JP2018177055A - エバポレータの殺菌方法及びエバポレータ殺菌機能付き自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エバポレータ表面の抗菌性に依らず、長期継続的にエバポレータ表面を殺菌することが可能なエバポレータの殺菌方法及び当該エバポレータの殺菌方法を行うことのできるエバポレータ殺菌機能付き自動車用空気調和装置を提供する。
【解決手段】過酸化水素の水溶液からなる殺菌用洗浄液を、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータ3の表面に接触するようにして供給した後に、紫外線を照射して、前記微生物及び/又は汚れ成分の殺菌及び/又は分解を行う方法に際し、当該殺菌及び/又は分解の最中に殺菌用洗浄液を用いてエバポレータ表面の流体物理洗浄を行うか、又は当該殺菌及び/又は分解終了後に、リンス液を用いて流体物理洗浄を行う。
【選択図】図3
【解決手段】過酸化水素の水溶液からなる殺菌用洗浄液を、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータ3の表面に接触するようにして供給した後に、紫外線を照射して、前記微生物及び/又は汚れ成分の殺菌及び/又は分解を行う方法に際し、当該殺菌及び/又は分解の最中に殺菌用洗浄液を用いてエバポレータ表面の流体物理洗浄を行うか、又は当該殺菌及び/又は分解終了後に、リンス液を用いて流体物理洗浄を行う。
【選択図】図3
Description
本発明は、エバポレータの殺菌方法及び当該エバポレータの殺菌方法を行うことのできるエバポレータ殺菌機能付き自動車用空気調和装置に関する。
自動車用空気調和装置には、熱交換機としてエバポレータが用いられている。エバポレータの表面は、空気中の水分が凝縮することにより湿潤な環境にあり、細菌やカビ等の空気中に含まれていた有害微生物が繁殖し易い環境となっている。また、エバポレータは通常、熱交換効率を高めるために、冷媒が流通する折りたたまれたパイプの間に金属製のフィンが入り組んだ構造をしており、該入り組んだ構造もエバポレータに有害微生物が繁殖し易い原因となっている。エバポレータ表面で繁殖した有害微生物は、悪臭の原因となる代謝物を生成して搭乗者に不快感を与えるだけでなく、アレルギーや気管支炎等の疾病を誘発する虞がある。また、エバポレータの表面が有害微生物及び代謝物の被膜(バイオフィルム)で覆われることにより、熱交換効率が低下してしまう虞があった。
そこで、エバポレータの表面を抗菌又は殺菌する方法として、種々の方法が検討されている。例えば、特許文献1には自動車用空調装置のエバポレータユニットを構成する部材の少なくとも一つが抗菌性セラミックスを含有することにより、抗菌性セラミックスの有する抗菌性金属の触媒作用によりエバポレータ付近の抗菌、脱臭を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、フィン付きチューブを備えた熱交換機において、チューブ及び(又は)フィンの最表面の少なくとも一部にポリアニリン及び(又は)その誘導体からなる表面被膜を形成し、該表面被膜と外気中の水分との反応により発生する活性酸素又は過酸化水素により、有害微生物を殺菌する技術が開示されている。さらに、エバポレータからのドレンを受けるドレンパンに紫外線を照射して紫外線殺菌を行う技術も知られている(特許文献3参照)。
また、一般家庭用の空気調和装置において、室内機の熱交換器表面を殺菌する方法として、調和装置内の通風路に過酸化水素水のミストを導入し、過酸化水素の酸化力によって殺菌を行う方法が知られている(特許文献4)。
特許文献1及び2に記載されている技術では、抗菌性金属やポリアニリン等のエバポレータの表面に析出した成分により抗菌効果を奏するが、該成分がドレン排水とともに流出し、経時的に抗菌効果が低下してしまうことがあった。また、該抗菌効果は上記成分が析出している表面で奏されるため、一旦汚れ等が付着して表面が被覆されてしまうと、該汚れ等の上からさらに付着した有害微生物に対しては抗菌作用を及ぼすことができず、有害微生物が繁殖してしまうことがあった。また、エバポレータに直接紫外線を照射して殺菌を行うことも考えられるが、カビ等を紫外線で死滅させるためには紫外線の積算照射量を大きくする必要があるばかりでなく、エバポレータは複雑な形状をしているため紫外線が当たらない部分があること、表面に埃などの遮蔽物が付着することから、十分な殺菌を行うことは困難である。
さらに特許文献4に記載されている方法を自動車用空気調和装置に転用した場合には、過酸化水素水ミストを送風路内全体に供給する必要があるため、過酸化水素水の使用量が多くなってしまう。また、ミストが広範に広がって周辺の部材表面に接触することから、これら部材に対する腐食や劣化などの悪影響を避けるために、酸化力を犠牲にして低濃度の過酸化水素水を使用しなければならず、処理に長時間を要するという問題がある。この点について、特許文献4には、オゾンと併用することにより酸化力を高めることができることが記載されているが、その場合には、オゾンの使用に伴って安全性の問題が発生する危険性がある。
そこで本発明は、このような問題を起こすことなく、長期継続的にエバポレータ表面を殺菌することが可能なエバポレータの殺菌方法及びエバポレータ殺菌機能付き自動車用空気調和装置を提供することを課題とする。
本発明者は、ヒドロキシルラジカル(OHラジカルともいう)の酸化作用を利用したセルフクリーニング機構に着目し、エバポレータ表面に有害微生物が付着し繁殖する前の段階で、セルフクリーニングによりこれらを死滅除去することができれば前記課題を解決することができると考えた。たとえば、エバポレータ表面を光触媒でコーティングし、定期的に水の存在下で光触媒を励起する光を照射すれば有害微生物が繁殖する前に死滅除去することができる。
しかしながら、エバポレータ表面を光触媒でコーティングした場合には、熱伝導率が低下することにより熱交換効率が低下してしまうばかりでなく、金属炭酸塩等のミネラル分が光触媒表面に付着することにより失活し、機能が低下するという問題がある。
光触媒を利用せずにOHラジカルを発生させる方法としては、過酸化水素水やオゾンに紫外線を照射する方法などが知られている。たとえば、過酸化水素は290nm以下の波長を吸収しOHラジカルを発生することが知られている。ところが、OHラジカルの寿命は極めて短いため、例えば過酸化水素水ミストに紫外線を照射してOHラジカルを発生させても被殺菌体であるエバポレータ表面にミストが到達する前に活性は大幅に低下してしまう。また、仮にエバポレータ表面にOHラジカルを含むミストが到達し、OHラジカルの酸化作用により汚れが分解された場合でも、ミストが乾燥すると残渣が表面に留まってしまうという問題がある。
