以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタのしきい値電圧とは、トランジスタにチャネルが形成されたときのゲート電圧(Vg)を指す。具体的には、トランジスタのしきい値電圧とは、ゲート電圧(Vg)を横軸に、ドレイン電流(Id)の平方根を縦軸にプロットした曲線(Vg−√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線と、ドレイン電流(Id)の平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。あるいは、トランジスタのしきい値電圧とは、チャネル長をL、チャネル幅をWとし、Id[A]×L[μm]/W[μm]の値が1×10−9[A]となるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に低い場合は、「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」は、「絶縁体」に言い換えることが可能な場合がある。同様に、本明細書等に記載の「絶縁体」は、「半導体」に言い換えることが可能な場合がある。または、本明細書等に記載の「絶縁体」を「半絶縁体」に言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に高い場合は、「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」は、「導電体」に言い換えることが可能な場合がある。同様に、本明細書等に記載の「導電体」は、「半導体」に言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、半導体の不純物とは、半導体膜を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、半導体にDOS(Density of States)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体を有する場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンを有する場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。また、OS FETと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置及びその作製方法について、図1乃至図16を参照して説明する。
<1−1.表示装置の構成例1>
図2は、本発明の一態様の表示装置が有する駆動回路及び表示部に含まれるトランジスタの上面図である。図2(A)は、駆動回路に含まれるトランジスタ100Aの上面図であり、図2(B)は画素部に含まれるトランジスタ200Aの上面図である。図1(A−1)は、図2(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図1(A−2)は、図2(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。図1(B−1)は、図2(B)に示す一点鎖線X3−X4間における切断面の断面図に相当し、図1(B−2)は、図2(B)に示す一点鎖線Y3−Y4間における切断面の断面図に相当する。なお、図2において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ100A、200Aの構成要素の一部(ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜等)を省略して図示している。また、各トランジスタにおいて、一点鎖線X1−X2方向、X3−X4方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向、Y3−Y4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。なお、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図2と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
図1(A−1)及び図1(A−2)に示すように、駆動回路はトランジスタ100Aを有する。
トランジスタ100Aは、基板102上の導電膜104と、基板102及び導電膜104上の絶縁膜106と、絶縁膜106上の金属酸化物膜108と、金属酸化物膜108上の導電膜112aと、金属酸化物膜108上の導電膜112bと、を有する。また、トランジスタ100A上、具体的には、金属酸化物膜108、導電膜112a、及び導電膜112b上には、絶縁膜114と、絶縁膜114上の絶縁膜116と、絶縁膜116上の絶縁膜118とが形成されている。
また、絶縁膜106、114、116は、開口部142aを有する。導電膜120aは、開口部142aを介して、導電膜104と電気的に接続される。
なお、トランジスタ100Aは、所謂チャネルエッチ型のトランジスタであり、デュアルゲート構造である。
また、図1(B−1)及び図1(B−2)に示すように、画素部は、トランジスタ200A、画素電極としての機能を有する導電膜220a、容量配線の機能を有する導電膜213、及び容量素子250aを有する。
トランジスタ200Aは、基板102上の導電膜204と、基板102及び導電膜204上の絶縁膜106と、絶縁膜106上の金属酸化物膜208と、金属酸化物膜208上の導電膜212aと、金属酸化物膜208上の導電膜212bと、を有する。また、トランジスタ200A上、具体的には、金属酸化物膜208、導電膜212a、及び導電膜212b上には、絶縁膜114と、絶縁膜114上の絶縁膜116と、絶縁膜116上の絶縁膜118とが形成されている。
また、絶縁膜114、116は、開口部242aを有する。画素電極としての機能を有する導電膜220aは、開口部242aを介して、導電膜212bと電気的に接続される。また、容量配線としての機能を有する導電膜213が絶縁膜106上に形成される。導電膜213は、導電膜112a、112b、212a、212bと同時に形成されるが、導電膜104、204と同時に形成されてもよい。また、導電膜213、絶縁膜114、116、及び導電膜220aにより、容量素子250aが形成される。
なお、トランジスタ200Aは、所謂チャネルエッチ型のトランジスタであり、シングルゲート構造である。
また、トランジスタ100Aに含まれる導電膜120aと、画素電極としての機能を有する導電膜220aは、同一工程で形成される。よって、導電膜120a、220aとしては、後述する酸化物導電膜(OC)が好ましい。導電膜120a、220aに酸化物導電膜を用いることで、絶縁膜114、116中に酸素を添加することができる。絶縁膜114、116に添加された酸素は、金属酸化物膜108、208に移動し、金属酸化物膜108、208中の酸素欠損を補填することが可能である。この結果、トランジスタ100A、200Aの信頼性を高めることが可能である。なお、導電膜120a、220aは、導電膜104、112a、112b、204、212a、212bに列挙する材料と同様の材料を用いて形成してもよい。
なお、絶縁膜106は、トランジスタ100A、200Aの第1のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜114、116は、トランジスタ100Aの第2のゲート絶縁膜としての機能を有し、絶縁膜118は、トランジスタ100A、200Aの保護絶縁膜としての機能を有する。また、トランジスタ100Aにおいて、導電膜104は、第1のゲート電極としての機能を有し、導電膜112aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜112bは、ドレイン電極としての機能を有する。また、トランジスタ100Aにおいて、導電膜120aは、第2のゲート電極としての機能を有する。また、トランジスタ200Aにおいて、導電膜204は、ゲート電極としての機能を有し、導電膜212aは、ソース電極としての機能を有し、導電膜212bは、ドレイン電極としての機能を有する。
なお、トランジスタ100Aにおいて、図1(A−2)に示すように、導電膜120aは、開口部142aを介して導電膜104と電気的に接続される。
また、図1(A−2)に示すように、金属酸化物膜108は、導電膜104、及び導電膜120aと対向するように位置し、2つのゲート電極の機能を有する導電膜に挟まれている。導電膜120aのチャネル長方向の長さ、及び導電膜120aのチャネル幅方向の長さは、金属酸化物膜108のチャネル長方向の長さ、及び金属酸化物膜108のチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長く、金属酸化物膜108の全体は、絶縁膜114、116を介して導電膜120aに覆われている。
別言すると、導電膜104及び導電膜120aは、絶縁膜106、114、116に設けられる開口部において接続され、且つ金属酸化物膜108の側端部よりも外側に位置する領域を有する。
このような構成を有することで、トランジスタ100Aに含まれる金属酸化物膜108を、導電膜104及び導電膜120aの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ100Aのように、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成される金属酸化物膜を、電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をSurrounded channel(S−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ100Aは、S−channel構造を有するため、第1のゲート電極の機能を有する導電膜104によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に金属酸化物膜108に印加することができる。したがって、トランジスタ100Aの電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタ100Aを微細化することが可能となる。また、トランジスタ100Aは、金属酸化物膜108が、第1のゲート電極の機能を有する導電膜104及び第2のゲート電極の機能を有する導電膜120aによって囲まれた構造を有するため、トランジスタ100Aの機械的強度を高めることができる。
また、トランジスタ100Aにおいて、金属酸化物膜108は、絶縁膜106上の金属酸化物膜108_1と、金属酸化物膜108_1上の金属酸化物膜108_2と、を有する。また、トランジスタ200Aにおいて、金属酸化物膜208は、絶縁膜106上の金属酸化物膜208_1と、金属酸化物膜208_1上の金属酸化物膜208_2と、を有する。なお、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2は、それぞれ同じ元素を有する。例えば、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2は、それぞれ独立に、Inと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウム)と、Znと、を有すると好ましい。
また、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2は、それぞれ独立に、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有すると好ましい。一例としては、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=4:2:3近傍とすると好ましい。ここで、近傍とは、Inが4の場合、Mが1.5以上2.5以下であり、且つZnが2以上4以下を含む。または、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=5:1:6近傍とすると好ましい。このように、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2を概略同じ組成とすることで、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを抑制することが可能である。また、同じスパッタリングターゲットを用いる場合、同一チャンバーにて真空中で連続して金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2を成膜することができるため、金属酸化物膜108_1と、金属酸化物膜108_2との界面、金属酸化物膜208_1と、金属酸化物膜208_2との界面それぞれに不純物が取り込まれるのを抑制することができる。
また、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2は、それぞれ、CAC(Cloud−Aligned Composite)構成を有する金属酸化物であると好適である。当該金属酸化物について、図3を用いて説明する。
CAC構成を有する金属酸化物の概念図を図3に示す。なお、本明細書において、本発明の一態様である金属酸化物が、半導体の機能を有する場合、CAC−MO(Metal Oxide Semiconductor)またはCAC−OS(Oxide Semiconductor)と定義する。
CAC−MOまたはCAC−OSとは、例えば、図3に示すように、金属酸化物を構成する元素が偏在することで、各元素を主成分とする領域001、及び領域002を形成し、各領域が、混合し、モザイク状に形成または分散される。つまり、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
また、CAC−MOまたはCAC−OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−MOまたはCAC−OSを、トランジスタのチャネルに用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)を、CAC−MOまたはCAC−OSに付与することができる。CAC−MOまたはCAC−OSにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、本明細書等において、CAC−MOまたはCAC−OSは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。例えば、図3に示す領域001及び領域002の一方が導電性領域であり、他方が絶縁性領域であってもよい。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−MOまたはCAC−OSは、異なるバンドギャップを有する成分により構成されてもよい。例えば、CAC−MOまたはCAC−OSは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−MOまたはCAC−OSをトランジスタのチャネル領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
なお、CAC−MOまたはCAC−OSは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。CAC−MOまたはCAC−OSの詳細については、実施の形態2にて詳細に説明する。
金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2が、それぞれ独立に、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有し、且つCAC構造を有することで、トランジスタ100A、200Aの電界効果移動度を高くすることができる。具体的には、トランジスタ100A、200Aの電界効果移動度が40cm2/Vsを超える、好ましくは50cm2/Vsを超える、さらに好ましくは100cm2/Vsを超えることが可能となる。
また、S−Channel構造であるトランジスタ100Aは電界効果移動度が高く、且つ駆動能力が高いので、トランジスタ100Aを駆動回路、代表的にはゲート信号を生成するゲートドライバに用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、トランジスタ100Aを、表示装置が有する信号線からの信号の供給を行うソースドライバ(とくに、ソースドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
また、トランジスタ100A、200Aはそれぞれチャネルエッチ構造のトランジスタであるため、低温ポリシリコンを用いたトランジスタと比較して、作製工程数が少ない。また、トランジスタ100A、200Aは、金属酸化物膜をチャネルに用いているため、低温ポリシリコンを用いたトランジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。これらのため、大面積基板を用いた表示装置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」)のよう高解像度であり、且つ大型の表示装置において、トランジスタ100A、200Aのように電界効果移動度が高いトランジスタを駆動回路及び表示部に用いることで、短時間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
<1−2.表示装置の構成要素>
次に、本実施の形態の表示装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
[基板]
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ100A、200Aを形成してもよい。または、基板102とトランジスタ100A、200Aの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ100A、200Aは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
[導電膜]
ゲート電極の機能を有する導電膜104、204、120a、ソース電極の機能を有する導電膜112a、212a、ドレイン電極の機能を有する導電膜112b、212bとしては、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)から選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、導電膜104、112a、112b、120a、204、212a、212bには、インジウムと錫とを有する酸化物(In−Sn酸化物)、インジウムとタングステンとを有する酸化物(In−W酸化物)、インジウムとタングステンと亜鉛とを有する酸化物(In−W−Zn酸化物)、インジウムとチタンとを有する酸化物(In−Ti酸化物)、インジウムとチタンと錫とを有する酸化物(In−Ti−Sn酸化物)、インジウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Zn酸化物)、インジウムと錫とシリコンとを有する酸化物(In−Sn−Si酸化物)、インジウムとガリウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Ga−Zn酸化物)等の金属酸化物を用いることができる。なお、金属酸化物は、酸化物導電体または酸化物半導体を適用することもできる。
ここで、酸化物導電体について説明を行う。本明細書等において、酸化物導電体をOC(Oxide Conductor)と呼称してもよい。酸化物導電体としては、例えば、金属酸化物に酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素を添加すると、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、金属酸化物は、導電性が高くなり導電体化する。導電体化された金属酸化物を、酸化物導電体ということができる。一般に、酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する金属酸化物である。したがって、酸化物導電体は、ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して酸化物半導体と同程度の透光性を有する。
酸化物導電体は、チャネルとしての機能を有する金属酸化物、一例としては酸化物半導体よりも水素濃度が高く、代表的には8×1019atoms/cm3以上、好ましくは1×1020atoms/cm3以上、好ましくは5×1020atoms/cm3以上である。
酸化物導電体は、欠陥を有し、且つ不純物を含むことで、導電性を有する。酸化物導電体を有する導電膜の抵抗率は、1×10−3Ωcm以上1×104Ωcm未満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10−3Ωcm以上1×10−1Ωcm未満である。
また、酸化物導電体を有する導電膜の導電率は、代表的には1×10−2S/m以上1×105S/m以下、または1×103S/m以上1×105S/m以下であるとよい。
また、酸化物導電体は、不純物とともに欠陥を含む。代表的には、酸化物導電体を有する導電膜は、希ガスが添加されることにより欠陥が生成された膜である。または、プラズマに曝されることにより、欠陥が生成された膜である。
また、酸化物導電体は、CAC構成を有する金属酸化物を用いることが好ましい。
また、導電膜104、112a、112b、120a、204、212a、212bには、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。Cu−X合金膜の抵抗は低いため、導電膜104、112a、112b、120a、204、212a、212bをCu−X合金膜を用いて形成することで、配線遅延を低減することが可能である。このため、大型の表示装置を作製する上でCu−X合金膜を配線として用いることは、好適である。
また、導電膜112a、112b、212a、212bには、上述の金属元素の中でも、特に銅、チタン、タングステン、タンタル、及びモリブデンの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。特に、導電膜112a、112b、212a、212bとしては、窒化タンタル膜を用いると好適である。当該窒化タンタル膜は、導電性を有し、且つ、銅または水素に対して、高いバリア性を有する。また、窒化タンタル膜は、さらに自身からの水素の放出が少ないため、金属酸化物膜108、208と接する導電膜、または金属酸化物膜108、208の近傍の導電膜として、最も好適に用いることができる。また、導電膜112a、112b、212a、212bとして、銅膜を用いると、導電膜112a、112b、212a、212bの抵抗を低くすることができるため好適である。
また、導電膜112a、112b、212a、212bを、無電解めっき法により形成することができる。当該無電解めっき法により形成できる材料としては、例えば、Cu、Ni、Al、Au、Sn、Co、Ag、及びPdの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を用いることが可能である。特に、CuまたはAgを用いると、導電膜の抵抗を低くすることができるため、好適である。
[ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜]
トランジスタ100A、200Aのゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜及び酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、絶縁膜106を、2層または3層以上の積層構造としてもよい。
また、トランジスタ100A、200Aのチャネル領域としての機能を有する金属酸化物膜108、208と接する絶縁膜106は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域(過剰酸素領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶縁膜106は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜106に過剰酸素領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜106を形成する、もしくは成膜後の絶縁膜106を酸素雰囲気下で熱処理すればよい。
また、絶縁膜106として、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏する。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁膜106の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
ただし、上記構成に限定されず、金属酸化物膜108、208と接する絶縁膜106に、窒化物絶縁膜を用いる構成としてもよい。当該構成の一例としては、窒化シリコン膜を形成し、当該窒化シリコン膜の表面に酸素プラズマ処理などを行うことで、窒化シリコン膜の表面を酸化させる構成などが挙げられる。なお、窒化シリコン膜の表面に酸素プラズマ処理などを行った場合、窒化シリコン膜の表面は原子レベルで酸化されている場合があるため、トランジスタの断面の観察等を行っても、酸化膜が観察されない可能性がある。すなわち、トランジスタの断面の観察を行った場合、窒化シリコン膜と、金属酸化物とが、接しているように観察される場合がある。なお、酸素プラズマ処理とは、酸素ガスを含む雰囲気にて発生させたプラズマに被照射物を曝すことをいう。酸素ガスとは、酸素、オゾン、一酸化二窒素等の酸素を含むガスのことをいう。
なお、窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、トランジスタのゲート絶縁膜として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜106を厚膜化することができる。よって、トランジスタの絶縁耐圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタの静電破壊を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、絶縁膜106として、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜を形成する。
[金属酸化物膜]
金属酸化物膜108、208としては、先に示す材料を用いることができる。
金属酸化物膜108、208がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In>Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
また、金属酸化物膜108、208が、In−M−Zn酸化物で形成される場合、スパッタリングターゲットとしては、多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いると好ましい。多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いることで、結晶性を有する金属酸化物膜108、208を形成しやすくなる。なお、成膜される金属酸化物膜108、208の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、金属酸化物膜108、208に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される金属酸化物膜108、208の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
また、金属酸化物膜108、208は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタ100A、200Aのオフ電流を低減することができる。
また、金属酸化物膜108、208は、非単結晶構造であると好ましい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
また、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2が、それぞれ独立に、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有していても、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2それぞれの結晶性が高い場合、電界効果移動度が低くなる場合がある。
そこで、金属酸化物膜108_1は、金属酸化物膜108_2よりも結晶性が低い領域を有してもよい。また、金属酸化物膜208_1は、金属酸化物膜208_2よりも結晶性が低い領域を有してもよい。なお、金属酸化物膜108_1、108_2、208_1、208_2の結晶性としては、例えば、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)を用いて分析する、あるいは、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて分析することで解析できる。
