JP2018033663A - 脈波計測装置および脈波計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脈波伝播速度を精度良く計測することができる脈波計測装置を提供する。【解決手段】脈波計測装置1は血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力する血管径計測部43と、径変化波形を微分演算して微分波形を出力する微分演算部44と、微分波形における遮断周波数以下の低周波成分を抽出した低周波波形を演算する低周波抽出部45と、遮断周波数を選定するための選定表データ36を記憶するメモリー28と、複数の位置における低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する速度演算部48と、を備え、低周波抽出部45は、微分波形の周波数分布を演算する周波数分布演算部46と、周波数分布と選定表データ36とを用いて遮断周波数を演算する遮断周波数演算部47と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、脈波計測装置および脈波計測方法に関するものである。
動脈硬化の進展を定量的に診断するための指標に脈波伝播速度が用いられている。血管が柔らかいと脈波伝播速度が遅く、血管が硬いと脈波伝播速度が速くなる。動脈硬化が進み、動脈壁の弾力性が失われた硬い血管では、脈波伝播速度が速くなる。従って、脈波伝播速度を計測することにより血管年齢を診断することができる。
脈波伝播速度を計測する装置が特許文献1に開示されている。それによると、2カ所で皮膚の表面から血管に超音波パルスを発信する。そして、2カ所で得られた血管の径変化から血管の脈動が移動する移動量の時間的変化を検出する。次に、血管の脈動が移動する移動量の時間的変化に基づいて脈波伝播速度を算出していた。
首の血管等超音波探触子を設置する血管の長さが短い場所がある。距離が短い2点間で脈波伝播速度を計測しようとした場合、非常に短い時間差を検出する必要がある。精度良く時間差を検出するには、ノイズの少ない信号が必要となる。脈波伝播速度を算出する際はノイズの影響を抑える為にフィルター処理が行なわれている。しかし、血管の脈波に含まれる信号帯域は人毎に異なる為、同じフィルター処理を行ったとき、脈波伝播速度の計測精度が劣化する場合がある。そこで、脈波伝播速度を精度良く計測することができる脈波計測装置が望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例にかかる脈波計測装置であって、血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力する血管径計測部と、前記径変化波形を微分演算して微分波形を出力する微分演算部と、前記微分波形における遮断周波数以下の低周波成分を抽出した低周波波形を演算する低周波抽出部と、前記遮断周波数を選定するための選定表を記憶する記憶部と、複数の位置における前記低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する速度演算部と、を備え、前記低周波抽出部は、前記微分波形の周波数分布を演算する周波数分布演算部と、前記周波数分布と前記選定表とを用いて前記遮断周波数を演算する遮断周波数演算部と、を備えることを特徴とする。
本適用例にかかる脈波計測装置であって、血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力する血管径計測部と、前記径変化波形を微分演算して微分波形を出力する微分演算部と、前記微分波形における遮断周波数以下の低周波成分を抽出した低周波波形を演算する低周波抽出部と、前記遮断周波数を選定するための選定表を記憶する記憶部と、複数の位置における前記低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する速度演算部と、を備え、前記低周波抽出部は、前記微分波形の周波数分布を演算する周波数分布演算部と、前記周波数分布と前記選定表とを用いて前記遮断周波数を演算する遮断周波数演算部と、を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、脈波計測装置は血管径計測部、微分演算部、低周波抽出部、記憶部及び速度演算部を備えている。血管径計測部は血管径の時間変化を計測する。そして、血管径の径変化波形を出力する。微分演算部は径変化波形を微分演算して微分波形を出力する。この微分演算は1次微分及び2次微分を含む。低周波抽出部は微分波形において遮断周波数以下の低周波成分を抽出した低周波波形を出力する。微分波形には周波数の高いノイズが含まれている。低周波抽出部がノイズを低減するので、低周波波形は含有するノイズの少ない波形になる。血管内を血液の脈流が流れるとき血管径が大きくなる場所が脈波伝播速度で移動する。そして、速度演算部が複数の位置における低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する。
低周波抽出部は、周波数分布演算部及び遮断周波数演算部を備えている。周波数分布演算部は微分波形の周波数分布を演算する。記憶部は遮断周波数を選定するための選定表を記憶する。遮断周波数演算部は周波数分布と選定表とを用いて遮断周波数を演算する。選定表は目標とする計測誤差に応じて遮断周波数を選定するための表である。周波数分布は被検体により異なる。そして、周波数分布及び選定表をもちいることによりノイズを低減するのに適切な遮断周波数を被検体の周波数分布にあわせて設定することができる。その結果、ノイズを低減できる為、脈波伝播速度を精度良く計測することができる。
[適用例2]
上記適用例にかかる脈波計測装置において、前記低周波抽出部は前記遮断周波数のローパスフィルターにて前記微分波形の低周波成分を抽出することを特徴とする。
上記適用例にかかる脈波計測装置において、前記低周波抽出部は前記遮断周波数のローパスフィルターにて前記微分波形の低周波成分を抽出することを特徴とする。
本適用例によれば、低周波抽出部はローパスフィルターにて微分波形の低周波成分を抽出する。微分波形に予め遮断周波数が演算されたローパスフィルターを適用して低周波成分を抽出するので、低周波成分を抽出する演算時間を短くすることができる。
[適用例3]
上記適用例にかかる脈波計測装置において、前記低周波抽出部は前記微分波形の周波数分布を演算して前記遮断周波数以下の前記周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力することを特徴とする。
上記適用例にかかる脈波計測装置において、前記低周波抽出部は前記微分波形の周波数分布を演算して前記遮断周波数以下の前記周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力することを特徴とする。
本適用例によれば、低周波抽出部は微分波形の周波数分布を演算する。そして、遮断周波数以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力する。従って、低周波波形を構成する波形の周波数を遮断周波数以下に精度よく限定できる。その結果、微分波形からノイズ成分を確実に低減することができる。
[適用例4]
上記適用例にかかる脈波計測装置において、前記速度演算部が前記複数の位置における前記低周波波形の時間差を演算するときは複数の前記低周波波形の相互相関関数を用いることを特徴とする。