そこで、本発明者は、エバポレータ表面に過酸化水素水が接触した状態で紫外線照射を行うことにより表面OHラジカル濃度を高めると共に、紫外線照射中または紫外線照射後であって湿潤状態(酸化分解物が表面から浮いた状態)を保っている間に、水流の力によって酸化分解物を除去することを着想し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、過酸化水素の水溶液からなる殺菌用洗浄液を用いて、自動車用空気調和装置におけるエバポレータを殺菌及び/又は洗浄するための方法であって、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に前記殺菌用洗浄液が接触するようにして、前記エバポレータの表面に前記殺菌用洗浄液を供給する殺菌用洗浄液供給工程、前記エバポレータの表面と接触している状態の前記殺菌用洗浄液に紫外線を照射して、前記微生物及び/又は汚れ成分の殺菌及び/又は分解を行う殺菌・分解工程、並びに前記殺菌・分解工程中に、又は前記殺菌・分解工程終了後であって前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面上に残存している期間中に、前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う、ことを特徴とする、前記方法である。
上記本発明の方法においては、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に、前記殺菌洗浄液以外の洗浄液が接触して流動するようにして、前記エバポレータの表面に前記洗浄液を供給して、前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う、プレ洗浄工程を更に含み、当該プレ洗浄工程を前記殺菌用洗浄液供給工程の前に行うことが好ましい。
上記の好ましい態様を含めて前記本発明の方法においては、(1)前記殺菌用洗浄液供給工程において前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら流動するようにして前記殺菌用洗浄液の供給を行い、当該流動によって、前記殺菌・分解工程中に前記流体物理洗浄を行うか、又は(2)前記殺菌用洗浄液供給工程において前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら保持されるようにして前記殺菌用洗浄液の供給を行い、前記殺菌・分解工程において前記エバポレータの表面と接触しながら保持されている前記前記殺菌用洗浄液に紫外線を照射し、更に殺菌・分解工程終了後に、リンス液を前記エバポレータの表面を流動するようにして供給し、当該リンス液の流動によって前記流体物理洗浄を行う、ことが好ましい。
また、前記本発明の方法では、220nm以上380nm以下の波長領域であって250nmを越え280nm以下の波長領域を除く波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオードと、250nm以上280nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオードとを併用して、前記殺菌・分解工程における紫外線照射を行うことが好ましい。
さらに、本発明の方法においては、自動車用空気調和装置稼働時においてエバポレータ表面に凝結した凝結水(以下、「ドレン水」ともいう。)を捕集し、捕集された凝結水を過酸化水素水の原料及び/又リンス液として使用することが好ましく、燃料電池車用空気調和装置におけるエバポレータを殺菌及び/又は洗浄する場合には、燃料電池で生成する水を捕集し、捕集された凝結水を過酸化水素水の原料及び/又リンス液として使用することが好ましい。
また、第二の本発明は、前記(1)に示す本発明の方法によりエバポレータの殺菌及び洗浄を行うエバポレータの殺菌洗浄機構を備えた自動車用空気調和装置であって、前記殺菌洗浄機構は、前記殺菌用洗浄液を、前記エバポレータの表面に、前記エバポレータの表面と接触しながら流動するようにして供給可能な殺菌用洗浄液供給手段と、前記エバポレータ表面に向けて紫外線を照射可能な紫外線光源と、第一の制御手段と、を備え、前記第一の制御手段は、前記殺菌用洗浄液供給手段作動中に前記紫外線光源を作動させるように制御を行う、ことを特徴とする、自動車用空気調和装置である。
更に第三の本発明は、前記(2)に示す本発明の方法によりエバポレータの殺菌及び洗浄を行うエバポレータの殺菌洗浄機構を備えた自動車用空気調和装置であって、前記殺菌洗浄機構は、前記殺菌用洗浄液を、前記エバポレータの表面に、前記洗浄液が前記エバポレータの表面に接触して保持されるようにして供給可能な殺菌用洗浄液供給手段と、前記エバポレータ表面に向けて紫外線を照射可能な紫外線光源と、リンス液を前記エバポレータの表面を流動するようにして供給可能なリンス液供給手段と、第二の制御手段と、を備え、前記第二の制御手段は、前記殺菌用洗浄液供給手段作動終了後に前記紫外線光源を作動させ、前記紫外線光源作動終了後に前記リンス液供給手段を作動させるように制御を行う、ことを特徴とする、自動車用空気調和装置である。
前記したように、過酸化水素水を殺菌用洗浄液として使用し、これをミストとして熱交換器に噴霧して殺菌・洗浄を行う方法は知られているが(特許文献4参照)、前記した様な課題がある。また、過酸化水素水のミストに紫外線を照射すればOHラジカルの強い酸化力を利用することも可能と考えられる。しかし、空間を漂う殺菌線用洗浄液のミストに紫外線を照射した場合には、ミストが被殺菌・洗浄体(室内ファン等)の表面に到達する前に寿命の極めて短いOHラジカルが消滅してしまう確率が非常に高く、十分な殺菌・洗浄効果が得られ難い。これに対し、本発明の方法では、殺菌用洗浄液を、被殺菌・洗浄体の表面に付着させてから紫外線を照射するため、OHラジカルが前記表面上で確実に発生して殺菌・洗浄効果を発揮することができる。さらに、本発明では、被殺菌・洗浄体の表面を狙って殺菌用洗浄液を噴霧するなどの方法により、周辺部材表面への殺菌用洗浄液の付着を可及的に防止することができるので、殺菌用洗浄液の使用量を少なくすることができ、また、周辺部材の劣化や腐食を気にすることなく、比較的高い濃度の殺菌用洗浄液を使用することができ、酸化力をより一層高めることもできる。しかも本発明の方法では、エバポレータの表面に光触媒を含む特殊なコーティングなどを施す必要が無いので熱交換効率を下げることが無い。
また、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に、前記殺菌用洗浄液以外の洗浄液が接触して流動するようにして、前記エバポレータの表面に前記洗浄液を供給して、前記エバポレータ表面のプレ流体物理洗浄を行う、プレ洗浄工程を更に含み、当該プレ洗浄工程を前記殺菌用洗浄液供給工程の前に行う本発明の方法では、殺菌用洗浄液の使用量を減らして、より確実な殺菌・洗浄効果を得ることができる。
すなわち、自動車用の空気調和装置は、使用環境が過酷であり、特に外気を用いて空気調和を行う場合には、プレフィルタを設置しても、家庭用エアコンの室内熱交換器と比べると遥かに多量の埃がエバポレータ表面に付着することが避けられない。上記本発明の方法では、たとえばウィンドウォッシャー液として使用されるような、界面活性剤やアルコールを含む洗浄効果の高い洗浄液を用いてプレ洗浄を行うことにより、エバポレータ表面に付着した汚れを粗取りできるので、殺菌用洗浄液を用いた高度な殺菌・洗浄の効果を高めることができる。しかもOHラジカルの酸化力により、界面活性剤などの有機成分も分解除去できるので、これらがエバポレータ表面に残って蓄積し、熱交換率を低下させることも避けられる。