金属酸化物膜108_1、208_1が結晶性の低い領域を有する場合、以下の優れた効果を有する。
まず、金属酸化物膜108中に形成されうる酸素欠損について説明を行う。
金属酸化物膜108に形成される酸素欠損は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。例えば、金属酸化物膜108中に酸素欠損が形成されると、該酸素欠損に水素が結合し、キャリア供給源となる。金属酸化物膜108中にキャリア供給源が生成されると、金属酸化物膜108を有するトランジスタ100Aの電気特性の変動、代表的にはしきい値電圧のシフトが生じる。したがって、金属酸化物膜108においては、酸素欠損が少ないほど好ましい。
そこで、本発明の一態様においては、金属酸化物膜108近傍の絶縁膜、具体的には、金属酸化物膜108の上方に形成される絶縁膜114、116が過剰酸素を含有する構成である。絶縁膜114、116から金属酸化物膜108へ酸素または過剰酸素を移動させることで、金属酸化物膜中の酸素欠損を低減することが可能となる。
ここで、図16(A)(B)を用いて、金属酸化物膜108中に拡散する酸素または過剰酸素の経路について説明する。図16(A)(B)は、金属酸化物膜108中に拡散する酸素または過剰酸素の拡散経路を表す概念図であり、図16(A)はチャネル長方向の概念図であり、図16(B)はチャネル幅方向の概念図である。なお、ここでは、金属酸化物膜108を用いて説明するが、金属酸化物膜208においても、金属酸化物膜108と同様に酸素が拡散する。
絶縁膜114、116が有する酸素または過剰酸素は、上方側から、すなわち金属酸化物膜108_2を通過して、金属酸化物膜108_1に拡散する(図16(A)(B)に示すRoute 1)。
あるいは、絶縁膜114、116が有する酸素または過剰酸素は、金属酸化物膜108_1、及び金属酸化物膜108_2それぞれの側面から金属酸化物膜108中に拡散する(図16(B)に示すRoute 2)。
例えば、図16(A)(B)に示すRoute 1の場合、金属酸化物膜108_2の結晶性が高い場合、酸素または過剰酸素の拡散を阻害する場合がある。一方で、図16(B)に示すRoute 2の場合、金属酸化物膜108_1、及び金属酸化物膜108_2それぞれの側面から、金属酸化物膜108_1、及び金属酸化物膜108_2に酸素または過剰酸素を拡散させることが可能となる。
また、図16(B)に示すRoute 2の場合、金属酸化物膜108_1が、金属酸化物膜108_2よりも結晶性が低い領域を有する場合、当該領域が過剰酸素の拡散経路となり、金属酸化物膜108_1よりも結晶性の高い金属酸化物膜108_2にも過剰酸素を拡散させることができる。なお、図16(A)(B)中には、図示しないが、絶縁膜106が酸素または過剰酸素を有する場合、絶縁膜106からも金属酸化物膜108中に酸素または過剰酸素が拡散しうる。
このように、結晶性が異なる金属酸化物膜の積層構造とし、結晶性の低い領域を過剰酸素の拡散経路とすることで、信頼性の高いトランジスタを提供することができる。
なお、金属酸化物膜108を結晶性が低い金属酸化物膜のみで構成する場合、バックチャネル側、すなわち金属酸化物膜108_2に相当する領域に不純物(例えば、水素または水分など)の付着、または不純物が混入することにより、信頼性が悪くなる場合がある。
金属酸化物膜108に混入する水素または水分などの不純物は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。したがって、金属酸化物膜108においては、水素または水分などの不純物が少ないほど好ましい。
そこで、金属酸化物膜108の上層の金属酸化物膜の結晶性を高めることで、金属酸化物膜108に混入しうる不純物を抑制することができる。特に、金属酸化物膜108_2の結晶性を高めることで、導電膜112a、112bを加工する際のダメージを抑制することができる。金属酸化物膜108の表面、すなわち金属酸化物膜108_2の表面は、導電膜112a、112bの加工の際のエッチャントまたはエッチングガスに曝される。しかしながら、金属酸化物膜108_2は、結晶性が高い領域を有する場合、結晶性が低い金属酸化物膜108_1と比較してエッチング耐性に優れる。したがって、金属酸化物膜108_2は、エッチングストッパとして機能する。
なお、金属酸化物膜108として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い金属酸化物膜を用いることで、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。なお、金属酸化物膜中の不純物としては、代表的には水、水素などが挙げられる。本明細書等において、金属酸化物膜中から水及び水素を低減または除去することを、脱水化、脱水素化と表す場合がある。また、金属酸化物膜、または酸化物絶縁膜中に酸素を添加することを、加酸素化と表す場合があり、加酸素化され且つ化学量論的組成よりも過剰の酸素を有する状態を過酸素化状態と表す場合がある。
高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該金属酸化物膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。
また、金属酸化物膜108_1は、金属酸化物膜108_2よりも結晶性が低い領域を有することで、キャリア密度が高くなる場合がある。
また、金属酸化物膜108_1のキャリア密度が高くなると、金属酸化物膜108_1の伝導帯に対してフェルミ準位が相対的に高くなる場合がある。これにより、金属酸化物膜108_1の伝導帯の下端が低くなり、金属酸化物膜108_1の伝導帯下端と、ゲート絶縁膜(ここでは、絶縁膜106)中に形成されうるトラップ準位とのエネルギー差が大きくなる場合がある。該エネルギー差が大きくなることにより、ゲート絶縁膜中にトラップされる電荷が少なくなり、トランジスタのしきい値電圧の変動を小さくできる場合がある。また、金属酸化物膜108_1のキャリア密度が高くなると、金属酸化物膜108の電界効果移動度を高めることができる。
[保護絶縁膜としての機能を有する絶縁膜 1]
絶縁膜114、116は、トランジスタ100A、200Aの保護絶縁膜としての機能を有する。また、絶縁膜114、116は、金属酸化物膜108、208に酸素を供給する機能を有する。すなわち、絶縁膜114、116は、酸素を有する。また、絶縁膜114は、酸素を透過することのできる絶縁膜である。なお、絶縁膜114は、後に形成する絶縁膜116を形成する際の、金属酸化物膜108、208へのダメージ緩和膜としても機能する。
絶縁膜114としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
また、絶縁膜114は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。絶縁膜114に含まれる欠陥密度が多いと、該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜114における酸素の透過性が減少してしまう。
なお、絶縁膜114においては、外部から絶縁膜114に入った酸素が全て絶縁膜114の外部に移動せず、絶縁膜114にとどまる酸素もある。また、絶縁膜114に酸素が入ると共に、絶縁膜114に含まれる酸素が絶縁膜114の外部へ移動することで、絶縁膜114において酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜114として酸素を透過することができる酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜114上に設けられる、絶縁膜116から脱離する酸素を、絶縁膜114を介して金属酸化物膜108、208に移動させることができる。
また、絶縁膜114は、窒素酸化物に起因する準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、金属酸化物膜の価電子帯の上端のエネルギー(Ev_os)と金属酸化物膜の伝導帯の下端のエネルギー(Ec_os)の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム膜等を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018分子/cm3以上5×1019分子/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
窒素酸化物(NOx、xは0よりも大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的にはNO2またはNOは、絶縁膜114などに準位を形成する。当該準位は、金属酸化物膜108、208のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁膜114及び金属酸化物膜108、208の界面に拡散すると、当該準位が絶縁膜114側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜114及び金属酸化物膜108、208界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁膜114に含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁膜116に含まれるアンモニアと反応するため、絶縁膜114に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁膜114及び金属酸化物膜108、208の界面において、電子がトラップされにくい。
絶縁膜114として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
また、上記酸化物絶縁膜は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定される窒素濃度が6×1020atoms/cm3以下である。
基板温度が220℃以上350℃以下であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPECVD法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を形成することができる。
絶縁膜116は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜である。上記の酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。なお、TDSにおいて、上記の酸化物絶縁膜は、酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上の領域を有する。また、上記の酸素の放出量は、TDSにおける加熱処理の温度が50℃以上650℃以下、または50℃以上550℃以下の範囲での総量である。また、上記の酸素の放出量は、TDSにおける酸素原子に換算しての総量である。
絶縁膜116としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
また、絶縁膜116は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、さらには1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。なお、絶縁膜116は、絶縁膜114と比較して金属酸化物膜108、208から離れているため、絶縁膜114より、欠陥密度が多くともよい。
また、絶縁膜114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁膜114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。なお、本実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造、あるいは3層以上の積層構造としてもよい。
[保護絶縁膜としての機能を有する絶縁膜 2]
絶縁膜118は、トランジスタ100A、200Aの保護絶縁膜として機能する。
絶縁膜118は、水素及び窒素のいずれか一方または双方を有する。または、絶縁膜118は、窒素及びシリコンを有する。また、絶縁膜118は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等をブロッキングできる機能を有する。絶縁膜118を設けることで、金属酸化物膜108、208からの酸素の外部への拡散と、絶縁膜114、116に含まれる酸素の外部への拡散と、外部から金属酸化物膜108、208への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
絶縁膜118としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜等がある。
なお、上記記載の、導電膜、絶縁膜、金属酸化物膜、金属膜などの様々な膜としては、スパッタリング法やPECVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposition)法などが挙げられる。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。また、熱CVD法としては、原料ガスをチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板上に膜を堆積させればよい。
また、ALD法としては、原料ガスをチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板上に膜を堆積させればよい。
<1−3.表示装置の構成例2>
次に、保護絶縁膜の積層構造が異なる表示装置について、図4を用いて説明する。
図4(A−1)は、図2(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図4(A−2)は、図2(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。図4(B−1)は、図2(B)に示す一点鎖線X3−X4間における切断面の断面図に相当し、図4(B−2)は、図2(B)に示す一点鎖線Y3−Y4間における切断面の断面図に相当する。
図4に示す表示装置は、画素部に設けられるトランジスタ200A上に、絶縁膜114、絶縁膜116を有し、絶縁膜116上に平坦化膜としての機能を有する絶縁膜119を有する。また、絶縁膜114、絶縁膜116、絶縁膜119には開口部242bを有する。絶縁膜119上に画素電極としての機能を有する導電膜220aが形成される。導電膜220aは、開口部242bにおいて、導電膜212bと電気的に接続される。また、絶縁膜119及び導電膜220a上に絶縁膜118を有する。なお、絶縁膜118は開口部を有し、該開口部において導電膜220aの一部が露出されてもよい。
絶縁膜119は、平坦化絶縁膜としての機能を有する有機材料を用いて形成する。絶縁膜119は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等の有機材料を用いて、スピンコート、印刷法などのウエットプロセスにより形成することができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。なお、絶縁膜119として、透光性を有する有機樹脂、代表的にはポリイミドを用いることが好ましい。絶縁膜119として、透光性を有する有機樹脂を用いることで、表示装置が透過型液晶表示装置の場合、バックライトからの光の透過性を高めることができる。
図4に示す表示装置において、駆動回路では、平坦化膜としての機能を有する絶縁膜119が形成されない。このため、導電膜120aとして、酸化物導電膜を用いることで、絶縁膜114、116中に酸素を添加することができる。絶縁膜114、116に添加された酸素は、金属酸化物膜108に移動し、金属酸化物膜108中の酸素欠損を補填することが可能であり、トランジスタ100Aの信頼性を高めることが可能である。
一方、図4に示す表示装置において、画素部では、平坦化膜としての機能を有する絶縁膜119が絶縁膜116上に形成される。また、画素電極としての機能を有する導電膜220aが絶縁膜119上に形成される。導電膜220aは平坦性が高いため、表示装置が液晶表示装置の場合、液晶層の配向不良を低減することができる。また、ゲート配線としての機能を有する導電膜204と導電膜220aとの間隔、及び信号線としての機能を有する導電膜212aと導電膜220aとの間隔を絶縁膜119により広げることが可能であり、配線遅延を低減することが可能である。
<1−4.表示装置の構成例3>
次に、画素電極としての機能を有する導電膜の形状が異なる表示装置について、図8及び図9を用いて説明する。
図9は、本発明の一態様の表示装置に設けられた駆動回路及び表示部に含まれるトランジスタの上面図である。図9(A)は、駆動回路に含まれるトランジスタ100Aの上面図であり、図9(B)は画素部に含まれるトランジスタ200Bの上面図である。図8(A−1)は、図9(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図8(A−2)は、図9(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。図8(B−1)は、図9(B)に示す一点鎖線X3−X4間における切断面の断面図に相当し、図8(B−2)は、図9(B)に示す一点鎖線Y3−Y4間における切断面の断面図に相当する。
図8(A−1)及び図8(A−2)に示すように、駆動回路はトランジスタ100Aを有する。
また、図8(B−1)及び図8(B−2)に示すように、画素部はトランジスタ200B、画素電極として機能する導電膜210、及び容量素子250を有する。
トランジスタ200Bは、図1及び図4に示すトランジスタ200Aと比較して、画素電極としての機能を有する導電膜との接続が異なる。トランジスタ200Bは、絶縁膜106と、導電膜212bとの間において、画素電極としての機能を有する導電膜210と接続される。
導電膜210は、トランジスタ100Aの金属酸化物膜108、トランジスタ200Bの金属酸化物膜208と同時に形成される。導電膜210は、島状の導電膜210_1と、島状の導電膜210_2が順に積層される。導電膜210_1は、金属酸化物膜108_1、208_1と同時に形成され、導電膜210_2は、金属酸化物膜108_2、208_2と同時に形成される。
なお、図8(B−1)において、絶縁膜118は、開口部211を有し、該開口部211において、導電膜210が露出される。また、図10(B−1)に示すように、絶縁膜118は導電膜210上を覆ってもよい。例えば、表示装置が液晶表示装置の場合、画素電極としての機能を有する導電膜210上には絶縁膜118が設けられないことが好ましい。しかしながら、液晶層に印加される電圧によっては、絶縁膜118が設けられてもよい。
導電膜210としては、酸化物導電膜(OC)が好ましい。このため、トランジスタ100A、200Bに含まれる金属酸化物膜108、208と比較して、導電膜210は水素濃度が高い。
<1−5.トランジスタの変形例>
次に、本実施の形態で示すトランジスタに適用可能なトランジスタの変形例について説明する。図14(A)は、トランジスタ100Cの上面図であり、図14(B)は、図14(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図14(C)は、図14(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、ここでは、トランジスタ100Cとしてトランジスタ100Aの変形例を説明するが、トランジスタ100Cの構成を適宜トランジスタ200A、200Bに適用することができる。
トランジスタ100Cは、先に示すトランジスタ100Aが有する導電膜112a、112bを3層の積層構造とした構成である。
トランジスタ100Cが有する導電膜112aは、導電膜112a_1と、導電膜112a_1上の導電膜112a_2と、導電膜112a_2上の導電膜112a_3と、を有する。また、トランジスタ100Cが有する導電膜112bは、導電膜112b_1と、導電膜112b_1上の導電膜112b_2と、導電膜112b_2上の導電膜112b_3と、を有する。
例えば、導電膜112a_1、導電膜112b_1、導電膜112a_3、及び導電膜112b_3としては、チタン、タングステン、タンタル、モリブデン、インジウム、ガリウム、錫、及び亜鉛の中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。また、導電膜112a_2及び導電膜112b_2としては、銅、アルミニウム、及び銀の中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。
より具体的には、導電膜112a_1、導電膜112b_1、導電膜112a_3、及び導電膜112b_3にIn−Sn酸化物またはIn−Zn酸化物を用い、導電膜112a_2及び導電膜112b_2に銅を用いることができる。
上記構成とすることで、導電膜112a、112bの配線抵抗を低くし、且つ金属酸化物膜108への銅の拡散を抑制できるため好適である。また、上記構成とすることで、導電膜112bと、当該導電膜112bと接する導電膜との接触抵抗を低くすることができるため好適である。また、上記構成を画素部のトランジスタ200Aなどに適用する場合、導電膜212bと導電膜220aとの接触抵抗を低くすることができるため好適である。なお、トランジスタ100Cのその他の構成は、先に示すトランジスタ100Aと同様であり、同様の効果を奏する。
また、図15(A)は、本実施の形態で示すトランジスタに適用可能なトランジスタ100Dの上面図であり、図15(B)は、図15(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図15(C)は、図15(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
トランジスタ100Dは、先に示すトランジスタ100Aが有する導電膜112a、112bを3層の積層構造とした構成である。また、トランジスタ100Dは、先に示すトランジスタ100Cと、導電膜112a、112bの形状が異なる。
トランジスタ100Dが有する導電膜112aは、導電膜112a_1と、導電膜112a_1上の導電膜112a_2と、導電膜112a_2上の導電膜112a_3と、を有する。また、トランジスタ100Dが有する導電膜112bは、導電膜112b_1と、導電膜112b_1上の導電膜112b_2と、導電膜112b_2上の導電膜112b_3と、を有する。なお、導電膜112a_1、導電膜112a_2、導電膜112a_3、導電膜112b_1、導電膜112b_2、及び導電膜112b_3としては、先に示す材料を用いることができる。
また、導電膜112a_1の端部は、導電膜112a_2の端部よりも外側に位置する領域を有し、導電膜112a_3は、導電膜112a_2の上面及び側面を覆い、且つ導電膜112a_1と接する領域を有する。また、導電膜112b_1の端部は、導電膜112b_2の端部よりも外側に位置する領域を有し、導電膜112b_3は、導電膜112b_2の上面及び側面を覆い、且つ導電膜112b_1と接する領域を有する。
上記構成とすることで、導電膜112a、112bの配線抵抗を低くし、且つ金属酸化物膜108への銅の拡散を抑制できるため好適である。なお、先に示すトランジスタ100Cよりもトランジスタ100Dに示す構造とした方が、銅の拡散を好適に抑制することができる。また、上記構成とすることで、導電膜112bと、当該導電膜112bと接する導電膜との接触抵抗を低くすることができるため好適である。なお、トランジスタ100Dのその他の構成は、先に示すトランジスタと同様であり、同様の効果を奏する。
なお、トランジスタ100A、100C、200A、200Bは、6枚のフォトマスクを使用することで作製される。一方、トランジスタ100Dは、導電膜112a、112bを形成するために、2枚のフォトマスクを使用するため、7枚のフォトマスクを使用することで作製される。
また、図17(A)は、本実施の形態で示すトランジスタに適用可能なトランジスタ100Eの上面図であり、図17(B)は、図17(A)に示す一点鎖線X1−X2間における切断面の断面図に相当し、図17(C)は、図17(A)に示す一点鎖線Y1−Y2間における切断面の断面図に相当する。
図17に示すトランジスタ100Eは、先に示すトランジスタ100Dの絶縁膜118と導電膜120aの積層順が異なる。トランジスタ100Eにおいて、絶縁膜116上に絶縁膜118を有する。絶縁膜118上に導電膜120aを有する。絶縁膜106、絶縁膜114、絶縁膜116、及び絶縁膜118の開口部142aにおいて、導電膜104と導電膜120aとが電気的に接続される。
また、本実施の形態に係るトランジスタは、上記の構造のトランジスタを、それぞれ自由に組み合わせることが可能である。
<1−6.表示装置の作製方法1>
次に、本発明の一態様の表示装置に含まれるトランジスタ100A、200Aの作製方法について、図5乃至図7を用いて説明する。
なお、図5乃至図7は、表示装置の作製方法を説明する断面図である。図5乃至図7において(A−1)乃至(A−3)はトランジスタ100Aのチャネル長方向の断面図であり、(B−1)乃至(B−3)は、トランジスタ200Aのチャネル長方向の断面図である。
まず、基板102上に導電膜を形成し、該導電膜をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、トランジスタ100Aの第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104、トランジスタ200Aのゲート電極としての機能を有する導電膜204を形成する。次に、導電膜104上に第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成する(図5(A−1)、図5(B−1)参照)。
本実施の形態では、基板102としてガラス基板を用い、導電膜104、204として、厚さ50nmのチタン膜と、厚さ200nmの銅膜とを、それぞれスパッタリング法により形成する。また、絶縁膜106として厚さ400nmの窒化シリコン膜と、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜とをPECVD法により形成する。
なお、上記窒化シリコン膜は、第1の窒化シリコン膜と、第2の窒化シリコン膜と、第3の窒化シリコン膜とを有する、3層積層構造である。該3層積層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン膜としては、例えば、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、及び流量5000sccmの窒素を原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、上記第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃以下とすることができる。
窒化シリコン膜を上述の3層の積層構造とすることで、例えば、導電膜104に銅を含む導電膜を用いる場合において、以下の効果を奏する。
第1の窒化シリコン膜は、導電膜104、204からの銅の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン膜は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン膜は、第3の窒化シリコン膜からの水素放出が少なく、且つ第2の窒化シリコン膜から放出される水素の拡散を抑制することができる。
次に、絶縁膜106上に金属酸化物膜108_1_0、及び金属酸化物膜108_2_0を形成する(図5(A−2)、図5(B−2)参照)。
なお、図5(A−1)、図5(B−1)は、絶縁膜106上に金属酸化物膜108_1_0、及び金属酸化物膜108_2_0を形成する際の成膜装置内部の断面模式図である。図5(A−1)、図5(B−1)では、成膜装置としてスパッタリング装置を用い、当該スパッタリング装置内部に設置されたターゲット191と、ターゲット191の下方に形成されるプラズマ192とが、模式的に表されている。
なお、図5(A−1)、図5(B−1)において、絶縁膜106に添加される酸素または過剰酸素を模式的に破線の矢印で表している。例えば、金属酸化物膜108_1_0の成膜時に酸素ガスを用いる場合、絶縁膜106中に好適に酸素を添加することができる。
まず、絶縁膜106上に金属酸化物膜108_1_0を形成する。金属酸化物膜108_1_0の厚さとしては、1nm以上25nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下とすればよい。また、金属酸化物膜108_1_0は、不活性ガス(代表的にはArガス)及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて形成される。なお、金属酸化物膜108_1_0を形成する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)としては、0%以上30%未満、好ましくは5%以上15%以下である。
上記範囲の酸素流量比で金属酸化物膜108_1_0を形成することで、金属酸化物膜108_1_0の結晶性を金属酸化物膜108_2_0よりも低くすることができる。
