[0003]本発明は、単離微生物並びにその株及び突然変異体、バイオマス、微生物油、組成物、及び培養物;微生物油、バイオマス、及び突然変異体の作製方法;及び単離微生物、バイオマス、及び微生物油の使用方法に関する。
[0005]多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脂肪酸のメチル末端から1つ目の二重結合の位置に基づき分類される:ω−3(n−3)脂肪酸は3番目の炭素に1つ目の二重結合を含み、一方、ω−6(n−6)脂肪酸は6番目の炭素に1つ目の二重結合を含む。例えば、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)は、炭素鎖長が22で6つの二重結合を有するω−3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC−PUFA)であり、多くの場合に「22:6 n−3」と表記される。他のω−3 LC−PUFAには、「20:5 n−3」と表記されるエイコサペンタエン酸(「EPA」)、及び「22:5 n−3」と表記されるω−3ドコサペンタエン酸(「DPA n−3」)が含まれる。DHA及びEPAは「必須」脂肪酸と称されている。ω−6 LC−PUFAには、「20:4 n−6」と表記されるアラキドン酸(「ARA」)、及び「22:5 n−6」と表記されるω−6ドコサペンタエン酸(「DPA n−6」)が含まれる。
[0006]ω−3脂肪酸は生物学的に重要な分子であり、細胞膜に存在するために細胞生理に影響を及ぼし、生物学的に活性な化合物の産生及び遺伝子発現を調節し、且つ生合成基質として働く。Roche,H.M.、Proc.Nutr.Soc.58:397−401(1999)。例えばDHAは、ヒト大脳皮質中の脂質の約15%〜20%、網膜中の脂質の30%〜60%を占め、精巣及び精子に濃縮されており、且つ母乳の重要な成分である。Berge,J.P.、及びBarnathan,G.、Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.96:49−125(2005)。DHAは脳中のω−3脂肪酸の最大97%及び網膜中のω−3脂肪酸の最大93%を占める。さらに、DHAは、胎児及び乳幼児の発達並びに成人における認知機能の維持のいずれにも必須である。同上。人体では、ω−3脂肪酸は新規に合成されないため、これらの脂肪酸は栄養源から得なければならない。
[0007]亜麻仁油及び魚油は、ω−3脂肪酸の優れた食事供給源と考えられている。亜麻仁油はEPA、DHA、DPA、又はARAを含有しないが、代わりに、体にEPAを作らせることが可能な構成要素であるリノレン酸(C18:3 n−3)を含有する。しかしながら、特に健康を害している者において、代謝変換率が低く一定しない可能性があることが明らかになっている。魚油は、詳細な種及びその食餌に依存して、脂肪酸組成の種類及びレベルが大きく異なる。例えば、水産養殖で育った魚は、野生の魚と比べてω−3脂肪酸レベルが低い傾向がある。さらには、魚油には環境汚染物を含有するリスクがあり、安定性の問題及び魚臭い臭い又は味が付随し得る。
[0008]ヤブレツボカビ類は、ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の微生物である。ヤブレツボカビ類は、シゾキトリウム属(Schizochytrium)及びトラウストキトリウム属(Thraustochytrium)のメンバーを含み、DHA及びEPAを含むω−3脂肪酸の代替的な供給源として認識されている。米国特許第5,130,242号明細書を参照のこと。これらの海洋性従属栄養微生物から生成される油は、対応する魚油又は微細藻類油と比べてより単純な多価不飽和脂肪酸プロファイルを有することが多い。Lewis,T.E.、Mar.Biotechnol.1:580−587(1999)。ヤブレツボカビ種の株は、この生物によって生成される全脂肪酸のうち高い割合としてω−3脂肪酸を生成することが報告されている。米国特許第5,130,242号明細書;Huang,J.ら、J.Am.Oil.Chem.Soc.78:605−610(2001);Huang,J.ら、Mar.Biotechnol.5:450−457(2003)。しかしながら、単離したヤブレツボカビ類は、生成するLC−PUFAのアイデンティティ及び量にばらつきがあり、既に記載がある株には、望ましくないレベルのω−6脂肪酸を有し得るもの、及び/又は培養下で低い生産性を示し得るものもある。そのため、高い生産性及び望ましいLC−PUFAプロファイルを示す微生物を単離することが、継続的に必要とされている。
[0009]さらには、これまでの微生物油に見られるより高い濃度の多価不飽和脂肪酸、そのエステル、そのアルデヒド、その酸性塩、及び/又はそのアルコールを含有する高濃度化された微生物油が必要とされているが、未だ満たされていない。
[0011]本発明は、少なくとも30重量%のEPAを含む高濃度化微生物油に関する。一部の実施形態では、この油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでトリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも30重量%がEPAである。一部の実施形態では、EPAはエステル型である。例えば、EPAエステルはエチルエステルであってもよい。
[0014]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物から得ることができ、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は10重量%超のEPAを含む。
[0015]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の特性を有する単離微生物から得ることができ、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は約10重量%超のEPAを含む。
[0016]一部の実施形態では、本発明の油は、トリアシルグリセロール画分を生成する単離微生物から得ることができ、ここでトリアシルグリセロール画分のEPA含量は少なくとも約12重量%である。
[0021]本発明は、本発明の高濃度化微生物油を含む経口投薬剤形に関する。一部の実施形態では、経口投薬量は、100mg〜3000mgのω−3多価不飽和脂肪酸を含む。一部の実施形態では、経口投薬量は、500mg〜1000mgのDHAとEPAとの組み合わせを含む。一部の実施形態では、経口投薬剤形はカプセルである。一部の実施形態では、経口投薬剤形はベジタリアンカプセルである。
[0022]本発明は、必要としている対象における心疾患又はそれに関連する病態の治療方法に関し、この方法は、本発明の油、又は本発明の油の混合物と、薬学的に許容可能な担体とを対象に投与するステップを含む。
[0024]本発明は、心臓病態又はそれに関連する病態の改善用サプリメント、又は健康な心臓状態又はそれに関連する状態の維持用サプリメントを製造するための、本発明の油、又は本発明の油の混合物の使用に関する。
[0025]本発明は、微生物のバイオマスから本発明の高濃度化微生物油を作製する方法に関し、この方法は、a)アルコール及び塩基の存在下でバイオマスを加熱して反応させるステップであって、それによりバイオマスから多価不飽和脂肪酸のエステルを生成するステップ;b)バイオマスを、多価不飽和脂肪酸が高濃度化された略液相と、略固相とに分離するステップ;及びc)多価不飽和脂肪酸のエステルを含む画分を回収することにより略液相を精製するステップを含む。
[0027]一部の実施形態では、微生物は、ATCC受託番号PTA−10212、PTA−10213、PTA−10214、PTA−10215、PTA−10208、PTA−10209、PTA−10210、PTA−10211として寄託された種の単離微生物のいずれか一つ、その突然変異株、又はその混合物である。
[0039]本発明は、配列番号1のポリヌクレオチド配列又は配列番号1と少なくとも94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNAを含む単離微生物に関する。
[0040]本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物の18s rRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18s rRNAポリヌクレオチド配列を含む単離微生物に関する。
[0041]本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物に関し、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は、約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む。
[0042]本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の特性を有する単離微生物に関し、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は、約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む。
[0043]本発明は、トリアシルグリセロール画分を生成する単離微生物に関し、ここでトリアシルグリセロール画分のエイコサペンタエン酸含量は少なくとも約12重量%である。
[0045]本発明は、ATCC受託番号PTA−10212、PTA−10213、PTA−10214、PTA−10215、PTA−10208、PTA−10209、PTA−10210、又はPTA−10211として寄託された単離微生物に関する。
[0047]本発明は単離バイオマスに関し、ここでバイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約20重量%が脂肪酸であり、脂肪酸の約10重量%超がエイコサペンタエン酸であり、及び脂肪酸は各約5重量%未満のアラキドン酸及びドコサペンタエン酸n−6を含む。一部の実施形態では、脂肪酸の少なくとも約25重量%はドコサヘキサエン酸である。
[0048]一部の実施形態では、本発明は、トリアシルグリセロールを含む単離バイオマスに関し、ここでトリアシルグリセロールの少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸である。
[0049]一部の実施形態では、本発明は、本発明の単離バイオマスのいずれかに関し、ここで脂肪酸は、各約5重量%未満のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、及びエルカ酸をさらに含む。
[0052]本発明は、少なくとも約20重量%のエイコサペンタエン酸と、各約5重量%未満のアラキドン酸、ドコサペンタエン酸n−6、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、及びステアリドン酸とを含む微生物油に関する。一部の実施形態では、微生物油は、少なくとも約25重量%のドコサヘキサエン酸をさらに含む。
[0053]本発明は、少なくとも約10重量%のトリアシルグリセロール画分を含む微生物油に関し、ここでトリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約12重量%はエイコサペンタエン酸であり、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約25重量%はドコサヘキサエン酸であり、及びトリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の約5重量%未満はアラキドン酸である。
[0054]本発明は、本発明の微生物油のいずれかを含む非ヒト動物用又はヒト用の食品、化粧品、又は医薬組成物に関する。一部の実施形態では、食品は乳児用調製粉乳である。一部の実施形態では、乳児用調製粉乳は未熟児に好適である。一部の実施形態では、食品は、ミルク、飲料、治療用ドリンク、栄養ドリンク、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、食品は、非ヒト動物用又はヒト用食品の添加剤である。一部の実施形態では、食品は栄養サプリメントである。一部の実施形態では、食品は動物用飼料である。一部の実施形態では、動物用飼料は水産養殖飼料である。一部の実施形態では、動物用飼料は家庭動物用飼料、動物園動物用飼料、労役動物用飼料、家畜用飼料、又はそれらの組み合わせである。
[0055]本発明は、ω−3脂肪酸を含む微生物油の作製方法に関し、この方法は、培養液中で本発明の単離微生物のいずれか又はその混合物を増殖させるステップであって、それによりω−3脂肪酸を含む油を作製するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、油を抽出するステップをさらに含む。
[0056]本発明は、ω−3脂肪酸を含む微生物油の作製方法に関し、この方法は、本発明のバイオマスのいずれかからω−3脂肪酸を含む油を抽出するステップを含む。一部の実施形態では、微生物油は、有機溶媒抽出法、例えばヘキサン抽出を用いて抽出される。一部の実施形態では、微生物油は無溶媒抽出法を用いて抽出される。
[0058]本発明は、本発明のバイオマスの作製方法に関し、これは、培養液中で本発明の単離微生物のいずれか又はその混合物を増殖させるステップであって、それによりバイオマスを作製するステップを含む。
[0060]本発明は、本発明の突然変異株の作製方法に関し、これは、本発明の微生物のいずれかを突然変異させるステップと、突然変異株を単離するステップとを含む。
[0061]本発明は、炎症又はそれに関連する病態の治療用薬剤を製造するための、本発明の単離微生物、バイオマス、又は微生物油のいずれか、又はその混合物の使用に関する。
[0063]本発明は、炎症又はそれに関連する病態の治療において使用される、本発明の単離微生物、バイオマス、又は微生物油のいずれか、又はその混合物に関する。
[0064]本発明は、必要としている対象における炎症又はそれに関連する病態の治療方法に関し、これは、本発明の単離微生物、バイオマス、又は微生物油のいずれか、又はその混合物と、薬学的に許容可能な担体とを対象に投与するステップを含む。
本開示に係るバイオマス分離方法及び微生物油高濃度化方法の例示的実施形態の概略図である。
[本発明の詳細な説明]
[0066]本発明は、単離微生物、並びにその株及び突然変異体、並びにそのバイオマス、微生物油、組成物、及び培養物に関する。本発明は、本発明の微生物から微生物油、バイオマス、及び突然変異体を作製する方法、及び微生物、バイオマス、及び微生物油の使用方法に関する。本明細書に記載される微生物は生産性が極めて高く、一部には高レベルのω−3脂肪酸、特に高レベルのEPAによって特徴付けられる固有の脂肪酸プロファイルを生じる。
[微生物]
[0067]本発明は、単離微生物及びそれから誘導される株に関する。本発明の単離微生物から「誘導される」株とは、例えば、突然変異株、変異株、又は組換え株などの、天然又は人工の誘導体であってよい。用語「単離された」は、本明細書で使用されるとき、必ずしも単離体が精製されている程度を反映するものでなく、天然形態又は天然環境からの単離又は分離を指す。単離体には、限定はされないが、単離微生物、単離バイオマス、単離培養物、単離微生物油、及び単離配列(本明細書に開示される単離ポリヌクレオチド配列など)が含まれ得る。本明細書で使用されるときの用語「微生物」には、限定はされないが、用語「微細藻類」、「ヤブレツボカビ」、及び本明細書に記載される寄託微生物のいずれかに関連する分類学上の分類が含まれる。本発明の微生物のいずれかに関連して使用されるときの用語「ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)」、「ヤブレツボカビ」、「シゾキトリウム属(Schizochytrium)」、及び「トラウストキトリウム属(Thraustochytrium)」は、本明細書に記載される寄託微生物を含め、利用可能な系統発生学的情報を含む現在の分類学上の分類に基づいており、本願の出願日より後に分類学上の分類が改訂された場合には、限定することを意図するものではない。
[0068]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の単離微生物に関する。ATCC受託番号PTA−10212に関連する単離微生物はまた、本明細書では、トラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)ATCC PTA−10212としても知られる。ATCC受託番号PTA−10212に関連する単離微生物は、ブダペスト条約に基づき2009年7月14日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)、Patent Depository、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209に寄託された。一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された単離株に関する。
[0069]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の特性を有する単離微生物又はそれから誘導される株に関する。ATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の特性としては、その増殖及び表現型特性(表現型特性の例としては、形態及び繁殖特性が挙げられる)、その物理的及び化学的特性(乾燥重量及び脂質プロファイルなど)、その遺伝子配列、及びそれらの組み合わせを挙げることができ、ここではこれらの特性が、その種を過去に同定された種と区別する。一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の特性を有する単離微生物に関し、ここでこれらの特性としては、配列番号1のポリヌクレオチド配列又は配列番号1と少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNA、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の形態及び繁殖特性、及びATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の脂肪酸プロファイルが挙げられる。一部の実施形態では、本発明の単離微生物は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物と実質的に同一の表現型特性を有する。一部の実施形態では、本発明の単離微生物は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物と実質的に同一の増殖特性を有する。一部の実施形態では、本発明は、配列番号1のポリヌクレオチド配列又は配列番号1と少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNAを含む単離微生物に関する。一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物の18s rRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18s rRNAポリヌクレオチド配列を含む単離微生物に関する。
[0070]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物の突然変異株に関する。さらなる実施形態において、突然変異株は、ATCC受託番号PTA−10213、PTA−10214、又はPTA−10215として寄託された株である。ATCC受託番号PTA−10213、PTA−10214、及びPTA−10215に関連する微生物は、ブダペスト条約に基づき2009年7月14日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Patent Depository、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209に寄託された。
[0071]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物に関する。ATCC受託番号PTA−10208に関連する単離微生物はまた、本明細書では、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC PTA−10208としても知られる。ATCC受託番号PTA−10208に関連する微生物は、ブダペスト条約に基づき2009年7月14日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Patent Depository、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209に寄託された。一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された単離株に関する。
[0072]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物に関し、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は、重量基準で約10%超、約11%超、約12%超、約13%超、約14%超、約15%超、約16%超、約17%超、約18%超、約19%超、又は約20%超のEPAを含む。一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物に関し、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は、重量基準で約10%〜約55%、約10%〜約50%、約10%〜約45%、約10%〜約40%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、約15%〜約55%、約15%〜約50%、約15%〜約45%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、約15%〜約30%、約20%〜約55%、約20%〜約50%、約20%〜約45%、約20%〜約40%、約20%〜約35%、又は約20%〜約30%のEPAを含む。
[0073]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の特性を有する単離微生物に関し、ここでこの微生物により生成される全脂肪酸は約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む。ATCC受託番号PTA−10208として寄託された微生物の特性としては、その増殖及び表現型特性(表現型特性の例としては、形態及び繁殖特性が挙げられる)、その物理的及び化学的特性(乾燥重量及び脂質プロファイルなど)、その遺伝子配列、及びそれらの組み合わせが挙げられ、ここではこれらの特性が、その種を過去に同定された種と区別する。一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された種の特性を有する単離微生物に関し、ここでこれらの特性としては、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む18s rRNA、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の形態及び繁殖特性、及びATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の脂肪酸プロファイルが挙げられる。一部の実施形態では、本発明の単離微生物は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された微生物と実質的に同一の物理的及び化学的特性を有する。
[0074]一部の実施形態では、本発明は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された微生物の突然変異株に関する。さらなる実施形態において、突然変異株は、ATCC受託番号PTA−10209、PTA−10210、又はPTA−10211として寄託された株である。ATCC受託番号PTA−10209、PTA−10210、及びPTA−10211に関連する微生物は、ブダペスト条約に基づき2009年9月25日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Patent Depository、10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209に寄託された。
[0075]一部の実施形態では、本発明は、トリアシルグリセロール画分を生成する本発明の単離微生物に関し、ここでトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、又は少なくとも約20%である。一部の実施形態では、本発明は、トリアシルグリセロール画分を生成する単離微生物に関し、ここでトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で約12%〜約55%、約12%〜約50%、約12%〜約45%、約12%〜約40%、約12%〜約35%、約12%〜約30%、約15%〜約45%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、約15%〜約30%、又は約20%〜約30%である。
[0076]一部の実施形態では、本発明は、トリアシルグリセロール画分を生成する本発明の単離微生物の突然変異体、変異体、又は組換え体に関し、ここでトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、又は少なくとも約20%である。一部の実施形態では、本発明は、トリアシルグリセロール画分を生成する本発明の単離微生物の突然変異体、変異体、又は組換え体に関し、ここでトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で約12%〜約55%、約12%〜約50%、約12%〜約45%、約12%〜約40%、約12%〜約35%、約12%〜約30%、約15%〜約55%、約15%〜約50%、約15%〜約45%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、約15%〜約30%、約20%〜約55%、約20%〜約50%、約20%〜約45%、約20%〜約40%、約20%〜約35%、又は約20%〜約30%である。突然変異株は、周知の手順で作製することができる。一般的な手順としては、照射、高温処理、及び突然変異原での処理が挙げられる。変異株は、本明細書に記載される種の他の天然に存在する単離体及び/又はサブ単離体(sub−isolate)であってよい。組換え株は、外因性遺伝子の発現又は内因性遺伝子機能若しくは発現の改変に関して分子生物学で周知されている任意の方法により作製することができる。一部の実施形態では、突然変異株、変異株、又は組換え株は、野生型株と比べてより高量のω−3脂肪酸、特にEPAを生成する。一部の実施形態では、突然変異株、変異株、又は組換え株は、より低量の1つ以上の脂肪酸、例えばより低量のDHA、ARA、DPA n−6、又はそれらの組み合わせを生成する。一部の実施形態では、突然変異株、変異株、又は組換え株は、野生型株と比べてより大きい培養物1リットルあたりの乾燥細胞重量を生成する。かかる突然変異株、変異株、又は組換え株は、本発明の単離微生物から誘導される株の例である。