また、紫外線(UV)として250nm以上280nm以下の紫外線を含む紫外線を用いた場合には、UV自体による殺菌効果を得ることもできる。
さらに、本発明では紫外線照射によってヒドロキシルラジカルを含むようになった殺菌用洗浄液は表面に埃などが付着していても内部に浸透して全体に濡れ広がることができるので、むらなくエバポレータの表面全体を殺菌することが可能である。
さらにまた、殺菌用洗浄液或いはリンス液が流れることにより、分解された埃や汚れの残渣も流し去ることができる(物理的に除去することができる)ので、定期的に手動または自動洗浄を行うことにより、絶えずエバポレータの表面をきれいな状態に保つことができる。
本発明の上記した作用および利得は、以下に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
本発明の方法は、過酸化水素の水溶液からなる殺菌用洗浄液を用いて、自動車用空気調和装置におけるエバポレータを殺菌及び/又は洗浄するための方法であって、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に前記殺菌用洗浄液が接触するようにして、前記エバポレータの表面に前記殺菌用洗浄液を供給する殺菌用洗浄液供給工程、前記エバポレータの表面と接触している状態の前記殺菌用洗浄液に紫外線を照射して、前記微生物及び/又は汚れ成分の殺菌及び/又は分解を行う殺菌・分解工程、並びに前記殺菌・分解工程中に、又は前記殺菌・分解工程終了後であって前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面上に残存している期間中に、前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う、ことを特徴とする。
ここで、流体物理洗浄とは、水などの流体を用いた物理的な洗浄を意味する。所謂蒸気洗浄や超音波洗浄も流体物理洗浄の範疇に入るが、本発明の方法では、特別な装置を必要としないという理由から、液状の流体を、エバポレータ表面上で流動させた時に生じる力によって埃などの汚れ成分を流体と一緒に流し去る洗浄であることが好ましい。
本発明の方法における殺菌用洗浄液供給工程で使用する殺菌用洗浄液を構成する過酸化水素水における過酸化水素の濃度が高いほどOHラジカルは生成し易いが、高すぎると折角生成したOHラジカルどうしが反応して消滅するため効率的ではなく、また、取扱も難しくなる。したがって、前記殺菌用洗浄液におけるこれら過酸化水素の濃度は、0.01mM〜10M、特に0.05mM〜5Mであることが好ましく、0.1mM〜1Mであることが最も好ましい。なお、ここでMは(mol/リットル)を表す。
また安全性の観点から、前記前記殺菌用洗浄液は、オゾンを実質的に含まないことが好ましい。また、殺菌用洗浄液をノズルから噴射又は噴霧する場合においてノズル詰まりを起こさないという理由から、前記殺菌用洗浄液は、(乾燥した時に析出するような)塩類を実施的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、オゾンや塩類を積極的に添加しないことを意味し、不純物としての不可避的な混入は許容する。不純物として不可避的に混入するこれら成分の濃度は低ければ低いほど良いが、通常、質量基準で1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下、最も好ましくは0.01ppm以下である。
前記殺菌用洗浄液は、消毒液などとして市販されている過酸化水素をそのまま又は水で希釈して使用してもよいし、過酸化水素水製造装置を用い、ドレン水や、登載車が燃料電池車である場合には燃料電池で発電を行ったときに生成する水(生成水)を原料として過酸化水素水を製造し、それをそのまま又は必要に応じて希釈して使用してもよい。無給水運転を行うことが可能となるという理由から、ドレン水又は生成水を用いて過酸化水素水製造装置を用いた過酸化水素水を使用することが好ましい。また、生成水は極めて純粋な水であり、金属イオン、塩類、微細な埃などを含まないため、原料水として使用するに際して濾過やイオン交換処理が不要となるという理由から、生成水を原料として製造した過酸化水素水を使用することが特に好ましい。
過酸化水素水製造装置としては、前記特許文献4記載されているような、「水素イオン伝導性を有する電解質膜である高分子電解質膜、当該高分子電解質膜を挟んで一方の面に接するように配設される陽極電極、他方の面に接するように配設される陰極電極で構成される電解セルを備え、前記陽極電極には陽極端子が、前記陰極電極には陰極端子が夫々取付けられており、前記高分子電解質膜、前記陽極電極および前記陰極電極は水密シートを介してネジにより固定されており、前記電解セル陽極側には陽極貯水部が、陰極側には陰極貯水部が夫々設けられている、過酸化水素製造装置」及び特開2008−81760号公報に記載されているような「水素イオン伝導性を有する電解質膜と前記電解質膜の第1の面に接して配置された陽極電極と前記電解質膜の第2の面に接して配置された陰極電極とにより構成される電解セルと、前記陽極電極に水を供給する手段と、前記陰極電極に供給する酸素含有ガスおよび水のうち少なくとも酸素含有ガスを供給する手段と、前記陰極電極で発生するガスと液体を分離する気液分離手段と、前記気液分離手段により分離されるガスを前記陽極電極に供給するガス供給手段と、前記陽極電極と前記陰極電極に直流電圧を印加する電源と、を備えたことを特徴とする過酸化水素製造装置」などの、コンパクト化が可能な過酸化水素製造装置が特に制限なく使用できる。
殺菌用洗浄液供給手段は、通常、ポンプと、配管と、ノズルと、を有し、タンクに蓄えられた殺菌用洗浄液をポンプにより圧送してノズルからエバポレータの表面に供給する。ノズルとしては、殺菌用洗浄液をエバポレータの表面に接触するようにして供給できるものであれば特に限定されず、たとえばミストノズルやスプレイノズルなどが適用できる。前記殺菌用洗浄液供給工程において、(1)前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら流動するようにして供給を行う場合には、スプレイノズルが、(2)前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら保持されるようにして供給を行う場合には、ミストノズルが、夫々好適に使用される。
前記ドレン水や生成水は、リンス液の流動により前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う場合のリンス液としても好適に使用できる。
