JP2018168424A - 希土類イオンの高精密相互分離法 - Google Patents
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Abstract
Description
酸素原子又は窒素原子を配位原子とする単座配位子化合物を加えると上記2種の希土類錯体のうち一方のみ分離可能なことを見出した。また、多座配位子化合物の構造を変化させることで、それによって形成される希土類錯体の構造も変化し、それに伴いイオンサイズの境界を移動させることも可能であることを見出した。よって、希土類錯体の構造変化が生じるイオンサイズの境界の位置が、特定の希土類イオンの原子番号の両隣にある多座配位子化合物を用いることで、特定の希土類イオンを選択的に分離回収することが可能になり、本発明を完成させた。
<1> 2種以上の希土類イオンを含む溶液に構造式(1)で表されるアミド基及び複素環窒素を有する多座配位子化合物を加え希土類イオンに構造式(1)が配位した錯体を形成する第一の錯体形成工程、続いて構造式(2)〜(6)で表される単座配位子化合物なる群より選ばれる少なくとも1種を第一の錯体形成工程で得られた溶液に加えることで、性質の異なる錯体を形成する第二の錯体形成工程、第二の錯体形成工程で形成された、性質の異なる錯体を当該性質の相違に基づいて分離する分離工程、を含む、希土類イオンの分離方法。
〜6は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜19の鎖式炭化水素基、置
換基を有していてもよい炭素数3〜11の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R3〜R9は互いに結合して環を形成していてもよい。m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。)
化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R31〜R36は互いに結合して環を形成していてもよい。)
<2> 前記分離工程が、第二の錯体形成工程で得られた溶液から沈殿物を回収することを含む、<1>に記載の希土類イオンの分離方法。
<3>前記<1>第二の錯体形成工程後の溶液に、前記第一の錯体形成工程で使用したものと異なる構造式(1)で表される多座配位子化合物を加える工程、続いて上記の構造式(2)〜(6)で表される化合物の少なくとも1種を加える工程をさらに含む、<1>又は<2>に記載の希土類イオンの分離方法。
<4> <1>〜<3>のいずれかに記載の方法に用いるための、構造式(1)で表されるアミド基及び複素環窒素を有する多座配位子化合物と、構造式(2)〜(6)で表される単座配位子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせることを特徴とする、希土類イオンの選択的回収試薬。
〜6は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜19の鎖式炭化水素基、置
換基を有していてもよい炭素数3〜11の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R3〜R9は互いに結合して環を形成していてもよい。m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。)
49は互いに結合して環を形成していてもよい。)
可能である。
本発明の一実施形態に係る希土類イオンの分離回収方法では、被対象溶液に含まれる希土類イオンが、原子番号57〜71のランタノイドイオン及びイットリウムイオンからなる群より選択された2種以上のイオンであることをことが好ましく、プラセオジウムイオン、ネオジムイオン及びサマリウムイオンからなる群より選択された2種以上であることがより好ましい。これらイオンは三価である。
分離の目的とする希土類イオンは一種類の元素に限定されるものではなく、同時に複数の希土類イオンを分離してもよい。これら希土類イオンが水溶液又は低級アルコール等の親水性有機溶媒に溶解しているものを被対象溶液とする。尚、希土類イオン以外の金属イオンが含まれていても良い。
第一の錯体形成工程では、2種以上の希土類イオンを含む溶液に構造式(1)で表されるアミド基及び複素環窒素を有する多座配位子化合物を加え希土類イオンに構造式(1)が配位した錯体を形成する。具体的には、例えば、前記の被対象溶液に含まれる希土類イオンのモル濃度の5倍程度のモル濃度の式(1)で表される多座配位化合物を添加する。多座配位子化合物は、水溶液又は低級アルコール等の親水性有機溶媒に溶解し、多座配位子化合物含有溶液を調製して用いればよい。
〜6は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜19の鎖式炭化水素基、置
換基を有していてもよい炭素数3〜11の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R3〜R9は互いに結合して環を形成していてもよい。m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。)
ここで、R3〜R9は互いに結合して環を形成していてもよいとは、R3およびR4の
末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、R4およびR5の末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、R5およびR6の末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、R6およびR7の末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、R7およびR8の末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、R8およびR9の末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよいことを意味する。
