合物(A1)の割合は、85質量%以下であればより好ましく、60質量%以下であれば更に好ましい。例えば多官能カチオン重合性化合物(A1)の割合が20〜60質量%の範囲内であることが好ましい。
多官能カチオン重合性化合物(A1)が多官能脂環式エポキシ化合物(A11)を含有する場合、多官能脂環式エポキシ化合物(A11)は、多官能カチオン重合性化合物(A1)の一部であってもよく、全部であってもよい。多官能カチオン重合性化合物(A1)に対する、多官能脂環式エポキシ化合物(A11)の割合は、15〜100質量%の範囲内であることが好ましい。この割合が15質量%以上であると、多官能脂環式エポキシ化合物(A11)は組成物(X)の紫外線硬化性の向上に特に寄与できる。
多官能カチオン重合性化合物(A2)は、シロキサン骨格と、一分子あたり二以上のカチオン重合性官能基とを有する。多官能カチオン重合性化合物(A2)の一分子あたりのカチオン重合性官能基の数は、2〜6個であることが好ましく、2〜4個であれば更に好ましい。多官能カチオン重合性化合物(A2)は、組成物(X)のカチオン重合反応性の向上に寄与できるとともに、硬化物及び封止材5の耐熱変色性の向上に寄与できる。封止材5の耐熱変色性が高いと、封止材5を備える有機EL発光装置1の発光強度の経時劣化及び発光色の経時変化を抑制できる。また、多官能カチオン重合性化合物(A2)は硬化物及び封止材5の低弾性率化にも寄与することができ、このため、封止材5を備える有機EL発光装置1にフレキシブル性を付与することも可能である。また、多官能カチオン重合性化合物(A2)は組成物(X)中及び硬化物中の吸湿剤(C)の分散性の向上に寄与できる。このため、たとえ吸湿剤(C)に分散性向上のための表面処理などを施さない場合であっても、組成物(X)中及び硬化物中において、吸湿剤(C)が良好に分散できる。
多官能カチオン重合性化合物(A2)は、25℃で液体であることが好ましい。特に多官能カチオン重合性化合物(A2)の25℃における粘度は、10〜300mPa・sの範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)の粘度上昇を抑制できる。
多官能カチオン重合性化合物(A2)が有するカチオン重合性官能基は、例えばエポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。
多官能カチオン重合性化合物(A2)が有するシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。シロキサン骨格が有するSi原子の数は、2〜14の範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)は特に低い粘度を有することができる。このSi原子の数は、2〜10の範囲内であればより好ましく、2〜7の範囲内であれば更に好ましく、3〜6の範囲内であれば特に好ましい。
多官能カチオン重合性化合物(A2)は、例えば式(10)に示す化合物と、式(11)に示す化合物とのうち、少なくとも一方を含有する。
式(10)及び式(11)の各々におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、アルキレン基であることが好ましい。Yはシロキサン骨格であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよく、そのSi原子の数は2〜14の範囲内の範囲内であることが好ましく、2〜10の範囲内であることがより好ましく、2〜7の範囲内であれば更に好ましく、3〜6の範囲内であれば特に好ましい。nは2以上の整数であり、2〜4の範囲内であることが好ましい。
より具体的には、例えば多官能カチオン重合性化合物(A2)は、次の式(10a)に示す化合物を含有する。
式(10a)におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。式(10a)におけるnは0以上の整数である。nは、0〜12の範囲内であることが好ましく、0〜8の範囲内であることがより好ましく、0〜5の範囲内であれば更に好ましく、1〜4の範囲内であれば特に好ましい。
式(10a)に示す化合物は、下記式(30)に示す化合物を含有することが好ましい。すなわち、多官能カチオン重合性化合物(A2)は、下記式(30)に示す化合物を含有することが好ましい。
式(30)中、nは0以上の整数であり、0〜12の範囲内であることが好ましく、0〜8の範囲内であることがより好ましく、0〜5の範囲内であれば更に好ましく、1〜4の範囲内であれば特に好ましい。
式(30)に示す化合物の例は、下記式(10a−1)に示す化合物を含む。
多官能カチオン重合性化合物(A2)は、式(10a)に示す化合物に代えて、或いは式(10a)に示す化合物とともに、次の式(10b)〜(10d)並びに(11a)〜(11b)に示す化合物のうち少なくとも一種の化合物を含有してもよい。
式(10d)におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。式(10d)におけるnは0以上の整数である。式(10d)におけるmは2以上の整数である。
式(11a)におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。式(11a)におけるnは0以上の整数であり、8〜80の範囲内であることが好ましい。式(11a)におけるmは2以上の整数であり、2〜6の範囲内であることが好ましい。
式(11b)におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。式(11b)におけるnは0以上の整数であり、8〜80の範囲内であることが好ましい。