殺菌用洗浄液供給工程において、(1)前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら流動するようにして供給が行われた場合には、そのような供給を行いながら紫外線照射による殺菌・分解工程を行い、同時に、その流動時に発生する力によって流体物理洗浄が行われることになる。また、殺菌用洗浄液供給工程において、(2)前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら保持されるようにして供給が行われた場合には、前記殺菌・分解工程において前記エバポレータの表面と接触しながら保持されている前記前記殺菌用洗浄液に紫外線を照射し、更に殺菌・分解工程終了後に、リンス液を前記エバポレータの表面を流動するようにして供給し、当該リンス液の流動によって前記流体物理洗浄が行われることになる。
上記(2)の場合におけるリンス液としては、乾燥後において残渣がエバポレータ表面に残らないという理由から、界面活性剤や塩類を含まない水を使用することが好ましく、イオン交換水、前記ドレン水、前記生成水などを使用することが好ましい。リンスを行う場合のリンス液の供給は、スプレイノズルを用いてエバポレータ表面に噴射する等の方法により、好適に行うことができる。
殺菌・分解工程では、エバポレータと接触している状態の前記殺菌用洗浄液中にOHラジカルを発生させるために紫外線を照射する必要がある。紫外線照射により発生するOHラジカルは、いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種の中でも最も酸化力が強く、脂質やタンパク質、糖質などと反応することが知られており(高柳輝夫,大坂武男(編)(1998),活性酸素,日本化学会,丸善(株)出版 参照)、オゾンでは分解不可能な難分解性有機物も処理が可能であることが知られている(山竹厚(2007),水中マイクロプラズマの安定生成とラジカル反応に関する研究,東京工業大学,博士論文 参照)。このような事実からも分かるように、OHラジカルは有害微生物が生成する代謝物をも分解することができるため、本発明によれば、エバポレータ表面に形成されたバイオフィルムを除去することも可能である。
紫外線の波長は短ければ短いほどエネルギーが高くOHラジカルの発生にとっては都合が良いが、210nm未満の短波長の紫外線を比較的高強度で出射することができる光源を準備することは困難である。したがって、210nm以上の紫外線、特に220nm以上380nm以下の波長を有する紫外線を照射することが好ましい。このような波長領域の紫外線を使用した場合には、雰囲気中の酸素などの物質に吸収されて強度低下を起こすことなく、高い強度を保ったまま紫外線を洗浄剤に照射することができるばかりでなく、200nm未満の波長の紫外線を含む紫外線を出射する水銀ランプやエキシマランプを使用した場合と異なり、有害なオゾンを発生することもない。オゾン発生防止の観点からもこのような波長領域の紫外線を使用することが好ましい。さらに、紫外線単独による殺菌効果も同時得ることができるという理由から、使用する紫外線は、250nm以上280nm以下の紫外線を含むことが好ましい。
また、装置を小型化でき、メンテナンスを容易化できるという観点から、光源としては、紫外線発光ダイオード(UV−LED)を使用することが好ましい。このような装置上のメリット、OHラジカルの発生効率の高さから、220nm以上380nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射するUV−LEDを使用することがより好ましく、更に紫外線単独による殺菌効果も同時得ることができるという理由から、220nm以上380nm以下の波長領域であって250nmを越え280nm以下の波長領域を除く波長領域にピークを有する紫外線を出射するUV−LEDと、250nm以上280nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射するUV−LEDと、を併用することが最も好ましい。
紫外線照射に際しては、光源の出力に応じて光源とエバポレータ表面との距離及び照射時間を制御して、室内熱交換器表面における積算照射量が50mJ/cm2以上、特に100mJ/cm2以上となるようにすることが好ましい。
さらにまた、凹凸を有する表面に確実に紫外線を照射できるようにするために、前記紫外線光源として、(a)前記エバポレータの表面に対して、異なる複数の方向から、同時に紫外線を照射できるように、ピーク波長が220〜380nmである、複数の紫外線発光ダイオードを配置した紫外線光源、又は(b)時間をずらして、前記エバポレータの表面に対して、異なる複数の方向から、紫外線を照射できるように、ピーク波長が220〜380nmである、一又は複数の紫外線発光ダイオードの出射方向を制御する出射方向制御機構を有する紫外線光源を、用いることが好ましい。
一般に、自動車用の空気調和装置は、使用環境が過酷であり、特に外気を用いて空気調和を行う場合には、プレフィルタを設置しても、家庭用エアコンの室内熱交換器と比べると遥かに多量の埃がエバポレータ表面に付着することが避けられない。エバポレータ表面に多量の埃が付着した状態でいきなり殺菌用洗浄液供給工程を行ってもよいが、その場合には、分解や殺菌の対象となる物の量が多くなるばかりでなく、前記(1)の場合には、流体物理洗浄を行うために多量の殺菌用洗浄液が必要となり、効率的な殺菌・洗浄を行うことが困難となる。このような状況を避けるために、本発明の方法では、洗浄液を用いてプレ洗浄を行うことが好ましい。このとき、洗浄液としては、前記殺菌洗浄液以外の洗浄液であればよいが、洗浄効果が高いという理由から、界面活性剤やアルコールなどの洗浄促進成分を含む水溶液を使用することが好ましく、洗浄液用の新たなタンクを設置する必要が無くなるという理由から、ウィンドウォッシャー液を使用することが特に好ましい。プレ洗浄における洗浄液のエバポレータ表面への供給もリンス液と同様にして行うことができる。なお、洗浄液がそのまま乾燥した場合には、不揮発性の洗浄促進成分が残渣として残り、エバポレータの熱交換率を低下させることが懸念されるが、本発明の方法では、プレ洗浄工程後に殺菌用洗浄液供給工程及び殺菌・分解工程が行われるので、そのような問題の発生を防止することができる。
以下に、図面を参照して本発明の方法及び本発明の自動車用空気調和装置について更に詳しく説明する。
図1は、本発明の代表的な自動車用空気調和装置100を模式的に説明する断面図である。自動車用空気調和装置100は、公知の自動車用空気調和装置と同様に、自動車のダッシュボード下部に設置される。図1において、紙面右側が自動車前方、紙面左側が自動車後方である。
自動車用空気調和装置100は、内部が2分割されたケース1を有し、一方の領域A(紙面右側)にブロアファン2、エバポレータ3、及び、後述する殺菌機構20の殺菌用洗浄液供給手段11の一部が配置されており、他方の領域B(紙面左側)にヒーターコア4が配置されている。一方の領域Aと他方の領域Bとはエアミックスドア5により連通しており、ケース1内部には図1にI〜IVで示した空気が流通する経路(以下、「空気流路I〜IV」という。)が形成されている。