続いて、金属酸化物膜108_1_0上に金属酸化物膜108_2_0を形成する。なお、金属酸化物膜108_2_0を形成する際に、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させる。その際に、金属酸化物膜108_2_0の被形成面となる金属酸化物膜108_1_0中に酸素が添加される。なお、金属酸化物膜108_2_0を形成する際の酸素流量比としては、30%以上100%以下、好ましくは50%以上100%以下、さらに好ましくは70%以上100%以下である。
また、金属酸化物膜108_2_0の厚さとしては、20nm以上100nm以下、好ましくは20nm以上50nm以下とすればよい。
なお、上述したように金属酸化物膜108_2_0の形成条件としては、金属酸化物膜108_1_0よりも酸素流量比を高めると好ましい。別言すると、金属酸化物膜108_1_0は、金属酸化物膜108_2_0よりも低い酸素分圧で形成されると好ましい。
また、金属酸化物膜108_1_0、及び金属酸化物膜108_2_0の形成時の基板温度としては、室温(25℃)以上200℃以下、好ましくは室温以上130℃以下とすればよい。基板温度を上記範囲とすることで、大面積のガラス基板(例えば、先に記載の第8世代乃至第10世代のガラス基板)を用いる場合に好適である。特に、金属酸化物膜108_1_0、及び金属酸化物膜108_2_0の成膜時における基板温度を室温とすることで、基板の撓みまたは歪みを抑制することができる。また、金属酸化物膜108_2_0の結晶性を高めたい場合においては、金属酸化物膜108_2_0の形成時の基板温度を高めると好ましい。
なお、金属酸化物膜108_1_0、及び金属酸化物膜108_2_0を真空中で連続して形成することで、各界面に不純物が取り込まれないため、より好適である。
また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下、より好ましくは−120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで金属酸化物膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で金属酸化物膜を成膜する場合、スパッタリング装置におけるチャンバーは、金属酸化物膜にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、高真空(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、チャンバー内のH2Oに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10−4Pa以下とすることが好ましく、5×10−5Pa以下とすることが好ましい。
本実施の形態では、金属酸化物膜108_1_0の形成条件としては、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法により形成する。また、金属酸化物膜108_1_0の形成時の基板温度を室温とし、成膜ガスとして流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスを用いる(酸素流量比10%)。
また、金属酸化物膜108_2_0の形成条件としては、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法により形成する。また、金属酸化物膜108_2_0の形成時の基板温度を室温とし、成膜ガスとして流量200sccmの酸素ガスを用いる(酸素流量比100%)。
また、金属酸化物膜108_1_0と、金属酸化物膜108_2_0との成膜時の酸素流量比を変えることで、結晶性の異なる積層膜を形成することができる。
なお、ここではスパッタリング法による作製方法について説明したが、これに限定されず、パルスレーザー堆積(PLD)法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法、真空蒸着法などを用いてもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。
次に、金属酸化物膜108_1_0、及び金属酸化物膜108_2_0を所望の形状に加工することで、島状の金属酸化物膜108_1及び島状の金属酸化物膜108_2、並びに島状の金属酸化物膜208_1及び島状の金属酸化物膜208_2を形成する。なお、本実施の形態においては、金属酸化物膜108_1、及び金属酸化物膜108_2により、島状の金属酸化物膜108が構成される(図5(A−3)参照)。また、金属酸化物膜208_1、及び金属酸化物膜208_2により、島状の金属酸化物膜208が構成される(図5(B−3)参照)。
なお、金属酸化物膜108及び金属酸化物膜208を形成した後、金属酸化物膜108及び金属酸化物膜208に酸素プラズマ処理を行ってもよい。この結果、金属酸化物膜108及び金属酸化物膜208の表面に酸素を添加することが可能であり、金属酸化物膜108及び金属酸化物膜208の酸素欠損を低減することが可能である。特に、金属酸化物膜108及び金属酸化物膜208の側面における酸素欠損を低減することは、トランジスタのリーク電流の発生を抑制することが可能であり好ましい。
また、金属酸化物膜108、208を形成した後に、加熱処理(以下、第1の加熱処理とする)を行うと好適である。第1の加熱処理により、金属酸化物膜108、208に含まれる水素、水等を低減することができる。なお、水素、水等の低減を目的とした加熱処理は、金属酸化物膜108_1_0、108_2_0を島状に加工する前に行ってもよい。なお、第1の加熱処理は、金属酸化物膜の高純度化処理の一つである。
第1の加熱処理としては、例えば、150℃以上基板の歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、さらに好ましくは250℃以上350℃以下とする。
また、第1の加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、加熱時間を短縮することが可能となる。また、第1の加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。また、窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後、酸素または超乾燥空気雰囲気で加熱してもよい。この結果、金属酸化物膜中に含まれる水素、水等を脱離させると共に、金属酸化物膜中に酸素を供給することができる。この結果、金属酸化物膜中に含まれる酸素欠損を低減することができる。
次に、絶縁膜106、及び金属酸化物膜108、208上に導電膜を形成する。次に、該導電膜を所望の形状に加工することで、導電膜112a及び導電膜112b、導電膜212a及び導電膜212b、並びに導電膜213を形成する。
本実施の形態では、導電膜112a及び導電膜112b、導電膜212a及び導電膜212b、並びに導電膜213として、厚さ30nmのチタン膜と、厚さ200nmの銅膜と、厚さ10nmのチタン膜とを、それぞれ順に、スパッタリング法により成膜する。
なお、本実施の形態においては、ウエットエッチング装置を用い、導電膜を加工する。ただし、導電膜の加工方法としては、これに限定されず、例えば、ドライエッチング装置を用いてもよい。
また、導電膜112a、112b、212a、212b、213の形成後に、金属酸化物膜108、208(より具体的には金属酸化物膜108_2、208_2)の表面(バックチャネル側)を洗浄してもよい。当該洗浄方法としては、例えば、リン酸等の薬液を用いた洗浄が挙げられる。リン酸等の薬液を用いて洗浄を行うことで、金属酸化物膜108_2、208_2の表面に付着した不純物(例えば、導電膜112a、112b、212a、212bに含まれる元素等)を除去することができる。なお、当該洗浄を必ずしも行う必要はなく、場合によっては、洗浄を行わなくてもよい。
また、導電膜112a、112b、212a、212b、213を形成する工程、及び上記洗浄工程のいずれか一方または双方において、金属酸化物膜108、208の導電膜112a、112b、212a、212bから露出した領域が、薄くなる場合がある。
なお、導電膜112a、112b、212a、212bから露出した領域、すなわち、金属酸化物膜108_2、208_2は結晶性が高められた金属酸化物膜であることが好ましい。結晶性が高い金属酸化物膜は、不純物、特に導電膜112a、112b、212a、212bに用いる構成元素が膜中に拡散しにくい構成である。したがって、信頼性の高いトランジスタを作製することができる。
また、図5(A−3)、図5(B−3)において、導電膜112a、112b、212a、212bから露出した金属酸化物膜108、208の表面、すなわち金属酸化物膜108_2、208_2の表面に凹部が形成される場合について例示したが、これに限定されず、導電膜112a、112b、212a、212bから露出した金属酸化物膜108、208の表面は、凹部を有していなくてもよい。
次に、金属酸化物膜108、208、及び導電膜112a、112b、212a、212b、213上に絶縁膜114、及び絶縁膜116を形成する(図6(A−1)、図6(B−1)参照)。
なお、絶縁膜114を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜116を形成することが好ましい。絶縁膜114を形成後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜116を連続的に形成することで、絶縁膜114と絶縁膜116との界面において大気成分由来の不純物濃度を低減することができる。
例えば、絶縁膜114として、PECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成することができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。また、上記の堆積性気体の流量に対して酸化性気体の流量を20倍以上500倍以下、好ましくは40倍以上100倍以下とする。
本実施の形態においては、絶縁膜114として、基板102を保持する温度を220℃とし、流量50sccmのシラン及び流量2000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室内の圧力を20Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、100W(電力密度としては1.6×10−2W/cm2)とするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜116としては、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上350℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜116の成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜116中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、上記温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
なお、絶縁膜116の形成工程において、絶縁膜114が金属酸化物膜108、208の保護膜となる。したがって、金属酸化物膜108、208へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜116を形成することができる。
なお、絶縁膜116の成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁膜116の欠陥量を低減することが可能である。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm3未満、好ましくは3×1017spins/cm3以下、好ましくは1.5×1017spins/cm3以下である欠陥量の少ない酸化物絶縁膜を形成することができる。この結果、トランジスタ100A、200Aの信頼性を高めることができる。
また、絶縁膜114、116を成膜した後に、加熱処理(以下、第2の加熱処理とする)を行うと好適である。第2の加熱処理により、絶縁膜114、116に含まれる窒素酸化物を低減することができる。または、第2の加熱処理により、絶縁膜114、116に含まれる酸素の一部を金属酸化物膜108、208に移動させ、金属酸化物膜108、208に含まれる酸素欠損を低減することができる。
第2の加熱処理の温度は、代表的には、400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは、150℃以上350℃以下とする。第2の加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。該加熱処理には、電気炉、RTA等を用いることができる。
次に、絶縁膜114、116の所望の領域に開口部142a、242aを形成する。
本実施の形態においては、開口部142a、242aを、ドライエッチング装置を用いて形成する。なお、開口部142aは、導電膜104に達し、開口部242aは導電膜212bに達する。
次に、絶縁膜116上に導電膜120を形成する(図6(A−2)及び図6(B−2)参照)。
なお、図6(A−1)及び図6(B−1)は、絶縁膜116上に導電膜120を形成する際の成膜装置内部の断面模式図である。図6(A−1)及び図6(B−1)では、成膜装置としてスパッタリング装置を用い、当該スパッタリング装置内部に設置されたターゲット193と、ターゲット193の下方に形成されるプラズマ194とが、模式的に表されている。
まず、導電膜120を形成する際に、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させる。その際に、導電膜120の被形成面となる絶縁膜116中に、酸素が添加される。また、導電膜120を形成する際に、酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。
酸素ガスとしては、少なくとも導電膜120を形成する際に含まれていればよく、導電膜120を形成する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合としては、0%より大きく100%以下、好ましくは10%以上100%以下、さらに好ましくは30%以上100%以下である。
なお、図6(A−1)及び図6(B−1)において、絶縁膜116に添加される酸素または過剰酸素を模式的に破線の矢印で表している。
本実施の形態では、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法により導電膜120を形成する。または、ITOターゲットを用い、成膜ガスとして100%の酸素ガスを用いたスパッタリング法により導電膜120を形成してもよい。
なお、本実施の形態では、導電膜120を成膜する際に、絶縁膜116に酸素を添加する方法について例示したがこれに限定されない。例えば、導電膜120を形成後に、さらに絶縁膜116に酸素を添加してもよい。
絶縁膜116に酸素を添加する方法としては、例えば、インジウムと、錫と、シリコンとを有する酸化物(In−Sn−Si酸化物、ITSOともいう)ターゲット(In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%])を用いて、膜厚5nmのITSO膜を形成すればよい。この場合、ITSO膜の膜厚としては、1nm以上20nm以下、または2nm以上10nm以下とすると好適に酸素を透過し、且つ酸素の放出を抑制できるため好ましい。その後、ITSO膜を通過させて、絶縁膜116に酸素を添加する。酸素の添加方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ処理法等が挙げられる。また、酸素を添加する際に、基板側にバイアス電圧を印加することで効果的に酸素を絶縁膜116に添加することができる。上記バイアス電圧としては、例えば、アッシング装置を用い、該アッシング装置の基板側に印加するバイアス電圧の電力密度を1W/cm2以上5W/cm2以下とすればよい。また、酸素を添加する際の基板温度としては、室温以上300℃以下、好ましくは、100℃以上250℃以下とすることで、絶縁膜116に効率よく酸素を添加することができる。
次に、導電膜120を所望の形状に加工することで、導電膜120a_1、220a_1を形成する(図7(A−1)及び図7(B−1)参照)。
本実施の形態においては、ウエットエッチング装置を用い、導電膜120を加工し、導電膜120a_1、220a_1を形成する。
次に、絶縁膜116、及び導電膜120a_1、220a_1上に絶縁膜118を形成する(図7(A−2)及び図7(B−2)参照)。
絶縁膜118は、水素及び窒素のいずれか一方または双方を有する。絶縁膜118としては、例えば、窒化シリコン膜を用いると好適である。また、絶縁膜118としては、例えば、スパッタリング法またはPECVD法を用いて形成することができる。例えば、絶縁膜118をPECVD法で成膜する場合、基板温度は400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下である。絶縁膜118を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい。また、絶縁膜118を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、絶縁膜114、116中の酸素または過剰酸素を、金属酸化物膜108、208に移動させることが可能となる。
また、絶縁膜118としてPECVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素の分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5倍以上50倍以下、10倍以上50倍以下とすることが好ましい。
本実施の形態においては、絶縁膜118として、PECVD装置を用いて、シラン、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いて、厚さ50nmの窒化シリコン膜を形成する。流量は、シランが50sccm、窒素が5000sccmであり、アンモニアが100sccmである。処理室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給する。PECVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のPECVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると1.7×10−1W/cm2である。
なお、導電膜120a_1、220a_1として、In−Ga−Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて導電膜を形成した場合、絶縁膜118が形成されることで、絶縁膜118が有する水素及び窒素のいずれか一方または双方が、導電膜120a_1、220a_1中に入り込む場合がある。この場合、導電膜120a_1、220a_1中の酸素欠損と、水素及び窒素のいずれか一方または双方が結合することで、導電膜120a_1、220a_1の抵抗が低くなる。これにより、抵抗が低減された導電膜120a、220aを形成することができる。なお、抵抗が低減された導電膜は、酸化物導電体膜である。なお、絶縁膜118に含まれる水素及び窒素のいずれか一方または双方が導電膜120a、220aに移動することで、導電膜120a、220aの水素濃度及び窒素濃度の一方または双方は、金属酸化物膜108、208より高い。
また、絶縁膜118形成後に、先に記載の第1の加熱処理及び第2の加熱処理と同等の加熱処理(以下、第3の加熱処理とする)を行ってもよい。
第3の加熱処理を行うことで、絶縁膜116が有する酸素は、金属酸化物膜108、208中に移動し、金属酸化物膜108、208中の酸素欠損を補填する。
以上の工程で図1に示す表示装置を作製することができる。
<1−7.表示装置の作製方法2>
図4に示す表示装置の作製方法について説明する。図4に示す表示装置は、図1に示す表示装置と同様に、絶縁膜116まで形成する。次に、画素部において絶縁膜119を形成する。絶縁膜116上に感光性樹脂を塗布後、露光及び現像を行って、絶縁膜119を形成することができる。または、絶縁膜116上に非感光性樹脂を塗布後、焼成を行う。次に、レジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて焼成された非感光性樹脂をエッチングすることで、絶縁膜119を形成することができる。
次に、図1に示す表示装置と同様に、絶縁膜116及び絶縁膜119上に導電膜120a_1、220a_1を形成する。なお、導電膜120a_1を形成する際、絶縁膜114及び絶縁膜116に酸素を添加することが可能である。このため、トランジスタ100Aの金属酸化物膜108及びトランジスタ200Aの金属酸化物膜208の酸素欠損を低減することが可能である。
次に、絶縁膜116、絶縁膜119、導電膜120a_1、及び導電膜220a_1上に、絶縁膜118を形成する。なお、絶縁膜118が有する水素及び窒素のいずれか一方または双方が、導電膜120a_1、220a_1中に入り込む場合がある。この場合、導電膜120a_1、220a_1中の酸素欠損と、水素及び窒素のいずれか一方または双方が結合することで、導電膜120a_1、220a_1の抵抗が低くなる。これにより、抵抗が低減された導電膜120a、220aを形成することができる。なお、絶縁膜118に含まれる水素及び窒素のいずれか一方または双方が導電膜120a、220aに移動することで、導電膜120a、220aの水素濃度及び窒素濃度の一方または双方は、金属酸化物膜108、208より高い。
この後、絶縁膜118において、導電膜220aと重なる一部をエッチングしてもよい。
以上の工程により、図4に示す表示装置を作製することができる。
<1−8.表示装置の作製方法3>
図8に示す表示装置の作製方法について説明する。まず、基板102上に導電膜を形成し、該導電膜をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、トランジスタ100Aの第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104、トランジスタ200Aのゲート電極としての機能を有する導電膜204、及び容量配線205を形成する。次に、導電膜104上に第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成する。次に、絶縁膜106上に金属酸化物膜108、208、209を形成する(図11(A−1)、図11(B−1)参照)。なお、金属酸化物膜209_1、及び金属酸化物膜209_2により、島状の金属酸化物膜209が構成される。
なお、金属酸化物膜108、208、209を形成した後に、第1の加熱処理を行ってもよい。
次に、金属酸化物膜108上に導電膜112a及び導電膜112bを形成し、金属酸化物膜208上に導電膜212aを形成し、金属酸化物膜208、209上に導電膜212bを形成する(図11(A−2)、図11(B−2)参照)。
次に、金属酸化物膜108、208、209、及び導電膜112a、112b、212a、212b上に、絶縁膜114及び絶縁膜116を形成する(図12(A−1)、図12(B−1)参照)。なお、絶縁膜114及び絶縁膜116は、開口部117を有する。開口部117において、金属酸化物膜209が露出される。
次に、絶縁膜116上に導電膜120aを形成する。次に、絶縁膜114、絶縁膜116、導電膜120a、導電膜212b、金属酸化物膜209上に、絶縁膜118を形成する(図12(A−2)、図12(B−2)参照)。なお、絶縁膜118が有する水素及び窒素のいずれか一方または双方が、金属酸化物膜209中に入り込む場合がある。この場合、金属酸化物膜209中の酸素欠損と、水素及び窒素のいずれか一方または双方が結合することで、金属酸化物膜の抵抗が低減され、導電膜210となる。なお、導電膜210_1、及び導電膜210_2により、導電膜210が構成される。なお、絶縁膜118に含まれる水素及び窒素のいずれか一方または双方が導電膜210に移動することで、導電膜210の水素濃度及び窒素濃度の一方または双方は、金属酸化物膜108、208より高い。
この後、絶縁膜118において、導電膜210と重なる一部をエッチングしてもよい(図13(A−1)、図13(B−1)参照)。
以上の工程により、図8に示す表示装置を作製することができる。
なお、図12(A−2)、図12(B−2)に示す工程により、図10に示す表示装置を作製することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、本発明の一態様の金属酸化物膜について、図18乃至図20を用いて説明を行う。
<CAC−OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC構成を有する金属酸化物の詳細について説明する。ここでは、CAC構成を有する金属酸化物の代表例として、CAC−OSを用いて説明する。
つまり、CAC−OSとは、例えば、図3に示すように、金属酸化物を構成する元素が偏在することで、各元素を主成分とする領域001、及び領域002を形成し、各領域が、混合し、モザイク状に形成または分散される。つまり、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、0.5nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。
特定の元素が偏在した領域は、該元素が有する性質により、物理特性が決定する。例えば、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、絶縁体となる傾向がある元素が偏在した領域は、誘電体領域となる。一方、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、導体となる傾向がある元素が偏在した領域は、導電体領域となる。また、導電体領域、及び誘電体領域がモザイク状に混合することで、材料としては、半導体として機能する。
つまり、本発明の一態様における金属酸化物は、物理特性が異なる材料が混合した、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)の一種である。
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、元素M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)が含まれていてもよい。
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、及びZ2は0よりも大きい実数)とする。)などと、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、及びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、及びOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)O3(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該元素を主成分とするナノ粒子状領域が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
<CAC−OSの解析>
続いて、各種測定方法を用い、基板上に成膜した酸化物半導体について測定を行った結果について説明する。
≪試料の構成と作製方法≫
以下では、本発明の一態様に係る9個の試料について説明する。各試料は、それぞれ、酸化物半導体を成膜する際の基板温度、及び酸素ガス流量比を異なる条件で作製する。なお、試料は、基板と、基板上の酸化物半導体と、を有する構造である。
各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板として、ガラス基板を用いる。続いて、スパッタリング装置を用いて、ガラス基板上に酸化物半導体として、厚さ100nmのIn−Ga−Zn酸化物を形成する。成膜条件は、チャンバー内の圧力を0.6Paとし、ターゲットには、酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる。また、スパッタリング装置内に設置された酸化物ターゲットに2500WのAC電力を供給する。
なお、酸化物を成膜する際の条件として、基板温度を、意図的に加熱しない温度(以下、室温またはR.T.ともいう。)、130℃、または170℃とした。また、Arと酸素の混合ガスに対する酸素ガスの流量比(以下、酸素ガス流量比ともいう。)を、10%、30%、または100%とすることで、9個の試料を作製する。
≪X線回折による解析≫
本項目では、9個の試料に対し、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定を行った結果について説明する。なお、XRD装置として、Bruker社製D8 ADVANCEを用いた。また、条件は、Out−of−plane法によるθ/2θスキャンにて、走査範囲を15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.02deg.、走査速度を3.0deg./分とした。