より具体的には、多官能カチオン重合性化合物(A2)は、例えば信越化学株式会社製の品番X−40−2669、X−40−2670、X−40−2715、X−40−2732、X−22−169AS、X−22−169B、X−22−2046、X−22−343、X−22−163、及びX−22−163Bからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。
多官能カチオン重合性化合物(A2)は脂環式エポキシ構造を有することが好ましく、多官能カチオン重合性化合物(A2)が式(10a)に示す化合物を含有すれば特に好ましい。式(10a)に示す化合物は、組成物(X)のカチオン重合反応性の向上と低粘度化とに特に寄与できるとともに、硬化物及び封止材5の耐熱変色性の向上及び低弾性率化に特に寄与できる。組成物(X)が吸湿剤(C)を含有する場合は組成物(X)中の吸湿剤(C)の分散性向上にも特に寄与できる。
組成物(X)が多官能カチオン重合性化合物(A2)を含有する場合、樹脂成分全量に対する多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合は、5〜95質量%の範囲内であることが好ましい。多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合が5質量%以上であれば、特に組成物(X)が吸湿剤(C)を含有する場合に、組成物(X)中及び硬化物中での吸湿剤(C)の分散性が特に向上することで、硬化物の透明性が特に向上する。また、多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合が95質量%以下であれば、組成物(X)が特に高い光カチオン重合反応性を有することができ、そのため、硬化物は特に高い強度(硬度)を有することができる。この多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合は、6質量%以上であればより好ましく13質量%以上であれば更に好まく、20質量%以上であれば特に好ましい。また、この多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合は、70質量%以下であればより好ましく、この場合、硬化物を高屈折率化できる。多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合は、45質量%以下であれば更に好ましい。例えば多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合が20〜70質量%の範囲内であることが好ましい。
カチオン硬化触媒(B)は、光照射を受けてプロトン酸又はルイス酸を発生する触媒であれば、特に制限されない。カチオン硬化触媒(B)は、イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒と、非イオン性光酸発生剤のカチオン硬化触媒とのうち、少なくとも一方を含有できる。
イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒は、オニウム塩類と有機金属錯体とのうち少なくとも一方を含有できる。オニウム塩類の例は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、及び芳香族スルホニウム塩を含む。有機金属錯体の例は、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、及びアリールシラノール−アルミニウム錯体を含む。イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒は、これらの成分のうち少なくとも一種の成分を含有できる。
非イオン性光酸発生剤のカチオン硬化触媒は、例えばニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、及びN−ヒドロキシイミドホスホナートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
カチオン硬化触媒(B)が含有できる化合物のより具体的な例は、みどり化学製のDPIシリーズ(105,106、109、201など)、BI−105、MPIシリーズ(103、105、106、109など)、BBIシリーズ(101、102、103、105、106、109、110、200、210、300、301など)、TSPシリーズ(102、103、105、106、109、200、300、1000など)、HDS−109、MDSシリーズ(103、105、109、203、205、209など)、BDS−109、MNPS−109、DTSシリーズ(102、103、105、200など)、NDSシリーズ(103、105、155、165など)、DAMシリーズ(101、102、103、105、201など)、SIシリーズ(105、106など)、PI−106、NDIシリーズ(105、106、109、1001、1004など)、PAIシリーズ(01、101、106、1001、1002、1003、1004など)、MBZ−101、PYR−100、NBシリーズ(101、201など)、NAIシリーズ(100、1002,1003、1004、101、105、106、109など)、TAZシリーズ(100、101、102、103、104、107、108、109、110、113、114、118、122、123、203、204など)、NBC−101、ANC−101、TPS−Acetate、DTS−Acetate、Di−Boc Bisphinol A、tert−Butyl lithocholate、tert−Butyl deoxycholate、tert−Butyl cholate、BX、BC−2、MPI−103、BDS−105、TPS−103、NAT−103、BMS−105、及びTMS−105;