自動車用空気調和装置100の運転が開始されると、ブロアファン2が回転することにより、外気又は車内空気が、空気流路Iによりケース1内に導入される。空気流路Iにはフィルタ6が配置されており、これによりゴミ等の所定サイズ以上の異物がケース1内に侵入することを防止する。フィルタ6を通過した空気は、空気流路IIにより、エバポレータ3へと送られる。
エバポレータ3は周知の冷凍サイクルを構成するものであり、空気流路IIで送られてきた空気を除湿冷却する冷却機として機能する。該冷却過程において、空気中に含まれていた水分が冷却されて凝結又は凝縮し、エバポレータ3表面に付着する。付着した凝結水又は凝縮水(ドレン水)は所定量集まると重力によりケース1の底部へと滴下し(図1に矢印D2で示した流路)、ケース1の下部に配置されているドレンパン8へと集められ、ドレンパンに設けられた排水口9から排出され(図1に矢印D1で示した流路)、殺菌用洗浄液の原料やリンス液として利用されるか、又は車外へ捨てられる。
エバポレータ3の下流側には、エバポレータ3を通過した空気を、空気流路IIIcと空気流路IIIhとに振り分けるエアミックスドア5が配置されており、空気流路IIIhにより領域Bに送られた空気は全てヒーターコア4へと送られ、空気流路IIIcにより領域Bに送られた空気はヒーターコア4をバイパスする。ヒーターコア4は自動車が内燃機関(エンジン)を有する場合にはエンジンの冷却水を、電気自動車である場合には電熱ヒーターを熱源として、空気流路IIIhにより該ヒーターコア4を通過する空気を加熱する加熱器である。該構成によれば、空気流路IIIcを通過した空気はエバポレータ3により冷却されたまま領域Bへと送られ、空気流路IIIhを通過した空気はヒーターコア4により加熱されて領域Bへと送られ、これらは領域Bの下流において混合される。エアミックスドア5は空気流路IIIhを通過する空気の量と空気流路IIIcを通過する空気の量とを調節可能となっており、該2つの流路を通過する空気の量を調節することにより、領域Bにおいて所望の温度に調節された空気を得ることが可能となっている。所望の温度に調節された空気は、空気流路IVによりフロントガラス内側のデフロスタ吹出口(DEF)へ、空気流路Vにより搭乗者の顔面方向吹出口(FACE)へ、空気流路VIにより足元方向吹出口(FOOT)へとそれぞれ排出される。なお、図示しない吹出モード切替ドアにより、空気流路IV〜VIのうち一つ又は複数の流路から選択的に空気を排出することができる。
上記のように、エバポレータ3周辺は凝結水又は凝縮水の存在により常に多湿な環境にあり、空気流路Iから吸入される空気に含まれる有害微生物が繁殖し易い環境にある。殺菌機構20を備える自動車用空気調和装置100によれば、有害微生物の繁殖を予防すること、及び、ある程度有害微生物が繁殖してしまった後にも事後的に殺菌することが可能である。
本発明の一実施形態に係る自動車用空気調和装置100が備える殺菌機構20は、紫外線照射によって分解してOHラジカル(ヒドロキシルラジカル)を生成する過酸化水素が溶解した水溶液からなる殺菌用洗浄液をエバポレータ3表面に供給可能な殺菌用洗浄液供給手段11と、紫外線をエバポレータ3表面に照射可能な紫外線光源12とを備え、エバポレータ3表面に供給された上記殺菌用洗浄液に、紫外線を照射することにより、エバポレータ3の殺菌を行う。
以下、図2を参照しつつ、本発明の自動車用空気調和装置100が備える殺菌機構20について説明する。
図2は図1と同一の視点から見た図であり、本発明の自動車用空気調和装置100が備える殺菌機構20が作動している様子を模式的に説明する図である殺菌機構20は、殺菌用洗浄液をエバポレータ3表面に供給可能な殺菌用洗浄液供給手段11と、紫外線をエバポレータ3表面に照射可能な紫外線光源12とを備える。
殺菌用洗浄液供給手段11は、殺菌用洗浄液をエバポレータ3表面に供給可能な部材であれば特に限定されない。本形態において、殺菌用洗浄液供給手段11はエバポレータ3表面に殺菌用洗浄液を噴射する殺菌用洗浄液用ノズル11a、殺菌用洗浄液タンク7からノズル11aへと殺菌用洗浄液を送る殺菌用洗浄液用供給管11b、及び、殺菌用洗浄液を送るための圧力を付加する殺菌用洗浄液用ポンプ11cとを有する。殺菌用洗浄液タンク7、殺菌用洗浄液用ノズル11a、殺菌用洗浄液用供給管11bの材質は、例えば、ポリオレフィンや塩化ビニル等の樹脂製とすることができる。
殺菌用洗浄液用ノズル11aからエバポレータ3表面に殺菌用洗浄液を供給する方法は、流体物理洗浄の方法により異なる。(1)殺菌用洗浄液により流体物理洗浄を行う場合には、殺菌用洗浄液記エバポレータ3の表面と接触しながら流動するようにして供給する場合には、殺菌用洗浄液用ノズル11aをシャワーヘッドとし、殺菌用洗浄液用ポンプ11cの圧力により、図2に示すように放射状に噴射し、流体物理洗浄が有効に起こるような一定の流水状態を保つようにする方法が好適に採用される。また、(2)リンス液により流体物理洗浄を行う場合には、殺菌用洗浄液用ノズル11aにおいて超音波により殺菌用洗浄液を微細な液滴とし、ミスト状にして噴霧する方法を用いることが好ましい。この場合、微細な液滴がエバポレータ3の表面全体にほぼ均一に付着した状態で噴霧を中止すれば殺菌に必要な液滴はエバポレータ3の表面上に保持されるので、殺菌用洗浄液の使用量を大幅に低減することができる。また、紫外線照射中も継続して噴霧を続けることも勿論可能である。この場合には、液滴が成長して緩やかに表面を伝って、エバポレータ3の下部へと滴下する(矢印D2参照)ことになり、弱いながらも一定の流体物理洗浄効果が期待される。噴霧を中止してから紫外線照射を行った場合および継続噴霧して紫外線照射を行った場合であって流体物理洗浄効果がさほど期待できない場合には、リンス液を用いた流体物理洗浄が行われる。
リンス液を用いた流体物理洗浄は、図示しないリンス液用タンクに貯留されたリンス液を図示しないポンプで圧送し、図示しないシャワーヘッド等のノズルからリンス液をエバポレータ3の表面に向けて噴射するようにすればよい。
前記したように、本発明の方法では、微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に、前記殺菌洗浄液以外の洗浄液が接触して流動するようにして、前記エバポレータの表面に前記洗浄液を供給して、前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う、プレ洗浄工程を更に含み、当該プレ洗浄工程を前記殺菌用洗浄液供給工程の前に行う、ことが好ましい。プレ洗浄工程を行う場合には、図示しないプレ洗浄工程用の洗浄液用タンクに貯留された洗浄液を図示しないポンプで圧送し、図示しないシャワーヘッド等のノズルから前記洗浄液をエバポレータ3の表面に向けて噴射するようにすればよい。このとき、洗浄液タンク及び洗浄液としては、ウィンドウォッシュ機構で使用されているものをそのまま使用(併用)することが好ましい。
エバポレータ3の下部へ滴下又は流れ落ちた殺菌用洗浄液、リンス液およびプレ洗浄工程で用いた洗浄液は、矢印D1の流路を通ってドレンパンの排出口から車外へ廃棄される。
