以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る粉末焼結積層造形装置の構成の概要を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る粉末焼結積層造形装置100は、チャンバ101と、そのチャンバ101内に設けられた造形物作製部110、レーザ光出射部120、及び上部加熱部130と、チャンバ101の外に設けられた温度検出部160及び制御部170とを備えている。
また、この図1には示していないものの、本実施形態に係る造形装置100は、更に造形物作製部110内に設けられた側部加熱部を備えている。
この造形装置100の構成のうち、まず、チャンバ101内に設けられた造形物作製部110、レーザ光出射部120、上部加熱部130及び側部加熱部の構成について説明する。
図2(a)は、造形物作製部110、レーザ光出射部120、上部加熱部130及び側部加熱部140の構成を示す上面図であり、図2(b)は、図2(a)のI−I線における断面図である。
図2に示すように、造形物作製部110は、造形物を作製する作製容器10と、作製容器10の両側に配置されて粉末材料70を収納する収納容器20,30と、収納容器20,30内の粉末材料70を作製容器10に運搬するリコータ40とを備えている。
造形物作製部110のうち、作製容器10は、上面及び下面が開口した容器であり、その内部に造形用テーブル11が配置されている。この造形用テーブル11の下面には、作製容器10の下側の開口を通過して延びる支持棒12が取り付けられている。この支持棒12は、図示しないドライバに接続されていて、このドライバの駆動によって造形用テーブル11は作製容器10内を上下に昇降可能となっている。
一方、造形用テーブル11の上面には断熱部材15が配置されている。
ここで、造形用テーブル11及び断熱部材15の構造について説明する。
図3は、造形用テーブル11の構造を示す斜視図である。また、図4(a)は、断熱部材15の構造を示す斜視図であり、図4(b)は、その構造を示す下面図である。更に、図4(c)は、図4(a)、(b)のII−II線における断面図である。
造形用テーブル11は、図3に示すように板状の部材であり、その大きさは、例えば、長さLが560mmで、幅Wが560mmで、厚さTが12.5mmである。この造形用テーブル11は、剛性の高い金属、例えばアルミニウムによって形成される。
断熱部材15は、図4に示すように、上面15aが平坦で、下部に空洞15bを備えた台状の部材であり、その大きさは、特に限定されるものではないが、例えば、長さlが274mmで、幅wが274mmで、厚さtが10mmである。つまり、この例では、断熱部材15の上面15aの面積(長さl×幅w)は、造形用テーブル11の上面の面積(長さL×幅W)の約1/4となっている。
この断熱部材15は、熱伝導率が比較的低く、断熱性を有する材料によって形成される。そのような断熱性を有する材料として、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、及びポリフェニレンサルファイドのような樹脂が使用される。
また、その断熱部材15の材料は、造形物の作製で使用する粉末材料70と同じ材料でもある。つまり、造形物の作製で使用する粉末材料70がポリプロピレンである場合には、断熱部材15の材料もポリプロピレンであり、その粉末材料70がポリアミドである場合には、断熱部材15もポリアミドであり、更にその粉末材料70がポリフェニレンサルファイドである場合には、断熱部材15もポリフェニレンサルファイドである。
なお、断熱部材15を、造形物の作製で使用する粉末材料70と異なる材料、例えば、造形物の作製で使用する粉末材料70よりも融点が高い材料によって形成することも可能である。しかし、断熱部材15に起因する不純物が作製容器10内の粉末材料70に混入してしまうのを回避するために、断熱部材15を、造形物の作製で使用する粉末材料70と同じ材料で形成することが好ましい。
また、下部に空洞15bを備えた台状の断熱部材15は、図4(b),(c)に示すように、本体としての上板15c及び側板15dと、その本体を補強するための複数の主補強板15e及び副補強板15fからなる。断熱部材15の空洞15bは、上板15c及び側板15dに囲まれることによって形成される。主補強板15eは、その空洞15bを格子状に区切るように配置されている。そして、副補強板15fは、その主補強板15eと斜めに交わるように配置されている。
断熱部材15の本体のうち、例えば、上板15cの厚さtaは3mmであり、側板15dの厚さtbは7mmである。また、主補強板15eの厚さtcは、側板15dの厚さtbと同じく7mmである。つまり、主補強板15eの下側端面は、側板15dの下側端面と同じ高さになっている。一方、副補強板15fの厚さtdは、側板15dの厚さtbよりも小さく、例えば3mmである。つまり、副補強板15fの下側端面は、側板15dの下側端面よりも高くなっている。
このような構造の断熱部材15が、造形用テーブル11の上に複数配置される。
図5(a)は、断熱部材15が配置される前の作製容器10の状態を示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)のIII−III線における断面図である。また、図6(a)は、断熱部材15が配置された後の作製容器10の状態を示す上面図であり、図6(b)は、図6(a)のIV−IV線における断面図である。
作製容器10では、断熱部材15が配置される前に造形用テーブル11を下降させておき、図5に示すように、造形用テーブル11の上面が作製容器10の上側の開口面よりも下がった状態となっている。
このような状態の作製容器10に対し、図6に示すように、造形用テーブル11の上に、隙間を若干設けて断熱部材15が複数(図6では、4個)配置されて、造形用テーブル11の上面のほぼ全体が断熱部材15によって覆われた状態となる。
このとき、断熱部材15のうち、本体の側板15dの下側端面が造形用テーブル11の上面と接して、空洞15bによって断熱部材15の本体と造形用テーブル11との間に空間が形成される。
例えば、チャンバ(図1参照)101内の雰囲気が大気圧である場合には、この空間は空気を含むものとなる。これにより、断熱部材15の断熱性をより高くすることができる。なお、不図示の排気装置によってチャンバ101内が減圧されている場合には、この空間も減圧された雰囲気を含むものとなる。これによっても、断熱部材15の断熱性をより高くすることができる。
また、主補強板15eの下側端面が造形用テーブル11の上面と接することにより、この主補強板15eは、本体の上板11cを支持する支持部材となる。このため、造形物の重量に対する断熱部材15の本体の強度をより高くすることができる。
なお、本実施形態において、断熱部材15の構造は、造形用テーブル11との間に空間を形成し、且つ作製する造形物の重量に耐えられるものであれば、図4に示す構造に限定されるものではない。例えば、主補強板15eの配置を、格子状以外の形状の配置にしてもよい。また、断熱部材15の構造を、本体を補強するための副補強板15fを含まないもの、あるいは副補強板15及び主補強板15eの両方を含まないものにしてもよい。