米国ユニオンカーバイド社製のサイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、及びサイラキュアUVI−950;
BASF社製のイルガキュア250、イルガキュア261及びイルガキュア264;
チバガイギー社製のCG−24−61;
株式会社ADEKA製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−151、アデカオプトマーSP−170及びアデカオプトマーSP−171;
株式会社ダイセル製のDAICAT II;
ダイセル・サイテック株式会社製のUVAC1590及びUVAC1591;
日本曹達株式会社製のCI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758、及びCIT−1682;
ローディア社製のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トルイルクミルヨードニウム塩であるPI−2074;
3M社製のFFC509;
米国Sartomer社製のCD−1010、CD−1011及びCD−1012;
サンアプロ株式会社製のCPI−100P、CPI−101A、CPI−110P、CPI−110A及びCPI−210S;並びに
ダウ・ケミカル社製のUVI−6992及びUVI−6976を、含む。カチオン硬化触媒(B)は、これらの化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
樹脂成分全量に対するカチオン硬化触媒(B)の割合は、1〜4質量%の範囲内であることが好ましい。この割合が1質量%以上であることで、組成物(X)は特に良好なカチオン重合反応性を有することができる。また、この割合が4質量%以下であることで、組成物(X)は良好な保存安定性を有することができ、また過剰なカチオン硬化触媒(B)を含有しないことで製造コスト削減が可能である。
吸湿剤(C)は、吸湿性を有する無機粒子であることが好ましく、例えばゼオライト粒子、シリカゲル粒子、塩化カルシウム粒子、及び酸化チタンナノチューブ粒子からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。吸湿剤(C)がゼオライト粒子を含有することが特に好ましい。
平均粒径100nm以下のゼオライト粒子は、例えば一般的な工業的用ゼオライトを粉砕することで製造できる。ゼオライトを粉砕してから水熱合成などによって結晶化させてもよく、この場合、ゼオライト粒子は特に高い吸湿性を有することができる。このようなゼオライト粒子の製造方法は、特開2016−69266号公報、特開2013−049602号公報などにより公知である。
平均粒径100nm以下のゼオライト粒子の製造方法の一具体例を示す。まず、ゼオライト粉を準備する。ゼオライト粉はLTA型(A型ゼオライト)などのナトリウムを含むゼオライトであることが好ましいが、これに限られない。このゼオライト粉を物理粉砕する。例えばゼオライト粉を水と混合してスラリーを調製し、このスラリーをビーズミル粉砕機にかけることで、ゼオライト粉を物理粉砕できる。
続いて、水熱合成によりゼオライト粉を結晶化させる。例えば物理粉砕後のゼオライト粉を含むスラリーを、オートクレーブで加熱することで、水熱合成を行うことができる。水熱合成の条件は、例えば加熱温度150〜200℃の範囲内、加熱時間15〜24時間の範囲内である。
続いて、ゼオライト粉を乾燥する。乾燥温度は例えば150〜200℃の範囲内であり、乾燥時間は例えば2〜3時間の範囲内である。続いて、必要に応じ、乾燥後のゼオライト粉を乳鉢などを用いて解砕してから篩いにかけることで粒径を整える。
続いて、必要に応じ、ゼオライト粉にイオン交換処理を施す。特にゼオライト粉がLTAなどのナトリウムを含むゼオライトである場合は、ゼオライト粉中のナトリウムをマグネシウムと交換するイオン交換処理を施すことが好ましい。
イオン交換処理は、例えばゼオライト粉を、マグネシウムイオンを含有する水溶液中に分散させて混合物を調製し、この混合物を加熱することで行われる。より具体的には、イオン交換処理は例えば次のように行われる。まずゼオライト粉を、塩化マグネシウム及び水と混合し、得られた混合物を加熱しながら撹拌する処理をする。この処理の間、撹拌を一時的に停止してから混合物の上澄みを捨て、続いて混合物に水を補充してから撹拌を再開するという操作を、適当な間隔をあけて複数回繰り返すことが好ましい。この処理における加熱温度は40〜80℃の範囲内、処理時間は6〜8時間の範囲内であることが好ましい。
イオン交換処理を施した場合、続いて、ゼオライト粉を乾燥する。乾燥温度は例えば150〜200℃の範囲内であり、乾燥時間は例えば2〜3時間の範囲内である。続いて、必要に応じ、乾燥後のゼオライト粉を乳鉢などを用いて解砕してから篩いにかけることで粒径を整える。
これにより、平均粒径100nm以下のゼオライト粒子を得ることができる。
ゼオライト粉の結晶化を、シリケート及びアルカリ金属酸化物の存在下で行うこともできる。その場合の平均粒径100nm以下のゼオライト粒子の製造方法の具体例を示す。まず、ゼオライト粉を準備する。ゼオライト粉は、aM12O・bSiO2・Al2O3・cMeの組成を有することが好ましい。M1はアルカリ金属、プロトン、又はアンモニウムイオン(NH4 +)であり、Meはアルカリ土類金属であり、aは0.01〜1の範囲内の数であり、bは20〜80の範囲内の数であり、cは0〜1の範囲内の数である。ゼオライト粉は、例えばFAU型、CHA型、BEA型、MFI型、MOR型、又はFER型であってよい。
このゼオライト粉を物理粉砕する。例えばゼオライト粉をビーズミル粉砕機にかけることで、ゼオライト粉を物理粉砕できる。
物理粉砕後のゼオライト粉を、M22O、SiO2及びH2Oを含有する溶液に分散させ