[0077]一部の実施形態では、本発明の単離微生物は、その突然変異体、変異体、及び組換え体を含めて、微生物から単離された1つ以上の画分に脂肪酸プロファイルを含む。微生物から単離された1つ以上の画分には、全脂肪酸画分、ステロールエステル画分、トリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、極性画分(リン脂質画分を含む)、及びそれらの組み合わせが含まれる。特定の画分の脂肪酸プロファイルは、本明細書に開示されるとおりの特定の画分に関連する脂肪酸プロファイルのいずれを含んでもよい。
[0078]本発明は、突然変異体の作製方法に関し、これは、本発明の微生物のいずれかを突然変異させるステップと、突然変異株を単離するステップとを含む。
[培養物及び単離バイオマス]
[0079]本発明は、本発明の1つ以上の単離微生物を含む培養物に関する。微細藻類及びヤブレツボカビ類などの微生物叢の接種、増殖、及び回収に関する様々な発酵パラメータは、当該技術分野において公知である。例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第5,130,242号明細書を参照のこと。液体又は固体培地は、天然又は人工の海水を含有し得る。従属栄養増殖用の炭素源としては、限定はされないが、グルコース、フルクトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性デンプン、糖蜜、フコース、グルコサミン、デキストラン、脂肪、油、グリセロール、酢酸ナトリウム、及びマンニトールが挙げられる。窒素源としては、限定はされないが、ペプトン、酵母エキス、ポリペプトン、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスティープリカー、有機窒素源、グルタミン酸ナトリウム、尿素、無機窒素源、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び硝酸アンモニウムが挙げられる。
[0080]ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物の増殖に典型的な培地を表1に示す:
[0081]一部の実施形態では、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物、又はその突然変異体、変異体、若しくは組換え体は、グリセロール上でそれを炭素源として従属栄養的に増殖するが、グルコース上でそれを炭素源として増殖することはない。
[0082]ATCC受託番号PTA−10208として寄託された微生物の増殖に典型的な培地を表2に示す:
[0083]一部の実施形態では、培養培地は、飽和レベルに対する割合として、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%の溶存酸素を含む。一部の実施形態では、培養培地は、飽和レベルに対する割合として、約0.1%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約10%、約0.1%〜約20%、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約50%、約0.1%〜約100%、約5%〜約10%、約5%〜約20%、約5%〜約30%、約5%〜約50%、約5%〜約100%、約7%〜約10%、約7%〜約20%、約7%〜約30%、約7%〜約50%、約7%〜約100%、約10%〜約20%、約10%〜約30%、約10%〜約50%、約10%〜約100%、約20%〜約30%、約20%〜約50%、又は約20%〜約100%の溶存酸素を含む。
[0084]本発明は、本発明の微生物の単離バイオマスに関する。本発明の単離バイオマスは、米国特許第5,130,242号明細書及び米国特許出願公開第2002/0001833号明細書(この各々が全体として参照により本明細書に援用される)に記載されるなどの、バイオマスを単離するための任意の従来方法により得られる採集細胞バイオマスである。
[0085]一部の実施形態では、1リットルの培養物から単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5〜約9.5の培養培地において約15℃〜約30℃で約6日〜約8日間増殖した後、少なくとも約10g、少なくとも約15g、少なくとも約20g、少なくとも約25g、少なくとも約30g、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約70g、少なくとも約80g、少なくとも約100g、少なくとも約120g、少なくとも約140g、少なくとも約160g、少なくとも約180g、又は少なくとも約200gである。一部の実施形態では、1リットルの培養物から単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9、又は約pH9.5の培養培地において約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、又は約30℃で約6日間、約7日間、又は約8日間増殖した後、少なくとも約10g、少なくとも約15g、少なくとも約20g、少なくとも約25g、少なくとも約30g、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約70g、少なくとも約80g、少なくとも約100g、少なくとも約120g、少なくとも約140g、少なくとも約160g、少なくとも約180g、又は少なくとも約200gである。一部の実施形態では、1リットルの培養物から単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5〜約pH9.5の培養培地において約15℃〜約30℃で約6日〜約8日間増殖した後、約10g〜約200gである。一部の実施形態では、1リットルの培養物から単離されるバイオマスの乾燥細胞重量は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9、又は約pH9.5の培養培地において約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、又は約30℃で約6日間、約7日間、又は約8日間増殖した後、約10g〜約200g、約10g〜約100g、約10g〜約50g、約15g〜約200g、約15g〜約100g、約15g〜約50g、約20g〜約200g、約20g〜約100g、約20g〜約50g、約50g〜約200g、又は約50g〜約100gである。一部の実施形態では、単離培養物はポリビニルピロリドンを含有しない。
[0086]一部の実施形態では、単離培養物は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5〜約pH8.5又は約pH6.5〜約pH9.5の培養培地において約15℃〜約30℃で約6日間、約7日間、又は約8日間増殖した後、少なくとも約0.2g/L/日、少なくとも約0.3g/L/日、少なくとも約0.4g/L/日、少なくとも約0.5g/L/日、少なくとも約1g/L/日、少なくとも約1.2g/L/日、少なくとも約1.5g/L/日、少なくとも約1.7g/L/日、少なくとも約2g/L/日、少なくとも約3g/L/日、少なくとも約3.5g/L/日、少なくとも約4g/L/日、少なくとも約4.5g/L/日、少なくとも約5g/L/日、少なくとも約6g/L/日、又は少なくとも約8g/L/日のω−3脂肪酸生産性を有する。一部の実施形態では、単離培養物は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5〜約pH9.5の培養培地において約15℃〜約30℃で約6日間、約7日間、又は約8日間増殖した後、約0.2g/L/日〜約20g/L/日、約0.4g/L/日〜約20g/L/日、約0.4g/L/日〜約2g/L/日、約1g/L/日〜約2g/L/日、約1g/L/日〜約20g/L/日、約2g/L/日〜約15g/L/日、約2g/L/日〜約10g/L/日、約3g/L/日〜約10g/L/日、約4g/L/日〜約9g/L/日、約4g/L/日〜約8g/L/日、約4g/L/日〜約7g/L/日、又は約4g/L/日〜約6g/L/日のω−3脂肪酸生産性を有する。
[0087]一部の実施形態では、単離培養物は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5〜約pH8.5又は約pH6.5〜約pH9.5の培養培地において約15℃〜約30℃で約6日間、約7日間、又は約8日間増殖した後、少なくとも約0.2g/L/日、少なくとも約0.3g/L/日、少なくとも約0.4g/L/日、少なくとも約0.5g/L/日、少なくとも約0.6g/L/日、少なくとも約0.7g/L/日、少なくとも約0.8g/L/日、少なくとも約0.9g/L/日、少なくとも約1g/L/日、少なくとも約1.2g/L/日、少なくとも約1.5g/L/日、少なくとも約1.7g/L/日、少なくとも約2g/L/日、少なくとも約3g/L/日、少なくとも約4g/L/日、又は少なくとも約5g/L/日のEPA生産性を含む。一部の実施形態では、EPA生産性は、炭素、窒素、及び栄養素の供給源及び約950ppm〜約8500ppmの塩化物イオンを含む約pH6.5〜約pH8.5又は約pH6.5〜約pH9.5の培養培地において約15℃〜約30℃で約6日間、約7日間、又は約8日間増殖した後、約0.2g/L/日〜約5g/L/日、約0.2g/L/日〜約4g/L/日、約0.2g/L/日〜約3g/L/日、約0.2g/L/日〜約2g/L/日、約0.2g/L/日〜約1g/L/日、約0.2g/L/日〜約0.8g/L/日、約0.2g/L/日〜約0.7g/L/日、約1g/L/日〜約5g/L/日、約1g/L/日〜約4g/L/日、約1g/L/日〜約3g/L/日、又は約1g/L/日〜約2g/L/日である。一部の実施形態では、前述のEPA生産性のいずれかが、前述のω−3脂肪酸生産性のいずれかと関連する。一部の実施形態では、培養物は、約0g/L/日〜約5g/L/日、約0g/L/日〜約4g/L/日、約0g/L/日〜約3g/L/日、約0g/L/日〜約2g/L/日、約0g/L/日〜約1g/L/日、約0.2g/L/日〜約5g/L/日、約0.2g/L/日〜約4g/L/日、約0.2g/L/日〜約3g/L/日、約0.2g/L/日〜約2g/L/日、約0.2g/L/日〜約1g/L/日、約1g/L/日〜約5g/L/日、約2g/L/日〜約5g/L/日、約2g/L/日〜約4g/L/日、又は約2g/L/日〜約3g/L/日のDHA生産性をさらに含む。一部の実施形態では、DHA生産性は、約5g/L/日未満、約4g/L/日未満、約3g/L/日未満、約2g/L/日未満、約1g/L/日未満、約0.5g/L/日未満、約0.2g/L/日未満、又は約0g/L/日である。
[0088]一部の実施形態では、発酵量(培養物の量)は、少なくとも約2リットル、少なくとも約10リットル、少なくとも約50リットル、少なくとも約100リットル、少なくとも約200リットル、少なくとも約500リットル、少なくとも約1000リットル、少なくとも約10,000リットル、少なくとも約20,000リットル、少なくとも約50,000リットル、少なくとも約100,000リットル、少なくとも約150,000リットル、少なくとも約200,000リットル、又は少なくとも約250,000リットルである。一部の実施形態では、発酵量は、約2リットル〜約300,000リットル、約2リットル、約10リットル、約50リットル、約100リットル、約200リットル、約500リットル、約1000リットル、約10,000リットル、約20,000リットル、約50,000リットル、約100,000リットル、約150,000リットル、約200,000リットル、約250,000リットル、又は約300,000リットルである。
[0089]一部の実施形態では、本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む単離バイオマスに関する。一部の実施形態では、バイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%が脂肪酸である。一部の実施形態では、バイオマスの乾燥細胞重量の約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、又は約60%超が脂肪酸である。一部の実施形態では、重量基準でバイオマスの乾燥細胞重量の約20%〜約55%、約20%〜約60%、約20%〜約70%、約20%〜約80%、約30%〜約55%、約30%〜約70%、約30%〜約80%、約40%〜約60%、約40%〜約70%、約40%〜約80%、約50%〜約60%、約50%〜約70%、約50%〜約80%、約55%〜約70%、約55%〜約80%、約60%〜約70%、又は約60%〜約80%が脂肪酸である。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約10%超、少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、およそ最小の約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%をEPAとして含む。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約10%〜約55%、約12%〜約55%、約15%〜約55%、約20%〜約55%、約20%〜約40%、又は約20%〜約30%をEPAとして含む。一部の実施形態では、バイオマスはトリアシルグリセロール画分を含み、ここで重量基準でトリアシルグリセロール画分の少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、又は少なくとも約20%がEPAである。一部の実施形態では、バイオマスはトリアシルグリセロール画分を含み、ここでトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で少なくとも約12%〜約55%、約12%〜約50%、約12%〜約45%、少なくとも約12%〜約40%、少なくとも約12%〜約35%、又は少なくとも約12%〜約30%、約15%〜約55%、約15%〜約50%、約15%〜約45%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、約15%〜約30%、約20%〜約55%、約20%〜約50%、約20%〜約45%、少なくとも約20%〜約40%、少なくとも約20%〜約35%、又は約20%〜約30%である。一部の実施形態では、重量基準でバイオマスの乾燥細胞重量の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%がDHAである。一部の実施形態では、重量基準でバイオマスの乾燥細胞重量の約20%〜約60%、約25%〜約60%、約25%〜約50%、約25%〜約45%、約30%〜約50%、又は約35%〜約50%がDHAである。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下をDHAとして含む。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約1%〜約10%、約1%〜約5%、約2%〜約5%。約3%〜約5%、又は約3%〜約10%をDHAとして含む。一部の実施形態では、バイオマスは実質的にDHAを含まない。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約0.1%〜約5%未満、約0.1%〜約4%、約0.1%〜約3%、約0.1%〜約2%、約0.2%〜約5%未満、約0.2%〜約4%、約0.2%〜約3%、約0.2%〜約2%、約0.3%〜約2%、約0.1%〜約0.5%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.4%、約0.2%〜約0.4%、約0.5%〜約2%、約1%〜約2%、約0.5%〜約1.5%、又は約1%〜約1.5%をARAとして含む。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約5%未満、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、又は約0.1%以下をARAとして含む。一部の実施形態では、バイオマスは実質的にARAを含まない。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約0.4%〜約2%、約0.4%〜約3%、約0.4%〜約4%、約0.4%〜約5%、約0.4%〜約5%未満、約0.5%〜約1%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約3%、約0.5%〜約4%、約0.5%〜約5%、約0.5%〜約5%未満、約1%〜約2%、約1%〜約3%、約1%〜約4%、約1%〜約5%、又は約1%〜約5%未満をDPA n−6として含む。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で脂肪酸の約5%以下、約5%未満、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.75%以下、約0.6%以下、又は約0.5%以下をDPA n−6として含む。一部の実施形態では、バイオマスは実質的にDPA n−6を含まない。一部の実施形態では、バイオマスは、重量基準で約5%以下、約5%未満、約4%以下、約3%以下、又は約2%以下のオレイン酸(18:1 n−9)、リノール酸(18:2 n−6)、リノレン酸(18:3 n−3)、エイコセン酸(20:1 n−9)、エルカ酸(22:1 n−9)、又はそれらの組み合わせを含む脂肪酸を含む。
[0090]本発明の単離バイオマスの特性は、外因的にもたらされた材料というよりむしろ、単離バイオマスの内因性の又は天然の性質に関連する。一部の実施形態では、単離バイオマスはポリビニルピロリドンを含有しないか、又はポリビニルピロリドンを含有する培養物からは単離されない。
[0091]本発明は、バイオマスの作製方法に関する。一部の実施形態では、本発明のバイオマスの作製方法は、培養液中で本発明の単離微生物のいずれか又はその混合物を増殖させるステップであって、それによりバイオマスを作製するステップを含む。本発明は、この方法により作製されるバイオマスに関する。
[微生物油]
[0092]本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む微生物油に関する。本発明の微生物油は、少なくとも約35重量%のトリアシルグリセロール画分を含む「粗油」又は「精製油」である。「粗油」は、微生物のバイオマスから抽出された、さらなる処理がされていない油である。「精製油」は、粗油を標準的な精製、脱色、及び/又は脱臭加工により処理して得られた油である。例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第5,130,242号明細書を参照のこと。微生物油はまた、本明細書に記載されるとおりの「完成油」も含み、これは、植物油で希釈されている精製油である。一部の実施形態では、完成油は、高オレイン酸ヒマワリ油で希釈されている精製油である。用語「微生物」には、本明細書で使用されるとき、限定はされないが、用語「微細藻類」、「ヤブレツボカビ」及び本明細書に記載される寄託微生物のいずれかに関連する分類学上の分類が含まれる。本明細書に記載される寄託微生物の微生物油のいずれかに関連して使用されるときの用語「ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)」、「ヤブレツボカビ」、「シゾキトリウム属(Schizochytrium)」、及び「トラウストキトリウム属(Thraustochytrium)」は、利用可能な系統発生学的情報を含む現在の分類学上の分類に基づいており、本願の出願日より後に分類学上の分類が改訂された場合には、限定することを意図するものではない。
[0093]一部の実施形態では、本明細書に記載されるとおりの脂肪酸は、脂肪酸エステルであってよい。一部の実施形態では、脂肪酸エステルは、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸のエステル、及びそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では脂肪酸エステルは、DHAエステル、EPAエステル、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、本明細書に記載されるとおりの油又はその画分がエステル化されることにより、脂肪酸エステルを含む油又はその画分が作製される。用語「エステル」は、脂肪酸分子のカルボン酸基の水素が別の置換基に置き換わることを指す。典型的なエステルは当業者に周知されており、その考察は、Higuchi,T.and V.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、A.C.S.Symposium Series、Bioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association、Pergamon Press、1987、及びProtective Groups in Organic Chemistry、McOmie編、Plenum Press、New York、1973により提供される。エステルの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、t−ブチル、ベンジル、ニトロベンジル、メトキシベンジル、ベンズヒドリル、及びトリクロロエチルが挙げられる。一部の実施形態では、エステルは、カルボン酸保護エステル基、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル)を有するエステル、低級アルケニル(例えば、アリル、2−ブテニル)を有するエステル、低級アルコキシ低級アルキル(例えば、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル)を有するエステル、低級アルカノイルオキシ低級アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−ピバロイルオキシエチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニル低級アルキル(例えば、メトキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル)を有するエステル、カルボキシ低級アルキル(例えば、カルボキシメチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル(例えば、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル)を有するエステル、カルバモイルオキシ低級アルキル(例えば、カルバモイルオキシメチル)を有するエステルなどである。一部の実施形態では、付加される置換基は直鎖状又は環状炭化水素基、例えば、C1〜C6アルキル、C1〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルケニル、又はC1〜C6アリールエステルである。一部の実施形態では、エステルはアルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル又はプロピルエステルである。一部の実施形態では、エステル置換基は、脂肪酸が精製又は半精製された状態のときに遊離脂肪酸分子に付加される。或いは、脂肪酸エステルは、トリアシルグリセロールからエステルへの変換時に形成される。
[0094]本発明は、微生物油の作製方法に関する。一部の実施形態では、この方法は、培養液中で本発明の単離微生物のいずれか又はその混合物を増殖させるステップであって、それによりω−3脂肪酸を含む微生物油を作製するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、微生物油を抽出するステップをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、本発明のバイオマスのいずれか又はその混合物からω−3脂肪酸を含む微生物油を抽出するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、単離微生物を従属栄養的に増殖させるステップを含み、ここで培養液は、本明細書に記載されるとおりの炭素源を含む。微生物油は、新規に採集したバイオマスから抽出されてもよく、又は腐敗を防ぐ条件下で保存されていた予め採集されたバイオマスから抽出されてもよい。本発明の微生物の培養、培養物からのバイオマスの単離、バイオマスからの微生物油の抽出、及びバイオマスから抽出された油の脂肪酸プロファイルの分析には、公知の方法を用いることができる。例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第5,130,242号明細書を参照のこと。本発明は、本発明の方法のいずれかにより作製された微生物油に関する。
[0095]一部の実施形態では、微生物油は酵素抽出方法により抽出される。一部の実施形態では、微生物油は機械的抽出方法により抽出される。一部の実施形態では、機械的抽出方法は、(1)ホモジナイザーで低温殺菌発酵ブロスを処理して、細胞溶解及び細胞からの油の放出を促進するステップ;(2)ホモジナイゼーション後の発酵ブロスにイソプロピルアルコールを添加して油及び水エマルションを破壊するステップ;(3)混合物を遠心して油相を回収するステップ;及び(4)抗酸化剤を添加しながら真空乾燥するステップのうちの1つ以上を含む。一部の実施形態では、粗油は精製される。一部の実施形態では、粗油の精製は、(1)粗油を精製タンクにポンプで送り、油を加熱し、続いて混合しながら酸性溶液を添加するステップ;(2)酸処理後に油に苛性溶液を添加するステップ;(3)粗油を再加熱し、次に遠心して、精製油から重い相を分離するステップ;(4)残存する極性化合物、微量金属、及び酸化生成物を、例えば、酸、TriSyl(登録商標)、粘土、及び/又はろ過を用いることにより精製油から除去するステップ;(5)脱色した油を冷却ろ過することにより油から高融点成分をさらに除去し、所望のレベルの透明度を達成するステップ;(6)油を加熱し、その後、次に油を冷却してある期間保持することにより、高融点のトリグリセリド及びワックスを結晶化させるステップ;(7)冷却した油にろ過助剤を添加し、次にろ過により結晶化した固体を除去するステップ;(8)冷却ろ過後に、高温真空下で操作して脱臭剤を使用し、それにより、例えば、過酸化物並びに異臭及び不快な匂いを引き起こし得る任意の残存低分子量化合物を除去するステップ;(9)油を脱臭剤供給タンクに移して脱気し、例えば充填カラム脱臭剤において脱臭するステップ;及び(10)脱臭サイクルの終了時に、例えば窒素ブランケット下で冷却し、脱臭した油に好適な抗酸化剤を添加して酸化安定性を提供するステップのうちの1つ以上を含む。