上記適用例にかかる脈波計測装置において、前記速度演算部が前記複数の位置における前記低周波波形の時間差を演算するときは複数の前記低周波波形の相互相関関数を用いることを特徴とする。
本適用例によれば、複数の位置における低周波波形の時間差を演算するときは複数の低周波波形の相互相関関数が用いられている。相互相関関数では複数の低周波波形を時間軸に沿って移動させて低周波波形が一致する程度で時間差を演算する。従って、精度良く低周波波形の時間差を演算することができる。
[適用例5]
本適用例にかかる脈波計測方法であって、血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力し、前記径変化波形を微分演算して微分波形を出力し、前記微分波形の周波数分布を演算し、前記周波数分布と低周波抽出の遮断周波数を選定するための選定表とを用いて前記低周波抽出の遮断周波数を演算し、前記周波数分布に前記低周波抽出の遮断周波数を適用して前記微分波形の低周波成分を主に含む低周波波形を出力し、複数の位置における前記低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算することを特徴とする。
本適用例にかかる脈波計測方法であって、血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力し、前記径変化波形を微分演算して微分波形を出力し、前記微分波形の周波数分布を演算し、前記周波数分布と低周波抽出の遮断周波数を選定するための選定表とを用いて前記低周波抽出の遮断周波数を演算し、前記周波数分布に前記低周波抽出の遮断周波数を適用して前記微分波形の低周波成分を主に含む低周波波形を出力し、複数の位置における前記低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算することを特徴とする。
本適用例によれば、脈波計測方法は血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力する。そして、径変化波形を微分演算して微分波形を出力する。この微分演算は1次微分及び2次微分を含む。次に、微分波形の周波数分布を演算する。続いて、周波数分布と低周波抽出の遮断周波数を選定するための選定表とを用いて低周波抽出の遮断周波数を演算する。周波数分布は被検体により異なる。そして、周波数分布及び選定表をもちいることによりノイズを低減するのに適切な遮断周波数を被検体にあわせて設定することができる。
続いて、微分波形に低周波抽出の遮断周波数を適用して微分波形の低周波成分を主に含む低周波波形を出力する。微分波形には周波数の高いノイズが含まれている。低周波抽出部がノイズを低減するので、低周波波形は含有するノイズの少ない波形になる。そして、次に、複数の位置における低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する。血管内を血液の脈流が流れるとき血管径が大きくなる場所が脈波伝播速度で移動する。そして、複数の計測場所を脈流が通過する時間差を用いて速度演算部が脈波伝播速度を演算する。本適用例では、ノイズを低減するのに適切な遮断周波数を被検体にあわせて設定している。その結果、ノイズの影響を受け難くなる為、脈波伝播速度を精度良く計測することができる。
[適用例6]
上記適用例にかかる脈波計測方法において、前記遮断周波数の演算は所定の間隔をあけて行うことを特徴とする。
上記適用例にかかる脈波計測方法において、前記遮断周波数の演算は所定の間隔をあけて行うことを特徴とする。
本適用例によれば、遮断周波数の演算は所定の間隔をあけて行われる。これにより、周波数分布の演算及び遮断周波数の演算に要する時間が削減される。従って、脈波伝播速度を短時間で計測できる。
[適用例7]
上記適用例にかかる脈波計測方法において、前記複数の位置における血管径の時間変化を計測する毎に遮断周波数が演算され、前記微分波形の低周波成分を抽出するときは前記微分波形の周波数分布のうち前記遮断周波数以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力することを特徴とする。
上記適用例にかかる脈波計測方法において、前記複数の位置における血管径の時間変化を計測する毎に遮断周波数が演算され、前記微分波形の低周波成分を抽出するときは前記微分波形の周波数分布のうち前記遮断周波数以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力することを特徴とする。
本適用例によれば、微分波形の低周波成分を抽出するときは微分波形の周波数分布のうち遮断周波数以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力している。従って、低周波波形を構成する波形の周波数分布を遮断周波数以下の周波数分布に精度よく限定できる。そして、複数の位置における血管径の時間変化を計測する毎に遮断周波数が演算される。その結果、微分波形からノイズ成分を確実に低減することができる。
以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、脈波計測装置と、この脈波計測装置を用いて血管の脈波を計測する脈波計測方法との特徴的な例について、図1〜図12に従って説明する。図1は、脈波計測装置の構成を示す模式図である。脈波計測装置1は、超音波計測により非侵襲に被検体の脈波伝播速度を計測する装置である。
(第1の実施形態)
本実施形態では、脈波計測装置と、この脈波計測装置を用いて血管の脈波を計測する脈波計測方法との特徴的な例について、図1〜図12に従って説明する。図1は、脈波計測装置の構成を示す模式図である。脈波計測装置1は、超音波計測により非侵襲に被検体の脈波伝播速度を計測する装置である。
脈波計測装置1は超音波プローブ2及び制御装置3を備えている。超音波プローブ2と制御装置3とはケーブル4により接続されている。超音波プローブ2は被検体である人体5に設置されている。人体5には血管6が設置されており、血管6がある場所の皮膚に超音波プローブ2が設置される。超音波プローブ2には第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8が所定の間隔を開けて設置されている。第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8が共に血管6と対向するように超音波プローブ2が設置される。
第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との間隔は特に限定されない。本実施形態では、例えば、第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との間隔は5mm〜50mmの間で複数設定されている。詳しくは第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との間隔が5mm、7mm、10mm、15mm、20mm、30mm、40mm、50mmの超音波プローブ2が用意されている。図中超音波プローブ2は人体5の首に設置されているが、首の他にも腕、脚背中等各所に超音波プローブ2を設置することができる。そして、設置する場所にあわせて第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との間隔を選択する。計測対象とされる血管6は頸動脈に限らず、緊張時にはたらく交感神経の作用による血管径変化が比較的小さい他の動脈、例えば鎖骨下動脈や大動脈を計測対象とすることもできる。