、スラリーを調製する。M2はアルカリ金属であり、好ましくはK又はNaである。M22O/H2Oのモル比は例えば0.003〜0.01の範囲内であり、SiO2/H2Oのモル比は例えば0.006〜0.025である。ゼオライト粉の量は、例えば溶液100mlに対して0.5〜10gである。
このスラリーをオートクレーブで加熱することで、ゼオライト粉の結晶化を行うことができる。その条件は、例えば加熱温度100〜230℃の範囲内、加熱時間1〜24時間の範囲内である。続いて、ゼオライト粉を洗浄してから乾燥させる。
これにより、平均粒径100nm以下のゼオライト粒子を得ることができる。
ゼオライト粒子のpHは6〜9の範囲内であることが好ましい。ゼオライト粒子のpHが6以上であると、ゼオライト粒子の結晶が破壊されにくくなり、そのためゼオライト粒子を含有する組成物(X)から作製された封止材が特に高い吸湿性を有することができる。また、ゼオライト粒子のpHが9以下であると、組成物(X)を硬化させる場合にゼオライト粒子が硬化を阻害しにくい。ゼオライト粒子のpHが6〜8の範囲内であればより好ましく、6.5〜8の範囲内であれば更に好ましい。
なお、ゼオライト粒子のpHは、イオン交換水99.95gにゼオライト粒子0.05gを入れて得られた分散液を、90℃で24時間加熱してから、分散液の上澄みのpHをpH測定器で測定することで得られる値である。pH測定器としては、例えば堀場製作所製のコンパクトpHメータ<LAQUAtwin>B−711を用いることができる。
ゼオライト粒子のpHが6〜9の範囲内であるためには、ゼオライト粒子が、カウンターカチオンとしてプロトンを有するFAU Y型のゼオライトからなることが好ましい。
ゼオライト粒子を作製する過程において、ゼオライトの水熱合成を行う場合に、pHの調整のための処理を施してもよい。pHの調整のための処理は、例えば水熱合成のために調製されたゼオライト粉を含むスラリーを加熱する前、スラリーの加熱中、又はスラリーの加熱後に行われる。pHの調整は、例えばスラリーに酸を添加することで行われる。酸は、例えば塩酸、硫酸、硝酸といった無機酸と、ギ酸、酢酸、シュウ酸といった有機酸とからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
吸湿剤(C)の平均粒径は、10〜100nmの範囲内であることが好ましい。この平均粒径が100nm以下であれば、硬化物は特に高い透明性を有することができる。また、この平均粒径が10nm以上であれば、吸湿剤(C)の良好な吸湿性を維持できる。なお、この平均粒径は、動的光散乱法による測定結果から算出されるメディアン径、すなわち累積50%径(D50)である。なお、測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社のナノトラックNanotrac Waveシリーズを用いることができる。
吸湿剤(C)の平均粒径が5〜70nmの範囲内であれば特に好ましい。この場合、硬化物は、特に良好な透明性と吸湿性とを有することができる。
吸湿剤(C)の累積90%径(D90)が100nm以下であることも好ましい。この場合、硬化物は特に高い透明性を有することができる。
組成物(X)の全量に対する吸湿剤(C)の割合は、1〜20質量%の範囲内であることが好ましい。吸湿剤(C)の割合が1質量%以上であれば硬化物は特に高い吸湿性を有することができる。また、吸湿剤(C)の割合が20質量%以下であれば組成物(X)の粘度を特に低減でき、組成物(X)がインクジェット法により塗布可能な程度の十分な低粘度を有することもできる。吸湿剤(C)の割合は、1〜20質量%の範囲内であればより好ましく、5〜15質量%の範囲内であれば更に好ましく、3〜13質量%の範囲内でれば特に好ましい。
単官能カチオン重合性化合物(D)は、カチオン重合性官能基を一分子に対して一つのみ有する。カチオン重合性官能基は、例えばエポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。
上記の通り、本実施形態では、単官能カチオン重合性化合物(D)がリモネンオキシドを含有する。リモネンオキシドは、単官能カチオン重合性化合物(D)が含有しうる成分のなかでは、沸点が高く、揮発性が低いため、組成物(X)の粘度の経時的な上昇を効果的に抑制できる。そのため、組成物(X)は、長期間保存された場合でも、良好な塗布性を有することができ、良好なインクジェット塗布性を維持することも可能である。単官能カチオン重合性化合物(D)がリモネンオキシドのみを含有してもよい。リモネンオキシドの光化学活性に特に制限はないが、リモネンオキシドは例えば(+)−リモネンオキシドを含有し、或いは(+)−リモネンオキシドのみからなるものであってもよい。
単官能カチオン重合性化合物(D)は、リモネンオキシド以外の化合物(以下、化合物(E1)という)を含有してもよい。化合物(E1)の25℃における粘度は8mPa・s以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)が溶媒を含有しなくても、単官能カチオン重合性化合物(D)は組成物(X)の粘度を低減できる。特に化合物(E1)の25℃における粘度は、0.1〜8mPa・sの範囲内であることが好ましい。
化合物(E1)は、例えば下記式(12)〜(17)に示す化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
化合物(E1)は、特に上記式(16)で示される化合物を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)の低粘度化が可能である。さらに、式(16)で示される化合物は、化合物(E1)が含有しうる成分のなかでは、沸点が高く、揮発性が低いため、組成物(X)の粘度の経時的な上昇を効果的に抑制できる。そのため、組成物(X)は、長期間保存された場合でも、良好な塗布性を有することができ、良好なインクジェット塗布性を維持することも可能である。