また、本実施形態では、隙間を設けずに断熱部材15が4個配置された場合に、4個の断熱部材15の上面15aの面積の和が、造形用テーブル11の上面の面積よりも小さくなるようにしている。これは、断熱部材15の材料である樹脂の線膨張係数が、造形用テーブル11の材料であるアルミニウムの線膨張係数よりも大きいことにより、断熱部材15及び造形用テーブル11を加熱したときに断熱部材15の熱膨張量が造形用テーブル11の熱膨張量よりも大きくなるからである。また、造形用テーブル11の上面のほぼ全体を覆うように配置された断熱部材15を取り出すときに、この取り出しを容易にするためでもある。
これらのことを考慮して、本実施形態では、例えば、後述する造形物の作製を開始するのに適した温度のときに、4個の断熱部材15の上面15aの面積の和が造形用テーブル11の上面の面積よりも若干小さくなるように、各断熱部材15の上面15aを、上述した大きさ、すなわち長さlを274mmに、幅wを274mmに設定している。
図2に戻って、造形物作製部110の構成について再び説明する。
図2に示すように、造形物作製部110のうち、収納容器20,30は、上面及び下面が開口した容器であり、その内部に供給用テーブル21,31が配置されている。この供給用テーブル21,31の下面には、収納容器20,30の下側の開口を通過して延びる支持棒22,32が取り付けられている。この支持棒22,32は、図示しないドライバに接続されていて、このドライバの駆動によって供給用テーブル21,31は収納容器20,30内を上下に昇降可能となっている。
また、リコータ40は、細長い板状の部材であり、収納容器20,30のうちの一方の収納容器、例えば、図2では左側の収納容器20の上面の縁部に配置されている。このリコータ40は、図示しないドライバの駆動によって収納容器20、作製容器10、及び右側の収納容器30の上面上を左右に移動可能となっている。
作製容器10内の支持棒12を駆動するドライバ、収納容器20,30内の支持棒22,32を駆動するドライバ、及びリコータ40を駆動するドライバは、それぞれ制御部170からの制御信号によって制御される。
次に、レーザ光出射部120、上部加熱部130及び側部加熱部140の構成について説明する。
レーザ光出射部120は、作製容器10内の粉末材料70にレーザ光を出射し、走査する機器であり、図2(b)に示すように作製容器10の上側の開口の上方に設置されている。
このレーザ光出射部120は、図示していないものの、エネルギービームとしてレーザ光を出射する光源と、レーザ光の出射角度を変えてレーザ光を走査するミラーと、レーザ光の焦点距離を変えて粉末材料70の表面に合わせるレンズと、ミラー及びレンズを駆動するドライバとを備えている。これらのうち、光源及びドライバは、制御部170からの制御信号によって制御される。
なお、本実施形態に係る造形装置100では、エネルギービームとしてレーザ光を採用しているが、エネルギービームはレーザ光に限定されるものではない。例えば、エネルギービームとして電子ビームを採用してもよい。
また、上部加熱部130は、上方から粉末材料70を加熱する機器であり、図2(b)に示すように作製容器10の上側の開口の上方、且つレーザ光出射部120の下方に設置されている。この上部加熱部130は、複数の細長い棒状のヒータ131〜134からなり、各ヒータ131〜134は、図2(a)に示すようにそれぞれ作製容器10の上側の開口の各辺の近傍にてこの各辺と平行に配置されている。各ヒータ131〜134は、赤外線ヒータ又は抵抗加熱型ヒータであり、制御部170からの制御信号によって制御される。これらのヒータ131〜134は加熱手段の一例である。
そして、側部加熱部140は、周囲から粉末材料70を加熱する機器であり、図2に示すように作製容器10の全ての側面に取り付けられている。また、側部加熱部140は、板状の抵抗加熱型のヒータ141〜144からなり、各ヒータ141〜144は、それぞれ作製容器10の各側面の上部に配置されている。これらのヒータ141〜144も、制御部170からの制御信号によって制御される。これらのヒータ141〜144もまた加熱手段の一例である。
なお、図示していないものの、本実施形態に係る造形装置100は、作製容器10内の粉末材料70を加熱する作製容器10用の上部加熱部130及び側部加熱部140の他に、収納容器20,30内の粉末材料70を加熱する収納容器20,30用の上部加熱部及び側部加熱部も備える。収納容器20,30用の上部加熱部は、それぞれ収納容器20,30の上側の開口の上方に設置され、側部加熱部は、それぞれ収納容器20,30の全ての側面に取り付けられる。また、収納容器20,30用の上部加熱部は複数の細長い棒状のヒータからなり、側部加熱部は板状のヒータからなる。これらのヒータも、制御部170からの制御信号によって制御される。
次に、造形装置100の構成のうち、チャンバ101の外に設けられた温度検出部160及び制御部170について説明する。
温度検出部160は、赤外線によって作製容器10内の粉末材料70の表面温度を検出する機器であり、図1に示すようにチャンバ101の壁に設けられた窓102の近傍に設置されている。この温度検出部160は、検出した温度データを制御部170に送信する。
また、制御部170は、造形装置100を構成する種々の機器の動作を制御するものであり、例えば、造形物作製部110に対しては造形用テーブル11及び供給用テーブル21,31の昇降とリコータ40の移動とを制御したり、レーザ光出射部120に対しては光源の出力とミラー及びレンズの調整とを制御したり、作製容器10用の上部加熱部130及び側部加熱部140に対しては各ヒータ131〜134,141〜144の出力を制御したりする。
以下、このように構成された本実施形態に係る造形装置100において行う粉末焼結積層造形方法について説明する。
まず、造形物の作製を開始する前に行う粉末材料70のバッファ層の形成、及びこのバッファ層に対する予備加熱の方法について、図7〜図8を参照しながら説明する。
造形装置100の初期状態として、図2に示すように、収納容器20,30では、それぞれ供給用テーブル21,31を下降させて、造形物を作製するのに十分な量の粉末材料70が供給されているものとする。更に、収納容器20,30用の上部加熱部及び側部加熱部のヒータがオンとなっているものとする。
また、作製容器10では、造形物の作製で使用する粉末材料70と同じ材料によって形成された断熱部材15が複数用意されて、図6に示すように、これらの断熱部材15が造形用テーブル11の上に配置されているものとする。更に、造形用テーブル11を上昇又は下降させて、断熱部材15の上面が作製容器10の上面と同じ高さになっているものとする。
更にまた、リコータ40は、左側の収納容器20の上面の縁部のうち、作製容器10の反対側の縁部に配置されているものとする。
造形装置100がこのような初期状態となっているときに、制御部170は、収納容器20において、供給用テーブル21を上昇させて、粉末材料70を上側の開口から突出させる。更に、作製容器10において、造形用テーブル11を粉末材料70の薄層の一層分の厚さ(例えば、0.1mm)だけ下降させると共に、収納容器30において、供給用テーブル31を下降させる。この供給用テーブル31の下降量は、後述する粉末材料70の薄層71の形成に使用しなかった粉末材料70を十分に収納できる程度の量にする。
次に、制御部170は、リコータ40を右側に移動させる。これにより、収納容器20の上側の開口から突出した粉末材料70を掻き取り、作製容器10まで運搬して、上側の開口から作製容器10内に供給する。このようにして、図7(a)に示すように、断熱部材15の上に第1層目の粉末材料70の薄層71を形成する。また、作製容器10内で粉末材料70の薄層71の形成に使用せずに残った粉末材料70については、リコータ40を更に右側に移動させることにより、その粉末材料70を収容容器30まで運搬し、収納容器30内に収納する。