制御装置3の内部には制御基板9が設置されている。他にも入力装置10及び表示装置11が設置されている。入力装置10はスイッチ、回転ツマミやキーボード等の装置であり、操作者は入力装置10を操作して制御装置3に指示内容を入力する。他にも、入力装置10には外部機器とデータ通信を行うコネクターが含まれている。表示装置11はLCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic light−emitting diode)等の表示装置である。表示装置11は計測条件や計測結果を表示する。制御装置3は人体5に装着された衣服に着脱可能に設置されている。これにより、脈波計測装置1は携帯可能となり、人体5が移動中であっても脈波計測装置1は脈波計測を行うことができる。
図2は、超音波プローブの構造及び機能を説明するための模式側断面図である。超音波プローブ2は基板12を備え、基板12上に第1圧電素子13及び第2圧電素子14が設置されている。第1圧電素子13は第1超音波探触子7の振動子であり、第2圧電素子14は第2超音波探触子8の振動子である。第1圧電素子13及び第2圧電素子14は一方向に長い形状であり、長手方向が血管6の長手方向と直交するように超音波プローブ2が設置される。圧電素子の種類は特に限定されないがPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)素子やPDVF(ポリフッ化ビニリデン)素子等の圧電素子を用いることができる。本実施形態では圧電素子にPZT素子を用いている。
第1圧電素子13及び第2圧電素子14と対向する場所の基板12は凹部が形成されている。厚みが薄くなっている場所の基板12は振動し易い振動板になっている。そして、凹部と対向する場所には音響レンズ15が設置され、音響レンズ15と人体5との間にはジェル16が設置されている。音響レンズ15はシリコン樹脂からなる柱状レンズである。
凹部にも音響インピーダンスを調整するためのシリコン樹脂が充填されている。ジェル16はゲル状の液体である。基板12は粘着パッド17により人体5に固定されている。粘着パッド17は、皮膚の表面に着脱可能な粘着層を有しており、人体5が身体を動かしても容易にはずれたり剥がれたりしない。尚、第1圧電素子13及び第2圧電素子14が音圧の高い超音波を射出するときには音響レンズ15、ジェル16及び粘着パッド17の代わりに粘着シートを設置しても良い。このとき、超音波プローブ2を容易に人体5に設置することができる。
凹部にも音響インピーダンスを調整するためのシリコン樹脂が充填されている。ジェル16はゲル状の液体である。基板12は粘着パッド17により人体5に固定されている。粘着パッド17は、皮膚の表面に着脱可能な粘着層を有しており、人体5が身体を動かしても容易にはずれたり剥がれたりしない。尚、第1圧電素子13及び第2圧電素子14が音圧の高い超音波を射出するときには音響レンズ15、ジェル16及び粘着パッド17の代わりに粘着シートを設置しても良い。このとき、超音波プローブ2を容易に人体5に設置することができる。
第1圧電素子13及び第2圧電素子14において音響レンズ15の反対側にはカバー18が設置されている。カバー18は第1圧電素子13及び第2圧電素子14に塵や水分が付着することを防止する。また、カバー18は超音波を吸収して、超音波が不要な場所に射出されるのを抑制する。
第1圧電素子13及び第2圧電素子14が振動するとき、基板12の振動板が振動して超音波パルス21が血管6に向けて射出される。超音波パルス21は数MHz〜数十MHzの超音波パルス信号やバースト信号の形態の信号になっている。超音波パルス21は音響レンズ15、ジェル16を経て人体5に到達する。音響レンズ15、ジェル16により超音波パルス21が減衰し難くなっている。
超音波パルス21は人体5の表面から内部に入り血管6に到達する。そして、超音波パルス21は血管6の前壁6a及び後壁6bで反射して反射波22となる。第1超音波探触子7から射出されて血管6で反射した反射波22の一部は第1超音波探触子7に到達して第1超音波探触子7が受信する。そして、第2超音波探触子8から射出されて血管6で反射した反射波22の一部は第2超音波探触子8に到達して第2超音波探触子8が受信する。
制御装置3は、前壁6aで反射した反射波22と、後壁6bで反射した反射波22と、の到達時間差から血管6の直径である血管径を演算する。第1超音波探触子7が受信した反射波22で演算した血管径を血管径としての第1血管径23とし、第2超音波探触子8が受信した反射波22で演算した血管径を血管径としての第2血管径24とする。第1血管径23は第1超音波探触子7と対向する場所の血管6における血管径であり、第2血管径24は第2超音波探触子8と対向する場所の血管6における血管径である。第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との間の距離を探触子間距離25とする。第1血管径23と第2血管径24とは探触子間距離25離れた場所の血管径である。
血管6の中では血液26が流動する。血液26の流動方向26aは図中右側から左側に流動する。そして、血液26の脈動も流動方向26aに移動する。従って、第1血管径23が拡張して収縮した後で、第2血管径24が拡張して収縮する。第1血管径23が拡張してから第2血管径24が拡張する間に経過する時間を時間差としての遅延時間とする。脈波伝播速度は探触子間距離25を遅延時間で除算した値である。
超音波パルス21の射出と反射波22の受信は極めて短い時間間隔で連続的に行われる。このため、第1血管径23と第2血管径24との算出も連続的に行うことができる。従って、血管径が経時変化する波形を示す時系列データを得ることができる。
図3は脈波計測装置の電気制御ブロック図である。図3において、脈波計測装置1は脈波計測装置1の動作を制御する制御装置3を備えている。そして、制御装置3はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU27(中央演算処理装置)と、各種情報を記憶する記憶部としてのメモリー28とを備えている。探触子駆動装置29、入力装置10及び表示装置11は入出力インターフェイス30及びデータバス31を介してCPU27に接続されている。
探触子駆動装置29は第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8を駆動する駆動装置である。第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8は血管6に向けて超音波パルス21を射出し血管6で反射した反射波22を受信して電気信号に変換して出力する。そして、探触子駆動装置29が反射波に対応する電気信号をデジタルデータに変換してCPU27に出力する。探触子駆動装置29が出力する反射波に対応するデジタルデータを反射波データとする。第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8は超音波トランスデューサーデバイスという。
第1超音波探触子7は超音波パルス21の射出と反射波22の受信を交互に行う。反射波22を受信したときに第1超音波探触子7は電気信号を探触子駆動装置29に出力する。第2超音波探触子8においても第1超音波探触子7と同様の動作をする。従って、第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8が出力する電気信号は一定の計測間隔をあけた離散時間信号である。そして、反射波データも離散時間のデータである。