樹脂成分全量に対する単官能カチオン重合性化合物(D)の割合は、5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。単官能カチオン重合性化合物(D)の割合が5質量%以上であれば組成物(X)の粘度を特に低減できる。また、単官能カチオン重合性化合物(D)の割合が50質量%以下であれば、組成物(X)は光カチオン重合反応時に特に優れた反応性を有することができ、またそれによって、硬化物が高い強度(硬度)を有することができる。この単官能カチオン重合性化合物(D)の割合は、10質量%以上であればより好ましく、15質量%以上であれば更に好ましい。また、この単官能カチオン重合性化合物(D)の割合は、40質量%以下であればより好ましく、35質量%以下であれば更に好ましく、30質量%以下であれば特に好ましい。単官能カチオン重合性化合物(D)の割合が特に35質量%以下であれば、組成物(X)を保管している間の組成物(X)中の成分の揮発量を効果的に低減でき、そのため組成物(X)を長期間保存しても組成物(X)の特性が損なわれにくい。さらに、硬化物にタックが生じることを特に抑制できる。例えば単官能カチオン重合性化合物(D)の割合が10〜35質量%の範囲内であることが好ましい。
単官能カチオン重合性化合物(D)全体に対するリモネンオキシドの割合は、50〜100質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)の粘度の経時的な上昇を特に効果的に抑制できる。リモネンオキシドの割合は、75〜100質量%の範囲内であれば更に好ましい。
また、特に組成物(X)が多官能カチオン重合性化合物(A11)と多官能カチオン重合性化合物(A2)とを含有する場合、樹脂成分全量に対して、多官能カチオン重合性化合物(A11)の割合は、30〜60質量%の範囲内、多官能カチオン重合性化合物(A2)の割合は15〜30質量%の範囲内、単官能カチオン重合性化合物(D)の割合は15〜40質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)の良好な保存安定性と低い粘度と良好なカチオン重合反応性とをバランス良く達成でき、更に硬化物の優れた透明性、優れた吸湿性及び高い屈折率をバランス良く達成できる。
組成物(X)は増感剤(E)を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)は特に高いカチオン重合反応性を有することができる。増感剤(E)は、例えば9,10−ジブトキシアントラセン及び9,10−ジエトキシアントラセンのうちいずれか一方又は両方を含有する。樹脂成分全量に対する増感剤(E)の割合は、0質量%より多く、1質量%以下の範囲内であることが好ましい。この場合、増感剤(E)が硬化物の透明性を阻害しにくく、そのため硬化物は良好な透明性を有することができる。
組成物(X)は、分散剤(F)を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)中の吸湿剤(C)の分散性を更に向上できるとともに、組成物(X)の粘度を更に低減できる。
分散剤(F)は、例えば金属石鹸とシランカップリング剤とのうち少なくとも一方を含有できる。
シランカップリング剤は、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、アミンシラン、及びアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
分散剤(F)は非アミン系であることが好ましい。アミン系の分散剤は、光カチオン重合を阻害するおそれがあるからである。このため、分散剤(F)は、上記のアミンシランを含有してもよいが、含有しない方がより好ましい。
シランカップリング剤は、エポキシシランを含有することが好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと8−グリシドキシオクチルトリメトキシシランとのうち少なくとも一方を含有することがより好ましい。
分散剤(F)の割合は、フィラーの全量に対して20質量%以上であることが好ましい。この場合、吸湿剤(C)の分散性を特に向上するとともに組成物(X)の粘度を特に低減できる。分散剤(F)の割合が、フィラーの量に対して40質量%以下であることも好ましい。この場合、組成物(X)からのアウトガスの発生を抑制し、硬化物とガラス製基板などとの密着性を高めることができる。分散剤(F)の割合は、フィラーの全量に対して20〜40質量%の範囲内であればより好ましく、25〜35質量%の範囲内であれば更に好ましい。なお、フィラーとは、組成物(X)中の無機質粒子のことであり、吸湿剤(C)を含む。組成物(X)が後述する吸湿剤(C)以外の無機充填材を含有する場合には、フィラーは無機充填材も含む。
組成物(X)は、吸湿剤(C)以外の無機充填材を含有してもよい。特に、組成物(X)は、ナノサイズの高屈折率粒子を含有することが好ましい。高屈折率粒子の例はジルコニア粒子を含む。組成物(X)が高屈折率粒子を含有すると、硬化物の良好な透明性を維持しながら、硬化物を高屈折率化することができる。そのため、硬化物を有機EL発光装置1における封止材5に適用した場合に、封止材5を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を向上することができる。高屈折率粒子の平均粒径は、5〜30nmの範囲内であることが好ましく、10〜20nmの範囲内であれば更に好ましい。
組成物(X)中の高屈折率粒子の割合は、硬化物が所望の屈折率を有するように適宜設計される。特に高屈折率粒子は、硬化物の屈折率が1.45以上、1.55未満の範囲内になるように組成物(X)に含有されることが好ましい。この場合、有機EL発光装置1の光の取り出し効率が特に向上する。
