以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る熱硬化性材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、複数の(C)窒化ホウ素粒子とを含む。(C)窒化ホウ素粒子は、窒化ホウ素粒子が凝集した凝集体((C1)窒化ホウ素粒子の凝集体、又は、(C1)凝集体ともいう)を含む。
本発明に係る熱硬化性材料では、熱硬化性材料を25℃から硬化するまで昇温速度5℃/分で加熱した際の最低溶融粘度が、1×103Pa・s以上、1×104Pa・s以下である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体が用いられているにもかかわらず、熱伝導性を高くし、かつ、ボイドの発生を抑制することができる。本発明では、上記最低溶融粘度が上記下限以上であるため、熱伝導性が高くなる。また、本発明では、上記最低溶融粘度が上記上限以下であるため、ボイドの発生が抑えられる。
また、(C)窒化ホウ素粒子及び(C1)凝集体は、熱伝導性の向上に寄与する。また、(C1)凝集体においては、(C1)凝集体を構成する(C)窒化ホウ素粒子間に空隙が存在する。硬化段階で、この空隙内に気体などが残存すると、硬化物中にボイドが発生する原因となる。上記熱硬化性材料の上記最低溶融粘度を上記上限以下に制御することで、硬化段階で、上記空隙に熱硬化性成分を良好に浸入させることができる。結果として、硬化物中でのボイドの発生を抑えることができる。また、硬化物中にボイドが発生すると、接着性及び絶縁性が低下する。本発明では、ボイドの発生を抑えることができるので、接着性及び絶縁性を高く維持することができる。上記熱硬化性材料の上記最低溶融粘度を上記下限以上に制御することで、上記熱硬化性材料の流動性を適度に抑制することができる。さらに、熱硬化性材料が熱硬化性シートである場合に、ハンドリング性を向上させることができる。
熱伝導性を効果的に高め、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記熱硬化性材料を25℃から硬化するまで昇温速度5℃/分で加熱した際の最低溶融粘度は、好ましくは1×103Pa・s以上、好ましくは1×104Pa・s以下である。上記最低溶融粘度が上記下限未満であると、熱硬化時に上記熱硬化性材料の流動を適度に抑制することが困難となり、上記熱硬化性材料の形状を維持できず、樹脂流れが発生する。また、上記最低溶融粘度が上記上限を超えると、ボイドの発生を効果的に抑えることが困難となり、熱伝導性及び絶縁性が低下する。
上記最低溶融粘度を上記の範囲に調節する方法としては、溶融粘度が低い熱硬化性化合物を用いる方法、窒化ホウ素粒子を表面処理する方法、窒化ホウ素粒子の粒度分布を制御する方法、真球状のサブミクロンフィラーを添加する方法、及びこれらの方法を組み合わせる方法等が挙げられる。
上記最低溶融粘度は、上記の粘度測定において粘度が最も低くなる値である。上記最低溶融粘度は、以下のようにして測定される。
レオメーター(レオロジカ社製「DynAlyser」)を用いて、熱硬化性材料をガラス板とパラレルプレート(直径20mm)で挟み、周波数1Hz、歪み1%の条件で、25℃から硬化するまで昇温速度5℃/分で加熱することで溶融粘度の変化を測定する。得られた結果から、溶融粘度の最小値を最低溶融粘度とする。例えば、200℃までに硬化が完了する場合に、硬化すると粘度が高くなるので、上記最低溶融粘度の測定時に、20℃から200℃まで加熱してもよい。
また、上記最低溶融粘度を測定する際には、25℃から硬化するまで昇温速度5℃/分で加熱する。この加熱条件は、本発明における上記最低溶融粘度を測定する際の加熱条件である。本発明における熱硬化性材料を用いる際に、25℃から硬化するまで昇温速度5℃/分で加熱しなくてもよい。
熱伝導性及び耐電圧性の双方を効果的に高める観点からは、(C)窒化ホウ素粒子を構成する窒化ホウ素が、六方晶窒化ホウ素であることが好ましい。
本発明の効果により一層優れることから、凝集していない(C)窒化ホウ素粒子、及び(C1)凝集体を構成する(C)窒化ホウ素粒子のそれぞれは、鱗片状の形状を有することが好ましい。凝集していない(C)窒化ホウ素粒子、及び(C1)凝集体を構成する(C)窒化ホウ素粒子のそれぞれにおいて、平均長径の平均厚さに対する比が好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。
熱伝導性を効果的に高め、圧縮強度を適度な範囲に制御する観点からは、複数の(C)窒化ホウ素粒子(凝集していない(C)窒化ホウ素粒子、及び(C1)凝集体を構成する(C)窒化ホウ素粒子)の平均一次粒子径は好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
(C)窒化ホウ素粒子の平均一次粒子径は、一次粒子の体積基準での粒子径の平均を意味する。(C)窒化ホウ素粒子の平均一次粒子径は、マルバーン社製「乾式レーザー回析式粒度分布測定装置(型番:MASTERSIZER3000)」を用いて、測定することができる。
(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の平均アスペクト比は好ましくは1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に一層好ましくは1.8以下、特に好ましくは1.6以下、最も好ましくは1.5以下である。(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の平均アスペクト比が、上記下限以上及び上記上限以下であると、(C)窒化ホウ素粒子を高密度に充填し、熱伝導性を効果的に高めることができ、かつボイドの発生を効果的に抑制することができる。
アスペクト比は、長径/短径である。平均アスペクト比は、複数の(C1)凝集体のアスペクト比を平均することにより求められる。任意に選択された50個の(C1)凝集体のアスペクト比を平均することが好ましい。
樹脂中での分散性、経時安定性及び熱伝導性をより一層高める観点から、(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の平均粒径は好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の平均粒径は、粒度分布測定により、体積基準での粒子径を測定することにより求められる。(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の平均粒径は、マルバーン社製「乾式レーザー回析式粒度分布測定装置(型番:MASTERSIZER3000)」を用いて、測定することができる。