入力装置10によりCPU27及びメモリー28に各種のデータが入力される。操作者は入力装置10を操作して計測開始の指示や計測条件を入力する。表示装置11には計測条件や計測結果である脈波伝播速度等が表示される。
メモリー28は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、脈波計測装置1の動作の制御手順が記述されたプログラムソフト32を記憶する記憶領域や、第1血管径23及び第2血管径24の経時変化を示す径変化波形のデータである径変化波形データ33を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、径変化波形を微分した微分波形のデータである微分波形データ34を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、微分波形の周波数分布を示すデータである周波数分布データ35を記憶するための記憶領域が設定される。
他にも、周波数分布と共に遮断周波数を選定するための選定表のデータである選定表データ36を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、遮断周波数のデータである遮断周波数データ37を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、微分波形の低周波成分で構成された低周波波形のデータである低周波波形データ38を記憶するための記憶領域が設定される。
CPU27は、メモリー28内に記憶されたプログラムソフト32に従って、脈波伝播速度を計測する制御を行うものである。具体的な機能実現部としてCPU27は計測制御部41を有する。計測制御部41は探触子駆動装置29に第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8を駆動させて反射波22の反射波データを取得する制御を行う。
他にも、CPU27は血管径演算部42を有する。血管径演算部42は第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8が出力する超音波信号を入力して第1血管径23及び第2血管径24を演算する。血管径演算部42は一定の計測間隔で反射波データを入力する。そして、第1超音波探触子7における第1血管径23及び第2超音波探触子8における第2血管径24を演算する。
前壁6aで反射した反射波22が第1圧電素子13に到達した時刻を前壁反射時刻とする。後壁6bで反射した反射波22が第1圧電素子13に到達した時刻を後壁反射時刻とする。第1血管径23の演算は後壁反射時刻から前壁反射時刻を減算した結果に反射波22が血液26を通過する速度を乗算することにより演算される。第2血管径24の演算も第1血管径23の演算と同様の手順にて演算される。
探触子駆動装置29、第1超音波探触子7、第2超音波探触子8及び血管径演算部42により血管径計測部43が構成されている。そして、血管径計測部43は一定の計測間隔毎に血管径を演算して出力する。血管径の離散データにより波形が形成される。この波形を径変化波形とする。このようにして、血管径計測部43は血管径の時間変化を計測して径変化波形をメモリー28に出力する。メモリー28では径変化波形が径変化波形データ33の一部として記憶される。
他にも、CPU27は微分演算部44を有する。微分演算部44は径変化波形を微分する演算を行う。微分演算する回数は1回でも良く2回でも良い。径変化波形の変化を把握しやすい回数を選択する。本実施形態では2回微分演算をして径変化波形の加速度変化を示す波形を用いている。微分演算部44が径変化波形を微分演算した結果得られた波形を微分波形とする。このようにして、微分演算部44は径変化波形を微分演算して微分波形をメモリー28に出力する。メモリー28では微分波形が微分波形データ34の一部として記憶される。
他にも、CPU27は低周波抽出部45を有する。低周波抽出部45は微分波形における遮断周波数以下の低周波成分を抽出した低周波波形を演算する。低周波抽出部45には周波数分布演算部46及び遮断周波数演算部47が含まれている。周波数分布演算部46は微分波形の周波数分布を演算する。この演算には公知の離散フーリエ変換が用いられる。遮断周波数演算部47は周波数分布と選定表とを用いて遮断周波数を演算する。そして、低周波抽出部45はこの遮断周波数を用いて演算する。
他にも、CPU27は速度演算部48を有する。速度演算部48は第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8の各位置における低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する。そして、速度演算部48が演算した変換した伝播速度をCPU27が表示装置11に出力する。尚、本実施形態では、上記の各機能がCPU27を用いてプログラムソフトで実現することとしたが、上記の各機能がCPU27を用いない単独の電子回路等のハードウェアによって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。
次に上述した脈波計測装置1を用いて脈波伝播速度を計測する脈波計測方法について説明する。図4は、脈波計測方法のフローチャートである。図4において、ステップS1は血管径計測工程である。この工程は、血管径計測部43が血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は微分波形演算工程である。この工程は、微分演算部44が径変化波形を微分演算して微分波形を出力する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は遮断周波数設定判断工程である。この工程は、遮断周波数設定を行うか否かを判断する工程である。遮断周波数を設定するときはステップS4に移行する。遮断周波数を設定しないときはステップS6に移行する。
ステップS4は周波数分布演算工程である。この工程は、周波数分布演算部46が微分波形の周波数分布を演算する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は遮断周波数演算工程である。この工程は、遮断周波数演算部47が周波数分布と低周波抽出の遮断周波数を選定するための選定表とを用いて低周波抽出の遮断周波数を演算する工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は低周波波形演算工程である。この工程は、周波数分布に低周波抽出の遮断周波数を適用して微分波形の低周波成分を主に含む低周波波形を出力する工程である。次にステップS7に移行する。
ステップS7は脈波伝播速度演算工程である。この工程は、複数の位置における低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は終了判定工程である。計測を終了しないで継続するときステップS1に移行する。計測を終了するとき脈波計測工程を終了する。