また、窒素原子を含む2つの複素環(ピリジル基を成す部分構造)は芳香族環を介して繋がれていなくてもよい。すなわち、式(1)中、R5とR6が結合して芳香環を形成していてもよい。また、窒素原子を含む2つの複素環は5員環や7員環であってもよい。
等がそれぞれ挙げられる。
また、NdとSmの分離の観点から、式(7)において、R1がフェニル基、R2がメチル基、R3、R4、R5’、R6’、R7〜R9が水素の組み合わせが好ましい。また、式(7)において、PrとNdの分離の観点から、R1がトリル基、R2がメチル基、R3、R4、R5’、R6’、R7〜R9が水素の組み合わせが好ましい。
第二の錯体形成工程では、第一の錯体形成工程に続いて構造式(2)〜(6)で表される単座配位子化合物なる群より選ばれる少なくとも1種を第一の錯体形成工程で得られた溶液に加えることで、性質の異なる錯体を形成する。
例えば、第一の工程で形成された2種類の式(1)で表される化合物と希土類イオンとの希土類錯体の錯体構造を認識し、2種の錯体のうちいずれか一方を沈殿させることがで
きる特定の酸素原子又は窒素原子を配位原子とする単座配位化合物を、添加することにより、性質の異なる第二の錯体を形成する。具体的には、例えば、特定の単座配位子化合物をエタノールに溶解し単座配位子化合物含有エタノール溶液を調製して、第一の工程で得られた溶液に分離目的の希土類イオン濃度と等倍濃度程度で添加すればよい。第二の錯体形成工程で生成した、性質の異なる錯体は、エタノールへの溶解度が異なることで、沈殿を生じ、希土類イオンを分離できる。溶媒の種類や温度を変えることにより、溶解度を変化させ、より選択的に分離することも可能である。
ここで、R21〜R23は互いに結合して環を形成していてもよいとは、R21〜R23のいずれか2つの末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよいことを意味する。
ここで、R31〜R36は互いに結合して環を形成していてもよいとは、R31〜R36のいずれか2つの末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよいことを意味する。
ここで、R41〜R49は互いに結合して環を形成していてもよいとは、R41〜R49のいずれか2つの末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよいことを意味する。
ここで、R51〜R53は互いに結合して環を形成していてもよいとは、R51〜R53のいずれか2つの末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよいことを意味する。
ここで、R61〜R65は互いに結合して環を形成していてもよいとは、R61〜R65のいずれか2つの末端原子が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよいことを意味する。
上記の式(2)〜(6)で表される化合物は、合成して用いてもよいし、市販のものを購入して用いてもよい。
(S)−(+)−2−アミノ−3−メチルブタン(式(2)において、R21が水素、R22がメチル基、R23がイソプロピル基であって光学活性がS体のもの)からなる群より選ばれる少なくとも1種を組み合わせることが好ましい。
NdとPrの分離の観点から、式(7)において、R1がトリル基、R2がメチル基、R3、R4、R5’、R6’、R7〜R9が水素の化合物と、(R)−(−)−s−ブチルアミン(式(2)において、R21が水素、R22がメチル基、R23がエチル基であって光学活性がR体のもの)、(R)−(−)−2−アミノ−3−メチルブタン(式(2)において、R21が水素、R22がメチル基、R23がイソプロピル基であって光学活性がR体のもの)、(+)−ビス[(R)−1−フェニルエチル]アミン(式(3)において、R31およびR34が水素、R32およびR35がメチル基、R33およびR36がフェニル基であって光学活性がいずれもR体のもの)、(S)−(+)−s−ブチルアミン(式(2)において、R21が水素、R22がメチル基、R23がエチル基であって光学活性がS体のもの)、(S)−(+)−2−アミノ−3−メチルブタン(式(2)において、R21が水素、R22がメチル基、R23がイソプロピル基であって光学活性がS体のもの)、及び(−)−ビス[(S)−1−フェニルエチル]アミン6(式(3)において、R31およびR34が水素、R32およびR35がメチル基、R33およびR36がフェニル基であって光学活性がいずれもS体のもの)からなる群より選ばれる少なくとも1種を組み合わせることが好ましい。
第二の錯体形成工程後、第二の錯体形成工程で形成された、性質の異なる錯体を当該性質の相違に基づいて分離する。
分離工程に用いる方法は、当該性質の相違に基づくものであればよく、例えば、溶解度の相違による沈殿の生成、溶媒抽出、吸着分離などが挙げられる。生成した沈殿物は、濾過、遠心分離等の公知の方法により回収すればよい。
本実施形態においては、操作性の観点から、分離工程が、第二の錯体形成工程で得られた溶液から沈殿物を回収することを含むことが好ましい。
本実施形態により、簡便な操作により、特定の希土類イオンを選択的に分離回収することを実現できる。
上記の構造式(7)で表される化合物のうち、R1がフェニル基、R2がメチル基、R3、R4、R5’、R6’、R7〜R9が水素のものを、以下の方法で合成した。以下の合成法で用いた試薬はいずれも市販のものを用いた。