熱伝導性を効果的に高める観点からは、(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の平均球形度は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.8以上である。
平均球形度は、複数の(C1)凝集体における球形度を平均することにより求められる。(C1)凝集体の平均球形度は、顕微鏡観察により得られた任意の数の粒子画像から、球形度を測定する方法により求められる。(C1)凝集体の平均球形度は、マルバーン社製「粒子画像分析装置(型番:モフォロギG3)」を用いて測定することができる。測定条件は、レンズ倍率10倍、粒子カウント数5000個に設定する。
熱伝導性を効果的に高め、かつボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、(C1)凝集体は、凝集体が表面処理剤による表面処理物であることが好ましい。
上記表面処理剤の好ましい例としては、シランカップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。
(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の製造方法としては、噴霧乾燥方法、及び、流動層造粒方法等が挙げられる。噴霧乾燥方法(スプレードライとも呼ばれる)が好ましい。噴霧乾燥法は、スプレー方式によって、二流体ノズル方式、ディスク方式(ロータリ方式とも呼ばれる)、及び超音波ノズル方式などに分類でき、これらのどの方式でも適用できる。
圧縮強度及び耐電圧性を効果的に高める観点からは、本発明に係る熱硬化性材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素粒子((C1)凝集体を含む)と、(D)窒化ホウ素粒子ではない絶縁性フィラー(単に、(D)絶縁性フィラーと記載することがある)とを含むことが好ましい。
(A)〜(D)成分を含む組成の採用によって、硬化物の放熱性をかなり高めることができる。例えば、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素粒子((C1)凝集体を含む)と、(D)絶縁性フィラーとを併用することで、これらを併用していない場合と比べて、放熱性、圧縮強度及び耐電圧性が効果的に高くなる。本発明では、従来満足することが困難であった高い放熱性と高い耐電圧性との効果を高レベルで達成することができる。
以下、本発明の他の詳細を説明する。
((A)熱硬化性化合物)
(A)熱硬化性化合物としては、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。(A)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱伝導性を効果的に高め、かつボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、(A)熱硬化性化合物は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。
(A)熱硬化性化合物として、(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A1)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよい。(A)熱硬化性化合物として、(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A2)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよい。(A)熱硬化性化合物として、(A1)熱硬化性化合物と、(A2)熱硬化性化合物との双方を用いてもよい。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料の作製時の塗工性が高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分は、熱硬化性材料が溶剤を含まない場合には、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分であり、熱硬化性材料が溶剤を含む場合には、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分である。熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分は、熱硬化性材料が(D)絶縁性フィラーを含まない場合には、溶剤及び(C)窒化ホウ素粒子を除く成分であり、熱硬化性材料が(D)絶縁性フィラーを含む場合には、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分である。上記溶剤は、熱硬化性材料の硬化時に、揮発により除去される。
(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A1)熱硬化性化合物としては、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物が挙げられる。上記環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。上記環状エーテル基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する熱硬化性化合物であることが好ましい。(A1)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A1)熱硬化性化合物は、(A1a)エポキシ基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1a)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよく、(A1b)オキセタニル基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1b)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A1)熱硬化性化合物は芳香族骨格を有することが好ましい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高める観点からは、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。