図18にOut−of−plane法を用いてXRDスペクトルを測定した結果を示す。なお、図18において、上段には成膜時の基板温度条件が170℃の試料における測定結果、中段には成膜時の基板温度条件が130℃の試料における測定結果、下段には成膜時の基板温度条件がR.T.の試料における測定結果を示す。また、左側の列には酸素ガス流量比の条件が10%の試料における測定結果、中央の列には酸素ガス流量比の条件が30%の試料における測定結果、右側の列には酸素ガス流量比の条件が100%の試料における測定結果、を示す。
図18に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸素ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる。なお、2θ=31°付近のピークは、被形成面または上面に略垂直方向に対してc軸に配向した結晶性IGZO化合物(CAAC(c−axis aligned crystalline)−IGZOともいう。)であることに由来することが分かっている。
また、図18に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さいほど、明確なピークが現れなかった。従って、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい試料は、測定領域のa−b面方向、及びc軸方向の配向は見られないことが分かる。
≪電子顕微鏡による解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料を、HAADF(High−Angle Annular Dark Field)−STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)によって観察、及び解析した結果について説明する(以下、HAADF−STEMによって取得した像は、TEM像ともいう。)。
HAADF−STEMによって取得した平面像(以下、平面TEM像ともいう。)、及び断面像(以下、断面TEM像ともいう。)の画像解析を行った結果について説明する。なお、TEM像は、球面収差補正機能を用いて観察した。なお、HAADF−STEM像の撮影には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fを用いて、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
図19(A)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の平面TEM像である。図19(B)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面TEM像である。
≪電子線回折パターンの解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料に、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで、電子線回折パターンを取得した結果について説明する。
図19(A)に示す、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の平面TEM像において、黒点a1、黒点a2、黒点a3、黒点a4、及び黒点a5で示す電子線回折パターンを観察する。なお、電子線回折パターンの観察は、電子線を照射しながら0秒の位置から35秒の位置まで一定の速度で移動させながら行う。黒点a1の結果を図19(C)、黒点a2の結果を図19(D)、黒点a3の結果を図19(E)、黒点a4の結果を図19(F)、及び黒点a5の結果を図19(G)に示す。
図19(C)、図19(D)、図19(E)、図19(F)、及び図19(G)より、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測できる。
また、図19(B)に示す、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面TEM像において、黒点b1、黒点b2、黒点b3、黒点b4、及び黒点b5で示す電子線回折パターンを観察する。黒点b1の結果を図19(H)、黒点b2の結果を図19(I)、黒点b3の結果を図19(J)、黒点b4の結果を図19(K)、及び黒点b5の結果を図19(L)に示す。
図19(H)、図19(I)、図19(J)、図19(K)、及び図19(L)より、リング状に輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測できる。
ここで、例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる回折パターンが見られる。つまり、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、リング状の回折パターンが確認される。つまり、CAAC−OSは、a軸及びb軸は配向性を有さないことがわかる。
また、微結晶を有する酸化物半導体(nano crystalline oxide semiconductor。以下、nc−OSという。)に対し、大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。また、nc−OSに対し、小さいプローブ径の電子線(例えば50nm未満)を用いるナノビーム電子線回折を行うと、輝点(スポット)が観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域に複数の輝点が観測される場合がある。
成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の電子線回折パターンは、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点を有する。従って、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料は、電子線回折パターンが、nc−OSになり、平面方向、及び断面方向において、配向性は有さない。
以上より、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい酸化物半導体は、アモルファス構造の酸化物半導体膜とも、単結晶構造の酸化物半導体膜とも明確に異なる性質を有すると推定できる。
≪元素分析≫
本項目では、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用い、EDXマッピングを取得し、評価することによって、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の元素分析を行った結果について説明する。なお、EDX測定には、元素分析装置として日本電子株式会社製エネルギー分散型X線分析装置JED−2300Tを用いる。なお、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いる。
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る。本実施の形態では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出する。これを試料の分析対象領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得ることができる。
図20には、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面におけるEDXマッピングを示す。図20(A)は、Ga原子のEDXマッピング(全原子に対するGa原子の比率は1.18乃至18.64[atomic%]の範囲とする。)である。図20(B)は、In原子のEDXマッピング(全原子に対するIn原子の比率は9.28乃至33.74[atomic%]の範囲とする。)である。図20(C)は、Zn原子のEDXマッピング(全原子に対するZn原子の比率は6.69乃至24.99[atomic%]の範囲とする。)である。また、図20(A)、図20(B)、及び図20(C)は、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面において、同範囲の領域を示している。なお、EDXマッピングは、範囲における、測定元素が多いほど明るくなり、測定元素が少ないほど暗くなるように、明暗で元素の割合を示している。また、図20に示すEDXマッピングの倍率は720万倍である。
図20(A)、図20(B)、及び図20(C)に示すEDXマッピングでは、画像に相対的な明暗の分布が見られ、成膜時の基板温度R.T.、及び酸素ガス流量比10%で作製した試料において、各原子が分布を持って存在している様子が確認できる。ここで、図20(A)、図20(B)、及び図20(C)に示す実線で囲む範囲と破線で囲む範囲に注目する。
図20(A)では、実線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に明るい領域を多く含む。また、図20(B)では実線で囲む範囲は、相対的に明るい領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含む。
つまり、実線で囲む範囲はIn原子が相対的に多い領域であり、破線で囲む範囲はIn原子が相対的に少ない領域である。ここで、図20(C)では、実線で囲む範囲において、右側は相対的に明るい領域であり、左側は相対的に暗い領域である。従って、実線で囲む範囲は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1などが主成分である領域である。
また、実線で囲む範囲はGa原子が相対的に少ない領域であり、破線で囲む範囲はGa原子が相対的に多い領域である。図20(C)では、破線で囲む範囲において、左上の領域は、相対的に明るい領域であり、右下側の領域は、相対的に暗い領域である。従って、破線で囲む範囲は、GaOX3、またはGaX4ZnY4OZ4などが主成分である領域である。
また、図20(A)、図20(B)、及び図20(C)より、In原子の分布は、Ga原子よりも、比較的、均一に分布しており、InOX1が主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2が主成分となる領域を介して、互いに繋がって形成されているように見える。このように、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、クラウド状に広がって形成されている。
このように、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有するIn−Ga−Zn酸化物を、CAC−OSと呼称することができる。
また、CAC−OSにおける結晶構造は、nc構造を有する。CAC−OSが有するnc構造は、電子線回折像において、単結晶、多結晶、またはCAAC構造を含むIGZOに起因する輝点(スポット)以外にも、数か所以上の輝点(スポット)を有する。または、数か所以上の輝点(スポット)に加え、リング状に輝度の高い領域が現れるとして結晶構造が定義される。
また、図20(A)、図20(B)、及び図20(C)より、GaOX3などが主成分である領域、及びInX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域のサイズは、0.5nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下で観察される。なお、好ましくは、EDXマッピングにおいて、各元素が主成分である領域の径は、1nm以上2nm以下とする。
以上より、CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
<金属酸化物膜を有するトランジスタ>
次に、金属酸化物膜をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記金属酸化物膜をトランジスタに用いることで、キャリア移動度が高く、かつ、スイッチング特性が高いトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物膜は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
金属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、金属酸化物膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物膜中の不純物濃度を低減することが有効である。また、金属酸化物膜中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、金属酸化物膜中における各不純物の影響について説明する。
金属酸化物膜において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMSにより得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、金属酸化物膜にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている金属酸化物膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物膜中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物膜中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下とする。
また、金属酸化物膜において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、金属酸化物膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損(Vo)を形成する場合がある。該酸素欠損(Vo)に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
なお、金属酸化物膜中の酸素欠損(Vo)は、酸素を金属酸化物膜に導入することで、低減することができる。つまり、金属酸化物膜中の酸素欠損(Vo)に、酸素が補填されることで、酸素欠損(Vo)は消失する。従って、金属酸化物膜中に、酸素を拡散させることで、トランジスタの酸素欠損(Vo)を低減し、信頼性を向上させることができる。
なお、酸素を金属酸化物膜に導入する方法として、例えば、酸化物半導体に接して、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物を設けることができる。つまり、酸化物には、化学量論的組成よりも酸素が過剰に存在する領域(以下、過剰酸素領域ともいう)が形成されていることが好ましい。特に、トランジスタに金属酸化物膜を用いる場合、トランジスタ近傍の下地膜や、層間膜などに、過剰酸素領域を有する酸化物を設けることで、トランジスタの酸素欠損を低減し、信頼性を向上させることができる。
不純物が十分に低減された金属酸化物膜をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、表示素子として横電界モード(水平電界モードともいう)の液晶素子を用いる表示装置について、図21を用いて説明する。
図21は、横電界モードの液晶素子を用いる表示装置の製造工程を説明するフロー図である。なお、図21において、酸化物半導体(特に、CAC−OS)、低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly−Silicon))、または水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)を、トランジスタのチャネルに用いる場合の製造工程の一例を、それぞれ表している。
<3−1.CAC−OS>
CAC−OSをトランジスタに用いる場合について説明する。まず、スパッタリング装置(SP)にてゲート電極(GE:Gate Electrode)を形成する。なお、ゲート電極を加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート電極上にPECVD装置を用いて、ゲート絶縁膜(GI:Gate Insulator)を形成する。その後、ゲート絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、活性層となる酸化物半導体(OS)膜を形成する。なお、酸化物半導体膜を島状に加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート絶縁膜の一部を加工し、ゲート電極に達する開口部を形成する。なお、当該開口部を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート絶縁膜、及び酸化物半導体膜上にスパッタリング装置を用いて導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、ソース電極及びドレイン電極(S/D電極)を形成する。なお、ソース電極及びドレイン電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、酸化物半導体膜、ソース電極及びドレイン電極上に、PECVD装置を用いてパッシベーション膜を形成する。
次に、パッシベーション膜の一部を加工し、ソース電極及びドレイン電極に達する開口部を形成する。なお、当該開口部を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、パッシベーション膜に形成された開口部を覆うように、パッシベーション膜上にスパッタリング装置を用いて導電膜を形成し、当該導電膜を加工することでコモン電極を形成する。なお、コモン電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、パッシベーション膜、及びコモン電極上にPECVD装置を用いて、絶縁膜を形成する。その後、該絶縁膜の一部を開口しソース電極及びドレイン電極に達する開口部を形成する。なお、絶縁膜を形成する際(絶縁膜の一部に開口部を形成する際)に、マスクを1枚使用する。
次に、絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで画素電極を形成する。なお、画素電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
以上の工程で、横電界モードの液晶表示装置を作製することができる。なお、CAC−OSを用いる場合、横電界モードの液晶表示装置としては、マスク枚数が8枚となる。
<3−2.LTPS>
LTPSをトランジスタに用いる場合について説明する。まず、スパッタリング装置を用いて遮光膜を形成する。なお、遮光膜を加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、遮光膜上にPECVD装置を用いて、下地絶縁膜を形成する。その後、下地絶縁膜上にPECVD装置を用いて、活性層となるSiを形成する。その後、当該Siを結晶化させるために、エキシマレーザーアニール(ELA:Excimer Laser Annealing)を行う。また、ELA工程の後、活性層のSiは、結晶化シリコン(p−Si:poly−Silicon)となる。なお、ELAを大面積で行うには、大型の設備が必要である。また、ELA特有の線状のムラ等が発生する場合がある。
次に、p−Siを加工し島状にする。なお、p−Siを島状に加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、p−Si上にPECVD装置を用いて、ゲート絶縁膜(GI)を形成する。その後、ゲート絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、ゲート電極(GE)を形成する。なお、ゲート電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。また、ゲート電極を形成する際に、ゲート絶縁膜の一部も除去される。
次に、p−Si中にn+領域を形成するために、イオンドーピング(ID:Ion Doping)装置を用いて、不純物注入を行う。なお、n+領域を形成する際に、マスクを1枚使用する。次に、p−Si中にn−領域を形成するために、イオンドーピング装置を用いて、不純物注入を行う。なお、n−領域を形成する際には、マスクを用いず全面にドーピングを行う。次に、p−Si中にp+領域を形成するために、イオンドーピング装置を用いて、不純物注入を行う。なお、p+領域を形成するために、マスクを1枚使用する。
次に、熱活性化を行う。該熱活性化としては、アニール炉、RTA装置等を用いればよい。
次に、p−Si、及びゲート電極上にPECVD装置を用いて、層間絶縁膜を形成する。その後、当該層間絶縁膜、及びゲート絶縁膜の一部を加工し、n+領域及びp+領域に達する開口部を形成する。なお、当該開口部を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、開口部が形成された層間絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、ソース電極及びドレイン電極(S/D電極)を形成する。なお、ソース電極及びドレイン電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ソース電極及びドレイン電極上に、コーター装置を用いて平坦化絶縁膜を形成する。平坦化絶縁膜としては、例えば有機樹脂膜等を用いればよい。なお、平坦化絶縁膜を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、平坦化絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することでコモン電極を形成する。なお、コモン電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、コモン電極上にPECVD装置を用いて、絶縁膜を形成する。その後、該絶縁膜の一部を開口し、ソース電極及びドレイン電極に達する開口部を形成する。なお、絶縁膜を形成する際(絶縁膜の一部に開口部を形成する際)に、マスクを1枚使用する。
次に、絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで画素電極を形成する。なお、画素電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
以上の工程で、横電界モードの液晶表示装置を作製することができる。なお、LTPSを用いる場合、横電界モードの液晶表示装置としては、マスク枚数が11枚となる。
<3−3.a−Si:H>
a−Si:Hをトランジスタに用いる場合について説明する。まず、スパッタリング装置を用いて、ゲート電極(GE)を形成する。なお、ゲート電極を加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート電極上にPECVD装置を用いて、ゲート絶縁膜(GI)を形成する。その後、ゲート絶縁膜上にPECVD装置を用いて、活性層となるシリコン(Si)膜を形成する。なお、当該シリコン膜を島状に加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート絶縁膜の一部を加工し、ゲート電極に達する開口部を形成する。なお、当該開口部を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート絶縁膜上に、スパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで容量用電極を形成する。なお、容量用電極を加工する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ゲート絶縁膜、及びシリコン膜上にスパッタリング装置を用いて導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、ソース電極及びドレイン電極(S/D電極)を形成する。なお、ソース電極及びドレイン電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、ソース電極及びドレイン電極上にスパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することでコモン電極を形成する。なお、コモン電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
次に、コモン電極上にPECVD装置を用いて、絶縁膜を形成する。その後、該絶縁膜の一部を開口しソース電極及びドレイン電極に達する開口部を形成する。なお、絶縁膜を形成する際(絶縁膜の一部に開口部を形成する際)に、マスクを1枚使用する。
次に、絶縁膜上にスパッタリング装置を用いて、導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで画素電極を形成する。なお、画素電極を形成する際に、マスクを1枚使用する。
以上の工程で、横電界モードの液晶表示装置を作製することができる。なお、a−Si:Hを用いる場合、横電界モードの液晶表示装置としては、マスク枚数が8枚となる。
なお、CAC−OS、LTPS、及びa−Si:Hに示す各フローにおいて、コモン電極形成、コモン電極上の絶縁膜形成、及び画素電極形成としては、横電界モードの液晶表示装置に起因する工程のため、液晶素子として垂直電界モード(例えばVAモードなど)の液晶表示装置とする場合、または表示素子として有機EL素子を用いる場合においては、異なる工程とすればよい。
図21に示すように、横電界モードの液晶素子に用いるトランジスタとして、CAC−OSを用いることで、LTPSよりも製造プロセスを簡略化することができる。また、CAC−OSを用いたトランジスタは、a−Si:Hを用いたトランジスタと同等のマスク枚数で作製でき、かつ、s−Si:Hを用いたトランジスタよりも移動度が高い。したがって、CAC−OSを用いたトランジスタを用いることで、表示装置に駆動回路(ゲートドライバ、またはソースドライバ)の一部あるいは全部を実装することが可能となる。
ここで、各プロセスの特性を表1に示す。
表1に示すように、CAC−OSを用いることで、a−Si:Hと同等のマスク数で作製でき、且つa−Si:Hに比べ電気特性(電界効果移動度(単に移動度ともいう)、またはon/off比など)の性能が高い。よって、CAC−OSを用いることで、表示品位の高い表示装置にすることが可能となる。また、表1に示すように、CAC−OSは、LTPSと比較し、プロセス最高温度が低く、且つ、デバイスコスト、及びプラントコストが低い。したがって、製造コストが抑制された表示装置を実現することが可能となる。
なお、CAC−OSに代表される酸化物半導体を用いたトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタと比較し、1.オフ電流が低い、2.ショートチャネル効果が無いまたは極めて少ない、3.耐圧が高い、あるいは4.温度特性の変化が少ない、といった優れた効果を奏する。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタと同等のスイッチング速度、または同等の周波数特性(f特ともいう)を有するため、高速動作をさせることが可能である。したがって、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する表示装置は、表示品位が高く、高い信頼性を実現することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示したトランジスタを有する表示装置の一例について、図22乃至図28を用いて以下説明を行う。
図22は、表示装置の一例を示す上面図である。図22に示す表示装置700は、第1の基板701上に設けられた画素部702と、第1の基板701に設けられたソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706と、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を囲むように配置されるシール材712と、第1の基板701に対向するように設けられる第2の基板705と、を有する。なお、第1の基板701と第2の基板705は、シール材712によって貼り合わされている。すなわち、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706は、第1の基板701とシール材712と第2の基板705によって封止されている。なお、図22には図示しないが、第1の基板701と第2の基板705の間には表示素子が設けられる。
また、表示装置700は、第1の基板701上のシール材712によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706と、それぞれ電気的に接続されるFPC端子部708(FPC:Flexible printed circuit)が設けられる。また、FPC端子部708には、FPC716が接続され、FPC716によって画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706に各種信号等が供給される。また、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708には、信号線710が各々接続されている。FPC716により供給される各種信号等は、信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708に与えられる。