組成物(X)は、溶剤を含有しないことが好ましい。この場合、組成物(X)から硬化物を作製する際に組成物(X)を乾燥させて溶剤を揮発させるような必要がなくなる。
上述の成分を混合することで、組成物(X)を調製できる。組成物(X)は25℃で液状であることが好ましい。
組成物(X)の硬化物の厚み寸法が10μmである場合の、硬化物の全光透過率は、90%以上であることが好ましい。この場合、硬化物を有機EL発光装置1における封止材5に適用した場合に、封止材5を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を特に向上できる。このような硬化物の高い光透過性は、上述の組成物(X)の組成、特に組成物(X)が平均粒径100nm以下の吸湿剤(C)を含有することで、達成可能である。
硬化物の吸湿率は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であればより好ましく、2質量%以上であれば最も好ましい。なお、吸湿率は、次の方法で求められる。Ar雰囲気下で、組成物(X)を塗布してから紫外線を照射することで、厚み10μmのフィルムを作製する。紫外線照射条件は、例えば紫外線のピーク波長365nm、紫外線強度3000mW/cm2、紫外線照射時間10秒間である。このフィルムを、例えば真空乾燥器を用いて、加熱温度120℃、加熱時間3時間の条件で、真空乾燥する。乾燥後のフィルムの質量を測定する。この測定結果を初期質量(M0)とする。続いて、フィルムを十分に吸湿させる。そのために、例えばフィルムを85℃、85%RHの条件下に24時間曝露する。吸湿後のフィルムの質量を測定する。この測定結果を吸湿後質量(M)という。これらの初期質量(M0)及び吸湿後質量(M)から、吸湿率を、(M−M0)/M0×100(質量%)の式で算出できる。
硬化物は、窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間で高い密着性を有することができる。窒化ケイ素及び酸化ケイ素は有機EL発光装置1におけるパッシベーション層6の材料として使用されることがある。このため、パッシベーション層6が窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されている場合、封止材5とパッシベーション層6との密着性を向上することができ、このため有機EL発光装置1の信頼性が向上する。多官能カチオン重合性化合物(A)がエポキシ基を有する場合、硬化物は窒化ケイ素及び酸化ケイ素との特に高い密着性を有することができる。
[封止材の作製方法及び有機EL発光装置の作製方法]
組成物(X)を用いる封止材5の作製方法及び有機EL発光装置1の作製方法について説明する。
本実施形態では、組成物(X)をインクジェット法により成形してから、組成物(X)に紫外線を照射して硬化することで、封止材5を作製することが好ましい。本実施形態では、インクジェット法で組成物(X)を塗布して成形することが可能である。
組成物(X)をインクジェット法で塗布するに当たっては、組成物(X)が常温で十分に低い粘度を有する場合には、組成物(X)を加熱せずにインクジェット法で塗布することで成形できる。
組成物(X)が加熱されることで低粘度化する性質を有する場合、組成物(X)を加熱してから組成物(X)をインクジェット法で塗布して成形してもよい。組成物(X)の50℃における粘度が1mPa・s以上30mPa・s以下である場合、組成物(X)を加熱して低粘度化させてから、組成物(X)をインクジェット法で吐出することが好ましい。組成物(X)の加熱温度は、例えば20℃以上70℃以下である。
図1に示す第一例の有機EL発光装置1の作製方法について説明する。まず、支持基板2を準備する。この支持基板2の一面上に、有機EL素子4を設ける。有機EL素子4は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に有機EL素子4をインクジェット法などの塗布法で作製することが好ましい。
次に、パッシベーション層6を設ける。パッシベーション層6は、例えば蒸着法で作製できる。
次に、支持基板2の一面及び有機EL素子4を覆うように組成物(X)を塗布する。なお、パッシベーション層6を設けている場合にはパッシベーション層6を覆うように組成物(X)を塗布する。組成物(X)を塗布する方法は、例えばキャスティング法又はインクジェット法である。本実施形態では組成物(X)の低粘度化が可能であるため、インクジェット法で組成物(X)を塗布することが可能である。有機EL素子4の形成と組成物(X)の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、有機EL発光装置1の製造効率を特に向上できる。
次に、透明基板3を組成物(X)に重ねる。透明基板3は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。
次に外部から透明基板3へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板3を透過して組成物(X)へ到達する。これにより、組成物(X)内でカチオン重合反応が進行して組成物(X)が硬化し、硬化物からなる封止材5が作製される。封止材5の厚みは例えば5〜50μmの範囲内である。
図2に示す第二例の有機EL発光装置1の作製方法について説明する。
まず、支持基板2を準備する。この支持基板2の一面上に隔壁7を、例えば感光性の樹脂材料を用いてフォトグラフィ法で作製する。続いて、支持基板2の一面上に複数の有機EL素子4を設ける。有機EL素子4は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に有機EL素子4を、インクジェット法といった塗布法で作製することが好ましい。これにより、支持基板2に素子アレイ9を作製する。