(A1a)熱硬化性化合物としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。(A1a)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、及びビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
(A1b)熱硬化性化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。(A1b)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物は、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、100重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は10重量%以上、100重量%以下であってもよい。また、(A1)熱硬化性化合物の全体が、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物であってもよい。
(A1)熱硬化性化合物の分子量は、10000未満である。(A1)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは200以上であり、好ましくは1200以下、より好ましくは600以下、更に好ましくは550以下である。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物の表面の粘着性が低くなり、硬化性組成物の取扱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。さらに、硬化物が固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
なお、本明細書において、(A1)熱硬化性化合物における分子量とは、(A1)熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び(A1)熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、(A1)熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A1)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A1)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料の作製時の塗工性が高くなる。
(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A2)熱硬化性化合物は、分子量が10000以上である熱硬化性化合物である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上であるので、(A2)熱硬化性化合物は一般にポリマーであり、上記分子量は、一般に重量平均分子量を意味する。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物がポリマーであり、(A2)熱硬化性化合物が芳香族骨格を有する場合には、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。硬化物の耐熱性をより一層高くし、かつ硬化物の耐湿性をより一層高くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性がより一層高くなる。
(A2)熱硬化性化合物としては特に限定されず、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
硬化物の酸化劣化を抑え、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高め、更に硬化物の吸水率をより一層低くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることが更に好ましい。特に、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。また、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の弾性率がより一層低くなり、かつ硬化物の耐冷熱サイクル特性がより一層高くなる。なお、(A2)熱硬化性化合物は、エポキシ基などの環状エーテル基を有していなくてもよい。
上記スチレン樹脂として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、及びスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等が使用可能である。スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有することが好ましい。上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格又はビフェニル骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性が更に一層高くなる。
上記エポキシ樹脂は、上記フェノキシ樹脂以外のエポキシ樹脂である。上記エポキシ樹脂としては、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは40000以上であり、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物が熱劣化し難い。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記下限未満であると、熱劣化しやすく、また、溶融粘度が低下し、熱硬化時に樹脂流れが発生する。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、(A2)熱硬化性化合物と他の成分との相溶性が高くなる。この結果、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A2)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。(A2)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性材料の取扱性が良好になる。(A2)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーの分散が容易になる。