図5〜図12は脈波計測方法を説明するための図である。次に、図2、図5〜図12を用いて、図4に示したステップと対応させて、脈波計測方法を詳細に説明する。図2及び図5はステップS1の血管径計測工程に対応する図である。図2に示すように探触子駆動装置29が第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8を駆動する。第1超音波探触子7では、第1圧電素子13が超音波を発生させて超音波パルス21を血管6に向けて射出する。超音波パルス21の一部は前壁6a及び後壁6bで反射して反射波22になる。反射波22の一部は第1超音波探触子7に到達し、第1圧電素子13が反射波22を電気信号に変換して探触子駆動装置29に出力する。
同様に、第2超音波探触子8においても第2圧電素子14が超音波を発生させて超音波パルス21を血管6に向けて射出する。超音波パルス21の一部は前壁6a及び後壁6bで反射して反射波22になる。反射波22の一部は第2超音波探触子8に到達し、第2圧電素子14が反射波22を電気信号に変換して探触子駆動装置29に出力する。
探触子駆動装置29は第1圧電素子13及び第2圧電素子14が出力する電気信号を入力してデジタルデータである反射波データに変換する。そして、探触子駆動装置29は第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8における反射波データをCPU27の血管径演算部42に出力する。
血管径演算部42は反射波データを入力して血管6の内径を演算する。第1超音波探触子7及び第2超音波探触子8は一定の時間間隔で計測するので血管6の内径の経時変化を示す径変化波形が形成される。図5は血管の径変化波形を示すグラフである。図5において、横軸は時間の経過を示し時間は図中左側から右側に推移する。縦軸は血管径を示し図中上側が下側より太い径を示す。
径変化波形としての第1径変化波形49は第1血管径23の経時変化を示し、径変化波形としての第2径変化波形50は第2血管径24の経時変化を示している。人体5の心臓は一定の周期で収縮と拡張を繰り返して血液26を脈動させている。第1血管径23及び第2血管径24は心臓の動きと同期して変化するので、第1径変化波形49及び第2径変化波形50は周期51で反復する波形になっている。血管径計測部43は第1径変化波形49及び第2径変化波形50をメモリー28に出力し、第1径変化波形49及び第2径変化波形50は径変化波形データ33としてメモリー28に記憶される。
図6及び図7はステップS2の微分波形演算工程に対応する図である。図6は径変化波形を微分した微分波形を示すグラフである。図6において、横軸は時間の経過を示し時間は図中左側から右側に推移する。縦軸は血管径変化の加速度を示し図中上側が下側より高い加速度になっている。
微分波形としての第1微分波形52は微分演算部44が第1径変化波形49を2回微分演算した波形である。微分波形としての第2微分波形53は微分演算部44が第2径変化波形50を2回微分演算した波形である。第1微分波形52及び第2微分波形53が示すように2回微分演算した波形では拡張期54と切痕期55に加速度のピークが生じる。切痕期55より拡張期54の方が加速度のピークが高いので検出し易い拡張期54を用いる。
図7は拡張期の径変化波形を微分した微分波形を示すグラフであり、図6の拡張期54を拡大した図である。図7において、横軸及び縦軸は図6と同じである。第1微分波形52と第2微分波形53とは類似する波形であり、第2微分波形53は第1微分波形52より遅延した時間になっている。この遅延時間を精度良く計測することにより脈波を精度良く計測する。
図8はステップS3の遮断周波数設定判断工程に対応する図である。図8の横軸は時間の経過を示し時間は図中左側から右側に推移する。図中上段はステップS1の血管径計測工程を行うタイミングを示している。下段はステップS4の周波数分布演算工程及びステップS5の遮断周波数演算工程を行うタイミングを示している。遮断周波数演算は所定の間隔をあけて行われる。図に示す例ではわかり易くするために所定の間隔としての遮断周波数演算間隔56はステップS1を10回行う毎にステップS4及びステップS5を1回行う間隔になっている。
ステップS4及びステップS5を行う頻度は特に限定されない。ステップS1を1回行う毎にステップS4及びステップS5を1回おこなっても良い。計測対象者である人体5を変更したときにはステップS4及びステップS5を行った方が良い。人体5が変わると径変化波形が変わるので径変化波形に合った遮断周波数にするのが好ましい。
本実施形態では遮断周波数の演算は所定の間隔をあけて行っている。所定の間隔は20分〜40分が好ましく、この間に遮断周波数の演算を1回行うのが好ましい。さらには、所定の間隔は30分にするのが好ましい。この間隔では径変化波形の変化が少ないので同じ遮断周波数を用いることができる。これにより、ステップS4の周波数分布演算工程の演算及びステップS5の遮断周波数演算工程の演算に要する時間が削減される。従って、脈波伝播速度を短時間で計測できる。
図9はステップS4の周波数分布演算工程に対応する図である。ステップS4において、周波数分布演算部46が第1微分波形52の周波数分布を演算する。図9において、横軸は周波数を示し図中右側が左側より高い周波数になっている。縦軸は正規パワーを示し図中上側が下側より高いパワーになっている。そして、周波数分布としての周波数分布線57は第1微分波形52を離散フーリエ変換した後で、最大値が0dBになるように変換されている。
図10及び図11はステップS5の遮断周波数演算工程に対応する図である。ステップS5において遮断周波数演算部47が遮断周波数を演算する。図10はメモリー28の選定表データ36に記憶された選定表をグラフで表現した図である。図10において、横軸は周波数を示し図中右側が左側より高い周波数になっている。縦軸はSNR(Signal−to−Noise Ratio)要求値を示し図中上側が下側より高い要求値になっている。そして、第1相関線58は誤差の標準偏差が40μsecにおける周波数とSNR要求値の関係を示す。第2相関線61は誤差の標準偏差が80μsecにおける周波数とSNR要求値の関係を示す。第3相関線62は誤差の標準偏差が120μsecにおける周波数とSNR要求値の関係を示す。
第1相関線58〜第3相関線62に示すように、相関線は低周波数側のSNR要求値が高周波数側より高くなっている。そして、誤差の標準偏差の時間が短くする程SNR要求値が高くなっている。第1相関線58〜第3相関線62はコンピューターでシミュレーションして得られた結果である。2つの信号波形にノイズを加算し、ノイズが信号波形間の遅延時間に与える効果を演算したものである。遅延時間は2つの信号波形のピーク間の時間で演算した。そして、信号波形の周波数とノイズレベルを変えて2つの信号波形の遅延時間の分散を演算した。
脈波の速度は探触子間距離25を遅延時間で除算して得られる。探触子間距離25が長いときは短いときに比べて遅延時間の計測精度を低くすることができる。探触子間距離25が長いときにはSNR要求値を下げても良いので第3相関線62を用いても良い。探触子間距離25が短いときにはSNR要求値を上げる必要があるので第1相関線58を用いるのが好ましい。本実施形態では第2相関線61を用いる。
図11は遮断周波数の演算手順を説明するための図である。図中の縦軸と横軸は図9と同じである。周波数分布線57において周波数が50Hz以上の正規化パワーの平均を演算し、その演算結果を高周波平均線63とする。そして、第2相関線61の“0dB”をSNR要求値の“0dB“に重ねて周波数分布線57と第2相関線61とをプロットする。このとき、周波数分布線57と第2相関線61とが交点64で交差する。そして、交点64の周波数を遮断周波数65にする。