また、表示装置700にゲートドライバ回路部706を複数設けてもよい。また、表示装置700としては、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を画素部702と同じ第1の基板701に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部706のみを第1の基板701に形成しても良い、またはソースドライバ回路部704のみを第1の基板701に形成しても良い。この場合、ソースドライバ回路またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板701に形成する構成としても良い。なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法などを用いることができる。
また、表示装置700が有する画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706は、複数のトランジスタを有する。
また、表示装置700は、様々な素子を有することが出来る。該素子の一例としては、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子、LEDなど)、発光トランジスタ素子(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク素子、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ディスプレイ(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、デジタル・マイクロ・シャッター(DMS)素子)、圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。
また、EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)またはSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク素子または電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
なお、表示装置700における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素によって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、バックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色発光(W)を用いて表示装置をフルカラー表示させるために、着色層(カラーフィルタともいう。)を用いてもよい。着色層は、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、Wを、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
また、カラー化方式としては、上述の白色発光からの発光の一部をカラーフィルタを通すことで赤色、緑色、青色に変換する方式(カラーフィルタ方式)の他、赤色、緑色、青色の発光をそれぞれ用いる方式(3色方式)、または青色発光の一部を赤色や緑色に変換する方式(色変換方式、量子ドット方式)を適用してもよい。
本実施の形態においては、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、図23乃至図28を用いて説明する。なお、図23乃至図25及び図27は、図22に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子として液晶素子を用いた構成である。また、図26及び図28は、図22に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子としてEL素子を用いた構成である。
まず、図23乃至図28に示す共通部分について最初に説明し、次に異なる部分について以下説明する。
<4−1.表示装置の共通部分に関する説明>
図23乃至図28に示す表示装置700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。また、引き回し配線部711は、信号線710を有する。また、画素部702は、トランジスタ750及び容量素子(図示しない)を有する。また、ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、先に示すトランジスタ100Dと同様の構成である。ただし、トランジスタ750は、第2のゲート電極を有さない。なお、トランジスタ750及びトランジスタ752の構成については、先の実施の形態に示す、その他のトランジスタを用いてもよい。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した金属酸化物膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを液晶表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウエハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
また、図23乃至図28においては、画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752と、を同じ構造のトランジスタを用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、画素部702と、ソースドライバ回路部704とは、異なるトランジスタを用いてもよい。具体的には、画素部702にスタガ型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704に実施の形態1に示す逆スタガ型のトランジスタを用いる構成、あるいは画素部702に実施の形態1に示す逆スタガ型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にスタガ型のトランジスタを用いる構成などが挙げられる。なお、上記のソースドライバ回路部704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
また、信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極としての機能を有する導電膜と同じ工程を経て形成される。信号線710として、例えば、銅元素を含む材料を用いた場合、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となる。
また、FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。なお、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極としての機能を有する導電膜と同じ工程を経て形成される。また、接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して、電気的に接続される。
また、第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板を用いることができる。また、第1の基板701及び第2の基板705として、可撓性を有する基板を用いてもよい。該可撓性を有する基板としては、例えばプラスチック基板等が挙げられる。
また、第1の基板701と第2の基板705の間には、構造体778が設けられる。構造体778は、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いていても良い。
また、第2の基板705側には、ブラックマトリクスとしての機能を有する遮光膜738と、カラーフィルタとしての機能を有する着色膜736と、遮光膜738及び着色膜736に接する絶縁膜734が設けられる。
<4−2.液晶素子を用いる表示装置の構成例>
図23に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電膜772、導電膜774、及び液晶層776を有する。導電膜774は、第2の基板705側に設けられ、対向電極としての機能を有する。図23に示す表示装置700は、導電膜772と導電膜774に印加される電圧によって、液晶層776の配向状態が変わることで光の透過、非透過が制御され画像を表示することができる。
また、導電膜772は、トランジスタ750が有するソース電極及びドレイン電極としての機能を有する導電膜と電気的に接続される。導電膜772は、トランジスタ750のゲート絶縁膜上に形成される画素電極、すなわち表示素子の一方の電極としての機能を有する。また、導電膜772は、反射電極としての機能を有する。図23に示す表示装置700は、外光を利用し導電膜772で光を反射して着色膜736を介して表示する、所謂反射型のカラー液晶表示装置である。
導電膜772としては、可視光において透光性のある導電膜、または可視光において反射性のある導電膜を用いることができる。可視光において透光性のある導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。可視光において反射性のある導電膜としては、例えば、アルミニウム、または銀を含む材料を用いるとよい。本実施の形態においては、導電膜772として、可視光において、反射性のある導電膜を用いる。
なお、図24に示すように、画素部702において、平坦化膜としての機能を有する絶縁膜770が形成されてもよい。また、絶縁膜770上に導電膜772が形成される。また、導電膜772上に、開口部を有する絶縁膜735が形成される。
また、図23及び図24に示す表示装置700は、反射型のカラー液晶表示装置について例示したが、これに限定されない、例えば、導電膜772を可視光において、透光性のある導電膜を用いることで透過型のカラー液晶表示装置としてもよい。あるいは、反射型のカラー液晶表示装置と、透過型のカラー液晶表示装置と、を組み合わせた所謂半透過型のカラー液晶表示装置としてもよい。
ここで、透過型のカラー液晶表示装置の一例を図25に示す。図25は、図22に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子として液晶素子を用いた構成である。また、図25に示す表示装置700は、液晶素子の駆動方式として横電界方式(例えば、FFS(Fringe Field Switching)モード)を用いる構成の一例である。図25に示す構成の場合、画素電極としての機能を有する導電膜772上に絶縁膜773が設けられ、絶縁膜773上に導電膜774が設けられる。この場合、導電膜774は、共通電極(コモン電極ともいう)としての機能を有し、絶縁膜773を介して、導電膜772と導電膜774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
また、図23乃至図25において図示しないが、導電膜772または導電膜774のいずれか一方または双方に、液晶層776と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。また、図23乃至図25において図示しないが、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
表示素子として液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要である。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。また、ブルー相を示す液晶材料は、視野角依存性が小さい。
また、表示素子として液晶素子を用いる場合、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFSモード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。
<4−3.発光素子を用いる表示装置>
図26に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電膜772、EL層786、及び導電膜788を有する。図26に示す表示装置700は、発光素子782が有するEL層786が発光することによって、画像を表示することができる。なお、EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドット材料を用いてもよい。
また、図26に示す表示装置700には、トランジスタ750上に絶縁膜730が設けられる。絶縁膜730は、導電膜772の一部を覆う。なお、発光素子782はトップエミッション構造である。したがって、導電膜788は透光性を有し、EL層786が発する光を透過する。なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造について、例示するが、これに限定されない。例えば、導電膜772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造にも適用することができる。
また、発光素子782と重なる位置に、着色膜736が設けられ、絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に遮光膜738が設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、図23と同様に絶縁膜734で覆われていてもよい。また、発光素子782と着色膜736の間は封止膜732で充填されている。なお、図26に示す表示装置700においては、着色膜736を設ける構成について例示したが、これに限定されない。例えば、EL層786を塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
絶縁膜730としては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性を有する有機材料を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜730を形成してもよい。
<4−4.表示装置に入出力装置を設ける構成例>
また、図25及び図26に示す表示装置700に入出力装置を設けてもよい。当該入出力装置としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。
図25に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図27に示す。図26に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図28に示す。
図27は図25に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図であり、図28は図26に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図である。
まず、図27及び図28に示すタッチパネル791について、以下説明を行う。
図27及び図28に示すタッチパネル791は、第2の基板705と着色膜736との間に設けられる、所謂インセル型のタッチパネルである。タッチパネル791は、着色膜736を形成する前に、第2の基板705側に形成すればよい。
なお、タッチパネル791は、遮光膜738と、絶縁膜792と、電極793と、電極794と、絶縁膜795と、電極796と、絶縁膜797と、を有する。例えば、指やスタイラスなどの被検知体が近接することで、電極793と、電極794との間の容量の変化を検知することができる。
また、図27及び図28に示すトランジスタ750の上方においては、電極793と、電極794との交差部を明示している。電極796は、絶縁膜795に設けられた開口部を介して、電極794を挟む2つの電極793と電気的に接続されている。なお、図27及び図28においては、電極796が設けられる領域を画素部702に設ける構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ソースドライバ回路部704に形成してもよい。
電極793及び電極794は、遮光膜738と重なる領域に設けられる。また、図27に示すように、電極793は、液晶素子775と重ならないように設けられると好ましい。また、図28に示すように、電極793は、発光素子782と重ならないように設けられると好ましい。別言すると、電極793は、発光素子782及び液晶素子775と重なる領域に開口部を有する。すなわち、電極793はメッシュ形状を有する。このような構成とすることで、電極793は、発光素子782が射出する光を遮らない構成とすることができる。または、電極793は、液晶素子775を透過する光を遮らない構成とすることができる。したがって、タッチパネル791を配置することによる輝度の低下が極めて少ないため、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。なお、電極794も同様の構成とすればよい。
また、電極793及び電極794が発光素子782と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。または、電極793及び電極794が液晶素子775と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。
そのため、可視光の透過率が高い酸化物材料を用いた電極と比較して、電極793及び電極794の抵抗を低くすることが可能となり、タッチパネルのセンサ感度を向上させることができる。
例えば、電極793、794、796には、導電性のナノワイヤを用いてもよい。当該ナノワイヤは、直径の平均値が1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上25nm以下の大きさとすればよい。また、上記ナノワイヤとしては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、またはAlナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、あるいは、カーボンナノチューブなどを用いればよい。例えば、電極793、794、796のいずれか一つあるいは全部にAgナノワイヤを用いる場合、可視光における光透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/□以上100Ω/□以下とすることができる。
また、図27及び図28においては、インセル型のタッチパネルの構成について例示したが、これに限定されない。例えば、表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネルや、表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルとしてもよい。
このように、本発明の一態様の表示装置は、様々な形態のタッチパネルと組み合わせて用いることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について、図29を用いて説明を行う。
<表示装置の回路構成>
図29(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図29(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図29(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図29(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
また、図29(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図29(B)に示す構成とすることができる。
図29(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を備える表示装置の駆動方法としては、TNモード、STNモード、VAモード、ASMモード、OCBモード、FLCモード、AFLCモード、MVAモード、PVAモード、IPSモード、FFSモード、またはTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図29(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図29(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図29(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図29(C)に示す構成とすることができる。
また、図29(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信号線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図29(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図29(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
図30は、表示装置800の構成例を示すブロック図である。表示装置800は、表示ユニット810、タッチセンサユニット820、コントローラIC815、ホスト840を有する。また、表示装置800は必要に応じて光センサ843及び開閉センサ844を有してもよい。表示ユニット810は、画素部502、ゲートドライバ504a及びソースドライバ504bを有する。
<<コントローラIC>>
図30において、コントローラIC815は、インタフェース850、フレームメモリ851、デコーダ852、センサコントローラ853、コントローラ854、クロック生成回路855、画像処理部860、メモリ870、タイミングコントローラ873、レジスタ875及びタッチセンサコントローラ884を有する。
コントローラIC815とホスト840との通信は、インタフェース850を介して行われる。ホスト840からは、画像データ、各種制御信号等がコントローラIC815に送られる。また、コントローラIC815からは、タッチセンサコントローラ884が取得したタッチ位置などの情報が、ホスト840に送られる。なお、コントローラIC815が有するそれぞれの回路は、ホスト840の規格、表示装置800の仕様等によって、適宜取捨される。
フレームメモリ851は、コントローラIC815に入力された画像データを保存するためのメモリである。ホスト840から圧縮された画像データが送られる場合、フレームメモリ851は、圧縮された画像データを格納することが可能である。デコーダ852は、圧縮された画像データを伸長するための回路である。画像データを伸長する必要がない場合、デコーダ852は処理を行わない。または、デコーダ852を、フレームメモリ851とインタフェース850との間に、配置することもできる。
画像処理部860は、画像データに対して各種画像処理を行う機能を有する。例えば、画像処理部860は、ガンマ補正回路861、調光回路862、調色回路863を有する。
また、表示装置800の表示素子として、有機ELまたはLEDなど、電流が流れることで発光する表示素子が用いられる場合、画像処理部860は補正回路864を備えてもよい。この場合、ソースドライバ504bは表示素子に流れる電流を検出するための回路を備えることが好ましい。補正回路864は、ソースドライバ504bから送られてくる信号に基づいて、表示素子の輝度を調節する機能を有する。
画像処理部860で処理された画像データは、メモリ870を経て、ソースドライバ504bに出力される。メモリ870は、画像データを一時的に格納するためのメモリである。ソースドライバ504bは、入力された画像データを処理し、画素部502のソース線に書き込む機能をもつ。なお、ソースドライバ504bの数は限定されず、画素部502の画素数に応じて、必要なだけ設ければよい。
タイミングコントローラ873は、ソースドライバ504b、タッチセンサコントローラ884、ゲートドライバ504aで使用するタイミング信号を生成する機能を有する。
タッチセンサコントローラ884は、タッチセンサユニット820の駆動回路を制御する機能をもつ。タッチセンサユニット820から読み出されたタッチ情報を含む信号は、タッチセンサコントローラ884で処理され、インタフェース850を介して、ホスト840に送出される。ホスト840は、タッチ情報を反映した画像データを生成し、コントローラIC815に送出する。なお、コントローラIC815で、画像データにタッチ情報を反映する構成も可能である。
クロック生成回路855は、コントローラIC815で使用されるクロック信号を生成する機能を有する。コントローラ854は、インタフェース850を介してホスト840から送られる各種制御信号を処理し、コントローラIC815内の各種回路を制御する機能を有する。また、コントローラ854は、コントローラIC815内の各種回路への電源供給を制御する機能を有する。以下、使われていない回路への電源供給を一時的に遮断することを、パワーゲーティングと呼ぶ。なお、図30では、電源供給線は省略している。
レジスタ875は、コントローラIC815の動作に用いられるデータを格納する。レジスタ875が格納するデータには、画像処理部860が補正処理を行うために使用するパラメータ、タイミングコントローラ873が各種タイミング信号の波形生成に用いるパラメータなどがある。レジスタ875は、複数のレジスタで構成されるスキャンチェーンレジスタを備える。
センサコントローラ853には、光センサ843が電気的に接続されている。光センサ843は、光845を検知し、検知信号を生成する。センサコントローラ853は、検知信号を基に、制御信号を生成する。センサコントローラ853で生成される制御信号は、例えば、コントローラ854に出力される。
光センサ843及びセンサコントローラ853を用いて測定した光845の明るさに応じて、画像処理部860は画素の輝度を調整することができる。つまり、光845の明るさが暗い環境においては、画素の輝度を低くすることでまぶしさを減少し、消費電力を低減することができる。また、光845の明るさが明るい環境においては、画素の輝度を高くすることで、視認性に優れた表示品質を得ることができる。これらの調整は、使用者の設定した輝度を中心に行ってもよい。ここでは、当該調整を調光、あるいは調光処理と呼ぶ。また、当該処理を実行する回路を調光回路と呼ぶ。
また、光センサ843及びセンサコントローラ853に、光845の色調を測定する機能を追加し、色調を補正することができる。例えば、夕暮れ時の赤みがかった環境においては、表示装置800の使用者の目は色順応をおこし、赤みがかった色を白と感じるようになる。この場合、表示装置800の表示は青白く見えてしまうため、表示装置800のR(赤)成分を強調することで、色調を補正することができる。ここでは、当該補正を調色、あるいは調色処理と呼ぶ。また、当該処理を実行する回路を調色回路と呼ぶ。
画像処理部860は、表示装置800の仕様によって、RGB−RGBW変換回路など、他の処理回路を有している場合がある。RGB−RGBW変換回路とは、RGB(赤、緑、青)画像データを、RGBW(赤、緑、青、白)画像データに変換する機能をもつ回路である。すなわち、表示装置800がRGBW4色の画素を有する場合、画像データ内のW(白)成分を、W(白)画素を用いて表示することで、消費電力を低減することができる。なお、表示装置800がRGBY(赤、緑、青、黄)の4色の画素を有する場合、例えば、RGB−RGBY変換回路を用いることができる。
<パラメータ>
ガンマ補正、調光、調色などの画像補正処理は、入力の画像データXに対して出力の補正データYを作成する処理に相当する。画像処理部860が使用するパラメータは、画像データXを、補正データYに変換するためのパラメータである。
パラメータの設定方式には、テーブル方式、関数近似方式がある。図31(A)に示すテーブル方式では、画像データXnに対して、補正データYnをパラメータとしてテーブルに格納される。テーブル方式では、当該テーブルに対応するパラメータを格納するレジスタを多数必要とするが、補正の自由度が高い。一方、あらかじめ経験的に画像データXに対する補正データYを決められる場合には、図31(B)のように、関数近似方式を採用する構成が有効である。a1、a2、b2等がパラメータである。ここで、区間毎に線形近似する方法を示しているが、非線形関数で近似する方法も可能である。関数近似方式では、補正の自由度は低いが、関数を定義するパラメータを格納するレジスタが少なくて済む。
タイミングコントローラ873が使用するパラメータは、例えば、図31(C)に示すように、タイミングコントローラ873の生成信号が、基準信号に対して“L”(または“H”)となるタイミングを示すものである。パラメータRa(またはRb)は、基準信号に対して“L”(または“H”)となるタイミングが、クロック何周期分であるかを示している。