[0096]一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約0%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、又は少なくとも約5%のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約0%〜約1.5%、約0%〜約2%、約0%〜約5%、約1%〜約1.5%、約0.2%〜約1.5%、約0.2%〜約2%、又は約0.2%〜約5%のステロールエステル画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、又は約0.2%以下のステロールエステル画分を含む。
[0097]一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%のトリアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約35%〜約98%、約35%〜約90%、約35%〜約80%、約35%〜約70%、約35%〜約70%、約35%〜約65%、約40%〜約70%、約40%〜約65%、約40%〜約55%、約40%〜約50%、約65%〜約95%、約75%〜約95%、約75%〜約98%、約80%〜約95%、約80%〜約98%、約90%〜約96%、約90%〜約97%、約90%〜約98%、約90%、約95%、約97%、又は約98%のトリアシルグリセロール画分を含む。
[0098]一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、又は少なくとも約20%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約10%〜約45%、約10%〜約40%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、又は約15%〜約30%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、又は少なくとも約20%の1,2−ジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約0.2%〜約45%、約0.2%〜約30%、約0.2%〜約20%、約0.2%〜約10%、約0.2%〜約5%、約0.2%〜約1%、約0.2%〜約0.8%、約0.4%〜約45%、約0.4%〜約30%、約0.4%〜約20%、約0.4%〜約10%、約0.4%〜約5%、約0.4%〜約1%、約0.4%〜約0.8%、約0.5%〜約1%、約0.5%〜約0.8%、約10%〜約45%、約10%〜約40%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、約15%〜約30%、又は約15%〜約25%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約2.5%、又は少なくとも約3%の1,3−ジアシルグリセロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、又は少なくとも約5%のステロール画分を含む。
[0099]一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約0.3%〜約5%、約0.3%〜約2%、約0.3%〜約1.5%、約0.5%〜約1.5%、約1%〜約1.5%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約5%、約1%〜約2%、又は約1%〜約5%のステロール画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、又は約1%以下のステロール画分を含む。
[0100]一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で少なくとも約2%、少なくとも約5%、又は少なくとも約8%のリン脂質画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約2%〜約25%、約2%〜約20%、約2%〜約15%、約2%〜約10%、約5%〜約25%、約5%〜約20%、約5%〜約20%、約5%〜約10%、又は約7%〜約9%のリン脂質画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で約20%未満、約15%未満、約10%未満、約9%未満、又は約8%未満のリン脂質画分を含む。一部の実施形態では、微生物油は実質的にリン脂質を含まない。一部の実施形態では、微生物油は、重量基準で油の約2%未満、約1.5%未満、約1%未満、又は約0.5%未満の不鹸化物を含む。微生物油中に存在する脂質クラス、例えばトリアシルグリセロール画分は、フラッシュクロマトグラフィーにより分離し、薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析することができ、又は当該技術分野において公知の他の方法により分離及び分析することができる。
[0101]一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で少なくとも約5%、少なくとも約10%、約10%超、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、およそ最小の約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%のEPAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約5%〜約55%、約5%〜約50%、約5%〜約45%、約5%〜約40%、約5%〜約35%、約5%〜約30%、約10%〜約55%、約10%〜約50%、約10%〜約45%、約10%〜約40%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、少なくとも約12%〜約55%、少なくとも約12%〜約50%、少なくとも約12%〜約45%、少なくとも約12%〜約40%、少なくとも約12%〜約35%、又は少なくとも約12%〜約30%、約15%〜約55%、約15%〜約50%、約15%〜約45%、約15%〜約40%、約15%〜約35%、約15%〜約30%、約15%〜約25%、約15%〜約20%、約20%〜約55%、約20%〜約50%、約20%〜約45%、約20%〜約40%、又は約20%〜約30%のEPAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%のDHAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約5%〜約60%、約5%〜約55%、約5%〜約50%、約5%〜約40%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約60%、約25%〜約60%、約25%〜約50%、約25%〜約45%、約30%〜約50%、約35%〜約50%、又は約30%〜約40%のDHAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下のDHAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で脂肪酸の約1%〜約10%、約1%〜約5%、約2%〜約5%、約3%〜約5%、又は約3%〜約10%をDHAとして含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、実質的にDHAを含まない。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約0.1%〜約5%、約0.1%〜約5%未満、約0.1%〜約4%、約0.1%〜約3%、約0.1%〜約2%、約0.2%〜約5%、約0.2%〜約5%未満、約0.2%〜約4%、約0.2%〜約3%、約0.2%〜約2%、約0.3%〜約2%、約0.1%〜約0.5%、約0.2%〜約0.5%、約0.1%〜約0.4%、約0.2%〜約0.4%、約0.5%〜約2%、約1%〜約2%、約0.5%〜約1.5%、又は約1%〜約1.5%のARAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約5%以下、約5%未満、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、又は約0.1%以下のARAを含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、実質的にARAを含まない。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約0.4%〜約2%、約0.4%〜約3%、約0.4%〜約4%、約0.4%〜約5%、約0.4%〜約5%未満、約0.5%〜約1%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約3%、約0.5%〜約4%、約0.5%〜約5%、約0.5%〜約5%未満、約1%〜約2%、約1%〜約3%、約1%〜約4%、約1%〜約5%、又は約1%〜約5%未満のDPA n−6を含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約5%、約5%未満、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.75%以下、約0.6%以下、又は約0.5%以下のDPA n−6を含む。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、実質的にDPA n−6を含まない。一部の実施形態では、微生物油及び/又はトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、及びそれらの組み合わせから選択されるその1つ以上の画分は、重量基準で約5%以下、約5%未満、約4%以下、約3%以下、又は約2%以下のオレイン酸(18:1 n−9)、リノール酸(18:2 n−6)、リノレン酸(18:3 n−3)、エイコセン酸(20:1 n−9)、エルカ酸(22:1 n−9)、ステアリドン酸(18:4 n−3)、又はそれらの組み合わせを含む脂肪酸を含む。
[0102]トリアシルグリセロール分子は3つの中心炭素原子を含み(C(sn−1)H2R1−(sn−2)H2R2−C(sn−3)H2R3)、異なる位置異性体の形成が可能である。一部の実施形態では、微生物油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでは、HPLCクロマトグラフ上での相対ピーク面積パーセントに基づくと、トリアシルグリセロール画分中のトリアシルグリセロールの少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、又は少なくとも約40%が、sn−1位、sn−2位、及びsn−3位のいずれか2つから選択されるトリアシルグリセロールにおける2つの位置にDHAを含有する(二置換DHA)。一部の実施形態では、微生物油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでは、HPLCクロマトグラフ上での相対ピーク面積パーセントに基づくと、トリアシルグリセロール画分中のトリアシルグリセロールの約2%〜約55%、約2%〜約50%、約2%〜約45%、約2%〜約40%、約2%〜約35%、約2%〜約30%、約2%〜約25%、約5%〜約55%、約5%〜約50%、約5%〜約45%、約5%〜約40%、約5%〜約35%、約5%〜約30%、約5%〜約25%、約10%〜約55%、約10%〜約50%、約10%〜約45%、約10%〜約40%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、約10%〜約25%、約10%〜約20%、約20%〜約40%、約20%〜約35%、又は約20%〜約25%が、sn−1位、sn−2位、又はsn−3位のいずれか2つから選択されるトリアシルグリセロールにおける2つの位置にEPAを含有する。一部の実施形態では、微生物油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでは、HPLCクロマトグラフ上での相対ピーク面積パーセントに基づくと、トリアシルグリセロール画分中のトリアシルグリセロールの少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、又は少なくとも約2%が、sn−1位、sn−2位、及びsn−3位の全てにDHAを含有する(三置換DHA)。一部の実施形態では、微生物油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでは、HPLCクロマトグラフ上での相対ピーク面積パーセントに基づくと、トリアシルグリセロール画分中のトリアシルグリセロールの約0.5%〜約5%、約0.5%〜約3%、約0.5%〜約2.5%、約0.5%〜約2%、約1%〜約5%、約1%〜約3%、又は約1%〜約2%が、sn−1位、sn−2位、及びsn−3位の全てにDHAを含有する。一部の実施形態では、微生物油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでは、HPLCクロマトグラフ上での相対ピーク面積パーセントに基づくと、トリアシルグリセロール画分中のトリアシルグリセロールの少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は少なくとも約60%が、sn−1位、sn−2位、又はsn−3位のいずれか一つから選択されるトリアシルグリセロールにおける1つの位置にDHAを含有する。一部の実施形態では、微生物油はトリアシルグリセロール画分を含み、ここでは、HPLCクロマトグラフ上での相対ピーク面積パーセントに基づくと、トリアシルグリセロール画分中のトリアシルグリセロールの約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約15%〜約80%、約15%〜約75%、約15%〜約70%、約15%〜約65%、約15%〜約60%、約35%〜約80%、約35%〜約75%、約35%〜約65%、約35%〜約60%、約40%〜約80%、約40%〜約75%、約40%〜約70%、約40%〜約65%、約40%〜約60%、又は約40%〜約55%が、sn−1位、sn−2位、及びsn−3位のいずれか一つから選択されるトリアシルグリセロールにおける1つの位置にDHAを含有する。
[0103][組成物]
[0104]本発明は、本発明の微生物、本発明の単離バイオマス、本発明の微生物油、又はそれらの組み合わせを含む組成物に関する。
[0105]本発明の微生物、バイオマス、又は微生物油は、組成物の要件に基づき、任意の公知の技術によりさらに化学的又は物理的に修飾又は処理されてもよい。
[0106]微生物細胞又はバイオマスは、組成物に使用する前に、限定はされないが、フリーズドライ、風乾、噴霧乾燥、トンネル乾燥、真空乾燥(凍結乾燥)、及び同様のプロセスを含む方法により乾燥させることができる。或いは、採集して洗浄したバイオマスを、乾燥させることなしに、組成物に直接使用することができる。例えば、米国特許第5,130,242号明細書及び同第6,812,009号明細書(この各々は、全体として参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
[0107]本発明の微生物油を出発物質として使用して、EPAなどの脂肪酸が高濃度化された生成物をより効率的に作製することができる。例えば、本発明の微生物油を、蒸留又は尿素アダクト形成などの当該技術分野において公知の様々な精製技法に供することで、より高濃度のEPA又は別の脂肪酸を含むより高力価の生成物を作製することができる。本発明の微生物油はまた、化学反応で使用することにより、EPA又は別の脂肪酸のエステル及び塩などの、油中の脂肪酸から誘導される化合物を作製することもできる。
[0108]本発明の組成物は、1つ以上の賦形剤を含み得る。本明細書で使用されるとき、「賦形剤」は、食品並びに医薬品、化粧品、及び工業用組成物を含め、組成物に望ましい特性を付与するため本発明の組成物に使用される成分、又は成分の混合物を指す。本発明の賦形剤は、医薬組成物に添加される場合には「薬学的に許容可能な」賦形剤として記載されてもよく、これはすなわち、その賦形剤が、健全な医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、又は他の問題のある合併症なしに、妥当なリスク対効果比に見合う所望の接触期間にわたり人間及び非ヒト動物の組織と接触させるのに好適な化合物、材料、組成物、塩、及び/又は投薬剤形であることを意味する。一部の実施形態では、用語「薬学的に許容可能な」は、動物、より詳細にはヒトにおける使用が連邦政府又は州政府の規制当局によって承認されているか、米国薬局方又は他の一般に認められる国際薬局方に掲載されていることを意味する。様々な賦形剤を使用することができる。一部の実施形態では、賦形剤は、限定はされないが、アルカリ剤、安定剤、抗酸化剤、粘着剤、分離剤、コーティング剤、外相成分、徐放成分、溶媒、界面活性剤、保水剤、緩衝剤、充填剤、皮膚軟化剤、又はそれらの組み合わせであってもよい。賦形剤としては、本明細書で考察されるものに加えて、限定はされないが、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版(2005)に掲載される賦形剤を挙げることができる。本明細書で賦形剤を特定の分類(例えば「溶媒」)に含めるのは、その賦形剤の役割を限定するのではなく、説明することを意図している。特定の賦形剤が複数の分類に含まれることもある。
[0109]本発明の組成物としては、限定はされないが、食品、医薬組成物、化粧品、及び工業用組成物が挙げられる。
[0110]一部の実施形態では、組成物は食品である。食品は、非ヒト動物又はヒトの食用の任意の食物であり、固形及び液状の両方の組成物を含む。食品は、動物用又はヒト用食品の添加剤であってもよい。食品としては、限定はされないが、一般食品;ミルク、飲料、治療用ドリンク、及び栄養ドリンクを含む液状製品;機能性食品;サプリメント;ニュートラシューティカルズ;未熟児用の調製粉乳を含む乳児用調製粉乳;妊婦又は授乳婦用の食品;成人用の食品;高齢者用食品;及び動物用食品が挙げられる。
[0111]一部の実施形態では、本発明の微生物、バイオマス、又は微生物油は、以下の1つ以上の中に添加剤として直接使用されるか、又は添加剤として含まれ得る:油、ショートニング、スプレッド、他の脂肪成分、飲料、ソース、乳製品ベース又は大豆ベースの食品(ミルク、ヨーグルト、チーズ及びアイスクリームなど)、ベイクド食品、栄養製品、例えば、栄養サプリメント(カプセル又は錠剤の形態)、ビタミンサプリメント、ダイエットサプリメント、粉末ドリンク、及び加工又は半加工粉末食品。一部の実施形態では、栄養サプリメントは、いかなる動物源由来成分からも形成されていない、且つそれを含有しないベジタリアンカプセルの形態である。
[0112]本発明の微生物油を含み得る食品組成物の部分的なリストとしては、限定はされないが、大豆ベースの製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト、ドリンク、クリーム、スプレッド、ホワイトナー);スープ及びスープミックス;パン生地、衣用生地、及びベイクド食品品目、例えば、ファインベーカリー商品、朝食用シリアル、ケーキ、チーズケーキ、パイ、カップケーキ、クッキー、バー、パン、ロール、ビスケット、マフィン、ペストリー、スコーン、クルトン、クラッカー、甘いもの、スナックケーキ、パイ、グラノーラ/スナックバー、及びトースターペストリー;キャンディー;硬質の菓子類;チョコレート及び他の菓子類;チューインガム;液状食品、例えばミルク、栄養ドリンク、乳児用調製粉乳、炭酸飲料、茶、流動食、フルーツジュース、果汁ベースのドリンク、野菜ベースのドリンク;マルチビタミンシロップ、代替食、薬効食品、及びシロップ;粉末飲料ミックス;パスタ;魚肉加工品;食肉加工品;家禽肉加工品;グレイビー及びソース;調味料(ケチャップ、マヨネーズ等);植物油ベースのスプレッド;乳製品;ヨーグルト;バター;冷凍乳製品;アイスクリーム;冷菓;フローズンヨーグルト;ベビーフードなどの半固形食品;プリン及びゼリー菓子;プロセスチーズ及びナチュラルチーズ;パンケーキミックス;エネルギーバーを含むバー型食品;ワッフルミックス;サラダドレッシング;代用卵ミックス;ナッツ及びナッツベースのスプレッド;ポテトチップス及び他のチップス又はクリスプ、コーンチップ、トルティーヤチップ、押出しスナック、ポップコーン、プレッツェル、ポテトクリスプ、及びナッツなどの塩味スナック;及びディップ、ドライフルーツスナック、ミートスナック、ポークラインズ、健康食品バー及び米菓/コーンケーキなどの特製スナックが挙げられる。
[0113]一部の実施形態では、本発明の微生物油は、乳児用調製粉乳の補足に用いることができる。乳児用調製粉乳に本発明の微生物油を、単独で、又はアラキドン酸(ARA)産生微生物に由来する物理的に精製された油との組み合わせで補足することができる。ARA産生微生物は、例えば、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)又はモルティエレラ属シュマッケリ節(Mortierella sect.schmuckeri)である。或いは、乳児用調製粉乳に本発明の微生物油を、ARASCO(登録商標)(Martek Biosciences、Columbia、MD)を含むARAリッチの油との組み合わせで補足することができる。
[0114]一部の実施形態では、本組成物は動物用飼料である。「動物」には、動物界(Animalia)に属する非ヒト生物が含まれ、限定なしに、水生動物及び陸生動物が挙げられる。用語「動物用飼料」又は「動物用食品」は、魚;商用魚;観賞魚;仔魚;二枚貝類;軟体動物;甲殻類;貝類;エビ;仔エビ;アルテミア;ワムシ;ブラインシュリンプ;フィルターフィーダー;両生類;爬虫類;哺乳類;家庭動物;農業動物;動物園動物;スポーツ動物;種畜;レース用動物;ショー用動物;エアルーム動物;希少動物又は絶滅危惧動物;伴侶動物;ペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、又はウマ;霊長類、例えば、サル(例えば、オマキザル、アカゲザル、アフリカミドリザル、パタスモンキー、カニクイザル、及びオナガザル)、類人猿、オランウータン、ヒヒ、テナガザル、及びチンパンジー;イヌ科動物、例えばイヌ及びオオカミ;ネコ科動物、例えばネコ、ライオン、及びトラ;ウマ科動物、例えばウマ、ロバ、及びシマウマ;食用動物、例えば雌ウシ、畜牛、ブタ、及びヒツジ;有蹄動物、例えばシカ及びキリン;又はげっ歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどのうちいずれ向けのものであれ、非ヒト動物向けの任意の食品を指す。動物用飼料としては、限定はされないが、水産養殖飼料、ペットフードを含む家庭動物用飼料、動物園動物用飼料、労役動物用飼料、家畜用飼料、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
[0115]一部の実施形態では、本組成物は、その肉又は産物がヒトの食用となる任意の動物、例えば、それからヒトの食用の肉、卵、又は乳が得られる任意の動物用の飼料又は飼料用サプリメントである。LC−PUFAなどの栄養素は、かかる動物に給餌されると、かかる動物の肉、乳、卵又は他の産物に取り込まれ、それらの産物におけるそのような栄養素の含量が増加し得る。
[0116]一部の実施形態では、本組成物は、粉々に砕けることにより動物プランクトン、アルテミア、ワムシ、及びフィルターフィーダーの食用となるのに適切な粒径の粒子を形成し得る噴霧乾燥材料である。一部の実施形態では、本組成物を給餌される動物プランクトン、アルテミア、又はワムシが、次には仔魚、魚、貝類、二枚貝類、又は甲殻類に給餌される。
[0117]一部の実施形態では、本組成物は医薬組成物である。好適な医薬組成物としては、限定はされないが、抗炎症性組成物、冠動脈心疾患の治療用薬物、動脈硬化の治療用薬物、化学療法剤、活性賦形剤、骨粗鬆症薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗ピロリ菌薬、神経変性疾患の治療用薬物、変性肝疾患の治療用薬物、抗生物質、コレステロールを低下させる組成物、及びトリアシルグリセロールを低下させる組成物が挙げられる。一部の実施形態では、本組成物は医療用食品である。医療用食品には、医師の監督下で体外から摂取又は投与される組成物としての食品であって、認められている科学的原理に基づき特有の栄養所要量が医学的評価により確立されている病態の、特殊な食事による管理を目的とした食品が含まれる。
[0118]一部の実施形態では、微生物油は投薬剤形に製剤化され得る。投薬剤形としては、限定はされないが、錠剤、カプセル、カシェ剤、ペレット、丸薬、散剤及び顆粒、及び非経口投薬剤形を挙げることができ、非経口投薬剤形としては、限定はされないが、有効量の微生物油を含む溶液、懸濁液、エマルション、及び乾燥粉末が挙げられる。また、かかる製剤が薬学的に許容可能な希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性媒体、水溶性媒体、乳化剤、緩衝剤、保水剤、保湿剤、可溶化剤、保存剤なども含有し得ることも、当該技術分野において公知である。投与形態としては、限定はされないが、微生物油と1つ以上の好適な薬学的に許容可能な担体とを含有する錠剤、ドラジェ、カプセル、カプレット、及び丸薬を挙げることができる。
[0119]経口投与用に、微生物油を、当該技術分野において周知されている薬学的に許容可能な担体と組み合わせることができる。かかる担体は、本発明の微生物油を、治療対象による経口摂取用に錠剤、丸薬、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能にする。一部の実施形態では、投薬剤形は錠剤、丸薬又はカプレットである。経口使用向けの医薬調製物は、固体賦形剤を添加し、場合により得られた混合物を粉砕し、及び必要であれば好適な助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工して錠剤又はドラジェコアを得ることにより、得ることができる。好適な賦形剤としては、限定はされないが、充填剤、例えば、限定はされないが、ラクトース、スクロース、マンニトール、及びソルビトールを含む糖類;セルロース調製物、例えば、限定はされないが、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。必要であれば、限定はされないが、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなど、崩壊剤が添加されてもよい。経口的に使用することのできる医薬製剤としては、限定はされないが、ゼラチンで作製されたプッシュフィットカプセル、並びにゼラチンと可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールとで作製されるソフト密封カプセルが挙げられる。一部の実施形態では、投薬剤形はベジタリアン用投薬剤形であり、この投薬剤形は、いかなる動物源由来成分からも形成されていない、且つそれを含有しない。一部の実施形態では、ベジタリアン用投薬剤形はベジタリアンカプセルである。