紫外線光源12は、紫外線をエバポレータ3の表面に照射可能な光源である。紫外線光源12は、紫外線をエバポレータ3の表面に照射可能な光源であれば特に限定されないが、一つ以上の紫外線発光ダイオード(UV−LED)を用いることが好ましい。紫外線発光ダイオードは半値幅が狭いことから特定波長の紫外線を選択的に照射し易く、長寿命で消費電力が小さいという利点を有する。紫外線光源12として、紫外線発光ダイオードを用いる場合には、例えば、基板上に紫外線発光ダイオードを、出射光がエバポレータ3に向かうように、配置すればよい。紫外線発光ダイオードは、パッケージ化またはモジュール化されていることが好ましく、平行光のような指向性の強められた光を出射するような構造、例えばコリメートレンズを有するパッケージ内に収納されていることが好ましい。
エバポレータ3の表面に接触している状態の殺菌用洗浄液に紫外線が照射されると、エバポレータ3の表面と接触している状態の殺菌用洗浄液中でOHラジカルが発生し、OHラジカルの作用によりエバポレータ3の表面の有害微生物が死滅させられ、更に有機物汚れも分解される。
紫外線光源12は、自動車のバッテリーから電力を供給されて発光し、エバポレータ3へと紫外線を照射する。紫外線光源12から照射された光は紫外線透過窓13を通過してケース1内に進入し、エバポレータ3の表面と接触している状態の殺菌用洗浄液に照射される。図2にケース1内における光の進行方向を白抜き矢印で示した。図2に一点鎖線で示したように、エバポレータ3の上流側(紙面右側)全面を殺菌する観点から、紫外線はエバポレータ3の上流側全面に照射されることが好ましい。紫外線の照射面積がエバポレータ3の上流側全面の面積よりも狭い場合には、紫外線透過窓13のケース1内面又は外面に光拡散フィルムを配置し、照射範囲を広げてもよい。
本発明においては、前記エバポレータ3から落下する使用済殺菌用洗浄液を受けて装置外に排出するためのドレンパンの表面に紫外線を照射するようにすることが好ましい。こうすることにより、ドレンパンでの有害微生物の繁殖をより確実に防止することができる。
本発明の自動車用空気調和装置において、殺菌用洗浄液は、予め調製されたもの、たとえば消毒液などとして市販されている過酸化水素をそのまま又は水で希釈して殺菌用洗浄液タンク7に外部から供給するようにしてもよいが、過酸化水素水製造装置を付設して、当該過酸化水素水製造装置で製造された過酸化水素水をタンク7に供給するようにしてもよい。さらに、過酸化水素水製造装置が殺菌用洗浄液タンク7を兼ねることができる場合には、過酸化水素水製造装置から直接エバポレータ表面に供給するようにしてもよい。
過酸化水素水製造装置としては、例えば前記特許文献4に開示されているような「水素イオン伝導性を有する電解質膜である高分子電解質膜32、当該高分子電解質膜32を挟んで一方の面に接するように配設される陽極電極(図示せず)、他方の面に接するように配設される陰極電極(図示せず)で構成される電解セル31を備え、前記陽極電極には陽極端子(図示せず)が、前記陰極電極には陰極端子(図示せず)が夫々取付けられており、前記高分子電解質膜32、前記陽極電極および前記陰極電極は水密シート(図示せず)を介してネジにより固定されており、前記電解セル陽極側には陽極貯水部33が、陰極側には陰極貯水部34が夫々設けられている、過酸化水素製造装置30」が使用できる。
特許文献4によれば、上記過酸化水素製造装置では、次のようにして過酸化水素水を製造される。すなわち、陽極端子と陰極端子に直流電源が接続されて、陽陰極間に連続的もしくは断続的に1.5〜10Vの直流電圧を印加しながら電解セル31が作動させられる。このとき陽極貯蔵部33に集められた水は、陽極電極を通過して高分子電解質膜32に接触する。そして、水は高分子電解質膜32に吸収され、高分子電解質膜32内を拡散し、保持される。陽極電極では、供給された水が下記反応式(1)で示すように酸素(O2)と水素イオン(H+)とに分けられる。直流電源により電圧を印加すると、電流が流れ、陽極電極の表面から酸素分子が発生する。高分子電解質膜32は、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水および水素イオン(H+)のみを伝導する性質を有するので、陰極側から酸素(O2)を含有するガスおよび水(H2O)が供給されると、陰極電極上で高分子電解質膜32との界面に達した陽極電極から伝導した水素イオン(H+)、および水素イオン(H+)に起因する還元性物質と酸素ガス(O2)が反応し、下記反応式(2)で示す還元反応によって過酸化水素(H2O2)が発生する。この過酸化水素を含む水溶液は、陰極貯蔵部34に溜められ時間をかけるほど濃度が高まっていく。
陽極: 2H2O → O2+ 4H+ + 4e− (1)
陰極: O2 + 2H+ + 2e− → H2O2 (2)
過酸化水素水製造装置を付設する場合には、無給水運転を行うことが可能となるという理由から、ドレン水や、本発明の自動車用空気調和装置の登載車が燃料電池車である場合には燃料電池で発電を行ったときに生成する水(生成水)を原料として過酸化水素水を製造することが好ましい。
陰極: O2 + 2H+ + 2e− → H2O2 (2)
過酸化水素水製造装置を付設する場合には、無給水運転を行うことが可能となるという理由から、ドレン水や、本発明の自動車用空気調和装置の登載車が燃料電池車である場合には燃料電池で発電を行ったときに生成する水(生成水)を原料として過酸化水素水を製造することが好ましい。
図3に、ドレン水を過酸化水素水の原料及び/又リンス液として使用する場合の殺菌用洗浄液及びリンス液の流れを模式的に示した。図3に示す態様では、殺菌機構を作動させていない空気調和装置の稼働時において、排液ライン50に通じるストップバルブ35aを閉状態とし、ドレンタンク14に通じるストップバルブ35bを開状態とすることにより、ドレンパン8の排出口9から排出されたドレン水は、ドレンタンク14に導かれる。ドレンタンク14は、液体用フィルタ38を用いたフィルタ機構Fと、堰37によって分割された2つの貯留部を有するオーバーフロー機構36を備えている。ドレンタンク14に導かれたドレン水は、堰37を越えてオーバーフローする直前に液体用フィルタ38によって処理され、排水口からの流出時に混入していた微細な埃等の固体不純物が取り除かれ手からドレンが堰37を越えて、精製ドレン水貯留部39に溜められる。このとき、固形不純物は、堰37を越える前の貯留部において重力により沈降して、フィルタ処理される上澄み液には殆ど含まれない状態となっているので、目開きの非常に小さい液体用フィルタ38を用いても目詰まりすることが無く、高度なフィルタ処理が可能となっている。精製ドレン水貯留部39に溜められたフィルタ処理済みの精製ドレン水は、過酸化水素水の原料水及びリンス水として使用される。過酸化水素水の原料水と使用される場合には、ストップバルブ35dを閉の状態とすると共にストップバルブ35eを開の状態として、精製ドレン水を過酸化水素水製造装置30の陽極室33に供給し、過酸化水素水製造装置30を稼働させて、過酸化水素水を製造する。製造された過酸化水素水は陰極室34に溜まるようになっているので、殺菌用洗浄液としてエバポレータ3の表面に供給するときには、ポンプ11cを起動してノズル11aから殺菌用洗浄液を噴霧すればよい。精製ドレン水をリンス液として使用する場合には、ストップバルブ35eを閉の状態とすると共にストップバルブ35dを開の状態とし、さらにリンス液供給ライン40のポンプ40cを起動して供給管40bを通してノズル40aからエバポレータ3の表面に向けて噴射すればよい。