((B)熱硬化剤)
(B)熱硬化剤は特に限定されない。(B)熱硬化剤として、(A)熱硬化性化合物を硬化させることができる適宜の熱硬化剤を用いることができる。また、本明細書において、(B)熱硬化剤には、硬化触媒が含まれる。(B)熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(B)熱硬化剤は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましい。(B)熱硬化剤は、アミン硬化剤(アミン化合物)、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤(フェノール化合物)又は酸無水物硬化剤(酸無水物)を含むことが好ましく、アミン硬化剤を含むことがより好ましい。上記酸無水物硬化剤は、芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むか、又は、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むことが好ましい。
上記アミン硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。硬化物と熱伝導体及び導電層との接着性をより一層高める観点からは、上記アミン硬化剤は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物であることがより一層好ましい。硬化性組成物の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、(B)熱硬化剤は、融点が180℃以上である硬化剤を含むことが好ましく、融点が180℃以上であるアミン硬化剤を含むことがより好ましい。
上記イミダゾール硬化剤としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記フェノール硬化剤としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。硬化物の柔軟性及び硬化物の難燃性をより一層高める観点からは、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール硬化剤の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010、MEH−8015及びMEH−8000H(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(三菱化学社製)、LA−7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(以上いずれも群栄化学社製)等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
(B)熱硬化剤は、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸であることも好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性が高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素粒子及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(B)熱硬化剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。(B)熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性材料を充分に硬化させることが容易である。(B)熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な(B)熱硬化剤が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
((C)窒化ホウ素粒子)
放熱性及び圧縮強度を効果的に高める観点からは、(C)窒化ホウ素粒子の平均粒径の、(D)絶縁性フィラーの平均粒径に対する比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.2以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは10以下である。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、及び硬化物100体積%中、(C)窒化ホウ素粒子の含有量は好ましくは10体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下である。(C)窒化ホウ素粒子の含有量が上記下限以上であると、放熱性及び圧縮強度が効果的に高くなる。(C)窒化ホウ素粒子の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料を充分に硬化させることが容易である。(C)窒化ホウ素粒子の含有量が上記上限以下であると、硬化物による熱伝導率及び接着性がより一層高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分は、熱硬化性材料が溶剤を含まない場合には、熱硬化性材料であり、熱硬化性材料が溶剤を含む場合には、溶剤を除く成分である。