遮断周波数65以下の周波数では周波数分布線57が第2相関線61より大きなパワーになっている。遮断周波数65以下の周波数では第1微分波形52の信号強度がSNR要求値より高いことを示している。従って、遮断周波数65以下の周波数成分の第1微分波形52を用いることにより精度良く遅延時間を計測できる。
次に、低周波抽出部45が低周波成分を抽出するローパスフィルターの係数を演算する。ローパスフィルターは低周波通過フィルターともいう。このローパスフィルターはデジタルフィルターの一種であるFIR(Finite Impulse Response)フィルターである。このローパスフィルターの遮断周波数にはステップS5で演算した遮断周波数65を適用する。
ローパスフィルターの設計方法は公知であり、詳細な説明は省略する。概略の手順としては、遮断周波数65の周波数特性を離散時間逆フーリエ変換して畳み込むことで得られる。
図12はステップS6の低周波波形演算工程及びステップS7の脈波伝播速度演算工程に対応する図である。ステップS6の低周波波形演算工程では第1微分波形52及び第2微分波形53にステップS5で演算したローパスフィルターを適用する。そして、低周波抽出部45はステップS5で演算した遮断周波数65のローパスフィルターにて微分波形の低周波成分を抽出する。微分波形に予め遮断周波数が演算されたローパスフィルターを適用するときは、低周波成分を抽出する演算を短い時間で行うことができる。
図12において横軸は時間の経過を示し時間は図中左側から右側に推移する。縦軸は血管径変化の加速度を示し図中上側が下側より高い加速度になっている。ローパスフィルターを適用した結果、低周波波形としての第1微分低周波波形66及び低周波波形としての第2微分低周波波形67が求められる。第1微分低周波波形66は第1微分波形52にローパスフィルターを適用した波形である。第2微分低周波波形67は第2微分波形53にローパスフィルターを適用した波形である。第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67は高周波成分が除かれているので滑らかな曲線になっている。
ステップS7では速度演算部48が脈波伝播速度を演算する。速度演算部48は第1微分低周波波形66のピークと第2微分低周波波形67のピークとの間の遅延時間68を演算する。遅延時間68が第1微分低周波波形66と第2微分低周波波形67との時間差に相当する。そして、速度演算部48は探触子間距離25を遅延時間68で除算して脈波伝播速度を演算する。
ステップS8の終了判定工程では操作者が脈波伝播速度の計測を終了するか否かを判断する。脈波伝播速度の計測を継続するときにはステップS1に移行する。脈波伝播速度の計測を終了するときには脈波計測工程を終了する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、脈波計測装置1は血管径計測部43、微分演算部44、低周波抽出部45、メモリー28及び速度演算部48を備えている。血管径計測部43は第1血管径23及び第2血管径24の時間変化を計測する。そして、第1血管径23及び第2血管径24の径変化波形である第1径変化波形49及び第2径変化波形50を出力する。微分演算部44は第1径変化波形49及び第2径変化波形50を微分演算して第1微分波形52及び第2微分波形53を出力する。低周波抽出部45は第1微分波形52及び第2微分波形53における遮断周波数65以下の低周波成分を抽出した第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67を出力する。
(1)本実施形態によれば、脈波計測装置1は血管径計測部43、微分演算部44、低周波抽出部45、メモリー28及び速度演算部48を備えている。血管径計測部43は第1血管径23及び第2血管径24の時間変化を計測する。そして、第1血管径23及び第2血管径24の径変化波形である第1径変化波形49及び第2径変化波形50を出力する。微分演算部44は第1径変化波形49及び第2径変化波形50を微分演算して第1微分波形52及び第2微分波形53を出力する。低周波抽出部45は第1微分波形52及び第2微分波形53における遮断周波数65以下の低周波成分を抽出した第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67を出力する。
第1微分波形52及び第2微分波形53には周波数の高いノイズが含まれている。低周波抽出部45がノイズを低減するので、第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67は含有するノイズの少ない波形になる。そして、速度演算部48が第1微分低周波波形66と第2微分低周波波形67との遅延時間68から脈波伝播速度を演算する。血管6内を血液26の脈流が流れるとき血管6の径が拡張する場所が脈波伝播速度で移動する。複数の計測場所の距離を脈流が通過する時間で除算することより速度演算部48が脈波伝播速度を演算する。
低周波抽出部45は、周波数分布演算部46及び遮断周波数演算部47を備えている。周波数分布演算部46は第1微分波形52及び第2微分波形53の周波数分布を演算する。メモリー28は遮断周波数65を選定するための第2相関線61を記憶する。遮断周波数演算部47は周波数分布線57と第2相関線61とを用いて遮断周波数65を演算する。選定表を示す第2相関線61は計測誤差に応じて遮断周波数65を選定するための表に対応する。周波数分布は人体5により異なる。そして、周波数分布線57及び第2相関線61を用いることによりノイズを低減するのに適切な遮断周波数65を計測する人体5の周波数分布線57にあわせて設定することができる。その結果、ノイズを低減できる為、脈波伝播速度を精度良く計測することができる。
(2)本実施形態によれば、低周波抽出部45はステップS5で演算した遮断周波数65のローパスフィルターにて低周波成分を抽出する。ステップS3の遮断周波数設定判断工程で遮断周波数を設定しないと判断するとき、第1微分波形52及び第2微分波形53に予め遮断周波数65が演算されたローパスフィルターを適用して低周波成分を抽出するので、低周波成分を抽出する演算時間を短くすることができる。
(3)本実施形態によれば、脈波計測方法は血管6の径の時間変化を計測して第1径変化波形49及び第2径変化波形50を出力する。そして、第1径変化波形49及び第2径変化波形50を微分演算して第1微分波形52及び第2微分波形53を出力する。次に、第1微分波形52の周波数分布線57を演算する。続いて、第1微分波形52と低周波抽出の遮断周波数を選定するための第2相関線61とを用いて低周波抽出の遮断周波数65を演算する。周波数分布線57は人体5により異なる。そして、周波数分布線57及び第2相関線61をもちいることによりノイズを低減するのに適切な遮断周波数65を人体5にあわせて設定することができる。
続いて、第1微分波形52及び第2微分波形53に低周波抽出の遮断周波数65のローパスフィルターを適用して微分波形の低周波成分を主に含む第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67を出力する。第1微分波形52及び第2微分波形53には周波数の高いノイズが含まれている。低周波抽出部45がノイズを低減するので、第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67は含有するノイズの少ない波形になる。そして、次に、複数の位置における第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67の遅延時間68から脈波伝播速度を演算する。