8−アミノキノリン(5.00g)を70%硫酸水溶液20mlに溶解させ、そこにヨウ化ナトリウム(0.52g)を加えた。この溶液を110℃の油浴中で攪拌しながら、クロトンアルデヒド(4.86g)を3時間かけて徐々に滴下し、その後、さらに110℃の油浴中で3時間加熱還流した。還流終了後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて溶液を弱塩基性にし、エバポレーターで溶液を濃縮した。残った溶液からジクロロメタン50mlを用いて抽出操作を5回行い、取り出した有機相を集めてエバポレーターで乾固した。これをシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけることで、2−メチル−1,10−フェナントロリンを単離した。クロマトグラフィーの溶離液には酢酸エチルを用いた。化合物の同定には1H−NMRを用いた。収量は2.92g,収率は43%であった。
上記で得られる2−メチル−1,10−フェナントロリン(4.51g)をナスフラスコに量り取り、2Mの硫酸水溶液16mlに溶解させた。この溶液を110℃の油浴中で加熱還流しながら、過マンガン酸カリウム(18.49g)と2Mの硫酸水溶液32mlを8時間かけてゆっくりと加え、その後、さらに110℃の油浴中で1時間加熱還流した。還流終了後、水酸化ナトリウム飽和水溶液を加え溶液を強塩基性にし、この溶液を空気中で2日間激しく撹拌した。沈殿物をガラスフィルターでろ過して取り、残った溶液をジクロロメタン60mlで5回洗浄した。洗浄した水溶液に濃塩酸を加えて溶液のpHを2.5に調整し、この溶液からジクロロメタン30mlを用いて抽出操作を5回行った。取り出した有機相を集めてエバポレーターで乾固し、ジエチルエーテル10mlで3回洗浄後、真空乾燥することで、1,10−フェナントロリン−2−カルボン酸を得た。化合物の同定には1H−NMRを用いた。収量は1.95g,収率は38%であった。
上記で得られる1,10−フェナントロリン−2−カルボン酸(0.30g)をナスフラスコに量り取り、塩化チオニル(3.19g)を加え、90℃の油浴中で8時間加熱還流した。エバポレーターで塩化チオニルを完全に留去し、残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1mlに溶解させた。この溶液にN−メチルアニリン(1.44g)を加え、70℃の油浴中で16時間撹拌した。エバポレーターでDMFを留去し、残留物をクロロホルム30mlに溶解させた。この溶液を1Mの水酸化ナトリウム水溶液30mlで3回、水30mlで3回洗浄した後、エバポレーターで溶媒を留去した。これをシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけることで、上記の構造式(7)で表される化合物のうち、R1がフェニル基、R2がメチル基、R3、R4、R5’、R6’、R7〜R9が水素のものを得た。クロマトグラフィーの溶離液にはクロロホルムを用いた。化合物の同定には1H−NMRを用いた。収量は0.22g,収率は54%であった。
(ネオジム(Nd)とサマリウム(Sm)の分離)
硝酸ネオジム6水和物(0.219g)および硝酸サマリウム6水和物(0.222g)をエタノール(50ml)に投入し、それぞれの金属イオン濃度を10mMとした。ここに、上記の構造式(1)で表される化合物のうち、R1がフェニル基、R2がメチル基、R3〜R9が水素のものが50mMの濃度で含まれるエタノール溶液を添加した。この際、混合する金属イオンの溶液と化合物の溶液の体積比は1:1とした。この操作によって硝酸ネオジム6水和物および硝酸サマリウム6水和物がそれぞれ5mMずつ、また構造式(1)で表される化合物が25mMの濃度で含まれるエタノール溶液を得て、これによりNdとSmとで構造の異なる錯体が形成された。なお、実験中、溶液を加温することなく、室温(25℃±1℃)で行った。
がメチル基、R23がイソプロピル基のものであって、これらの官能基による光学活性がS体のもの((S)−(+)−2−アミノ−3−メチルブタン)が5mMの濃度で含まれるエタノール溶液を添加した。なお、これより以下に記す上記の構造式(2)で表される化合物は、いずれもシグマアルドリッチ社製のものをそのまま用いた。この際、混合する金属イオンの溶液と構造式(2)で表される化合物を含む配位子の溶液の体積比は1:1とした。この操作で得られるエタノール溶液の最終濃度は、硝酸ネオジム6水和物および硝酸サマリウム6水和物がそれぞれ2.5mMずつ、構造式(1)で表される化合物が12.5mM、構造式(2)で表される化合物が2.5mMとなるように調製した。この溶液を室温で1日程度静置することで沈殿物を得た。沈殿物を濾過により回収・乾燥し、1Mの硝酸水溶液に再溶解させ、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy:ICP−AES)により純度を測定した。
溶液に含まれるNdとSmのうち、Smを含む錯体が選択的に沈殿した。一連の操作一回で得られる沈殿物中に含まれるSm錯体の純度は85%以上であり、回収率は70%程度であった。この工程で得られた沈殿物の組成を図1に示した。図1中、縦軸の番号が5のものが本実施例による結果である。なお、従来の分離方法のうち、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸等のリン系抽出剤による溶媒抽出法において、一回の抽出操作で得られるSmの純度は55%程度である(非特許文献1、非特許文献2)。このように、本発明による分離方法は従来法と比較して非常に優れたものであることがわかった。
第二の工程で用いた溶液に添加した化合物を上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がエチル基のものであって光学活性がR体のもの((R)−(−)−s−ブチルアミン)とした以外は、実験例1−1と同様にして、NdとSmの分離を行った。結果は、図1の縦軸の番号が1のものである。