[0120]一部の実施形態では、投薬剤形は、200mg〜1500mg、250mg〜1250mg、300mg〜1100mg、又は350mg〜1000mgの目標充填重量を有する。一部の実施形態では、投薬剤形は、350mg、500mg、750mg、800mg、900mg、又は1000mgの目標充填重量を有する。投薬剤形の実充填重量は、目標充填重量から±5%だけずれ得る。
[0121]一部の実施形態では、油1グラムあたり120mg〜220mgのEPA及び油1グラムあたり240mg〜450mgのDHAを含む油が提供される。一部の実施形態では、油1グラムあたり200mg〜350mgのEPA及び油1グラムあたり500mg〜700mgのDHAを含む油が提供される。一部の実施形態では、油1グラムあたり250mg〜300mgのEPA及び油1グラムあたり550mg〜650mgのDHAを含む油が提供される。一部の実施形態では、油1グラムあたり300mg〜700mgのEPAを含む油が提供される。一部の実施形態では、油1グラムあたり400mg〜650mg、又は500mg〜600mgのEPAを含む油が提供される。一部の実施形態では、経口投薬剤形は、加工コーンスターチ、カラギーナン、グリセリン、ソルビトール、精製水、βカロテン及びカラメル粉末を含むベジタリアンカプセルである。一部の実施形態では、カプセルは、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、又は950mgのDHAとEPAとの組み合わせを含む油と共に製剤化することができる。
[0122]一部の実施形態では、本組成物は化粧品である。化粧品としては、限定はされないが、乳液、クリーム、ローション、マスク、石ケン、シャンプー、洗浄液、顔用クリーム、コンディショナー、メーキャップ剤、入浴剤、及び分散液が挙げられる。化粧剤は薬用又は非薬用であってよい。
[0123]一部の実施形態では、本組成物は工業用組成物である。一部の実施形態では、本組成物は、1つ以上の製品用の出発物質である。製品としては、限定はされないが、ポリマー;写真感光材料;洗剤;工業用油;又は工業用洗剤が挙げられる。例えば、米国特許第7,259,006号明細書は、ベヘン酸の生産及びベヘン酸を使用した写真感光材料の生産のためのDHA含有脂肪及び油の使用について記載している。
[組成物の使用方法]
[0124]一部の実施形態では、本組成物は、ヒト又は非ヒト動物における病態の治療に使用することができる。一部の実施形態では、本組成物は、ヒト又は非ヒト動物における栄養摂取に使用することができる。
[0125]用語「〜を治療する」及び「治療」は、治療的処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)手段のいずれも指し、ここでの目的は、望ましくない生理学的病態、疾患、若しくは障害を予防若しくは緩徐化(低減)すること、又は有益な若しくは所望の臨床結果を達成することである。この発明の目的上、有益な又は所望の臨床結果としては、限定はされないが、病態、疾患、又は障害に関連する症状又は徴候の減少又は消失;病態、疾患、又は障害の程度の減弱;病態、疾患、又は障害の安定化(すなわち、病態、疾患、又は障害が悪化していない場合);病態、疾患、又は障害の発症又は進行の遅延;病態、疾患、又は障害の回復;病態、疾患、又は障害の寛解(部分的であれ、又は完全であれ、且つ検出可能であれ、又は検出不能であれ);又は病態、疾患、又は障害の改善若しくは好転が挙げられる。治療は、過度の副作用なしに臨床的に有意な反応を誘発することを含む。治療はまた、治療を受けない場合の予想生存時間と比較して生存時間を延長することも含む。
[0126]一部の実施形態では、本組成物は、ざ瘡、急性炎症、加齢性黄斑症、アレルギー、アルツハイマー病、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、血中脂質障害、乳房嚢胞、悪液質、癌、心臓内再狭窄、心血管疾患、慢性炎症、冠動脈心疾患、嚢胞性線維症、肝変性障害、糖尿病、湿疹、胃腸障害、心疾患、高トリグリセリド値、高血圧症、多活動、免疫疾患、抑制性腫瘍増殖、炎症性病態、腸管障害、腎機能不全、白血病、大うつ病、多発性硬化症、神経変性障害、変形性関節症、骨粗鬆症、ペルオキシソーム病、子癇前症、早産、乾癬、肺障害、関節リウマチ、心疾患リスク、又は血栓症などの病態、疾患、又は障害の治療に使用することができる。
[0127]一部の実施形態では、本組成物を使用して、第三期における在胎期間の長さを増加させる。
[0128]一部の実施形態では、本組成物を使用して血圧を調節する。
[0129]一部の実施形態では、本組成物を使用して認知機能を改善又は維持する。
[0130]一部の実施形態では、本組成物を使用して記憶を改善又は維持する。
[0131]本組成物又は投薬剤形は、組成物又は投薬剤形に適合する任意の経路によって対象の体に投与することができる。物質は、その物質が対象によって対象の体に導入される場合、又は別の人、機械、若しくは装置がその物質を対象の体に導入する場合に、「投与される」と見なされる。従って「投与すること」には、例えば、自己投与、他人による投与、及び間接的投与が含まれる。用語「連続的」又は「継続的」は、本明細書で「投与」に関連して使用されるとき、投与頻度が少なくとも1日1回であることを意味する。しかしながら、本明細書に特定される投薬量レベルを超過しない限りは、投与頻度は1日1回より多く、例えば1日2回又はさらには3回であってもよく、それでもなお「連続的」又は「継続的」であり得ることに留意されたい。投与の手段及び方法は当該技術分野において公知であり、当業者は様々な薬理学文献を指針として参考にすることができる。例えば、「Modern Pharmaceutics」、Banker & Rhodes、Informa Healthcare、USA、第4版(2002);及び「Goodman & Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics」、McGraw−Hill Companies,Inc.、New York、第10版(2001)を参考にすることができる。
[0132]「対象」、「個体」、又は「患者」とは、ヒトであれ、又は非ヒトであれ、診断、予後判定、治療、又は組成物若しくは投薬剤形の投与が望ましい任意の対象を意味する。哺乳動物対象としては、限定はされないが、ヒト;家庭動物;農業動物;動物園動物;スポーツ動物;ペット動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、又はウマ;霊長類、例えばサル(例えば、オマキザル、アカゲザル、アフリカミドリザル、パタスモンキー、カニクイザル、及びオナガザル)、類人猿、オランウータン、ヒヒ、テナガザル、及びチンパンジー;イヌ科動物、例えばイヌ及びオオカミ;ネコ科動物、例えばネコ、ライオン、及びトラ;ウマ科動物、例えばウマ、ロバ、及びシマウマ;食用動物、例えば雌ウシ、畜牛、ブタ、及びヒツジ;有蹄動物、例えばシカ及びキリン;げっ歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどが挙げられる。対象という用語はまた、モデル動物、例えば疾患モデル動物も包含する。一部の実施形態では、対象という用語には、経済的に、或いは他の形で価値を有する動物、例えば、経済的に重要な種畜、レース用動物、ショー用動物、エアルーム動物、希少動物又は絶滅危惧動物、又は伴侶動物が含まれる。特定の実施形態において、対象はヒト対象である。特定の実施形態において、対象は非ヒト対象である。
[0133]本組成物は、「栄養量」、「治療有効量」、「予防有効量」、「治療用量」、又は「予防用量」として投与することができる。「栄養量」は、所望の栄養結果を実現するのに有効な量、それに必要な投薬量及び期間を指す。栄養結果とは、例えば、対象における望ましい脂肪酸成分レベルの増加であってよい。「治療有効量」又は「治療用量」は、所望の治療結果を実現するのに有効な量、それに必要な投薬量及び期間を指す。治療結果とは、例えば、症状の低減、生存時間の延長、運動性の向上などであってよい。治療結果は「治癒」でなくともよい。「予防有効量」又は「予防用量」は、所望の予防結果を実現するのに有効な量、それに必要な投薬量及び期間を指す。典型的には、予防用量は対象において疾患より前に又はその初期段階で使用されるため、予防有効量は、進行期の疾患を治療するための治療有効量未満であり得る。
[0134]対象に投与されるべき微生物、バイオマス、又は微生物油のEPA又は他の脂肪酸成分の量に基づき、組成物、投薬剤形、又は医薬組成物の様々な投薬量を対象に投与することができる。用語「1日投薬量(daily dosage)」、「1日投薬量レベル」、及び「1日投薬量(daily dosage amount)」は、本明細書では、1日あたり(24時間あたり)に投与されるEPA又は他の脂肪酸成分の総量を指す。従って、例えば、対象に対する2mgの1日投薬量のEPA投与は、そのEPAが2mgのEPAを含む単一投薬剤形として投与されるのか、或いは、各0.5mgのEPAを含む4つの投薬剤形(合計2mgのEPA)として投与されるのかに関わらず、対象が1日に合計2mgのEPAを与えられることを意味する。一部の実施形態では、EPAの1日量は単一投薬剤形で、又は2つの投薬剤形で投与される。本発明の投薬剤形は、単回適用又は複数回適用で服用され得る。例えば、各錠剤が0.5mgのEPAを含む4つの錠剤が毎日服用される場合、4つ全ての錠剤が1日1回服用されてもよく、又は2つの錠剤が1日2回服用されてもよく、又は1つの錠剤が6時間毎に服用されてもよい。一部の実施形態では、1日投薬量は、約100mg〜約15gのEPAである。一部の実施形態では、1日投薬量は、約0.5mg〜約250mg、約100mg〜約250mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約1g、約1g〜約2.5g、約1g〜約5g、約1g〜約10g、約1g〜約15g、約5g〜約10g、約5g〜約15g、約10g〜約15g、約100mg〜約10g、約100mg〜約5g、又は約100mg〜約2.5gのEPA、DHA、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、本組成物は、投薬剤形あたり約0.5mg〜約250mg、100mg〜約250mg、約0.5mg〜約500mg、約100mg〜約500mg、約0.5mg〜約1g、又は約100mg〜約1gのEPA、DHA、又はそれらの組み合わせを含む投薬剤形である。
[0135]一部の実施形態では、ω−3多価不飽和脂肪酸(DHA及び/又はEPAを含む)の1日投薬量は、100mg〜3000mg、200mg〜2000mg、300mg〜1500mg、400mg〜1250mg、又は500mg〜1000mgである。一部の実施形態では、DHAとEPAとの組み合わせの1日投薬量は、500mg〜1000mgである。一部の実施形態では、DHAとEPAとの組み合わせの1日投薬量は、100mg、250mg、500mg、750mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg、又は3000mgである。
[0136]本発明の組成物又は投薬剤形の投与は、様々なレジメンを用いて実現することができる。例えば、一部の実施形態では、投与は毎日、連日行われるか、或いは隔日で(2日毎に)行われる。投与は1日以上行われ得る。
[0137]組成物及び投薬剤形の投与は、病態の治療に用いられる他のレジメンと組み合わされてもよい。例えば、本発明の方法は、ダイエットレジメン(例えば、低炭水化物ダイエット、高タンパク質ダイエット、高繊維ダイエット等)、運動レジメン、減量レジメン、禁煙レジメン、又はそれらの組み合わせと組み合わせることができる。本発明の方法はまた、病態の治療において他の医薬製品と組み合わせて使用することもできる。本発明の組成物又は投薬剤形は、他のレジメン又は医薬製品の前又はその後に投与することができる。
[組成物を含むキット]
[0138]本発明は、1単位以上の本発明の組成物を含むキット又はパッケージに関する。キット又はパッケージは、本発明の微生物、バイオマス、又は微生物油、又はそれらの組み合わせを含む複数単位の食品、医薬組成物、化粧品、又は工業用組成物を含み得る。キット又はパッケージはまた、食品、化粧品、医薬組成物、又は工業用組成物の調製用の、本発明の微生物、バイオマス、又は微生物油、又はそれらの組み合わせを含む添加剤も含み得る。
[0139]一部の実施形態では、キット又はパッケージは、本発明の方法により投与される1単位以上の医薬組成物を含む。キット又はパッケージは、1投薬単位を含んでも、又は2投薬単位以上(すなわち、複数の投薬単位)を含んでもよい。キット又はパッケージに複数の投薬単位が存在する場合、その複数の投薬単位は、場合により逐次投与用に配置され得る。
[0140]本発明のキットは、場合により、キットの単位又は投薬剤形に関連する説明書を含み得る。かかる説明書は、医薬製品の製造、使用又は販売を規制する行政機関により規定される形態であってもよく、その通知は、病態又は障害を治療するためのヒト投与に関する製造、使用又は販売のその機関による承認を反映する。説明書は、本発明の方法によるキットの単位又は投薬剤形の使用に関する情報を伝える任意の形態であってよい。例えば、説明書は印刷物の形態、又は事前記録媒体装置の形態であってよい。
[0141]患者を診察する間に、医療専門家が、その患者にとって本発明の方法の一つの投与が適切であることを判断し得るか、又は医師が、本発明の方法の一つの投与により患者の病態が改善し得ることを判断し得る。任意のレジメンの処方に先立ち、医師は、例えばそのレジメンに付随する様々なリスク及び効果に関して、患者にカウンセリングし得る。患者には、そのレジメンに付随するあらゆる既知の及び疑われるリスクの完全な開示が提供され得る。かかるカウンセリングは口頭で、並びに文書でも提供され得る。一部の実施形態では、医師は患者に、製品情報、教材などの、そのレジメンに関する文献資料を提供してもよい。
[0142]本発明は、治療方法に関して消費者を教育する方法に関し、この方法は、店頭で投薬剤形を消費者情報と共に頒布するステップを含む。一部の実施形態では、この頒布は、薬剤師又は保険医療提供者がいる店頭で行われ得る。
[0143]用語「消費者情報」には、英語テキスト、非英語テキスト、視覚画像、図表、電話録音、ウェブサイト、及び生の顧客相談窓口担当者へのアクセスが含まれ得る。一部の実施形態では、消費者情報は、本発明の方法に係る投薬剤形の使用についての指示、適切な年齢使用、適応、禁忌、適切な投薬、警告、電話番号又はウェブサイトアドレスを提供し得る。一部の実施形態では、この方法は、本発明の方法に係る開示されたレジメンの使用に関する消費者の質問に回答する立場にある関係者に専門家向けの情報を提供するステップをさらに含む。用語「専門家向けの情報」には、限定はされないが、医療専門家が消費者の質問に回答できるように設計された、本発明の方法により投与される場合のレジメンに関する情報が含まれる。
[0144]「医療専門家」には、例えば、医師、医師助手、看護師、上級看護師、薬剤師及び顧客相談窓口担当者が含まれる。
[高濃度化微生物油]
[0145]本発明は、より高濃度の多価不飽和脂肪酸、そのエステル、塩、アルコール、及び/又はアルデヒドを有する高濃度化又は濃縮された微生物油に関する。本発明は、少なくとも70重量%のDHAとEPAとの組み合わせを含む高濃度化微生物油に関し、この油は、油の重量を基準として少なくとも10重量%のEPAを含む。一部の実施形態では、高濃度化微生物油は、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のDHAとEPAとの組み合わせを含み、この油は、油の重量を基準として少なくとも10重量%のEPAを含む。一部の実施形態では、高濃度化微生物油は、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%のDHAとEPAとの組み合わせを含み、この油は、油の重量を基準として少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%のEPAを含む。
[0146]一部の実施形態では、本発明は、油の重量を基準として少なくとも50重量%のDHAと少なくとも20重量%のEPAとを含む高濃度化微生物油に関する。一部の実施形態では、高濃度化微生物油は、油の重量を基準として少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%のDHAを含む。一部の実施形態では、高濃度化微生物油は、油の重量を基準として少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、又は少なくとも35重量%のEPAを含む。
[0147]一部の実施形態では、本発明の高濃度化微生物油は、油の重量を基準として50重量%〜70重量%、55重量%〜65重量%、又は53重量%〜63重量%のDHAを含む。一部の実施形態では、本発明の高濃度化微生物油は、油の重量を基準として20重量%〜35重量%、23重量%〜33重量%、又は25重量%〜30重量%のEPAを含む。
[0148]本発明は、油の重量を基準として少なくとも30重量%のEPAを含む高濃度化微生物油に関する。一部の実施形態では、この油は、油の重量を基準として少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%のEPAを含む。一部の実施形態では、この油は、油の重量を基準として30重量%〜75重量%、35重量%〜70重量%、40重量%〜65重量%、又は45重量%〜60重量%、又は50重量%〜60重量%のEPAを含む。
[0149]一部の実施形態では、本発明の油は、本発明の高濃度化微生物油を含め、単一の供給源から得られる。一部の実施形態では、本発明の油は、同じ種の微生物から得られる。一部の実施形態では、本発明の油は、単一の微生物株から得られる。一部の実施形態では、本発明の油は、微生物株の単一の単離体又はサブ単離体から得られる。
[0150]一部の実施形態では、DHA及びEPAはトリアシルグリセロール型である。一部の実施形態では、DHA及びEPAはエステル型である。例えば、DHA及びEPAエステルはエチルエステルであってもよい。
[0151]本発明は、本発明の高濃度化微生物油を含む食品、サプリメント、又は薬剤に関する。
[0152]一部の実施形態では、高濃度化微生物油は、シゾキトリウム種(Schizochytrium species)の単離微生物から得ることができる。
[0153]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物から得ることができ、この微生物により生成される全脂肪酸は10重量%超のEPAを含む。一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の単離微生物から得ることができ、この微生物により生成される全脂肪酸は、重量基準で11%超、12%超、13%超、14%超、15%超、16%超、17%超、18%超、19%超、又は20%超のEPAを含む。
[0154]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の特性を有する単離微生物から得ることができ、この微生物により生成される全脂肪酸は約10重量%超のEPAを含む。一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された種の特性を有する単離微生物から得ることができ、この微生物により生成される全脂肪酸は、重量基準で11%超、12%超、13%超、14%超、15%超、16%超、17%超、18%超、19%超、又は20%超のEPAを含む。
[0155]一部の実施形態では、本発明の油は、トリアシルグリセロール画分を生成する単離微生物から得ることができ、このトリアシルグリセロール画分のEPA含量は少なくとも12重量%である。一部の実施形態では、本発明の油は、トリアシルグリセロール画分を生成する単離微生物から得ることができ、このトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、又は少なくとも20%である。一部の実施形態では、本発明の油は、トリアシルグリセロール画分を生成する単離微生物から得ることができ、このトリアシルグリセロール画分のEPA含量は、重量基準で12%〜55%、12%〜50%、12%〜45%、12%〜40%、12%〜35%、12%〜30%、15%〜45%、15%〜40%、15%〜35%、15%〜30%、又は20%〜30%である。
[0156]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10208として寄託された単離微生物から得ることができる。
[0157]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10209として寄託された単離微生物から得ることができる。
[0158]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10210として寄託された単離微生物から得ることができる。
[0159]一部の実施形態では、本発明の油は、ATCC受託番号PTA−10211として寄託された単離微生物から得ることができる。
[抗酸化剤]
[0160]本発明の油は、場合により抗酸化剤を含み得る。この開示の任意の油に、個別に、又は任意の組み合わせで場合により含まれてもよい抗酸化剤の例としては、以下が挙げられる:アスコルビン酸、アスコルビン酸のエステル、アスコルビン酸の塩、グルタチオン、カロチン、βカロチン、ビタミンE、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、ユビキノール、アスコルビン酸及び/又はユビキノン。
[0161]ビタミンEは、本願の目的上、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、又はそれらの組み合わせとして定義される。
[0162]抗酸化剤は場合により、この開示の任意の油中に、これらの量が、合計で、例えば油の全重量を基準として0.001重量%〜5重量%(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲にあるように存在してもよい。抗酸化剤の総量は、例えば、油の全重量を基準として0.01重量%、0.01重量%、0.1重量%、1重量%、2重量%、3重量%、又は4重量%であってもよい。
[0163]このような抗酸化剤は、個別に、又は任意の組み合わせで、場合によりこの開示の任意の油から除外され得る。
[アルデヒド及びアルコール]
[0164]アルデヒドは官能基:−C(O)Hを含有する。
[0165]アルコールは官能基:−OHを含有する。
[酸]
[0166]酸は官能基:−C(O)OHを含有する。
[0167]本願において高い関心がもたれる酸は、脂肪酸である。特別な関心がもたれる脂肪酸としては、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。極めて特別な関心がもたれる脂肪酸としては、DHA、EPA、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
[酸性塩]
[0168]酸性塩は官能基:−C(O)O−M+を含有し、式中、−C(O)O−はアニオンであり、及びM+はカチオンである。M+は無機カチオン又は有機カチオンであってよい。カチオンに関連する−C(O)O−アニオン基の数は、カチオン価数に合致するよう調整することができる。例えば、M+は、元素周期表のI族又はII族の金属の任意のカチオンであってよい。無機カチオンの具体例としては、Na+、K+、Li+、Rb+、Cs+、Fr+、Ca2+、Mg2+、Be2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、及びアンモニウムが挙げられる。カチオンはまた、有機であってもよい。例えば、有機カチオンは、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、グリシン、バリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンなど、プロトン化、又は窒素四級化されたアミノ酸であってもよい。プロトン化又は四級化されたアミノ酸は、ラセミ体であっても、又はD配置若しくはL配置であってもよい。
[0169]本願において高い関心がもたれる酸は、脂肪酸塩である。特別な関心がもたれる脂肪酸塩としては、ω−3脂肪酸の塩、ω−6脂肪酸の塩、及びそれらの組み合わせが挙げられる。極めて特別な関心がもたれる脂肪酸塩としては、DHA塩、EPA塩、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
[エステル]
[0170]一部の実施形態では、脂肪酸エステルには、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸のエステル、及びそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、脂肪酸エステルはDHAエステル、EPAエステル、又はそれらの組み合わせである。一部の実施形態では、本明細書に記載されるとおりの油又はその画分はエステル化され、それにより脂肪酸エステルを含む油又はその画分が作製される。用語「エステル」は、脂肪酸分子のカルボン酸基の水素が別の置換基に置き換わることを指す。典型的なエステルは当業者に公知であり、その考察は、Higuchi,T.and V.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、A.C.S.Symposium Series、Bioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association、Pergamon Press、1987、及びProtective Groups in Organic Chemistry、McOmie編、Plenum Press、New York、1973により提供される。エステルの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、t−ブチル、ベンジル、ニトロベンジル、メトキシベンジル、ベンズヒドリル、及びトリクロロエチルが挙げられる。一部の実施形態では、エステルは、カルボン酸保護エステル基、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル)を有するエステル、低級アルケニル(例えば、アリル、2−ブテニル)を有するエステル、低級アルコキシ低級アルキル(例えば、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル)を有するエステル、低級アルカノイルオキシ低級アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−ピバロイルオキシエチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニル低級アルキル(例えば、メトキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル)を有するエステル、カルボキシ低級アルキル(例えば、カルボキシメチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル(例えば、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル)を有するエステル、カルバモイルオキシ低級アルキル(例えば、カルバモイルオキシメチル)を有するエステルなどである。一部の実施形態では、付加される置換基は直鎖状又は環状炭化水素基、例えば、C1〜C6アルキル、C1〜C6シクロアルキル、C1〜C6アルケニル、又はC1〜C6アリールエステルである。一部の実施形態では、エステルはアルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル又はプロピルエステルである。一部の実施形態では、脂肪酸が精製又は半精製されるとき、エステル置換基が遊離脂肪酸分子に付加される。或いは、脂肪酸エステルは、トリアシルグリセロールからエステルへの変換時に形成される。