上記、補正のためのパラメータは、レジスタ875に格納することができる。また、上記以外にレジスタ875に格納できるパラメータとしては、表示装置800の輝度、色調、省エネルギー設定(表示を暗くする、または表示を消す、までの時間)、タッチセンサコントローラ884の感度などがある。
<パワーゲーティング>
コントローラ854は、ホスト840から送られる画像データに変化がない場合、コントローラIC815内の一部回路をパワーゲーティングすることができる。具体的には、例えば、領域890内の回路(フレームメモリ851、デコーダ852、画像処理部860、メモリ870、タイミングコントローラ873、レジスタ875)を一時的に停止することができる。ホスト840から画像データに変化がないことを示す制御信号をコントローラIC815に送信し、当該制御信号をコントローラ854で検出した場合にパワーゲーティングする構成が可能である。
画像データに変化がない場合でも、例えば、コントローラ854にタイマ機能を組み込むことで、タイマで測定した時間に基づいて、領域890内の回路への電源供給を再開するタイミングを決定してもよい。
なお、上記パワーゲーティングは、領域890内の回路に加えて、ソースドライバ504bに対して行ってもよい。
なお、図30の構成において、ソースドライバ504bをコントローラIC815に含めてもよい。すなわち、ソースドライバ504b及びコントローラIC815を、同一のチップ上に形成してもよい。
以下、フレームメモリ851、レジスタ875の具体的な回路構成例を説明する。
<フレームメモリ851>
図32(A)に、フレームメモリ851の構成例を示す。フレームメモリ851は、制御部902、セルアレイ903、周辺回路908を有する。周辺回路908は、センスアンプ回路904、ドライバ905、メインアンプ906、入出力回路907を有する。
制御部902は、フレームメモリ851を制御する機能を有する。例えば、制御部902は、ドライバ905、メインアンプ906、及び入出力回路907を制御する。
ドライバ905には、複数の配線WL、CSELが電気的に接続されている。ドライバ905は、複数の配線WL、CSELに出力する信号を生成する。
セルアレイ903は、複数のメモリセル909を有する。メモリセル909は、配線WL、LBL(またはLBLB)、BGLに、電気的に接続されている。配線WLはワード線であり、配線LBL、LBLBは、ローカルビット線である。図32(A)の例では、セルアレイ903の構成は、折り返しビット線方式であるが、開放ビット線方式とすることもできる。
図32(B)に、メモリセル909の構成例を示す。メモリセル909は、トランジスタNW1、容量素子CS1を有する。メモリセル909は、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)のメモリセルと同様の回路構成を有する。ここでは、トランジスタNW1はバックゲートをもつトランジスタである。トランジスタNW1のバックゲートは、配線BGLに電気的に接続されている。配線BGLには、電圧Vbg_w1が入力される。
トランジスタNW1は、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)である。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、OSトランジスタでメモリセル909を構成することで、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えられるため、フレームメモリ851のリフレッシュ動作の頻度を低減できる。また、電源供給が遮断されても、フレームメモリ851は長時間画像データを保持することが可能である。また、電圧Vbg_w1を負電圧にすることで、トランジスタNW1の閾値電圧を正電位側にシフトさせることができ、メモリセル909の保持時間を長くすることができる。
ここでいう、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態のときにソースとドレインとの間に流れる電流をいう。トランジスタがnチャネル型である場合、例えば、しきい値電圧が0V乃至2V程度であれば、ソースに対するゲートの電圧が負の電圧であるときの、ソースとドレインとの間に流れる電流をオフ電流と呼ぶことができる。また、オフ電流が極めて小さいとは、例えば、チャネル幅1μmあたりのオフ電流が100zA(z;ゼプト、10−21)以下であることをいう。オフ電流は小さいほど好ましいため、この規格化されたオフ電流が10zA/μm以下、あるいは1zA/μm以下とすることが好ましく、10yA/μm(y;ヨクト、10−24)以下であることがより好ましい。
セルアレイ903が有する複数のメモリセル909の、トランジスタNW1はOSトランジスタであるため、その他の回路のトランジスタは、例えば、シリコンウエハに作製されるSiトランジスタとすることができる。これにより、セルアレイ903をセンスアンプ回路904に積層して設けることができる。よって、フレームメモリ851の回路面積を縮小でき、コントローラIC815の小型化につながる。
セルアレイ903は、センスアンプ回路904に積層して設けられている。センスアンプ回路904は、複数のセンスアンプSAを有する。センスアンプSAは隣接する配線LBL、LBLB(ローカルビット線対)、配線GBL、GBLB(グローバルビット線対)、複数の配線CSELに電気的に接続されている。センスアンプSAは、配線LBLと配線LBLBとの電位差を増幅する機能を有する。
センスアンプ回路904には、4本の配線LBLに対して1本の配線GBLが設けられ、4本の配線LBLBに対して1本の配線GBLBが設けられているが、センスアンプ回路904の構成は、図32(A)の構成例に限定されない。
メインアンプ906は、センスアンプ回路904及び入出力回路907に接続されている。メインアンプ906は、配線GBLと配線GBLBの電位差を増幅する機能を有する。メインアンプ906は省略することができる。
入出力回路907は、書き込みデータに対応する電位を配線GBLと配線GBLB、またはメインアンプ906に出力する機能、配線GBLと配線GBLBの電位、またはメインアンプ906の出力電位を読み出し、データとして外部に出力する機能を有する。配線CSELの信号によって、データを読み出すセンスアンプSA、及びデータを書き込むセンスアンプSAを選択することができる。よって、入出力回路907は、マルチプレクサなどの選択回路が不要であるため、回路構成を簡単化でき、占有面積を縮小することができる。
<レジスタ875>
図33は、レジスタ875の構成例を示すブロック図である。レジスタ875は、スキャンチェーンレジスタ部875A、及びレジスタ部875Bを有する。スキャンチェーンレジスタ部875Aは、複数のレジスタ930を有する。複数のレジスタ930によって、スキャンチェーンレジスタが構成されている。レジスタ部875Bは、複数のレジスタ931を有する。
レジスタ930は、電源供給が遮断された状態でもデータが消失しない不揮発性レジスタである。レジスタ930を不揮発化するため、ここでは、レジスタ930は、OSトランジスタを用いた保持回路を備えている。
他方、レジスタ931は揮発性レジスタである。レジスタ931の回路構成には特段の制約はなく、データを記憶することが可能な回路であればよく、ラッチ回路、フリップフロップ回路などで構成すればよい。画像処理部860、及びタイミングコントローラ873は、レジスタ部875Bにアクセスし、対応するレジスタ931からデータを取り込む。あるいは、画像処理部860、及びタイミングコントローラ873は、レジスタ部875Bから供給されるデータにしたがって、処理内容が制御される。
レジスタ875に格納しているデータを更新する場合、まず、スキャンチェーンレジスタ部875Aのデータを変更する。スキャンチェーンレジスタ部875Aの各レジスタ930のデータを書き換えた後、スキャンチェーンレジスタ部875Aの各レジスタ930のデータを、レジスタ部875Bの各レジスタ931に一括してロードする。
これにより、画像処理部860、及びタイミングコントローラ873等は、一括して更新されたデータを使用して、各種処理を行うことができる。データの更新に同時性が保たれるため、コントローラIC815の安定した動作を実現できる。スキャンチェーンレジスタ部875Aとレジスタ部875Bとを備えることで、画像処理部860、及びタイミングコントローラ873が動作中でも、スキャンチェーンレジスタ部875Aのデータを更新することができる。
コントローラIC815のパワーゲーティング実行時には、レジスタ930において、保持回路にデータを格納(セーブ)してから電源供給を遮断する。電源復帰後、レジスタ930のデータをレジスタ931に復帰(ロード)して通常動作を再開する。なお、レジスタ930に格納されているデータとレジスタ931に格納されているデータとが整合しない場合は、レジスタ931のデータをレジスタ930にセーブした後、あらためて、レジスタ930の保持回路にデータを格納する構成が好ましい。データが整合しない場合としては、スキャンチェーンレジスタ部875Aに更新データを挿入中などが挙げられる。
図34に、レジスタ930、レジスタ931の回路構成の一例を示す。図34には、スキャンチェーンレジスタ部875Aの2段分のレジスタ930と、これらレジスタ930に対応する2個のレジスタ931を示している。レジスタ930は、信号Scan Inが入力され、信号Scan Outを出力する。
レジスタ930は、保持回路947、セレクタ948、フリップフロップ回路949を有する。セレクタ948とフリップフロップ回路949とでスキャンフリップフロップ回路が構成されている。セレクタ948には、信号SAVE1が入力される。
保持回路947には、信号SAVE2、LOAD2が入力される。保持回路947は、トランジスタT1乃至T6、容量素子C4、C6を有する。トランジスタT1、T2はOSトランジスタである。トランジスタT1、T2を、メモリセル909のトランジスタNW1(図32(B)参照)と同様に、バックゲート付きのOSトランジスタとしてもよい。
トランジスタT1、T3、T4及び容量素子C4により、3トランジスタ型のゲインセルが構成される。同様に、トランジスタT2、T5、T6及び容量素子C6により、3トランジスタ型のゲインセルが構成される。2個のゲインセルによって、フリップフロップ回路949が保持する相補データを記憶する。トランジスタT1、T2がOSトランジスタであるので、保持回路947は、電源供給が遮断された状態でも長時間データを保持することが可能である。レジスタ930において、トランジスタT1、T2以外のトランジスタはSiトランジスタで構成すればよい。
保持回路947は、信号SAVE2に従い、フリップフロップ回路949が保持する相補データを格納し、信号LOAD2に従い、保持しているデータをフリップフロップ回路949にロードする。
フリップフロップ回路949の入力端子には、セレクタ948の出力端子が電気的に接続され、データ出力端子には、レジスタ931の入力端子が電気的に接続されている。フリップフロップ回路949は、インバータ950乃至955、アナログスイッチ957、958を有する。アナログスイッチ957、958の導通状態は、スキャンクロック(Scan Clockと表記)信号によって制御される。フリップフロップ回路949は、図34の回路構成に限定されず、様々なフリップフロップ回路949を適用することができる。
セレクタ948の2個の入力端子の一方には、レジスタ931の出力端子が電気的に接続され、他方には、前段のフリップフロップ回路949の出力端子が電気的に接続されている。なお、スキャンチェーンレジスタ部875Aの初段のセレクタ948の入力端子は、レジスタ875の外部からデータが入力される。
レジスタ931は、インバータ961乃至963、クロックドインバータ964、アナログスイッチ965、バッファ966を有する。レジスタ931は信号LOAD1に基づいて、フリップフロップ回路949のデータをロードする。レジスタ931のトランジスタはSiトランジスタで構成すればよい。
<<動作例>>
表示装置800に関するコントローラIC815とレジスタ875の動作例について、出荷前と、表示装置800を有する電子機器の起動時、及び通常動作時に分けて説明する。
<出荷前>
出荷前には、表示装置800の仕様等に関するパラメータを、レジスタ875に格納する。これらのパラメータには、例えば、画素数、タッチセンサ数、タイミングコントローラ873が各種タイミング信号の波形生成に用いるパラメータ等がある。また、画像処理部860が補正回路864を備えている場合、その補正データもパラメータとしてレジスタ875に格納される。これらのパラメータは、レジスタ875以外に、専用のROMを設けて格納してもよい。
<起動時>
表示装置800を有する電子機器の起動時には、ホスト840より送られる使用者設定等のパラメータを、レジスタ875に格納する。これらのパラメータには、例えば、表示の輝度や色調、タッチセンサの感度、省エネルギー設定(表示を暗くする、または表示を消す、までの時間)、また、ガンマ補正のカーブやテーブル等がある。なお、当該パラメータをレジスタ875に格納する際、コントローラ854からレジスタ875にスキャンクロック信号及び当該スキャンクロック信号に同期して当該パラメータに相当するデータが送信される。
<通常動作>
通常動作には、動画等を表示している状態、静止画を表示中でIDS駆動が可能な状態、表示を行わない状態等に分けられる。動画等を表示している状態は、画像処理部860、及びタイミングコントローラ873等は動作中であるが、レジスタ875のデータ変更は、スキャンチェーンレジスタ部875Aに対して行われるため、画像処理部860等への影響はない。スキャンチェーンレジスタ部875Aのデータ変更が終わった後、スキャンチェーンレジスタ部875Aのデータをレジスタ部875Bへ一括してロードすることで、レジスタ875のデータ変更が完了する。また、画像処理部860等は当該データに対応した動作に切り替わる。
静止画を表示中でIDS駆動が可能な状態では、レジスタ875は、例えば、領域890内の他の回路と同様、パワーゲーティングすることができる。この場合、パワーゲーティングの前に、スキャンチェーンレジスタ部875Aが有するレジスタ930内では、信号SAVE2に従い、フリップフロップ回路949が保持する相補データを保持回路947に格納する作業が行われる。
パワーゲーティングから復帰する際は、信号LOAD2に従い、保持回路947が保持しているデータをフリップフロップ回路949にロードし、信号LOAD1に従い、フリップフロップ回路949のデータをレジスタ931にロードする。このようにして、パワーゲーティング前と同じ状態で、レジスタ875のデータは有効となる。なお、パワーゲーティングの状態であっても、ホスト840よりレジスタ875のパラメータ変更要求があった場合、レジスタ875のパワーゲーティングを解除し、パラメータを変更することができる。
表示を行わない状態では、例えば、領域890内の回路(レジスタ875を含む)は、パワーゲーティングすることができる。この場合、ホスト840も停止することがあるが、フレームメモリ851及びレジスタ875は不揮発性であるので、パワーゲーティングから復帰する際には、ホスト840の復帰を待たずに、パワーゲーティング前の表示(静止画)を行うことができる。
例えば、折りたたみ式の情報端末の表示部に表示装置800を適用する場合、開閉センサ844の信号によって、情報端末が折りたたまれ、表示装置800の表示面が使用されないことが検出されたとき、領域890内の回路に加えて、センサコントローラ853、及びタッチセンサコントローラ884等をパワーゲーティングすることができる。
情報端末が折りたたまれたとき、ホスト840の規格によっては、ホスト840が停止する場合がある。ホスト840が停止した状態で、情報端末が再び展開されても、フレームメモリ851及びレジスタ875は不揮発性であるので、ホスト840から画像データ、各種制御信号等が送られる前に、フレームメモリ851内の画像データを表示することができる。
このように、レジスタ875はスキャンチェーンレジスタ部875Aとレジスタ部875Bを有し、スキャンチェーンレジスタ部875Aに対してデータ変更を行うことで、画像処理部860及びタイミングコントローラ873等へ影響を与えることなく、スムーズなデータ変更を行うことができる。また、スキャンチェーンレジスタ部875Aの各レジスタ930は、保持回路947を有し、パワーゲーティング状態への移行と復帰をスムーズに行うことができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を有する表示モジュール及び電子機器について、図35乃至図37を用いて説明を行う。
<7−1.表示モジュール>
図35は、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール7000の断面概略図である。図35に示す表示モジュール7000は、上部カバー7001と下部カバー7002との間に、FPCに接続された表示パネル7006、バックライト(図示しない)、フレーム7009、プリント基板7010、バッテリ7011を有する。
本発明の一態様の表示装置は、例えば、表示パネル7006に用いることができる。
上部カバー7001及び下部カバー7002は、表示パネル7006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
なお、図示しないが、バックライトは、光源を有する。バックライト上に光源を配置する構成、バックライトの端部に光源を配置し、さらに光拡散板を用いる構成とすることができる。なお、有機EL素子等の自発光型の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライトを設けない構成としてもよい。
フレーム7009は、表示パネル7006の保護機能の他、プリント基板7010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム7009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板7010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ7011による電源であってもよい。バッテリ7011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール7000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
表示モジュール7000は、プリント基板7010に設けられた発光部7015及び受光部7016を有する。また、上部カバー7001と下部カバー7002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部7017a、導光部7017b)を有する。
上部カバー7001と下部カバー7002は、例えばプラスチック等を用いることができる。また、上部カバー7001と下部カバー7002とは、それぞれ薄く(例えば0.5mm以上5mm以下)することが可能である。そのため、表示モジュール7000を極めて軽量にすることが可能となる。また少ない材料で上部カバー7001と下部カバー7002を作製できるため、作製コストを低減できる。
表示パネル7006は、フレーム7009を間に介してプリント基板7010やバッテリ7011と重ねて設けられている。表示パネル7006とフレーム7009は、導光部7017a、導光部7017bに固定されている。
発光部7015から発せられた光7018は、導光部7017aにより表示パネル7006の上部を経由し、導光部7017bを通って受光部7016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光7018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
発光部7015は、例えば表示パネル7006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部7016は、発光部7015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
発光部7015は、例えばLED素子などの光源を用いることができる。特に、発光部7015として、使用者に視認されず、且つ使用者にとって無害である赤外線を発する光源を用いることが好ましい。
受光部7016は、発光部7015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
導光部7017a、導光部7017bとしては、少なくとも光7018を透過する部材を用いることができる。導光部7017a及び導光部7017bを用いることで、発光部7015と受光部7016とを表示パネル7006の下側に配置することができ、外光が受光部7016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いることが好ましい。これにより、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
なお、図35では、光学式のタッチセンサを有する表示モジュールを示したが、適宜抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル7006に重畳してもよい。また、表示パネル7006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル7006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
<7−2.電子機器1>
次に、図36(A)乃至図36(E)に電子機器の一例を示す。
図36(A)は、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体が一体となっていてもよい。
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像することも可能である。
カメラ8000の筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントを有しており、ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該マウントには電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
なお、図36(A)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、表示装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
図36(B)は、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点を入力手段として用いることができる。
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させてもよい。
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図36(C)(D)(E)は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると好適である。表示部8302を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。なお、本実施の形態においては、表示部8302を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部8302を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者の片方の目に1つの表示部が配置されるような構成とすると、視差を用いた3次元表示等を行うことも可能となる。
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、極めて精細度が高いため、図36(E)のようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
<7−3.電子機器2>
次に、図36(A)乃至図36(E)に示す電子機器と、異なる電子機器の一例を図37(A)乃至図37(G)に示す。
図37(A)乃至図37(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図37(A)乃至図37(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図37(A)乃至図37(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図37(A)乃至図37(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
次に、電子機器を用いた放送システムについて説明する。ここでは、特に、放送信号を送信する側のシステムについて説明する。
<7−4.放送システム>
図38は、放送システムの構成例を模式的に示すブロック図である。放送システム1500は、カメラ1510、送信装置1511、電子機器システム1501を有する。電子機器システム1501は、受信装置1512、表示装置1513を有する。カメラ1510はイメージセンサ1520、画像処理装置1521を有する。送信装置1511は、エンコーダ1522及び変調器1523を有する。
受信装置1512と、表示装置1513と、は、電子機器システム1501が有するアンテナと、復調器と、デコーダと、論理回路と、画像処理装置と、ディスプレイユニットと、によって構成されている。具体的には、一例として、受信装置1512は、アンテナと、復調器と、デコーダと、論理回路と、を有し、表示装置1513は、画像処理装置と、ディスプレイユニットと、を有する。また、受信装置1512が、デコーダと、論理回路と、を有さず、表示装置1513が、デコーダと、論理回路と、を有する構成としてもよい。
カメラ1510が8K映像を撮影が可能である場合、イメージセンサ1520は、8Kのカラー画像を撮像可能な画素数を有する。例えば、1画素が1の赤用(R)サブ画素、2の緑用(G)サブ画素、及び1の青用(B)サブ画素でなる場合、イメージセンサ1520には、少なくとも7680×4320×4[R、G+G、B]の画素が必要となり、また、4K用のカメラであれば、イメージセンサ1520の画素数は、少なくとも3840×2160×4の画素が必要であり、2K用のカメラであれば、画素数は、少なくとも1920×1080×4の画素が必要である。
イメージセンサ1520は未加工のRawデータ1540を生成する。画像処理装置1521は、Rawデータ1540に画像処理(ノイズ除去、補間処理など)を施し、映像データ1541を生成する。映像データ1541は送信装置1511に出力される。
送信装置1511は、映像データ1541を処理して、放送帯域に適合する放送信号1543を生成する(放送信号を搬送波という場合がある)。エンコーダ1522は映像データ1541を処理し、符号化データ1542を生成する。エンコーダ1522は、映像データ1541を符号化する処理、映像データ1541に放送制御用データ(例えば認証用のデータ)を付加する処理、暗号化処理、スクランブル処理(スペクトラム拡散のためのデータ並び替え処理)等を行う。
変調器1523は符号化データ1542をIQ変調(直交位相振幅変調)することで、放送信号1543を生成し、出力する。放送信号1543は、I(同位相)成分とQ(直交成分)成分の情報を持つ複合信号である。TV放送局は、映像データ1541の取得、及び放送信号1543の供給を担う。
放送信号1543は、電子機器システム1501が有する受信装置1512で受信される。
図39に、別の電子機器システムを有する放送システム1500Aを示す。
放送システム1500Aは、カメラ1510、送信装置1511、電子機器システム1501A、画像生成装置1530を有する。電子機器システム1501Aは、受信装置1512、表示装置1513を有する。カメラ1510はイメージセンサ1520、画像処理装置1521を有する。送信装置1511は、エンコーダ1522A、エンコーダ1522B、及び変調器1523を有する。
受信装置1512と、表示装置1513と、は、電子機器システム1501Aが有するアンテナと、復調器と、デコーダと、画像処理装置と、ディスプレイユニットと、によって構成されている。具体的には、一例として、受信装置1512は、アンテナと、復調器と、デコーダと、を有し、表示装置1513は、画像処理装置と、ディスプレイユニットと、を有する。また、受信装置1512が、デコーダを有さず、表示装置1513が、デコーダを有する構成としてもよい。
カメラ1510と、カメラ1510が有するイメージセンサ1520、及び画像処理装置1521と、については、上述の説明を参照する。画像処理装置1521は、映像データ1541Aを生成する。映像データ1541Aは、送信装置1511に出力される。
画像生成装置1530は、画像処理装置1521で生成した画像データに付加する文字や図形、模様などの画像データを生成する装置である。文字や図形、模様などの画像データは、映像データ1541Bとして送信装置1511に送られる。
送信装置1511は、映像データ1541A及び映像データ1541Bを処理して、放送帯域に適合する放送信号1543を生成する(放送信号を搬送波という場合がある)。エンコーダ1522Aは映像データ1541Aを処理し、符号化データ1542Aを生成する。また、エンコーダ1522Bは映像データ1541Bを処理し、符号化データ1542Bを生成する。エンコーダ1522A、及びエンコーダ1522Bは、映像データ1541A、及び映像データ1541Bのそれぞれを符号化する処理、映像データ1541A及び映像データ1541Bに放送制御用データ(例えば認証用のデータ)を付加する処理、暗号化処理、スクランブル処理(スペクトラム拡散のためのデータ並び替え処理)等を行う。