次に、制御部170は、収納容器30において、供給用テーブル31を上昇させて、粉末材料70を上側の開口から突出させる。更に、作製容器10において、造形用テーブル11を粉末材料70の薄層の一層分の厚さだけ下降させると共に、収納容器20において、供給用テーブル21を下降させる。この供給用テーブル21の下降量は、後述する粉末材料70の薄層72の形成に使用しなかった粉末材料70を十分に収納できる程度の量にする。
次に、制御部170は、リコータ40を左側に移動させる。これにより、収納容器30の上側の開口から突出した粉末材料70を掻き取り、作製容器10に運搬して、上側の開口から作製容器10内に供給する。このようにして、図7(b)に示すように第1層目の薄層71の上に第2層目の粉末材料70の薄層72を形成する。また、残った粉末材料70については、リコータ40を更に左側に移動させることにより、その粉末材料70を収容容器20まで運搬し、収納容器20内に収納する。
その後、作製容器10において、第1層目の薄層71の形成と同様にして、第2層目の薄層72の上に第3層目の粉末材料70の薄層73を形成し、更に第2層目の薄層72の形成と同様にして、第3層目の薄層73の上に第4層目の粉末材料70の薄層74を形成する。
このようにして、作製容器10において粉末材料70の薄層の形成を繰り返すことにより、図8に示すように断熱部材15の上に粉末材料70の薄層を複数積層して、所定の厚さ(例えば、10mm)の粉末材料70のバッファ層71〜74を形成する。なお、この図8では、便宜上、4層の粉末材料70の薄層71〜74からなるものを粉末材料70のバッファ層として示しているが、バッファ層を構成する粉末材料70の薄層の層数はバッファ層の厚さに応じた層数となる。
また、制御部170は、粉末材料70のバッファ層71〜74の形成開始と同時に、作製容器10用の上部加熱部130のヒータ131〜134及び側部加熱部140のヒータ141〜144をオンにする。そして、温度検出部160で検出した温度データに基づいて各ヒータ131〜134,141〜144の出力を制御して、作製容器10内の粉末材料70の温度を、造形物の作製を開始するのに適した温度(粉末材料の融点よりも10℃〜15℃程度低い温度)まで上げ、この適温を維持する。
この加熱により、各断熱部材15が熱膨張して、断熱部材15間の隙間が狭くなる。この結果、断熱部材15間の隙間が殆どなくなる、あるいは隙間が残るとしてもその隙間は粉末材料70で埋められる。
このようにして、粉末材料70のバッファ層71〜74に対する予備加熱を行う。なお、粉末材料10のバッファ層71〜74の形成開始よりも前に、作製容器10用の上部加熱部130のヒータ131〜134及び側部加熱部140のヒータ141〜144をオンにしてもよい。
このとき、本実施形態では、作製容器10において造形用テーブル11の上に断熱部材15が配置されているので、加熱した粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを抑制することができる。
したがって、粉末材料70のバッファ層71〜74は、上述したようにバッファ層71〜74自体が有する断熱性を利用して厚く形成する必要はなく、溶融した粉末材料70が固化したときに造形用テーブル11に固着しない程度の厚さ(例えば、10mm)に形成すれば十分である。
このため、造形物の作製を開始する前に形成する粉末材料70のバッファ層71〜74の厚さを薄くすることができる。
これにより、粉末材料70の薄層を形成する回数が少なくなるので、粉末材料70のバッファ層71〜74を形成するのに要する時間を短縮することができ、この結果造形物の作製を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
また、粉末材料70のバッファ層71〜74を形成するのに使用する粉末材料70の量、すなわち造形物の作製には使用されない粉末材料70の量も少なくなるので、造形物の作製に要するコストを削減することもできる。
次に、粉末材料70のバッファ層71〜74の形成、及びこのバッファ層71〜74に対する予備加熱の後に行う造形物を作製する方法について、図9〜図13を参照しながら説明する。
まず、制御部170は、バッファ層71〜74に対する予備加熱を行った後の造形物を作製する間も、温度検出部160で検出した温度データに基づいて作製容器10用の上部加熱部130の各ヒータ131〜134及び側部加熱部140の各ヒータ141〜144の出力を制御して、作製容器10内の粉末材料70の温度を、上述した適温に維持する。
このとき、本実施形態では、上述したように作製容器10において造形用テーブル11の上に断熱部材15が配置されているので、造形物を作製する間も粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを抑制することができる。
このため、作製容器10内の粉末材料70の温度を適温に維持するのに必要な上部加熱部130のヒータ131〜134及び側部加熱部140のヒータ141〜144、特に上部加熱部130のヒータ131〜134の出力を抑えることができる。また、その適温を維持するための上部加熱部130のヒータ131〜134の制御も容易にすることができる。
次に、制御部170は、例えば収納容器20において、供給用テーブル21を上昇させて、粉末材料70を上側の開口から突出させる。更に、作製容器10において、造形用テーブル11を粉末材料70の薄層の一層分の厚さだけ下降させると共に、収納容器30において、供給用テーブル31を下降させる。
次に、制御部170は、リコータ40を右側に移動させる。これにより、収納容器20の上側の開口から突出した粉末材料70を掻き取り、作製容器10まで運搬して、上側の開口から作製容器10内に供給する。このようにして、図9に示すように、粉末材料70のバッファ層71〜74のうちの最上層の薄層74の上に、造形物作製用としては第1層目の粉末材料70の薄層75を形成する。
次に、制御部170は、作製する3次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づいて、レーザ光出射部120のミラー及びレンズの動きを制御すると共に、光源の出力を制御して、図10(a)に示すように、この第1層目の粉末材料70の薄層75にレーザ光を出射させ、走査させることにより、第1層目の薄層75のうちの特定の領域の粉末材料70を溶融し、固化する。この結果、図10(b)に示すように第1層目の薄層75の特定の領域に第1層目の固化層75aを形成する。その後、制御部170は、レーザ光の出射及び走査を停止させる。
次に、制御部170は、収納容器30において、供給用テーブル31を上昇させて、粉末材料70を上側の開口から突出させる。更に、作製容器10において、造形用テーブル11を粉末材料70の薄層の一層分の厚さだけ下降させると共に、収納容器20において、供給用テーブル21を下降させる。
次に、制御部170は、リコータ40を左側に移動させる。これにより、収納容器30の上側の開口から突出した粉末材料70を掻き取り、作製容器10まで運搬して、上側の開口から作製容器10内に供給する。このようにして、図11に示すように、第1層目の固化層75aが形成された粉末材料70の薄層75の上に、第2層目の粉末材料70の薄層76を形成する。