[0171]本願において高い関心がもたれるエステルは、脂肪酸エステルである。特別な関心がもたれる脂肪酸エステルとしては、ω−3脂肪酸のエステル、ω−6脂肪酸のエステル、及びそれらの組み合わせがが挙げられる。極めて特別な関心がもたれる脂肪酸エステルとしては、DHAエステル、EPAエステル、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
[0172]エステルは、グリセリドエステル(すなわち、酸とグリセロールとから形成されるエステル)であってもよい。グリセリドエステルは、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、及び/又はトリアシルグリセリドの形態をとってもよい。本願において高い関心がもたれるグリセリドエステルは、多価不飽和脂肪酸を含有するグリセリドエステルである。特別な関心がもたれるグリセリドエステルとしては、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸のグリセリドエステル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。極めて特別な関心がもたれるグリセリドエステルとしては、DHAを含有するグリセリドエステル、EPAを含有するグリセリドエステル、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
[高濃度化微生物油を作製するための高濃度化技法]
[0173]組成物中の多価不飽和脂肪酸の濃度を増加させるための様々な方法が当該技術分野において公知である。かかる方法の例は、例えば、米国特許第7,588,791号明細書;米国特許第6,528,669号明細書;米国特許第6,395,778号明細書;米国特許出願公開第2011/0098356号明細書;及び米国特許出願公開第2010/0130608号明細書(その内容は本明細書によって全体として参照により援用される)に開示されている。
[0174]本発明では、任意の濃縮、反応、及び/又は精製技法を任意の他の濃縮、反応、及び/又は精製技法と組み合わせて、多価不飽和脂肪酸、そのエステル、その塩、そのアルデヒド及び/又はそのアルコールが高濃度化された微生物油を作製することができる。高濃度化技法は、任意の順番及び組み合わせで用いることができる。一部の実施形態では、微生物粗油又は精製微生物油を、本発明の高濃度化微生物油を作製するための出発物質として使用することができる。例えば、微生物粗油又は精製微生物油の単純な脱蝋により、多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリドが高濃度化された第1の高濃度化微生物油を作製することができる。この第1の高濃度化微生物油が、例えば、次に塩基触媒トリアシルグリセリド加水分解を受けることにより、多価不飽和脂肪酸を含有する、且つそれが高濃度化された第2の高濃度化微生物油が作製され得る。この第2の高濃度化微生物油を、例えば、次に減圧下で分留して多価不飽和脂肪酸をさらに濃縮すると、それにより第3の高濃度化微生物油を作製することができる。次に第3の高濃度化微生物油を、例えば、高速液体クロマトグラフィーを用いて多価不飽和脂肪酸含有分をさらに高濃度化することにより、多価不飽和脂肪酸が高濃度化された第4の微生物油を作製することができる。好ましい実施形態では、本発明の高濃度化微生物油を作製するための出発物質として、バイオマスを使用することができる。ここで使用するときのバイオマスとは、少なくとも部分的に脱水された藻類培養ブロスを指す。
[0175]トリアシルグリセリドは、脂肪酸(特に多価不飽和脂肪酸)、その塩、そのアルデヒド、そのアルコール、及び/又はその非グリセリドエステルを作製するための好ましい材料である。トリアシルグリセリドは、微生物粗油中に、又は精製微生物油中に存在し得る。トリアシルグリセリドは、脂肪酸(特に多価不飽和脂肪酸)、その塩、そのアルデヒド、そのアルコール、及び/又はその非グリセリドエステルを得るための任意の化学反応を行う前に微生物粗油又は精製微生物油から濃縮され得る。
[0176]微生物粗油又は精製微生物油中のトリアシルグリセリドの含量は、例えば、微生物粗油又は精製微生物油の全重量を基準として10重量%〜99重量%(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、微生物粗油又は精製微生物油のトリアシルグリセリド含量は、微生物油の重量を基準として15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、又は99重量%であってもよい。
[0177]微生物粗油又は精製微生物油は、その中の多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリドの含量が増加するように、例えば単純な脱蝋によって操作することができる。
[単純な脱蝋]
[0178]単純な脱蝋では、微生物粗油又は精製微生物油が溶媒の非存在下で冷却され、冷却された油から固形画分が沈殿する。固形画分は、エステル結合によって結合した飽和脂肪酸を主に含有するトリアシルグリセリドを含有する。液体画分は、エステル結合によって結合した多価不飽和脂肪酸を主に含有するトリアシルグリセリドを含有する。冷却後、例えばデカンテーション及び/又はろ過により、及び/又は遠心と、続くデカンテーション及び/又はろ過を経て、固形画分から液体画分が分離される。適切な場合には、蒸発にも供され得る。実施される場合には、遠心は、例えば、1,000〜4,000g(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)であってよい。
[0179]単純な脱蝋では、冷却温度は、例えば0℃〜120℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、冷却温度は、−5℃、−10℃、−20℃、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃、−100℃、−110℃、又は−120℃であってよい。冷却時間は、1分〜5日(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。冷却時間は、例えば、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、2日、3日、又は4日であってよい。
[0180]単純な脱蝋の後、単純な脱蝋処理をした油におけるトリアシルグリセリドの含有分(エステル結合によってそれに結合した多価不飽和脂肪酸を含む)は高濃度化され、例えば、単純な脱蝋処理をした油の全質量を基準として20質量%〜99.9質量%(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、単純な脱蝋処理をした油における多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリドの含量は、単純な脱蝋処理をした油の全質量を基準として25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、90質量%、95質量%、99質量%、又は99.9質量%であってよい。
[0181]単純な脱蝋処理をした油のトリアシルグリセリド中の多価不飽和脂肪酸含量は、例えば、全トリアシルグリセリドエステル結合の30%(例えば、トリアシルグリセリドエステル結合の30%が多価不飽和脂肪酸とのものである)乃至全トリアシルグリセリドエステル結合の100%(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、トリアシルグリセリドの多価不飽和脂肪酸含量は、単純な脱蝋処理をした油におけるトリアシルグリセリド中の全トリアシルグリセリドエステル結合の25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、又は95%であってよい。
[0182]微生物粗油又は精製微生物油は、その中の多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリドの含量が増加するように、例えば複雑な脱蝋によって操作することができる。
[複雑な脱蝋]
[0183]複雑な脱蝋では、微生物粗油又は精製微生物油が溶媒の存在下で冷却され、冷却された油から固形画分が沈殿する。固形画分は、エステル結合によって結合した飽和脂肪酸を主に含有するトリアシルグリセリドを含有する。液体画分は、エステル結合によって結合した多価不飽和脂肪酸を主に含有するトリアシルグリセリドを含有する。冷却後、例えばデカンテーション及び/又はろ過により、及び/又は遠心と、続くデカンテーション及び/又はろ過を経て、固形画分から液体画分が分離される。適切な場合には、蒸発にも供され得る。実施される場合には、遠心は、例えば、1,000〜4,000g(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)であってよい。
[0184]溶媒は、例えば、エタノール、メタノール、プロパン、ブタン、酢酸ブチル、酢酸エチル、二酸化炭素、超臨界二酸化炭素、アセトン、一酸化二窒素、ヘキサン、エチルメチルケトン、イソプロパノール、ジクロロメタン、又はこれらの溶媒の任意の組み合わせであってよい。
[0185]2つの溶媒を共に使用する場合、2つの溶媒の容積/容積比は、5:95〜95:5(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよく、ここで全てを合わせた合計溶媒容積は100%である。例えば、容積/容積比は、10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20又は90:10であってよい。
[0186]油に対する溶媒の比は、例えば、油1g:溶媒1mL〜油1g:溶媒100mL(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、油対溶媒比は、1g:2mL、1g:3mL、1g:4mL、1g:5mL、1g:6mL、1g:7mL、1g:8mL、1g:9mL、1g:10mL、1g:20mL、1g:30mL、1g:40mL、1g:50mL、1g:60mL、1g:70mL、1g:80mL、又は1g:90mLであってよい。
[0187]複雑な脱蝋では、冷却温度は、例えば、0℃〜120℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、冷却温度は、−5℃、−10℃、−20℃、−30℃、−40℃、−50℃、−60℃、−70℃、−80℃、−90℃、−100℃、−110℃、又は−120℃であってよい。冷却時間は、1分〜5日(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。冷却時間は、例えば、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、2日、3日、又は4日であってよい。
[0188]複雑な脱蝋、及び溶媒除去の後、複雑な脱蝋処理をした油におけるトリアシルグリセリドの含有分(エステル結合によってそれに結合した多価不飽和脂肪酸を含む)は高濃度化され、例えば、複雑な脱蝋処理をした油の全質量を基準として20質量%〜99.9質量%(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、複雑な脱蝋処理をした油の多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリドの含量は、複雑な脱蝋処理をした油の全質量を基準として25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、90質量%、95質量%、99質量%、又は99.9質量%であってよい。
[0189]複雑な脱蝋処理をした油のトリアシルグリセリド中の多価不飽和脂肪酸含量は、例えば、全トリアシルグリセリドエステル結合の20%〜100%(例えば、全トリアシルグリセリドエステル結合の20%〜100%が多価不飽和脂肪酸と結合している)(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、単純な脱蝋処理をした油におけるエステル結合の25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%が、多価不飽和脂肪酸と結合していてもよい。
[0190]米国特許第7,588,791号明細書の内容は、全体として参照により本明細書に援用される。
[加水分解]
[0191]脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸は、脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリド及び/又はジアシルグリセリド及び/又はモノアシルグリセリドを加水分解して得ることができる。トリアシルグリセリドは、場合により単純な脱蝋処理及び/又は複雑な脱蝋処理を受けたものであってよい微生物粗油又は精製微生物油中に含まれる。加水分解は、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化セシウム、又はこれらの任意の組み合わせなどの塩基で作用させることができる。重量:重量を基準とした塩基(例えば金属水酸化物)対油の比は、1:1〜1000:1(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、塩基対油の重量:重量比は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1、200:1、300:1、400:1、500:1、500:1、700:1、800:1、又は900:1であってよい。加水分解は、水中で、且つ場合により、水と完全に混和性、部分的に混和性、又は全くの非混和性であってよい共溶媒を用いて実施され得る。共溶媒としては、限定はされないが、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、ヘキサン、ペンタン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及び/又はクラウンエーテルを挙げることができる。クラウンエーテルは、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジアザ−18−クラウン6、又はそれらの組み合わせであってもよい。
[0192]加水分解反応は、10℃〜80℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲の温度で実施されてもよい。加水分解反応は、例えば15℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、又は70℃で実施されてもよい。
[0193]加水分解反応は、1時間〜1週間(これらの間のあらゆる部分的範囲及び値を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲の期間にわたり行われてもよい。例えば、加水分解反応は、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、2日、3日、4日、5日、又は6日にわたり実施されてもよい。
[0194]加水分解反応のワークアップは、当業者に公知のどのような方法で行われてもよい。加水分解反応が、プロトン源(ワークアップ開始前に水で希釈することができる)、例えば塩化アンモニウム、又は鉱酸でワークアップされる場合、加水分解された脂肪酸の遊離酸分子が生じ得る。鉱酸としては、塩酸、硫酸、及び/又はリン酸が挙げられる。
[0195]或いは、加水分解反応で形成される脂肪酸塩は、濃縮、例えば加水分解反応液からの水(及び場合により共溶媒)の除去により単離することができる。脂肪酸又は脂肪酸塩含有反応液からの溶媒除去は、例えばロータリーエバポレーター又は凍結乾燥器又はTurboVap(登録商標)において低大気圧下で作用させることができる。低大気圧は、例えば吸引装置又は真空ポンプによって作用させることができる。
[0196]減圧は、0.0001気圧〜0.9気圧(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。気圧は「atm」と略記され、101,325Paに等しい。減圧は、例えば、0.001atm、0.01atm、0.1atm、0.2atm、0.3atm、0.4atm、0.5atm、0.6atm、0.7atm、又は0.8atmであってよい。
[エステル形成/エステル交換]
[0197]脂肪酸エステル、特に多価不飽和脂肪酸エステルは、当業者に公知の方法で生成することができる。
[0198]例えば、脂肪酸、特に多価不飽和脂肪酸を含有するトリアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、及び/又はモノアシルグリセリドを、酸又は塩基の存在下でアルコールと反応させてエステルを生成することができる。米国特許出願付与前公開第2009/0023808号明細書として公開された米国特許出願第12/163,555号明細書の開示を、全体として参照により本明細書に援用する。
[0199]アルコールとしては、例えば、C1〜C6アルキルアルコール、例えば、エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、及びn−ヘキサノールを挙げることができる。アルコールは、反応溶媒及び共反応物として、単独で、或いは共溶媒と共に使用することができる。アルコールの量は、反応混合物の25重量%〜50重量%(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、反応混合物中のアルコールの量は、反応混合物の30重量%、35重量%、40重量%又は45重量%であってよい。
[0200]塩基は、例えば金属アルキル酸化物であってもよい。金属アルキル酸化物としては、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムイソブトキシド、ナトリウムsec−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムn−ペントキシド;ナトリウムn−ヘキソキシド、リチウムエトキシド、リチウムメトキシド、リチウムn−プロポキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムn−ブトキシド、リチウムイソブトキシド、リチウムsec−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシド、リチウムn−ペントキシド、リチウムn−ヘキソキシド、カリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムn−プロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムn−ブトキシド、カリウムイソブトキシド、カリウムsec−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、カリウムn−ペントキシド、及び/又はカリウムn−ヘキソキシドが挙げられる。
[0201]ある状況において、塩基は、ナトリウム金属、カリウム金属、又はリチウム金属をアルコール溶液に添加することにより作製されてもよい。
[0202]ある状況において、塩基は、金属水素化物、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、又は水素化カリウムをアルコール溶液に添加することにより作製されてもよい。
[0203]重量:重量を基準とした塩基対油の比は、例えば、1:1〜1000:1(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、重量対重量を基準とした塩基対油の比は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、100:1、200:1、300:1、400:1、500;1、600:1、700:1、800:1、又は900:1であってよい。
[0204]エステル化反応は、10℃〜100℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲の温度で実施することができる。例えば、エステル化反応は、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、又は90℃で実施することができる。
[0205]エステル化反応は、大気に曝露されている状態、又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性雰囲気下で実施することができる。
[0206]脂肪酸エステルのワークアップ及び単離は、当業者に公知の方法で、例えば有機溶媒及び/又は水による抽出により行うことができる。有機溶媒は、例えば、ペンタン、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、又はそれらの組み合わせであってもよい。水は、場合により他の物質、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム及び/又は希鉱酸を含有し得る。
[還元]
[0207]加えて、脂肪酸エステルを還元して脂肪酸のアルコール又はアルデヒドを形成することができる。
[0208]例えば、トリアシルグリセリドを、場合によりMeOH及び/又はジグリムの存在下でのLiBH4;塩化トリメチルシリルの存在下でのLiBH4;三フッ化ホウ素エーテラートの存在下でのNaBH4;AlCl3又はTiCl4又はH2SO4の存在下でのNaBH4;Zn(BH4)2;iBuAlH;場合によりAlCl3の存在下でのLiAlH4;及び/又はNaA1H4などの還元試薬で処理してもよい。還元を達成するための一般的な試薬は、Larock,R.C.、Comprehensive Organic Transformations、第2版、(1999)に記載される。
[0209]還元は、例えば、−78℃〜80℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲の温度で実施することができる。例えば、還元は、−70℃、−60℃、−50℃、−40℃、−30℃、−20℃、−10℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、又は70℃で行うことができる。
[0210]還元は、好ましくは窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で行われる。
[0211]反応溶媒の選択は様々であり得るが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ペンタン、テトラヒドロピラン、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。溶媒は好ましくは還元試薬に対して不活性である。溶媒は好ましくは無水である。
[0212]モル:モルを基準とした還元試薬対トリアシルグリセリドの比は、0.33:1〜50:1(これらの間のあらゆる値、範囲、及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、モル:モルを基準とした還元試薬対トリアシルグリセリドの比は、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1であってもよい。
[酸化]
[0213]還元によって得られた脂肪酸のアルコールは、酸化を行うことにより、アルデヒドに変換することができる。酸化剤は、例えば、ピリジン−三酸化硫黄複合体を含むジメチルスルホキシド及びジイソプロピルエチルアミン;C6F5SeO2H;過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム;及び/又はデス−マーチンペルヨージナン試薬(「DMP」)であってもよい。還元を達成するための一般的な試薬は、Larock,R.C.、Comprehensive Organic Transformations、第2版、(1999)に記載される。
[0214]酸化は、例えば、−78℃〜80℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲の温度で実施することができる。例えば、酸化は、−70℃、−60℃、−50℃、−40℃、−30℃、−20℃、−10℃、0℃、10℃、20℃、30℃。40℃、50℃、60℃、又は70℃で行うことができる。
[0215]酸化は、好ましくは窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で行われる。
[0216]反応溶媒の選択は様々であり得るが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ペンタン、テトラヒドロピラン、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。溶媒は好ましくは酸化試薬に対して不活性である。溶媒は好ましくは無水であるが、酸化中の任意の時点で水を添加してもよい。
[0217]モル:モルを基準とした酸化試薬対アルコールの比は、0.33:1〜50:1(これらの間のあらゆる値、範囲、及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、モル:モルを基準とした酸化試薬対アルコールの比は、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、又は50:1であってもよい。
[0218]多価不飽和脂肪酸、そのエステル、その塩、それから作製されるアルデヒド、又はそれから作製されるアルコールは、精製によって高濃度化することができる。