次に、素子アレイ9の上に第一パッシベーション層61を設ける。第一パッシベーション層61は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、第一パッシベーション層61の上に組成物(X)を、例えばインクジェット法で成形して、塗膜を作製する。有機EL素子4の形成と組成物(X)の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、有機EL発光装置1の製造効率を特に向上できる。続いて、塗膜に紫外線を照射することで硬化させて、封止材5を作製する。封止材5の厚みは例えば5μm以上50μm以下である。
次に、封止材5の上に第二パッシベーション層62を設ける。第二パッシベーション層62は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、支持基板2の一面上に、第二パッシベーション層62を覆うように、紫外線硬化性の樹脂材料を設けてから、この樹脂材料に透明基板3を重ねる。透明基板3は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。
次に外部から透明基板3へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板3を透過して紫外線硬化性の樹脂材料へ到達する。これにより、紫外線硬化性の樹脂材料が硬化し、第二封止材52が作製される。
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、本発明は実施例のみに制限されない。
1.組成物の調製
下記表1及び表2の「組成」の欄に示す成分を混合することで、実施例及び比較例の組成物を調製した。
なお、表1及び表2中に示される成分の詳細は次の通りである。また、下記の各成分の粘度はレオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR−2)を使用し、温度25℃、せん断速度100s-1の条件で測定された値である。
(1)シロキサン骨格を有さない多官能カチオン重合性化合物
・セロキサイド8010:ダイセル製、品名セロキサイド8010、式(1a)に示す化合物、比重1.11、粘度60mPa・s。
mPa・s、屈折率1.5071。
・THI−DE:JXエネルギー株式会社製、品番THI−DE、式(20a)に示す化合物、沸点260℃、比重1.18、粘度20mPa・s。
屈折率154.7。
・OXT−221:東亞合成製、品番OXT−221、式(3)に示す化合物、比重0.998、粘度10mPa・s、屈折率1.4538。
(2)シロキサン骨格を有する多官能カチオン重合性化合物
・X−40−2669:信越化学製、品番X−40−2669、式(10a−1)に示す化合物、比重0.996、粘度55mPa・s。
屈折率1.475。
・X−40−2732:信越化学製、品番X−40−2732、式(10a)に示す化合物(n=1〜4の混合物、R=C2H4)、比重0.996、粘度20mPa・s、屈折率1.4512。
・X−22−169AS:信越化学製、品番X−22−169AS、式(10a)に示す化合物(n=8、R=C2H4)、比重0.98、粘度25mPa・s。
(3)カチオン硬化触媒
・CPI210S:サンアプロ製、品番CPI210S、トリアリールスルホニウム塩、融点72℃、沸点300℃以上。
(4)吸湿剤
(4−1)ゼオライト粒子1
ゼオライト粒子1は下記の方法で製造され、そのD50は20nm、そのD90は50nm、そのpHは11である。
出発物質のゼオライト粉として平均粒径5μmの4A型ゼオライト・ナトリウムイオンを用意し、このゼオライト粉100gとイオン交換水100gとを混合してスラリーを調製した。
このスラリーに粒径100μmのジルコニアビーズ400gを入れてから、ビーズミル粉砕機でスラリー中のゼオライト粉を3時間粉砕することで、Na系ゼオライトの平均粒径を120nmにした。このときのスラリー流量は10kg/h、スラリー粘度は10mPa・sである。
続いて、スラリーから粒径100μmのジルコニアビーズを取り除き、それに代えて粒径50μmのジルコニアビーズ400gを入れてから、ビーズミル粉砕機でスラリー中のNa系ゼオライトを1時間粉砕することで、ゼオライト粉の平均粒径を70nmにした。このときのスラリー流量は10kg/h、スラリー粘度は6mPa・sである。
続いて、スラリーから粒径50μmのジルコニアビーズを取り除き、それに代えて粒径30μmのジルコニアビーズ450gを入れてから、ビーズミル粉砕機でスラリー中のゼオライト粉を1時間粉砕することで、ゼオライト粉の平均粒径を20nmにした。このときのスラリー流量は10kg/h、スラリー粘度は4mPa・sである。
ビーズミル粉砕機で処理されたスラリー中のゼオライト粉に、次の方法で水熱合成処理を施した。スラリー50gをフッ素樹脂製容器に入れ、このフッ素樹脂製容器を、オートクレーブのステンレススチール製(SUS316製)容器に入れた。ステンレススチール製容器は、容量100cc、耐熱温度200℃、耐圧力50MPaであり、安全弁を備えた蓋により密閉される密閉構造を有する。このステンレススチール製容器を乾燥機に配置して密閉し、180℃で24時間加熱した。次に、乾燥機からステンレススチール製容器を取り出し、これを常温の水の中に入れることで急冷した。
ステンレススチール製容器からフッ素樹脂製容器を取り出し、これをバットに入れて、180℃の温度下で2〜3時間放置することで、フッ素樹脂製容器内のスラリーを乾燥した。これにより、微粉砕されたゼオライト粉を得た。このゼオライト粉をフッ素樹脂製容器から取り出し、乳鉢で解砕してから、メッシュを通過させることで粒度を整えることで、ゼオライト粒子1を得た。