血管6内を血液26の脈流が流れるとき血管6の径が大きくなる場所が脈波伝播速度で移動する。そして、複数の計測場所の探触子間距離25を脈流が通過する遅延時間68で除算することより速度演算部48が脈波伝播速度を演算する。本実施形態では、ノイズを低減するのに適切な遮断周波数65を計測する人体5の周波数分布線57にあわせて設定している。その結果、ノイズの影響を受け難くなる為、脈波伝播速度を精度良く計測することができる。
(4)本実施形態によれば、遮断周波数65の演算は遮断周波数演算間隔56をあけて行われる。これにより、周波数分布線57の演算及び遮断周波数65の演算に要する時間が削減される。従って、脈波伝播速度を短時間で計測できる。
(第2の実施形態)
次に、脈波計測装置の一実施形態について図12及び図13の遅延時間の演算方法を説明するための図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、遅延時間の演算方法が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
次に、脈波計測装置の一実施形態について図12及び図13の遅延時間の演算方法を説明するための図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、遅延時間の演算方法が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図12における第1微分低周波波形66と第2微分低周波波形67との相互相関関数を速度演算部48が演算する。詳しくは、第1微分低周波波形66を固定して第2微分低周波波形67を時間軸に沿って移動させて第1微分低周波波形66に近づける。第1微分低周波波形66と第2微分低周波波形67とは波形の形状が類似する。図13に示すように、第1微分低周波波形66と第2微分低周波波形67とが最も重なるとき相互相関関数69が示す相互相関が高くなる。相互相関関数69のピークにおける第2微分低周波波形67の移動時間が遅延時間68に相当する。
(1)本実施形態によれば、速度演算部48が複数の位置における低周波波形の遅延時間68を演算するときは第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67の相互相関関数69を用いる。相互相関関数69では第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67を時間軸に沿って移動させて第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67が一致する程度で遅延時間68を演算する。従って、精度良く第1微分低周波波形66及び第2微分低周波波形67の遅延時間68を演算することができる。
(第3の実施形態)
次に、脈波計測装置の一実施形態について図14及び図15を用いて説明する。図14及び図15は脈波計測方法を説明するための図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、周波数分布線57の遮断周波数65以下の周波数分布を逆変換して微分低周波波形を演算する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
次に、脈波計測装置の一実施形態について図14及び図15を用いて説明する。図14及び図15は脈波計測方法を説明するための図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、周波数分布線57の遮断周波数65以下の周波数分布を逆変換して微分低周波波形を演算する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図14はステップS3の遮断周波数設定判断工程に対応する図である。図14の横軸は時間の経過を示し時間は図中左側から右側に推移する。図中上段はステップS1の血管径計測工程を行うタイミングを示している。下段はステップS4の周波数分布演算工程及びステップS5の遮断周波数演算工程を行うタイミングを示している。図に示すように、ステップS1を行う毎にステップS4及びステップS5を1回行っている。つまり、第1血管径23及び第2血管径24の時間変化を計測する毎に周波数分布線57を演算する。
図15はステップS6の低周波波形演算工程に対応する図である。図15において、横軸は周波数を示し図中右側が左側より高い周波数になっている。縦軸は正規パワーを示し図中上側が下側より高いパワーになっている。そして、第1低周波分布線72は第1微分波形52を離散フーリエ変換した分布であり、周波数が遮断周波数65以上の正規パワーの分布が小さくなるように変換されている。
低周波抽出部45は第1低周波分布線72を離散時間逆フーリエ変換して第1微分低周波波形を演算する。第2微分波形53においても同様の手順で第2微分低周波波形を演算する。得られた第1微分低周波波形及び第2微分低周波波形を用いて速度演算部48は遅延時間68を算出する。次に、速度演算部48は伝播速度を演算する。つまり、本実施形態の脈波計測方法では第1微分波形52の低周波成分を抽出するときに低周波抽出部45は第1微分波形52の周波数分布線57のうち遮断周波数65以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形としての第1微分低周波波形を出力する。周波数分布を波形に変換するときには逆フーリエ変換の一種である離散時間逆フーリエ変換を用いる。そして、第2微分波形53の低周波成分を抽出するときに速度演算部48は同様の方法にて低周波波形としての第2微分低周波波形を出力する。
(1)本実施形態によれば、低周波抽出部45は第1微分波形52の周波数分布線57を演算して遮断周波数65以下の第1低周波分布線72を波形に変換して低周波波形を出力する。従って、低周波波形を構成する波形の周波数を遮断周波数65を超えない部分に精度よく限定できる。その結果、微分波形からノイズ成分を確実に低減することができる。
(2)本実施形態によれば、本実施形態の脈波計測方法では第1微分波形52の低周波成分を抽出するときは第1微分波形52の周波数分布のうち遮断周波数65以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力している。低周波抽出部45は第1低周波分布線72が示す周波数分布を離散時間逆フーリエ変換することにより波形に変換している。従って、第1微分低周波波形を構成する波形の周波数を遮断周波数65以下の周波数分布に精度よく限定できる。そして、第1超音波探触子7の位置における第1血管径23及び第2超音波探触子8の位置における第2血管径24の時間変化を計測する毎に遮断周波数65が演算される。その結果、第1微分波形52及び第2微分波形53からノイズ成分を確実に低減することができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、超音波プローブ2と制御装置3とがケーブル4により接続されていた。そして、ケーブル4がデータを伝送していた。超音波プローブ2と制御装置3とが無線でデータ通信を行っても良い。超音波プローブ2及び制御装置3に無線の送信機及び受信機を設置することにより実現することができる。これにより、人体5が体を動かすときにケーブル4が邪魔にならないので、人体5が動きやすくできる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、超音波プローブ2と制御装置3とがケーブル4により接続されていた。そして、ケーブル4がデータを伝送していた。超音波プローブ2と制御装置3とが無線でデータ通信を行っても良い。超音波プローブ2及び制御装置3に無線の送信機及び受信機を設置することにより実現することができる。これにより、人体5が体を動かすときにケーブル4が邪魔にならないので、人体5が動きやすくできる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、微分演算部44が第1径変化波形49及び第2径変化波形50を2次微分した。微分演算部44は第1径変化波形49及び第2径変化波形50を1次微分してもよい。第1径変化波形49と第2径変化波形50との間の遅延時間68が精度良く計測できる方を選択しても良い。1次微分は2次微分より演算回数が少ないので、高速に演算できる。