[HPLC精製/高濃度化]
[0219]例えば、多価不飽和脂肪酸、それから形成される、その塩、そのエステル、それから形成されるアルデヒド、及び/又はそれから形成されるアルコール(まとめて「所望の生成物」)は、例えば逆相カラムを使用する高速液相クロマトグラフィーにより精製することができる。逆相カラムは、例えば、C8カラム、C18カラム、C19カラム、C20カラム、C21カラム、又はC22カラムであってもよい。
[0220]所望の生成物は、単一の溶媒、溶媒混合物である移動相によるか、又は2つの溶媒を用いる溶媒勾配により、溶出させることができる。溶媒としては、限定はされないが、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、水、微量(例えば、0.001%〜0.1%容積/容積)のトリフルオロ酢酸又はギ酸を含む水、ヘキサン、ペンタン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。所望の生成物はまた、高圧又は超臨界二酸化炭素で溶出させることもできる。
[0221]所望の生成物は、それがカラムを出るときに、例えば、紫外可視、ダイオードアレイ、屈折率及び/又は蛍光検出器により検出することができる。
[0222]所望の生成物は、フラクションコレクターにおいて(例えば試験管中の)画分に収集することができ、次にそれを減圧下での溶媒除去によるか、或いは収集された画分に不活性雰囲気を吹き付けることにより濃縮して、所望の生成物が高濃度化された油を得ることができる。
[クロマトトロン(Chromatotron)(登録商標)精製/高濃度化]
[0223]油中の所望の生成物を濃縮する別の方法は、クロマトトロン(登録商標)で所望の生成物を精製することである。クロマトトロン(登録商標)は、分取的遠心加速式ラジアル薄層クロマトグラフである。粗油を、場合によりジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラヒドロピランなどの1つ以上の溶媒の存在下でクロマトトロン(登録商標)に負荷する。クロマトトロン(登録商標)のラジアルプレートは、シリカゲル、アルミナ、及び/又は硝酸銀を含浸させたシリカゲルであってよい固定相分離媒体でコーティングすることができる。
[0224]所望の生成物は、画分(例えば試験管中の)に収集することができ、次にそれを減圧下での溶媒除去によるか、或いは収集された画分に不活性雰囲気を吹き付けることにより濃縮して、所望の生成物が高濃度化された油を得ることができる。
[カラムクロマトグラフィー]
[0225]油中の所望の生成物を濃縮する別の方法は、カラムクロマトグラフィーで所望の生成物を精製することである。カラムを、シリカゲル、アルミナ、及び/又は硝酸銀を含浸させたシリカゲルなどの固定相で充填し、溶媒又は溶媒の混合物で湿潤させる。所望の生成物を含有する油をカラムに負荷し、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ヘキサン、メタノール、アセトン、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラヒドロピランなどの1つ以上の移動相溶媒で溶出させる。
[0226]所望の生成物は、画分(例えば試験管中の)に収集することができ、次にそれを減圧下での溶媒除去によるか、或いは収集された画分に不活性雰囲気を吹き付けることにより濃縮して、所望の生成物が高濃度化された油を得ることができる。
[真空分子分留/高濃度化]
[0227]油中の所望の生成物を濃縮する別の方法は、分留で所望の生成物を精製することである。油を加熱フラスコに入れ、そのフラスコを、場合により減圧下で加熱する。一例では、所望の生成物は、その沸点に達すると気相に変化して分留カラムを通過し、冷却器で凝縮され、受けフラスコに収集される。代替的な例では、所望の生成物が加熱フラスコ内に置かれたまま、所望の生成物から不純物が留去される。
[0228]分留は、例えば、40℃〜500℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲の温度で実施することができる。例えば、分留は、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、又は120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、又は240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃、340℃、350℃、又は360℃、370℃、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃、480℃、又は490℃で実施することができる。
[0229]分留は、好ましくは減圧下で行われる。減圧は、0.0001気圧〜0.9気圧(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。気圧は「atm」と略記され、101,325Paに等しい。減圧は、例えば、0.001atm、0.01atm、0.1atm、0.2atm、0.3atm、0.4atm、0.5atm、0.6atm、0.7atm、又は0.8atmであってよい。
[尿素アダクト結晶化]
[0230]油中の所望の生成物を濃縮する別の方法は、尿素沈殿及び/又は尿素アダクト結晶化で所望の生成物を精製することである。ここでは、所望の生成物を含有する油が溶媒、例えばメタノールに溶解される。溶媒、例えばメタノールは、例えば40℃〜70℃(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲に加温される。例えば、所望の生成物を含有する油のメタノール溶液を、45℃、50℃、55℃、60℃、又は65℃、又は70℃に加熱することができる。次に尿素を、加熱した溶媒油混合物中に溶解させる。100mgの油を基準とした尿素の量は、1g〜6gの尿素(これらの間のあらゆる値及び部分的範囲を、明示的に書き出されたものとして含む)の範囲であってよい。例えば、100mgの油あたりの尿素の量は、1.5g、2.0g、2.5g.、3.0g、3.5g.、4.0g、4.5g、5.0g、又は5.5gであってよい。得られた溶液を、例えば0℃、又は5℃、又は10℃、又は15℃、又は20℃に冷却し、所定時間、例えば、1時間、又は2時間、又は3時間、又は4時間、又は5時間、又は6時間、又は7時間、又は8時間が経過した後、得られた沈殿物/溶液の組み合わせを遠心する。遠心後、溶媒、例えばメタノールを除去し、例えば、ペンタン、ヘキサン、及び/又はヘプタンを使用して沈殿物から所望の生成物を抽出する。2回以上の抽出、例えば、2回、3回、4回又は5回の抽出を実施してもよい。得られたペンタン、ヘキサン及び/又はヘプタン抽出物を濃縮してペンタン、ヘキサン及び/又はヘプタンを除去すると、それにより所望の生成物が高濃度化された油が得られる。
[0231]米国特許出願第12/729,013号明細書及び米国仮特許出願第61/296,456号明細書の内容は、全体として参照により本明細書に援用される。
[バイオマスからの微生物油の高濃度化]
[0232]本明細書に記載される方法及びシステムの別の態様は、微生物バイオマスから微生物油を抽出及び精製する能力である。微生物バイオマスから微生物油を抽出する本明細書に開示される方法は、バイオマスをアルコール及び塩基と混合及び加熱して多価不飽和脂肪酸のエステルを生成するカスタマイズされた方法を含む。バイオマスは略液相と略固相とに分離される。略液相は、多価不飽和脂肪酸のエステルを含む画分を回収することにより、さらに精製される。
[0233]本明細書に開示されるシステム及び方法は、湿潤バイオマスから開始することができ、乾燥及び脱水コストが低減される。当該技術分野では、ヘキサンを溶媒として用いて乾燥した藻類マスから油を抽出することが公知である。この方法はエネルギーを大量消費する。乾燥に熱を使用し、抽出にヘキサンを使用すると、この種の処理によって脂質分解が生じるため、品質の低い産物が生成される。従って、微生物バイオマスからの微生物油の抽出及び精製は、従来方法に対する費用対効果の高い代替手段を提供する。
[0234]従来、微生物油は、バイオマスから直接ではなく、粗油から精製及び高濃度化される。バイオマスは生成が困難であったため、微生物油抽出の出発物質としては使用されなかった。藻類発酵ブロスからの藻類バイオマスの分離が困難であった。藻類発酵ブロスは濃厚なミルクのような形態の粘りが強いエマルションである。これが、藻類発酵ブロスからのバイオマスの分離を、実現可能ではないにしても、困難にしている。発酵過程で生じる界面活性物質が、概して乳化に関与する。発酵ブロスのバイオマスから油を抽出することは、エマルションに起因して油の回収率が低いため、非効率であると考えられた。結果として、微生物油抽出の出発物質は、バイオマスではなく、粗油である。
[0235]驚くことに、本発明に開示される新規バイオマス分離方法では、油の回収は90%を超える。残りのバイオマス中の少量の脂質(或いはバイオミール又は使用済みバイオマスと称される)は、飼料として有用なままである。
[0236]提案されるバイオマス分離方法は、藻類ブロスにアルコールを添加してエマルションをブリーチ(breach)することにより、エマルションを破壊することを含む。好ましい実施形態において、反応に用いられるアルコールはエタノールである。別の実施形態において、エタノールは、出発藻類ブロスの0.3〜1.0(容積)である。別の実施形態において、エタノールは、出発藻類ブロスの0.3〜0.5(容積)である。アルコールを藻類ブロスと混合した後、混合物を遠心してバイオマス相及び上清相に分離する。バイオマス相をさらに処理すると、高濃度化微生物油が生成される。図1は、以下に記載する藻類ブロスからのバイオマスの分離及びバイオマスからの微生物油の高濃度化に用いられる方法の例示的実施形態に含まれるステップの概略図を提供する。
[0237]本発明の一部の実施形態では、藻類バイオマスからの油の抽出方法は、バイオマスをアルコール及び塩基触媒と反応させて多価不飽和脂肪酸のエステルを生成するステップを含む。
[0238]本発明における使用に好適なアルコールとしては、1〜6個の炭素原子を含む任意の低級アルキルアルコール(すなわち、C1〜6アルキルアルコール)が挙げられる。特定の実施形態において、アルコールはエタノール又はメタノールである。これらの実施形態では、生成される多価不飽和脂肪酸エステルは、それぞれ多価不飽和脂肪酸のメチルエステル及びエチルエステルである。本発明の方法では、アルコールは典型的には、バイオマスの2〜5倍の重量を含む。一部の実施形態では、アルコールは、バイオマスの約4倍の重量を含む。特定の実施形態において、バイオマス及び塩基は、純エタノール又は純メタノールのいずれかに添加することができる。一般に、用いられるアルコールの量は、多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドを含有する油又は組成物のアルコールに対する溶解度によって異なり得る。
[0239]本発明においては、反応物として使用するのに好適な当該技術分野において公知の任意の塩基が用いられ得る。式RO−Mの塩基(式中、Mは金属元素であり、及びRは水素又はC1〜6アルキルアルコールである)が、特に本発明に適している。好適な塩基の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びナトリウムエトキシドが挙げられる。一部の実施形態では、塩基は水酸化カリウムである。本発明の方法では、塩基は典型的にはバイオマスの約5wt%当量の量で組成物及びアルコールとの反応ステップに加えられる。特定の実施形態において、塩基は典型的には、バイオマスの約2.5wt%当量の量で組成物及びアルコールとの反応ステップに加えられる。
[0240]多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドを含むバイオマス、アルコール、及び塩基は、脂肪酸残基とアルコールと間でのエステルの生成が可能な温度及び時間で共に反応させる。好適な反応時間及び温度は、エステルを生成するように当業者によって決定され得る。理論による拘束を意図するものではないが、反応ステップの間にPUFAを含めた脂肪酸がトリグリセリドのグリセロール骨格から切断され、各脂肪酸のエステルが形成されると考えられる。特定の実施形態において、組成物をアルコール及び塩基の存在下で反応させるステップは、約60℃〜約120℃、約70℃〜約110℃、約75℃〜約100℃、又は約80℃〜約90℃の温度で実施される。さらなる実施形態において、アルコール及び塩基の存在下で組成物を反応させるステップは、約75℃、80℃、85℃、90℃、又は95℃の温度で実施される。一部の実施形態では、アルコール及び塩基の存在下で組成物を反応させるステップは、約2時間〜約12時間、約3時間〜約11時間、約4時間〜約10時間、約5時間〜約9時間、又は約6時間〜約8時間の時間にわたり実施される。特定の実施形態において、アルコール及び塩基の存在下で組成物を反応させるステップは、約5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10時間にわたり実施される。
[0241]一実施形態において、油組成物、アルコール及び塩基を反応させるステップは、これらの成分を還流させてPUFAエステルを生成することにより行われてもよい。さらなる実施形態において、油組成物を反応させるステップは、反応成分の還流をもたらさない温度で実施されてもよい。例えば、油組成物を反応させるステップを大気圧より大きい圧力下で実施すると、反応混合物中に存在する溶媒の沸点が高くなり得る。かかる条件下では、溶媒が大気圧で沸騰しながらも、反応成分の還流は生じない温度で、反応が起こり得る。一部の実施形態では、反応は、約5〜約20ポンド毎平方インチ(psi);約7〜約15psi;又は約9〜約12psiの圧力で実施される。特定の実施形態において、反応は、約7、8、9、10、11、又は12psiの圧力で実施される。圧力下で実施される反応は、上記に列挙する反応温度で行われ得る。一部の実施形態では、圧力下で実施される反応は、約70℃、75℃、80℃、85℃、又は90℃で行われ得る。
[0242]PUFAエステルを含む反応混合物をさらに処理して、混合物からPUFAエステルを得ることができる。一実施形態において、PUFAエステルは、組成物を蒸留して多価不飽和脂肪酸のエステルを含む画分を回収することにより、反応混合物から分離することができる。このようにして、目的のPUFAエステルを含む反応混合物の標的とする画分を反応混合物から分離し、回収することができる。この方法の詳細は、本願の既述部分にある「真空分子分留/高濃度化」と題される小節に見出すことができる。別の実施形態では、PUFAエステルは尿素結晶化ステップに供される。上記で考察される技法を用いたグリセリド源のエステル交換により形成されるPUFAエステル(例えば、DHAのエステル)と飽和脂肪酸エステルとを含有する溶液中で尿素が結晶化すると、尿素及び飽和脂肪酸エステルの少なくとも一部分を含む沈殿物が形成される。しかしながら、この沈殿物は、初期反応混合物と比べて実質的により小さいトラクション(traction)のPUFAエステルを含む。代わりにPUFAエステルのバルクは溶液中に残り、従って沈殿した飽和脂肪酸エステルと容易に分離することができる。この方法の詳細は、本願の既述部分にある「尿素アダクト結晶化」と題される小節に見出すことができる。
[0243]本発明に記載される高濃度化方法で用いることのできる微細藻類種は、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)に限定されない。一部の実施形態では、生物としては、黄金藻類(ストラメノパイル界(Stramenopiles)の微生物など)、緑藻類、珪藻類、渦鞭毛藻類(例えばクリプテコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)などのクリプテコディニウム属(Crypthecodinium)のメンバーを含む渦鞭藻目(the order Dinophyceae)の微生物など)、酵母、並びにムコール属(Mucor)及びモルティエレラ属(Mortierella)(限定はされないが、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)及びモルティエレラ属シュマッケリ節(Mortierella sect.schmuckeri)を含む)の真菌類からなる群から選択されるものが挙げられる。微生物群ストラメノパイル界(Stramenopiles)のメンバーには、以下の微生物群を含む微細藻類及び藻類様微生物が含まれる:ハマトレス(Hamatores)、プロテロモナス類(Proterornonads)、オパリナ類(Opalines)、デベロパイエラ(Develpayella)、ディプロフリス属(Diplophrys)、ラビリンチュラ類(Labrinthulids)、ヤブレツボカビ類、ビオセシド(Biosecids)、卵菌類(Oomycetes)、サカゲツボカビ網(Hypochytridiomycetes)、コマチオン(Commation)、レチクロスフェラ(Reticulosphaera)、ペラゴモナス属(Pelagomonas)、ペラゴコッカス属(Pelagococcus)、オリコラ(Ollicola)、アウレオコッカス属(Aureococcus)、パルマ目(Parmales)、珪藻類(Diatoms)、黄緑藻綱(Xanthophytes)、褐藻類(Phaeophytes)(褐藻(brown algae))、真正眼点藻類(Eustigmatophytes)、ラフィド藻類(Raphidophytes)、シヌラ藻類(Synurids)、アキソジン(Axodines)(リゾクロムリナ目(Rhizochromulinaales)、ペディネラ目(Pedinellales)、ディクチオカ目(Dictyochales)を含む)、クリソメラ目(Chrysomeridales)、サルキノクリシス目(Sarcinochrysidales)、ミズオ目(Hydrurales)、ヒッバーディア目(Hibberdiales)、及びヒカリモ目(Chromulinales)。ヤブレツボカビ類には、シゾキトリウム属(Schizochytrium)(種には、アグレガツム(aggregatum)、リムナセウム(limnaceum)、マングロベイ(mangrovei)、ミヌツム(minutum)、オクトスポルム(octosporum)が含まれる)、トラウストキトリウム属(Thraustochytrium)(種には、アルジメンタレ(arudimentale)、アウレウム(aureum)、ベンチコラ(benthicola)、グロボスム(globosum)、キンネイ(kinnei)、モチブム(motivum)、ムルチルジメンタレ(multirudimentale)、パキデルマム(pachydermum)、プロリフェルム(proliferum)、ロセウム(roseum)、ストリアツム(striatum)が含まれる)、ウルケニア属(Ulkenia)(種には、アモエボイデア(amoeboidea)、ケルグエレンシス(kerguelensis)、ミヌタ(minuta)、プロフンダ(profunda)、ラジアタ(radiate)、サイレンス(sailens)、サルカリアナ(sarkariana)、シゾキトロプス(schizochytrops)、ウィスルゲンシス(visurgensis)、ヨルケンシス(yorkensis)が含まれる)、アプラノキトリウム属(Aplanochytrium)(種には、ハリオチジス(haliotidis)、ケルグエレンシス(kerguelensis)、プロフンダ(profunda)、ストッキノイ(stocchinoi)が含まれる)、ヤポノキトリウム属(Japonochytrium)(種には、マリヌム(marinum)が含まれる)、アルトルニア属(Althornia)(種には、クロウチイ(crouchii)が含まれる)、及びエリナ属(Elina)(種には、マリサルバ(marisalba)、シノリフィカ(sinorifica)が含まれる)が含まれる。ラビリンチュラ類には、ラビリンチュラ属(Labyrinthula)(種には、アルゲリエンシス(algeriensis)、コエノシスチス(coenocystis)、カットニイ(chattonii)、マクロシスティス(macrocystis)、マクロシスティス・アトランティカ(macrocystis atlantica)、マクロシスティス・マクロシスティス(macrocystis macrocystis)、マリナ(marina)、ミヌタ(minuta)、ロスコフェンシス(roscoffensis)、バルカノビイ(valkanovii)、ビテリナ(vitellina)、ビテリナ・パシフィカ(vitellina pacifica)、ビテリナ・ビテリナ(vitellina vitellina)、ゾプフィイ(zopfi)が含まれる)、ラビリントミクサ属(Labyrinthomyxa)(種には、マリナ(marina)が含まれる)、ラビリンチュロイデス属(Labyrinthuloides)(種には、ハリオチジス(haliotidis)、ヨルケンシス(yorkensis)が含まれる)、ディプロフリス属(Diplophrys)(種には、アルケリ(archeri)が含まれる)、ピロソルス属(Pyrrhosorus)*(種には、マリヌス(marinus)が含まれる)、ソロジプロフリス属(Sorodiplophrys)*(種には、ステルコレア(stercorea)が含まれる)、クラミドミクサ属(Chlamydomyxa)*(種には、ラビリンチュロイデス(labyrinthuloides)、モンタナ(montana)が含まれる)が含まれる。(*=現時点でこれらの属の正確な分類学的位置付けに関する共通見解はない)。
[0244]概略的に本発明を記載したが、本明細書に提供される例を参考にすることで、さらなる理解を得ることができる。これらの例は、あくまでも説明のための例であり、限定することを意図するものではない。
[実施例1]
[微生物の単離]
[0245]北米西海岸(カリフォルニア州(California)、オレゴン州(Oregon)、及びワシントン州(Washington))及びハワイ州(Hawaii)に沿った入り江及び河口域を含む潮間生息地から、干潮時に試料を採取した。水、堆積物、生きている植物材料、及び死滅した植物/動物の残骸を、滅菌した50ml管に入れた。水と共に各試料の部分量を、単離培地の固形寒天プレートに塗布した。単離培地は以下からなった:500mlの人工海水、500mlの蒸留水、1gのグルコース、1gのグリセロール、13gの寒天、1gのグルタミン酸塩、0.5gの酵母エキス、0.5gのカゼイン加水分解物、1mlのビタミン溶液(100mg/Lのチアミン、0.5mg/Lのビオチン、0.5mgのB12)、1mlの微量ミネラル溶液(PII金属、1リットル当たり:6.0gのFeCl36H2O、6.84gのH3BO3、0.86gのMnCl24H2O、0.06gのZnCl2、0.026のCoCl26H2O、0.052gのNiSO4H2O、0.002gのCuSO45H2O及び0.005gのNa2MoO42H2Oを含有)、並びに各500mgのペニシリンG及び硫酸ストレプトマイシン。寒天プレートを暗所において20〜25℃でインキュベートした。2〜4日後、寒天プレートを顕微鏡下で調べ、細胞のコロニーを滅菌したつまようじで取り、新鮮な培地プレートに再ストリークした。汚染生物が除去されるまで、細胞を新鮮培地に繰り返しストリークした。単離した微生物のうち2つをATCC受託番号PTA−10212及びPTA−10208として寄託した。
[0246][ATCC受託番号PTA−10212として寄託した単離微生物の分類学的特徴付け]
ATCC受託番号PTA−10212として寄託した単離微生物(「PTA−10212」)の培養物は、白色の湿潤したスメア状のコロニーのように見え、目に見える独立した胞子嚢群はなかった。
[0247]PTA−10212を固体及び液体FFM、固体KMV、KMVスラッシュ(1%)、KMVブロス、及びMHブロスで増殖して増殖特性をさらに調べた。PTA−10212はKMV及びMHで急速に増殖することが観察された。例えば、Porter D.、1989、Phylum Labyrinthulomycota、Margulis,L.、Corliss,J.O.、Melkonian,M.、Chapman,D.J.(編)、Handbook of Protoctista、Jones and Bartlett、Boston、388−398頁(KMV);Hondaら、Mycol.Res.102:439−448(1998)(MH);及び米国特許第5,130,242号明細書(FFM)(この各々は、全体として参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
[0248]以下の観察は、PTA−10212を固体FFM培地で数日間にわたり増殖した後、KMV培地、及びMHブロスで72時間増殖した後に行った。胞子嚢はいずれの培地中/培地上においても集塊せず、極めて小さかった(5〜10μm)。PTA−10212は、シゾキトリウム属(Schizochytrium)の分割パターンに特徴的な多量の四分子を示さなかった。新鮮な固体培地に移して約24時間後、アメーバ状細胞が現れた。このアメーバ状細胞は数日後に消え、及び液体培地又はスラッシュ培地では明白でなかった。Yokoyama,R.ら、Mycoscience 48(6):329−341(2007)によって、液体培地で増殖したとき「フラスコの底にある細かい砂粒」の外観を有するものとして記載されるオーランチオキトリウム属(Aurantiochytrium)と異なり、PTA−10212はフラスコの底に沈降することなく、KMV及びMH液体培地のいずれにおいても懸濁された。胞子嚢はシゾキトリウム属(Schizochytrium)又はオリゴキトリウム属(Oligochytrium)に典型的なほど密でなく、これらの属はまた、ロバストな外質の網目も有するが、これはPTA−10212には存在しなかった。ほとんどの種は、大きい胞子嚢が数時間かけて分裂することによる小さい胞子嚢又は同化細胞の栄養分割を行うが、PTA−10212はダンベル形の細長い同化細胞を形成し、次にはそれがダンベルの端部の分離に伴い引き離される細い峡部を形成した。得られた細胞は小さい同化細胞のように見えた。アメーバ状細胞がダンベル形同化細胞に直接変化した例は観察されなかった。典型的な双鞭毛遊走子は遊泳が観察されたが、比較的まれであった。PTA−10212は非繁殖性で、栄養分割により分裂した。遊走子の直接放出は観察されなかったが、遊走子は遊泳が観察された。栄養細胞は極めて小さかった(2μm〜5μm)。
[0249]フロースルー技法を用いてPTA−10212をさらに調べ、ここでは半分の強度の一滴の海水に少量の寒天増殖コロニーを懸濁することにより、顕微鏡スライドを調製した。この技法により、一次胞子嚢が球形で直径約10μmであることが観察された。壁は極めて薄く、プロトプラストの二分裂の開始時に残存物は観察されなかった。二分裂の繰り返しによって8〜16個のより小さい(直径4〜5μmの)二次胞子嚢が生じた。この二次胞子嚢は数時間休眠状態にあった後、再び無定形のプロトプラストを放出した。無定形のプロトプラストは挟みつぶして引きちぎるように分割すると、最初は典型的なダンベル形の中間段階を生じ、最終的に直径2.5〜2.8μmの4〜8個の小さい球状体になった。それらは数分間から最長1〜2時間までそのままの状態にあり、次に形を(細長く)変化させて、2.3〜2.5×3.7〜3.9μmの双鞭毛遊走子になった。遊走子は多量にあり、それらが静止したときに正確に計測することができた。次に遊走子は丸くなり、新しい成長サイクルを開始した。遊走子はシシオドキトリウム・ミヌツム(Sicyoidochytrium minutum)より大きく、ウルケニア・ビスルゲンシス(Ulkenia visurgensis)より小さかった。