図4には、ドレン水及び燃料電池車の燃料電池で生成した生成水を利用する場合の、殺菌用洗浄液及びリンス液の流れを模式的に示した。図4に示す態様では、殺菌用洗浄液供給手段11は、リンス液供給ラインとは分離して設けられている。すなわち、燃料電池Bで生成した生成水は生成水供給ライン60を通して過酸化水素水製造装置30の陽極室33に供給されるようになっている。そして陰極室34に溜められた過酸化水素水は殺菌用洗浄液供給手段11によってノズル11aからエバポレータ3の表面に向けて噴霧される。該態様において、リンス液としてはドレン水が使用される。ドレン水をリンス液として使用するときは、図3に示す場合と同様にしてドレン水をドレンタンク14´に導いて溜め、ポンプ40cを起動して、供給管40bを通してノズル40aから噴射すればよい。
なお、図3および図4に示す何れの態様においても、殺菌・洗浄工程、更にはプレ洗浄工程を行う場合には、ストップバルブ35bを閉の状態とすると共にストップバルブ35aを開の状態として、夫々使用済みの殺菌用洗浄液、リンス液及びプレ洗浄の洗浄液は、排液ライン50から外部に廃棄される。
本発明において、殺菌機構20は、自動車の駆動エンジン又は駆動モーターの起動及び/又は停止を検知する検知手段と、該検知手段からの信号により前記殺菌機構20を所定時間稼働させる制御手段と、を更に有することが好ましい。こうすることによりエバポレータ3の殺菌がこまめに確実に行われるので、常に清浄な状態を長期にわたって保つことができる。有害微生物の繁殖は主に自動車が長時間停止している間に起こるので、停止時、特にドレン水や生成水を利用する場合には、所定時間空気調和装置を連続稼働した運転終了後に前記殺菌機構を作動させるのがより好ましい。
また、本発明においては、殺菌用洗浄液やリンス液が準備されていれば、任意のタイミングで、殺菌機構20により、殺菌を行うことも勿論可能である。
本発明に関する上記説明では、紫外線光源12がケース1の外部に配置されている形態の自動車用空気調和装置100を例示したが、本発明はこれに限定されず、紫外線光源はケース1の内部に設けられ、紫外線透過窓13を介さずに直接エバポレータ3に照射される形態としてもよい。
本発明に関する上記説明では、ブロアファン2、エバポレータ3、ヒーターコア4が同一のケース2内に収められている形態の自動車用空気調和装置100を例示したが、本発明はこれに限定されず、これら部材は異なるケース内に収められていてもよい。この場合、エバポレータを収容するケースに上記例示した殺菌機構を備えさせることが可能である。
本発明に関する上記説明では、エバポレータ3の上流側(図1の紙面右側)側から、殺菌用洗浄液の供給及び紫外線の照射を行う形態の自動車用空気調和装置100を例示したが、本発明はこれに限定されず、エバポレータ3の下流側(図1の紙面左側)から、エバポレータに殺菌用洗浄液の供給及び紫外線の照射を行う形態としてもよい。
1 ケース
2 ブロアファン
3 エバポレータ
4 ヒーターコア
5 エアミックスドア
6 フィルタ
7 殺菌用洗浄液タンク
8 ドレンパン
9 排出口
11 殺菌用洗浄液供給手段
11a 殺菌用洗浄液用ノズル
11b 殺菌用洗浄液用供給管
11c 殺菌用洗浄液用ポンプ
12 紫外線光源
13 導光板(or紫外線透過窓)
14、14´ ドレンタンク
20 殺菌機構
30 過酸化水素製造装置
31 電解セル31
32 高分子電解質膜
33 陽極貯水部
34 陰極貯水部
35a、35b、35c、35d、35e ストップバルブ
36 オーバーフロー機構
37 堰
38 液体用フィルタ
39 精製ドレン水貯留部
40 リンス液供給ライン
40a リンス液用ノズル
40b リンス液用供給管
40c リンス液用ポンプ
50 排液ライン
60 生成水供給ライン
100 自動車用空気調和装置
B 燃料電池
F フィルタ機構
2 ブロアファン
3 エバポレータ
4 ヒーターコア
5 エアミックスドア
6 フィルタ
7 殺菌用洗浄液タンク
8 ドレンパン
9 排出口
11 殺菌用洗浄液供給手段
11a 殺菌用洗浄液用ノズル
11b 殺菌用洗浄液用供給管
11c 殺菌用洗浄液用ポンプ
12 紫外線光源
13 導光板(or紫外線透過窓)
14、14´ ドレンタンク
20 殺菌機構
30 過酸化水素製造装置
31 電解セル31
32 高分子電解質膜
33 陽極貯水部
34 陰極貯水部
35a、35b、35c、35d、35e ストップバルブ
36 オーバーフロー機構
37 堰
38 液体用フィルタ
39 精製ドレン水貯留部
40 リンス液供給ライン
40a リンス液用ノズル
40b リンス液用供給管
40c リンス液用ポンプ
50 排液ライン
60 生成水供給ライン
100 自動車用空気調和装置
B 燃料電池
F フィルタ機構
Claims (9)
- 過酸化水素の水溶液からなる殺菌用洗浄液を用いて、自動車用空気調和装置におけるエバポレータを殺菌及び/又は洗浄するための方法であって、
微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に前記殺菌用洗浄液が接触するようにして、前記エバポレータの表面に前記殺菌用洗浄液を供給する殺菌用洗浄液供給工程、
前記エバポレータの表面と接触している状態の前記殺菌用洗浄液に紫外線を照射して、前記微生物及び/又は汚れ成分の殺菌及び/又は分解を行う殺菌・分解工程、並びに
前記殺菌・分解工程中に、又は前記殺菌・分解工程終了後であって前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面上に残存している期間中に、前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う、
ことを特徴とする、前記方法。 - 微生物及び/又汚れ成分が付着したエバポレータの表面に、前記殺菌洗浄液以外の洗浄液が接触して流動するようにして、前記エバポレータの表面に前記洗浄液を供給して、前記エバポレータ表面の流体物理洗浄を行う、プレ洗浄工程を更に含み、当該プレ洗浄工程を前記殺菌用洗浄液供給工程の前に行う、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記殺菌用洗浄液供給工程において前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら流動するようにして前記殺菌用洗浄液の供給を行い、当該流動によって、前記殺菌・分解工程中に前記流体物理洗浄を行う、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記殺菌用洗浄液供給工程において前記殺菌用洗浄液が前記エバポレータの表面と接触しながら保持されるようにして前記殺菌用洗浄液の供給を行い、前記殺菌・分解工程において前記エバポレータの表面と接触しながら保持されている前記殺菌用洗浄液に紫外線を照射し、更に殺菌・分解工程終了後に、リンス液を前記エバポレータの表面を流動するようにして供給し、当該リンス液の流動によって前記流体物理洗浄を行う、請求項1又は2に記載の方法。