第二の工程で用いた溶液に添加した化合物を上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がイソプロピル基のものであって光学活性がR体のもの((R)−(−)−2−アミノ−3−メチルブタン)とした以外は、実験例1−1と同様にして、NdとSmの分離を行った。結果は、図1の縦軸の番号が2のものである。
第二の工程で用いた溶液に添加した化合物を上記の構造式(3)で表される化合物のうち、R31およびR34が水素、R32およびR35がメチル基、R33およびR36がフェニル基のもの((+)−ビス[(R)−1−フェニルエチル]アミン)であって光学活性がいずれもR体のものとした以外は、実験例1−1と同様にして、NdとSmの分離を行った。結果は、図1の縦軸の番号が3のものである。
第二の工程で用いた溶液に添加した化合物を上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がエチル基のものであって光学活性がS体のもの((S)−(+)−s−ブチルアミン)とした以外は、実験例1−1と同様にして、NdとSmの分離を行った。結果は、図1の縦軸の番号が4のものである。
第二の工程で用いた溶液に添加した化合物を上記の構造式(3)で表される化合物のうち、R31およびR34が水素、R32およびR35がメチル基、R33およびR36がフェニル基のものであって光学活性がいずれもS体のもの((−)−ビス[(S)−1−
フェニルエチル]アミン)とした以外は、実験例1−1と同様にして、NdとSmの分離を行った。結果は、図1の縦軸の番号が6のものである。
なお、図1中の縦軸の番号が3または6の場合は、沈殿物が析出しなかったことを示している。この場合、溶液の温度を下げることなどにより溶解度を変化させることや、溶液を濃縮することにより、沈殿物を析出することができる。
1,10−フェナントロリン−2−カルボン酸(0.50g)をナスフラスコに量り取り、塩化チオニル(5.40g)を加え、90℃の油浴中8時間加熱還流した。エバポレーターで塩化チオニルを完全に留去し、残留物をDMF1.5mlに溶解させた。この溶液にN−メチル−p−トルイジン(2.70g)を加え、80℃の油浴中で16時間撹拌した。エバポレーターでDMFを留去し、残留物をクロロホルム50mlに溶解させた。この溶液を1Mの水酸化ナトリウム水溶液50mlで3回、水50mlで3回洗浄した後、エバポレーターで溶媒を留去した。これをシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけることで、上記の構造式(7)で表される化合物のうち、R1がトリル基、R2がメチル基、R3、R4、R5’、R6’、R7〜R9が水素のものを得た。クロマトグラフィーの溶離液にはクロロホルムを用いた。化合物の同定には1H−NMRを用いた。収量は0.38g,収率は53%であった。
(プラセオジム(Pr)とネオジム(Nd)の分離)
硝酸プラセオジム6水和物(0.218g)および硝酸ネオジム6水和物(0.219g)をエタノール(50ml)に投入し、それぞれの金属イオン濃度を10mMとした。ここに、上記の式(7)で表される化合物のうち、R1がトリル基、R2がメチル基、R3〜R9が水素のものが50mMの濃度で含まれるエタノール溶液を添加した。この際、混合する金属イオンの溶液と配位子の溶液の体積比は1:1とした。この操作によって硝酸プラセオジム6水和物および硝酸ネオジム6水和物がそれぞれ5mMずつ、また構造式(1)で表される化合物が25mMの濃度で含まれるエタノール溶液を得て、これによりPrとNdとで構造の異なる錯体が形成された。
一連の操作一回で得られる沈殿物中に含まれるPr錯体の純度は65%以上であり、回収率は50%程度であった。この工程で得られた沈殿物の組成を図2に示した。図2中、縦軸の番号が3のものが本実施例による結果である。なお、従来の分離方法のうち、ジ(2−エチルヘキシル)リン酸等のリン系抽出剤による溶媒抽出法において、一回の抽出操
作で得られるSmの純度は53%程度である(非特許文献1、非特許文献2)。
第二の工程で用いた溶液に添加した化合物を上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がエチル基のものであって光学活性がR体のもの((R)−(−)−s−ブチルアミン)とした以外は、実験例2−1と同様にして、PrとNdの分離を行った。結果は、図2の縦軸の番号が1のものである。
第二の工程で用いた溶液に上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がイソプロピル基のものであって光学活性がR体のもの((R)−(−)−2−アミノ−3−メチルブタン)とした以外は、実験例2−1と同様にして、PrとNdの分離を行った。結果は、図2の縦軸の番号が2のものである。
第二の工程で用いた溶液に上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がエチル基のものであって光学活性がS体のもの((S)−(+)−s−ブチルアミン)とした以外は、実験例2−1と同様にして、PrとNdの分離を行った。結果は、図2の縦軸の番号が4のものである。
第二の工程で用いた溶液に上記の構造式(2)で表される化合物のうちR21が水素、R22がメチル基、R23がイソプロピル基のものであって光学活性がS体のもの((S)−(+)−2−アミノ−3−メチルブタン)とした以外は、実験例2−1と同様にして、PrとNdの分離を行った。結果は、図2の縦軸の番号が5のものである。
第二の工程で用いた溶液に上記の構造式(3)で表される化合物のうち、R1およびR4が水素、R32およびR35がメチル基、R33およびR36がフェニル基のものであって光学活性がいずれもS体のもの((−)−ビス[(S)−1−フェニルエチル]アミン)とした場合の結果である。