[0250]PTA−10212を、その18s rRNA遺伝子についての既知の種との類似性に基づきさらに特徴付けた。標準的手順によりPTA−10212からゲノムDNAを調製した。例えば、Sambrook J.and Russell D.、2001、Molecular cloning:A laboratory manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New Yorkを参照のこと。簡潔には:(1)対数期中期培養物から500μLの細胞を遠心した。細胞を再度遠心し、細胞ペレットから小口径の先端部で痕跡量の液体を全て除去した;(2)200μLの溶解緩衝液(20mMのトリス pH8.0、125μg/mLのプロテイナーゼK、50mMのNaC1、10mMのEDTA pH8.0、0.5%SDS)でペレットを再懸濁した;(3)細胞を50℃で1時間溶解した;(4)溶解混合物をピペットでフェーズロックゲル(PLG−Eppendorf)2mLチューブに移した;(5)等容量のP:C:Iを添加し、1.5時間混合した;(6)チューブを12,000×gで5分間遠心した;(7)PLGチューブ内のゲルの上から水相を取り出し、その水相に等容量のクロロホルムを添加して30分間混合した;(8)チューブを14,000×gで約5分間遠心した;(9)最上層(水相)をピペットでクロロホルムから取り、新しいチューブに入れた;(10)0.1容量の3M NaOACを添加して混合した(数回反転させた);(11)2容量の100%EtOHを添加して混合し(数回反転させた)、この段階でゲノムDNAの沈殿が形成された;(12)微量遠心機において14,000×gで約15分間、チューブを4℃で遠心した:(13)その液体を静かに流し捨てると、チューブの底にゲノムDNAが残った;(14)そのペレットを0.5mLの70%EtOHで洗浄した;(15)微量遠心機において14,000×gで約5分間、チューブを4℃で遠心した;(16)EtOHを静かに流し捨て、ゲノムDNAペレットを乾燥させた;及び(17)好適な容量のH2O及びRNアーゼをゲノムDNAペレットに直接添加した。18s rRNA遺伝子のPCR増幅を、以前に記載されているプライマーで実施した(Hondaら、J.Euk.Micro.46(6):637−647(1999)。染色体DNA鋳型を含むPCR条件は以下のとおりであった:0.2μMのdNTP、0.1μMの各プライマー、8%DMSO、200ngの染色体DNA、2.5UのHerculase(登録商標)II融合DNAポリメラーゼ(Stratagene)、及びHerculase(登録商標)緩衝液(Stratagene)、合計容量50μL。PCRプロトコルは以下のステップを含んだ:(1)95℃で2分間;(2)95℃で35秒間;(3)55℃で35秒間;(4)72℃で1分間及び30秒間;(5)ステップ2〜4を30サイクル繰り返し;(6)72℃で5分間;及び(7)4℃で保持。
[0251]PCR増幅により、上記に記載される染色体鋳型を使用して、予想されたサイズを有する明確なDNA産物が得られた。PCR産物を製造者の指示に従いベクターpJET1.2/平滑端(Fermentas)にクローニングし、供給された標準プライマーを使用してインサート配列を決定した。
[0252]系統発生解析では、PTA−10212は、適度の裏付けをもって、トラウストキトリウム・パキデルムム(Thraustochytrium pachydermum)及びトラウストキトリウム・アグレガツム(Thraustochytrium aggregatum)を含む系統内に位置付けられる。T.パキデルムム(T.pachydermum)の胞子嚢は極めて厚い細胞壁を有する。T.アグレガツム(T.aggregatum)は、明確に視認可能な、不透明な胞子嚢群の塊を形成する。PTA−10212はこれらの特徴のいずれも示さない。多くのアメーバ状細胞の存在は、ウルケニア属(Ulkenia)、T.ガエルトネリウム(T.gaertnerium)、A.リマシヌム(A.limiacinum)、及びS.マングロベイ(S.mangrovei)などの他の分類群で記載されている;しかしながら、これらの分類群に関連する記載は、この単離物に観察される特徴と異なる。さらに、PTA−10212は、これらの分類群のいずれに対しても系統発生的な類縁性を示さない。
[0253]表3は、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物由来の18s rRNAを、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)電子データベースのDNA配列と比較したものを示す。2つの異なる計算を用いて同一性パーセントを決定した。「計算#1」は、非相同領域又は部分配列の両配列に出現する任意の「ギャップ」を考慮する(AlignX−VectorNTI初期設定)。「計算#2」は、計算されたギャップペナルティを含まない(AlignX−VectorNTI「IDENTITY」行列設定)。
[0254]表3に示されるとおり、%の同一性の点で、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された微生物由来の18s rRNA遺伝子配列(配列番号1)は、NCBIデータベースで利用可能な18s rRNA遺伝子配列と、全く同じではないものの、近縁関係にあることが分かった。一般に、生物は異なる属又は種に属しながらも、より近縁の関係にある18s rRNA遺伝子配列を有し得ることが認識されている。
[0255]上記の特徴付けに基づけば、ATCC受託番号PTA−10212として寄託された単離微生物は新しいトラウストキトリウム種(Thraustochytrium species)に相当すると考えられ、従ってまた、トラウストキトリウム種(Thraustochytrium sp.)ATCC PTA−10212と命名される。
[PTA−10208として寄託された単離微生物の分類学的特徴]
[0256]ATCC受託番号PTA−10208として寄託された微生物(「PTA−10208」)は、米国特許出願第12/407,687号明細書及びPCT/US2009/001720号明細書(この各々は、全体として参照により本明細書に援用される)に記載されるATCC受託番号PTA−9695として寄託された微生物(「PTA−9695」)のサブ単離体(培養物から単離され、新しい別個の明確に異なる培養物として維持される個々の細胞)として同定された。
[0257]PTA−10208はPTA−9695と分類学的特徴を共有する。PTA−9695は放出時に双鞭毛遊走子を有し、それが活動的に泳ぎ出して成熟胞子嚢から遊離し、その残された壁は胞子放出後(位相差法で)明確に確認できることが分かった。PTA−9695胞子嚢の直径は12.5μm〜25μmであり、遊走子は2.5μm〜2.8μm×4.5μm〜4.8μmのサイズであった。個々のPTA−9695胞子嚢につき8〜24個の胞子があった。定着したPTA−9695遊走子は大きくなり、急速に二分裂を起こし、四分子、八分子、及び最終的に胞子嚢の塊を生じた。四分子の形成は胞子嚢の成熟前の極めて早い段階で始まった。これらの特徴はシゾキトリウム属(Schizochytrium)に一致している。%同一性の点で、PTA−10208が共有するPTA−9695 18s rRNA遺伝子配列(配列番号2)は、Honda,D.ら、J.Euk.Micro.46(6):637−647(1999)に提供されるT.アグレガツム(T.aggregatum)の18s rRNA遺伝子配列と、全く同じではないものの、近縁関係にあることが分かった。トラウストキトリウム・アグレガツム(Thraustochytrium aggregatum)について発表されている18s rRNA配列は部分配列であり、配列の中央に約71DNAヌクレオチドのギャップがある。PTA−9695は新しいシゾキトリウム種(Schizochytrium species)に相当すると考えられる。従って、サブ単離体PTA−10208もまた、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)ATCC PTA−10208と命名される。
[実施例2]
[PTA−10212として寄託された単離微生物の増殖特性]
[0258]ATCC受託番号PTA−10212として寄託された単離微生物を、以下に記載するとおり、個別の発酵ランで増殖特性について調べた。典型的な培地及び培養条件は表1に示す。
[0259]pH7.3で20%溶存酸素を有し22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グリセロール)及び窒素供給培養液において、10Lの発酵槽容量で138時間の培養後、PTA−10212は26.2g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は7.9g/Lであり;ω−3収率は5.3g/Lであり;EPA収率は3.3g/Lであり;及びDHA収率は1.8g/Lであった。脂肪酸含量は30.3重量%であり;EPA含量は脂肪酸メチルエステル(FAME)の41.4%であり;及びDHA含量はFAMEの26.2%であった。これらの条件下で脂質生産性は1.38g/L/日であり、及びω−3生産性は0.92g/L/日であり、0.57g/L/日のEPA生産性及び0.31g/L/日のDHA生産性であった。
[0260]pH7.3で20%の溶存酸素を有し22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グリセロール)及び窒素供給培養液において、10Lの発酵槽容量で189時間の培養後、PTA−10212は38.4g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は18g/Lであり;ω−3収率は12g/Lであり;EPA収率は5g/Lであり;及びDHA収率は6.8g/Lであった。脂肪酸含量は45重量%であり;EPA含量はFAMEの27.8%であり;及びDHA含量はFAMEの37.9%であった。これらの条件下で脂質生産性は2.3g/L/日であり、及びω−3生産性は1.5g/L/日であり、0.63g/L/日のEPA生産性及び0.86g/L/日のDHA生産性であった。
[0261]pH6.8〜7.7で20%の溶存酸素を有し22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グリセロール)及び窒素供給培養液において、10Lの発酵槽容量で189時間の培養後、PTA−10212は13g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は5.6g/Lであり;ω−3収率は3.5g/Lであり;EPA収率は1.55g/Lであり;及びDHA収率は1.9g/Lであった。脂肪酸含量は38重量%であり;EPA含量はFAMEの29.5%であり;及びDHA含量はFAMEの36%であった。これらの条件下で脂質生産性は0.67g/L/日であり、及びω−3生産性は0.4g/L/日であり、0.20g/L/日のEPA生産性及び0.24g/L/日のDHA生産性であった。
[0262]pH6.6〜7.2で20%の溶存酸素を有し22.5〜28.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グリセロール)及び窒素供給培養液において、10Lの発酵槽容量で191時間の培養後、PTA−10212は36.7g/L〜48.7g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は15.2g/L〜25.3g/Lであり;ω−3収率は9.3g/L〜13.8g/Lであり;EPA収率は2.5g/L〜3.3g/Lであり;及びDHA収率は5.8g/L〜11g/Lであった。脂肪酸含量は42.4重量%〜53重量%であり;EPA含量はFAMEの9.8%〜22%であり;及びDHA含量はFAMEの38.1%〜43.6%であった。これらの条件下で脂質生産性は1.9g/L/日〜3.2g/L/日であり、及びω〜3生産性は1.2g/L/日〜1.7g/L/日であり、0.31g/L/〜0.41g/L/日のEPA生産性及び0.72g/L/日〜1.4g/L/日のDHA生産性であった。
[ATCC受託番号PTA−10208として寄託された単離微生物の増殖特性]
[0263]ATCC受託番号PTA−10208として寄託された単離微生物を、以下に記載するとおり、個別の発酵ランで増殖特性について調べた。典型的な培地及び培養条件は表2に示す。
[0264]窒素供給中は20%溶存酸素及びその後10%溶存酸素を有し、pH7.0、22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グルコース)及び窒素供給培養液において、10Lの発酵槽容量で200時間の培養後、PTA−10208は95g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は53.7g/Lであり;ω−3収率は37g/Lであり;EPA収率は14.3g/Lであり;及びDHA収率は21g/Lであった。脂肪酸含量は57重量%であり;EPA含量はFAMEの27.7%であり;及びDHA含量はFAMEの39.1%であった。これらの条件下で脂質生産性は6.4g/L/日であり、及びω−3生産性は4.4g/L/日であり、1.7g/L/日のEPA生産性及び2.5g/L/日のDHA生産性であった。
[0265]窒素供給中は20%溶存酸素及びその後10%溶存酸素を有し、pH7.5、22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グルコース)及び窒素供給培養液において、10Lの発酵槽容量で139時間の培養後、PTA−10208は56g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は53g/Lであり;ω−3収率は34g/Lであり;EPA収率は11.5g/Lであり;及びDHA収率は22g/Lであった。脂肪酸含量は58重量%であり;EPA含量はFAMEの21.7%であり;及びDHA含量はFAMEの41.7%であった。これらの条件下で脂質生産性は9.2g/L/日であり、及びω−3生産性は5.9g/L/日であり、2g/L/日のEPA生産性及び3.8g/L/日のDHA生産性であった。
[0266]窒素供給中は20%溶存酸素及びその後10%溶存酸素を有し、pH7.0、22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グルコース)及び窒素供給培養液において、2000Lの発酵槽容量で167時間の培養後、PTA−10208は93.8g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は47.2g/Lであり;ω−3収率は33.1g/Lであり;EPA収率は10.5g/Lであり;及びDHA収率は20.4g/Lであった。脂肪酸含量は50.6重量%であり;EPA含量はFAMEの23%であり;及びDHA含量はFAMEの42.6%であった。これらの条件下で脂質生産性は6.8g/L/日であり、及びω−3生産性は4.7g/L/日であり、1.5g/L/日のEPA生産性及び2.9g/L/日のDHA生産性であった。
[0267]窒素供給中は20%溶存酸素及びその後10%溶存酸素を有し、pH7.0、22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グルコース)及び窒素供給培養液において、2000Lの発酵槽容量で168時間の培養後、PTA−10208は105g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は46.4g/Lであり;ω−3収率は33g/Lであり;EPA収率は10.7g/Lであり;及びDHA収率は20.3g/Lであった。脂肪酸含量は43.9重量%であり;EPA含量はFAMEの24%であり;及びDHA含量はFAMEの43.7%であった。これらの条件下で脂質生産性は6.6g/L/日であり、及びω−3生産性は4.7g/L/日であり、1.5g/L/日のEPA生産性及び2.9g/L/日のDHA生産性であった。
[0268]窒素供給中は20%溶存酸素及びその後10%溶存酸素を有し、pH7.0、22.5℃で1000ppm Cl−を含む炭素(グルコース)及び窒素供給培養液において、2000Lの発酵槽容量で168時間の培養後、PTA−10208は64.8g/Lの乾燥細胞重量を生じた。脂質収率は38.7g/Lであり;ω−3収率は29.9g/Lであり;EPA収率は8.5g/Lであり;及びDHA収率は16.7g/Lであった。脂肪酸含量は59.6重量%であり;EPA含量はFAMEの23%であり;及びDHA含量はFAMEの42.3%であった。これらの条件下で脂質生産性は5.53g/L/日であり、及びω−3生産性は3.8g/L/日であり、1.2g/L/日のEPA生産性及び2.3g/L/日のDHA生産性であった。
[実施例3]
[微生物株ATCC PTA−10208及びPTA−10212の脂肪酸プロファイル]
[0269]4つのバイオマス試料(PTA−10208試料#1;PTA−10208試料#2;PTA−10212試料#1;及びPTA−10212試料#2)を溶媒抽出により総粗油含量について分析し、高速液体クロマトグラフィー/蒸発光散乱検出(HPLC/ELSD)により脂質クラスを決定し、HPLC/質量分析法(HPLC/MS)によりトリアシルグリセロール(TAG)を分析し、及び水素炎イオン化検出ガスクロマトグラフィー(GC−FID)により脂肪酸(FA)プロファイルを決定した。各凍結乾燥バイオマスの粗脂質含量を、ヘキサンによる溶媒粉砕を用いて決定し、直接エステル交換により生成されたFAMEの合計(mg/g)と比較し、得られた脂肪酸メチルエステル(FAME)をGC/FID分析により定量化した。抽出された粗脂質中の脂肪酸もまたエステル交換により定量化し、得られたFAMEのGC/FID分析を用いて定量化した。抽出された粗脂質における全ての中性脂質(NL)及び遊離脂肪酸(FFA)の重量パーセントを、ELSDによる順相HPLC及び大気圧化学イオン化MS(APCI−MS)同定法を用いて決定した。この方法は、ステロールエステル(SE)、TAG、遊離脂肪酸(FFA)、1,3−ジアシルグリセロール(1,3−DAG)、ステロール、1,2−ジアシルグリセロール(1,2−DAG)、及びモノアシルグリセロール(MAG)を分離して定量化する。結果を以下の表4及び表5に示す。
[0270]4つのバイオマス試料(PTA−10208試料#1;PTA−10208試料#2;PTA−10212試料#1;及びPTA−10212試料#2)から抽出した粗油から、TAG及びリン脂質(PL)を単離した。TAGは低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いて単離し、PLは固相抽出(SPE)を用いて単離した。各単離画分のアイデンティティを薄層クロマトグラフィー(TLC)により確認した。単離したTAG画分及びPL画分の脂肪酸プロファイルは、直接エステル交換後にGC−FIDを用いてFAMEとして決定した。結果を以下の表6及び表7に示す。
[0271]微生物株ATCC PTA−10212に由来するバイオマスのさらに2つの試料(PTA−10212試料#3及びPTA−10212試料#4)については、総粗油含量及び単離した脂質クラスの脂肪酸プロファイルもまた決定した。粗油は各試料からヘキサン抽出により得て、個々の脂質クラスは低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いて単離した。バイオマス、粗油、及び単離画分の脂肪酸プロファイルを、GC−FIDを用いてFAMEとして決定した。結果を以下の表8〜表11に示す。
[0272]先にFRIOLEX(登録商標)法を用いて抽出した微生物株ATCC PTA−10212由来の粗油の試料(PTA−10212試料#5)から個々の脂質クラスを単離し、各クラスの脂肪酸プロファイルをGC−FIDを用いてFAMEとして決定した。結果を以下の表12及び表13に示す。
[0273]微生物株ATCC PTA−10208由来の粗油の試料(PTA−10208試料#3)から、ELSDによる順相HPLC及びAPCI−MS同定法を用いて個々の脂質クラスを単離した。
[実験手順]
[0274]粗油抽出−粗油は凍結乾燥バイオマスの試料から溶媒粉砕を用いて抽出した。例えば、約3グラムのバイオマスをスウェーデン管(Swedish tube)に秤量した。スウェーデン管に3個のボールベアリング及び30mLのヘキサンを加え、それをネオプレン栓で密閉し、振盪機に2時間置いた。得られたスラリーを、ブフナー漏斗及びワットマンろ紙を使用してろ過した。ろ過された液体を回収して溶媒を真空下で除去し、残った粗脂質の量を重量測定法で決定した。
[0275]脂肪酸分析−バイオマス、抽出された粗脂質、及び単離された脂質クラスの試料を、FAMEとして脂肪酸組成について分析した。簡潔に言えば、凍結乾燥バイオマス及び単離された脂質クラスをねじ口試験管に直接秤量し、一方で粗油の試料を約2mg/mLの濃度となるようヘキサンに溶解した。内部標準を含むトルエン、及びメタノール中1.5N HClを各管に加えた。管をボルテックスし、次に蓋をして100℃に2時間加熱した。管を放冷し、水中飽和NaClを添加した。管を再びボルテックスし、遠心して層を分離させた。次に有機層の一部分をGCバイアルに入れ、GC−FIDにより分析した。Nu−Check−Prep GLC参照標準(NuCheck、Elysian、MN)を使用して作成した3点校正曲線を用いてFAMEを定量化した。抽出物中に存在する脂肪酸は、mg/g及び重量パーセントとして表現した。GC−FIDにより分析したときの内部標準と等しい反応を仮定して、試料中の脂肪含量を推定した。
[0276]HPLC/ELSD/MS方法−
[0277]固相抽出−粗脂質から、Vac Elut装置(Varian Inc、Palo Alto、米国)に置いた2gのアミノプロピルカートリッジ(Biotage、Uppsala、スウェーデン)を使用して固相抽出(SPE)によりPL画分を分離した。カートリッジは15mgのヘキサンでコンディショニングし、約60mgの各試料を1mLのCHCl3に溶解してカートリッジに適用した。カラムを15mLの2:1 CHCl3:イソプロピルアルコールで洗浄して全ての中性脂質を溶出し、それを廃棄した。次に15mLのエーテル中2%酢酸(HOAc)で脂肪酸を溶出し、それを廃棄した。PL部分を15mLの6:1 メタノール:クロロホルムで溶出し、それを回収して窒素下で乾燥し、秤量した。
[0278]フラッシュクロマトグラフィー−フラッシュクロマトグラフィーを用いて粗油中に存在する脂質クラスを分離した。ヘキサンに溶解した約200mgの粗油をカラムのヘッドに注入した。クロマトグラフィーシステムはシリカゲル60(EMD Chemical、Gibbstown、NJ)を利用し、その移動相は5mL/分(表6〜表7)又は3mL/分(表8〜表13)の石油エーテル及び酢酸エチルからなった。段階的勾配を用いてカラムから各脂質クラスを選択的に溶出した。移動相勾配は100%石油エーテルから開始し、50%酢酸エチルで終了した。Gilson FC 204ラージベッド(large−bed)フラクションコレクター(Gilson,Inc.、Middleton、WI)を使用して画分を10mL試験管に回収した。各管を薄層クロマトグラフィー(TLC)により分析し、個々の脂質クラスが入った管(予想保持係数(Rf)を有するTLCプレート上のシングルスポットにより判断するとき)をプールし、濃縮乾固して秤量した。次に総画分含量を重量測定法で決定した。
[0279]TLC分析−シリカゲルプレートで薄層クロマトグラフィーを実施した。石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(80:20:1)からなる溶媒系を使用してプレートを溶出し、ヨウ素蒸気を用いて可視化した。次に各スポットのRf値を各脂質クラスについて既報の文献値と比較した。
[0280]TAG画分及びPL画分の分析−単離されたTAG画分及びPL画分を、脂肪酸メチルエステル(FAME)として脂肪酸組成について分析した。TAG画分を約1〜2mg/mLの濃度となるようヘキサンに溶解した。その溶液の1mLアリコートを窒素下で濃縮乾固した。内部標準を含むトルエン、及びメタノール中1.5N HClを各管に加えた。管をボルテックスし、次に蓋をして100℃に2時間加熱した。内部標準及びHClメタノールを、PL画分が入った管に直接添加して加熱した。管を放冷し、水中飽和NaClを添加した。管を再びボルテックスして遠心し、層を分離させた。次に有機層の一部分をGCバイアルに入れ、GC−FIDにより分析した。Nu−Check−Prep GLC 502B参照標準(NuCheck、Elysian、MN)を使用して作成した3点校正曲線を用いてFAMEを定量化した。抽出物中に存在する脂肪酸は、FAMEのmg/g及び%として表現した。
[結果]
[PTA−10208試料#1]
[0281]PTA−10208試料#1のバイオマス及び抽出した粗脂質の脂肪酸プロファイルを、GC/FIDを用いて決定した。バイオマス中の脂肪酸は、28.6mgのバイオマスをFAME管に直接秤量することによりインサイチュでエステル交換し、一方、抽出した粗脂質の試料は、55.0mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つ1mlを別のFAME管に移すことにより調製した。バイオマスの推定粗脂質含量は、FID検出によるGCを用いて53.2%(FAMEの合計として)と決定され、一方、乾燥バイオマスから52.0%(wt/wt)の脂質が抽出され、97.8%の総脂質回収率が得られた。粗脂質はGC/FIDを用いて91.9%の脂肪酸(FAMEの合計として)と決定された。粗脂質に含まれる主要な脂肪酸は、C16:0(182.5mg/g)、C20:5 n−3(186.8mg/g)、及びC22:6 n−3(423.1mg/g)であった。
[0282]抽出した粗脂質の脂質クラスプロファイルを、55.0mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つアリコートをHPLC/ELSD/MS分析用のHPLCバイアルに移すことにより決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は0.2%のステロールエステル(SE)、95.1%のTAG、0.4%のステロール、及び0.5%の1,2−ジアシルグリセロール(DAG)を含有した。TAG画分の5%はTAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、これは認識可能な質量スペクトルを提供しなかった。