- 220nm以上380nm以下の波長領域であって250nmを越え280nm以下の波長領域を除く波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオードと、250nm以上280nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオードとを併用して、前記殺菌・分解工程における紫外線照射を行うことを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
- 自動車用空気調和装置稼働時においてエバポレータ表面に凝結した凝結水を捕集し、捕集された凝結水を過酸化水素水の原料及び/又リンス液として使用する、請求項1乃至5の何れかに記載の方法。
- 燃料電池車用空気調和装置におけるエバポレータを殺菌及び/又は洗浄するための方法であり、燃料電池で生成する水を捕集し、捕集された凝結水を過酸化水素水の原料及び/又リンス液として使用する、請求項1乃至5の何れかに記載の方法。
- 請求項3に記載される方法によりエバポレータの殺菌及び洗浄を行うエバポレータの殺菌洗浄機構を備えた自動車用空気調和装置であって、
前記殺菌洗浄機構は、
前記殺菌用洗浄液を、前記エバポレータの表面に、前記エバポレータの表面と接触しながら流動するようにして供給可能な殺菌用洗浄液供給手段と、
前記エバポレータ表面に向けて紫外線を照射可能な紫外線光源と、
第一の制御手段と、を備え、
前記第一の制御手段は、前記殺菌用洗浄液供給手段作動中に前記紫外線光源を作動させるように制御を行う、ことを特徴とする、自動車用空気調和装置。 - 請求項4に記載される方法によりエバポレータの殺菌及び洗浄を行うエバポレータの殺菌洗浄機構を備えた自動車用空気調和装置であって、
前記殺菌洗浄機構は、
前記殺菌用洗浄液を、前記エバポレータの表面に、前記洗浄液が前記エバポレータの表面に接触して保持されるようにして供給可能な殺菌用洗浄液供給手段と、
前記エバポレータ表面に向けて紫外線を照射可能な紫外線光源と、
リンス液を前記エバポレータの表面を流動するようにして供給可能なリンス液供給手段と、
第二の制御手段と、を備え、
前記第二の制御手段は、前記殺菌用洗浄液供給手段作動終了後に前記紫外線光源を作動させ、前記紫外線光源作動終了後に前記リンス液供給手段を作動させるように制御を行う、ことを特徴とする、自動車用空気調和装置。
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|---|---|---|---|---|
| US11007292B1 (en) | 2020-05-01 | 2021-05-18 | Uv Innovators, Llc | Automatic power compensation in ultraviolet (UV) light emission device, and related methods of use, particularly suited for decontamination |
| WO2025033496A1 (ja) * | 2023-08-10 | 2025-02-13 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 殺菌システム、及び殺菌方法 |
-
2017
- 2017-04-17 JP JP2017081345A patent/JP2018177055A/ja active Pending
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| US11007292B1 (en) | 2020-05-01 | 2021-05-18 | Uv Innovators, Llc | Automatic power compensation in ultraviolet (UV) light emission device, and related methods of use, particularly suited for decontamination |
| US11020502B1 (en) | 2020-05-01 | 2021-06-01 | Uv Innovators, Llc | Ultraviolet (UV) light emission device, and related methods of use, particularly suited for decontamination |
| US11116858B1 (en) | 2020-05-01 | 2021-09-14 | Uv Innovators, Llc | Ultraviolet (UV) light emission device employing visible light for target distance guidance, and related methods of use, particularly suited for decontamination |
| US11565012B2 (en) | 2020-05-01 | 2023-01-31 | Uv Innovators, Llc | Ultraviolet (UV) light emission device employing visible light for target distance guidance, and related methods of use, particularly suited for decontamination |
| US11883549B2 (en) | 2020-05-01 | 2024-01-30 | Uv Innovators, Llc | Ultraviolet (UV) light emission device employing visible light for operation guidance, and related methods of use, particularly suited for decontamination |
| WO2025033496A1 (ja) * | 2023-08-10 | 2025-02-13 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 殺菌システム、及び殺菌方法 |
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