次に、制御部170は、レーザ光出射部120を制御して、図12(a)に示すように、この第2層目の粉末材料70の薄層76にレーザ光を出射させ、走査させることにより、第2層目の薄層76のうちの特定の領域の粉末材料70を溶融し、固化する。この結果、図12(b)に示すように第2層目の薄層76の特定の領域に第2層目の固化層76aを形成する。その後、制御部170は、レーザ光の出射及び走査を停止させる。
その後、作製容器10において、第1層目の薄層75及び固化層57aの形成と同様にして、第2層目の薄層76及び固化層76aの上に第3層目の粉末材料70の薄層77及び固化層77aを形成し、更に第2層目の薄層76及び固化層76aの形成と同様にして、第3層目の薄層77及び固化層77aの上に第4層目の粉末材料70の薄層78及び固化層78aを形成する。
このようにして、作製容器10において造形物作製用の粉末材料70の薄層の形成、及びこの薄層での固化層の形成を繰り返すことにより、図13に示すように、粉末材料70のバッファ層71〜74の上に固化層を複数積層して、3次元造形物75a〜78aを作製する。
造形物75a〜78aを作製した後、造形用テーブル11を上昇させて、作製容器10内で粉末材料70(粉末材料70の薄層71〜78)に埋もれた造形物75a〜78aを取り出す。その後、次の造形物の作製で使用する粉末材料70の種類を変更する場合には、作製容器10、及び収納容器20,30内に残った粉末材料70を回収すると共に、作製容器10については造形用テーブル11上の断熱部材15を取り出す。なお、取り出した断熱部材15は、変形や破損等の問題がなければ繰り返し使用することができる。
このとき、本実施形態では、断熱部材15は造形用テーブル11の上に置かれているだけなので、この造形用テーブル11からの取り出し、更には次の造形物の作製のための造形用テーブル11への配置が容易である。このため、造形物の作製で使用する粉末材料70の種類に応じて断熱部材15を交換するのが容易である。
なお、本実施形態の断熱部材15は、上述した造形装置100及びその造形方法によって作製可能であるので、造形物の作製のために予め用意しておくのも容易である。
ところで、本実施形態では、上述したように造形用テーブル11の上に断熱部材15を配置している。これにより、粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを抑制して、造形用テーブル11の上に形成する粉末材料70のバッファ層71〜74の厚さを薄くするのを可能にしている。
これに対し、造形用テーブル11の上に断熱部材15を配置する代わりに、例えば、造形用テーブル11の下面にヒータを取り付けて、このヒータによって造形用テーブル11を加熱することも考えられる。これによっても、粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを抑制することができる。
以下、本実施形態に係る粉末焼結積層造形装置100の比較例として、造形用テーブル11の下面にヒータを取り付けた粉末焼結積層造形装置の構成について説明する。
この比較例に係る粉末焼結積層造形装置の構成は、上述した本実施形態に係る粉末焼結積層造形装置100の構成と基本的には同じである。但し、比較例と本実施形態とでは、作製容器内の構成が異なっている。
図14は、その比較例の作製容器内の構成を示す断面図である。
図14に示すように、比較例の作製容器10a内には、本実施形態の作製容器10内と同じく造形用テーブル11及び支持棒12が配置されている。
但し、比較例の作製容器10a内では、本実施形態の作製容器10内の構成と異なり、造形用テーブル11の上に断熱材15は配置されていない。その一方で、造形用テーブル11の下面に、造形用テーブル11を加熱するためのヒータ150が取り付けられている。更に、造形用テーブル11の下にスペーサ13が配置され、このスペーサ13の下面に支持棒12が取り付けられている。
図15は、スペーサ13の構造を示す斜視図である。
スペーサ13は、図15に示すように板状の部材であり、その大きさは、例えば、長さL1が560mmで、幅W1が560mmで、厚さT1が25mmである。このスペーサ13は、造形用テーブル11と同じく剛性の高い金属、例えばアルミニウムによって形成される。
但し、このスペーサ13には、造形用テーブル11と異なり、その中央部に開口13aが設けられている。図14に示すように、このスペーサ13の開口13a内に、造形用テーブル11を加熱するヒータ150が配置されている。また、図示していないものの、このスペーサ13の開口13a内には、ヒータ150に電力を供給するための配線も配置される。つまり、スペーサ13は、造形用テーブル11にヒータ150を取り付けるために設けられた部材である。
このような構成の比較例に係る造形装置において、造形用テーブル11の上に直接粉末材料70のバッファ層71〜76を形成した。また、この粉末材料70のバッファ層71〜76の形成開始と同時に、作製容器10用の上部加熱部130のヒータ131〜134及び側部加熱部140のヒータ141〜144をオンにすると共に、造形用テーブル11を加熱するためのヒータ150をオンにして、バッファ層71〜76に対する予備加熱を行った。
そして、粉末材料70のバッファ層71〜76自体が有する断熱性により、粉末材料70の温度が造形物の作製を開始するのに適した温度に到達し、更にこの適温を維持するのに必要なバッファ層71〜76の厚さを実験によって確かめてみたところ、その厚さは25mmであり、本実施形態の粉末材料70のバッファ層71〜74の厚さ(10mm)よりも厚かった。
この結果から、本実施形態に係る造形装置100は、比較例に係る造形装置よりも粉末材料70の薄層を形成する回数を少なくすることができるので、粉末材料70のバッファ層71〜74を形成するのに要する時間を短縮することでき、造形物の作製を開始するまでに要する時間を短縮することができることが分かる。
例えば、厚さ0.1mmの粉末材料70の薄層を一層形成するのに約30秒かかる。このため、比較例に係る造形装置では、厚さ25mmの粉末材料70のバッファ層71〜76を形成するのに要する時間は約7500秒である。これに対して、本実施形態に係る造形装置100では、厚さ10mmの粉末材料70のバッファ層71〜74を形成するのに要する時間は約3000秒であり、比較例に係る造形装置よりも大幅に時間を短縮することができることが分かる。
また、本実施形態に係る造形装置100は、比較例に係る造形装置よりも粉末材料70のバッファ層71〜74を形成するのに使用する粉末材料70の量も少なくなるので、造形物の作製に要するコストを削減することができることも分かる。
比較例に係る造形装置において粉末材料70のバッファ層71〜76の厚さが比較的厚くなる理由としては、造形用テーブル11の体積(長さL:560mm×幅W:560mm×厚さT:12.5mm)が大きいことと、ヒータ150を取り付け可能なスペースがスペーサ13の開口13a内となるという制約から、造形用テーブル11の面積に対してヒータ150の面積が大幅に小さくなってしまうことにより、ヒータ150によって造形用テーブル11を昇温させて、粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを十分に抑制することができるようになるまでに、多くの時間がかかってしまうことが考えられる。