[0283]フラッシュクロマトグラフィーにより決定されたとおりのこの試料からの単離TAGは、粗油の約92.4%を構成した。PLはSPE単離後の重量又はTLCによっては検出されなかった。TAGに含まれた主要な脂肪酸(≧50mg/g)は、C16:0(189mg/g)、C20:5 n−3(197mg/g)、及びC22:6 n−3(441mg/g)であった。
[PTA−10208試料#2]
[0284]PTA−10208試料#2のバイオマス及び抽出した粗脂質の脂肪酸プロファイルを、GC/FIDを用いて決定した。バイオマス中の脂肪酸は、32.0mgのバイオマスをFAME管に直接秤量することによりインサイチュでエステル交換し、一方、抽出した粗脂質の試料は、60.1mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つ1mlを別のFAME管に移すことにより調製した。バイオマスの推定粗脂質含量は、FID検出によるGCを用いて52.4%(FAMEの合計として)と決定され、一方、乾燥バイオマスから48.0%(wt/wt)の脂質が抽出され、91.7%の総脂質回収率が得られた。粗脂質はGC/FIDを用いて95.3%の脂肪酸(FAMEの合計として)と決定された。粗脂質に含まれる主要な脂肪酸は、C16:0(217.5mg/g)、C20:5 n−3(169.3mg/g)、及びC22:6 n−3(444.1mg/g)であった。
[0285]抽出した粗脂質の脂質クラスプロファイルを、60.1mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つアリコートをHPLC/ELSD/MS分析用のHPLCバイアルに移すことにより決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%のSE、95.7%のTAG、0.3%のステロール、及び0.7%の1,2−DAGを含有した。TAG画分の5.1%はTAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、これは認識可能な質量スペクトルを提供しなかった。
[0286]この試料からの単離TAGは、粗油の約93.9%を構成した。PLはSPE分離後の重量又はTLCによっては検出されなかった。TAGに含まれた主要な脂肪酸(≧50mg/g)は、C16:0(218mg/g)、C20:5 n−3(167mg/g)及びC22:6 n−3(430mg/g)であった。
[PTA−10208試料#3]
[0287]ATCC受託番号PTA−10208として寄託された微生物由来の粗油の試料(試料PTA−10208#3)を、HPLC/ELSD/MSを用いて分析した。合計98.38%の脂質が回収され、ステロールエステル(SE)画分が0.32%を占め、TAG画分が96.13%を占め、1,3−ジアシルグリセロール(DAG)画分が0.22%を占め、1,2−DAG画分が0.78%を占め、及びステロール画分が0.93%を占めた。
[PTA−10212試料#1]
[0288]PTA−10212試料#1のバイオマス及び抽出した粗脂質の脂肪酸プロファイルを、GC/FIDを用いて決定した。バイオマス中の脂肪酸は、27.0mgのバイオマスをFAME管に直接秤量することによりインサイチュでエステル交換し、一方、抽出した粗脂質の試料は、52.5mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つ1mlを別のFAME管に移すことにより調製した。バイオマスの推定粗脂質含量は、FID検出によるGCを用いて38.3%(FAMEの合計として)と決定され、一方、乾燥バイオマスから36.3%(wt/wt)の脂質が抽出され、94.6%の総脂質回収率が得られた。粗脂質はGC/FIDを用いて83.2%の脂肪酸(FAMEの合計として)と決定された。粗脂質に含まれる主要な脂肪酸は、C16:0(328.5mg/g)、C20:5 n−3(90.08mg/g)、及びC22:6 n−3(289.3mg/g)であった。
[0289]抽出した粗脂質の脂質クラスプロファイルを、52.5mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つアリコートをHPLC/ELSD/MS分析用のHPLCバイアルに移すことにより決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%のSE、64.2%のTAG、1.9%のFFA、2.8%の1,3−DAG、1.4%のステロール、18.8%の1,2−DAG、及び0.5%のMAGを含有した。TAG画分の3.4%はTAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、これは認識可能な質量スペクトルを提供しなかった。
[0290]この試料からの単離TAGは、粗油の約49.8%を構成した。単離PLは粗油の約8.1%を構成した。TAG画分に含まれた主要な脂肪酸(≧50mg/g)は、C16:0(400mg/g)、C20:5 n−3(91mg/g)、及びC22:6 n−3(273mg/g)である。PL画分に含まれた主要な脂肪酸(≧50mg/g)は、C16:0(98mg/g)、C20:5 n−3(33mg/g)、及びC22:6 n−3(227mg/g)である。
[PTA−10212試料#2]
[0291]バイオマス及び抽出した粗脂質PTA−10212試料#2の脂肪酸プロファイルを、GC/FIDを用いて決定した。バイオマス中の脂肪酸は、29.5mgのバイオマスをFAME管に直接秤量することによりインサイチュでエステル交換し、一方、抽出した粗脂質の試料は、56.5mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つ1mlを別のFAME管に移すことにより調製した。バイオマスの推定粗脂質含量は、FID検出によるGCを用いて40.0%(FAMEの合計として)と決定され、一方、乾燥バイオマスから41.3%(wt/wt)の脂質が抽出され、106.1%の総脂質回収率が得られた。粗脂質はGC/FIDを用いて82.8%の脂肪酸(FAMEの合計として)と決定された。粗脂質に含まれる主要な脂肪酸は、C16:0(327.3mg/g)、C20:5 n−3(92.5mg/g)、及びC22:6 n−3(277.6mg/g)であった。
[0292]抽出した粗脂質の脂質クラスプロファイルを、56.5mgの粗脂質を50mLメスフラスコに秤量し、且つアリコートをHPLC/ELSD/MS分析用のHPLCバイアルに移すことにより決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%のSE、58.2%のTAG、2.3%のFFA、3.4%の1,3−DAG、1.7%のステロール、23.4%の1,2−DAG、及び0.6%のMAGを含有した。TAG画分の3.3%はTAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、これは認識可能な質量スペクトルを提供しなかった。
[0293]この試料からの単離TAGは、粗油の約51.9%を構成した。単離PLは粗油の約8.8%を構成した。TAG画分に含まれた主要な脂肪酸(≧50mg/g)は、C16:0(402mg/g)、C20:5 n−3(92mg/g)、及びC22:6 n−3(245mg/g)である。PL画分に含まれた主要な脂肪酸(≧50mg/g)は、C16:0(121mg/g)、C20:5 n−3(48mg/g)、及びC22:6 n−3(246mg/g)である。
[PTA−10212試料#3]
[0294]PTA−10212試料#3のバイオマスの脂質含量は、FAME合計として34%であると推定され、溶媒抽出後に得られた粗油の量は37重量%であり、バイオマス中に存在する脂質の109%の回収率が得られた。フラッシュクロマトグラフィーを用いた分画後、粗油の約46%がTAGとして単離され、28%がDAGとして単離された。粗油は309mg/gのDHA及び264mg/gのEPAを含有した。単離TAGは、341mg/gのDHA及び274mg/gのEPAを含有した。単離DAG画分は、262mg/gのDHA及び237mg/gのEPAを含有した。バイオマス、抽出粗油、及び単離画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/g及び%FAMEとして計算した以下の表8及び表9に示す。
[PTA−10212試料#4]
[0295]PTA−10212試料#4は、FAME合計として決定される約23%の脂質を含有し、そのうち107%がヘキサン抽出を用いて回収された。フラッシュクロマトグラフィーを用いた分画後、粗油の約42%がTAGとして単離され、18%がDAGとして単離された。粗油は、275mg/gのDHA及び209mg/gのEPAを含有した。単離TAGは296mg/gのDHA及び205mg/gのEPAを含有した。単離DAG画分は245mg/gのDHA及び219mg/gのEPAを含有した。バイオマス、抽出した粗油、及び単離画分の全脂肪酸プロファイルを、以下の表10(mg/g)及び表11(%FAME)に示す。
[PTA−10212試料#5]
[0296]PTA−10212のバイオマスからFRIOLEX(登録商標)法(GEA Westfalia Separator UK Ltd.、Milton Keynes、英国)を用いて粗油の試料を抽出し、微生物油PTA−10212試料#5を得た。PTA−10212試料#5から低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いて個々の脂質クラスを単離し、各クラスの重量パーセントを決定した。各クラスの脂肪酸プロファイルを、GC−FIDを用いて決定した。
[0297]簡潔に言えば、240mgの粗油を600μLのヘキサンに溶解してカラムのヘッドに適用することにより、試料を調製した。フラッシュクロマトグラフィーを用いて試料を分画したところ、全ての画分の合計重量は240mgであり、100%の回収率が得られた。ステロールエステル画分が0.9%を占め、TAG画分が42.6%を占め、遊離脂肪酸(FFA)画分が1.3%を占め、ステロール画分が2.2%を占め、及びDAG画分が41.6%を占めた。FRIOLEX(登録商標)粗油及び単離画分の全脂肪酸プロファイルを、それぞれmg/g及び%FAMEとして計算した以下の表12及び表13に示す。
[実施例4]
[0298]実施例3からの試料PTA−10208試料#1、PTA−10208試料#2、PTA−10212試料#1、PTA−10212試料#2、及びPTA−10212試料#3、PTA−10212試料#4、及びPTA−10212試料#5の各々について、抽出された粗脂質中に存在する各TAG異性体の相対量及び脂肪酸組成を、非水系逆相HPLC分離及びAPCI−MS検出を用いて決定した。
[0299]TAG方法−
[PTA−10208試料#1]
[0300]PTA−10208試料#1から単離した粗脂質を、5.5mgの油をHPLCバイアルに秤量して1mLのヘキサンで希釈することにより、TAG分析用に調製したTAG分析用に調製した。
[PTA−10208試料#2]
[0301]PTA−10208試料#2から単離した粗脂質を、5.3mgの油をHPLCバイアルに秤量して1mLのヘキサンで希釈することにより、TAG分析用に調製したTAG分析用に調製した。
[PTA−10212試料#1]
[0302]PTA−10212試料#1から単離した粗脂質を、5.3mgの油をHPLCバイアルに秤量して1mLのヘキサンで希釈することにより、TAG分析用に調製したTAG分析用に調製した。
[PTA−10212試料#2]
[0303]PTA−10212試料#2から単離した粗脂質を、3.6mgの油をHPLCバイアルに秤量して1mLのヘキサンで希釈することにより、TAG分析用に調製したTAG分析用に調製した。
[PTA−10212試料#3]
[0304]PTA−10212試料#3のTAG画分の試料をヘキサン中に調製し、HPLC/APCI/MSにより分析して、個々のTAG異性体のアイデンティティを決定した。
[PTA−10212試料#4]
[0305]PTA−10212試料#4のTAG画分の試料をヘキサン中に調製し、HPLC/APCI/MSにより分析して、個々のTAG異性体のアイデンティティを決定した。
[PTA−10212試料#5]
[0306]PTA−10212試料#5のTAG画分の試料をヘキサン中に調製し、HPLC/APCI/MSにより分析して、個々のTAG異性体のアイデンティティを決定した。
[実施例5]
[0307]粗油を精製、脱色、及び脱臭によってさらに処理し、精製油を得た。この精製油を高オレイン酸ヒマワリ油で希釈し、DHA含量が約400mg/gの完成油を得た。個々の脂質クラスを単離し、各クラスの脂肪酸プロファイルをGC−FIDを用いてFAMEとして決定した。
[PTA−10208完成油]
[0308]PTA−10208完成油#1〜5の脂肪酸プロファイルについて、単離TAG画分(表23〜表24)及び単離ステロール/DAG画分(表24〜表26)の範囲内で関連するプロファイルを含め、表21〜表22に要約する。
[0309]完成油中の個々の脂質クラスもまた、フラッシュクロマトグラフィー(表27)及びELSDによる順相HPLC及びAPCI−MSの確認(表28)を用いて決定した。
[PTA−10212完成油]
[0310]PTA−10212完成油中には41.63%及び366.9mg/gのDHAが存在した一方、16.52%のEPAが存在した。個々の脂肪酸プロファイルを決定したものを、表29に要約する。
[実施例6]
[0311]実施例5に記載するPTA−10208完成油のトリアシルグリセリド(TAG)の分析を、実施例4に記載する技法を用いて実施した。以下の表30に要約するとおり、各脂肪酸部分の同定を行った。
[実施例7]
[0312]ATCC受託番号PTA−10208及び10212として寄託された単離微生物の2日経過した播種フラスコを、表1及び表2による培地中の炭素及び窒素供給培養物として調製した。
[0313]突然変異生成を以下の手順に従い実施した:
[0314]滅菌したT=2日経過フラスコ、約50mlを、滅菌した40mlガラスホモジナイザーに注ぎ入れた。ホモジナイザーにおいて培養物に50回のプランジを与えた。培養物をピペットで取り出し、滅菌50ミクロンメッシュフィルターでろ過し、それを50ml滅菌管に入れた(メッシュは、より大きいコロニー群を保持する一方で、より小さい塊及び単一の細胞を50ミクロンメッシュに通過させる手段として使用した)。濃縮された浸軟物の全体を滅菌50ml管に回収した。浸軟した培養物をボルテックスし、最高1:100倍レベルの希釈液を作製した。希釈した浸軟試料をボルテックスした後、4〜5個のガラスビーズ(3mmガラスビーズ)が入った培地寒天プレート100×15mmに200μlの播種材料を添加した。ビーズによって播種材料をプレート全体に均等に広げるようにして、各プレートを穏やかに撹拌した。ビーズをプレートから空け、プレートを、蓋をして約5分間静置することで乾燥させた。手順は薄暗い所で行うため、滅菌フード及び隣接領域の双方の照明を消した。手順を実行可能とするための最小限の光は利用できたが、間接的な薄暗いもののみであった。
[0315]5枚の複製プレートをXLクロスリンカー(Spectronics Corporation、New York)の底に置き、試料を照射する間、蓋は外した。このクロスリンカーはマイクロジュール単位の出力を送り、90%〜95%死滅を達成するレベルを求めた。同じプロトコルを用いて5枚の複製対照プレートに突然変異を誘発されていない細胞を播種した。これらの細胞カウントを使用して%死滅を計算した。照射の終了後プレートを取り出し、蓋を交換し、プレートをパラフィルム(parafilm)で包み、続いてアルミニウム箔で包んだ。最初の週はプレートを暗所で増殖させることで、損傷した遺伝子を修復できないようにすることが不可欠であった。
[0316]プレートを22.5℃の室内に約10日間置いてからコロニーを計数した。最終的な計数を行ったとき、個々のコロニーを滅菌した播種用ループで選び取り、新しい培地プレートに再度ストリークした。各コロニーを個別のプレートに播いた。プレートが密に増殖したところで播種用ループを使用して試料を採取し、50mlの培地が入った滅菌250ml振盪フラスコに播種した。このフラスコを22.5℃の室内において200rpmの振盪機に置いた。T=7日目に振盪フラスコ培養物を50ml滅菌管に回収した。pHをとり、試料を遠心してバイオマスペレットを回収した。各試料をリンスし、イソプロピルアルコールと蒸留水との50:50混合物中に再懸濁した後、再度遠心した。回収したペレットを凍結乾燥して秤量し、FAME分析を実施した。表31及び表32のデータは、それぞれPTA−10208株及びPTA−10212株から上記の方法で生成した突然変異体を表す。
[実施例8〜15 以下は予測的な例である。]
[実施例8]
[0317]メカニカルスターラー、還流冷却器、添加漏斗、サーモウェル、加熱マントル、及び窒素雰囲気を備えた1000mL三つ口フラスコに、エステル結合によって結合した約60重量%のDHAを含有する30重量%のトリグリセリドを含有する10グラムの微生物油、193グラムのエタノール、及び28グラムの水を装入する。添加漏斗を介して水酸化ナトリウム(50%溶液の80グラム)を添加する。得られた混合物を64℃で145分間加熱する。塩酸(12Nの84mL)を5分間かけて添加する。pHが2に達するまで、さらなる14mLのHClを少量ずつ添加する。撹拌を停止し、反応液を分液漏斗に注ぐ。反応液を酢酸エチル(3×)で抽出し、有機画分を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させる。硫酸マグネシウムをろ去し、溶媒を回転蒸発によって取り除く。その遊離脂肪酸型のDHAを含有する生成物油が得られる。DHA生成物収率は理論値の78重量%である。
[実施例9]
[0318]エステル結合によって結合した50重量%のEPAを含有する40重量%のトリグリセリドを含有する1グラムの微生物油を、10mLホウケイ酸ガラス試験管に入れる。この試験管に窒素ガスを充満させ、栓をして、−80℃に冷却する。試験管を−80℃で5時間静置させる。5時間後には沈殿物が形成され、分離した油層もまた存在する。試験管を1000gで2分間遠心し、油をデカントして取りのける。デカントした生成物油は0.25gで単離され、エステル結合によって結合した約50重量%のEPAを含有する70重量%のトリグリセリドを含有することが見出される。
[実施例10]
[0319]50重量%のEPAエチルエステルを含有する1グラムの油を50mLエルレンマイヤーフラスコに入れる。フラスコに30mLのメタノールを添加し、得られた溶液を67℃に加熱する。油を溶解し、その溶液に6gの尿素を添加する。尿素もまた溶解する。次にフラスコを5℃に冷却し、そのままこの温度で6時間置いておく。フラスコに結晶質の沈殿物が見える。フラスコからデカンテーションによりメタノールを除去し、各25mLのヘキサンで3回、沈殿物を抽出する。ヘキサン抽出物をあわせてヘキサンを回転蒸発により除去する。0.3gの量で生成物油が得られる。この生成物油は75%のEPAエチルエステルを含有する。
[実施例11]
[0320]50重量%の全シス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸アルコールを含有する0.5gの油を、添加漏斗及び撹拌子を備えた75mL三つ口フラスコに入れる。フラスコを窒素下に置き、シリンジを介して20mLのジクロロメタンを添加する。撹拌を開始し、油を溶解する。次に固体デス−マーチンペルヨージナン(DMP)を、全シス−4,7,l0,13,16,19−ドコサヘキサエン酸アルコールの1.45当量の(DMP)乃至1当量に対応する量で添加する。シリンジポンプにより作動するシリンジを介して水を徐々に30分間の時間をかけて添加する。1時間後、反応を停止させ、得られた溶液及びそこに含まれる固体を分液漏斗に入れる。さらなるジクロロメタン(30mL)を添加し、0.1NのNaOHを含有する水で抽出を3回実施する。分液漏斗からジクロロメタンを回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させてろ過する。ジクロロメタンの回転蒸発により、50重量%の全シス−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸アルデヒドを含有する0.35gの油が得られる。
[実施例12]
[0321]50%トリアシルグリセリドを含有する油であって、トリアシルグリセリドが0.1molのエステル型のEPAとDHAとの等モル混合物を含有する油を、冷却器を備えた500mL丸底フラスコに入れる。エタノール(50mL)を添加し、撹拌を開始する。NaOHの総量が0.11molとなるようにNaOH溶液を添加する。水を添加する。反応物を70℃に加熱し、その状態に20時間置く。反応物を冷却する。フラスコを還流冷却器から分離し、フラスコから撹拌子を除去する。フラスコをロータリーエバポレーターに取り付け、加熱しながら減圧下で水及びエタノールを除去する。得られた材料は、ナトリウム塩形態でEPA及びDHAを含有することが見出される。
[実施例13]
[0322]エステル結合の80%にDHAを含有する50重量%のトリグリセリドを含有する100gの油を、冷却器を備えた1000mLフラスコに添加する。ナトリウムエトキシドとトリグリセリド中のエステル結合とのモル比が30:1となるように、500mLのナトリウムエトキシドエタノール溶液を添加する。反応を77℃に加熱し、この温度で24時間静置させる。反応を冷却させる。中和量の0.1N HCl溶液を添加する。フラスコを冷却器から分離し、撹拌子を除去し、エタノールを減圧除去する。得られた水溶液を酢酸エチル(3×)で抽出し、酢酸エチル画分を硫酸ナトリウムで乾燥させる。乾燥させた酢酸エチル画分をろ過し、減圧下で回転蒸発に供する。18gの油生成物が単離される。この油生成物は、93%純粋であり、且つその主要な成分としてDHAのエチルエステルを含有することが見出される。
[実施例14]
[0323]80gの再生尿素アダクト(約3.5重量%の脂肪を含有する−ここで再生尿素アダクトは、超臨界CO2により、約75℃の温度、約250バールの圧力、及び約0.7kg/時の流速で約3時間、予め抽出される)を88gのエタノールに溶解し、30分間還流する。次に、表4の「PTA−10208試料#1、粗脂質」に掲載される相対量の脂肪酸をエチルエステル型で含有する40gの試料を添加する。得られた溶液を還流させながらさらに2時間加熱する。続いてこの溶液を10℃に冷却し、生成物油−溶媒の組み合わせから尿素アダクトを沈殿させる。尿素アダクトをろ過によって取り除き、生成物油から溶媒を蒸発させる。生成物油の重量は18gである。生成物油をガスクロマトグラフィーにより分析すると、85%はEPAとDHAとの組み合わせがそれらのエチルエステル型で含まれることが見出され、ここでは生成物油中におけるDHAのエチルエステルの濃度が65%であり、生成物油中におけるEPAのエチルエステルの濃度が20%である。
[実施例15]
[0324]微生物粗油(「CMO」)を出発油として得る。CMOは、微生物粗油の総重量を基準として95.1重量%のトリアシルグリセリドを含有する。CMOに含まれる主要な脂肪酸としては、EPA(全脂肪酸の19.7重量%)及びDHA(全脂肪酸の44.1重量%)が挙げられる。3.8gのCMOを100mlのn−ヘキサン/エタノール(10:90;v:v)溶媒混合物に溶解して溶媒−CMO溶液を形成する。次に溶媒−CMO溶液を−85℃で8時間凍結し、続いて3,600rpm、0℃で2分間遠心する。遠心後、パスツールピペットを使用して上清を吸い取り、溶媒(例えば、n−ヘキサン及びエタノール)を除去する。溶媒除去により、174.9mgの清澄な黄色い油生成物と、3.62gの混濁した黄色い油の残渣とが生じる。生成物油に対するGC分析(米国特許第7,588,791号明細書の第9欄4〜17行目に開示される方法を用いる)により、全脂肪酸の26.6重量%のEPA含量、及び全脂肪酸の67.0重量%のDHA含量が得られる。
[実施例16]
[0325]この例は、シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)、ATCC受託番号PTA−10208のバイオマスからエチル多価不飽和脂肪酸を抽出する本発明の方法を示す。
[0326]シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.)のブロスから、エタノールとの混合後に遠心することによって得られるバイオマスを、さらなる処理なしに直接使用した。
[0327]全ブロスの沈殿によって得られた640gの湿潤バイオマス(重量基準で約70%固形分)を3000mLのエタノールと混合し、窒素下で撹拌した。撹拌混合物に13gの粉末水酸化カリウム(potassium dydroxide)を添加し、窒素下約90℃で加熱還流した。加熱は8時間継続した。反応はTLCにより観測した。トリグリセリド(油)は観察されず、エステルのみが観察された。反応混合物を冷却してろ過することにより、使用済みバイオマス(バイオミール)からエステルのエタノール溶液を分離した。このエタノール溶液を真空濃縮して、粗エステル268gを得た(バイオマスの油含量を基準として≧90%の回収率)。残りのバイオミールを乾燥させて171gの使用済みバイオミールを得た。分子分留又は尿素アダクト形成のいずれかによって粗エステルをさらに高濃度化した。バイオマスのGC分析から、約41%のDHAエチルエステル、約20%のEPAエチルエステル、及び約4%のDPAエチルエステルの存在が示された。残った材料は、主に低分子量エチルエステルであった(表33を参照のこと)。
[実施例17]
[0329]この例は、粗エステルを尿素アダクト結晶化により高濃度化する本発明の方法を示す。
[0330]60gの尿素を、窒素下で加熱還流しながら500mLのメタノールに溶解した。バイオマスの直接エステル化により得られた100gの粗エステルを、窒素下で尿素/メタノール溶液に添加した。混合物を約2時間還流し、撹拌しながら室温に放冷した。混合物をさらに約5℃に冷却して結晶化を完了させた。ろ過によって固体を分離した。ろ過ケーキを冷メタノールで洗浄し、尿素アダクト上の懸濁生成物のほとんどを回収した。メタノールろ液を真空濃縮して、88%超がPUFAであるPUFA高濃度化濃縮物を得た(表34を参照のこと)。
[実施例18]
[0332]この例は、真空分子分留により粗エステルを高濃度化する本発明の方法を示す。
[0333]バイオマスの直接エステル化から得られた粗エステルを真空分留に供した。低分子量エチルエステルを100〜150℃の温度及び0.8〜0.9mmHgの圧力で回収した。この画分の主要な成分は、飽和C−14、及びC−16エチルエステルであった。DHAエチルエステル/EPAエチルエステル/DPAエチルエステル混合物を、145〜170℃の温度及び約0.5mmHgの圧力で回収した。DHA/DPA/EPAエチルエステル画分のGC分析から、約90%の全エチルエステルの合計純度が示された(表35を参照のこと)。
[0335]本明細書に記載される様々な態様、実施形態、及び選択肢は全て、どのような変形例にも組み合わせることができる。
[0336]本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照により援用されることが個々の刊行物、特許、又は特許出願毎に具体的且つ個別的に示された場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。