熱硬化性材料中、(C)窒化ホウ素粒子の全体100体積%中、(C1)窒化ホウ素粒子の凝集体の含有量は好ましくは20体積%以上、より好ましくは50体積%以上、更に好ましくは60体積%以上、特に好ましくは70体積%以上、最も好ましくは80体積%以上であり、好ましくは100体積%以下である。(C1)凝集体の含有量が上記下限以上であると、放熱性及び圧縮強度が効果的に高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、及び硬化物100体積%中、(C)窒化ホウ素粒子と(D)絶縁性フィラーとの合計の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは30体積%以上であり、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下である。(C)窒化ホウ素粒子と(D)絶縁性フィラーとの合計の含有量が上記下限以上であると、放熱性及び圧縮強度が効果的に高くなる。(C)窒化ホウ素粒子と(D)絶縁性フィラーとの合計の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料を充分に硬化させることが容易である。(C)窒化ホウ素粒子と(D)絶縁性フィラーとの合計の含有量が上記上限以下であると、硬化物による熱伝導率及び接着性がより一層高くなる。
放熱性及び圧縮強度を効果的に高める観点からは、熱硬化性材料中での(C)窒化ホウ素粒子と(D)絶縁性フィラーとの合計100体積%中、(C)窒化ホウ素粒子の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは50体積%以上であり、好ましくは100体積%以下である。熱硬化性材料中での(C)窒化ホウ素粒子と(D)絶縁性フィラーとの合計100体積%中、(C)窒化ホウ素粒子の含有量は、100体積%未満であってもよく、99体積%以下であってもよい。
((D)窒化ホウ素粒子ではない絶縁性フィラー)
(D)絶縁性フィラーは絶縁性を有する。(D)絶縁性フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。放熱性を効果的に高める観点からは、(D)絶縁性フィラーは、無機フィラーであることが好ましい。放熱性を効果的に高める観点から、(D)絶縁性フィラーは、10W/m・K以上の熱伝導率を有することが好ましい。(D)絶縁性フィラーは、粒子の凝集体ではないことが好ましい。(D)絶縁性フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、絶縁性とは、フィラーの体積抵抗率が106Ω・cm以上であることを意味する。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの熱伝導率は好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上である。(D)絶縁性フィラーの熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。
(D)絶縁性フィラーの材質は特に限定されない。(D)絶縁性フィラーの材質は、アルミナ、合成マグネサイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることがより好ましい。これらの好ましい絶縁性フィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
(D)絶縁性フィラーは、球状粒子、又はアスペクト比が2を超える非凝集粒であることが好ましい。これら絶縁性フィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。球状粒子のアスペクト比は、2以下である。(D)絶縁性フィラーのアスペクト比により溶融粘度を調整することができる。アスペクト比が2以下の(D)絶縁性フィラーを用いることで溶融粘度を下げることができ、アスペクト比が2を超える(D)絶縁性フィラーを用いることで溶融粘度を上げることができる。
(D)絶縁性フィラーの材質の新モース硬度は、好ましくは12以下、より好ましくは9以下である。(D)絶縁性フィラーの材質の新モース硬度が9以下であると、硬化物の加工性がより一層高くなる。
硬化物の加工性をより一層高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの材質は、合成マグネサイト、結晶シリカ、酸化亜鉛、又は酸化マグネシウムであることが好ましい。これらの無機フィラーの材質の新モース硬度は9以下である。
放熱性を効果的に高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの平均粒径は、好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下である。平均粒径が上記下限以上であると、(D)絶縁性フィラーを高密度で容易に充填できる。平均粒径が上記上限以下であると、硬化物の耐電圧性がより一層高くなる。
上記「平均粒径」とは、乾式レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒径である。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、及び硬化物100体積%中、(D)絶縁性フィラーの含有量は好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上であり、好ましくは75体積%以下、より好ましくは65体積%以下である。(D)絶縁性フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の放熱性が効果的に高くなる。
(他の成分)
上記熱硬化性材料は、上述した成分の他に、分散剤、キレート剤、酸化防止剤等の熱硬化性組成物及び熱硬化性シートに一般に用いられる他の成分を含んでいてもよい。
(熱硬化性材料及び硬化物の他の詳細)
熱硬化性材料は、熱硬化性ペーストであってもよく、熱硬化性シートであってもよい。熱硬化性材料を硬化させることにより硬化物を得ることができる。この硬化物は、熱硬化性材料の硬化物であり、熱硬化性材料により形成されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱硬化性材料の硬化物を模式的に示す断面図である。なお、図1では、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みとは異なっている。
図1に示す硬化物1は、硬化物部11と、窒化ホウ素粒子の凝集体12と、絶縁性フィラー13とを含む。絶縁性フィラー13は、窒化ホウ素粒子の凝集体ではない。図1では、窒化ホウ素粒子の凝集体12には、左上から右下に延びる斜線が付されている。図1では、絶縁性フィラー13には、右上から左下に延びる斜線が付されている。図1では、窒化ホウ素粒子の凝集体12は略図で示されている。
硬化物部11は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含む熱硬化性成分が硬化した部分であり、熱硬化性成分を硬化させることにより得られる。