なお、本実施形態に係る造形装置100では、比較例に係る造形装置では必要な造形用テーブル11にヒータ150を取り付けるためのスペーサ13は不要である。上述した例では、断熱部材15の厚さt(10mm)はスペーサ13の厚さT1(25mm)よりも薄いので、本実施形態に係る造形装置100では、比較例に係る造形装置よりも作製容器10内の造形物を作製可能なスペースの大きさ(高さ)を大きくすることができる。
(変形例 その1)
上述した第1の実施形態では、断熱部材15は、図4に示すように下部に空洞15bを備えた台状の部材であり、また図6に示すように造形用テーブル11の上に配置されたときに、この空洞15bによって造形用テーブル11との間に空気を含む空間、又は減圧された雰囲気を含む空間が形成されるようになっている。
しかし、断熱部材の構造はこれに限定されるものではない。
例えば、図16(a)〜(c)に示すように、第1の変形例の断熱部材16は、上面16aが平坦で、内部に空洞16bを備えた板状の部材である。この断熱部材16は、空洞16bを囲む本体としての上板16c、下板16d及び側板16eと、空洞16bを格子状に区切るように配置され、本体を内側から支持する補強板16fからなる。
また、図17(a),(b)に示すように、第2の変形例の断熱部材17も、上面17aが平坦で、内部に空洞17bを備えた板状の部材である。この断熱部材17は、空洞17bとして多数の気泡が形成された多孔質な部材からなる。
第1及び第2の変形例の断熱部材16,17は、第1の実施形態の断熱部材15と同じく、熱伝導率が低く、断熱性を有する材料(例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリフェニレンサルファイドのような樹脂)によって形成されている。なお、その断熱部材16,17の材料は、造形物の作製で使用する粉末材料70と同じ材料でもある。
更に、これらの断熱部材16,17には、内部に空洞16b,17bを備えることにより、断熱部材15と同様に空気を含む空間が形成されている。
従って、断熱部材16,17もまた、断熱部材15と同じく、高い断熱性を有している。
このため、作製容器10内において、第1又は第2の変形例の断熱部材16,17が造形用テーブル11の上に配置されることによっても、加熱した粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを抑制することができる。これにより、第1及び第2の変形例でも、造形物の作製を開始する前に形成する粉末材料70のバッファ層71〜74の厚さを薄くすることができる。
(変形例 その2)
上述した第1の実施形態では、断熱部材15の上面15aの面積が造形用テーブル11の上面の面積の約1/4となっているが、断熱部材の上面の面積は、以下に例示する第3及び第4の変形例のように造形用テーブル11の上面の面積の約1/4よりも小さくてもよい。
図18(a)は、第3の変形例の断熱部材の構造を示す斜視図であり、図18(b)は、その構造を示す下面図である。更に、図18(c)は、図18(a)、(b)のVIII−VIII線における断面図である。
図18(a)〜(c)に示すように、第3の変形例の断熱部材18は、第1の実施形態の断熱部材15と同じく、上面18aが平坦で、下部に空洞18bを備えた台状の部材である。更に、断熱部材18は、本体としての上板18c及び側板18dと、その本体を補強するための複数の主補強板18e及び副補強板18fからなる。また、この断熱部材18は、断熱部材15と同じ材料(例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリフェニレンサルファイドのような樹脂)によって形成されている。
一方、第3の変形例の断熱部材18は、長さlが136mmで、幅wが136mmである。つまり、この断熱部材18の上面18aの面積は、造形用テーブル11の上面の面積の約1/16となっていて、第1の実施形態の断熱部材15のそれよりも小さい。なお、断熱部材18の厚さtは、断熱部材15のそれと同じ10mmである。
このような構造の第3の変形例の断熱部材18が、造形用テーブル11の上に複数配置される。
図19(a)は、第3の変形例の断熱部材18が配置された後の作製容器10の状態を示す上面図であり、図19(b)は、図19(a)のIX−IX線における断面図である。
図19(a),(b)に示すように、作製容器10内の造形用テーブル11の上に、隙間を若干設けて断熱部材18が16個配置されて、造形用テーブル11の上面のほぼ全体がこの断熱部材18によって覆われた状態となっている。
このとき、断熱部材18の下部の空洞18bにより、断熱部材18の本体と造形用テーブル11の上面との間に空間が形成される。
また、図20(a)は、第4の変形例の断熱部材の構造を示す斜視図であり、図20(b)は、その構造を示す下面図である。更に、図20(c)は、図20(a)、(b)のX−X線における断面図である。
図20(a)〜(c)に示すように、第4の変形例の断熱部材19もまた、上面19aが平坦で、下部に空洞19bを備えた台状の部材であり、本体としての上板19c及び側板19dと、その本体を補強するための複数の主補強板19e及び副補強板19fからなる。また、この断熱部材19も、断熱部材15と同じ材料によって形成されている。
一方、第4の変形例の断熱部材19は、長さlが90mmで、幅wが90mmである。つまり、この断熱部材19の上面19aの面積は、造形用テーブル11の上面の面積の約1/36となっていて、断熱部材15のそれよりも小さい。更に、この断熱部材19の上面19aの面積は、第3の変形例の断熱部材18のそれよりも小さい。なお、断熱部材19の厚さtは、断熱部材15のそれと同じ10mmである。
このような構造の第4の変形例の断熱部材19が、造形用テーブル11の上に複数配置される。
図21(a)は、第4の変形例の断熱部材19が配置された後の作製容器10の状態を示す上面図であり、図21(b)は、図21(a)のXI−XI線における断面図である。
図21(a),(b)に示すように、作製容器10内の造形用テーブル11の上に、隙間を若干設けて断熱部材19が36個配置されて、造形用テーブル11の上面のほぼ全体がこの断熱部材19によって覆われた状態となっている。
このとき、断熱部材19の下部の空洞19bによって断熱部材19の本体と造形用テーブル11の上面との間に空間が形成される。
このように、第3及び第4の変形例の断熱部材18,19は、その下部に空洞18b,19bを備えることにより、第1の実施形態の断熱部材15と同じく空気又は減圧された雰囲気を含む空間が形成されている。更に、この断熱部材18,19は、断熱部材15と同じ材料によって形成されている。
従って、断熱部材18,19もまた、断熱部材15と同じく高い断熱性を有している。
更に、第3及び第4の変形例の断熱部材18,19は、その大きさが第1の実施形態の断熱部材15よりも小さいことにより、以下の利点もある。
第3及び第4の変形例の断熱部材18,19は、第1の実施形態の断熱部材15と同じく、粉末材料70のバッファ層の形成、及びその後の造形物の作製のときに粉末材料70と共に加熱されて、熱膨張する。この熱膨張により、断熱部材15及び断熱部材18,19に反りが生じて、断熱部材15及び断熱部材18,19が変形することがある。