なお、放送システム1500Aは、映像データ1541A及び映像データ1541Bを、図38に示す放送システム1500のとおり1つのエンコーダで処理を行う構成としてもよい。
符号化データ1542A、及び符号化データ1542Bは、変調器1523に送られる。変調器1523は、符号化データ1542A、及び符号化データ1542BをIQ変調することで、放送信号1543を生成し、出力する。放送信号1543は、I成分とQ成分の情報を持つ複合信号である。TV放送局は、映像データ1541の取得、及び放送信号1543の供給を担う。
放送信号1543は、電子機器システム1501Aが有する受信装置1512で受信される。
図40に、放送システムにおけるデータ伝送を模式的に示す。図40には、放送局1561から送信された電波(放送信号)が、各家庭のテレビジョン受信装置(TV)1560に届けられるまでの経路を示している。TV1560は、受信装置1512及び表示装置1513を備えている。人工衛星1562として、例えば、CS衛星、BS衛星などが挙げられる。アンテナ1564として、例えば、BS・110°CSアンテナ、CSアンテナなどが挙げられる。アンテナ1565として、例えば、UHF(Ultra High Frequency)アンテナなどが挙げられる。
電波1566A、1566Bは、衛星放送用の放送信号である。人工衛星1562は電波1566Aを受信すると、地上に向けて電波1566Bを伝送する。各家庭において、電波1566Bはアンテナ1564で受信され、TV1560において衛星TV放送を視聴することができる。あるいは、電波1566Bは他の放送局のアンテナで受信され、放送局内の受信装置によって光ケーブルに伝送できる信号に加工される。放送局は光ケーブル網を利用して放送信号を各家庭のTV1560の入力部に送信する。電波1567A、1567Bは、地上波放送用の放送信号である。電波塔1563は、受信した電波1567Aを増幅して、電波1567Bを送信する。各家庭では、アンテナ1565で電波1567Bを受信することで、TV1560で地上波TV放送を視聴することができる。
また、本実施の形態の映像配信システムは、TV放送用のシステムに限定されるものではない。また配信する映像データは、動画像データでもよいし、静止画像データでもよい。
図41は、受信装置の形態の例を示している。TV1560は、受信装置で放送信号を受信して、TV1560に表示させることができる。図41(A)では、受信装置1571を、TV1560の外側に設けた場合を示している。また、別の例として、図41(B)では、アンテナ1564、1565とTV1560は、無線機1572及び無線機1573を介して、データの授受を行っている場合を示している。この場合、無線機1572または無線機1573は、受信装置の機能も有する。また、TV1560は、無線機1573を内蔵してもよい(図41(C)参照)。
受信装置は、携帯可能な大きさにすることもできる。図41(D)に示す受信装置1574は、コネクタ部1575を有する。表示装置、及び情報端末(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末など)等の電子機器がコネクタ部1575と接続可能な端子を備えていれば、これらで衛星放送や地上波放送を視聴することが可能となる。
図38の放送システム1500において、エンコーダ1522に、半導体装置を適用することができる。また、専用ICやプロセッサ(例えば、GPU、CPU)等を組み合わせることで、エンコーダ1522を構成することができる。また、エンコーダ1522を一の専用ICチップに集積化することもできる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、本発明の一態様の金属酸化物を用いたトランジスタを適用することにより、高解像度の大型のディスプレイモジュールが動作可能であることを検証した。
[8Kディスプレイについて]
8Kディスプレイに関する国際規格として、Recommendation ITU−R BT.2020−2がある。この規格において、解像度は水平解像度7680、垂直解像度4320、駆動方法はプログレッシブ方式であり、フレーム周波数は最大120Hzとされている。
図42(A)に、理想的なディスプレイモジュールのブロック図を示している。図42(A)に示す構成は、基板上に形成された一つの画素部(Pixel Area)に対して、一つのソースドライバ(Source Driver)と、一対のゲートドライバ(Gate Driver)を備える。また、一対のゲートドライバは、画素が有するトランジスタと同一工程により形成され、ディスプレイモジュールに実装される、いわゆるGate On Array(GOA)方式により形成されていることが好ましい。また、ソースドライバとして機能するICは、COG(Chip On Glass)法等で基板上に実装されていることが好ましい。
このような高解像度のディスプレイモジュールを駆動するためのトランジスタは、極めて高い電界効果移動度が求められる。特に、ディスプレイパネルが大型になると、アモルファスシリコンなどの半導体を用いた、電界効果移動度の低いトランジスタでは、フレーム期間中に画像の書き換え動作が間に合わず、駆動できない場合がある。
そのため、アモルファスシリコンを用いたトランジスタを適用する場合、図42(B)に示すように、画素部を4つに分断し、それぞれにソースドライバ及びゲートドライバを配置する構成を適用することができる。このような構成は、4つの画素部を同時に書き換えることで、電界効果移動度の低いトランジスタを適用した場合に、フレーム期間中の画像の書き換えを実現するものである。また、トランジスタの電界効果移動度が低いため、ゲートドライバをGOA方式により実装することが困難な場合には、図42(B)に示すように、ゲートドライバとして機能するICを、ソースドライバと同様に実装することが好ましい。
しかしながら、図42(B)に示す構成では、ソースドライバやゲートドライバなどのICやそれに付随する部材の増大に伴うコストの増大、配線数の増大に伴う開口率の低下、ICを実装することによる額縁面積の増大、分割された画素部間を同期させる回路が別途必要であること、分割された画素部の境界部が視認されてしまうことによる視認性の低下、などが懸念される。また、入力される画像データを4分割するための画像処理などが必要となり、高速且つ大規模な画像処理回路が必要となることが懸念される。
[検証モデルについて]
以下では、本発明の一態様である金属酸化物を用いたトランジスタと、比較としてアモルファスシリコンを用いた場合とで、大型の8K液晶ディスプレイモジュールが動作可能であるかを検証した。
検証に用いた液晶ディスプレイモジュールの仕様を以下に示す。画素部のサイズを65inch、有効画素数を7680×RGB(H)×4320(V)、画素サイズを187.5μm×187.5μm、液晶モードをVAモード、階調数を12bitとした。また、ソースドライバICのデータ電圧を3.5V乃至14.5V、一水平期間を1.92μs、駆動方法をドット反転駆動とした。また、ゲートドライバのクロック周波数を260.16kHz、電圧を−6.0V乃至22.0Vとした。また、液晶素子の共通電位を9.0Vとした。
また、1つの副画素に、1つのトランジスタと1つの容量を有する構成とした。画素に用いられるトランジスタは、チャネルエッチ型のシングルゲート構造のトランジスタであり、チャネル長を4μm、チャネル幅を8μmとした。また、ゲートドライバに用いられるトランジスタは、チャネルエッチ型のデュアルゲート構造(S−channel構造)のトランジスタであり、チャネル長を4μm、チャネル幅を4000μmとした。また、それぞれのトランジスタの半導体層として、本発明の一態様の金属酸化物(CAC−OS)を用いた。
また、比較として、上記トランジスタの半導体層に水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)を適用した場合についても検証した。
[検証]
検証は、ゲート線の電位が完全に立ち下がるまでの時間(ゲート立下り時間)と、ソース線の電位が入力電圧の最大値の95%に達するまでの時間(ソース線充電時間)の2つの合計の時間を見積もった。検証結果を以下に示す。
CAC−OSを用いた場合、ゲート立下り時間とソース線充電時間の合計は1.91μsとなり、これは120Hz駆動時の1水平期間1.92μsよりも短い時間であり、動作可能であることが見積もられた。この結果は、ゲートドライバを内蔵することが可能であることを示す。また、このとき、ゲートドライバ側の額縁幅は、3.85mmと見積もられ、極めて狭額縁のディスプレイモジュールを実現可能であることも分かった。
一方、水素化アモルファスシリコンを用いた場合では、ゲート立下り時間が1水平期間を超えるため、ゲートドライバを内蔵することはできないことが分かった。なお、検証においてはゲート線及びソース線等の負荷は等しいとして計算しているが、水素化アモルファスシリコンを用いた場合には画素に配置されるトランジスタのサイズが大きいため、負荷はこれよりも大きくなる。
続いて、CAC−OSを用いた場合と、水素化アモルファスシリコンを用いた場合とで、それぞれゲートドライバを内蔵することが可能なパネルサイズ(画素部のサイズ)と、フレーム周波数の関係を検証した。
図43に検証結果を示す。図43において、縦軸はパネルサイズであり、横軸はフレーム周波数である。CAC−OSを適用することにより、最大70インチまでのゲートドライバを内蔵した解像度8K、フレーム周波数120Hz、12bit階調のディスプレイパネルを実現できることが確認できた。
以上により、本発明の一態様の金属酸化物を用いることで、高解像度で且つ大型のディスプレイモジュールを実現可能であることが実証された。
本実施例では、本発明の一態様のトランジスタを作製した。また、トランジスタのId−Vg特性を測定し、信頼性評価を行った。
[トランジスタの作製]
まず、上記説明したトランジスタ100Eに相当するトランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性を評価した。本実施例においては、以下に示す試料A1及びA2を作製した。
なお、試料A1及び試料A2は、トランジスタが形成された試料であり、トランジスタそれぞれのチャネル長Lは、共に3μmであり、チャネル幅Wは共に50μmである。
[試料A1及びA2の作製方法]
まず、ガラス基板上に厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。続いて当該導電膜をフォトリソグラフィ法により加工して、第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104を形成した。
次に、基板及び導電膜104上に絶縁膜を4層積層して、第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成した。絶縁膜106は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜106は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ300nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、絶縁膜106上に2層の金属酸化物膜(第1の金属酸化物膜、第2の金属酸化物膜)を順に形成した。次に、当該積層された金属酸化物膜を島状に加工することで、金属酸化物膜108を形成した。
ここで、試料A1と試料A2とで、各金属酸化物膜の形成条件を異ならせた。
〔試料A1の金属酸化物膜の形成〕
試料A1の第1の金属酸化物膜は、厚さ20nmのIn−Ga−Zn膜を用い、第2の金属酸化物膜は、厚さ25nmのIn−Ga−Zn膜を用いた。
第1の金属酸化物膜は、基板温度を130℃として、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。なお、成膜ガス全体に占める酸素の割合から、「酸素流量比」と記載する場合がある。第1の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は10%である。
第2の金属酸化物膜は、上記第1の金属酸化物膜の成膜条件においてスパッタリングガスの流量を変えて成膜した。具体的には、チャンバーへのアルゴンガスの導入を停止し、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入することで形成した。なお、第2の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は100%である。
〔試料A2の金属酸化物膜の形成〕
試料A2の第1の金属酸化物膜は、厚さ20nmのIn−Ga−Zn膜を用い、第2の金属酸化物膜は、厚さ25nmのIn−Ga−Zn膜を用いた。
第1の金属酸化物膜は、基板温度を170℃として、流量140sccmのアルゴンガスと、流量60sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。なお、第1の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は30%である。
第2の金属酸化物膜は、基板温度を170℃として、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。なお、第2の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は50%である。
以上の工程で、試料A1及び試料A2の金属酸化物膜108を形成した。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度を350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、1時間の熱処理を行った。
次に、絶縁膜106及び金属酸化物膜108上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、導電膜112a、112bを形成した。ここでは、導電膜としては、厚さ30nmの第1のチタン膜と、厚さ200nmの銅膜とを順にスパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により銅膜をエッチングした後、厚さ50nmの第2のチタン膜をスパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により、第1のチタン膜及び第2のチタン膜をエッチングして、導電膜112a、112bを形成した。
次に、露出した金属酸化物膜108の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。
次に、絶縁膜106、金属酸化物膜108、及び導電膜112a、112b上に、絶縁膜114を形成し、絶縁膜114上に絶縁膜116を形成した。絶縁膜114及び絶縁膜116は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜114は、厚さ30nmの酸化窒化シリコン膜、絶縁膜116は、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度は350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った。
次に、絶縁膜116上に導電膜を形成した。導電膜は、スパッタリング装置を用いて、厚さ6nmのITSO膜を形成した。
次に、プラズマ処理法により導電膜に酸素を通過させて、絶縁膜116に酸素を添加した。プラズマ処理法として、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させた。
次に、導電膜をエッチングした。
次に、絶縁膜116上に絶縁膜118を形成した。絶縁膜118として、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成した。
次に、絶縁膜の所望の領域に開口部を形成した。開口部の形成方法としては、ドライエッチング法を用いた。
次に、開口部を充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工することで、第2のゲート電極としての機能を有する導電膜120aを形成した。導電膜120aとしては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、絶縁膜118、及び導電膜120a上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ1.5μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。
以上のようにして、試料A1及び試料A2を作製した。
[トランジスタのId−Vg特性]
次に、上記作製した試料A1及び試料A2のトランジスタのId−Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId−Vg特性の測定条件としては、第1のゲート電極としての機能を有する導電膜に印加する電圧(以下、ゲート電圧(Vg)ともいう)、及び第2のゲート電極としての機能を有する導電膜に印加する電圧(以下、バックゲート電圧(Vbg)ともいう)を、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電極としての機能を有する導電膜に印加する電圧(以下、ソース電圧(Vs)ともいう)を0V(comm)とし、ドレイン電極としての機能を有する導電膜に印加する電圧(以下、ドレイン電圧(Vd)ともいう)を、0.1V及び20Vとした。
図44(A)(B)に、試料A1及び試料A2のId−Vg特性結果をそれぞれ示す。なお、図44(A)(B)において、第1縦軸がId(A)を、第2縦軸が電界効果移動度(μFE(cm2/Vs))を、横軸がVg(V)を、それぞれ表す。なお、電界効果移動度については、Vdを20Vで測定した際の値である。
〔電界効果移動度〕
ここで、電界効果移動度について説明する。トランジスタの電流駆動力の指標として、電界効果移動度が用いられる。トランジスタのオン領域は線形領域と飽和領域に分かれる。それぞれの領域の特性から、Gradual channel近似に基づくドレイン電流の解析式に基づいてトランジスタの電界効果移動度を算出することができる。区別する必要のあるときは、それぞれ線形移動度(Linear mobility)、飽和移動度(Saturation mobility)と呼ばれる。飽和移動度は、以下の式(1)で表される。
本明細書等においては、式(1)から算出される曲線を、移動度曲線と呼称する。図44では、式(1)に基づいてId−Vg特性から見積もった飽和移動度の移動度曲線を示している。
図44(A)(B)に示すように、いずれの条件においても、電界効果移動度が高く、優れたスイッチング特性を有するトランジスタを作製できたことが分かる。
[ゲートバイアス熱ストレス試験]
次に、試料A1のストレス試験の結果を図47に示す。ストレス試験としては、ゲートバイアスストレス試験(GBT試験)を用いた。GBT試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化を、短時間で評価することができる。ここでは、GBT試験として、トランジスタが形成されている基板を60℃に保持し、トランジスタのソースとドレインに0V、ゲートに30Vまたは−30Vの電圧を印加し、この状態を3600秒間保持した。このとき、ゲートに正の電圧を印加する試験をPBTS、負の電圧を印加する試験をNBTSと表記する。また、10000lxの白色LED光を照射した状態でゲートに30Vまたは−30Vの電圧を印加し、この状態を3600秒間保持した。このとき、ゲートに正の電圧を印加する試験をPBITS、負の電圧を印加する試験をNBITSと表記する。
図47にGBT試験の結果を示す。図47において、しきい値の変動量(ΔVth)は±1V以下と良好な結果となっていることが分かる。GBT試験において、良好結果が得られている要因として、試料A1に含まれるトランジスタは、金属酸化物膜108として、積層されたCAC−OS膜及びCAAC−OS膜を有するため、埋め込みチャネルが形成されていること、バックチャネルにおける金属酸化物膜108と絶縁膜114の界面の欠陥やダメージの影響が緩和されていること、等があると推測できる。
[信頼性評価1]
次に、上記作製した試料A1、A2の信頼性評価を行った。
信頼性評価は、トランジスタにパルス電圧を繰り返し印加することによりトランジスタを駆動し、オン電流の変化率を評価した。
試験条件としては、ソース電極に−8Vの定電位を印加した状態で、第1のゲート電極、第2のゲート電極、及びドレイン電極に、それぞれハイレベル電圧が20V、ローレベル電圧が−8Vであるパルス電圧を印加した。パルス電圧は、20Vの期間を20%、−8Vの期間を80%(すなわち、デューティ比を20%)とし、周波数を約17.1kHzとした。
また、一定期間パルス電圧を印加した後、トランジスタのオン電流を測定した。オン電流の測定条件としては、ゲート電圧(Vg)及びバックゲート電圧(Vbg)を15Vとし、ソース電圧(Vs)を0V(comm)とし、ドレイン電圧(Vd)を5Vとした。また、測定のサンプリング期間を7.5msec(デューティ比7.5%)とした。
また、評価に用いたトランジスタのサイズは、試料A1及び試料A2共に、チャネル長が4μm、チャネル幅が1000μmである。
図45(A)に、測定したId−Vg特性から見積もった、試料A1及び試料A2のオン電流の変化率を示す。図45(A)において、横軸は時間であり、縦軸はオン電流の変化率である。
また、図45(B)には、オン電流が50%変化するまでの時間を示す。試料A2では、約4.2時間、試料A1では、約55.5時間となった。
以上の結果より、本発明の一態様の金属酸化物を用いたトランジスタは、信頼性の高いトランジスタであることが確認できた。
[信頼性評価2]
次に、上記信頼性評価において、試験条件を変えて信頼性評価を行った。また、試料A1と同じ条件を用いて作製した、3つのトランジスタにおいて、信頼性評価を行った。該3つのトランジスタはチャネル長がそれぞれ3μm、4μm、6μm、チャネル幅がそれぞれ1000μmであった。なお、信頼性評価1と信頼性評価2では、測定したサンプルが異なるため、信頼性評価の結果が若干異なる。
試験条件としては、ソース電極に−9Vの定電位を印加した状態で、第1のゲート電極、第2のゲート電極、及びドレイン電極に、それぞれハイレベル電圧が20V、ローレベル電圧が−9Vであるパルス電圧を印加した。パルス電圧は、20Vの期間を20%、−9Vの期間を80%(すなわち、デューティ比を20%)とした。
また、一定期間パルス電圧を印加した後、トランジスタのオン電流を測定した。オン電流の測定条件としては、ゲート電圧(Vg)及びバックゲート電圧(Vbg)を、15Vとし、ソース電圧(Vs)を0V(comm)とし、ドレイン電圧(Vd)を、5Vとした。また、測定のサンプリング期間を7.5msec(デューティ比7.5%)とした。
測定結果を図48に示す。図48(A)は、測定結果を片対数グラフで示し、図48(B)は測定結果を両対数グラフで示す。図48(A)及び図48(B)はそれぞれ、横軸は測定時間を示し、縦軸は信頼性評価におけるオン電流の変化率を示す。図48(B)より、オン電流が劣化によって70%に低下するのは、約125,000秒と予想される。以上の結果より、本発明の一態様の金属酸化物を用いたトランジスタは、信頼性の高いトランジスタであることが確認できた。
[トランジスタの作製]
次に、上記説明したトランジスタ100Aに相当するトランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性を評価した。本実施例においては、以下に示す試料A3及びA4を作製した。ただし、試料A3及び試料A4のトランジスタにおける導電膜120aと絶縁膜118の積層順は、トランジスタ100Aと異なる。
なお、試料A3及び試料A4は、トランジスタが形成された試料であり、トランジスタそれぞれのチャネル長Lは、共に2μmであり、チャネル幅Wは共に50μmである。
[試料A3及びA4の作製方法]
まず、ガラス基板上に厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。続いて当該導電膜をフォトリソグラフィ法により加工して、第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104を形成した。
次に、試料A3及びA4で異なる絶縁膜106を形成した。
試料A3では、基板及び導電膜104上に絶縁膜を4層積層して、第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成した。試料A3の絶縁膜106は、PECVD装置を用いて、真空中で連続して形成した。試料A3の絶縁膜106は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ300nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
試料A4では、基板及び導電膜104上に絶縁膜を3層積層して、第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成した。試料A4の絶縁膜106は、PECVD装置を用いて、真空中で連続して形成した。試料A4の絶縁膜106は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ300nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。また、試料A4では、絶縁膜106の形成後に絶縁膜106の表面に酸素プラズマ処理を行なった。
次に、絶縁膜106上に2層の金属酸化物膜(第1の金属酸化物膜、第2の金属酸化物膜)を順に形成した。次に、当該積層された金属酸化物膜を島状に加工することで、金属酸化物膜108を形成した。
第1の金属酸化物膜は、厚さ10nmのIn−Ga−Zn膜を用い、第2の金属酸化物膜は、厚さ25nmのIn−Ga−Zn膜を用いた。
第1の金属酸化物膜は、基板温度を130℃として、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。第1の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は10%である。
第2の金属酸化物膜は、上記第1の金属酸化物膜の成膜条件においてスパッタリングガスの流量を変えて成膜した。具体的には、チャンバーへのアルゴンガスの導入を停止し、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入することで形成した。なお、第2の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は100%である。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度を350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、1時間の熱処理を行った。
次に、絶縁膜106及び金属酸化物膜108上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、導電膜112a、112bを形成した。ここでは、導電膜としては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜を順にスパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により当該導電膜をエッチングして、導電膜112a、112bを形成した。
次に、露出した金属酸化物膜108の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。
次に、絶縁膜106、金属酸化物膜108、及び導電膜112a、112b上に、絶縁膜114を形成し、絶縁膜114上に絶縁膜116を形成した。絶縁膜114及び絶縁膜116は、PECVD装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜114は、厚さ30nmの酸化窒化シリコン膜、絶縁膜116は、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度は350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った。
次に、絶縁膜116上に導電膜を形成した。導電膜は、スパッタリング装置を用いて、厚さ6nmのITSO膜を形成した。
次に、プラズマ処理法により導電膜に酸素を通過させて、絶縁膜116に酸素を添加した。プラズマ処理法として、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させた。
次に、導電膜をエッチングした。
次に、絶縁膜116上に絶縁膜118を形成した。絶縁膜118として、PECVD装置を用いて、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成した。
次に、絶縁膜の所望の領域に開口部を形成した。開口部の形成方法としては、ドライエッチング法を用いた。