上記熱硬化性材料及び上記硬化物は、放熱性などが高いことが求められる様々な用途に用いることができる。上記硬化物は、例えば、電子機器において、発熱部品と放熱部品との間に配置されて用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
(A1)熱硬化性化合物:
(1)ビスフェノールA型エポキシモノマー(新日鉄住金化学社製「YD−127」)
(2)ナフタレン骨格含有エポキシモノマー(DIC社製「HP−4032」)
(3)ビフェニル骨格含有エポキシモノマー(三菱化学社製「YX4000H」)
(4)2官能グリシジルアミン(ADEKA社製「EP−3950S」)
(A2)熱硬化性化合物:
(1)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製「jER1256」)
(2)エポキシ基含有スチレン樹脂(日本油脂社製「マープルーフG−1010S」)
(B)熱硬化剤:
(1)アミン硬化剤(日本カーバイド社製「DD」)
(2)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(四国化成工業社製「2MZA−PW」)
(3)液状フェノール硬化剤(明和化成社製「MEH−8000H」)
(C)窒化ホウ素粒子:
(1)窒化ホウ素凝集粒子1
(2)窒化ホウ素凝集粒子2
(3)窒化ホウ素凝集粒子3
(4)窒化ホウ素凝集粒子4
窒化ホウ素凝集粒子1の作製:
平均長径7.3μm、アスペクト比12.9である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で平均粒子径60μmになるように凝集させ、窒化ホウ素の重量に対して1重量%のエポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBE403」)にて表面処理し、窒化ホウ素凝集粒子1を作製した。得られた窒化ホウ素凝集粒子1の平均アスペクト比は1.2であった。
窒化ホウ素凝集粒子2の作製:
平均長径3.3μm、アスペクト比12.7である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で平均粒子径70μmになるように凝集させ、窒化ホウ素の重量に対して1重量%のエポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBE403」)にて表面処理し、窒化ホウ素凝集粒子2を作製した。得られた窒化ホウ素凝集粒子2のアスペクト比は1.1であった。
窒化ホウ素凝集粒子3の作製:
平均長径7.3μm、アスペクト比12.9である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で平均粒子径60μmになるように凝集させ、窒化ホウ素凝集粒子3を作製した。得られた窒化ホウ素凝集粒子3の平均アスペクト比は1.2であった。
窒化ホウ素凝集粒子4の作製:
平均長径5.5μm、アスペクト比14.0である窒化ホウ素の一次粒子を、スプレードライ法で平均粒子径40μmになるように凝集させ、窒化ホウ素凝集粒子4を作製した。得られた窒化ホウ素凝集粒子4のアスペクト比は6であった。
(E)分散剤:
(1)アクリル系分散剤(ビックケミージャパン社製「Disperbyk−2070」)
(実施例1〜4、比較例1〜3)
熱硬化性材料の作製:
ホモディスパー型攪拌機を用いて、下記の表1に示す割合(配合単位は重量部)で、各原料を配合して混練し、熱硬化性組成物を調製した。混練の際、固形分が多く、ホモディスパー型攪拌機が回転しづらいときは適宜溶剤(メチルエチルケトン)で希釈した。
次に、離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、得られた熱硬化性組成物を200μmの厚みになるように塗工し、50℃のオーブン内で10分乾燥し、離型PETフィルム上に熱硬化性シート(熱硬化性材料、Bステージ化された熱硬化性材料)を作製した。このようにして、離型PETフィルムと熱硬化性シートとの多層シートを得た。なお、上記熱硬化性シートからは、溶剤は検出されなかった。
(評価)
<最低溶融粘度>
得られた多層シートから、25mmΦの大きさの多層シートを切り出し、熱硬化性シートから離型PETフィルムを剥がして、熱硬化性シート(熱硬化性材料)の測定サンプルを得た。レオメーター(レオロジカ社製「DynAlyser」)のガラス板とパラレルプレート(直径20mm)とで測定サンプルを挟み、周波数1Hz、歪み1%の条件で、25℃から200℃まで昇温速度5℃/分で加熱することで、熱硬化性シートの溶融粘度の変化を測定した。測定結果の溶融粘度の最小値が、最低溶融粘度である。なお、実施例1〜4及び比較例1〜3では、200℃まで加熱した後に、熱硬化性シートは硬化していた。
<熱伝導率>
積層体の作製:
得られた多層シートにおいて、熱硬化性シートから離型PETフィルムを剥がして、厚さ200μmの熱硬化性シート(熱硬化性材料)を2枚用意した。2枚の厚さ200μmの熱硬化性シートを重ねて、厚さ105μmの銅箔2枚で挟み、6MPaの圧力で加圧しながら、40℃から200℃まで昇温速度5℃/分で加熱し、さらに200℃で2時間保持することで積層体を作製した。
得られた積層体を1cm角にカットした後に、両面にカーボンブラックスプレーを塗布し、熱伝導率の測定を行った。熱伝導率の測定は、NETZSCH社製「LFA447Nanoflash)を用いて、レーザーフラッシュ法により行った。表1における熱伝導率は、比較例1の値を1.00とした相対値である。
<ボイド>
得られた積層体の断面をクロスセクションポリッシャーで平滑に加工し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、ボイドの有無を確認した。SEMの観察条件は、反射電子モード、加速電圧10kV、エミッション電流20μA、倍率1000倍とした。ボイドを以下の基準で判定した。
[ボイドの判定基準]
○:5μm以上のボイドがない
×:5μm以上のボイドがある
<絶縁破壊電圧>
得られた積層体における銅箔をエッチングすることにより電極を作製し、テストサンプルを得た。油槽中でテストサンプルに交流電圧を印加し、テストサンプルに10mA以上の電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧を以下の基準で判定した。
[絶縁破壊電圧の判定基準]
○:60kV/mm以上
×:60kV/mm未満
結果を下記の表1に示す。