しかし、断熱部材18,19は断熱部材15よりも小さいので、熱膨張によって反りが生じたとしても、断熱部材18,19の反りの大きさは、相対的に断熱部材15のそれよりも小さくなる。例えば、断熱部材18の反りの大きさは断熱部材15のそれよりも小さくなり、また断熱部材19の反りの大きさはその断熱部材18のそれよりも小さくなる。
断熱部材に大きな反りが生じると、断熱部材上に形成された粉末材料70の層の表面にその反りの形状(特に、断熱部材の上板の反りの形状)に起因する凹凸が生じて、粉末材料70の層の表面が平坦でなくなることがある。これにより、造形物を作製するときに、造形物作成用の粉末材料70の薄層の形成、及びこの薄層での固化層の形成を正常に行うことができなくなる可能性がある。
上述した第3及び第4の変形例では、断熱部材18,19が小さいので、断熱部材18,19に反りが生じたとしてもその反りは小さくなる。これにより、粉末材料70の層の表面の平坦さを保持することができるという利点がある。
なお、断熱部材に生じる反りを小さくするという観点では、断熱部材をより小さくすることが好ましい。その一方で、断熱部材を小さくすると、造形用テーブル11の上に配置する断熱部材の数が増えて、断熱部材間の隙間を均一にして断熱部材を配置することが難しくなる。
このため、断熱部材を過度に小さくする必要はなく、上述した粉末材料70の層の表面の平坦さを保持することができる程度の大きさにすればよい。
ところで、断熱部材を配置したときに、断熱部材間の隙間が小さい箇所とその隙間が大きい箇所とが混在して、断熱部材間の隙間が不均一になっていると、断熱部材が熱膨張したときに、その隙間の不均一さがより顕著になることがある。
この結果、断熱部材間の隙間がより大きくなった箇所では、断熱部材上に形成された粉末材料70の層の一部がその隙間に沈み込むことがある。更に、断熱部材の上板だけでなく、その側板及び主補強板も反ることにより、断熱部材間の隙間に沈み込んだ粉末材料70が断熱部材の下部から空洞内に入り込むこともある。これによっても、粉末材料70の層の表面が平坦でなくなることがある。
このため、上述した第1及び第2の変形例の断熱部材16,17のように、内部に閉じた空洞を備えた構造の断熱部材を採用した上で、この断熱部材を適度に小さくしてもよい。これにより、粉末材料70の層の一部が断熱部材間の隙間に沈み込むことがあったとしても、断熱部材内の空洞に入り込むことはなくなるので、粉末材料70の層の表面の平坦さを保持することが可能となる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、図6に示したように、断熱部材15が造形用テーブル11の上に配置されている。これは、第1の実施形態の第1〜第4の変形例の断熱部材16〜19でも同じである。
これに対し、本実施形態では、以下の第1例及び第2例に示すように、断熱部材がベース板の上に固定されている。そして、このベース板が造形用テーブル11の上に配置されている。以下、断熱部材がベース板に固定されたもののことを、断熱板という。
図22(a)は、本実施形態における第1例の断熱板の構造を示す斜視図であり、図22(b)は、その構造を示す下面図である。更に、図22(c)は、図22(a)、(b)のXII−XII線における断面図である。
また、図23は、第1例の断熱板における断熱部材をベース板に固定するための構造を説明する部分断面図である。
図22及び図23に示すように、第1例の断熱板50は、ベース板51と、このベース板51の上に配置された複数(図22では、16個)の断熱部材53と、これらの断熱部材53をベース板51に固定するためのネジ57及び2つのナット58,59によって構成されている。
このネジ57として、例えば呼び径がM3の低頭ネジが使用されている。また、ナット58,59は、このネジ57に嵌められたときに二重ナットとして機能する。
この断熱板50を構成する部材のうち、ベース板51の構造について説明する。図24は、ベース板51の構造を示す斜視図である。
ベース板51は、図24に示すように平坦な板状の部材であり、その大きさは、造形用テーブル11への配置、及び造形用テーブル11からの取り出しを考慮して造形用テーブル11よりも若干小さく、例えば、長さl1が540mmで、幅w1が540mmで、厚さt1が4mmである。また、このベース板51は、断熱部材53の材料よりも線膨張係数が小さい材料、例えば造形用テーブル11と同じ材料(アルミニウム)によって形成されている。
このベース板51には、ネジ57を通すための円形のネジ孔52が複数設けられている。ネジ孔52の数は、上述したベース板51に固定される断熱部材53の数に、後述する各断熱部材53に設けられるネジ孔55の数を乗じた数(図24では、16×4=64個)となっている。また、ネジ孔52の位置は、断熱部材53間の隙間を均一にしてベース板51上に断熱部材53が配置されたときの断熱部材53のネジ孔55の位置に対応するようになっている。
次に、このベース板51に固定される断熱部材53の構造について説明する。
図25(a)は、断熱部材53の構造を示す斜視図であり、図25(b)は、その構造を示す下面図である。更に、図25(c)は、図25(a)、(b)のXIII−XIII線における断面図である。また、図26(a)は、蓋が取り外された状態の断熱部材53の構造を示す上面図であり、図26(b)は、その構造を示す斜視図である。
図25に示すように、本実施形態の第1例の断熱部材53は、第1の実施形態の断熱部材15と基本的に同じ構造であり、上面53aが平坦で、下部に空洞53bを備えた台状の部材である。更に、断熱部材53は、本体としての上板53c及び側板53dと、その本体を補強するための複数の補強板53eからなる。また、この断熱部材53は、後述する蓋を含めて断熱部材15と同じ材料(例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリフェニレンサルファイドのような樹脂)によって形成されている。
断熱部材53の大きさは、例えば、長さlが132mmで、幅wが132mmで、厚さtが10mmである。つまり、この断熱部材53の上面53aの面積(長さl×幅w)は、ベース板51の上面51aの面積(長さL×幅W)の約1/16となっている。
一方、図26に示すように、第1例の断熱部材53は、第1の実施形態の断熱部材15と異なり、上面53aの4隅の各々に円形の穴54が設けられ、更に各穴54の底面54aにネジ57を通すための長円形のネジ孔55が設けられている。つまり、この断熱部材53にはネジ孔55が4個設けられている。
穴54の直径は、ネジ57の頭部57aの直径よりも大きい。また、長円形のネジ孔55の短径は、ネジ57の頭部57aの直径よりも小さく、且つそのネジ部57bの外径(ネジ57の呼び径)よりも大きい。このため、このネジ孔55にネジ57を通したときに、図23に示すように穴54の底面54aでネジ57の頭部57aが引っ掛かるようになっている。
また、穴54の深さd(図23参照)は、その底面54aでネジ57の頭部57aが引っ掛かったときに、ネジ57の頭部57aが断熱部材53の上面53aからはみ出ない程度の大きさであればよく、例えば4mmである。
そして、各穴54には、ネジ57の頭部57aを覆うための円形の蓋56が取り付けられている。
図27(a)は、蓋56の上面を斜め方向から見たときのこの蓋56の構造を示す斜視図であり、図27(b)は、蓋56の下面を斜め方向から見たときのこの蓋56の構造を示す斜視図であり、図27(c)は、蓋56の構造を示す側面図である。