(4−2)ゼオライト粒子2
ゼオライト粒子2は、下記の方法で製造され、そのD50は150nm、そのD90は250nm、そのpHは11である。
出発物質のゼオライト粉として平均粒径5μmの4A型ゼオライト・ナトリウムイオンを用意し、このゼオライト粉100gとイオン交換水100gとを混合してスラリーを調製した。このスラリー中のゼオライト粉を、ゼオライト粒子1の場合に準じた方法で、平均粒径が150nmになるように粉砕した。続いて、ゼオライト粒子1の場合に準じた方法で水熱合成処理を施してから解砕し、更に粒度を整えることで、ゼオライト粒子2を得た。
なお、各ゼオライト粒子のpHは次の方法で測定した。ポリエチレン製の瓶に0.05gのゼオライト粒子と99.95gのイオン交換水とを入れてから、瓶を恒温槽に入れて、90℃で24時間加熱した。続いて、瓶の中の液の上澄みのpHを、堀場製作所製のコンパクトpHメータ<LAQUAtwin>B−711を用いて測定した。
(5)単官能カチオン重合性化合物
・AL−OX:四日市合成製、品名AL−OX、式(17)に示す化合物、沸点146℃、屈折率0.979、粘度1mPa・s、屈折率1.4385。
・(+)−リモネンオキシド:日本テルペン製、比重0.936、粘度1.9mPa・s、屈折率1.4657。
(6)増感剤
・UVS−1331:川崎化成製、品番UVS−1331、9,10−ジブトキシアントラセン、融点111℃、比重1.17。
・UVS−1101:川崎化成製、品番UVS−1101、9,10−ジエトキシアントラセン、融点148℃。
2.評価試験
実施例及び比較例について、次の評価試験を実施した。その結果を表に示す。
(1)粘度
組成物の粘度を、レオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR−2)を使用して、温度25℃、せん断速度100s-1の条件で測定した。
(2)反応性
光化学反応熱熱量計(フォトDSC)(日立ハイテクサイエンス社製、型番PDC−7)を使用し、組成物3mgをAl製オープン容器に入れ、温度25℃下、ピーク波長365nm、強度150mW/cm2、照射時間180秒間の条件で紫外線を組成物に照射した場合の、組成物の発熱量を測定した。
(3)揮発性
組成物1gを直径30mmのシャーレに入れ、これを25℃の乾燥アルゴン雰囲気のドライボックス内に入れて6時間放置した。続いて直ちに組成物の重量を測定し、その結果から、組成物の重量減少量を算出した。
(4)屈折率
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約3000mW/cm2の条件で10秒間紫外線照射して光硬化させることで、厚み10μmのフィルムを作製した。
このフィルムの屈折率を、京都電子工業製の屈折率計(型番RA−130)で測定した。
(5)表面張力
組成物の表面張力を、協和界面製の接触角計(型番PCA−1)で測定した。
(6)密着性
石英ガラス片(寸法76mm×52mm×1mm)の表面上に、組成物を塗布して厚み50μmの塗膜を形成し、この塗膜の上に別の石英ガラス片(寸法76mm×52mm×1mm)を重ねた。続いて、塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約3000mW/cm2の条件で10秒間紫外線照射することで、硬化させた。次に、二つの石英ガラス片の間の密着強度を、JIS K6854に基づくT字ピール試験を行うことで、評価した。
(7)ガラス転移温度(Tg)
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約3000mW/cm2の条件で10秒間紫外線照射することで光硬化させ、厚み200μmのフィルムを作製した。このフィルムから切り出したサンプルのガラス転移温度を、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、型番DMA7100)を用いて測定した。
(8)水分量
組成物中にモレキュラーシーブ4Aタイプ(ユニオン昭和製)を20phrの割合で加えてから、組成物を振とう機で5時間振とうすることで水分を除去し、サンプルを得た。
このサンプルの水分量を、カールフィッシャー水分量計MKC−710M(京都電子工業)で測定した。
(9)透過率
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約3000mW/cm2の条件で10秒間紫外線照射して光硬化させることで、厚み10μmのフィルムを作製した。このフィルムの、JIS K7361−1による全光線透過率を測定した。
(10)吸湿性
Ar雰囲気下のグローブボックス内で、組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、パナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約3000mW/cm2の条件で10秒間紫外線照射することで光硬化させることで、厚み10μmのフィルムを作製した。
このフィルムを、真空乾燥器を用いて、加熱温度120℃、加熱時間3時間の条件で真空乾燥してから、このフィルムの質量を測定した。この測定結果を初期質量(M0)とする。続いて、フィルムを85℃、85%RHの条件下に24時間曝露してから、フィルムの質量を測定した。この測定結果を吸湿後質量(M)という。これらの初期質量(M0)及び吸湿後質量(M)から、吸湿率を、(M−M0)/M0×100(質量%)の式で算出した。
その結果、吸湿率が2質量%以上の場合を「AA」、1質量%以上2質量%未満の場合を「A」、0.5質量%以上1質量%未満の場合を「B」、0.1質量%以上0.5質量%未満の場合を「C」と、0.1質量%未満の場合を「D」と、評価した。