次に、開口部を充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工することで、第2のゲート電極としての機能を有する導電膜120aを形成した。当該導電膜120aとしては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、絶縁膜118及び導電膜120a上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ1.5μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。
以上のようにして、試料A3及び試料A4を作製した。
[トランジスタのId−Vg特性]
次に、上記作製した試料A3及び試料A4のトランジスタそれぞれ10個のId−Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId−Vg特性の測定条件としては、Vg及びVbgを、−15Vから+15Vまで0.25Vのステップで印加した。また、Vsを0V(comm)とし、Vdを、0.1V及び20Vとした。
図54(A)に、試料A3のトランジスタ10個のId−Vg特性を示す。図54(B)に、試料A4のトランジスタ10個のId−Vg特性を示す。図54(A)、(B)の横軸はVgを示している。図54(A)、(B)の縦軸は、ドレイン電流(Id)を対数で示している。図54(A)中のプロファイル群331は、Vdが0.1Vの時の試料A3のトランジスタのId−Vg特性を示している。図54(A)中のプロファイル群332は、Vdが20Vの時の試料A3のトランジスタのId−Vg特性を示している。図54(B)中のプロファイル群341は、Vdが0.1Vの時の試料A4のトランジスタのId−Vg特性を示している。図54(B)中のプロファイル群342は、Vdが20Vの時の試料A4のトランジスタのId−Vg特性を示している。
図54(A)及び(B)より、試料A3のトランジスタ及び試料A4のトランジスタは、どちらもオフ電流が少なく個体間のばらつきも少ないことがわかる。よって、試料A3のトランジスタ及び試料A4のトランジスタは、どちらも良好な電気特性を有していることがわかる。
[ゲートバイアス熱ストレス試験]
次に、試料A3のトランジスタ及び試料A4のトランジスタの、GBT試験を行った。なお、トランジスタそれぞれのチャネル長Lは、共に3μmであり、チャネル幅Wは共に50μmである。ここでは、GBT試験として、トランジスタが形成されている基板を60℃に保持し、トランジスタのソースとドレインに0V、ゲートに30Vまたは−30Vの電圧を印加し、この状態を3600秒間保持した。このとき、ゲートに正の電圧を印加する試験をPBTS、負の電圧を印加する試験をNBTSと表記する。また、10000lxの白色LED光を照射した状態でゲートに30Vまたは−30Vの電圧を印加し、この状態を3600秒間保持した。このとき、ゲートに正の電圧を印加する試験をPBITS、負の電圧を印加する試験をNBITSと表記する。
図55にGBT試験の結果を示す。試料A3のトランジスタのしきい値の変動量(ΔVth)は、PBTSで0.49V、NBTSで0.04V、PBITSで0.06V、NBITSで−0.50Vであった。試料A4のトランジスタのΔVthは、PBTSで0.74V、NBTSで0.05V、PBITSで0.11V、NBITSで−1.96Vであった。試料A3のトランジスタ及び試料A4のトランジスタともに、GBT試験でのVthの変化量は2V未満であった。試料A3のトランジスタ及び試料A4のトランジスタともに、良好な信頼性を有していることがわかった。
一般に、チャネルが形成される半導体層に水素化非晶質シリコン層を用いるトランジスタ(「a−Si:Hトランジスタ」ともいう。)では、ゲート絶縁層に窒化シリコン層が用いられる。本発明の一態様によれば、OSトランジスタのゲート絶縁層に窒化シリコン層を用いることができる。すなわち、a−Si:Hトランジスタ製造ラインをOSトランジスタ製造ラインへ転換する場合に、大幅な設備変更を行なう必要がない。よって、a−Si:Hトランジスタ製造ラインのOSトランジスタ製造ラインへの転換を、比較的容易に実現できる。
本実施例では、8Kディスプレイを想定した動作検証用のディスプレイモジュールについて説明する。なお、ディスプレイモジュールを構成するトランジスタとして、本発明の一態様の金属酸化物を用いたトランジスタを適用することができる。
2Kまたは4Kのディスプレイモジュールに、8Kディスプレイを想定した動作環境として8K相当の負荷を画素部に設けることにより、8Kディスプレイを想定した動作検証用のディスプレイモジュールを作製することができる。
図46(A)に、動作検証用のディスプレイモジュールのブロック図を示す。図46(A)に示す構成は、基板上に形成された一つの画素部601に対して、一つのソースドライバ603と、一対のゲートドライバ605を備える。一対のゲートドライバ605は、画素が有するトランジスタと同一工程により形成され、ディスプレイモジュールに実装される、いわゆるGate On Array方式により形成されていることが好ましい。また、ソースドライバ603は、COG法等で基板上に実装されていることが好ましい。
また、基板上に、FPCと接続する端子部607と、端子部607とゲートドライバ605との間に設けられる配線609、ゲートドライバ605に接続される配線611、ソースドライバ603に接続される配線613とを備える。配線609はゲートドライバ605用の信号線及び電源線の機能を有する。配線611はゲート配線の機能を有する。配線613は信号線の機能を有する。
また、画素部601は、複数の領域601_1、601_2、601_3、601_4を有する。領域601_1と領域601_2の間、領域601_1と領域601_3の間、領域601_2と領域601_4の間、領域601_3と領域601_4との間、一対のゲートドライバ605の間の配線それぞれに、負荷602が設けられる。負荷602は配線負荷であり、抵抗素子、容量素子等が配線に設けられる。
画素部601及び駆動回路において、適宜負荷602を設けることで、ディスプレイモジュールの領域ごとに異なる動作を再現することが可能である。
例えば、領域601_1とソースドライバ603及びゲートドライバ605それぞれとの間に負荷が設けられていない。このため、領域601_1において、信号線及びゲート配線それぞれの信号の波形の鈍りが小さく、画素部601において、画素への信号の書き込み条件がもっとも緩い。
領域601_2とソースドライバ603との間に負荷が設けられていないが、領域601_2とゲートドライバ605との間には負荷602が設けられている。このため、領域601_2において、信号線の信号の波形の鈍りは小さいが、ゲート配線の信号の波形の鈍りが大きい。
領域601_3とソースドライバ603との間に負荷が設けられているが、領域601_3とゲートドライバ605との間には負荷が設けられていない。このため、領域601_3において、信号線の信号の波形の鈍りが大きいが、ゲート配線の信号の波形の鈍りは小さい。
領域601_4とソースドライバ603及びゲートドライバ605それぞれとの間に負荷602が設けられている。このため、領域601_4において、信号線及びゲート配線の信号の波形の鈍りが大きく、画素部601において画素への信号の書き込み条件がもっとも厳しい。
なお、図46(B)は、実際の8Kのディスプレイモジュールのブロック図である。画素部621に画素623が設けられている。なお、画素623が図46(A)の負荷602に相当する。図46(A)の領域601_1は、図46(B)の画素部621の領域621_1に相当する。図46(A)の領域601_2は、図46(B)の画素部621の領域621_2に相当する。図46(A)の領域601_3は、図46(B)の画素部621の領域621_3に相当する。図46(A)の領域601_4は、図46(B)の画素部621の領域621_4に相当する。
図46(A)に示すように、画素部601に負荷602を設けることで、1枚のディスプレイモジュールにおいて、4条件での画素書き込み動作の検証を行うことが可能である。また、8Kのディスプレイ相当の負荷を駆動できるソースドライバ及びゲートドライバの動作の検証を行うことが可能である。以上のことから、2Kまたは4Kのディスプレイモジュールを用いて、8Kのディスプレイモジュールの動作検証が可能である。
本実施例では、本発明の一態様のトランジスタを用い、大型8Kの液晶表示装置の実現可能性を検討するために、シミュレーションを行った結果について説明する。
[検証モデル]
表3に検討した液晶表示装置の仕様を示す。液晶表示装置の画面サイズを65inchとし、画素構成としてRGBの3サブ画素をストライプ状に配置させた。画素回路は1Tr + 1C / cellとした。画素回路に含まれるトランジスタは、CAC−OS膜を有するチャネルエッチ構造のトランジスタを想定した。ゲートドライバは内蔵され、ソースドライバはICが外付された。フレーム周波数を120Hzとして動作させた場合におけるビデオ信号の書込みに要する時間をシミュレーションにて確認した。
図49に、検討した液晶表示装置の概略図を示す。大型ディスプレイにおいては特に画素領域内の時定数をできるだけ小さくできる構成が望ましい。そこで、ゲートドライバを画素領域の両側に配置し、ゲート選択信号をゲート線の両側から入力する構成とした。このような構成にすることで画素領域の片側のみにゲートドライバを配置した場合に比べて、ゲート線の時定数を4分の1に減らすことができ、ゲート線の充放電時間を短くすることができる。また、ビデオ信号の書込みに使用できる期間をできるだけ長くするために、2行のゲート線がバッファに接続され、ゲート線を2行同時に選択し、ビデオ信号を2行分同時に書き込むことができる。こうすることで、ゲートドライバのシフトレジスタの段数を通常の4320段から半分の2160段に減らすことができ、1水平選択期間を1.92μsから3.83μsに長くすることができる。
図50に、液晶表示装置に含まれる画素の回路図を示す。1つの画素は、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応した3つの副画素を有する。1つの副画素はそれぞれ、トランジスタM1、容量素子Cs、及び液晶素子LCを有する。選択トランジスタとして機能するトランジスタM1は、ゲートがゲート線GLと接続されており、ソースまたはドレインの一方がソース線SLと接続されている。容量素子Csは、トランジスタM1のソースまたはドレインの他方と、共通電位線CsCOMとの間に設けられている。液晶素子LCは、トランジスタM1のソースまたはドレインの他方と、共通電位線TCOMとの間に設けられている。1サブ画素の構成は最も単純な1Tr + 1C / cellであるが、ビデオ信号を2行分同時に書き込むため、1列の画素において2本のソース線を設ける構造(ダブルソース線構成ともいう。)とした。奇数行の画素では一方のソース線(例えばSL11)がトランジスタM1に接続され、偶数行の画素では他方のソース線(例えば、SL12)がトランジスタM1に接続される。
ここで、図51に、シミュレーションに用いた構成のブロック図を示す。画素回路とゲートドライバのトランジスタについては、CAC−OS膜を有するトランジスタの実測値を基にモデルパラメータを抽出した。ソースドライバには、ビヘイビアモデルを用いた。また、画素領域のゲート線とソース線の寄生容量、及びゲートドライバのCLK線の寄生成分にはRC負荷モデルを用いた。寄生容量と寄生抵抗の抽出には、境界要素法を用いた。画素領域内において、RC負荷が最大となる画素について、ビデオ信号の書き込みに要する時間を計算した。
図52に、画素への書き込み動作におけるタイミングチャートを示す。ビデオ信号の画素への書き込みは、ひとつ前の行のトランジスタM1をオフ状態とした後に行う。すなわち画素への書き込みに要する時間(c)は、ゲートドライバにCLK信号が入力されてから、トランジスタM1がオフ状態となるまでに要する時間((a)ゲート線降下時間)と、ビデオ信号を入力してから実際に画素内の電位がビデオ信号の電位に達するまでの時間((b)ソース線立ち上がり時間)と、の合計となる。ここで、ゲート線降下時間は、目標振幅の75%に達するまでの期間、ソース線立ち上がり時間は目標電位の95%に達するまでの期間として、その合計値から、画素への書き込みに要する時間を算出した。画素への書き込みに要する時間(c)が、一水平選択期間(ここでは3.83μs)より短ければ、液晶表示装置の動作が可能であると判断できる。
[計算結果]
表4にゲート線、ソース線、ゲートドライバのCLK線の寄生抵抗と寄生容量の抽出結果を示す。また、画素容量の抽出結果を示す。また、これらの抽出結果を用いて、過渡解析を行った。
表5に、過渡解析による、ゲート線降下時間及びソース線立ち上がり時間の計算結果を示す。
ゲート線降下時間と、ソース線立ち上がり時間の合計時間が、一水平選択期間である3.83μsよりも短ければ、動作が可能であることを示す。表5に示すように、画素書き込みに要する時間(3.51μs)が一水平選択期間(3.83μs)より短い結果となり、液晶表示装置の動作が可能であることが確認できた。
次に、図53にトランジスタの電界効果移動度と、画素への書き込みに要する時間の関係を計算した結果を示す。縦軸は画素への書き込みに要する時間を示し、横軸はCAC−OS膜を有するトランジスタの電界効果移動度を1としたときの、電界効果移動度の値を示す。電界効果移動度が下がるほど、画素への書き込みに要する時間が長くなることが確認できた。また、電界効果移動度のパラメータを0.75倍程度よりも小さくすると、画素書き込みに要する時間が一水平選択期間よりも長くなり、液晶表示装置を動作させることができないという結果になった。
CAC−OS膜を有するトランジスタを用いることにより、8Kの高解像度で且つ65インチと大型の表示パネルであっても、120Hzの高いフレーム周波数で駆動できることが確認できた。
本実施例では、本発明の一態様のトランジスタを作製し、信頼性評価を行った。
[トランジスタの作製]
まず、上記説明したトランジスタ100Aに相当するトランジスタを作製した。本実施例においては、以下に示す試料Bを作製した。ただし、試料Bのトランジスタにおける導電膜120aと絶縁膜118の積層順は、トランジスタ100Aと異なる。
なお、試料Bは、トランジスタが形成された試料であり、トランジスタのチャネル長Lは、4μmであり、チャネル幅Wは1000μmである。
[試料Bの作製方法]
まず、ガラス基板上に厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。続いて当該導電膜をフォトリソグラフィ法により加工して、第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104を形成した。
次に、基板及び導電膜104上に絶縁膜を4層積層して、第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成した。絶縁膜106は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜106は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ300nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ15nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、絶縁膜106上に2層の金属酸化物膜(第1の金属酸化物膜、第2の金属酸化物膜)を順に形成した。次に、当該積層された金属酸化物膜を島状に加工することで、金属酸化物膜108を形成した。
第1の金属酸化物膜は、厚さ20nmのIn−Ga−Zn膜を用い、第2の金属酸化物膜は、厚さ25nmのIn−Ga−Zn膜を用いた。
第1の金属酸化物膜は、基板温度を130℃として、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。第1の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は10%である。
第2の金属酸化物膜は、上記第1の金属酸化物膜の成膜条件においてスパッタリングガスの流量を変えて成膜した。具体的には、チャンバーへのアルゴンガスの導入を停止し、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入することで形成した。なお、第2の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は100%である。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度を350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、1時間の熱処理を行った。
次に、絶縁膜106及び金属酸化物膜108上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、導電膜112a、112bを形成した。ここでは、導電膜としては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜を順にスパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により当該導電膜をエッチングして、導電膜112a、112bを形成した。
次に、露出した金属酸化物膜108の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。
次に、絶縁膜106、金属酸化物膜108、及び導電膜112a、112b上に、絶縁膜114を形成し、絶縁膜114上に絶縁膜116を形成した。絶縁膜114及び絶縁膜116は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜114は、厚さ30nmの酸化窒化シリコン膜、絶縁膜116は、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度は350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った。
次に、絶縁膜116上に導電膜を形成した。導電膜は、スパッタリング装置を用いて、厚さ6nmのITSO膜を形成した。
次に、プラズマ処理法により導電膜に酸素を通過させて、絶縁膜116に酸素を添加した。プラズマ処理法として、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させた。
次に、導電膜をエッチングした。
次に、絶縁膜116上に絶縁膜118を形成した。絶縁膜118として、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成した。
次に、絶縁膜の所望の領域に開口部を形成した。開口部の形成方法としては、ドライエッチング法を用いた。
次に、開口部を充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜を島状に加工することで、第2のゲート電極としての機能を有する導電膜120aを形成した。導電膜120aとしては、厚さ100nmのITSO膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。
次に、絶縁膜118及び導電膜120a上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ1.5μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。
以上のようにして、試料Bを作製した。
[信頼性評価]
次に、試料Bのトランジスタの信頼性評価を行った。信頼性評価は、トランジスタにパルス電圧を繰り返し印加することによりトランジスタを駆動し、オン電流の変化率を評価した。
試験条件としては、室温(25℃)環境下で、ソース電極に−8Vの定電位を印加した状態で、第1のゲート電極、第2のゲート電極、及びドレイン電極に、それぞれハイレベル電圧が20V、ローレベル電圧が−8Vであるパルス電圧を印加した。周期は58.4μsecであり、パルス電圧は、20Vの期間を20%(1周期あたり11.68μsec)、−8Vの期間を80%(すなわち、デューティ比を20%)とした。ソース電流(Is)の上限は10mAとした。
また、一定期間パルス電圧を印加した後、トランジスタのオン電流を測定した。オン電流の測定条件としては、ゲート電圧(Vg)及びバックゲート電圧(Vbg)を、15Vとし、ソース電圧(Vs)を0V(comm)とし、ドレイン電圧(Vd)を、5Vとした。また、測定のサンプリング期間を7.5msec(デューティ比7.5%)とした。
測定結果を図56に示す。図56(A)は、測定結果を片対数グラフで示し、図56(B)は測定結果を両対数グラフで示す。図56(A)及び図56(B)はそれぞれ、横軸は測定時間を示し、縦軸は信頼性評価におけるオン電流の変化率を示す。図56(B)より、オン電流が劣化によって70%に低下するのは、約364時間と予想される。以上の結果より、本発明の一態様の金属酸化物を用いたトランジスタは、信頼性の高いトランジスタであることが確認できた。
本実施例では、本発明の一態様のトランジスタを作製し、信頼性評価を行った。
[トランジスタの作製]
まず、上記説明したトランジスタ100Aに相当するトランジスタを作製した。本実施例においては、以下に示す試料Cを作製した。
なお、試料Cは、トランジスタが形成された試料であり、トランジスタのチャネル長Lは、3μmであり、チャネル幅Wは50μmである。
[試料Cの作製方法]
まず、ガラス基板上に厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。続いて当該導電膜をフォトリソグラフィ法により加工して、第1のゲート電極としての機能を有する導電膜104を形成した。
次に、基板及び導電膜104上に絶縁膜を4層積層して、第1のゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜106を形成した。絶縁膜106は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜106は、下から厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ300nmの窒化シリコン膜、厚さ50nmの窒化シリコン膜、厚さ15nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
次に、絶縁膜106上に2層の金属酸化物膜(第1の金属酸化物膜、第2の金属酸化物膜)を順に形成した。次に、当該積層された金属酸化物膜を島状に加工することで、金属酸化物膜108を形成した。
第1の金属酸化物膜は、厚さ10nmのIn−Ga−Zn膜を用い、第2の金属酸化物膜は、厚さ25nmのIn−Ga−Zn膜を用いた。
第1の金属酸化物膜は、基板温度を130℃として、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。第1の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は10%である。
第2の金属酸化物膜は、上記第1の金属酸化物膜の成膜条件においてスパッタリングガスの流量を変えて成膜した。具体的には、チャンバーへのアルゴンガスの導入を停止し、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入することで形成した。なお、第2の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は100%である。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度を350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、1時間の熱処理を行った。
次に、絶縁膜106及び金属酸化物膜108上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、導電膜112a、112bを形成した。ここでは、導電膜としては、厚さ50nmのタングステン膜と、厚さ400nmのアルミニウム膜と、厚さ100nmのチタン膜を順にスパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により当該導電膜をエッチングして、導電膜112a、112bを形成した。
次に、露出した金属酸化物膜108の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。
次に、絶縁膜106、金属酸化物膜108、及び導電膜112a、112b上に、絶縁膜114を形成し、絶縁膜114上に絶縁膜116を形成した。絶縁膜114及び絶縁膜116は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、真空中で連続して形成した。絶縁膜114は、厚さ30nmの酸化窒化シリコン膜、絶縁膜116は、厚さ300nmの酸化窒化シリコン膜をそれぞれ用いた。
絶縁膜116の成膜後、真空中で連続して、プラズマ処理法により、絶縁膜116に酸素を添加した。プラズマ処理法として、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させた。
次に、熱処理を行った。当該熱処理として、加熱温度は350℃とし、窒素雰囲気で1時間熱処理を行った。
次に、2層の金属酸化物膜を形成し、当該2層の金属酸化物膜を島状に加工することで、第2のゲート電極としての機能を有する導電膜120aを形成した。
1層目の金属酸化物膜には、厚さ10nmのIn−Ga−Zn膜を用い、2層目の金属酸化物膜は、厚さ90nmのIn−Ga−Zn膜を用いた。
1層目の金属酸化物膜は、基板温度を170℃として、流量200sccmの酸素ガスをスパッタリング装置のチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、インジウムと、ガリウムと、亜鉛とを有する金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])に、2.5kwの交流電力を印加することで形成した。なお、1層目の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は100%である。
2層目の金属酸化物膜は、上記1層目の金属酸化物膜の成膜条件においてスパッタリングガスの流量を変えて成膜した。具体的には、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガスとをスパッタリング装置のチャンバー内に導入することで形成した。2層目の金属酸化物膜の成膜時における酸素流量比は10%である。
次に、導電膜120a上に絶縁膜118を形成した。絶縁膜118として、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置を用いて、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成した。
次に、絶縁膜118上に絶縁膜を形成した。絶縁膜としては、厚さ1.5μmのアクリル系の感光性樹脂を用いた。
以上のようにして、試料Cを作製した。
[トランジスタのId−Vg特性]
次に、上記作製した試料CのトランジスタのId−Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId−Vg特性の測定条件としては、Vg及びVbgを、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、Vsを0V(comm)とし、Vdを、0.1V及び20Vとした。
図57に、試料CのId−Vg特性結果をそれぞれ示す。なお、図57において、第1縦軸がId(A)を、第2縦軸が電界効果移動度(μFE(cm2/Vs))を、横軸がVg(V)を、それぞれ表す。なお、電界効果移動度については、Vdを20Vで測定した際の値である。
図57に示すように、電界効果移動度が高く、優れたスイッチング特性を有するトランジスタを作製できたことが分かった。
トランジスタの作製工程において、金属酸化物膜(酸化物半導体膜)は様々な工程でダメージに曝される。具体的には、ソース電極及びドレイン電極の成膜工程、ソース電極及びドレイン電極のエッチング工程(特にドライエッチング工程)、及びパッシベーション膜の成膜工程などで、金属酸化物膜はダメージを受けることがある。
本実施例では、金属酸化物膜上に、パッシベーション膜またはソース電極及びドレイン電極を成膜した試料をESR分析することで、成膜によるダメージの評価を行った。
本実施例のESR分析では、g値が1.9付近のシグナルに着目した。このESRシグナルは、金属酸化物膜中のドナーである酸素欠損(Vo)中に入った水素に起因する伝導電子スピン共鳴によるものと考えられる。
図58(A)、(B)に、本実施例の試料のESR分析から定量されたスピン密度を示す。本実施例では、金属酸化物として、nc−IGZOとCAAC−IGZOの2つを用いた。図58(A)は、金属酸化物膜上にパッシベーション膜(SiON膜)を成膜した試料の結果である。図58(B)は、金属酸化物膜上にソース電極及びドレイン電極(W膜)を成膜した試料の結果である。
図58(A)、(B)に示すように、nc−IGZOに比べて、CAAC−IGZOは、酸素欠損中に入った水素に起因するESRシグナルが小さいことがわかった。つまり、CAAC−IGZOは、トランジスタの作製工程において、特に、ダメージを受けにくく、低抵抗化しにくいことがわかった。