図27に示すように、蓋56の上面56aは、この蓋56を回すための溝56bが設けられているものの、ほぼ平坦となっている。また、蓋56の下部には、ネジ57の頭部57aを収容可能な大きさの穴56cが設けられている。そして、蓋56の高さhは、断熱部材53の穴54の深さd(図23参照)に対応する大きさであり、例えば4mmである。
このため、この蓋56が断熱部材53の穴54に取り付けられたときに、図23に示すように蓋56の上面56aと断熱部材53の上面53aとが同じ高さとなり、断熱部材53の上面53aの平坦さが保たれるようになっている。
また、図27に示すように、蓋56の側部の下側には、この蓋56の中心から外側に向かって伸びる爪56dが間隔をおいて複数(図27では、3個)設けられている。一方、図23及び図26に示すように、断熱部材53の穴54の内側の側面54bには、底面54aから所定の高さに、この穴54の中心に向かって突出する突起54cが間隔をおいて複数(図26では、3個)設けられている。
このため、断熱部材53の穴54に蓋56を取り付ける際に、蓋56の爪56dが穴54の突起54c間の隙間を通過するように蓋56を穴54に嵌め、更に下側の爪56dが上側の突起54cと重なるように蓋56を回したときに、爪56dが突起54cに引っ掛かり、蓋56が穴54から外れないようになっている。
以上のベース板51及び断熱部材53の構造を考慮して、図22及び図23に戻って再び第1例の断熱板50の構造について説明する。
第1の断熱板50では、図22(a)に示すように、ベース板51の上に隙間を若干設けて断熱部材53が複数配置されている。これにより、図22(c)に示すように、断熱部材53の下部の空洞53bによって断熱部材53の本体とベース板51の上面51aとの間に空間が形成されている。
各断熱部材53では、図23に示すように、4隅の穴54の各々に対してネジ57が用意されている。各ネジ57は、断熱部材53のネジ孔55及びベース板51のネジ孔52を通されている。そして、このネジ57は、その頭部57aが穴54の底面54aに引っ掛かっていると共に、ネジ部57bがベース板51の下面51bから突出している。
この突出したネジ57のネジ部57bに、2つのナット58,59が嵌められている。これらのナット58,59のうち、上側(ベース板51側)のナット58は、断熱部材53がベース板51の上面51aの面内方向で若干動けるように、ベース板51の下面51bに対して少しだけゆるく絞められている。一方、下側のナット59は、上側のナット58が緩まないように、ナット58に対してきつく絞められている。これにより、ナット58,59が二重ナットとして機能して、断熱部材53がベース板51に固定されている。
また、各断熱部材53では、図23に示すように、4隅の穴54の各々に蓋56が取り付けられている。各蓋56は、蓋56の爪56dと穴54の突起54cとが重なることにより、穴54から外れなくなっている。
各穴54では、図23に示すように、ネジ57の頭部57aが蓋56の穴56c内に収容されている。これにより、断熱部材53の上面53aと蓋56の上面56aとが同じ高さになり、断熱部材53の上面53aの平坦さが保たれている。
このような構造の第1例の断熱板50が、造形用テーブル11の上に配置される。
図28(a)は、第1例の断熱板50が配置された後の作製容器10の状態を示す上面図であり、図28(b)は、図28(a)のXIV−XIV線における断面図である。なお、図28(b)の断面図では、この断熱板50のナット58,59を破線で示している。
図28(a),(b)に示すように、作製容器10内の造形用テーブル11の上に第1例の断熱板50が配置されて、造形用テーブル11の上面のほぼ全体がこの断熱板50によって覆われた状態となっている。
図29(a)は、本実施形態において第2例の断熱板の構成を示す斜視図であり、図29(b)は、その構成を示す下面図である。更に、図29(c)は、図29(a)、(b)のXV−XV線における断面図である。
また、図30は、第2例の断熱板における断熱部材をベース板に固定するための構造を説明する部分断面図である。
図29及び図30に示すように、第2例の断熱板60は、ベース板61と、このベース板61の上に配置された複数(図29では、36個)の断熱部材63と、これらの断熱部板63をベース板61に固定するためのネジ67及び2つのナット68,69によって構成されている。
このネジ67として、例えば呼び径がM3の低頭ネジが使用されている。また、ナット68,69は、このネジ67に嵌められたときに二重ナットとして機能する。
まず、ベース板61の構造について説明する。図31は、ベース板61の構造を示す斜視図である。
図31に示すように、第2例のベース板61は、図24に示した第1例のベース板51と同じ形状及び大きさである。また、このベース板61は、第1例のベース板51と同じ材料によって形成されている。
また、このベース板61にも、ネジ67を通すための円形のネジ孔62が複数設けられている。ネジ孔62の数は、上述したベース板61に固定される断熱部材63の数に、後述する各断熱部材63に設けられるネジ孔65の数を乗じた数(図31では、36×1=36個)となっている。また、ネジ孔62の位置は、断熱部材63間の隙間を均一にしてベース板61上に断熱材63が配置されたときの断熱部材63のネジ孔65の位置に対応するようになっている。
次に、このベース板61に固定される断熱部材63の構造について説明する。
図32(a)は、断熱部材63の構造を示す斜視図であり、図32(b)は、その構造を示す下面図である。更に、図32(c)は、図32(a)、(b)のXVI−XVI線における断面図である。また、図33(a)は、蓋が取り外された状態の断熱部材63の構造を示す上面図であり、図33(b)は、その構造を示す斜視図である。
図32に示すように、本実施形態の第2例の断熱部材63もまた、第1の実施形態の断熱部材15と基本的に同じ構造であり、上面63aが平坦で、下部に空洞63bを備えた台状の部材である。更に、断熱部材63は、本体としての上板63c及び側板63dと、その本体を補強するための複数の補強板63eからなる。また、この断熱部材63も、蓋を含めて断熱部材15と同じ材料によって形成されている。
断熱部材63の大きさは、例えば、長さlが87mmで、幅wが87mmで、厚さtが10mmである。つまり、この断熱部材63の上面63aの面積(長さl×幅w)は、ベース板61の上面61aの面積(長さL×幅W)の約1/36となっている。
一方、図33に示すように、第2例の断熱部材63は、第1の実施形態の断熱部材15と異なり、上面63aの中央に円形の穴64が1つ設けられ、更にこの穴64の底面64aにネジ67を通すための円形のネジ孔65が設けられている。つまり、この断熱部材63にはネジ孔65が1個設けられている。
穴64の直径は、ネジ67の頭部67aの直径よりも大きい。また、ネジ孔65の直径は、ネジ67の頭部67aの直径よりも小さく、且つそのネジ部67bの外径(ネジ67の呼び径)よりも大きい。このため、このネジ孔65にネジ67を通したときに、図30に示すように穴64の底面64aでネジ67の頭部67aが引っ掛かるようになっている。
また、穴64の深さd(図30参照)は、その底面64aでネジ67の頭部67aが引っ掛かったときに、ネジ67の頭部67aが断熱部材63の上面63aからはみ出ない程度の大きさであればよく、例えば4mmである。
そして、この穴64には、ネジ67の頭部67aを覆うための円形の蓋66が取り付けられている。