前記第1の実施形態では、微分演算部44が第1径変化波形49及び第2径変化波形50を2次微分した。微分演算部44は第1径変化波形49及び第2径変化波形50を1次微分してもよい。第1径変化波形49と第2径変化波形50との間の遅延時間68が精度良く計測できる方を選択しても良い。1次微分は2次微分より演算回数が少ないので、高速に演算できる。
(変形例3)
前記第1の実施形態では、第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との2カ所で第1血管径23及び第2血管径24を計測した。3カ所以上の場所で血管径を計測しても良い。そして、各場所における伝播速度の平均を演算しても良い。突発的変動の影響を低減できるので精度良く伝播速度を計測することができる。
前記第1の実施形態では、第1超音波探触子7と第2超音波探触子8との2カ所で第1血管径23及び第2血管径24を計測した。3カ所以上の場所で血管径を計測しても良い。そして、各場所における伝播速度の平均を演算しても良い。突発的変動の影響を低減できるので精度良く伝播速度を計測することができる。
(変形例4)
前記第2の実施形態では、相互相関関数69を用いて遅延時間68を演算した。前記第3の実施形態においても相互相関関数69を用いて遅延時間68を演算しても良い。精度良く遅延時間68を演算することができる。
前記第2の実施形態では、相互相関関数69を用いて遅延時間68を演算した。前記第3の実施形態においても相互相関関数69を用いて遅延時間68を演算しても良い。精度良く遅延時間68を演算することができる。
1…脈波計測装置、23…血管径としての第1血管径、24…血管径としての第2血管径、28…記憶部としてのメモリー、43…血管径計測部、44…微分演算部、45…低周波抽出部、46…周波数分布演算部、47…遮断周波数演算部、48…速度演算部、49…径変化波形としての第1径変化波形、50…径変化波形としての第2径変化波形、52…微分波形としての第1微分波形、53…微分波形としての第2微分波形、56…所定の間隔としての遮断周波数演算間隔、57…周波数分布としての周波数分布線、65…遮断周波数、66…低周波波形としての第1微分低周波波形、67…低周波波形としての第2微分低周波波形、68…時間差としての遅延時間、69…相互相関関数。
Claims (7)
- 血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力する血管径計測部と、
前記径変化波形を微分演算して微分波形を出力する微分演算部と、
前記微分波形における遮断周波数以下の低周波成分を抽出した低周波波形を演算する低周波抽出部と、
前記遮断周波数を選定するための選定表を記憶する記憶部と、
複数の位置における前記低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算する速度演算部と、を備え、
前記低周波抽出部は、
前記微分波形の周波数分布を演算する周波数分布演算部と、
前記周波数分布と前記選定表とを用いて前記遮断周波数を演算する遮断周波数演算部と、を備えることを特徴とする脈波計測装置。 - 請求項1に記載の脈波計測装置であって、
前記低周波抽出部は前記遮断周波数のローパスフィルターにて前記微分波形の低周波成分を抽出することを特徴とする脈波計測装置。 - 請求項1に記載の脈波計測装置であって、
前記低周波抽出部は前記微分波形の周波数分布を演算して前記遮断周波数以下の前記周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力することを特徴とする脈波計測装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の脈波計測装置であって、
前記速度演算部が前記複数の位置における前記低周波波形の時間差を演算するときは複数の前記低周波波形の相互相関関数を用いることを特徴とする脈波計測装置。 - 血管径の時間変化を計測して径変化波形を出力し、
前記径変化波形を微分演算して微分波形を出力し、
前記微分波形の周波数分布を演算し、
前記周波数分布と低周波抽出の遮断周波数を選定するための選定表とを用いて前記低周波抽出の遮断周波数を演算し、
前記周波数分布に前記低周波抽出の遮断周波数を適用して前記微分波形の低周波成分を主に含む低周波波形を出力し、
複数の位置における前記低周波波形の時間差から脈波伝播速度を演算することを特徴とする脈波計測方法。 - 請求項5に記載の脈波計測方法であって、
前記遮断周波数の演算は所定の間隔をあけて行うことを特徴とする脈波計測方法。 - 請求項5に記載の脈波計測方法であって、
前記複数の位置における血管径の時間変化を計測する毎に遮断周波数が演算され、
前記微分波形の低周波成分を抽出するときは前記微分波形の周波数分布のうち前記遮断周波数以下の周波数分布を波形に変換して低周波波形を出力することを特徴とする脈波計測方法。
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| JP2016168968A JP2018033663A (ja) | 2016-08-31 | 2016-08-31 | 脈波計測装置および脈波計測方法 |
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Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2021533913A (ja) * | 2018-08-21 | 2021-12-09 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | 脈波伝播速度測定を実行するためのシステム及び方法 |
-
2016
- 2016-08-31 JP JP2016168968A patent/JP2018033663A/ja active Pending
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| JP7304937B2 (ja) | 2018-08-21 | 2023-07-07 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ | 脈波伝播速度測定を実行するためのシステム及び方法 |
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