このように、特定の化合物を組み合わせて添加した場合に、選択性が発現し、効果的に希土類イオンを分離することができる。
Claims (4)
- 2種以上の希土類イオンを含む溶液に構造式(1)で表されるアミド基及び複素環窒素を有する多座配位子化合物を加え希土類イオンに構造式(1)が配位した錯体を形成する第一の錯体形成工程、続いて構造式(2)〜(6)で表される単座配位子化合物なる群より選ばれる少なくとも1種を第一の錯体形成工程で得られた溶液に加えることで、性質の異なる錯体を形成する第二の錯体形成工程、第二の錯体形成工程で形成された、性質の異なる錯体を当該性質の相違に基づいて分離する分離工程、を含む、希土類イオンの分離方法。
(式中、R1〜4、R7〜9は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表し、R5
〜6は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜19の鎖式炭化水素基、置
換基を有していてもよい炭素数3〜11の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R3〜R9は互いに結合して環を形成していてもよい。m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。)
(式中、R21〜23は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R21〜R23は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R31〜36は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R31〜R36は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R41〜49は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R41〜R49は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R51〜53は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を
有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R51〜R53は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R61〜65は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R61〜R65は互いに結合して環を形成していてもよい。) - 前記分離工程が、第二の錯体形成工程で得られた溶液から沈殿物を回収することを含む、請求項1に記載の希土類イオンの分離方法。
- 前記第二の錯体形成工程後の溶液又は分離工程により得られた物質を溶解させた溶液に、前記第一の錯体形成工程で使用したものと異なる構造式(1)で表される多座配位子化合物を加える工程、続いて上記の構造式(2)〜(6)で表される化合物の少なくとも1種を加える工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の希土類イオンの分離方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法に用いるための、構造式(1)で表されるアミド基及び複素環窒素を有する多座配位子化合物と、構造式(2)〜(6)で表される単座配位子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とを組み合わせることを特徴とする、希土類イオンの選択的回収試薬。
(式中、R1〜4、R7〜9は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表し、R5
〜6は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜19の鎖式炭化水素基、置
換基を有していてもよい炭素数3〜11の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R3〜R9は互いに結合して環を形成していてもよい。m、nは各々独立して、0〜2の整数を表す。)
(式中、R21〜23は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R21〜R23は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R31〜36は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R31〜R36は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R41〜49は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R41〜R49は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R51〜53は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R51〜R53は互いに結合して環を形成していてもよい。)
(式中、R61〜65は各々独立して水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜18の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。R61〜R65は互いに結合して環を形成していてもよい。)
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