図34(a)は、蓋66の上面を斜め方向から見たときのこの蓋66の構造を示す斜視図であり、図34(b)は、蓋66の下面を斜め方向から見たときのこの蓋66の構造を示す斜視図であり、図34(c)は、蓋66の構造を示す側面図である。
図34に示すように、蓋66の上面66aは、この蓋66を回すための溝66bが設けられているものの、ほぼ平坦となっている。また、蓋66の下部には、ネジ67の頭部67aを収容可能な大きさの穴66cが設けられている。そして、蓋66の高さhは、断熱部材63の穴64の深さd(図30参照)に対応する大きさであり、例えば4mmである。
このため、この蓋66が断熱部材63の穴64に取り付けられたときに、図30に示すように蓋66の上面66aと断熱部材63の上面63aとが同じ高さとなり、断熱部材63の上面63aの平坦さが保たれるようになっている。
また、図34に示すように、蓋66の下部には、この蓋66の中心から外側に向かって伸びる爪66dが間隔をおいて複数(図34では、2個)設けられている。一方、図33に示すように、断熱部材63の穴64の底面64aには、切り欠き64cが間隔をおいて複数(図33では、2個)設けられている。
このため、断熱部材63の穴64に蓋66を取り付ける際に、蓋66の爪66dが穴64の底面64aの切り欠き64cの幅が広い部分を通過するように蓋66を穴64に嵌め、更に下側の爪66dが上側の切り欠き64cの幅が狭い部分と重なるように蓋66を回したときに、爪66dが切り欠き64cの幅が狭い部分に引っ掛かり、蓋66が穴64から外れないようになっている。
以上のベース板61及び断熱部材63の構造を考慮して、図29及び図30に戻って第2例の断熱板60の構造を再び説明する。
第2例の断熱板60では、図29(a)に示すように、ベース板61の上に隙間を若干設けて断熱部材63が複数配置されている。これにより、図29(c)に示すように、断熱部材63の下部の空洞63bによって断熱部材63の本体とベース板61の上面61aとの間に空間が形成されている。
各断熱部材63では、図30に示すように、中央の穴64に対してネジ67が用意されている。ネジ67は、断熱部材63のネジ孔65及びベース板61のネジ孔62を通されている。そして、このネジ67は、その頭部67aが穴64の底面64aに引っ掛かっていると共に、そのネジ部67bがベース板61の下面61bから突出している。
この突出したネジ67のネジ部67bに、2つのナット68,69が嵌められている。第1例のナット58,59と同じく、上側(ベース板61側)のナット68は、ベース板61の下面61bに対して少しだけゆるく絞められている。一方、下側のナット69は、上側のナット69に対してきつく絞められている。これにより、ナット68,69が二重ナットとして機能して、断熱部材63がベース板61に固定されている。
また、各断熱部材63では、図30に示すように、中央の穴64に蓋66が取り付けられている。この蓋66は、蓋66の爪66dと穴64の底面64aの切り欠き64cの幅が狭い部分とが重なることにより、穴64から外れなくなっている。
この穴64では、図30に示すように、ネジ67の頭部67aが蓋66の穴66c内に収容されている。これにより、断熱部材63の上面63aと蓋66の上面66aとが同じ高さになり、断熱部材63の上面63aの平坦さが保たれている。
このような構造の第2例の断熱板60が、造形用テーブル11の上に配置される。
図35(a)は、第2例の断熱板60が配置された後の作製容器10の状態を示す上面図であり、図35(b)は、図35(a)のXVII−XVII線における断面図である。なお、図35(b)の断面図では、この断熱板60のナット68,69を破線で示している。
図35(a),(b)に示すように、作製容器10内の造形用テーブル11の上に第2例の断熱板60が配置されて、造形用テーブル11の上面のほぼ全体がこの断熱板60によって覆われた状態となっている。
このように、本実施形態の断熱板50,60では、断熱部材53,63の下部に空洞53b,63bを備えることにより、第1の実施形態の断熱部材15と同じく空気又は減圧された雰囲気を含む空間が形成されている。更に、断熱部材53,63は、断熱部材15と同じ材料によって形成されている。
従って、本実施形態の断熱板50,60は、第1実施形態の断熱部材15と同じく高い断熱性を有している。
このため、断熱板50,60が作製容器10内の造形用テーブル11の上に配置されることによっても、断熱部材15と同じく加熱した粉末材料70から造形用テーブル11を介して熱が奪われるのを抑制することができる。
また、本実施形態の断熱板50,60では、断熱部材53,63が、第3及び第4の変形例の断熱部材18,19のように比較的小さいので、熱膨張によって反りが生じたとしてもその反りは小さくなる。これにより、断熱部材53,63上に形成された粉末材料70の層の表面の平坦さを保持することができる。
更にまた、本実施形態の断熱板50,60では、ネジ57,67及びナット58,59,68,69によって断熱部材53,63をベース板51,61に固定しているので、断熱部材53,63間の隙間を均一にして断熱部材53,63を配置することができる。更に、断熱部材53,63が熱膨張したときに、断熱部材53,63間の隙間の均一さを保持することもできる。これによっても、断熱部材53,63上に形成された粉末材料70の層の表面の平坦さを保持することができる。
ところで、本実施形態の断熱板50,60では、断熱部材53,63は、図25及び図32に示すようにどちらも矩形状であるので、熱膨張による応力が集中するその4隅で反りが生じ易くなる。
これに対し、第1例の断熱板50では、その断熱部材53の4隅の各々をベース板51に固定しているので、ベース板51に対する押圧力によって断熱部材53に反りが生じるのを効果的に抑えることができる。
一方、第2例の断熱板60では、断熱部材63が第1例の断熱部材53よりも小さいので、反りが生じるとしてもその反りの大きさは断熱部材53のそれよりも小さくなる。このため、この断熱板60では、断熱部材63の4隅を固定する必要はなく、断熱部材63の中央の1箇所だけベース板61に固定すれば十分である。これにより、第1例の断熱板50よりも少ない作業で作製することができるという利点がある。
なお、断熱部材をベース板に固定するための構造は、図23や図30に示した構造に限定されるものではない。
例えば、図36に示すように、ベース板51(又は、ベース板61:厚さt1=4mm)よりも厚いベース板81(厚さt2=6mm)を用意し、このベース板81の下面81bに座ぐり穴82aを設けてから、この座ぐり穴82a内でネジ83にナット84を嵌めるようにしてもよい。これによっても、断熱部材53(又は、断熱部材63)をベース板81に固定することができる。
なお、この例では、ナット84を1つしか使用していないので、このナット84にネジロック材(図示せず)を塗布してから、ネジ83にナット84を嵌めるようにすることが好ましい。
また、図37に示すように、ベース板51(又は、ベース板61:厚さt1=4mm)よりも厚いベース板91(厚さt3=6mm)を用意し、このベース板91のネジ孔92内に雌ネジ92aを形成してから、このネジ孔92の雌ネジ92aにネジ93をねじ込むようにしてもよい。これによっても、断熱部材53(又は、断熱部材63)をベース板91に固定することができる。
なお、この例では、ナットを使用していないので、ネジ孔92の雌ネジ92aにネジロック材(図示せず)を塗布してから、ネジ93をねじ込むようにすることが好ましい。